説明

封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置

【課題】熱伝導性、難燃性、強度、成形性が良好で、成形時の金型からの離型性、バリの抑制に優れた環境対応型の封止用エポキシ樹脂組成物、およびそのような組成物を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック樹脂、(C)トリフェニルホスフィン、(D)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ70質量%以上、平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ10質量%以下、平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ5〜15質量%、および平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ5〜15質量%からなる混合物、(E)ホスファゼン化合物、並びに(F)金属水和物および/またはホウ酸金属塩を必須成分とし、(D)成分の組成物全体に対する割合が70〜85質量%である封止用エポキシ樹脂組成物、また、そのような組成物の硬化物によって半導体素子を封止してなる半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物、およびこれを用いた半導体装置に係り、さらに詳しくは、パワーデバイス用途に有用な、高熱伝導性で、難燃性を有し、かつ環境対応にも優れる封止用エポキシ樹脂組成物、およびこれを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス等の半導体装置の樹脂封止に使用されるエポキシ樹脂組成物には、素子が放出する多量の熱に対応するため高い熱伝導性が要求される。そこで、良好な熱伝導率を得るために、例えば、結晶シリカと粒径の小さい溶融球状シリカを併用して、無機充填剤を高密度に充填させたエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、無機充填剤の充填量を増加させると、組成物の流動性が低下する。その結果、例えば、インナーリードのアイランド部が曲げ加工されて半導体素子が実装されているような半導体装置に適用した場合に、金型キャビティ内におけるインナーリード表裏の樹脂組成物の流動性のバランスが崩れて、ボイドが発生したり、ボンディングワイヤが変形したり、アイランドシフトが生じたりする等の不具合が発生するおそれがあった。
【0004】
一方、近時、環境への負荷を低減するため、ハロゲン系難燃剤を使用せずに良好な難燃性を付与した封止用エポキシ樹脂組成物が要求されており、一般には、ハロゲン系難燃剤に代わる難燃剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物の使用が検討されている。
【0005】
しかしながら、金属水和物で高い難燃性を得るためには金属水和物を多量に添加する必要があり、成形品の機械的強度の低下が懸念される。この問題に対し、粒径の小さい金属水和物を使用すれば、難燃性を高めることができ、その使用量を減らすことができるが、粒径の小さい金属水和物の使用は、流動性や硬化性等を低下させる。そこで、高い難燃性と、良好な流動性、硬化性を両立させるべく、特定の粒度分布を持つ金属水和物を使用した組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかしながら、上述したような良好な熱伝導率を得るためにシリカ粉末を高充填した封止用エポキシ樹脂組成物に適用した場合、金属水和物の粒度を特定しただけでは、良好な流動性や硬化性等が得られないうえに、目標とする熱伝導性も得られないことがあった。
【0007】
さらに、封止用エポキシ樹脂組成物には、金型からの離型性を高めるため、通常、ワックス類が配合されるが、金属水和物は吸油量が大きいため、ワックス類を吸収しやすく、金型離型性が低下するという問題もあった。離型性が低下した状態で成形すると、成形品に割れや欠けが発生するおそれがあり、特に、樹脂組成物の強度が低い場合には、これらの不具合の発生が顕著である。この問題に対処して、例えば、離型剤の配合量を増やしたり、離型性の高い離型剤を使用することが考えられるが、その場合、離型剤の表面への染み出し量が多くなり、金型や半導体装置の表面が汚れやすくなり、生産性が損なわれるおそれがある。
【0008】
また、難燃剤として、金属水和物を使用せずに、架橋型ホスファゼン化合物および環状化合物を配合した封止用エポキシ樹脂組成物、あるいは架橋フェノキシホスファゼン化合物とホウ酸亜鉛を併用した封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4、5参照。)。しかしながら、前者では、有機系難燃剤の多量配合により、熱伝導率や強度が低下し、半導体装置に割れや欠けが発生するおそれがある。また、後者では、スルーゲート方式により、複数のキャビティを直列に接続して、単位面積当たりの素子数を増加させた金型を用いて成形した場合、いわゆるスリットバリの発生が問題になることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2811933号公報
【特許文献2】特開2001−44337号公報
【特許文献3】特開2000−109647号公報
【特許文献4】特開2005−8835号公報
