説明

成形品外観検査装置及び成形品検査方法

【課題】略方形環状の成形品に対してバリや欠け等の欠陥検査を行うのに適した技術を提供すること。
【解決手段】所定の基準ラインX、Yに沿って、複数箇所で、外周側のエッジ間距離Y(n)、X(n)を取得し、これらと予め設定された基準値Y(s)、X(s)とを比較している。そして、外周側のエッジ間距離Y(n)、X(n)が、外周側の基準値Y(s)、X(s)の半分であるとかどうかを判定し、その判定結果に基づいて成形品1が部分的に途切れているか否かを判定しているため、成形品1の途切れによる形状不良について、より適切に欠陥検査を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金型成形された成形品の外観を検査するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円形状に形成されているゴムシールのバリや欠けを検査する技術として、そのゴムシールを、一方向に配列した複数の画素領域の集合として検出し、画素領域毎の濃度加算値から一次差分を算出し、この一次差分から二次差分を算出し、この二次差分に基づいてバリや欠け等を検出する技術がある。
【0003】
このような技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−229928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、基本的には、ゴムシールの円周形状に対応して各画素領域の濃度加算値が変化するという特性を利用して、バリや欠け等を検出しようとするものである。
【0006】
このため、円状の外観形状を有する対象物に対する検査であることが前提となっており、例えば、略方形環状の外観形状を有する成形品に対するバリや欠け等の検出方法としては、不適なものとなっている。
【0007】
そこで、この発明は、略方形環状の成形品に対してバリや欠け等の欠陥検査を行うのに適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様は、略方形環状の成形品を検査する成形品外観検査装置であって、前記成形品を撮像する撮像手段と、前記撮像された画像に基づいて、前記成形品のエッジ画像を抽出するエッジ抽出手段と、前記抽出されたエッジ画像に基づいて、前記成形品の少なくとも一組の対辺と略平行に延びるように設定された基準ラインに沿って、複数箇所で、前記基準ラインに略直交する方向におけるエッジ間距離を取得するエッジ間距離取得手段と、前記取得された各エッジ間距離と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する比較判定手段と、を備えたものである。
【0009】
この場合に、前記エッジ間距離取得手段は、前記成形品の外周側のエッジ画像に基づく外周側エッジ間距離を、前記エッジ間距離として取得し、前記比較判定手段は、前記外周側エッジ間距離と途切れ判定用外周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品が部分的に途切れているか否かを判定するとよい。
【0010】
また、前記エッジ間距離取得手段は、前記成形品の外周側のエッジ画像に基づく外周側エッジ間距離と、前記成形品の内周側のエッジ画像に基づく内周側エッジ間距離とのうち少なくとも一方を、前記エッジ間距離として取得し、前記比較判定手段は、外周側エッジ間距離と内周側エッジ間距離のうち少なくとも一方と、変形度判定用外周側基準値又は変形度判定用内周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の変形度を判定してもよい。
【0011】
さらに、前記撮像された画像に基づいて、前記成形品の画像を抽出して、前記成形品が存在する面積値を取得する面積値取得手段をさらに備え、前記比較判定手段は、さらに、前記面積値と予め設定された基準面積値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定してもよい。
【0012】
また、前記撮像された画像に基づいて、前記成形品の画像を抽出する画像抽出手段を備え、前記比較判定手段は、さらに、前記成形品の輪郭に沿うように設定された検査ラインにおける、前記抽出画像の画素の存否に基づいて、前記成形品の形状良否を判定してもよい。
【0013】
また、この発明の第2の態様は、略方形環状の成形品を検査する成形品検査方法であって、(a)前記成形品の撮像画像に基づいて、前記成形品のエッジ画像を抽出する工程と、(b)前記抽出されたエッジ画像に基づいて、前記成形品の少なくとも一組の対辺と略平行に延びるように設定された基準ラインに沿って、複数箇所で、前記基準ラインに略直交する方向におけるエッジ間距離を取得する工程と、(c)前記取得された各エッジ間距離と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の第1の態様によると、抽出されたエッジ画像に基づいて、所定の基準ラインに沿って、複数箇所で、エッジ間距離を取得し、この各エッジ間距離を、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定しているため、略方形環状の成形品に欠けや変形等が生じていると、その部分でのエッジ間距離が基準値と大きく異なるので、その形状欠陥を検出することができる。このため、略方形環状の成形品に対して的確に欠けや変形等の形状欠陥検査を行うことができる。
【0015】
また、この場合に、比較判定手段は、前記外周側エッジ間距離と前記外周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品が部分的に途切れているか否かを判定することができ、より適切に欠陥検査を行うことができる。
【0016】
また、比較判定手段は、外周側エッジ間距離と内周側エッジ間距離のうち少なくとも一方と、変形度判定用外周側基準値又は変形度判定用内周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の変形度を判定することもでき、成形品の変形等による形状不良について、より適切に欠陥検査を行うことができる。
【0017】
さらに、比較判定手段が、前記面積値と予め設定された基準面積値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定すると、より正確な形状欠陥検査を行うことができる。
【0018】
また、比較判定手段は、さらに、前記成形品の輪郭に沿うように設定された検査ラインにおける、前記抽出画像の画素の存否に基づいて、前記成形品の形状良否を判定することで、より正確な形状欠陥検査を行うことができる。
【0019】
この発明の第2の態様によると、抽出されたエッジ画像に基づいて、前記成形品の少なくとも一組の対辺と略平行に延びるように設定された基準ラインに沿って、複数箇所で、前記基準ラインに略直交する方向におけるエッジ間距離を取得し、この各エッジ間距離と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定しているため、略方形環状の成形品にバリや欠け等が生じていると、その部分でのエッジ間距離が基準値と大きく異なるので、その形状欠陥を検出することができる。このため、略方形環状の成形品に対して的確にバリや欠け等の形状欠陥検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態に係る成形品外観検査装置が適用された成型検査装置について説明する。
【0021】
まず、成型対象となる成形品の一例について説明しておく。図1は成形品を示す斜視図であり、図2は同成形品を金型成型する途中工程を示す断面図である。
【0022】
この成形品1は、ゴムや樹脂等により成型される環状の成形品である。ここでは、成形品1は、ゴムにより略方形環状(ここでは所定方向に長い略長方形環状)に成型されている。そして、成形品1の内周面には、その周方向に沿って2つの環状溝2が形成されると共に、成形品1の外周面には、その周方向に沿って突出する膨出突起部3が形成されている。この成形品1は、例えば、コネクタ嵌合部の内周部或は外周部に配設されて、コネクタ嵌合部への水の侵入等を防止する部品、即ち、防水コネクタ用のゴム栓として用いられる。
【0023】
上記成形品1は、上金型22と下金型24との間に挟込まれる中金型26を用いて成型される。
【0024】
