建機キャブ構造
【課題】建機が転倒したときであってもキャブの変形を抑えることができる建機キャブ構造を提供する。
【解決手段】ルーフレール6、7のフランジ12をそれぞれ斜め上方に屈曲させてルーフパネル13の取り付け位置を高くし、ルーフパネル13とルーフパット25との間に配置されるルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものである。
【解決手段】ルーフレール6、7のフランジ12をそれぞれ斜め上方に屈曲させてルーフパネル13の取り付け位置を高くし、ルーフパネル13とルーフパット25との間に配置されるルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーショベル等の建機の建機キャブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6、図7及び図8に示すように、建機キャブ30の構造には、左右のフロントピラー31,32とルーフレール33、34を異形鋼管で一体に形成するものがある。
【0003】
異形鋼管は、鋼管を引き抜き加工して断面異形状に形成されるものであり、側方に延出するフランジ35を有する。このフランジ35は、フロントピラー31、32の位置では閉時のフロントウィンドウ36をシールするウエザーストリップ取付用フランジとして機能し、ルーフレール33、34の位置ではルーフパネル37を取り付けるための取付フランジとして機能する。
【0004】
また、ルーフパネル37の下方のルーフレール33、34間には、ルーフレール33、34に作用する左右方向の力を受けるためのルーフレインフォースメント38が1つないし複数掛け渡して設けられ、これらルーフレインフォースメント38の下方のルーフレール33、34間には、天井を形成するルーフパット39が設けられるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−207479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異形鋼管を用いてフロントピラー31、32及びルーフレール33、34を構成する建機キャブ構造の場合、フロントピラー31、32とルーフレール33、34は同一断面となり、フランジ35の形状がフロントウィンドウ36に合わせるように決定されるため、キャブ転倒時の横荷重を受けるルーフレインフォースメント38がレイアウトし難い形状になるという課題があった。
【0007】
このため、建機キャブ30が転倒した際には、ルーフレインフォースメント38が十分に機能しない可能性があった。この場合、ルーフ40に作用する横荷重41を前後のヘッダ42、43のみで支えることとなり、リヤヘッダ43より断面の小さなフロントヘッダ42が座屈し、建機キャブ30が著しく変形する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、建機が転倒したときであっても建機キャブの変形を抑えることができる建機キャブ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、左右一対のフロントピラー間にフロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるべくそれぞれのフロントピラーを、フロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるためのフランジを有する異形鋼管で形成すると共に、その異形鋼管をそれぞれフロントピラーの上端から後方に延長してルーフレールを形成し、これらルーフレールのフランジ間にルーフパネルを設け、該ルーフパネルの下方のルーフレール間に左右方向に延びるルーフレインフォースメントを複数掛け渡して設け、該ルーフレインフォースメントの下方のルーフレール間にルーフパットを設けて天井を形成する建設機械キャブにおいて、上記ルーフレールのフランジをそれぞれ斜め上方に屈曲させて上記ルーフパネルの取り付け位置を高くし、このルーフパネルと上記ルーフパットとの間に配置されるルーフレインフォースメントの断面積を大きくするものである。
【0010】
上記ルーフレインフォースメントは、断面U字状の本体部と、該本体部のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成され上記ルーフパネルに溶接される取付部とを備え、ルーフパネルに溶接されることで閉断面となるとよい。
【0011】
上記ルーフレールの前部はそれぞれ上記フロントピラーと同一断面に形成され、これらルーフレールの前部間のルーフパネルにはルーフ窓が形成されるとよい。
【0012】
