説明

感光性導電ペースト、導電回路パターン、タッチパネルセンサーおよび表示装置

【課題】十分な導電性を有しつつ、高精細パターンを形成可能な感光性導電ペースト、その感光性導電ペーストを用いた導電回路パターン、その導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも(A)銀粉と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性多官能モノマーと、(D)アルカリ可溶性樹脂と、(E)ラジカル捕捉剤と、(F)有機溶剤と、を含有する感光性導電ペーストであって、前記(A)銀粉を全固形分量中に65〜85重量%の範囲内で含み、前記(E)ラジカル捕捉剤を全固形分量中に0.01〜0.1重量%の範囲内で含むことを特徴とする感光性導電ペーストを用いて、導体の厚みが3〜5μmの範囲内にある導電回路パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性導電ペースト、その感光性導電ペーストを用いた導電回路パターン、その導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやスレートPCといった新規ハードウェアの出現により、モバイル電子機器市場は右肩上りの成長を続けており、各社とも開発や設備投資が進められている。これらモバイル電子機器に対する要求として小型化・高精細化があり、部材として用いられるディスプレイやタッチパネルセンサーにも小型化・高精細化が求められている。
従来、ディスプレイやタッチパネルセンサー等の基板上に、導電回路パターンを形成する方法として蒸着法が知られている。蒸着法は、真空容器内に投入した基板に金属膜を蒸着後、保護膜形成・エッチング・保護膜剥離を行うことによりパターンを形成する方法であり、20μm以下の高精細パターンにも対応可能である。しかしながら、設備投資費用が高いだけでなく、工程が多いことが課題である。
【0003】
また、導電回路パターンを形成する別の方法として、スクリーン印刷法がある。スクリーン印刷法は、銀等の導電性粉末を有機バインダーに分散させた導電性ペーストを、配線に対応するパターンを備えた印刷マスクを用いて基板上に印刷し、その後焼成により有機バインダーを硬化収縮および飛散させることによりパターンを形成する方法であるが、高精細化をすることが難しく、工業的に安定したパターン形成には70μmが限界である。
そこで、蒸着法より安価で、且つ、スクリーン印刷法よりも高精細なパターンを得る方法として、フォトリソグラフィ法が知られている(特許文献1および2を参照。)
【0004】
フォトリソグラフィ法は、基板上に感光性導電ペーストを塗布後、所望する導電回路パターンに対応するフォトマスクを介して、紫外光を照射することにより塗膜の露光部分を光架橋により硬化し、現像液を用いて塗膜の未露光部分を除去した後に焼成することにより導電回路パターンを形成する方法である。このフォトリソグラフィ法を用いることにより、蒸着法に比べて安価且つスクリーン印刷法に比べて高精細な導電回路パターンを得ることが可能である。
【0005】
フォトリソグラフィ法に用いられる感光性導電ペーストとしては、感光性およびアルカリ現像性を持つ有機物中に無機金属粉末を分散させたペーストを塗布・露光・現像後に500〜600℃で焼成することによって有機物を焼失させて無機物のみとして導電回路パターンを形成する焼成型感光性導電ペーストと、感光性およびアルカリ現像性を持つ有機物中に無機金属粉末を分散させたペーストを塗布・露光・現像後に130〜250℃の温度範囲内で焼成して有機物を熱硬化させることにより無機物と有機物の複合体として導電回路パターンを形成する熱硬化型感光性導電ペーストに分類される。
プラズマディスプレイパネル(PDP)用配線には焼成型感光性導電ペーストが用いられてきたが、耐熱性の低いPETフィルム上に形成することもあるタッチパネルセンサー向けには熱硬化型感光性導電ペーストが用いられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4374653号公報
【特許文献2】特許第3239723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スマートフォンやスレートPC用途の導電回路パターンは従来に比べて高細線化が進み、20μm以下のパターン形成が必要となってきているが、従来の感光性導電ペーストでは十分な材料が得られていないのが現状である。
これは、感光性導電ペースト中に含まれる金属粉末によって、露光時の紫外光が散乱することにより解像性が低下したり、塗膜内部まで紫外光が透過しないために導電回路パターンに剥れや欠けが発生したりするためである。
【0008】
これらの問題を解決するため、特許文献2においては紫外線吸収剤を含有させることにより高精細パターンの形成を試みているが、20μm以下のパターンにおいて工業的に安定したパターン形成するには十分な解像性が得られていない。
さらに、無機物と有機物の複合体で導電回路パターン形成を行う熱硬化型感光性導電ペーストにおいては、十分な導電性を有する必要があるために無機金属粉末の含有量を熱焼成型感光性導電ペーストよりも多く含有しなければならないことから、高精細パターン形成は困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は係る状況に鑑みてなされたものであり、十分な導電性を有しつつ、高精細パターンを形成可能な感光性導電ペースト、その感光性導電ペーストを用いた導電回路パターン、その導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、少なくとも(A)金属粒子と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性多官能モノマーと、(D)アルカリ可溶性樹脂と、(E)ラジカル捕捉剤と、(F)有機溶剤と、を含有する感光性導電ペーストであって、前記(A)金属粒子を全固形分量中に65〜85重量%の範囲内で含み、前記(E)ラジカル捕捉剤を全固形分量中に0.01〜0.1重量%の範囲内で含むことを特徴とする感光性導電ペーストである。
【0010】
