説明

形状計測装置

【課題】従来に比べてパターンの照射範囲を容易に設定可能で、高精度で距離計測が可能な形状計測装置を提供する。
【解決手段】形状計測面を撮像する撮像部11と、撮像部からのタイミング信号にて動作制御され、投光パターン15を形状計測面に投影する照射部7と、投光パターンの設定を行う投光パターン設定部51と、投光パターン及び撮像画像により、投光パターンの照射範囲を設定する照射範囲設定部53とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的手法によって非接触に測定対象物の3次元形状を計測するための形状計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の3次元形状を計測する光学式計測手段として、三角測量法に基づく光切断法や空間コード化法が知られている。前者の光切断法は、図13のように、被計測物25に対して一本のライン光26を投影し、そのライン光を測定対象空間内で走査方向27に走査して、被計測物25の3次元形状を測定する。一方、後者の空間コード化法は、図14に示すように、明部29及び暗部30からなる異なる明暗パターン28を何種類も被計測物25に投影することで、測定対象空間内の1点を観ていると光線が点滅することになり、測定対象空間内の各部を2進数コードで符号化することができる。よって、光線の区別が可能となり符号化された光線によって3次元形状が測定される。図14には、空間コードが3ビットの場合の例を示しており、3枚の画像から測定対象空間内をコード化し、8種類のコードを区別することができる。
【0003】
光切断法では、一枚の画像で一本のライン光を投影するため、ライン光を走査する度に画像を取得しなければならないが、空間コード化法では、1枚の画像で複数のライン光を投影するため、測定の高速化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、光学式3次元形状計測は、投光装置と、撮像装置と、光偏向手段とによって構成され、投光装置からの光線は、測定平面に対して斜めから照射される。よって、投光装置側で等間隔に照射パターンを変更しても、測定平面上ではライン光が等間隔にならないという問題点があった。また、距離計測は、三角測量の原理に基づいて行なわれるが、精度良く計測するためには、高精度に部品を製作し、組み立てなければならないという問題点があった。
【0005】
これに対し、高精度に測定を行うためのキャリブレーション方法として、例えば、特許文献1から3に開示される方法が挙げられる。
【0006】
特許文献1では、レーザ光源と、偏向照射装置と、CCDカメラと、発光制御装置とを有し、レーザ光源からの明暗パターンがCCDカメラの光軸に対して垂直な平面において等間隔となるように、発光制御装置がレーザ発光を制御して計測を行なう構成が開示されている。このような構成により、高精度に3次元計測を行なうことを可能にしている。
【0007】
特許文献2では、投影部と撮像部とを有するとともに、距離計測を正確に行なうために、移動ステージと平面版とを用いて、距離計測パラメータのキャリブレーションを実施して計測を行なう、という構成が開示されている。このような構成により、部品精度や組み立て精度を高めずに、正確な距離計測を行なうことを可能にしている。
【0008】
また、特許文献3では、スリット光照射手段は、CCDカメラの撮像タイミングに同期して、レーザ光を点滅させながら出力するレーザ光源と、レーザ光をCCDカメラの露光時間内に走査するミラーとを備え、空間コード化画像を生成するとともに、空間コード化画像に基づいて測定対象物の座標を算出する、という構成が開示されている。このような構成により、露光時間を単位として、順次複数種類のスリット光を投影することができ、機械的なシャッターと比較して高速に画像を得ることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2568388号公報
【特許文献2】特開2003−65738号公報
【特許文献3】特開平10−300443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1から3の各計測装置には、以下のような問題点がある。即ち、特許文献1において、CCDカメラから測定平面までの測定可能距離レンジを広くとるためには、CCDカメラの視野よりも広い範囲をスキャンする必要がある。一方、空間コード化法によって距離計測するためには、初めにCCDカメラの視野範囲にレーザ光の照射範囲が収まるように設定し、その後にキャリブレーションを実施する必要がある。
【0011】
これに対し特許文献1の構成は、照射範囲設定手段を有していない。よって、上記照射範囲を決定するためには、照射パターンを転送し、該照射パターンがCCDカメラの視野範囲に収まっているか否かの確認を行い、収まっていない場合には、照射範囲を再度調整する。そして再び照射パターンを転送して、視野範囲に収まるか否かを確認する、という作業を繰り返し行なわなければならないという問題点がある。特に、外光の影響を抑制するために光源に赤外光を用いた場合には、照射範囲を目視で確認できないため、調整作業も大変時間のかかる作業となってしまうという問題がある。
【0012】
また、上記特許文献2では、上述のように、部品や組み立て精度が低い場合でも、正確な距離計測を行なうことが可能であるが、特許文献1と同様に特許文献2でも、照射範囲設定手段を有していない。よって、照射パターンの転送、及び再調整の作業を繰り返し行なわなければならず、特に、光源に赤外光を用いた場合には、調整作業に大変な時間を要するという問題がある。
【0013】
また、上記特許文献3では、CCDカメラの撮像装置と同期してレーザ光を点滅させているため、レーザ光の点滅に応じた画像を取得可能であり、また、偏向ミラーにはガルバノスキャナを用いているため、照射範囲を設定する場合にはミラー角度の指定が可能である。一方、例えばセンサヘッドの小型化のために、MEMSミラーのような角度を制御できないミラーを使用する場合には、照射範囲を設定する必要が生じる。これに対し特許文献3の形状計測装置では、照射範囲を判定するための照射範囲設定手段を有さず、さらに、測定平面上を空間コード化法の最小単位以下の離散的な領域で区切っていないことから、照射範囲を設定することができないという問題がある。
