説明

導電性微細パターンの製造方法

【課題】 本発明は、配線幅及び配線間隔が0. 2μm以上10μm以下の微細な配線パターンを容易に精度よく均一に且つ再現性よく得ることのできる導電性微細パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性材料と導電性金属ナノ粒子よりなる加熱消滅性組成物を、所定の微細パターンが形成されている型に塗布し、加熱消滅性組成物層を積層する工程、リバーサルインプリント法により、微細パターンに応じた加熱消滅性組成物層を基材上に転写する工程及び加熱して加熱消滅性材料を除去し、基材に導電性微細パターンを形成する工程からなることを特徴とする導電性微細パターンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性微細パターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器、電子部品の小型化に付随して、配線基板上に形成される回路配線パターンもより微細化することが要望されており、導電性金属ペーストを基材に塗布して配線パターンを形成する方法が盛んに研究されている。
【0003】
例えば、平均粒子径が0.5〜20μm程度の金属微粉末と金属ナノ粒子とエポキシ樹脂よりなる導電性金属ペーストを基材に塗布し硬化して配線パターンを形成する方法があるが、この方法では配線幅及び配線間隔を50μm程度にしかできなかった。
【0004】
配線幅及び配線間隔を小さくするために、平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液を用いて、描画される前記微細な配線パターンの塗布層を基板表面上に形成する工程と、該塗布層中に含まれる、金属ナノ粒子に対して焼成処理を行って、該金属ナノ粒子相互の焼結体層を形成する工程とを有し、前記金属ナノ粒子を含有するペースト状分散液として、金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液であり、該金属ナノ粒子表面は、かかる金属ナノ粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、またはイオウ原子を含み、これら原子の有する孤立電子対による配位的な結合が可能な基を有する化合物1種以上により被覆されており、前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物一種以上を総和として、10〜30質量部を含有し、前記分散溶媒は、100℃以上に加熱した際、該分散溶媒100質量部当たり、金属ナノ粒子表面を被覆する前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物を50質量部以上溶解可能な、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒であり、前記金属ナノ粒子100質量部に対して、前記分散溶媒を8〜220質量部含有し、前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、20℃〜300℃の温度範囲においては、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物に対して、反応性を示さず、前記窒素、酸素、またはイオウ原子を含む基を有する化合物は、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有し、前記分散溶媒を構成する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物は、いずれも、150℃〜300℃の範囲に沸点を有し、20℃以下の融点を有することを特徴とする導電性ナノ粒子ペーストを用い、該金属ナノ粒子相互の焼結体層形成は、300℃を超えない温度に前記塗布層を加熱することによってなされ、該焼成処理における加熱を施す際、該金属ナノ粒子表面を被覆する窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する化合物が、高溶解性を有する有機溶剤一種、あるいは二種以上の液体状有機物からなる混合溶媒を用いる分散溶媒中に、金属ナノ粒子表面からの解離、溶出がなされて、金属ナノ粒子相互の表面接触が達成され、該金属ナノ粒子相互の焼結と、分散溶媒の蒸散除去とがなされることを特徴とする微細配線パターンの形成方法が提案されており、配線パターンの塗布層を基板表面上に形成する工程としては、インクジェット印刷法及びスクリーン印刷法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−273205号公報
【0005】
しかしながら、上記方法で得られる配線パターンの配線幅及び配線間隔は20μm程度であり、配線幅及び配線間隔が10μm以下の微細な配線パターンを得ることはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、配線幅及び配線間隔が0. 2μm以上10μm以下の微細な配線パターンを容易に精度よく均一に且つ再現性よく得ることのできる導電性微細パターンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導電性微細パターンの製造方法は、熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性材料と導電性金属ナノ粒子よりなる加熱消滅性組成物を、所定の微細パターンが形成されている型に塗布し、加熱消滅性組成物層を積層する工程、リバーサルインプリント法により、微細パターンに応じた加熱消滅性組成物層を基材上に転写する工程及び加熱して加熱消滅性材料を除去し、基材に導電性微細パターンを形成する工程からなることを特徴とする。
【0008】
本発明で使用される加熱消滅性材料は、熱可塑性樹脂を主体とし、加熱することにより熱可塑性樹脂が分解してガス化し消滅する樹脂組成物であり、150〜350℃に加熱することにより10分以内に95重量%以上消滅する樹脂組成物が好ましい。
【0009】
上記熱可塑性樹脂としては、加熱することにより分解してガス化し消滅するものであれば、特に限定されないが、酸素含有量が15〜55重量%のポリオキシアルキレン樹脂が好ましい。
【0010】
上記ポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンをセグメントとして含有する重合体等が挙げられる。
【0011】
上記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。2種以上を併用する場合はポリプロピレングリコールを50重量%以上添加するのが好ましい。
【0012】
上記ポリオキシアルキレンをセグメントとして含有する重合体は、例えば、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシトリメチレン、ポリオキシテトラメチレン等のポリオキシアルキレンをセグメントとして含有する重合体であって、例えば、上記ポリオキシアルキレンをセグメントとして含有するポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0013】
上記ポリオキシアルキレン樹脂の数平均分子量は、小さくなると揮発性が高くなり、大きくなると分解しにくくなるので、500〜500万が好ましい。
【0014】
上記ポリオキシアルキレン樹脂は架橋されていてもよい。架橋は物理架橋でも化学架橋でもよい。
