説明

帰宅支援システム及び帰宅支援情報作成プログラム

【課題】通行止めや危険箇所を考慮してより実情に即した適切な帰宅ルートを帰宅困難者に提示でき、かつ帰宅途中において帰宅困難者に対し必要な支援を行えるようにする。
【解決手段】情報提供端末TM1において帰宅困難者が入力した自宅位置特定情報を、帰宅困難者の現在位置情報と共に情報管理サーバSVへ送信する。情報管理サーバSVは、上記情報提供端末TM1から送られた帰宅困難者の自宅位置特定情報及び現在位置情報と、予め記憶又は取得してある地図情報124、帰宅支援施設の位置情報121、通行止め情報122、危険箇所情報123及び有効帰宅支援施設間距離126とをもとに、通行止め及び危険箇所が反映され、かつ帰宅ルート中に有効帰宅支援施設間距離126以内の間隔で帰宅支援施設を経由するように設定された最適帰宅ルートを探索する。そして、この探索により得られた最適帰宅ルートを地図上に投影して情報提供端末へ送り表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震等の大規模災害時に、帰宅が困難になった人に最適な帰宅ルートを提示するための帰宅支援システムと、このシステムで使用される帰宅支援情報作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震の発生によって交通機関の運行がストップした場合、交通機関を利用して通勤又は通学している人の多くが帰宅困難になると予想されている。この場合、帰宅困難者は歩いて自宅まで帰らなければならないが、普段交通機関を利用しているため自宅までの道筋が分からないという問題がある。
【0003】
一方、出発地と目的地を設定することで、通行できる道路の中から出発地と目的地を結ぶ適切なルートを探索する技術が提案されている。この種の技術は、カーナビゲーションシステムやルート検索サービスを行なうWEBコンテンツ等で利用されている。出発地や目的地は、GIS(Geographical Information System)として地図に関連づけられている住所、電話番号或いは施設名を用いて指定したり、緯度と経度が明確な場合にはこの緯度経度により指定する。また、上記技術ではルート探索後に探索されたルートの距離を計算することもできる(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0004】
【特許文献1】最短ルート問題とダイクストラ法:http://www.me.Sophia.ac.jp/or/lab/ishizuka/OC/spath_00.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この種の従来の技術を大地震等の大規模災害が発生した状況下で利用しようとすると、次のような問題点が生じる。すなわち、大規模災害が発生すると、土砂崩れなどにより通行止めになった箇所や、通行止めにはなっていないが危険な箇所が多数発生すると予想される。このため、平常時の地図情報をもとにルート探索したのでは、上記通行止めや危険箇所が考慮されないため、現実に即した適切な帰宅ルートを提示することができない。また、現在地から自宅までの距離が非常に長距離になる人も多数出現すると予想される。このような人達にとって、途中で休憩を挟まずに一気に帰宅することは健康や安全上問題がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、通行止めや危険箇所を考慮してより実情に即した適切な帰宅ルートを提示できるようにすると共に、帰宅途中において帰宅困難者に対し必要な支援を行えるようにし、これにより帰宅困難者の健康及び安全性の維持を可能にした帰宅支援システム及び帰宅支援情報作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明は、情報管理サーバと、この情報管理サーバに対し通信ネットワークを介して接続可能な少なくとも1つの情報提供端末とを備え、上記情報管理サーバから情報提供端末へ帰宅困難者に対応する帰宅支援情報を配信する帰宅支援システムにあって、
上記情報提供端末に、帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報の入力を受け付ける手段と、この受け付けた帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を上記通信ネットワークを介して上記情報管理サーバへ送信する手段とを備える。
また、上記情報管理サーバには、地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報を記憶する手段と、上記情報提供端末から上記通信ネットワークを介して上記帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を受信する手段と、上記受信された帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報と、上記記憶された地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報とをもとに、上記帰宅困難者の現在位置から上記帰宅支援施設を経由して行き先場所に到る帰宅ルートを探索する手段と、上記探索された帰宅ルートを地図上に投影した帰宅支援情報を作成する手段と、上記作成された帰宅支援情報を上記通信ネットワークを介して上記情報提供端末へ配信する手段とを備える。
さらに情報提供端末には、上記情報管理サーバから上記通信ネットワークを介して上記帰宅支援情報を受信する手段と、上記受信された帰宅支援情報を対応する帰宅困難者に提示する手段とを備えるように構成したものである。