すなわち、略板状の中金型26に、上記成形品1の外周側面に対応する内周面形状を有するキャビティ孔26hが形成されている。このキャビティ孔26hは、中金型26の一方面側(上面側)及び他方面側(下面側)に開口しており、上金型22及び下金型24は、キャビティ孔26hの上方開口及び下方開口をそれぞれ閉塞する。これら上金型22及び下金型24のうちの一方側(ここでは下金型24)に、成形品1の内周側面に対応する外周面形状を有する中子25が一体形成されている。
【0025】
そして、上記中子25をキャビティ孔26h内に配設するようにして、キャビティ孔26hの上下開口を上金型22及び下金型24で閉塞した状態で、図示省略のランナー、ゲートを通じてキャビティ孔26h内に、溶融ゴムを充填する。そして、冷却、固化後、上金型22及び下金型24を除去すると、キャビティ孔26h内に成形品1が残る。これを中金型26のキャビティ孔26hから離型することで、成形品1が製造されることとなる。
【0026】
本実施形態では、上記のような略方形環状の成形品1を対象とする外観検査装置が、下記の成型検査装置に一体的に組込まれた形態で説明する。
【0027】
図3は成型検査装置の全体側面の概略構成を示す説明図であり、図4は成型検査装置の全体平面の概略構成を示す説明図である。
【0028】
まず、この成型検査装置が、成形品1を成型して排出するための基本的構成及び動作について説明する。この成型検査装置は、成形品1を金型成型するための成形機10と、成形機10で成型された成形品1を成形品受排出機50に中継受渡しするための成形品中継受渡機30と、脱型された成形品1を受取って排出するための成形品受排出機50とを備えている。
【0029】
成形機10は、上金型22と、下金型24と、これらの間に挟込まれる中金型26とを備えている。
【0030】
図5は、中金型26を示す平面図である。この中金型26は、所定厚みを有する略方形板状の金属部材とされている。この中金型26の中央部の略円形領域内に、上述した形状のキャビティ孔26h(図2参照)が、複数適宜配列にて形成されている。
【0031】
図3及び図4に戻って、この中金型26は、下金型24と共に、金型水平駆動機構12によって、上金型22下方の成型位置(図3で右側に移動した位置)と、成形品中継受渡機30側の受渡し位置(図3で左側に移動した位置)との間で、移動自在とされている。
【0032】
また、上金型22は、図示省略の金型昇降駆動機構によって昇降自在とされている。
【0033】
そして、下金型24及び中金型26が、成型位置に位置する状態で、上金型22が下降することで、中金型26の各キャビティ孔26hの上下開口が上金型22及び下金型24で閉じられる。この状態で、各キャビティ孔26h内に溶融ゴムが充填される。
【0034】
さらに、ゴムの冷却、固化後、上金型22が上方に移動し、この後、下金型24及び中金型26が受渡し位置に移動して、中金型26が成形品中継受渡機30側に受渡される。
【0035】
成形品中継受渡機30は、上記中金型26を受取って略水平姿勢に保持する金型受台32と、この金型受台32を昇降移動させるための金型受台昇降機構34と、中金型26の各キャビティ孔26hから成形品1を脱型させるための脱型ノズル機構36とを有している。
【0036】
金型受台32は、中金型26の両側部を挟持可能な一対の挟持部32aを有している。また、金型受台昇降機構34は、エアシリンダ等のアクチュエータの駆動により、金型受台32を、金型受位置と、金型検査位置と、脱型位置との間で昇降駆動させるように構成されている。
【0037】
すなわち、金型受台32を最下方位置の金型受位置に配設した状態で、中金型26が下金型24と共に、受渡し位置に移動する。すると、金型受台32の一対の挟持部32aが中金型26の両側部を挟持して該中金型26を受取る。そして、中金型26を上昇させることで、中金型26と下金型24とが分離する。
【0038】
この後、金型受台32を、上下方向中位置の金型検査位置に上昇移動させて一定時間停止させる。この状態で、後述するようにして、中金型26の各キャビティ孔26hにおける各成形品1の撮像が行われる。
【0039】
さらに、金型受台32を、最上方位置の脱型位置に上昇移動させる。そして、この位置で、中金型26の各キャビティ孔26hから成形品1が脱型される。
【0040】
脱型ノズル機構36は、エアを噴出するエアノズル37と、このエアノズル37を水平移動させるノズル水平移動機構38とを備えている。
【0041】
エアノズル37は、図示省略のエア供給源からのエアを、キャビティ孔26hから成形品1を離型させることができる程度の圧力で噴出する。ノズル水平移動機構38は、XYロボット等によって構成されており、脱型位置における中金型26の各キャビティ孔26hの上方を順次通過するように、エアノズル37を水平移動させる。
【0042】
そして、エアノズル37が各キャビティ孔26hの上方を通過する際、各キャビティ孔26h内にその上方から下方に向けて離型用のエアが吹付けられ、このエア圧を受けて各キャビティ孔26h内から成形品1が離型される構成となっている。
【0043】
成形品受排出機50は、成形品受部52と、成形品受部52を移動させる受部移動手段としての受部移動機構60とを備えている。
【0044】
成形品受部52は、上記中金型26より脱型される成形品1を一定姿勢で受取り可能に構成されている。この成形品受部52についてのより具体的な構成については、後述する。
【0045】
受部移動機構60は、成形品受部52を、上記中金型26から成形品1を受取る受位置(図3で右側の位置)と、不良な成形品1を排出する不良品排出位置(図3で真ん中の位置)、良好な成形品1を排出する良品排出位置(図3で左側の位置)との間で、水平移動させる。
【0046】
すなわち、受部移動機構60は、底板部61の両側部に一対の側板部62が立設された可動フレーム部63を有している(図6及び図7参照)。この可動フレーム部63は、レール64を介して、装置筐体18上に水平移動自在に支持されると共に、モータ64a、ねじ軸64b及びナット部64cを有するボールねじ機構によって水平駆動されるようになっている。すなわち、装置筐体18側にモータ64aが固設されると共に、このモータ64aの回転軸にねじ軸64bが連結されている。また、ナット部64cがねじ軸64bに螺合された状態で、可動フレーム部63の底面に固設されている。そして、モータ64aの正転方向或は逆転方向の回転によって、ナット部64cがねじ軸64bに沿って螺合しつつ移動し、これにより、可動フレーム部63が水平移動するようになっている。
【0047】
また、本成形品受排出機50は、不良品排出機構82を備えている。不良品排出機構82は、例えば、各成形品1を一つだけ把持可能な把持部と、該把持部を移動させるロボット等の組合わせにより構成されている。この不良品排出機構82は、上記不良品排出位置に配設された受部52上の各成形品1のうち、後述する良否判定手段78により不良品と判定されたものを、一つずつ把持して、不良品回収部82aに排出する。
【0048】
さらに、成形品受排出機50は、良品排出機構84を有している。良品排出機構84は、例えば、成形品受部52上の各成形品1を寄せ集めて排出する略U字枠状の排出フレーム84aと、成形品受部52上で該排出フレーム84aを移動させる移動手段等との組合わせにより構成される。そして、良品排出機構84は、良品排出位置に配設された成形品受部52上に残る良品の成形品1を、押出すようにして外部の良品回収部85aに排出可能に構成されている。また、多数個排出時の製品のかさばりをなくすために上記排出フレーム84aにエアーによる吹飛ばし機構を付加している。
【0049】
本成型検査装置の全体構成は上記のようになっており、次に、第1撮像ユニット40にて成形品1を撮像するための構成について詳述する。
【0050】
第1撮像ユニット40は、上記成形品受排出機50に一体的に組付けられた形態とされている。図6は、第1撮像ユニット40が組付けられた成形品受排出機50を示す一部断面側面図であり、図7は同成形品受排出機50を示す平面図である。
【0051】
この第1撮像ユニット40は、第1撮像手段としての第1撮像カメラ42を備えている。この第1撮像カメラ42は、中金型26の上方撮像位置(他方面側位置、図6では実線で示す上側の位置)と、中金型26の下方撮像位置(下方面側位置、図6では2点鎖線で示す下側の位置)との間で、移動自在に配設されている。そして、第1撮像カメラ42は、上方撮像位置で、第1上反射部43aによる光反射を利用して、中金型26の上面側からキャビティ孔26h内における脱型前の成形品1を撮像すると共に、下方撮像位置で、第1下反射部43bによる光反射を利用して、中金型26の下面側からキャビティ孔26h内における脱型前の成形品1を撮像する構成となっている。
