説明

抗血栓及び抗再狭窄血管医療機器

血管系へ移植又は挿入に適した治療機器を提供する医療装置は以下からなる;即ち
(a)医療機器基質;
(b)酸化窒素供与体とポリマーからなる基質上に備えられる下部ポリマー層;及び
(c)ポリマーと抗再狭窄薬からなる下部ポリマー層上に備えられる上部ポリマー層

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬品供給用医療機器、特に酸化窒素及び抗再狭窄薬の供給用血管医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
再狭窄は血管系における血管形成又はステント配置に続いて通常起こる問題である。現在いくつかの血管ステントが市販されており、抗再狭窄薬を含む薬品放出基質で被覆されている。パクリタキセルは臨床再狭窄の発生を抑制するのに有効な薬品の例であり、現在、TAXUS(登録商標)Express(登録商標)パクリタキセル溶出冠動脈ステントシステムでボストンサイエンティフィック社から発売されている。
【0003】
パクリタキセル又は他の抗再狭窄薬の使用で血管再内皮化に遅れが生じる場合があり、適切な予防手段をとらなければ血栓症に至る。従って、薬品溶出ステントを受ける患者は一般にステント移植に続いて、最低6ヶ月間体系的抗血小板治療を受ける。全ての薬品と同様に、抗血小板薬は副作用がある。更に治療に追加費用がかかる。
【0004】
従って体系的抗血小板治療の必要性を抑えるか又は排除する薬品溶出ステントを提供することが望まれる。
【発明の開示】
【0005】
上記とその他の課題が本発明の目指すものである。
【0006】
本発明の一態様によると、血管系への移植又は挿入に適した、以下からなる医療装置が提供される。
(a)医療機器基質;
(b)その下層が酸化窒素供与体とポリマーからなる、基質上に備えられる下部ポリマー層;及び
(c)その上部ポリマー層がポリマーと抗再狭窄薬からなる、下部ポリマー層上に備えられる上部ポリマー層
【0007】
本発明の利点は抗血栓薬としてステントのような血管医療機器に酸化窒素を加えることにより、体系的抗血小板治療の必要性を抑制又は排除することである。
【0008】
更に酸化窒素はどこにでもある分子で、体内の多くの細胞種により生成され、臨床試験において良好な耐用性を示し、そして抗血栓薬としての役割以上に色々な優れた効果を有するようである。例えば内皮は酸化窒素を生成し、抗血栓薬として作用することに加え、平滑筋細胞弛緩薬として作用し(血管壁の調子に影響)そして抗白血球薬として作用する。酸化窒素もまた血管再内皮化を助ける。
【0009】
本発明の上記の、そして多くの他の実施例と利点は続く詳細説明と特許請求の範囲により、当業者には直ぐに明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一態様によると、以下のものからなる移植可能な、又は挿入可能な機器が提供される。
(a)医療機器基質;
(b)少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの酸化窒素供与体を含む、基質の少なくとも一部を覆って備えられる下部ポリマー層、及び
(c)少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの抗再狭窄薬を含む、下層の少なくとも一部を被って備えられる上部ポリマー層
【0011】
下層医療機器基質での使用に適した材料は金属、セラミック及びポリマー基質材料を含む。基質材料は半導体(例えば珪素又は炭素)でもよい。適当な金属を例えば以下から選ぶことができる:本質的に純度の高い金属(例えば銀、金、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、チタン、タングステン及びルテニウム)及びコバルト・クロム合金、ニッケル・チタン合金(例、ニチノール)、コバルト・クロム・鉄合金(例、エルギロイ(elgiloy)合金)、ニッケル・クロム合金(例、インコネル合金)、そして鉄・クロム合金(例、少なくとも50%の鉄と、少なくとも11.5%のクロムを含むステンレス鋼)。適切なセラミック材料を例えば以下から選択できる。時にガラスセラミック(例シリカとバイオガラス)と呼ばれるシリカ‐および/またはカルシウム‐燐酸ベースのガラス、燐酸カルシウムセラミック(例、ヒドロキシアパタイト);酸化アルミニウム及び遷移金属酸化物を含む金属酸化物(例チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム及びイリジウムの酸化物);及びシリコンカーバイド及び窒化炭素のような炭素ベースのセラミック状材料。医療機器基質としての使用に適したポリマー材料を例えば以下に更に説明するポリマーから選択することができる。
【0012】
上で述べたように、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの酸化窒素供与体を含む下部ポリマー層が基質の少なくとも一部に配置される。ここで使用されるように「ポリマー層」とは層の50重量%以上、一般には75%以上、90%以上、ある例では層の95%以上にさえなる1つ以上のポリマーを含む層である。ここで使用されるように、ある材料の「層」はその厚さがその長さ及び幅の両方と比較して小さいその材料の領域である。「膜」「層」及び「被覆」のような言葉はここでは交換可能に使用される。層は例えば下部基質の輪郭のように平面である必要はない。層は不連続でもよい(例、パターンのあるもの)。従って下部ポリマー層は基質全体を被うことができるか又はその一部だけを被うことができるので、その場合色々な場所で、そして色々な形でそれを備えることができる。
