説明

押出中空区分の形態にある多層複合体

【課題】層接着、および化学製品に対する耐性を考慮に入れた耐性、透過、並びに溶出に対する耐性に関して改善されている熱可塑性多層複合体を提供すること。
【解決手段】本発明は、外側層が、
(A)80から20重量部までの少なくとも1つのポリアミド(PA)および
(B)ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステルエーテルアミドおよびそれらの混合物より構成される群から選択される、20から80重量部までの少なくとも1つのポリアミドエラストマー(TPE−A)に基づいた混合物によって成形されるものであり、(A)と(B)の総計が100重量部である、
そして中空区分が、高押出速度、特に20m/分を越える速度で生産され、その結果、低い押出速度で生産された以外は同一の中空区分に比較して、並びに特にポリアミドエラストマー添加剤なしに、同じ押出速度で生産されたポリアミド外側層を有する中空区分に比較しても、生産された中空区分が、破断時に高い伸び、特に200%を越える伸びを示し、破断時の伸びが、DIN EN ISO527−2によって仕上げられた中空区分で測定されたものである熱可塑性の外側層および少なくとも別の層を包含する、押出中空区分の形態にある多層複合体、特に熱可塑性多層複合体に関する。
本発明は、さらに、特に管またはホースの形態で、好ましくは液体燃料用の燃料ラインとして存在する多層中空区分を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、欧州特許出願EP06015922.5号の優先権を主張し、そして高速押出速度での押出物品の破断時の伸びの改善のためのポリアミドエラストマー(TPE−A)で改質された改質ポリアミド(PA)押出成形材料に関する。
【0002】
本発明は、さらに、これらの成形材料から製造された少なくとも1つの外側層、並びに少なくとも別の層、好ましくは防御層および都合により別の層を包含する、多層複合体に、特に、中空区分の形態の、好ましくは、自動車部門のための熱可塑性多層複合体に関する。
【0003】
本発明は、好ましくは自動車部門用の管、パイプまたはホースの形態で、さらに好ましくはガソリンまたはディーゼルのような液体燃料用の、または例えばバイオエタノール(および適切な燃料混合物)またはアブラナのメチルエステルのような代替燃料用の燃料管またはパイプとして特に存在しうる上記中空区分の製造の方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
変換操作および特にプラスチックのための押出法は、長年の技術の現状であり、そして例えば、書籍:非特許文献1(W.Michaeli、Einfuhrung in die Kunststoffverarbeitung、4版、1999年、Carl Hanser Verlag Munich、85ff頁)に記述されている。85頁の図6.1.1には、環状押出装置の概念的略図が示されている。押出速度で、キャタピラー起動の速度およびそれにより輸送される製造中の中空区分の速度、したがって押出装置の生産速度をそれぞれ意味する。
【0005】
押出の手段によりポリアミド外側層を有する多層管またはホースの生産時に、押出装置が高速(20m/分から出発して、例えば60から80m/分またはそれより高くまで増大させて)で操作されている場合には、破断時の伸びおよび冷却衝撃強度のような機械的特徴が、悪化していることが分かった。これに関して、冷却ラインの後のキャタピラー引取の引落速度および検量(例えば水冷により達成しうる)は、押出速度で意図される。さらに、高い押出速度で装置を操作するときに、高速レベルでさえ、同じ断面と同じ壁厚を有し、そして同じ直径まで所定の物品が、それぞれ、なお、生じるので、押出機の材料生産高も、もちろん同時に比例して高くに調整すべきであることに注目すべきである。したがって、本件での機械的特徴の評価の間に、同じ幾何学の押出物品をそれぞれ比較する。
【0006】
高押出速度で、製造された物品の機械的特徴が悪化している上記の特定の影響は、長年、専門家にすでに知られており、そしてそれにより押出速度が限定されるので欠点を示す。多層管の限界点は、外側から最も素早く冷却し、そして高速に、いっそうはっきりとそれ自身を調整する、主に外側表面すなわち管の表面区分である。結果的には、それぞれ、機械的に負荷をかけられたときに、外側表面での高張力および小さな弾性により、より容易に破断し始める。
【0007】
上に明記される影響は、例えば非特許文献2(A.Carinら、Intern.Polymer Processing XX(2005年)、305−311頁)により示されている。ここで310頁に、外側表面の向きは、引落速度が増大すると共に増大する、すなわち、破断時の伸びは逆に減少するという十分知られた関係を見出す。
【0008】
特許文献1(欧州特許公報第0245125号B1)によると、複雑で、そして完全に害のないものではない連続処理法によって、すなわち、更新された冷却に続いて、検量管を焼くことによって、外側表面での方位を消させる試みがなされた。
【0009】
特許文献2(欧州特許公報第1452307号A1)には、過酸化物含有ガソリンに耐性があり、そして冷却衝撃に関する通常の要件も満たし、そして簡単で、そして経済的な構造を有する多層自動車用のチューブが示されている。多層管は、ポリアミド・ホモポリマーの混合物に基づいた内側層で形成され、そしてそれはさらに、相溶化剤を有する。特許文献2(欧州特許公報第1452307号A1)の特徴的特性は、内側層が、1種のポリアミド・ホモポリマーのみに基づいて、あるいはポリアミド6共重合体の混合物に基づいて形成されておらず、そして相溶化剤を用いて、様々の非混合性ポリアミド・ホモポリマーのブレンドから成形されている事実である。特許文献2(欧州特許公報第1452307号A1)で供されるとおり、このブレントが、多層ラインの外側層にも使用される場合、押出速度を増大させるにつれて、多層管の破断時の伸びが減少されるという上に明記される影響も生じる。
【0010】