【0052】
より具体的には、成形品受排出機50の可動フレーム部63の前端部(成形品中継受渡機30側の端部)は、上下二股状に分れる突出支持部63a,63bを有しており、その突出支持部63a,63b間に中金型26を略水平姿勢で挿通配置可能な程度の空間が形成されている。
【0053】
また、上側の突出支持部63aの先端部内に、第1上反射部43a及び第1上照明部44aが設けられると共に、下側の突出支持部63bの先端部内に、第1下反射部43b及び第1下照明部44bが設けられている。
【0054】
上記第1上照明部44aは、発光ダイオード等の発光源を有しており、両突出支持部63a,63b間に配設される中金型26の上面を照し出すように構成されている。また、第1上反射部43aは、プリズムや一般的な反射鏡等により構成されており、両突出支持部63a,63b間に配設される中金型26上面側からの光を反射して、上方撮像位置における第1撮像カメラ42に向けて導く導光手段として機能する。
【0055】
また、第1下照明部44bは、上記第1上照明部44aと同様構成により、両突出支持部63a,63b間における中金型26の上面を照し出すように構成されている。また、第1下反射部43bは、上記第1上反射部43aと同様構成により、両突出支持部63a,63b間における中金型26の下面からの光を反射して、下方撮像位置における第1撮像カメラ42に向けて導く導光手段として機能する。
【0056】
第1撮像カメラ42は、可動フレーム部63の後端部(成形品中継受渡機30から遠い方の端部)内で、昇降ガイドレール62aを介して昇降自在に支持されている。そして、エアシリンダ等のカメラ昇降駆動部62bにより、上方撮像位置と下方撮像位置との間で昇降駆動されるように構成されている。
【0057】
この第1撮像カメラ42としては、撮像画像を映像信号として出力するCCDカメラ等が用いられる。本実施形態では、第1撮像カメラとして、一次元の画像を映像信号として出力するラインセンサ(リニアセンサともいう)を用いている。勿論、2次元撮像カメラを用いてもよい。
【0058】
本実施形態では、第1撮像ユニット40による成形品1の撮像は、次のようにして行われる。
【0059】
すなわち、図8(a)に示すように、中金型26が金型受台32によって金型検査位置に保持され、かつ、第1撮像カメラ42が上方撮像位置に配設された状態で、可動フレーム部63を成形品中継受渡機30側に移動させる。
【0060】
そして、図8(b)に示すように、中金型26が突出支持部63a,63b間に配設されて、第1上反射部43a及び第1上照明部44aが中金型26の上方を通過することで、次のようにして、中金型26の上面側の2次元画像が得られる。
【0061】
すなわち、図8(b)に示す状態で、第1上照明部44aからの照明光が中金型26の上面側を照らし出すと共に、中金型26の上面側からの光が、第1上反射部43aで反射されて、第1撮像カメラ42に導かれる。これにより、中金型26の上面側の一次元的な画像が得られる。そして、可動フレーム部63の移動により、第1上反射部43aが中金型26の上方を走査することによって、中金型26の上面側の連続的な一次元的な画像が得られ、これに基づいて、中金型26の上面側の2次元画像、即ち、中金型26のキャビティ孔26h内における脱型前の各成形品1の上方からの画像が得られる。
【0062】
次に、図8(c)に示すように、第1上反射部43aが中金型26の上方全体を通過するまで、可動フレーム部63を移動させた状態で、一転停止させる。そして、第1撮像カメラ42を下方撮像位置に下降させる。
【0063】
この後、図8(d)に示すように、可動フレーム部63を、成形品中継受渡機30から遠ざかる方向に移動させる。すると、第1下照明部44b及び第1下反射部43bが中金型26の下方を通る段階で、第1下照明部44bからの照明光が中金型26の下面側を照らし出すと共に、中金型26の下面側からの光が、第1下反射部43bで反射されて、第1撮像カメラ42に導かれる。これにより、上記と同様にして、中金型26の下面側の2次元画像、即ち、中金型26のキャビティ孔26h内における脱型前の各成形品1の下方からの画像が得られる。
【0064】
最後に、図8(e)に示すように、可動フレーム部63が元の位置に戻るまで移動することで、中金型26の上下面側の撮像が終了する。この撮像画像に基づいて、良否判定手段78において、各成形品1の良否検査が行われる。
【0065】
これらの構成により、単一の第1撮像ユニット40により、中金型26の上下両方面側からキャビティ孔26hにおける脱型前の成形品1を撮像して検査することができ、より低コストでより精度の高い検査を行うことができることになる。
【0066】
特に、第1上反射部43a及び第1下反射部43bを利用して、第1撮像カメラ42を中金型26の外周側で直線的に昇降させる構成としているため、第1撮像カメラ42の昇降移動用の構成をコンパクトかつ簡易なものとすることができるという利点もある。
【0067】
成形品受排出機50は、中金型26より脱型される成形品1を一定姿勢で受ける成形品受部52を有している。
【0068】
上記成形品中継受渡機30の脱型ノズル機構36と、上記成形品受部52とで、キャビティ孔26hを有する中金型26から環状の成形品1を脱型して受取るための脱型受取装置が構成される。
【0069】
すなわち、脱型受取装置は、最小限の構成要素として、エア吹付手段としてのエアノズル37と、受ピン部55とを備えており、エアノズル37は脱型ノズル機構36に組込まれており、受ピン部55は成形品受部52に組込まれた構成とされている。
【0070】
脱型ノズル機構36は、既述したように、中金型26の各キャビティ孔26hの上方を順次通過するように、エアノズル37を水平移動させて、中金型26の上面側から各キャビティ孔26h内の成形品1に向けて脱型用のエアを吹付ける構成となっている。
【0071】
図9は成形品受部52を示す平面図であり、図10は同成形品受部52を示す一部断面側面図である。なお、図10において、左半部は受ピン部55が上方に突出した状態、右半部は受ピン部55が下方に退避した状態を示している。
【0072】
成形品受部52は、下側から順番に、基本プレート部53と、ピン支持プレート部54と、受プレート部56とが積層状に配設されてなる。
【0073】
基本プレート部53は、可動フレーム部63の一端側上部に固設されている。この基本プレート部53の中央部には、後述するピン支持プレート部54や受プレート部56の昇降支持・駆動機構と干渉しない程度の孔部が形成されている。
【0074】
受プレート部56は、円形受プレート部57と、外周プレート部58とを備えている。外周プレート部58は、ガイドピン58aを介して、基本プレート部53上で昇降自在に支持されており、エアシリンダ等のプレート昇降駆動部58bによって昇降駆動されるように構成されている。
【0075】
また、この外周プレート部58には、略円形状の孔部58hが形成されており、この孔部58hを上方から塞ぐようにして、上方へ移動自在に円形受プレート部57が配設されている。
【0076】
この円形受プレート部57のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、後に詳述する孔部57ha,57hbが形成されている(図10,図11参照)。
【0077】
また、ピン支持プレート部54は、上記円形受プレート部57に対応する広がりを持つ板状部材に形成されており、その上面に上記各孔部57haに挿入可能な受ピン部55が複数突出形成されている。
【0078】
このピン支持プレート部54は、ガイドピン54bを介して、上記受プレート部56に対して相対的に昇降自在に支持されている。また、エアシリンダ等のピン昇降駆動部59の本体部59aがピン支持プレート部54側に固設されると共に、その本体部59aより出退駆動するロッド部59bが外周プレート部58に連結固定されている。
【0079】
そして、ロッド部59bが進出した状態では、受ピン部55が外周プレート部58の下方へ所定距離離れたピン退避位置に配設される。この状態では、受ピン部55は上記孔部57haの奥方へ退避した状態となっている(図12参照)。
【0080】
この状態から、ロッド部59bが退避すると、まず、ピン支持プレート部54が昇降移動する。そして、その途中で、円形受プレート部57の下面に形成された突起部57cがピン支持プレート部54の上面に当接する。この後、ピン支持プレート部54が継続して昇降移動することで、円形受プレート部57も若干上方へ持上げられることになる。この状態では、受ピン部55は、上記孔部57haの上方へ突出するようになる(図11参照)。