【0013】
上でも述べたように、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの抗再狭窄薬を含む上部ポリマー層を下層の少なくとも一部を覆って配置する。更に上部ポリマー層は下部ポリマー層を完全に被うことができ、又それはその一部のみを被うことができる。さらに、上部ポリマー層は下部層の少なくとも一部を覆って配置される一方、下部層は全ての場所で上部ポリマー層と医療機器基質の間に介在する必要はない。
【0014】
本発明の上部と下部のポリマー層は医療機器基質を覆って形成できる;又はそれらを予め形成して、下部医療機器基質に付着させることができる。
【0015】
上で述べたように、下部及び上部ポリマー層は各々1つ以上のポリマーを含む。下部及び上部ポリマー層内のポリマーは同一であるか又は異なる。
【0016】
ここで使用されるように、「ポリマー」は各々が1つ以上の構成ユニットの複数コピーを含む1つ以上の鎖を含む分子である。一般的なポリマーの例はポリスチレン

で、ここでnは整数で、一般に10以上の整数、より一般的には10、100、1000のオーダー又はそれ以上で、ここで鎖はスチレンモノマー

を含む。(即ち鎖はスチレンモノマーの重合から発生し、又は発生するように見え、この場合スチレンモノマーの付加重合である。)ここで使用されるように、コポリマーは少なくとも2つの異なる構成ユニットを含み、そしてランダム、統計的、傾斜した、周期的、ブロックコポリマーを含むポリマーである。
【0017】
本発明のポリマー層用ポリマーは多くの構成を呈し、それは例えば周期的、直線的及び分岐構成から選択される。分岐構成は星型構成(例、3個以上の鎖が1つの分岐点から発する構成)、櫛状構成(例、主鎖及び複数の側鎖を有する構造)、樹状構成(例、樹状及び高分岐ポリマー)、等を含む。
【0018】
本発明のポリマー層は色々なポリマーから形成できる。特定の、又は選ばれたポリマーはポリマーの生体適合性、ポリマーとポリマー層の中に挿入すべき薬との間の適合性、薬に望ましい放出動態等を含む色々な要因に依存するだろう。
【0019】
例えば、本発明のポリマー層用に適したポリマーは以下を含んで選択することができる;(a)以下のような1つ以上のアクリル酸モノマーから構成されるか又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー;アクリル酸とその塩形体(例、アクリル酸カリウムとアクリル酸ナトリウム);無水アクリル酸;アクリル酸アルキル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸s‐ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t‐ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2‐エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル及びアクリル酸ヘキサデシル)、アクリル酸アリルアルキル(例、アクリル酸ベンジル)、アクリル酸アルコキシアルキル(例、アクリル酸2‐エトキシエチルとアクリル酸2‐メトキシエチル)、アクリル酸ハロアルキル(例、アクリル酸2、2、2‐トリフルオロエチル)及びアクリル酸シアノアルキル(例、アクリル酸2‐シアノエチル)を含むアクリル酸エステル;アクリル酸アミド(例、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド及びN、Nジメチルアクリルアミド);及び他のアクリル酸誘導体(例、アクリロニトリル);(b)以下のような1つ以上のメタクリル酸ベースモノマーから構成され、又はこれらを含むホモポリマーとコポリマー;メタクリル酸とその塩(例、メタクリル酸ナトリウム);無水メタクリル酸;メタクリル酸アルキル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタルリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t‐ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2‐エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル、芳香族メタクリル酸類(例、メタクリル酸フェニルとメタクリル酸ベンジル)、メタクリル酸ヒドロキシアルキル(例、メタクリル酸2‐ヒドロキシエチルとメタクリル酸2‐ヒドロキシプロピル)、メタクリル酸アミノアルキル(例、メタクリル酸ジエチルアミノエチルとメタクリル酸2‐t‐ブチルアミノエチル)、追加のメタクリル酸(例、メタクリル酸イソボルニルとメタクリル酸トリメチルシリル)を含むメタクリル酸エステル(メタクリレート);及び他のメタクリル酸誘導体(例、メタクリロニトリル);
