説明

情報記録再生装置

【課題】高記録密度かつ低消費電力を実現した情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】情報記録再生装置は、電圧パルスの印加によって所定の抵抗値を持つ第1の状態とこの第1の状態よりも高い抵抗値を持つ第2の状態との間を可逆的に遷移する記録層からなるメモリセルを備える。前記記録層は、組成式AxMyX4(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)で表される第1化合物層を含む。前記Aは、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、及びCu(銅)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。前記Mは、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Ti(チタン)、Ge(ゲルマニウム)、及びSn(スズ)のグループから選択される少なくとも1種類の元素であり、かつ、前記Aとは異なる元素である。前記Xは、O(酸素)であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置に関し、特に、不揮発性の情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型携帯機器が世界的に普及し、同時に、高速情報伝送網の大幅な進展に伴い、小型大容量不揮発性メモリの需要が急速に拡大している。特に、NAND型フラッシュメモリ及び小型HDD(Hard Disk Drive)は、急速に記録密度の向上を遂げ、大きな市場を形成するに至っている。
【0003】
このような状況の下、更なる記録密度の向上を図るため新規メモリのアイデアがいくつか提案されている。例えば、PRAM(相変化メモリ)は、記録材料として、アモルファス状態(オフ)と結晶状態(オン)の2つの状態をとることができる材料を使用する。これら2つの状態を2値データ“0”、“1”に対応させることでデータを記録する。
【0004】
書き込み/消去に関しては、例えば、大電力パルスを記録材料に印加することによってアモルファス状態を作り、小電力パルスを記録材料に印加することによって結晶状態を作る。
【0005】
読み出しに関しては、記録材料に、書き込み/消去が起こらない程度の小さな読み出し電流を流し、記録材料の電気抵抗を測定することによって行う。アモルファス状態の記録材料の抵抗値は、結晶状態の記録材料の抵抗値よりも大きく、その差は10程度となる。
【0006】
また、PRAMとは異なる原理によって抵抗を変化させることを利用したメモリも報告されている。例えば、高抵抗膜とイオン源層とを有する記憶層を有するメモリセル(特許文献1)や、導体膜と絶縁体膜とを持つ可変抵抗素子を有するメモリセル(特許文献2)を用いた不揮発性メモリがある。これらの不揮発性メモリにはイオンが用いられており、金属元素がイオン化することによって、あるいは、イオン化した金属元素が移動することによって、メモリ素子の抵抗値が変化する。前者のイオン源層には、Ag(銀)、Cu(銅)、又はZn(亜鉛)から選ばれた1種以上の元素(金属元素)と、S(硫黄)、Se(セレン)、又はTe(テルル)から選ばれた1種以上の元素(カルコゲナイド元素)とが含有されている。後者の導体膜の材料としては、例えば、Cu、Ag、Zn等から選ばれた1つ以上の金属元素を含有する金属膜、合金膜(例えば、CuTe合金膜)、金属化合物膜等が挙げられている。
【0007】
以上説明したメモリセルを用いた不揮発性メモリの実用化のためには、記録密度を向上させるとともに、消費電力の削減を図ることが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−80311号公報
【特許文献2】特開2007−299436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高記録密度かつ低消費電力を実現した情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る情報記録再生装置は、電圧パルスの印加によって所定の抵抗値を持つ第1の状態とこの第1の状態よりも高い抵抗値を持つ第2の状態との間を可逆的に遷移する記録層からなるメモリセルを備える。前記記録層は、組成式AxMyX4(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)で表される第1化合物層を含む。前記Aは、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、及びCu(銅)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。前記Mは、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Ti(チタン)、Ge(ゲルマニウム)、及びSn(スズ)のグループから選択される少なくとも1種類の元素であり、かつ、前記Aとは異なる元素である。前記Xは、O(酸素)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高記録密度かつ低消費電力を実現した情報記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理の一例を説明するための概念図である。
【図2】図1に示す記録層の化合物をMnxAlyX4にした場合におけるAl/Mn比と電圧マージンとの関係を示すグラフである。
【図3】図1に示す記録層の化合物をAxMyX4におけるモル比X及びyとメモリセルのサイクル寿命の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態に係る情報記録再生装置のメモリセルの記録部の構造を示す模式図である。
【図5】記録層12を構成する第1化合物層12A及び第2化合物層12Bを交互に積層させた具体例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメモリセルを用いたプローブメモリを示す模式図である。
【図7】同プローブメモリを示す模式図である。
【図8】同プローブメモリにおける記録(セット動作)時の状態を説明する概念図である。
【図9】図1に示す記録部を用いた同プローブメモリにおける記録について説明する模式図である。
【図10】図1に示す記録部を用いた同プローブメモリにおける再生について説明する模式図である。
【図11】図4に示す記録部を用いた同プローブメモリにおける記録について説明する模式図である。
【図12】図4に示す記録部を用いた同プローブメモリにおける再生について説明する模式図である。
【図13】本発明の実施形態に係るメモリセルを用いたクロスポイント型半導体メモリを示す模式図である。
【図14】同クロスポイント型半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を示す模式図である。
【図15】同クロスポイント型半導体メモリのメモリセルの構造を例示する模式図である。
【図16】同クロスポイント型半導体メモリのメモリセルアレイの他の構造を示す模式図である。
【図17】同クロスポイント型半導体メモリのメモリセルアレイの他の構造を示す模式図である係る
【図18】本発明の実施形態に係るメモリセルを用いたフラッシュメモリのメモリセルを示す模式断面図である。
【図19】図18に示すメモリセルを用いたNANDセルユニットの回路図である。
【図20】図18に示すメモリセルを用いたNANDセルユニットの構造を示す模式図である。
【図21】セレクトゲートトランジスタに通常のMISトランジスタを用いたNAND型のフラッシュメモリを示す模式図である。
【図22】本発明の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリの変形例を示す模式図である。
【図23】図18に示すメモリセルを用いたNORセルユニットの回路図である。
【図24】図18に示すメモリセルを用いたNORセルユニットの構造を示す模式図である。
【図25】図18に示すメモリセルを用いた2トランジスタ型セルユニットの回路図である。
【図26】図18に示すメモリセルを用いた2トランジスタ型セルユニットの構造を示す模式図である。
【図27】セレクトゲートトランジスタに通常のMISトランジスタを用いた2トランジスタ型のフラッシュメモリを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る不揮発性の情報記録再生装置の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
[基本原理]
図1は、本発明の実施形態に係る情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理の一例を説明するための概念図である。
【0015】
図1は、メモリセルの記録部の断面図である。この記録部は、記録層12の両側を電極層11及び電極層13Aによって挟んだ構造を有する。電極層11及び13Aは、記録層12(第1化合物層)を電気的に接続するために設けられた層である。なお、電極層11及び13Aは、例えば、記録部を挟む構成要素と記録層12との間の元素の拡散などを防止するバリア層としての機能も併有することができる。
【0016】
図1に示す記録部において、記録層12内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン)を、小さな黒丸はMイオン(例えば、母体イオン)を、大きな白丸はXイオン(例えば、陰イオン)をそれぞれ表す。
【0017】
記録層12は、AxMyX4で表される材料を用いることができるが、特に、スピネル構造の材料であることが好ましい。AとMは、互いに異なる元素である。またXはO(酸素)である。
【0018】
Aは、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、及びCu(銅)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
【0019】
その中でも、Aを、Mn、Fe、及びCoのグループから選択される少なくとも1種類の元素とすることが好ましい。この場合、結晶構造を維持するためのイオン半径が最適となり、イオン移動度についても十分に確保できる。
【0020】
Mは、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Ti(チタン)、Ge(ゲルマニウム)、及びSn(スズ)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
