情報処理装置および情報処理方法
【課題】ユーザの嗜好を精度よく推定することができる装置を提供する。
【解決手段】意思判定部180は、記憶部150に格納された移動履歴DB154に含まれる情報処理装置100の移動経路と経路探索部162が探索した推奨経路との関係から、ユーザが意図的に移動経路を選択したかどうかを判定する。嗜好判定部190は、意志判定部180がユーザが意図的に移動経路を選択したと判定した場合に、記憶部150に格納されたセンサの取得した情報などの履歴と、嗜好・行動ルールとから、ユーザの嗜好を判定する。
【解決手段】意思判定部180は、記憶部150に格納された移動履歴DB154に含まれる情報処理装置100の移動経路と経路探索部162が探索した推奨経路との関係から、ユーザが意図的に移動経路を選択したかどうかを判定する。嗜好判定部190は、意志判定部180がユーザが意図的に移動経路を選択したと判定した場合に、記憶部150に格納されたセンサの取得した情報などの履歴と、嗜好・行動ルールとから、ユーザの嗜好を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを目的地に誘導するナビゲーション技術に関し、特に、ユーザの移動経路からユーザの行動パターンや嗜好を分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ナビゲーション技術を利用したパーソナルナビゲーションやカーナビゲーションなどのナビゲーション装置が広く利用されている。ナビゲーション装置は、目的地までの経路の探索結果をユーザに通知するものであり、経路の探索結果は、ユーザの行動パターンなどの嗜好に合致したものであることが好ましい。ユーザの嗜好に合致する経路を抽出するために、ユーザの嗜好を推定する技術が、これまでにいくつか提案されている。
【0003】
特許文献1には、ナビゲーションシステムによる推奨ルート上のルート特徴量(推奨ルートの道路幅、右左折回数、ハンドル操作量など)と、実際の走行ルート上のルート特徴量とを比較して、そのユーザの嗜好を学習し、今後の推奨ルート選定に活かすナビゲーションシステムが開示されている。
【0004】
特許文献2に開示されている特性抽出装置は、利用者の訪問場所の場所データおよび訪問の状況データ(時間、訪問場所の環境など)を履歴として記録し、履歴を解析することで移動者の特性を抽出する。
【特許文献1】特開2006−177804号公報
【特許文献2】特許第3488104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や、特許文献2に記載の技術では、以下で説明するように、ユーザの望む経路を十分に案内することができない。
【0006】
特許文献1に記載のナビゲーションシステムは、常に、実際の移動ルート上のルート特徴量を基に、ユーザの嗜好を判定している。したがって、ユーザが道に迷いながら移動した場合など、実際の移動ルートがユーザの意図したものでない場合にも、実際の移動ルートを利用してユーザの嗜好を推定してしまうため、ユーザの嗜好の推定結果が誤ったものになるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、利用者が訪問した場所が目的地かどうかにかかわらず、訪問場所の場所データおよび訪問の状況データからユーザの嗜好を分析している。利用者が訪問した場所は、必ずしも利用者が意図して訪問したとは限らないため、やはり誤ってユーザの嗜好を分析してしまうことがある。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、ユーザの嗜好を精度よく推定することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの局面に係る本願発明は、情報処理装置であって、情報処理装置の現在地を取得する位置取得手段と、外部から情報を受け付ける受付手段と、現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、推奨経路に基づくナビゲーションを行なうナビゲーション手段と、受付手段が受け付けた受付情報の目的地が設定されてからの履歴を格納する履歴格納手段とを備え、履歴は、目的地が設定されてからの情報処理装置の移動経路を含み、受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールを格納するルール記憶手段と、ナビゲーションの終了指示に応じて、移動経路が、ユーザが意図して移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、履歴およびルールに基づいて嗜好を判断する嗜好判断手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、嗜好判断手段は、移動経路と推奨経路とで囲まれる領域の面積がしきい面積以上である場合に、嗜好を判断する。
【0011】
さらに好ましくは、経路探索手段は、現在地が推奨経路から所定の距離離れると推奨経路を再探索し、嗜好判断手段は、移動経路とn回目に探索された推奨経路とで囲まれる領域の面積が第nのしきい面積以上である場合に、嗜好を判断する。
【0012】
さらに好ましくは、第nのしきい面積は、nが大きいほど小さく設定されている。
好ましくは、履歴は、移動経路が推奨経路から外れた逸脱回数を含み、嗜好判断手段は、逸脱回数が所定の回数以上ある場合に、嗜好を判断する。
【0013】
さらに好ましくは、経路探索手段は、現在地が推奨経路から所定の距離離れると推奨経路を再探索し、履歴格納手段は、移動経路が探索あるいは再探索された推奨経路から外れた回数を逸脱回数として格納する。
【0014】
好ましくは、受付手段は、目的地の設定を受け取るとともに、情報処理装置の置かれた状況情報を感知するセンサを含み、受付情報は、状況情報を含み、ルールは、状況情報と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0015】
好ましくは、道路に沿って付加されている重み情報を格納する重み記憶手段をさらに備え、嗜好判断手段は、重み情報の移動経路に関する積分値と、重み情報の推奨経路に関する積分値との比較結果に基づいて、嗜好を判断する。
【0016】
好ましくは、受付手段は、情報検索指示をさらに受付け、情報検索指示に従って情報の検索を行う情報検索手段をさらに備え、受付情報は、情報検索指示を含み、ルールは、情報検索指示と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0017】
好ましくは、ナビゲーション手段は、ユーザに各種情報を案内するイベントを生成し、受付情報は、イベントへのユーザの反応を含み、ルールは、反応と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0018】
好ましくは、受付情報は、情報処理装置の移動停止時間を含み、嗜好判断手段は、移動停止時間が所定の時間以上である場合に、嗜好を判断する。
【0019】
他の局面に係る本願発明は、情報処理装置を用いた情報処理方法であって、情報処理装置の現在地を取得するステップと、現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索するステップと、推奨経路に基づくナビゲーションを行なうステップと、情報処理装置が外部から受け付けた受付情報の目的地が設定されてからの履歴を格納するステップとを備え、履歴は、目的地が設定されてからの情報処理装置の移動経路を含み、ナビゲーションの終了指示に応じて、移動経路が、ユーザが意図して移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールおよび履歴に基づいて嗜好を判断するステップをさらに備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、設定された目的地までのユーザの移動パターンに基づいて、ユーザの移動がユーザの意思によるものかどうかを判断する。そして、ユーザが自分の意思により移動したと判断した場合、ユーザがその移動パターンをとった理由を道路に沿って与えられた重み情報やセンサーから得られる情報に基づいて分析し、ユーザの嗜好を推定する。その結果、精度よくユーザの嗜好を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
(1.装置構成)
本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【0023】
情報処理装置100は、目的地までの経路をユーザに案内するナビゲーション機能を有するものである。情報処理装置100は、ユーザが携行するパーソナルナビゲーションであってもよいし、車載されるカーナビゲーションであってもよい。
【0024】
情報処理装置100は、入力部110と、位置検出部120と、出力部130と、センサ140と、記憶部150と、探索部160と、ナビゲーション制御部170と、意思判定部180と、嗜好判定部190とを備える。
【0025】
入力部110は、外部からの入力、例えば、ユーザからの目的地の設定の指示や、情報検索の指示を受け付ける。入力部110の機能は、例えば、キーボードやタッチパネル、あるいは、タブレットなどにより実現される。
【0026】
位置検出部120は、情報処理装置100の現在位置を検出する。本実施の形態では、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機を位置検出部120として用いるものとする。
【0027】
出力部130は、情報処理装置100内部の情報を外部に出力する。出力部130は、画像を表示する画像表示部と、音声を出力する音声出力部とを含むものとする。画像表示部としては、例えば、液晶ディスプレイなどのディスプレイを用いることができる。音声出力部としては、例えば、スピーカを用いることができる。
【0028】
センサ140は、情報処理装置100の置かれた状況情報を取得する。状況情報は、例えば、時刻、角速度、加速度を含む。センサ140の機能は、時計、角速度センサ、加速度センサなどの各種センサにより実現される。
【0029】
記憶部150は、地図DB(データベース)152と、移動履歴DB154と、嗜好・行動ルールDB156とを格納する。
【0030】
地図DB152は、地図データと、道幅など道路に付された重み情報と、地図上の施設についての施設情報とを含む。
【0031】
移動履歴DB154は、目的地を設定してからの移動履歴に関する情報からなる。移動履歴は、目的地を設定してからの移動経路や、情報処理装置100の移動の停止の有無、移動中のユーザによる情報検索の履歴、あるいは、情報処理装置100が出力したガイドへのユーザの反応などを含むものとする。なお、移動経路は、情報処理装置100がカーナビの場合は、ユーザの走行経路、情報処理装置100がパーソナルナビの場合は、ユーザの歩行経路に対応する。
【0032】
嗜好・行動ルールDB156は、ユーザの行動と嗜好とを対応付けたルールと、ルールに基づいて判断されたユーザの嗜好あるいは行動パターンとを格納する。
【0033】
探索部160は、入力部110への入力に基づき、地図DB152から必要な情報を探索する。探索部160は、経路探索部162と、情報検索部164とを含む。
【0034】
経路探索部162は、ユーザからの目的地の設定指示に応じて、設定指示を受け付けたときの情報処理装置100の現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する。
【0035】
情報検索部164は、ユーザからの情報検索指示に応じて、指示に対応する情報を検索する。具体的には、ユーザが「歴史のある建物」「中華料理店」「衣料品店」などを検索する指示を入力部110に入力すると、情報検索部164は、指示に応じた施設(歴史のある建物、中華料理店、衣料品店など)を検索する。
【0036】
ナビゲーション制御部170は、出力制御部172と、履歴取得部174とを含む。出力制御部172は、探索部160の探索結果に基づいたナビゲーションを生成し、生成したナビゲーションを出力部130に出力させる。具体的には、出力制御部172は、推奨経路および現在地を示した地図を生成し、生成した地図を出力部130に表示させる。また、出力制御部172は、情報処理装置100の移動経路に沿った経路案内(例えば、“次の交差点を右折してください”など)を出力部130に音声出力あるいは表示させる。さらに、本実施の形態においては、出力制御部172は、所定のタイミング(例えば、情報処理装置が、所定の位置に来たときなど)で、経路以外の情報(例えば、施設の情報)のガイドを出力部130に出力させるものとする。なお、以下では、経路以外の情報のガイドを「イベント」と呼ぶ。
【0037】
意思判定部180は、移動履歴に基づいて、情報処理装置100の移動がユーザの意図によるものかどうかを判定する。意思判定部180による判定の詳細については後述する。
【0038】
嗜好判定部190は、意思判定部180が、情報処理装置100の移動がユーザの意図によるものである場合、移動履歴および嗜好・行動ルールDB156に基づいて、ユーザの嗜好を判断する。また、嗜好判定部190は、嗜好の判断結果を、ユーザの嗜好として嗜好・行動ルールDB156に格納する。嗜好判定部190による判定の詳細については後述する。
【0039】
(2.処理の流れ)
情報処理装置100が、ナビゲーション、嗜好の判断の際に行なう処理の流れについて図2を参照して説明する。図2は、情報処理装置100による処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
ステップS201において、出力制御部172は、位置検出部120が検出した情報処理装置100の現在地を取得する。