【特許文献5】特開2002−37979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、熱伝導性、難燃性、強度、成形性のバランスが良好で、成形時の金型からの離型性、バリの抑制に優れ、環境への負荷も少ない封止用エポキシ樹脂組成物、およびそのような封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止された信頼性に優れた半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂、トリフェニルホスフィン、特定のシリカ粉末、ホスファゼン化合物、金属水和物および/またはホウ酸金属塩を必須成分とした特定の封止用エポキシ樹脂組成物およびこれを用いた半導体装置により、上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の一態様に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック樹脂、(C)トリフェニルホスフィン、(D)(d1)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末70質量%以上、(d2)平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ粉末10重量%以下、(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末5〜15質量%、および(d4)平均粒径0.5〜3μmの溶融球状シリカ粉末5〜15質量%からなるシリカ粉末混合物、(E)ホスファゼン化合物、並びに(F)金属水和物および/またはホウ酸金属塩を必須成分とし、前記(D)シラン粉末混合物の組成物全体に対する割合が70〜85質量%であることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の他の態様に係る半導体装置は、熱伝導率が2W/mK以上である、上記封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物によって半導体素子が封止されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱伝導性、難燃性、強度、成形性のバランスが良好で、成形時の金型からの離型性、バリの抑制に優れ、かつ環境への負荷も少ない封止用エポキシ樹脂組成物、およびそのような封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止された信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
まず、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物に用いられる各成分について説明する。
本発明に用いられる(A)成分のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は成形性およびはんだ耐熱性に優れるという特徴を有している。硬化性の観点からは、エポキシ当量が150〜300の範囲のものが好ましく、180〜250の範囲のものがより好ましい。具体的には、(A)成分としては、住友化学工業(株)製のESCN−190(o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の商品名;エポキシ当量195、軟化点65℃)等が好ましく使用される。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。このクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物の全量に対して7〜35質量%の範囲が好ましく、8〜15質量%の範囲がより好ましい。7質量%未満では吸水率が増加するおそれがある。また、35質量%を超えると難燃性が低下するおそれがある。
【0017】
本発明においては、必要に応じて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用することができる。例えば、硬化性等を調整する目的で、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ビフェニル型またはスチルベン型二官能エポキシ化合物等を使用することができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。他のエポキシ樹脂を併用する場合、エポキシ樹脂総質量の50質量%以下の範囲で配合することが好ましい。より好ましい範囲は、エポキシ樹脂総質量の30質量%以下である。
【0018】
本発明に用いられる(B)成分のフェノールノボラック樹脂としては、上記(A)成分のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されることなく使用される。本発明の目的のためには、フェノール性水酸基当量が100〜200の範囲のものが好ましく、硬化性の観点からは、フェノール性水酸基当量が100〜150の範囲のものが特に好ましい。また、軟化点が50〜110℃の範囲のものが好ましく、70〜90℃の範囲のものがより好ましい。具体的には、(B)成分としては、明和化成(株)製のH−1(商品名;水酸基当量106、軟化点83℃)等が好ましく使用される。フェノールノボラック樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。このフェノールノボラック樹脂の配合量は、上記(A)成分のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、および必要に応じて配合されるその他のエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量当たり、フェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基当量が0.5〜2.0当量となる範囲が好ましく、0.8〜1.20当量となる範囲がより好ましい。0.5当量未満となる範囲では難燃性等が低下するおそれがある。また、2.0当量を超える範囲では吸水率が増加して信頼性が低下するおそれがある。
【0019】
本発明においては、必要に応じて、フェノールノボラック樹脂以外の、上記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するフェノール樹脂を併用することができる。具体的には、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂の変性樹脂(例えば、エポキシ化もしくはブチル化したノボラック型フェノール樹脂等)、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂等を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。他のフェノール樹脂を併用する場合、フェノール樹脂総質量の50質量%以下の範囲で配合することが好ましい。より好ましい範囲は、フェノール樹脂総質量の30質量%以下である。なお、フェノールノボラック樹脂以外のフェノール樹脂を併用する場合、それらの樹脂中のフェノール性水酸基当量が、(A)成分のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、および必要に応じて配合されるその他のエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量当たり、前述した範囲、すなわち0.5〜2.0当量となる範囲が好ましく、0.8〜1.20当量となる範囲がより好ましい。
