説明

情報処理装置、システム及びプログラム

【課題】処理要求を行なった利用者の認証に成功してから情報処理装置を省電力状態から稼働状態に復帰させる場合よりも早く、利用者が要求する処理を情報処理装置に開始させることができる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置の構成として、自装置に処理要求を行なった利用者の認証を外部認証装置に依頼してそこから認証結果を取得する認証処理管理部3と、認証処理管理部3で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理部4と、自装置の電力状態を切り替える機能を有する電源管理部5と、第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、この利用者に関して認証履歴テーブル14に登録されている認証履歴情報を参照することにより、認証処理管理部3が外部認証装置から今回の認証結果を取得する前に、電源管理部5に電力状態の切り替えを指示する電力制御部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子情報を取り扱う情報処理装置の一形態として、画像情報を取り扱う画像処理装置がある。また、ネットワーク対応型の画像処理装置として、例えば、利用者端末を操作する利用者から認証が必要となる処理要求を受けた場合に、ネットワークを介して外部の認証装置に利用者の認証を依頼し、当該認証装置で認証に成功した場合に、利用者の要求する処理を実行するものが知られている。また、この種の画像処理装置で消費電力を低減する技術として、利用者端末から処理要求を受けた段階では画像処理装置が省電力状態のまま外部の認証装置に認証を依頼し、認証装置で利用者の認証に成功した場合に、認証装置から画像処理装置に省電力解除命令を送信し、当該省電力解除命令の受信をきっかけにして画像処理装置が稼働状態に復帰する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−277714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、処理要求を行なった利用者の認証に成功してから情報処理装置を省電力状態から稼働状態に復帰させる場合よりも早く、利用者が要求する処理を情報処理装置に開始させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、自装置に処理要求を行なった利用者の認証を外部認証装置又は内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段とを備える情報処理装置に係るものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、前記認証履歴情報に含まれる利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御するものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、前記認証履歴情報に含まれる利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御するものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第2の電力状態から前記第3の電力状態に切り替えるように制御するものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項2記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第2の電力状態から前記第1の電力状態に切り替えるように制御するものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項3記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第3の電力状態に切り替えるように制御するものである。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項3記載の情報処理装置において、前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態に維持するように制御するものである。
【0012】
請求項8記載の発明は、利用者が操作する利用者端末と、前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう情報処理装置と、前記情報処理装置からの依頼を受けて利用者の認証処理を行なう認証装置とを通信網で接続し、前記情報処理装置は、前記利用者端末を操作して自装置に処理要求を行なった利用者の認証を前記認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記認証装置から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段とを備えるシステムに係るものである。
【0013】
請求項9記載の発明は、利用者が操作する利用者端末と、前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう情報処理装置とを通信網で接続し、前記情報処理装置は、前記利用者端末を操作して自装置に処理要求を行なった利用者の認証を内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記内部認証装置から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段とを備えるシステムに係るものである。