(c)以下のような1つ以上のビニル芳香族モノマー(即ち芳香族とビニルを有するもの)から構成され、またはこれらを含むホモポリマー及びコポリマー:非置換ビニル芳香族(例、スチレンと2‐ビニルナフタレン);ビニル置換芳香族(例、α‐メチルエチレン);及び閉環アルキルビニル芳香族(例、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、2,4‐ジメチルスチレン、2,5‐ジメチルスチレン、3,5‐ジメチルスチレン、2,4,6‐トリメチルスチレン、及び4‐t‐ブチルスチレン)、閉環‐アルコキシル化ビニル芳香族(例、4‐メトキシスチレン及び4‐エトキシスチレン)、閉環−ハロゲン化ビニル芳香属(例、2‐クロロスチレン、3‐クロロスチレン、4‐クロロスチレン、2,6‐ジクロロスチレン、4‐ブロモスチレン及び4‐フルオロスチレン)及び閉環‐エステル置換ビニル芳香族(例4‐アセトキシスチレン)を含む閉環置換ビニル芳香族;(d)以下のような1つ以上のビニルモノマー(上記ビニル芳香属モノマーの域を越えて)から構成され又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー:ビニルアルコール;ビニルエステル(例、安息香酸ビニル、安息香酸4‐t‐ブチルビニル、シクロヘキサン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ビニルトリフルオロアセテート及びビニルブチラール);ビニルアミン(例、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン及びビニルカルバゾール);ハロゲン化ビニル(例、塩化ビニル及びフッ化ビニル);アルキルビニル・エーテル、(例、メチルビニル・エーテル、エチルビニル・エーテル、プロピルビニル・エーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2‐エチルヘキシル・ビニルエーテル、ドデシルビニル・エーテル、t‐ブチルビニルエーテル、及びシクロへキシルビニル・エーテル);及び他のビニル化合物(例、1‐ビニル‐2‐ピロリドン及びビニルフェロセン);(e)アセナフタレン及びインデンのような1つ以上の芳香族モノマー(上記ビニル芳香族モノマーの域を越えて)から構成され又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー;(f)以下のような1つ以上の閉環エーテルモノマーから構成され又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー:テトラヒドロフラン、酸化トリメチレン、メチルグリシジル・エーテル、ブチルグリシジル・エーテル、アリルグリシジル・エーテル、エピブロモヒドリン、エピクロロヒドリン、1,2‐エポキシブタン、1,2‐エポキシオクタン及び1,2‐エポキシデカン;(g)マロン酸エチレン、ビニルアセテート及びプロピオン酸ビニルのような1つ以上のエステルモノマー(上記のエステルモノマーの域を超えて)から構成され又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー;(h)以下のような1つ以上のアルケンモノマーから構成され又はこれらを含むホモポリマー及びコポリマー;非置換アルケンモノマー(例、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1‐ブテン、トランス‐ブタジエン、4‐メチルペンテン、1‐オクテン、1‐オクタデセン及び他のα‐オレフィン、及びシス‐イソプレン及びトランス‐イソプレン)、及びハロゲン化アルケンモノマー(例、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、シス‐クロロブタジエン、トランス‐クロロブタジエン及びテトラフルオロエチレン);及び(i)ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルエチルシロキサン、メチルフェニル・シロキサン及びジフェニルシロキサンのような有機シロキサンモノマーから構成されまたはこれらを含むホモポリマー及びコポリマー。
【0020】
更なる例として、上記例を必ずしも排除しない本発明のポリマー層用に適したポリマーは以下を含んで選択できる:ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリプロピレン及びポリブチレン、ポリオレフィンコポリマー例えばエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレン‐メタクリル酸コポリマー、及びエチレン‐アクリル酸コポリマーのようなエチレンコポリマーで、酸グループのいくらかは亜鉛又はナトリウムイオン(イオノマーとして一般に知られる)で中和することができる;ポリスチレンのようなビニル芳香族ポリマー;スチレン‐エチレン‐ブチレン・コポリマーのようなビニル芳香属コポリマー(例、クラトン(登録商標)Gシリーズポリマーとして入手できる、ポリスチレン‐ポリエチレン/ブチレン‐ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン‐イソブチレン・コポリマー(例、Pinchukの米国特許番号6,545,097で開示されたようなポリスチレン‐ポリイソブチレン−ポリスチレン(SIBS)コポリマー)、ブタジエン‐スチレン・コポリマー及びスチレン‐マレイン酸(SMA)コポリマー(例、Nova Chemicalから入手できるようなスチレンと無水マレイン酸のランダムコポリマー、及びScientific Polymer Products,Inc.