【0041】
ステップS203において、出力制御部172は、ステップS201で取得した現在地を示した地図を出力部130に表示させる。
【0042】
ステップS205において、経路探索部162は、目的地の入力割り込みがあったかどうかを判断する。
【0043】
経路探索部162が目的地の入力割り込みがないと判断した場合(ステップS205においてNO)、情報処理装置100は、ステップS201およびステップS203の処理を繰り返す。
【0044】
経路探索部162が目的地の入力割り込みがあったと判断した場合(ステップS205においてYES)、経路探索部162は、ステップS207において、目的地の入力を受け付ける。
【0045】
本実施の形態に係る情報処理装置100は、目的地が入力されたあとに、以下の嗜好の判定を行なう。目的地の設定の有無にかかわらず、ユーザがある場所に訪問した時に嗜好や訪問パターンなどの特性を抽出するのではなく、ある目的地に向かう時のユーザの行動(寄り道など)から、ユーザの嗜好や行動パターンなどを分析するため、分析の精度が向上する。
【0046】
ステップS209において、履歴取得部174は、情報処理装置100が探索経路から外れた回数(以下、逸脱回数とよぶ)Ctを0にセットする。また、履歴取得部174は、情報処理装置100が探索経路から外れたことに応じて経路探索部162が経路を再探索した回数nを0にセットする。
【0047】
ステップS211において、経路探索部162は、ステップS207で目的地を受け付けた際の情報処理装置100の現在地から目的地までの経路Rnを探索する。
【0048】
ステップS213において、出力制御部172は、経路Rnを示した地図を作成し、出力部130に表示させる。
【0049】
ステップS215において、出力制御部172は、履歴取得部174が取得した経路履歴を示した地図を作成し、作成した地図を出力部130に表示させる。つまり、出力制御部172は、情報処理装置100が移動するにつれて更新した経路履歴を示した地図を出力部130に表示させる。
【0050】
ステップS217において、出力制御部172は、所定のタイミングで経路案内およびイベントを出力部130に出力させる。
【0051】
ステップS219において、履歴取得部174は、センサ140が検出したセンサ情報を所定のタイミングで取得し、記憶部150に格納する。
【0052】
ステップS217、ステップS219における「所定のタイミング」には、例えば、一定間隔の時刻、あるいは、情報処理装置100が道の分岐点などの所定の位置に来た時点が含まれる。なお、ステップS215〜ステップS219の処理の順序は、図2に示したものに限られるわけではない。
【0053】
ステップS221において、ナビゲーション制御部170は、ナビゲーションが終了したかどうかを判断する。ナビゲーション制御部170は、情報処理装置100が目的地まで到達した場合、あるいは、ユーザが入力部110にナビゲーションの終了指示を入力した場合にナビゲーションが終了したと判断する。
【0054】
ナビゲーション制御部170がナビゲーションが終了したと判断した場合(ステップS221においてYES)、意思判定部180は、ステップS223において、経路の選択にユーザの意志が働いていたのかどうか、つまり、ユーザが意図して経路を選択したのかどうかを判定する。ステップS223における処理の詳細については後述する。
【0055】
意思判定部180が、経路の選択にユーザの意志が働いていたと判断した場合(ステップS225においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS227において、移動履歴および嗜好・行動ルールに基づいて、ユーザの嗜好を解析する。ステップS227における処理の詳細については後述する。嗜好が解析されると、情報処理装置100は処理を終了する。
【0056】
このように、ユーザが意図的にナビゲーションされた探索経路から外れた経路を走行(歩行)した場合にのみ、ユーザの嗜好・行動パターンを分析することで、適切にユーザの嗜好・行動パターンなどの特性を取得できる。
【0057】
意思判定部180が、経路の選択にユーザの意志が働いていなかったと判断した場合(ステップS225においてNO)、情報処理装置100は、嗜好の解析を行なわずに、処理を終了する。
【0058】
一方、ナビゲーション制御部170がナビゲーションは終了していないと判断した場合(ステップS221においてNO)、履歴取得部174は、ステップS229において、情報処理装置100が、探索経路から外れたかどうかを判断する。履歴取得部174は、情報処理装置100の現在地の履歴の中に、探索経路から所定の距離以上離れた点がある場合に、情報処理装置100が探索経路から外れたと判断するものとする。
【0059】
履歴取得部174が、情報処理装置100が探索経路から外れていないと判断した場合(ステップS229においてNO)、情報処理装置100は、ステップS213からの処理を繰り返す。
【0060】
履歴取得部174が、情報処理装置100が探索経路から外れたと判断した場合(ステップS229においてYES)、履歴取得部174は、ステップS231において、情報処理装置100の移動が停止したかどうか判断する。具体的には、履歴取得部174は、所定の時間、情報処理装置100の位置が変わらない、あるいは、所定の時間内の情報処理装置100の位置変化が閾値以下である場合に、情報処理装置100の移動が停止したと判断する。また、情報処理装置100がカーナビゲーションである場合、履歴取得部174は、情報処理装置100を搭載している車のエンジンが切られたときに、情報処理装置100の移動が停止したと判断してもよい。
【0061】
情報処理装置100の移動が停止していないと判断した場合(ステップS231においてNO)、履歴取得部174は、ステップS233において、逸脱回数Ctおよび再探索回数nに、それぞれ、1を加える。
【0062】
情報処理装置100の移動が停止したと判断した場合(ステップS231においてYES)、履歴取得部174は、ステップS235において、停止位置および停止時間を記憶部150に記録する。停止位置および停止時間の記録後、履歴取得部174は、ステップS233において、逸脱回数Ctおよび再探索回数nに、それぞれ、1を加える。
【0063】
以上の処理により、ナビゲーションの終了後、ユーザが意図的に行動したと判断された場合にのみ、ユーザの行動に基づいて、ユーザの嗜好が解析される。ある場所に訪問した時に嗜好や訪問パターンなどを分析するのではなく、ナビゲーションの終了時に、それまでのユーザの行動からユーザの嗜好を判断するので、ある場所に訪問しないときにはユーザの嗜好分析が行なえないといったことはなく、ユーザの行動をより確実にユーザの嗜好分析に利用することができる。
【0064】
なお、嗜好の解析結果は、次回以降のナビゲーションに反映されるものとするのが好ましい。すなわち、情報処理装置100が、それまでのユーザの行動に基づいて解析されたユーザの嗜好にあった経路を探索することが好ましい。
【0065】
(3.ユーザの意思判定)
ここからは、図2のステップS223における意思判定の処理の詳細について説明する。
【0066】
意思判定部180は、出力されたナビゲーションを参照して目的地に向かう際のユーザの走行(歩行)経路である移動経路のパターンから、ユーザが移動経路を意図的に選択したのかどうかを判定する。
【0067】
ユーザの移動パターンには、大きく分けて図3に示すパターンRa、Rb、Rcの3つがある。図3は、ユーザの移動パターンについて説明するための図である。図3中の太線矢印は、情報処理装置100が探索した、スタート地点から目的地までの探索経路を示す。図3中の細線矢印は、ユーザの実際の移動経路を示す。
【0068】
パターンRaは、探索経路と大きく外れることなく移動するパターンである。ユーザがこのパターンで移動するときは、ユーザは、探索経路に沿って、進もうとしているが、誤って道を間違えるなどしたものと推測される。
【0069】
パターンRbは、探索経路から完全に外れて移動するパターンである。ユーザがこのパターンで移動するときは、ユーザは、自分の意思により、意図的にナビルートから外れて走行しているものと推測される。
【0070】
パターンRcは、停止箇所(図3中“Wait”で示す)がある移動パターンである。このパターンは、ユーザが寄り道をしている際の移動パターンであると推測される。なお、図3では、停止箇所を探索経路上ではない箇所として示したが、パターンRcは、探索経路上に停止箇所があるパターンも含む。
【0071】
履歴取得部174は、目的地が設定され、ナビゲーションが開始された後、位置検出部120が検出した情報処理装置100の位置情報に基づいて、情報処理装置100の移動経路を取得する。意思判定部180は、ナビゲーションの終了後、移動経路と探索経路との関係から、移動経路がどのパターンに相当するか判断する。移動経路がパターンRbもしくはパターンRcである場合は、意思判定部180は、ユーザの意思が働いていると判断する。
【0072】
意思判定部180による意思判定の処理の流れについて図4を参照して説明する。図4は、意思判定にあたり意思判定部180が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
ステップS401において、意思判定部180は、移動履歴DB154を参照して、情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止したかどうかを判断する。なお、ここでの、「所定時間以上同じ場所で停止した」とは、所定時間以上、情報処理装置100が全く同じ場所にいた場合のみならず、所定時間内の、情報処理装置100の移動量が閾値以下である場合も含むものとする。
【0074】
情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止したと判断した場合(ステップS401においてYES)、意思判定部180は、ステップS403において、移動パターンがパターンRcであると判断し、移動経路の選択にユーザの意志が働いたと判断する。
【0075】
情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止していないと判断した場合(ステップS401においてNO)、意思判定部180は、ステップS405において、情報処理装置100が探索経路あるいは再探索された経路から外れた回数(逸脱回数)Ctが閾値C以下であるかどうか判断する。
【0076】
逸脱回数Ctが閾値C以下であると判断した場合(ステップS405においてYES)、意思判定部180は、ステップS407において、移動経路の選択にユーザの意志が働いていないと判断する。逸脱回数Ctが少ないということは、ユーザが探索経路に概ね従って移動したということを意味するからである。
【0077】
逸脱回数Ctが閾値C(Cは0以上の整数)を超える場合(ステップS405においてNO)、意思判定部180は、ステップS409以降の処理に進む。
【0078】
なお、閾値Cが小さいほど、ユーザの行動が意志判定に敏感に反映されるようになる。特に、閾値C=0の場合、ユーザが探索経路に完全に沿って移動した場合には、移動経路の選択にユーザの意志が働いていないと判断されるが、ユーザが1回でも探索経路から外れて移動した場合には、以下の処理により、ユーザの意志が働いたかどうかが判断されることとなる。
【0079】
ステップS409において、意思判定部180は、ナビゲーションの開始時に探索された経路R0と、実際の移動経路Rとの差領域の面積S0を計算する。差領域とは、探索経路と実際の移動経路とで囲まれた領域である。図5に差領域の例を示す。図5は、差領域の例を示す図である。図5(a)中の斜線を引いた領域が、経路R0と、実際の移動経路Rとの差領域である。
【0080】
このように、意思判定部180は、ユーザが通った経路が探索経路とどの程度異なるのかを示す差領域の面積に基づいて、移動パターンを判断する。
【0081】
本実施の形態では、経路探索部162は、ユーザが探索経路から外れたときに、経路を再探索する。具体的には、情報処理装置100の位置が、探索経路から所定の距離以上はなれたときに、経路探索部162は、経路を再探索する。
【0082】
ステップS411において、意思判定部180は、ユーザが探索経路から外れたときに経路探索部162が抽出した探索経路Rn(nは、再探索回数であり、1≦n≦Nとする)と、実際の移動経路Rとの差領域の面積Snを計算する。図5(b)に、探索経路R1と実際の移動経路Rとの差領域の一例を示す。図5(b)中の斜線を引いた領域が、探索経路R1と、実際の移動経路Rとの差領域である。また、図5(c)に、探索経路R2と実際の移動経路Rとの差領域の一例を示す。図5(c)中の斜線を引いた領域が、探索経路R2と、実際の移動経路Rとの差領域である。意思判定部180は、すべてのnについて、差領域の面積Snを求める。
【0083】
ステップS412において、意志判定部180は、道の密度Dn=(推奨経路Rnと移動経路Rとに囲まれる領域内の道の数)/Snを計算する。この計算における「道」とは、予め各経路上に設定されているノード間に挟まれる連結線(辺)のことを指す。
【0084】
ステップS413において、意思判定部180は、面積S0が、閾値C0以上であるかどうかを判断する。
【0085】
面積S0が閾値C0以上でない場合(ステップS413においてYES)、意思判定部180は、ステップS415において、各nについて、面積Snが閾値Cn以上かどうか判断する。
【0086】
面積S0が閾値C0以上である場合(ステップS413においてYES)、あるいは、少なくとも1つのnについて面積Snが閾値Cn以上である場合(ステップS415においてYES)、意思判定部180は、ステップS417において、ユーザの意志が働いたと判断する。