また、本発明の別の態様は、前記(E)ラジカル捕捉剤としてハイドロキノン誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明の別の態様は、前記(A)金属粒子は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)から選ばれる1種以上の金属粒子であることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、上記態様の感光性導電ペーストを用いて形成された導体の厚み(以下、単に「導体厚」ともいう。)は、3〜5μmの範囲内であることを特徴とする導電回路パターンである。
【0011】
また、本発明の別の態様は、前記導体の幅(以下、単に「導体幅」ともいう。)は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
導体幅が5μm以上であると下地である透明基板との十分な密着性を得ることができ、導体幅が20μm以下であると、タッチパネルセンサー及び表示装置の小型化要求に対応できる、十分に高精細な回路パターンとすることができる。
なお、「導体の幅」とは、回路パターンにおける「線幅」を意味するものである。
また、本発明の別の態様は、上記態様の導電回路パターンを有することを特徴とするタッチパネルセンサーである。
また、本発明の別の態様は、上記態様の導電回路パターンを有することを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、十分な導電性を有しつつ、高精細パターンを形成可能な感光性導電ペースト、その感光性導電ペーストを用いた導電回路パターン、その導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】導電回路パターンの一例における平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における感光性導電ペーストおよびその感光性導電ペーストを用いた導電回路パターンについて、その実施の形態に基づいて詳細に説明する。次に、上記導電回路パターンを有する、タッチパネルセンサーおよび表示装置について、その実施の形態に基づいて簡単に説明する。
本実施形態に係る感光性導電ペーストは、少なくとも(A)銀粉と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性多官能モノマーと、(D)アルカリ可溶性樹脂と、(E)ラジカル捕捉剤と、(F)溶剤と、を含有しており、必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本実施形態に係る導電回路パターンは、前記感光性導電性ペーストを透明基板上に塗布後、露光、現像、熱硬化という所謂フォトリソグラフィプロセスを経ることによって形成される。
【0015】
本実施形態で用いられる(A)銀粉に関して、平均粒子径は0.5μm以上3μm以下の範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.5μmよりも小さくなると、凝集しやすくなるため、分散安定性が低下する。また、平均粒子径が3μmよりも大きくなると、微細パターンにおける直線性やパターン精度が低下するため好ましくない。また、(A)銀粉の形状に関して、フレーク状、針状、球状などがあるが、スクリーン印刷性や露光時の光散乱の観点から球状の銀粉が望ましい。(A)銀粉の使用量として、感光性導電ペーストの全固形分量を基準として、65〜85重量%の範囲内が好ましく、より好ましくは70〜80重量%の範囲内である。(A)銀粉の添加量が65重量%よりも少なくなると配線として十分な抵抗率が得られず、85重量%よりも多くなると露光時に紫外光が底部まで届かずにパターン形成が困難となる。
【0016】
なお、本実施形態では(A)銀粉について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、(A)銀粉(Ag)に代えて、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)から選ばれる1種以上の金属粒子を用いた場合であっても、(A)銀粉を用いた場合と同様の作用・効果を得ることができる。
【0017】
本実施形態で用いられる(B)光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。(B)光重合開始剤の使用量は、感光性導電ペーストの全固形分量を基準として0.5〜50重量%の範囲内が好ましく、より好ましくは1〜20重量%の範囲内である。
【0018】
さらに、(B)光重合開始剤に対する増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、(B)光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜50重量%の範囲内が好ましく、より好ましくは1〜30重量%の範囲内である。
【0019】
本実施形態で用いることのできる(C)重合性多官能モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0020】
本実施形態で用いられる(D)アルカリ可溶性樹脂とは、カルボキシル基を有する線状高分子であり、(メタ)アクリル共重合樹脂やエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸またはその無水物の反応物にさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させて得られたエポキシ変性アクリレート樹脂等が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル共重合樹脂としては、その構成成分に少なくとも(メタ)アクリルモノマーを含有する共重合樹脂であり、(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、グリシジルアクリレート、アミノエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルモノマー以外の構成成分として、スチレンやシクロヘキシルマレイミド等の不飽和結合を有する化合物を用いることも可能である。