から入手できるようなスチレンと無水マレイン酸の交互共重合体);ポリアセタール;塩化ポリビニル(PVC)のような塩化ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ化ポリマー;ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル;ポリエステル‐エーテル;ナイロン6とナイロン6,6のようなポリアミド;ポリエーテル;ポリエーテルブロックアミド(PEBA)のようなポリアミドエステル;シリコン;ポリカーボネート;熱可塑性ポリウレタン(TPU);及び弾性ポリウレタン及びポリウレタンコポリマー(ポリエーテルベース、ポリエステルベース、ポリカーボネートベース、脂肪酸ベース、芳香族ベース及びこれらの混合物であるブロック及びランダムコポリマー;市販ポリウレタンコポリマーの例はCarbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecothane(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Tecoplast(登録商標)、Pellethane(登録商標)、Chronothane(登録商標)、及びChronoflex(登録商標))。
【0021】
上記のように、少なくとも1つのポリマーに加え、本発明の医療機器の上部ポリマー層は少なくとも1つの抗再狭窄薬を含む一方、下部ポリマー層は少なくとも1つの酸化窒素供与体を含む。抗再狭窄薬は再狭窄治療に含まれる。(ここで用いられるように「治療」とは病気又は状態の予防、病気又は状態に関連する症状の低下又は排除、又は病気又は状態の本質的な又は完全な排除を言う。)酸化窒素供与体は、白血球付着低下を含む他の望ましい効果を有するが、医療機器に抗血栓表面を提供するために含まれる。
【0022】
一般に抗再狭窄薬と酸化窒素供与体はここでは「薬品」、「薬剤」、「治療剤」、「薬学的活性剤」、「薬学的活性材料」及び他の関係言語のことをいう。
【0023】
広範囲の抗再狭窄薬及び酸化窒素供与体負荷を本発明の医療機器と連携して使用することができ、治療に効果的な量は当業者により容易に決定でき、最終的に例えば年齢、性別や患者の状態、治療薬の性質、ポリマー層の性質、医療機器の性質等に依存する。
【0024】
本発明の各ポリマー層に関連する放出特性はポリマー層で使用されるポリマーの成分や分子量の変更、層の厚さの変更などを含む、多くの方法で修正することができる。
【0025】
多くの治療薬を再狭窄治療の候補として特定して来た。本発明の実施に有効な適切な抗再狭窄薬を、例えば以下に挙げる1つ又はそれ以上から選択できる:(a)ジルチアゼムとクレンチアゼムのようなベンゾチアゼピンを含むカルシウム−チャネルブロッカー、ニフェジピン、アムロジピンやニカルダピンのようなジヒドロピリジン、及びベラパミルのようなフェニルアルキルアミン、(b)フルオキセチンのような5‐HT吸収抑制剤を始め、ケタンセリンやナフチドロフリルのような5‐HT拮抗薬を含むセロトニン経路調整剤、(c)シロスタゾールやジピリダモールのようなホスホジエステラーゼ抑制剤を含む環状ヌクレオチド経路剤、アデノシン類似体を始めホルスコリンのようなアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ刺激剤、(d)プラゾシンやブナゾシンのようなα‐拮抗剤を含むカテコラミン調整剤、プロプラノロールのようなβ‐拮抗剤、ラベタロールやカルベジロールのようなα/β‐拮抗剤、(e)エンドセリン受容体拮抗剤、(f)ペントキシフィリンのような血液流動調整剤、(g)シラザプリル、ホシノプリルやエナラプリルのようなACE抑制剤、(h)サララシンやロサルチンのようなATII‐受容体拮抗剤、(i)アルブミン及びポリエチレン・オキシドのような血小板粘着抑制剤、(j)シロスタゾール、アスピリンやチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)を含む血小板凝集抑制剤、及びアブシキシマブ、エピチヒバチドやチロヒバンのようなGPIIb/IIIa抑制剤、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫化デキストランやβ‐シクロデキストリン・テトラデカ硫酸塩のようなヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D‐phe‐L‐プロピル‐L‐arg‐クロロメチルケトン)とアルガトロバンのようなトロンビン抑制剤、アンチスタチンやTAP(tick抗凝血性ペプチド)のようなFXa抑制剤、活性タンパク質Cを始めワルファリンのようなビタミンK抑制剤、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンやスルフィンピラゾンのようなシクロオキシゲナーゼ経路抑制剤、(m)デキサメタソン、プレドニゾロン、メタプレドニゾロンやヒドロコルチゾンのような天然及び人工コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアイアレチン酸やカフェイン酸のようなリポキシゲナーゼ経路抑制剤、(o)ロイコトリエン受容体拮抗剤、(p)E‐及びP‐セレクチンの拮抗剤、(q)VCAM‐1とICAM‐1相互作用抑制剤、(r)PGE1やPGI2のようなプロスタグランジン、及びシプロステン、エポプロステノール、カルバシクリン、イロプロストやベラプロストのようなプロスタシクリン類似体を含むプロスタグランジン及びその類似体、(s)ビスホスホネートを含むマクロファージ活性化防止剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチンやセリバスタチンのようなHMG-CoAレダクターゼ抑制剤、(u)魚