【0014】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、従来に比べてパターンの照射範囲を容易に設定可能で、高精度で距離計測が可能な形状計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における形状計測装置は、形状計測面に対して光学的手法によって非接触で3次元形状計測を行う形状計測装置であって、撮像視野範囲にて上記形状計測面を撮像する撮像部と、上記撮像部から供給されるタイミング信号にて動作制御されて、上記形状計測面において上記撮像視野範囲を超える投影領域へ投光パターンを投影する照射部と、上記照射部にて上記形状計測面に投影される上記投光パターンの設定を行う投光パターン設定部と、上記撮像部から撮像画像が供給され、上記投光パターン設定部にて設定された上記投光パターン及び上記撮像画像により、上記投光パターンの上記形状計測面における照射範囲を設定する照射範囲設定部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様における形状計測装置によれば、撮像部から供給されるタイミング信号にて照射部は駆動制御され、さらに照射範囲設定部を備えたことから、撮像部の露光ごとに、照射範囲設定部は、撮像部にて撮像された画像を解析して、撮像部の視野内に投光パターンが存在するか否かを判断する。そして撮像部の視野内に投光パターンが入った時点で、照射範囲設定部は、照射範囲として設定する。よって、従来、手動で照射範囲を設定していたのに対して、自動で照射範囲の設定が可能となる。したがって、短時間で効率的かつ容易に照射範囲の設定を行なうことが可能となり、高精度で距離計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における形状計測装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す光検出器から出力される信号を示す図である。
【図3】図1に示す回転ミラーの駆動と光検出器の信号との関係を示す図である。
【図4】図1に示す形状計測装置にて実行される照射範囲を設定するための動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す形状計測装置の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す形状計測装置にて照射範囲の設定を行った場合の照射範囲の位置ずれを示す図である。
【図7】図1に示す形状計測装置において照射範囲の位置ずれが生じた場合に、照射範囲の調整を行う動作のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2による形状計測装置の概略構成及び動作を説明するための図である。
【図9】図8に示す形状計測装置にて実行される照射範囲を設定するための動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3による形状計測装置の概略構成及び動作を説明するための図である。
【図11】図10に示す形状計測装置にて照射範囲の設定を行った場合の照射範囲の位置ずれを示す図である。
【図12】図10に示す形状計測装置において照射範囲の位置ずれが生じた場合に、照射範囲の調整を行う動作のフローチャートである。
【図13】光切断法を示す説明図である。
【図14】空間コード化法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態である形状計測装置、及び該形状計測装置にて実行される形状計測方法について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0019】
実施の形態1.
図1には、本実施の形態1による形状計測装置1001を示している。形状計測装置1001は、その基本的構成部分として、照射部と、撮像部と、投光パターン設定部51と、照射範囲設定部53とを備える。ここで、上記照射部は、以下に説明する投光装置7、コリメートレンズ群8、回転ミラー6、第1光検出器9、第2光検出器10、及びスキャナ制御装置3を含む概念部分である。また、上記撮像部は、以下に説明する撮像装置11、カメラ制御装置4、及び形状計測部52を含む概念部分である。
【0020】
また、本実施形態では、回転ミラー6、投光装置7、コリメートレンズ群8、第1光検出器9、第2光検出器10、及び撮像装置11を一体としてセンサヘッド2と呼び、投光パターン設定部51、形状計測部52、及び照射範囲設定部53を一体としてセンサコントロール装置5と呼ぶ。尚、センサコントロール装置5は、実際にはコンピュータを用いて実現され、投光パターン設定部51、形状計測部52、及び照射範囲設定部53は、それぞれの機能に対応するソフトウェアと、これを実行するためのCPU(中央演算処理装置)やメモリ等のハードウェアから構成されている。また、以下に説明する実施の形態1から3では、形状計測部52は、センサコントロール装置5に含む形態にて構成するが、当該形状計測装置とは別に設けてもよい。
【0021】
このような構成を有する形状計測装置1001は、形状計測面12に対して、以下で説明する投光パターンを照射し、被計測物の形状計測面12について非接触で3次元形状計測を行う装置である。
以下には、形状計測装置1001の各構成部分について説明する。
【0022】
投光装置7は、光を出射するための装置であり、例えばLD(Laser Diode)等の光源を有する。蛍光灯や太陽光は、可視光成分を多く含むため、光源には例えば780nmの赤外光を使用することで、よりSN比を向上させることができる。
【0023】
コリメートレンズ郡8は、投光装置7から出射された光をライン光に変換するためのレンズ群であり、例えばフレネルレンズ等の複数のレンズから構成される。もちろん、複数のレンズではなく、一枚のレンズで構成しても良い。
【0024】
回転ミラー6は、コリメートレンズ群8で変換されたライン光を、平面である形状計測面12上で第1方向に沿って走査するための光偏向ミラーであり、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーやポリゴンミラー、ガルバノミラー等のミラーを使用可能である。MEMSミラーを使用することは、センサヘッドサイズの小型化に有効であり、本実施の形態では、MEMSミラーを使用した場合を例に採る。勿論、上述のような他のミラーを使用することも可能である。
