説明

建設機械

【課題】 熱交換装置を建屋カバーによって覆うときの作業性を高める。
【解決手段】旋回フレーム5上に立設された熱交換装置12の支持枠体13に、熱交換装置カバー25を直接的に取付ける構成とする。これにより、熱交換装置12の周囲に、熱交換装置カバー25を取付けるためのカバー取付用骨組みを設ける必要がなくなるので、熱交換装置カバー25の取付構造を簡素化することができ、部品点数の削減を図ることができる。また、熱交換装置12と熱交換装置カバー25とをユニット化することができるので、熱交換装置12に対して熱交換装置カバー25を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に、建屋カバー内に熱交換装置を収容した建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより大略構成され、上部旋回体の前部側には、掘削作業用の作業装置が俯仰動可能に設けられている。
【0003】
そして、下部走行体と共に油圧ショベルの車体を構成する上部旋回体は、強固な支持構造体をなす旋回フレームを有し、この旋回フレーム上には、運転室を画成するキャブ、エンジン、熱交換装置等の機器類、これら各機器類を収容する建屋カバー等が設けられている。また、旋回フレームの後端側には、作業装置との重量バランスをとるカウンタウェイトが設けられている。
【0004】
ここで、上述の建屋カバーは、通常、旋回フレーム上に組立てられたカバー取付用骨組みに取付けられ、このカバー取付用骨組みは、旋回フレーム上に立設された複数本の支柱と、これら各支柱間を連結する複数本の横梁とからなる骨組み構造をなしている。そして、カバー取付用骨組みに取付けた建屋カバーによって、エンジン、熱交換装置等の機器類が覆われる構成となっている。
【0005】
一方、建屋カバー内に収容される熱交換装置は、通常、旋回フレームに立設される支持枠体と、該支持枠体によって支持された熱交換器とにより構成され、この熱交換器としては、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、油圧アクチュエータに供給される作動油を冷却するオイルクーラ、キャブ内の空気を調和する空調装置用のコンデンサ等がある。そして、熱交換装置は、熱交換器内を流れる加熱された流体(エンジン冷却水、作動油、冷媒等)の熱を、建屋カバー内に導入された冷却風によって冷却するものである。
【0006】
ここで、従来技術による建屋カバーを備えた建設機械として、熱交換装置を構成する支持枠体を、カバー取付用骨組みの一部として利用するものが提案されている。この従来技術によれば、熱交換装置の支持枠体をカバー取付用骨組みの一部として利用することにより、カバー取付用骨組みを構成する支柱の本数を削減し、この分、カバー取付用骨組みを組立てるときの作業性を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−58796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術による建設機械は、カバー取付用骨組みを構成する複数本の支柱のうちの一部を、熱交換装置の支持枠体によって代用するだけであり、カバー取付用骨組みを用いて建屋カバーを取付けるという基本的な構成には変わりがない。
【0009】
このように、カバー取付用骨組みを用いた建屋カバーの取付構造が複雑であり、熱交換装置等を建屋カバーによって覆うときの作業性が低下してしまい、油圧ショベル全体の製造コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、車体フレームに設けられた熱交換装置を建屋カバーによって覆うときの作業性を高めることができるようにした建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、車体を構成する車体フレームと、該車体フレーム上に設けられ内部にエンジンを含む機器類を収容する建屋カバーと、該建屋カバー内に位置して車体フレームに設けられた熱交換装置とを備えてなる建設機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、熱交換装置は、車体フレームに取付けられた支持枠体と、該支持枠体によって支持され加熱された流体を熱交換する熱交換器とにより構成し、支持枠体には建屋カバーの一部を取付けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、熱交換装置の支持枠体にはカバー取付用のブラケットを着脱可能に取付け、建屋カバーの一部は該ブラケットを介して支持枠体に取付ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、熱交換装置の支持枠体には建屋カバーの一部を直接取付ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、熱交換装置は車体フレームに複数台設け、これら各熱交換装置の支持枠体には建屋カバーの一部を取付ける構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、建屋カバーは、エンジンを覆うエンジンカバーと、熱交換装置を覆う熱交換装置カバーとにより構成し、熱交換装置カバーは熱交換装置の支持枠体に取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、熱交換装置を構成する支持枠体に建屋カバーの一部を取付ける構成としたので、熱交換装置の周囲には、建屋カバーを取付けるためのカバー取付用骨組みを設ける必要がない。