【0015】
上記物理架橋方法としては、例えば、重合セグメントとして結晶性セグメントを選択し結晶化させる方法、高分子量セグメントを用いて分子鎖の絡み合いを増加する方法、水酸基、アミノ基、アミド基等の官能基を有するセグメントを用いて水素結合を形成させる方法等が挙げられる。
【0016】
又、化学架橋方法としては、例えば、架橋性官能基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋剤で架橋する方法が挙げられる。
【0017】
上記架橋性官能基としては、例えば、加水分解性シリル基;イソシアネート基;エポキシ基;オキセタニル基;酸無水物基;カルボキシル基;水酸基;(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の重合性不飽和炭化水素基等があげられ、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基又はスチリル基が好ましい。
【0018】
上記加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、「MSポリマーS−903」、「エピオンEP−103S」、「エピオンEP−303S」、「エピオンEP−505S」、「サイリルSAT−200」、「サイリルMA−403」、「サイリルMA−447」、旭硝子社製の商品名「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3630」、チッソ社製の商品名「(N−トリメトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキサイドウレタンPS077」等が挙げられる。
【0019】
上記イソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、TDI、MDI等のジイソシアネートとポリプロピレングリコールとを、イソシアネートモル量を水酸基モル量より多めにした条件下でウレタン化反応することにより得られる。
【0020】
上記エポキシ基を有するポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、共栄化学社製、商品名「エポライト」シリーズ等が挙げられる。
【0021】
上記(メタ)アクリロイル基又はスチリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、α、ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレングリコール、α、ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール、α−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレングリコール、α−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0022】
又、市販されている(メタ)アクリロイル基又はスチリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、日本油脂社製の商品名「ブレンマー」シリーズ、新中村化学社製の商品名「NKエステルM」シリーズ、「NKエステルAMP」シリーズ、「NKエステルPEB」シリーズ、「NKエステルA」シリーズ、「NKエステルAPG」シリーズ、東亜合成社製の商品名「アロニックスM−240」、「アロニックスM−245」、「アロニックスM−260」、「アロニックスM−270」、第一工業社製の商品名「PE」シリーズ、「BPE」シリーズ、「BPP」シリーズ、共栄化学社製の商品名「ライトエステル4EG」、「ライトエステル9EG」、「ライトエステル14EG」、「ライトアクリレートMTG−A」、「ライトアクリレートDPM−A」、「ライトアクリレートP−200A」、「ライトアクリレート9EG」、「ライトアクリレートBP−EPA」等が挙げられる。
【0023】
上記架橋性官能基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン樹脂が有する架橋性官能基と反応して、架橋樹脂中に取り込まれる架橋剤(以下、「架橋剤(1)」と言う。)、ポリオキシアルキレン樹脂が有する架橋性官能基同士を反応させる触媒としての作用を有する架橋剤(以下、「架橋剤(2)」と言う。)、上記架橋剤(1)と架橋剤(2)の両方の作用を有する架橋剤(以下、「架橋剤(3)」と言う。)が挙げられる。
【0024】
上記架橋剤(1)としては、例えば、下記の架橋剤が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、水酸基を複数有する化合物、アミノ基を複数有する化合物等の活性水素を複数有する
化合物が挙げられる。
【0025】
上記水酸基を複数有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0026】
上記アミノ基を複数有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、α、ω−ジアミノプロピレングリコール等が挙げられる。
【0027】
又、オキセタニル基を有するポリオキシアルキレン樹脂の架橋する架橋剤としては、例えば、紫外線や可視光線によって酸が発生する光カチオン開始剤、熱によって酸が発生する熱カチオン開始剤等が挙げられる。
【0028】
上記架橋剤(2)としては、例えば、下記の架橋剤が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤、紫外線や可視光線によって酸が発生する光カチオン開始剤、有機金属化合物、アミン系化合物、酸性燐酸エステル、テトラアルキルアンモニウムハライド(ハライド:フルオリド、クロライド、ブロマイド、ヨウダイト)、カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸等が挙げられ、一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤が好ましい。
【0029】
O Yn-2
‖ | ‖ (1)
−C−X − C−
(式中、Xは周期律表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、Yは水素、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基、nはXの価数を示す。)
【0030】
式中、Xは周期律表のIVB族、VB族又はVIB族の原子であり、例えば、酸素、硫黄、窒素、リン、炭素等が挙げられる。nはXの価数であり、Xが酸素の場合は2、炭素の場合は4である。
【0031】
Yは水素、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を示し、上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族系炭化水素基、不飽和脂肪族系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。これら炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、エステル基、重合性不飽和基等の置換基を有していてもよい。
【0032】