【0087】
いずれのnについても面積Snが閾値Cn以上でない場合(ステップS415においてNO)、意思判定部180は、ステップS419において、ユーザの意志が働いていないと判断する。
【0088】
このように、本実施の形態では、探索経路と実際の移動経路との差領域の面積に基づいて、ユーザの意図を判定している。単に、目的地までのナビが探索した経路からユーザが外れた場合に、ユーザが意図的に移動したと判断すると、ユーザが道を間違えて移動した場合にも、ユーザが意図的に道を選択したと誤って判断してしまうが、この判定方法ではそのようなことはなく、ユーザの意志の判定の精度が上がる。したがって、その後の、ユーザの嗜好の解析も、より正確になる。
【0089】
特に、再探索された経路と実際の移動経路との差領域の面積も利用してユーザの意図を判定しているため、ユーザの意図をより正確に判定することが可能である。
【0090】
なお、本実施の形態では、図6のように閾値を定めるものとする。図6は、本実施の形態における閾値の定め方を示す図である。図6に示すように、本実施の形態では、閾値は、nが大きくなるにつれ小さく、すなわち、C0≧C1≧…≧CNとなるように設定されているものとする。
【0091】
一般に、あとで探索された経路ほど目的地に近づいており、あとで探索された経路と実際の経路のずれは、先に探索された経路と実際の経路のずれに比べて、小さくなっていく。したがって、このように閾値を設定することにより、ユーザの意志を適切に判定することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、意志判定部180は、ステップS412において計算した密度Dnに応じて、閾値を決定するものとする。具体的には、意志判定部180は、密度Dnに基づいて、図6におけるx切片およびy切片の異なる直線を選択する。意志判定部180は、密度Dnが大きい場合には、各切片の値が小さい直線を選択し、密度Dnが小さい場合には、各切片の値が大きい直線を選択する。そして、意志判定部180は、選択した直線に基づいて、0〜Nの各値について、閾値を決定する。
【0093】
このように閾値を設定することにより、道の密度を考慮に入れて、ユーザの意志を判定することができる。上のように、意志が働いかどうかを判断するためにSnと比較する閾値を道の密度の低い場合に大きく設定することで、道が少ないところでは、一旦ナビが探索した経路から外れると、元の探索された経路になかなか戻れないといった事情を反映できる。
【0094】
(4.嗜好判定について)
ここからは、図2のステップS227における嗜好の解析処理の詳細について説明する。
【0095】
嗜好判定部190は、意思判定部180が、ユーザが、意図的に探索経路から外れたと判断した場合、(1)センサ140から得られる情報、(2)道に付加された重み情報(所要時間、種別、景色など)の積分情報、(3)情報の検索履歴、(4)イベント(経路案内以外のガイド)へのユーザの反応、などから、ユーザがナビルートから外れて走行(歩行)した理由を分析し、ユーザの行動パターン・嗜好を分析する。
【0096】
嗜好判定部190による嗜好の解析処理について、図7を参照しつつ説明する。図7は、嗜好判定部190が、嗜好の解析の際に行なう処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図7には、上記の(1)〜(4)の全てを用いて嗜好を分析する場合の嗜好判定部190の処理を示しているが、嗜好判定部190は、(1)〜(4)の一部を用いて嗜好を分析してもよい。
【0097】
<「(1)センサ140から得られる情報」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS701からステップS707までの処理を実行し、センサ140から得られる情報に基づいて嗜好を解析する。
【0098】
ステップS701において、嗜好判定部190は、移動履歴DB154から、センサ140が取得したセンサ情報INFOsと、センサ情報INFOsが取得された位置情報INFOpとを取得する。
【0099】
ステップS703において、嗜好判定部190は、地図DB152を参照して、ステップS701で取得した位置情報INFOpの周辺地情報INFOnを取得する。
【0100】
ステップS705において、嗜好判定部190は、ステップS701で取得したセンサ情報INFOsを加工して、利用可能な情報INFOsvに加工する。
【0101】
ステップS707において、嗜好判定部190は、加工されたセンサ情報INFOsvと周辺地情報INFOnを嗜好・行動ルールに従って分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAspを取得し、取得したユーザの嗜好・行動パターン情報ANAspを、嗜好・行動ルールDB156として記憶部150に格納する。
【0102】
センサ情報INFOsおよび加工されたセンサ情報INFOsvについて、図8を参照して説明する。図8は、各種センサ、各種センサにより得られるセンサ情報INFOs、ならびに、加工されたセンサ情報INFOsvの具体例を示した図である。
【0103】
センサの1つである時計は、センサ情報として時刻を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して時刻、経過時間、時間帯(朝、昼、夜など)、季節などの情報を得る。
【0104】
センサの1つである角速度センサは、センサ情報として角速度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して情報処理装置100に衝撃が加えられたかどうかや、衝撃の大きさ、手ぶれの有無、手ぶれの大きさなどの情報を得る。
【0105】
センサの1つである加速度センサは、センサ情報として加速度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して歩数、加速度の変化(ユーザが歩行・走行・静止状態・スキップ走行のいずれを行なっているかの判断に用いられる)、情報処理装置100に加えられた衝撃などの情報を得る。
【0106】
センサの1つである地磁気センサは、センサ情報として地球の極の方向を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、情報処理装置100(あるいは、情報処理装置100を搭載した車)の向きを取得する。
【0107】
センサの1つである温湿度計は、センサ情報として外気の温度・湿度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して気温、天候、季節などの情報を取得する。なお、温湿度計により、外気の温度・湿度のみならず、ユーザの体温を測定してもよい。
【0108】
センサの1つである気圧センサは、センサ情報として気圧を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して情報処理装置100の位置する高度、天気などの情報を得る。
【0109】
センサの1つであるフォトセンサは、センサ情報として光の強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、明るい、暗いなどの情報を得る。例えば、嗜好判定部190は、光の強さが所定の値以上の場合に明るいと判断し、所定の値未満の場合に暗いと判断する。
【0110】
センサの1つである人感センサは、赤外線を検出することで熱を感知する熱感知赤外線センサであり、センサ情報として赤外線の強さを取得する。人感センサは、人感センサに人が近づくと人体から出る熱放射に反応するため、嗜好判定部190は、センサ情報を加工して人が周囲にいるかどうかの情報を取得する。
【0111】
センサの1つである紫外線センサは、センサ情報として紫外線の強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工してUV(紫外線)強度、一日の紫外線の照射量あるいは吸収量などの情報を得る。また、嗜好判定部190は、検出された紫外線の強さに応じて、情報処理装置100に照射された紫外線が、殺菌などに用いられる太陽光以外の紫外線かどうかという情報も得る。
【0112】
センサの1つであるマイクロホンは、センサ情報として音を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、情報処理装置100が、どのような場所(例えば、車、電車、人ごみ、静かな場所、騒音のある場所)におかれているのかについての情報を得る。また、嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、ユーザの会話内容を取得してもよい。
【0113】
センサの1つであるにおいセンサは、センサ情報としてにおいの強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、タバコ、化粧品、調理、アルコール、排ガス、ハウスダスト、食品の腐敗・発酵などのにおいや、空気が汚れているあるいはきれい、などの情報を得る。
【0114】
センサの1つであるイオン測定器は、センサ情報として外気中のイオンを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、外気中のマイナスイオン、空気中のイオンバランスなどの情報を得る。
【0115】
センサの1つである脈拍計・血圧計は、センサ情報としてユーザの脈・血圧を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、脈、ユーザの精神状態、健康状態などの情報を得る。
【0116】
センサの1つである電磁波センサは、センサ情報として電磁波の強弱、種類を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、テレビ、パソコン、家庭電化製品などから放出される低周波の強弱、携帯電話などから放出されるマイクロ波の強弱、高圧送電線付近かどうか、などの情報を得る。
【0117】
また、周辺地情報INFOnについて、図9を参照して説明する。図9は、周辺地情報の具体例を示す図である。本実施の形態に係る地図DB152では、地図データ上の各地点あるいは各領域に図9に示すような属性が割り当てられており、嗜好判定部190は、地図DB152センサ情報を取得した位置の周辺領域の属性を周辺地情報INFOnとして取得する。なお、周辺地情報は、1つの属性からなっていてもよいし、複数の属性を含んでいてもよい。
【0118】
ステップS707において用いられる嗜好・行動ルールについて図10を参照して説明する。図10は、嗜好・行動ルールの一例を示す図である。
【0119】
嗜好・行動ルールは、センサ情報と周辺情報との組み合わせを、ユーザの嗜好・行動パターンに対応付けたものである。嗜好判定部190は、センサ情報と周辺情報との組み合わせが、嗜好・行動ルールに定められている組み合わせに該当する場合、組み合わせに対応する嗜好・行動パターンを、ユーザの嗜好・行動パターンであるとみなす。
【0120】
図10に示したルールによれば、嗜好判定部190は、例えば、時計から「1.夜」というセンサ情報が得られ、フォトセンサから「7.やや明るい」とのセンサ情報が得られ、かつ、周辺情報が繁華街である場合には、ユーザは夜の繁華街が好きであると判断する。なお、図10中のセンサ情報における「(数字).」は、図8で各センサに付した番号に対応する。
【0121】
嗜好・行動ルールは、上述の例のように、複数のセンサ情報と周辺情報とを組み合わせた組み合わせ情報を嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよいし、複数のセンサ情報の組み合わせを嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。図10の例で言えば、「3.スキップ走行」「5.雨」というセンサ情報が得られた場合に、ユーザは、「水溜りを軽快によける人。雨が降っていても、歩行に支障がない人。」と判断するルールが、これにあたる。
【0122】
また、嗜好・行動ルールは、単に、1つのセンサ情報を嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。図10の例で言えば、「15.携帯の電磁波」というセンサ情報が得られた場合に、ユーザが「通話しながら歩く」という行動パターンを持つと判断するルールが、これにあたる。
【0123】
<「(2)道に付加された重み情報の積分情報」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS709からステップS713までの処理を実行し、道に付加された重み情報の積分情報に基づいて嗜好を解析する。
【0124】
ステップS709において、嗜好判定部190は、初回の探索経路R0について、道に付加された重み情報の積分情報W0=Σ(道の長さ×重み)を計算する。
【0125】
ステップS711において、嗜好判定部190は、各n(n=1〜N)について、n−1回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点からn回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点までの実際の移動経路に付加された重み情報の積分情報Wn=Σ(道の長さ×重み)を計算する。なお、0回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点は、経路探索を開始した時点の現在地であるとする。また、N回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点は、ナビゲーションを終了した地点であるとする。
【0126】
