説明

成膜反応装置

【課題】ウェハにエピタキシャル膜を成膜する成膜反応装置おいて膜厚分布を一層均一化する。
【解決手段】
反応室のガス流入口40Bに、複数本のガス流路36Aからそれぞれのガス流量で反応ガスが供給される。ガス流路36Aの本数は、ガス流入口40Bを中心で二分した片側範囲で5本以上、好ましくは、ウェハ28の直径200mmの場合は8本程度、300mmの場合は12本程度である。隣り合うガス流路36A間のピッチは10mm以上であり、好ましくは12mmから18mm程度である。複数本のガス流路36Aの上流には、各ガス流路36A内のガス流速分布を均一にするための複数のスリット穴38Aをもつバッフル38が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハのような基板の表面にエピタキシャル膜のような膜または層を形成するための成膜反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハの表面にシリコン膜を蒸着させるためのウェハ処理用反応器が開示されている。このウェハ処理用反応器では、反応室の上方と下方にはそれぞれランプの列が配置され、反応室の中央の底部に回転するウェハ受台が水平に設置され、反応室の側壁のウェハを横切って対向する反対側の位置にそれぞれガス流入口とガス排出口が設けられる。成膜工程では、ランプ列が反応室全体を加熱し、ウェハ受台がウェハを回転させ、そして、反応ガスがガス流入口からウェハ表面を横切ってガス排出口へと流れる。
【0003】
ガス流入口はウェハに平行な細長い穴である。そのガス入口内には、複数の垂直な羽根板が設けられ、隣り合う羽根板間にガス輸送溝が形成されている。それら複数のガス輸送溝には、ガス供給多肢管から、それぞれ異なる流量に調整された反応ガス流が供給される。複数のガス輸送溝にそれぞれ供給されるガス流量を変えることにより、ガス流入口を横切る方向でのガス流量の分布を変えることができる。
【0004】
【特許文献1】特許第2641351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来装置において、反応ガスはウェハを横切る間に徐々に消費されるから、反応ガスの濃度は下流にいくほど低下する。そのため、ウェハ上の成膜速度は下流にいくほど低下する。この成膜速度の低下の影響を減らすため、成膜工程中、ウェハは常に回転させられる。その結果、ウェハ上の膜厚分布は、反応ガス消費に伴って凹もしくは凸形状になる。これに対し、ウェハ製品に要求される重要な品質の一つは、膜厚の分布がウェハ全体にわたり均一であることである。そこで、膜厚分布が凹形状もしくは凸形状になる傾向を補償するように、ガス流入口を横切る方向でのガス流量の分布を両端に比べ中央部で大きくなるような凸形状もしくは中央部で小さくなるような凹形状に制御することで、膜厚分布を均一に近づけることができる。
【0006】
半導体ICの回路要素の高精細化に伴い、ウェハ上のエピタキシャル膜などの表層膜に要求される厚均一化の精度も益々高くなりつつある。上述した従来装置では、ガス流入口が例えば7つのガス輸送溝に区分され、それら7つのガス輸送溝のガス流量をそれぞれ変えることで、ガス流量の分布を制御することができる。しかし、7つのガス輸送溝のガス流量を如何に調整しても、実現可能な膜厚均一化の精度には限界があり、益々厳しくなりつつある膜厚均一化への要求を満たすことが困難になりつつある。対策として、ガス流入口内のガス輸送溝の数を7より多い数に増すことができる。しかし、ガス輸送溝の数があまりに多くなりすぎると、次のような別の問題が発生して、かえって膜厚分布の均一を困難になる虞がある。
【0007】
すなわち、ガス流入口内のガス輸送溝の数が増えると、ガス輸送溝間を仕切る羽根板の数も増加し、また、隣り合うガス輸送溝間のピッチ(ガス輸送溝の中心点間の距離)が小さくなる。その結果、羽根板によるガス流速の低下の影響が、ガス流入口を横切るガス流量分布により顕著に現れるようになり、ガス流量分布が例えば鋸刃状または櫛歯状のような凸凹形の分布になって、滑らかさを失ってくる。このことが、膜厚分布を均一にすることをより困難にする。
【0008】
また、ウェハ上の膜厚分布を均一にするために、ガス流入口を横切るガス流量分布をどのように制御するかという制御技術も不可欠である。しかし、特許文献1には、ウェハ処理用反応器の機械的な構造については具体的な開示はあるが、ガス流量分布の具体的な制御技術については特に何の開示もない。
【0009】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、成膜反応装置において、膜厚分布の制御性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従う成膜反応装置は、内部にウェハのような基板が置かれる反応室と、前記反応室に設けられ、前記反応室内の前記基板の周縁に沿った幅方向へ所定範囲で延び、反応ガス流を前記反応室内に流入させるガス流入口と、前記ガス流入口の上流側で前記幅方向へ配列されて前記ガス流入口に連通し、それぞれのガス流量で前記反応ガスを前記ガス流入口に供給する複数本のガス流路と、前記複数本のガス流路のそれぞれのガス流量を制御するガス流量制御装置とを備える。そして、前記ガス流路の本数が、前記ガス流入口の範囲を幅方向の中心で二分した片側範囲にて5本以上であり、かつ、隣り合うガス流路間のピッチが10mm以上である。
【0011】
この構成により、ガス流入口の幅方向でのガス流速分布の制御性が向上し、膜厚分布の均一の精度が向上する。
【0012】
好ましくは、ガス流路間のピッチがほぼ12mmからほぼ18mmの範囲にされる。あるいは、好ましくは、ガス流路間の1ピッチの幅方向範囲におけるガス流入口から出た直後の最大ガス流速と最低ガス流速との差が、ほぼ0.5m/秒以下になるようにされる。あるいは、好ましくは、基板の幅方向の寸法がほぼ200mmである場合に、ガス流路の本数が上記片側範囲にて8本以上にされる。あるいは、好ましくは、基板の幅方向の寸法がほぼ300mmである場合に、ガス流路の本数が上記側範囲にて12本以上にされる。
【0013】
また、さらに、各ガス流路の内部の幅方向でのガス流速分布を均一化するための流速均一化装置が設けられてよい。これにより、膜厚分布の均一の精度がさらに向上する。好適な実施形態では、流速均一化装置は、複数本のガス流路にそれぞれ連通する複数個の整流穴を有し、各整流穴は幅方向に細長いスリット状の穴となっている。
【0014】
また、さらに、複数本のガス流路とそれぞれ連通する複数のガス輸送溝を形成するための複数のブレードを有したブレードユニットが、ガス流入口内に配置されてもよい。このブレードユニットは、ガス流入口の壁を構成する部品から分離可能な別の部品となっていることが好ましい。さらに、そのブレードユニットの中央のガス輸送溝に、ガス流を幅方向の中心へ曲げるためのガス流調整部が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、膜厚分布の制御性能が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかる成膜反応装置の要部を示す断面図である。この成膜反応装置は、例えばシリコンウェハのような半導体ウェハの表面に、シリコンのような半導体材料のエピタキシャル膜を形成するために使用することができる。