【0014】
請求項10記載の発明は、自装置に処理要求を行なった利用者の認証を外部認証装置又は内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する取得手段と、前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムに係るものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、8、9、10に記載の発明によれば、処理要求を行なった利用者の認証に成功してから情報処理装置を省電力状態から稼働状態に復帰させる場合よりも早く、利用者が要求する処理を情報処理装置に開始させることができる。その結果、情報処理装置が利用者から処理要求を受けてから、当該処理要求に基づく処理を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、認証履歴情報が示す過去の認証結果から、今回の認証処理で認証成功となる可能性が高いと予想される利用者からの処理要求に際して、情報処理装置の電力状態を事前に上げた状態で、認証装置での正式な認証結果を待つことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、認証履歴情報が示す過去の認証結果から、今回の認証処理で認証失敗となる可能性が高いと予想される利用者からの処理要求に際して、情報処理装置の消費電力を増加することなく、認証装置での正式な認証結果を待つことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、今回の認証処理で認証装置から取得した認証結果が認証成功であることが判明した段階で情報処理装置の電力状態を第1の電力状態から第3の電力状態に切り替える場合よりも早く、情報処理装置を省電力状態から稼働状態に復帰させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、利用者が要求する処理の実行に備えて情報処理装置の電力状態を第2の電力状態に維持しておく時間を最小限に抑えて、無駄な電力の消費を低減することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、認証履歴情報が示す過去の認証結果から、今回の認証処理で認証失敗となる可能性が高いと予想される利用者からの処理要求に際して、事前に情報処理装置の電力状態を上げておかなくても、今回の認証処理で認証成功となった利用者が要求する処理を第3の電力状態で実行することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、今回の認証処理で認証失敗となる可能性が高いと予想される利用者からの処理要求に際して、実際に今回の認証処理で認証装置から認証失敗の認証結果を取得した場合に、情報処理装置の電力状態を一貫して第1の電力状態に維持して無駄な電力の消費を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されるシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】認証履歴テーブルの一例を示す図である。
【図4】電力状態のレベル分けの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で行なわれる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0024】
図1は本発明が適用されるシステムの概略構成図である。図示したシステムは、利用者端末100と、画像処理装置101と、認証装置102とを、共通の通信網103で相互に接続した構成となっている。
【0025】
利用者端末100は、利用者が操作する端末装置であって、例えば、表示装置(液晶モニター等)や入力装置(キーボード、マウス等)が付属するパーソナルコンピュータを用いて構成されている。
【0026】
画像処理装置101は、利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて、当該処理要求に基づく処理(利用者が要求する処理)を行なうものである。画像処理装置101は、例えば、印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX(ファクス)処理といった複数の処理機能を併せ持つ複合機を用いて構成されている。
【0027】
認証装置102は、画像処理装置101からの依頼を受けて利用者の認証処理を行なうものである。認証装置102は、例えば、認証サーバを用いて構成されている。認証装置102による利用者の認証処理は、認証処理の対象となる利用者が実際に処理要求を行なった内容に関して画像処理装置101を利用する資格を有する者(適格者)かどうかを判断することで行なう。その際、認証装置102は、利用者が利用資格を有する場合は、画像処理装置101に対して、利用者の認証に成功した旨の認証結果を通知(送信)する。また、認証装置012は、利用者が利用資格を有していない場合は、画像処理装置101に対して、利用者の認証に失敗した旨の認証結果を通知する。
【0028】