【0081】
成形品受部52において脱型された各成形品1が受取られる要部構成について説明する。図11は中金型26から脱型された成形品1が受ピン部55に受取られる途中状態を示す図であり、図12は成形品1が円形受プレート部57上に載置された状態を示す図である。
【0082】
すなわち、ピン支持プレート部54のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、一対の受ピン部55が突出形成されている。
【0083】
各一対の受ピン部55は、各キャビティ孔26h内における環状の成形品1内に挿入されて、脱型される成形品1を受取る構成となっている。
【0084】
より具体的には、各受ピン部55は、円棒状のピン本体部55aの先端部に、先端方向に向けて順次細くなる先細端部55bが形成された構成とされている。
【0085】
一対のピン本体部55a間の外側幅寸法は、成形品1の長手方向における内径寸法と略同一に設定されている。そして、一対の受ピン部55を環状の成形品1内に挿通させるようにして、該環状の成形品1をその内周側から少なくとも2カ所で支持する。より具体的には、一対のピン本体部55aを環状の成形品1の内周部に少なくとも2カ所で接触させるようにして、成形品1を支持する。これにより、脱型された成形品1を一定姿勢かつ一定位置で受取ることができるようになっている。
【0086】
また、ピン昇降駆動部59の駆動により、各受ピン部55を孔部57haの上方へ突出させた状態では、ピン本体部55aはキャビティ孔26h内に入り込まず、先細端部55bの先端部だけが部分的にキャビティ孔26h内の環状の成形品1内に入り込むようになっている。そして、キャビティ孔26hから脱型される成形品1を受ピン部55が受取る状態で、受ピン部55の先細端部55bとキャビティ孔26hとの間に、成形品1が脱型でき、かつ、成形品1が表裏反転しない程度の空間が形成されている。これにより、後に詳述するように、脱型される成形品1の表裏反転を防止しつつ、一対の受ピン部55が脱型される成形品を受取ることができるようになっている。
【0087】
なお、受ピン部55は、単独で成形品1を支持する構成であってもよいし、また、3つ以上設けて成形品1を支持する構成であってもよい。
【0088】
なお、このピン支持プレート部54における各一対の受ピン部55間の位置、即ち、キャビティ孔26hに対応する位置には、エア抜き孔54hが形成されている。
【0089】
また、円形受プレート部57のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、上記各一対の受ピン部55を挿通可能な一対の孔部57haが形成されると共に、その各一対の孔部57ha間に、エア抜き用の孔部57hbが形成されている。
【0090】
上述した構成により、中金型26から脱型された成形品1が受ピン部55に受取られる動作を説明すると、次のようになる。
【0091】
まず、キャビティ孔26h内に成形品1を有する中金型26が、金型受台32に保持されて、金型受台昇降機構34により脱型位置に上昇した状態で(図3で最も上方位置)、成形品受部52が中金型26の下方位置に移動する。そして、この状態で、プレート昇降駆動部58bの駆動により外周プレート部58が上昇すると共に、ピン昇降駆動部59の駆動によりピン支持プレート部54も上昇する。
【0092】
これにより、図11に示すように、円形受プレート部57が中金型26の下方に、成形品1を載置可能な程度の間隔をあけて配設される。また、各一対の受ピン部55が、各一対の孔部57ha内に挿通されると共に、各一対の受ピン部55の先端部が各キャビティ孔26h内に入り込んだ状態となる。
【0093】
この状態で、脱型ノズル機構36のエアノズル37が、ノズル水平移動機構38の駆動により、中金型26の各キャビティ孔26hの上方を順次通過するように移動する。そして、エアノズル37から噴出されるエアが、所定のキャビティ孔26h内の成形品1に吹付けられると、そのエア圧力を受けて成形品1がキャビティ孔26hから離型する。
【0094】
すると、一対の受ピン部55が成形品1内に挿入されつつ、成形品1が円形受プレート部57上に移動する。このようにして、成形品1が一定位置かつ一定姿勢で受ピン部55に受取られる。
【0095】
ここで、成形品1がキャビティ孔26hから脱型される動作をより詳細に説明しておく。図13は、成形品1がキャビティ孔26hから脱型される状態を説明するための図である。
【0096】
すなわち、中金型26の上方にあるエアノズル37からのエアを、キャビティ孔26h内の成形品1に吹付ける。すると、まず、図13に実線で示すように、エアが成形品1の上端部にあたって、当該上端部を内向きに捲れるように押下げる。これにより、図13に1点鎖線で示すように、成形品1の外周面のうちの上側部分が、キャビティ孔26hの内周面から型離れし、その内周側に押込まれるようになる。その途中で、成形品1の上端部が、受ピン部55の先細端部55bに当接する。これにより、成形品1の下端部がキャビティ孔26hの内周面に密着したままの状態で、その下端部だけが下方に押込まれるのを防止できる。
【0097】
そして、上記エアにより、成形品1の外周面の全体がキャビティ孔26hの内周面から型離れし、成形品1がキャビティ孔26hから脱型される。この後、図13に2点鎖線で示すように、成形品1は、表裏反転しない状態で、キャビティ孔26hの内周面と受ピン部55の外周面との間の空間を通って、キャビティ孔26hの下方に移動する。
【0098】
ちなみに、比較例として、図14に、受ピン部55が無い状態で、成形品1が脱型される状態を示しておく。
【0099】
同図に示すように、エアを、上方からキャビティ孔26h内の成形品1に吹付けると、図14に実線で示すように、エアが成形品1の上端部にあたって、当該上端部を下方に押下げる。これにより、図14に1点鎖線で示すように、成形品1の外周面のうちの上側部分が、キャビティ孔26hの内周面から捲れるように型離れし、その内周側に押込まれるようになる。さらに、続いてエアが上方から成形品1に吹付けられると、成形品1の型離れの具合によっては、成形品1の外周面の下端部がキャビティ孔26hの内周面に密着したままの状態で、エアが成形品1の上端部を下方内側に押込む。そうすると、図14に2点鎖線で示すように、成形品1が、部分的に或は全体的に表裏反転してひっくり返ってしまうことになる。
【0100】
そこで、図13に示すように、受ピン部55で環状の成形品1の表裏反転を防止するのである。この場合に、キャビティ孔26hと受ピン部55との間に形成される空間としては、例えば、先細端部55bとキャビティ孔26hとの間の最小幅寸法Wを、成形品1の厚み寸法Tよりも大きくし、かつ、成形品1の上下長さ寸法よりも小さくすることが好ましい。最小幅寸法Wを、成形品1の厚み寸法Tよりも大きくすることで、成形品1が先細端部55bとキャビティ孔26hとの間を通って容易に脱型して下方へ移動できるからである。また、最小幅寸法Wを成形品1の上下長さ寸法Lよりも小さくすることで、例えば、脱型途中で、成形品1の上側が内側に捲れるようにして変形しようとしても、その上部が先細端部55bの外面に当接して、その表裏反転が防止されるからである。
【0101】
もっとも、上記空間は、成形品1の表裏反転を防止しつつ、円滑な脱型が行われる程度となるように、成形品1の形状、大きさ、材質等に応じて、適宜調整、設定される。
【0102】
また、受ピン部55が脱型される成形品1を受取る状態では、中金型26と円形受プレート部57とは、成形品1の上下長さ寸法よりも大きな間隔があく程度に離間している。そして、成形品1が、円形受プレート部57上に移動した後の状態でも、成形品1と中金型26との間にエアの逃げ路となる十分な隙間が設けられるようになっている。
【0103】
このため、脱型用のエアは、円形受プレート部57と中金型26間の空間と、孔部57haからエア抜き孔54hを経由した流路のそれぞれを通って、外部に流れていく。なお、エアの外部への流路は、上記のうちいずれか一方だけであってもよい。
【0104】
上記のようにして、成形品1が脱型されて円形受プレート部57上に移載された後、プレート昇降駆動部58bの駆動により外周プレート部58が下降すると共に、ピン昇降駆動部59の駆動によりピン支持プレート部54を下降させる。すると、図12に示すように、各一対の受ピン部55が各孔部57haの下側に退避移動する。これにより、各成形品1が、一対の受ピン部55により受取られた一定姿勢のままで、かつ、一定位置に整列された状態で、円形受プレート部57上に移載されることになる。
【0105】