【0018】
図1に示すように、この成膜反応装置は、内部に反応室20Aをもつ反応器20を備える。反応室20Aの形状は、扁平なほぼ円柱形である。反応室20Aの上面の全域は、ほぼ円板形のアッパーライナー22でカバーされる。つまり、アッパーライナー22は、反応室20Aの天井壁を構成する。反応器20の底壁は、ほぼ円環形のロワーライナー24と、ロワーライナー24の内側の円形開口内に配置された円板形のサセプタ26とから構成される。
【0019】
アッパーライナー22はその周縁部の全周に、下方に突出した突出環状部22Aを有する。アッパーライナー22の突出環状部22Aは、ロワーライナー24の周縁部24Aに結合し、反応室20Aの側壁を構成する。サセプタ26上に、ウェハ28が載置されることになる。サセプタ26は、その下面にて回転駆動軸30に結合され、成膜工程中、ウェハ28の中心を回転中心として回転駆動されるようになっている。
【0020】
また、反応室20の上方と下方には、それぞれ、加熱用の多数のランプ32,32,…の円環形の列が配置される。ランプ32,32,…からの輻射熱がウェハ28に良好に伝わるよう、アッパーライナー22、ロワーライナー24およびサセプタ28の主要部は、石英のような光透過性の耐熱材料製である。
【0021】
この成膜反応装置の上述した基本的な構造は、公知であるから、それについてのより詳細な説明は、この明細書では省略する。以下では、この成膜反応装置における、本発明の原理に従った、ガス流を反応室22A内に供給するための構造について、詳細に説明する。
【0022】
図2は、ロワーライナー24およびサセプタ26とともに、ロワーライナー24に取り付けられたガス流供給のための各種の部品を、図1のA-A線で見て示した平面図である。以下、図1と図2を参照して、この成膜反応装置のガス流供給のための構造を説明する。
【0023】
反応室20Aの一側(図中左側)の端部にガス流入口20Bが形成される。また、反応室20Aのガス流入口20Bとは反対側(図中右側)の端部には、ガス排出口20Cが形成される。図2に示すように、ガス流入口20Bもガス排出口20Cも、ウェハ28の周縁の外側の近傍位置に配置され、ウェハ28の周縁に沿ってこれとほぼ平行に円弧状に延びている。ガス流入口20Bとガス排出口20Cがウェハ28の周縁に沿って延びている方向(図2中の縦方向)を、以下、「幅方向」という。ガス流入口20Bとガス排出口20Cの幅方向の寸法、つまり幅は、サセプタ26上のウェハ28の直径よりも若干大きい。そして、ガス流入口20Bとガス排出口20Cのそれぞれの幅方向の中心位置は、ウェハ28の同幅方向での中心位置に一致する。従って、反応室20A内では、ガス流入口20Bからガス排出口20Cへ向かう方向へ、ウェハ28の全領域をカバーする広い幅をもつ帯状の反応ガス流が流れる。この帯状の反応ガス流が、ウェハ28の表面の全領域を通過しつつ、ウェハ28の表面上にエピタキシャル膜を形成する。この反応ガス流の幅方向の流速分布が、ウェハ28の表面上の形成されるエピタキシャル膜の膜厚分布を左右することになる。
【0024】
上述したガス流入口20Bの構造をより詳細に述べると、次の通りである。すなわち、ロワーライナー24の周縁部24Aに段状凹部24Bが形成されており、この段状凹部24Bは、図1に示すようにガス流方向に沿った断面(以下、ガス流方向の断面を「縦断面」という)視で、ロワーライナー24の他の部分より下方へ一段凹み、図2に示すように、幅方向においてウェハ28の直径よりも広い距離範囲にわたり円弧状に延びている。また、上記段状凹部24Bに対向するアッパーライナー22の突出環状部22Aの部分には、段状凸部22Bが形成され、この段状凸部22Bは、図1に示すように縦断面視で段状凹部24Bに対応して下方へ一段突出し、また、幅方向において段状凹部24Bと同じ距離範囲にわたり円弧状に延びている。そして、ロワーライナー24の周縁部24Bの段状凹部24Bが存在する範囲の部分と、アッパーライナー22の突出環状部22Aの段状凸部22Bが存在する範囲の部分との間に、上述したガス流入口20Bが形成される。ガス流入口20Bは、図1に示すように縦断面視で階段状に折れ曲がっており、そこを反応ガス流が、図1に点線矢印で示すような方向に流れる。そのため、反応ガス流は、ガス流入口20B内の途中で、段状凹部24Bの前壁24Cに当って上方へ昇ってから、反応室20A内に流入するようになっている。
【0025】
ガス排出口20Cの構造も、上述したガス流入口20Bのそれとほぼ同様である。
【0026】
反応器20のガス流入口20Bに対応する側の外面には、反応ガスを反応器20内に導入するためのインレットフランジ34が取り付けられる。インレットフランジ34内には、複数(例えば16個)のガス室34Aがある。インレットフランジ34には、複数本(例えば16本)のガス供給管35が接続され、各ガス供給管35は各ガス室34に連通する。
【0027】
インレットフランジ34とガス流入口20Bとの間に、図2に示されるように互に対称な形状をもつ2つの平板状のインサータ36が介装される。2つのインサータ36の間の境界は、ガス流入口20Bの幅方向における中央に位置する。各インサータ36内には複数本(例えば8本)のガス流路36Aがあり、2つインサータ36内のガス流路36Aの合計本数は例えば16本である。2つのインサータ36の両者合わせた幅は、ガス流入口20Bの幅とほぼ同じである。2つのインサータ36と、インレットフランジ34との間に、幅方向に細長い柱状のバッフル38が介装される。バッフル38内には複数(例えば16個)の整流穴38Aがある。インレットフランジ34内の各ガス室34Aはバッフル38内の各整流穴38Aに連通し、バッフル38内の各整流穴38Aは2枚のインサータ36内の各ガス流路36Aに連通し、そして、2枚のインサータ36内の複数本のガス流路36Aの全てがガス流入口20Bに連通する。
【0028】
また、反応器20のガス排出口20Cに対応する側の外面には、反応ガスを反応器20外へ排出するための細長ブロック状のアウトレットフランジ42が取り付けられる。アウトレットフランジ42には、1本または複数本のガス排出管44が接続される。
【0029】
図1に点線矢印で示すように、反応ガスは、各ガス供給管35からインレットフランジ34内の各ガス室34Aに入り、バッフル38内の各整流穴38A及び2つインサータ36内の各ガス流路36Aを通ってガス流入口20Bに入り、そして、ガス流入口20Bを通って帯状のガス流となって反応室20A内へ流入する。ガス流入口20Bから反応室20A内に流入した帯状のガス流は、サセプタ26上のウェハ20の表面の全ての領域上を通過して、ウェハ20の表面上にエピタキシャル膜を形成する。その後、反応ガス流は、ガス排出口20Cに入り、アウトレットフランジ42内を通ってガス排出管44へ出て行く。ウェハ28の表面上のエピタキシャル膜の膜厚分布は、反応室20A内での反応ガス流の幅方向のガス流速分布に左右され、そして、その反応室20A内でのガス流速分布は、2つインサータ36内の複数本のガス流路36Aのガス流速分布に左右される。
【0030】
以下では、特にインサータ36、バッフル38、インレットフランジ34及びガス流入口20Bの構造について、より詳細に説明する。
【0031】
