説明

帯電ロールおよびその製法

【課題】外径が軸方向に均一であっても、感光ドラムとのニップ幅が軸方向に略均一となる帯電ロールおよびその製法を提供する。
【解決手段】軸体1の外周面に発泡層2,抵抗調整層3および保護層4が順に、いずれも軸方向の一端から他端まで均一な厚みに形成されている。発泡層2は、その形成のための加熱に先立って、誘導加熱を利用し、金型のうちの軸方向両端部分を除く中間部分に、予熱が加えられており、それにより、発泡層2の内部に形成される発泡セルCは、発泡層2の両端から軸方向20mm内側までの両端部よりも、その両端部の間の中間部の方が、発泡セル径が大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンター等の電子写真機器に用いられる帯電ロールおよびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンター等の電子写真機器において、現像装置が接触帯電式を採用するものは、感光ドラムに帯電ロールが当接している。この帯電ロールは、通常、軸体の外周面にスポンジ等の発泡層が形成されており、その発泡層の外周面に抵抗調整層や保護層等の被覆層が1層または2層以上形成されている。
【0003】
そして、上記感光ドラムとの当接は、帯電ロールの軸体の両端部を軸支する軸受部を、感光ドラムの方向に付勢することにより行われている。そのため、帯電ロールは、感光ドラムに押し付けられた状態となっている。一般に、帯電ロールの方が曲げ剛性が低く設定されているため、上記当接では、帯電ロールが反った状態(中央部が感光ドラムから遠ざかり、両端部が感光ドラムに近づいている状態)になる。このため、帯電ロールの外径が軸方向に均一であると、感光ドラムと帯電ロールとのニップ幅(当接幅)は、軸方向両端部の方が中央部よりも大きくなる。このような当接状態では、感光ドラムの帯電量が軸方向で不均一となり、画像に濃度むらが発生する。
【0004】
そこで、帯電ロールの外周面形状を、軸方向の両端部から中央部に向かうにつれて徐々に拡径しているクラウン形状にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、感光ドラムと帯電ロールとが当接した状態において、両者のニップ幅が軸方向で略均一になるようにしている。なお、上記クラウン形状にするためには、通常、型面がクラウン形状に形成された金型を用いて上記発泡層を金型成形したり、発泡層の外周面を切削加工等をしてクラウン形状にしたり等することが行われる。
【特許文献1】特開2002−116608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記クラウン形状の設定は、複写機等の電子写真機器の種類によって異なるため、クラウン形状の帯電ロールを作製するためには、その種類に応じた金型や加工が必要となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、外径が軸方向に均一であっても、感光ドラムとのニップ幅が軸方向に略均一となる帯電ロールおよびその製法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、軸体と、この軸体の外周面に金型成形により形成され内部に多数の発泡セルを有する発泡層と、この発泡層の外周に直接もしくは他の層を介して形成された最外層とを有する帯電ロールであって、上記発泡層の左右両端から軸方向20mm内側までの両端部における発泡セル径よりも、上記両端部の間の中間部における発泡セル径が大きく形成されている帯電ロールを第1の要旨とする。
【0008】
また、本発明は、円柱状成形空間を有する金型の成形空間内に、発泡層形成用の発泡材料がその外周面に付着された軸体を同軸的に挿入し、その状態で、加熱することにより上記発泡材料を発泡させて発泡層を形成し、脱型後、その発泡層の外周に直接もしくは他の層を介して最外層を形成する帯電ロールの製法であって、上記発泡層形成のための加熱に先立って、誘導加熱を利用し、上記金型のうちの軸方向両端部分を除く中間部分に、予熱を加える帯電ロールの製法を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の帯電ロールは、発泡層の、発泡によって形成された多数の発泡セルの直径(発泡セル径)が、両端部(左右両端から軸方向20mm内側までの部分)よりもその中間部が大きく形成されているため、中間部が両端部よりも軟らかくなっている。このため、中間部が両端部よりも変形し易くなっており、感光ドラムに対しては、帯電ロールが反った状態になったとしても、軸方向で略均一なニップ幅を有した状態で当接することができる。その結果、濃度むらのない良好な画像を得ることができる。