特許文献3(英国特許公報第2390658号B)では、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVALと略号で示されるか、または英語圏の語では、EVOHとも称される)防御層、並びにポリアミド612またはポリアミド610の外側層およびポリアミド6、ポリアミド612またはポリアミド610の内側層を伴う多層重合体管またはホースラインが示されている。これらの上に明記される材料は、加熱下で非常に優れた寸法安定性を示し、そして炭化水素に対して優れた防御特徴を示し、そしてさらに、層の間の優れた接着性を示す、すなわち、多層管は、層剥離に対して耐性がある。しかし、これらの多層管を用いた場合でさえ、破断時の伸びが、押出速度を増大するときに減少されるという周知の影響が生じる。
【0011】
特許文献4(ドイツ国特許公報第69831239号T2)では、ポリアミドに基づいた多層構造、特に少なくとも1つの内側層および少なくとも1つの外側層が供される多層構造を有する管が記述されている。外側層は、6/6−36型の少なくとも1つのコポリアミドおよび少なくとも第二の熱可塑性重合体の、すなわちポリアミド6型の混合物から成形される。第二の重合体は、可塑剤またはエラストマーを含有しない。
【0012】
特許文献5(欧州特許公報第559537号A−1)では、自動車用の防御特性を有する多層プラスチック製管が記述されている。支持体のプラスチックは、ポリアミドのブレンドより構成されうる。さらに、EVOHから製造される防御層を提供する。多層燃料管の外側層は、さらに、外側保護層によるジャケットを有することができ、そしてそれは、それぞれ、熱可塑性エラストマー(TP)と熱可塑性ポリウレタン(TPU)より構成される。この別の保護層は、他の層と同時に押出され、そしてそれにより複合複合体の成分になりうる。
【0013】
特許文献6(米国特許公報2002/0012806号A1)では、ポリアミドまたはポリアミド混合物から製造される内側層を含む熱可塑性多層構造物が記述されている。重合体混合物は、可塑剤なしに通常のポリアミド型を含みうる。
【0014】
特許文献7(欧州特許公報第0710537号A2)では、内側層が、ポリアミドより構成され、そして外側層が、間に付着したEVOHの層を有するポリアミドより構成される多層ラインまたは導管が記述されている。層材料の混合物は、可塑剤および/またはポリアミドエラストマーを含有しない。
【0015】
特許文献8(ドイツ国特許公報第3510395号A1)では、ポリビニルアルコールに基づいたアルコール防御層を有する多層燃料管またはホースラインが記述されている。内側流路に対する指示では、ポリアミド11または12より製造されるポリアミド保護層が提供される。
【0016】
特許文献9(米国特許公報第5,960,977号A1)では、波型セグメントを有する重合体ホースまたは管が記述されている。
【0017】
エラストマーで改質した重合体の使用は、技術の現状の他の領域で、例えば医療技術で、または光ファイバーケーブルでさらに知られるようになった。特許文献10(ドイツ国特許公報第3724997号C2)では、光ファイバーケーブルの重合体保護層の生産におけるポリアミド/ポリアミドエラストマー混合物の使用が記述されている。ポリアミド/ポリアミドエラストマー混合物の層を有する光ファイバーケーブルの被覆は、押出法を使用して、特許文献10(ドイツ国特許公報第3724997号C2)によって成し遂げられる。
【0018】
特許文献11(欧州特許公報第0566755号B1)には、さらに、一方の重合体がポリエーテルアミドであり、そして他方のものが、ポリエーテルエステルアミドまたはポリアミドである2つの重合体の混合物から押出される医療装置用のポリエーテルアミドホースが記述されている。
【0019】
特許文献12(ドイツ国特許公報第2716004号C3)では、柔軟性冷却衝撃モノ管の生産用のポリアミド12を有するラウリンラクタムに基づいた混合可能なポリエーテルエステルアミドが記述されている。
【0020】
特許文献10(ドイツ国特許公報第3724997号C2)および特許文献12(ドイツ国特許公報第第2716004号C3)、並びに特許文献11(欧州特許公報第0566755号B1)では、ラウリンラクタムを有するポリエーテルアミドが、ポリアミドブロック用のモノマーとして使用されている。ポリアミド12を有する適切な改質混合物も、書籍:非特許文献3(Polyamid−Kunststoffhandbuch、3/4、1998年、Carl Hanser Verlag、872頁、段落8.3.3)に明記されている。これらのブレンドは、ホモポリアミドとのポリアミド12ブロックの共晶化に基づいている部分的適合性を示している。3つの対応の特許では、多層導管も適合化のいずれも明記されていない。しかし、このような混合物は、防御材料に接着せず、特にEVOHに接着しない。EVOHに対する接着を引起すポリアミドは、例えば特許文献13(欧州特許第1162061号B1)で記述されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献14(ドイツ国特許公報第3916001号A1)では、不定形コポリアミド、ブロック・ポリエーテルポリアミド、ブロック・ポリエーテルエステルポリアミドおよび改質コポリオレフィンの4成分混合物が記述されている。不定形のコポリアミドを含有するこのような混合物の欠点は、燃料ラインのために達成されなければならない、化学製品、特に塩化亜鉛に対する耐性が低いことである。
【0022】
したがって、層接着、および化学製品に対する耐性を考慮に入れた耐性、透過、並びに溶出に対する耐性に関して改善されている熱可塑性多層複合体を提供することが本発明の目的であり、そしてそれは、高押出速度でさえ、外側表面上に小さな張力のみが見られる、すなわち、機械的特徴は損なわれず、そして管状製品の経済性を実質的に増大させることができる。
【0023】