【0025】
第1光検出器9及び第2光検出器10は、回転ミラー6にて偏向された上記ライン光が形状計測面12上を第1方向に沿って走査される時間を計測する、より詳しくは、第1光検出器9と第2光検出器10との間を走査される時間を計測するための光検出手段であり、例えば、2分割PD(Photo Diode)等が使用される。2分割PDは、一つの素子に2つのPDが搭載され、図2のように二つのPDからの出力の差分信号を演算し、ゼロクロス点を検出信号とすることで高精度に時間間隔を計測することが可能である。もちろん、通常のPDを使用してピーク値を検出信号としても良い。
【0026】
撮像装置11は、形状計測面12上の被計測物での反射光を受光するための撮影手段であり、集光用レンズと撮像素子とを有する。上記撮像素子として、例えばCCDやCMOSセンサ等が使用される。また、上記集光用レンズの前段に、不要な波長の光を除去するためにフィルターを挿入するのも効果的である。ここで、撮像装置11の撮像視野範囲は、固定されており、例えば下記の投光パターン15の移動に伴い移動するものではない。
【0027】
カメラ制御装置4は、撮像装置11の駆動を制御するための撮像装置制御手段であり、後段に配置されたセンサコントロール装置5に搭載されたアプリケーションからの信号によって、撮像装置11を駆動制御する。
【0028】
スキャナ制御装置3は、投光装置7を制御するための発光パターン制御手段である。スキャナ制御装置3は、カメラ制御装置4からの信号(タイミング信号)を受け取り、その信号によって投光装置7を駆動させる。
【0029】
センサコントロール装置5における投光パターン設定部51は、形状計測面12上に照射する投光パターン15のパターンそのもの及びパターンの幅を設定するための手段であり、形状計測部52は、撮像装置11からの信号を受信し、撮像装置11と被計測物との距離、つまり被計測物の形状を計測するための手段であり、照射範囲設定部53は、撮像装置11からの信号により、形状計測面12上に投影された投光パターン15から、投光パターン15の照射範囲を設定するための手段である。
【0030】
尚、上記投光パターン15とは、図14に示すような、最低限一対の明部29及び暗部30から構成され、それぞれ明部29及び暗部30の対の数が異なる明暗パターン28が相当する。また、投光パターン15の幅とは、第1方向である走査方向において、投光パターン15の一端から他端までの範囲に相当する。また、投光パターン15の照射範囲の設定とは、上記幅つまり照射幅を有する投光パターン15を、形状計測面12のどの位置に照射するかを決定することをいう。
【0031】
以上のように構成される本実施の形態1の形状計測装置1001における動作について、以下に説明する。
まず、投光装置7の駆動手順について説明する。
撮像装置11の撮像視野範囲19よりも広範囲を照射する系において、投光装置7によって照射可能な形状計測面12上の各点は、任意のスリットパターンを形成できるように、予め等間隔にアドレス14が区切られている。一方、形状計測面12へ照射する投光パターン15は、センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって決定される。尚、上記アドレス14とは、単に、等間隔に区切られた形状計測面12上の各区画の呼称である。
【0032】
形状計測装置1001の電源をONすると、スキャナ制御装置3及びカメラ制御装置4が駆動され、回転ミラー6の回転が開始される。センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって設定された投光パターン15の信号は、カメラ制御装置4へ送られ、また、カメラ制御装置4によって撮像装置11の露光が開始される。撮像装置11の露光が開始されると共に、投光パターン15を露光するタイミング信号がスキャナ制御装置3へ送られ、このタイミング信号を元に、投光装置7は駆動される。
【0033】
回転ミラー6は、固有の周波数で駆動されるが、このとき、回転ミラー6の振幅と、第1光検出器9及び第2光検出器10から出力される信号とは、図3に示すような関係になる。回転ミラー6において常に同じ位置から投光パターン15の投影が開始されるために、図3に示すように、第1光検出器9が2回目に光を検出した信号からt秒後の走査開始点18から、スキャナ制御装置3は投光装置7の発光を開始するように設定されている。つまり、カメラ制御装置4からタイミング信号がスキャナ制御装置3に供給されると、スキャナ制御装置3は、第1光検出器9の2回目の信号を検知し、そのt秒後に、投光装置7の駆動を開始するように制御する。
【0034】
尚、本実施の形態では、投光装置7の駆動開始を、上述のように第1光検出器9の2回目の信号検知からt秒後としたが、例えば、第1光検出器9による1回目及び2回目の光検知の中点からt秒後としてもよい。
投光装置7が駆動されることで、センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって予め設定された投光パターン15が形状計測面12上に照射される。
【0035】
次に、形状計測装置1001における照射範囲の設定方法について、図4のフローチャートを用いて以下に説明する。
初めに、ステップ101にて、センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって投光パターン15が設定される。このときの投光パターン15は、形状計測面12における投光パターン15の第1方向(走査方向)15aにおいて、撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ或いは若干小さい幅に相当するアドレス14を連続的に照射するように設定される。このように、投光パターン15を照射する幅つまり照射幅が設定され、これは、例えばアドレス何個分という形で設定可能であり、ここでは、撮像視野範囲19と同じ或いは若干小さい幅に相当する領域にて、この段階では形状計測面12を走査することなく形状計測面12上の同一箇所を、照射するように設定される。また、本実施形態では図1に示すように、投光パターン15は、形状計測面12上の、投影領域に相当する全走査領域13の一番左から照射するように設定される。
【0036】