通信網103は、利用者端末100、画像処理装置101及び認証装置102の間で、規定の通信規約に基づいて双方向の通信(データや情報の受け渡し)を実現するものである。通信網103は、例えばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等を用いて構成されるものである。
【0029】
図2は本発明の実施の形態に係る画像処理装置101の内部構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置101は、大きくは、通信部1と、処理要求受付部2と、認証処理管理部3と、認証履歴管理部4と、電力制御部5と、電源管理部6と、機能処理部7とを備えた構成となっている。
【0030】
通信部1は、上記通信網103を介して外部の装置(本形態例では利用者端末100、認証装置102に相当)と通信する外部インターフェースとなるものである。通信部1は、処理要求検知部11を有している。処理要求検知部11は、自装置(画像処理装置101)に対して外部の装置から処理要求があったかどうかを検知するものである。
【0031】
処理要求受付部2は、上記通信部1で処理要求検知部11が検知した処理要求を受け付けるものである。処理要求受付部2は、認証要否判断部12を有している。認証要否判断部12は、処理要求受付部2で受け付けた処理要求の要求元となる外部の装置(本形態例では利用者端末100に相当)を操作して実際に処理要求を行なった利用者の認証を行なう必要があるかどうかを判断するものである。
【0032】
認証要否判断部12においては、例えば、処理要求受付部2で受け付けた処理要求の内容にしたがって認証の要否を判断する。より具体的な事例として、処理要求受付部2には、利用者の認証が必要となる処理要求の内容を一覧で登録した処理要求表が予め具備されている。認証要否判断部12は、実際に処理要求受付部2で受け付けた処理要求の内容と一致する内容が処理要求表に存在する場合は、利用者の認証が必要と判断し、存在しない場合は、利用者の認証が不要と判断する。また、利用者の認証が必要かどうかの判断に関しては、例えば、画像処理装置101を利用する際の利用条件を制限したゲスト用のIDを認証要否判断部12に設定しておき、当該ゲスト用IDでログインした利用者については認証不要と判断し、それ以外のIDでログインした利用者については認証必要と判断するものとしてもよい。
【0033】
利用者の認証に必要となる情報(以下、「認証用利用者情報」)は、例えば、利用者端末100から画像処理装置101に処理要求を送信するときに、当該処理要求と一緒に送信する仕組みとすればよい。またこれ以外にも、例えば、上記認証要否判断部12が利用者の認証を必要と判断した場合に、画像処理装置101から利用者端末100に認証用利用者情報の提示要求を送信し、これに応答して利用者端末100から画像処理装置101に認証用利用者情報を送信する仕組みとしてもよい。本実施の形態においては、一例として前者の仕組みを採用することとする。認証用利用者情報としては、例えば、利用者ごとに割り当てられた固有の情報(以下、「利用者ID」)など、利用者を一意に特定する情報であれば、どのような情報を用いてもよい。また、認証の対象となる利用者の単位は、個人単位であってもよいし、所属先や配属先などの組織(グループ)単位であってもよい。また、利用者IDとパスワードを組み合わせた情報や、利用者IDと証明書を組み合わせた情報を、認証用利用者情報として用いてもよい。
【0034】
認証処理管理部3は、利用者の認証処理を管理するものである。認証処理管理部3は、上記認証要否判断部12で認証が必要と判断された利用者に関して、認証装置102に認証を依頼する処理や、当該認証依頼に対して認証装置102から返信(通知)された認証結果を取得する処理や、取得した認証結果を認証履歴管理部4に転送する処理を行なうものである。認証処理管理部3は、認証履歴確認部13を有している。認証履歴確認部13は、上記認証要否判断部12で認証が必要と判断された利用者に関して、今回、処理要求受付部2で受け付けた処理要求を行なう前(過去)に認証装置102で認証処理を行なったときの認証結果を示す認証履歴を確認するものである。
【0035】
認証履歴管理部4は、認証処理管理部3から転送される認証結果を含む認証履歴情報を管理するものである。認証履歴管理部4は、認証履歴テーブル14を有している。認証履歴テーブル14は、認証履歴情報の蓄積及び管理に用いられるものである。認証履歴テーブル14には、利用者ごとに認証履歴情報が登録(保持)されている。
【0036】
図3は認証履歴テーブルの一例を示す図である。認証履歴テーブル14には、認証用利用者情報となる「利用者ID」に対応付けて、「認証結果」、「認証日時」、「処理要求の内容」などの情報が認証履歴情報として登録されている。認証結果は、認証に成功したか失敗したかを示す情報であって、認証成功又は認証失敗で登録される。認証日時は、実際に認証を行なった日時を示す情報である。処理要求の内容は、認証が必要と判断された利用者から受け付けた処理要求の内容を示す情報である。図示した認証履歴テーブル14において、例えば、利用者ID「abc123」で特定される利用者の認証履歴情報を参照すれば、過去に当該利用者が「印刷処理」で処理要求を行なったときに、「2008年9月1日22時02分」付けの認証日時で認証装置102から取得した認証結果が「認証成功」であったことが分かる仕組みになっている。
【0037】