発明者らは、現在、例えばEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)から得られるような防御層を有する多層管の押出実験中に、特に、外側層のために供給されるポリアミド成形材料に所定の部分のポリアミドエラストマーを加えた場合、特にポリアミドエラストマーが、ポリアミドと混和性がない場合に、外側表面での機械的特徴の損傷の影響が、全く予期せぬ方法で反転されうることを驚くべきことに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、本発明は、外側層が、(A)80から20重量部までの少なくとも1つのポリアミド(PA)および(B)20から80重量部までの少なくとも1つのポリアミドエラストマー(TPE−A)に基づいた混合物から成形され、後者は、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステルエーテルアミドおよびそれの混合物の群から得られ、(A)および(B)の総計は、100重量部を生じるものである、熱可塑性外側層および少なくとも1つの別の層を包含する押出中空区分の形態にある新たな多層複合体に、特に、熱可塑性多層複合体に関する。破断時の伸びを、DIN EN ISO527−2によって加工済み中空区分で測定すると、低押出速度で製造されたほかの点では同一の中空区分と比較して、並びに、特に同じ押出速度で製造されポリアミドエラストマー添加剤なしのポリアミド外側層を有する中空区分とも比較して、高押出速度(特に20m/分を越える)で製造されたような外側層を有する中空区分は、破断時に高い伸びを示す。言い換えると、これは、本発明による外側層を有する高速生産多層管は、低押出速度で製造された多層管と比較して、破断時に高い伸びを示すことを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の押出中空区分の形態にある多層複合体をさらに詳しく説明する。外側層材料にPAエラストマー部分(TPE−A)を加えた、すなわち、ポリアミド(PA)を、例えばPAおよびTPE−Aの総計から得られる100重量部に関連して50重量部を加えた場合、(TPE−A)−添加剤なしにポリアミド外側層を有する多層複合体と対照的に、20m/分押出速度で、すでに、破断時の伸びεRは、200%を越える値に達し始め、そして特に驚くべきことには高速で増大さえする(40m/分および60m/分を用いた表4の実験を参照)。破断時の伸びεRの定義は、当業者に周知であり、そして固有の価値の中でも、書籍:Kunststo−Kompendium、2版、VOGEL Buchverlag Wurzburg、1988年、239頁に見ることができる。
【0026】
したがって、多層複合体の押出の、特に多層管の品質および生産性の両方を、本発明によって桁外れに増大させることができる。
【0027】
成分(A)用のポリアミド(PA)として、4から44個までの炭素原子、好ましくは4から18個までの炭素原子を有する脂肪族ラクタムまたはω−アミノカルボン酸の好ましい多縮合産物、または6から20個までの炭素原子を有する芳香族アミノカルボン酸かれ得られるようなものを使用する。
【0028】
同様に、適しているのは、それぞれ、2から44個までの炭素原子を有する少なくとも1つのジアミンおよび少なくとも1つのジカルボン酸から得られる多縮合産物である。このようなジアミンの例は、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、m−およびp−ヘキシレンジアミン、シクロヘキシルジメチレンアミン、ビス−(アミノシクロヘキシル)メタンおよびそれのアルキル誘導体である。
【0029】
ジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸およびセバシン酸、ドデカン2酸、36または44個のC原子を有する二量体脂肪酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸である。
【0030】
成分(A)用の特に好ましいポリアミド(PA)は、PA6、PA11、PA46、PA12、PA1212、PA1012、PA610、PA612、PA69、PA6T、PA6I、PA10T、PA12T、PA12I、それらの混合物に基づいたホモ−およびコポリアミド、またはこれらのポリアミドに基づいた共重合体であり、そしてPA11、PA12、PA1212、PA10T、PA12Tが好ましい。さらに好ましいのは、例えば12T/12、10T/12、12T/106および10T/106のような上に明記されるポリアミドに基づいた共重合体である。さらに、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミド6/66/610、ポリアミド6/66/12、ポリアミド6/6Tおよびポリアミド6/6Iも本発明によって使用することができる。
【0031】
好ましい不定形または微晶性ホモ−およびコポリアミドは、以下の組成を有する。PA6I、PA6I/6T、PA MXDI/6I、PA MXDI/MXDT/6I/6T、PA MXDI/12I、PA MAC−MI/12、PA MACMI/MACMT/12、PA6I/MACMI/12、PA6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA PACM6/11、PA PACM12、PA PACMI/PACM12、PA MACM6/11、PA MACM12、PA MACMI/MACM12、PA MACM12/PACM12、PA 6I/6T/PACMI/PACMT/PACM12/612。
【0032】
成分(A)用の特に好ましいポリアミドは、PA6、PA11、PA12、PA610、PA612、PA1010、PA1012およびPA1212またはその混合物である。
【0033】
成分(B)用のポリアミドエラストマー(TPE−A)は、ポリアミドブロック重合体中に柔軟性ポリエステル、ポリエーテルまたはポリオレフィンセグメントを挿入することによって製造しうる。一般構造は、書籍Polyamid−Kunststoffhandbuch 3/4、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン(Munich)、1998年、854および855頁に記述されている。
【0034】
それらが欧州特許公報A−0069475号に記述されるとおりポリエステルアミドは、エステル形成単量体およびアミド形成単量体から製造される。国際公開公報85/02852号から、鎖末端とポリカプロラクトンジオールの両方でのカルボキシル基とのポリアミドブロックの反応によって、ポリエステルアミドを製造する。欧州特許公報第0955326号B1は、ニ量体ジオールおよびヒドロキシル末端ポリエステルを含むニ量体ジオールで改質されるポリアミドに関する。後者のポリエステルアミドは、他のジオール含有ポリアミドと比較して加水分解に対する素晴らしい耐性によって特徴づけられる。
【0035】
ポリエーテルアミドの製造は、例えば、欧州特許公報0459862号B1およびスイス国特許公報642982号に記述されている。ポリエーテルアミドは、それにより、両方の鎖末端にカルボキシル基を有するポリアミド列から、両方の鎖末端にアミノ基を有するポリオキシアルキレン列と共に出発して製造される。
