説明

成膜材料、それを用いた膜の製造方法及びその用途

【課題】有機アルミニウムと有機シラン化合物との混合物または反応物をCVDにより成膜し、封止膜等に用いる。
【解決手段】一般式(1)の有機アルミニウム化合物
AlX(OR3−(m+n) (1)
(式中、R、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素又は弗素等、mは1乃至3の数、nは0乃至2の数を表す。)
と、一般式(2)の有機シラン化合物
Si(OR4−p (2)
(式中、R、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、pは0乃至3の整数を表す。)
との混合物または反応物を用い、化学気相成長法により、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜を得て、それを封止膜、ガスバリア部材、FPDデバイス、半導体デバイス等に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜、それからなる封止膜及びその用途に関するものである。殊に特定の構造を有するアルミニウム化合物およびケイ素化合物を原料として化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)により成膜して得られた炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜からなる封止膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ(以下、FPD)では、その表示パネルの基材としてガラス基板が用いられるが、薄膜化、軽量化、耐衝撃性向上、フレキシブル化、更には、ロールツーロールプロセスへの適応の観点から、透明プラスチック基板への代替要求が高まっている。また、プラスチック基板に有機半導体を用いて有機トランジスタを形成したり、LSI、Si薄膜太陽電池、有機色素増感太陽電池、有機半導体太陽電池を形成する試みがなされている。
【0003】
通常市販されているプラスチック基板に上記素子を形成した場合、液晶素子、有機EL素子、TFT素子、半導体素子、または太陽電池等の形成された素子やデバイスは、水、酸素に弱い為、ディスプレイの表示にダークスポットやドット抜けが発生したり、半導体素子や太陽電池が機能しなくなり、実用に耐えない。従って、プラスチック基板に水蒸気、酸素ガスに対するガスバリア性能を付与したガスバリアプラスチック基板が必要となる。一方、ガスバリア性能を付与した透明プラスチックフィルムは、食料品、医薬品、電子材料、電子部品の包装材料用途として、今後、不透明なアルミ箔ラミネートフィルムに変わって益々使用が拡大する方向にある。
【0004】
透明プラスチック基板や透明プラスチックフィルムに透明ガスバリア性能を付与する方法としては、化学的成膜法と物理的成膜法とがある。
【0005】
化学的成膜法の例としては、シランガス(SiH)を用い、プラズマ励起化学気相成長法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、以下、PECVD法と記載)により酸化ケイ素膜を成膜する提案として特許文献1がある。また、メチル基、もしくはフェニル基が置換したシラン類、シロキサン類を用い、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスと酸素共存下、PECVD法で酸化ケイ素を成膜する提案として特許文献2がある。しかしながら、これらの原料を用いた成膜方法は、原料が危険であったり、できた膜の組成が一定しない、成膜速度が遅いといった課題を抱えている。更には、封止材、ガスバリア材として使用するには、膜が十分に緻密でない為に水蒸気や酸素に対するガスバリア性能が不十分であったり、絶縁膜用途で使用する為には、絶縁特性が不十分である等の課題を抱えている。
【0006】
一方、物理的成膜法としては、蒸着法により酸化アルミニウム及び酸化ケイ素から成る無機酸化薄膜層を形成し、ガスバリア層とする方法が特許文献3で提案されている。しかしながら、このような蒸着法により形成される酸化アルミニウムと酸化ケイ素から成るガスバリア層は、それを形成するプラスチック基板やフィルムとの密着性、耐クラック性、耐屈曲性、可撓性が不十分であったり、水蒸気や酸素に対するガスバリア性能が不十分である等の課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2734548号
【特許文献2】特許第4139446号
【特許文献3】特許2002−103509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機アルミニウム化合物と有機シラン化合物との混合物または反応物を原料として、CVDにより得られる炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜から成る封止膜及びその膜を含んでなるガスバリア部材、FPDデバイス及び半導体デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、有機アルミニウム化合物と有機シラン化合物との混合物または反応物を原料として用い、CVDにより得られた膜が封止膜として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0011】
[1]下記一般式(1)の有機アルミニウム化合物
AlX(OR3−(m+n) (1)
(式中、R、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素又は弗素、塩素、臭素、沃素原子を表し、mは1乃至3の数、nは0乃至2の数を表す。)
と、下記一般式(2)の有機シラン化合物
Si(OR4−p (2)
(式中、R、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、pは0乃至3の整数を表す。)
との混合物または反応物から成ることを特徴とする、化学気相成長法用の成膜材料。
【0012】
[2]有機アルミニウム化合物(1)がトリアルキルアルミニウムである、[1]に記載の成膜材料。
【0013】
[3]トリアルキルアルミニウムがトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムである、[2]に記載の成膜材料。
【0014】
[4]化学気相成長法がプラズマ励起化学気相成長法である、[1]〜[3]いずれかに記載の成膜材料。
【0015】
[5]化学気相成長法が触媒化学気相成長法である、[1]〜[3]いずれかに記載の成膜材料。
【0016】
[6]一般式(1)の有機アルミニウム化合物と一般式(2)の有機シラン化合物との反応物が、下記一般式(3)
【0017】
【化1】

(式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は酸素含有炭化水素基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。)
で示される化合物である[1]〜[5]いずれかに記載の成膜材料。
【0018】
[7]上述の[1]乃至[6]のいずれかに記載の成膜材料を用い、化学気相成長法により成膜することを特徴とする、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の製造方法。
【0019】
[8]上述の[7]に記載の方法により得られることを特徴とする、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜。
【0020】
[9]上述の[8]に記載の膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理または電子線処理して得られることを特徴とする膜。
【0021】
[10]上述の[8]または[9]に記載の膜からなる封止膜。
【0022】
[11]上述の[10]に記載の封止膜をガスバリア層として用いることを特徴とするガスバリア部材。
【0023】
[12]上述の[11]に記載のガスバリア部材を含んでなることを特徴とするフラットパネルディスプレイデバイス。
【0024】
[13]上述の[10]に記載の封止膜を含んでなることを特徴とする半導体デバイス。
以下、本発明の詳細について説明する。
【0025】
本発明において、上記一般式(1)で示される有機アルミニウム化合物をCVDの原料の成分として使用する。
【0026】
上記一般式(1)おいて、R,Rは炭素数1〜20の飽和または不飽和炭化水素基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してもよい。また、それらが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。CVD装置での安定的使用を考慮した場合、有機シラン化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、炭素数1〜10の炭化水素基が特に好ましい。Xは水素又は弗素、塩素、臭素、沃素原子を表し、mは1乃至3の数、nは0乃至2の数を表す。
【0027】
,Rが示す炭素数1〜20の炭化水素基としては特に限定されるものではないが、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルケニルアリール基、アルキニル基、アリールアルキニル基、アルキニルアリール基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基およびアリール基を挙げることができる。更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができる。
【0028】
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等のアルキル基、フェニル、ジフェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、メチルベンジル等のアリールアルキル基、o−トルイル、m−トルイル、p−トルイル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−エチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル等のアルキルアリール基などが挙げられる。
【0029】
またビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、1−ヘキセニル、1−シクロヘキセニル、2,4−シクロヘキサジエニル、2,5−シクロヘキサジエニル、2,4,6−シクロヘプタトリエニル、5−ノルボルネン−2−イル等のアルケニル基、2−フェニル−1−エテニル等のアリールアルケニル基、o−スチリル,m−スチリル,p−スチリル等のアルケニルアリール基、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基、2−フェニル−1−エチニル等のアリールアルキニル基、2−エチニル−2フェニル等のアルキニルアリール基等を挙げることができる。
【0030】
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、
トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリn−プロピルアルミニウム,トリn−ブチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリイソプレニルアルミニウム,トリn−ヘキシルアルミニウム,トリn−オクチルアルミニウム,トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム
ジメチルアルミニウムクロライド,メチルアルミニウムセスキクロライド,メチルアルミニウムジクロライド,ジエチルアルミニウムクロライド,エチルアルミニウムセスキクロライド,エチルアルミニウムジクロライド,ジn−プロピルアルミニウムクロライド,ジn−ブチルアルミニウムクロライド,ジイソブチルアルミニウムクロライド,イソブチルアルミニウムジクロライド,ヨウ化ジエチルアルミニウム,フッ化ジエチルアルミニウム,ジエチルアルミニウムブロミド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,ジメチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムメトキシド,ジエチルアルミニウムエトキシド,ジイソブチルアルミニウムメトキシド,ジイソブチルアルミニウムエトキシド,ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド
等が例示できる。
【0031】
中でも一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物としてトリアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0032】
本発明において、上記一般式(2)で示される有機シラン化合物をCVDの原料の成分として使用する。
【0033】
上記一般式(2)おいて、R,Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、pは0乃至3の整数を表す。
【0034】
,Rの炭化水素基は炭素数1〜20の飽和または不飽和炭化水素基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してもよい。また、それらが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。CVD装置での安定的使用を考慮した場合、有機シラン化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、炭素数1〜6の炭化水素基が特に好ましい。
【0035】
,Rの具体的な例としては、R,Rと同様の炭化水素基を挙げることができる。
【0036】
上記一般式(2)で表される有機シラン化合物の具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−sec.−ブトキシシラン、テトラ−tert.−ブトキシシラン、
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルn−プロピルジメトキシシラン、ビニルn−ブチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルn−プロピルジメトキシシラン、ビニルn−ブチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン等があげられる。
【0037】
またトリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等
イソプロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリイソプロピルメトキシシラン、イソプロピルメチルジメトキシシラン、イソプロピルエチルジメトキシシラン、イソプロピルフェニルジメトキシシラン、イソプロピルジメチルメトキシシラン、イソプロピルジエチルメトキシシラン、イソプロピルジフェニルメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、イソプロピルメチルジエトキシシラン、イソプロピルエチルジエトキシシラン、イソプロピルフェニルジエトキシシラン、イソプロピルジメチルエトキシシラン、イソプロピルジエチルエトキシシラン、イソプロピルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0038】
また、sec−ブチルトリメトキシシラン、ジsec−ブチルジメトキシシラン、トリsec−ブチルメトキシシラン、sec−ブチルメチルジメトキシシラン、sec−ブチルエチルジメトキシシラン、sec−ブチルフェニルジメトキシシラン、sec−ブチルジメチルメトキシシラン、sec−ブチルジエチルメトキシシラン、sec−ブチルジフェニルメトキシシラン、
sec−ブチルトリエトキシシラン、ジsec−ブチルジエトキシシラン、トリsec−ブチルエトキシシラン、sec−ブチルメチルジエトキシシラン、sec−ブチルエチルジエトキシシラン、sec−ブチルフェニルジエトキシシラン、sec−ブチルジメチルエトキシシラン、sec−ブチルジエチルエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0039】
またシクロペンチルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、トリシクロペンチルメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルフェニルジメトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジフェニルメトキシシラン、
シクロペンチルトリエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロペンチルフェニルジエトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン、シクロペンチルジエチルエトキシシラン、シクロペンチルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0040】
またシクロペンタジエニルトリメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルジメトキシシラン、トリシクロペンタジエニルメトキシシラン、シクロペンタジエニルメチルジメトキシシラン、シクロペンタジエニルエチルジメトキシシラン、シクロペンタジエニルフェニルジメトキシシラン、シクロペンタジエニルジメチルメトキシシラン、シクロペンタジエニルジエチルメトキシシラン、シクロペンタジエニルジフェニルメトキシシラン、
シクロペンタジエニルトリエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルジエトキシシラン、トリシクロペンタジエニルエトキシシラン、シクロペンタジエニルメチルジエトキシシラン、シクロペンタジエニルエチルジエトキシシラン、シクロペンタジエニルフェニルジエトキシシラン、シクロペンタジエニルジメチルエトキシシラン、シクロペンタジエニルジエチルエトキシシラン、シクロペンタジエニルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0041】