【0021】
その中でも、Mを、Al、及びGaのグループから選択される少なくとも1種類の元素とすることが好ましい。この場合、母体構造が安定に保持されるため、安定にスイッチングを繰り返すことができる。
【0022】
ここで、AxMyX4のモル比x及びyの数値範囲は「0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9」表すことができる。これら数値範囲の下限値は、結晶構造を維持できる範囲で設定され、上限値は、結晶内の電子状態を制御できる範囲で設定されている。
【0023】
図2は、AをMn、MをAlにした場合のAl/Mn比と電圧マージンΔVとの関係を示す図である。このグラフで、Al/Mn比が3以上の部分については、モル比xが1よりも小さい場合の組成を示すものである。図2から、Al/Mn比が2付近から電圧マージンΔVが上昇していることが分かる。この点から、モル比xを1とした場合、モル比yを2以上とすることが好ましい。したがって、Al/Mn比は2以上が良い。
【0024】
図3は、モル比x及びyと、記録部の消去可能な回数(以下、「サイクル寿命」と呼ぶ)の関係を示すグラフである。図3の実線は、「2x+3y=8」で表される直線である。図中の■は、サイクル寿命が1000回よりも大きいことを示し、□は、サイクル寿命が100回よりも小さいことを示している。図3から、「2x+3y=8」を境として■と□が分布していることが分かる。このことから、より大きなサイクル寿命を実現するためには、モル比x及びyを「2x+3y≦8」の関係にすることが好ましい。
【0025】
また、前述のように、電圧の印加によってAイオンの拡散を容易に生じさせるためには、電極間を結ぶ方向にAイオン元素の層が配置されていれば良い。そのためには、スピネル構造の場合、結晶のa軸が膜面と平行に配置されていることが好ましい。
【0026】
以上のような記録層12を所望の配向として使用することで、原理的には、Pbpsi(Pico bite par square inch)級の記録密度を実現することができ、さらに、低消費電力化も実現することができる。
【0027】
上述した構造を有する材料によれば、図1の場合、Aイオンは記録層12の化合物内で容易に拡散し、かつ、Mイオンは記録層12の化合物内で拡散しないような2種類の陽イオン元素が選択される。この場合、拡散しないMイオンによって記録層12の化合物の結晶構造が保持されるため、Aイオンの移動を容易に制御することができる。つまり、記録層12の抵抗値を容易に変化させることができる。
【0028】
ここで、以下の説明において、記録層12の抵抗状態が高抵抗状態(第2の状態)の場合をリセット(初期)状態、低抵抗状態(第1の状態)の場合をセット状態とする。ただし、これは便宜上のものであり、材料の選択や製造方法等によっては、これと逆の場合、すなわち、低抵抗状態の場合をリセット(初期)状態、高抵抗状態の場合をセット状態とすることもある。このような場合についても、本実施形態の範囲に含まれる。
【0029】
記録層12に電圧を印加した場合、記録層12内には電位勾配が生じるため、Aイオンの一部が結晶中を移動する。そこで、本実施形態では、この性質を利用して情報記録を行う。つまり、記録層12の初期状態を絶縁体(高抵抗状態相)とし、電位勾配によって記録層12を相変化させ、記録層12に導電性を持たせる(低抵抗状態相)。
【0030】
先ず、例えば、電極層13Aの電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位、例えば、接地電位とした場合、電極層13Aに負の電位を与えれば良い。
【0031】
この時、記録層12内のAイオンの一部が電極層13A(陰極)側に移動し、記録層(結晶)12内のAイオンの数がXイオンに対して相対的に減少する。電極層13A側に移動したAイオンは、電極層13Aから電子を受け取り、メタルであるA原子として析出してメタル層14を形成する。したがって、電極層13Aに近い領域では、Aイオンが還元されてメタル的に振舞うので、その電気抵抗が大きく減少する。
【0032】
あるいは、例えば、スピネル構造のように、記録層12の結晶構造においてAイオンが占め得る空隙サイトがある場合には、電極層13A側に移動したAイオンが電極層13A側の空隙サイトを埋めても良い。この場合であっても、局所的な電荷の中性条件を満たすため、Aイオンは電極層13Aから電子を受け取り、メタル的に振舞う。
【0033】
記録層12内では、Xイオンが過剰となり、結果的に、記録層12内に残されたAイオンあるいはMイオンの価数が上昇する。その際、電気抵抗が減少するようにAイオンあるいはMイオンを選択すると、記録層12及びメタル層14は、それぞれAイオンの移動によって電気抵抗が減少する。そのため、記録層全体として低抵抗状態相へと相変化する。つまり、情報の記録(セット動作)が完了する。
【0034】
以上の過程は、一種の電気分解である。つまり、電極層(陽極)11側では電気化学的酸化によって酸化剤が生じ、電極層(陰極)13A側では電気化学的還元によって還元剤が生じたと考えることができる。
【0035】
このため、低抵抗状態相を高抵抗状態相に戻すには、例えば、記録層12を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の酸化還元反応を促進させれば良い。すなわち、大電流パルスによって生じるジュール熱のため、Aイオンは熱的により安定な結晶構造を持つ記録層12内へと戻り、初期の高抵抗状態相が現れる(リセット動作)。
【0036】
あるいは、セット動作時とは逆向きの電圧パルスを印加してもリセット動作を行うことができる。つまり、セット動作時と同様に電極層11を固定電位、例えば、接地電位とした場合、電極層13Aに正の電位を与えれば良い。電極層13A近傍のA原子は、電極層13Aに電子を与えてAイオンとなった後、記録層12内の電位勾配によって結晶構造12内に戻っていく。これによって、価数が上昇していた一部のAイオンは、その価数が初期と同じ値に減少し、初期の高抵抗状態相へと変化する。
【0037】
ただし、この動作原理を実用化するには、室温でリセット動作が生じないこと(十分に長いリテンション時間の確保)と、リセット動作の消費電力が十分に小さいこととを確認しなければならない。
【0038】
前者(十分なリテンション時間の確保)に対しては、Aイオンの配位数を小さく(理想的には2以下に)する、または、その価数を2以上にする、もしくは、Xイオンの価数を上げる(理想的には3以上にする)ことで対応できる。仮に、Aイオンの価数がCuイオンのように1である場合、セット状態において十分なイオンの移動抵抗が得られず、即座に、Aイオンは、メタル層14から記録層12内に戻ってしまう。換言すれば、十分に長いリテンション時間が得られないことになる。ただし、Aイオンの価数が3以上である場合、セット動作に必要とされる電圧が大きくなるため、結晶の崩壊を引き起こす可能性がある。結局、Aイオンの価数を2にすることが、情報記録再生装置としては好ましいと言える。
【0039】
後者(リセット動作時の低消費電力化)に対しては、結晶破壊を引き起こさないようにAイオンの価数を2以下にするとともに、記録層(結晶)12内をAイオンが移動できるように、Aイオンのイオン半径を最適化し、移動パスが存在する構造を用いることで対応できる。このような記録層12としては、前述したような元素及び結晶構造を採用すれば良い。つまり、記録層12には、AxMyX4(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)で表されるスピネル構造の材料を採用すれば良い。ここで、AとMとは異なる元素であり、XはOである。また、Aは、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのグループから選択される少なくとも1種類の元素であり、Mは、Al、Ga、Ti、Ge、及びSnのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。
【0040】
一方、情報再生に関しては、例えば電圧パルスを記録層12に印加し、記録層12の抵抗値を検出することにより容易に行える。ただし、電圧パルスの振幅は、Aイオンの移動が生じない程度の微小な値であることが必要である。
【0041】
次に、各原子の混合比の最適値について説明する。
【0042】
Aイオンが占め得る空隙サイトがある場合や、また、本来Mイオンが占めるサイトをAイオンが占めることが可能な場合には、Aイオンの混合比には若干の任意性がある。さらに、Xイオンの過剰/欠損がある場合にも、Aイオン又はMイオンの混合比は定比組成のそれからずれることになる。したがって、実際には、Aイオン又はMイオンの混合比には幅を持たせてある。これによって、適切な記録層12の各状態における抵抗値、あるいはAイオンの拡散係数を得られるように、Aイオンの混合比を最適化することができる。
【0043】
Aイオン、Mイオンの混合比の下限は、所望の結晶構造を有する化合物を容易に作製できるように設定されている。また、Mイオンのサイトを占めるイオンの総量が少なすぎると、Aイオンが引き抜かれた後の構造を安定に保持するのが困難になる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、上述した材料を記録層12に使用することによって陽イオンの拡散を容易にすることができるばかりでなく、抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱安定性を高めることができる。また、結晶構造内の陽イオン元素の拡散のみを利用して抵抗変化を生じさせることができるため、動作特性の制御が容易で、メモリセル間の動作特性のばらつきを小さくすることができる。
【0045】
また、結晶構造内部と結晶粒の周縁部においては、イオンの移動のしやすさが異なる。したがって、結晶構造内における拡散イオンの移動を利用した各メモリセルの記録消去特性の均一化を図るためには、記録層12は多結晶状態、あるいは単結晶状態であることが好ましい。記録層12が多結晶状態にある場合、成膜の容易性を考慮すると、結晶粒の記録層12の断面方向のサイズは、単一のピークをもつ分布に従い、その平均を3nm以上とすることが好ましい。なお、平均を5nm以上とした場合、成膜をより容易でき、さらに、平均を10nm以上とした場合、異なる位置にあるメモリセルの記録消去特性をより均一にすることができる。
【0046】