【0010】
特に、上記両端部における発泡セル径が50〜300μmの範囲内に形成され、上記中間部における発泡セル径が上記両端部における発泡セル径の1.2〜3.0倍の範囲内に形成されている場合には、感光ドラムに対するニップ幅が好適となり、より良好な画像を得ることができる。
【0011】
本発明の帯電ロールの製法は、発泡層形成のための加熱に先立って、誘導加熱を利用して、金型の軸方向中間部分に、予熱を加えている。これにより、この予熱後の上記加熱において、中間部分の昇温を進め、両端部分の昇温を遅らせることができる。このため、中間部分での発泡倍率を両端部分よりも大きくすることができ、発泡層として、両端部(左右両端から軸方向20mm内側までの部分)における発泡セル径よりもその中間部おける発泡セル径が大きいものを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。但し、本発明は、これに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本発明の帯電ロールの一実施の形態を示している。この実施の形態の帯電ロールは、軸体1の外周面に発泡層2が形成され、この発泡層2の外周面に抵抗調整層3が形成され、この抵抗調整層3の外周面に保護層(最外層)4が形成されている。これら発泡層2,抵抗調整層3および保護層4は、いずれも軸方向の一端から他端まで均一な厚みに形成されている。そして、上記発泡層2の内部に形成されている発泡セルCは、上記発泡層2の両端部(両端から軸方向20mm内側までの部分)よりも、その両端部の間の中間部の方が、直径(発泡セル径)が大きくなっている。
【0014】
より詳しく説明すると、上記発泡層2の発泡セル径(以下、単に「セル径」という)は、特に限定されないが、感光ドラムに対するニップ幅が好適となり、より良好な画像を得ることができる観点から、上記両端部におけるセル径は50〜300μmの範囲内に形成され、その間の中間部では上記両端部におけるセル径の1.2〜3.0倍の範囲内に形成されていることが好ましく、より好ましくは1.4〜1.6倍の範囲内である。ここで、上記セル径は、発泡層2の所定位置での断面を電子顕微鏡で見て、各発泡セルのセル径の最大値と最小値の平均をその発泡セルのセル径とし、それを任意の10個の発泡セルについて行い、その平均値で表される。
【0015】
ここで、本発明の帯電ロールを構成する軸体1,発泡層2,抵抗調整層3,保護層4の形成材料等について説明する。
【0016】
上記軸体1は、特に限定されるものではなく、中実でも中空でもよい。また、上記軸体1の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄,鉄にめっきを施したもの,ステンレス,アルミニウム,銅等があげられる。そして、上記軸体1の表面には、通常、接着剤やプライマー等が塗布される。また、上記軸体1の寸法は、通常、外径4〜15mmの範囲内、長さ230〜500mmの範囲内に設定される。
【0017】
上記発泡層2は、発泡材料2a(図2参照)を加熱することにより発泡させて形成される。この発泡材料2aは、主剤に発泡剤等を混合させたものであり、その主剤としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),ヒドリンゴム,イソプレンゴム,シリコーンゴム等があげられる。また、上記発泡剤としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(PPT)、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、アゾジロルボンアミド(ADCA)等があげられ、上記主剤100重量部に対して1〜20重量部混合される。さらに、上記主剤100重量部に対して、導電化するためにカーボンブラック等を2〜100重量部添加し、発泡性を確保するための可塑剤としてパラフィンオイル,ナフテンオイル等を必要に応じて5〜100重量部添加する。また、上記主剤には、架橋剤として、特に限定されないが、硫黄を0.3〜5重量部添加し、架橋助剤として酸化亜鉛を1〜10重量部添加し、架橋促進剤として、特に限定されないが、チアゾール類,ジチオカルバミン酸塩類,チウラム類の中から0.5〜3重量部が適宜配合されたものを添加する。さらに、必要に応じて、滑剤,無機充填剤,整泡剤等の各種の添加剤を適宜に配合してもよい。そして、上記発泡層2の寸法は、通常、厚み2〜8mmの範囲内、長さ200〜400mmの範囲内に設定される。