【0008】
したがってこの発明によれば、帰宅困難者が情報提供端末において自身の現在位置と行き先場所の位置情報を入力すると、この入力情報が情報管理サーバに送られる。情報管理サーバでは、上記入力情報と予め記憶されている地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報をもとに、上記帰宅困難者の現在位置から上記帰宅支援施設を経由して行き先場所に到る帰宅ルートが探索され、この探索された帰宅ルートを地図上に投影した帰宅支援情報が作成される。そして、この作成された帰宅支援情報が通信ネットワークを介して上記送信元の情報提供端末へ配信され、帰宅困難者に提示される。このため、帰宅困難者は、通行止め箇所や危険箇所が考慮され、しかも帰宅ルート途中に一定距離ごとに帰宅支援施設が含まれる帰宅支援情報を受け取ることができ、これにより長距離でも誤ることなく安全に帰宅することが可能となる。
【0009】
またこの発明は次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、帰宅ルートを探索する際に、障害発生箇所の位置情報をもとに当該障害発生箇所を通行不能とするように地図情報を再構成し、さらに帰宅支援施設間を予め定められた距離内で辿るための帰宅支援施設間ルートを探索すると共に、帰宅困難者の現在位置情報から行き先場所までの最短ルートを探索する。そして、上記再構成された地図情報と、上記探索された帰宅支援施設間ルート及び最短ルートとをもとに帰宅ルートを探索するようにしたものである。
したがって、帰宅困難者は、障害発生箇所を避けしかも帰宅支援施設に確実に立ち寄りつつ、最短の帰宅ルートを辿って帰宅することが可能となる。
【0010】
第2の構成は、上記地図情報を再構成する際に、障害発生箇所の位置情報をもとに通行不能となる範囲の起点及び終点を求め、この起点及び終点を地図上に表示するべく地図情報を再構成するようにしたものである。
このように構成すると、例えば1本の道路において、障害発生により通行不能になる区間について起点及び終点が設定され、この起点と終点が地図情報に反映される。このため、障害発生箇所を含む道路の全区間を無条件に通行止めと見なす場合に比べ、より詳細なルート探索が可能となる。
【0011】
第3の構成は、通信ネットワークを、既設の第1のネットワークと、この第1のネットワークと情報提供端末との間を接続するために臨時に敷設される第2のネットワークとから構成し、かつこの第2のネットワークをマルチホップ無線通信システムにより構成するようにしたものである。
したがって、通信設備を備えていない場所に情報提供端末を設置する場合や、既存の通信設備が被災して使用不可能になった場合でも、マルチホップ無線通信システムを敷設することにより、第1のネットワークを臨時に一部拡張して通信ルートを確保することができる。
【0012】
第4の構成は、帰宅困難者が携帯端末を所持する場合に、情報提供端末に、上記携帯端末との間で無線通信を行う無線インタフェースと、上記携帯端末から送信される帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を前記無線インタフェースにより受信して上記情報管理サーバへ転送する手段と、情報管理サーバから送られた帰宅支援情報を無線インタフェースから携帯端末へ転送する手段とを備えるものである。
【0013】
したがって、帰宅困難者は自身が所持する携帯端末において、自身の現在位置情報及び行き先の位置情報の入力と、自己宛の帰宅支援情報の表示が可能となる。このため、帰宅困難者の利便性はさらに向上される。
【発明の効果】
【0014】
要するにこの発明によれば、通行止めや危険箇所を考慮してより実情に即した適切な帰宅ルートを帰宅困難者に提示できるようにすると共に、帰宅途中において帰宅困難者に対し必要な支援を行えるようにし、これにより帰宅困難者の健康及び安全性の維持を可能にした帰宅支援システム及び帰宅支援情報作成プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明に係わる帰宅支援システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。このシステムは、例えば自治体や警備会社等の帰宅支援組織が運用管理する情報管理サーバSVと、公民館やコンビニエンスストア等の帰宅支援施設HM1,HM2,…に設置される複数の情報提供端末TM1,TM2,…とを備える。そして、これらの情報提供端末TM1,TM2,…は、公衆網NW1、地域イントラネットNW2,NW3等の通信ネットワークを介して上記情報管理サーバSVにアクセス可能となっている。
【0016】
またこのシステムは、自営の臨時通信システムを備える。この臨時通信システムは、帰宅支援施設に情報管理サーバSVにアクセスするための通信設備が元々設置されていなかったり、通信設備があっても公衆網NW1等の既存の通信ネットワークが被災やトラフィックの増大により不通になった場合に臨時に敷設されるもので、例えばマルチホップ無線通信システムにより構成される。マルチホップ無線通信システムは、例えば持ち運びが可能な程度に小型化された複数の基地局BS1〜BS3を通信可能な距離を隔てて配置し、これらの基地局BS1〜BS3を順次経由してバケツリレーのようにデータを転送するものである。この種のシステムを敷設することにより、地域イントラネットNW3を臨時に拡張して、通信不能になった帰宅支援施設HM3における通信路を確保することが可能となる。
【0017】
ところで、情報管理サーバSV及び情報提供端末TM1,TM2,TM3は次のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。