上記一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤は、環状化合物であってもよい。環状化合物としては、例えば、環状鎖の中に1個又は2個以上の同種又は異種の上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物が挙げられる。又、複数の同種又は異種の上記環状化合物を適当な有機基で結合した化合物や、複数の同種又は異種の上記環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物が挙げられる。
【0033】
上記Xが酸素である一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤としては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パル
ミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、(メタ)アクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物などの酸無水物や、マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテルなどとの共重合体等が挙げられる。これらの光反応性架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0034】
又、上記光反応性架橋剤の市販品としては、例えば、旭電化工業社製の商品名「アデカハードナーEH−700」、「アデカハードナーEH−703」、「アデカハードナーEH−705A」、新日本理化社製の商品名「リカシッドTH」、「リカシッドHT−1」、「リカシッドHH」、「リカシッドMH−700」、「リカシッドMH−700H」、「リカシッドMH」、「リカシッドSH」、「リカレジンTMEG」、日立化成社製の商品名「HN−5000」、「HN−2000」、油化シェルエポキシ社製の商品名「エピキュア134A」、「エピキュアYH306」、「エピキュアYH307」、「エピキュアYH308H」、住友化学工業社製の商品名「スミキュアーMS」等が挙げられる。
【0035】
上記Xが窒素である一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤としては、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、α−メチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等や、N−アルキルマレイミドとラジカル重合性二重結合を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテルなどとの共重合体等が挙げられる。これらの光反応性架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0036】
上記Xがリンである一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤としては、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光反応性架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0037】
上記Xが炭素である一般式(1)で示される官能基を有する光反応性架橋剤としては、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル−1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸などのポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトナート、エチルアセチルアセトナート、メチルプロピオニルアセテートなどのα−カルボニル酢酸エステル類等が挙げられる。これらの光反応性架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】
上記光反応性架橋剤の中で、ジアシルフォスフィンオキシド及びその誘導体は加熱した際に消滅し残渣が極めて少ないので好適に用いられる。
【0039】
上記光反応性架橋剤の添加量は、少なくなると加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂の架橋が進まず、多くなると加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂の光透過性が低下し、表面のみが架橋し、内部が架橋しなくなるので、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂100重量部に対し0.01〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
【0040】
上記有機金属化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイドなどの錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネートなどのチタニウム化合物等が挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0041】
上記有機金属化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜8重量部である。
【0042】
上記エポキシ基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、紫外線や可視光線により酸が発生する光カチオン開始剤、熱により酸が発生する熱カチオン開始剤、アミン化合物系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプト系硬化剤、ケチミンやDICY等の熱潜在性硬化剤、カルバモイルオキシイミノ基等を有する光アミン発生剤等が挙げられる。
【0043】
上記光カチオン開始剤としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、オニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シラノール塩、トリクロロメチルトリアジン誘導体等が挙げられる。
【0044】
上記オニウム塩やピリジニウム塩の対アニオンとしては、例えば、SbF6 - 、PF6 - 、AsF6 - 、BF4 - 、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等が挙げられる。
【0045】
又、上記光カチオン開始剤の市販品としては、例えば、チバガイギー社製の商品名「イルガキュアー261」、旭電化社製の商品名「オプトマーSP−150」、「オプトマー
SP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」、ゼネラルエレクトロニクス社製の商品名「UVE−1014」、サートマー社製の商品名「CD−1012」、三新化学工業社製の商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、日本曹達社製の商品名「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、ローヌ・プーラン社製の商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」、ユニオンカーバイド社製の商品名「UVI−6990」、ミドリ化学社製の商品名「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」等が挙げられる。これらの光カチオン開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
