説明

感放射線性樹脂組成物

【課題】放射線に対する透明性が高く、感度、ドライエッチング耐性等のレジストとしての基本物性に優れ、且つ、解像度、焦点余裕度、パターン形状に優れる。
【解決手段】酸解離性基含有樹脂と、感放射線性酸発生剤と、溶剤とを含有する感放射線性樹脂組成物において、上記樹脂は、特定構造の酸解離性基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有し、酸解離性基を有する繰り返し単位は、共重合体を構成する全繰り返し単位に対して、55モル%を超えて含有し、共重合体は、樹脂全体に対して、90質量%以上含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用することができる感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近ではArFエキシマレーザー(波長193nm)等を用いた100nm程度以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。このようなエキシマレーザーによる照射に適した感放射線性樹脂組成物として、酸解離性官能基を有する成分と放射線の照射により酸を発生する成分である酸発生剤とによる化学増幅効果を利用した化学増幅型感放射線性組成物が数多く提案されている。例えば、樹脂成分として、ノルボルナン環誘導体を有する単量体ユニットを含む特定の構造を樹脂成分とするフォトレジスト用高分子化合物が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。また、狭分散性の(メタ)アクリル酸と、特定のモノシクロヘキサンカルボラクトン、ビシクロヘプタンカルボラクトン等とのエステルを繰り返し単位とする、(メタ)アクリル酸共重合体を用いたレジスト組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、ラクトン環を有する繰り返し単位と、極性基を含まない炭素および水素のみからなる多環型脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位と、酸解離性基を有する繰り返し単位とを含有するアクリル系重合体を用いた感放射線性樹脂組成物が、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線に感応する化学増幅型レジストとして、現像後のパターンラインエッジラフネスを低減し、照射後の加熱処理依存性を低減できることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−201232号公報
【特許文献2】特開2002−145955号公報
【特許文献3】特開2003−84436号公報
【特許文献4】特開2005−68418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、半導体分野において、より高い集積度が求められるようになると、レジストとして使用される感放射線性樹脂組成物は、より優れた解像度が必要とされるようになってきた。また、同時に、より微細化が進むにつれて、焦点余裕度の低さ、パターン形状の悪化が深刻な問題となってきている。このような事態に対処するために、解像度に優れ、焦点余裕度が広く、良好なパターン形状である感放射線性樹脂組成物の開発が急務となってきている。
【0004】
本発明の課題は、放射線に対する透明性が高く、感度、ドライエッチング耐性等のレジストとしての基本物性に優れ、且つ、解像度、焦点余裕度、パターン形状に優れた化学増幅型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、酸解離性基含有樹脂(以下、樹脂(A)という)と、感放射線性酸発生剤(以下、酸発生剤(B)という)と、溶剤(以下、溶剤(C)という)とを含有する感放射線性樹脂組成物において、上記樹脂Aは、酸解離性基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有し、上記酸解離性基を有する繰り返し単位は、上記共重合体を構成する全繰り返し単位に対して、55モル%を超えて含有し、上記共重合体は、上記樹脂(A)全体に対して、90質量%以上含有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記酸解離性基を有する繰り返し単位が、下記式(1)または下記式(2)であることを特徴とする。
【化3】

式(1)および式(2)において、R1およびR3は相互に独立に水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R2およびR4は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキル基を表す。
【0007】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記酸発生剤(B)が、下記式(6)または式(7)で表される感放射線性酸発生剤を含むことを特徴とする。
【化4】

