説明

小規模施設用医用画像表示システム

【課題】新たなシステム構築を必要とせず、小規模施設においても電子化されている、画像データと患者情報との対応付けを利用することにより、特に患者への治癒動向説明等に有効な、医用画像を表示させることのできる小規模施設用医用画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像生成装置2と、患者情報を入力する入力部34と、撮影画像、及び/又は、前記付加情報、を表示可能な表示部35と、を備え、CPU31が撮影画像に対して付加する付加情報を生成するとともに、撮影画像の画像データと当該撮影画像に対応する付加情報とを患者情報と対応付け、撮影画像の画像データと付加情報と患者情報とを対応付けられた状態で記憶部33に記憶させて、記憶されている付加情報の中から、患者情報に基づいて所望の付加情報を選択し、撮影画像に重畳して表示するように表示部35を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模施設用医用画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、来院した患者を、CR装置等の画像生成装置を用いて、技師が検査対象である患者を撮影し、得られた医用画像(医療用の撮影画像)が診断に提供可能となるよう階調処理等の画像処理を加えた上で、診察室に設置されたコンピュータ等の表示部に医用画像を表示させ、医師による読影や診断に供する医用画像表示システムが知られている。
【0003】
このような医用画像表示システムにおいては、表示装置に表示された医用画像に対して、病変箇所等を示す矢印や説明、コメント等の付加情報(アノテーション)を付加する技術が知られている。医用画像にアノテーションを付加することにより、医師が事後に読影レポート作成等行う際に容易にポイントを理解することができるとともに、医用画像について患者に説明する際にも患者に理解しやすく説明を行うことができる。
【0004】
医用画像にアノテーションを付加するシステムとしては、医用画像に追加されたアノテーションの位置情報やサイズ情報、アノテーションを描画することにより作成されたイメージレポートデータを、医用画像の画像データと対応付けて記憶手段に記憶し、記憶手段から医用画像と同一人体の同一部位を撮影した過去画像のイメージレポートデータを取得して、医用画像のイメージレポートデータとその過去画像のイメージレポートデータとを比較して比較レポートを作成する医用画像読影システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、医用画像と医用画像にアノテーション機能で記述されたコメントとを関連付けてメモリに格納し、コメントに基づいてメモリから医用画像を検索して、検索された医用画像をコメントとともに表示手段に表示する画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このように、読影医が読影を行う際に付加情報を検索キーとして医用画像を検索し、比較症例を抽出することができるので、患者診断精度を上げることができる。
【特許文献1】特開2005−148990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載されているようにコメント等の付加情報に基づいて(付加情報を検索キーとして)医用画像を検索可能なシステムを構築するためには、画像データベースとコメント等の付加情報を格納するデータベースとを備える必要があり、HIS/RISのような基幹システムに対応したネットワークで各装置を相互に連携可能に接続するような比較的大規模なシステムを構築する必要がある。
【0008】
このような大規模なシステムを導入するためには大きな設備投資が必要となるため、開業医やクリニック等の小規模施設において、このようなシステムを適用することは困難である。
【0009】
他方で、開業医やクリニック等の小規模施設では、大規模なシステムを導入しているような大規模施設と異なり、通常一人又は極少人数の医師が診療を行っており、患者数もそれほど多くないことから、付加情報を検索キーとして医用画像を検索しなくても、患者と画像との対応付けさえされていれば所望の画像を適切に探し出すことができる。
【0010】
また、開業医やクリニック等の小規模施設では、紙カルテでの運用がなされていることがほとんどであるが、このような小規模施設でも医用画像等の画像データについては、電子データ化されて記憶手段等に蓄積されており、医用画像をフィルム出力せずに表示手段に表示させて診断を行う施設が多くなっている。このような電子データを活用することができれば、小規模施設でも既存の設備のままで医用画像等の画像データを有効に利用できるようにシステムを運用することが可能である。
【0011】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、新たなシステム構築を必要とせず、小規模施設においても電子化されている、画像データと患者情報との対応付けを利用することにより、特に患者への治癒動向説明等に有効な、医用画像を表示させることのできる小規模施設用医用画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の小規模施設用医用画像表示システムは、検査対象である患者を撮影して前記検査対象の撮影画像の画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された前記撮影画像に対して付加する付加情報を生成する付加情報生成手段と、
前記撮影画像、及び/又は、前記付加情報、を表示可能な表示手段と、
患者を特定する患者情報を入力する患者情報入力手段と、
前記画像生成手段で生成された撮影画像の画像データと、当該撮影画像に対応するものとして前記付加情報生成手段で生成された付加情報と、を、前記患者情報入力手段により入力された患者情報と対応付ける対応付け手段と、
前記対応付け手段により対応付けられた撮影画像の画像データ及び付加情報と、患者情報と、を対応付けられた状態で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された付加情報の中から、前記患者情報に基づいて、所望の前記付加情報を選択する付加情報選択手段と、
前記付加情報選択手段により選択された付加情報を、撮影画像に重畳して表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の小規模施設用医用画像表示システムにおいて、前記表示制御手段は、