図3は、2つのインサータ36のうちの一方のインサータ36の平面図(図3A)と、これをガス流の上流側(バッフル38の側)から見た正面図(図3B)を示す。なお、同じインサータ36をガス流の下流側(ガス流入口20Bの側)から見た背面図も、図3Bに示す正面図と同様である。また、もう一つのインサータ36の構成も図3に示した構成と同じである(ただし、その平面図は図3Aに示した平面図とは左右が反転する)。
【0032】
図1、図2および図3に示すように、各インサータ36内には、これをバッフル38側からガス流入口20B側へ向かう方向へ貫通する複数本のガス流路36Aが、幅方方向に一列に配列されている。隣り合うガス流路36Aは、それらのガス流路36Aの側壁36Bによって互に隔離される。各ガス流路36Aをガス流に直角な方向で切った断面(以下、ガス流に直角な方向の断面を「横断面」という)の形状は、図3Bに示すように、例えば長方形または円形またはそれに近い形状である。この実施形態では、各インサータ36内のガス流路36Aの本数は一例として8本であり、2つのインサータ36を合わせて合計16本のガス流路36Aがある。
【0033】
後述するように、2つのインサータ36内の16本のガス流路36Aにそれぞれ流れるガス流速が独立して制御されるようになっている。あるいは、変形例として、2つのインサータ36内の16本のガス流路36Aは、幅方向中央をはさんで対称の位置に存在する2本のガス流路36A同士が1つのペアになって、8つのペアに分類され、それら8つのペアにそれぞれ流れるガス流速が独立して制御されるようになっている。このような複数本のガス流路36Aのガス流速制御により、反応室20A内を流れる反応ガス流の幅方向のガス流速分布が制御されるようになっている。
【0034】
図4は、バッフル38の平面図(図4A)と、これをガス流の上流側(インレットフランジ34側)から見た正面図(図4B)を示す。なお、バッフル38を下流側(インサータ36側)から見た背面図も、図34に示す正面図と同様である。
【0035】
図1、図2および図4に示すように、バッフル38内には、これをインレットフランジ34側からインサータ36側へ向かう方向に貫通する複数個(例えば16個)の整流穴38Aが、幅方向に一列に配列されている。これらの複数の整流穴38Aは、インサータ36内の複数本のガス流路36Aにそれぞれ連通する。異なる整流穴38Aは互に隔離されている。図4Bに示すように、各整流穴36Aの横断面の形状は、幅方向へ細長いスリット形状である。各整流穴36Aの横断面での幅W2は、対応する各ガス流路36Aの幅W1(図3参照)とほぼ同じである。つまり、各整流穴36Aは、対応する各ガス流路36Aの全幅にわたって幅方向に延びている。また、各整流穴36Aの横断面での高さH2は、その全幅にわたって一定であり、かつ、対応する各ガス流路36Aの高さH1(図3参照)よりは遥かに小さい。後述するように、各整流穴38Aは、各ガス流路36A内のガス流速の分布を平坦にする役目を果たす。
【0036】
図1および図2に示すように、インレットフランジ34内には、互に隔離された複数個(例えば16本)のガス室34Aが形成されている。インレットフランジ34内の複数のガス室34Aは、バッフル38内の複数の整流穴38Aにそれぞれ連通する。インレットフランジ34内の複数のガス室34Aには、複数本(例えば16本)のガス供給管35が接続される。後述するように、複数本のガス供給管35のそれぞれのガス流量は、互に独立して個別に調節できるようになっている。
【0037】
図1および図2に示すように、ガス流入口20Bの上流約半分の領域を占める段状凹部24Bには、ブレードユニット40がはめ込まれている。図5は、ブレードユニット40の平面図(図5A)と、これをガス流の上流側(インサータ36側)から見た正面図(図5B)を示す。
【0038】
図1、図2および図5に示すように、ブレードユニット40は、段状凹部24Bと同じ円弧状の平面形状をもつ平板状のベースプレート40Aと、このベースプレート40A上に垂直に立設された複数枚(例えば16枚)のブレード40Bとを有する。このブレードユニット40は、ロワーライナー24と一体化されていない(つまり、ロワーライナー24から分離可能な)独立した別部品であり、ロワーライナー24の段状凹部24B上に置かれている。そして、ブレードユニット40の複数枚のブレード40Bは、それぞれ、インサータ36内のガス流路36Aの側壁36Bの延長線上に位置する。従って、ガス流入口20Bの段状凹部24Bには、複数枚のブレード40Bにより互に隔離された複数個(例えば15個)のガス輸送溝40Cが形成されており、これらの複数のガス輸送溝40Cは、2つのインサータ36内の複数本のガス流路36Aにそれぞれ連通する。ただし、図2に示すように、段状凹部24Bの幅方向の中央部に位置する比較的に幅の広い1つのガス輸送溝40CCだけは、2つのインサータ36の幅方向の中央部に位置する2本のガス流路36ACに連通する。そして、この中央部のガス輸送溝40CCには、平板を半円弧形に湾曲させた形状のガス流偏向板41がはめ込まれている。
【0039】
図6は、ガス流偏向板41を示す斜視図であり、図7は、ガス流偏向板41の作用を説明する平面図である。
【0040】
図2及び図6に示すように、ガス流偏向板41の凹面が、中央の2本のガス流路36ACに向けられている。中央の2本のガス流路36ACの間には、2つのインサータ36の位置を固定するための支持壁43が存在し、この支持壁43の厚さは、インサータ36内の各ガス流路36Aの側壁36Bよりも厚い。そのため、もし、中央の2本のガス流路36ACからそれぞれ出たガス流を、そのまま単純にガス輸送溝40CCに導いて反応室20Aへ流入させたとすると、反応室20A内での幅方向のガス流速の分布が、支持壁43の位置に対応する中心点で特別に低くなり、その結果、ウェハ28上に形成されるエピタキシャル膜の膜厚がウェハ28の中心近傍で特別に薄くなってしまう。これに対し、ガス流偏向板41が中央のガス輸送溝40CCに存在すると、図7に示すように、その凹面により、中央の2本のガス流路36ACから出たガス流が、ガス流偏向板41の凹面によって中心方向へ曲げられ、それにより、上述したガス流速の幅方向の分布が中心点で特別に低くなる問題が改善される。
【0041】
図8は、上述した反応器20の外部に設けられた、反応ガスを反応器20に供給するための配管システムの構成を示す配管線図である。
【0042】
反応ガスは例えばシリコンガスと水素ガスと所定のドーパントガスなどの複数の成分ガスの混合ガスである。そのため、図8に示すように、シリコンガス源、水素ガス源およびドーパントガス源などの複数の成分ガス源があり、これら複数の成分ガス源からそれぞれ来た複数本の成分ガス供給管50,51,52が、1本の反応ガス供給元管58に合流する。成分ガス供給管50,51,52のそれぞれには、ガス流量調節器53,54,55が設けられている。これらのガス流量調節器53,54,55は、コンピュータなどを用いた制御装置66より制御され、それにより、反応器20に供給される反応ガスの全体の流量と、反応ガスに示す各成分ガスの組成比が調節できる。
【0043】