ステップS713において、嗜好判定部190は、初回の探索経路の積分情報W0と、実際の走行(歩行)経路の積分情報Wnあるいは積分情報Wnのnに関する総和とをルールに従って比較分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAwを取得し、取得したユーザの嗜好・行動パターン情報ANAwを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0127】
重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールについて、図11を参照して説明する。図11は、重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールの具体例を示す図である。
【0128】
重み情報は、例えば、道を単位距離移動するのに必要な所要時間、道の種別(有料道路あるいは一般道か、交差点の数、信号の数、道幅など)、道の周囲の景観(海、山、ビル、田畑、並木、高所など)、見通しの良し悪し(周囲にビルや建物があるか、周囲は田畑かなど)を含む。本実施の形態では、これらの情報は、地図DB152に予め含まれているものとする。
【0129】
図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、探索ルートに沿った所要時間に比べ、実際の移動経路に沿った実際の所要時間が短い場合には、ユーザは「気の短い人」であると判断する。この場合、ユーザは、ナビが案内する推奨ルートを無視してでも、例えば、細い道、信号のない道を通って、最短時間で、目的地に着こうとする人であると推測されるからである。
【0130】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが有料道路を案内していても一般道を選択していることが多いと判断した場合には、ユーザが「お金がかかるのが嫌な人、一般道が好き」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路における有料道路の割合が、探索経路における有料道路の割合より少ない場合に、一般道を選択していることが多いと判断する。
【0131】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが信号の数が少ないルートを意図的に選択していることが多いと判断した場合には、ユーザが「信号で止まるのがお金がかかるのが嫌な人、一般道が好き」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路における信号の数の総和が、探索経路における信号の数の総和より少ない場合に、信号の数が少ないルートを意図的に選択していることが多いと判断する。
【0132】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが道幅が狭い道を選択していることが多いと判断した場合には、ユーザは「狭い道でもへっちゃら」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路に沿った道幅の積分値が、探索経路に沿った道幅の積分値より小さい場合に、ユーザが道幅が狭い道を選択していることが多いと判断と判断する。
【0133】
<「(3)情報の検索履歴」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS715からステップS717までの処理を実行し、情報の検索履歴に基づいて嗜好を解析する。
【0134】
ステップS715において、嗜好判定部190は、ユーザが走行(歩行)中に情報検索したかどうかを判断する。
【0135】
ユーザが情報検索をしていないと判断した場合(ステップS715においてNO)、嗜好判定部190は、ステップS719の処理に進む。
【0136】
ユーザが情報検索をしたと判断した場合(ステップS715においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS717において、ユーザが情報検索した内容を分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAiを取得し、取得した嗜好・行動パターン情報ANAiを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0137】
嗜好・行動ルールDB156は、ユーザが情報検索した内容と、嗜好・行動パターンとを対応付けたルールを含んでおり、嗜好判定部190は、ルールに従って、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAiを取得する。嗜好判定部190は、例えば、走行(歩行)中にユーザが寺、史跡などの歴史のある建物の情報を検索した場合、ユーザの嗜好・行動パターンを「歴史,史跡が好き」であると判断する。また、ルールは、ユーザが情報検索した内容に加えユーザが情報検索した場所を、嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。例えば、ユーザが飲食店街などで中華料理店の情報を検索した場合、ユーザは「中華が好き」であるとするルールや、商店街などで衣料品店の情報を検索した場合、ユーザは「衣服を見るのが好き」であるとするルールが定められていてもよい。
【0138】
<「(4)イベントへのユーザの反応」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS719からステップS721までの処理を実行し、イベントへのユーザの反応に基づいて嗜好を解析する。
【0139】
ステップS719において、嗜好判定部190は、ユーザが、ガイドに反応したかどうかを判断する。嗜好判定部190は、ガイドの表示あるいは音声出力後、ユーザが所定の行動をした場合、例えば、ユーザがガイドの詳細を見た場合や、ユーザがガイドされた場所に訪れた場合に、ユーザがガイドに反応したと判断する。
【0140】
ユーザがガイドに反応しなかったと判断した場合(ステップS719においてNO)、嗜好判定部190は、嗜好の解析処理を終了する。
【0141】
ユーザがガイドに反応したと判断した場合(ステップS719においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS721において、ガイドにユーザが反応した内容を分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANArを取得し、取得した嗜好・行動パターン情報ANArを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0142】
嗜好・行動ルールDB156は、ガイドにユーザが反応した内容と、嗜好・行動パターンとを対応付けたルールを含んでおり、嗜好判定部190は、ルールに従って、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANArを取得する。
【0143】
ルールとしては、例えば、(a)ユーザが、寺、史跡などの歴史のある建物の情報のガイドを無視した場合、ユーザは「歴史がきらい」、あるいは、「歴史に興味ない」と判断するルール、(b)ユーザが、寺、史跡などの歴史のある建物の情報のガイドの詳細を聞く、あるいは、ガイドされた場所に立ち寄った場合、ユーザが「歴史、史跡が好き」と判断するルール、(c)昼時で飲食店街を走行(歩行)中に、おいしい中華料理店をガイドされた際に、ユーザがガイドを無視した場合、ユーザが「今は、中華料理を食べたくない」、または、「中華料理が嫌い」と判断するルール、(d)昼時で飲食店街を走行(歩行)中に、おいしい中華料理店をガイドされた際に、ユーザがガイドの詳細を聞く、あるいは、ガイドされた店に行った場合、ユーザが「中華料理が好き」であると判断するルール、といったものを用いることができる。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置100による処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ユーザの移動パターンについて説明するための図である。
【図4】意思判定にあたり意思判定部180が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】差領域の例を示す図である。
【図6】本実施の形態における閾値の定め方を示す図である。
【図7】嗜好判定部190が、嗜好の解析の際に行なう処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】各種センサ、各種センサにより得られるセンサ情報INFOs、ならびに、加工されたセンサ情報INFOsvの具体例を示した図である。
【図9】周辺情報の具体例を示す図である。
【図10】嗜好・行動ルールの一例を示す図である。
【図11】重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールの具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
100 情報処理装置、110 入力部、120 位置検出部、130 出力部、140 センサ、150 記憶部、160 探索部、162 経路探索部、164 情報検索部、170 ナビゲーション制御部、172 出力制御部、174 履歴取得部、180 意思判定部、190 嗜好判定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを目的地に誘導するナビゲーション技術に関し、特に、ユーザの移動経路からユーザの行動パターンや嗜好を分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ナビゲーション技術を利用したパーソナルナビゲーションやカーナビゲーションなどのナビゲーション装置が広く利用されている。ナビゲーション装置は、目的地までの経路の探索結果をユーザに通知するものであり、経路の探索結果は、ユーザの行動パターンなどの嗜好に合致したものであることが好ましい。ユーザの嗜好に合致する経路を抽出するために、ユーザの嗜好を推定する技術が、これまでにいくつか提案されている。
【0003】
特許文献1には、ナビゲーションシステムによる推奨ルート上のルート特徴量(推奨ルートの道路幅、右左折回数、ハンドル操作量など)と、実際の走行ルート上のルート特徴量とを比較して、そのユーザの嗜好を学習し、今後の推奨ルート選定に活かすナビゲーションシステムが開示されている。
【0004】
特許文献2に開示されている特性抽出装置は、利用者の訪問場所の場所データおよび訪問の状況データ(時間、訪問場所の環境など)を履歴として記録し、履歴を解析することで移動者の特性を抽出する。
【特許文献1】特開2006−177804号公報
【特許文献2】特許第3488104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や、特許文献2に記載の技術では、以下で説明するように、ユーザの望む経路を十分に案内することができない。
【0006】
特許文献1に記載のナビゲーションシステムは、常に、実際の移動ルート上のルート特徴量を基に、ユーザの嗜好を判定している。したがって、ユーザが道に迷いながら移動した場合など、実際の移動ルートがユーザの意図したものでない場合にも、実際の移動ルートを利用してユーザの嗜好を推定してしまうため、ユーザの嗜好の推定結果が誤ったものになるおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、利用者が訪問した場所が目的地かどうかにかかわらず、訪問場所の場所データおよび訪問の状況データからユーザの嗜好を分析している。利用者が訪問した場所は、必ずしも利用者が意図して訪問したとは限らないため、やはり誤ってユーザの嗜好を分析してしまうことがある。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、ユーザの嗜好を精度よく推定することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの局面に係る本願発明は、情報処理装置であって、情報処理装置の現在地を取得する位置取得手段と、外部から情報を受け付ける受付手段と、現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、推奨経路に基づくナビゲーションを行なうナビゲーション手段と、受付手段が受け付けた受付情報の目的地が設定されてからの履歴を格納する履歴格納手段とを備え、履歴は、目的地が設定されてからの情報処理装置の移動経路を含み、受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールを格納するルール記憶手段と、ナビゲーションの終了指示に応じて、移動経路が、ユーザが意図して移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、履歴およびルールに基づいて嗜好を判断する嗜好判断手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、嗜好判断手段は、移動経路と推奨経路とで囲まれる領域の面積がしきい面積以上である場合に、嗜好を判断する。
【0011】
さらに好ましくは、経路探索手段は、現在地が推奨経路から所定の距離離れると推奨経路を再探索し、嗜好判断手段は、移動経路とn回目に探索された推奨経路とで囲まれる領域の面積が第nのしきい面積以上である場合に、嗜好を判断する。
【0012】
さらに好ましくは、第nのしきい面積は、nが大きいほど小さく設定されている。