油やΩ‐3‐脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンCやE,エブセレン、t‐レチノ酸やSOD模倣体のようなフリーラジカル捕捉剤/抗酸化剤、(w)bFGF抗体やキメラ融合タンパクのようなFGF経路剤、トラピジルのようなPDGF受容体拮抗剤、アンジオペプチンやオクレオチドのようなスマトスタチン類似体を含むIGF経路剤、ポリアニオン剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン及びTGF‐β抗体のようなTGF‐β経路剤、EGF抗体、受容体拮抗薬とキメラ融合タンパクのようなEFG経路剤、サリドマイドやその類似体のようなTNF‐α経路剤、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベンやリドグレルのようなトロンボキサンA2(TXA2)経路調整剤、及びチルホスチン、ゲニステインやクイノキサリン誘導体のようなタンパクチロシンキナーゼ抑制剤、を含む色々な成長要因に影響する薬、(x)マリマスタット、イロマスタットやメタスタットのようなMMP経路抑制剤、(y)サイトカラシンBのような細胞運動抑制剤、(z)プリン類似体(例、塩化プリンヌクレオチド類似体である6‐メルカプトプリン又はクラドリビン)のような代謝拮抗物質を含む抗増殖/抗腫瘍剤、ピルミジン類似体(例、シタラビンと5‐フルオロウラシル)及びメトトレキサート、ナイトロジエンマスタード、スルホン酸アルキル、エチレニミン、抗生物質(例、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレア、シプラチン、微小管動態に影響する薬(例、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルシチン、パクリタキセル及びエポチロン、EpoD)、カスパーゼ活性体、プロテアソーム抑制剤、血管形成抑制剤(例、エンドスタチン、アンギオスタチン及びスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール、及びスラミン、を含む抗増殖/抗腫瘍剤、(aa)ハロフギノンや他のクイナゾリノン誘導体やトラニラストのような基質配置/組織経路抑制剤、(bb)VEGFとRGDペプチドのような内皮化促進剤、(cc)ゲルダナマイシンを含むタンパク抑制剤、HSP90(即ち分子シャペロン又はハウスキーピング・タンパクで細胞の成長と生存の責任を負う他の付属タンパク/信号変換タンパクの安定及び機能に必要な熱衝撃タンパク)、(dd)Ace抑制剤とβ‐ブロッカー、(ee)バルクト抑制剤、(ff)ホスホラムバン抑制剤、及び(gg)セルカ2遺伝子/タンパク。
【0026】
本発明の実施に有効な多くの付加的治療薬もまたNeoRx社の米国特許番号5,733,925に開示され、その全ての開示が参考として組み込まれる。
【0027】
このように本発明用の適切な抗再狭窄薬を例えば抗腫瘍剤、抗増殖剤、抗分裂剤、免疫調整剤、遊走抑制剤、ECM−調整剤、及び特に治療と内皮化を促進する薬剤、を含む色々な薬剤から選ぶことができる。
【0028】
本発明に適したいくつかの特に優れた抗再狭窄薬を以下から選ぶことができる:シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、シクロスポリン、デキサメタソンのような天然及び人工のコルチコステロイド、M‐プレドニソロン、レフルノマイド、マイコフェノール酸、ミゾリビン、トラニスト、ビオレスト、エストラジオール、スタチン、パクリタキセル、EpoD、アクチノマイシン(例、アクチノマイシンD)、ゲルダナマイシン、シロスタゾール、メトトレキサート、アンギオペプチン、ビンクリスチン、ミトマイシン、QP‐2、C‐MYCアンチセンス、ABT‐578(アボット研究所)、レステンASE、クロロデオキシサデノシン、PCNZリボザイム、バチマスタット、プロリルヒドロキシラーゼ抑制剤、ハロフギノン、C‐プロテナーゼ抑制剤、プロブコール、トラピジル、リプロスチン、レステン‐NG、Ap‐17、アブシキシマブ、クロピドグレル及びリドグレル。
【0029】
「酸化窒素供与体化合物」は酸化窒素を放出するか又は酸化窒素形成へ導く物質として作用する化合物を意味する(小分子、ポリマー等を含み)。広範囲の酸化窒素供与体化合物が以下を含んで、酸化窒素の放出/生成に利用できる:(a)有機硝酸塩(即ち、C‐O‐NO基を有する有機化合物);例はニトログリセリンを含む;(b)O‐ニトロシル化合物(即ち、好ましくは有機の‐O‐NO基を有する化合物)(これらはO‐ニトロソ化合物として、又ある場合は有機亜硝酸塩として知られる);(c)S‐ニトロシル化合物(即ち、好ましくは有機の‐S‐NO基を有する化合物)(これらはまたS‐ニトロソ化合物又はS‐ニトロソシオル化合物として知られる);例はグルタチオン、カプトプリルのS‐ニトロシル誘導体、S‐ニトロシルタンパク/ペプチド、S‐ニトロシルオリゴ糖及び多糖類等;(d)NONOate化合物(即ち少なくとも一つの

例は置換ピペラジン

及びジアゼニウムジオラート;(e)無機ニトロソ化合物(即ち‐NO基を有する無機化合物);例はニトロプルシドナトリウムを含む;(f)シドノニミン;及び(g)L‐アルギニン(直接NOを放出しないが、むしろ体内での酸化窒素形成に導く酵素基質)
【0030】
