説明

押出製品の補強体としてのウェットユース・チョップドストランドガラス

【課題】押出工程でウェットユース・チョップドストランド(WUCS)ガラス繊維を使用して、強化押出熱可塑性樹脂製品を成形する技術を提供することにある。
【解決手段】スクリュウ押出方法でウェットユース・チョップドストランドガラス(WUCS)を混和する方法を提供する。ポリマー樹脂が、押出機(100)のポリマーフィードゾーン(106)内に添加されかつ樹脂が少なくとも部分的に溶融される第一圧縮ゾーン(113)へと搬送される。溶融した樹脂は、WUCS繊維が添加される大容積ゾーン(107)へと搬送される。大容積ゾーン内では、押出機内へのWUCSの導入を容易にするため、スクリュウのフライトを大きいピッチにすることができる。溶融した樹脂/繊維混合物は第二圧縮ゾーン(112)に搬送され、ここで、樹脂および繊維が緊密に配合される。次に、溶融した樹脂/繊維のマスが低圧ゾーン(115)に搬送され、ここで、繊維から蒸発された水分が開口(109)を通って放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは熱可塑性複合材の成形に関し、より詳しくは、押出成形工程でのウェットユース・チョップドストランドガラス(wet use chopped strand glass:WUCS)の混和(incorporation)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラス繊維は、溶融ガラスを、ブシュまたはオリフィスプレートを通して延伸することにより形成される。通常、次に、延伸されたフィラメントに、潤滑剤、カップリング剤および膜形成バインダ樹脂を含有するサイジング配合物が適用される。水性サイジング配合物は、繊維をフィラメント間摩耗(interfilament abrasion)から保護しかつガラス繊維と任意のマトリックス(該マトリックス中でガラス繊維が補強目的で使用されている)との相容性を増進させる。サイジング配合物の適用後、繊維は1つ以上のストランドに集合されかつ1つのパッケージに巻回されるか、細断(chopped)(一般にウェット状態で細断)されかつ収集される。収集されたチョップドストランドは、次に、ドライユース・チョップドストランドガラス(dry use chopped strand glass:DUCS)を形成すべく乾燥および硬化されるか、ウェットユース・チョップドストランドガラス(WUCS)としてウェット状態でパッケージングされる。このようなドライチョップドガラス繊維ストランドは、一般に熱可塑性樹脂製品の補強材料として使用され、ウェットチョップドストランドは、ウェット・レイドマット(wet-laid mats)の製造に使用される。当業界では、ガラス繊維強化ポリマー複合材が、非強化ポリマーに比べて高い機械的特性を有していることが知られている。かくして、ガラス繊維強化複合材により、優れた寸法安定性、引張り強度およびモジュラス、曲げ強度およびモジュラス、耐衝撃性、耐クリープ性が達成される。
【0003】
ガラス繊維は、種々の技術に有効である。例えば、ガラス繊維は、ガラス繊維強化プラスチックまたは複合材を成形すべく、ポリマーマトリックス中に補強体として一般的に使用されている。ポリマーを補強するため、ガラス繊維は、連続またはチョップドフィラメント、ストランド、ロービング、不織布、メッシュおよびスクリム(荒目地クロス)の形態で使用されている。ドライチョップドガラス繊維(DUCS)は、強化複合材中の補強材料として一般的に使用されている(DUCSは、前述のように細断形態で提供されるか、強化複合材に使用すべくロービングから細断される)。
【0004】
従来の一方法では、ドライチョップドストランドセグメントは、ポリマー樹脂と混合されて圧縮−または射出−成形機に供給され、ガラス繊維強化複合材に成形される。この場合、ドライチョップドストランドセグメントは、押出機内で熱可塑性ポリマー樹脂の粉末、リグラインド(粉砕再生材料)またはペレットと混合される。或いは、ポリマー樹脂およびドライチョップドストランドセグメントがドライ混合されかつ単一スクリュウ押出機内に一緒に供給されて、該押出機で樹脂が溶融される。ドライドライガラス繊維ストランドの一体性がほぐされ、ドライ繊維ストランドは溶融樹脂の全体に亘って分散されて、繊維/樹脂混合物が成形される。ドライ繊維/樹脂混合物は、リグラインドと一緒に(またはリグラインドとは別に)射出成形機に直接供給されるか、ガス抜きしてペレットに形成される。次に、ドライ繊維ストランド/樹脂分散ペレットは成形機に供給され、かつ成形複合材物品に成形される。この成形複合材物品は、物品全体に亘ってドライガラス繊維ストランドが実質的に均質に分散されている。
【0005】
図1に示す他の従来方法では、熱可塑性ポリマー樹脂(図示せず)が、ホッパ30内でドライチョップドストランドガラス(図示せず)と混合されかつ押出機32に供給される。押出機32は、バレル33と、該バレル33の長さ方向に沿って実質的に延びている少なくとも1つのスクリュウ34とにより形成されている。スクリュウ34は、モータ(図示せず)により駆動することができる。スクリュウ34により発生される機械的作用および摩擦によりポリマー樹脂が溶融され、樹脂とドライ繊維とが混合されて実質的に均質な混合物となる。ポリマー樹脂の溶融を容易にするため、バレル33にはヒータ37を設けることができる。発泡剤タンクすなわちリザーバ38から導管39を介して、発泡剤(図示せず)を押出機32に供給できる。発泡剤は、押出機32に入ると溶融ポリマー/ドライ繊維ブレンドと混合される。押出機32内の熱により、発泡剤が溶解して発泡する。ポリマー/ドライ繊維/発泡剤混合物は、所望の最終製品の形状を有する成形ダイ31内に押出される。