これにより、建屋カバーの取付構造を簡素化することができ、部品点数の削減を図ることができると共に、熱交換装置を建屋カバーによって覆うときの作業性を高めることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、建屋カバーの一部は、熱交換装置の支持枠体に着脱可能に取付けたブラケットを介して該支持枠体に取付けられるので、例えば熱交換装置の機種によって支持枠体の高さ寸法が変化した場合でも、この支持枠体にブラケットを取付けることにより、建屋カバーの一部をブラケットを介して支持枠体に確実に取付けることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、熱交換装置の支持枠体に建屋カバーの一部を直接取付けることにより、部品点数を大幅に低減することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、車体フレームに複数台の熱交換装置を設けた場合でも、これら各熱交換装置の支持枠体に建屋カバーの一部を取付けることにより、建屋カバーの取付構造を簡素化することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、建屋カバーの一部を構成する熱交換装置カバーを、カバー取付用骨組みを用いることなく熱交換装置の支持枠体に取付けることができるので、熱交換装置カバーの取付構造を簡素化すると共に、部品点数の削減を図ることができる。また、熱交換装置と熱交換装置カバーとをユニット化することができるので、熱交換装置に対して熱交換装置カバーを取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図10を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示し、図中、1は土砂等の掘削作業に用いられる油圧ショベルを示している。ここで、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とによって車体が構成され、上部旋回体3の前部側には掘削作業用の作業装置4が設けられている。
【0024】
5は上部旋回体3のベースをなす車体フレームとしての旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図3ないし図6に示すように、左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレーム5Aと、該センタフレーム5Aを挟んで左,右両側に配置され、D型の断面形状をもって前,後方向に延びた左,右のサイドフレーム5B(右側のみ図示)と、センタフレーム5Aとサイドフレーム5Bとの間を連結するビーム5Cとにより大略構成され、強固な骨組み構造をなしている。また、ビーム5C上には、コ字型の断面形状をもって前,後方向に延びる取付ベース5Dが配設され、該取付ベース5D上には、後述の熱交換装置12が取付けられる構成となっている。
【0025】
そして、旋回フレーム5の前部側には、作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が取付けられている。
【0026】
7は上部旋回体3の前部左側に位置して旋回フレーム5上に設けられたキャブで、該キャブ7は運転室を画成し、その内部には、オペレータが着席する運転席、操作レバー等(いずれも図示せず)が設けられている。
【0027】
8はキャブ7の後側に位置して旋回フレーム5の左端側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク8は、油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。また、9は旋回フレーム5の右端側に設けられた燃料タンクで、該燃料タンク9は、後述のエンジン10に供給される燃料を貯溜するものである。
【0028】
10はカウンタウエイト6よりも前側に位置して旋回フレーム5の後部側に設けられたエンジンで、該エンジン10は、図2に示すように、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。そして、エンジン10の左側には油圧ポンプ11が取付けられ、該油圧ポンプ11は、エンジン10によって駆動されることにより、作動油タンク9内の作動油を油圧ショベル1に搭載された各油圧アクチュエータに向けて圧送するものである。