好ましくは、履歴は、移動経路が推奨経路から外れた逸脱回数を含み、嗜好判断手段は、逸脱回数が所定の回数以上ある場合に、嗜好を判断する。
【0013】
さらに好ましくは、経路探索手段は、現在地が推奨経路から所定の距離離れると推奨経路を再探索し、履歴格納手段は、移動経路が探索あるいは再探索された推奨経路から外れた回数を逸脱回数として格納する。
【0014】
好ましくは、受付手段は、目的地の設定を受け取るとともに、情報処理装置の置かれた状況情報を感知するセンサを含み、受付情報は、状況情報を含み、ルールは、状況情報と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0015】
好ましくは、道路に沿って付加されている重み情報を格納する重み記憶手段をさらに備え、嗜好判断手段は、重み情報の移動経路に関する積分値と、重み情報の推奨経路に関する積分値との比較結果に基づいて、嗜好を判断する。
【0016】
好ましくは、受付手段は、情報検索指示をさらに受付け、情報検索指示に従って情報の検索を行う情報検索手段をさらに備え、受付情報は、情報検索指示を含み、ルールは、情報検索指示と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0017】
好ましくは、ナビゲーション手段は、ユーザに各種情報を案内するイベントを生成し、受付情報は、イベントへのユーザの反応を含み、ルールは、反応と嗜好とを対応付けるルールを含む。
【0018】
好ましくは、受付情報は、情報処理装置の移動停止時間を含み、嗜好判断手段は、移動停止時間が所定の時間以上である場合に、嗜好を判断する。
【0019】
他の局面に係る本願発明は、情報処理装置を用いた情報処理方法であって、情報処理装置の現在地を取得するステップと、現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索するステップと、推奨経路に基づくナビゲーションを行なうステップと、情報処理装置が外部から受け付けた受付情報の目的地が設定されてからの履歴を格納するステップとを備え、履歴は、目的地が設定されてからの情報処理装置の移動経路を含み、ナビゲーションの終了指示に応じて、移動経路が、ユーザが意図して移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールおよび履歴に基づいて嗜好を判断するステップをさらに備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、設定された目的地までのユーザの移動パターンに基づいて、ユーザの移動がユーザの意思によるものかどうかを判断する。そして、ユーザが自分の意思により移動したと判断した場合、ユーザがその移動パターンをとった理由を道路に沿って与えられた重み情報やセンサーから得られる情報に基づいて分析し、ユーザの嗜好を推定する。その結果、精度よくユーザの嗜好を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
(1.装置構成)
本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【0023】
情報処理装置100は、目的地までの経路をユーザに案内するナビゲーション機能を有するものである。情報処理装置100は、ユーザが携行するパーソナルナビゲーションであってもよいし、車載されるカーナビゲーションであってもよい。
【0024】
情報処理装置100は、入力部110と、位置検出部120と、出力部130と、センサ140と、記憶部150と、探索部160と、ナビゲーション制御部170と、意思判定部180と、嗜好判定部190とを備える。
【0025】
入力部110は、外部からの入力、例えば、ユーザからの目的地の設定の指示や、情報検索の指示を受け付ける。入力部110の機能は、例えば、キーボードやタッチパネル、あるいは、タブレットなどにより実現される。
【0026】
位置検出部120は、情報処理装置100の現在位置を検出する。本実施の形態では、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機を位置検出部120として用いるものとする。
【0027】
出力部130は、情報処理装置100内部の情報を外部に出力する。出力部130は、画像を表示する画像表示部と、音声を出力する音声出力部とを含むものとする。画像表示部としては、例えば、液晶ディスプレイなどのディスプレイを用いることができる。音声出力部としては、例えば、スピーカを用いることができる。
【0028】
センサ140は、情報処理装置100の置かれた状況情報を取得する。状況情報は、例えば、時刻、角速度、加速度を含む。センサ140の機能は、時計、角速度センサ、加速度センサなどの各種センサにより実現される。
【0029】
記憶部150は、地図DB(データベース)152と、移動履歴DB154と、嗜好・行動ルールDB156とを格納する。
【0030】
地図DB152は、地図データと、道幅など道路に付された重み情報と、地図上の施設についての施設情報とを含む。
【0031】
移動履歴DB154は、目的地を設定してからの移動履歴に関する情報からなる。移動履歴は、目的地を設定してからの移動経路や、情報処理装置100の移動の停止の有無、移動中のユーザによる情報検索の履歴、あるいは、情報処理装置100が出力したガイドへのユーザの反応などを含むものとする。なお、移動経路は、情報処理装置100がカーナビの場合は、ユーザの走行経路、情報処理装置100がパーソナルナビの場合は、ユーザの歩行経路に対応する。
【0032】
嗜好・行動ルールDB156は、ユーザの行動と嗜好とを対応付けたルールと、ルールに基づいて判断されたユーザの嗜好あるいは行動パターンとを格納する。
【0033】
探索部160は、入力部110への入力に基づき、地図DB152から必要な情報を探索する。探索部160は、経路探索部162と、情報検索部164とを含む。
【0034】
経路探索部162は、ユーザからの目的地の設定指示に応じて、設定指示を受け付けたときの情報処理装置100の現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する。
【0035】
情報検索部164は、ユーザからの情報検索指示に応じて、指示に対応する情報を検索する。具体的には、ユーザが「歴史のある建物」「中華料理店」「衣料品店」などを検索する指示を入力部110に入力すると、情報検索部164は、指示に応じた施設(歴史のある建物、中華料理店、衣料品店など)を検索する。
【0036】
ナビゲーション制御部170は、出力制御部172と、履歴取得部174とを含む。出力制御部172は、探索部160の探索結果に基づいたナビゲーションを生成し、生成したナビゲーションを出力部130に出力させる。具体的には、出力制御部172は、推奨経路および現在地を示した地図を生成し、生成した地図を出力部130に表示させる。また、出力制御部172は、情報処理装置100の移動経路に沿った経路案内(例えば、“次の交差点を右折してください”など)を出力部130に音声出力あるいは表示させる。さらに、本実施の形態においては、出力制御部172は、所定のタイミング(例えば、情報処理装置が、所定の位置に来たときなど)で、経路以外の情報(例えば、施設の情報)のガイドを出力部130に出力させるものとする。なお、以下では、経路以外の情報のガイドを「イベント」と呼ぶ。
【0037】
意思判定部180は、移動履歴に基づいて、情報処理装置100の移動がユーザの意図によるものかどうかを判定する。意思判定部180による判定の詳細については後述する。
【0038】
嗜好判定部190は、意思判定部180が、情報処理装置100の移動がユーザの意図によるものである場合、移動履歴および嗜好・行動ルールDB156に基づいて、ユーザの嗜好を判断する。また、嗜好判定部190は、嗜好の判断結果を、ユーザの嗜好として嗜好・行動ルールDB156に格納する。嗜好判定部190による判定の詳細については後述する。
【0039】
(2.処理の流れ)
情報処理装置100が、ナビゲーション、嗜好の判断の際に行なう処理の流れについて図2を参照して説明する。図2は、情報処理装置100による処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
ステップS201において、出力制御部172は、位置検出部120が検出した情報処理装置100の現在地を取得する。
【0041】
ステップS203において、出力制御部172は、ステップS201で取得した現在地を示した地図を出力部130に表示させる。
【0042】
ステップS205において、経路探索部162は、目的地の入力割り込みがあったかどうかを判断する。
【0043】
経路探索部162が目的地の入力割り込みがないと判断した場合(ステップS205においてNO)、情報処理装置100は、ステップS201およびステップS203の処理を繰り返す。
【0044】
経路探索部162が目的地の入力割り込みがあったと判断した場合(ステップS205においてYES)、経路探索部162は、ステップS207において、目的地の入力を受け付ける。
【0045】
本実施の形態に係る情報処理装置100は、目的地が入力されたあとに、以下の嗜好の判定を行なう。目的地の設定の有無にかかわらず、ユーザがある場所に訪問した時に嗜好や訪問パターンなどの特性を抽出するのではなく、ある目的地に向かう時のユーザの行動(寄り道など)から、ユーザの嗜好や行動パターンなどを分析するため、分析の精度が向上する。
【0046】
ステップS209において、履歴取得部174は、情報処理装置100が探索経路から外れた回数(以下、逸脱回数とよぶ)Ctを0にセットする。また、履歴取得部174は、情報処理装置100が探索経路から外れたことに応じて経路探索部162が経路を再探索した回数nを0にセットする。
【0047】
ステップS211において、経路探索部162は、ステップS207で目的地を受け付けた際の情報処理装置100の現在地から目的地までの経路Rnを探索する。
【0048】
ステップS213において、出力制御部172は、経路Rnを示した地図を作成し、出力部130に表示させる。
【0049】
ステップS215において、出力制御部172は、履歴取得部174が取得した経路履歴を示した地図を作成し、作成した地図を出力部130に表示させる。つまり、出力制御部172は、情報処理装置100が移動するにつれて更新した経路履歴を示した地図を出力部130に表示させる。
【0050】
ステップS217において、出力制御部172は、所定のタイミングで経路案内およびイベントを出力部130に出力させる。
【0051】
ステップS219において、履歴取得部174は、センサ140が検出したセンサ情報を所定のタイミングで取得し、記憶部150に格納する。
【0052】
ステップS217、ステップS219における「所定のタイミング」には、例えば、一定間隔の時刻、あるいは、情報処理装置100が道の分岐点などの所定の位置に来た時点が含まれる。なお、ステップS215〜ステップS219の処理の順序は、図2に示したものに限られるわけではない。
【0053】
ステップS221において、ナビゲーション制御部170は、ナビゲーションが終了したかどうかを判断する。ナビゲーション制御部170は、情報処理装置100が目的地まで到達した場合、あるいは、ユーザが入力部110にナビゲーションの終了指示を入力した場合にナビゲーションが終了したと判断する。
【0054】
ナビゲーション制御部170がナビゲーションが終了したと判断した場合(ステップS221においてYES)、意思判定部180は、ステップS223において、経路の選択にユーザの意志が働いていたのかどうか、つまり、ユーザが意図して経路を選択したのかどうかを判定する。ステップS223における処理の詳細については後述する。
【0055】
意思判定部180が、経路の選択にユーザの意志が働いていたと判断した場合(ステップS225においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS227において、移動履歴および嗜好・行動ルールに基づいて、ユーザの嗜好を解析する。ステップS227における処理の詳細については後述する。嗜好が解析されると、情報処理装置100は処理を終了する。
【0056】
このように、ユーザが意図的にナビゲーションされた探索経路から外れた経路を走行(歩行)した場合にのみ、ユーザの嗜好・行動パターンを分析することで、適切にユーザの嗜好・行動パターンなどの特性を取得できる。
【0057】
意思判定部180が、経路の選択にユーザの意志が働いていなかったと判断した場合(ステップS225においてNO)、情報処理装置100は、嗜好の解析を行なわずに、処理を終了する。
【0058】
一方、ナビゲーション制御部170がナビゲーションは終了していないと判断した場合(ステップS221においてNO)、履歴取得部174は、ステップS229において、情報処理装置100が、探索経路から外れたかどうかを判断する。履歴取得部174は、情報処理装置100の現在地の履歴の中に、探索経路から所定の距離以上離れた点がある場合に、情報処理装置100が探索経路から外れたと判断するものとする。
【0059】
履歴取得部174が、情報処理装置100が探索経路から外れていないと判断した場合(ステップS229においてNO)、情報処理装置100は、ステップS213からの処理を繰り返す。
【0060】
履歴取得部174が、情報処理装置100が探索経路から外れたと判断した場合(ステップS229においてYES)、履歴取得部174は、ステップS231において、情報処理装置100の移動が停止したかどうか判断する。具体的には、履歴取得部174は、所定の時間、情報処理装置100の位置が変わらない、あるいは、所定の時間内の情報処理装置100の位置変化が閾値以下である場合に、情報処理装置100の移動が停止したと判断する。また、情報処理装置100がカーナビゲーションである場合、履歴取得部174は、情報処理装置100を搭載している車のエンジンが切られたときに、情報処理装置100の移動が停止したと判断してもよい。