式(6)において、各R14は相互に独立に水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、または、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基を表し、式(7)において、各R15は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、nは0または1であり、R16およびR17は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表すか、あるいはR16とR17とが相互に結合して式中の硫黄原子と共に3〜6員の環状構造を形成しており、式(6)および式(7)において、Yは硫黄原子含有アニオンを表す。
また、上記酸発生剤(B)が、少なくとも異なる3種類の感放射線性酸発生剤を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、樹脂(A)と酸発生剤(B)および溶剤(C)とを含有するため、化学増幅型レジストとして用いたときに、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線に感応し、特に放射線に対する透明性が高く、感度、ドライエッチング耐性等のレジストとしての基本物性に優れるとともに、高解像度、焦点余裕度、パターン形状に優れ、今後ますます微細化が進行すると予想される集積回路素子の製造に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、酸解離性基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有し、上記酸解離性基を有する繰り返し単位は、上記共重合体を構成する全繰り返し単位に対して、55モル%を超えて含有し、上記共重合体が上記樹脂A全体に対して90質量%以上含有する樹脂Aを含むことを特徴とする化学増幅型ポジ型レジスト組成物である。この特有の樹脂組成を有することにより、レジストとしての基本物性に優れるとともに、焦点余裕度、パターン形状に優れた化学増幅型レジスト(ポジ型レジスト)として好適に使用することができる。
【0010】
樹脂(A)
樹脂(A)は、共重合体を構成する全繰り返し単位に対して、酸解離性基を有する繰り返し単位を55モル%を超えて含む共重合体を必須成分とする。この共重合体は、樹脂A全体に対して、90質量%以上含有する。
上記酸解離性基を有する繰り返し単位としては、上記繰り返し単位(1)または上記繰り返し単位(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
繰り返し単位(1)および繰り返し単位(2)を構成する、R2およびR4で表される炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
【0011】
繰り返し単位(1)の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
【化5】

繰り返し単位(1)としては、上記具体例の中でも、繰り返し単位(1−1)および(1−2)が後述する円形性、焦点余裕度が良好であるため好ましい。
【0012】
繰り返し単位(2)の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
【化6】

繰り返し単位(2)としては、上記具体例の中でも、繰り返し単位(2−1)および(2−2)が後述するLWR、焦点余裕度が良好であるため好ましい。
【0013】
共重合体は、上記繰り返し単位(1)または繰り返し単位(2)以外に、他の繰り返し単位(3)を含有することができる。
他の繰り返し単位(3)としては、ラクトン骨格を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−1)」ともいう。)、ビストリフルオロメチル−ヒドロキシ−メチル基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−2)」ともいう。)、置換アダマンチル基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−3)」ともいう。)等を挙げることができる。
【0014】
ラクトン骨格を有する繰り返し単位(3−1)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−10−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2,2−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル等の重合性不飽和結合が開裂した単位、および下記式(3)で表されるもの等を挙げることができる。
【0015】
【化7】

上記式(3)において、R5は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R6は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数2〜13のアルキルカルボニル基、または炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を表す。
【0016】
上記式(3)のR6における炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等を挙げることができる。
また、上記R6における炭素数2〜13のアルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルカルボニル基等を挙げることができる。
更に、上記R6における炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキヘキシル基、ヒドロキヘプチル基等を挙げることができる。
【0017】
ビストリフルオロメチル−ヒドロキシ−メチル基を有する繰り返し単位(3−2)としては、下記式(4)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化8】

式(4)において、R7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、またはヒドロキシメチル基を表し、R8は2価の有機基を表す。
式(4)のR7における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。
また、式(4)のR8における2価の有機基としては、2価の炭化水素基、アルキレングリコール基、アルキレンエステル基等が挙げられる。これらのなかでも、2価の炭化水素基が好ましく、鎖状または環状の2価の炭化水素基がより好ましい。
【0018】
好ましいR8としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基もしくは1,2−プロピレン基等のプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、インサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基もしくは2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜30の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基等が挙げられる。
【0019】
特に、R8として2価の脂肪族環状炭化水素基を含む場合には、ビストリフルオロメチル−ヒドロキシ−メチル基と、この脂肪族環状炭化水素基との間にスペーサーとして炭素数1〜4のアルキレン基を挿入することが好ましい。
また、R8としては、2,5−ノルボルニレン基を含む炭化水素基、1,2−エチレン基、プロピレン基が好ましい。
【0020】
置換アダマンチル基を有する繰り返し単位(3−3)としては、下記式(5)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化9】