エポキシ変性アクリレート樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックやクレゾールノボラック、ビスフェノールAやビスフェノールF骨格を持つもの等が用いられる。
【0022】
本実施形態で用いられる(E)ラジカル捕捉剤とは、活性ラジカルを失活させる作用をもつものであり、感光性導電ペーストに添加することにより露光部の銀粉による光散乱によって発生する光散乱光による未露光部分での硬化反応を抑えることが可能となり、導電回路パターンの寸法精度の向上が可能となる。(E)ラジカル捕捉剤の種類としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキノン、4−メトキシナフトール等のハイドロキノン誘導体や1,4−ベンゾキノン、2,6−ジクロロキノン、p−キシロキノン、ナフトキノン等のキノン誘導体、Irganox245、Irganox259、Irganox1010、Irganox1035、Irganox1076、Irganox1098(以上、BASF社製)、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−330(以上、ADEKA社製)等のヒンダードフェノール類、TINUVIN123、TINUVIN144、TINUVIN152、TINUVIN765、TINUVIN770DF(以上、BASF社製)、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−87(以上、ADEKA社製)等のヒンダードアミン類等があり、これらを単独もしくは2種類以上用いることができる。(E)ラジカル捕捉剤の添加量としては、感光性導電ペーストの全固形分量を基準として0.01〜0.1重量%の範囲内で添加することができる。(E)ラジカル捕捉剤の添加量が0.01重量%よりも少ないと導電回路パターンの寸法精度向上効果が得られず、0.1重量%よりも多いと架橋密度不足によるパターンハガレや熱硬化時の変色が発生する。
【0023】
本実施形態で用いられる(F)有機溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。(F)有機溶剤の添加量として、感光性導電ペースト全量を基準として、5〜20重量%の範囲内で添加することが好ましい。
【0024】
前記成分の他、感光性導電ペーストの経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性導電ペースト全量を基準として、0.1〜10重量%の範囲内の量で含有させることができる。
【0025】
また、感光性導電ペーストとして、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
本実施形態における感光性導電ペーストは、上述した(A)銀粉、(B)光重合開始剤、(C)重合性多官能モノマー、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)ラジカル捕捉剤、(F)溶剤および界面活性剤等の各成分を所定の組成で配合して攪拌機にて攪拌後、3本ロールミルにより混練することにより得た。
【0027】
以下、本実施形態における導電回路パターン20について、図1を参照しつつ説明する。
導電回路パターン20に用いられる透明基板10として、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。透明基板10として、PET等のプラスチック基板を用いることもできるが、無アルカリガラスやソーダライムガラス等のガラス基板が通常用いられる。
【0028】
感光性導電ペーストの透明基板10への塗布方法としては、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、レリーフ印刷、ダイコート、バーコート等が挙げられるが、一般的にスクリーン印刷が用いられる。透明基板10への塗布後、有機溶剤を蒸発させるために必要に応じてプリベークを実施する。プリベークには、熱風循環式オーブンやホットプレート、IRオーブンを用いることができる。
【0029】
感光性導電ペーストを透明基板10に塗布後、所望する導電回路パターン20に対応するフォトマスクを介して、パターン露光を行う。露光光源として、通常の高圧水銀灯を用いればよい。露光量としては、タクトタイムの観点から、10〜200mJ/cm2程度の範囲内が好ましい。
露光に続いて現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、もしくは水酸化カリウム水溶液が好んで用いられるが、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものを用いても良い。
【0030】
現像後、加熱処理を行うことにより任意の導電回路パターン20が得られる。加熱処理は、熱乾燥オーブンを用いて130〜250℃の温度内にて10〜60分の時間内で行う。加熱処理による樹脂の硬化収縮により、導電回路パターン20に含まれる銀粉同士が接触して十分な導電性を有するとともに、薬品等に対する耐性も向上する。
【0031】
このように、本実施形態に係る感光性導電ペーストは、250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性導電ペーストである。
導電回路パターン20の導体厚は、3〜5μmの範囲内であれば、十分な抵抗値を持ちつつ、良好なパターン特性を得られる。導体厚が3μmよりも薄い場合には、十分な抵抗値が得られない。また、5μmよりも厚い場合には、光が底部まで届かず、剥がれが生じやすくなる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
[アルカリ可溶性樹脂(D−1)の合成]
反応容器に1−メトキシ−2−プロピルアセテート800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
スチレン 40部
メタクリル酸 60部
メチルメタクリレート 55部
ベンジルメタクリレート 45部
アゾビスイソブチロニトリル 10部
1,4−ジメチルメルカプトベンゼン 3部
【0033】
滴下後十分に加熱した後、アゾビスイソブチロニトリル2部を1−メトキシ−2−プロピルアセテート50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。
