情報提供システムおよび車載器
【課題】車載器が送信した立ち寄り地または目的地のデータに関する情報を提示可能とする情報提供システムおよび車載器を提供する。
【解決手段】
無線で情報の送受信が可能である無線機２０と、車両２００が立ち寄った地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部７に記憶すると共に、車両２００との通信エリア内に配置された無線機２０へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部６を有する車載器と、無線機２０を介して地点情報を受信すると共に、地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバ装置３０と、を有する情報提供システム１としている。
【解決手段】
無線で情報の送受信が可能である無線機２０と、車両２００が立ち寄った地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部７に記憶すると共に、車両２００との通信エリア内に配置された無線機２０へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部６を有する車載器と、無線機２０を介して地点情報を受信すると共に、地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバ装置３０と、を有する情報提供システム１としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報提供システムおよび車載器に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、様々な情報技術を用いて交通事故あるいは交通渋滞等の道路交通問題を解決する新しい交通システムである、高度道路交通システム（Ｉｎｔｅｌｌｉｇｅｎｔ Ｔｒａｎｓｐｏｒｔ Ｓｙｓｔｅｍｓ：ＩＴＳ）の研究開発が進んでいる。
【０００３】
ＩＴＳの１つの形態として、道路近傍や駐車場等に設置された無線機としての路側無線機から車載器へ狭域通信（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ：ＤＳＲＣ）を活用して、交通情報等を提供する技術が開示されている（例えば、特許文献１参照。）。このようなＤＳＲＣを用い、路側無線機を経由しサーバ装置がネットワークにより接続可能となり、ユーザは、車載器で情報を受信でき、多様なサービスを受けることが可能となる。
【特許文献１】特開２００７−３０４８３６号公報（請求項１等）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上述したＤＳＲＣを用いて、私有地で企業等が広告等のコンテンツを配布するということが考えられる。しかし、車載器は、この無線機からの電波をすべて得ることになるため、ユーザに対して、不必要な情報を提供してしまうという問題点がある。そのため、サーバ装置が配信する広告を、車載器を介してその情報を使用者に提供するというアイディアを実施するためには、サーバ装置より提供される多くの広告情報のうちユーザが必要とする広告のみを識別して提供できる仕組みが必要となる。
【０００５】
そこで、本発明は、上記問題を解決すること、すなわち、車載器が送信した立ち寄り地または目的地のデータに関連する情報、例えば、車載器のユーザが必要とする立ち寄り地または目的地に関連する広告等の情報のみを提示可能とする情報提供システムおよび車載器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
かかる目的を達成するため、無線で情報の送受信が可能である無線機と、車両の立ち寄りよった地点を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、無線機を介して地点情報を受信すると共に、地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバと、を有する情報提供システムとしている。
【０００７】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、サーバは、地点情報として立ち寄り地データを受信した場合には、立ち寄り地が存在する領域に関する提供用情報を、無線機を介して送信するものとしている。
【０００８】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、サーバは、地点情報として目的地データを受信した場合には、車両の位置から目的地までの経路付近に関する提供用情報を、無線機を介して送信するものとしている。
【０００９】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、制御部は、車両のエンジンが所定時間以上停止されたことを検出した場合には、立ち寄り地データを記憶部に記憶するものとしている。
【００１０】
また、別の発明は、上述の発明に加えて、制御部は、車両が停止した位置と道路データとを比較すると共に、車両の停車位置が道路上ではないと判定した場合には、立ち寄り地データを記憶部に記憶するものとしている。
【００１１】
また、別の発明は、上述の発明に加えて、車載器が車両の走行によって到達したことを示す立ち寄り地データを送信した場合には、受信済みの立寄り地データを記憶部から削除するものとしている。
【００１２】
また、別の発明は、車両の立ち寄り地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へ地点情報を無線で送信し、かつ地点情報に関連する広告情報を無線機から受信する制御を行う制御部を有する車載器としている。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、車載器が送信した立ち寄り地または目的地のデータに関する情報を提示可能とする情報提供システムおよび車載器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
（第１の実施の形態）
以下、本発明の実施の形態について、図１に基づいて説明する。図１は、本発明の実施の形態に係る情報提供システム１の概略を示す概略図である。また、図２は、図１の情報提供システム１の構成の一例を示すブロック図である。
【００１５】
図１において、情報提供システム１は、車載器１０、路側無線装置２０およびサーバ装置３０から主に構成される。車載器１０は、本発明に係る車載器の一実施の形態であって、車両２００に搭載される装置である。車載器１０は、通常、車両２００の運転席の近傍であって、運転者が車載器を操作できる位置に設置される。本実施の形態においては、車載器１０の形態として、ユーザが目的地を入力すると位置情報や車速情報、方向情報等を得て、ナビゲーション装置としても機能する車載器１０について説明する。
【００１６】
第１の実施の形態において、図１の車両２００は、路側無線装置２０からの電波を受信できる位置において、低速で走行あるいは停車している。
【００１７】
路側無線装置２０は、車両２００が低速走行している道路あるいは停車している敷地の側方、上方あるいは地中等に設置され、その道路あるいは敷地を走行あるいは停車する車両に対して狭域通信（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ：ＤＳＲＣ）方式等にて各種情報を提供する装置である。また、この路側無線装置２０は、車両２００に搭載された車載器１０から送信される情報を受信できる。
【００１８】
車載器１０から送信される情報としては、車両固有の情報、車載器１０を識別させる情報、嗜好データ情報、目的地データおよび過去立ち寄り地データ等がある。以下では、これら車載器１０から路側無線装置２０へ送信する地点情報としての情報を、アップリンク情報という。また、路側無線装置２０は、アップリンク情報を受信したり、サーバ装置３０から情報を受信すると、車載器１０の出力部９（図２参照）から出力したり記憶部７（図２参照）に保存するための提供用情報として（以後、ダウンリンク情報という。）を送信する。本実施の形態では、この路側無線装置２０は、あるサービス事業者により駐車場の敷地内に設置されて、そのサービス事業者に関する広告コンテンツをダウンリンク情報として送信する。また、路側無線装置２０は、他の路側無線装置２０の通信エリアに重複しない場所に設置されている。
【００１９】
サーバ装置３０は、有線あるいは無線のネットワーク４０を介して路側無線装置２０に接続されている。また、サーバ装置３０は、路側無線装置２０に送信するための各種情報を有し、その各種情報の中から任意の情報をダウンリンク情報として送信する装置である。また、本実施の形態においてサーバ装置３０は、路側無線装置２０を介して車載器１０から送信されたアップリンク情報を取得し、所定のプログラムに従ってその受信したアップリンク情報に基づき車載器１０に提供するためのダウンリンク情報を生成する。また、本実施の形態において、１つのサーバ装置３０に対して、複数の路側無線装置２０が接続されているものとしているが、１つのサーバ装置３０には、１つの路側無線装置２０が接続される構成としても良い。
【００２０】
第１の実施の形態において、車載器１０は、図２に示すように、アンテナ２、通信部３、センサ部４、入力部５、制御部６、記憶部７、ＡＤ（Ａｎａｌｏｇ ｔｏ Ｄｉｇｉｔａｌ）変換部８および出力部９等から構成されている。アンテナ２は、通信部３に接続され、出力部９は、ＡＤ変換部８に接続されている。通信部３、センサ部４、入力部５、記憶部７およびＡＤ変換部８は、制御部６に接続されている。
【００２１】
車載器１０が備えるアンテナ２は、路側無線装置２０より無線で送信された電波を受信するため、および、車載器２０から情報を送信するためのアンテナである。アンテナ２は、電波を増幅するためのブースタ（不図示）等と一緒に用いられる。
【００２２】
車載器１０において、通信部３は、狭域通信方式の路側無線装置２０の無線通信部２３（詳細は後述）と通信を実行する無線通信回路を有する。車載器１０が備える通信部３と、路側無線装置２０が備える後述の無線通信部２３との間の無線通信方式としては、ＤＳＲＣ方式を採用している。しかし、他の方式を採用してもよい。また、通信部３は、周波数５．８ＧＨｚ帯のＲＦ信号を受信する。受信したＲＦ信号を復調処理し、目的別の各信号を制御部６へ出力する。また、逆に制御部６入力された信号をＲＦ信号へ変調処理しアンテナ２を介し送出する。送出したデータは無線通信部２３へ転送されることとなる。
【００２３】
センサ部４は、図示しないＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）受信機、加速度センサ、サイドブレーキセンサ、あるいは、ジャイロ装置等を含む。ＧＰＳ受信機は、複数のＧＰＳ衛星（不図示）からの電波を受信する。また、ＧＰＳ受信機は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、車載器１０を搭載した車両の現在の位置情報（例えば、緯度情報および経度情報）を検出する位置検出手段である。加速度センサとしては、半導体からなるＭＥＭＳ（ｍｉｃｒｏ ｅｌｅｔｒｏ ｍｅｃｈａｎｉｃａｌ ｓｙｓｔｅｍｓ）センサ等を好適に用いることができる。例えば、検出した加速度を静電容量に変換するセンサーチップと、静電容量を電圧に変換する変換部から構成された加速度センサを用いることができる。加速度センサは、上り坂あるいは下り坂において、車両の高さ方向への変位を検出できる。サイドブレーキセンサは、サイドブレーキが操作されたことを検出するセンサである。ジャイロセンサは、車両が方向転換等した場合において各制御軸に対する車両の角速度を検出するセンサである。センサ部４は、各センサからの情報を入力し、その情報を制御部６に出力する。