【0061】
情報処理装置100の移動が停止していないと判断した場合(ステップS231においてNO)、履歴取得部174は、ステップS233において、逸脱回数Ctおよび再探索回数nに、それぞれ、1を加える。
【0062】
情報処理装置100の移動が停止したと判断した場合(ステップS231においてYES)、履歴取得部174は、ステップS235において、停止位置および停止時間を記憶部150に記録する。停止位置および停止時間の記録後、履歴取得部174は、ステップS233において、逸脱回数Ctおよび再探索回数nに、それぞれ、1を加える。
【0063】
以上の処理により、ナビゲーションの終了後、ユーザが意図的に行動したと判断された場合にのみ、ユーザの行動に基づいて、ユーザの嗜好が解析される。ある場所に訪問した時に嗜好や訪問パターンなどを分析するのではなく、ナビゲーションの終了時に、それまでのユーザの行動からユーザの嗜好を判断するので、ある場所に訪問しないときにはユーザの嗜好分析が行なえないといったことはなく、ユーザの行動をより確実にユーザの嗜好分析に利用することができる。
【0064】
なお、嗜好の解析結果は、次回以降のナビゲーションに反映されるものとするのが好ましい。すなわち、情報処理装置100が、それまでのユーザの行動に基づいて解析されたユーザの嗜好にあった経路を探索することが好ましい。
【0065】
(3.ユーザの意思判定)
ここからは、図2のステップS223における意思判定の処理の詳細について説明する。
【0066】
意思判定部180は、出力されたナビゲーションを参照して目的地に向かう際のユーザの走行(歩行)経路である移動経路のパターンから、ユーザが移動経路を意図的に選択したのかどうかを判定する。
【0067】
ユーザの移動パターンには、大きく分けて図3に示すパターンRa、Rb、Rcの3つがある。図3は、ユーザの移動パターンについて説明するための図である。図3中の太線矢印は、情報処理装置100が探索した、スタート地点から目的地までの探索経路を示す。図3中の細線矢印は、ユーザの実際の移動経路を示す。
【0068】
パターンRaは、探索経路と大きく外れることなく移動するパターンである。ユーザがこのパターンで移動するときは、ユーザは、探索経路に沿って、進もうとしているが、誤って道を間違えるなどしたものと推測される。
【0069】
パターンRbは、探索経路から完全に外れて移動するパターンである。ユーザがこのパターンで移動するときは、ユーザは、自分の意思により、意図的にナビルートから外れて走行しているものと推測される。
【0070】
パターンRcは、停止箇所(図3中“Wait”で示す)がある移動パターンである。このパターンは、ユーザが寄り道をしている際の移動パターンであると推測される。なお、図3では、停止箇所を探索経路上ではない箇所として示したが、パターンRcは、探索経路上に停止箇所があるパターンも含む。
【0071】
履歴取得部174は、目的地が設定され、ナビゲーションが開始された後、位置検出部120が検出した情報処理装置100の位置情報に基づいて、情報処理装置100の移動経路を取得する。意思判定部180は、ナビゲーションの終了後、移動経路と探索経路との関係から、移動経路がどのパターンに相当するか判断する。移動経路がパターンRbもしくはパターンRcである場合は、意思判定部180は、ユーザの意思が働いていると判断する。
【0072】
意思判定部180による意思判定の処理の流れについて図4を参照して説明する。図4は、意思判定にあたり意思判定部180が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
ステップS401において、意思判定部180は、移動履歴DB154を参照して、情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止したかどうかを判断する。なお、ここでの、「所定時間以上同じ場所で停止した」とは、所定時間以上、情報処理装置100が全く同じ場所にいた場合のみならず、所定時間内の、情報処理装置100の移動量が閾値以下である場合も含むものとする。
【0074】
情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止したと判断した場合(ステップS401においてYES)、意思判定部180は、ステップS403において、移動パターンがパターンRcであると判断し、移動経路の選択にユーザの意志が働いたと判断する。
【0075】
情報処理装置100が所定時間以上同じ場所で停止していないと判断した場合(ステップS401においてNO)、意思判定部180は、ステップS405において、情報処理装置100が探索経路あるいは再探索された経路から外れた回数(逸脱回数)Ctが閾値C以下であるかどうか判断する。
【0076】
逸脱回数Ctが閾値C以下であると判断した場合(ステップS405においてYES)、意思判定部180は、ステップS407において、移動経路の選択にユーザの意志が働いていないと判断する。逸脱回数Ctが少ないということは、ユーザが探索経路に概ね従って移動したということを意味するからである。
【0077】
逸脱回数Ctが閾値C(Cは0以上の整数)を超える場合(ステップS405においてNO)、意思判定部180は、ステップS409以降の処理に進む。
【0078】
なお、閾値Cが小さいほど、ユーザの行動が意志判定に敏感に反映されるようになる。特に、閾値C=0の場合、ユーザが探索経路に完全に沿って移動した場合には、移動経路の選択にユーザの意志が働いていないと判断されるが、ユーザが1回でも探索経路から外れて移動した場合には、以下の処理により、ユーザの意志が働いたかどうかが判断されることとなる。
【0079】
ステップS409において、意思判定部180は、ナビゲーションの開始時に探索された経路R0と、実際の移動経路Rとの差領域の面積S0を計算する。差領域とは、探索経路と実際の移動経路とで囲まれた領域である。図5に差領域の例を示す。図5は、差領域の例を示す図である。図5(a)中の斜線を引いた領域が、経路R0と、実際の移動経路Rとの差領域である。
【0080】
このように、意思判定部180は、ユーザが通った経路が探索経路とどの程度異なるのかを示す差領域の面積に基づいて、移動パターンを判断する。
【0081】
本実施の形態では、経路探索部162は、ユーザが探索経路から外れたときに、経路を再探索する。具体的には、情報処理装置100の位置が、探索経路から所定の距離以上はなれたときに、経路探索部162は、経路を再探索する。
【0082】
ステップS411において、意思判定部180は、ユーザが探索経路から外れたときに経路探索部162が抽出した探索経路Rn(nは、再探索回数であり、1≦n≦Nとする)と、実際の移動経路Rとの差領域の面積Snを計算する。図5(b)に、探索経路R1と実際の移動経路Rとの差領域の一例を示す。図5(b)中の斜線を引いた領域が、探索経路R1と、実際の移動経路Rとの差領域である。また、図5(c)に、探索経路R2と実際の移動経路Rとの差領域の一例を示す。図5(c)中の斜線を引いた領域が、探索経路R2と、実際の移動経路Rとの差領域である。意思判定部180は、すべてのnについて、差領域の面積Snを求める。
【0083】
ステップS412において、意志判定部180は、道の密度Dn=(推奨経路Rnと移動経路Rとに囲まれる領域内の道の数)/Snを計算する。この計算における「道」とは、予め各経路上に設定されているノード間に挟まれる連結線(辺)のことを指す。
【0084】
ステップS413において、意思判定部180は、面積S0が、閾値C0以上であるかどうかを判断する。
【0085】
面積S0が閾値C0以上でない場合(ステップS413においてYES)、意思判定部180は、ステップS415において、各nについて、面積Snが閾値Cn以上かどうか判断する。
【0086】
面積S0が閾値C0以上である場合(ステップS413においてYES)、あるいは、少なくとも1つのnについて面積Snが閾値Cn以上である場合(ステップS415においてYES)、意思判定部180は、ステップS417において、ユーザの意志が働いたと判断する。
【0087】
いずれのnについても面積Snが閾値Cn以上でない場合(ステップS415においてNO)、意思判定部180は、ステップS419において、ユーザの意志が働いていないと判断する。
【0088】
このように、本実施の形態では、探索経路と実際の移動経路との差領域の面積に基づいて、ユーザの意図を判定している。単に、目的地までのナビが探索した経路からユーザが外れた場合に、ユーザが意図的に移動したと判断すると、ユーザが道を間違えて移動した場合にも、ユーザが意図的に道を選択したと誤って判断してしまうが、この判定方法ではそのようなことはなく、ユーザの意志の判定の精度が上がる。したがって、その後の、ユーザの嗜好の解析も、より正確になる。
【0089】
特に、再探索された経路と実際の移動経路との差領域の面積も利用してユーザの意図を判定しているため、ユーザの意図をより正確に判定することが可能である。
【0090】
なお、本実施の形態では、図6のように閾値を定めるものとする。図6は、本実施の形態における閾値の定め方を示す図である。図6に示すように、本実施の形態では、閾値は、nが大きくなるにつれ小さく、すなわち、C0≧C1≧…≧CNとなるように設定されているものとする。
【0091】
一般に、あとで探索された経路ほど目的地に近づいており、あとで探索された経路と実際の経路のずれは、先に探索された経路と実際の経路のずれに比べて、小さくなっていく。したがって、このように閾値を設定することにより、ユーザの意志を適切に判定することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、意志判定部180は、ステップS412において計算した密度Dnに応じて、閾値を決定するものとする。具体的には、意志判定部180は、密度Dnに基づいて、図6におけるx切片およびy切片の異なる直線を選択する。意志判定部180は、密度Dnが大きい場合には、各切片の値が小さい直線を選択し、密度Dnが小さい場合には、各切片の値が大きい直線を選択する。そして、意志判定部180は、選択した直線に基づいて、0〜Nの各値について、閾値を決定する。
【0093】
このように閾値を設定することにより、道の密度を考慮に入れて、ユーザの意志を判定することができる。上のように、意志が働いかどうかを判断するためにSnと比較する閾値を道の密度の低い場合に大きく設定することで、道が少ないところでは、一旦ナビが探索した経路から外れると、元の探索された経路になかなか戻れないといった事情を反映できる。
【0094】
(4.嗜好判定について)
ここからは、図2のステップS227における嗜好の解析処理の詳細について説明する。
【0095】
嗜好判定部190は、意思判定部180が、ユーザが、意図的に探索経路から外れたと判断した場合、(1)センサ140から得られる情報、(2)道に付加された重み情報(所要時間、種別、景色など)の積分情報、(3)情報の検索履歴、(4)イベント(経路案内以外のガイド)へのユーザの反応、などから、ユーザがナビルートから外れて走行(歩行)した理由を分析し、ユーザの行動パターン・嗜好を分析する。
【0096】
嗜好判定部190による嗜好の解析処理について、図7を参照しつつ説明する。図7は、嗜好判定部190が、嗜好の解析の際に行なう処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図7には、上記の(1)〜(4)の全てを用いて嗜好を分析する場合の嗜好判定部190の処理を示しているが、嗜好判定部190は、(1)〜(4)の一部を用いて嗜好を分析してもよい。
【0097】
<「(1)センサ140から得られる情報」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS701からステップS707までの処理を実行し、センサ140から得られる情報に基づいて嗜好を解析する。
【0098】
ステップS701において、嗜好判定部190は、移動履歴DB154から、センサ140が取得したセンサ情報INFOsと、センサ情報INFOsが取得された位置情報INFOpとを取得する。
【0099】
ステップS703において、嗜好判定部190は、地図DB152を参照して、ステップS701で取得した位置情報INFOpの周辺地情報INFOnを取得する。
【0100】
ステップS705において、嗜好判定部190は、ステップS701で取得したセンサ情報INFOsを加工して、利用可能な情報INFOsvに加工する。
【0101】
ステップS707において、嗜好判定部190は、加工されたセンサ情報INFOsvと周辺地情報INFOnを嗜好・行動ルールに従って分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAspを取得し、取得したユーザの嗜好・行動パターン情報ANAspを、嗜好・行動ルールDB156として記憶部150に格納する。
【0102】
センサ情報INFOsおよび加工されたセンサ情報INFOsvについて、図8を参照して説明する。図8は、各種センサ、各種センサにより得られるセンサ情報INFOs、ならびに、加工されたセンサ情報INFOsvの具体例を示した図である。
【0103】
センサの1つである時計は、センサ情報として時刻を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して時刻、経過時間、時間帯(朝、昼、夜など)、季節などの情報を得る。
【0104】