また、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルメトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルメトキシシラン、
シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルエトキシシラン、シクロヘキシルジエチルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0042】
またシクロヘキセニルトリメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、トリシクロヘキセニルメトキシシラン、シクロヘキセニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、シクロヘキセニルフェニルジメトキシシラン、シクロヘキセニルジメチルメトキシシラン、シクロヘキセニルジエチルメトキシシラン、シクロヘキセニルジフェニルメトキシシラン、
シクロヘキセニルトリエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、トリシクロヘキセニルエトキシシラン、シクロヘキセニルメチルジエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、シクロヘキセニルフェニルジエトキシシラン、シクロヘキセニルジメチルエトキシシラン、シクロヘキセニルジエチルエトキシシラン、シクロヘキセニルジフェニルエトキシシラン等があげられる。
【0043】
またイソプロピルビニルジメトキシシラン、イソプロピルビニルジエトキシシラン、イソプロピルビニルジtert.−ブトキシシシラン、ジイソプロピルビニルメトキシシラン、ジイソプロピルビニルエトキシシラン、ジイソプロピルビニルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルジビニルメトキシシラン、イソプロピルジビニルエトキシシラン、イソプロピルジビニルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルビニルメチルメトキシシラン、イソプロピルビニルメチルエトキシシラン、イソプロピルビニルメチルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルビニルエチルメトキシシラン、イソプロピルビニルエチルエトキシシラン、イソプロピルビニルエチルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルフェニルジメトキシシラン、イソプロピルフェニルジエトキシシラン、イソプロピルフェニルジtert.−ブトキシシシラン、ジイソプロピルフェニルメトキシシラン、ジイソプロピルフェニルエトキシシラン、ジイソプロピルフェニルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルジフェニルメトキシシラン、イソプロピルジフェニルエトキシシラン、イソプロピルジフェニルtert.−ブトキシシシラン等があげられる。
【0044】
また、イソプロピルフェニルメチルメトキシシラン、イソプロピルフェニルメチルジエトキシシラン、イソプロピルフェニルメチルtert.−ブトキシシシラン、イソプロピルフェニルエチルメトキシシラン、イソプロピルフェニルエチルジエトキシシラン、イソプロピルフェニルエチルtert.−ブトキシシシラン、sec−ブチルビニルジメトキシシラン、sec−ブチルビニルジエトキシシラン、sec−ブチルビニルジtert.−ブトキシシシラン、ジsec−ブチルビニルメトキシシラン、ジsec−ブチルビニルエトキシシラン、ジsec−ブチルビニルtert.−ブトキシシラン、sec−ブチルジビニルメトキシシラン、sec−ブチルジビニルエトキシシラン、sec−ブチルジビニルtert.−ブトキシシラン、sec−ブチルフェニルジメトキシシラン、sec−ブチルフェニルジエトキシシラン、sec−ブチルフェニルジtert.−ブトキシシラン、ジsec−ブチルフェニルメトキシシラン、ジsec−ブチルフェニルエトキシシラン、ジsec−ブチルフェニルtert.−ブトキシシラン、sec−ブチルジフェニルメトキシシラン、sec−ブチルジフェニルエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルtert.−ブトキシシラン等があげられる。
【0045】
またtert.−ブチルトリメトキシシラン、tert.−ブチルメチルジメトキシシラン、tert.−ブチルエチルジメトキシシラン、tert.−ブチルビニルジメトキシシラン、tert.−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert.−ブチル−イソプロピルジメトキシシラン、tert.−ブチル−n−ブチルジメトキシシラン、tert.−ブチルイソブチルジメトキシシラン、ジtert.−ブチルジメトキシシラン、tert.−ブチルフェニルジメトキシシラン、tert.−アミルトリメトキシシラン、ジtert.−アミルジメトキシシラン、1−アダマンチルトリメトキシシラン、1−アダマンチルメチルジメトキシシラン、1−アダマンチルエチルジメトキシシラン、1−アダマンチル−n−プロピルジメトキシシラン、ジ(1−アダマンチル)ジメトキシシラン等があげられる。
【0046】
またtert.−ブチルトリエトキシシラン、tert.−ブチルメチルジエトキシシラン、tert.−ブチルエチルジエトキシシラン、tert.−ブチルビニルジエトキシシラン、tert.−ブチル−n−プロピルジエトキシシラン、tert.−ブチル−イソプロピルジエトキシシラン、tert.−ブチル−n−ブチルジエトキシシラン、tert.−ブチルイソブチルジエトキシシラン、ジtert.−ブチルジエトキシシラン、tert.−ブチルフェニルジエトキシシラン、tert.−アミルトリエトキシシラン、ジtert.−アミルジエトキシシラン、1−アダマンチルトリエトキシシラン、1−アダマンチルメチルジエトキシシラン、1−アダマンチルエチルジエトキシシラン、1−アダマンチル−n−プロピルジエトキシシラン、ジ(1−アダマンチル)ジエトキシシラン、tert.−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、ジtert.−ブチルジ−i−プロポキシシラン、tert.−アミルトリ−i−プロポキシシラン、ジtert.−アミルジ−i−プロポキシシラン、1−アダマンチルトリ−i−プロポキシシラン、ジ(1−アダマンチル)ジ−i−プロポキシシラン、1−トゥワイスチルトリメトキシシラン、ジ(1−トゥワイスチル)ジメトキシシラン、1−ジアマンチルトリメトキシシラン、ジ(1−ジアマンチル)ジメトキシシラン、1−トリプチシルトリメトキシシラン、ジ(1−トリプチシル)ジメトキシシラン等、
トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、ビニルジメチルシラノール、フェニルジメチルシラノール、イソプロピルジメチルシラノール等、
が例示できる。
【0047】
上記一般式(3)おいて、R、Rは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は酸素含有炭化水素基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0048】
,R,Rの具体的な例としては、R,Rと同様の炭化水素基を挙げることができる。またR,Rの炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基としては、酸素を含有したR,Rと同様の炭化水素基を挙げることができる。
【0049】
有機アルミニウム化合物(1)と有機シラン化合物(2)の混合物または反応物の製造方法については特に限定されるものではないが、例えば以下に示す条件を使用することができる。混合物の製造方法としては、有機アルミニウム化合物(1)と有機シラン化合物(2)とを適宜混合すればよい。
【0050】
反応物の製造においては、式(1)の有機アルミニウム化合物及び式(2)の有機シラン化合物それ自身を反応媒体としてもよいが、不活性溶媒を反応媒体として用いることもできる。
【0051】
使用できる反応溶媒は、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert.−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコールを使用することができる。また、これらの混合溶媒も使用することができる。
【0052】
混合または反応の際の温度については、通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲、好ましくは−85〜150℃の範囲で行う。圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0053】
混合または反応の際のアルミニウムとケイ素の量論比に特に制限は無いが、通常、Al含有量1molに対し、Si含有量0.001mol〜1000mol、好ましくは0.01mol〜100molの範囲である。この範囲を外れると成膜して得られる炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の機械的強度が低下したり、クラックや剥離が発生する場合がある。
【0054】
製造した上記一般式(1)と(2)の混合物または反応物はそのまま用いても良いが、ガラスフィルター、焼結多孔体等を用いた濾過、常圧もしくは減圧蒸留又はシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離等の精製手段を用いることもできる。この際、必要に応じてこれらの手段を組合わせて使用してもよい。
【0055】
上述の場合、反応に使用する反応器は当該技術分野で通常用いられるものであれば、適宜使用することができる。攪拌槽型反応器、流動床型反応器、または循環式反応器を用いて、混合又は反応操作を連続方式、半回分方式及び回分方式のいずれかの方式で行うことができる。更に異なる重合の反応条件で2段階以上に分けて行うことも可能である。
【0056】
一般式(1)の有機アルミニウム化合物と一般式(2)の有機シラン化合物との反応物の一例として、前述の一般式(3)で示される化合物をあげることができる。
【0057】
本発明の有機アルミニウム化合物(1)と有機シラン化合物(2)との混合物または反応物は成膜材料として使用することができ、それはCVDにより成膜され、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜を形成することができる。その膜は封止膜として使用することができる。CVDとしては、例えばPECVDまたは触媒化学気相成長法があげられる。PECVDの種類及び用いる装置は特に限定されるものではないが、このPECVDは半導体製造分野、液晶ディスプレイ製造分野、ロールツーロール方式高分子フィルムの表面処理分野等の当該技術分野で一般的に用いられるものが使用される。
【0058】
PECVD装置において、本発明の有機ケイ素化合物を気化器により気化させて成膜チャンバー内に導入し、高周波電源により成膜チャンバー内の電極に印加しプラズマを発生させ、成膜チャンバー内のシリコン基板等にPECVD薄膜を形成させることができる。この際、プラズマを発生させる目的でヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン、キセノン等の不活性ガスを有機ケイ素化合物と共に導入することも本発明の範囲に入る。
【0059】
また、水素、酸素、窒素、アンモニアガス等を原料ガス、不活性ガスとともに導入することも本発明の範囲に入る。
【0060】
PECVD装置のプラズマ発生方法については特に限定されず、当該技術で使用されている誘導結合型プラズマ、容量結合型プラズマ、ECRプラズマ等を用いることができる。またプラズマを発生源としては平行平板型、アンテナ型等の種々のものが使用でき、大気圧PECVD、減圧PECVD、加圧PECVD等いずれの圧力条件下のPECVDでも用いることができる。
【0061】
この際のPECVD条件としては特に限定はないが、1.0W〜10000Wが好ましく、1.0W〜4000Wの範囲で行うことが更に好ましい。
【0062】
具体的にPECVD装置として、図1の1に平行平板容量結合型PECVD装置を示す。図1に示す平行平板容量結合型PECVD装置は、PECVD装置チャンバー内にシャワーヘッド上部電極と基板の温度制御が可能な下部電極、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0063】