【００２４】
入力部５は、ユーザインタフェースの一部とされ、押釦、タッチパネル、音声入力システムおよびリモートコントローラ等の１つまたは複数を含む部分である。入力部５は、ユーザが音量の調節等の指示を車載器１０に与えるための入力手段としての機能を担う部分である。
【００２５】
記憶部７は、アップリンク情報、ダウンリンク情報、その他データまたはプログラム等のいずれか１つあるいは複数を記憶する部分である。例えば、通信エリアに車載器１０がエリアインした場合に、サービス事業者の路側無線装置２０と車載器１０とを初期接続するためのプログラムおよび各車載器１０に個別に割り当てられた移動局識別番号（ＡＳＬ−ＩＤ）等を、記憶部７が記憶している。さらに、受信契約を結んでいるサービス事業者から受信したダウンリンク情報を記憶し、後から制御部６の指令により出力する。また、記憶部７は、各サービス事業者に割り当てられているサービス事業者コード毎に、アップリンク情報を記憶している。
【００２６】
図２に示す制御部６は、例えば、制御手段としてＣＰＵ等の信号処理部を備える。また、通信部３、センサ部４、入力部５、記憶部７からの指示、情報およびデータ等が、制御部６に入力される。すると、制御部６は、制御部６が備えるＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）（不図示）あるいはＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）（不図示）からそれぞれ記憶されている所定の制御プログラムおよびデータを読み出して、各種の演算および処理を実行する。さらに、制御部６は、その処理されたデータを各部に出力することにより、各デバイスの制御を行う。なお、ＲＯＭは、制御部６が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶する読み出し専用のメモリである。ＲＡＭは、制御部６からの制御指令に基づいて、各種デバイスとの通信情報あるいは取得した信号の情報を一時的に記憶するための揮発性の記憶領域である。また、ＲＡＭは、制御部６のワークメモリとして使用される。
【００２７】
ＡＤ変換部８は、音声データ、画像データおよび映像データ等を再生可能な信号に変換する。変換された信号は、出力部９に送出され、出力部９は、その信号を音声および映像等として出力する。
【００２８】
路側無線装置２０は、図２に示すように、アンテナ２２、無線通信部２３、通信処理部２４およびデータ通信部２５を備える。無線通信部２３は通信処理部２４と接続され、通信処理部２４は、データ通信部２５と接続されている。
【００２９】
路側無線装置２０における無線通信部２３は、ＤＳＲＣ方式の無線通信方式で車載器１０の無線通信部３と通信する無線通信回路等を有する。無線通信部２３にて変調されたダウンリンク情報は、アンテナ２２を介して車載器１０へ送信される。また、アンテナ２２は、車載器１０から送出されるアップリンク情報を受信する。データ通信部２５は、無線あるいは有線を介してサーバ装置３０と通信する通信装置である。また、通信処理部２４は、データ通信部２５により受信された各種情報を、無線通信部２３に供給する一方、無線通信部２３により受信されたアップリンク情報をデータ通信部２５に供給する処理部である。
【００３０】
サーバ装置３０は、図２に示すように、データ格納部３３、データ格納部３３に接続される制御部３６、制御部３６に接続される通信処理部３４および通信処理部３４に接続されるデータ通信部３５を有する。また、通信処理部３４は、データ格納部３３と接続されている。なお、本実施の形態において、サーバ装置３０はインターネット等の通信網を介して他の大型のサーバ装置等と接続されるように構成されている。
【００３１】
サーバ装置３０において、データ通信部３５は、路側無線装置２０のデータ通信部２５と通信するための通信装置である。データ格納部３３は、ユーザに提供するための広告等の各種情報を、デジタルの情報データとして格納する記憶媒体から成る。データ格納部３３を構成する記憶媒体としては、ハードディスクドライブ等の磁気記憶媒体や光ディスク等の光学式記憶媒体やフラッシュメモリ等の半導体記憶媒体等が挙げられる。制御部３６は、選択されたコンテンツをデータ格納部３３から読み出し、通信処理部３５を介してダウンリンク情報として通信処理部３４へ出力する制御を行う。そして、制御部３６は、データ格納部３３から読み出した各種情報データを所望の路側無線装置２０に対して送信させる制御を行う処理部でもある。なお、制御部３６は、専用の集積回路で構成されるようにしてもよいし、プログラムをプロセッサで実行して実現するようにしてもよい。
【００３２】
データ格納部３３に格納される各種情報データは、例えば、その情報を提供するサービス事業者の販売品等に関する広告等であり、追加あるいは削除が可能な情報である。また、データ格納部３３に格納されるすべての情報データを路側無線装置２０へ送信する必要はなく、制御部３６は、必要と認められる情報データのみをデータ格納部３３より読み出して、所望の路側無線装置２０に各種情報として送信する。
【００３３】
図３に示す路側無線装置２０は、本体装置とアンテナとを主要な構成要素としている。路側無線装置２０は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナから、到達距離が限定されたＤＳＲＣの電波を放射して近傍に路側エリアＺを形成する。この路側エリアＺ内にある車両２００の車載器１０とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置２０と車載器１０間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、路側無線装置２０と同様の路側無線装置として、無線アクセスポイント等を使用してもよい。以下の説明では、路側無線装置２０について説明する。
【００３４】
ＤＳＲＣは５．８ＧＨｚ帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。各路側無線装置２０からのＤＳＲＣの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置２０がそれぞれ形成する路側エリアＺは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【００３５】
路側無線装置２０の一部を構成する本体装置は、車載器１０とサーバ装置３０との間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、路側無線装置２０のアンテナを介して車載器１０から受信された情報をネットワーク４０を介してサーバ装置３０に転送し、サーバ装置３０から送信されたコンテンツ情報を車載器１０へ転送する。路側無線装置２０の本体装置は、情報処理や通信制御を行なう通信処理部２４、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【００３６】
なお、図３に示す路側無線装置２０に使用される本体装置の通信処理部２４は、ＤＳＲＣ専用のプロトコルにより車載器１０との通信制御を行なう。また、図３に示す路側無線装置２０の本体装置の通信処理部２４は、インターネットプロトコルにより車載器１０との通信制御を行なう。
【００３７】
図４は、本実施の形態におけるダウンリンク情報の構成例を示す図である。ダウンリンク情報は、路側無線装置２０からの配信される情報であり、例えば、音声情報、映像情報および文字情報等がある。例えば、音声等は変調されて電波に重畳されてもよいし、符号化されたデジタルのデータとして搬送波に重畳されて送信されても良い。本実施の形態では、ダウンリンク情報は、ひとつのデータ形式で様々なＤＳＲＣ応用サービスに対応できるようにＩＤ別に構成された複合フォーマット（マルチコンテンツフォーマット）を構成している。また、目的に応じて必要な項目（ＩＤ）のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。したがって、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。
【００３８】
図４において示すように、マルチコンテンツフォーマットでデータ群（以下、このデータ群を「情報グループ」という）が編成されている。情報グループ１〜情報グループｎまでの複数の情報グループを含む受信データが、路側無線装置２０から車載器１０へ送信されてくる。これらの複数の情報グループそれぞれには、基本的な情報が含まれているＩＤ００，ＩＤ０１等の基本的な情報と、他の区分項目であるＩＤ等の情報から構成されている。これらの情報グループは、必ずしも全ての区分ＩＤの情報を含んでいる訳ではなく、必要なものだけ含んで送信されてくる。
【００３９】
このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能となっている。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けた車載器１０内にデータを蓄積することが可能である情報コンテンツは、路側無線装置２０の通信エリア外でも配信データを活用することが可能となっている。
【００４０】
また、車載機１０が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、車載器１０からサーバ装置３０へのアップリンク機能も可能となっている。また、マルチコンテンツフォーマットは、車載器１０に設定されている目的地情報や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を取得することも可能となっている。
【００４１】
図５は、路側無線機２０から送信される情報（コンテンツ）のデータフォーマットの一例を示す。１つのコンテンツは、図５に示すように、ＩＤ００〜ＩＤ８０に分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報が格納されている。以下に、ＩＤ００〜ＩＤ８０に分類される情報のうち、本実施の形態に必要な情報について説明する。
【００４２】
ＩＤ００に分類される「ＩＤ構成情報」は、図５に示すように、配信するコンテンツに含まれているＩＤ情報を記載する領域である。ＩＤ＝００のデータ形式には、「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ＩＤ＝００の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器１０側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するＩＤを小さい順に２バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるＩＤすべてが記載されている。
【００４３】
ＩＤ０１に分類される「事業者情報」は、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報であり、例えば、コンテンツを提供するサービス事業者の「事業者コード」、「事業者名表示用テキスト」等が含まれる。
【００４４】
ＩＤ０２に分類される「コンテンツ属性情報」は、当該コンテンツの属性を示す情報であり、例えば、コンテンツを提供する情報提供企業の「情報提供企業コード」、「情報提供企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ情報」等が含まれる。なお、コンテンツ情報は階層構造をなしており、本実施の形態においては、情報コードにより、各コンテンツ情報の階層を識別可能であることとする。