【0036】
日本国特許公報59207930号Aには、ポリエステルエーテルアミドの製造が記述されており、その合成が、両方の鎖末端にカルボキシル基を有するポリアミドブロック(例えばPA610またはPA612)およびポリアルキレンオキドポリオールに基づいているポリエーテルブロックから同時縮合を介して行われる。
【0037】
本発明による利用可能なTPE−Aの別の例は、書籍:Polyamid Kunststoffhandbuch、3/4、1998年、Carl Hanser Verlag、854−871頁に見ることができる。
【0038】
それぞれ、欧州特許第0399415号B1および米国特許第5,574,128号で明記されるとおり、ブロックコポリエーテルエステルエーテルアミドは、ポリエーテルアミドとポリエーテルエステルアミドの組合せである。その合成は、それにより両方の鎖末端にカルボキシル基を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールとポリエーテルジアミンの両方から同時縮合を介して起こる。
【0039】
成分(B)については、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよびブロックコポリエーテルエステルエーテルアミドの部分基から得られるポリアミドエラストマー(TPE−A)が好ましい。これらのTPE−Aは、エステルおよび/またはアミド結合の形成に適している反応性末端基(水酸および/またはアミノ末端基が好ましい)を有するポリエーテルブロックから製造される。ポリエーテル骨格は、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチルグリコール(PTMEG)、ポリブチレングリコール(PBG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリネオペンチルグリコール(PNPG)および/またはそれらの混合物および/またはそれらの共重合体および/またはそれらのブロック重合体より構成されうる。
【0040】
典型的なポリエーテルアミドの、またはポリエーテルエステルアミドの市販の製品は、書籍:Polyamid Kunststoffhandbuch、3/4、1998年、Carl Hanser Verlag、875頁に見られるものである。典型的な材料は、イーエムエス−ケミエ・エイ・ジー(EMS−Chemie AG)(スイス国ドマット/イーエムエス(Domat/Ems、Switzerland))から得ることができる製品グリロン(Grilon)(登録商標)ELXまたはグリルアミド(Grilamid)(登録商標)ELYである。グリロン(登録商標)ELXは、ポリアミド6硬質ブロックを有するポリエーテルアミドである。製品グリルアミド(登録商標)ELYは、ポリアミド12硬ブロックを有するポリエーテルアミドである。
【0041】
本発明の特に好ましい実施態様によって、ポリアミド6ポリエーテルアミド(成分B)とのポリアミド12(成分A)のブレンド、並びに適合化剤として作用する耐衝撃改良剤を、外側層用の材料として使用する。代替の好ましい変法として、ポリアミド12ポリエーテルアミドを有するポリアミド12、または代わりに、ポリアミド12ポリエーテルアミドを有するポリアミド6、および都合により適合化剤としも作用できる耐衝撃改良剤、またはポリアミド6ポリエーテルアミドを有するポリアミド6またはそれの混合物を、外側層の混合物として使用する。
【0042】
本発明によるポリアミド押出成形材料は、好ましくは、適合化剤として作用でき、そして総成形材料の重量に対して0から35重量%までの範囲内で部分的に存在している耐衝撃改良剤を包含する。特に好ましくは、5から35重量%までの部分であり、特に好ましくは、8から30重量%までの部分、特に好ましくは、12から25重量%までである。エラストマーまたはゴムは、耐衝撃改良剤として適している。このようなゴムは、中でも、欧州特許公報第0654505号A1、4頁38行から5頁58行までに記述され、そしてそれらは、この詳説されたリストにより当業者に周知である。このような耐衝撃改良剤は、それらが、エラストマーを包含し、そしてポリアミド、例えばカルボン酸または無水カルボン酸基と反応できる少なくとも1つの官能基を有することを共にする。
【0043】
耐衝撃改良剤の製造は、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸またはグリシジル(メタ)アクリレートのような適切な反応性化合物との親重合体のグラフト化または共重合化により起こる。したがって、耐衝撃改良剤は、しばしば、グラフト化コポリオレフィンと称されうる。様々の耐衝撃改良剤の混合物も使用することができる。
【0044】
耐衝撃改良剤も、天然には、ポリアミドに基づいている内側層の成形材料に含まれうる。好ましい内側層材料は、すでに明記された欧州特許公報1452307号A1または英国特許公報第2390658号Bの内側層に対応する。
【0045】
さらに、消炎剤、色素、安定化剤、強化材(例えば、ガラス繊維)、可塑剤、カオリンまたは粘土鉱物(層シリケート)のような鉱物性フィラー、または特に内側層のためには、電気伝導性を確保するための添加剤、すなわち、静電気防止添加剤(例えば、それぞれ、伝導性カーボンブラックまたはカーボンファイバーまたはグラファイト繊維および炭素ナノチューブ)も、内側および/または外側層用の別の添加剤として適切である。しかしながら、これらの添加剤は、好ましくは、消炎剤が15重量%までを占める全成形材料の50重量%未満である。好ましい実施態様では、内側および/または外側層は、総成形材料の重量に関して、5から20重量%までの部分で、特に好ましくは10から15重量%までの部分で可塑剤を包含する。
【0046】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた中間層を、好ましくは、本発明による外側層の内側に、および/または外側と任意の内側層との間に防御層として使用しうる。さらに、フルオロ重合体、またはフルオロ重合体、ポリフェニレンスルフィド、例えばPBTまたはPENのような部分的芳香族のポリエステル、ポリフタルアミドのような部分的芳香族のポリアミドまたはMXDAに基づいたポリアミドの共重合体、液晶性重合体(LCP)、金属箔、金属管または当業者に知られている他の防御材料に基づいた防御層を使用することも可能である。これらの防御層は、都合により、多層複合体の様々の層で互いに存在しうる。自然には、多層複合体は、さらに別の中間層、例えば接着媒介層も包含しうる。