なお、セット動作後の電極層(陽極)11側には酸化剤が生じるため、電極層11は、酸化され難い材料(例えば、電気伝導性窒化物、電気伝導性酸化物など)によって構成するのが好ましい。
【0047】
また、電極層11は、イオン伝導性を有しない材料によって構成するのが良い。このような材料としては、以下に示されるものがある。
【0048】
(1)MNx
Mは、Ti、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、及びW(タングステン)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Nは、窒素であり、モル比xは、「0.5≦x≦2」である。
【0049】
(2)MOx
Mは、Ti、V、Cr(クロム)、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo(モリブデン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag、Hf、Ta、W(タングステン)、Re(レニウム)、Ir(イリジウム)、Os(オスミウム)、及びPt(白金)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比xは、「1≦x≦4」を満たすものとする。
【0050】
(3)AMO3
Aは、La(ランタン)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、及びLn(ランタノイド)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Ir、Os、及びPtのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Oは、酸素である。
【0051】
(4)A2MO4
Aは、K、Ca、Sr、Ba、及びLn(ランタノイド)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Ir、Os、及びPtのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Oは、酸素である。
【0052】
上記のうち、電気伝導率の良さなどを加味した総合的性能の点から、LaNiO3(酸化ニッケルランタン)は、最も望ましい材料ということができる。
【0053】
また、セット動作後の保護層(陰極)13A側には還元剤が生じるため、保護層(電極層)13Aとしては、記録層12が大気と反応することを防止する機能を持っていることが望ましい。
【0054】
このような材料としては、例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、SnO2(酸化スズ)などの半導体がある。
【0055】
電極層13Aは、記録層12を保護する保護層として機能させても良いし、電極層13Aの代わりに保護層を設けても良い。この場合、保護層は、絶縁体でも良いし、導電体でも良い。
【0056】
また、リセット動作において記録層12の加熱を効率よく行うために、陰極側、ここでは、電極層13A側に、ヒータ層(抵抗率が約10−5Ωcm以上の材料)を設けても良い。
【0057】
次に、記録層12の他の具体例について説明する。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に係る情報記録再生装置の記録部の構造を表す模式図である。
【0059】
この記録部も、記録層12の両側を電極層11、13Aにより挟んだ構造を有する。
【0060】
図4に示した記録部において、第1化合物層12A内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン)を、第1化合物層12A内の太線の小さな白丸はM1イオン(例えば、母体イオン)を、第1化合物層12A内の大きな白丸はX1イオン(例えば、陰イオン)をそれぞれ表す。また、図4に表した記録部において、第2化合物層12B内の黒丸はM2イオン(例えば、遷移元素イオン)を、第2化合物層12B内の大きな白丸はX2イオン(例えば、陰イオン)をそれぞれ表す。
【0061】
図4に示す記録部においても、以下に詳述するように、電極層11、13Aと記録層12との間に電圧を印加して記録層12に相変化を生じさせ、これによって抵抗値が変化し、情報が記録される。
【0062】
記録層12は、電極層11側に配置された第1化合物12Aと、電極層13A側に配置され、第1化合物12Aと接する第2化合物12Bとを有する。
【0063】
第1化合物12Aは、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する化合物から構成される。具体例には、AxM1yX1zで表記される。第1化合物12Aの陽イオン元素の少なくとも1種類は、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素である。
【0064】
図1の場合のように、第1化合物12Aが、AxM1yX14(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)で表されるスピネル構造を有する場合、化合物内のAイオンの移動が容易に生じる。このため、スピネル構造を有する第1化合物12Aは、記録層12の材料として好適である。
【0065】
特に、その移動パスが電極間を結ぶ方向に配置されるように、第1化合物12Aが配向していることが好ましい。この場合、第1化合物12A内でのAイオンの移動が容易となる。さらに、第1化合物12Aの格子定数と第2化合物12Bの格子定数が一致していることが好ましい。この場合、空隙サイトの存在によって成膜しにくい材料を用いた場合であっても、容易に配向を制御して成膜することができる。
【0066】
第2化合物12Bは、少なくとも1種類の電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素を有する。また、第2化合物12Bは、第1化合物12Aから拡散したAイオン元素を収容できる空隙サイトを有する。ただし、空隙サイトの一部または全部には、第1化合物12Aから移動してきたAイオン元素が収容されていても良い。なお、空隙サイトの一部は、第2化合物12Bの成膜を容易にするために、予め他のイオンによって占有されていても良い。
【0067】
また、第2化合物12Bの抵抗率は、記録層12が低抵抗状態である場合及び高抵抗状態である場合のいずれにおいても、低抵抗状態における第1化合物12Aの抵抗率以下であり、望ましくは10−1Ωcm以下である。
【0068】
第2化合物12Bの具体例としては、例えば、以下のような化学式で表されるものが挙げられる。ここで、式中の「□」は、空隙サイトを表す。
【0069】
(1)□αA1-xX2-u
Aは、Ti、Zr、Hf、及びSnのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Xは、O(酸素)、N(窒素)、及びF(フッ素)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比αは、「0.3<α≦2」を満たし、モル比「1-x」のxは、「0.001<x≦0.2」を満たし、モル比「2-u」のuは、「0≦u<0.2」を満たす。
【0070】
(2)□βA2-yX3-v
Aは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ga、及びIn(インジウム)のグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Xは、O、N、及びFのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比βは、「0.3<β≦2」を満たし、モル比「2-y」のyは、「0.001<y≦0.2」を満たし、モル比「3-v」のvは、「0≦v<0.3」を満たす。
【0071】
(3)□γA2-zX5-w
Aは、V、Nb、及びTaのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。Xは、O、N、及びFのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。モル比γは、「0.3<γ≦2」を満たし、モル比「2-z」のzは、「0.001<z≦0.2」を満たし、モル比「5-w」のwは、「0≦w<0.5」を満たす。
【0072】
第2化合物12Bは、スピネル構造、コランダム構造、ルチル構造、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ホランダイト構造、ブルッカイト構造、及びパイロルース構造のうちの1つを有しているのが好ましい。
【0073】
低消費電力を実現するには、結晶破壊を引き起こすことなく、結晶内をAイオンが移動できるように、Aイオンのイオン半径を最適化し、移動パスが存在する構造を用いることが重要になる。
【0074】
第2化合物12Bとして、前述したような材料及び結晶構造を用いることで、このような条件を満たすことができ、低消費電力を実現するのに有効となる。
【0075】
また、第1化合物層12Aの電子のフェルミ準位は、第2化合物層12Bの電子のフェルミ準位よりも低くする。これは、記録層12の状態に可逆性を持たせるために望ましい条件のひとつである。ここで、フェルミ準位については、いずれも真空準位から測定した値とする。
【0076】
なお、メモリセルがリセット状態の場合の記録層12の抵抗値をさらに上げるため、上記のように形成された記録層12中の第1化合物12Aと第2化合物12Bとの間に、第1化合物12Aから排出されるイオンの透過性を有する数nm程度の厚さの絶縁体を挿入しても良い。この絶縁体は、少なくとも第1化合物12Aから排出されるAイオン元素と他の典型元素とを含む化合物であり、複合酸化物であることが好ましい。
【0077】
次に、第2化合物12Bの膜厚の好適な範囲について説明する。
【0078】
空隙サイトによってAイオン収納の効果を得るためには、第2化合物12Bの膜厚は、1nm以上であることが好ましい。
【0079】
一方、第2化合物12B内の空隙サイト数が第1化合物12A内のAイオン数よりも大きくなると、第2化合物12Bの抵抗変化効果が小さくなる。そのため、第2化合物12B内の空隙サイト数は、同じ断面積内にある第1化合物12A内のAイオン数と同数、あるいは、それよりも少ないことが好ましい。
【0080】
第1化合物12A内のAイオンの密度と第2化合物12B内の空隙サイトの密度は、概ね同じである。そのため、第2化合物12Bの膜厚は、第1化合物12Aの膜厚と同程度か、それよりも小さいことが好ましい。
【0081】