【００４５】
ＩＤ１０に分類される「対象地点情報」は、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点（対象地点という）に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」等が含まれる。
【００４６】
また、ＩＤ＝８０は、嗜好データを書き込める領域である。「嗜好データ」とは、車載器１０を利用しているユーザの趣味および嗜好に基づき選択されたコンテンツの分類等が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。嗜好データにより、サービス事業者が有する数多くの広告および情報の中から、ユーザが所望する情報（コンテンツ）のみをユーザに提供できる。そのため、ユーザは、不要な情報（コンテンツ）を受信しなくてよい。なお、この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。ユーザは、サービス事業者の嗜好テーブルに基づき、所望のコンテンツの分類を選択できる。
【００４７】
図６は、ＩＤ８０の嗜好テーブルの一例を示す。嗜好テーブルは、各ジャンルに分類されており、ユーザが所望する分類のコンテンツを、その嗜好テーブルから選択できる。例えば、図６において最も上の階層にある「車」のジャンルには、「交換部品」、「ロードサービス」のジャンルが存在する。また、「交換部品」のジャンルの下の階層には、「タイヤ」、「ランプ」および「オイル」があり、「ロードサービス」のジャンルの下の階層には、「小売店Ａ」の情報および「ガソリンスタンドＣ」の情報がある。なお、これらの項目に代えまたは追加するものがあってもよい。
【００４８】
また、本実施の形態では、各コンテンツに関して「０」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望しないことを意味している。一方、各コンテンツに関して「１」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望するものとしている。
【００４９】
その嗜好テーブルに記載された各コンテンツの分類のうち、ユーザは、配信を希望するコンテンツの分類を選択できる。例えば、「車」には、フラグとして「１」が関連づけられているため、車に関する情報を所望することになる。また、「交換部品」のうち、「タイヤ」、と「オイル」とに「１」が関連づけられているため、「タイヤ」および「オイル」に「１」が関連づけられる。すると、ユーザは、「タイヤ」および「オイル」に関する情報をユーザが所望することになる。一方、「交換部品」のうち、「ランプ」については、「０」が関連付けられているため、ランプに関する情報を所望しないことになる。ユーザが各コンテンツを選択あるいは解除すると、コンテンツに関連づけられた「１」あるいは「０」がとの選択あるいは解除に応じて変更される。
【００５０】
図７は、本実施の形態におけるアップリンク情報の構成例を示す図である。上述したように、アップリンク情報は、種々のものがあるが、以下では、本実施の形態に特に関係するアップリンク情報について説明する。アップリンク情報は、サービス事業者コード、目的地、立ち寄り地、および累計走行距離等の情報に加え、嗜好データを作成するための嗜好テーブルバージョン、嗜好データおよび会員情報等を有する。なお、アップリンク情報は、以上の情報のいずれか１つまたは複数を有するものとしてもよい。サービス事業者コードは、サービス事業者毎に割り当てられたコードである。また、累計走行距離情報は、車両の累計走行距離を示す情報である。
【００５１】
目的地データは、ユーザが設定する目的地の緯度経度を示す。例えば、ユーザが車載器１０のナビゲーション機能を用いるために目的地を設定すると、アップリンク情報の目的地データ欄にその目的地の緯度経度が記載される。このほかに、目的地までの道のりの途中に立ち寄る予定の経由地をアップリンク情報に含んでもよい。
【００５２】
立ち寄り地データは、車載器１０を搭載する車両２００が過去に立ち寄った場所の緯度経度を示す。車両２００がある場所にて停車する、すなわち、立ち寄った場合、当該立ち寄った場所の緯度経度を、立ち寄った日時と一緒に制御部６が記憶部７に記憶する。したがって、過去立ち寄り地データは、その車載器２００のユーザが、どのような場所にどのくらいの頻度で立ち寄ったかについての情報を示すデータとなる。本実施の形態では、このような立ち寄り地データを収集するために、車載器１０を搭載する車両２００がエンジンを一定時間以上ＯＦＦにした地点であって、かつ、その地点が道路上でない場合にそのＧＰＳ受信機等により取得した現在値を、制御部６は、過去立ち寄り地データとして記録する。このような条件に該当する地点を過去立ち寄り地データとして記録することで、ユーザがいわゆるアイドリングストップを実施した地点を、立ち寄り地として記録することを防止できる。なお、車載器１０を搭載する車両２００がエンジンを一定時間以上ＯＦＦにしたという条件と、そのエンジンをＯＦＦにした地点が道路上でないという条件と、のうちどちらか一方のみを満たす場合に、制御部６がその地点を過去立ち寄り地データとして記録するものとしてもよい。しかし、両方の条件を満たす場合に、過去立ち寄り地データとして記録することで、アイドリングストップを実施した地点を立ち寄り地として記録することを効果的に防止できる。
【００５３】
本実施の形態において、過去立ち寄り地データは、以下のようにして記憶部７に蓄積される。まず、車両２００のエンジンを一定時間以上停止すると、制御部６は、そのエンジンを停止した位置の緯度経度をＧＰＳ受信機により取得し、取得した緯度経度を道路データと比較する。その緯度経度が道路上であると制御部６が判定した場合であってかつエンジンを一定時間以内に再始動した場合には、その緯度経度およびエンジンを再始動した時刻を記憶しない。一方、その緯度経度が道路上ではないと判定した場合には、制御部６は、その緯度経度およびエンジンを再始動した時刻を立ち寄り地データとして記憶部７に記憶する。したがって、記憶部７は、複数の立ち寄り地データを有することができるようにすることが好ましい。
【００５４】
図７に示される会員情報は、サービス事業者毎に自由に設定できる交換情報であり、例えば、次回来店時の特典等を保存するために用いることができる。
【００５５】
また、アップリンク情報に含まれる累積走行距離情報に関連するダウンリンク情報としては、そのサービス事業者の事業あるいは商品等に関連する広告コンテンツ等が関連づけられている。例えば、サービス事業者が自動車部品販売会社の場合、その会社が扱う自動車部品の広告コンテンツが関連づけられ、サービス事業者が自動車修理会社の場合、その会社の扱う修理サービスに関する広告コンテンツが関連づけられる。
【００５６】
次に、上述の情報提供システム１における車載器１０とサーバ３０の動作について説明する。
【００５７】
図８は、実施の形態における情報提供システム１が、あるサービス事業者が運営する路側無線装置２０からの電波を受信した場合の処理動作を示すフローチャートである。
【００５８】
路側無線装置２０の通信エリアに、車載器１０が搭載された車両２００がエリアインする。すると、車載器１０と路側無線装置２０との間に、ＰＵＳＨ方式の通信が確立し、その時点で車載器１０より発信されるＡＳＬ−ＩＤ等をサーバ装置３０が受信する（ステップＳ１０１：クライアント情報取得ステップ）。サーバ装置３０の制御部３６は、そのＡＳＬ−ＩＤ等により、そのユーザが会員であるか否かを判定する（ステップＳ１０２：会員判定ステップ）。
【００５９】
路側無線装置２０を介して情報を発信しているサービス事業者と、車載器１０のユーザがサービス受信契約を締結しており、そのユーザが会員であると制御部３６が判定した場合には（ステップＳ１０２においてＹＥＳ）、制御部３６は、サービス事業者コードを送信する。そのサービス事業者コードを受信した、車載器１０の制御部６は、記憶部７に記憶している目的地データおよび立ち寄り値情報を含むアップリンク情報を、路側無線装置２０を介して送信する。そのアップリンク情報を、サーバ３０が受信する（ステップＳ１０３：アップリンク情報受信ステップ）。
【００６０】
制御部６がそのサービス事業者と受信契約をしていないと判定した場合には、制御部６は、ステップＳ１０１において否定的（ＮＯ）な判定を行う。そして、車載器１０は、そのサービス事業者の路側無線装置２０から定期的なポーリングにより、公共の情報や勧誘の情報を受信する。
【００６１】
サーバ装置３０は、車載器１０が送信したアップリンク情報を受信する。そして、制御部３６は、受信したアップリンク情報に目的地データが含まれるか否かを判定する（ステップＳ１０４：目的地データ検索ステップ）。
【００６２】
アップリンク情報の中に目的地データが含まれる場合には（ステップＳ１０４においてＹＥＳ）、制御部３６は、現在地からその目的地までの道順を検索し、ネットワーク４０を介して検索された経路沿いの情報コンテンツを取得して、ダウンリンク情報として送信する。例えば、目的地までの中継地点にあるレストランの情報を取得して送信する（ステップＳ１０５：遠隔地情報提供ステップ）。
【００６３】
ステップＳ１０４において否定的な判定がなされた場合、およびステップＳ１０５の処理の後には、制御部３６は、その路側無線装置２０の設置された地点において提供している情報コンテンツをダウンリンク情報として送信する（ステップＳ１０６：通常情報提供ステップ）。
【００６４】
車載器１０の通信部３が受信したダウンリンク情報は、制御部６により記憶部７に記憶される。記憶部７に記憶されたダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告は、出力部９より適宜出力される。
【００６５】
以上のように、本実施の形態に係る情報提供システム１は、目的地データを含むアップリンク情報を送信する。そのため、ユーザは、目的地までの中継地点に関する情報コンテンツを車載器１０により取得できる。ユーザにより有益な情報を提供できる情報提供システム１となる。
【００６６】
次に、第２の実施の形態に係る情報システム１Ａについて説明する。図９は、第２の実施の形態に係る情報システム１Ａの各装置の動作について説明するフローチャートである。このフローチャートのステップＳ２０１〜ステップＳ２０５までは、第１の実施の形態におけるステップＳ１０１〜ステップＳ１０５と同様であるため、説明を省略する。
【００６７】
ステップＳ２０４において否定的な判定がなされた場合およびステップＳ２０５の処理の後には、制御部３６は、アップリンク情報に含まれる過去立ち寄り地データをデータ蓄積部３３に記憶させる。そして、制御部３６は、過去立ち寄り地点の周辺の情報コンテンツを取得して、ダウンリンク情報として送信する（ステップＳ２０６：生活圏内情報提供ステップ）。ダウンリンク情報の例としては、過去立ち寄り地点のレストラン情報、駐車場情報などが挙げられる。
【００６８】
車載器１０の通信部３が受信したダウンリンク情報は、制御部６により記憶部７に記憶される。記憶部７に記憶されたダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告は、出力部９より適宜出力される（ステップＳ２０７：出力ステップ）。
【００６９】