認証履歴テーブル14への認証履歴情報の登録は、未登録の利用者に関しては、新規追加で行なうことになるが、登録済みの利用者に関しては、追加で行なってもよいし、上書きで行なってもよい。登録済みの利用者の認証履歴情報を上書きで登録する場合は、常に最新(前回)の認証履歴情報だけが認証履歴テーブル14に保持されることになる。登録済みの利用者の認証履歴情報を追加で登録する場合は、例えば、過去1週間、過去1ヶ月、過去3ヶ月、過去半年、…などのように、認証履歴テーブル14に登録される認証履歴情報の保存期間を予め決めておき、この保存期間を過ぎた認証履歴情報を認証履歴テーブル14から自動的に削除する方式を採用してもよい。認証履歴テーブルに対する認証履歴情報の登録(追加、上書きを含む)、削除、検索などの処理は、すべて認証履歴管理部4が行なう。
【0038】
電力制御部5は、電源管理部6による電力状態の切り替えを制御するものである。電力状態の切り替えに際しては、電力制御部5から電源管理部6に電力状態の変更指示がなされ、この変更指示にしたがって電源管理部6が自装置の電力状態を切り替える仕組みになっている。電力制御部5による電力制御の具体的な内容については後段で説明する。
【0039】
電源管理部6は、画像処理装置101が備える各種のハードウェアの電源を管理するものである。電源管理の対象となるハードウェアとしては、例えば、ユーザーインターフェース(UI)部15、ハードディスク(HDD)16、ネットワークソフトウェア制御部(図中のS/Wはソフトウェアの略)17、ネットワークハードウェア(図中のH/Wはハードウェアの略)18、情報管理用ハードウェア19、印刷用ハードウェア20、画像読取用ハードウェア21、複写用ハードウェア22、FAX用ハードウェア23、画像データ処理用ハードウェア24などがある。情報管理用ハードウェア19は、画像処理装置101が稼働状態から省電力状態に移行するときに、移行直前のマシンの状態を示す情報(ステータス情報)を保持する場合などに用いられる。
【0040】
電源管理部6は、例えば図4に示すように、6つのレベルに分けてハードウェアの電源を管理する。6つのレベルのうち、レベル1は、自装置の消費電力が最も少なくなる電力状態(休眠状態)であり、レベル6は、自装置の消費電力が最も多くなる電力状態である。各々のレベル1〜6は、自装置の消費電力が段階的に異なるように区分されている。即ち、レベル2はレベル1よりも消費電力が多い電力状態であり、レベル3はレベル2よりも消費電力が多い電力状態である。また、レベル4はレベル3よりも消費電力が多い電力状態であり、レベル5はレベル4よりも消費電力が多い電力状態であり、レベル6はレベル5よりも消費電力が多い電力状態である。本書では、画像処理装置101が自身のもつ処理機能を最大限に発揮するときの電力状態を稼働状態と定義し、それよりも電力消費が少ない電力状態(節電状態)を省電力状態と定義する。そうすると、レベル1〜5の電力状態は、いずれも省電力状態に該当するものとなり、レベル6の電力状態は、稼働状態に該当するものとなる。また、画像処理装置101は、自装置の電力状態がレベル1〜5のうちのいずれか1つからレベル6に切り替わることで、省電力状態から稼働状態へと復帰することになる。省電力状態から稼働状態への復帰は、復帰直前の省電力状態のレベルが低いほど、稼働状態に復帰するまでに時間がかかる。換言すれば、復帰直前の省電力状態のレベルが高いほど、稼働状態に復帰するまでの時間が短くなる。
【0041】
消費電力の相対的な比較は、各々のレベルに対応してハードウェアに電源を投入した段階での消費電力を対象にしており、電源投入後の実動作による消費電力の増大分は見込んでいない。例えば、ハードディスクを例に挙げて説明すると、ハードディスクに電源を投入した段階での消費電力と、実際にデータの蓄積などでハードディスクを動作させた段階での消費電力は、後者の方が多くなるが、上述した電力状態のレベル分けは、電源投入段階の消費電力を想定している。このため、例えば、自装置の電力状態をレベル1からレベル2に変更する場合は、レベル1で電源を投入しているハードウェアをすべて含んで、それよりも多いハードウェアを対象に電源を投入することになる。また、自装置の電力状態をレベル1からレベル3に変更する場合は、レベル1で電源を投入しているハードウェアと、それ以外にレベル2で電源が投入されるハードウェアをすべて含んで、それよりも多いハードウェアを対象に電源を投入することになる。つまり、電力状態のレベルが上がるほど、電源を投入する対象となるハードウェアの数(種類)が増加する。電源管理部6は、自装置の電力状態を上記6つのレベルのうちのいずれかに切り替える機能を有する。このため、電源管理部6は、電力切り替え手段としての機能を果たす。ここでは、一例として、レベル1が「第1の電力状態」、レベル3が「第2の電力状態」、レベル6が「第3の電力状態」に相当するものとする。ただし、これに限らず、消費電力の関係が、「第1の電力状態<第2の電力状態<第3の電力状態」の関係を満たすものであれば、他の対応関係、例えば、レベル2を「第1の電力状態」、レベル4を「第2の電力状態」、レベル6を「第3の電力状態」としてもよい。
【0042】
レベル1は、例えば、MAC/PHY規格にしたがって通信網103を介して受信したパケットが自装置宛てのパケットか否かを判断するパケットフィルタなどの機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0043】
レベル2は、例えば、ARP/Ping処理、ブロードキャストやマルチキャストによる検索など、ネットワークハードウェアを用いた機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0044】