同一の患者情報が対応付けられた撮影画像の画像データが複数あるときに、前記付加情報選択手段により選択された付加情報を、当該付加情報と対応付けられた撮影画像に重畳して前記表示手段に表示した後、当該撮影画像を当該撮影画像と同一の患者情報が対応付けられた撮影画像のうち最新の撮影画像に替えて、当該最新の撮影画像に前記付加情報を重畳して前記表示手段に表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の小規模施設用医用画像表示システムにおいて、前記撮影画像と前記付加情報とが重畳された画像を外部に出力する出力手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、撮影画像の画像データ、付加情報を患者情報と対応付けて記憶させる。このため、画像データベースとコメント等の付加情報を格納するデータベースとを備え、HIS/RISのような基幹システムに対応したネットワークで各装置を相互に連携可能に接続するような大規模なシステムを導入していない開業医やクリニック等の小規模施設の場合でも、事後の診療の際には患者情報に基づいて過去の付加情報等を検索、選択することができる。これにより、特別な設備投資を行うことなく、過去に来院している患者の現在の撮影画像に過去の撮影の際に付加した付加情報を重畳して表示させることができ、病変箇所の治療度合い等を比較した上で診断を行ったり、患者に治療の進み具合を説明したりすることが容易となるとの効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、過去に撮影された撮影画像とこれに対応付けられた付加情報とを重畳して表示手段に表示した後、撮影画像だけを最新の撮影画像に替えて表示させることができる。これにより、過去に撮影したときから病変箇所がどのように変化したかや、治療の進み具合等を患者に説明する際に、患者の理解度を深めることができるとともに、治癒状況の説明の透明性が増し、医師と患者の良好な信頼関係を保つ上で有効であるとの効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、必要に応じて撮影画像、付加情報、又は撮影画像に付加情報を重畳した画像を出力手段により外部に出力させることができるので、出力された画像等を紙カルテに挟み込む資料として利用する等、データを有効活用することができるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1から図9を参照しながら本発明に係る小規模施設用医用画像表示システムの一実施形態について説明する。ただし、本発明は図示例のものに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態における小規模施設用医用画像表示システム1のシステム構成を示すものであり、図2は、小規模施設用医用画像表示システム1を適用した場合の各装置の医療施設における配置例を示すものである。
【0020】
小規模施設用医用画像表示システム1は、開業医やクリニック等の比較的小規模の医療施設に適用されるシステムであり、図1に示すように、画像生成装置2である超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR(Computed Radiography)装置2cと、制御装置3と、サーバ4と、レセコン5と、プリンタ8とから構成されており、各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という)7を介してデータの送受信が可能なように接続されている。なお、小規模施設用医用画像表示システム1における各装置の台数は特に限定されないが、システム全体の制御を一箇所に集約して操作者の移動の手間を省くとの観点から、制御装置3は小規模施設用医用画像表示システム1内に1つのみ設けられることが好ましい。
【0021】
病院内の通信方式としては、一般的に、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格が用いられており、LAN接続された各装置間の通信では、DICOM MWM(Modality Worklist Management)やDICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)が用いられる。なお、本実施形態に適用可能な通信方式はこれに限定されない。
【0022】
例えば、開業医やクリニック等のような小規模の医療施設においては、各装置は図2に示すように配置される。
【0023】
すなわち、まず入口10を入ると患者の受付けを行う受付11と待合室12がある。受付11には、窓口担当が配置され、来院した患者が受付11で受付けを行うことにより、当該窓口担当から受付順の受付番号が患者に付与される。このとき、例えば図示しない発券装置等により受付番号が印刷された受付番号札(受付票、又は診察券)等が発行されるようにしてもよい。
【0024】
受付11には、保険点数計算、会計計算を行うレセプト用コンピュータ(以下「レセコン」と称する。)5が設置されている。前記窓口担当は、例えば、患者が受付けを行う際に患者の氏名を聞き取り、レセコン5を介して受付番号と患者氏名との対応付けを入力する。受付時に患者から提示された診察券や健康保険証書等に基づいて患者の性別、生年月日、年齢等を併せて入力してもよい。さらに、窓口担当は、患者の診察終了後にカルテ情報に基づいてレセコン5に保険点数計算に関する情報(以下「レセプト関連情報」と称する。)の必要事項を入力する作業も行う。
【0025】
待合室12の隣には、ドア等を隔てて医師が患者の診察、診断等を行う診察室13が設けられている。例えば診察室13内の診察用のデスク(図示せず)の上には、医師が患者に関する情報(患者情報)等の入力を行ったり、撮影した画像をビューワ表示させて確認することのできる制御装置3と、撮影画像の画像データ等、各種の情報を蓄積する記憶手段としてのサーバ4が配置されている。また、この診察用のデスクの周辺等には、撮影画像等をプリント出力するプリンタ8が設置されている。診察室13内にはまた、プライバシー等の観点から隔離された空間で行う必要性の低い超音波診断装置2aが設置されている。
【0026】
また、廊下14を隔てて診察室13の向かい側にはX線撮影を行うX線撮影室15が設けられている。X線撮影室15内には、撮影装置22と読取装置23とから構成されるCR装置2cが配設されている。さらに、X線撮影室15の隣には検査室16が設けられており、検査室16内には内視鏡装置2bが配設されている。
【0027】
このように、本実施形態において、受付11のある待合室12、診察室13、X線撮影室15、検査室16は、同じフロアに位置しており、診察や撮影、検査を受ける患者は、受付けをして、診察室13に移動し、医師による問診を受け、撮影室15や検査室16に移動し、医師により指示された撮影・検査を行って、再度、診察室13に戻り、生成された撮影画像に基づき、医師の診察、診断を受けるまでの一連の動作を各室内及び廊下14という比較的短い距離を移動するだけで行うことができるようになっている。なお、各部屋及び各装置の配置は、図2に示したものに限定されない。
【0028】
以下、小規模施設用医用画像表示システム1の各装置の構成について説明する。
画像生成装置2は、例えば、超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR装置2c等の、患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、撮影した画像をデジタル変換して撮影画像の画像データ(撮影画像情報)を生成する画像生成手段(モダリティ)である。
【0029】