先ず情報管理サーバSVは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)11を備え、このCPU11にバスを介して、データメモリ12、プログラムメモリ13及びデータ送受信部14を接続したものとなっている。データ送受信部14は、通信ネットワークで規定されるプロトコルに従い、情報提供端末TM1,TM2,…との間でデータ伝送を行う。プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0018】
データメモリ12には、入力データを格納する記憶領域と、出力データを格納する記憶領域が設けられている。入力データを格納する記憶領域には、帰宅支援施設の位置情報121と、通行止め情報122と、危険箇所情報123と、地図情報124と、自宅位置特定情報125と、有効帰宅支援施設間距離情報126がそれぞれ格納される。
【0019】
帰宅支援施設の位置情報121は、住所や緯度経度によって帰宅支援施設HM1,HM2,…の位置を特定する情報であり、GISとして地図上に関連付けられる。通行止め情報122は、住所や緯度経度によって通行止めになっている道路の区間を特定する情報であり、GISとして地図上に関連付けられる。危険箇所情報123は、住所や緯度経度によって土砂災害等の発生箇所や発生の恐れのある箇所の位置を特定する情報であり、この情報もGISとして地図上に関連付けられる。地図情報124はデジタル化された地図データであり、GISとして上記帰宅支援施設位置情報121、通行止め情報122及び危険箇所情報123と関連付けられる。
【0020】
自宅位置特定情報125は、帰宅困難者が帰宅しようとしている自宅の位置を住所や緯度経度によって特定する情報であり、当該情報は情報提供端末TM1,TM2,…において帰宅困難者により入力され、この情報提供端末TM1,TM2,…から送られる。有効帰宅支援施設間距離情報126は、徒歩で移動可能な帰宅支援施設HM1,HM2,…間の距離情報であり、後述する帰宅ルート探索プログラム131が帰宅支援施設HM1,HM2,…を経由する帰宅ルートを作成する際の条件の一つとして使用される。
【0021】
出力データを格納する記憶領域には、帰宅ルート情報127と、隣接帰宅支援施設へのルート情報128が格納される。
帰宅ルート情報127は、後述する帰宅ルート探索プログラム131によって作成されるもので、帰宅困難者の現在地から自宅までの帰宅支援施設HM1,HM2,…を経由する帰宅ルートを表す情報である。なお、帰宅困難者の現在地とは、帰宅困難者が現在いる帰宅支援施設HM1,HM2,…の位置のことである。隣接帰宅支援施設へのルート情報128は、帰宅困難者の現在地から次に経由する帰宅支援施設までの道筋を表す情報であり、帰宅ルート探索プログラム131によって作成される。
【0022】
プログラムメモリ13には、この発明を実施するために必要なアプリケーションプログラムとして、帰宅ルート探索プログラム131と、情報投影プログラム132がそれぞれ記憶されている。
帰宅ルート探索プログラム131は、上記帰宅支援施設の位置情報121、通行止め情報122、危険箇所情報123、地図情報124、自宅位置特定情報125、及び有効帰宅支援施設間距離情報126に基づいて、帰宅困難者の現在位置から自宅までの帰宅支援施設HM1,HM2,…を経由する帰宅ルートを計算による求める。情報投影プログラム132は、上記帰宅ルート探索プログラム131により求められた帰宅支援施設HM1,HM2,…を経由する帰宅ルートを地図上に関連付ける。
【0023】
一方、情報提供端末TM1,TM2,TM3は、例えばパーソナル・コンピュータからなり、CPU15にバスを介して、データ送受信部16と、情報表示部17と、情報入力部18を接続したものである。
情報入力部18は、帰宅困難者が自宅位置を特定する情報125を入力するためのもので、例えば表示された地図データ上において該当位置をポインティングデバイスにより指定することにより入力する手段が用いられる。
【0024】
データ送受信部16は、CPU15の制御の下、上記情報入力部18により入力された自宅位置特定情報125と、当該情報提供端末TM1,TM2,…の所在地を表す位置データを上記情報管理サーバSVに送信する。またそれと共に、情報管理サーバSVから伝送される帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128をそれぞれ受信する。
【0025】
情報表示部17は、上記データ送受信部16による受信された帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128を表示する。なお、印字部を設け、上記情報表示部17に表示された帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128をプリントアウトして、帰宅困難者が持参できるようにしてもよい。
【0026】
次に、以上のように構成された帰宅支援システムの動作を説明する。
情報管理サーバSVは、図8に示すように先ずステップST81において、地図情報、帰宅支援施設の位置情報121を例えば記憶媒体から読み込み、データメモリ12に格納する。また、地震等の災害が発生した場合に、警察や消防、道路管理団体が運用する情報配信サーバから通行止めの情報や危険箇所の情報を取得し、この取得した情報をデータメモリ12に格納する。この通行止めの情報122及び危険箇所の情報123は、一定の時間間隔で更新される。
【0027】