PECVD装置1は、PECVDチャンバー2、原料化合物をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッドを有する上部電極3、Si基板等の薄膜形成用基板5を設置する為の温度制御装置8を有する下部電極4、原料化合物を気化させるための気化装置9〜15、プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置16から成る。17,18は、アースである。
【0064】
プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7は上部電極3に接続され、放電によりプラズマを発生させる。RF電源7の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0065】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0066】
気化装置は、原料化合物13を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管15を備えている容器12、原料化合物13の流量を制御する液体流量制御装置10、原料化合物13を気化させる気化器9、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管14とその流量を制御する気体流量制御装置11からなる。本気化装置は、気化器9からシャワーヘッドを備えた上部電極3に配管接続されている。
【0067】
気化した原料化合物、不活性ガス、水素、酸素、窒素、アンモニアガスのチャンバー内への供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0068】
具体的にPECVD装置として、図2の19に誘導結合型リモートPECVD装置を示す。図2に示す誘導結合型リモートPECVD装置は、PECVD装置チャンバー上部の石英の周りにコイル状に巻かれたプラズマ発生部、温度制御が可能な基板設置部、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0069】
PECVD装置19は、PECVDチャンバー20、プラズマ発生部であるコイル21と石英管22、Si基板等の薄膜形成用基板24を設置する為のヒーター部23と温度制御装置27、原料化合物を気化させるための気化装置28〜35、プラズマ発生源であるマッチング回路25とRF電源26、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置36から成る。37はアースである。
【0070】
プラズマ発生部である石英周りのコイルはマッチング回路25に接続され、石英管中にRF電流によるアンテナ電流磁界で放電させ、プラズマを発生させる。RF電源26の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0071】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0072】
気化装置は、原料化合物33を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管35を備えている容器32、原料化合物33の流量を制御する液体流量制御装置29、原料化合物33を気化させる気化器28、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管34とその流量を制御する気体流量制御装置30と不活性ガスとガス化した原料化合物33をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド31から成る。
【0073】
気化した原料化合物、不活性ガス、水素、酸素、窒素、アンモニアガスのチャンバー内への供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0074】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、RF電源による放電によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0075】
具体的にPECVD装置として、図3の38にマイクロ波PECVD装置を示す。石英製チャンバー39、Si基板等の薄膜形成用基板40を設置する為のヒーター部41と温度制御装置42、原料化合物を気化させるための気化装置43〜50、マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52、及びマイクロ波反射板53、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置54から成る。
【0076】
マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52は、石英チャンバーに接続され、マイクロ波を石英チャンバー内に照射することでプラズマを発生させる。マイクロ波の周波数については特に限定されないが、当該技術分野で使用される周波数1MHz〜50GHz、好ましくは0.5GHz〜10GHz、特に好ましくは1GHz〜5GHzのマイクロ波を用いることができる。また、そのマイクロ波出力については、0.1W〜20000W、好ましくは1W〜10000Wを用いることができる。
【0077】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0078】
気化装置は、原料化合物48を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管50を備えている容器47、原料化合物48の流量を制御する液体流量制御装置44、原料化合物48を気化させる気化器43、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管49とその流量を制御する気体流量制御装置45と不活性ガスとガス化した原料化合物48をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド46から成る。