超音波診断装置2aは、超音波を出力する超音波プローブと、超音波プローブに接続され、超音波プローブで受信された音波(エコー信号)を内部組織の撮影画像の画像データに変換する電子装置とから構成されている(いずれも図示せず)。超音波診断装置2aは、超音波プローブから体内に超音波を送り、体内組織に反射した音波(エコー信号)を再び超音波プローブで受信して、このエコー信号に応じた撮影画像を電子装置によって生成するようになっている。
【0030】
超音波診断装置2aには、アナログ信号からデジタル信号への変換等を行う変換手段(コンバータ)である変換装置21が接続されており、超音波診断装置2aは、変換装置21を介してネットワーク7に接続されている。このように変換装置21を介することにより、ネットワーク7に接続された他の外部機器の規格(例えば通信プロトコル)等に合わない形式のデータが超音波診断装置2aから出力される場合でも適宜変換してネットワーク7に接続された外部機器との間でデータの送受信を行うことができる。
【0031】
変換装置21には、例えば、テンキー、キーボード、タッチパネル等で構成される入力操作部21aが設けられている。入力操作部21aの構成はここに示したものに限定されず、例えば、カードを差し込むことでカードに書き込まれた情報を読み取るカードリーダや、バーコードを読み取るバーコードリーダのようなものでもよい。入力操作部21aは、撮影対象である患者と対応付けられて設定された検索用IDを入力し撮影された撮影画像の画像データに付帯させる情報付帯手段である。
【0032】
ここで検索用IDとは、撮影後に撮影画像を検索する際、検査対象を識別する識別標識となるものであり、例えば、受付けを行ったときに付与される受付番号(患者ID)である。本実施形態における小規模施設用医用画像表示システム1では、予め患者に対するオーダ情報(検査オーダ情報、撮影オーダ情報)を生成、発行せずに、患者の撮影を先行して行い、撮影画像の生成後、医師が患者情報と撮影画像とを対応付けるシステムであり、検索用IDはこの対応付け時に使用されるものである。
【0033】
例えば、入力操作部21aが検索用IDとして受付番号を入力する場合、例えば、レセコン5で付与された受付番号が「00001」である患者を撮影する場合には、入力操作部21aから、患者に対応する検索用IDとして「00001」を入力する。
なお、本実施形態の小規模施設用医用画像表示システムを適用する開業医等の環境が、1日あたりの来院数が10〜40人程度である場合には、診察券(受付番号札)の通し番号は2桁あれば充分であるので、入力操作部21aはこの2桁の数値が入力できればよく、安価なテンキーが好ましい。
なお、以下においては、検索用IDとして受付番号を用いる場合を例として説明するが、後述するように、検索用IDは、受付番号に限定されない。
【0034】
なお、入力操作部21aから入力され撮影画像に付帯される情報は、検索用IDに限定されない。患者の氏名等、患者を識別する各種情報を入力操作部21aから入力するようにしてもよい。当該撮影を行った画像生成装置2に付与されている識別番号や当該撮影が造影剤等を用いない単純撮影か、造影剤を用いた撮影か等の撮影の種類を特定する情報等を入力するようにしてもよい。入力された検索用IDその他の情報はヘッダ情報等の付帯情報として撮影画像の画像データに付帯され、画像データが外部機器に送信されるときにはこれらの情報も画像データと対応付けられて送信される。
【0035】
内視鏡装置2bは、可撓性を有する管の先端部に小型の撮影装置が設けられたものであり(いずれも図示せず)、撮影装置は例えば光学レンズ等で構成される対物光学系と、対物光学系の結像位置に配置された撮像部と、LED(Light Emitting Diode)等で構成され撮像を行うために必要な照明を行う照明部とを備えている(いずれも図示せず)。撮像部は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide
Semiconductor)等の固体撮像素子を備え、光が入射すると光の入射光量に応じた量の電気的な信号へと光電変換する。対物光学系は、照明部により照明された領域を光学レンズで集光し、撮像部が有する固体撮像素子に結像するように構成されており、固体撮像素子に入射した光が光電変換されることにより、電気信号として撮影画像の画像データが出力されるようになっている。
【0036】
CR装置2cを構成する撮影装置22は、図示しない放射線源を有し、検査対象(図示せず)に放射線を照射して静止画像を撮影する。撮影時には前記放射線源から照射される放射線の照射領域内に、例えば放射線エネルギーを蓄積する輝尽性蛍光体シートを備える放射線画像変換プレートが内蔵された放射線画像変換媒体(いずれも図示せず)が配置されるようになっており、放射線源からの照射放射線量に対する検査対象の放射線透過率分布に従った放射線量が放射線画像変換媒体に内設された輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に蓄積し、この輝尽性蛍光体層に検査対象の放射線画像情報を記録する。
【0037】
読取装置23は、検査対象の放射線画像情報が記録された放射線画像変換媒体を装填し、放射線画像変換媒体から検査対象の放射線画像情報を読み取って撮影画像を生成する装置であり、前記制御装置3からの制御信号に基づいて、装置内に装填された放射線画像変換媒体の輝尽性蛍光体シートに励起光を照射し、これによりシートから発光される輝尽光を光電変換し、得られた画像信号をA/D変換して、撮影画像を生成するようになっている。
なお、CR装置2cは撮影装置22と読取装置23とが一体化した一体型の装置であってもよい。
【0038】
なお、図示はしないが、内視鏡装置2b、CR装置2cの読取装置23にも超音波診断装置2aにおける変換装置21の入力操作部21aと同様に撮影の際に画像データに検索用IDを付帯させる内蔵又は外部接続された情報付帯手段が設けられており、生成した撮影画像の画像データに当該患者の検索用IDを付帯させるようになっている。
【0039】
なお、情報付帯手段から入力される検索用IDとしては、前述の入力操作部21aと同様に、例えば、前記受付番号等が使用される。前述のように、本実施形態の小規模施設用医用画像表示システムを適用する開業医等の環境が、1日あたりの来院数が10〜40人程度である場合には、診察券(受付番号札)の通し番号は2桁あれば充分で、情報付帯手段はこの2桁の数値が入力できればよく、安価なテンキーが好ましい。
【0040】
また、変換装置21、内視鏡装置2b及びCR装置2cの読取装置23は、DICOM規格に準じた形式で小規模施設用医用画像表示システム1内の画像データを特定するための個別ID(以下「UID」(Unique ID)と称する。)を生成された画像データに自動的に付与する機能を備えていてもよい。変換装置21、内視鏡装置2b及びCR装置2cの読取装置23がこのような機能を備えている場合には、付与されたUIDは画像データに付帯され、画像データが外部機器に送信されるときにはこれらの情報も画像データと対応付けられて送信される。
【0041】
制御装置3は、例えば診察室13に設置され、医師が画像等を表示させて読影診断等を行うためのワークステーション(PC:Personal Computer)であり、一般的なPCよりも高精細のモニタ(表示部)を備えるものであってもよい。制御装置3は、図3に示すように、CPU31、RAM32、記憶部33、入力部34、表示部35、通信部36等を備えて構成されており、各部はバス37により接続されている。