この樹脂溶液に固形分が30重量%になるように1−メトキシ−2−プロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、アルカリ可溶性樹脂(D−1)溶液とした。
なお、アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20000であった。
【0034】
[感光性導電ペースト1の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト1を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.7部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.061重量%であった。
なお、銀粉の平均粒径D50の「D50」とは、メジアン径を意味するものである。
【0035】
[感光性導電ペースト2の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト2を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 110部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 58.7部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は73.9重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.067重量%であった。
【0036】
[感光性導電ペースト3の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト3を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 90部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 78.7部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は66.7重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.074重量%であった。
【0037】
[感光性導電ペースト4の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト4を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 140部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 28.7部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は82.4重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.059重量%であった。
【0038】
[感光性導電ペースト5の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト5を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.78部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.02部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.012重量%であった。
【0039】
[感光性導電ペースト6の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト6を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.79部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.01部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.006重量%であった。
【0040】
[感光性導電ペースト7の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト7を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.6部
ラジカル捕捉剤 メチルハイドロキノン 0.2部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.123重量%であった。
【0041】
[感光性導電ペースト8の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト8を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.7部
ラジカル捕捉剤 TINUVIN123(BASF社製) 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.061重量%であった。
【0042】
[感光性導電ペースト9の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト9を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.7部
ラジカル捕捉剤 Irganox245(BASF社製) 0.1部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であり、ラジカル捕捉剤の全固形分量に対する割合は0.061重量%であった。
【0043】
[感光性導電ペースト10の調整]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、3本ロールを用いて分散後、5μmのフィルターで濾過して感光性導電ペースト10を調整した。
銀粉(平均粒径D50 1.5μm) 130部
光重合開始剤 イルガキュア379(BASF社製) 3部
増感剤 DETX−S(日本化薬社製) 2部
重合性多官能モノマー R−684(日本化薬社製) 16部