【0018】
上記抵抗調整層3の形成材料としては、NBR,ヒドリンゴム,ウレタンゴム,アクリルゴム,クロロプレンゴム等があげられる。また、必要に応じて、各種の添加剤を適宜に配合してもよい。そして、上記抵抗調整層3の寸法は、通常、厚み200〜700μmの範囲内に設定され、長さは上記発泡層2の長さと同じ値に設定される。
【0019】
上記保護層4の形成材料としては、アクリル樹脂,ウレタン樹脂,アルキッド樹脂,アミド樹脂,フェノール樹脂,フッ素樹脂,シリコーン樹脂,およびそれらが変性された樹脂等があげられる。また、必要に応じて、導電剤,レベリング剤,架橋剤,離型性付与剤等の各種の添加剤を適宜に配合してもよい。上記保護層4の形成材料は、メチルエチルケトン(MEK)等の溶剤に溶解させることにより液状材料として用いられ、保護層4は、その液状材料をコーティングにより塗布した後、加熱して硬化させることにより、通常、厚み3〜15μmの範囲内に設定され、長さは上記発泡層2の長さと同じ値に設定される。
【0020】
つぎに、本発明の帯電ロールの製法について説明する。この製法は、発泡層2を形成する際に用いる金型10(図2参照)の材質によって加熱方法が異なる。そこで、その一例について説明する。
【0021】
まず、図2に示すように、型面(内周面)が軸方向の一端から他端まで均一内径に形成された、円柱状成形空間有する金型10を準備する。この金型10は、鉄製の円筒状金型本体11と、その両端開口に嵌合するステンレス製の蓋体12とからなっている。
【0022】
ついで、押出しにより、上記軸体1の外周面に上記発泡材料2aを付着させ、さらに、その発泡材料2aの外周面に上記抵抗調整層3の形成材料を付着させる。そして、それを上記円筒状金型本体11内に同軸的にセットした後、その円筒状金型本体11の両端開口に上記蓋体12を嵌合させる。その後、誘導加熱機(例えば、ハイデック社製、誘導加熱装置)により、上記金型10全体に予熱を加える。この誘導加熱は、特に限定されないが、ニップ幅が適正になるようセル径を上記好適な範囲(50〜300μm)にする観点から、金型10の表面温度が100〜220℃の範囲内に達するまで行われることが好ましい。このとき、蓋体12は、ステンレス製であるため、鉄製の円筒状金型本体11よりも、誘導加熱によって昇温し難くなっている。その結果、円筒状金型本体11よりも蓋体12が低温になるため、円筒状金型本体11の熱が蓋体12に奪われるようになる。このため、金型10の中央部で温度が高く、両端部で温度が低くなるという温度勾配ができる。そして、上記誘導加熱による予熱の温度によっては、金型10の中央部では、発泡材料2aが発泡し始める。なお、上記金型10の表面温度は、接触式の熱電対により確認することができる。また、図2において、符号20は、誘導加熱機での誘導加熱に用いられるコイルである。
【0023】
つぎに、上記金型10を誘導加熱機から取り出し、オーブン等の加熱器により加熱する。この加熱は、特に限定されないが、ニップ幅が適正になるようセル径を上記好適な範囲(50〜300μm)にする観点から、100〜220℃の範囲内において3〜60分間行われることが好ましい。この加熱により、発泡材料2aの発泡が進んで発泡層2が形成されるとともに、抵抗調整層3の形成材料が架橋されて抵抗調整層3が形成され、さらに、軸体1と発泡層2とが一体化するとともに、発泡層2と抵抗調整層3とが一体化する。このとき、上記誘導加熱による温度勾配を保持したまま加熱されるため、発泡層2では、中央部が両端部よりも、発泡が促進され、その結果、発泡層2の両端部(両端から軸方向20mm内側までの部分)よりも、その両端部の間の中間部のセル径が大きくなる。しかも、上記発泡順序は、中央部から始まり、両端部が最後となるため、発泡により発生するガスが金型10の両端から抜け易くなり、ガス溜まり等の不具合が発生しない。
【0024】
その後、脱型し、上記抵抗調整層3の外周面に、上記保護層4の形成材料(液状材料)をコーティングにより塗布した後、加熱(通常、50〜160℃の範囲内)することにより硬化させ、保護層4を形成する。このようにして、本発明の帯電ロール(図1参照)を作製することができる。
【0025】
本発明の帯電ロールの製法の他の例として、上記金型10の円筒状金型本体11だけでなく蓋体13も鉄製である場合について説明する。