一方、上述のように、撮像装置11の撮像視野範囲は固定されており、上述のように単に照射幅を決定しただけでは投光パターン15が撮像装置11の撮像視野範囲19から外れた位置に照射される可能性もある。そこで、照射幅が決定された投光パターン15を撮像装置11の撮像視野範囲19に含ませるための操作が必要である。以下には、この操作について説明する。
【0037】
設定された投光パターン15は、ステップ102で、カメラ制御装置4に送られ、カメラ制御装置4は、撮像装置11の露光を開始する。この露光開始と同時に撮像装置11は、タイミング信号を発し、該タイミング信号を元に投光装置7が駆動される。よって、投光パターン15は、形状計測面12上に照射される。
【0038】
次にステップ103にて、撮像装置11にて撮像された画像の画像信号がカメラ制御装置4を介してセンサコントロール装置5の照射範囲設定部53へ送られる。
次のステップ104では、取り込まれた画像をセンサコントロール装置5の照射範囲設定部53によって画像解析にて解析し、撮像装置11にて撮像された画像に、投光パターン15が存在するか否かが判定される。撮像画像内に投光パターン15が取り込まれていれば、ステップ105にて、照射範囲の設定を完了する。
【0039】
一方、ステップ104にて、撮像画像内に投光パターン15が取り込まれていなければ、ステップ111へ進む。ここで照射範囲設定部53は、図5に示すように、ステップ101にて設定した投光パターン15の終了位置を開始位置として、撮像視野範囲19と同じ或いは若干小さい幅に相当する領域にて、形状計測面12上を照射するように、投光パターン15を再設定する。そして再度ステップ102へ進む。
【0040】
その後、このように、ステップ104にて投光パターン15が撮像装置11の撮像視野範囲19に入るまで、つまり撮像画像内に投光パターン15が取り込まれるまで、ステップ102、103,104、111が繰り返される。即ち、このような動作により、投光パターン15は、走査領域13の一番左から順次、右端へ、走査方向15aに沿って照射されていく。
【0041】
以上説明したように、実施の形態1の形状計測装置1001によれば、撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ、或いは若干小さい幅に設定された投光パターン15は、撮像装置11の露光動作に合わせて投光装置7が駆動されることで、形状計測面12の左端から順次、走査される。そして、撮像装置11の撮像視野範囲19内に投光パターン15が入った時点で、投光パターン15の照射範囲の設定が完了する。したがって、従来、手動で照射範囲を調節していたのに対して、自動的に設定可能であり、短時間で効率的かつ容易に照射範囲の設定を行なうことが可能となり、高精度で距離計測が可能となる。
【0042】
尚、本実施の形態1では、投光パターン15は、形状計測面12の左から走査するとしたが、右から走査するようにしてもよい。
【0043】
本実施の形態1では、撮像装置11の撮像視野範囲19内に投光パターン15が入った時点で、投光パターン15の照射範囲の設定を完了することから、図6に示すように、投光パターン15の照射範囲21は、撮像視野範囲19からずれて設定される可能性がある。この場合、撮像装置11の撮像視野範囲19内には、投光パターン15が存在しない、つまり照射されていない非照射領域20が存在し、また、撮像視野範囲19外には、撮像視野範囲19から外れた領域22が存在する。
そこで以下に説明するように、実施の形態1において、より正確に、つまり撮像視野範囲19に極力一致するように照射範囲21を設定する方法を採ることもできる。このような照射範囲の設定方法について、図7を参照して以下に説明する。
【0044】
はじめにステップ106では、上述したステップ101〜105、111による方法で照射範囲を設定する。ステップ107では、撮像装置11の撮像視野範囲19内に非照射領域20が存在するか否かを判定する。即ち、本実施形態では、上述のように、投光パターン設定部51は、撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ或いは若干小さい幅を有する投光パターン15を設定している。よって、照射範囲設定部53は、投光パターン設定部51が設定した投光パターン15の幅情報と、撮像視野範囲19とを比較することで、ステップ107の判断、つまり撮像視野範囲19内に非照射領域20が存在するか否かの判定を行う。
【0045】
ステップ107にて、照射範囲設定部53が非照射領域20無しと判定した場合には、ステップ117に進み、照射範囲21の設定を完了する。一方、ステップ107にて非照射領域20有りと判定した場合には、ステップ108に進み、照射範囲設定部53は、撮像装置11から供給される撮像画像を解析することで、非照射領域20が撮像装置11の撮像視野範囲19の左右どちらに存在するかを判定する。
【0046】
ステップ108において、撮像視野範囲19の左側に非照射領域20が存在すると判定した場合には、ステップ118に進む。ステップ118では、形状計測面12上を等分割したアドレス14のうち、ステップ106で設定した投光パターン15の一番左に相当するアドレスの一つ左隣のアドレスのみを照射するように、センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって投光パターンを設定する。このとき設定された投光パターンを、説明上、「投光パターンL」とする。
【0047】
次に、上記投光パターンLの画像を、ステップ119にて、撮像装置11は撮像し、照射範囲設定部53は、その撮像画像を画像解析して、上記投光パターンLが取り込まれているか否かを判定する。
【0048】
上記投光パターンLが取り込まれていない場合、撮像視野範囲19には非照射領域20が存在せず、撮像視野範囲19内に投光パターン15の照射範囲が存在することを意味するので、ステップ120で、照射範囲設定部53は、ステップ106の照射範囲21と合わせて最終的な照射範囲の設定を完了する。
【0049】
一方、ステップ119にて、上記投光パターンLが取り込まれている場合は、撮像視野範囲19に、未だ、非照射領域20が存在することを意味するので、ステップ118に戻り、投光パターン設定部51は、さらに左隣のアドレスに相当する投光パターン(「投光パターン2L」とする)を設定する。そして、ステップ119にて、再び撮像装置11にて画像を取り込み、照射範囲設定部53で画像解析を行ない、上記投光パターン2Lが取り込まれているか否かを判定する。この一連の作業を、ステップ119にて、新たに設定した投光パターンが撮像装置11にて取り込まれなくなるまで行なう。そして、取り込まれなくなった時点で、ステップ120へ進み、ステップ106の照射範囲21と合わせて最終的な照射範囲の設定を完了する。