レベル3は、例えば、プロトコルによって最低限のCPU(例えば、ネットワークインターフェースカードに搭載されるCPUなど)の電源を入れ、ステータスの応答(ハードディスクへのアクセスが不要なもの)を行なう機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0045】
レベル4は、例えば、プロトコルによって最低限のCPUの電源を入れ、ステータスの応答(ハードディスクへのアクセスが必要なもの)を行なう機能やデータを蓄積する機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0046】
レベル5は、画像データを処理する機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0047】
レベル6は、利用者から処理要求を受けた画像処理(印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理など)の機能を働かせるために必要となる電力状態である。
【0048】
機能処理部7は、処理要求受付部2で受け付けた処理要求の内容にしたがって、印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理、ステータス処理などの機能処理を行なうものである。機能処理部7は、印刷処理部25、画像読取処理部26、複写処理部27、FAX処理部28、ステータス処理部29を有している。印刷処理部25は、用紙に画像を印刷する処理を行なうものである。画像読取処理部26は、原稿に記録された画像を読み取る処理を行なうものである。複写処理部27は、原稿から読み取った画像を用紙に複写する処理を行なうものである。FAX処理部28は、FAXデータを送信したり受信したりする処理を行なうものである。ステータス処理部29は、自装置のステータス(動作状態)を確認したり、確認結果を外部の装置(ステータスの確認要求を行なった装置)に通知したりする処理を行なうものである。
【0049】
以上述べた画像処理装置101の構成要素のなかで、通信部1、処理要求受付部2、認証処理管理部3、認証履歴管理部4、電力制御部5、電源管理部6、機能処理部7については、電源管理の対象となるハードウェア資源を除いて、例えば、プログラムを格納するROM(Read-Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ・ハードウェア資源を用いて実現されるものである。また、本発明は、以下の処理を行なう手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを含むものである。
【0050】
図5は本発明の実施の形態に係る画像処理装置で行なわれる処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、画像処理装置101の電力状態がレベル1であっても支障なく行われるものである。
【0051】
まず、自装置の電力状態がレベル1に設定されている状況のもとで、処理要求検知部11は、外部の装置から処理要求があったかどうかを繰り返し確認する(ステップS1)。そして、利用者端末100から画像処理装置101に向けて送信された処理要求を通信部1で受信すると、処理要求検知部11は、その処理要求を検知することで、外部の装置から処理要求があったと判断する(ステップS1でYes)。
【0052】
次に、処理要求検知部11が検知した処理要求を処理要求受付部2で受け付けた後(ステップS2)、その処理要求を行なった利用者の認証が必要かどうかを認証要否判断部12で判断する(ステップS3)。
【0053】
上記ステップS3で認証要否判断部12が利用者の認証が必要と判断すると、その判断を受けて認証処理管理部3が通信部1を介して外部の認証装置102に利用者の認証を依頼する(ステップS4)。このとき、認証依頼と一緒に認証用利用者情報が画像処理装置101から通信網103を介して認証装置102に送られる。そして、認証装置102では、画像処理装置101から送られた認証用利用者情報を用いて利用者の認証処理を行なう。また、認証装置102は、画像処理装置101から依頼のあった利用者の認証処理を終えると、その認証結果を依頼元の画像処理装置101宛てに送信する。画像処理装置101が認証装置102に認証を依頼してから認証結果を受け取るまでには、ある程度の時間がかかる。その間、画像処理装置101では、次のような処理が行なわれる。
【0054】
即ち、上記ステップS3で認証が必要と認証要否判断部12が判断した利用者に関して、当該利用者の過去の認証結果を含む認証履歴情報が上記認証履歴テーブル14に登録されているかどうかを認証履歴確認部13で確認する(ステップS5)。認証履歴確認部13は、上記ステップS2で処理要求受付部2が受け付けた処理要求と一緒に受け取った認証用利用者情報(本形態例では利用者ID)を認証履歴管理部4に送って、当該認証用利用者情報で特定される利用者が、認証履歴テーブル14に登録済みの利用者であるかどうかを認証履歴管理部4に問い合わせる。この問い合わせを受けて認証履歴管理部4は、認証履歴テーブル14の登録済みの利用者(利用者ID)の中に、問い合わせのあった利用者(利用者IDが一致する情報)が存在するかどうかを検索する。そして、問い合わせのあった利用者が存在する場合は、該当する利用者に関する認証履歴情報を認証履歴確認部13に通知する。このとき、問い合わせのあった利用者に関して、認証日時が異なる複数の認証履歴情報が認証履歴テーブル14に登録されている場合は、そのなかで最も認証日時が新しい認証履歴情報(つまり、前回の認証結果を含む認証履歴情報)を認証履歴確認部13に通知すればよい。また、問い合わせのあった利用者が存在しない場合は、その旨を認証履歴確認部13に通知する。こうした通知を受けて認証履歴確認部13は、通知内容が認証履歴情報であった場合は、登録済みの利用者であると判断してステップS6に進む。また、認証履歴確認部13は、問い合わせのあった利用者が認証履歴テーブルに存在しない旨の通知内容であった場合は、登録済みの利用者ではないと判断してステップS8に移行する。