【0026】
この場合は、図3に示すように、誘導加熱による予熱が、金型10のうち蓋体13に対応する両端部分を除く中間部分にのみ加えられる。これにより、蓋体13は、鉄製であっても、鉄製の円筒状金型本体11よりも、誘導加熱によって昇温し難くなり、上記製法と同様に、金型10の中央部で温度が高く、両端部で温度が低くなるという温度勾配ができる。その結果、その後の加熱により、発泡層2では、中央部が両端部よりも、発泡が促進され、両端部よりも中間部のセル径が大きくなる。それ以外は、上記製法と同様にして行われる。
【0027】
上記帯電ロールの製法の2例に示すように、誘導加熱では、コイル20の長さを調節することにより、その誘導加熱を行う部分を調節することができ、さらに、金型10の材質(特に蓋体12,13の材質)との相乗効果により、金型10の軸方向に温度勾配を容易に形成することができる。その結果、発泡層2のセル径を、中間部が両端部よりも大きくすることができる。
【0028】
なお、上記実施の形態において、場合により、抵抗調整層3は形成されなくてもよい。
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【実施例1】
【0030】
〔軸体〕
外径6mm、長さ350mmの鉄製の中実円柱状の軸体を準備した。
【0031】
〔発泡層形成用の発泡材料〕
EPDM(三井化学社製、EPT4045)100重量部,カーボンブラック(ケッチェンブラックEC)20重量部,酸化亜鉛を5重量部,ステアリン酸1重量部,プロセスオイル(出光石油化学社製、ダイアナプロセスPW380)30重量部,ジニトソロペンタメチレンテトラミン(発泡剤)15重量部,硫黄1重量部,ジベンゾチアゾールスルフィド(架橋促進剤)2重量部,およびテトラメチルチウラムモノサルフィド(架橋促進剤)1重量部の割合で混練し、発泡層形成用の発泡材料を調製した。
【0032】
〔抵抗調整層の材料〕
NBR(日本ゼオン社製、ニポールDN3335)100重量部,XFCカーボン(キャボット社製、バルカンP)40重量部,シリカ(日本シリカ社製、ニプシールER)20重量部,およびマイカ(レプコ社製、レプコマイカM−XF)30重量部をニーダーにより混練した後さらにロールを用いて混練し、抵抗調整層の材料を調製した。
【0033】
〔保護層の形成材料〕
アクリル系ポリマー(住友化学社製、スミペックスLG6A)100重量部およびカーボンブラック(三菱化学社製、MA100)30重量部を、メチルエチルケトン(MEK)700重量部に溶解し、これをビーズミルを用いて分散し、保護層の形成材料を調製した。
【0034】
〔金型〕
金型として、鉄製の円筒状金型本体と、その両端開口に嵌合するステンレス製の蓋体とからなるものを準備した。上記円筒状金型本体と蓋体とにより形成される成形空間の内径は12mm、軸方向の長さは230mmであった。
【0035】
〔帯電ロールの作製〕
上記発泡層形成用の発泡材料5gと、抵抗調整層の形成材料4.2gとを用いて、軸体の外周面に上記発泡材料を付着させ、さらに、その発泡材料の外周面に上記抵抗調整層の形成材料を付着させた。そして、それを上記円筒状金型本体内に同軸的にセットした後、その円筒状金型本体の両端開口に上記蓋体を嵌合させた。その後、誘導加熱機(ハイデック社製、誘導加熱装置)により、上記金型の軸方向中央の外周面の温度が180℃になるまで、金型全体に予熱を加えた。その後、オーブンで180℃にて20分間加熱した。そして、脱型後、抵抗調整層の外周面に、上記保護層の形成材料をロールコートにより塗布した後、加熱(100×30分間)することにより硬化させ、保護層を形成した。このようにして、帯電ロールを作製した。この帯電ロールの弾性体は、軸方向の長さが230mm、外径が約12mm、保護層の厚みが10μm、抵抗調整層の厚みが500μmであった。
【実施例2】
【0036】
上記実施例1において、金型として、円筒状金型本体も蓋体も鉄製のものを用いた。そして、誘導加熱機による予熱を、円筒状金型本体のうち蓋体に対応する両端部分を除く中間部分にのみ加えた。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0037】
〔比較例1〕
上記実施例2において、発泡層および抵抗調整層の形成を、誘導加熱機による予熱を加えることなく、オーブンで180℃にて40分間加熱することにより行った。それ以外は、上記実施例2と同様にした。
【0038】
〔表面硬度〕