【0029】
12はエンジン10の右側に設けられた熱交換装置で、該熱交換装置12は、図5および図6に示すように、後述の支持枠体13と、後述のラジエータ15、オイルクーラ16、インタクーラ17、エアコン用コンデンサ18、燃料クーラ19からなる熱交換器とより大略構成されている。
【0030】
13は熱交換装置12の外殻をなす支持枠体で、該支持枠体13は、図5および図6に示すように、旋回フレーム5の取付ベース5D上にボルト14を用いて立設され、上端側が開口した長方形の枠状に形成されている。ここで、支持枠体13は、前,後方向で対面しつつ上,下方向に延びた前縦枠13A,後縦枠13Bと、これら前,後の縦枠13A,13B間を連結し前,後方向に延びた複数の横枠13Cとにより、強固な支持構造体をなしている。
【0031】
また、前縦枠13Aと後縦枠13Bの上端部間には、前,後方向に延びる平板状のねじ座13Dが一体に設けられ、このねじ座13Dには後述のブラケット21が取付けられる構成となっている。また、前縦枠13Aには上,下方向に延びるねじ座13Eが一体に設けられ、後縦枠13Bには上,下方向に延びるねじ座13Fが一体に設けられ、これら各ねじ座13E,13Fには、後述する熱交換装置カバー25の右側カバー25Bが取付けられる構成となっている。
【0032】
15は支持枠体13内に配置されたラジエータで、該ラジエータ15は、後述のオイルクーラ16、インタクーラ17、コンデンサ18、燃料クーラ19と共に、支持枠体13によって支持される熱交換器を構成するものである。そして、ラジエータ15は、エンジン10の冷却水が流通する放熱部を有し、後述の冷却ファン20による冷却風が放熱部を通過することにより、エンジン冷却水の熱を冷却風中に放熱して該エンジン冷却水を冷却するものである。
【0033】
16はラジエータ15に隣接して支持枠体13内に配置されたオイルクーラで、該オイルクーラ16は、油圧ショベル1に搭載された各油圧アクチュエータからの戻り油が流通する放熱部を有し、油圧アクチュエータからの戻り油の熱を冷却風中に放熱することにより、作動油タンク8内に戻る作動油を冷却するものである。
【0034】
17はラジエータ15等と左,右方向で対面するように支持枠体13に取付けられたインタクーラで、該インタクーラ17は、ターボ過給機(図示せず)によって吸入した空気の熱を冷却風中に放熱することにより、この吸入空気を冷却するものである。
【0035】
18はインタクーラ17よりも下側に位置して支持枠体13に取付けられたコンデンサで、該コンデンサ18は、キャブ7内の空気を調和する空調装置(図示せず)の冷媒を冷却するものである。また、19はコンデンサ18に隣接して支持枠体13に取付けられた燃料クーラで、該燃料クーラ19は、燃料タンク9内に貯溜された燃料を冷却するものである。
【0036】
20はラジエータ15およびオイルクーラ16と対面して支持枠体13に取付けられた冷却ファンで、該冷却ファン20は、油圧モータ20Aによって回転駆動されることにより、後述の建屋カバー23内に外気を吸込み、この外気を冷却風として、上述のラジエータ15、オイルクーラ16、インタクーラ17、コンデンサ18、燃料クーラ19に供給するものである。
【0037】
21は熱交換装置12の支持枠体13に着脱可能に取付けられたカバー取付用のブラケットで、該ブラケット21は、鋼板等に折曲加工を施すことにより、コ字型の断面形状をもって前,後方向に延びる枠状に形成され、支持枠体13の上端側に設けられたねじ座13Dに複数のボルト22を用いて取付けられている。また、ブラケット21の上端側には、後述する熱交換装置カバー25の上側カバー25Aを取付けるための平板状のねじ座21Aが設けられている。
【0038】
23はカウンタウエイト6よりも前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー23は、図2に示すように、旋回フレーム5に搭載されたエンジン10、油圧ポンプ11、熱交換装置12等の各機器類を収容するものである。ここで、建屋カバー23は、エンジン10、油圧ポンプ11等を覆うエンジンカバー24と、後述の熱交換装置カバー25とにより大略構成されている。
【0039】
この場合、エンジンカバー24は、例えば旋回フレーム5上に組立てられたカバー取付用骨組み(図示せず)に取付けられ、熱交換装置カバー25は、熱交換装置12を構成する支持枠体13にブラケット21を介して取付けられる構成となっている。
【0040】
25は熱交換装置12を覆う熱交換装置カバーで、該熱交換装置カバー25は、エンジンカバー24の右側に隣接して配置されている。ここで、熱交換装置カバー25は、図5および図6に示すように、熱交換装置12を上方から覆う上側カバー25Aと、該上側カバー25Aとは別体として形成され熱交換装置12を右側方から覆う右側カバー25Bとにより構成されている。そして、右側カバー25Bには、そのほぼ全面に亘って格子状の通気口25Cが形成され、該通気口25Cを通じて建屋カバー23内に外気を吸込むことができる構成となっている。