式(5)において、R9は水素原子またはメチル基を表し、Xは単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を表し、Zは相互に独立に単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を表し、R10は相互に独立に水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、またはCOOR11基を表す。
【0021】
式(5)におけるXおよびZにおける炭素数1〜3の2価の有機基としては、それぞれ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
また、式(5)のR10におけるCOOR11基のR11は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を表す。
このR11における炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基を挙げることができる。
また、R11における炭素数3〜20の脂環式のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の−Cn2n-1(nは3〜20の整数)で表されるシクロアルキル基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環型脂環式アルキル基が挙げられる。更には、これらのシクロアルキル基または多環型脂環式アルキル基の一部を、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基のうちの少なくとも1種で置換した基等が挙げられる。
また、式(5)における3つのR10のうちの少なくとも1つは水素原子以外であり、且つXが単結合である場合には、3つのZのうちの少なくとも1つは炭素数1〜3の2価の上記有機基であることが好ましい。
【0022】
更に、上記他の繰り返し単位(3−1)〜(3−3)以外の繰り返し単位(3)としては、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−7−イルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−2−イルエステル等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。なお、これらの他の繰り返し単位(3)は、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0023】
具体的な共重合体としては、例えば、下記に示す繰り返し単位の組み合わせにより構成される共重合体(CP−1)、共重合体(CP−2)を挙げることができる。
なお、下記の各繰り返し単位におけるR12、R13は、それぞれ、水素原子またはメチル基を表す。
【化10】

【0024】
樹脂(A)を構成する共重合体における、繰り返し単位(1)または繰り返し単位(2)の含有割合は、共重合体に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、55モル%を超えて含有し、好ましくは55モル%を超え80モル%以下である。より好ましくは55モル%を超え70モル%以下である。この繰り返し単位(1)または(2)の含有割合が55モル%以下の場合、焦点余裕度が不十分となるおそれがある。
具体的に、上記共重合体(CP−1)または共重合体(CP−2)の場合、繰り返し単位(p)が55モル%を超え80モル%以下、繰り返し単位(q)が20モル%を超え45モル%以下であることが好ましい。より好ましくは繰り返し単位(p)が55モル%を超え70モル%以下、繰り返し単位(q)が30モル%を超え45モル%以下である。
【0025】
上記共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常1000〜100000、好ましくは1000〜50000、より好ましくは3000〜50000である。このMwが1000未満の場合、レジストとしての耐熱性が低下するおそれがある。一方、10000を超える場合、パターン形状等が低下するおそれがある。
また、共重合体のMwと、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。
【0026】
上記共重合体は、例えば、各繰り返し単位に対応する単量体を、重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより調製することができる。
上記重合開始剤としては、例えば、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤等を挙げることができる。これらのなかでも、アゾ化合物が好ましく、特に、アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーエル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
上記重合における反応温度は、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃である。また、上記重合における反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
【0028】
上記共重合体は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないものであることが好ましく、更に、残留モノマーやオリゴマー成分が既定値以下、例えば、HPLCで0.1質量%以下等であることが好ましい。それにより、レジストとしての感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができるとともに、液中異物や感度等の経時変化が無いレジストを提供することができる。
【0029】
また、上記共重合体の精製法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
金属等の不純物を除去する方法としては、ゼータ電位フィルターを用いて重合体溶液中の金属を吸着させる方法や、蓚酸やスルホン酸等の酸性水溶液で重合体溶液を洗浄することで金属をキレート状態にして除去する方法等が挙げられる。
残留モノマーやオリゴマー成分を規定値以下に除去する方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留モノマーやオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外濾過等の溶液状態での精製方法や、重合体溶液を貧溶媒へ滴下することで重合体を貧溶媒中に凝固させることにより残留モノマー等を除去する再沈澱法や、ろ別した重合体スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法がある。尚、これらの方法は組み合わせて用いることができる。
また、上記再沈澱法に用いられる貧溶媒は、精製する重合体の物性等により適宜選択される。
【0030】
本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する酸解離性基含有樹脂(A)は、樹脂A全体に対して、上記共重合体を90質量%以上含有する。上記共重合体が90質量%未満であると、焦点余裕度が不良になる。
また、10質量%未満となる他の成分としては、酸解離性基を有する繰り返し単位を55モル%以下、好ましくは50モル%以下含む重合体であることが好ましい。
【0031】
酸発生剤(B)
酸発生剤(B)は、露光により酸を発生するものであり、光酸発生剤として機能する。この酸発生剤は、露光により発生した酸によって、感放射線性組成物に含有される樹脂(A)中に存在する酸解離性基を解離させて(保護基を脱離させて)、樹脂(A)をアルカリ可溶性とする。そして、その結果、レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、これによりポジ型のレジストパターンが形成される。
酸発生剤(B)は上記式(6)または式(7)で表される感放射線性酸発生剤を含む。 式(6)におけるR14の炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のなかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が好ましい。
式(6)におけるR14の炭素数1〜10のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシル基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
【0032】
式(6)におけるR14の炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
【0033】
式(7)におけるR15、R16、およびR17の炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基を挙げることができる。
式(7)におけるR16とR17とが相互に結合して式中の硫黄原子と共に形成する3〜6員の環状構造としては、5員環または6員環が好ましく、より好ましくはテトラヒドロチオフェン環を形成する5員環である。
【0034】
式(6)および式(7)におけるYは、R18n2nSO3、もしくはR18SO3(式中、R18は、水素原子、フッ素原子あるいは置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表し、nは1〜10の整数である。)で表されるアニオン、または下記式(8−1)もしくは(8−2)で表されるアニオンを表す。
【化11】