【0042】
CPU31は、記憶部33に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM32に展開し、展開されたプログラムに従って後述する画像処理や画像処理の完了した撮影画像の画像データと付加情報と患者情報との対応付け処理をはじめとする各種処理を実行するようになっている。
【0043】
記憶部33は、HDD(Hard Disc)や半導体の不揮発性メモリ等により構成される。記憶部33には、前述のように各種プログラムが記憶されているほか、特開H11−85950や特開2001−76141の明細書中に開示されているような撮影部位を識別するための部位識別パラメータ(撮影画像に現われた撮影対象の輪郭、形状等と撮影部位とを対応付けるルックアップテーブル等)及び識別された撮影部位に応じた画像処理を行う画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等が記憶されている。
【0044】
また、記憶部33には、前記各種の画像生成装置2によって生成された撮影画像の画像データが一時的に記憶される一時記憶部331を備えている。なお、画像データに検索用IDや患者情報、撮影の種類に関する情報、撮影を行った画像生成装置2を識別する情報等が付帯しているときは、撮影画像の画像データとこれらの情報とを対応付けて記憶する。その他、記憶部33には、患者の受付順に作成された患者リスト等、制御装置3に送られた各種情報が記憶される。また、本実施形態においては、後述するように、CPU31により対応付けられた撮影画像の画像データ、付加情報、当該撮影画像に対応する患者の患者情報が記憶部33に送られるようになっており、記憶部33は、これら各データを対応付けられた状態で記憶する記憶手段として機能する。
【0045】
入力部34は、例えば図示しないカーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウス等のポインティングデバイス等を備えて構成されており、撮影対象である患者を特定する患者情報である患者氏名等を入力する患者情報入力手段として機能する。また、入力手段34は、撮影画像に付加される付加情報を入力可能となっている。入力部34は、キーボードに対するキー操作やマウス操作等により入力された指示信号をCPU31に出力するようになっている。
【0046】
なお、表示部35の画面上に、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示せず)が形成され、表示部35と入力部34とが一体に構成されるタッチスクリーンとしてもよい。タッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU31に出力するように構成される。この場合には、表示部35は入力部34とともに患者情報入力手段として機能する。
【0047】
ここで、入力部34から入力される患者情報としては、例えば患者の氏名、診察券番号等が挙げられるが、患者情報はここに例示したものに限定されない。また、検索用IDとは、前述のように撮影後に撮影画像を検索する際、検査対象を識別する識別標識となるものであり、例えば受付けを行ったときに付与される受付番号である。なお、本実施形態においては、患者情報として患者氏名を入力する例について説明する。
【0048】
また、付加情報とは、例えば、矢印やコメント等のアノテーション、画像に病変箇所や状態等を書き込むシェーマ等である。付加情報は、具体的には、例えば図4に示すように、撮影画像に対して病変箇所にマークを付したり、病変箇所の位置、大きさ、病状等を書き込むことにより入力される。付加情報の入力は、例えば、前述のように表示部35と入力部34とが一体となってタッチスクリーンが構成されている場合には、医師等が手指やタッチペン等により、表示部35に表示された撮影画像に対して直接付加情報を書き込むことにより行われる。なお、定型的なマークや記載事項については、記憶部33等に保存しておき、付加情報を入力する際には保存されている項目を表示部35に表示させて入力部34により選択可能なように構成してもよい。
【0049】
表示部35は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、後述するように、撮影画像、撮影画像から生成される確定撮影画像、各種の患者情報等を表示する表示手段である。表示部35は、CPU31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。前述のように表示部35の画面上に、タッチパネルを形成し、表示部35と入力部34とが一体となってタッチスクリーンが構成されるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態においては、例えば、医師等が画像生成装置である超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR装置2cから取得した撮影画像を表示するように指示する指示信号を入力部34から入力すると、図5に示すような画像確認画面35bが表示される。
【0051】
図5に示すように、画像確認画面35bには、前記各種の画像生成装置2によって生成された撮影画像を表示するための画像表示欄351と、画像処理条件の調整指示を入力するための画像処理条件調整欄352とが設けられている。また、画像表示欄351には、画像表示欄351の各表示欄に対応して設けられ、各表示欄に表示された撮影画像を確定し、当該撮影画像の画像データを確定後の画像データとして記憶するためのOKボタン353と、各表示欄に表示された撮影画像の画像データの破棄及び再出力を指示するためのNGボタン354と、各撮影画像について患者のどの部位を撮影したものであるかを自動部位認識した結果、判断された撮影部位を表示する撮影部位表示欄355とが配置されている。なお、確定後の撮影画像の画像データを保存した場合には、画像表示欄351の各表示欄に保存済みのマーク等が表示されるようにしてもよい。
【0052】
また、画像確認画面35bには、患者情報として患者氏名を入力、表示する患者氏名欄356が設けられている。なお、本実施形態においては、患者情報の入力、表示欄として患者氏名欄356を設けた場合を例として以下説明するが、患者情報の入力、表示欄はここに例示したものに限定されない。
【0053】
その他、画像確認画面35bには、診断を終了するための診断終了ボタン357や前の表示画面に戻るための戻るボタン358等が設けられている。なお、画像確認画面35bの構成は図5に例示したものに限定されない。例えば、これら以外の表示欄やボタンが設けられていてもよく、前記患者リストに対応した受付番号を表示する欄等が設けられていてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態においては、CPU31から撮影画像に重畳して当該撮影画像に対応する付加情報を表示させるよう指示信号が入力された場合に、表示部35は、撮影画像の画像データに付加情報を重畳し、付加情報が重畳された状態で撮影画像を表示させる(図4参照)。なお、CPU31からの指示信号に従って各種画面、画像を表示させることができ、表示させる内容はここに例示したものに限定されない。CPU31から撮影画像のみ、又は付加情報のみを表示させるよう指示信号が送られたときには、指示信号に従って、図6に示すような撮影画像のみ、又は図7に示すような付加情報のみを表示させる。