上記熱カチオン開始剤としては、例えば、アルキル基を少なくとも1個有するアンモニウム塩、スルホニウム塩、ヨウドニウム塩、ジアゾニウム塩、三フッ化ホウ素・トリエチルアミン錯体等が挙げられる。
【0047】
これら熱カチオン開始剤の対アニオンとしては、例えば、SbF6 - 、PF6 - 、AsF6 - 、BF4 - 、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等が挙げられる。
【0048】
上記カルバモイルオキシイミノ基等を有する光アミン発生剤としては、例えば、カルバモイルオキシイミノ基を有する化合物、コバルトアミン錯体、カルバミン酸−o−ニトロベンジル、o−アシルオキシム等が挙げられる。
【0049】
上記重合性不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物等の熱ラジカル開始剤;紫外線、可視光線による光ラジカル開始剤;熱又は光ラジカル開始剤とメルカプト基を複数有する化合物を組み合わせた開始剤等が挙げられる。
【0050】
上記熱ラジカル開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;ケトンパーオキサイド類;パーオキシケタール類;ジアシルパーオキサイド類;パーオキシジカーボネート類;パーオキシエステル類等の有機過酸化物や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらの熱ラジカル開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
上記光ラジカル開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α−α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体;ハロゲン化ケトン、アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナート、2−メチル−1−[
4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロー3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。これらの熱ラジカル開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0052】
上記架橋剤(3)としては、例えば、α,ω−ジアミノポリオキシプロピレン等が挙げられる。
【0053】
本発明で使用される加熱消滅性材料を形成する熱可塑性樹脂は、上記ポリオキシアルキレン樹脂が好ましいが、ポリオキシアルキレン樹脂は未架橋であってよいし、架橋されていてもよい。
【0054】
又、未架橋のポリオキシアルキレン樹脂と上記架橋剤との樹脂組成物であってもよい。未架橋のポリオキシアルキレン樹脂と上記架橋剤との樹脂組成物の場合は、製造工程の製造に最も適した時点で架橋すればよいが、樹脂組成物を型の表面に積層する前又は積層した後に架橋するのが好ましい。
【0055】
本発明で使用される加熱消滅性材料として、加水分解性シリル基を有する樹脂と前記一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤よりなる樹脂組成物又はその架橋された樹脂組成物が好適に使用できる。
【0056】
上記加水分解性シリル基を有する樹脂としては、前述の加水分解性シリル基を有していれば、特に限定されず、例えば、エステル結合を有するポリエステル樹脂、アミド結合を有するポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシロキサン樹脂、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂などのポリマーや、これらのコポリマー等に加水分解性シリル基を含有させた化合物が挙げられる。加水分解性シリル基は、上記ポリマーやコポリマーの末端に位置していても良いし、側鎖に位置していても良いし、末端および側鎖に位置していても良い。
【0057】
上記加水分解性シリル基を有する樹脂としては、例えば、チッソ社製の商品名「アセトキシ末端ポリジメチルシロキサンPS363.5」、「ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサンPS383」、「エトキシ末端ポリジメチルシロキサンPS393」、「ステアリロキシ末端ポリジメチルシロキサンPS053.5」、「トリエトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)PS078.5」、「(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリアザミドPS075」、「(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンPS076」等が挙げられる。
【0058】
一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤は前述したとおりである。
【0059】
上記一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤の添加量は、少なくなると加水分解性シリル基を有する樹脂の架橋が進まず、多くなると加水分解性シリル基を有す
る樹脂の光透過性が低下し、表面のみが架橋し、内部が架橋しなくなるので、加水分解性シリル基を有する樹脂100重量部に対し0.01〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重慮部である。
【0060】
加水分解性シリル基を有する樹脂と前記一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤よりなる樹脂組成物の場合は、製造工程の製造に最も適した時点で架橋すればよいが、例えば、樹脂組成物を型の表面に積層する前又は積層した後に架橋するのが好ましい。
【0061】
本発明で使用される加熱消滅性材料は、消滅速度、消滅温度等を制御するために、分解促進剤、分解遅延剤等を含有していてもよい。
【0062】
上記分解促進剤としては、加熱消滅性組成物を加熱した際に加熱消滅性組成物の分解を促進しうるものであれば特に限定されず、例えば、無機過酸化物;有機過酸化物;硫酸鉄、硝酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト等の重金属化合物、蓚酸、リノレイン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類;ハイドロキノン、酸化錫等が挙げられる。
【0063】
上記無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸カリウム等が挙げられる。
【0064】