以上のように、本実施の形態に係る情報提供システム１は、目的地データおよび立ち寄り地データのすくなくとも１方を含むアップリンク情報を送信する。そのため、ユーザは、目的地までの中継地点に関する情報コンテンツを取得できる。また、目的地の設定を行わない場合には、頻繁に行く場所あるいは頻繁に行く場所までの道の途中等、そのユーザの行動範囲内の情報のみが提供されるため、ユーザにより有益な情報を提供できる情報提供システム１となる。
【００７０】
また、サービス事業者は、ユーザの立ち寄り地等の情報を、ユーザに負担をかけずに入手できるため、それらの情報をサービス事業の事業戦略等に生かすことができる。
【００７１】
以上、各発明の実施の形態について述べたが、本発明は、これらの各実施の形態に限定されることなく、種々の変形および組合せが可能である。例えば、ステップＳ１０４において、目的地データの代わりに、または目的地データに加えて立ち寄り予定地のデータを受信したかどうかの判定をするようにしてもよい。
【００７２】
また、各実施の形態では、ステップＳ２０３において車載器１０から送信されたアップリンク情報に含まれる目的地データを、サーバ装置３０の制御部３６が得たか否かに関わらず、制御部３６は、過去立ち寄り地データに関係する情報コンテンツを送信するものであるが、このような形態に限らない。一般に、ユーザは、不慣れな場所に行く際に目的地を入力するため、目的地データがアップリンク情報に含まれる場合には、過去立ち寄り地の周辺の情報コンテンツを送信しないようにしても良い。
【００７３】
また、各実施の形態では、ステップＳ１０４において、過去立ち寄り地の存在する領域の情報コンテンツを制御部３６が送信する制御をするものとしているが、このような形態に限らない。例えば、過去立ち寄り地の緯度経度情報より、立ち寄り地点を地図にマッピングすることで、その立ち寄り地の集合部分を、生活圏ととらえて、その生活圏の領域において提供している情報コンテンツを、ダウンリンク情報のＩＤ１０として出力する形態としても良い。あるいは、立ち寄り地情報に含まれる時間情報に基づいて、所定の曜日あるいは時間帯に該当する過去立ち寄り地点の集合部分を、その時間あるいは曜日の行動範囲として捉えて、その行動範囲内において提供している情報を提供するような形態としても良い。また、過去立ち寄り地への立ち寄り頻度や周期を制御部３６が算出することで、その立ち寄り周期にあわせた情報コンテンツを提供するサーバ装置３０としてもよい。
【００７４】
また、ステップＳ１０３において、車載器１０が過去立ち寄り地を無線機１０に対してアップリンク情報として送信した後には、制御部６が送信済みの過去立ち寄り地データを記憶部７から消去するようにしてもよい。制御部６が送信済みの過去立ち寄り地データを記憶部６から消去することで、同じ過去立ち寄り地データを複数回アップリンクすることを防止できる。
【００７５】
また、各実施の形態のステップＳ１０３およびステップＳ２０３において、目的地データに基づきダウンリンク情報に含む情報コンテンツを決定するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、目的地以外に経由地をアップリンク情報に含む場合には、経由地までの道のりあるいは経由地付近に関する情報コンテンツを提供するような情報提供システム１としてもよい。また、サーバ３０が目的地あるいは経由地までの道順を算出せずに、車載器１０のナビゲーション機能にて選択されている道順に基づき、車載器１０側で、経路付近の情報コンテンツのみを出力するような設定としても良い。具体的には、ＩＤ１０に情報を提供する地点を示す対象地点として緯度経度情報が含まれる場合に、目的地または経路地までの経路付近の緯度経度情報をナビゲーション機能にて判断し、一致するコンテンツのみを出力するようにしても良い。また、別の具体例としては、ＩＤ２０に、情報コンテンツをポップアップさせる緯度経度情報を含み、ポップアップさせる緯度経度の近くを経路とする場合には、ポップアップを出力するようにしてもよい。
【００７６】
また、本実施の形態において、車載器１０は、ナビゲーション機能を有するものとしているが、そのような形態でなくても良い。さらに、サーバ装置３０は、を介して遠隔地の情報を入手できるものとしているが、そのような形態に限らず、データ蓄積部３３がすべての情報を有しているような形態でも良い。
【００７７】
また、本実施の形態では、ステップＳ２０４において目的地データを検索してからステップＳ２０６において過去立ち寄り地データに関する情報コンテンツを送信するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、ステップＳ２０６は、ステップＳ２０４の前であっても良いし、どちらか一方のステップがなくてもよい。さらに、目的地に関する情報は、すぐに出力せずに、目的地から所定の距離範囲内になると、出力するよう制御しても良い。あるいは、出力される条件が定められていても良い。例えば、昼の１２時になると、その地点に近いレストランの情報コンテンツが表示されるようなもの、あるいは、外気温が氷点下になると車両２００の滑り止めに関する情報コンテンツが表示されるようなものとしてもよい。このように、設定された条件に基づいて情報コンテンツが出力される場合には、車載器１０の制御部６が、制御するようにしてもよいし、サーバ装置３０が、ダウンリンク情報の送信を制御してもよい。あるいは、両方にて制御するようにしてもよいし、あるいは、ダウンリンク情報に、どのタイミングで出力するかについての別のプログラムを含むようにしてもよい。
【００７８】
また、上述の各実施の形態においては、レストランの情報等を情報コンテンツの一例として例示しているが、これに限らずどのようなコンテンツでも良い。例えば、観光案内、自動車修理広告、自動車部品広告、駐車場案内、渋滞案内、ガソリンステーション案内等の情報コンテンツとしてもよい。
【００７９】
また、上述の各実施の形態においては、無線機としての路側無線装置２０から車載器１０が情報を受信するものとしているが、このような形態に限らず、情報を発信できる無線機であればどのようなものでもよい。
【００８０】
また、上述の実施の形態では、路側無線装置２０の管理者が、コンテンツ情報を提供する業者である場合もある。この他にもたとえば、路側無線装置２０の管理者は、コンテンツを提供する事業者ではなく、コンテンツを与える事業者と契約を結んで、その路側無線装置２０を運営する者、すなわちサービスを提供する者以外の者が路側無線装置２０を設置し、管理する形式としてもよい。
【００８１】
また、路側無線装置２０は、車載器２０とサーバ装置３０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行うとしたが、路側無線装置２０にサーバ装置３０があり、路側無線装置２０の内部ですべての処理を行う形態としてもよい。
【００８２】
また、上述の実施の形態の情報提供システム１が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部６における処理の全部またはその一部は、１または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても良く、その少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。
【００８３】
また、例えば、車載器１０を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、ＣＤ（ｃｏｍｐａｃｔ ｄｉｓｃ）、ＤＶＤ（ｄｉｇｉｔａｌ ｖｅｒｓａｔｉｌｅ ｄｉｓｋ）、ＭＯ（ｍａｇｎｅｔｏ−ｏｐｔｉｃａｌ）等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器１０として動作させ、あるいは、車載器１０が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器１０となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【００８４】
なお、各実施の形態では、音声および映像を出力するものとしたが、視覚、聴覚、嗅覚あるいは触覚等によりユーザが認識できるような他の手段により出力されても良い。具体的は、例えば、振動あるいは光等により情報を出力する車載器１０としてもよい。また、２以上の認識方法を組み合わせて情報を出力する車載器１０としてもよい。また、映像等により情報が出力される場合には、テキスト情報、静止画情報、映像情報、あるいはそれらを組み合わせて出力されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００８５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係る情報提供システムを示す概略図である。
【図２】図１の情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図３】図１の情報提供システムの外観の例を示す説明図である。
【図４】各実施の形態におけるダウンリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図５】各実施の形態におけるダウンリンク情報の詳細なデータ構成を説明する説明図である。
【図６】各実施の形態における嗜好データのデータ構成例を説明する説明図である。
【図７】各実施の形態におけるアップリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図８】第１の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【図９】第２の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８６】
１…情報提供システム、３…通信部、６…制御部、７…記憶部、１０…車載器、２０…無線機（路側無線機）、３０…サーバ装置、２００…車両
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報提供システムおよび車載器に関する。
【背景技術】
【０００２】
現在、様々な情報技術を用いて交通事故あるいは交通渋滞等の道路交通問題を解決する新しい交通システムである、高度道路交通システム（Ｉｎｔｅｌｌｉｇｅｎｔ Ｔｒａｎｓｐｏｒｔ Ｓｙｓｔｅｍｓ：ＩＴＳ）の研究開発が進んでいる。
【０００３】
ＩＴＳの１つの形態として、道路近傍や駐車場等に設置された無線機としての路側無線機から車載器へ狭域通信（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ：ＤＳＲＣ）を活用して、交通情報等を提供する技術が開示されている（例えば、特許文献１参照。）。このようなＤＳＲＣを用い、路側無線機を経由しサーバ装置がネットワークにより接続可能となり、ユーザは、車載器で情報を受信でき、多様なサービスを受けることが可能となる。
【特許文献１】特開２００７−３０４８３６号公報（請求項１等）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上述したＤＳＲＣを用いて、私有地で企業等が広告等のコンテンツを配布するということが考えられる。しかし、車載器は、この無線機からの電波をすべて得ることになるため、ユーザに対して、不必要な情報を提供してしまうという問題点がある。そのため、サーバ装置が配信する広告を、車載器を介してその情報を使用者に提供するというアイディアを実施するためには、サーバ装置より提供される多くの広告情報のうちユーザが必要とする広告のみを識別して提供できる仕組みが必要となる。
【０００５】