【0055】
通信部36は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワーク7に接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。即ち、通信部36は、画像生成装置2によって生成された撮影画像の画像データを受信し、また、必要に応じてサーバ4等の外部装置に画像処理の完了した確定後の撮影画像の画像データを送信するものである。
【0056】
次に、CPU31によって行われる各種処理について説明する。
【0057】
本実施形態において、CPU31は、検索用IDに基づいて、記憶部33の一時記憶部331に記憶された撮影画像の中から特定の患者について撮影された撮影画像だけを抽出するようになっている。すなわち、前述のように、撮影の際には当該撮影の検査対象である患者の患者情報と対応付けられて設定された検索用IDが入力操作部21a等から入力され、この検索用IDは、例えば撮影画像の画像データにヘッダ情報として付帯している。医師等の操作者が、ある検索用IDに対応する撮影画像を抽出するように指示する指示信号を入力部34等から入力すると、CPU31は、記憶部33の一時記憶部331に記憶された撮影画像のうち、当該検索用IDが付帯している撮影画像を検索し抽出して表示部35の画像確認画面35b等に表示する。
【0058】
また、CPU31は、画像生成装置2によって生成され、通信部36によって受信した撮影画像の画像データについて撮影部位に応じた画像処理を行い、診断に適した診断用の撮影画像を生成する画像処理手段として機能する。
具体的には、CPU31は、まず、記憶部33から部位識別パラメータを読み出して画像生成装置2によって生成された撮影画像に現われた撮影対象の輪郭、形状等から撮影部位を識別する部位自動識別処理を行う。撮影画像の部位が識別されると、CPU31は、撮影部位に対応する画像処理パラメータを記憶部33から読み出して、読み出したパラメータに基づいて画像処理条件を決定し、決定した画像処理条件で画像データに画像のコントラストを調整する階調処理、濃度を調整する処理、鮮鋭度を調整する周波数処理等の画像処理を施す。さらに、医師等の操作者が画像処理条件調整欄352から撮影画像の濃度やコントラスト等を調整する入力を行うと、CPU31は、これに応じて撮影画像の画像処理を行う。そして、画像処理が完了してOKボタン353が押下されると、CPU31は、画像処理後の撮影画像の画像データを診断用の撮影画像の画像データとして決定する。
【0059】
さらに、CPU31は、撮影された検査対象を特定する患者情報が入力されたときは、この患者氏名等の患者情報を検索用IDと置き換え、当該患者情報を所定の画像処理後の撮影画像の画像データとを対応付ける。そして、CPU31は、患者情報と対応付けられた撮影画像の画像データを記憶部33又はサーバ4の画像DB41に書込み、記憶させる。
【0060】
また、CPU31は、入力部34からアノテーションやシェーマ等の付加情報が入力されたときは、この付加情報を、撮影画像の画像データとは別のデータとして生成する付加情報生成手段として機能する。例えば、図6、図7に示すように、撮影画像の画像データ(図6参照)及び付加情報(図7参照)は、それぞれ別のレイヤーとして生成される。CPU31は付加情報を生成すると、当該付加情報が付加された撮影画像の画像データと、当該撮影画像に対応する患者の患者情報と対応付ける対応付け手段として機能し、対応付けた撮影画像の画像データ、付加情報、当該撮影画像に対応する患者の患者情報を各データが対応付けられた状態で記憶部33に記憶させるようになっている。なお、CPU31がこれらのデータを記憶させる記憶手段は記憶部33に限定されず、例えば後述するサーバ4の画像DB41に記憶させるようにしてもよい。
【0061】
また、CPU31は、患者情報に基づいて(患者情報を検索キーとして)記憶部33等の記憶手段に記憶されている付加情報の中から、所望の付加情報を選択する付加情報選択手段として機能する。そして、CPU31は、選択した付加情報を撮影画像に重畳して表示するように表示部35に指示信号を出力する表示制御手段として機能する。表示部35は、CPU31からの指示信号に基づいて、選択された付加情報を撮影画像に重畳して表示させるようになっている。
【0062】
さらに、同じ患者が複数回来院して撮影を行った場合には、同一の患者情報が対応付けられた撮影画像の画像データが複数存在する。このような場合には、CPU31は、選択した付加情報を、当該付加情報と対応付けられた撮影画像に重畳して前記表示手段に表示した後、当該撮影画像を、当該撮影画像と同一の患者情報が対応付けられた撮影画像の画像データのうち最新の画像データに入れ替えて(付加情報は替えずに、背景となる撮影画像のみを入れ替えて)、当該最新の撮影画像に付加情報を重畳して表示するように表示部35に指示信号を送るようになっている。
【0063】
なお、このように同一の患者情報が対応付けられた撮影画像の画像データが複数あるときには、各撮影画像に対して付加情報が付加される場合もある。この場合には、付加情報を当該付加情報が生成された順にレイヤー1、レイヤー2・・・レイヤーnというように順次記憶部33等に保存してもよい。なお、付加情報を記憶するときには、患者情報及びデータが生成された日付等を付帯情報として対応付けて記憶することが好ましい。そして、CPU31は、患者情報やデータが生成された日付等に基づいて、各付加情報の中から撮影画像に重畳する所望の付加情報を検索、選択して表示部35に表示させる。
【0064】
次に、サーバ4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、HDD等により構成され各種プログラム等を格納する記憶部、入力部、表示部、ネットワーク7に接続された各装置との間で情報の送受信を行う通信部(いずれも図示せず)等を備えて構成されたコンピュータである。
【0065】
サーバ4は、通信部を介して制御装置3から送信された撮影画像の画像データ等を記憶するデータベースとして画像DB41を備えている。サーバ4は、前記CPUと記憶部に格納されているプログラムと協働して処理を行うことにより、通信部を介して制御装置3から書込み指示された撮影画像の画像データ及びこれに付帯する情報(患者情報等)を対応付けて画像DB41に格納するようになっている。なお、前述のようにCPU31がレセプト関連情報、患者情報等の付帯情報と、撮影画像の画像データとを対応付けて画像DB41に記憶させる場合には、サーバ4の画像DB41が各データを対応付けられた状態で記憶する記憶手段として機能する。
【0066】
また、サーバ4は、制御装置3からの要求に応じて画像DB41を検索し、要求に応じた画像データを読み出して当該画像データとこれに付随する情報とを制御装置3に送信する。
【0067】