式(7−1)および(7−2)におけるR19は相互に独立に炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素原子を含有するアルキル基を表すか、或いは、2個のR19が互いに結合して形成された炭素数2〜10のフッ素原子を含有する2価の基を表す。なお、この2価の基は置換されていてもよい。
【0035】
上記式(6)および式(7)において、Yの一例であるR18n2nSO3で表されるアニオンにおけるCn2n基は、炭素数nのパーフルオロアルキレン基であるが、この基は直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。また、nは1、2、4または8であることが好ましい。
また、R18n2nSO3およびR18SO3で表される各アニオンのR18における置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、有橋脂環式炭化水素基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ノルボルニル基、ノルボニルメチル基、ヒドロキシノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0036】
上記式(8−1)および(8−2)のR19における炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のフッ素原子を含有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等を挙げることができる。
【0037】
また、上記式(8−1)および(8−2)において、2個のR19が互いに結合して形成する炭素数2〜10の2価のフッ素原子を含有する基としては、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等を挙げることができる。
【0038】
また、上記式(6)および式(7)の好ましいアニオン部位としては、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−ブタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−オクタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネートアニオン、1−アダマンチルスルホネートアニオンおよび下記式(9−1)〜(9−7)で挙げられるアニオン等を挙げることができる。
【化12】