そこで、本発明は、上記問題を解決すること、すなわち、車載器が送信した立ち寄り地または目的地のデータに関連する情報、例えば、車載器のユーザが必要とする立ち寄り地または目的地に関連する広告等の情報のみを提示可能とする情報提供システムおよび車載器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
かかる目的を達成するため、無線で情報の送受信が可能である無線機と、車両の立ち寄りよった地点を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、無線機を介して地点情報を受信すると共に、地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバと、を有する情報提供システムとしている。
【０００７】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、サーバは、地点情報として立ち寄り地データを受信した場合には、立ち寄り地が存在する領域に関する提供用情報を、無線機を介して送信するものとしている。
【０００８】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、サーバは、地点情報として目的地データを受信した場合には、車両の位置から目的地までの経路付近に関する提供用情報を、無線機を介して送信するものとしている。
【０００９】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、制御部は、車両のエンジンが所定時間以上停止されたことを検出した場合には、立ち寄り地データを記憶部に記憶するものとしている。
【００１０】
また、別の発明は、上述の発明に加えて、制御部は、車両が停止した位置と道路データとを比較すると共に、車両の停車位置が道路上ではないと判定した場合には、立ち寄り地データを記憶部に記憶するものとしている。
【００１１】
また、別の発明は、上述の発明に加えて、車載器が車両の走行によって到達したことを示す立ち寄り地データを送信した場合には、受信済みの立寄り地データを記憶部から削除するものとしている。
【００１２】
また、別の発明は、車両の立ち寄り地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へ地点情報を無線で送信し、かつ地点情報に関連する広告情報を無線機から受信する制御を行う制御部を有する車載器としている。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、車載器が送信した立ち寄り地または目的地のデータに関する情報を提示可能とする情報提供システムおよび車載器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
（第１の実施の形態）
以下、本発明の実施の形態について、図１に基づいて説明する。図１は、本発明の実施の形態に係る情報提供システム１の概略を示す概略図である。また、図２は、図１の情報提供システム１の構成の一例を示すブロック図である。
【００１５】
図１において、情報提供システム１は、車載器１０、路側無線装置２０およびサーバ装置３０から主に構成される。車載器１０は、本発明に係る車載器の一実施の形態であって、車両２００に搭載される装置である。車載器１０は、通常、車両２００の運転席の近傍であって、運転者が車載器を操作できる位置に設置される。本実施の形態においては、車載器１０の形態として、ユーザが目的地を入力すると位置情報や車速情報、方向情報等を得て、ナビゲーション装置としても機能する車載器１０について説明する。
【００１６】
第１の実施の形態において、図１の車両２００は、路側無線装置２０からの電波を受信できる位置において、低速で走行あるいは停車している。
【００１７】
路側無線装置２０は、車両２００が低速走行している道路あるいは停車している敷地の側方、上方あるいは地中等に設置され、その道路あるいは敷地を走行あるいは停車する車両に対して狭域通信（Ｄｅｄｉｃａｔｅｄ Ｓｈｏｒｔ Ｒａｎｇｅ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ：ＤＳＲＣ）方式等にて各種情報を提供する装置である。また、この路側無線装置２０は、車両２００に搭載された車載器１０から送信される情報を受信できる。
【００１８】
車載器１０から送信される情報としては、車両固有の情報、車載器１０を識別させる情報、嗜好データ情報、目的地データおよび過去立ち寄り地データ等がある。以下では、これら車載器１０から路側無線装置２０へ送信する地点情報としての情報を、アップリンク情報という。また、路側無線装置２０は、アップリンク情報を受信したり、サーバ装置３０から情報を受信すると、車載器１０の出力部９（図２参照）から出力したり記憶部７（図２参照）に保存するための提供用情報として（以後、ダウンリンク情報という。）を送信する。本実施の形態では、この路側無線装置２０は、あるサービス事業者により駐車場の敷地内に設置されて、そのサービス事業者に関する広告コンテンツをダウンリンク情報として送信する。また、路側無線装置２０は、他の路側無線装置２０の通信エリアに重複しない場所に設置されている。
【００１９】
サーバ装置３０は、有線あるいは無線のネットワーク４０を介して路側無線装置２０に接続されている。また、サーバ装置３０は、路側無線装置２０に送信するための各種情報を有し、その各種情報の中から任意の情報をダウンリンク情報として送信する装置である。また、本実施の形態においてサーバ装置３０は、路側無線装置２０を介して車載器１０から送信されたアップリンク情報を取得し、所定のプログラムに従ってその受信したアップリンク情報に基づき車載器１０に提供するためのダウンリンク情報を生成する。また、本実施の形態において、１つのサーバ装置３０に対して、複数の路側無線装置２０が接続されているものとしているが、１つのサーバ装置３０には、１つの路側無線装置２０が接続される構成としても良い。
【００２０】
第１の実施の形態において、車載器１０は、図２に示すように、アンテナ２、通信部３、センサ部４、入力部５、制御部６、記憶部７、ＡＤ（Ａｎａｌｏｇ ｔｏ Ｄｉｇｉｔａｌ）変換部８および出力部９等から構成されている。アンテナ２は、通信部３に接続され、出力部９は、ＡＤ変換部８に接続されている。通信部３、センサ部４、入力部５、記憶部７およびＡＤ変換部８は、制御部６に接続されている。
【００２１】
車載器１０が備えるアンテナ２は、路側無線装置２０より無線で送信された電波を受信するため、および、車載器２０から情報を送信するためのアンテナである。アンテナ２は、電波を増幅するためのブースタ（不図示）等と一緒に用いられる。
【００２２】
車載器１０において、通信部３は、狭域通信方式の路側無線装置２０の無線通信部２３（詳細は後述）と通信を実行する無線通信回路を有する。車載器１０が備える通信部３と、路側無線装置２０が備える後述の無線通信部２３との間の無線通信方式としては、ＤＳＲＣ方式を採用している。しかし、他の方式を採用してもよい。また、通信部３は、周波数５．８ＧＨｚ帯のＲＦ信号を受信する。受信したＲＦ信号を復調処理し、目的別の各信号を制御部６へ出力する。また、逆に制御部６入力された信号をＲＦ信号へ変調処理しアンテナ２を介し送出する。送出したデータは無線通信部２３へ転送されることとなる。
【００２３】
センサ部４は、図示しないＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）受信機、加速度センサ、サイドブレーキセンサ、あるいは、ジャイロ装置等を含む。ＧＰＳ受信機は、複数のＧＰＳ衛星（不図示）からの電波を受信する。また、ＧＰＳ受信機は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、車載器１０を搭載した車両の現在の位置情報（例えば、緯度情報および経度情報）を検出する位置検出手段である。加速度センサとしては、半導体からなるＭＥＭＳ（ｍｉｃｒｏ ｅｌｅｔｒｏ ｍｅｃｈａｎｉｃａｌ ｓｙｓｔｅｍｓ）センサ等を好適に用いることができる。例えば、検出した加速度を静電容量に変換するセンサーチップと、静電容量を電圧に変換する変換部から構成された加速度センサを用いることができる。加速度センサは、上り坂あるいは下り坂において、車両の高さ方向への変位を検出できる。サイドブレーキセンサは、サイドブレーキが操作されたことを検出するセンサである。ジャイロセンサは、車両が方向転換等した場合において各制御軸に対する車両の角速度を検出するセンサである。センサ部４は、各センサからの情報を入力し、その情報を制御部６に出力する。
【００２４】
入力部５は、ユーザインタフェースの一部とされ、押釦、タッチパネル、音声入力システムおよびリモートコントローラ等の１つまたは複数を含む部分である。入力部５は、ユーザが音量の調節等の指示を車載器１０に与えるための入力手段としての機能を担う部分である。
【００２５】
記憶部７は、アップリンク情報、ダウンリンク情報、その他データまたはプログラム等のいずれか１つあるいは複数を記憶する部分である。例えば、通信エリアに車載器１０がエリアインした場合に、サービス事業者の路側無線装置２０と車載器１０とを初期接続するためのプログラムおよび各車載器１０に個別に割り当てられた移動局識別番号（ＡＳＬ−ＩＤ）等を、記憶部７が記憶している。さらに、受信契約を結んでいるサービス事業者から受信したダウンリンク情報を記憶し、後から制御部６の指令により出力する。また、記憶部７は、各サービス事業者に割り当てられているサービス事業者コード毎に、アップリンク情報を記憶している。
【００２６】
図２に示す制御部６は、例えば、制御手段としてＣＰＵ等の信号処理部を備える。また、通信部３、センサ部４、入力部５、記憶部７からの指示、情報およびデータ等が、制御部６に入力される。すると、制御部６は、制御部６が備えるＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）（不図示）あるいはＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）（不図示）からそれぞれ記憶されている所定の制御プログラムおよびデータを読み出して、各種の演算および処理を実行する。さらに、制御部６は、その処理されたデータを各部に出力することにより、各デバイスの制御を行う。なお、ＲＯＭは、制御部６が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶する読み出し専用のメモリである。ＲＡＭは、制御部６からの制御指令に基づいて、各種デバイスとの通信情報あるいは取得した信号の情報を一時的に記憶するための揮発性の記憶領域である。また、ＲＡＭは、制御部６のワークメモリとして使用される。
【００２７】
ＡＤ変換部８は、音声データ、画像データおよび映像データ等を再生可能な信号に変換する。変換された信号は、出力部９に送出され、出力部９は、その信号を音声および映像等として出力する。
【００２８】
路側無線装置２０は、図２に示すように、アンテナ２２、無線通信部２３、通信処理部２４およびデータ通信部２５を備える。無線通信部２３は通信処理部２４と接続され、通信処理部２４は、データ通信部２５と接続されている。
【００２９】
路側無線装置２０における無線通信部２３は、ＤＳＲＣ方式の無線通信方式で車載器１０の無線通信部３と通信する無線通信回路等を有する。無線通信部２３にて変調されたダウンリンク情報は、アンテナ２２を介して車載器１０へ送信される。また、アンテナ２２は、車載器１０から送出されるアップリンク情報を受信する。データ通信部２５は、無線あるいは有線を介してサーバ装置３０と通信する通信装置である。また、通信処理部２４は、データ通信部２５により受信された各種情報を、無線通信部２３に供給する一方、無線通信部２３により受信されたアップリンク情報をデータ通信部２５に供給する処理部である。