【0050】
また、ステップ108にて、撮像装置11の撮像視野範囲19の右側に非照射領域20が存在すると判定した場合には、ステップ128に進む。ステップ128では、形状計測面12上を等分割したアドレス14のうち、ステップ106で設定した投光パターン15の一番右に相当するアドレスの一つ右隣のアドレスのみを照射するように、センサコントロール装置5の投光パターン設定部51によって投光パターンを設定する。このとき設定された投光パターンを、説明上、「投光パターンR」とする。
【0051】
次に、上記投光パターンRの画像を、ステップ129にて、撮像装置11は撮像し、照射範囲設定部53は、その撮像画像を画像解析して、上記投光パターンRが取り込まれているか否かを判定する。
【0052】
上記投光パターンRが取り込まれていない場合、撮像視野範囲19には非照射領域20が存在せず、撮像視野範囲19内に投光パターン15の照射範囲が存在することを意味するので、ステップ130で、照射範囲設定部53は、ステップ106の照射範囲21と合わせて最終的な照射範囲の設定を完了する。
【0053】
一方、ステップ129にて、上記投光パターンRが取り込まれている場合は、撮像視野範囲19に、未だ、非照射領域20が存在することを意味するので、ステップ128に戻り、投光パターン設定部51は、さらに右隣のアドレスに相当する投光パターン(「投光パターン2R」とする)を設定する。そして、ステップ129にて、再び撮像装置11にて画像を取り込み、照射範囲設定部53で画像解析を行ない、上記投光パターン2Rが取り込まれているか否かを判定する。この一連の作業を、ステップ129にて、新たに設定した投光パターンが撮像装置11にて取り込まれなくなるまで行なう。そして、取り込まれなくなった時点で、ステップ130へ進み、ステップ106の照射範囲21と合わせて最終的な照射範囲の設定を完了する。
【0054】
以上説明したように、照射範囲を設定した後に,撮像装置11の撮像視野範囲19に非照射範囲20が存在する場合には、非照射範囲20がある方向に新たなスリット光を生成し、画像解析により最終的な照射範囲を設定するようにしたので、正確に照射範囲を設定することが可能となる。更に、従来、手動で設定していた投光パターンの照射範囲を、本実施形態によれば自動的に設定できるため、投光パターンの照射範囲の設定時間を短縮でき、また、最短で照射範囲を設定できるため、LDの発光回数も減少できることから、省エネルギー化を図ることも可能となる。
【0055】
また、本実施の形態では、撮像装置11の撮像視野範囲19に一致するように、照射範囲21を設定するとしたが、撮像装置11の撮像視野範囲19よりも狭い領域に照射範囲21を設定してもよい。
【0056】
実施の形態2.
図8は、本実施の形態2における形状計測装置1002を示している。形状計測装置1002の基本構成は、実施の形態1における形状計測装置1001と同様であるが、以下に説明するように、センサコントロール装置における動作のみが相違する。構成部分では、本実施の形態2における形状計測装置1002のセンサコントロール装置5−2は、本実施の形態1における形状計測装置1001のセンサコントロール装置5に相当し、センサコントロール装置5−2における投光パターン設定部51−2は、形状計測装置1001のセンサコントロール装置5における投光パターン設定部51に相当し、センサコントロール装置5−2における照射範囲設定部53−2は、センサコントロール装置5の照射範囲設定部53に相当する。
本実施の形態2における形状計測装置1002のその他の構成部分は、実施の形態1における形状計測装置1001の構成部分に同じであり、ここでの説明を省略する。
【0057】
本実施の形態2の形状計測装置1002における照射範囲設定方法について、図9を参照して説明する。該照射範囲設定方法は、センサコントロール装置5−2によって実行される。
【0058】
初めにステップ201にて、センサコントロール装置5−2の投光パターン設定部51−2によって投光パターン15−2(図8)の照射幅が決定される。このときの投光パターン15−2は、形状計測面12上を等分割した一つのアドレス14における幅に設定され、図8に示すように、形状計測面12上の全走査領域13の一番左から照射開始するように設定される。
【0059】
ステップ202では、上述の照射幅を有する投光パターン15−2は、センサコントロール装置5−2からカメラ制御装置4に送られ、撮像装置11が送出するタイミング信号を元に投光装置7が駆動され、形状計測面12上の上記一番左に照射される。
次にステップ203にて、撮像装置11が撮像を行い、撮像画像の信号がカメラ制御装置4を介してセンサコントロール装置5−2の照射範囲設定部53−2へ送られる。
【0060】
次のステップ204では、照射範囲設定部53−2は、取り込んだ画像について画像解析を行い、投光パターン15−2が取り込まれているか否かを判定する。投光パターン15−2の画像が取り込まれていれば、ステップ205に進み、照射範囲設定部53−2は、ステップ202にて設定した、投光パターン15−2の照射位置を、照射範囲21のスタート位置として設定する。
【0061】
一方、ステップ204において、投光パターン15−2が取り込まれていなければ、ステップ211へ進み、照射範囲設定部53−2は、形状計測面12上で、前回設定した投光パターン15−2の一つ右隣のアドレス14の領域を照射するように、投光パターン15−2を再設定する。その後、ステップ204にて投光パターン15−2が撮像装置11に取り込まれるまで、投光パターン15−2の照射領域の設定を繰り返し行なう。
【0062】
ステップ205で照射範囲21のスタート位置を設定した後、ステップ206で、照射範囲設定部53−2は、形状計測面12上で、ステップ201で設定した投光パターン15−2の一つ右隣のアドレス14の領域を照射するように、投光パターン15−2を設定する。設定された投光パターン15−2は、ステップ202と同様に、ステップ207にて、カメラ制御装置4に送られ、投光装置7を駆動して形状計測面12上に照射される。
【0063】