本実施形態では、受ピン部55が環状の成形品1をその内側から支持して一定姿勢で受取っているため、成形品1の外周部の形状認識を精度よく行うことができるという利点がある。
【0106】
第2撮像ユニット70は、図3及び図15に示すように、上記成形品受部52が成形品1を受取る受位置から成形品1を排出する位置(ここでは不良な成形品1を排出する不良品排出位置)に移動する途中で、上記成形品受部52で保持された各成形品1を撮像する第2撮像手段としての第2撮像カメラ72を有している。
【0107】
より具体的には、この第2撮像ユニット70は、第2撮像カメラ72と第2反射部74と第2照明部75とを有している。
【0108】
上記第2照明部75は、発光ダイオード等の発光源を有しており、成形品受部52が受位置から不良品排出位置に移動する経路の途中上に配設されている。そして、当該経路の移動途中で、成形品受部52上の各成形品を照し出す構成となっている。
【0109】
また、第2反射部は、プリズムや一般的な反射鏡等により構成されており、前記第2照明部75の上方位置に配設されている。そして、成形品受部52が前記経路を移動する途中で、その上に載置された各成形品1からの光を反射して、第2撮像カメラ72に導くように構成されている。
【0110】
第2撮像カメラ72は、装置筐体18の上方位置に図示省略のブラケットを介して固設されている。この第2撮像カメラ72としては、上記第1撮像カメラ42と同様に、CCDカメラ等、特に本実施形態では、ラインセンサを用いている。勿論、2次元撮像カメラを用いてもよい。
【0111】
そして、本実施形態では、第2撮像ユニット70による成形品1の撮像は次のようにして行われる。
【0112】
すなわち、各成形品1が中金型26から脱型されて成形品受部52に載置された状態で、可動フレーム部63の移動により、成形品受部52を受位置から不良品排出位置に移動させる。
【0113】
そして、図15に示すように、成形品受部52が第2反射部74及び第2照明部75の下方位置を通ると、第2照明部75からの照明光が成形品受部52上の各成形品1を照らし出すと共に、その各成形品1からの光が第2反射部74で反射されて、第2撮像カメラ72に導かれる。これにより、中金型26の上面側の一次元的な画像が得られる。そして、成形品受部52の移動に伴い、第2反射部74が成形品受部52の上方を走査することによって、成形品受部52上の連続的な一次元的な画像が得られ、これに基づいて、成形品受部52の上面側の2次元画像、即ち、脱型後の各成形品1の上方からの画像が得られる。そして、この撮像画像に基づいて、良否判定手段78において各成形品1の良否検査や個数検査が行われる。
【0114】
なお、図16に示すように、第1撮像カメラ42が上方撮像位置に配設された状態で、中金型26の上面に焦点を合わせて、成形品1の上端部を撮像するのが好ましく(V1参照)、また、第1撮像カメラ42が下方撮像位置に配設された状態では、中金型の下面に焦点を合わせて、成形品1の下端部を撮像するのが好ましい(V2参照)。そして、上記第2撮像ユニット70は、成形品1のうち上記第1撮像ユニット40で撮像できなかった部分、例えば、成形品1のうちキャビティ孔26h内に入り込んでいた部分(例えば、成形品1の外側面の上下中間部)等に焦点を合わせて撮像を行うとよい(V3参照)。もっとも、この例に限られず、成形品1のどの部分に焦点を合わせて撮像を行ってもよい。
【0115】
図17は、本成型検査装置の全体ブロック図である。同図に示すように、この成型検査装置は、制御部76を備えており、この制御部76により、金型成型、脱型、成形品の収集等の全体動作制御がなされる。
【0116】
また、この成型検査装置は、第1撮像ユニット40及び第2撮像ユニット70からの撮像画像データに基づいて、成形品1の形状良否判定を行う良否判定手段78を備えている。この良否判定手段78の判定結果に基づいて、上記制御部76は、不良品排出制御等を行う。
【0117】
本実施形態では、撮像手段としての第1撮像カメラ42及び第2撮像カメラ72と、良否判定手段78とで、成形品外観検査装置が構成されている。
【0118】
良否判定手段78は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータによって構成されている。図18は、良否判定手段78としてパーソナルコンピュータを用いた場合における、成形品外観検査装置のブロック図を示している。
【0119】
同図に示すように、良否判定手段78としてのパーソナルコンピュータは、バス78aに接続されたCPU78bやメモリ78c等を備えている。また、上記第1撮像カメラ42及び第2撮像カメラ72は、画像キャプチャーボード等のインターフェースボード78dを介して上記バス78aに接続されている。そして、本良否判定手段78は、予め格納されたソフトウエアプログラムを読込んで、上記第1撮像カメラ42及び第2撮像カメラ72の撮像画像データに基づいて、後述する図20に示す各外観検査処理を行う。
【0120】
上記のように構成された成形検査装置において、まず、その全体的な動作を中心に説明する。
【0121】
図19は、本成型検査装置の動作のうち、中金型26が成形品中継受渡機30に受渡された後、成形品が排出されるまでの動作を中心に説明するためのフローチャートである。
【0122】
まず、成形機10によって成形品1が金型成型された後、中金型26が、成形機10から取出され、成形品中継受渡機30の金型受台32に保持され、金型検査位置に配設される。
【0123】
この状態で、ステップS1に示すように、可動フレーム部63の成形品中継受渡機30側への移動により、第1撮像ユニット40が前進移動しつつ、中金型26の上面側から、当該中金型26の各キャビティ孔26h内の成形品1が撮像される。
【0124】
この後、ステップS2において、第1撮像カメラ42が下降する。
【0125】
そして、ステップS3において、可動フレーム部63の成形品中継受渡機30側から遠ざかる方向への移動により、第1撮像ユニット40が後退移動しつつ、中金型26の下面側から、当該中金型26の各キャビティ孔26h内の成形品1が撮像される。
【0126】
この後、ステップS4において、中金型26が脱型位置まで上昇する。そして、ステップS5において、可動フレーム部63の前進移動により、成形品受部52が前進して、中金型26の下方位置へ移動する。
【0127】
この後、ステップS6において、各成形品1の脱型、成形品受部52への移載がなされる。
【0128】
次に、ステップS7において、可動フレーム部63の前進移動により、成形品受部52が後退すると共に、その後退途中で、第2撮像ユニット70により、成形品受部52上における各成形品1がその上側から撮像される。
【0129】
そして、ステップS8では、第2撮像ユニット70で撮像された画像データに基づいて、成形品受部52上での成形品1の個数カウントを行い、そのカウント個数が、規定の成形品個数(中金型26に形成されたキャビティ孔26hの個数)であるか否かを判定する(脱型確認)。そして、カウント個数が規定数よりも少なく脱型残りがあると判断された場合には、ステップS12に進んで、本成型検査装置を停止させる。この後、作業者が、中金型26の各キャビティ孔26h内等を目視で確認し、各キャビティ孔26h内に成形品1が残留している場合には、これを除去する。これにより、成形品1のキャビティ孔26h内残留によって引き起される不具合を未然に防止できる。
【0130】
一方、ステップS8において、カウント個数が規定数を満たしていると判断された場合には、ステップS9に進んで、第1撮像ユニット40及び第2撮像ユニット70で撮像された画像データに基づいて、各成形品1の外観形状検査を行う。なお、この際、第1撮像ユニットで撮像された画像データに基づく検査では、どの位置のキャビティ孔26hで形状不良が生じたかを特定できる。
【0131】
そして、所定の成形品1が形状不良であると判定された場合には、ステップS11に進んで、不良品排出機構82により、当該不良品と判定された成形品1を外部に排出する。
【0132】
一方、ステップS9において、所定の成形品1に対する形状不良が検出されなかったとき、また、ステップS11において不良品排出後、ステップS10に進む。ステップS10では、良品排出機構84により、成形品受部52上の各成形品1を、良品回収部85aに排出する。これにより、各成形品1が良品と不良品とに区別して排出される。
【0133】
次に、上記ステップS9において行われる外観検査、即ち、成形品外観検査装置の動作について説明する。図20は、一連の外観検査工程を示すフローチャートである。
【0134】