反応ガス供給元管58は、複数本(例えば16本)の反応ガス供給枝管60に分岐し、それらの複数本の反応ガス供給枝管60は、それぞれ、インレットフランジ34内の複数個(例えば16個)のガス室34A1〜34A16にそれぞれ接続される。すべての反応ガス供給枝管60には、それぞれ、ガス流量を実質的に無段階(つまり連続的)に調節できるガス流量調節器56が設けられている。これら16個のガス流量調節器56は、制御装置66より制御され、それにより、16個すべてのガス室34A(引いては、図2に示した、16本すべてのガス流路36A)にそれぞれ流れるガス流量を互に独立して任意の値に調整できるようになっている。
【0044】
さらに、いずれかのガス流量調節器56の不具合やその他の何らかの原因で反応ガス供給元管58のガス圧が異常に高くなった場合に、余剰ガスを反応室20A内へ放出してガス圧を下げるためのセフティリリーフ弁62をもつセフティリリーフ管64が、反応ガス供給元管58と、16本のガス流路36Aのうち一番外側に位置する一本のガス流路36Aに繋がる一本の反応ガス供給枝管60との間に接続されている。
【0045】
上述した図8に示すガス配管システムでは、すべてのガス流路36Aの各々に対して専用のガス流量調節器56を設けて、すべてのガス流路36Aのガス流量を互に独立して調整できるようにしている。この構成に代えて、図9に示すようなガス配管システムを採用してもよい。図9に示すガス配管システムでは、16本のガス供給枝管60が、8つのペアに分けられ、各ペアに対してガス流量調節器56が1個ずつ設けられる。1つのペアを構成する2本のガス供給枝管60は、図2に示した16本のガス流路36Aのうちの、幅方向の中心をはさんで互に対称位置に配置された2本のガス流路36に接続されている。従って、図9に示すようなガス配管システムでは、各ペアのガス流量をどのように調整しても、常に、ガス流入口20Bから反応室20Aに流入するガス流の幅方向の流速分布は、幅方向の中心をはさんでほぼ対称の分布となる。
【0046】
以上のように構成された成膜反応装置の作用について、以下に説明する。
【0047】
ガス流入口20Bから反応室20Aに流入する反応ガス流の幅方向の流速分布は、ガス流入口20Bの幅方向の全範囲に配列された16本(換言すれば、幅方向中心で二分した片側の範囲では8本)のガス流路36Aにそれぞれ流れるガス流速によって制御されることになる。ここで、16本というガス流路36Aの本数は、一つの例示であり、最適な数は、ウェハ28のサイズより変わってくる。
【0048】
ガス流路36Aの本数については、本発明の発明者らの研究によると、次のような条件が満たされることが好ましい。すなわち、ガス流路36Aの本数が増えるとガス流速分布をより細かく制御できるという利点が生じる、しかし、ガス流路36Aの本数が増えると、隣合うガス流路36A間のピッチ(ガス流路36Aの中心点間の距離)が小さくなり、ガス流路36Aの側壁36Bによるガス流速低下の影響が顕著になるという問題も同時に生じる。前者の利点に着目すると、望ましいガス流路36Aの本数は、ガス流入口20Bを幅方向中心で二分した片側範囲で5本以上、換言すれば、ガス流入口20Bの幅方向全範囲で10本以上(図2の構造のように、中央のガス流路が2本ある場合)または9本以上(中央のガス流路が1本に纏まっている場合)であり、より多い方がより好ましい。一方、後者の問題に着目し、さらに、各ガス流路36Aの側壁36Bの幅が最低でも約1〜2mm程度必要であることを考慮すると、隣り合うガス流路36A間の望ましいピッチは、約10mm以上であり、より大きい方がより好ましい。あるいは、後者のピッチに関する条件に代えて、次のガス流速に関する条件を考慮に入れても良い。そのガス流速に関する条件とは、ガス流入口20Bから出た直後のガス流の、幅方向でのガス流路36A間の1ピッチ範囲における最大ガス流速(通常、ガス流路36Aの中心に相当する位置でのガス流速)と最低ガス流速(通常、側壁36Bの位置に相当する位置でのガス流速)との差が、0.5m/秒以下であることが望ましいという条件である。
【0049】
ウェハ28の直径が200mmである場合を想定すると、ガス流入ロ20Bの幅方向の全寸法は、200mm以上であり、例えば約210mmから290mm程度である。この場合、図2に示した実施形態のようにガス流路36Aの総数を16本(片側範囲で8本)とすると、ガス流路36A間のピッチは約12mmから18mm程度となる。これは、上述したガス流路本数の条件とピッチの条件の双方を満たす。また、ウェハ28の直径が300mmである場合を想定すると、ガス流路36Aの総数を例えば24本(片側範囲で12本)とすると、ガス流路36A間のピッチはやはり約12mmから18mm程度となり、上述した双方の条件を満たす。
【0050】
これらの例から分かるように、ガス流路36A間のピッチを約12mmから18mm程度の範囲にするということは、上述した双方の条件を満たす一つの好ましい条件ということができる。また、ガス流路36Aの本数で述べれば、ウェハ28の直径が200mmである場合にはガス流路36Aの総本数は片側範囲で7本から10本程度で、そのうち、実施形態で採用した片側範囲8本は特に好ましく、また、300mmの場合には片側範囲で10本から15本程度が好ましく、上述した片側12本は特に好ましい。
【0051】
さて、このようなガス流路36Aのピッチと本数の好ましい設定に加えて、さらに、各ガス流路36Aの上流に存在するバッフル38の各整流穴38が、各ガス流路36A内での流量分布を均一化するという作用をなす。それにより、上述した流速に関する条件が一層容易かつ良好に満たされるようになる。すなわち、各整流穴38は、各ガス流路36Aの全幅いっぱいに延びた幅方向に細長いスリット状の穴であり、その高さH2は各ガス流路36A全幅範囲にわたり一定である。このような細い各整流穴38をガス流が通ることで、各整流穴38を出た直後のガス流の幅方向でのガス流速分布は、各ガス流路36Aの全幅範囲にわたり一定であり、かつ、その流速分布がその後に各ガス流路36Aを流れる時のガス流速分布を決定付けることになる。その結果、ガス流が各ガス流路36Aを出るときの幅方向の流速分布は、図10に実線グラフ50で示すようになる。対比のために、図10には、破線グラフ52で、バッフル38が存在しない場合の、各ガス流路36Aを出るときの幅方向の流速分布を示す。両グラフ50,52を比較するとわかるように、バッフル38が存在することで、バッフル38が無い場合に比較して、各ガス流路36Aを出るときの幅方向のガス流速分布は、両側の側壁36Bによる流速低下の影響が小さくなり、より均一性の良いものとなる。
【0052】
さらに、図1,2を参照して説明したように、ガス流入口20B内の前半部分の段状凹部24B上に置かれたブレードユニット40が形成する複数のガス輸送溝40Cにより、インサータ36内の複数本のガス流路36Aにより形成されたガス流速分布が、段状凹部24B内でも良好に維持される。そして、ガス流が段状凹部24Bを抜ける際には、段状凹部24Bの前壁24Cに当って上方へ昇ってから反応室20A内に流入するようになっており、かつ、前壁24Cより下流のガス流入口20Bの部分は分割されずに幅方向に繋がっている。そのため、ブレード40Bによるガス流速分布の変動が、分割されていないガス流入口20Bの後半部分で希釈され、ガス流入口20Bから反応室20A内に流入するガス流の幅方向の流速分布の滑らかさが向上する。
【0053】