次にステップ208では、ステップ203と同様に、撮像装置11が撮像を行い、撮像画像の信号が照射範囲設定部53−2へ送られる。次のステップ209では、ステップ204と同様に、照射範囲設定部53−2は、取り込んだ画像について画像解析を行い、投光パターン15−2が取り込まれているか否かを判定する。投光パターン15−2の画像が取り込まれていなければ、ステップ210へ進み、照射範囲設定部53−2は、ステップ206にて設定した、投光パターン15−2の照射位置の一つ前のアドレス14を、照射範囲21のストップ位置として設定する。
【0064】
一方、ステップ209において、投光パターン15−2が取り込まれている場合には、ステップ216へ進み、照射範囲設定部53−2は、形状計測面12上で、ステップ206で設定した投光パターン15−2の一つ右隣のアドレス14の領域を照射するように、投光パターン15−2を再設定する。そして、撮像及び画像分析の動作を、ステップ209で投光パターン15−2が撮像装置11で取り込まれなくなるまで、繰り返し行なう。そして、取り込まれた時点でステップ210へ移行し、照射範囲設定部53−2にて上記ストップ位置が設定される。
【0065】
以上説明したように、実施の形態2の形状計測装置1002によれば、センサコントロール装置5−2の投光パターン設定部51−2によって設定される投光パターン15−2は、形状計測面12上を等分割した一つのアドレス14に相当する幅にて設定され、撮像装置11の露光タイミングに合わせて投光装置7が駆動され、撮像装置11の露光に合わせて形状計測面12の左から順次投光パターン15−2が照射されていく。そして、センサコントロール装置5−2の照射範囲設定部53−2にて、撮像装置11の撮像視野範囲19内に投光パターン15−2が入った時点で照射範囲21のスタート位置が設定される。さらに順次投光パターン15−2の走査が続行され、照射範囲設定部53−2は、撮像装置11の撮像視野範囲19から投光パターン15−2が外れた時点で、その一つ前のアドレス(照射位置)を、照射範囲21のストップ位置として設定する。このように、従来、手動で投光パターンを調節していた作業を、形状計測装置1002によれば自動で設定できるようになる。したがって、形状計測装置1002は、形状計測装置1001と比較すると、より短時間で効率的かつ容易かつ確実に照射範囲の設定を行なうことが可能となり、より高精度で計測対象物の距離計測が可能となる。
【0066】
また、本実施の形態2では、投光パターン15−2は、形状計測面12の左から走査するとしたが、右から走査するようにしてもよい。
また、設定する投光パターン15−2は、一つのアドレス14に相当する幅としたが、2つ以上のアドレスであっても良く、撮像装置11の撮像視野範囲19の幅よりも狭ければ特に限定されない。
【0067】
実施の形態3.
図10には、本実施の形態3における形状計測装置1003が示されている。形状計測装置1003の基本構成は、実施の形態1における形状計測装置1001と同様であるが、以下に説明するように、センサコントロール装置における動作のみが相違する。構成部分では、本実施の形態3における形状計測装置1003のセンサコントロール装置5−3は、本実施の形態1における形状計測装置1001のセンサコントロール装置5に相当する。また、形状計測装置1003のセンサコントロール装置5−3における投光パターン設定部51−3は、形状計測装置1001のセンサコントロール装置5における投光パターン設定部51に相当し、センサコントロール装置5−3における照射範囲設定部53−3は、センサコントロール装置5の照射範囲設定部53に相当する。
本実施の形態3における形状計測装置1003のその他の構成部分は、実施の形態1における形状計測装置1001の構成部分に同じであり、ここでの説明は省略する。
【0068】
次に、本実施の形態3の形状計測装置1003における照射範囲設定方法について、図10を用いて説明する。該照射範囲設定方法は、センサコントロール装置5−3によって実行される。
【0069】
実施の形態3による形状計測装置1003においても、センサコントロール装置5−3の投光パターン設定部51−3によって投光パターン15−3が設定される。該設定において、実施の形態1及び実施の形態2では、設定され形状計測面12に照射された投光パターンは、形状計測面12上を、順次走査されるが、実施の形態3の形状計測装置1003では、特定の投光パターン15−3のみが形状計測面12の全体、つまり全走査領域13に一回だけ投影される。よって、撮像装置11にて撮像された画像の信号は、センサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3へ一回だけ送られる。この点で、実施の形態3の形状計測装置1003は、上述の形状計測装置1001、1002と異なる。投光パターンの設定動作について、以下に詳しく説明する。
【0070】
尚、設定された投光パターン15−3は、カメラ制御装置4に送られ、撮像装置11のタイミング信号を元に投光装置7が駆動され、形状計測面12上に照射される。そして撮像装置11による撮像画像の信号がカメラ制御装置4を介してセンサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3へ送られる。これらの動作は、形状計測装置1003においても、形状計測装置1001、1002と同様である。
【0071】
センサコントロール装置5−3の投光パターン設定部51−3にて設定される特定の投光パターン15−3は、撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ幅で区切った、形状計測面12上の各領域70−1〜70−4(以下、総称して「領域70」と記す場合もある)に、それぞれ異なるスリット本数となるように設定される。図10に示す例では、領域70−1ではスリット本数1本、領域70−2ではスリット本数2本、領域70−3ではスリット本数3本、領域70−4ではスリット本数4本の場合を示している。各領域70は、それぞれの領域70に照射されるスリットの中心位置を基準として、上述のように撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ幅となっている。
【0072】
ここで、投光パターン設定部51−3は、領域70毎に、設定したスリット本数を認識している。よって、撮像装置11にて、例えば、スリット本数3本の画像が撮像されることで、投光パターン設定部51−3は、3本のスリットパターンがどの領域70に照射されているかを判定することができる。よって、撮像装置11の撮像視野範囲19内の照射範囲21を指定することができる。