上記ルーフレインフォースメントの下面には、上記ルーフ窓を覆うためのサンシェードがサンシェードレールを介してスライド自在に設けられるとよい。
【0013】
上記サンシェードレールは上記サンシェードの側端をスライド自在に挿入させるガイド溝を有し、上記ルーフパットは上記サンシェードレールの下面に取り付けられるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルーフの強度を高めることができ、建機が転倒したときであってもキャブの変形を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。図1は建機キャブの上部を示し、図2は図1のA−A線矢印断面を示し、図3は図1のB−B線矢印断面を示し、図4は図3の右端部の詳細を示すものである。
【0016】
図1に示すように、建機キャブ1は、パワーショベル等の建機のオペレータ室を形成するものであり、箱状に形成されている。また、建機キャブ1は、骨組2にガラスや鋼板を取り付けてなるフレーム構造となっている。
【0017】
建機キャブ1の骨組2は、前後左右に延びる矩形枠状に形成された台座フレーム(図示せず)と、この台座フレームの前部の左右に起立して設けられた一対のフロントピラー4、5と、フロントピラー4、5の上端から後方に延長して形成されたルーフレール6、7と、上記台座フレームの後部の左右に起立して設けられ上端をルーフレール6、7の後端部に接続される左右一対のリアピラー8と、一対のフロントピラー4、5の上端間に掛け渡して設けられたフロントヘッダ9と、一対のリアピラー8の上端間に掛け渡して設けられたリアヘッダ10とを備えて構成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、左右一対のフロントピラー4、5は、それぞれフロントウィンドウ11用のウエザーストリップ28を取り付けるためのフランジ12を有する異形鋼管にて形成されている。フランジ12は、異形鋼管の一側を板状に引き抜いて形成されており、異形鋼管の径方向外方に延びると共に軸方向に沿って形成されている。右側のフロントピラー5と左側のフロントピラー4とは、互いにフランジ12の先端を対向させるように左右対称に形成されており、それぞれのフランジ12にフロントウィンドウ11用のウエザーストリップ28を取り付けるようになっている。
【0019】
ルーフレール6、7は、フロントピラー4、5を構成するそれぞれの異形鋼管をフロントピラー4、5の上端から後方に延長して形成されており、フロントピラー4、5と一体に形成されている。左右のルーフレール6、7の前部はそれぞれフロントピラー4、5と同一断面に形成されており、それぞれのルーフレール6、7の前部のフランジ12は、先端を相対向させるように略水平に延びて形成されている。図3及び図4に示すように、ルーフレール6、7の後部のフランジ12は、先端が斜め上方に向くように屈曲して形成されている。また、これらルーフレール6、7のフランジ12間には、建機キャブ1の屋根を構成するルーフパネル13が設けられている。ルーフパネル13は、プレス加工により所定の形状に形成された鋼板からなり、左右両側をそれぞれフランジ12に溶接されている。ルーフパネル13は、後部を隆起させるように屈曲して形成されており、ルーフパネル13の左右両側がフランジ12の端部に重なるようになっている。フランジ12とルーフパネル13の溶接部14の上面には、溶接部14を水密に覆うシーラー15が設けられている。
【0020】
図1及び図3に示すように、ルーフパネル13の前部には、ルーフ窓16が形成されており、ルーフパネル13後部の下方のルーフレール6、7間には、左右方向に延びるルーフレインフォースメント17が1つないし複数掛け渡して設けられている。図5に示すように、ルーフレインフォースメント17は、断面U字状に形成された本体部18と、本体部18のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成されルーフパネル13に溶接される取付部19とからなる。本体部18は、左右方向の両端をそれぞれルーフレール6、7に当接されており、ルーフレール6、7に作用する転倒時の横荷重(左右方向の外力)27を受けるようになっている。取付部19は、ルーフパネル13の下面に溶接されることでルーフレインフォースメント17をルーフパネル13と一体の閉断面とし、横荷重27に対するルーフレインフォースメント17の強度を向上するようになっている。
【0021】
図4に示すように、、ルーフレインフォースメント17は左右両端をフランジ12の傾斜に合わせるように傾斜されており、中央部20の断面積が両端部21の断面積、すなわち、従来のルーフレインフォースメントの断面積より大きく形成されている。また、ルーフレインフォースメント17の両端部21の高さは従来のルーフレインフォースメントと略同じ高さに形成されており、建機キャブ1内の居住空間を低くしないようになっている。