【0020】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の反応を促進させる硬化促進剤として、(C)トリフェニルホスフィンが使用される。トリフェニルホスフィンとしては、不純物濃度が低いものが好ましい。このトリフェニルホスフィンの配合量は、特に限定されるものではないが、組成物の全量に対して0.01〜5質量%の範囲が好ましい。トリフェニルホスフィンをこの範囲で配合することによって、良好な金型離型性を得ることができる。また、その結果、金型清掃の周期を延長させることができるため、連続成形性に優れたものとなる。また、トリフェニルホスフィンの配合量が0.01質量%未満では、ゲルタイムが長くなり、半導体装置の生産サイクルが長くなる。逆に、5質量%を超えると、流動性が低下して充填性が不良となり、また、実装後の耐湿信頼性が低下するおそれがある。より好ましい範囲は、組成物の全量に対して0.05〜1.0質量%の範囲である。
【0021】
本発明においては、必要に応じて、トリフェニルホスフィン以外の公知の硬化促進剤、例えば、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、DBU(ジアザビシクロウンデセン)系硬化促進剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で併用することができる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
本発明に用いられる(D)成分のシリカ粉末混合物は、(d1)平均粒径10〜30μm、好ましくは25〜30μmの結晶シリカ粉末、(d2)平均粒径3.0μm未満、好ましくは0.5〜2.0μmの結晶シリカ粉末、(d3)平均粒径3.0μm未満、好ましくは0.5〜1.5μmの溶融球状シリカ粉末、および(d4)平均粒径5〜15μm、好ましくは8〜15μmの溶融球状シリカ粉末の混合物である。
【0023】
(D)成分のシリカ粉末混合物は、(d1)〜(d4)成分の合計量で、組成物の全量に対して70〜85質量%、好ましくは75〜85質量%の割合で配合される。シリカ粉末混合物の割合が70質量%未満では熱伝導率が低くなり、85質量%を超えると流動性が低下して成形が困難になる。
【0024】
また、(D)成分のシリカ粉末混合物において、(d1)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末の割合は70質量%以上、好ましくは70〜75質量%であり、(d2)平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ粉末の割合は10重量%以下、好ましくは5〜10質量%である。(d1)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末の割合が70質量%未満であるか、または(d2)平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ粉末の割合が10重量%を超えると、良好な熱伝導性を発現させることができない。
【0025】
また、(D)成分のシリカ粉末混合物において、(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末の割合は5〜15質量%、好ましくは5〜10質量%であり、(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末の割合は5〜15質量%、好ましくは5〜10質量%である。(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末および(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末のいずれか一方でも、配合量が前記割合を外れると、流動性が低下して成形が困難になる。
【0026】
さらに、本発明においては、(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末と(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末との質量比(d3)/(d4)が0.75〜1.25であることが好ましい。質量比(d3)/(d4)を前記範囲とすることで、金型キャビティ内のインナーリードやアイランド表裏における樹脂組成物のバランスが良好となり、ボイド、アイランドシフト、ボンディングワイヤの変形等の発生を抑えることができる。質量比(d3)/(d4)は0.85〜1.15であることがより好ましい。
【0027】
なお、上記シリカ粉末の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製 製品名 シーラスレーザータイプ920)により測定した粒度分布において積算重量が50%になる粒径である。
【0028】
本発明に用いられる(E)成分のホスファゼン化合物は、次述する(F)成分とともに、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物に難燃性を付与する成分である。ホスファゼン化合物としては、特に、フェノキシホスファゼン化合物をフェニレン基等の架橋基で架橋させた架橋フェノキシホスファゼン化合物が好ましく使用される。
【0029】
フェノキシホスファゼン化合物としては、下記構造式(1)で示される環状フェノキシホスファゼン化合物、下記構造式(2)で示される鎖状フェノキシホスファゼン化合物等が挙げられる。
【化1】

(式中、mは3〜25の整数を表す)
【化2】