センサの1つである角速度センサは、センサ情報として角速度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して情報処理装置100に衝撃が加えられたかどうかや、衝撃の大きさ、手ぶれの有無、手ぶれの大きさなどの情報を得る。
【0105】
センサの1つである加速度センサは、センサ情報として加速度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して歩数、加速度の変化(ユーザが歩行・走行・静止状態・スキップ走行のいずれを行なっているかの判断に用いられる)、情報処理装置100に加えられた衝撃などの情報を得る。
【0106】
センサの1つである地磁気センサは、センサ情報として地球の極の方向を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、情報処理装置100(あるいは、情報処理装置100を搭載した車)の向きを取得する。
【0107】
センサの1つである温湿度計は、センサ情報として外気の温度・湿度を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して気温、天候、季節などの情報を取得する。なお、温湿度計により、外気の温度・湿度のみならず、ユーザの体温を測定してもよい。
【0108】
センサの1つである気圧センサは、センサ情報として気圧を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して情報処理装置100の位置する高度、天気などの情報を得る。
【0109】
センサの1つであるフォトセンサは、センサ情報として光の強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、明るい、暗いなどの情報を得る。例えば、嗜好判定部190は、光の強さが所定の値以上の場合に明るいと判断し、所定の値未満の場合に暗いと判断する。
【0110】
センサの1つである人感センサは、赤外線を検出することで熱を感知する熱感知赤外線センサであり、センサ情報として赤外線の強さを取得する。人感センサは、人感センサに人が近づくと人体から出る熱放射に反応するため、嗜好判定部190は、センサ情報を加工して人が周囲にいるかどうかの情報を取得する。
【0111】
センサの1つである紫外線センサは、センサ情報として紫外線の強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工してUV(紫外線)強度、一日の紫外線の照射量あるいは吸収量などの情報を得る。また、嗜好判定部190は、検出された紫外線の強さに応じて、情報処理装置100に照射された紫外線が、殺菌などに用いられる太陽光以外の紫外線かどうかという情報も得る。
【0112】
センサの1つであるマイクロホンは、センサ情報として音を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、情報処理装置100が、どのような場所(例えば、車、電車、人ごみ、静かな場所、騒音のある場所)におかれているのかについての情報を得る。また、嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、ユーザの会話内容を取得してもよい。
【0113】
センサの1つであるにおいセンサは、センサ情報としてにおいの強さを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、タバコ、化粧品、調理、アルコール、排ガス、ハウスダスト、食品の腐敗・発酵などのにおいや、空気が汚れているあるいはきれい、などの情報を得る。
【0114】
センサの1つであるイオン測定器は、センサ情報として外気中のイオンを取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、外気中のマイナスイオン、空気中のイオンバランスなどの情報を得る。
【0115】
センサの1つである脈拍計・血圧計は、センサ情報としてユーザの脈・血圧を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、脈、ユーザの精神状態、健康状態などの情報を得る。
【0116】
センサの1つである電磁波センサは、センサ情報として電磁波の強弱、種類を取得する。嗜好判定部190は、センサ情報を加工して、テレビ、パソコン、家庭電化製品などから放出される低周波の強弱、携帯電話などから放出されるマイクロ波の強弱、高圧送電線付近かどうか、などの情報を得る。
【0117】
また、周辺地情報INFOnについて、図9を参照して説明する。図9は、周辺地情報の具体例を示す図である。本実施の形態に係る地図DB152では、地図データ上の各地点あるいは各領域に図9に示すような属性が割り当てられており、嗜好判定部190は、地図DB152センサ情報を取得した位置の周辺領域の属性を周辺地情報INFOnとして取得する。なお、周辺地情報は、1つの属性からなっていてもよいし、複数の属性を含んでいてもよい。
【0118】
ステップS707において用いられる嗜好・行動ルールについて図10を参照して説明する。図10は、嗜好・行動ルールの一例を示す図である。
【0119】
嗜好・行動ルールは、センサ情報と周辺情報との組み合わせを、ユーザの嗜好・行動パターンに対応付けたものである。嗜好判定部190は、センサ情報と周辺情報との組み合わせが、嗜好・行動ルールに定められている組み合わせに該当する場合、組み合わせに対応する嗜好・行動パターンを、ユーザの嗜好・行動パターンであるとみなす。
【0120】
図10に示したルールによれば、嗜好判定部190は、例えば、時計から「1.夜」というセンサ情報が得られ、フォトセンサから「7.やや明るい」とのセンサ情報が得られ、かつ、周辺情報が繁華街である場合には、ユーザは夜の繁華街が好きであると判断する。なお、図10中のセンサ情報における「(数字).」は、図8で各センサに付した番号に対応する。
【0121】
嗜好・行動ルールは、上述の例のように、複数のセンサ情報と周辺情報とを組み合わせた組み合わせ情報を嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよいし、複数のセンサ情報の組み合わせを嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。図10の例で言えば、「3.スキップ走行」「5.雨」というセンサ情報が得られた場合に、ユーザは、「水溜りを軽快によける人。雨が降っていても、歩行に支障がない人。」と判断するルールが、これにあたる。
【0122】
また、嗜好・行動ルールは、単に、1つのセンサ情報を嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。図10の例で言えば、「15.携帯の電磁波」というセンサ情報が得られた場合に、ユーザが「通話しながら歩く」という行動パターンを持つと判断するルールが、これにあたる。
【0123】
<「(2)道に付加された重み情報の積分情報」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS709からステップS713までの処理を実行し、道に付加された重み情報の積分情報に基づいて嗜好を解析する。
【0124】
ステップS709において、嗜好判定部190は、初回の探索経路R0について、道に付加された重み情報の積分情報W0=Σ(道の長さ×重み)を計算する。
【0125】
ステップS711において、嗜好判定部190は、各n(n=1〜N)について、n−1回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点からn回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点までの実際の移動経路に付加された重み情報の積分情報Wn=Σ(道の長さ×重み)を計算する。なお、0回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点は、経路探索を開始した時点の現在地であるとする。また、N回目に実際の移動経路が探索経路から離れた地点は、ナビゲーションを終了した地点であるとする。
【0126】
ステップS713において、嗜好判定部190は、初回の探索経路の積分情報W0と、実際の走行(歩行)経路の積分情報Wnあるいは積分情報Wnのnに関する総和とをルールに従って比較分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAwを取得し、取得したユーザの嗜好・行動パターン情報ANAwを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0127】
重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールについて、図11を参照して説明する。図11は、重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールの具体例を示す図である。
【0128】
重み情報は、例えば、道を単位距離移動するのに必要な所要時間、道の種別(有料道路あるいは一般道か、交差点の数、信号の数、道幅など)、道の周囲の景観(海、山、ビル、田畑、並木、高所など)、見通しの良し悪し(周囲にビルや建物があるか、周囲は田畑かなど)を含む。本実施の形態では、これらの情報は、地図DB152に予め含まれているものとする。
【0129】
図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、探索ルートに沿った所要時間に比べ、実際の移動経路に沿った実際の所要時間が短い場合には、ユーザは「気の短い人」であると判断する。この場合、ユーザは、ナビが案内する推奨ルートを無視してでも、例えば、細い道、信号のない道を通って、最短時間で、目的地に着こうとする人であると推測されるからである。
【0130】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが有料道路を案内していても一般道を選択していることが多いと判断した場合には、ユーザが「お金がかかるのが嫌な人、一般道が好き」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路における有料道路の割合が、探索経路における有料道路の割合より少ない場合に、一般道を選択していることが多いと判断する。
【0131】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが信号の数が少ないルートを意図的に選択していることが多いと判断した場合には、ユーザが「信号で止まるのがお金がかかるのが嫌な人、一般道が好き」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路における信号の数の総和が、探索経路における信号の数の総和より少ない場合に、信号の数が少ないルートを意図的に選択していることが多いと判断する。
【0132】
また、図11に示したルールに従うと、嗜好判定部190は、道の種別から、ユーザが道幅が狭い道を選択していることが多いと判断した場合には、ユーザは「狭い道でもへっちゃら」であると判断する。嗜好判定部190は、具体的には、例えば、実際の経路に沿った道幅の積分値が、探索経路に沿った道幅の積分値より小さい場合に、ユーザが道幅が狭い道を選択していることが多いと判断と判断する。
【0133】
<「(3)情報の検索履歴」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS715からステップS717までの処理を実行し、情報の検索履歴に基づいて嗜好を解析する。
【0134】
ステップS715において、嗜好判定部190は、ユーザが走行(歩行)中に情報検索したかどうかを判断する。
【0135】
ユーザが情報検索をしていないと判断した場合(ステップS715においてNO)、嗜好判定部190は、ステップS719の処理に進む。
【0136】
ユーザが情報検索をしたと判断した場合(ステップS715においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS717において、ユーザが情報検索した内容を分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAiを取得し、取得した嗜好・行動パターン情報ANAiを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0137】
嗜好・行動ルールDB156は、ユーザが情報検索した内容と、嗜好・行動パターンとを対応付けたルールを含んでおり、嗜好判定部190は、ルールに従って、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANAiを取得する。嗜好判定部190は、例えば、走行(歩行)中にユーザが寺、史跡などの歴史のある建物の情報を検索した場合、ユーザの嗜好・行動パターンを「歴史,史跡が好き」であると判断する。また、ルールは、ユーザが情報検索した内容に加えユーザが情報検索した場所を、嗜好・行動パターンと対応付けたものであってもよい。例えば、ユーザが飲食店街などで中華料理店の情報を検索した場合、ユーザは「中華が好き」であるとするルールや、商店街などで衣料品店の情報を検索した場合、ユーザは「衣服を見るのが好き」であるとするルールが定められていてもよい。
【0138】
<「(4)イベントへのユーザの反応」による解析>
嗜好判定部190は、図7のステップS719からステップS721までの処理を実行し、イベントへのユーザの反応に基づいて嗜好を解析する。
【0139】