さて、この状態で交通機関を利用した通常の帰宅が困難になったユーザ(帰宅困難者)が、帰宅支援を受けるために最寄りの帰宅支援施設HM1に立ち寄り、この施設HM1に設置された情報提供端末TM1において自宅位置を特定する情報を入力したとする。そうすると情報提供端末TM1は、ステップST82により上記帰宅困難者が入力した自宅位置を特定する情報を受け付ける。そして、この入力された自宅位置を特定する情報を、帰宅困難者の現在位置に相当する帰宅支援施設HM1の位置情報と共に、ステップST83により情報管理サーバSVへ送信する。
【0028】
なお、自宅位置特定情報の入力手法として最も一般的なものは住所を入力するものであるが、電話番号と自宅位置とを関連付けてテーブルデータを情報管理サーバSVが持っている場合には、電話番号を入力するようにしてもよい。また、先に述べたようにタッチパネルを備えた表示器に地図を表示し、この表示された地図上の該当する位置をタッチパネルによりポインティングすることにより、該当する位置の住所又は緯度経度を入力するようにしてもよい。その他、自宅位置を特定できる手法であれば特に限定されない。
【0029】
また、情報提供端末TM1と公衆網NW1又は地域イントラネットNW2との間の通信回線が不通になっている場合には、情報提供端末TM1と公衆網NW1又は地域イントラネットNW2との間にマルチホップ無線通信システムを臨時に敷設し、このシステムを経由して上記位置情報を伝送する。したがって、災害による通信障害の影響を軽減して、情報提供端末TM1と情報管理サーバSVとの間の通信を維持することができる。
【0030】
情報管理サーバSVは、上記情報提供端末TM1から帰宅困難者の自宅位置特定情報及び帰宅支援施設HM1の位置情報が送られると、ステップST84において次のように帰宅ルート探索プログラム131を実行する。図3はその実行手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
すなわち、先ずステップST31により、データメモリ12から通行止め情報122、危険箇所情報123及び地図情報124を読み出し、これらの情報をもとにステップST32により上記通行止め及び危険箇所が反映された道路地図を作成する。例えば、先ず図4に(a)示すように危険箇所を地図上に投影し、続いて図4(b)に示すように道路上の上記危険箇所が存在する場所を行き止まりに設定する。また、図6(a)に示すように通行止めの範囲を地図上に投影し、続いて図6(b)に示すように上記通行止めの範囲の始点及び終点をそれぞれ設定し、これらを行き止まりとする。
【0032】
このようにすると、上記危険箇所或いは通行止めの区間が存在する道路の途中に帰宅支援施設が存在する場合に、図4(c)又は図6(c)に示すように、危険箇所或いは通行止めの影響で西側から帰宅支援施設に到達できなくとも、東から帰宅支援施設に到達することが可能となる。すなわち、危険箇所或いは通行止めの区間が存在する道路にある帰宅支援施設を、有効な施設の一つとして利用することが可能となる。ちなみに、危険箇所又は通行止めの区間が存在する道路の全区間を無条件に通行止めに設定してしまうと、当該道路の途中に存在する貴重な帰宅支援施設を利用することができなくなる。
【0033】
情報管理サーバSVは、次にステップST33により、データメモリ12から帰宅困難者の自宅位置特定情報125、帰宅支援施設HM1の位置情報及び有効帰宅支援施設間距離126を読み出し、これらの情報をもとにステップST34において、有効帰宅支援施設間距離内に収まる帰宅支援施設間のルートを探索する。
【0034】
この帰宅支援施設間のルート探索は、例えば図5に示すように、自宅位置特定情報125と、記憶されている帰宅支援施設の位置情報121の全て、もしくは帰宅困難者が支援情報を求めている帰宅支援施設と自宅とを結ぶある一定範囲内に存在する帰宅支援施設を基点とする。そして、有効帰宅支援施設間距離情報126で示される有効距離、つまり歩行で一定時間内に到着可能な距離内に収まる、基点以外の帰宅支援施設または自宅へのルート(道筋)を探索する。また、それと共にステップST35により、上記ルート行程上の移動距離を計算する。
【0035】
上記帰宅支援施設間のルート探索により、有効帰宅支援施設間距離情報126で規定される有効距離内に収まる帰宅支援施設間、及び帰宅支援施設と自宅との隣接関係と距離が求められる。図7に隣接関係と距離との関係の一例を示す。同図では、基点となる帰宅支援施設と隣接する帰宅支援施設との距離を帰宅支援施設間距離としている。
【0036】
情報管理サーバSVは、続いてステップST36により最短ルートの探索を行う。この最短ルートの探索は、帰宅困難者が情報を求めている帰宅支援施設を出発地とし、かつ自宅を目的地とした場合、次のように行われる。すなわち、図7で示すところの基点となる帰宅支援施設と隣接する帰宅支援施設との間の距離(帰宅支援施設間距離)を示すデータテーブルと、最短ルート探索の代表的なアルゴリズムとして知られるダイクストラ法を利用して、上記出発地と目的地との間の帰宅途中において帰宅支援施設間を経由する最短ルートを計算する。
【0037】
グラフ理論において、グラフはいくつかの点(ノード)とそれらの点の対を両端とする線分(エッジ)によって表される。グラフにおいてエッジに重みを持たせたものを特に重み付きグラフという。重み付けグラフの例を図9に示す。重み付けグラフは、図7を用いると図10に示すように重み付けテーブルとして表現することが可能である。なお、図9のグラフと図10のテーブルは等価である。重み付けグラフ、もしくは重み付けグラフと等価なテーブルを利用して、任意の2点間の最短ルートが探索される。このとき、ノードは経由する拠点、エッジは拠点間の道のり、重みは拠点聞の距離にそれぞれ相当する。ただし、ダイクストラ法は最短ルート探索アルゴリズムの一例であり、ここでは特に固定の最短ルート探索アルゴリズムを特定するものではない。