上記有機過酸化物としては、10時間半減期温度が100℃以上のものが好ましく、例えば、P−メンタンハイドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロキシパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド等のハイドロキシパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパ−オキシ−3,5、5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
【0065】
分解促進剤を加熱消滅性材料に添加すると、加熱消滅性材料の分解が促進されるが、分解促進剤として上記無機過酸化物又は有機過酸化物を添加すると、加熱消滅性材料の分解残渣である炭化物の発生を抑止できるので好ましく、有機過酸化物は灰分残渣の発生も抑止できるのでより好ましい。
【0066】
上記分解遅延剤としては、加熱消滅性材料を加熱した際に加熱消滅性材料の分解を遅延しうるものであれば特に限定されず、例えば、メルカプト化合物、アミン化合物、有機錫、有機ホウ素等が挙げられる。
【0067】
上記メルカプト化合物としては、例えば、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、ドデカンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、1,3−プロパンジチオール等が挙げられる。
【0068】
上記アミン化合物としては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、メチルアニリン等が挙げられる。
【0069】
上記有機錫としては、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビス(2,4−ペンタンジオン)、ジラウリル錫ジラウレート等が挙げられる。
【0070】
上記有機ホウ素としては、例えば、トリメチルボレート、トリプロピルボレート、トリブチルボレート、トリメトキシボロキシン、トリメチレンボレート等が挙げられる。
【0071】
上記分解促進剤及び分解遅延剤の添加量は、特に限定されるものではなく、使用形態に応じて適宜決定されればよいが、一般に、加熱消滅性材料100重量部に対し0.1〜10重量部である。
【0072】
本発明で使用される導電性金属ナノ粒子は、微細パターンを形成するのであるから導電性が優れている金属が好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム及びこれらの合金が挙げられる。
【0073】
本発明で使用される導電性金属ナノ粒子の平均粒子径は、微細パターンを形成するのであるから細かいほうが好ましく、1〜100nmが好ましく、より好ましくは2〜10nmである。
【0074】
本発明で使用される加熱消滅性組成物は、上記加熱消滅性材料と導電性金属ナノ粒子よりなるが、導電性金属ナノ粒子の添加量が少なくなると、微細パターンに充分な導電性を付与するために多量の加熱消滅性組成物を基材に積層しなければならなくなり、微細なパターンを形成できなくなる。
【0075】
又、導電性金属ナノ粒子の添加量が多くなると、リバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物を基材に精密に転写することが困難になる。従って、導電性金属ナノ粒子の添加量は加熱消滅性材料100重量部に対し5〜100重量部が好ましく、より好ましくは10〜80重量部である。
【0076】
上記加熱消滅性組成物は、型表面にスピンコート法により均一に塗布積層されるのが好ましいので、加熱消滅性組成物が固体又は粘度が高い場合は有機溶剤に溶解され溶液となされるのが好ましい。
【0077】
上記有機溶剤としては、加熱消滅性組成物を均一に溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンゼン、キシレン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メシチレン、ジフェニルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0078】
上記加熱消滅性組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、増粘剤、物性調整剤、増量剤、有機金属化合物、チキソトロ−プ剤、可塑剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等が添加されていてもよいが、加熱により消滅しないものはなるべく添加しないか、添加量を少量にするのが好ましい。
【0079】
上記増粘剤は、加熱消滅性組成物との相溶性の良い高分子化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリオレフィン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブテン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等や、これらの共重合体や官能基変性体等が挙げられる。
【0080】
上記物性調整剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミンなどのシランカップリング剤や、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。
【0081】
上記増量剤としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、珪酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機充填剤が挙げられる
【0082】
上記有機金属化合物としては、例えば、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネートなどのチタニウム化合物、ゲルマニウム、鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウムなどの金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物等が挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0083】
上記チキソトロープ剤としては、前記ガス発生性樹脂組成物に親和性の高い表面を有する物質が好ましく、例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。これらのチキソトロープ剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0084】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類;グリセリンモノオレイル酸エステルなどの脂肪酸−塩基酸エステル類;アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類;ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0085】
本発明の最初の工程は、上記熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性材料と導電性金属ナノ粒子よりなる加熱消滅性組成物を、所定の微細パターンが形成されている型に塗布し、加熱消滅性組成物層を形成する工程である。