陰極側には、一般に、リセット動作をさらに促進するためのヒータ層(抵抗率約10−5Ωcm以上の材料)を設けても良い。
【0082】
プローブメモリの場合、陰極側に還元性の材料が析出するため、大気との反応を防ぐために、表面保護層を設けることが好ましい。
【0083】
ヒータ層と表面保護層とを、両方の機能を持つ1つの材料で構成することも可能である。例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、及びSnO2などの半導体は、ヒータ機能と表面保護機能とを併せ持つ。
【0084】
なお、図5に例示するように、記録層12は、複数の第1化合物層12A及び第2化合物層12Bを交互に繰り返し積層した構造としても良い。
【0085】
次に、図4に示す記憶部の動作原理について説明する。
【0086】
図4に示す記憶部も、図1に示す記憶部と同様、記録層12の初期状態を絶縁体(高抵抗状態相)とし、電位勾配により記録層12を相変化させ、記録層12に導電性を持たせる(低抵抗状態相)ことによって情報記録を行う。
【0087】
このような記録部において、第1化合物層12Aが陽極側、第2化合物層12Bが陰極側になるように電極層11、13Aに電位を与え、記録層12内に電位勾配を発生させると、第1化合物を含む第1化合物層12A内のAイオンの一部が結晶中を移動し、陰極側の第2化合物層12B内に進入する。
【0088】
第2化合物層12Bの結晶中には、Aイオンの空隙サイトがあるため、第1化合物を含む第1化合物層12Aから移動してきたAイオンは、この空隙サイトに収まる。
【0089】
第2化合物層12Bでは、相対的に陽イオン数の割合が陰イオン数の割合よりも多くなる。すなわち、陽イオンの化学当量(モル数×価数)が陰イオンの化学当量よりも大きくなる。このため、第2化合物12Bは、電気的中性を保つために陰極から電子を受け取る。この結果、第2化合物12B中のAイオンの一部の価数が減少し、第2化合物12Bは酸化状態の低い化合物になる。
【0090】
一方、第1化合物層12Aでは、逆に、相対的に陽イオン数の割合が陰イオン数の割合よりも小さくなる。すなわち。陽イオンの化学当量が陰イオンの化学当量よりも小さくなる。このため、第1化合物12Aは、電気的中性を保つために陽極側に電子を放出する。この結果、第1化合物12A中のAイオンの一部の価数が増加し、第1化合物12Aは酸化状態の高い化合物になる。
【0091】
つまり、リセット状態(初期状態)において、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bが高抵抗状態(絶縁体)であると仮定した場合、第1化合物層12A内のAイオンの一部が第2化合物層12B内に移動する。このため、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。ただし、この際、記録層12の材料としてAxMyX4(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)(AはMn、Fe又はCo、MはAl又はGa)等の組成比の材料を採用すると、次の理由から、電圧マージンが増大すると考えられる。セット動作時はAイオンの一部が結晶外へ移動すると考えられる。この際、MyOxが結晶骨格を形成し結晶崩壊を阻止する働きをする。AxMyX4において「0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9」という組成範囲に限定し、本来必要なMの量よりも過剰なMを添加することで、Aサイトに過剰分のMイオンが混入する。Mイオンの価数はAイオンの価数よりも高く移動しにくいため、Aイオンの移動抵抗を増大させる効果を引き起こす。このため、セット電圧が増大することになる。一方、リセット動作時は価数の大きなAイオンと結晶との引力相互作用が強いため、この引力相互作用が移動抵抗増大分と相殺され、それほどの電圧増大をもたらさないことになる。その結果、電圧マージンの増大をもたらすことになる。なお、十分なサイクル寿命の確保のためには、モル比x及びyは、「2x+3y≦8」を満たすことが望ましい(図3参照)。
【0092】
ところで、セット動作が完了した後には、陽極側に酸化剤が生成される。したがって、電極層11として、酸化され難く、イオン伝導性を有しない材料(例えば、電気伝導性酸化物)を用いることが望ましい。その好適な例は前述の通りである。
【0093】
リセット動作(消去)は、記録層12を加熱して、上述の第2化合物層12Bの空隙サイト内に収納されたAイオンが第1化合物層12A内に戻るという現象を促進してやれば良い。
【0094】
具体的には、記録層12に大電流パルスを与えることによって生じるジュール熱とその残留熱とを利用することで、容易に、記録層12を元の高抵抗状態(絶縁体)に戻すことができる。記録層12は低抵抗状態であるため、低電位差であっても大電流が流れることになる。
【0095】
このように、大電流パルスを記録層12に与えることによって、記録層12の電気抵抗値が大きくなるため、リセット動作(消去)が実現される。すなわち、セット動作によって引き上げられた高エネルギー準安定状態から、熱エネルギーにより、再びセット動作前の低エネルギー安定状態である絶縁体の状態に戻ることになる。あるいは、セット動作時とは逆向きの電場を印加することによってもリセット動作は可能である。
【0096】
再生に関しては、電流パルスを記録層12に流し、記録層12の抵抗値を検出することにより容易に行える。ただし、電流パルスは、記録層12を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値であることが必要である。
【0097】
ただし、現状のNiO(酸化ニッケル)等に代表される抵抗変化材料を用いた場合の電圧マージンは概ね1V〜2V程度であり、十分とは言えない。このことから、誤動作確率の更なる低減のためには、更に大きな電圧マージンが必要とされていた。
【0098】
この点、本実施形態によれば、上述した材料を記録層12に使用することによって電圧マージンの増大をもたらすことになる。その結果、安定動作可能な情報記録再生装置を提供することができる。
【0099】
[応用例]
次に、図1及び図4に示す記憶部を応用した情報記録再生装置について説明する。
【0100】
図1〜図3に示す記録部を、プローブメモリに適用した場合、半導体メモリに適用した場合、及びフラッシュメモリに適用した場合の3つについて説明する。
【0101】
[応用例1:プローブメモリ]
(プローブメモリの構成)
図6及び図7は、図1及び図4に示す記録部を応用したプローブメモリの概略構成を表す模式図である。
【0102】
図6に示すように、XYスキャナ16上には、本実施形態の記録部が設けられた記録媒体が配置される。この記録媒体に対向する形で、プローブアレイが配置される。
【0103】
プローブアレイは、基板23と、この基板23の下面側にマトリクス状に配置される複数のプローブ(ヘッド)24とを有する。各プローブ24は、例えば、カンチレバーから構成され、マルチプレクスドライバ25及び26によって駆動される。
【0104】
次に、このように構成されたXYスキャナ14の動作について説明する。複数のプローブ24は、それぞれ、基板23内のマイクロアクチュエータを用いて個別に動作可能であるが、ここでは、全てのマイクロアクチュエータに一括に同一の動作をさせて記録媒体のデータエリアに対するアクセスを行う例を説明する。
【0105】
まず、マルチプレクスドライバ25、26を用いて、全てのプローブ24をX方向に一定周期で往復動作させ、記録媒体のサーボエリアからY方向の位置情報を読み出す。Y方向の位置情報は、ドライバ15に転送される。
【0106】
続いて、ドライバ15は、この位置情報に基づいてXYスキャナ14を駆動し、記録媒体をY方向に移動させ、記録媒体とプローブ24との位置決めを行う。
【0107】
続いて、記録媒体とプローブ24の位置決めが完了した後、データエリア上の全てのプローブ24を用いて、同時、かつ、連続的にデータの読み出し又は書き込みを行う。
【0108】
ここで、プローブ24は、X方向に往復動作しているため、X方向に並ぶメモリセルに対して連続的にアクセスすることができる。このメモリセルへのアクセスを記録媒体のY方向の位置を順次変えながら実行することで、データエリアに対して一行ずつのアクセスが可能となる。
【0109】
なお、記録媒体をX方向に一定周期で往復運動させて記録媒体から位置情報を読み出し、プローブ24をY方向に移動させるようにしても良い。
【0110】
記録媒体は、例えば、基板20と、基板20上の電極層21と、電極層21上の記録層22とから構成される。
【0111】
記録層22は、複数のデータエリア、並びに、複数のデータエリアのX方向の両端にそれぞれ配置されるサーボエリアを有する。複数のデータエリアは、記録層22の主要部を占める。
【0112】
サーボエリア内には、サーボバースト信号が記録される。サーボバースト信号は、データエリア内のY方向の位置情報を示している。
【0113】
記録層22内には、これらの情報の他に、さらに、アドレスデータが記録されるアドレスエリア及び同期をとるためのプリアンブルエリアが配置される。
【0114】
データ及びサーボバースト信号は、記録ビット(電気抵抗変動)として記録層22に記録される。記録ビットの“1”、“0”情報は、記録層22の電気抵抗を検出することにより読み出す。
【0115】
本例では、1つのデータエリアに対応して1つのプローブ(ヘッド)が設けられ、1つのサーボエリアに対して1つのプローブが設けられる。
【0116】
データエリアは、複数のトラックから構成される。アドレスエリアから読み出されるアドレス信号によりデータエリアのトラックが特定される。また、サーボエリアから読み出されるサーボバースト信号は、プローブ24をトラックの中心に移動させ、記録ビットの読み取り誤差をなくすためのものである。
【0117】
ここで、X方向をダウントラック方向、Y方向をトラック方向に対応させることにより、HDDのヘッド位置制御技術を利用することが可能になる。
【0118】
次に、このプローブメモリの記録/再生動作について説明する。
【0119】
(プローブメモリの記録/再生動作)
図8は、記録(セット動作)時の状態を説明するための概念図である。
【0120】
記録媒体は、基板(例えば、半導体チップ)20上の電極層21と、電極層21の上の記録層22と、記録層22上の保護層13Bとから構成されるものとする。保護層13Bは、例えば、薄い絶縁体から構成される。
【0121】
記録動作は、記録層22の記録ビット27表面に電圧を印加し、記録ビット27の内部に電位勾配を発生させることにより行う。具体的には、電流/電圧パルスを記録ビット27に与えれば良い。