【0038】
上記最短ルートの探索結果をもとに、ステップST37により最短ルートが決定されると、情報管理サーバSVはステップST38により帰宅ルートの作成を行う。この帰宅ルートの作成機能は、上記最短ルート探索により決定された出発地と目的地とこれらの間を経由する帰宅支援施設を地図情報上にルートとして表現するための機能である。
【0039】
すなわち、帰宅支援施設点間のルート検索機能(ステップST34)により算出された、基点となる帰宅支援施設と自宅との間、これらの間を経由する帰宅支援施設とすべての帰宅支援施設の位置情報、もしくは帰宅困難者が情報を求めている帰宅支援施設と自宅とを結ぶある一定範囲の帰宅支援施設を基点に有効帰宅支援施設間距離内に収まる基点以外の帰宅支援施設、もしくは自宅へのルートのうち最短ルート探索機能(ステップST36)によって決定された出発地と目的地とこれらの間を経由する帰宅支援施設を抜き出す。そして、それらを連結することによって、出発地から目的地までの最適帰宅ルートを作成する。
【0040】
上記最適帰宅ルートが作成されると、情報管理サーバSVは続いて図8に示すようにステップST185に移行し、ここで情報投影プログラム132を実行する。ここでは、上記帰宅ルートの探索プログラム(ステップST184)によって算出された最適帰宅ルートを、地図情報124上に関連付ける処理が行われる。この処理により求められた情報が帰宅ルート情報127となり、また帰宅困難者の現在位置から次に経由する帰宅支援施設までのルートが隣接帰宅支援施設へのルート情報128となる。
【0041】
次に情報管理サーバSVは、ステップST186において、上記ステップST185により作成された帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128を、帰宅支援情報として支援要求元の情報提供端末TM1へ送信する。これに対し情報提供端末TM1は、上記帰宅支援情報を受信すると、ステップST187により、上記受信された帰宅支援情報に含まれる帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128を情報表示部17に表示する。したがって、帰宅困難者はこの表示された情報を見ることで自身の帰宅ルートを把握することができる。なお、帰宅困難者が印刷指示を入力すれば、上記表示された帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128はプリントアウトされる。
【0042】
以上述べたように第1の実施形態では、情報提供端末TM1,TM2,…において帰宅困難者が入力した自宅位置を特定する情報を、帰宅困難者の現在位置情報としての情報提供端末TM1,TM2,…の位置情報と共に情報管理サーバSVへ送信する。情報管理サーバSVは、上記情報提供端末TM1,TM2,…から送られた帰宅困難者の自宅位置特定情報及び現在位置情報と、予め記憶又は取得してある地図情報124、帰宅支援施設の位置情報121、通行止め情報122、危険箇所情報123及び有効帰宅支援施設間距離126とをもとに、通行止め及び危険箇所が反映された道路地図を作成すると共に、有効帰宅支援施設間距離126内に収まる帰宅支援施設間のルートを探索し、さらに現在位置から自宅位置までの帰宅途中において帰宅支援施設間を経由する最適帰宅ルートを探索する。そして、この探索により得られた最適帰宅ルートを上記通行止め及び危険箇所が反映された地図上に投影した帰宅支援情報を作成し、この帰宅支援情報を要求元の情報提供端末へ送信して表示させるようにしている。
【0043】
したがって、帰宅困難者は、通行止め箇所や危険箇所が考慮され、しかも帰宅ルート途中に一定距離ごとに帰宅支援施設が含まれる帰宅支援情報を受け取ることができ、これにより長距離でも障害発生箇所を避けしかも帰宅支援施設に確実に立ち寄りつつ、最短の帰宅ルートを辿って帰宅することが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、帰宅困難者が携帯情報端末を所有する場合に、この携帯情報端末を情報提供端末を介して情報管理サーバに接続可能とし、これにより携帯情報端末において入力した自宅位置特定情報を情報提供端末経由で情報管理サーバへ送り、一方情報管理サーバにより作成された帰宅支援情報を情報提供端末を経由して携帯情報端末に転送し表示させるようにしたものである。
【0045】
図11は、この発明の第2の実施形態に係わる帰宅支援システムの概略構成図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′にはそれぞれデータ送受信機部TR1,TR2,TR3が接続されている。これらのデータ送受信機部TR1,TR2,TR3は、帰宅困難者が所持する携帯情報端末MS1,MS2,MS3との間でデータの送受信を行う。通信インタフェースとしては、通信ケーブル、赤外線や非接触ICカードによる通信が可能なインタフェースが使用される。
【0046】
図12は、情報管理サーバSV、情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′及び携帯情報端末MS1,MS2,MS3の機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′は、例えばパーソナル・コンピュータからなり、CPU31にバスを介して第1のデータ送受信部32及び第2のデータ送受信部33を接続したものである。第1のデータ送受信部32は、情報管理サーバSVとの間でデータの送受信を行う。第2のデータ送受信部33は、上記データ送受信機部TR1,TR2,TR3を介して携帯情報端末MS1,MS2,MS3との間でデータの送受信を行う。