【0086】
上記型は、所定微細パターンが形成されている。微細パターンの形成方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、微細パターンを形成するのであるから、レーザー光線加工や半導体の製造の際に使用されている光リソグラフィ、電子線リソグラフィ等の方法で形成されるのが好ましい。
【0087】
上記型の素材は、加熱消滅性組成物を転写する際の温度で変形しない基材であれば特に限定されず、例えば、従来から使用されている、ガラス、石英、シリコン等の無機材料、金属、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。又、これらの素材は積層されてもよい。
【0088】
上記無機材料は精度、加工性等が優れており、例えば、半導体微細加工技術において広く用いられている光リソグラフィー技術を利用すれば、ガラスやシリコン基板上にミクロンオーダーの溝を自在に形成することができるので好ましい。
【0089】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、耐酸性、耐アルカリ性を有する熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリアクリル系樹脂が好ましい。
【0090】
又、熱硬化性樹脂は、前駆体が液状のため、転写金型の形状をより忠実に転写するという利点があり微細パターンを形成し易く、耐熱性が優れており、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すので有利に用いることができる。このような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性の点から、エポキシ樹脂を有利に用いることができる。
【0091】
リバーサルインプリント法により、微細パターンに応じた加熱消滅性組成物層を基材上に転写するには、加熱消滅性組成物層は均一で薄層であることが好ましいので、加熱消滅性組成物を所定の微細パターンが形成されている型に塗布する方法は、スピンコート法が好ましい。加熱消滅性組成物層が有機溶剤を含む場合は、塗布後乾燥する。
【0092】
加熱消滅性組成物層の厚さは、微細パターンの大きさにより適宜決定されればよいが、配線幅及び配線間隔が10μm以下の微細な配線パターンを得るには40μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。
【0093】
尚、加熱消滅性組成物が未架橋の場合は、上記の通り、加熱消滅性組成物層が型に積層された後に加熱又は光照射することにより、架橋されればよい。尚、熱で架橋する場合は、加熱消滅性組成物が分解しない温度範囲で加熱する必要がある。
【0094】
又、光照射する光源としては、特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、発光ダイオード(LED)、全固体レーザー、エキシマレーザー、冷陰極線管、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられても良いし、2種類以上が組み合わされて用いられても良い。
【0095】
本発明の第2の工程は、リバーサルインプリント法により、微細パターンに応じた加熱消滅性組成物層を基材上に転写する工程である。
【0096】
上記基材の素材は、加熱消滅性組成物を加熱消滅させる際の温度で変形しない基材であれば特に限定されず、例えば、従来から使用されている、ガラス、石英、シリコン等の無
機材料、金属、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。又、これらの素材は積層されてもよい。
【0097】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、耐酸性、耐アルカリ性を有する熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリアクリル系樹脂が好ましい。
【0098】
又、熱硬化性樹脂は、耐熱性が優れており、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すので有利に用いることができる。このような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性の点から、エポキシ樹脂を有利に用いることができる。
【0099】
上記リバーサルインプリント法は、所定の微細パターンが穿設されている表面に、加熱消滅性組成物層が積層された型を、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度で基材にプレスして、所定微細パターンの加熱消滅性組成物層を基材に転写するプリント方法である。
【0100】
次に、リバーサルインプリント法を図面を参照して説明する。図1は、微細所定のパターンが形成されている表面に、熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性組成物が積層された状態の一例を示す断面図であり、図2は、加熱消滅性組成物層が転写された状態の一例を示す断面図である。
【0101】
図中1は、所定の微細パターンが形成された型である。型1には凸部11と凹部12が形成されて微細パターンが形成されているが、パターンは凸部11の部分である。図中2はスピンコート法で塗布積層された加熱消滅性組成物層であり、3は基材である。
【0102】
リバーサルインプリント法では、加熱消滅性組成物層が積層された型を、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度で基材にプレスして、基材上に所定パターンの加熱消滅性組成物層を転写する。
【0103】
プレス温度は、型1の表面に形成されたパターン(型1の凸部11)上の加熱消滅性組成物を転写するのであるから、加熱消滅性組成物を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度である。
【0104】
プレス温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高くなると、加熱消滅性組成物層全体が転写してしまい、逆に温度が低くなると転写しなくなるので、プレス温度はガラス転移温度−30℃〜ガラス転移温度の範囲が好ましい。
【0105】
又、プレス圧力は、低くなると転写せず、高くなると加熱消滅性組成物層が変形して精密な転写ができなくなったり、加熱消滅性組成物層全体が転写するので、1〜40MPaが好ましく、より好ましくは10〜30MPaである。
【0106】
リバーサルインプリント法で加熱消滅性組成物層を転写すると、図2に示したように、型1の凹部12上の加熱消滅性組成物はそのまま型1に残り、型1の凸部11上の加熱消滅性組成物が基材3に転写され、転写された加熱消滅性組成物21により型1に形成されていた微細パターンが基材3上に形成される。リバーサルインプリント法により形成される微細パターンは、約200nmまで微細にできる。
【0107】
本発明の第3の工程は、加熱して加熱消滅性材料を除去し、基材に導電性微細パターンを形成する工程である。
【0108】