【0055】
次に、認証履歴確認部13は、認証履歴管理部4から通知された認証履歴情報を参照することにより、当該認証履歴情報に含まれる利用者の認証結果(今回の処理要求を行なう前の、過去の認証結果)が認証成功になっているかどうかを確認する(ステップS6)。そして、利用者の認証結果が認証成功になっていた場合は、その旨を電力制御部5に通知する。この通知を受けて電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル3に変更するように電源管理部6に指示を与える(ステップS7)。これにより、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル1からレベル3に切り替える。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル1からレベル3に切り替えるように電源管理部6の動作を制御することになる。
【0056】
これに対して、認証が必要と判断された利用者の認証履歴情報が認証履歴テーブル14に登録されていない場合(ステップS5でNoの場合)や、登録されていても認証結果が認証失敗であった場合(ステップS6のNoの場合)は、いずれもステップS7の処理(電力状態の切り替え処理)を行なうことなく、ステップS8に移行する。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル1からレベル3に切り替えないように電源管理部6の動作を制御することになる。
【0057】
なお、上記ステップS6で利用者の認証履歴情報を参照して認証成功かどうかを判断する場合、ある1つの利用者IDに関して、認証日時が異なる複数の認証履歴情報が認証履歴テーブル14に登録されている状況では、認証日時が最も新しい認証結果の成否で判断してもよいが、本発明はこれに限らない。例えば、ある1つの利用者IDに対応して認証履歴テーブル14に登録されている複数の認証履歴情報に含まれる認証成功及び認証失敗の割合を確認し、認証成功の割合が予め設定された値(例えば、8割)よりも高い場合には認証成功と判断し、それ以外の場合には認証失敗と判断するようにしてもよい。
【0058】
その後、認証処理管理部3は、上記ステップS4で利用者の認証を依頼した認証装置102から自装置宛てに送信された認証結果を通信部1が受信したかどうかを繰り返し確認し、当該認証結果を通信部1が受信すると、その段階で認証結果を取得する(ステップS8)。
【0059】
次に、認証処理管理部3は、認証装置102から取得した認証結果を認証履歴管理部4に転送し、これを受けて認証履歴管理部4が今回の認証結果を含む認証履歴情報を認証用利用者情報(利用者ID)と対応付けて認証履歴テーブル14に登録する(ステップS9)。
【0060】
次に、認証処理管理部3は、認証装置102から取得した認証結果が認証成功になっているかどうかを確認する(ステップS10)。そして、認証成功になっていた場合は、その旨を電力制御部5に通知する。この通知を受けて電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル6に変更するように電源管理部6に指示を与える(ステップS11)。これにより、電源管理部6は電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態を切り替える。
【0061】
その際、切り替え直前の電力状態がレベル1であった場合は、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル1からレベル6に切り替える。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル1からレベル6に切り替えるように電源管理部6の動作を制御することになる。また、切り替え直前の電力状態がレベル3であった場合は、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル3からレベル6に切り替える。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル3からレベル6に切り替えるように電源管理部6の動作を制御することになる。
【0062】
上記ステップS11で自装置の電力状態を切り替えるにあたって、切り替え直前の電力状態がレベル1である場合とは、上記ステップS7の処理(電力状態のレベル変更処理)が行なわれなかった場合に相当する。また、切り替え直前の電力状態がレベル3である場合とは、上記ステップS7の処理が行なわれた場合に相当する。
【0063】
次に、機能処理部7は、上記ステップS2で処理要求受付部2が受け付けた処理要求の内容にしたがって処理(印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理、ステータス処理など)を実行する(ステップS12)。
【0064】