【0022】
ルーフレインフォースメント17の下面には、ルーフ窓16を覆うためのサンシェード22がサンシェードレール23を介してスライド自在に設けられている。サンシェード22は、ルーフ窓16より若干大きな寸法に形成された板材からなる。サンシェードレール23は、サンシェード22の両側を前後スライド自在に支持するものであり、ルーフレインフォースメント17の下面に左右に離間して一対取り付けられている。サンシェードレール23は、それぞれ前後方向に延びて形成されており、それぞれサンシェード22の側端をスライド自在に挿入させるガイド溝24を有する。
【0023】
また、それぞれのサンシェードレール23の下面には、オペレータ室の天井を構成するルーフパット25が取り付けられている。
【0024】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0025】
建機キャブ1を有する建機(図示せず)が転倒して建機キャブ1のルーフレール6、7に横荷重27が作用した場合、この外力はフロントヘッダ9及びリアヘッダ10に伝わると共に、ルーフレインフォースメント17に伝わる。このとき、ルーフレインフォースメント17は、従来よりも大きな閉断面に形成されて強度を大きくされているため、ほとんど変形せずに外力を受けることができ、フロントヘッダ9及びリアヘッダ10に作用する力を軽減でき、フロントヘッダ9及びリアヘッダ10の変形を抑えることができる。
【0026】
また、ルーフパネル13の高さを高くしてルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものであるため、建機キャブ1の天井位置(ルーフパット25の位置)が低くなるのを防ぐことができ、居住性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0027】
このように、ルーフレール6、7のフランジ12をそれぞれ斜め上方に屈曲させてルーフパネル13の取り付け位置を高くし、ルーフパネル13とルーフパット25との間に配置されるルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものとしたため、ルーフレール6、7を構成する異形鋼管のフランジ12を屈曲させるだけの簡単な追加工で容易にルーフレインフォースメント17の設置スペースを大きくすることができ、キャブ転倒時の横荷重27を受けるルーフレインフォースメント17を容易にレイアウトすることができる。そして、横荷重27に対するルーフ26の強度を容易に高めることができ、建機キャブ1の安全性を高めることができる。
【0028】
また、ルーフレインフォースメント17は、断面U字状の本体部18と、本体部18のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成されルーフパネル13に溶接される取付部19とを備え、ルーフパネル13に溶接されることで閉断面となる構造としたため、ルーフパネル13を強度材の一部として利用することができ、ルーフ26の強度を効率よく高めることができる。
【0029】
ルーフレール6、7の前部はそれぞれフロントピラー4、5と同一断面に形成され、これらルーフレール6、7の前部間のルーフパネル13にはルーフ窓16が形成されるものとしたため、ルーフ26後部で横荷重27を受けられるようにしつつ、広い視野を確保することができる。
【0030】
ルーフレインフォースメント17の下面には、ルーフ窓16を覆うためのサンシェード22がサンシェードレール23を介してスライド自在に設けられるものとしたため、ルーフ窓16を簡単な構造で開閉できる。
【0031】
サンシェードレール23はサンシェード22の側端をスライド自在に挿入させるガイド溝24を有し、ルーフパット25はサンシェードレール23の下面に取り付けられるものとしたため、サンシェード22と天井を簡易な構造にできる。
【0032】
なお、ルーフレインフォースメント17はルーフ26後部に設けるものとしたが、これに限るものではない。ルーフ26前部にルーフ窓16を設けない場合、ルーフ26全体に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す建機キャブの上部斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図4のC−C線矢視断面図である。
【図6】従来の建機キャブの上部斜視図である。
【図7】図6のD−D線矢視断面図である。
【図8】図6のE−E線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 建機キャブ