【0047】
携帯情報端末MS1,MS2,MS3は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)からなり、CPU34にバスを介してメモリ35、データ送受信部36、情報入力部、情報表示部37を接続したものとなっている。メモリ35には、上記情報入力部により入力された自宅位置特定情報351と、情報管理サーバSVから伝送された帰宅ルート情報352及び隣接帰宅支援施設へのルート情報353が格納される。なお、自宅位置特定情報は緯度経度により表され、帰宅困難者が自宅にいるときに移動通信網又はGPS(Global Positioning System)を利用して取得してメモリ35に記憶しておくようにしてもよい。
【0048】
データ送受信部36は、CPU31の制御の下、情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′との間で、上記自宅位置特定情報の送信と、上記帰宅ルート情報352及び隣接帰宅支援施設へのルート情報353の受信を行う。情報表示部37は液晶表示器からなり、CPU31の制御の下、上記受信された帰宅ルート情報352及び隣接帰宅支援施設へのルート情報353を表示する。
【0049】
次に、以上のように構成されたシステムの動作を説明する。図13はその動作手順と内容を示すシーケンス図である。
情報管理サーバSVは、図13に示すように先ずステップST131において、地図情報、帰宅支援施設の位置情報121を例えば記憶媒体から読み込み、データメモリ12に格納する。また、地震等の災害が発生した場合に、警察や消防、道路管理団体が運用する情報配信サーバから通行止めの情報や危険箇所の情報を取得し、この取得した情報をデータメモリ12に格納する。この通行止めの情報122及び危険箇所の情報123は、一定の時間間隔で更新される。
【0050】
地震災害により交通機関を利用した通常の帰宅が困難になったユーザ(帰宅困難者)は、最寄りの帰宅支援施設HM1(例えばコンビニエンスストア)に立ち寄って、次のように帰宅支援情報の提供を受けることができる。すなわち、先ず自身が所持する携帯情報端末MS1から情報提供端末TM1′に対しアクセスし、両端末間で通信が可能になったのちに、ステップST132により携帯情報端末MS1から情報提供端末TM1′へメモリ35に記憶された自宅位置特定情報を送信する。情報提供端末TM1′は、上記自宅位置特定情報を受信すると、ステップST133において、この受信された自宅位置特定情報を、帰宅困難者の現在位置情報としての帰宅支援施設HM1の位置情報と共に情報管理サーバSVへ送信する。
【0051】
なお、情報提供端末TM1′と公衆網NW1又は地域イントラネットNW2との間の通信回線が不通になっている場合には、情報提供端末TM1と公衆網NW1又は地域イントラネットNW2との間にマルチホップ無線通信システムを臨時に敷設し、このシステムを経由して上記位置情報を伝送する。したがって、災害による通信障害の影響を軽減して、情報提供端末TM1と情報管理サーバSVとの間の通信を維持することができる。
【0052】
情報管理サーバSVは、上記情報提供端末TM1′から帰宅困難者の自宅位置特定情報及び帰宅支援施設HM1の位置情報が送られると、ステップST134において次のように帰宅ルート探索プログラム131を実行する。
すなわち、先ずデータメモリ12から通行止め情報122、危険箇所情報123及び地図情報124を読み出し、これらの情報をもとに上記通行止め及び危険箇所が反映された道路地図を作成する。次に、データメモリ12から帰宅困難者の自宅位置特定情報125、帰宅支援施設HM1の位置情報及び有効帰宅支援施設間距離126を読み出し、これらの情報をもとに、有効帰宅支援施設間距離126内に収まる帰宅支援施設間のルートを探索する。
【0053】
続いて、最短ルートの探索を行う。この最短ルートの探索は、帰宅困難者が情報を求めている帰宅支援施設を出発地としかつ自宅を目的地とした場合、次のように行われる。すなわち、基点となる帰宅支援施設と隣接する帰宅支援施設との間の距離(帰宅支援施設間距離)を示すデータテーブルと、最短ルート探索の代表的なアルゴリズムとして知られるダイクストラ法を利用して、上記出発地と目的地との間の帰宅途中において帰宅支援施設間を経由する最短ルートを計算する。
【0054】
上記最短ルートの探索結果をもとに最短ルートが決定されると、情報管理サーバSVは帰宅ルートの作成を行う。この帰宅ルートの作成機能は、上記最短ルート探索により決定された出発地と目的地とこれらの間を経由する帰宅支援施設を地図情報上にルートとして表現するための機能である。
【0055】
上記最適帰宅ルートが作成されると、情報管理サーバSVは続いてステップST135に移行し、ここで情報投影プログラム132を実行する。ここでは、上記帰宅ルートの探索プログラム(ステップST134)によって算出された最適帰宅ルートを、地図情報124上に関連付ける処理が行われる。この処理により求められた情報が帰宅ルート情報127となり、また帰宅困難者の現在位置から次に経由する帰宅支援施設までのルートが隣接帰宅支援施設へのルート情報128となる。
【0056】
次に情報管理サーバSVは、ステップST136において、上記ステップST135により作成された帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128を、帰宅支援情報として支援要求元の情報提供端末TM1′へ送信する。これに対し情報提供端末TM1′は、上記帰宅支援情報を受信すると、上記受信された帰宅支援情報を、ステップST137によりデータ送受信機部TR1から要求元の携帯情報端末MS1へ転送する。