以上のような各部の作用が総合される結果、反応室20A内でのガス流の幅方向でのガス流速分布を所望の分布に制御することが可能になる。上述した実施形態の成膜反応装置を用い、後述する方法でガス流量を調整した上で、直径200mmのシリコンウェハ28上にシリコンのエピタキシャル膜を成膜したテストによれば、エピタキシャル膜の最大膜厚と最小膜厚との差(以下、「膜厚変動」という)が、エピタキシャル膜の平均膜厚に対して1%(±0.5%)以下であるという、極めて均一性の高い高品質のエピタキシャル膜を得ることができた。
【0054】
また、上記実施形態では、ガス流入口20Bの段状凹部24B内のブレードユニット40が、ロワーライナー24とは別の部品であって、ロワーライナー24とは一体ではない。そのために、高温であるロワーライナー24からの温度がブレードユニット40に伝わり難く、よって、ブレードユニット40はロワーライナー24と同程度の高温になり難い。その結果、ブレードユニット40の表面上にシリコン結晶が成長し付着する量が減る。さらに、メンテナンスのときには、ブレードユニット40をロワーライナー24から簡単に外せるので、付着したシリコン結晶の除去作業も容易である。
【0055】
また、図8,9に示したように、セフティリリーフ管64が、一番外側のガス流路36Aに繋がる反応ガス供給枝管60に接続されているので、セフティリリーフ管64が作動した場合でも、成膜への悪影響は小さい。成膜への影響において、すべてのガス流路36Aの中で、一番外側のガス流路36Aの影響が最も小さいからである。
【0056】
次に、図8,9に示した制御装置66が行なうガス流量の調整制御について詳細に説明する。
【0057】
図11は、制御装置66が行なうガス流量の調整制御の全体の流れを示す。
【0058】
この制御は、ウェハ28表面上に形成されるエピタキシャル膜の膜厚分布をできるだけ均一にするように、反応室20A内におけるガス流入口20Bの幅方向でのガス流速分布を調整することを目的とする。この制御では、制御装置66は、図8,9に示した複数のガス供給枝管60にそれぞれ接続された複数のガス流量調節器56を操作して、図2に示した複数のガス流路36Aにそれぞれ流れるガス流量(単位時間当たりに流れるガス容積)、つまり、ガス流入口20B内の幅方向でのガス流量分布を調整する。
【0059】
図11において、まず、ステップS1で、ウェハ28への試験的成膜が行なわれる。試験的成膜は、製品としてのウェハ28への成膜と同様に、ウェハ28を回転させつつ行う。試験的成膜後に、形成された膜の膜厚が、ウェハ28の表面の多数の異なる位置にて測定される。最初に行われる試験的成膜では、制御装置66は、上述したガス流量分布(つまり、複数のガス流量調節器56のガス流量)を、予め設定されている初期設定流量に制御する。初期設定流量には、例えば、経験上適切であろうとみなされた適当流量値を採用することができる。
【0060】
以後のステップでは、ステップS1で測定された膜厚データに基づいて、膜厚分布の不均一性がチェックされ、その不均一性を修正して膜厚分布を均一にするように、制御装置66における設定流量が調整される。この設定流量調整の処理は、調整の精細さや目的の異なる複数の段階の調整処理に分けることができ、図11では4段階に分けられている。第1段階はステップS3の流量配分傾き調整であり、第2段階はステップS5の単一流量粗調整であり、第3段階はステップS7の複数流量粗調整であり、第4段階はステップS9の複数流量微調整である。ステップS1のテスト成膜で得られた膜厚分布の不均一性の程度に応じて、ステップS2、S4、S6およびS8のチェックが行なわれ、その結果から、次に実行されるべき流量調整の段階が上記4段階の中から選択される。いずれかの段階が実行される都度、制御はステップS1に戻り、実行された段階で調整された設定流量を用いて、再度、試験的成膜が行なわれる。このようにして設定流量調整と試験的成膜とが何度か繰り返されると、最終的に試験的成膜の結果の膜厚分布が上記4段階のいずれも必要が無いほどに均一になり(ステップS8でNO)、そのときに、図11に示した調整制御は終了し、設定流量が確定する。その後に、確定した設定流量を用いて、製品とされるべきウェハ28の成膜作業が開始される。なお、図11に示した設定流量調整の4つの段階は、一つの例示であり、より多くのまたはより少ない段階が採用されても良い。
【0061】
以下、図11のステップS2からS9について、より詳細に説明する。
【0062】
ステップS2では、ステップS1で測定された膜厚データに基づいて、膜厚分布の凸状傾きが計算される。ここで、膜厚分布の凸状傾きとは、ウェハ28の中心から周縁への半径方向における膜厚分布の全体的な傾きのことであり、別の言い方をすると、ウェハ28の中心からの距離が大きくなるにつれて膜厚が薄くなっていくまたは厚くなっていくという傾向の程度のことである。ステップS2では、この膜厚分布の凸状傾きが計算され、その凸状傾きが所定の傾き閾値A〔%〕を超えたかどうかがチェックされる。ステップS2のチェック結果がYESである場合、制御はステップS3へ進み、その凸状傾きをゼロに修正するように、制御装置66における複数のガス流量調節器56に対する設定流量の配分の傾きが調整される。ステップS3の処理の詳細は後述する。
【0063】
ステップS4では、ステップS1で測定された膜厚データに基づいて、膜厚分布の膜厚変動(前述したように、最大膜厚と最小膜厚との差)の程度(例えば、平均膜厚に対する割合)が計算され、その膜厚変動の程度が、大程度の膜厚変動がどうかを判断するための所定の大変動閾値B〔%〕を超えるかどうかがチェックされる。チェック結果がYESの場合、制御はステップS5の単一流量粗調整へ進む。ステップS5では、膜厚分布における最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の位置(例えば、ウェハ28の中心からの距離)に応じて、膜厚分布の不均一を減らすために最も影響力が高いと判断される一つの流量調節器56が選択され、その流量調節器56の設定流量が、膜厚分布の不均一を減らすように調整される。なお、どの流量調節器56を選択するかという選択方法としては、最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の位置と選択されるべき一つの流量調節器56との間の対応関係を定義したデータを予め制御装置66に設定しておき、そのデータを参照するという方法が採用できる。また、選択された流量調節器56の設定流量の調整方法としては、最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の平均膜厚に対する大きさ関係(例えば、差または割合)と、調整後の設定流量の現在の設定流量に対する大きさ関係(例えば、差または割合)との間の対応関係を定義したデータを予め制御装置66に設定しておき、そのデータを参照するという方法が採用できる。
【0064】