【0006】
ビニルサイディングは、上記と同様な押出方法で成形されるが、ガラス補強体および発泡剤は用いられていない。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等の塩化ビニル樹脂を用いてサイディング製品が成形されている。残念なことに、PVC等のポリマー樹脂から作られるガラス強化ビニルサイディング製品は製造コストが高過ぎ、この主な理由は、ドライユース・チョップドストランドガラス(DUCS)が、ガラスを形成し、細断し、乾燥しかつこのような押出工程で使用する前に硬化することを必要とし、各工程が製造コストの増大を招くことによる。
【0007】
従来のPVCベースサイディング製品には、一般に、炭酸カルシウム(CaCO3)等の安価な無機充填剤が装入されている。このような充填剤は、サイディング製品のモジュラスすなわち剛性を増大させかつサイディングの温度変化の結果として生じる移動量を低減させる。しかしながら、従来のPVCサイディング製品は、耐衝撃性(ASTM D3679により要求されている)のため、これらの充填剤の装入量が制限されており、この結果として、一般に比較的少量の無機充填剤を含有しているに過ぎない。従って、従来のサイディング製品は、一般に、約140゜Fで歪んでしまう。
かくして、当業界では、優れた耐熱歪み性、耐クラック性および耐破壊性を有し、かつ安価に製造できるサイディング製品が要望されている。
【0008】
【特許文献1】米国特許公報第2005/0082721号明細書(Enamul Haque)
【特許文献2】米国特許第6,355,698号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、強化押出熱可塑性樹脂製品を成形すべく、押出工程でウェットユース・チョップドストランド(WUCS)ガラス繊維を使用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
少なくとも1つの例示実施形態では、ポリ塩化ビニル(PVC)のようなポリマー樹脂が、スクリュウ押出機のバレルのポリマーフィードゾーン内に供給されかつ第一圧縮領域に搬送され、ここで、ポリマー樹脂が少なくとも部分的に溶融される。ポリマー樹脂は、薄片、顆粒、ペレットおよび/または粉末の形態にすることができる。発泡剤は、樹脂と予めブレンドされかつポリマー樹脂と一緒に押出機内に供給される。例えばサーモスタビライザ、UVスタビライザ、潤滑剤、着色剤、充填剤、相容化剤、溶融強度増強剤、粘着性付与剤および/または補強体のような他の添加剤が、押出機に添加されるか、樹脂と予配合される。ポリマー樹脂の溶融を補助しおよび/または樹脂の溶融状態を維持すべく、押出機のバレルにヒータを配置することができる。ポリマーフィードゾーンでは、スクリュウのフライトは所望ピッチを有している。溶融した樹脂は、大容積ゾーンへと下流側に搬送され、ここで、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が押出機のバレル内に導入されかつ溶融したポリマー樹脂と混合される。大容積ゾーン内のスクリュウのフライトは、ポリマーフィードゾーンおよび第一圧縮ゾーン内のフライトより大きいピッチおよび/または大きい深さで配置される。この大きいピッチおよび/または大きい深さは、大容積ゾーンのスループットを増大させ、かつウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が溶融樹脂と混合して、溶融樹脂/繊維混合物を形成することを可能にする。ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維の束がバレルに添加される前に該束の少なくとも一部を開繊する開繊機(opener)を使用できる。また、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維は、押出機のバレルに入る前に少なくとも部分的に乾燥される。
【0011】
溶融樹脂/繊維混合物は、次に第二圧縮ゾーンに入り、ここで、樹脂とウェットガラス繊維とが実質的に均質なマスを形成すべく配合される。第二圧縮ゾーン内のスクリュウのフライトは、これより前のゾーン内に配置されたフライトよりも、小さい角度、小さい間隔、小さい深さ、およびバレルに対する小さい公差を有する。バレルとフライトとの間の摩擦により引起こされる剪断力およびフライト内で増大した剪断力は、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維の束を開繊しかつ分離させる。
【0012】
次に、溶融した樹脂/繊維混合物は、低圧ゾーンに通される。溶融した樹脂/繊維混合物がバレルを通って搬送されるときにプロセスにより発生される熱が、ウェット繊維の束内に保持された水分を蒸発させる。低圧ゾーン内に収容されるフライトは、第一および第二圧縮ゾーン内のフライトより大きいピッチおよび/または深さを有する。大容積ゾーン内に配置される開口は、水蒸気および他の揮発物が押出機のバレルから出ることを可能にする。ひとたび水蒸気が放出されると、溶融した樹脂/繊維混合物は圧縮/ダイフィードゾーンに通され、樹脂およびガラス繊維を更に混合しおよび/または配合する。次に、樹脂/繊維混合物が押出機から出て、シェ−ピングダイ内に導かれ、該シェ−ピングダイは、樹脂/繊維混合物を所望形状に成形する。少なくとも1つの好ましい実施形態では、シェ−ピングダイは、樹脂/繊維混合物を、クラッディング製品として成形される全体として平らなボードまたはシートに成形する。
【0013】