【００３０】
サーバ装置３０は、図２に示すように、データ格納部３３、データ格納部３３に接続される制御部３６、制御部３６に接続される通信処理部３４および通信処理部３４に接続されるデータ通信部３５を有する。また、通信処理部３４は、データ格納部３３と接続されている。なお、本実施の形態において、サーバ装置３０はインターネット等の通信網を介して他の大型のサーバ装置等と接続されるように構成されている。
【００３１】
サーバ装置３０において、データ通信部３５は、路側無線装置２０のデータ通信部２５と通信するための通信装置である。データ格納部３３は、ユーザに提供するための広告等の各種情報を、デジタルの情報データとして格納する記憶媒体から成る。データ格納部３３を構成する記憶媒体としては、ハードディスクドライブ等の磁気記憶媒体や光ディスク等の光学式記憶媒体やフラッシュメモリ等の半導体記憶媒体等が挙げられる。制御部３６は、選択されたコンテンツをデータ格納部３３から読み出し、通信処理部３５を介してダウンリンク情報として通信処理部３４へ出力する制御を行う。そして、制御部３６は、データ格納部３３から読み出した各種情報データを所望の路側無線装置２０に対して送信させる制御を行う処理部でもある。なお、制御部３６は、専用の集積回路で構成されるようにしてもよいし、プログラムをプロセッサで実行して実現するようにしてもよい。
【００３２】
データ格納部３３に格納される各種情報データは、例えば、その情報を提供するサービス事業者の販売品等に関する広告等であり、追加あるいは削除が可能な情報である。また、データ格納部３３に格納されるすべての情報データを路側無線装置２０へ送信する必要はなく、制御部３６は、必要と認められる情報データのみをデータ格納部３３より読み出して、所望の路側無線装置２０に各種情報として送信する。
【００３３】
図３に示す路側無線装置２０は、本体装置とアンテナとを主要な構成要素としている。路側無線装置２０は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナから、到達距離が限定されたＤＳＲＣの電波を放射して近傍に路側エリアＺを形成する。この路側エリアＺ内にある車両２００の車載器１０とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置２０と車載器１０間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、路側無線装置２０と同様の路側無線装置として、無線アクセスポイント等を使用してもよい。以下の説明では、路側無線装置２０について説明する。
【００３４】
ＤＳＲＣは５．８ＧＨｚ帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。各路側無線装置２０からのＤＳＲＣの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置２０がそれぞれ形成する路側エリアＺは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【００３５】
路側無線装置２０の一部を構成する本体装置は、車載器１０とサーバ装置３０との間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、路側無線装置２０のアンテナを介して車載器１０から受信された情報をネットワーク４０を介してサーバ装置３０に転送し、サーバ装置３０から送信されたコンテンツ情報を車載器１０へ転送する。路側無線装置２０の本体装置は、情報処理や通信制御を行なう通信処理部２４、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【００３６】
なお、図３に示す路側無線装置２０に使用される本体装置の通信処理部２４は、ＤＳＲＣ専用のプロトコルにより車載器１０との通信制御を行なう。また、図３に示す路側無線装置２０の本体装置の通信処理部２４は、インターネットプロトコルにより車載器１０との通信制御を行なう。
【００３７】
図４は、本実施の形態におけるダウンリンク情報の構成例を示す図である。ダウンリンク情報は、路側無線装置２０からの配信される情報であり、例えば、音声情報、映像情報および文字情報等がある。例えば、音声等は変調されて電波に重畳されてもよいし、符号化されたデジタルのデータとして搬送波に重畳されて送信されても良い。本実施の形態では、ダウンリンク情報は、ひとつのデータ形式で様々なＤＳＲＣ応用サービスに対応できるようにＩＤ別に構成された複合フォーマット（マルチコンテンツフォーマット）を構成している。また、目的に応じて必要な項目（ＩＤ）のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。したがって、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。
【００３８】
図４において示すように、マルチコンテンツフォーマットでデータ群（以下、このデータ群を「情報グループ」という）が編成されている。情報グループ１〜情報グループｎまでの複数の情報グループを含む受信データが、路側無線装置２０から車載器１０へ送信されてくる。これらの複数の情報グループそれぞれには、基本的な情報が含まれているＩＤ００，ＩＤ０１等の基本的な情報と、他の区分項目であるＩＤ等の情報から構成されている。これらの情報グループは、必ずしも全ての区分ＩＤの情報を含んでいる訳ではなく、必要なものだけ含んで送信されてくる。
【００３９】
このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能となっている。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けた車載器１０内にデータを蓄積することが可能である情報コンテンツは、路側無線装置２０の通信エリア外でも配信データを活用することが可能となっている。
【００４０】
また、車載機１０が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、車載器１０からサーバ装置３０へのアップリンク機能も可能となっている。また、マルチコンテンツフォーマットは、車載器１０に設定されている目的地情報や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を取得することも可能となっている。
【００４１】
図５は、路側無線機２０から送信される情報（コンテンツ）のデータフォーマットの一例を示す。１つのコンテンツは、図５に示すように、ＩＤ００〜ＩＤ８０に分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報が格納されている。以下に、ＩＤ００〜ＩＤ８０に分類される情報のうち、本実施の形態に必要な情報について説明する。
【００４２】
ＩＤ００に分類される「ＩＤ構成情報」は、図５に示すように、配信するコンテンツに含まれているＩＤ情報を記載する領域である。ＩＤ＝００のデータ形式には、「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ＩＤ＝００の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器１０側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するＩＤを小さい順に２バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるＩＤすべてが記載されている。
【００４３】
ＩＤ０１に分類される「事業者情報」は、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報であり、例えば、コンテンツを提供するサービス事業者の「事業者コード」、「事業者名表示用テキスト」等が含まれる。
【００４４】
ＩＤ０２に分類される「コンテンツ属性情報」は、当該コンテンツの属性を示す情報であり、例えば、コンテンツを提供する情報提供企業の「情報提供企業コード」、「情報提供企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ情報」等が含まれる。なお、コンテンツ情報は階層構造をなしており、本実施の形態においては、情報コードにより、各コンテンツ情報の階層を識別可能であることとする。
【００４５】
ＩＤ１０に分類される「対象地点情報」は、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点（対象地点という）に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」等が含まれる。
【００４６】
また、ＩＤ＝８０は、嗜好データを書き込める領域である。「嗜好データ」とは、車載器１０を利用しているユーザの趣味および嗜好に基づき選択されたコンテンツの分類等が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。嗜好データにより、サービス事業者が有する数多くの広告および情報の中から、ユーザが所望する情報（コンテンツ）のみをユーザに提供できる。そのため、ユーザは、不要な情報（コンテンツ）を受信しなくてよい。なお、この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。ユーザは、サービス事業者の嗜好テーブルに基づき、所望のコンテンツの分類を選択できる。
【００４７】
図６は、ＩＤ８０の嗜好テーブルの一例を示す。嗜好テーブルは、各ジャンルに分類されており、ユーザが所望する分類のコンテンツを、その嗜好テーブルから選択できる。例えば、図６において最も上の階層にある「車」のジャンルには、「交換部品」、「ロードサービス」のジャンルが存在する。また、「交換部品」のジャンルの下の階層には、「タイヤ」、「ランプ」および「オイル」があり、「ロードサービス」のジャンルの下の階層には、「小売店Ａ」の情報および「ガソリンスタンドＣ」の情報がある。なお、これらの項目に代えまたは追加するものがあってもよい。
【００４８】
また、本実施の形態では、各コンテンツに関して「０」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望しないことを意味している。一方、各コンテンツに関して「１」が関連づけられている場合には、そのコンテンツをユーザが所望するものとしている。
【００４９】
その嗜好テーブルに記載された各コンテンツの分類のうち、ユーザは、配信を希望するコンテンツの分類を選択できる。例えば、「車」には、フラグとして「１」が関連づけられているため、車に関する情報を所望することになる。また、「交換部品」のうち、「タイヤ」、と「オイル」とに「１」が関連づけられているため、「タイヤ」および「オイル」に「１」が関連づけられる。すると、ユーザは、「タイヤ」および「オイル」に関する情報をユーザが所望することになる。一方、「交換部品」のうち、「ランプ」については、「０」が関連付けられているため、ランプに関する情報を所望しないことになる。ユーザが各コンテンツを選択あるいは解除すると、コンテンツに関連づけられた「１」あるいは「０」がとの選択あるいは解除に応じて変更される。
【００５０】