まず、図20に示す一連の外観検査が行われるのに先立って、次の前処理がなされる。すなわち、第1撮像カメラ42からインターフェースボード78dを介して得られた中金型26の上面側からの成形品画像(上面画像)が、バス78aを通じてメモリ78cに転送される。そして、この上面画像に対してイコライズ(平均化)処理等がなされ、続いて、2値化処理を経由して、個々の成形品1の領域部分とその背景(例えば、中金型26の部分)とが分離されて、成形品1領域の画像が抽出される。
【0135】
そして、個々の成形品1に対応する抽出画像に対して、例えば、外周側のエッジ画素の座標を平均化する等して、各成形品1の抽出画像の重心Gが算出される。
【0136】
この後、図20に示す一連の外観検査が行われる。図20では、ステップS21〜S23でバリ、ねじれ検査を行い、ステップS24〜S26で欠肉、変形検査を行い、ステップS27でゲート残り検査を行う。なお、ステップS21〜S27を実施する順序は、適宜変更できる。なお、以下では、一つの対象成形品1について説明するが、他の全ての成形品1に対しても同様の外観検査が行われる。
【0137】
まず、ステップS21では、増面積検査を行う。すなわち、図21に示すように、上記成形品1の抽出画像に基づいて、対象成形品1の面積値を取得する(図21で斜め網模様を付した領域)。なお、この面積値は、例えば、画素数で表される。そして、この面積値を基準増面積値と比較し、面積値が基準増面積値よりも大きい場合に、形状不良と判定する。この基準増面積値は、例えば、良品である成形品1の面積値(以下、良品基準面積値)に、許容される増面積値を加算した値であり、良品の成形品1に基づいて予め決定される。
【0138】
例えば、図22に示すように、対象成形品1の内周側や外周側に、バリ1Ba,1Bbが生じている場合、対象成形品1の抽出画像には、当該バリ1Ba,1Bbの部分が含まれる。従って、面積値は、図22において、斜め網模様を付した領域(本来の成形品1の領域)分の面積値と、斜線を付した領域(バリ1Ba,1Bbの領域)分の面積値との和になる。
【0139】
そこで、取得された面積値が、所定の基準増面積値よりも大きい場合に、上述したようなバリ1Ba,1Bbによる外観形状不良を判定できる。
【0140】
なお、対象成形品1にねじれが生じていて、面積値が増加しているような場合にも、同様に、形状不良を判定できる。
【0141】
また、ステップS22では、内周側検査ライン検査を行う。すなわち、図22に示すように、対象成形品1の内周側の輪郭に沿うように検査ラインLaが設定されている。より具体的には、対象成形品1の抽出画像内周側にある略方形環状輪郭の内側に、略方形環状の内周側検査ラインLaが設定されている。そして、この内周側検査ラインLa上における成形品1の抽出画像の有効画素数を計測し、計測された画素数が予め設定された内周側基準個数よりも大きいと判断された場合に、成形品1が形状不良であると判定する。
【0142】
例えば、図22に示すように、成形品1の内周側にバリ1Baが生じている場合、当該バリ1Baの領域が内周側検査ラインLa上を横切る。従って、内周側検査ラインLa上において、当該バリ1Baによる有効画素が検出される。そして、その有効画素数が上記内周側基準個数よりも大きいと判断された場合に、成形品1が形状不良であると判定される。
【0143】
また、ステップS23では、外周側検査ライン検査を行う。すなわち、図22に示すように、対象成形品1の内周側の輪郭に沿うように検査ラインLbが設定されている。より具体的には、対象成形品1の抽出画像外周側にある略方形環状輪郭の外側に、略方形環状の外周側検査ラインLbが設定されている。そして、この外周側検査ラインLb上における成形品1の抽出画像の有効画素数を計測し、計測された画素数が予め設定された外周側基準個数よりも大きいと判断された場合に、成形品1が形状不良であると判定する。
【0144】
例えば、図22に示すように、成形品1の外周側にバリ1Bbが生じている場合、当該バリ1Bbの領域が外周側検査ラインLb上を横切る。従って、外周側検査ラインLb上において、当該バリ1Bbによる有効画素が検出される。そして、その有効画素数が上記外周側基準個数よりも大きいと判断された場合に、成形品1が形状不良であると判定される。
【0145】
次に、ステップS24では、減面積検査を行う。すなわち、上述したように成形品1の抽出画像に基づいて取得される面積値を、基準減面積値と比較し、面積値が基準減面積値よりも小さい場合に、形状不良と判定する。この基準減面積値は、例えば、上記良品基準面積値に、許容される減面積値を減算した値であり、良品の成形品1の面積値に基づいて予め設定される。
【0146】
例えば、対象成形品1に部分的な欠肉部分(ショートショット)が生じている場合、取得される面積値は、良品の場合の面積値よりも小さくなる。そこで、取得された面積値が所定の基準減面積値よりも小さい場合に、上述したような欠肉部分等による外観形状不良を判定できる。
【0147】
次のステップS25では、途切れ検査を行う。すなわち、成形品1のエッジ画像を抽出し、このエッジ画像に基づいてエッジ間距離Y(n)、X(n)を取得し、このエッジ間距離Y(n)、X(n)と基準値Y(s)、X(s)との比較結果に基づいて、成形品1の形状良否を判定する。特に、成形品1の外周側のエッジ間距離Y(n)、X(n)を取得し、この外周側のエッジ間距離Y(n)、X(n)と、途切れ判定用の外周側基準値Y(s)、X(s)との比較結果に基づいて、成形品1が部分的に途切れているか否かを判定する。
【0148】
より具体的に説明すると、図23に示すように、まず、成形品1の画像に基づいて、対象成形品1の輪郭に対応するエッジ画像を抽出する。
【0149】
そして、そのエッジ画像に基づいて、所定の基準ラインX,Yに沿って、複数箇所でエッジ間距離を取得する。
【0150】
この基準ラインX,Yは、成形品1の少なくとも一組の対辺と略平行に伸びるように設定されたラインである。ここでは、成形品1の外周形状における長辺方向を基準ラインXと設定し、これに直交する短辺方向を基準ラインYと設定してある。
【0151】
また、エッジ間距離は、基準ラインX又はYに略直交する方向におけるエッジ画素間の距離であり、例えば、エッジ画素間の画素数で表される。ここでは、成形品1の外周側のエッジ画像に基づいて、成形品1の外周側のエッジ画素間距離を取得している。
【0152】
本実施形態では、基準ラインXに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・Y(n),Y(n+1),Y(n+2),Y(k)・・・を、一定間隔毎に順次(例えば、左から右へ順次)取得している。また、基準ラインYに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・X(n)・・X(k)・・を、一定間隔毎に順次(例えば、下から上へ順次)取得している。
【0153】
そして、上記各エッジ間距離・・Y(n),Y(n+1),Y(n+2),Y(k)・・・と、予め設定された基準値Y(s)とを比較する。また、上記各エッジ間距離・・X(n)・・X(k)・・を予め設定された基準値X(s)と比較する。これらの基準値Y(s)、X(s)としては、例えば、対象となる成形品1の抽出画像において、前記求められた重心Gを挟むエッジ間距離X(s)、Y(s)、或は、良品である成形品1に基づいて予め決定されたエッジ間距離等が採用される。また、前者の対象成形品1において求められたエッジ間距離X(s)、Y(s)が、予め設定された基準範囲外である場合(例えば、重心Gを通るラインで欠肉が生じていたような場合)に、後者の良品の成形品1に基づくエッジ間距離を基準にするようにしてもよい。
【0154】
そして、上記比較の結果、各エッジ間距離Y(n)、X(n)が上記基準値Y(s)、X(s)の所定割合値(例えば、半分)よりも小さいか否かを判別し、小さいと判別された数が予め設定された所定数よりも多かった場合に、欠肉等による外観形状不良を判定する。
【0155】
例えば、図23に示すように、成形品1が部分的に欠肉していた場合には、その欠肉に対応する部分では、エッジ間距離Y(k)、X(k)としては成形品1の厚み寸法分が取得され、非常に小さくなる。そこで、エッジ間距離Y(n)、X(n)が、基準値Y(s)、X(s)の所定割合値(例えば半分)よりも小さいかどうかを判別することで、欠肉による外観形状不良を判定することができる。なお、基準値Y(s)、X(s)に対する所定割合値は、成形品1の形状等に応じて、途切れを判別できる程度の値が実験的、経験的に設定される。
【0156】