少なくとも1つの他の例示実施形態では、ポリマー樹脂および/またはウェットユース・チョップドストランドガラス繊維は、樹脂/繊維フィードスロートを通して、実質的に同時に押出機のバレル内に供給する。樹脂/フィードフィードスロートには、押出機に入る前にWUCS繊維およびポリマー樹脂をブレンドおよび混合するバッフルまたは他の混合/供給装置を設けることができる。ポリマー樹脂およびウェットユース・チョップドストランドガラス繊維は、押出機のポリマーフィードゾーン内に入り、かつ圧縮ゾーンに搬送され、ここで、樹脂が実質的に均質にウェット補強繊維と混合される。樹脂/繊維混合物が押出機のバレルを下流側に搬送されるときにスクリュウの混合作用および移送作用により引起こされる剪断力は、WUCSガラス繊維の束をフィラメント化させる。溶融した樹脂/繊維のマスが下流側に押しやられるときに、回転プロセスにより発生される熱が、WUCS繊維内の水分を蒸発させる。溶融した樹脂/繊維混合物は、次に低圧ゾーンに通される。この低圧ゾーン内のスクリュウのフライトは、圧縮ゾーン内のフライトより大きいピッチ、深さおよび/または間隔を有するのが好ましい。低圧ゾーン内に配置された開口は、水蒸気を大気中に放出する。粘性樹脂/繊維混合物は、次に、低圧ゾーンを出て、圧縮/ダイフィードゾーンに入り、樹脂およびガラス繊維を更に混合しおよび/または配合する。最後に、溶融した樹脂/繊維混合物は押出機から出て、シェ−ピングダイ内に入り、ここで、所望形状(例えばサイディング製品)に成形される。
【0014】
WUCSガラス繊維により強化された押出成形サイディング製品は、優れた取扱い性および優れた耐候性を有し、かつ高温および太陽光並びに熱サイクルへの長期間の露出に耐えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴および長所は、以下に述べる詳細な説明の考察からより明らかになるであろう。しかしながら、添付図面は例示を目的とするものであって、本発明の範囲を定めるものと解釈すべきでないことは理解されよう。
特にことわらない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に説明するものと同様または均等のあらゆる方法および材料は本発明の実施および試験に使用できるが、本明細書では好ましい方法および材料について説明する。公開されたまたは対応する米国特許出願または外国特許出願、登録された米国特許および外国特許または他のあらゆる参考文献の各々は、これらの引例の全てのデータ、表、図面および明細書を含む全部を本願に援用する。全添付図面を通して、同じ参照番号は同じ要素を示すものとする。
【0016】
本発明は、従来からドライユース・チョップドストランドガラスを使用している用途にウェットユース・チョップドストランドガラス(WUCS)のようなウェット補強繊維を使用する技術に関する。従って、本発明は、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、回転成形、インフュージョン成形、シート成形、レジントランスファ成形(resin transfer molding:RTM)および上記特許文献1に開示されているドライ・レイド方法並びに従来からDUCSを使用している他の既知の製品および方法におけるドライユース・チョップドストランドガラスの代わりにWUCSを使用する技術を提案する。或る場合には、ウェット補強繊維は、個々の繊維のベール、パッケージまたは束の形態に集積され、この結果、所望の用途または方法に使用する前に、最初に開繊しおよび/またはフィラメント化することが望まれる。他の場合には、ウェット補強繊維は、最初に分離またはフィラメント化することを全く行うことなく、所望用途の工程に使用される。このような場合には、補強ストランドは、これ自体の加工中に分離される。
【0017】
ドライチョップドガラスとは異なり、ウェットチョップドガラスは水分を含んでおり、この水分は、加工装置にウェット繊維を添加する前、またはこれ自体の加工中に繊維から除去しなければならない。例えば既存の装置に通気装置を付加することのような、加工装置への或る変更を加えて、ウェット補強繊維からの蒸気または水分を大気中に逃散させることができる。射出方法または押出方法において、スクリュウ(単一または複数)は、真空の補助により(または補助によらずして)水分を通気させるのに使用される低圧ゾーンを形成するように構成できる。圧縮成形では、ウェット繊維を含む装入材料(charge)が、加熱された金型(金型は、次に部分的に閉じられ、装入材料を拡散しかつ加熱する)に添加される。これにより、金型を完全に閉じる前に水分を逃散させることができる。また、アプリケーション工程中に放出される水分と結合するのに、ポルトランドセメント、CaO、Na2CO3またはCaSO4等の反応性充填剤または無水充填剤を使用できる。
【0018】
既存の装置にウェット補強繊維を添加する前にウェット補強繊維から水を除去する1つのアプローチは、繊維が加工装置に入る前におよび/または特定装置への搬送装置の一部として、ウェット繊維を加熱されたチャンバに通すこと(任意であるが熱風と組合せて通すこと)である。ウェット補強繊維から水を除去する他の方法は、ウェット繊維を、装置で使用する前に少なくとも部分的に乾燥させるべく、流れる空気を用いて(または用いることなく)マイクロ波チャンバに通すことである。ウェット補強繊維から水を除去する他の方法は、ウェット繊維を、装置で使用する前に少なくとも部分的に乾燥させるべく、流れる空気を用いて(または用いることなく)凝縮器チャンバに通すことである。
【0019】