【0047】
防御層に適切である明記した重合体または金属の全ては、むしろ堅い材料で、それが、個々の層の間に優れた複合体接着を示す多層複合体を得ることが好ましい理由であり、押出工程の後の別の加工段階として、特に熱成形工程として、それの総組合せで破断時に高い伸びを示す。
【0048】
特に好ましい実施態様では、防御層は、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいている。別の好ましい実施態様では、任意の内側層を防御層に直接、接しさせることが可能である。任意の内側層に適しているポリアミドは、成分(A)の説明ですでに明記されるとおりのものである。欧州特許第1452307号A1または欧州特許第1162061号B1で記述されるとおり、EVOHの防御層を有する特に好ましい実施態様に対して固有の接着特徴を示すポリアミドまたは重合体混合物が好ましい。さらに好ましいポリアミドは、PA6、PA66、PA610、PA612およびそれの混合物、および/または欧州特許公報第1452307号A1によって、PA6、PA12および適合化剤の混合物である。最も好ましくは、内側層は、ポリアミド610またはポリアミド612、またはポリアミド610とポリアミド6および/またはポリアミド6硬質セグメントを有するポリアミドエラストマーから製造される混合物から成形される。
【0049】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた防御層の場合には、防御層は、好ましくは、少なくとも80重量%エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を包含する。極端な変形についての応力亀裂安定性を増大するために、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた防御層が、20重量%までの柔軟化重合体、好ましくはコポリアミド6/12および/またはエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)を包含する場合に有利である。
【0050】
内側層および/または防御層の間に別の層を供することも可能である。好ましくはエチレンビニルアルコール共重合体から成形される内側層と防御層との間のこのような別の中間層は、好ましくは、ポリアミド6に基づいた、例えばコポリアミド6/12のような共重合体に基づいた、または好ましくは、官能化されているポリオレフィンに基づいた材料、またはそれの混合物より構成できる。さらに、好ましくはエチレンビニルアルコール共重合体より構成される防御層と、外側層として使用されるポリアミドブレンドとの間の別の中間層を供すことができ、上記別の中間層は、任意の内部中間層と同じ重合体の群から選択される。
【0051】
特に好ましい実施態様によって、防御層は、外側層に直接接する。任意の内側層が、さらに、防御層に直接接している場合、上にすでに明記されるとおり、特に経済的な3層構造を得ることができる。
【0052】
本発明の別の好ましい実施態様は、任意の内側層または直接的な防御層が、電気的に伝導性の添加剤を含むことで特徴づけられる。さらに、内側層に、電気的に伝導性の添加剤を有する材料から製造される内部層でさらに最も内側の層を供することが可能である。例えば、炭素繊維または伝導性カーボンブラック、カーボンブラック、グラファイト繊維、カーボンナノチューブ、金属性粉末または繊維を、電気的に伝導性の添加剤として使用することができる。このような添加剤は、その量に加えて、それらが使用される業界の当業者に周知である。
【0053】
多層構造のおそらく存在する層全ては、可塑剤、顔料、耐衝撃改良剤(上にすでに記述されたとおり)、熱および光安定化剤、強化材、適合化剤、またはそれの混合物のような別の添加剤の部分を有する可能性がある。
【0054】
さらに、例えばナノフィラー(層状シリケート)または他の鉱物性フィラーのような透過を減らす添加剤を供しうる。
【0055】
典型的には、例えば燃料管としての本発明による中空区分の形態にある多層複合体は、8mmの外径、およびおよそ1mmの壁厚を示し、内側層が、0.25から0.45mmまでの範囲内にある厚みを示し、好ましくはEVOHの防御層は、0.10から0.3mmまでの範囲内にある厚みを示し、そして外側層は、0.65から0.35mmまでの範囲内にある厚みを示す。中空区分は、それぞれ、少なくとも区分で波形にされるか、波形管として成形されうる。
【0056】
さらに、本発明は、上に記述されるとおり、多層中空区分、特に熱可塑性多層複合体の製造の方法に関する。それにより、防御層と外側層および/または任意の内側層の間の任意の内側層、防御層および外側層および都合により別の中間層を、好ましくは連続工程の間に、さらに好ましくは任意の波形化をさらに行い、都合により続いて熱形状化段階を行う管および/またはラインに連結させる。そこで、同時押出、被覆、タンデム押出または類似の方法のような方法を使用することができる。
【0057】
本発明による多層管またはホースは、例えば燃料管、ブレーキエアーライン、圧縮空気ライン、水圧ライン、クラッチラインおよび冷却ラインのような自動車部門で使用することができる。
【実施例】
【0058】
本発明を、ここで、以下の実施例に基づいて、それを限定することなく、さらに詳細に記述する。

実施例および比較例

【表1】

使用材料:
ポリアミドおよびポリアミドエラストマー:
当業者に知られている方法によって、ポリアミドを製造した。
【0059】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH):
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を、防御層用の材料として使用した。例示の実施態様で、それは、会社クラライ(KURARAY)の製品であり、そしてそれは、製品識別F101Aの下に名称エバル(EVAL)(登録商標)で入手可能であり、そして32重量%のエチレン含有率を示す。それは、ベルギー国ツウィジンデルヘト(Zwijindrecht,Belgium)にある会社エバル・ヨーロップ・エヌ.ブイ.(EVAL Europe N.V.)で、欧州で入手可能である。