上記加熱消滅性組成物は、酸素雰囲気下では150〜300℃の所定温度で加熱することにより、10分以内にガスを発生して消滅する。又、嫌気性雰囲気下では150〜350℃の所定温度で加熱することにより、10分以内に、減圧すると5分以内にガスを発生して消滅する。即ち、加熱して加熱消滅性組成物を消滅することにより除去し、加熱消滅性組成物層が存在したところに導電性微細パターンが形成される。
【0109】
一般に、平均粒子径が数nm〜数十nmの金属微粒子は、その融点よりもかなり低い温度(例えば、銀は200℃)で焼結するので、加熱消滅性組成物の消滅と金属微粒子の焼結を同工程で行ってもよいし、低温部で加熱消滅性組成物を消滅した後、高温にして金属微粒子の焼結を行ってもよい。
【発明の効果】
【0110】
本発明の導電性微細パターンの製造方法の構成は上述の通りであり、配線幅及び配線間隔が10μm以下の微細な配線パターンを容易に精度よく均一に且つ再現性よく得ることのできる。
【0111】
更に、本発明においては、リバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物を基材上に転写するのであるから、型に形成されたパターンを精度よく多数基材上に転写することができ大量生産に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0112】
次に、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0113】
(実施例1)
ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(四日市合成社製、商品名「PTMG#650−EDP」)70重量部、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学社製、PTMG1000)30重量部、光カチオン開始剤(旭電化製、商品名「SP−170」)5重量部、及び平均粒子径3nmの銀粒子分散液(銀粒子35重量部、ドデシルアミン7重量部及びトルエン58重量部よりなる分散液)100重量部を、遮光下、50℃でビーカー中で混合して加熱消滅性組成物を得た。
【0114】
シリコンウエハーよりなり、光リソグラフィーにより表面に幅2μm、深さ2μmの凹条が3μm間隔に穿設されている型の表面に、得られた加熱消滅性組成物をスピンコート法により厚さが1μmになるように塗布した後、70℃で風乾した。
【0115】
次に、高圧水銀灯を用いて365nmの紫外線を、照射強度40mW/cm2 で60秒間照射して、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを連鎖反応させて加熱消滅性組成物層が積層されている型を得た。尚、光反応後ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルのガラス転移温度は40℃であった。
【0116】
基材であるシリコンウエハーに、得られた型を当接し、圧力20MPa、加熱温度40℃でリバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物層を基材上に転写した。
転写後、250℃で15秒間加熱したところ加熱消滅性組成物層が消滅し、配線幅及び配線間隔が幅2μmの銀の微細パターンが積層されたシリコンウエハーが得られた。得られた微細パターンの体積抵抗率は46μΩ・cmであった。
【0117】
(実施例2)
ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(四日市合成社製、商品名「PT
MG#650−EDP」)70重量部、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学社製、PTMG1000)30重量部と光カチオン開始剤(旭電化製、商品名「SP−170」)3重量部及び平均粒子径3nmの銀粒子分散液(銀粒子35重量部、ドデシルアミン7重量部及びトルエン58重量部よりなる分散液)100重量部を、遮光下、50℃でビーカー中で混合した後、室温まで冷却し、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3, 3, 5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂社製、商品名「パーヘキサTMH」)3重量部を添加混合して加熱消滅性組成物を得た。
【0118】
得られた加熱消滅性組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして、シリコンウエハーよりなる型に塗布し、架橋して加熱消滅性組成物層が積層されている型を得た。尚、架橋したアルコキシシリル変性ポリプロピレングリコールのガラス転移温度は40℃であった。
【0119】
基材であるシリコンウエハーに、得られた型を当接し、圧力20MPa、加熱温度40℃でリバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物層を基材上に転写した。
転写後、250℃で15秒間加熱したところ加熱消滅性組成物層が消滅し、配線幅及び配線間隔が幅2μmの銀の微細パターンが積層されたシリコンウエハーが得られた。得られた微細パターンの体積抵抗率は49μΩ・cmであった。
【0120】
(実施例3)
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂社製、商品名「ブレンマーPP1000」)98重量部、ポリプロピレングリコールジアクリレート(東亜合成社製、商品名「アロニックスM270」)2重量部、ジアシルフォスフィンオキシド(チバスペシャルティーケミカル社製、商品名「イルガキュアー819」)1重量部及び平均粒子径3nmの銀粒子分散液(銀粒子35重量部、ドデシルアミン7重量部及びトルエン58重量部よりなる分散液)100重量部をビーカー中で混合し、窒素ガスで10分間バルブすることにより溶存酸素を除去して加熱消滅性組成物を得た。
【0121】
得られた加熱消滅性組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして、シリコンウエハーよりなる型に塗布し、架橋して加熱消滅性組成物層が積層されている型を得た。尚、架橋した加熱消滅性組成物のガラス転移温度は30℃であった。
【0122】
基材であるシリコンウエハーに、得られた型を当接し、圧力20MPa、加熱温度30℃でリバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物層を基材上に転写した。
転写後、250℃で25秒間加熱したところ加熱消滅性組成物層が消滅し、配線幅及び配線間隔が幅2μmの銀の微細パターンが積層されたシリコンウエハーが得られた。得られた微細パターンの体積抵抗率は49μΩ・cmであった。
【0123】
(実施例4)
クメンヒドロキシパーオキサイド2重量部を添加した以外は実施例1で行ったと同様にして、加熱消滅性組成物を得た。得られた加熱消滅性組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして、シリコンウエハーよりなる型に塗布し、架橋して加熱消滅性組成物層が積層されている型を得た。尚、架橋した加熱消滅性組成物のガラス転移温度は40℃であった。
【0124】
基材であるシリコンウエハーに、得られた型を当接し、圧力20MPa、加熱温度40℃でリバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物層を基材上に転写した。