ドライユース・チョップドストランドガラス繊維(DUCS)では、ガラス繊維中に存在する潤滑剤は、DUCSガラス繊維を形成する乾燥工程中に、水と一緒に、ガラスストランドから成形パッケージの外部に移動する。しかしながら、ドライガラス繊維を慣用的に使用する工程でウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を使用することにより得られる1つの長所は、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維により、より高いレベルの繊維潤滑を使用できることである。潤滑レベルが高いほど繊維の分散が補助されかつ樹脂と繊維との界面での粘性が低下され、この結果として、DUCSガラス繊維により形成された製品に比べて、より長い繊維および優れた特性(例えば、曲げ引っ張り強度および衝撃強度)が得られる。また、WUCSにより達成される高レベルの潤滑と組合せて、加工される樹脂に適した潤滑剤を選択することにより、潤滑剤は、配合工程、押出工程および成形工程で樹脂を潤滑しかつ加工するのに必要な樹脂潤滑剤の量を補足しおよび低減させるであろう。また、システム内に存在する水分は、製品を発泡させるのに必要な高コストの発泡剤(単一または複数)の量を補足しおよび低減させるのに使用でき、これによりコストを低減できる。また、予ブレンド材料では、ガラス繊維の表面濡れがポリマー粉末を吸引しかつ付着して、貯蔵中およびハンドリング中にガラス繊維が凝離(segregate)する傾向を低下させる。
【0020】
一般にドライ繊維は細断される前に別々の工程で乾燥およびパッケージングされるため、ウェット補強繊維の方がドライチョップド繊維よりも安価に製造できる。従って、慣用的にドライユース・チョップドガラス繊維を使用している工程にウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を使用することにより、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を使用する方法および該繊維から作られる製品のコストを低減できる。しかしながら、本明細書で説明するように、或る場合には、ドライチョップドガラス繊維を簡単にウェットチョップドガラス繊維に置換できないことがある。ウェットユース・チョップドストランドガラスの使用により得られるコスト上の利益を得るには、既存の方法および/または装置に幾分かの修正を必要とする場合がある。
【0021】
ドライ繊維に代えてウェット補強繊維を使用する1つの特別な例として、押出方法がある。かくして、一態様では、本発明は、スクリュウ押出工程で、ウェット補強繊維、例えばウェットユース・チョップドストランド(WUCS)ガラス繊維を用いて熱可塑性複合材を成形する押出方法および押出装置に関する。図2において、本発明に使用するスクリュウ押出機は、その全体が参照番号100で示されている。本発明に使用するスクリュウ押出機としては、単一スクリュウ押出機またはツインスクリュウ押出機のいずれでも等しく適用できるが、ここでは単一スクリュウ押出機を参照されたい。
【0022】
押出機100は、矢印90の方向に回転するヘリカルフライト(helical flight)108を備えたスクリュウ102を収容している。スクリュウ102は、バレル104の実質的に長さ方向に延びている。フライト108は、バレル104の円筒状内面と協働して、バレル104を通して樹脂および補強繊維を前進させる通路を形成している。図3に示すツインスクリュウ押出機の実施形態では、押出機100は、バレル104の実質的に長さ方向に延びているスクリュウ102およびツインスクリュウ111を収容している。スクリュウ102を駆動するモータMが設けられており、ツインスクリュウ111を駆動するモータが設けられている場合には、該ツインスクリュウ111も駆動される。
【0023】
図2に戻ると、押出ダイ120とは反対側の押出機100の端部には、樹脂フィードホッパ105およびウェット補強繊維フィードホッパ110が配置されている。図2に示す例示実施形態では、ウェット補強繊維フィードホッパ110が樹脂フィードホッパ105より下流側に配置されているが、樹脂と予め混合しておくか、同じホッパ内に供給するか、逆の順序に配置することもできる。本明細書で使用する用語「下流側」とは、バレル104を通って樹脂および繊維が流れる方向をいう。フィードスロート101、103は、それぞれ、樹脂フィードホッパ105およびウェット補強繊維フィードホッパ110を相互連結している。ウェット補強繊維フィードホッパ110より下流側で、該ホッパ110と押出ダイ120との間には、通気孔のような開口109が配置されている。
【0024】
作動に際し、ポリマー樹脂が、樹脂フィードホッパ105からフィードスロートを通して、スクリュウ押出機100のバレル104内のポリマーフィードゾーン106内に供給される。ポリマーフィードゾーン106内のフライト108は、バレル102内に導入される物理的および化学的特性に基いて定められる所望ピッチで配置されている。ポリマー樹脂は、定量機構(図示せず)により定量されてバレル104内に導入される。ポリマー樹脂は、薄片状、顆粒状、ペレット状および/または粉末状にすることができる。樹脂が粉末状または薄片状であるときは、定量装置は、スクリュウ102の回転作用に抗して樹脂をバレル104内に押込むことができるオーガまたはクラマー(crammer:図示せず)で構成することができる。適当なポリマー樹脂として、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ASA(アクリル/スチレン/アクリロニトリル トリポリマー)、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、アセタール樹脂、ポリアミド、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、アクリル酸エステル、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、スチレンおよびブタジエンのコポリマー、酢酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、およびこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