ステップS719において、嗜好判定部190は、ユーザが、ガイドに反応したかどうかを判断する。嗜好判定部190は、ガイドの表示あるいは音声出力後、ユーザが所定の行動をした場合、例えば、ユーザがガイドの詳細を見た場合や、ユーザがガイドされた場所に訪れた場合に、ユーザがガイドに反応したと判断する。
【0140】
ユーザがガイドに反応しなかったと判断した場合(ステップS719においてNO)、嗜好判定部190は、嗜好の解析処理を終了する。
【0141】
ユーザがガイドに反応したと判断した場合(ステップS719においてYES)、嗜好判定部190は、ステップS721において、ガイドにユーザが反応した内容を分析し、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANArを取得し、取得した嗜好・行動パターン情報ANArを記憶部150内の嗜好・行動ルールDB156に格納する。
【0142】
嗜好・行動ルールDB156は、ガイドにユーザが反応した内容と、嗜好・行動パターンとを対応付けたルールを含んでおり、嗜好判定部190は、ルールに従って、ユーザの嗜好・行動パターン情報ANArを取得する。
【0143】
ルールとしては、例えば、(a)ユーザが、寺、史跡などの歴史のある建物の情報のガイドを無視した場合、ユーザは「歴史がきらい」、あるいは、「歴史に興味ない」と判断するルール、(b)ユーザが、寺、史跡などの歴史のある建物の情報のガイドの詳細を聞く、あるいは、ガイドされた場所に立ち寄った場合、ユーザが「歴史、史跡が好き」と判断するルール、(c)昼時で飲食店街を走行(歩行)中に、おいしい中華料理店をガイドされた際に、ユーザがガイドを無視した場合、ユーザが「今は、中華料理を食べたくない」、または、「中華料理が嫌い」と判断するルール、(d)昼時で飲食店街を走行(歩行)中に、おいしい中華料理店をガイドされた際に、ユーザがガイドの詳細を聞く、あるいは、ガイドされた店に行った場合、ユーザが「中華料理が好き」であると判断するルール、といったものを用いることができる。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本実施の形態に係る情報処理装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置100による処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ユーザの移動パターンについて説明するための図である。
【図4】意思判定にあたり意思判定部180が行なう処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】差領域の例を示す図である。
【図6】本実施の形態における閾値の定め方を示す図である。
【図7】嗜好判定部190が、嗜好の解析の際に行なう処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】各種センサ、各種センサにより得られるセンサ情報INFOs、ならびに、加工されたセンサ情報INFOsvの具体例を示した図である。
【図9】周辺情報の具体例を示す図である。
【図10】嗜好・行動ルールの一例を示す図である。
【図11】重み情報からユーザの嗜好・行動パターンを判断するルールの具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
100 情報処理装置、110 入力部、120 位置検出部、130 出力部、140 センサ、150 記憶部、160 探索部、162 経路探索部、164 情報検索部、170 ナビゲーション制御部、172 出力制御部、174 履歴取得部、180 意思判定部、190 嗜好判定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置の現在地を取得する位置取得手段と、
外部から情報を受け付ける受付手段と、
前記現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
前記推奨経路に基づくナビゲーションを行なうナビゲーション手段と、
前記受付手段が受け付けた受付情報の前記目的地が設定されてからの履歴を格納する履歴格納手段とを備え、
前記履歴は、前記目的地が設定されてからの前記情報処理装置の移動経路を含み、
前記受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールを格納するルール記憶手段と、
前記ナビゲーションの終了指示に応じて、前記移動経路が、前記ユーザが意図して前記移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、前記履歴および前記ルールに基づいて前記嗜好を判断する嗜好判断手段とをさらに備える情報処理装置。
【請求項2】
前記嗜好判断手段は、前記移動経路と前記推奨経路とで囲まれる領域の面積がしきい面積以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記経路探索手段は、前記現在地が前記推奨経路から所定の距離離れると前記推奨経路を再探索し、
前記嗜好判断手段は、前記移動経路とn回目に探索された前記推奨経路とで囲まれる領域の面積が第nのしきい面積以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第nのしきい面積は、nが大きいほど小さく設定されている、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記履歴は、前記移動経路が前記推奨経路から外れた逸脱回数を含み、
前記嗜好判断手段は、前記逸脱回数が所定の回数以上ある場合に、前記嗜好を判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記経路探索手段は、前記現在地が前記推奨経路から所定の距離離れると前記推奨経路を再探索し、
前記履歴格納手段は、前記移動経路が探索あるいは再探索された前記推奨経路から外れた回数を前記逸脱回数として格納する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受付手段は、前記目的地の設定を受け取るとともに、前記情報処理装置の置かれた状況情報を感知するセンサを含み、
前記受付情報は、前記状況情報を含み、
前記ルールは、前記状況情報と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
道路に沿って付加されている重み情報を格納する重み記憶手段をさらに備え、
前記嗜好判断手段は、前記重み情報の前記移動経路に関する積分値と、前記重み情報の前記推奨経路に関する積分値との比較結果に基づいて、前記嗜好を判断する、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記受付手段は、情報検索指示をさらに受付け、
前記情報検索指示に従って情報の検索を行う情報検索手段をさらに備え、
前記受付情報は、前記情報検索指示を含み、
前記ルールは、前記情報検索指示と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ナビゲーション手段は、ユーザに各種情報を案内するイベントを生成し、
前記受付情報は、前記イベントへのユーザの反応を含み、
前記ルールは、前記反応と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受付情報は、前記情報処理装置の移動停止時間を含み、
前記嗜好判断手段は、前記移動停止時間が所定の時間以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置を用いた情報処理方法であって、
前記情報処理装置の現在地を取得するステップと、
前記現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索するステップと、
前記推奨経路に基づくナビゲーションを行なうステップと、
前記情報処理装置が外部から受け付けた受付情報の前記目的地が設定されてからの履歴を格納するステップとを備え、
前記履歴は、前記目的地が設定されてからの前記情報処理装置の移動経路を含み、
前記ナビゲーションの終了指示に応じて、前記移動経路が、ユーザが意図して前記移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、前記受付情報と前記ユーザの嗜好とを対応付けるルールおよび前記履歴に基づいて前記嗜好を判断するステップをさらに備える情報処理方法。
【請求項1】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置の現在地を取得する位置取得手段と、
外部から情報を受け付ける受付手段と、
前記現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、
前記推奨経路に基づくナビゲーションを行なうナビゲーション手段と、
前記受付手段が受け付けた受付情報の前記目的地が設定されてからの履歴を格納する履歴格納手段とを備え、
前記履歴は、前記目的地が設定されてからの前記情報処理装置の移動経路を含み、
前記受付情報とユーザの嗜好とを対応付けるルールを格納するルール記憶手段と、
前記ナビゲーションの終了指示に応じて、前記移動経路が、前記ユーザが意図して前記移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、前記履歴および前記ルールに基づいて前記嗜好を判断する嗜好判断手段とをさらに備える情報処理装置。
【請求項2】
前記嗜好判断手段は、前記移動経路と前記推奨経路とで囲まれる領域の面積がしきい面積以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記経路探索手段は、前記現在地が前記推奨経路から所定の距離離れると前記推奨経路を再探索し、
前記嗜好判断手段は、前記移動経路とn回目に探索された前記推奨経路とで囲まれる領域の面積が第nのしきい面積以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第nのしきい面積は、nが大きいほど小さく設定されている、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記履歴は、前記移動経路が前記推奨経路から外れた逸脱回数を含み、
前記嗜好判断手段は、前記逸脱回数が所定の回数以上ある場合に、前記嗜好を判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記経路探索手段は、前記現在地が前記推奨経路から所定の距離離れると前記推奨経路を再探索し、
前記履歴格納手段は、前記移動経路が探索あるいは再探索された前記推奨経路から外れた回数を前記逸脱回数として格納する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受付手段は、前記目的地の設定を受け取るとともに、前記情報処理装置の置かれた状況情報を感知するセンサを含み、
前記受付情報は、前記状況情報を含み、
前記ルールは、前記状況情報と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
道路に沿って付加されている重み情報を格納する重み記憶手段をさらに備え、
前記嗜好判断手段は、前記重み情報の前記移動経路に関する積分値と、前記重み情報の前記推奨経路に関する積分値との比較結果に基づいて、前記嗜好を判断する、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記受付手段は、情報検索指示をさらに受付け、
前記情報検索指示に従って情報の検索を行う情報検索手段をさらに備え、
前記受付情報は、前記情報検索指示を含み、
前記ルールは、前記情報検索指示と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ナビゲーション手段は、ユーザに各種情報を案内するイベントを生成し、
前記受付情報は、前記イベントへのユーザの反応を含み、
前記ルールは、前記反応と前記嗜好とを対応付けるルールを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受付情報は、前記情報処理装置の移動停止時間を含み、
前記嗜好判断手段は、前記移動停止時間が所定の時間以上である場合に、前記嗜好を判断する、請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置を用いた情報処理方法であって、
前記情報処理装置の現在地を取得するステップと、
前記現在地から設定された目的地までの推奨経路を探索するステップと、
前記推奨経路に基づくナビゲーションを行なうステップと、
前記情報処理装置が外部から受け付けた受付情報の前記目的地が設定されてからの履歴を格納するステップとを備え、
前記履歴は、前記目的地が設定されてからの前記情報処理装置の移動経路を含み、
前記ナビゲーションの終了指示に応じて、前記移動経路が、ユーザが意図して前記移動経路を選んだ場合に対応する所定の条件を満たす場合に、前記受付情報と前記ユーザの嗜好とを対応付けるルールおよび前記履歴に基づいて前記嗜好を判断するステップをさらに備える情報処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−38821(P2010−38821A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204271(P2008−204271)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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