アルカリ可溶性樹脂(D−1) 38.8部
有機溶剤 1−メトキシ−2−プロピルアセテート 8部
界面活性剤 アデカネートB−940(ADEKA社製) 0.2部
この時、銀粉の全固形分量に対する割合は79.8重量%であった。
【0044】
[導電回路パターンの評価方法]
〈シート抵抗評価〉
無アルカリガラス基板上に、スクリーン印刷(ステンレス製)にて塗布を行い、ホットプレートにて100℃で5分間乾燥を行い、塗膜を乾燥させた。その後、光源として高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2で全面露光を実施した後、0.2重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液にて、30秒間シャワー現像を実施した。水洗後、熱風循環式オーブンにて230℃で30分間加熱処理を実施して評価基板を作製した。シート抵抗値の測定にはロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いた。シート抵抗値の基準として、0.2Ω/□未満を抵抗値良好、0.2Ω/□以上0.3Ω/□未満を使用可能、0.3Ω/□以上を抵抗値不良とした。
なお、シート抵抗値の単位である「Ω/□」は、Ω毎スクウェアを意味するものである。
【0045】
〈解像性評価〉
無アルカリガラス基板上に、スクリーン印刷(ステンレス500メッシュ)にて塗布を行い、ホットプレートにて100℃で5分間乾燥を行い、塗膜を乾燥させた。その後、光源として高圧水銀灯を用いてフォトマスクを介して100mJ/cm2でパターン露光を実施した。フォトマスクとして、ラインアンドスペース(L/S)が12μm/12μm、16μm/16μm、20μm/20μmの寸法を持つパターンを使用した。0.2重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液にて、30秒間シャワー現像を実施した。水洗後、熱風循環式オーブンにて230℃で30分間加熱処理を実施して評価基板を作製した。解像性評価として、マスク寸法に対して実際に形成したラインの寸法を測定した。20μm以下のパターンが形成できるものを解像性良好とし、線太りによりライン間が繋がってしまうものを「ツブレ」、現像によりパターンが残らないものを「ハガレ」とした。
【0046】
[実施例1]
感光性導電ペースト1を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.12Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて16.2μm、L/S=16/16にて18.5μm、L/S=20/20にて23.1μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0047】
[実施例2]
感光性導電ペースト2を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.18Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて15.8μm、L/S=16/16にて18.3μm、L/S=20/20にて22.8μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0048】
[実施例3]
感光性導電ペースト5を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.14Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて17.8μm、L/S=16/16にて19.2μm、L/S=20/20にて24.2μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0049】
[実施例4]
感光性導電ペースト8を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.13Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて18.6μm、L/S=16/16にて20.7μm、L/S=20/20にて25.0μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0050】
[実施例5]
感光性導電ペースト9を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.12Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて18.4μm、L/S=16/16にて20.6μm、L/S=20/20にて24.8μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0051】
[実施例6]
感光性導電ペースト1を用いて、590メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は2.7μmであった。この時、シート抵抗値は0.28Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて16.4μm、L/S=16/16にて20.1μm、L/S=20/20にて23.4μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0052】
[実施例7]
感光性導電ペースト1を用いて、500メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は3.2μmであった。この時、シート抵抗値は0.18Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて16.4μm、L/S=16/16にて18.6μm、L/S=20/20にて23.3μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0053】
[実施例8]