ポリマー樹脂はポリマーフィードゾーン106から第一圧縮ゾーン113に搬送され、該第一圧縮ゾーン113で、スクリュウ102の回転により発生された機械的作用および摩擦により、ポリマー樹脂が少なくとも部分的に溶融する。任意であるが、ポリマー樹脂の溶融を補助しおよび/または樹脂の溶融状態を維持するため、バレル104の任意の位置にはヒータ(図示せず)を配置することができる。押出機100は、使用される樹脂に基いて、押出工程中に100−600゜Fの範囲内の温度に達する。
【0026】
発泡剤は、ポリマー樹脂に予めブレンドされかつポリマー樹脂と一緒にウェット補強繊維フィードホッパ105を通って押出機100内に供給される。低密度製品を望む場合には発泡剤が添加される。一般的な化学的発泡剤(例えば、ガスを発生する分解反応を受ける材料)として、発熱性発泡剤および/または吸熱性発泡剤がある。本発明に使用するのに適した発熱性発泡剤として、アゾジカルボネート、p,p−オキシビス(ベンゼン)スルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、ジニトロソペンタメチルテトラミン、および5−フェニルテトラゾールがあるが、これらに限定されるものではない。吸熱性化学的発泡剤の非制限的な適当な例として、炭酸水素ナトリウムおよび硼水素化ナトリウムがある。他の適当な発泡剤として、所望発泡温度で状態変化を受けるフッ化水素配合物のような配合物があるがこれに限定されるものではない。或いは、押出機100内の最終減圧ゾーン、例えば低圧ゾーン115の後に、発泡剤として超臨界ガスを添加することもできる。
【0027】
本発明の一例示実施形態では、発泡剤の約70−90%が、ポリマー樹脂と予めブレンドされる。次に、発泡剤の残りの10−30%が、フィードスロート101に直接連通している入口118を介して、またはバレル104に直接連通している入口または導管(図示せず)を介して添加される。入口118を介して発泡剤の一部を添加することにより、ポリマー樹脂および最終的には最終製品に添加される発泡剤の量は、全押出工程を通して正確にモニタされかつ必要に応じて調節される。或いは、全量の発泡剤を、入口118、またはバレル104に直接連通している入口または導管(図示せず)を介して添加し、ポリマー樹脂とは予めブレンドしない構成にすることができる。ひとたび発泡剤がバレル104に添加されたならば、バレルからの熱および内部摩擦からの熱によって、発泡剤の少なくとも一部が分解される。他の実施形態では、発泡剤は全く添加されない。
【0028】
また、サーモスタビライザ、UVスタビライザ、潤滑剤、着色剤、充填剤、相容化剤、溶融強度増強剤および/または粘着性付与剤等の他の添加剤および加工助剤を樹脂に予めブレンドしかつ押出機100のバレル104に添加することもできる。これらの添加剤および加工助剤は、入口118またはバレル104に直接連通している他のフィードスロートまたは入口(図示せず)に添加することもできる。最終製品に所望の色または外観を付与するため、カラーペレットホッパ(図示せず)からカラーペレットを押出機100内に供給できる。
【0029】
ウェット補強繊維フィードホッパ110から、フィードスロート103を通して押出機100のバレル104内にウェット補強繊維が供給され、この大容積ゾーン107内で、ウェット補強繊維が溶融ポリマー樹脂と混合される。ウェット補強繊維を溶融樹脂内に混和することにより、押出機100のバレル104およびスクリュウ102に生じる摩耗性設けられているおよび裂けが小さくなる。大容積ゾーン107におけるスクリュウ102のフライト108は、ポリマーフィードゾーン106および/または第一圧縮領域113におけるフライト108よりも大きいピッチおよび/または深さで配置されている。また、大容積ゾーン107における個々のフライト108は、ポリマーフィードゾーン106および/または第一圧縮領域113におけるフライト108よりも大きい間隔を隔てることができる。大容積ゾーン107におけるフライト108のこの大きいピッチおよび/または大きい深さは、このセクションのスループットを増大させ、かつウェット補強繊維を、押出機100のバレル104内に導入し、溶融樹脂と混合させかつ溶融樹脂/繊維混合物を形成することができる。1つ以上の例示実施形態では、大容積ゾーン107内のフライト108のピッチおよび/または深さは、ポリマーフィードゾーン106内のフライト108に実質的に等しい。ウェット補強繊維は、振動装置またはスクリュウ(図示せず)またはクラムフィーダ(図示せず)(これらは、任意であるがフィードスロート103内に取付けることができる)等の定量機構により定量してバレル104内に供給される。
【0030】
適当な補強繊維としてウェットユース・チョップドストランドガラス繊維があるが、これに限定されるものではない。本発明に使用されるウェット補強繊維は、一般に、個々の繊維のベール、パッケージまたは束の形態に集積される。本明細書で使用する用語「束」とは、当業者により容易に識別されかつ理解されるウェット補強繊維のあらゆる形式の集積を意味する。ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維として、例えばAタイプガラス繊維、Cタイプガラス繊維、Eタイプガラス繊維、Sタイプガラス繊維、ARタイプガラス繊維またはこれらの変更タイプのガラス繊維を使用できる。