理論に拘束されたくないが、酸化窒素を色々な方法で本発明の医療機器の表面に発生させることが出来ると思われる。具体例として医療機器の外で組織と接触する迄、本質的に酸化窒素を放出/生成しない供与体化合物を選ぶ。(内皮のような血管組織内で酸化窒素形成のための酵素基質として作用する具体例はL‐アルギニンである)。このような例で、酸化窒素の生成は、酸化窒素供与体化合物を例えば下部ポリマー層からそして上部ポリマー層を通して溶剤(例、体液)の助けにより又は助けなしのいずれかで物質移動により医療機器から放出させる速度を制御することにより操作することができる。別の具体例として、溶剤(例、体液)と接触する迄、酸化窒素を本質的に放出/生成しない供与体化合物を選ぶ。これらの例で、もし溶剤接触が機器の外で行われるならば、例えば供与体化合物が医療機器(上記参照)から放出される速度を制御することにより、又は溶剤と供与体化合物の接触が医療機器内で行われるならば、以下の1つ以上を制御することにより、酸化窒素の放出/生成を操作することができる;
(i)供与体化合物が機器表面へ向かって移送される速度
(ii)溶剤が表面からポリマー層の中へ運ばれる速度
(iii)一旦形成された酸化窒素がポリマー層を通して機器表面へ移送される速度。
【0031】
血小板発生と細胞付着は医療機器導入後比較的短時間に発生する表面現象であるので、血小板発生と細胞付着の低下に対する薬を機器の外層へ配置することは一般に望ましいと考えられる。しかし本発明においては、酸化窒素供与体を含む層を、抗再狭窄薬を含む層の下へ配置する。酸化窒素供与体(及びそれらの酸化窒素産物)は一般に分子量及び親水性の違いなどのため抗再狭窄薬より容易にポリマー層から放出されるので、これは望ましいことである。更に正常な内皮が医療機器全面にわたり修復される迄、抗血栓表面を維持するため、酸化窒素供与体および/またはその生成物の緩やかで着実な放出を有することが望ましい。緩やかで着実な放出は酸化窒素供与体含有ポリマー層の上に上部ポリマー層を備えることにより促進される。酸化窒素供与体に放出調整を提供することに加え、この上部ポリマー層も抗再狭窄薬の放出調整を提供する。従って、本発明の新規性の一態様は迅速な供給が一般に望まれる(即ち、酸化窒素供与体)薬をより長期間の供給が一般に望まれる(即ち、抗再狭窄薬)薬を含む層の下の層に配置することである。
【0032】
勿論、本発明による医療機器は、医療機器基質と下部ポリマー層(例、緩衝層等)との間に配置される1つ以上の層、下部ポリマー層と上部ポリマー層(例、障壁層等)との間に配置される1つ以上の層、及び上部ポリマー層(例、障壁層、ヒドロゲル層等)全面に配置された1つ以上の層など、特に記述されたもの以外の追加の層を含むことができる。
【0033】
本発明との連携使用に適した医療機器の例は、血管系への挿入又は移植に適したいろいろな医療機器を含む。具体的な医療機器を例えば以下から選ぶことができる:血管カテーテル、血管ステント、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例、大静脈フィルタ)、血管移植片、ステント移植片、脳動脈瘤フィルタコイル(ググリルミ着脱式コイル及び金属コイルを含む)、心筋プラグ、血管パッチ、ペースメーカとペースメーカリード、心臓弁、血管弁、血管組織工学足場、縫合、縫合アンカ、吻合クリップ及びリング、組織ステープル及び外科における結紮クリップ、及び血管系へ移植又は挿入される色々な他の被覆基質。
【0034】
本発明の医療機器導入のための好ましい対象(「患者」とも呼ばれる)は脊椎の課題であり、より望ましくは哺乳類の課題、及びより好ましくは人間の課題である。
【0035】
本発明と関連して使用される医療機器の具体例としては経皮経管冠動脈形成(PCTA)のような処置の後、血管例えば冠動脈へ挿入又は移植される血管ステントがある。このようなステントは動脈壁を支持し、そしてPCTA後に起こるその突然の再閉鎖又は崩壊を防止することにより冠動脈の開通性を維持するために使用される。
【0036】
本発明によるステントの1つの特定実施例を図1に概略的に示す。図1に関して、対向方向の、並行な、間隔を開けた、そして螺旋状に巻かれたフィラメント12から形成されるステント10を示す。フィラメント12は相互に編まれ、交差点14を形成し、開放メッシュ又は網状構造を備える。図2は3つの対向方向の、並行な、間隔を開けた、そして螺旋状に巻かれたフィラメント22から形成される同様な設計のステント20を示す。このように、対向方向の螺旋状フィラメントは1つ(図1に示すような)、又は複数の(図2に示すような)個別金属フィラメントからなる。このような金属フィラメントは同一又は異なる材料からなる。図3は、図1と図2に示すステントのような、本発明によるステントの形状に編まれ、巻かれ又は織られた複数の1つ以上の被覆金属フィラメント30を示す。示した被覆金属フィラメント30は下部ポリマー層34(少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの酸化窒素供与体を含む)及び上部ポリマー層36(少なくとも1つのポリマーと抗再狭窄薬等を含む)のための基質として作用する金属コア32からなる。
【0037】
図4は本発明の別の実施例による簡単な管状ステント40を示す。ステント40は下部ポリマー層44(少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの酸化窒素供与体を含む)及び上部ポリマー層46(少なくとも1つのポリマーと抗再狭窄薬)で被覆された管状金属基質42からなる。一般に図4に示すような管状ステントは例えば薄い金属材料のレーザ切断又は化学エッチングを含む通常処理により形成される溝又は窓(図示されず)のような複数開口部を含む。