また、レセコン5は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory52)、HDD等により構成され各種プログラム等を格納する記憶部53、キーボードやマウス等により構成される入力部54、CRTやLCD等により構成される表示部55、ネットワーク7に接続された各装置との間で情報の送受信を行う通信部56等を備えて構成されたコンピュータであり、各部はバス57により接続されている。
【0068】
レセコン5のCPU51は、入力部54から入力された情報に基づいて保険点数を演算するとともに、受付番号及び患者氏名と当該患者に関するレセプト関連情報とを対応付けてレセプトDB6に記憶させる。
【0069】
レセコン5は、診断後医師からの紙カルテ等に基づいて前記窓口担当等の操作者により入力された患者に関するレセプト関連情報を記憶するレセプトDB(database)6を備えている。 レセプトDB6は、来院した患者に関するレセプト関連情報を患者情報と対応付けて格納するレセプト情報記憶手段として機能するデータベースである。レセプトDB6には、各患者の受付日付、当該受付日において患者に付与された検索用IDである受付番号、患者情報としての患者氏名、同じ受付日付において当該患者について撮影された画像の撮影数、造影剤を用いた撮影の枚数である造影数、撮影を行った画像生成装置2の種類であるモダリティ種別、撮影がどの部位について行われたものかを示す撮影部位、同じ受付日付において当該患者に処方された薬剤の投薬情報等が関連付けられて記憶されている。
【0070】
レセコン5の入力部54は、受付けを行うための画面を表示するよう指示を入力可能であり、受付けを行うための画面を表示するよう指示が入力されると、CPU51が記憶部53に格納されたプログラムと協働して処理を行うことにより、受付入力画面(図示せず)を表示部55に表示させる。受付入力画面に表示される項目は特に限定されないが、例えば受付日付欄、受付番号欄、患者氏名欄等が挙げられる。なお、患者の性別、生年月日、年齢等を入力する欄が設けられていてもよい。また、このうち受付日付欄は、受付番号欄、患者氏名欄等を入力すると当該入力操作を行った日付が自動的に入力されるようになっていてもよい。
【0071】
入力部54は、この表示部55に表示された受付入力画面を介して、新たな来院患者についての各患者に対応し患者を特定可能な識別情報としての受付番号(検索用ID)と患者情報としての患者氏名とを入力可能となっている。なお、前述のように、患者が受付の際に診察券や健康保険証書等を提示した場合には、これらに記載されている患者情報(患者の性別、生年月日、年齢等)を併せて入力するようにしてもよい。レセコン5によってレセコン5の受付入力画面及び入力部54により患者情報入力手段が構成される。入力部54により受付番号及び患者氏名が入力されると、入力が行われた日付(受付日付)とともに、受付番号及び患者氏名がレセプトDB6に記憶される。
【0072】
次に、プリンタ8は、制御装置3から送信された撮影画像の画像データ、付加情報等に基づいて、インクジェット方式、或いは、帯電感光体ドラム上をレーザ走査して静電潜像を形成し、当該潜像をトナーにより現像するいわゆるカールソンプロセスを採用した静電転写方式(以下、レーザ方式と呼ぶ。)で、紙媒体等の記録媒体に画像を印刷して出力する出力手段である。なお、出力手段は、撮影画像、付加情報、又は撮影画像に付加情報が重畳された画像を外部に出力可能なものであればよく、出力手段の構成はここに例示したものに限定されない。
【0073】
次に、本実施形態における小規模施設用医用画像表示システム1の動作について説明する。
【0074】
まず、受付11において来院した患者に対して受付番号が付与され、受付番号札が発行される。窓口担当が患者氏名等の聞き取りを行い、レセコン5の図示しない受付入力画面を介して入力部54から患者IDである受付番号、患者氏名等の患者情報の入力を行う。受付番号及び患者氏名の入力が行われると、レセプトDB6に新規レコードが追加され、受付番号及び患者情報が書込まれる。また、患者を受け付けた旨を制御装置部3に送信する。なお、レセコン5は、患者を受け付けると受付順に患者を列記する患者リストを生成するようにしてもよい。患者リストを生成する場合には、制御装置部3に患者リストを送信し、新たに患者の受け付けをすると、当該患者の患者情報を患者リストに追加して患者リストを更新する。また、患者の診療が終了すると当該患者を患者リストから削除するようにする。
【0075】
受付番号(患者ID)が付与された患者が診察室13に移動すると、医師は、患者に対し問診を行い、実施する撮影、検査を決定する。問診により患部の撮影が必要であると決定された場合には、医師や撮影技師等、撮影を行う撮影実施者は、患者を撮影に用いる画像生成装置2のもとに連れて行き、画像生成装置2の入力操作部から当該患者に付与された検索用IDである受付番号(患者ID)の入力を行う。例えば、画像生成装置2として超音波診断装置2aを用いる場合には、撮影実施者は入力操作部から患者の受付番号(患者ID)を入力する。その後、当該患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、画像生成装置2により撮影画像の画像データが生成される。また、例えば、画像生成装置2としてCR装置2cを用いる場合には、撮影後に撮影実施者は読取装置に設けられた入力部のテンキー等から検索用IDとして患者の受付番号(患者ID)を入力する。なお、予めその日に検査予約をしていた場合には、医師による問診を受けずに受付から直接撮影室15又は検査室16に移動してもよい。
【0076】
なお、ある患者を選択した後、別の患者をさらに選択してもよい。この場合には、選択された患者を順次又は各画像生成装置2を用いて同時並行的に撮影する。この場合でも、画像生成装置での撮影時に、検索用IDとして患者の受付番号(患者ID)が入力されるので、画像データに付帯された受付番号(患者ID)と照合することにより、撮影後に患者と画像データとの対応付けを行うことが可能である。
【0077】
撮影が終了すると、生成された撮影画像の画像データが、入力された検索用ID等の付帯情報が付帯された状態でネットワーク7を介して制御装置3に送られる。なお、緊急時等、受付を経由していない患者を撮影する場合には、受付番号(患者ID)に代えて、予め緊急割込みを示す所定のコード、例えば、「99」のように、普段の撮影時には現われないような番号を検索用IDとして設定しておくことにより、通常のフローと同様に撮影後の画像データを他の画像データと区別して抽出することが可能となる。
【0078】
画像生成装置2から撮影画像の画像データが制御装置3に送られると、CPU31は撮影を行った部位を自動的に識別する。そして、撮影部位を識別すると、CPU31は当該撮影部位に応じた画像処理条件を決定し、撮影画像の画像データについて当該条件に応じた画像処理を行う。画像処理が行われると、撮影画像は画像データに付帯する各種の情報とともに一旦、記憶部33の一時記憶部331に記憶される。
【0079】