その後、電力制御部5は、予め設定された節電移行条件を満たした段階で、自装置の電力状態をレベル1に変更するように電源管理部6に指示を与える(ステップS13)。これにより、電源管理部6は電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態を切り替える。節電移行条件としては、例えば、「利用者から処理要求のない時間が規定時間以上にわたって継続すること」などの条件を適用すればよい。
【0065】
その際、切り替え直前の電力状態がレベル6であった場合は、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル6からレベル1に切り替える。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル6からレベル1に切り替えるように電源管理部6の動作を制御することになる。また、切り替え直前の電力状態がレベル3であった場合は、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル3からレベル1に切り替える。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル3からレベル1に切り替えるように電源管理部6の動作を制御することになる。また、切り替え直前の電力状態がレベル1であった場合は、電源管理部6は、電力制御部5からの指示にしたがって自装置の電力状態をレベル1に維持する。この場合、電力制御部5は、自装置の電力状態をレベル1に維持するように電源管理部6の動作を制御することになる。
【0066】
上記ステップS13で自装置の電力状態を切り替えるにあたって、切り替え直前の電力状態がレベル6である場合とは、上記ステップS11の処理(電力状態の切り替え処理)が行なわれた場合に相当する。また、切り替え直前の電力状態がレベル3である場合とは、上記ステップS7の処理が行なわれた後、上記ステップS11の処理が行われなかった場合に相当する。また、切り替え直前の電力状態がレベル1である場合とは、上記ステップS7の処理とステップS11の処理がどちらも行われなかった場合に相当する。
【0067】
一方、上記ステップS10において今回の認証結果が認証失敗になっていた場合は、認証処理管理部3は、通信部1を介して利用者端末100に認証に失敗した旨を通知する(ステップS14)。その後、ステップS13の処理に移行する。
【0068】
なお、上記実施の形態においては、画像処理装置101から外部の認証装置102に利用者の認証処理を依頼するものとしたが、これに限らず、画像処理装置101の内部に認証装置の機能を組み込み、当該内部認証装置に利用者の認証処理を依頼するものとしてもよい。ちなみに、「外部認証装置」とは、画像処理装置101と通信網103を介して接続される認証装置をいい、「内部認証装置」とは、画像処理装置101の本体内に組み込まれる認証装置や、画像処理装置101と通信網103を介することなく通信ケーブルで1:1の対応関係で接続される認証装置をいう。画像処理装置101に「内部認証装置」を組み込む場合は、「内部認証装置」が認証処理を行なうのに必要となるハードウェアの電源を、例えばレベル1で投入する構成とすればよい。「内部認証装置」を用いて利用者の認証処理を行なう場合のシステム構成では、外部の認証装置102が不要になる。
【0069】
また、上記実施の形態においては、認証が必要と判断した利用者に関して、認証履歴テーブル14に登録されている認証履歴情報に含まれる認証結果が認証成功であれば、自装置の電力状態をレベル1からレベル3に切り替えるものとしたが、これ以外にも、認証履歴情報に含まれる処理要求の内容に応じて電力状態の切り替え後のレベルを変えてもよい。例えば、認証履歴情報に含まれる処理要求の内容が印刷処理、画像読取処理又は複写処理の場合は、レベル1からレベル5に切り替えるものとし、認証履歴情報に含まれる処理要求の内容がFAX処理の場合は、レベル1からレベル4に切り替えるものとし、認証履歴情報に含まれる処理要求の内容が、ステータスを確認する処理の場合は、レベル1からレベル3に切り替えるものとしてもよい。また、認証履歴情報に含まれる処理要求の内容が印刷処理で、それに対応して自装置の電力状態をレベル1からレベル5に切り替える場合は、当該電力状態の切り替え後に、利用者端末100から印刷用に送られた画像データの処理を、認証装置102から認証結果を受信(取得)する前に、先行して開始してもよい。つまり、認証履歴情報で示された利用者の過去(本形態例では前回)の認証結果が認証成功であることをきっかけに、自装置の電力状態を第1の電力状態から第2の電力状態に切り替えた場合に、切り替え後の電力状態のままで、今回の認証結果を認証装置102から取得するまでの間に、利用者から処理要求に基づく処理を途中まで進めてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、本発明に係る情報処理装置の一例として、画像処理装置101を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、利用者端末100を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう情報処理装置全般に広く適用されるものである。ただし、画像処理装置の中でも、プリンタ、複写機、FAX装置、又はそれらの機能を併せ持つ複合機などの画像形成装置、特に電子写真式の画像形成装置の場合は、ヒータ等の加熱源を備えるため、待機状態での電力消費が多い一方、省電力状態から稼働状態に復帰するまでの時間が長くなる傾向がある。このため、本発明を画像形成装置、特に電子写真式の画像形成装置に適用すると、処理開始までの時間を短縮する効果が大きくなる。