【0122】
(図1に示す記録部を用いた場合)
次に、図1に示す記録部を用いた場合における記録/再生動作を図9、図10を参照して説明する。
【0123】
図9は、図1に示す記録部を用いたプローブメモリにおける記録について説明する模式図である。
【0124】
まず、図9に示すように、プローブ24の電位が電極層21の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層21を固定電位、例えば、接地電位とした場合、プローブ24に負の電位を与えれば良い。
【0125】
電流パルスは、例えば、電子発生源又はホットエレクトロン源を使用し、プローブ24から電極層21に向かって電子を放出することによって発生させる。あるいは、プローブ24を記録ビット27表面に接触させて電圧パルスを印加しても良い。
【0126】
この時、例えば、記録層22の記録ビット27では、Aイオンの一部がプローブ(陰極)24側に移動し、結晶内のAイオンがXイオンに対して相対的に減少する。また、プローブ24側に移動したAイオンは、プローブ24から電子を受け取ってメタルとして析出する。
【0127】
記録ビット27では、Xイオンが過剰となり、結果的に、記録ビット27におけるAイオンの価数を上昇させる。つまり、記録ビット27は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、膜厚方向への抵抗が減少し、記録(セット動作)が完了する。
【0128】
なお、記録のための電流パルスは、プローブ24の電位が電極層21の電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させることもできる。
【0129】
図10は、図1に示す記録部を用いたプローブメモリにおける再生について説明する模式図である。
【0130】
再生に関しては、電流パルスを記録層22の記録ビット27に流し、記録ビット27の抵抗値を検出することによって行う。ただし、電流パルスは、記録層22の記録ビット27を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とする。
【0131】
例えば、センスアンプS/Aによって発生した読み出し電流(電流パルス)をプローブ24から記録ビット27に流し、センスアンプS/Aにより記録ビット27の抵抗値を測定する。
【0132】
図1に示す実施形態に係る材料を使用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10Ω以上を確保できる。
【0133】
なお、再生では、記録媒体上をプローブ24により走査(スキャン)することで、連続再生が可能となる。
【0134】
消去(リセット動作)に関しては、記録層22の記録ビット27を大電流パルスによりジュール加熱して、記録ビット27における酸化還元反応を促進させることにより行う。あるいは、セット動作時とは逆向きの電位差を与えるパルスを印加しても良い。
【0135】
消去動作は、記録ビット27ごとに行うこともできるし、複数の記録ビット27又はブロック単位で行うこともできる。
【0136】
(図4に示す記録部を用いた場合)
次に、図4に示す記録部を用いた場合における記録/再生動作を図11、図12を参照して説明する。
【0137】
図11は、記録する状態を表した模式図である。
【0138】
先ず、図11に表したように、プローブ24の電位が電極層21の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層21を固定電位、例えば、接地電位とすれば、プローブ24に負の電位を与えれば良い。
【0139】
この時、記録層22の第1化合物層(陽極側)12A内のAイオンの一部は、結晶中を移動し、第2化合物(陰極側)12Bの空隙サイトに収まる。これに伴い、第1化合物層12A内のAイオン、の価数が増加し、第2化合物層12B内のAイオンの価数が減少する。その結果、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。これにより、セット動作(記録)が完了する。
【0140】
なお、記録動作に関して、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bの位置関係を逆にすれば、プローブ24の電位を電極層21の電位よりも相対的に低い状態にしてセット動作を実行することもできる。
【0141】
図12は、再生時の状態を表す模式図である。
【0142】
再生動作は、電流パルスを記録ビット27に流し、記録ビット27の抵抗値を検出することにより行う。ただし、電流パルスは、記録ビット27を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とする。
【0143】
例えば、センスアンプS/Aにより発生した読み出し電流(電流パルス)をプローブ24から記録層(記録ビット)22に流し、センスアンプS/Aにより記録ビットの抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すると、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10Ω以上を確保できる。
【0144】
なお、再生動作は、プローブ24を走査(スキャン)させることで、連続的に行うことができる。
【0145】
リセット動作(消去)は、記録層(記録ビット)22に大電流パルスを流すことにより発生するジュール熱及びその残留熱を利用して、Aイオンが第2化合物層12B内の空隙サイトから第1化合物層12A内に戻ろうとする作用を促進してやれば良い。あるいは、セット動作時とは逆向きの電位差を与えるパルスを印加しても良い。
【0146】
消去動作は、記録ビット27ごとに行うこともできるし、複数の記録ビット27又はブロック単位で行うこともできる。
【0147】
以上説明したように、本実施形態に係るプローブメモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
【0148】
なお、記録層22に、図4、図5に示す記録部を用いた場合記録層を用いた場合には、図1に示す記録層を用いた場合よりも電圧マージンが大きくなるため、より安定した動作を実現することができる。
【0149】
(図6に示すプローブメモリの製造方法)
次に、図6に示すプローブメモリの製造方法について説明する。
【0150】
基板20は、ガラスから構成される直径約60mm、厚さ約1mmのディスクとする。このような基板20上に、Pt(白金)を約500nmの厚さで蒸着して電極層21を形成する。
【0151】
電極層21上においては、まず、TiNが堆積されるように組成が調整されたターゲットを用いて、(110)配向が得られるよう調整されたパワーのRF電源を用いて成膜する。続いてMn0.8Al2.1O4が堆積されるように組成が調整されたターゲットを用いて、温度300〜600℃、Ar(アルゴン)95%、O2(酸素)5%の雰囲気中で、RFマグネトロンスパッタを行い、記録層22の一部を構成する厚さ約10nmのMn0.8Al2.1O4を形成する。
【0152】
続けて、RFマグネトロンスパッタにより、Mn0.8Al2.1O4上に、厚さ約3nmのTiNを形成する。
【0153】
最後に、記録層22上に、保護層13Bを形成すれば、図6に表すような記録媒体が完成する。
【0154】
[応用例2:クロスポイント型半導体メモリ]
(クロスポイント型半導体メモリの構成)
次に、図1及び図4に示す記録部を応用したクロスポイント型半導体メモリについて説明する。
【0155】
図13は、本半導体メモリを表す模式図である。
【0156】
本半導体メモリは、X方向に延びる第1の配線であるワード線WLi−1、WLi、WLi+1と、Y方向に延びる第2の配線であるビット線BLj−1、BLj、BLj+1とを備える。
【0157】
ワード線WLi−1、WLi、WLi+1の一端は、選択スイッチであるMOSトランジスタRSWを介してワード線ドライバ/デコーダ31に接続される。一方、ビット線BLj−1、BLj、及びBLj+1の一端は、選択スイッチであるMOSトランジスタCSWを介してビット線ドライバ/デコーダ/読み出し回路32に接続される。
【0158】
3つのMOSトランジスタRSWのゲートには、それぞれワード線WLi−1、WLi、WLi+1(ロウ)を選択するための選択信号Ri−1、Ri、Ri+1が入力される。一方、3つのMOSトランジスタCSWのゲートには、それぞれビット線BLj−1、j、j+1(カラム)を選択するための選択信号Ci−1、Ci、Ci+1が入力される。
【0159】
メモリセル33は、ワード線WLi−1、WLi、WLi+1とビット線BLj−1、BLj、BLj+1との各交差部に配置される。いわゆるクロスポイント型セルアレイ構造である。
【0160】
メモリセル33には、記録/再生時における回り込み電流(Sneak current)を防止するための整流素子であるダイオード34が付加される。
【0161】
図14は、図13に示す半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を示す模式図である。
【0162】
半導体チップ30上には、ワード線WLi−1、WLi、WLi+1とビット線BLj−1、BLj、BLj+1とが配置され、これら配線の各交差部には、メモリセル33及びダイオード34が配置される。なお、ダイオード34とワード線WLとの間には、図示しないバリア層が設けられても良い。
【0163】
このようなクロスポイント型セルアレイ構造の特長は、メモリセル33に個別にMOSトランジスタを接続する必要がないため、高集積化に有利な点にある。例えば、図16及び図17に示すように、メモリセル33を積み重ねて、メモリセルアレイを3次元構造にすることも可能である。
【0164】
図1〜図3に示す記録部を有するメモリセル33は、例えば、図15に示すように、記録層22、保護層13B、及びヒータ層35のスタック構造からなる。1つのメモリセル33は、1ビットのデータを記憶する。一方、ダイオード34は、ワード線WLとメモリセル33との間に配置される。なお、前述したように、ダイオード34とワード線WLとの間には、図示しないバリア層が設けられても良い。
【0165】
図16及び図17は、メモリセルアレイの他の例を示す模式図である。
【0166】
図16に示す例の場合、Y方向に延びるビット線BLj−1、BLj、BLj+1の上下に、X方向に延びるワード線WLi−1、WLi、WLi+1がそれぞれ設けられている。そして、これらビット線BLとワード線WLとの各交差部に、メモリセル33及びダイオード34が配設されている。つまり、ビット線BLをその上下のメモリセル33及びダイオード34で共有した構造となっている。なお、ダイオード34とワード線WL(d)等との間、及びダイオード34とビット線BLとの間には、図示しないバリア層が設けられても良い。