耐衝撃改良剤:
本発明によると、特定の酸で改質されたエチレン/α−オレフィン共重合体、特に無水マレイン酸でグラフト化されたエチレンプロピレン共重合体を、適合化剤として同時に作用しうる耐衝撃改良剤として使用した。それのMVR値(275℃/5kgで測定した)は、13cm3/10分であり、そしてそれのDSC融解点は55℃であった。
可塑剤:
BBSA(n−ブチルベンゼンスルホナミド)を、可塑剤として使用した。
安定化剤:
イルガノックス(Irganox)(登録商標)245:スイス国バーゼル(Basel,Switzerland)の会社チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(Ciba Speciality chemicals)の市販の製品:トリエチレングリコールビス(3−(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)プロピオネート
ホスタノックス(Hostanox)(登録商標)PAR24:スイス国バーゼル(Basel,Switzerland)の会社クラリアント(Clariant)の市販の製品:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
伝導性添加剤:
30重量%炭素ナノチューブを有するポリアミド12に基づいたマスターバッチを、伝導性添加剤として使用した。この製品は、会社ハイパーイオン・カタリシス・インク.(Hyperion Catalysis Inc.)の市販製品である。
【0060】
外側層用の以下の表2で示された成形材料を、240と300℃の間の温度で、会社ワーナー・ウント・フレイデラー(Werner und Phleiderer)の2軸混練機ZSK30で製造した。重合体、耐衝撃改良剤、可塑剤および安定化剤を、押出機の供給装置に入れた。各々の場合に、100重量%化合物(総成形材料)に関して0.3重量%を示すホスタノックス(登録商標)PAR24との0.7重量%を示すイルガノックス(登録商標)245の混合物を安定化剤として使用した。
【0061】
【表2】

以下の表3で示された成形材料(内側層)を、240と300℃の間の温度で、会社ワーナー・ウント・フレイデラー(Werner und Pfleiderer)の2軸混練機ZSK25で製造した。重合体、適合化剤、可塑剤および安定化剤を、押出機の供給装置に入れた。
【0062】
【表3】

以下の表4に示される耐静電気成形材料(内側層)を、240と300℃の間の温度で、会社ワーナー・ウント・フレイデラー(Werner und Pfleiderer)の2軸混練機ZSK25で製造した。重合体、適合化剤、カーボンナノチューブ・マスターバッチ、可塑剤および安定化剤を、押出機の導入部に入れた。
【0063】
【表4】

それぞれ、表5で示される層構造による管およびラインを、通常の管押出装置で同時押出工程で製造した。個々の層を、多層複合体と基本的に同時に押出した。同時押出工程は、ラインが3層のみを示す場合に、特に簡潔になる。
【0064】
以下の表5で、本発明による層構造B1−B9、並びに技術の現状にしたがって比較例VB1−VB4として役割を果たす層構造を示す:

【表5】

説明された管状組立体B1およびVB1を、様々の抜取速度(押出速度)および適切な材料処理量で同時押出工程によって製造した。破断時の伸びを、以下の明細によって製造された多層管で測定した。DIN EN ISO527−2による破断時の伸び(標準フォルクスワーゲン明細書TL524 35による)。伸びεは、当初の測定長L0(mmで)ε=ΔL/L0に関して長さ変動ΔL=L−L0(mmで)であり、そしてパーセントとして表される(すでに引用されたKunststoff−Komendium、Vogel−Verlag、1988年、239頁、「特徴的値」を参照)。破断時の伸びεRは、破断時のモーメントでの伸びである。
【0065】
以下の表6では、管押出の間の抜取速度および破断測定時の伸びの結果を示す。
【表6】

比較例の得られた結果は、20m/分の押出速度で、>200%の破断時の伸びが必要とされるフォルクスワーゲンTL52435による破断時の伸びの説明が、達成されないことをすでに示している。しかしながら、本発明による全ての実施例は、速度増大での問題なしにさえ、この要件を満たす。
【0066】
その方法により、全ての比較例および本発明による実施例は、フォルクスワーゲンTL524 35による冷却衝撃試験に合格する。
【0067】
表6の試験結果は、説得力のある方法で、個別の多層複合体の品質が、どのように本発明で、すなわち、個別の外側層組成物で明瞭に改善できたか、そして押出装置の生産性および/または生産高を、それによって、どのように膨大に増大できたかを示す。したがって、本発明は、多層管の生産の間に経済効率を大きく増大させる。
【0068】
表5で示される管状組立体B2−B9およびVB2−VB4で以下の試験が達成された。
SAE J2260、段落7.5による冷却衝撃試験、並びに段落7.1による噴出圧力
塩化亜鉛試験:SAE J2260、段落7.5による試験、塩化亜鉛に対する耐性、個々のフォードWSS−M 98D33−A3段落3.4.5、塩化亜鉛に対する耐性。
酸性ガス試験:SAE J2260段落7.8による試験、自動酸化ガソリン(PN90 1000時間、40℃での保存後、冷却衝撃(−40℃))。
溶出に対する耐性:フォルクスワーゲンTL52435、段落6による試験。保存FAM B(72時/60℃)後の多層管の溶出に対する耐性の試験。試験媒体FAM Bは、保存後、凝集または濁りを含んではならない。
【0069】
以下の表7では、冷却衝撃試験、酸性ガス試験、塩化亜鉛試験および溶出に対する耐性の結果を示す。+は、試験が合格したことを意味し、−は、試験で失敗したことを意味する。

【表7】

表7は、実施例2−9が、全試験を首尾よく合格し、したがって溶出に対する耐性並びに酸性ガスに対する耐性によって、技術の現状で知られる溶液と区別されることも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側層が、
(A)80から20重量部までの少なくとも1つのポリアミド(PA)および
(B)ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステルエーテルアミドおよびそれらの混合物より構成される群から選択される、20から80重量部までの少なくとも1つのポリアミドエラストマー(TPE−A)に基づいた混合物によって成形されるものであり、(A)と(B)の総計が100重量部であり、