ステップS6では、上述した膜厚変動の程度が、中程度の膜厚変動がどうかを判断するための所定の中変動閾値C〔%〕(ここで、C<B)を超えるかどうか(つまり、B 以下で、かつCより大きいか)がチェックされる。チェック結果がYESの場合、制御はステップS7の複数流量粗調整へ進む。ステップS7では、膜厚分布における最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の位置に応じて、膜厚分布の不均一を減らすために最も影響力が高いと判断される所定複数個の流量調節器56が選択され、それらの流量調節器56の設定流量が、膜厚分布の不均一を減らすように調整される。なお、どの流量調節器56を選択するかという選択方法としては、最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の位置と選択されるべき所定複数個の流量調節器56との間の対応関係を定義したデータを予め制御装置66に設定しておき、そのデータを参照するという方法が採用できる。また、選択された流量調節器56の設定流量の調整方法としては、最大膜厚、最小膜厚、極大膜厚または極小膜厚の平均膜厚に対する大きさ関係(例えば、差または割合)と、調整後の設定流量の現在の設定流量に対する大きさ関係(例えば、差または割合)との間の対応関係を定義したデータを予め制御装置66に設定しておき、そのデータを参照するという方法が採用できる。
【0065】
ステップS8では、上述した膜厚変動の程度が、小程度の膜厚変動がどうかを判断するための所定の小変動閾値D〔%〕(ここで、D<C<B)を超えるかどうか(つまり、C 以下で、かつDより大きいか)がチェックされる。チェック結果がYESの場合、制御はステップS9の複数流量微調整へ進む。ステップS9では、予め制御装置66に設定されているすべての流量調節器56についての膜成長感度データに基づいて、すべての流量調節器56の設定流量が、膜厚分布の不均一を減らすように調整される。ステップS9の処理の詳細は後述する。
【0066】
図12は、ステップS2からS3の設定流量配分傾きの調整処理の流れをより詳細に示す。図13と図14は、この処理の具体例を説明している。
【0067】
図12に示すように、ステップS10で、膜厚分布の凸状傾きが計算される。例えば、図13Aに示すような膜厚分布72が測定された膜厚データから得られた場合、ウェハ中心を回転中心とした回転角の360度の範囲で、その膜厚分布72の平均値が計算されて、図13Bに示すような、ウェハ中心からの距離の関数としての膜厚分布76が求められる。そして、最小二乗法などの方法で、膜厚分布76に近似する凸状傾き直線78が計算され、そして、凸状傾き直線78の傾きが求められる(以下、この傾きを「凸状傾き」という)。
【0068】
その後、図12のステップS11で、ウェハ中心からの距離がガス流路36A間での設定流量配分の傾きを調整するための値が計算される(以下、この値を「傾き調整値」という)。この計算では、制御装置66にあらかじめ設定されている凸状傾き−傾き調整値関数データ70が参照される。この凸状傾き−傾き調整値関数データ70は、上述した凸状傾きと、上述した傾き調整値との間の対応関係を定義したデータである。この凸状傾き−傾き調整値関数データ70から、ステップS10で得られた凸状傾きに対応する傾き調整値を読み出すことで、傾き調整値が決定される。
【0069】
ここで、傾き調整値とは、例えば次のようなものである。すなわち、図13Cに示すように、複数の流量調節器56に対する現在の流量設定値82は、ガス流路36Aの位置(原点位置0はガス流入口20Bの幅方向の中心位置に対応する)の関数としての或る配分または分布(通常、原点位置0について対称になっている)になっている。このような現在の設定流量82の配分の傾きは、図13Cに示すように、この設定流量82のグラフを近似した流量配分直線80の傾きで表すことができる(以下、この傾きを「流量配分傾き」という)。上述した傾き調整値とは、この現在の流量配分傾きを変えるための調整値、例えば、現在の流量配分傾きと調整後の流量配分傾きとの間の大きさ関係(例えば、差または割合)である。傾き調整値は、これを用いて現在の流量配分82を調整すれば、その結果として、図14Aに示すような凸状傾き(凸状傾き直線88の傾き)がゼロである膜厚分布86が得られるように、凸状傾き−傾き調整値関数データ70に予め設定されている。
【0070】
上記のようにして図12のステップS11で傾き調整値が決定された後、制御は図12のステップS12に進み、現在の流量配分傾きが計算される。この現在の流量配分傾きとは、図13Cに示した現在の流量配分直線80の傾きである。その後、ステップS13に制御が進み、ステップS12で求まった現在の流量配分傾きに、ステップS11で決定された傾き調整値が適用されて、調整後の流量配分傾きが計算される。ここで、調整後の流量配分傾きとは、図14Bに示すような調整後の流量配分直線90の傾きであり、これは、現在の流量配分直線80の傾きを傾き調整値により修正した結果である。
【0071】
その後、図12のステップS14に制御が進み、ステップS13で求まった調整後の流量配分傾きに合うように、流量調節器56毎の設定流量が調整される。調整後の設定流量は、図14Bに参照番号92で示すようなものであり、調整後の流量配分直線90に適合するような配分または分布を有している。
【0072】
図15は、図11のステップS9の複数流量微調整処理の流れをより詳細に示している。図16は、この複数流量微調整処理で使用される膜成長速度偏差ΔGR(x)を説明するための図である。図17は、この複数流量微調整処理で使用されるガス流路毎の膜成長感度データの例を示す図である。
【0073】
複数流量微調整処理では、図15に示すように、ステップS20で、試験的成膜で測定された膜厚データに基づいて、ウェハ28の中心からの距離xの関数としての膜成長速度偏差ΔGR(x)が計算される。例えば、膜厚データと膜成長に要した時間とに基づいて、図16に示すような膜成長速度94〔μm/min〕が、ウェハ中心からの距離xの関数として計算される。そして、所定の目標膜成長速度(例えば、膜成長速度94中の最小速度、最大速度もしくは平均速度、または、予め設定された任意の速度値など)96との差が、膜成長速度偏差ΔGR(x)として得られる。サンプリング点として予め設定された所定の多数の異なる距離x毎に膜成長速度偏差ΔGR(x)が計算される。
【0074】
その後、図15のステップS21で、ステップS20で計算された多数のサンプリング点の膜成長速度偏差ΔGR(x)に基づいて、流量調節器56毎の流量調整値が計算される。ここの計算では、制御装置66に予め設定されている膜成長感度データが参照される。膜成長感度データは、図17に例示するように、流量調節器56毎(換言すれば、ガス流路36A毎、より厳密には、対称位置にある2本のガス流路36Aを1ペアとした場合のガス流路36Aのペア毎)に予め設定された膜成長感度関数S1(x)〜SN(x)の集合である(ここで、Nはガス流路のペア数であり、図示の例ではN=8であるが、これは単なる例示にすぎない。)。例えば1番目の膜成長感度関数S1(x)は、最も中央寄りに位置するガス流路36Aのペア(図2に示す中央の2本のガス流路36AC)に対応するものであり、2番目の膜成長感度関数S2(x)は中央から2番目に位置するガス流路36Aのペアに対応するものであり、以後、膜成長感度関数Si(x)のサフィックス番号iが多くなるにつれて、順次より外側に位置するガス流路36Aのペアに対応するものとなり、最後のN番目(この例では8番目)の膜成長感度関数SN(x)(この例ではS(x))は、最も外側に位置するガス流路36Aのペアに対応するものである。
【0075】