(式中、Xは基−N=P(OC6 5 3 または基−N=P(O)OC6 5 を、Yは基−P(OC6 5 4 または基−P(OC6 5 2 を、nは3〜10000の整数をそれぞれ表す)
【0030】
また、架橋基としては、フェニレン基の他、下記構造式(3)で表されるビスフェニレン基等が挙げられる。
【化3】

(式中、Aは基−C(CH3 2 −、基−SO2 −、基−S−または基−O−を、aは0または1を表す)
【0031】
(E)成分のホスファゼン化合物としては、なかでも、環状フェノキシホスファゼン化合物を架橋させたものが好ましい。ホスファゼン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
このホスファゼン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物の全量に対して0.1〜3.0質量%の範囲が好ましく、0.1〜2.0質量%の範囲がより好ましい。0.1質量%未満では難燃性付与効果が十分ではなく、また、3.0質量%を超えると半導体装置の信頼性を低下させるおそれがある。
【0033】
本発明に用いられる(F)成分は、金属水和物および/またはホウ酸金属塩であり、180℃以上の温度で結晶水を放出するか、熱分解によって水を放出するものであればよい。金属水和物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。水酸化アルミニウムの市販品を具体的に示すと、例えば、日本軽金属(株)製のB−52、B−73、B−1403、B−703(以上、いずれも商品名)等、昭和電工(株)製のH−100E、H−210、H−310、H−X、H−42M(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。また、水酸化マグネシウムの市販品を具体的に示すと、例えば、協和化学(株)製のキスマ5A、キスマ5B、キスマ5E(以上、いずれも商品名)等、神島化学(株)製の水マグ10、水マグ10A(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。
【0034】
ホウ酸金属塩としては、例えば、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等が挙げられる。これらのなかでも、結晶水の放出温度が200℃以上であり、かつ低分子ガスの補足能力のあるホウ酸亜鉛が好適である。ホウ酸亜鉛は、一般に、2ZnO・3B・xHO(x=3.3〜3.7)で示される式を持つ水和物であるが、xが3.5で、かつ260℃もしくはそれより高い温度まで安定なものが好ましい。ホウ酸亜鉛の好ましい市販品を具体的に示すと、例えば、水澤化学工業(株)製のアルカネックスFRF−30、アルカネックスFRC−150、アルカネックスFRC−500、アルカネックスFRC−600(以上、いずれも商品名)等、リオテイントジャパン(株)製のファイヤーブレイクZB(商品名)等が挙げられる。ちなみにアルカネックスFRC−500は、2ZnO・3B・3.5HOである。
【0035】
なお、金属水和物およびホウ酸金属塩はそれぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
また、(F)成分の金属水和物および/またはホウ酸金属塩は、全体として、平均粒径が20μm以下、最大粒径が100μm以下であることが好ましく、平均粒径が10μm以下、最大粒径が50μm以下であることがより好ましい。平均粒径が20μmを超えるか、または最大粒径が100μmを超えた場合には、流動性の低下、充填性の低下、ワイヤ流れ等を招くおそれがある。さらに、(F)成分に用いる金属水和物およびホウ酸金属塩は、粒径が0.1〜50μmであることが好ましく、0.2〜30μmであることがより好ましい。粒径が0.1μm未満では、比表面積が大きくなるため吸油量が増大し、流動性や金型離型性等が低下するおそれがある。また、粒径が50μmを超えると、場合により機械的強度が低下するおそれがある。
【0037】
なお、上記金属水和物およびホウ酸金属塩の平均粒径、最大粒径および粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製 製品名 シーラスレーザータイプ920)により求めることができ、平均粒径については、同装置で測定された粒度分布において積算重量が50%になる粒径である。
【0038】
(F)成分の金属水和物および/またはホウ酸金属塩の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物の全量に対して5〜15質量%の範囲が好ましく、7〜10質量%の範囲がより好ましい。5質量%未満では難燃性付与効果が十分ではなく、また、15質量%を超えると、封止材としての成形性や接着力が低下するとともに、吸湿率が増加し、半導体装置の信頼性を低下させるおそれがある。
【0039】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、充填性、無機充填剤と樹脂との密着性等を高める目的で、さらにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられるが、添加による効果等の観点から、なかでもシランカップリング剤が好ましい。
【0040】
好ましいシランカップリング剤の例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランはNUC A−187、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランはNUC A−189、γ−アミノプロピルトリエトキシシランはNUC A−1100、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランはNUC A−1160、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランはNUC A−1120という商品名で、いずれもユニカー(株)より市販されている。
【0041】
カップリング剤の配合量は、添加による効果、耐熱性、コスト等の観点から、組成物の全量に対して0.03〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.1〜2.5質量%の範囲がより好ましい。