【0073】
詳しく説明すると、例えば、撮像装置11にてスリット本数1本の画像が撮像された場合には、1本のスリットが投影されている領域70−1そのものが照射範囲となる。また、領域70は、上述のように、スリットの中心(例えば2本であれば2本のスリットの中心)を基準として、撮像視野範囲19と同じ幅が設定されている。よって、撮像装置11にて得られた画像におけるスリット本数を計数することで、スリット本数1本の領域70−1、スリット本数2本の領域70−2、・・・スリット本数n本の領域70−nのうち、どこを撮像装置11の視野で見ているかを識別することができる。
一方、投光パターン15の照射幅は、撮像装置11の撮像視野範囲19に一致しているが、走査方向15aにおいて、スリットの中心と撮像装置11の撮像視野範囲19の中心とが一致しているとは限らない。仮に、スリットの中心と撮像視野範囲19の中心とが一致していれば、設定した投光パターン15の照射範囲は、撮像視野範囲19内にぴったり収まる。一方、一致しない場合には、図11に示すように、撮像視野範囲19からずれた位置を、投光パターン15の照射範囲としてしまう。そこで、投光パターン15の照射範囲の中心と、撮像装置11の撮像視野範囲19の中心とを完全に一致させるために、図12を参照して後述する動作を行うことで、投光パターン15の照射範囲の設定が行われる。つまり、投光パターン15の照射範囲について、まず概略、撮像視野範囲19に合わせ、それ以後、撮像視野範囲19に完全に一致するように細かく追い込む手法を採る。
【0074】
以上説明したように、実施の形態3の形状計測装置1003によれば、センサコントロール装置5−3の投光パターン設定部51−3によって設定される投光パターン15−3は、撮像装置11の撮像視野範囲19と同じ幅で形状計測面12を区切った領域70ごとに、異なる投光パターンとなるように設定する。そして、センサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3に取り込まれた画像を解析し、どの領域70の投光パターンかを判定して、照射範囲21を設定するようにした。よって、撮像装置11の一回の露光のみによって照射範囲21を指定できるため、実施の形態1及び実施の形態2の場合に比べて、より短時間で効率的かつ容易に照射範囲の設定を行なうことが可能となり、より高精度で計測対象物の距離計測が可能となる。
【0075】
本実施の形態3では、撮像装置11の撮像視野範囲19に相当する幅の領域70ごとに、スリット本数が異なるような投光パターン15−3を投影したが、例えばM系列のようなランダムパターンを投影して絶対番地を指定するようにしても良い。
また、本実施の形態3では、撮像装置11からの撮像画像の信号がセンサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3へ一回だけ送られ、その画像から照射範囲21を指定するとしたが、複数枚の画像から照射範囲21を指定するようにしてもよい。
【0076】
一方、本実施の形態3における上述した照射範囲設定方法によれば、図11に示すように、撮像装置11で取得した投光パターン15−3の中心24と、撮像装置11の撮像視野範囲19の中心23とが一致していない可能性がある。そこで、より正確に、つまり中心24と中心23とを一致させて照射範囲21を設定する方法を採ることもできる。この方法について、図12を参照して以下に説明する。
【0077】
初めにステップ301では、実施の形態3の上述の設定方法により、領域固有の投光パターン15−3を投影することで、照射範囲21を設定する。
次のステップ302では、センサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3は、撮像装置11の撮像視野範囲19の中心23と、投光パターン15−3の中心24とのずれの有無を判定する。具体的には、画像解析によって、照射したスリットの中心24に相当する画素を求め、撮像視野範囲19の中心23に相当する撮像装置11の画素中心とのズレ量を検出する。
【0078】
ステップ302にて、上記中心のずれが無いと判定した場合、ステップ300に進み、投光パターン15−3の中心24と、撮像装置11の撮像視野範囲19の幅とから、照射範囲21を特定し、照射範囲21の設定を完了する。
一方、ステップ302で上記中心のずれ有りと判定した場合、照射範囲設定部53−3は、ステップ303以降で照射範囲21の一端位置と他端位置を設定する。
【0079】
まずステップ303では、センサコントロール装置5−3の投光パターン設定部51−3は、ステップ301で設定した投光パターン15−3の中心24の位置にある一つのスリットを指定し、一方向に相当する、その左隣のアドレスを照射するように投光パターン(図示しないが、説明上「狭パターンA」とする。)を設定する。このとき設定される狭パターンAは、形状計測面12上を等分割した一つのアドレス分の幅に相当する。
【0080】
ステップ304では、上記狭パターンAを形状計測面12上に投影する。ステップ305では、撮像装置11にて撮像を行い、センサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3に撮像装置11の撮像画像の信号を取り込む。
【0081】
ステップ306では、照射範囲設定部53−3は、取り込んだ画像の中に、狭パターンAが存在するか否かを判定する。ここで、狭パターンAが有ると判定された場合には、ステップ313に進み、さらに左隣のアドレスを照射するように狭パターンAを再設定する。尚、再設定した狭パターンを説明上「狭パターン2A」とする(不図示)。そして、照射範囲設定部53−3に取り込まれた画像内に、再設定した狭パターンが存在しなくなるまで、ステップ304、305、306が繰り返される。
【0082】
ステップ306にて、狭パターンA、又は狭パターン2A等の再設定した狭パターンが無いと判定された場合には、ステップ307へ進み、照射範囲設定部53−3は、狭パターンを設定したときの一つ前のアドレスを、照射範囲21の一端位置に設定する。
【0083】
次に、ステップ308に進み、再度、ステップ301で設定した投光パターン15−3の中心24の位置にある一つのスリットを指定し、上記一方向とは逆方向に相当する、その右隣のアドレスを照射するようにセンサコントロール装置5−3の投光パターン設定部51−3によって狭パターンB(不図示)を設定する。
【0084】