4 フロントピラー
5 フロントピラー
6 ルーフレール
7 ルーフレール
11 フロントウィンドウ
12 フランジ
13 ルーフパネル
16 ルーフ窓
17 ルーフレインフォースメント
18 本体部
19 取付部
22 サンシェード
23 サンシェードレール
24 ガイド溝
25 ルーフパット
28 フロントウィンドウ用ウエザーストリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーショベル等の建機の建機キャブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6、図7及び図8に示すように、建機キャブ30の構造には、左右のフロントピラー31,32とルーフレール33、34を異形鋼管で一体に形成するものがある。
【0003】
異形鋼管は、鋼管を引き抜き加工して断面異形状に形成されるものであり、側方に延出するフランジ35を有する。このフランジ35は、フロントピラー31、32の位置では閉時のフロントウィンドウ36をシールするウエザーストリップ取付用フランジとして機能し、ルーフレール33、34の位置ではルーフパネル37を取り付けるための取付フランジとして機能する。
【0004】
また、ルーフパネル37の下方のルーフレール33、34間には、ルーフレール33、34に作用する左右方向の力を受けるためのルーフレインフォースメント38が1つないし複数掛け渡して設けられ、これらルーフレインフォースメント38の下方のルーフレール33、34間には、天井を形成するルーフパット39が設けられるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−207479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異形鋼管を用いてフロントピラー31、32及びルーフレール33、34を構成する建機キャブ構造の場合、フロントピラー31、32とルーフレール33、34は同一断面となり、フランジ35の形状がフロントウィンドウ36に合わせるように決定されるため、キャブ転倒時の横荷重を受けるルーフレインフォースメント38がレイアウトし難い形状になるという課題があった。
【0007】
このため、建機キャブ30が転倒した際には、ルーフレインフォースメント38が十分に機能しない可能性があった。この場合、ルーフ40に作用する横荷重41を前後のヘッダ42、43のみで支えることとなり、リヤヘッダ43より断面の小さなフロントヘッダ42が座屈し、建機キャブ30が著しく変形する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、建機が転倒したときであっても建機キャブの変形を抑えることができる建機キャブ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、左右一対のフロントピラー間にフロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるべくそれぞれのフロントピラーを、フロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるためのフランジを有する異形鋼管で形成すると共に、その異形鋼管をそれぞれフロントピラーの上端から後方に延長してルーフレールを形成し、これらルーフレールのフランジ間にルーフパネルを設け、該ルーフパネルの下方のルーフレール間に左右方向に延びるルーフレインフォースメントを複数掛け渡して設け、該ルーフレインフォースメントの下方のルーフレール間にルーフパットを設けて天井を形成する建設機械キャブにおいて、上記ルーフレールのフランジをそれぞれ斜め上方に屈曲させて上記ルーフパネルの取り付け位置を高くし、このルーフパネルと上記ルーフパットとの間に配置されるルーフレインフォースメントの断面積を大きくするものである。
【0010】
上記ルーフレインフォースメントは、断面U字状の本体部と、該本体部のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成され上記ルーフパネルに溶接される取付部とを備え、ルーフパネルに溶接されることで閉断面となるとよい。
【0011】
上記ルーフレールの前部はそれぞれ上記フロントピラーと同一断面に形成され、これらルーフレールの前部間のルーフパネルにはルーフ窓が形成されるとよい。
【0012】
上記ルーフレインフォースメントの下面には、上記ルーフ窓を覆うためのサンシェードがサンシェードレールを介してスライド自在に設けられるとよい。
【0013】