【0042】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、以上の各成分の他、この種の組成物に一般に配合される、合成ワックス、天然ワックス、エステル類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力付与剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて配合することができる。
【0043】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の一般的な調製方法は、まず、乾式混合装置に(D)成分のシリカ粉末混合物、(E)成分のホスファゼン化合物および(F)成分の金属水和物および/またはホウ酸金属塩を加え、混合する。なお、(D)成分の(d1)〜(d4)成分は予め混合することなく乾式混合装置に個々に加えるようにしてもよい。次に、予め粉末状態にした(A)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック樹脂、(C)トリフェニルホスフィン、および必要に応じて配合される各種成分を加え、均一に混合する。その後、この混合物を二本ロール、連続混練装置等により溶融混練し、シート化した後、冷却し、適当な大きさに粉砕する。。
【0044】
本発明の半導体装置は、上記封止用エポキシ樹脂組成物を用いて各種の半導体素子を封止することにより製造することができる。封止を行う半導体素子としては、IC、ダイオード、、サイリスタ、トランジスタ等が例示される。封止方法としては、低圧トランスファー法が一般的であるが、射出成形、圧縮成形、注型等による封止も可能である。封止用エポキシ樹脂組成物で封止後は、加熱して硬化させ、最終的にその硬化物によって封止された半導体装置が得られる。なお、硬化物は、熱線法により測定される熱伝導率が2W/m・K以上であることが好ましい。
【0045】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、高い熱伝導性を有するとともに、流動性が良好で成形性に優れ、さらに金型離型性が良好で、ハロゲンフリーの優れた難燃性を有している。したがって、各種半導体装置の封止材として、なかでも、パワーデバイスと称するトランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の半導体装置の封止材として非常に有用である。
【実施例】
【0046】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、以下の記載において、「部」は「質量部」を示すものとする。
【0047】
(実施例1)
シリカ粉末として、平均粒径11μmの結晶シリカ粉末((株)龍森製 商品名 MCC−4;結晶シリカ粉末(d1)と表記)57部、平均粒径1.5μmの結晶シリカ粉末((株)龍森製 商品名 5X;結晶シリカ粉末(d2)と表記)7部、平均粒径0.5μmの溶融球状シリカ粉末((株)アドマテックス製 商品名 SO−25R;溶融球状シリカ粉末(d3)と表記)5部、および平均粒径5.8μmの溶融球状シリカ粉末(電気化学工業(株)製 商品名 FB−7SDC;溶融球状シリカ粉末(d4)と表記)5部と、ホウ酸金属塩として、平均粒径8μmのホウ酸亜鉛(水澤化学工業(株)製 商品名 FRC−150)10部とをミキサーに入れ、攪拌しながらシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製 商品名 Y−9669)0.5部を添加して表面処理した。その後、シリコーンオイル(信越シリコーン(株)製 商品名 KF−101)0.2部を添加した。
【0048】
さらに、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製 商品名 ESCN−190;エポキシ当量195、軟化点65℃)9.7部、フェノールノボラック樹脂(明和化成(株)製 商品名 H−1;水酸基当量106、軟化点83℃)4.8部、トリフェニルホスフィン(ケイアイ化成(株)製 商品名 PP−360)0.15部、架橋フェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製 商品名 SPE−100)0.15部、精製カルナバワックス((株)セラリカNODA製 商品名 No−1)0.3部、およびカーボンブラック(三菱化学(株)製 商品名 MA−600)0.2部を添加し、常温で混合した後、2軸ロール混練機を用いて60〜70℃で混練し、冷却後、粉砕して封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0049】
(実施例2)
ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を7.0部に変えた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0050】
(実施例3)
ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を15.0部に変えた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0051】
(実施例4)
ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)に代えて平均粒径1.0μmの水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製 商品名 B−1403)を用いた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0052】
(実施例5)
ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)に代えて平均粒径1.0μmの水酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製 商品名 エコーマグ)を用いた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0053】