【0041】
ここで、上側カバー25Aは、熱交換装置12の支持枠体13に取付けられたブラケット21のねじ座21Aに、ボルト26を用いて着脱可能に取付けられている。そして、図3および図6に示すように、上側カバー25Aの上面は、エンジンカバー24の上面とほぼ同一平面を形成している。
【0042】
一方、右側カバー25Bは、熱交換装置12の支持枠体13に設けた各ねじ座13E,13Fに、ボルト27を用いて着脱可能に取付けられている。そして、冷却ファン20が回転すると、右側カバー25Bの通気口25Cを通じて外気が建屋カバー23内に吸込まれ、この冷却風が燃料クーラ19、コンデンサ18、インタクーラ17、オイルクーラ16、ラジエータ15に供給される構成となっている。
【0043】
このように、熱交換装置カバー25を構成する上側カバー25A、右側カバー25Bは、それぞれ熱交換装置12の支持枠体13に直接的に取付けられている。これにより、熱交換装置カバー25を取付けるためのカバー取付用骨組みを不要にすることができ、この分、建屋カバー23全体の取付構造を簡素化することができる構成となっている。
【0044】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、例えば下部走行体2によって掘削現場まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂等の掘削作業を行う。
【0045】
そして、この油圧ショベル1の作動時には、冷却ファン20が回転駆動されることにより、熱交換装置カバー25の通気口25Cを通じて建屋カバー23内に外気が吸込まれ、この外気が冷却風となって熱交換装置12の燃料クーラ19、コンデンサ18、インタクーラ17、オイルクーラ16、ラジエータ15に供給される。
【0046】
ここで、本実施の形態では、エンジンカバー24と共に建屋カバー23を構成する熱交換装置カバー25を、熱交換装置12の支持枠体13に直接的に取付ける構成となっており、以下、熱交換装置カバー25の取付作業について述べる。
【0047】
まず、図5に示すように、旋回フレーム5の取付ベース5D上にボルト14を用いて熱交換装置12を固定する。そして、この熱交換装置12を構成する支持枠体13のねじ座13Dに、ボルト22を用いてブラケット21を取付ける。
【0048】
次に、熱交換装置カバー25を構成する上側カバー25Aにボルト26を挿通し、このボルト26をブラケット21のねじ座21Aに螺着する。また、右側カバー25Bにボルト27を挿通し、このボルト27を、熱交換装置12の支持枠体13に設けられた各ねじ座13E,13Fに螺着する。
【0049】
このように、熱交換装置カバー25の上側カバー25Aは、ブラケット21を介して支持枠体13に取付けられることにより熱交換装置12を上方から覆い、右側カバー25Bは、支持枠体13に直接取付けられることにより熱交換装置12を右側方から覆うことができる(図4および図6参照)。
【0050】
かくして、本実施の形態によれば、旋回フレーム5上に立設された熱交換装置12の支持枠体13に、熱交換装置カバー25を取付ける構成としている。これにより、熱交換装置12の周囲に、熱交換装置カバー25を取付けるためのカバー取付用骨組みを設ける必要がなくなるので、熱交換装置カバー25の取付構造を簡素化することができ、部品点数の削減を図ることができる。また、熱交換装置12と熱交換装置カバー25とをユニット化することができるので、熱交換装置12に対して熱交換装置カバー25を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
【0051】
また、支持枠体13の上端側には、ボルト22を用いてブラケット21を着脱可能に取付け、熱交換装置カバー25の上側カバー25Aは、ブラケット21を介して支持枠体13に取付ける構成としている。これにより、例えば熱交換装置12の機種変更等によって支持枠体13の高さ寸法が変化した場合でも、この支持枠体13に取付けるブラケットの形状を適宜に変更することにより、上側カバー25Aをブラケットを介して支持枠体13に確実に取付けることができる。
【0052】
次に、図7ないし図10は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、車体フレームに複数台の熱交換装置を設け、これら各熱交換装置の支持枠体に建屋カバーの一部を取付けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0053】
図中、31は本実施の形態による油圧ショベルで、該油圧ショベル31は、上述した第1の実施の形態による油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体2と上部旋回体3とにより車体が構成され、上部旋回体3の前部側には、作業装置4が俯仰動可能に設けられている。しかし、本実施の形態による油圧ショベル31は、後述の旋回フレーム32上に2台の熱交換装置39,43が設けられている点で第1の実施の形態とは異なるものである。