【符号の説明】
【0071】
1…通信部、2…処理要求受付部、3…認証処理管理部、4…認証履歴管理部、5…電力制御部、6…電源管理部、7…機能処理部、100…利用者端末、101…画像処理装置(情報処理装置)、102…認証装置(外部認証装置)、103…通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に処理要求を行なった利用者の認証を外部認証装置又は内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、
自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、
前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記電力制御手段は、前記認証履歴情報に含まれる利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電力制御手段は、前記認証履歴情報に含まれる利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第2の電力状態から前記第3の電力状態に切り替えるように制御する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えるように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第2の電力状態から前記第1の電力状態に切り替えるように制御する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証成功であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第3の電力状態に切り替えるように制御する
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記電力制御手段は、自装置の電力状態を前記第1の電力状態から前記第2の電力状態に切り替えないように制御した後、前記取得手段が取得した利用者の認証結果が認証失敗であった場合に、自装置の電力状態を前記第1の電力状態に維持するように制御する
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項8】
利用者が操作する利用者端末と、
前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう情報処理装置と、
前記情報処理装置からの依頼を受けて利用者の認証処理を行なう認証装置と
を通信網で接続し、
前記情報処理装置は、
前記利用者端末を操作して自装置に処理要求を行なった利用者の認証を前記認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記認証装置から取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、
自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、
前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段とを備える
システム。
【請求項9】
利用者が操作する利用者端末と、
前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう情報処理装置と
を通信網で接続し、
前記情報処理装置は、
前記利用者端末を操作して自装置に処理要求を行なった利用者の認証を内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記内部認証装置から取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、
自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、
前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段とを備える
システム。
【請求項10】
自装置に処理要求を行なった利用者の認証を外部認証装置又は内部認証装置に依頼して当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した利用者の認証結果を含む認証履歴情報を管理する認証履歴管理手段と、
自装置の電力状態を、第1の電力状態と、当該第1の電力状態より消費電力が多い第2の電力状態と、当該第2の電力状態よりも消費電力が多い第3の電力状態のうちのいずれかに切り替える電力切り替え手段と、
前記第1の電力状態のもとで利用者から処理要求を受けた場合に、当該利用者に関して前記認証履歴管理手段が管理している前記認証履歴情報を参照することにより、前記取得手段が当該利用者の認証結果を前記外部認証装置又は前記内部認証装置から取得する前に、前記電力切り替え手段による電力状態の切り替えを制御する電力制御手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−194910(P2010−194910A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43332(P2009−43332)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】