(実施例6)
ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)10.0部に代えて、同ホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)5.0部および平均粒径1.0μmの水酸化アルミニウム(商品名 B−1403)5.0部を用いた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0054】
(実施例7)
トリフェニルホスフィン(商品名 PP−360)の添加量を0.30部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を8.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0055】
(実施例8)
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 ESCN−190)、フェノールノボラック樹脂(商品名 H−1)、結晶シリカ粉末(d2)、溶融球状シリカ粉末(d3)、溶融球状シリカ粉末(d4)、およびホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量をそれぞれ表1に示すように変えた以外は実施例と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0056】
(実施例9)
フェノキシホスファゼン(商品名 SPE−100)の添加量を0.50部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を4.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0057】
(比較例1)
結晶シリカ粉末(d1)、結晶シリカ粉末(d2)、溶融球状シリカ粉末(d3)および溶融球状シリカ粉末(d4)の添加量を、それぞれ40.0部、5.0部、7.0部および6.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0058】
(比較例2)
結晶シリカ粉末(d2)の添加量を10.0部に変えた以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0059】
(比較例3)
溶融球状シリカ粉末(d3)の添加量を2.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0060】
(比較例4)
溶融球状シリカ粉末(d3)および溶融球状シリカ粉末(d4)の添加量を、それぞれ5.5部および2.0部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を11.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0061】
(比較例5)
結晶シリカ粉末(d2)および溶融球状シリカ粉末(d3)の添加量を、それぞれ5.0部および13.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0062】
(比較例6)
結晶シリカ粉末(d2)の添加量を5.0部とし、溶融球状シリカ粉末(d4)の添加量を13.0部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を11.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0063】
(比較例7)
フェノキシホスファゼン(商品名 SPE−100)の添加量を3.00部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)を未配合とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0064】
(比較例8)
結晶シリカ粉末(d1)、結晶シリカ粉末(d2)、溶融球状シリカ粉末(d3)および溶融球状シリカ粉末(d4)の添加量を、それぞれ50.0部、5.0部、7.0部および6.0部とし、フェノキシホスファゼン(商品名 SPE−100)の添加量を0.10部とし、かつホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量を20.0部とした以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0065】
(比較例9)
トリフェニルホスフィン(商品名 PP−360)に代えて、2−エチル−4−メチル
イミダゾール(四国化成(株)製 商品名 キュアゾール2E4MZ)を使用した以外は実施例1と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0066】
(比較例10)
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名 ESCN−190)、フェノールノボラック樹脂(商品名 H−1)、結晶シリカ粉末(d1)、結晶シリカ粉末(d2)溶融球状シリカ粉末(d3)、溶融球状シリカ粉末(d4)、およびホウ酸亜鉛(商品名 FRC−150)の添加量をそれぞれ表1に示すように変えた以外は実施例と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0067】
上記各実施例および各比較例で得られた封止用樹脂組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。結果を表1および表2に併せ示す。
【0068】
[金型離型性]
封止用エポキシ樹脂組成物を175℃に加熱した金型で成形し、その金型から離型する際の荷重(離型荷重)をプッシュ・プル・ゲージにより測定するとともに、その測定値より下記の基準で評価した。なお、金型には鏡面加工を施した金型と梨地面の金型を用いた。
○:離型荷重値40N未満
△:離型荷重値40N以上50N未満
×:離型荷重値50N以上
[スパイラルフロー]
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー金型を用い、封止用エポキシ樹脂組成物を温度175℃、圧力9.8MPaの条件でトランスファー成形し、スパイラルフローを測定した。