【0054】
32は車体フレームとしての旋回フレームで、該旋回フレーム32は、図9および図10に示すように、センタフレーム32Aと、D型の断面形状を有する左,右のサイドフレーム32B(右側のみ図示)と、センタフレーム32Aとサイドフレーム32Bとの間を連結するビーム32Cとにより大略構成されている。また、ビーム32C上には、コ字型の断面形状をもって前,後方向に延びる取付ベース32Dが配設され、該取付ベース32D上には、後述する2台の熱交換装置39,43が前,後方向に並んで取付けられる構成となっている。
【0055】
そして、旋回フレーム32の前部側には作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム32の後端側にはカウンタウエイト33が取付けられている。また、旋回フレーム32の前部左側には、運転室を画成するキャブ34が設けられ、旋回フレーム32の左端側には作動油タンク35が設けられ、旋回フレーム32の右端側には燃料タンク36が設けられている。
【0056】
37はカウンタウエイト33よりも前側に位置して旋回フレーム32の後部側に設けられたエンジンで、該エンジン37は、図8に示すように、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。そして、エンジン37の左側には、作動油タンク35内の作動油を油圧ショベル31に搭載された各油圧アクチュエータに向けて圧送する油圧ポンプ38が取付けられている。
【0057】
39はエンジン37の右側に設けられた後側の熱交換装置で、該熱交換装置39は、図9に示すように、後述の支持枠体40と、後述のラジエータ41およびインタクーラ42からなる熱交換器とより大略構成されている。
【0058】
40は熱交換装置39の外殻をなす支持枠体で、該支持枠体40は、旋回フレーム32の取付ベース32D上に立設され、上端側が開口した長方形の枠状に形成されている。ここで、支持枠体40は、前,後方向で対面しつつ上,下方向に延びた前縦枠40A,後縦枠40Bと、これら前,後の縦枠40A,40B間を連結し前,後方向に延びた複数の横枠40Cとにより、強固な支持構造体をなしている。
【0059】
また、前縦枠40Aと後縦板40Bの上端側には、左,右方向に延びる平板状のねじ座40Dがそれぞれ一体に設けられ、このねじ座40Dには後述する熱交換装置カバー50の上面部50Aが取付けられる構成となっている。また、前縦板40Aには上,下方向に離間して一対のねじ座40Eが一体に設けられ、後縦板40Bには上,下方向に離間して一対のねじ座40Fが一体に設けられ、これら各ねじ座40E,40Fには、後述する熱交換装置カバー50の側面部50Bが取付けられる構成となっている。
【0060】
41は支持枠体40内に配置されたラジエータで、該ラジエータ41は、後述のインタクーラ42と共に、支持枠体40によって支持される熱交換器を構成するものである。そして、ラジエータ41は、エンジン37の冷却水の熱を冷却風中に放熱することにより、該エンジン冷却水を冷却するものである。
【0061】
42はラジエータ41と左,右方向で対面するように支持枠体40に取付けられたインタクーラで、該インタクーラ42は、ターボ過給機(図示せず)によって吸入した空気の熱を冷却風中に放熱することにより、この吸入空気を冷却するものである。
【0062】
そして、熱交換装置39の支持枠体40には、ラジエータ41と対面して冷却ファン(図示せず)が設けられ、この冷却ファンを回転駆動することにより、ラジエータ41、インタクーラ42に冷却風が供給される構成となっている。
【0063】
43は熱交換装置39の前側に設けられた前側の熱交換装置で、該熱交換装置43は、図10に示すように、後述の支持枠体44と、後述のオイルクーラ45、コンデンサ46および燃料クーラ47からなる熱交換器とより大略構成されている。
【0064】
44は熱交換装置43の外殻をなす支持枠体で、該支持枠体44は、熱交換装置39よりも前側に位置して旋回フレーム32の取付ベース32D上に立設され、上端側が開口した長方形の枠状に形成されている。ここで、支持枠体44は、前,後方向で対面しつつ上,下方向に延びた前縦枠44A,後縦枠44Bと、これら前,後の縦枠40A,40B間を連結し前,後方向に延びた複数の横枠44Cとにより、強固な支持構造体をなしている。
【0065】
また、前縦枠44Aと後縦板44Bの上端部間には、前,後方向に延びる平板状のねじ座44Dが一体に設けられ、このねじ座44Dには後述する熱交換装置カバー53の上面部53Aが取付けられる構成となっている。また、前縦板44Aには上,下方向に離間して一対のねじ座44Eが一体に設けられ、後縦板44Bには上,下方向に離間して一対のねじ座44Fが一体に設けられ、これら各ねじ座44E,44Fには、後述する熱交換装置カバー53の側面部53Bが取付けられる構成となっている。