そして中空区分が、高押出速度、特に20m/分を越える速度で製造され、その結果、低い押出速度で製造された以外は同一の中空区分に比較して、並びに特にポリアミドエラストマー添加剤なしに、同じ押出速度で製造されたポリアミド外側層を有する中空区分に比較しても、製造された中空区分が、破断時に高い伸び、特に200%を越える伸びを示し、破断時の伸びが、DIN EN ISO527−2によって仕上げられた中空区分で測定されたものである
熱可塑性の外側層および少なくとも別の層を包含する、押出中空区分の形態にある多層複合体、特に熱可塑性多層複合体。
【請求項2】
自動車区分用の押出中空区分の形態にある請求項1に記載の多層複合体。
【請求項3】
別の層が防御層である請求項1または2に記載の多層複合体。
【請求項4】
中空区分が、管の形態、特に液体燃料用の燃料管の形態を示す請求項2または3に記載の多層複合体。
【請求項5】
さらに、1つまたはそれより多くの内側または中間層を含み、特に、伝導性に成形されうるか、または互いに個々の層の接着を改善する請求項1から4までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項6】
中空区分が、多層管または多層ホースであることを特徴とする請求項1から5までに記載の多層複合体。
【請求項7】
中空区分が、少なくとも部分的に積層領域を有し、そして特に多層積層管、または積層管セグメントを有する管であることを特徴とする請求項1から4までに記載の多層複合体。
【請求項8】
外側層の成分(A)用のポリアミド(PA)が、それぞれ、脂肪族ラクタムおよび/または4から44個までの炭素原子、好ましくは4から18個までの炭素原子を有するω−アミノカルボン酸から、および/または6から20個までの炭素原子を有する芳香族アミノカルボン酸から、および/または少なくとも1つのジアミンと、2から44個までの炭素原子を有する少なくとも1つのニカルボン酸から製造されることを特徴とする請求項1から7までに記載の多層複合体。
【請求項9】
このようなジアミンが、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、m−およびp−キシレンジアミン、シクロヘキシルジメチレンアミン、ビス−(アミノシクロヘキシル)メタンおよびそれのアルキル誘導体より構成される群からジアミンとして選択され、そしてニカルボン酸が、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸およびセバシン酸、ドデカンジカルボン酸、36または44個の炭素原子を有する二量体脂肪酸、1,6−シクロヘキサンニカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンニカルボン酸より構成される群から得られるニカルボン酸から選択されることを特徴とする請求項8に記載の多層複合体。
【請求項10】
外側層のポリアミド成分(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド9、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド613、ポリアミド614、ポリアミド618、ポリアミド1211、ポリアミド1010、ポリアミド1212、ポリアミド1012およびその混合物より構成される群から選択されることを特徴とする請求項1から9までに記載の多層複合体。
【請求項11】
外側層の成分(B)用のポリアミドエラストマー(TPE−A)が、ポリアミドブロック重合体への柔軟性ポリエステル、ポリエーテルまたはポリオレフィンセグメントの挿入によって特徴づけられる請求項1に記載の多層複合体。
【請求項12】
ポリアミドエラストマー(TPE−A)が、軟質ブロックとして二量体ジオールおよび/またはポリカプロラクトンおよび/またはポリエーテルジアミンおよび/またはポリエーテルジオールの挿入によって特徴づけられる請求項11に記載の多層複合体。
【請求項13】
ポリエーテル骨格が、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチルグリコール(PTMEG)、ポリブチレングリコール(PBG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリネオペンチルグリコール(PNPG)および/またはそれらの混合物および/またはそれらの共重合体および/またはそれらのブロック重合体より構成され請求項1または11に記載の多層複合体。
【請求項14】
成分PA(A)およびTPE−A(B)を包含する混合物が、さらに、可塑剤、色素、フィラー、特に適合化剤としても作用できる耐衝撃改良剤、特に酸改質エチレン/α−オレフィン共重合体、熱および光安定化剤、強化材またはそれの混合物より構成される群から選択される1つまたはそれより多くの添加剤を包含することを特徴とする前述の請求項1から13までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項15】
外側層用の混合物が、ポリアミド12(A)並びにポリアミド6ポリエーテルアミド(B)および適合化剤として作用する耐衝撃改良剤を包含することを特徴とする前述の請求項1から14までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項16】
外側層の混合物中の成分PA(A)対TPE−A(B)の重量比が、1:1であることを特徴とする前述の請求項1から15までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項17】
耐衝撃改良剤が、総成形材料の重量に関して5から35重量%までの部分で、特に好ましくは、8から30重量%までの部分で(A)と(B)の混合物中に含まれることを特徴とする前述の請求項1から16までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項18】
少なくとも1つの防御層が、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた、またはフルオロ重合体に基づいた材料、またはポリフェニレンスルフィド、または液晶性ポリエステル、または部分的に芳香族性ポリアミド、または部分的に芳香族性ポリエステル、または金属から成形されることを特徴とする前述の請求項1から17までのいずれか1項に記載の多層複合体。