撮影又は検査後に医師が患者を診察する際には、医師は制御装置3の入力部34を操作することにより表示部35に図示しない画像検索画面を表示させ、患者の受付番号(患者ID)を確認して患者の受付番号を入力部34から入力する。検索用IDである受付番号(患者ID)を入力すると、CPU31は当該受付番号を検索キーとして、当該患者に対応する画像を記憶部33の一時記憶部331から抽出し、抽出された撮影画像は表示部35の画像確認画面35b(図5参照)に一覧表示される。医師は患者の氏名を聴取して患者情報である患者氏名を患者情報入力欄356から入力する。患者情報入力欄356を介して入力部34から当該患者に関する患者情報の入力が行われると、表示されている撮影画像の画像データの付帯情報として当該入力された患者情報が書込まれる。
【0080】
医師は、画像確認画面35bで撮影画像の画像データを確認し、問題がなければOKボタン353により当該撮影画像を診断用の撮影画像として確定させる。他方、撮影画像の画像処理に問題がある場合には、医師等の操作者は、画像処理条件調整欄352で撮影画像の濃度やコントラスト等の調整を行う。なお、撮影部位に応じた画像処理が適切に行われなかった場合には、画像処理条件調整欄352で行った撮影画像の濃度やコントラスト等の調整を画像処理パラメータに反映させてパラメータの補正を行うようにしてもよい。また、各表示欄に表示された撮影画像が不鮮明である等、濃度やコントラスト等の調整のみでは調整できない場合には、撮影画像の画像データの破棄及び再出力を指示するためのNGボタン354を操作して当該撮影画像の画像データを破棄し画像生成装置2から画像データを再出力させる。
【0081】
医師は撮影画像の画像データを確定した後、当該撮影画像を見ながら診断を行い、病変箇所等にアノテーション、シェーマ等の付加情報を書き込み入力する。付加情報が入力されるとCPU31は当該付加情報のデータを撮影画像の画像データとは別のレイヤーとして生成し、撮影画像の画像データ、付加情報、及びこれに対応する患者の患者情報を対応付けて記憶部33等に記憶させる。なお、当該患者の過去の撮影画像及びこれに付加された付加情報がある場合には、医師は、この過去画像を表示させることもできる。そして、医師が撮影画像だけを最新の撮影画像に入れ替えるよう指示を入力することにより、CPU31は表示部35を制御して撮影画像だけを最新の撮影画像に入れ替え、最新の撮影画像に過去画像に付加されていた付加情報を重畳して表示させる。このように最新の撮影画像に過去画像に付加されていた付加情報を重畳して表示させることにより、医師は、付加情報で指示されている部分の変化の度合い(治癒状態等)を患者に説明することができ、患者の理解度・医師との信頼関係を深めることができる。
【0082】
さらに、医師は患者に関する所見(診断された傷病名等)、当該患者に処方する薬剤を示す投薬情報、当該患者に行った撮影や検査等に関する情報(撮影を行った装置の種類、撮影枚数、造影剤使用の有無、撮影部位、撮影方向、検査種別、検査ID等)を紙カルテに記録する。医師は紙カルテ等に診断所見を記入するとともに、入力された当該患者情報と撮影画像の画像データと付加情報とを対応付けて、サーバ4の画像DB41等の記憶手段に記憶する。
【0083】
医師は、必要に応じて撮影画像、付加情報、又は撮影画像に付加情報を重畳した画像を選択して、プリンタ8から画像を出力させ、紙カルテに挟み込む等により保存する。
【0084】
医師は紙カルテへの所見記載後、当該紙カルテを受付11の窓口担当に渡す。窓口担当は、レセコン5の表示部55に図示しないレセプト関連情報入力画面を表示させ、必要項目の入力を行う。レセコン5のCPU51は、入力されたレセプト関連情報に基づいて会計計算処理を行う。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る小規模施設用医用画像表示システム1によれば、撮影画像の画像データ、付加情報を患者情報と対応付けて記憶させる。このため、撮影等の前に予めオーダ情報を入力、生成しなくても、事後の診療の際には患者情報に基づいて過去の付加情報等を検索、選択することができる。これにより、過去に来院している患者の現在の撮影画像に過去の撮影の際に付加した付加情報を重畳して表示させることができ、病変箇所の治療度合い等を比較した上で診断を行ったり、患者に治療の進み具合を説明したりすることが容易となる。
【0086】
また、必要に応じて撮影画像、付加情報、又は撮影画像に付加情報を重畳した画像をプリンタ8から画像を出力させることができるので、出力された画像を紙カルテに挟み込む資料等として利用することができる。
【0087】
また、超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR装置2cといった複数種類の画像生成装置2を備えているので、最低限必要な撮影、検査を行うことができる。また、複数の患者に対して同時並行的に撮影を行うことが可能であり、診察の効率を上げることができる。
【0088】
さらに、画像生成装置2である超音波診断装置2aには変換手段21が接続されているので、超音波診断装置2aが、小規模施設用医用画像表示システム1を適用する各施設に備えられた既存の装置等の規格に合わない画像データを出力する場合でも画像データを適宜変換して適用させることができる。このため、既存の装置をそのまま用いることができ、設備投資等の負担を要しない。
【0089】
なお、本実施形態においては、患者の患者情報とこれに対応する検索用IDとを入力部34から入力し、撮影時に検索用IDを撮影画像の画像データに付帯させることにより患者と撮影画像等とを対応付けるように構成したが、患者と撮影画像等とを対応付けることができるものであればよく、その構成は特に限定されない。
【0090】
例えば、患者リストが生成され、制御装置3に送られている場合には、撮影前には、患者リストの中から患者を選択することにより受付番号等、各患者に割り当てられた検索用IDを設定するに止め、患者氏名等の患者情報は、撮影後、制御装置3の表示部35で当該患者に対応する撮影画像を見ながら患者の診断を行う際に入力するようにしてもよい。
【0091】
また、例えば、撮影前には患者の選択等を一切行わずにまず撮影を行い、その際、医師等の操作者が当該撮影対象となった患者を識別するものとして任意に定めた検索用IDを画像生成装置2で入力するようにしてもよい。この場合には、撮影後に制御装置3で未確定フォルダから撮影によって得られた画像データを開き、撮影画像を抽出したい患者の検索用IDを入力部34から入力する。そして、この検索用IDに基づいて当該患者について撮影された撮影画像を抽出し、制御装置3の表示部35に表示させた上で、当該撮影画像を見ながら患者の診断を行うとともに、当該患者の患者情報を入力してもよい。
【0092】
また、複数の患者を同時並行的に撮影することがないような場合には、制御装置3の表示部35上で患者リストの中から患者を選択すると自動的に表示部35の表示画面が画像確認画面35bに切り替わり、撮影が行われると、当該画像確認画面35b上に当該患者を撮影した撮影画像が表示されるようにしてもよい。この場合には、患者リストの中から選択された患者と撮影を行った患者とが1対1で対応付けられるので、撮影前に検索用ID等を入力しなくても患者と撮影画像の取り違えを生じるおそれがない。このため、入力操作を最小限に抑えて医師等の負担を軽減することができる。
【0093】