上記実施例1,2および比較例1の各帯電ロールについて、その保護層の外周面でのアスカーC硬度を測定した。この測定は、軸方向中央と両端縁から軸方向10mm内側の位置で行った。さらに、上記両端縁から軸方向10mm内側の位置でのアスカーC硬度の平均値をとり、それを端部でのアスカーC硬度として、下記の表1に併せて表記した。
【0039】
〔セル径および発泡セル壁の厚み〕
上記各帯電ロールを、軸方向中央と両端縁から軸方向10mm内側の位置にて、厚み方向に切断し、各切断面を電子顕微鏡で見て、各発泡セルのセル径および発泡セル壁の厚みの最大値と最小値とを測定し、その平均値をとった。そして、それを任意の10個の発泡セルについて行い、その平均値をとった。さらに、上記両端縁から軸方向10mm内側の位置でのセル径および発泡セル壁の厚みの平均値をとり、それを端部での値として、下記の表1に併せて表記した。
【0040】
〔帯電ロールと感光ドラムとのニップ幅〕
上記各帯電ロールを、市販のカートリッジ(LBP1210、キャノン社製)に組み込み、感光ドラムと帯電ロールとを固定した状態(回転させない状態)で、これら感光ドラムと帯電ロールとの間に2000Hz,2kVPPの電圧を5分間印加した。これにより、感光ドラムでのニップ幅の幅方向(感光ドラムの円周方向)両外側に、削れ部が軸方向に沿って帯状に形成され、その2本の削れ部の間の幅を測定することにより、帯電ロールと感光ドラムとのニップ幅を測定した。この測定は、軸方向中央と両端縁から軸方向10mm内側の3点の位置で行った。そして、上記両端縁から軸方向10mm内側の位置でのニップ幅の平均値を端部でのニップ幅として、下記の表1に併せて表記した。
【0041】
〔耐久トナー付着評価〕
上記実機に組み込み、1000枚の画像出しを行った後、帯電ロール表面へのトナー付着の程度を目視にて確認した。その結果、トナーの付着が全体的に少ないものを○、トナーの付着が多い部分があるものを×と評価し、下記の表1に併せて表記した。
【0042】
【表1】

【0043】
上記表1の結果から、実施例1,2の帯電ロールでは、比較例1の帯電ロールと比較して、ニップ幅が、中央と端部とで差が小さく、軸方向で略均一になっていることがわかる。このことは、長期使用(耐久トナー付着評価)において、トナーの付着が少ないことから確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の帯電ロールの一実施の形態を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の帯電ロールの製法の一例を模式的に示した説明図である。
【図3】本発明の帯電ロールの製法の他の例を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 軸体
2 発泡層
3 抵抗調整層
4 保護層
C 発泡セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、この軸体の外周面に金型成形により形成され内部に多数の発泡セルを有する発泡層と、この発泡層の外周に直接もしくは他の層を介して形成された最外層とを有する帯電ロールであって、上記発泡層の左右両端から軸方向20mm内側までの両端部における発泡セル径よりも、上記両端部の間の中間部における発泡セル径が大きく形成されていることを特徴とする帯電ロール。
【請求項2】
上記両端部における発泡セル径が50〜300μmの範囲内に形成され、上記中間部における発泡セル径が上記両端部における発泡セル径の1.2〜3.0倍の範囲内に形成されている請求項1記載の帯電ロール。
【請求項3】
円柱状成形空間を有する金型の成形空間内に、発泡層形成用の発泡材料がその外周面に付着された軸体を同軸的に挿入し、その状態で、加熱することにより上記発泡材料を発泡させて発泡層を形成し、脱型後、その発泡層の外周に直接もしくは他の層を介して最外層を形成する帯電ロールの製法であって、上記発泡層形成のための加熱に先立って、誘導加熱を利用し、上記金型のうちの軸方向両端部分を除く中間部分に、予熱を加えることを特徴とする帯電ロールの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−264294(P2007−264294A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89074(P2006−89074)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】