【0031】
好ましい実施形態では、補強繊維は、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維である。補強繊維として使用されるウェットユース・チョップドストランドガラス繊維は、当業界で知られている従来方法により形成できる。ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維は、1−30%、好ましくは5−15%の含水率を有している。チョップドストランドガラス繊維は、6−75mmの長さ(使用される方法によってはこれより長い長さ)にすることができる。好ましい実施形態では、ガラス繊維は6−12mmの長さを有している。ガラス繊維の直径は、9−25ミクロン、好ましくは12−16ミクロンにすることができる。
【0032】
或いは、補強繊維材料は、ポリエステル、ポリアミド、アラミドおよびこれらの混合物等の1種類以上の合成ポリマーのストランドで形成できる。ポリマーストランドは、補強繊維材料として単独で使用でき、または上記のようなウェットガラスストランドと組合せて使用できる。ウェット補強繊維材料として、カーボン繊維またはポリアミド繊維を使用することもできる。更に別の実施形態では、麻、ジュート、亜麻、ケナフ、おが屑等の天然繊維または他の任意の既知の天然繊維を単独で使用するか、ガラス繊維および/またはポリマー繊維と組合せて使用できる。
【0033】
一例示実施形態では、ウェット補強繊維は、ウェット補強繊維フィードホッパ105に添加する前に、ウェット補強繊維を少なくとも部分的に開繊しおよび/またはフィラメント化(例えば、個別化)する開繊機に供給する。開繊機は、次に、ウェット補強繊維を蒸発器(図示せず)に供給し、蒸発器では一部の水分がウェット繊維から除去される。例示の実施形態では、70%以上の遊離水(例えば、補強繊維の外部の水)が除去される。しかしながら、蒸発器により実質的に全部の水が除去されることが好ましい。本明細書で使用されるとき、表現「実質的に全部の水」とは、遊離水の全部またはほぼ全部が除去されることを意味する。任意であるが、ウェット補強繊維を更にフィラメント化または個別化するため、第二開繊機(図示せず)および/または付加蒸発器および/またはヒータを使用することもできる。このような実施形態も本発明の範囲内にあると考えられる。他の実施形態では、上記のように実質的に全部の水を排除するのではなく、ウェットガラス繊維からの幾分かまたは全部の水を混合物内に残留させることができる。この実施形態では、含水量に基いて、水の一部を排除することが望まれる。これらの実施形態では、発泡剤として水が使用され、または所望の密度を得るのに化学的発泡剤と組合せて水が使用される。或いは、所望のセル構造および密度を形成するため、本願に援用する上記特許文献2に開示されたのと同様な方法で過剰の水を捕捉するのに乾燥剤を使用することもできる。
【0034】
開繊機は、ウェット補強繊維の束を開繊するのに適した任意の形式の開繊機を使用できる。開繊機の設計は、開繊される繊維の種類および物理的特徴に基いて行われる。本発明での使用に適した開繊機として、重量計量装置を備えた(または備えていない)従来の任意の標準型ベール開繊機がある。ベール開繊機には、種々の繊細開繊機を設けることができ、任意であるが、1つ以上のリッカーインドラムまたは鋸歯状ドラムを設けることができる。ベール開繊機にはフィーディングローラまたはフィーディングローラとノーズバーとの組合せを設けることができる。蒸発器は、例えば空気ドライヤ、オーブン、ローラ、吸引ポンプ、加熱ドラム型ドライヤ、赤外線加熱源、熱風ブロワおよびマイクロ波発生源等の当業界で知られている任意の乾燥装置または脱水装置を使用できるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
図2に戻って説明すると、溶融された樹脂/繊維混合物は、スクリュウ102により、大容積ゾーン107から第二圧縮ゾーン112へと、バレル104の内部に沿って下流側に押しやられ、第二圧縮ゾーン112において、溶融した熱可塑性樹脂および補強繊維材料が混合されかつ緊密に配合されて、実質的に均質なマスを形成する。スクリュウ102のフライト108は、ポリマーフィードゾーン106、第一圧縮ゾーン113および大容積ゾーン107に配置されるフライト108より、小さい角度、小さいピッチ、小さい深さおよび/またはバレル102に対する小さい公差にすることができる。これにより、溶融した樹脂/繊維混合物が、フライト108同士の間の空間内できつく充填される。樹脂/繊維混合物がバレル104の下流側に押しやられるときに、バレル104とフライト108内の増大された剪断との間の摩擦力により引起こされる剪断力により、補強繊維の束が開繊されかつ分離される(例えば、フィラメント化される)。また、溶融した樹脂/繊維混合物が下流側に搬送されるときにスクリュウ102の回転により発生される摩擦(熱)により、束内に保持された水分が蒸発される。
【0036】
主として繊維から蒸発する水から発生される蒸気を低減させるため、溶融した樹脂/繊維混合物は、好ましくは、ポリマーフィードゾーン106、大容積ゾーン107、および第一および第二圧縮ゾーン113、112内のフライト108より大きいピッチおよび/または深さおよび/または間隔を有するフライト108を収容している低圧ゾーン115を通して搬送するのが好ましい。低圧ゾーン115内のフライト108は、第一圧縮ゾーン112内に配置されるフライト108より大きいピッチを有しかつ大きい距離を隔てていることが好ましい。また、大容積ゾーン107内のフライト108と、低圧ゾーン115内のフライトとを、互いに実質的に等しいピッチおよび/または深さにすることを考えることもできる。