【0167】
図17に表した具体例においては、Y方向に延びるビット線BLj−1、BLj、BLj+1と、X方向に延びるワード線WLi−1、WLi、WLi+1とが交互に積層された構造となっている。そして、これらビット線BLとワード線WLとの各交差部に、メモリセル33及びダイオード34が配設されている。なお、ダイオード34とワード線WL(d)との間、ダイオード34とビット線BL(d)との間、ダイオード34とワード線WL(u)との間、並びに、ダイオード34とワード線WL(u)との間には、図示しないバリア層が設けられても良い。
【0168】
図16及び図17に例示したような積層構造を採用することで、記録密度を上げることが可能となる。
【0169】
(クロスポイント型半導体メモリの記録/再生動作)
次に、本実施形態の記録層を用いた半導体メモリの記録/再生動作について、図13〜図15を参照しつつ説明する。
【0170】
ここでは、図13中の点線Aで囲んだメモリセル33を選択し、これについて記録/再生動作を実行する場合について説明する。
【0171】
(図1に示す記録部を用いた場合の動作)
先ず、図1に示す記録部を用いた場合における記録/再生動作について説明する。
【0172】
記録(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せば良いため、例えば、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に低い状態を作る。ビット線BLjを固定電位、例えば、接地電位とすれば、ワード線WLiに負の電位を与えれば良い。
【0173】
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、Aイオンの一部がワード線(陰極)WLi側に移動し、結晶内のAイオンがXイオンに対して相対的に減少する。また、ワード線WLi側に移動したAイオンは、ワード線WLiから電子を受け取ってメタルとして析出する。
【0174】
点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、Xイオンが過剰となり、結果的に、結晶内におけるAイオンあるいはMイオンの価数を上昇させる。つまり、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、記録(セット動作)が完了する。
【0175】
なお、記録時には、非選択のワード線WLi−1、WLi+1及び非選択のビット線BLj−1、BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが望ましい。
【0176】
また、記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1、WLi、WLi+1及び全てのビット線BLj−1、BLj、BLj+1をプリチャージしておくことが望ましい。
【0177】
また、記録のための電流パルスは、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させても良い。
【0178】
再生に関しては、電流パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。ただし、電流パルスは、メモリセル33を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とすることが必要である。
【0179】
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流(電流パルス)をビット線BLjから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10Ω以上を確保できる。
【0180】
消去(リセット)動作に関しては、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33を大電流パルスによりジュール加熱して、そのメモリセル33における酸化還元反応を促進させることにより行う。
【0181】
(図4に示す記録部を用いた場合の動作)
続いて、図4に示す記録部を用いた場合における記録/再生動作について説明する。
【0182】
記録(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せば良いため、例えば、ワード線WLiの電位をビット線BLjの電位よりも相対的に低くする。ビット線BLjを固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワード線WLiに負の電位を与えれば良い。
【0183】
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、第1化合物12A内のAイオンの一部が第2化合物12Bの空隙サイトに移動する。このため、第2化合物12B内のAイオンあるいはM2イオンの価数が減少し、第1化合物12A内のAイオンあるいはM1イオンの価数が増加する。その結果、第1及び第2化合物12A及び12Bの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。これにより、セット動作(記録)が完了する。
【0184】
なお、記録時には、非選択のワード線WLi−1、WLi+1及び非選択のビット線BLj−1、BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが望ましい。
【0185】
また、記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1、WLi、WLi+1及び全てのビット線BLj−1、BLj、BLj+1をプリチャージしておくことが望ましい。
【0186】
電流パルスは、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させても良い。
【0187】
再生動作は、電流パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。ただし、電流パルスは、メモリセル33を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とすることが必要である。
【0188】
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流(電流パルス)をビット線BLjから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10Ω以上を確保できる。
【0189】
リセット(消去)動作は、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に大電流パルスを流すことにより発生するジュール熱及びその残留熱を利用して、Aイオン元素が第2化合物12B内の空隙サイトから第1化合物12A内に戻ろうとする作用を促進してやれば良い。
【0190】
以上説明したように、本実施形態の半導体メモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
【0191】
なお、記録層22に、図4、図5に示す記録部を用いた場合には、イオンの移動が円滑化されるとともに、拡散したイオン元素が安定に存在しやすくなる。その結果、抵抗変化に必要な消費電力が小さくなり、熱安定性を高めることができる。また、第2化合物層に動作前後を通じて導電性を有する材料を用いることによって、スイッチングが第1化合物層においてのみ行われる。その結果、ディスターブ耐性が適切に確保され、動作の安定性が向上する。
【0192】
[応用例3:フラッシュメモリ]
次に、図1及び図4に示す記録層を応用したフラッシュメモリについて説明する。
【0193】
図18は、本フラッシュメモリのメモリセルを表す模式図である。
【0194】
このメモリセルは、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタからなる。
【0195】
半導体基板41の表面領域には、拡散層42が形成される。拡散層42の間のチャネル領域上には、ゲート絶縁層43が形成される。ゲート絶縁層43上には、本実施形態の記録層(ReRAM:Resistive RAM)44が形成される。記録部44上には、コントロールゲート電極45が形成される。
【0196】
半導体基板41は、ウェル領域でも良い。また、半導体基板41と拡散層42とは、互いに逆の導電型を有する。コントロールゲート電極45は、ワード線となり、例えば、導電性ポリシリコンから構成される。
【0197】
記録層44は、図1、図4及び図5に示す記録層12を構成する材料により形成される。
【0198】
次に、図18を参照しつつ、その基本動作について説明する。
【0199】
セット(書き込み)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1を与え、半導体基板41に電位V2を与えることにより実行する。
【0200】
電位V1、V2の差は、記録層44が相変化又は抵抗変化するのに十分な大きさであることが必要であるが、その向きについては、特に、限定されない。
【0201】
すなわち、V1>V2及びV1<V2のいずれでも良い。
【0202】
例えば、初期状態(リセット状態)において、記録層44が絶縁体(抵抗大)であると仮定すると、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値電圧は、高くなる。
【0203】
この状態から電位V1、V2を与えて記録層44を導電体(抵抗小)に変化させると、実質的にゲート絶縁層43が薄くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値電圧は、低くなる。
【0204】
なお、電位V2は、半導体基板41に与えたが、これに代えて、メモリセルのチャネル領域に拡散層42から電位V2を転送するようにしても良い。
【0205】
リセット(消去)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1’を与え、拡散層42の一方に電位V3を与え、拡散層42の他方に電位V4(<V3)を与えることにより実行する。
【0206】
電位V1´は、セット状態のメモリセルの閾値電圧を越える値にする。
【0207】