[フロー粘度]
高化式フローテスタ((株)島津製作所製 CFT−100)を用い、温度175℃、荷重圧力10kgf/cm(約0.98MPa)でのフロー粘度を測定した。
[スリットバリ]
スリットバリ測定用金型(厚さ10μmおよび20μm、長さ200mm、幅8mmのスリット)を用いて、封止用エポキシ樹脂組成物を温度175℃、注入圧力7.0MPa、硬化時間120秒の条件で成形した後、スリット内に充填された距離を測定し、下記の基準で評価した。
○:バリ長3mm未満
△:バリ長3mm以上5mm未満
×:バリ長5mm以上
[熱伝導度]
封止用エポキシ樹脂組成物を175℃、8時間の条件で加熱成形して直径100mm、厚さ25mmの試験片を作製した。この試験片について、迅速熱伝導率測定装置(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
【0069】
[熱時曲げ強度]
封止用エポキシ樹脂組成物を175℃、120秒間の条件でトランスファー成形し、その後、後硬化を行わずに直径100mm、厚さ3.0mmの試験片を作製した。この試験片についてJIS K 6911にしたがって、インストロン万能試験機(インストロン社製 測定機名 5942)を用いて、温度175℃における曲げ硬度を測定した。
[難燃性]
封止用エポキシ樹脂組成物を175℃、120秒間の条件でトランスファー成形し、その後、175℃、8時間の後硬化を行って12.7mm×1.27mm×0.8mmの硬化物を得、UL94耐炎性試験規格に基づく燃焼試験を行った。
[成形性]
20個取り金型(3ピン小型半導体装置:縦2.5mm×横1.5mm×高さ0.5mm)を使用して、封止用エポキシ樹脂組成物を温度175℃、注入圧力7.0MPa、硬化時間120秒の条件で封止成形し、金型を開く際に成形品に目視による観察で割れまたは欠けが発生した数を計数した。同様に、目視による観察で半導体装置裏面への封止用エポキシ樹脂組成物の充填が十分になされなかった成形品の数(不良数)を計数した。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
表1、2から明らかなように、本発明の実施例の封止用エポキシ樹脂組成物、特に、シリカ粉末成分として、平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末70質量%以上、平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ粉末10質量%以下、平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末5〜15質量%、平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末5〜15質量%からなり、かつ平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末と平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末との混合比(質量基準)が0.75〜1.25であるシリカ粉末を使用した実施例では、硬化物強度特性と金型離型性のバランスに優れ、良好な成形を有するとともに、難燃性や熱伝導性にも優れていることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック樹脂、(C)トリフェニルホスフィン、(D)(d1)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末70質量%以上、(d2)平均粒径3.0μm未満の結晶シリカ粉末10質量%以下、(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末5〜15質量%、および(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末5〜15質量%からなるシリカ粉末混合物、(E)ホスファゼン化合物、並びに(F)金属水和物および/またはホウ酸金属塩を必須成分とし、前記(D)シラン粉末混合物の組成物全体に対する割合が70〜85質量%であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
(D)成分が、(d1)平均粒径10〜30μmの結晶シリカ粉末70〜75質量%以上、(d2)平均粒径3μm未満の結晶シリカ粉末5〜10質量%以下、(d3)平均粒径3μm未満の溶融球状シリカ粉末5〜15質量%、および(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末5〜15質量%からなるシリカ粉末混合物であることを特徴とする請求項1記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(E)ホスファゼン化合物の含有量が組成物全体の0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(F)金属水和物および/またはホウ酸金属塩の含有量が組成物全体の5〜15質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
(D)成分中の(d3)平均粒径3.0μm未満の溶融球状シリカ粉末と(d4)平均粒径5〜15μmの溶融球状シリカ粉末との質量比(d3)/(d4)が0.75〜1.25であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載記載の透明樹脂組成物。
【請求項6】
熱伝導率が2W/m・K以上である、請求項1乃至5のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物によって半導体素子が封止されてなることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2012−67252(P2012−67252A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215421(P2010−215421)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】