上記サンシェードレールは上記サンシェードの側端をスライド自在に挿入させるガイド溝を有し、上記ルーフパットは上記サンシェードレールの下面に取り付けられるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルーフの強度を高めることができ、建機が転倒したときであってもキャブの変形を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。図1は建機キャブの上部を示し、図2は図1のA−A線矢印断面を示し、図3は図1のB−B線矢印断面を示し、図4は図3の右端部の詳細を示すものである。
【0016】
図1に示すように、建機キャブ1は、パワーショベル等の建機のオペレータ室を形成するものであり、箱状に形成されている。また、建機キャブ1は、骨組2にガラスや鋼板を取り付けてなるフレーム構造となっている。
【0017】
建機キャブ1の骨組2は、前後左右に延びる矩形枠状に形成された台座フレーム(図示せず)と、この台座フレームの前部の左右に起立して設けられた一対のフロントピラー4、5と、フロントピラー4、5の上端から後方に延長して形成されたルーフレール6、7と、上記台座フレームの後部の左右に起立して設けられ上端をルーフレール6、7の後端部に接続される左右一対のリアピラー8と、一対のフロントピラー4、5の上端間に掛け渡して設けられたフロントヘッダ9と、一対のリアピラー8の上端間に掛け渡して設けられたリアヘッダ10とを備えて構成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、左右一対のフロントピラー4、5は、それぞれフロントウィンドウ11用のウエザーストリップ28を取り付けるためのフランジ12を有する異形鋼管にて形成されている。フランジ12は、異形鋼管の一側を板状に引き抜いて形成されており、異形鋼管の径方向外方に延びると共に軸方向に沿って形成されている。右側のフロントピラー5と左側のフロントピラー4とは、互いにフランジ12の先端を対向させるように左右対称に形成されており、それぞれのフランジ12にフロントウィンドウ11用のウエザーストリップ28を取り付けるようになっている。
【0019】
ルーフレール6、7は、フロントピラー4、5を構成するそれぞれの異形鋼管をフロントピラー4、5の上端から後方に延長して形成されており、フロントピラー4、5と一体に形成されている。左右のルーフレール6、7の前部はそれぞれフロントピラー4、5と同一断面に形成されており、それぞれのルーフレール6、7の前部のフランジ12は、先端を相対向させるように略水平に延びて形成されている。図3及び図4に示すように、ルーフレール6、7の後部のフランジ12は、先端が斜め上方に向くように屈曲して形成されている。また、これらルーフレール6、7のフランジ12間には、建機キャブ1の屋根を構成するルーフパネル13が設けられている。ルーフパネル13は、プレス加工により所定の形状に形成された鋼板からなり、左右両側をそれぞれフランジ12に溶接されている。ルーフパネル13は、後部を隆起させるように屈曲して形成されており、ルーフパネル13の左右両側がフランジ12の端部に重なるようになっている。フランジ12とルーフパネル13の溶接部14の上面には、溶接部14を水密に覆うシーラー15が設けられている。
【0020】
図1及び図3に示すように、ルーフパネル13の前部には、ルーフ窓16が形成されており、ルーフパネル13後部の下方のルーフレール6、7間には、左右方向に延びるルーフレインフォースメント17が1つないし複数掛け渡して設けられている。図5に示すように、ルーフレインフォースメント17は、断面U字状に形成された本体部18と、本体部18のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成されルーフパネル13に溶接される取付部19とからなる。本体部18は、左右方向の両端をそれぞれルーフレール6、7に当接されており、ルーフレール6、7に作用する転倒時の横荷重(左右方向の外力)27を受けるようになっている。取付部19は、ルーフパネル13の下面に溶接されることでルーフレインフォースメント17をルーフパネル13と一体の閉断面とし、横荷重27に対するルーフレインフォースメント17の強度を向上するようになっている。
【0021】
図4に示すように、、ルーフレインフォースメント17は左右両端をフランジ12の傾斜に合わせるように傾斜されており、中央部20の断面積が両端部21の断面積、すなわち、従来のルーフレインフォースメントの断面積より大きく形成されている。また、ルーフレインフォースメント17の両端部21の高さは従来のルーフレインフォースメントと略同じ高さに形成されており、建機キャブ1内の居住空間を低くしないようになっている。
【0022】