この時、メモリセルは、オンになり、電子が拡散層42の他方から一方に向かって流れると共に、ホットエレクトロンが発生する。このホットエレクトロンは、ゲート絶縁層43を介して記録層44に注入されるため、記録層44の温度が上昇する。
【0208】
これにより、記録層44は、導電体(抵抗小)から絶縁体(抵抗大)に変化するため、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになり、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値電圧は、高くなる。
【0209】
このように、フラッシュメモリと類似した原理により、メモリセルの閾値電圧を変えることができるため、フラッシュメモリの技術を利用して、本実施形態の例に係る情報記録再生装置を実用化できる。
【0210】
(NAND型フラッシュメモリ)
図18に示すメモリセルを用いて、NAND型フラッシュメモリを構成することができる。
【0211】
図19は、このNAND型フラッシュメモリを構成するNANDセルユニットの回路図であり、図20は、NANDセルユニットの構造を示す模式図である。
【0212】
図20に示すように、P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本実施形態の例に係るNANDセルユニットが形成される。
【0213】
NANDセルユニットは、直列接続される複数のメモリセルMCからなるNANDストリングと、その両端に1つずつ接続される合計2つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
【0214】
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(ReRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とからなる。
【0215】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述した基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、すなわち、導電体(抵抗小)に固定される。
【0216】
セレクトゲートトランジスタSTの1つは、ソース線SLに接続され、他の1つは、ビット線BLに接続される。
【0217】
セット(書き込み)動作前には、NANDセルユニット内の全てのメモリセルは、リセット状態(抵抗大)になっているものとする。
【0218】
セット(書き込み)動作は、ソース線SL側のメモリセルMCからビット線BL側のメモリセルに向かって1つずつ順番に行われる。
【0219】
選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに書き込み電位としてV1(プラス電位)を与え、非選択のワード線WLに転送電位(メモリセルMCがオンになる電位)としてVpassを与える。
【0220】
ソース線SL側のセレクトゲートトランジスタSTをオフ、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータを転送する。
【0221】
例えば、プログラムデータが“1”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域に書き込み禁止電位(例えば、V1と同じ程度の電位)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値が高い状態から低い状態に変化しないようにする。
【0222】
また、プログラムデータが“0”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域にV2(<V1)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値を高い状態から低い状態に変化させる。
【0223】
リセット(消去)動作では、例えば、全てのワード線(コントロールゲート電極)WLにV1´を与え、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCをオンにする。また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLにV3を与え、ソース線SLにV4(<V3)を与える。
【0224】
この時、ホットエレクトロンがNANDセルユニット内の全てのメモリセルMCの記録層44に注入されるため、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCに対して一括してリセット動作が実行される。
【0225】
読み出し動作は、選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに読み出し電位(プラス電位)を与え、非選択のワード線(コントロールゲート電極)WLには、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる電位を与える。
【0226】
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
【0227】
選択されたメモリセルMCは、読み出し電位が印加されると、それに記憶されたデータの値に応じてオン又はオフになるため、例えば、読み出し電流の変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
【0228】
なお、図21に示した構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図21に示したように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
【0229】
図22は、NAND型フラッシュメモリの変形例を表す模式図である。
【0230】
この変形例は、NANDストリングを構成する複数のメモリセルMCのゲート絶縁層がP型半導体層47に置き換えられている構造を有する。
【0231】
高集積化が進み、メモリセルMCが微細化されると、電圧を与えていない状態で、P型半導体層47は、空乏層で満たされることになる。
【0232】
セット(書き込み)時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの書き込み電位(例えば、4.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの転送電位(例えば、1V)を与える。
【0233】
この時、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのP型ウェル領域41cの表面がP型からN型に反転し、チャネルが形成される。
【0234】
そこで、上述したように、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータ“0”を転送すれば、セット動作を行うことができる。
【0235】
リセット(消去)は、例えば、全てのコントロールゲート電極45に負の消去電位(例えば、−4.5V)を与え、P型ウェル領域41c及びP型半導体層47に接地電位(0V)を与えれば、NANDストリングを構成する全てのメモリセルMCに対して一括して行うことができる。
【0236】
読み出し時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45に正の読み出し電位(例えば、0.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45に、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる転送電位(例えば、1V)を与える。
【0237】
ただし、“1”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”1”は、0V<Vth”1”<0.5Vの範囲内にあるものとし、“0”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”0”は、0.5V<Vth”0”<1Vの範囲内にあるものとする。
【0238】
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
【0239】
このような状態にすれば、選択されたメモリセルMCに記憶されたデータの値に応じてNANDストリングに流れる電流量が変わるため、この変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
【0240】
なお、この変形例においては、P型半導体層47のホールドープ量がP型ウェル領域41cのそれよりも多く、かつ、P型半導体層47のフェルミ準位がP型ウェル領域41cのそれよりも0.5V程度深くなっていることが望ましい。
【0241】
これは、コントロールゲート電極45にプラスの電位を与えたときに、N型拡散層42間のP型ウェル領域41cの表面部分からP型からN型への反転が開始し、チャネルが形成されるようにするためである。
【0242】
このようにすることで、例えば、書き込み時には、非選択のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成され、読み出し時には、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成される。
【0243】
つまり、メモリセルMCの記録層44が導電体(セット状態)であっても、拡散層42とコントロールゲート電極45とが短絡することはない。
【0244】
(NOR型フラッシュメモリ)
図18に示すメモリセルを用いて、NOR型フラッシュメモリを構成することもできる。
【0245】
図23は、NORセルユニットの回路図であり、図24は、NORセルユニットの構造を表す模式図である。
【0246】
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成されている。P型ウェル領域41c内に、本実施形態の例に係るNORセルが形成されている。
【0247】
NORセルは、ビット線BLとソース線SLとの間に接続される1つのメモリセル(MISトランジスタ)MCから構成される。
【0248】
メモリセルMCは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(ReRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45と、から構成される。メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