【0039】
上記式(6)および式(7)で表される酸発生剤は、上記のように例示されたカチオンおよびアニオンの組合せにより与えられるが、その組合せは特に限定されず、適宜選定することができる。
また、酸発生剤(B)としては、上記にあげたもの以外に、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等を用いることもできる。
【0040】
上記オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等を挙げることができる。
【0041】
上記ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。ハロゲン含有化合物の具体例としては、フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等を挙げることができる。
【0042】
上記ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。ジアゾケトンの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等を挙げることができる。
【0043】
上記スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
【0044】
上記スルホン酸化合物として、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。スルホン酸化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等を挙げることができる。
【0045】
本発明に用いる酸発生剤(B)は、上記式(6)または式(7)で表される酸発生剤を含む酸発生剤であることが好ましい。式(6)または式(7)で表される酸発生剤は単独で用いてもよいが、他の酸発生剤と組み合わせて用いてもよい。好ましくは式(6)または式(7)で表される酸発生剤もしくはそれ以外の酸発生剤を組み合わせ、合計3種類以上の酸発生剤を組み合わせることでレジストパターンの形状が極めて良好となる。
【0046】
上記酸発生剤(B)の配合量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜15質量部である。この配合量が、0.1質量部未満の場合、感度および現像性が低下するおそれがある。一方、20質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなるおそれがある。
【0047】
溶剤(C)
本発明の感放射線性組成物は、その使用に際して、全固形分濃度が、通常1〜50質量%、好ましくは1〜25質量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
【0048】
上記溶剤(C)としては、例えば、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状若しくは分岐状のケトン類;シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか、
【0049】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を挙げることができる。
【0050】
これらのなかでも、直鎖状もしくは分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
これらの溶剤(C)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
添加剤
本発明の感放射線性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、以下説明する酸拡散制御剤、脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤等の各種添加剤を配合することができる。
<酸拡散制御剤>
上記酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。更に、レジストとしての解像度をより向上させることができるとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物を得ることができる。
【0052】
上記酸拡散制御剤としては、例えば、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物及び他の含窒素複素環化合物等の窒素含有化合物を挙げることができる。
上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
【0053】
上記アミド基含有化合物としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N'N'−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N'−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物等を挙げることができる。
上記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0054】
上記他の含窒素複素環化合物としては、例えば、;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等を挙げることができる。
これらの窒素含有化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
上記酸拡散制御剤の配合量は、レジストとしての高い感度を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、通常、10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。この配合量が、10質量部を超える場合、レジストとしての感度が著しく低下するおそれがある。なお、酸拡散制御剤の配合量が、0.001質量部未満の場合、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0056】
<脂環族添加剤>
上記脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;5−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン等を挙げることができる。
これらの脂環族添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
<界面活性剤>
上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業株式会社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学株式会社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ株式会社製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子株式会社製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
<増感剤>
上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(B)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すもので、感放射線性組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
このような増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
更に、本発明の感放射線性組成物には、前述の添加剤以外にも、必要に応じて、アルカリ可溶性重合体、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を配合することができる。また、染料或いは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0060】
レジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性組成物は、化学増幅型レジストとして有用である。この化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂成分(主に、式(1)または下記式(2)で表される酸解離性基を有する繰り返し単位を55モル%を超えて含有する共重合体)中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
【0061】
本発明の感放射線性組成物からレジストパターンを形成する際には、まず、樹脂組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行なったのち、所定のレジストパターンが形成されるように、このレジスト被膜を露光する。その際に使用される放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線及び荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。
【0062】
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。本発明の感放射線性樹脂組成物を用いる場合には、露光後に加熱処理(PEB)を行なうことが好ましい。このPEBを行なう場合には、重合体成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0063】
また、レジストパターンを形成する際には、本発明の感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系或いは無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。更に、液浸露光においてレジスト被膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば特開2005−352384号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。尚、これらの技術は併用することができる。
【0064】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンが形成される。この現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
上記アルカリ性水溶液の濃度は、通常10質量%以下である。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
【0065】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、有機溶媒を添加することもできる。
上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。有機溶媒の使用量が100容量%を超える場合、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例の記載における「部」および「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0067】
[1]酸解離性基含有樹脂(A)に用いる共重合体の合成
以下の各合成例に示すように、共重合体(A−1)〜共重合体(A−7)を合成した。尚、各合成例において単量体として用いた化合物(M−1)〜(M−7)の詳細は以下の通りである。
【化13】