ルーフレインフォースメント17の下面には、ルーフ窓16を覆うためのサンシェード22がサンシェードレール23を介してスライド自在に設けられている。サンシェード22は、ルーフ窓16より若干大きな寸法に形成された板材からなる。サンシェードレール23は、サンシェード22の両側を前後スライド自在に支持するものであり、ルーフレインフォースメント17の下面に左右に離間して一対取り付けられている。サンシェードレール23は、それぞれ前後方向に延びて形成されており、それぞれサンシェード22の側端をスライド自在に挿入させるガイド溝24を有する。
【0023】
また、それぞれのサンシェードレール23の下面には、オペレータ室の天井を構成するルーフパット25が取り付けられている。
【0024】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0025】
建機キャブ1を有する建機(図示せず)が転倒して建機キャブ1のルーフレール6、7に横荷重27が作用した場合、この外力はフロントヘッダ9及びリアヘッダ10に伝わると共に、ルーフレインフォースメント17に伝わる。このとき、ルーフレインフォースメント17は、従来よりも大きな閉断面に形成されて強度を大きくされているため、ほとんど変形せずに外力を受けることができ、フロントヘッダ9及びリアヘッダ10に作用する力を軽減でき、フロントヘッダ9及びリアヘッダ10の変形を抑えることができる。
【0026】
また、ルーフパネル13の高さを高くしてルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものであるため、建機キャブ1の天井位置(ルーフパット25の位置)が低くなるのを防ぐことができ、居住性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0027】
このように、ルーフレール6、7のフランジ12をそれぞれ斜め上方に屈曲させてルーフパネル13の取り付け位置を高くし、ルーフパネル13とルーフパット25との間に配置されるルーフレインフォースメント17の断面積を大きくするものとしたため、ルーフレール6、7を構成する異形鋼管のフランジ12を屈曲させるだけの簡単な追加工で容易にルーフレインフォースメント17の設置スペースを大きくすることができ、キャブ転倒時の横荷重27を受けるルーフレインフォースメント17を容易にレイアウトすることができる。そして、横荷重27に対するルーフ26の強度を容易に高めることができ、建機キャブ1の安全性を高めることができる。
【0028】
また、ルーフレインフォースメント17は、断面U字状の本体部18と、本体部18のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成されルーフパネル13に溶接される取付部19とを備え、ルーフパネル13に溶接されることで閉断面となる構造としたため、ルーフパネル13を強度材の一部として利用することができ、ルーフ26の強度を効率よく高めることができる。
【0029】
ルーフレール6、7の前部はそれぞれフロントピラー4、5と同一断面に形成され、これらルーフレール6、7の前部間のルーフパネル13にはルーフ窓16が形成されるものとしたため、ルーフ26後部で横荷重27を受けられるようにしつつ、広い視野を確保することができる。
【0030】
ルーフレインフォースメント17の下面には、ルーフ窓16を覆うためのサンシェード22がサンシェードレール23を介してスライド自在に設けられるものとしたため、ルーフ窓16を簡単な構造で開閉できる。
【0031】
サンシェードレール23はサンシェード22の側端をスライド自在に挿入させるガイド溝24を有し、ルーフパット25はサンシェードレール23の下面に取り付けられるものとしたため、サンシェード22と天井を簡易な構造にできる。
【0032】
なお、ルーフレインフォースメント17はルーフ26後部に設けるものとしたが、これに限るものではない。ルーフ26前部にルーフ窓16を設けない場合、ルーフ26全体に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す建機キャブの上部斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図4のC−C線矢視断面図である。
【図6】従来の建機キャブの上部斜視図である。
【図7】図6のD−D線矢視断面図である。
【図8】図6のE−E線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 建機キャブ
4 フロントピラー
5 フロントピラー
6 ルーフレール
7 ルーフレール
11 フロントウィンドウ
12 フランジ
13 ルーフパネル
16 ルーフ窓
17 ルーフレインフォースメント