なお、本実施形態においては、画像生成装置2として超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR装置2cを備える場合を例として説明したが、画像生成装置2は、検査対象である患者を撮影し、撮影により得られた画像データに基づいて撮影画像を生成する画像生成手段を備える装置であればよく、ここに例示したものに限定されない。他の放射線画像変換媒体を使用するもの、放射線画像変換媒体を使用せずに画像データを取得しこれに基づいた撮影画像を生成するもの、放射線ディテクタを用いて放射線画像をデジタル信号として直接取り出すもの等、撮影画像を生成する任意の装置を適用することができる。具体的には、本実施形態に示した超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、CR装置2cの他、例えば、CT(Computed Tomografhy)、MRT(Magnetic Resonance Imaging)、FPD(Flat Panel Detector)、乳房撮影装置(マンモグラフィ)等が挙げられるが、これに限定されない。
【0094】
また、1つの撮影画像の画像データについて複数の付加情報を生成してもよい。すなわち、例えば、ある撮影画像の画像データについて、図9(a)に示すような、病変箇所を説明するための矢印等からなる患者説明用の付加情報と、図9(b)に示すような、病名、病状に関するコメント等からなる患者の家族等に対する説明・報告用の付加情報と、が入力されたときには、CPU31は付加情報生成手段として、上記患者説明用の付加情報と患者の家族等に対する説明・報告用の付加情報とをそれぞれ別のレイヤーとして別個の付加情報として生成し、それぞれの付加情報を、撮影画像の画像データと、当該撮影画像に対応する患者の患者情報と対応付けて記憶手段に記憶する。
【0095】
そして、この場合、CPU31は入力部34等から入力される指示信号にしたがって、撮影画像の画像データに重畳させる付加情報を適宜選択し、選択した付加情報を撮影画像の画像データに重畳して表示部35に表示させるようにする。
【0096】
このように、1つの撮影画像の画像データについて複数の付加情報を生成し、撮影画像の画像データに重畳させる付加情報を適宜選択できるようにすることにより、例えば、末期がんの患者の場合等、患者には正式な病名や病状を伝えない方がいいが、患者の家族には病状等を説明しなければならないような場合に、患者に説明するときには撮影画像の画像データに患者説明用の付加情報(例えば図9(a))を重畳して表示部35に表示させ、患者の家族に説明するときには撮影画像の画像データに患者の家族等に対する説明・報告用の付加情報(例えば図9(b))を重畳して表示部35に表示させ説明するというように、1つの撮影画像の画像データを使って状況に応じた説明等を行うことができる。なお、撮影画像の画像データと付加情報との重畳のさせ方はここに例示したものに限定されず、例えば、1つの撮影画像の画像データに複数の付加情報を重畳して表示させてもよい。
【0097】
その他、本発明が本実施の形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る小規模施設用医用画像表示システムの一実施形態のシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示す小規模施設用医用画像表示システムを適用した場合の各装置の医療施設における配置例を示す図である。
【図3】図1に示す小規模施設用医用画像表示システムに適用される制御装置の概略構成を示す要部ブロック図である。
【図4】撮影画像に付加情報が重畳された画像を表示した場合の一例を示す図である。
【図5】図1に示す小規模施設用医用画像表示システムにおける画像確認画面の一例を示す図である。
【図6】撮影画像のみを表示した場合の一例を示す図である。
【図7】付加情報のみを表示した場合の一例を示す図である。
【図8】図1に示す小規模施設用医用画像表示システムに適用されるレセコンの概略構成を示す要部ブロック図である。
【図9】図9(a)は、患者説明用の付加情報の一例を示す図である。図9(b)は、患者の家族等に対する説明・報告用の付加情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1 小規模施設用医用画像表示システム
2 画像生成装置
2a 超音波診断装置
2b 内視鏡装置
2c CR装置
3 制御装置
4 サーバ
5 レセコン
6 レセプトDB
7 ネットワーク
21 変換装置
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
34 入力部
35 表示部
35b 画像確認画面
36 通信部
41 画像DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である患者を撮影して前記検査対象の撮影画像の画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された前記撮影画像に対して付加する付加情報を生成する付加情報生成手段と、
前記撮影画像、及び/又は、前記付加情報、を表示可能な表示手段と、
患者を特定する患者情報を入力する患者情報入力手段と、
前記画像生成手段で生成された撮影画像の画像データと、当該撮影画像に対応するものとして前記付加情報生成手段で生成された付加情報と、を、前記患者情報入力手段により入力された患者情報と対応付ける対応付け手段と、
前記対応付け手段により対応付けられた撮影画像の画像データ及び付加情報と、患者情報と、を対応付けられた状態で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された付加情報の中から、前記患者情報に基づいて、所望の前記付加情報を選択する付加情報選択手段と、
前記付加情報選択手段により選択された付加情報を、撮影画像に重畳して表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする小規模施設用医用画像表示システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
同一の患者情報が対応付けられた撮影画像の画像データが複数あるときに、前記付加情報選択手段により選択された付加情報を、当該付加情報と対応付けられた撮影画像に重畳して前記表示手段に表示した後、当該撮影画像を当該撮影画像と同一の患者情報が対応付けられた撮影画像のうち最新の撮影画像に替えて、当該最新の撮影画像に前記付加情報を重畳して前記表示手段に表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の小規模施設用医用画像表示システム。
【請求項3】
前記表示手段に重畳表示された前記撮影画像及び前記付加情報を外部に出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の小規模施設用医用画像表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−6169(P2008−6169A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181349(P2006−181349)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】