【0066】
45は支持枠体44内に配置されたオイルクーラで、該オイルクーラ45は、後述のコンデンサ46、燃料クーラ47と共に、支持枠体44によって支持される熱交換器を構成するものである。そして、オイルクーラ45は、油圧ショベル31に搭載された各油圧アクチュエータからの戻り油の熱を冷却風中に放熱することにより、作動油タンク35内に戻る作動油を冷却するものである。
【0067】
46はオイルクーラ45と左,右方向で対面するように支持枠体44に取付けられたコンデンサで、該コンデンサ46は、キャブ34内の空気を調和する空調装置(図示せず)の冷媒を冷却するものである。また、47はコンデンサ46に隣接して支持枠体44に取付けられた燃料クーラで、該燃料クーラ47は、燃料タンク36内に貯溜された燃料を冷却するものである。
【0068】
そして、熱交換装置43の支持枠体44には、オイルクーラ45と対面して冷却ファン(図示せず)が設けられ、この冷却ファンを回転駆動することにより、オイルクーラ45、コンデンサ46、燃料クーラ47に冷却風が供給される構成となっている。
【0069】
48はカウンタウエイト33よりも前側に位置して旋回フレーム32上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー48は、図8に示すように、旋回フレーム32に搭載されたエンジン37、油圧ポンプ38、熱交換装置39,43等の各機器類を収容するものである。ここで、建屋カバー48は、エンジン37、油圧ポンプ38等を覆うエンジンカバー49と、後述の熱交換装置カバー50,53とにより大略構成されている。
【0070】
この場合、エンジンカバー49は、例えば旋回フレーム32上に組立てられたカバー取付用骨組み(図示せず)に取付けられ、熱交換装置カバー50は、熱交換装置39の支持枠体40に取付けられ、熱交換装置カバー53は、熱交換装置43の支持枠体44に取付けられる構成となっている。
【0071】
50は熱交換装置39を覆う後側の熱交換装置カバーで、該熱交換装置カバー50は、エンジンカバー49の右側に隣接して配置されている。ここで、熱交換装置カバー50は、図9に示すように、熱交換装置39を上方から覆う上面部50Aと、熱交換装置39を右側方から覆う側面部50Bとにより一体形成されている。そして、側面部50Bには、そのほぼ全面に亘って格子状の通気口50Cが形成され、該通気口50Cを通じて建屋カバー48内に外気を吸込むことができる構成となっている。
【0072】
ここで、熱交換装置カバー50の上面部50Aは、熱交換装置39の支持枠体40に設けたねじ座40Dに、ボルト51を用いて着脱可能に取付けられ、エンジンカバー49の上面とほぼ同一平面を形成している。
【0073】
一方、熱交換装置カバー50の側面部50Bは、熱交換装置39の支持枠体40に設けた各ねじ座40E,40Fに、ボルト52を用いて着脱可能に取付けられている。そして、側面部50Bの通気口50Cを通じて外気が建屋カバー48内に吸込まれ、この外気が冷却風となってインタクーラ42、ラジエータ41に供給される構成となっている。
【0074】
53は熱交換装置43を覆う前側の熱交換装置カバーで、該熱交換装置カバー53は、エンジンカバー49の右側に隣接すると共に熱交換装置カバー50の前側に隣接して配置されている。ここで、熱交換装置カバー53は、図10に示すように、熱交換装置43を上方から覆う上面部53Aと、熱交換装置43を右側方から覆う側面部53Bとにより一体形成されている。そして、側面部53Bには、そのほぼ全面に亘って格子状の通気口53Cが形成され、該通気口53Cを通じて建屋カバー48内に外気を吸込むことができる構成となっている。
【0075】
ここで、熱交換装置カバー53の上面部53Aは、熱交換装置43の支持枠体44に設けたねじ座44Dに、ボルト54を用いて着脱可能に取付けられ、エンジンカバー49の上面、および熱交換装置カバー50の上面部50Aとほぼ同一平面を形成している。
【0076】
一方、熱交換装置カバー53の側面部53Bは、熱交換装置43の支持枠体44に設けた各ねじ座44E,44Fに、ボルト55を用いて着脱可能に取付けられ、熱交換装置カバー50の側面部50Bとほぼ同一平面を形成している。そして、側面部53Bの通気口53Cを通じて外気が建屋カバー48内に吸込まれ、この外気が冷却風となって熱交換装置43の燃料クーラ47、コンデンサ46、オイルクーラ45に供給される構成となっている。
【0077】
本実施の形態による油圧ショベル31は上述の如き構成を有するもので、旋回フレーム32上に2台の熱交換装置39,43を設け、熱交換装置39の支持枠体40に熱交換装置カバー50を取付けると共に、熱交換装置43の支持枠体44に熱交換装置カバー53を取付ける構成としている。
【0078】