次のステップ309にて、上記狭パターンBを形状計測面12上に投影する。ステップ310では、撮像装置11にて撮像を行い、センサコントロール装置5−3の照射範囲設定部53−3に撮像装置11の撮像画像の信号を取り込む。
【0085】
ステップ311では、照射範囲設定部53−3は、取り込んだ画像の中に、狭パターンBが存在するか否かを判定する。ここで、狭パターンBが有ると判定された場合には、ステップ318に進み、さらに右隣のアドレスを照射するように狭パターンBを再設定する。尚、再設定した狭パターンを説明上「狭パターン2B」とする(不図示)。そして、照射範囲設定部53−3に取り込まれた画像内に、再設定した狭パターンが存在しなくなるまで、ステップ309、310、311が繰り返される。
【0086】
ステップ311にて、狭パターンB、又は狭パターン2B等の再設定した狭パターンが無いと判定された場合には、ステップ312へ進み、照射範囲設定部53−3は、狭パターンを設定したときの一つ前のアドレスを、照射範囲21の他端位置に設定し、照射範囲21の設定を完了する。
【0087】
以上説明したように、照射範囲21の一端位置と他端位置とを設定することで、撮像視野範囲19の中心23と、投光パターン15−3の中心24とがずれていた場合でも、そのずれを修正することが可能となる。よって、撮像視野範囲19に対して正確に照射範囲21を設定することができる。
【0088】
尚、本実施の形態では、初めに上記一端位置を設定するとしたが、上記他端位置を先に設定しても良い。
また、本実施の形態では、撮像装置11の撮像視野範囲19に一致するように照射範囲21を設定するようにしたが、照射範囲21の設定は、撮像視野範囲19よりも狭い領域であっても構わない。
また、本実施の形態では、投光パターン15−3の中心位置を基準としたが、中心位置からずれた位置を基準としてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態1〜3では、形状計測面12上を等分割し、等分割したアドレスを走査して照射範囲21を設定するとしたが、第1光検出器9或いは第2光検出器10からの時間を変化させて照射範囲21を設定するようにしても良いし、また、これらを組み合わせて照射範囲21を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
3 スキャナ制御装置、 4 カメラ制御装置、 5 センサコントロール装置、
6 回転ミラー、 7 投光装置、 8 コリメートレンズ群、 11 撮像装置、
12 形状計測面、 13 走査領域、 15 投光パターン、
19 撮像視野範囲、
51、51−2,51−3 投光パターン設定部、 52 形状計測部、
53、53−2、53−3 照射範囲設定部、
1001〜1003 形状計測装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状計測面に対して光学的手法によって非接触で3次元形状計測を行う形状計測装置であって、
撮像視野範囲にて上記形状計測面を撮像する撮像部と、
上記撮像部から供給されるタイミング信号にて動作制御されて、上記形状計測面において上記撮像視野範囲を超える投影領域へ投光パターンを投影する照射部と、
上記照射部にて上記形状計測面に投影される上記投光パターンの設定を行う投光パターン設定部と、
上記撮像部から撮像画像が供給され、上記投光パターン設定部にて設定された上記投光パターン及び上記撮像画像により、上記投光パターンの上記形状計測面における照射範囲を設定する照射範囲設定部と、
を備えたことを特徴とする形状計測装置。
【請求項2】
上記照射部は、上記投光パターンを上記投影領域にて第1方向に走査させるスキャナ部を有し、
上記投光パターン設定部は、上記第1方向において上記撮像視野範囲と同じ若しくは僅かに小さい照射幅にて上記投光パターンを設定し、
上記照射範囲設定部は、上記照射幅を有する上記投光パターンが上記撮像画像に含まれることで上記照射範囲の設定を完了する、請求項1記載の形状計測装置。
【請求項3】
設定された上記投光パターンが上記撮像視野範囲から外れた非照射領域を有し、上記照射範囲設定部は、上記非照射領域が無くなるまで投光パターンを走査し照射範囲の設定を行う、請求項2記載の形状計測装置。
【請求項4】
上記照射部は、上記投光パターンを上記投影領域にて第1方向に走査させるスキャナ部を有し、
上記投光パターン設定部は、上記第1方向において上記撮像視野範囲よりも小さい照射幅にて上記投光パターンを設定し、
上記照射範囲設定部は、上記第1方向における上記走査により、上記小さい照射幅を有する上記投光パターンが上記撮像画像に含まれ始めるスタート位置と、終了するストップ位置とを決定し、上記スタート位置及び上記ストップ位置にて上記照射範囲を設定する、請求項1記載の形状計測装置。
【請求項5】
投光パターン設定部は、上記撮像視野範囲と同じ幅にて上記投影領域を分割した分割領域毎に、それぞれ固有の投光パターンを設定し、
上記照射部は、上記固有の投光パターンをそれぞれの上記分割領域に投影し、
上記照射範囲設定部は、供給される上記撮像画像と同じ投光パターンにより上記照射範囲の設定を行う、請求項1記載の形状計測装置。
【請求項6】
上記照射部は、上記撮像画像における投光パターンよりも小さい照射幅にて設定された狭パターンを一方向に走査させるスキャナ部を有し、
上記照射範囲設定部は、上記撮像視野範囲において上記一方向への上記狭パターンの走査により、上記狭パターンが上記撮像画像から外れる直前の一端位置と、上記撮像視野範囲における上記一方向とは逆方向への上記狭パターンの走査により、上記狭パターンが上記撮像画像から外れる直前の他端位置とを決定し、上記一端位置及び上記他端位置にて上記照射範囲を設定する、請求項5記載の形状計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−242230(P2011−242230A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113924(P2010−113924)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、柔軟物も取扱える生産用ロボットシステム(次世代産業用ロボット分野)、FA機器組立ロボットシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】