転写後、250℃で12秒間加熱したところ加熱消滅性組成物層が消滅し、配線幅及び配線間隔が幅2μmの銀の微細パターンが積層されたシリコンウエハーが得られた。得られた微細パターンの体積抵抗率は39μΩ・cmであった。
【0125】
(実施例5)
ドデシルメルカプタン3重量部を添加した以外は実施例1で行ったと同様にして、加熱消滅性組成物を得た。得られた加熱消滅性組成物を用いて、実施例1で行ったと同様にして、シリコンウエハーよりなる型に塗布し、架橋して加熱消滅性組成物層が積層されている型を得た。尚、架橋した加熱消滅性組成物のガラス転移温度は40℃であった。
【0126】
基材であるシリコンウエハーに、得られた型を当接し、圧力20MPa、加熱温度40℃でリバーサルインプリント法により加熱消滅性組成物層を基材上に転写した。
転写後、250℃で30秒間加熱したところ加熱消滅性組成物層が消滅し、配線幅及び配線間隔が幅2μmの銀の微細パターンが積層されたシリコンウエハーが得られた。得られた微細パターンの体積抵抗率は76μΩ・cmであった。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】所定の微細パターンが形成されている表面に、熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性組成物が積層された状態の一例を示す断面図である。
【図2】加熱消滅性組成物層が転写された状態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 型
11 凸部
12 凹部
2 加熱消滅性組成物層
21 加熱消滅性組成物
3 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を主体とする加熱消滅性材料と導電性金属ナノ粒子よりなる加熱消滅性組成物を、所定の微細パターンが形成されている型に塗布し、加熱消滅性組成物層を積層する工程、リバーサルインプリント法により、微細パターンに応じた加熱消滅性組成物層を基材上に転写する工程及び加熱して加熱消滅性材料を除去し、基材に導電性微細パターンを形成する工程からなることを特徴とする導電性微細パターンの製造方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂が、酸素含有量が15〜55重量%のポリオキシアルキレン樹脂よりなることを特徴とする請求項1記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン樹脂の数平均分子量が500〜500万であることを特徴とする請求項2記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン樹脂が、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基及びスチリル基よりなる群から選ばれた官能基を有することを特徴とする請求項2又は3記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項5】
加熱消滅性材料が、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基及びスチリル基よりなる群から選ばれた官能基を有するポリオキシアルキレン樹脂と架橋剤よりなる樹脂組成物又はその架橋された樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項6】
架橋剤が、一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤であることを特徴とする請求項5記載の導電性微細パターンの製造方法。
O Yn-2
‖ | ‖ (1)
−C−X − C−
(式中、Xは周期律表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、Yは水素、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基、nはXの価数を示す。)
【請求項7】
加熱消滅性材料が、加水分解性シリル基を有する樹脂と一般式(1)で表される官能基を有する光反応性架橋剤よりなる樹脂組成物又はその架橋された樹脂組成物よりなることを特徴とする請求項1記載の導電性微細パターンの製造方法。
O Yn-2
‖ | ‖ (1)
−C−X − C−
(式中、Xは周期律表のIVB族、VB族又はVIB族の原子、Yは水素、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基、nはXの価数を示す。)
【請求項8】
加熱消滅性材料が、熱分解促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項9】
熱分解促進剤が、無機過酸化物又は有機過酸化物であることを特徴とする請求項8記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項10】
加熱消滅性材料が、熱分解遅延剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項11】
熱分解遅延剤が、メルカプト化合物、アミン化合物、有機錫又は有機ホウ素であることを特徴とする請求項10記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項12】
導電性金属ナノ粒子の平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項13】
導電性金属ナノ粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム又はこれら金属の合金からなるナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項14】
リバーサルインプリント法が、所定の微細パターンが形成されている表面に、加熱消滅性組成物層が積層された型を、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度で基材にプレスして、所定微細パターンの加熱消滅性組成物層を基材に転写する方法であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項15】
加熱消滅性組成物が溶剤溶液であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項16】
加熱消滅性組成物の積層方法が、スピンコート法であることを特徴とする請求項14又は15記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項17】
プレス温度が、熱可塑性樹脂のガラス転移温度−30℃〜ガラス転移温度であることを特徴とする請求項14、15又は16記載の導電性微細パターンの製造方法。
【請求項18】
プレス圧力が、1〜40MPaであることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項記載の導電性微細パターンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−173277(P2006−173277A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361922(P2004−361922)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】