【0038】
多くの技術が本発明によるポリマー層形成に利用できる。例えば、ポリマー層での使用に選択されたポリマーが熱可塑性の特性を有する場合、シート、管や色々な長さの他の断面形状への押し出し成形を始め、圧縮成形、射出成形、吹き込み成形、真空成形及びカレンダリング(Calendaring)を含む、様々な標準的な熱可塑性処理技術を用いることができる。例えば、ポリマー層を既に存在する被覆のある、又は被覆のない医療機器基質上へ押し出すことにより提供することができる。別の例として、上部及び下部ポリマー被覆を既存医療機器基質上へ共に押し出すか、又はそれらを下部医療機器基質と共に押し出すことができる。また別の例として、ポリマー層を押し出しにより提供し、そして医療機器基質に付着させることができる。
【0039】
もし治療薬が処理温度で安定であれば、それらは熱可塑性処理に先立ちポリマーと組み合わせることができる。又治療薬を吸収(imbibing)など(以下参照)のような技術を利用してポリマー層形成に続いて導入することができる。
【0040】
溶剤ベースの技術は本発明によるポリマー層形成のための更なる技術である。これらの技術を利用して、最終的にポリマー層(多くの実施例での溶解又は分散治療薬を始め)を形成するポリマーを含む溶液を最初に提供し、続いて溶剤を除去することにより、ポリマー層を形成することができる。選択された溶剤は一般に1つ以上の溶剤の種類を含み、これはポリマー層を形成するポリマーを溶解するそれらの能力に基づいて一般に選択される。また、興味のある治療薬の溶解能力、乾燥速度、表面張力等を含む他の要因に基づいて選択することもできる。一般にどの溶剤が最良の特徴を有するポリマー層を提供するかを調べるために数種の溶剤を試験するだろう。
【0041】
好ましい溶剤ベースの技術は、これらに限定はされないが、溶剤鋳造技術、スピン・コーティング技術、ウェブ被覆技術、溶剤スプレー技術、浸漬技術、空気サスペンションを含む機械的サスペンションによる被覆を含む技術、インクジェット技術、静電技術、及びこれらの処理の組み合わせを含む。
【0042】
適切な場合に、このような技術を繰り返し又は組み合わせ、ポリマー層を所望の厚さへ成長させることができる。ポリマー層の厚さをさらに他の方法で変化させることもできる。例えば1つの好適な処理の溶剤スプレー法で、スプレー流速の増加、被覆基質とスプレーノズルとの間の移動抑制、繰り返し通過の提供等を含む被覆処理パラメータを変化させることにより被覆厚さを増加させることができる。
【0043】
色々な実施例で、ポリマー溶液を基質上に塗布し、本発明のポリマー層を形成する。例えば、基質を、ステントのように移植可能な、又は挿入可能な医療機器の全て又は一部に対応させることができる。また基質は例えば溶剤除去の後、ポリマー層が除去され、そして医療機器基質上に適用される、鋳形のようなテンプレートでもよい。例えば、溶剤押し出し技術の他の実施例では、ポリマー層を基質の助けなく形成し、次に医療機器基質上へ適応する。
【0044】
一部の実施例では、興味のある治療薬を例えば溶解又は分散形態でポリマー溶液に加え、こうしてポリマー層と共に確立させる。また他の実施例では、治療薬を溶剤内で溶解し、(例えば浸漬、スプレーなどのような1つ以上の上記適用技術を使用して)その溶液を既に形成されたポリマー層と接触させる。
【0045】
ポリマー層を溶剤ベースの技術を使用して形成する場合、これらは溶剤の種類を除去するため塗布後、乾燥されることが望ましい。ポリマー層は一般に乾燥処理中にいかなる下部表面にも適合する。
【0046】
様々な実施例がここに具体的に示され、記述されたが、本発明の修正、変更は上記教示でカバーされ、本発明の精神及び意図する範囲から逸脱ことなく付属の特許請求の範囲内で行われることが認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例による編組ステントの概略長さ方向斜視図である。
【図2】本発明の別の実施例による編組ステントの概略部分側面図である。
【図3】本発明の実施例による、図1又は図2のステントで使用される被覆金属フィラメントを示す概略部分長さ方向図である。
【図4】本発明の実施例による管状ステントの概略図である。
【符号の説明】
【0048】
10、20、30、40:ステント
12、22:フィラメント
14:交差点
32:コア
34、44:下部ポリマー層
36、46:上部ポリマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)医療機器基質;
(b)基質上に備えられ、酸化窒素供与体とポリマーからなる下部ポリマー層;
(c)下部ポリマー層上に備えられ、ポリマーと抗再狭窄薬からなる上部ポリマー層;
からなる移植可能な又は挿入可能な医療機器であって、
該医療機器は血管系への移植又は挿入に適することを特徴とする医療機器。
【請求項2】
基質は金属基質であることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項3】
基質はステンレス鋼又はニッケル・チタン合金の基質であることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項4】
酸化窒素供与体はS‐ニトロシル化合物及びNONOate化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項5】
下部ポリマー層は複数の酸化窒素供与体からなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項6】