図７は、本実施の形態におけるアップリンク情報の構成例を示す図である。上述したように、アップリンク情報は、種々のものがあるが、以下では、本実施の形態に特に関係するアップリンク情報について説明する。アップリンク情報は、サービス事業者コード、目的地、立ち寄り地、および累計走行距離等の情報に加え、嗜好データを作成するための嗜好テーブルバージョン、嗜好データおよび会員情報等を有する。なお、アップリンク情報は、以上の情報のいずれか１つまたは複数を有するものとしてもよい。サービス事業者コードは、サービス事業者毎に割り当てられたコードである。また、累計走行距離情報は、車両の累計走行距離を示す情報である。
【００５１】
目的地データは、ユーザが設定する目的地の緯度経度を示す。例えば、ユーザが車載器１０のナビゲーション機能を用いるために目的地を設定すると、アップリンク情報の目的地データ欄にその目的地の緯度経度が記載される。このほかに、目的地までの道のりの途中に立ち寄る予定の経由地をアップリンク情報に含んでもよい。
【００５２】
立ち寄り地データは、車載器１０を搭載する車両２００が過去に立ち寄った場所の緯度経度を示す。車両２００がある場所にて停車する、すなわち、立ち寄った場合、当該立ち寄った場所の緯度経度を、立ち寄った日時と一緒に制御部６が記憶部７に記憶する。したがって、過去立ち寄り地データは、その車載器２００のユーザが、どのような場所にどのくらいの頻度で立ち寄ったかについての情報を示すデータとなる。本実施の形態では、このような立ち寄り地データを収集するために、車載器１０を搭載する車両２００がエンジンを一定時間以上ＯＦＦにした地点であって、かつ、その地点が道路上でない場合にそのＧＰＳ受信機等により取得した現在値を、制御部６は、過去立ち寄り地データとして記録する。このような条件に該当する地点を過去立ち寄り地データとして記録することで、ユーザがいわゆるアイドリングストップを実施した地点を、立ち寄り地として記録することを防止できる。なお、車載器１０を搭載する車両２００がエンジンを一定時間以上ＯＦＦにしたという条件と、そのエンジンをＯＦＦにした地点が道路上でないという条件と、のうちどちらか一方のみを満たす場合に、制御部６がその地点を過去立ち寄り地データとして記録するものとしてもよい。しかし、両方の条件を満たす場合に、過去立ち寄り地データとして記録することで、アイドリングストップを実施した地点を立ち寄り地として記録することを効果的に防止できる。
【００５３】
本実施の形態において、過去立ち寄り地データは、以下のようにして記憶部７に蓄積される。まず、車両２００のエンジンを一定時間以上停止すると、制御部６は、そのエンジンを停止した位置の緯度経度をＧＰＳ受信機により取得し、取得した緯度経度を道路データと比較する。その緯度経度が道路上であると制御部６が判定した場合であってかつエンジンを一定時間以内に再始動した場合には、その緯度経度およびエンジンを再始動した時刻を記憶しない。一方、その緯度経度が道路上ではないと判定した場合には、制御部６は、その緯度経度およびエンジンを再始動した時刻を立ち寄り地データとして記憶部７に記憶する。したがって、記憶部７は、複数の立ち寄り地データを有することができるようにすることが好ましい。
【００５４】
図７に示される会員情報は、サービス事業者毎に自由に設定できる交換情報であり、例えば、次回来店時の特典等を保存するために用いることができる。
【００５５】
また、アップリンク情報に含まれる累積走行距離情報に関連するダウンリンク情報としては、そのサービス事業者の事業あるいは商品等に関連する広告コンテンツ等が関連づけられている。例えば、サービス事業者が自動車部品販売会社の場合、その会社が扱う自動車部品の広告コンテンツが関連づけられ、サービス事業者が自動車修理会社の場合、その会社の扱う修理サービスに関する広告コンテンツが関連づけられる。
【００５６】
次に、上述の情報提供システム１における車載器１０とサーバ３０の動作について説明する。
【００５７】
図８は、実施の形態における情報提供システム１が、あるサービス事業者が運営する路側無線装置２０からの電波を受信した場合の処理動作を示すフローチャートである。
【００５８】
路側無線装置２０の通信エリアに、車載器１０が搭載された車両２００がエリアインする。すると、車載器１０と路側無線装置２０との間に、ＰＵＳＨ方式の通信が確立し、その時点で車載器１０より発信されるＡＳＬ−ＩＤ等をサーバ装置３０が受信する（ステップＳ１０１：クライアント情報取得ステップ）。サーバ装置３０の制御部３６は、そのＡＳＬ−ＩＤ等により、そのユーザが会員であるか否かを判定する（ステップＳ１０２：会員判定ステップ）。
【００５９】
路側無線装置２０を介して情報を発信しているサービス事業者と、車載器１０のユーザがサービス受信契約を締結しており、そのユーザが会員であると制御部３６が判定した場合には（ステップＳ１０２においてＹＥＳ）、制御部３６は、サービス事業者コードを送信する。そのサービス事業者コードを受信した、車載器１０の制御部６は、記憶部７に記憶している目的地データおよび立ち寄り値情報を含むアップリンク情報を、路側無線装置２０を介して送信する。そのアップリンク情報を、サーバ３０が受信する（ステップＳ１０３：アップリンク情報受信ステップ）。
【００６０】
制御部６がそのサービス事業者と受信契約をしていないと判定した場合には、制御部６は、ステップＳ１０１において否定的（ＮＯ）な判定を行う。そして、車載器１０は、そのサービス事業者の路側無線装置２０から定期的なポーリングにより、公共の情報や勧誘の情報を受信する。
【００６１】
サーバ装置３０は、車載器１０が送信したアップリンク情報を受信する。そして、制御部３６は、受信したアップリンク情報に目的地データが含まれるか否かを判定する（ステップＳ１０４：目的地データ検索ステップ）。
【００６２】
アップリンク情報の中に目的地データが含まれる場合には（ステップＳ１０４においてＹＥＳ）、制御部３６は、現在地からその目的地までの道順を検索し、ネットワーク４０を介して検索された経路沿いの情報コンテンツを取得して、ダウンリンク情報として送信する。例えば、目的地までの中継地点にあるレストランの情報を取得して送信する（ステップＳ１０５：遠隔地情報提供ステップ）。
【００６３】
ステップＳ１０４において否定的な判定がなされた場合、およびステップＳ１０５の処理の後には、制御部３６は、その路側無線装置２０の設置された地点において提供している情報コンテンツをダウンリンク情報として送信する（ステップＳ１０６：通常情報提供ステップ）。
【００６４】
車載器１０の通信部３が受信したダウンリンク情報は、制御部６により記憶部７に記憶される。記憶部７に記憶されたダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告は、出力部９より適宜出力される。
【００６５】
以上のように、本実施の形態に係る情報提供システム１は、目的地データを含むアップリンク情報を送信する。そのため、ユーザは、目的地までの中継地点に関する情報コンテンツを車載器１０により取得できる。ユーザにより有益な情報を提供できる情報提供システム１となる。
【００６６】
次に、第２の実施の形態に係る情報システム１Ａについて説明する。図９は、第２の実施の形態に係る情報システム１Ａの各装置の動作について説明するフローチャートである。このフローチャートのステップＳ２０１〜ステップＳ２０５までは、第１の実施の形態におけるステップＳ１０１〜ステップＳ１０５と同様であるため、説明を省略する。
【００６７】
ステップＳ２０４において否定的な判定がなされた場合およびステップＳ２０５の処理の後には、制御部３６は、アップリンク情報に含まれる過去立ち寄り地データをデータ蓄積部３３に記憶させる。そして、制御部３６は、過去立ち寄り地点の周辺の情報コンテンツを取得して、ダウンリンク情報として送信する（ステップＳ２０６：生活圏内情報提供ステップ）。ダウンリンク情報の例としては、過去立ち寄り地点のレストラン情報、駐車場情報などが挙げられる。
【００６８】
車載器１０の通信部３が受信したダウンリンク情報は、制御部６により記憶部７に記憶される。記憶部７に記憶されたダウンリンク情報に含まれる音声、静止画あるいは動画等の広告は、出力部９より適宜出力される（ステップＳ２０７：出力ステップ）。
【００６９】
以上のように、本実施の形態に係る情報提供システム１は、目的地データおよび立ち寄り地データのすくなくとも１方を含むアップリンク情報を送信する。そのため、ユーザは、目的地までの中継地点に関する情報コンテンツを取得できる。また、目的地の設定を行わない場合には、頻繁に行く場所あるいは頻繁に行く場所までの道の途中等、そのユーザの行動範囲内の情報のみが提供されるため、ユーザにより有益な情報を提供できる情報提供システム１となる。
【００７０】
また、サービス事業者は、ユーザの立ち寄り地等の情報を、ユーザに負担をかけずに入手できるため、それらの情報をサービス事業の事業戦略等に生かすことができる。
【００７１】
以上、各発明の実施の形態について述べたが、本発明は、これらの各実施の形態に限定されることなく、種々の変形および組合せが可能である。例えば、ステップＳ１０４において、目的地データの代わりに、または目的地データに加えて立ち寄り予定地のデータを受信したかどうかの判定をするようにしてもよい。
【００７２】
また、各実施の形態では、ステップＳ２０３において車載器１０から送信されたアップリンク情報に含まれる目的地データを、サーバ装置３０の制御部３６が得たか否かに関わらず、制御部３６は、過去立ち寄り地データに関係する情報コンテンツを送信するものであるが、このような形態に限らない。一般に、ユーザは、不慣れな場所に行く際に目的地を入力するため、目的地データがアップリンク情報に含まれる場合には、過去立ち寄り地の周辺の情報コンテンツを送信しないようにしても良い。
【００７３】
また、各実施の形態では、ステップＳ１０４において、過去立ち寄り地の存在する領域の情報コンテンツを制御部３６が送信する制御をするものとしているが、このような形態に限らない。例えば、過去立ち寄り地の緯度経度情報より、立ち寄り地点を地図にマッピングすることで、その立ち寄り地の集合部分を、生活圏ととらえて、その生活圏の領域において提供している情報コンテンツを、ダウンリンク情報のＩＤ１０として出力する形態としても良い。あるいは、立ち寄り地情報に含まれる時間情報に基づいて、所定の曜日あるいは時間帯に該当する過去立ち寄り地点の集合部分を、その時間あるいは曜日の行動範囲として捉えて、その行動範囲内において提供している情報を提供するような形態としても良い。また、過去立ち寄り地への立ち寄り頻度や周期を制御部３６が算出することで、その立ち寄り周期にあわせた情報コンテンツを提供するサーバ装置３０としてもよい。
【００７４】
また、ステップＳ１０３において、車載器１０が過去立ち寄り地を無線機１０に対してアップリンク情報として送信した後には、制御部６が送信済みの過去立ち寄り地データを記憶部７から消去するようにしてもよい。制御部６が送信済みの過去立ち寄り地データを記憶部６から消去することで、同じ過去立ち寄り地データを複数回アップリンクすることを防止できる。
【００７５】
また、各実施の形態のステップＳ１０３およびステップＳ２０３において、目的地データに基づきダウンリンク情報に含む情報コンテンツを決定するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、目的地以外に経由地をアップリンク情報に含む場合には、経由地までの道のりあるいは経由地付近に関する情報コンテンツを提供するような情報提供システム１としてもよい。また、サーバ３０が目的地あるいは経由地までの道順を算出せずに、車載器１０のナビゲーション機能にて選択されている道順に基づき、車載器１０側で、経路付近の情報コンテンツのみを出力するような設定としても良い。具体的には、ＩＤ１０に情報を提供する地点を示す対象地点として緯度経度情報が含まれる場合に、目的地または経路地までの経路付近の緯度経度情報をナビゲーション機能にて判断し、一致するコンテンツのみを出力するようにしても良い。また、別の具体例としては、ＩＤ２０に、情報コンテンツをポップアップさせる緯度経度情報を含み、ポップアップさせる緯度経度の近くを経路とする場合には、ポップアップを出力するようにしてもよい。