【0068】
合成例1
上記化合物(M−1)26.59g(60モル%)、上記化合物(M−7)23.41g(40モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル2.16g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。その後、50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥して、白色粉末の共重合体を得た(43g、収率86%)。
この共重合体は、重量平均分子量(Mw)が5213、Mw/Mnが1.453、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、58.6:41.4(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−1)とする。
【0069】
合成例2
上記化合物(M−2)30.63g(60モル%)、および上記化合物(M−7)19.37g(40モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル1.79g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。その後、50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入して、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(40g、収率80%)。
この共重合体は、Mwが4632、Mw/Mnが1.660、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−2)および化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、60.5:39.5(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−2)とする。
【0070】
合成例3
上記化合物(M−1)21.54g(50モル%)、上記化合物(M−7)28.46g(50モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル2.16g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。その後、50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥して、白色粉末の共重合体を得た(42g、収率84%)。
この共重合体は、重量平均分子量(Mw)が5520、Mw/Mnが1.482、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、49.2:50.8(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−3)とする。
【0071】
合成例4
上記化合物(M−3)35.38g(40モル%)、上記化合物(M−4)10.69g(10モル%)、上記化合物(M−7)53.93g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した1000mLの三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別する。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(72g、収率72%)。この共重合体は、Mwが7400、Mw/Mnが1.660、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−3)、化合物(M−4)および化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、39.2:8.6:52.2(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−4)とする。
【0072】
合成例5
上記化合物(M−1)12.65g(30モル%)、上記化合物(M−6)3.26g(10モル%)、および化合物(M−7)27.86g(50モル%)を、2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル2.06gを投入した単量体溶液を準備し、上記化合物(M−5)6.23g(10モル%)および2−ブタノン50gを投入した1000mLの三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入して、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(38g、収率76%)。
この共重合体は、Mwが6249、Mw/Mnが1.542、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−5)、化合物(M−6)および化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、30.2:9.6:9.8:50.4(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−5)とする.
【0073】
合成例6
上記化合物(M−2)25.66g(50モル%)、および上記化合物(M−7)24.34g(50モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル1.80g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。その後、50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入して、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(41g、収率82%)。
この共重合体は、Mwが5235、Mw/Mnが1.623、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−2)および化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、50.5:49.5(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−6)とする。
【0074】
合成例7
上記化合物(M−2)18.60g(35モル%)、上記化合物(M−3)6.20g(15モル%)、および上記化合物(M−7)25.20g(50モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル0.73g(2モル%)を投入した単量体溶液を準備した。その後、50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのメタノールへ投入して、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度200gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(44g、収率88%)。
この共重合体は、Mwが5437、Mw/Mnが1.452、13C−NMR分析および1H−NMR分析の結果、化合物(M−2)、化合物(M−3)および化合物(M−7)に由来する各繰り返し単位の含有割合が、15.0:36.2:48.8(モル%)の共重合体であった。この共重合体を共重合体(A−7)とする。
【0075】
尚、上記各合成例における、測定及び評価は、下記の要領で行なった。
<MwおよびMn>
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
13C-NMR分析>
各重合体の13C−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
1H-NMR分析>
各重合体の1H−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
【0076】
実施例1−7および比較例1−9
表1に示す種類の共重合体(A)、酸発生剤(B)および酸拡散制御剤(D)を、溶剤(C)中に、表1に示す割合で溶解させた。その後、この混合溶液を孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1−7および比較例1−9の感放射線性組成物溶液を調製した。
【0077】
【表1】