図17に示すように、各膜成長感度関数Si(x)は、対応するガス流路36Aに流れるガス流量〔slm〕の変化に対するウェハ28上の膜成長速度〔μm/min〕の変化の割合〔μm/min-slm〕を、ウェハ中心からの距離xの関数として表している。例えば、最も中央寄りに位置するガス流路36ACに対応する膜成長感度関数S1(x)に着目してみると、そのガス流路36ACのガス流量の変化は、ウェハ中心からの距離xがより近い領域での膜成長速度に対してより大きく影響することが分かる。また、例えば、最も外側に位置するガス流路36Aに対応する膜成長感度関数S(x)に着目してみると、そのガス流路36Aのガス流量の変化は、ウェハの中心付近より周縁付近の領域の膜成長速度に対してより大きく影響し、また、全体的に中央のガス流路36ACよりは影響力が小さいことが分かる。
【0076】
さて、図15のステップS21では、図16に示したような膜成長速度偏差ΔGR(x)と、図17に示したような流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の膜成長感度関数S1(x)〜S(x)とに基づいて、次のような回帰計算が行われて、流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の流量調整値a1〜aNが計算される。
【0077】
すなわち、サンプリング点xj毎の膜成長速度偏差ΔGR(xj)について、次の方程式、
ΔGR(xj)=a1
S1(xj)+a S(xj)+a S(xj)+…+aN SN(xj
が立てられる。サンプリング点xjがM個(ここで、M>Nであり、例えば数十程度)ある場合、j=1〜MのM個の上記方程式が成立する。このM個の方程式を用いて公知の回帰計算が実行され、その結果、そのM個の方程式項を同時に最も良く満たすような流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の流量調整値a1〜aNが求められる。
【0078】
このようにして流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の流量調整値a1〜aNが求められると、その後、制御は図15のステップS22へ進み、流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の現在の設定流量が、上記流量調整値a1〜aNにより調整される。このように調整された設定流量を用いると、図16に示したような不均一な膜成長速度94が改善され、目標膜成長速度96により近いより均一な膜成長速度が得られるようになる。
【0079】
図18は、ガス流量の調整制御の変形例の流れを示す。図19は、この変形例の制御における膜厚の測定方向を示す。図20は、この変形例の制御を具体的に説明する図である。
【0080】
この変形例の制御は、ウェハ28上の膜厚分布の原因が、反応室20A内のガス流がウェハ28の表面を通過する間に、反応ガス中の反応成分の濃度が低下していくことにあるという考えに基づいている。すなわち、この変形例の制御は、反応室20A内でのガス流の流れ方向での成膜成分の濃度低下の度合いを検出し、その流れ方向での濃度低下を相殺するように、ガス流れ直角な方向、つまりガス流入口20Bの幅方向におけるガス流速分布(ガス流量分布)を調整するものである。ここで、ガス流れ方向での濃度低下を、それと直交する幅方向でのガス流速分布(ガス流量分布)で相殺できる理由は、成膜時にはウェハ8が回転するからである。この変形例の制御は、図12に示した制御と組み合わせて、或はそれに代えて使用することができ、特に好ましい使用態様として、図12に示した制御の中に、追加の流量調整処理の段階として、第1段階または第2段階の代用として、組み込むことができる。
【0081】
この変形例の制御では、図18に示すように、最初にステップS30で、ウェハ28を回転させずに静止させた状態で、所定の初期設定流量を用いて、試験的成膜が行なわれる。そして、図19に示すように、この無回転成膜でウェハ28上に形成された膜の膜厚が、ガス流102の流れ方向104の種々の位置で測定される。測定された膜厚データから、例えば図20Aに示すように、上流から下流にいくほど膜成長速度が低下するような膜成長速度110が計算される。
【0082】
その後、図18のステップS31で、もしウェハ28を回転させながら成膜したならば得られたと予測される膜成長速度分布が、無回転成膜の膜成長速度布110に基づいて計算される。例えば、図20Aに示すように、無回転成膜の膜成長速度布110を、ウェハ中心からの距離が同じ位置の値同士で平均化することにより、回転成膜時の予測膜成長速度布112が計算される。
【0083】
その後、図18のステップS32で、回転成膜時の予測膜成長速度布112を相殺してこれを平坦な均一の分布にするために必要となる、幅方向(図20Aに示すガス流れ方向104に直交する方向106)における膜成長速度分布が計算される。例えば、図20Bに示すように、回転成膜時の予測膜成長速度布112を所定の目標成長速度(例えば、予測膜成長速度布112の最小値、最大値もしくは平均値、または、予め設定された任意の速度値)を軸にして上下反転させることで、相殺膜成長速度布114が計算される。
【0084】
その後、ステップS33で、相殺膜成長速度布114に基づいて、流量調節器56(ガス流路36A)毎に、回転成膜時の予測膜成長速度布112を相殺するための相殺流量が計算される。この相殺流量は、次のようにして計算することができる。すなわち、図19を参照して、幅方向のウェハ28中心からの距離xの位置における、ウェハ28の上流側端から流れ方向に距離Rだけ下流へ下った位置での反応成分のガス濃度C(x)は、次の式で表される。
【0085】
【数1】

ここで、kは反応成分の物質により決まる反応速度定数であり、Hは反応室20Aの高さであり、C0は反応成分の初期濃度であり、u(x)は幅方向の距離xの位置におけるガス流速(ガス流量)である。
【0086】
よって、幅方向の距離xの位置における流れ方向の距離Rだけ下流へ下った位置での膜成長速度GR(x)は、次の式で表すことができる。
【0087】
【数2】

上式より、幅方向の距離xの位置におけるガス流速(ガス流量)u(x)は、次の式で表される。
【0088】
【数3】

ここで、上式の右項のAは、x=0の位置におけるu(x)とGR(x)が既知である(図20に示した予測膜成長速度分布112)ことから、それに基づいて計算することができる。上式の膜成長速度GR(x)に、図20Bに示した相殺膜成長速度114の各ガス流路36Aに対応した距離xでの成長速度値を代入することで、流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の相殺流量u(x)が求められる。
【0089】
この後、図18のステップS34で、流量調節器56毎(ガス流路36A毎)の設定流量が、ステップS33で求められた相殺流量u(x)になるように調整される。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態にかかる成膜反応装置の要部を示す断面図。
【図2】同成膜反応装置の、ロワーライナー24およびサセプタ26とともに、ロワーライナー24に取り付けられたガス流供給のための各種の部品を、図1のA-A線で見て示した平面図。
【図3】二つのインサータ36のうちの一方の平面図(図3A)と、これをガス流の上流側から見た正面図(図3B)。