【0079】
気化した原料化合物、不活性ガス、水素、酸素、窒素、アンモニアガスのチャンバー内への供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0080】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、マイクロ波の照射によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0081】
また本発明では、CVDにより得られた炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜、またはそれからなる封止膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理、または電子線処理することすることにより、緻密化もしくは機械的強度が向上した膜を得ることができる場合がある。本処理で得られた膜は封止膜やガスバリア膜として好適なものとなる場合がある。
【発明の効果】
【0082】
本発明によれば、有機アルミニウム化合物(1)と有機シラン化合物(2)を原料として用い、CVDにより形成した炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜は、封止膜として用いることができる。またその封止膜を用いて、緻密かつ高機械的強度のガスバリア層が形成可能であり、ガスバリア性能の高いガスバリア部材、それを用いたFPDデバイス及び半導体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】平行平板容量結合型PECVD装置を示した図である。
【図2】誘導結合型リモートPECVD装置を示した図である。
【図3】マイクロ波PECVD装置を示した図である。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
膜厚測定は、株式会社アルバック製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6Mを用いた。また、生成膜の組成をPerkin Elmer製ESCA5400MCを用いて測定した。酸素透過性は、JIS K 7126−1法により、水透過性は、JIS K 7129A法でにより測定した。全光線透過率は、JIS K 7361−1法により測定した。線膨張係数は、オーブン中で無荷重状態のフィルムサンプルをで室温から240℃まで5deg./min.で昇温し、この間のフィルム長さの変化をCCDカメラにより測定することで算出した。表面粗さは、Veecoo社製走査型プローブ顕微鏡 NanoScopeIIIaを用い、タッピングモードAFMにて測定した。
【0086】
実施例1
(ビニルトリメトキシシランとトリエチルアルミニウムとの反応物の調製)
窒素置換した50mlのシュレンク管にビニルトリメトキシシラン1.48g(10.0mmol)を仕込み、20.1wt%のトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液5.68g(10.0mmol)を室温でゆっくりと加え、室温にて20時間攪拌した。反応後、減圧条件下ヘキサンを留去し、ビニルトリメトキシシランとトリエチルアルミニウムとの反応物を得た。
【0087】
(炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の成膜)
図1に示した平行平板容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させたビニルトリメトキシシランとトリエチルアルミニウムとの反応物を流量0.033g/min.、ヘリウムガスの流量100sccm、チャンバー内圧10Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で10分間成膜した。
【0088】
結果は膜厚783nmであった。炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の組成は、Si=2atom%、Al=33atom%、C=14atom%、O=51atom%であった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性1.23cc/m・day、水透過性0.48g/m・dayの結果であった。また全光線透過率は87.0%、線膨張係数は15ppm/deg.、表面粗さは0.9nmであった。
【0089】
実施例2
(ビニルジメチルシラノールとトリエチルアルミニウムとの反応物の調製)
窒素置換した50mlのシュレンク管に20.1wt%のトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液5.68g(10.0mmol)を仕込み、)ビニルジメチルシラノール1.02g(10.0mmol)を室温でゆっくりと加え、室温にて20時間攪拌した。反応後、減圧条件下ヘキサンを留去し、ビニルジメチルシラノールとトリエチルアルミニウムとの反応物を得た。
【0090】
(炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の成膜)
図1に示した平行平板容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させたビニルジメチルシラノールとトリエチルアルミニウムとの反応物を流量0.011g/min.、ヘリウムガスの流量100sccm、チャンバー内圧10Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で10分間成膜した。
【0091】
結果は膜厚214nmであった。炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の組成は、
Si=12atom%、Al=32atom%、C=11atom%、O=45atom%でった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性1.40cc/m・day、水透過性0.48g/m・dayの結果であった。また全光線透過率は87.0%、線膨張係数は14ppm/deg.、表面粗さは0.6nmであった。
【0092】