18 本体部
19 取付部
22 サンシェード
23 サンシェードレール
24 ガイド溝
25 ルーフパット
28 フロントウィンドウ用ウエザーストリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のフロントピラー間にフロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるべくそれぞれのフロントピラーを、フロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるためのフランジを有する異形鋼管で形成すると共に、その異形鋼管をそれぞれフロントピラーの上端から後方に延長してルーフレールを形成し、これらルーフレールのフランジ間にルーフパネルを設け、該ルーフパネルの下方のルーフレール間に左右方向に延びるルーフレインフォースメントを複数掛け渡して設け、該ルーフレインフォースメントの下方のルーフレール間にルーフパットを設けて天井を形成する建機キャブ構造において、上記ルーフレールのフランジをそれぞれ斜め上方に屈曲させて上記ルーフパネルの取り付け位置を高くし、このルーフパネルと上記ルーフパットとの間に配置されるルーフレインフォースメントの断面積を大きくすることを特徴とする建機キャブ構造。
【請求項2】
上記ルーフレインフォースメントは、断面U字状の本体部と、該本体部のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成され上記ルーフパネルに溶接される取付部とを備え、ルーフパネルに溶接されることで閉断面となる請求項1記載の建機キャブ構造。
【請求項3】
上記ルーフレールの前部はそれぞれ上記フロントピラーと同一断面に形成され、これらルーフレールの前部間のルーフパネルにはルーフ窓が形成される請求項1又は2記載の建機キャブ構造。
【請求項4】
上記ルーフレインフォースメントの下面には、上記ルーフ窓を覆うためのサンシェードがサンシェードレールを介してスライド自在に設けられる請求項3記載の建機キャブ構造。
【請求項5】
上記サンシェードレールは上記サンシェードの側端をスライド自在に挿入させるガイド溝を有し、上記ルーフパットは上記サンシェードレールの下面に取り付けられる請求項4記載の建機キャブ構造。
【請求項1】
左右一対のフロントピラー間にフロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるべくそれぞれのフロントピラーを、フロントウィンドウ用ウエザーストリップを取り付けるためのフランジを有する異形鋼管で形成すると共に、その異形鋼管をそれぞれフロントピラーの上端から後方に延長してルーフレールを形成し、これらルーフレールのフランジ間にルーフパネルを設け、該ルーフパネルの下方のルーフレール間に左右方向に延びるルーフレインフォースメントを複数掛け渡して設け、該ルーフレインフォースメントの下方のルーフレール間にルーフパットを設けて天井を形成する建機キャブ構造において、上記ルーフレールのフランジをそれぞれ斜め上方に屈曲させて上記ルーフパネルの取り付け位置を高くし、このルーフパネルと上記ルーフパットとの間に配置されるルーフレインフォースメントの断面積を大きくすることを特徴とする建機キャブ構造。
【請求項2】
上記ルーフレインフォースメントは、断面U字状の本体部と、該本体部のそれぞれの上端から水平方向外方に延びて形成され上記ルーフパネルに溶接される取付部とを備え、ルーフパネルに溶接されることで閉断面となる請求項1記載の建機キャブ構造。
【請求項3】
上記ルーフレールの前部はそれぞれ上記フロントピラーと同一断面に形成され、これらルーフレールの前部間のルーフパネルにはルーフ窓が形成される請求項1又は2記載の建機キャブ構造。
【請求項4】
上記ルーフレインフォースメントの下面には、上記ルーフ窓を覆うためのサンシェードがサンシェードレールを介してスライド自在に設けられる請求項3記載の建機キャブ構造。
【請求項5】
上記サンシェードレールは上記サンシェードの側端をスライド自在に挿入させるガイド溝を有し、上記ルーフパットは上記サンシェードレールの下面に取り付けられる請求項4記載の建機キャブ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−35198(P2009−35198A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202881(P2007−202881)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
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