【0249】
(2トランジスタ型フラッシュメモリ)
図18に示すメモリセルを用いて、2トランジスタ型フラッシュメモリを構成することもできる。
【0250】
図25は、2トランジスタ型セルユニットの回路図であり、図26は、2トランジスタ型セルユニットの構造を表す模式図である。
【0251】
2トランジスタ型セルユニットは、NANDセルユニットの特徴とNORセルの特徴とを併せ持った新たなセル構造として最近開発されたものである。
【0252】
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本実施形態の例に係る2トランジスタ型セルユニットが形成される。
【0253】
2トランジスタ型セルユニットは、直列接続される1つのメモリセルMCと1つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
【0254】
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(ReRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45と、から構成される。
【0255】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、すなわち、導電体(抵抗小)に固定される。
【0256】
セレクトゲートトランジスタSTは、ソース線SLに接続され、メモリセルMCは、ビット線BLに接続される。
【0257】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
【0258】
図26に示した構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図27に示したように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
【0259】
なお、これらフラッシュメモリにおいて、記録層44に図4、図5に示す記録層12を用いた場合には、イオンの移動が円滑化されるとともに、拡散したイオン元素が安定に存在しやすくなる。これにより、抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱安定性を高めることができる。また、第2化合物層に動作前後を通じて導電性を有する材料を用いることによって、スイッチングは第1化合物層のみにおいて行われることとなり、ディスターブ耐性が適切に確保される。すなわち、動作の安定性が確保される。
【0260】
[その他の応用例]
以上説明した応用例以外にも、本実施形態で提案する材料及び原理を、現在のハードディスクやDVDなどの記録媒体に適用することも可能である。
【0261】
[実験例]
次に、いくつかのサンプルを作成し、リセット(消去)状態とセット(書き込み)状態との抵抗差について評価した実験例について説明する。
【0262】
サンプルとしては、図5に表した構造を有する記録媒体を使用する。評価は、先端の径が10nm以下に先鋭化されたプローブ対を使用する。
【0263】
プローブ対を保護層13Bに接触させ、書き込み/消去は、そのうちの1つを用いて実行する。書き込みは、記録層22に、例えば、10ns幅で、1Vの電圧パルスを印加することにより行う。消去は、記録層22に、例えば、100ns幅で、0.2Vの電圧パルスを印加することにより行う。
【0264】
また、書き込み/消去の合間に、プローブ対の他の1つを用いて読み出しを実行する。読み出しは、記録層22に、10ns幅で、0.1Vの電圧パルスを印加し、記録層(記録ビット)22の抵抗値を測定することによって行う。
【0265】
(第1実験例)
第1実験例のサンプルの仕様は、以下の通りである。
【0266】
記録層22は、厚さ約10nmのMn0.3Al2.4O4と、厚さ約5nmのTiNとからなる積層構造から構成する。
【0267】
この場合、ユニポーラ動作時のリセット電圧は、約+0.5V、セット電圧は、約+3.5V、また、バイポーラ動作時のリセット電圧は、約+0.5V、セット電圧は、約−3.5Vであることが確認された。
【0268】
(比較例)
比較例のサンプルの仕様は、以下の通りである。
【0269】
記録層22は、厚さ約10nmのMn1.2Al1.8O4と、厚さ約5nmのTiO2(酸化チタン)と、からなる積層構造のみから構成する。
【0270】
この場合、ユニポーラ動作時のリセット電圧は、約+0.5V、セット電圧は、約+1.5V、また、バイポーラ動作時のリセット電圧は、約+0.5V、セット電圧は、約−1.5Vとなることが確認された。
【0271】
以上説明したように、第1実験例のサンプルにおいては、ユニポーラ及びバイポーラ動作時の電圧マージンが大きい。一方、比較例においては、ユニポーラ及びバイポーラ動作時の電圧マージンが小さい。これは、本実施形態がセット/リセット動作時の誤動作確率の大幅な低減をもたらすことを意味するものである。
【0272】
[まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、情報記録(書き込み)は、電場が印加された部位(記録単位)のみで行われるため、極めて微細な領域に、極めて小さな消費電力で情報を記録できる。これにより、多数セルの同時並行処理が可能となり、チップ当たり極めて高速な動作を行うことが可能となる。
【0273】
一方、情報消去は、記録層12に対する加熱によって行うが、本発明の実施形態で提案する材料を用いれば、酸化物の構造変化がほとんど生じず、小さな消費電力で消去することができる。また、消去は記録時と逆向きの電場を印加して行うこともできる。この場合には、熱の拡散というエネルギーロスが少ないため、より小さな消費電力で消去が可能となる。
【0274】
また、本実施形態によれば、書き込み後においては、絶縁体内に導体部が形成された形となるため、読み出しの際においては、電流が導体部に集中して流れることになり、感知効率が極めて高い記録原理を実現できる。
【0275】
さらに、本実施形態によれば、移動しやすい陽イオンと、母体構造を安定に保つ遷移元素イオンとを組みあわせることで、繰り返し安定に記録消去することが可能となる。
【0276】
なお、図4又は図5に示す記録層を用いた場合、電圧マージンが広がるため、誤動作確率の大幅な減少を図ることができる。
【0277】
以上、本発明の実施形態によれば、極めて単純な仕組みであるにも関わらず、従来技術にない高い記録密度を実現するとともに、安定で高速な動作を実現する情報記録再生装置を提供することができる。この点、現在の不揮発性メモリの記録密度の壁を打ち破る次世代技術として産業上のメリットは多大である。
【0278】
[その他]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。
【0279】
以上説明した実施形態の場合、成膜された直後の状態を初期状態として、セット、リセットを定義したが、セット、リセットの定義は任意である。また、以上説明した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せによって種々の実施形態を構成することができる。例えば、以上説明した実施形態の全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0280】
11・・・電極層、12・・・記録層、12A・・・第1化合物、第1化合物層、12B・・・第2化合物、第2化合物層、13A・・・電極層(保護層)、13B・・・保護層、14・・・メタル層、15・・・ドライバ、16・・・スキャナ、20・・・基板、21・・・電極層、22・・・記録層、23・・・基板、24・・・プローブ、25、26・・・マルチプレクスドライバ、27・・・記録ビット、30・・・半導体チップ、31・・・デコーダ、32・・・読み出し回路、33・・・メモリセル、34・・・ダイオード、35・・・ヒータ層、41・・・半導体基板、41a・・・P型半導体基板、41b・・・N型ウェル領域、41c・・・P型ウェル領域、42・・・拡散層、43・・・ゲート絶縁層、44・・・記録層、45・・・コントロールゲート電極、47・・・半導体層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧パルスの印加によって所定の抵抗値を持つ第1の状態とこの第1の状態よりも高い抵抗値を持つ第2の状態との間を可逆的に遷移する記録層からなるメモリセルを備え、
前記記録層は、組成式AxMyX4(0.1≦x≦1.2、2<y≦2.9)で表される第1化合物層を含み、
前記Aは、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、及びCu(銅)のグループから選択される少なくとも1種類の元素であり、
前記Mは、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、Ti(チタン)、Ge(ゲルマニウム)、及びSn(スズ)のグループから選択される少なくとも1種類の元素であり、かつ、前記Aとは異なる元素であり、
前記Xは、O(酸素)である
ことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記記録層に含まれる材料は、スピネル構造である
ことを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記AはMn、前記MはAlであり、Al/Mn比が2以上である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記組成式AxMyX4のモル比x及びyの関係は「2x+3y≦8」となる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
第1の方向に延びる第1の配線と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2の配線と
を備え、
前記メモリセルは、前記第1及び第2の配線の交差部に配置され、前記第1及び第2の配線を介して前記電圧パルスが供給される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−35284(P2011−35284A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182131(P2009−182131)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】