【００７６】
また、本実施の形態において、車載器１０は、ナビゲーション機能を有するものとしているが、そのような形態でなくても良い。さらに、サーバ装置３０は、を介して遠隔地の情報を入手できるものとしているが、そのような形態に限らず、データ蓄積部３３がすべての情報を有しているような形態でも良い。
【００７７】
また、本実施の形態では、ステップＳ２０４において目的地データを検索してからステップＳ２０６において過去立ち寄り地データに関する情報コンテンツを送信するものとしているが、このような形態に限らない。例えば、ステップＳ２０６は、ステップＳ２０４の前であっても良いし、どちらか一方のステップがなくてもよい。さらに、目的地に関する情報は、すぐに出力せずに、目的地から所定の距離範囲内になると、出力するよう制御しても良い。あるいは、出力される条件が定められていても良い。例えば、昼の１２時になると、その地点に近いレストランの情報コンテンツが表示されるようなもの、あるいは、外気温が氷点下になると車両２００の滑り止めに関する情報コンテンツが表示されるようなものとしてもよい。このように、設定された条件に基づいて情報コンテンツが出力される場合には、車載器１０の制御部６が、制御するようにしてもよいし、サーバ装置３０が、ダウンリンク情報の送信を制御してもよい。あるいは、両方にて制御するようにしてもよいし、あるいは、ダウンリンク情報に、どのタイミングで出力するかについての別のプログラムを含むようにしてもよい。
【００７８】
また、上述の各実施の形態においては、レストランの情報等を情報コンテンツの一例として例示しているが、これに限らずどのようなコンテンツでも良い。例えば、観光案内、自動車修理広告、自動車部品広告、駐車場案内、渋滞案内、ガソリンステーション案内等の情報コンテンツとしてもよい。
【００７９】
また、上述の各実施の形態においては、無線機としての路側無線装置２０から車載器１０が情報を受信するものとしているが、このような形態に限らず、情報を発信できる無線機であればどのようなものでもよい。
【００８０】
また、上述の実施の形態では、路側無線装置２０の管理者が、コンテンツ情報を提供する業者である場合もある。この他にもたとえば、路側無線装置２０の管理者は、コンテンツを提供する事業者ではなく、コンテンツを与える事業者と契約を結んで、その路側無線装置２０を運営する者、すなわちサービスを提供する者以外の者が路側無線装置２０を設置し、管理する形式としてもよい。
【００８１】
また、路側無線装置２０は、車載器２０とサーバ装置３０間の情報のやりとりを仲介するための処理を行うとしたが、路側無線装置２０にサーバ装置３０があり、路側無線装置２０の内部ですべての処理を行う形態としてもよい。
【００８２】
また、上述の実施の形態の情報提供システム１が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部６における処理の全部またはその一部は、１または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても良く、その少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。
【００８３】
また、例えば、車載器１０を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、ＣＤ（ｃｏｍｐａｃｔ ｄｉｓｃ）、ＤＶＤ（ｄｉｇｉｔａｌ ｖｅｒｓａｔｉｌｅ ｄｉｓｋ）、ＭＯ（ｍａｇｎｅｔｏ−ｏｐｔｉｃａｌ）等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器１０として動作させ、あるいは、車載器１０が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器１０となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【００８４】
なお、各実施の形態では、音声および映像を出力するものとしたが、視覚、聴覚、嗅覚あるいは触覚等によりユーザが認識できるような他の手段により出力されても良い。具体的は、例えば、振動あるいは光等により情報を出力する車載器１０としてもよい。また、２以上の認識方法を組み合わせて情報を出力する車載器１０としてもよい。また、映像等により情報が出力される場合には、テキスト情報、静止画情報、映像情報、あるいはそれらを組み合わせて出力されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００８５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係る情報提供システムを示す概略図である。
【図２】図１の情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図３】図１の情報提供システムの外観の例を示す説明図である。
【図４】各実施の形態におけるダウンリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図５】各実施の形態におけるダウンリンク情報の詳細なデータ構成を説明する説明図である。
【図６】各実施の形態における嗜好データのデータ構成例を説明する説明図である。
【図７】各実施の形態におけるアップリンク情報のデータ構成例を説明する説明図である。
【図８】第１の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【図９】第２の実施の形態に係る情報提供システムのサーバ装置と車載器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８６】
１…情報提供システム、３…通信部、６…制御部、７…記憶部、１０…車載器、２０…無線機（路側無線機）、３０…サーバ装置、２００…車両
【特許請求の範囲】
【請求項１】
無線で情報の送受信が可能である無線機と、
車両が過去に立ち寄った地点を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された上記無線機へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、
上記無線機を介して上記地点情報を受信すると共に、上記地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバと、
を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項２】
前記サーバは、前記地点情報として前記立ち寄り地データを受信した場合には、上記立ち寄り地が存在する領域に関する前記提供用情報を、前記無線機を介して送信することを特徴とする請求項１に記載の情報提供システム。
【請求項３】
前記サーバは、前記地点情報として前記目的地データを受信した場合には、前記車両の位置から目的地までの経路付近に関する前記提供用情報を、前記無線機を介して送信することを特徴とする請求項１または請求項２に記載の情報提供システム。
【請求項４】
前記制御部は、前記車両のエンジンが所定時間以上停止されたことを検出した場合には、立ち寄り地データを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項５】
前記制御部は、前記車両が停止した位置と道路データとを比較すると共に、前記車両の停車位置が道路上ではないと判定した場合には、立ち寄り地データを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項６】
前記車載器が前記車両の走行によって到達したことを示す前記立ち寄り地データを送信した場合には、上記車載器は、受信済みの当該立寄り地データを前記記憶部から削除することを特徴とする、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項７】
車両の立ち寄り地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へ上記地点情報を無線で送信し、かつ上記地点情報に関連する広告情報を上記無線機から受信する制御を行う制御部を有することを特徴とする車載器。
【請求項１】
無線で情報の送受信が可能である無線機と、
車両が過去に立ち寄った地点を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された上記無線機へその地点情報を無線で送信する制御を行う制御部を有する車載器と、
上記無線機を介して上記地点情報を受信すると共に、上記地点情報に関連する提供用情報を提供するサーバと、
を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項２】
前記サーバは、前記地点情報として前記立ち寄り地データを受信した場合には、上記立ち寄り地が存在する領域に関する前記提供用情報を、前記無線機を介して送信することを特徴とする請求項１に記載の情報提供システム。
【請求項３】
前記サーバは、前記地点情報として前記目的地データを受信した場合には、前記車両の位置から目的地までの経路付近に関する前記提供用情報を、前記無線機を介して送信することを特徴とする請求項１または請求項２に記載の情報提供システム。
【請求項４】
前記制御部は、前記車両のエンジンが所定時間以上停止されたことを検出した場合には、立ち寄り地データを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項５】
前記制御部は、前記車両が停止した位置と道路データとを比較すると共に、前記車両の停車位置が道路上ではないと判定した場合には、立ち寄り地データを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項６】
前記車載器が前記車両の走行によって到達したことを示す前記立ち寄り地データを送信した場合には、上記車載器は、受信済みの当該立寄り地データを前記記憶部から削除することを特徴とする、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の情報提供システム。
【請求項７】
車両の立ち寄り地を示す立ち寄り地データおよび目的地を示す目的地データの少なくともいずれか一方を含む地点情報を記憶部に記憶すると共に、車両との通信エリア内に配置された無線機へ上記地点情報を無線で送信し、かつ上記地点情報に関連する広告情報を上記無線機から受信する制御を行う制御部を有することを特徴とする車載器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００９−１９８３３４（Ｐ２００９−１９８３３４Ａ）
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−４０６８０（Ｐ２００８−４０６８０）
【出願日】平成２０年２月２１日（２００８．２．２１）
【出願人】（０００００３５９５）株式会社ケンウッド (1,981)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月２１日（２００８．２．２１）
【出願人】（０００００３５９５）株式会社ケンウッド (1,981)
【Ｆターム（参考）】
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