感光性導電ペースト1を用いて、350メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は5.3μmであった。この時、シート抵抗値は0.09Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12ではハガレ発生、L/S=16/16にて18.0μm、L/S=20/20にて21.8μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0054】
[比較例1]
感光性導電ペースト10を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.12Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12およびL/S=16/16にてツブレ発生、L/S=20/20にて28.2μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0055】
[比較例2]
感光性導電ペースト3を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.32Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12にて16.0、L/S=16/16にて18.3μm、L/S=20/20にてにて22.9μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0056】
[比較例3]
感光性導電ペースト4を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.09Ω/□であり、解像性として、何れのパターンにおいてもハガレが発生した。
【0057】
[比較例4]
感光性導電ペースト6を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.12Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12およびL/S=16/16にてツブレ発生、L/S=20/20にて28.0μmのパターン形成が可能であることを確認した。
【0058】
[比較例5]
感光性導電ペースト7を用いて、400メッシュのスクリーン版にてシート抵抗評価基板および解像性評価基板を作製した。仕上がり導体厚は4.5μmであった。この時、シート抵抗値は0.13Ω/□であり、解像性として、L/S=12/12およびL/S=16/16にてハガレ発生、L/S=20/20にて20.3μmのパターン形成が可能であることを確認した。
感光性導電ペースト組成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
実施例1、4および5と比較例1とを比べることによりラジカル捕捉剤を添加することによって解像性が向上し、導体幅(線幅)が20μm以下のパターンを形成可能であることを確認できた。ラジカル捕捉剤の種類としては、ハイドロキン誘導体が最も好適である。また、比較例2および3から明らかなように、感光性導電ペーストの全固形分量に対して銀粉量が70重量%以下となるとシート抵抗が悪化し、80重量%以上となるとパターンハガレが発生するという不具合が発生する。比較例4および5の結果より、ラジカル捕捉剤の添加量としては、感光性導電ペーストの全固形分量に対して0.01〜0.1重量%の範囲内が好適である。実施例1、6〜8の結果より、導体厚が3〜5μmの範囲内であればシート抵抗および解像性に関して十分なマージンを持った導電回路パターン形成が可能である。
【0062】
なお、上述した導電回路パターン20を、例えばタッチパネルセンサーに組込むこともできる。組込まれた導電回路パターン20は、十分な導電性を有しつつ、導体幅が20μm以下のパターンであるので、タッチパネルセンサーを小型化・高精細化することができる。
また、上述した導電回路パターン20を、例えば表示装置に組込むこともできる。組込まれた導電回路パターン20は、十分な導電性を有しつつ、導体幅が20μm以下のパターンであるので、表示装置を小型化・高精細化することができる。
【符号の説明】
【0063】
10…透明基板
20…導電回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)金属粒子と、(B)光重合開始剤と、(C)重合性多官能モノマーと、(D)アルカリ可溶性樹脂と、(E)ラジカル捕捉剤と、(F)有機溶剤と、を含有する感光性導電ペーストであって、
前記(A)金属粒子を全固形分量中に65〜85重量%の範囲内で含み、前記(E)ラジカル捕捉剤を全固形分量中に0.01〜0.1重量%の範囲内で含むことを特徴とする感光性導電ペースト。
【請求項2】
前記(E)ラジカル捕捉剤としてハイドロキノン誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性導電ペースト。
【請求項3】
前記(A)金属粒子は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)から選ばれる1種以上の金属粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性導電ペースト。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の感光性導電ペーストを用いて形成された導体の厚みは、3〜5μmの範囲内であることを特徴とする導電回路パターン。
【請求項5】
前記導体の幅は、5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の導電回路パターン。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の導電回路パターンを有することを特徴とするタッチパネルセンサー。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の導電回路パターンを有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−101861(P2013−101861A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245404(P2011−245404)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】