【0037】
低圧ゾーン115内に配置された通気孔のような開口109は、繊維、添加剤および/または加工助剤から放出される水蒸気および/または他の揮発物を大気中に逃散させることを可能にする。水蒸気の放出は、ポリマー樹脂の劣化および最終製品内の空隙の発生を低減させまたは防止することを補助する。一定の発泡材料を得るためおよび/または発泡作用を制御するためには、樹脂/繊維混合物から実質的に全ての水分を揮発させるのが望ましい。低圧ゾーン115を通過後に樹脂/繊維混合物内に残留するあらゆる水分は、製品密度を低下させ、または得られる製品の熱または電気の絶縁値を増大させるべく、所望の発泡作用を行わせるのに使用できる。
【0038】
次に、粘性を帯びた樹脂/繊維混合物が低圧ゾーン115を出て、圧縮/ダイフィードゾーン116に搬送され、樹脂およびガラス繊維を更に混合しおよび/または配合する。圧縮/ダイフィードゾーン116内のフライト108は、ポリマーフィードゾーン106および大容積ゾーン107内のフライトと同じまたはこれらのフライトよりも小さいピッチおよび/または深さにすることができる。樹脂/繊維混合物は、発泡押出品として、押出機100から、押出品を所望形状に成形するシェ−ピングダイ120内へと搬送される。押出品を押出機100からシェ−ピングダイ120へと遷移させるのに、ブレーカプレート、スクリーンまたはアダプタ(図示せず)を使用できる。押出品は、押出機100を出るとアダプタ内に収集され、固体連続スラグとしてダイ120内に供給されるように再成形される。シェ−ピングダイ120は、例えば長方形、シート状または正方形等の任意の形状にすることができる。シェ−ピングダイ120はまた、窓またはドアのプロファイルとして使用できるように構成できる。少なくとも1つの好ましい実施形態では、ダイ120は、押出品を、サイディング製品として成形される全体として平らなボードまたはシートに成形する。ダイは、セルーカダイ(Celuka die)で構成できる。シートの厚さは、30−50ミルが好ましい。中空製品を成形するには、ダイ120にマンドレル(図示せず)を設けることができる。また、1つ以上のダイを直列に配置して所望形状を得ることも本発明の範囲内にある。
【0039】
図4に示すように、少なくとも1つの例示実施形態では、ポリマー樹脂およびウェット補強繊維は、樹脂/繊維フィードスロート130を通って押出機100のバレル104内に実質的に同時に供給される。本明細書で使用するとき、用語「実質的に同時に供給」とは、樹脂と補強繊維とが同時にまたはほぼ同時にバレル104内に供給されることを意味する。押出機100は、矢印131の方向に回転するフライト108を備えた少なくとも1つのスクリュウ102を収容している。図4に示すように、ウェット補強繊維フィードホッパ110は、ウェット繊維フィードスロート132を介して樹脂/フィードフィードスロート130に連結されている。任意であるが、ウェット繊維フィードスロート132内には、ウェット補強繊維をウェット補強繊維フィードホッパ110から樹脂/フィードフィードスロート130に搬送することを補助する振動装置(図示せず)またはスクリュウ134を配置することができる。
【0040】
ウェット補強繊維がウェット補強繊維フィードホッパ110内に添加される前に、ウェット補強繊維の束を少なくとも部分的に開繊するための開繊機(図示せず)を使用することができる。ウェット補強繊維はまた、開繊機またはウェット補強繊維フィードホッパ110内に入る前にウェット補強繊維を加熱チャンバまたはマイクロ波チャンバに通すことにより、少なくとも部分的に乾燥させることができる。更に、樹脂/フィードフィードスロート130には、押出機100に入る前にウェット補強繊維およびポリマー樹脂を更にブレンドしかつ混合するためのバッフル(図示せず)または他の混合/供給装置を設けることができる。樹脂およびウェット補強繊維が、単一ホッパ(図示せず)により予混合されかつ押出機に供給されるように構成した実施形態も、本発明の範囲内にあるものと考えることができる。
【0041】
図4の実施形態では、樹脂/繊維混合物は、ポリマーフィードゾーン133において押出機100のバレル104に入る。次に樹脂/繊維混合物は圧縮ゾーン136へと下流側に搬送され、該圧縮ゾーン136において、ポリマー樹脂は、スクリュウ102により発生される機械的作用および摩擦により溶融しかつウェット補強繊維と実質的に均質に混合する。圧縮ゾーン136内のフライト108は、ポリマーフィードゾーン133内のフライト108より小さいピッチおよび/または深さおよび/または間隔を有している。樹脂/繊維混合物が押出機のバレルを下流側に搬送されるときのスクリュウの混合および移送作用により引起こされる剪断力により、補強繊維の束がフィラメント化(例えば、開繊および分離)される。樹脂/繊維混合物が押出機100を通って搬送されるときにポリマー樹脂の溶融を補助しおよび/または樹脂の溶融/溶解状態を維持するためのヒータ(図示せず)を、バレル104の任意の位置に配置することができる。
【0042】