【0057】
携帯情報端末MS1は、上記情報提供端末TM1′から帰宅支援情報が到来すると、この受信された帰宅支援情報に含まれる帰宅ルート情報127及び隣接帰宅支援施設へのルート情報128をメモリ35に格納すると共に、ステップST138により情報表示部37に表示する。したがって、帰宅困難者は自身の携帯情報端末MS1に表示された情報を見ることで、最適帰宅ルートを把握することができる。
【0058】
以上述べたように第2の実施形態では、帰宅困難者が所持する携帯情報端末MS1,MS2,MS3を情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′を経由して情報管理サーバSVに接続可能とし、携帯情報端末MS1,MS2,MS3から情報管理サーバSVに帰宅困難者の自宅位置特定情報を送信すると共に、情報管理サーバSVから携帯情報端末MS1,MS2,MS3へ帰宅支援情報を伝送し表示するようにしている。
【0059】
したがって、帰宅困難者は自身が所持する携帯電話機又はPDAにより帰宅支援情報を受信し内容を確認することができる。このため、帰宅困難者は自身の携帯情報端末に表示された帰宅ルートを見ながら移動することが可能となり、情報提供端末TM1′,TM2′,TM3′において帰宅支援情報をプリントアウトする必要はなくなる。
【0060】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、情報提供端末を有線回線を介して通信ネットワークに接続する場合を例にとって説明したが、情報提供端末を無線回線を介して通信ネットワークに接続するようにしてもよい。無線回線としては無線LANを使用することができる。
その他、通信ネットワークの種類、情報管理サーバ及び情報提供端末の種類とその構成及び機能、最適帰宅ルートの探索アルゴリズム、帰宅支援情報のフォーマット等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0061】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明に係わる帰宅支援システムの第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示したシステムにおける情報管理サーバ及び情報提供端末の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示した情報管理サーバにおいて実行される帰宅ルート探索プログラムの手順と内容を示すフローチャート。
【図4】図3に示した帰宅ルート探索プログラムによる、危険箇所を考慮した地図情報の再構成処理を説明するための図。
【図5】図3に示した帰宅ルート探索プログラムによる帰宅支援施設間のルート作成処理を説明するための図。
【図6】図3に示した帰宅ルート探索プログラムによる、通行止めを考慮した地図情報の再構成処理を説明するための図。
【図7】起点となる帰宅支援施設と隣接する帰宅支援施設との間の距離の一例を示す図。
【図8】図1に示した帰宅支援システムにおける帰宅支援動作手順と動作内容を示すフローチャート。
【図9】最短ルート探索アルゴリズムにおいて使用される重み付きグラフの一例を示す図。
【図10】図9に示した重み付きグラフと等価なデータテーブルの一例を示す図。
【図11】この発明に係わる帰宅支援システムの第2の実施形態を示す概略構成図。
【図12】図11に示したシステムにおける情報管理サーバ、情報提供端末及び携帯情報端末の機能構成を示すブロック図。
【図13】図11に示した帰宅支援システムにおける帰宅支援動作手順と動作内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0063】
SV…情報管理サーバ、HM1,HM2,HM3…帰宅支援施設、TM1,TM2,TM3,TM1′,TM2′,TM3′…情報提供端末、MS1,MS2,MS3…携帯情報端末、NW1…公衆網、NW2,NW3…地域イントラネット、BS1,BS2,BS3…マルチホップ無線通信システムの基地局、11…情報管理サーバのCPU、12…情報管理サーバのデータメモリ、13…情報管理サーバのプログラムメモリ、14…情報管理サーバのデータ送受信部、15,31…情報提供端末のCPU、16,32…情報提供端末のデータ送受信部、17…情報表示部、18…情報入力部、33…携帯情報端末とのデータ送受信部、34…携帯情報端末のCPU、35…携帯情報端末のメモリ、36…携帯情報端末のデータ送受信部、37…携帯情報端末の情報表示部、121…帰宅支援施設の位置情報、122…通行止め情報、123…危険箇所情報、124…地図情報、125…自宅位置特定情報、126…有効帰宅支援施設間距離情報、127…帰宅ルート情報、128…隣接帰宅支援施設へのルート情報、131…帰宅ルート探索プログラム、132…情報投影プログラム、351…自宅位置特定情報、352…帰宅ルート情報、353…隣接帰宅支援施設へのルート情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報管理サーバと、この情報管理サーバに対し通信ネットワークを介して接続可能な少なくとも1つの情報提供端末とを備え、前記情報管理サーバから情報提供端末へ帰宅困難者に対応する帰宅支援情報を配信する帰宅支援システムであって、
前記情報提供端末は、
帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報の入力を受け付ける手段と、