【請求項19】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた防御層が、少なくとも80重量%エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を包含することを特徴とする請求項18に記載の多層複合体。
【請求項20】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいた防御層が、20重量%までの柔軟化重合体、好ましくはコポリアミド6/12および/またはエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)を包含することを特徴とする請求項19に記載の多層複合体。
【請求項21】
さらに、ポリアミド内側層を包含でき、防御層に直接隣接し、そして中空本体によって形成された内側空間に直接接して成形され、そして内側層が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド9、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド613、ポリアミド614、ポリアミド618、ポリアミド1211、ポリアミド1010、ポリアミド1212、ポリアミド1012およびその混合物より構成される群から選択されるポリアミドに基づいて成形され、そしてポリアミド610またはポリアミド612またはポリアミド6とポリアミド12の混合物および適合化剤として作用する耐衝撃改良剤が好ましいことを特徴とする請求項1から20までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項22】
内側層が、ポリアミド610またはポリアミド612、またはポリアミド610とポリアミド6の混合物および/またはポリアミド6硬質セグメントを有するポリアミドエラストマーから成形されることを特徴とする請求項21に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項23】
内側層が、静電気防止的に具備されるか、または別の内側に導電的に具備された内側層が供されるかのいずれかであり、そして第一の内側層に直接的に隣接して、そして中空区分により成形される内側空間に接して成形されることを特徴とする請求項1から22までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項24】
ポリアミドエラストマーTPE−A(B)が、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステルエーテルアミドより構成される部分群から選択され、そしてポリエーテルアミドが好ましく、そして特にポリアミド6硬質ブロックに基づいた、および/またはポリアミド12硬質ブロックに基づいたポリエーテルアミドを、都合により適合化剤の添加を伴っていることが好ましいことを特徴とする請求項1から23までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項25】
外側層用の混合物が、ポリアミド12(A)並びにポリアミド6ポリエーテルアミド(B)および適合化剤として作用する耐衝撃改良剤を含むことを特徴とする請求項1から24までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項26】
内側および/または外側層用の混合物が、総成形材料の重量に関して5から35重量%の部分で、好ましくは8から30重量%までの部分で耐衝撃改良剤を含むことを特徴とする請求項1から25までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項27】
外側層の混合物中での成分PA(A):TPE−A(B)の比が、1:1であることを特徴とする請求項1から26までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項28】
内側層の混合物および/または外側層の混合物が、可塑剤、顔料、フィラー、特に酸改質エチレン/α−オレフィン共重合体のような適合化剤として作用できる耐衝撃改良剤、熱および光安定化剤、強化材またはそれの混合物より構成される群から選択される別の添加剤を有することを特徴とする請求項1から27までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項29】
内側層および/または外側層が、総成形材料の重量に関して5から20重量%までの部分で、好ましくは10から15重量%までの部分で可塑剤を含むことを特徴とする請求項28に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項30】
防御層が、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に基づいて、またはフルオロ重合体、またはポリエチレンスルフィド、または液晶性ポリエステル、または部分的に芳香族性のポリアミド、または部分的に芳香族性のポリエステルに基づいて成形されることを特徴とする請求項1から29までのいずれか1項に記載の熱可塑性多層複合体。
【請求項31】
外側層並びに別の層を、連続手段で、好ましくは同時押出手段、被覆手段、またはタンデム押出で、中空区分、特に管またはホースに接合させ、都合により積層を行い、都合により続いて熱形成段階を行うことを特徴とする請求項1から30までのいずれか1項に記載の多層中空区分を製造する方法。
【請求項32】
自動車区分内で、特に燃料管、ブレーキエアーライン、圧縮エアーライン、水圧ライン、クラッチラインおよび冷却ラインとして、請求項2から30までのいずれか1項に記載の多層管または多層ホースの使用法。

【公開番号】特開2008−30483(P2008−30483A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195883(P2007−195883)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(507253646)エムス−パテント アーゲー (1)
【Fターム(参考)】