【図4】バッフル38の平面図(図4A)と、これをガス流の上流側から見た正面図(図4B)。
【図5】ブレードユニット40の平面図(図5A)と、これをガス流の上流側から見た正面図(図5B)。
【図6】ブレードユニット40の中央のガス輸送溝40CCにはめ込まれたガス流偏向板41を示す斜視図。
【図7】ガス流偏向板41の作用を説明する平面図である。
【図8】反応ガスを反応器20に供給するためのガス配管システムの構成を示す配管線図。
【図9】変形例にかかるガス配管システムの構成を示す配管線図。
【図10】バッフル38の作用を説明するための1つのガス流路のガス流速分布を示す図。
【図11】制御装置66が行なうガス流量の調整制御の全体の流れを示すフローチャート。
【図12】図11のステップS2からS3の設定流量配分の調整処理の流れをより詳細に示すフローチャート。
【図13】図11のステップS3の設定流量配分の調整処理を具体的に説明する図。
【図14】図11のステップS3の設定流量配分の調整処理を具体的に説明する図。
【図15】図11のステップS9の複数流量微調整処理の流れをより詳細に示すフローチャート。
【図16】図11のステップS9の複数流量微調整処理で使用される膜成長速度偏差ΔGR(x)を説明するための図。
【図17】図11のステップS9の複数流量微調整処理で使用される流量調節器毎(ス流路毎)の膜成長感度データの例を示す図。
【図18】ガス流量の調整制御の変形例の流れを示すフローチャート。
【図19】制御における膜厚の測定方向を示す平面図。
【図20】図18の制御を具体的に説明する図。
【符号の説明】
【0092】
20 反応器
20A 反応室
20B ガス流入口
20C ガス排出口
24 ロワーライナー
24A 段状凹部
26 サセプタ
28 ウェハ
34 インレットフランジ
34A ガス室
36 インサータ
36A ガス流路
38 バッフル
38A 整流穴
40 ブレードユニット
40B ブレード
40C ガス輸送溝
41 ガス流偏向板
56 流量調節器
60 反応ガス供給枝管
62 セフティリリーフバルブ
64 セフティリリーフ管
66 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に基板(28)が置かれる反応室(20A)と、
前記反応室に設けられ、前記反応室内の前記基板(28)の周縁に沿った幅方向へ所定範囲で延び、反応ガス流を前記反応室内に流入させるガス流入口(20B)と、
前記ガス流入口の上流側で前記幅方向へ配列されて前記ガス流入口に連通し、それぞれのガス流量で前記反応ガスを前記ガス流入口に供給する複数本のガス流路(36A)と、
前記複数本のガス流路(36A)のそれぞれのガス流量を制御するガス流量制御装置(56)と
を備えた基板(28)上に成膜するための成膜反応装置において、
前記ガス流路(36A)の本数が、前記ガス流入口の前記所定範囲を前記幅方向の中心で二分した片側範囲にて5本以上であり、
隣り合う前記ガス流路(36A)間のピッチが10mm以上である成膜反応装置。
【請求項2】
請求項1記載の成膜反応装置において、
前記ガス流路間のピッチがほぼ12mmからほぼ18mmの範囲である成膜反応装置。
【請求項3】
請求項1記載の成膜反応装置において、
前記ガス流路(36A)間の1ピッチの前記幅方向の範囲における前記ガス流入口(20B)から出た直後の最大ガス流速と最低ガス流速との差が、ほぼ0.5m/秒以下である成膜反応装置。
【請求項4】
請求項1記載の成膜反応装置において、
前記基板(28)の前記幅方向の寸法がほぼ200mmである場合に、前記ガス流路(36A)の本数が、前記片側範囲にて8本以上である成膜反応装置。
【請求項5】
請求項1記載の成膜反応装置において、
前記基板(28)の前記幅方向の寸法がほぼ300mmである場合に、前記ガス流路(36A)の本数が、前記片側範囲にて12本以上である成膜反応装置。
【請求項6】
内部に基板(28)が置かれる反応室(20A)と、
前記反応室に設けられ、前記反応室内の前記基板(28)の周縁に沿った幅方向へ所定範囲で延び、反応ガス流を前記反応室内に流入させるガス流入口(20B)と、
前記ガス流入口の上流側で前記幅方向へ配列されて前記ガス流入口に連通し、それぞれのガス流量で前記反応ガスを前記ガス流入口に供給する複数本のガス流路(36A)と、
前記複数本のガス流路(36A)のそれぞれのガス流量を制御するガス流量制御装置(56)と
を備えた基板(28)上に成膜するための成膜反応装置において、
さらに、前記複数本のガス流路(36A)の各々の内部の前記幅方向でのガス流速分布を均一化するための流速均一化装置(38)を備えた成膜反応装置。
【請求項7】
請求項6記載の成膜反応装置において、
前記流速均一化装置(38)が、前記複数本のガス流路にそれぞれ連通する複数個の整流穴(38A)を有し、各整流穴(38A)は前記幅方向に細長いスリット状の穴である成膜反応装置。
【請求項8】
内部に基板(28)が置かれる反応室(20A)と、
前記反応室に設けられ、前記反応室内の前記基板(28)の周縁に沿った幅方向へ所定範囲で延び、反応ガス流を前記反応室内に流入させるガス流入口(20B)と、
前記ガス流入口の上流側で前記幅方向へ配列されて前記ガス流入口に連通し、それぞれのガス流量で前記反応ガスを前記ガス流入口に供給する複数本のガス流路(36A)と、
前記複数本のガス流路(36A)のそれぞれのガス流量を制御するガス流量制御装置(56)と
を備えた基板(28)上に成膜するための成膜反応装置において、
前記ガス流入口(20B)内に配置され、前記複数本のガス流路(36A)とそれぞれ連通する複数のガス輸送溝(40C)を形成するための複数のブレード(40B)を有したブレードユニット(40)をさらに備え、
前記ブレードユニット(40)は、前記ガス流入口(20B)の壁(24)を構成する部品(24)から分離可能な別の部品である成膜反応装置。
【請求項9】
内部に基板(28)が置かれる反応室(20A)と、
前記反応室に設けられ、前記反応室内の前記基板(28)の周縁に沿った幅方向へ所定範囲で延び、反応ガス流を前記反応室内に流入させるガス流入口(20B)と、
前記ガス流入口の上流側で前記幅方向へ配列されて前記ガス流入口に連通し、それぞれのガス流量で前記反応ガスを前記ガス流入口に供給する複数本のガス流路(36A)と、
前記複数本のガス流路(36A)のそれぞれのガス流量を制御するガス流量制御装置(56)と
を備えた基板(28)上に成膜するための成膜反応装置において、
前記ガス流入口(20B)内に配置され、前記複数本のガス流路(36A)とそれぞれ連通する複数のガス輸送溝(40C)を形成するための複数のブレード(40B)を有したブレードユニット(40)をさらに備え、
前記ブレードユニット(40)の前記幅方向の中央部に位置する前記ガス輸送溝(40C)に、ガス流を前記幅方向の中心へ曲げるためのガス流調整部(41)が設けられている成膜反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−324285(P2007−324285A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151356(P2006−151356)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】