比較例1(容量結合型PECVD装置によるビニルトリメトキシシランを用いた炭素含有酸化ケイ素封止膜の成膜)
図1に示した平行平板容量結合型PECVD装置を用いてをポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件はビニルトリメトキシシランを流量0.041g/min.、ヘリウムガスの流量100sccm、チャンバー内圧133Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で10分間成膜した。
【0093】
結果は、膜厚1190nmであった。炭素含有酸化ケイ素膜の組成は、Si=35atom%、C=13atom%、O=52atom%であった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性1.58cc/m・day、水透過性0.91g/m・dayであった。また全光線透過率は86.4%、線膨張係数は27ppm/deg.、表面粗さは26nmであった。
【0094】
比較例2
使用したポリエチレンナフタレートフィルム基板のガス透過性、全光線透過率、線膨張係数及び表面粗さを測定した。酸素透過性21.0cc/m・day、水透過性6.70g/m・dayであった。また全光線透過率は86.9%、線膨張係数は35ppm/deg.、表面粗さは1.4nmであった。
【符号の説明】
【0095】
1 平行平板容量結合型PECVD装置
2 PECVDチャンバー
3 シャワーヘッドを有する上部電極
4 下部電極
5 薄膜形成用基板
6 マッチング回路
7 RF電源
8 温度制御装置
9 気化器
10 液体流量制御装置
11 気体流量制御装置
12 容器
13 原料化合物
14 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
15 不活性ガスにより加圧する配管
16 排気装置
17 アース
18 アース
19 誘導結合型リモートPECVD装置
20 PECVDチャンバー
21 コイル
22 石英管
23 ヒーター部
24 薄膜形成用基板
25 マッチング回路
26 RF電源
27 温度制御装置
28 気化器
29 液体流量制御装置
30 気体流量制御装置
31 シャワーヘッド
32 容器
33 原料化合物
34 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
35 不活性ガスにより加圧する配管
36 排気装置
37 アース
38 マイクロ波PECVD装置
39 石英製チャンバー
40 薄膜形成用基板
41 ヒーター部
42 温度制御装置
43 気化器
44 液体流量制御装置
45 気体流量制御装置
46 シャワーヘッド
47 容器
48 原料化合物
49 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
50 不活性ガスにより加圧する配管
51 マッチング回路
52 マイクロ波発信器
53 マイクロ波反射板
54 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の有機アルミニウム化合物
AlX(OR3−(m+n) (1)
(式中、R、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素又は弗素、塩素、臭素、沃素原子を表し、mは1乃至3の数、nは0乃至2の数を表す。)
と、下記一般式(2)の有機シラン化合物
Si(OR4−p (2)
(式中、R、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、pは0乃至3の整数を表す。)
との混合物または反応物から成ることを特徴とする、化学気相成長法用の成膜材料。
【請求項2】
有機アルミニウム化合物(1)がトリアルキルアルミニウムである、請求項1に記載の成膜材料。
【請求項3】
トリアルキルアルミニウムがトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムである、請求項2に記載の成膜材料。
【請求項4】
化学気相成長法がプラズマ励起化学気相成長法である、請求項1〜3いずれかに記載の成膜材料。
【請求項5】
化学気相成長法が触媒化学気相成長法である、請求項1〜3いずれかに記載の成膜材料。
【請求項6】
一般式(1)の有機アルミニウム化合物と一般式(2)の有機シラン化合物との反応物が、下記一般式(3)
【化1】

(式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は酸素含有炭化水素基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。)
で示される化合物である請求項1〜5いずれかに記載の成膜材料。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の成膜材料を用い、化学気相成長法により成膜することを特徴とする、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法により得られることを特徴とする、炭素含有酸化アルミニウム酸化ケイ素膜。
【請求項9】
請求項8に記載の膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理または電子線処理して得られることを特徴とする膜。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の膜からなる封止膜。
【請求項11】
請求項10に記載の封止膜をガスバリア層として用いることを特徴とするガスバリア部材。
【請求項12】
請求項11に記載のガスバリア部材を含んでなることを特徴とするフラットパネルディスプレイデバイス。
【請求項13】
請求項10に記載の封止膜を含んでなることを特徴とする半導体デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−201658(P2012−201658A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69782(P2011−69782)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】