ステップS26では、変形検査を行う。すなわち、成形品1のエッジ画像を抽出し、このエッジ画像に基づいて外周側のエッジ間距離Ya(n)、Xa(n)、内周側のエッジ間距離Yb(n)、Xb(n)を取得し、この外周側のエッジ間距離Ya(n)、Xa(n)、内周側のエッジ間距離Yb(n)、Xb(n)と、外周側の基準値Ya(s)、Xa(s)、内周側の基準値Yb(s)、Xb(s)との比較結果に基づいて、成形品1の形状良否を判定する。特に、外周側のエッジ間距離Ya(n)、Xa(n)、内周側のエッジ間距離Yb(n)、Xb(n)の少なくとも一方と、変形度判定用の外周側基準値Ya(s)、Xa(s)或は内周側基準値Yb(s)、Xb(s)とを比較し、その割合に基づいて対象成形品1の変形度、さらに、変形による不良判定を行う。
【0157】
より具体的に説明すると、図24及び図25に示すように、対象成形品1のエッジ画像に基づいて、所定の基準ラインX,Yに沿って、複数箇所でエッジ間距離を取得する。
【0158】
この基準ラインX,Yは、ステップS25で説明したのと同様に設定されている。
【0159】
また、エッジ間距離は、基準ラインX又はYに略直交する方向におけるエッジ画素間の距離であり、ここでは、図24に示すように、成形品1の外周側のエッジ画像に基づいて、成形品1の外周側のエッジ画素間距離を取得すると共に、図25に示すように、成形品1の内周側のエッジ画像に基づいて、成形品1の内周側のエッジ画素間距離を取得する。
【0160】
すなわち、まず、外周側のエッジ間距離について、図24に示すように、基準ラインXに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・Ya(k),Ya(k+1)・・Ya(n)・・Ya(m),Ya(m+1)・・を、一定間隔毎に順次(例えば、左から右へ順次)取得している。また、基準ラインYに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・Xa(n)・・を、一定間隔毎に順次(例えば、下から上へ順次)取得している。
【0161】
そして、上記各エッジ間距離・・Ya(k),Ya(k+1)・・Ya(n)・・Ya(m),Ya(m+1)・・と、予め設定された基準値Ya(s)とを比較する。また、上記各エッジ間距離・・Xa(n)・・と、予め設定された基準値X(s)とを比較する。
【0162】
これらの基準値Ya(s)、Xa(s)としては、ステップS25の場合と同様の基準値X(s)、Y(s)を採用することができる。
【0163】
そして、上記比較を行った結果、基準値Ya(s)、Xa(s)に対する各エッジ間距離Ya(n)、Xa(n)の割合値を求める。そして、割合値が予め設定された基準範囲外であると判断される数を求め、これが予め設定された所定数よりも多かった場合に、変形による外観形状不良と判定する。
【0164】
ここで、上記割合値は、100パーセントに近い程対象成形品1の変形度が少なく、また、100パーセントよりも大きくなり、或は、100パーセントより小さくなって0パーセントに近づくほど対象成形品1の変形度が大きいことを示している。対象成形品1の変形度がある程度以上大きいと不良となるから、実験的、経験的に、形状不良と判定すべき割合値を求め、これを上限及び下限として上記基準範囲を設定する。
【0165】
例えば、図24に示すように、成形品1の外周部が部分的に凹んでいた場合や外側に膨らんでいた場合には、その部分でのエッジ間距離Ya(k),Ya(k+1)、Ya(m),Ya(m+1)は、基準値Ya(s)よりも大きくなり、又は小さくなる。よって、変形度を示す割合値は、100パーセントよりも大きくなり、或は、小さくなる。そこで、その割合値を求め、その割合値が上記基準範囲外であるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、変形による外観形状不良を判定することができる。
【0166】
また、内周側のエッジ間距離についても上記と同様に、図25に示すように、基準ラインXに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・Yb(k),Yb(k+1)・・Yb(n)・・Yb(m),Yb(m+1)・・を、一定間隔毎に順次(例えば、左から右へ順次)取得している。また、基準ラインYに沿って、それと略直交する方向におけるエッジ間距離・・Xb(n)・・を、一定間隔毎に順次(例えば、下から上へ順次)取得している。
【0167】
そして、上記各エッジ間距離・・Yb(k),Yb(k+1)・・Yb(n)・・Yb(m),Yb(m+1)・・と、予め設定された基準値Yb(s)とを比較する。また、上記各エッジ間距離・・Xb(n)・・と、予め設定された基準値Xb(s)とを比較する。
【0168】
これらの基準値Ya(s)、Xa(s)としては、基準とすべき内周側のエッジ間距離について、ステップS24の基準値X(s)、Y(s)と同様の考えにより求めた値を採用することができる。
【0169】
そして、比較の結果、基準値Yb(s)、Xb(s)に対する各エッジ間距離Yb(n)、Xb(n)の割合値を求め、図24に示す場合と同様にして、その割合値が予め設定された基準範囲外であると判断される数を求め、これが予め設定された所定数よりも多かった場合に、変形による外観形状不良を判定する。
【0170】
このステップS26では、外周側と内周側のそれぞれについて変形による外観形状不良判定を行うことになるため、成形品1の外周側部分だけ、或は、内周側部分だけに、変形不良がある場合でも、その変形不良を判定できる。
【0171】
最後に、ステップS27では、ゲート残り検査を行う。すなわち、図26に示すように、対象成形品1のうち上金型22側に形成されたゲート(ゴムの噴出口部分)に対応する部分に、ゲート検査ラインLgを設定する。図26では、成形品1の上側部分の中央部及び下側部分の中央部に、ゲート検査ラインLgを設定している。そして、その各ゲート検査ラインLgにおいて、対象成形品1の抽出画像の輝度のばらつき度合を計測し、そのばらつき度合が予め設定された所定度合よりも大きい場合に、外観形状不良を判定する。
【0172】
例えば、ゲート部分のゴム等が対象成形品1に残っている場合には、そのゲート残り部分1gの凹凸形状により、輝度のばらつきが生じる。そこで、この輝度のばらつき度合でもって、ゲート残りの不良検査を行うのである。
【0173】
上記前処理やステップS21〜S27の処理は、上記良否判定手段78でなされる。すなわち、良否判定手段78は、成形品1の画像を抽出する画像抽出手段、成形品1の面積値を取得する面積値取得手段、エッジ画像を抽出する手段、エッジ画像から各エッジ間距離を抽出する手段等として処理を行う機能、さらに、面積値の基準面積値との比較結果や、検査ラインLa,Lbにおける抽出画像の画素の存否、エッジ間距離の比較結果、等に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する比較判定手段としての機能を有していることになる。
【0174】
なお、上述した外観検査は、第1撮像カメラ42を通じて得られる中金型26の上面側からの成形品画像(上面画像)に基づいて行う場合について説明した。第1撮像カメラ42を通じて得られる中金型26の下面側からの成形品画像(下面画像)や、第2撮像カメラ72を通じて得られる成形品受部52の上側からの成形品画像に基づく外観検査は、図20に示すステップS27を省略する点を除いて、上記と同様にして行われる。
【0175】
以上のように構成された成形品外観検査装置では、抽出されたエッジ画像に基づいて、所定の基準ラインX、Yに沿って、複数箇所で、エッジ間距離Y(n)、X(n)、Ya(n)、Xa(n)、Yb(n)、Xb(n)を取得し、これらと予め設定された所定の基準値とを比較している。そして、略方形環状の成形品1に欠け、変形等が生じていると、その部分でのエッジ間距離Y(n)、X(n)、Ya(n)、Xa(n)、Yb(n)、Xb(n)が基準値と大きく異なる。従って、前記比較結果に基づいて、成形品1の欠けや変形等による形状欠陥検査を的確に行うことができる。
【0176】
なお、かかる検出方法は、概略的には、エッジ間距離検出と、基準値との比較によって検査を行えるため、比較的迅速な処理が可能であるという利点がある。
【0177】
また、ステップS21,S24等の面積比較による検査では、バリと欠けとが複合的に生じている場合には、全体的にみると、画像中の投影面積は良品のものとほぼ同じとなる場合があり、形状不良を検出できない場合がありうる。ところが、上記検出方法では、外周側のエッジ間距離、又は、内周側のエッジ間距離を所定の基準値と比較することで、形状不良を検出しているため、そのようにバリと欠けとが複合的に生じた不良品をも検出できる。