下部ポリマー層は基質を完全に被うことを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項7】
下部ポリマー層は基質の一部だけを被うことを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項8】
下部ポリマー層はホモポリマー及びコポリマーから選択される複数の異なるポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項9】
下部ポリマー層はコポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項10】
下部ポリマー層はブロック・コポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項11】
コポリマーを形成する構成ユニットはオレフィンおよびビニル芳香属モノマーからなることを特徴とする、請求項9に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項12】
抗再狭窄薬はパクリタキセル、ラパマイシン、及びタクロリムスから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項13】
抗再狭窄薬はパクリタキセルであることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項14】
上部ポリマー層は複数の抗再狭窄薬からなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項15】
上部ポリマー層は下部ポリマー層を完全に被うことを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項16】
上部ポリマー層は下部ポリマー層の一部だけを被うことを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項17】
上部ポリマー層はホモポリマー及びコポリマーから選択される複数の異なるポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項18】
上部ポリマー層はコポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項19】
上部ポリマー層はブロック・コポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項20】
コポリマーを形成する構成ユニットはオレフィンおよびビニル芳香属モノマーからなることを特徴とする、請求項18に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項21】
上部及び下部ポリマー層は異なるポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項22】
上部及び下部ポリマー層は同一コポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項23】
上部及び下部ポリマー層は同一ブロック・コポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項24】
前記ブロック・コポリマーはポリオレフィン・ブロックからなることを特徴とする、請求項23に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項25】
前記ブロック・コポリマーはポリ(ビニル芳香属)ブロックからなることを特徴とする、請求項23に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項26】
前記ブロック・コポリマーはポリオレフィン・ブロック及びポリ(ビニル芳香属)ブロックからなることを特徴とする、請求項23に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項27】
医療機器はステントであることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。
【請求項28】
医療機器基質はステント基質であり、下部ポリマー層は酸化窒素供与体、及びポリイソブチレン・ブロックとポリスチレン・ブロックからなるブロックポリマーからなり、そして上部ポリマー層はパクリタキセル、及びポリイソブチレン・ブロックとポリスチレン・ブロックからなるブロックポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載の移植可能な又は挿入可能な医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−517715(P2008−517715A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538961(P2007−538961)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/036622
【国際公開番号】WO2006/049823
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507017004)ボストン サイエンティフィック リミティッド (24)
【Fターム(参考)】