【0078】
ここで、表1に記載の酸発生剤(B)、溶剤(C)および酸拡散制御剤(D)の各詳細を説明する。
<酸発生剤(B)>
B−1:4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−2:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート
B−3:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム・2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
<溶剤(C)>
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:シクロヘキサノン
C−3:γブチロラクトン
<酸拡散制御剤(D)>
D−1:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
【0079】
各実施例および比較例で得られた感放射線性樹脂組成物を用いて、下記の性能評価を行い、その結果を表2に示す。
<感度>
ArF光源にて露光を行なう場合、ウェハ表面に膜厚29nmのAR46(ROHM&HAAS社製)膜を形成したシリコンウェハを用い、各組成物溶液を、基板上にクリーントラックACT8(東京エレクトロン製)を用い、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、110℃、60秒の条件でPBを行なって形成した膜厚0.14μmのレジスト被膜に、ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置「S306C」(開口数0.78)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して露光した。その後、110℃、60秒の条件で、クリーントラックACT8(東京エレクトロン社製)を用いてPEBを行なったのち、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、コンタクトホールパターンについては、マスクにおいて直径0.08μmのコンタクトホールパターン(1H1S)が直径0.08μmのサイズになるような露光量を最適露光量とし、ラインアンドスペースについては、マスクにおいて直径0.075のラインアンドスペースパターン(1L1S)が直径0.075μmのサイズになるような露光量を最適露光量とし、これらの最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。
【0080】
<解像度>
最適露光量で解像される最小のレジストパターンの寸法(直径)を解像度とした。 <焦点余裕度>
上記[感度]の評価における最適露光量で、焦点深度を−1.0μmから+1.0μmまで0.05μm刻みでオフセットした条件においてそれぞれ露光した。線幅が最適露光量での値より−10%から+10%になる範囲(μm)を焦点余裕度(DOF)とした。DOFの値が大きい程、焦点深度余裕に優れていることを示し、0.30μm以上である場合を良好、0.30μm未満である場合を不良とした。
【0081】
<円形性>
ウェハ表面に膜厚85nmのARC95(日産化学社製)膜を形成したシリコンウェハを用い、各組成物溶液を、基板上にクリーントラックACT8(東京エレクトロン社製)を用い、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す条件でPBを行なって形成した膜厚0.14μmのレジスト被膜に、ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置S306C(開口数0.78)を用い、マスクパターン(6%ハーフトーンマスクを使用)を介して、最適露光量にて露光した。その後、表2に示す条件で、クリーントラックACT8(東京エレクトロン社製)を用いてPEBを行なったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターン〔コンタクトホールパターン(1H1S、直径0.09μm)〕を形成した。
そして、測長SEM(日立製作所社製、商品名「S−9380」)および付属のOffline CD Measurement Software(Version 5.03)により、形成されたコンタクトホールパターンの同一ホールの直径を複数点(16箇所)測定し、20個のコンタクトホールで同様の作業を行なって得られる平均の標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を算出し、下記の基準で評価した。
良好;3σが、4.0以下である場合
不良;3σが、4.0を超える場合
【0082】
<LWR(ラインウィドゥスラフネス)>
上記最適露光量において、基板上のレジスト被膜に形成された75nm(1L/1S)パターンを、測長SEM(日立製作所社製、型番「S9380」)を用いて、パターン上部から観察し、直径を任意のポイントで測定し、その測定ばらつきを3σで表現する。
尚、この値は小さいほど好ましく、9.0nm以下である場合を良好とした。
【0083】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、放射線に対する透明性が高く、感度、ドライエッチング耐性等のレジストとしての基本物性に優れるとともに、高解像度、焦点余裕度、パターン形状に優れるので、今後ますます微細化が進行すると予想される集積回路素子の製造に極めて好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸解離性基含有樹脂と、感放射線性酸発生剤と、溶剤とを含有する感放射線性樹脂組成物において、
前記酸解離性基含有樹脂は、酸解離性基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有し、
前記酸解離性基を有する繰り返し単位は、前記共重合体を構成する全繰り返し単位に対して、55モル%を超えて含有し、
前記共重合体は、前記酸解離性基含有樹脂全体に対して、90質量%以上含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
前記酸解離性基を有する繰り返し単位が、下記式(1)または下記式(2)であることを特徴とする請求項1記載の感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)および式(2)において、R1およびR3は相互に独立に水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R2およびR4は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記感放射線性酸発生剤が、下記式(6)または式(7)で表される感放射線性酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の感放射線性樹脂組成物。
【化2】

(式(6)において、各R14は相互に独立に水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、または、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基を表し、式(7)において、各R15は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、nは0または1であり、R16およびR17は相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表すか、あるいはR16とR17とが相互に結合して式中の硫黄原子と共に3〜6員の環状構造を形成しており、式(6)および式(7)において、Yは硫黄原子含有アニオンを表す。)
【請求項4】
前記感放射線性酸発生剤が、少なくとも異なる3種類の感放射線性酸発生剤を含むことを特徴とする請求項3記載の感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−66631(P2010−66631A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234271(P2008−234271)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】