前記受け付けた帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を、前記通信ネットワークを介して前記情報管理サーバへ送信する手段と
を備え、
前記情報管理サーバは、
地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報を記憶する手段と、
前記情報提供端末から前記通信ネットワークを介して前記帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を受信する手段と、
前記受信された帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報と、前記記憶された地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報とをもとに、前記帰宅困難者の現在位置から前記帰宅支援施設を経由して行き先場所に到る帰宅ルートを探索する手段と、
前記探索された帰宅ルートを地図上に投影した帰宅支援情報を作成する手段と、
前記作成された帰宅支援情報を、前記通信ネットワークを介して前記情報提供端末へ配信する手段と
を備え、
前記情報提供端末は、
前記情報管理サーバから前記通信ネットワークを介して前記帰宅支援情報を受信する手段と、
前記受信された帰宅支援情報を対応する帰宅困難者に提示する手段と
を備えることを特徴とする帰宅支援システム。
【請求項2】
前記帰宅ルートを探索する手段は、
前記障害発生箇所の位置情報をもとに、当該障害発生箇所を通行不能とするように前記地図情報を再構成する手段と、
帰宅支援施設間を予め定められた距離内で辿るための帰宅支援施設間ルートを探索する手段と、
前記帰宅困難者の現在位置情報から行き先場所までの最短ルートを探索する手段と、
前記再構成された地図情報と、前記探索された帰宅支援施設間ルート及び最短ルートとをもとに、前記帰宅ルートを探索する手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の帰宅支援システム。
【請求項3】
前記地図情報を再構成する手段は、前記障害発生箇所の位置情報をもとに、通行不能となる範囲の起点及び終点を求め、この起点及び終点を地図上に表示するべく地図情報を再構成することを特徴とする請求項2記載の帰宅支援システム。
【請求項4】
前記通信ネットワークは、既設の第1のネットワークと、この第1のネットワークと前記情報提供端末との間を接続するために臨時に敷設される第2のネットワークとを備え、かつこの第2のネットワークはマルチホップ無線通信システムにより構成されることを特徴とする請求項1記載の帰宅支援システム。
【請求項5】
前記帰宅困難者が携帯端末を所持する場合に、
前記情報提供端末は、
前記携帯端末との間で無線通信を行う無線インタフェースと、
前記携帯端末から送信される帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を前記無線インタフェースにより受信して前記情報管理サーバへ転送する手段と、
前記情報管理サーバから送られた帰宅支援情報を前記無線インタフェースから前記携帯端末へ転送する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の帰宅支援システム。
【請求項6】
コンピュータを備える情報管理サーバから情報提供端末へ、帰宅困難者に対応する帰宅支援情報を配信する帰宅支援システムで使用される帰宅支援情報作成プログラムであって、
地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報を管理する処理と、
前記情報提供端末から帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報を受信する処理と、
前記受信された帰宅困難者の現在位置情報及び行き先場所の位置情報と、前記地図情報、帰宅支援施設の位置情報及び障害発生箇所の位置情報とをもとに、前記帰宅困難者の現在位置から前記帰宅支援施設を経由して行き先場所に到る帰宅ルートを探索する処理と、
前記探索された帰宅ルートを地図上に投影した帰宅支援情報を作成する処理と、
前記作成された帰宅支援情報を前記情報提供端末へ配信する処理と
を、前記情報管理サーバのコンピュータに実行させることを特徴とする帰宅支援情報作成プログラム。
【請求項7】
前記帰宅ルートを探索する処理は、
前記障害発生箇所の位置情報をもとに、当該障害発生箇所を通行不能とするように前記地図情報を再構成する処理と、
帰宅支援施設間を予め定められた距離内で辿るための帰宅支援施設間ルートを探索する処理と、
前記帰宅困難者の現在位置情報から行き先場所までの最短ルートを探索する処理と、
前記再構成された地図情報と、前記探索された帰宅支援施設間ルート及び最短ルートとをもとに、前記帰宅ルートを探索する処理と
を、前記情報管理サーバのコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6記載の帰宅支援情報作成プログラム。
【請求項8】
前記地図情報を再構成する処理は、前記障害発生箇所の位置情報をもとに、通行不能となる範囲の起点及び終点を求め、この起点及び終点を地図上に表示するべく地図情報を再構成することを特徴とする請求項7記載の帰宅支援情報作成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−46919(P2007−46919A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228781(P2005−228781)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】