【0178】
また、特にステップS24のように、外周側のエッジ間距離Y(n)、X(n)と、外周側の基準値Y(s)、X(s)とを比較し、その比較結果に基づいて成形品1が部分的に途切れているか否かを判定しているため、成形品1の途切れによる形状不良について、より適切に欠陥検査を行うことができる。
【0179】
また、ステップS25のように、外周側のエッジ間距離Ya(n)、Xa(n)と内周側のエッジ間距離Yb(n)、Xb(n)のうち少なくとも一方と、外周側の基準値Ya(s)、Xa(n)又は内周側基準値Yb(s)、X(s)とを比較し、その比較結果(割合)に基づいて前記成形品1の変形度を判定しているため、成形品1の変形等による形状不良についても、より適切に欠陥検査を行うことができる。
【0180】
加えて、本装置では、ステップS21,S24のように、面積値と予め設定された基準面積値との比較結果に基づいて、成形品1の形状良否を判定しているため、より正確な形状欠陥検査を行うことができる。
【0181】
さらに、検査ラインLa,Lbにおける、抽出画像の画素の存否に基づいて、成形品1の形状良否を判定しているため、より正確な形状欠陥検査を行うことができる。
【0182】
なお、上記ステップS21〜S27のいずれかにおいて、形状不良と判定された成形品1は不良品として排出されるものである。この場合において、各ステップにおいて不良品の発生態様を特定しておくと(例えば、ステップS25では途切れによる不良、ステップS26では変形による不良と特定される等)、その後の不良品防止対策等が容易になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】成型対象となる成形品の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の成形品を金型成型する途中工程を示す断面図である。
【図3】実施形態に係る成型検査装置の全体側面概略構成を示す説明図である。
【図4】同上の成型検査装置の全体平面概略構成を示す説明図である。
【図5】中金型を示す平面図である。
【図6】第1撮像ユニットが組付けられた成形品受排出ユニットを示す一部断面側面図である。
【図7】同上の同成形品受排出ユニットを示す平面図である。
【図8】第1撮像ユニットによる撮像工程を示す説明図である。
【図9】成形品受部を示す平面図である。
【図10】同上の同成形品受部を示す一部断面側面図である。
【図11】中金型から脱型された成形品が受ピン部に受取られる途中状態を示す図である。
【図12】成形品が円形受プレート部上に載置された状態を示す図である。
【図13】成形品が脱型される動作を説明する図である。
【図14】受ピン部が無い状態で、成形品が脱型される動作を説明する図である。
【図15】第2撮像ユニットによる撮像工程を示す説明図である。
【図16】成形品の撮像ポイントを示す図である。
【図17】成型検査装置の全体ブロック図である。
【図18】成形品外観検査装置のブロック図である。
【図19】成形品の検査動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】一連の外観検査工程を示すフローチャートである。
【図21】成形品の抽出画像を示す図である。
【図22】バリが生じている成形品の抽出画像と検査ラインとの関係を示す図である。
【図23】途切れている成形品の抽出画像と外周側のエッジ間距離との関係を示す図である。
【図24】変形している成形品の抽出画像と外周側のエッジ間距離との関係を示す図である。
【図25】変形している成形品の抽出画像と内周側のエッジ間距離との関係を示す図である。
【図26】成形品の抽出画像とゲート検査ラインとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0184】
1 略方形環状の成形品
1Ba,1Bb バリ
10 成形機
26 中金型
26h キャビティ孔
40 第1撮像ユニット
42 第1撮像カメラ
52 受部
70 第2撮像ユニット
72 第2撮像カメラ
76 制御部
78 良否判定手段
La,Lb 検査ライン
Y(n),X(n) エッジ間距離
Y(s),X(s) 基準値
Ya(n),Xa(n) 外周側のエッジ間距離
Ya(s),Xa(s) 外周側の基準値
Yb(n),Xb(n) 内周側のエッジ間距離
Yb(s),Xb(s) 内周側の基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形環状の成形品を検査する成形品外観検査装置であって、
前記成形品を撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像に基づいて、前記成形品のエッジ画像を抽出するエッジ抽出手段と、
前記抽出されたエッジ画像に基づいて、前記成形品の少なくとも一組の対辺と略平行に延びるように設定された基準ラインに沿って、複数箇所で、前記基準ラインに略直交する方向におけるエッジ間距離を取得するエッジ間距離取得手段と、
前記取得された各エッジ間距離と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する比較判定手段と、
を備えた成形品外観検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の成形品外観検査装置であって、
前記エッジ間距離取得手段は、前記成形品の外周側のエッジ画像に基づく外周側エッジ間距離を、前記エッジ間距離として取得し、
前記比較判定手段は、前記外周側エッジ間距離と途切れ判定用外周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品が部分的に途切れているか否かを判定する、成形品外観検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の成形品外観検査装置であって、
前記エッジ間距離取得手段は、前記成形品の外周側のエッジ画像に基づく外周側エッジ間距離と、前記成形品の内周側のエッジ画像に基づく内周側エッジ間距離とのうち少なくとも一方を、前記エッジ間距離として取得し、
前記比較判定手段は、外周側エッジ間距離と内周側エッジ間距離のうち少なくとも一方と、変形度判定用外周側基準値又は変形度判定用内周側基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の変形度を判定する、成形品外観検査装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の成形品外観検査装置であって、
前記撮像された画像に基づいて、前記成形品の画像を抽出して、前記成形品が存在する面積値を取得する面積値取得手段をさらに備え、
前記比較判定手段は、さらに、前記面積値と予め設定された基準面積値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する、成形品外観検査装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の成形品外観検査装置であって、
前記撮像された画像に基づいて、前記成形品の画像を抽出する画像抽出手段を備え、
前記比較判定手段は、さらに、前記成形品の輪郭に沿うように設定された検査ラインにおける、前記抽出画像の画素の存否に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する、成形品外観検査装置。
【請求項6】
略方形環状の成形品を検査する成形品検査方法であって、
(a)前記成形品の撮像画像に基づいて、前記成形品のエッジ画像を抽出する工程と、
(b)前記抽出されたエッジ画像に基づいて、前記成形品の少なくとも一組の対辺と略平行に延びるように設定された基準ラインに沿って、複数箇所で、前記基準ラインに略直交する方向におけるエッジ間距離を取得する工程と、
(c)前記取得された各エッジ間距離と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、前記成形品の形状良否を判定する工程と、
を備えた成形品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−29846(P2006−29846A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205594(P2004−205594)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】