これにより、熱交換装置39,43の周囲に、熱交換装置カバー50,53を取付けるためのカバー取付用骨組みを設ける必要がなくなるので、これら熱交換装置カバー50,53の取付構造を簡素化することができ、部品点数の削減を図ることができる。また、熱交換装置39と熱交換装置カバー50とをユニット化することができるので、熱交換装置39に対して熱交換装置カバー50を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。同様に、熱交換装置43と熱交換装置カバー53とをユニット化することができるので、熱交換装置43に対して熱交換装置カバー53を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
【0079】
なお、上述した第2の実施の形態では、旋回フレーム32上に2台の熱交換装置39,43を設け、これら各熱交換装置39,43を構成する支持枠体40,44に、それぞれ熱交換装置カバー50,53を取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば3台以上の熱交換装置を設け、これら各熱交換装置の支持枠体に、それぞれ熱交換装置カバーを取付ける構成としてもよい。
【0080】
また、上述した各実施の形態では、建設機械として油圧ショベルを例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ等の熱交換装置を備えた他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態による油圧ショベルを示す平面図である。
【図3】作業装置を取外した油圧ショベルの上部旋回体を示す斜視図である。
【図4】図3中の旋回フレーム、熱交換装置、熱交換装置カバー等を拡大して示す要部拡大の斜視図である。
【図5】図4中の旋回フレーム、熱交換装置、熱交換装置カバー等を分解して示す分解斜視図である。
【図6】旋回フレーム、熱交換装置、熱交換装置カバー等を図2中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図8】第2の実施の形態による油圧ショベルを示す平面図である。
【図9】旋回フレーム、後側の熱交換装置、後側の熱交換装置カバー等を拡大して示す分解斜視図である。
【図10】旋回フレーム、前側の熱交換装置、前側の熱交換装置カバー等を拡大して示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0082】
1,31 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
5,32 旋回フレーム(車体フレーム)
10,37 エンジン
12,39,43 熱交換装置
13,40,44 支持枠体
15,41 ラジエータ(熱交換器)
16,45 オイルクーラ(熱交換器)
17,42 インタクーラ(熱交換器)
18,46 コンデンサ(熱交換器)
19,47 燃料クーラ(熱交換器)
21 ブラケット
23,48 建屋カバー
24,49 エンジンカバー
25,50,53 熱交換装置カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を構成する車体フレームと、該車体フレーム上に設けられ内部にエンジンを含む機器類を収容する建屋カバーと、該建屋カバー内に位置して前記車体フレームに設けられた熱交換装置とを備えてなる建設機械において、
前記熱交換装置は、前記車体フレームに取付けられた支持枠体と、該支持枠体によって支持され加熱された流体を熱交換する熱交換器とにより構成し、前記支持枠体には前記建屋カバーの一部を取付ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記熱交換装置の支持枠体にはカバー取付用のブラケットを着脱可能に取付け、前記建屋カバーの一部は該ブラケットを介して前記支持枠体に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記熱交換装置の支持枠体には前記建屋カバーの一部を直接取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項4】
前記熱交換装置は前記車体フレームに複数台設け、これら各熱交換装置の支持枠体には前記建屋カバーの一部を取付ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記建屋カバーは、前記エンジンを覆うエンジンカバーと、前記熱交換装置を覆う熱交換装置カバーとにより構成し、前記熱交換装置カバーは前記熱交換装置の支持枠体に取付ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−82661(P2006−82661A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268660(P2004−268660)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】