溶融した樹脂/繊維のマスが、スクリュウ102によりバレル104の内部に沿って下流側に押しやられるとき、押出加工で発生される熱により、ウェット補強繊維内の水分が蒸発される。蒸気圧を解放するため、樹脂/繊維混合物は、ポリマーフィードゾーン133および圧縮ゾーン136内のフライト108よりも大きいピッチ、深さおよび/または間隔を有するフライト108を収容する低圧ゾーン137に通される。低圧ゾーン137には、圧縮ゾーン136内で放出された水蒸気または他の蒸気を押出機100から大気中に放出させるための開口109が設けられている。粘性を帯びた樹脂/繊維混合物は、低圧ゾーン137から圧縮/ダイフィードゾーン138に搬送される。圧縮/ダイフィードゾーン138内のフライト108は、低圧ゾーン137内のフライト108より小さくかつポリマーフィードゾーン133内のフライト108と同じかこれより小さいピッチ、深さおよび/または間隔を有するフライト108を収容している。最後に、樹脂/繊維混合物は、押出品として、押出機100からシェ−ピングダイ120へと搬送され、シェ−ピングダイ120で所望形状に成形される。所望形状を得るため、1つ以上のダイ(図示せず)を直列に配置することができる。
【0043】
本発明の種々の押出機のスクリュウのゾーンのフライトおよび深さについての本明細書での説明は概略的なものでありかつ単なる例示であると理解すべきである。当業者ならば、種々のゾーンに、種々の特定ピッチおよび間隔をもたせること、および本発明の作動の効果を付与すべく特定ゾーンの機能を与えることができることは理解されよう。また、種々のゾーンのこのような変化するピッチおよび間隔は選択される特定樹脂に基いて定められることも理解されよう。このような全ての変更形態も本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0044】
図6は、本発明による例示押出ラインを示す概略図である。押出品がシェ−ピングダイ120を出ると、押出品は、引っ張り装置145により、実質的に一定速度でキャリブレータ140内に引き入れられる。引っ張り装置145には、押出品を掴んでシェ−ピングダイ120から少なくとも1つのキャリブレータ140および冷却タンク150を通して引出す複数の動力駆動型上下ローラ147、148を設けることができる。適当な引っ張り装置の他の例として、押出品を掴んで押出ラインの下流側に引出すための、押出品の上下のゴムトラックを収容しているトラックプラー(図示せず)がある。
【0045】
シェ−ピングダイ120を出る溶融した押出品は、キャリブレータ140内に発生し続ける発泡圧力を有している。発泡圧力が発生すると、溶融した押出品は、該押出品のサイズを定めかつ所望形状に較正する、冷却された固定内面に対して押し付けられる。また、冷却された内面は、発泡押出品の表面を冷却し、高密度スキンを形成する。スキンは、溶融した押出品がキャリブレータ(単一または複数)を出るときに、コア内の溶融押出品が膨出することまたはスキンを通って破裂することを防止するのに充分な密度および厚さを有することが好ましい。キャリブレータ140の冷却された内面は、水冷または空冷チャネル142で形成できる。溶融押出品の外面を冷却面またはキャリブレータ140内の冷却されたチャネル142の表面に引寄せて押出品を較正するのに、真空(図示せず)を使用することもできる。
【0046】
成形された押出品を更に冷却するため、押出品は、該押出品を冷却して成形形状に硬化させるのに充分な長さを有する少なくとも1つの冷却タンク150に通される。冷却タンク150は、押出品に作用する応力を最小にして押出品を冷却するのが好ましい。少なくとも1つの実施形態では、冷却タンク(単一または複数)150は、成形された押出品上に水を噴霧する水スプレー155を収容している。本発明の他の実施形態では、冷却タンク(単一または複数)は、押出品を通して冷却および硬化させるための水浴(図示せず)を収容している。
【0047】
冷却された成形押出品は、該成形押出品に所望の表面仕上げを付与すべく、型押機160に通される。型押機は、少なくとも一方のロールにデザインが付された2ロール型装置で構成できる。デザインは、ロールに彫刻またはエッチング加工することができる。第二ロールは第一ロールに対向して配置され、成形押出品にデザインを付与するのに圧力が使用される。型押加工を補助するため、ロールは制御された温度に保持することができる。
【0048】
型押機160を出た後、押出品は切断/トリミング装置170に通される。ここで、押出品は、所望の長さおよび/またはサイズに切断されかつ側縁部がトリミングされる。切断ソー(鋸)は、滑らかな真直カットを所望角度で形成すべく、押出品と一緒に移動する可動キャリジに取付けることができる。切断装置は、所望長さを有する切断片を作るべく電子制御されるのが好ましい。
【0049】
任意であるが、ポリマー/繊維混合物は、ポリ塩化ビニル、アクリルキャップストック、ASA(アクリル/スチレン/アクリロニトリルトリポリマー)または他の適当なキャップ材料等のキャップストックと同時押出される。図6に示すように、キャップ押出機135は、キャップストックで形成されたキャップおよび押出品で形成されたベースシートが一緒にシェ−ピングダイ120を出ることができる位置で、押出ライン内に配置できる。キャップストックは、熱可塑性樹脂押出技術分野の当業者に良く知られた方法で、キャップ押出機135内で同時押出される。キャップの厚さは約2−14ミルであり、発泡されるか否かは問わない。或いは、押出品の表面にフィルムを付すことができる。
【0050】
図7は、本発明による他の例示押出ラインを示す概略図である。ウェット補強繊維、例えば、ウェット補強繊維フィードホッパ110からのWUCSガラス繊維および樹脂フィードホッパ105からのポリマー樹脂が、実質的に同時に、樹脂/繊維フィードスロート130を介して押出機100内に供給される。本明細書で使用する表現「実質的に同時に」とは、ウェット補強繊維およびポリマー樹脂が、同時にまたはほぼ同時に押出機100内に供給されることを意味することに留意すべきである。最終製品に所望の着色外観を付与するため、導管(図示せず)を介して樹脂/繊維フィードスロート130に相互連結されたカラーペレットホッパ(図示せず)を介して、カラーペレットを押出機100に供給できる。
【0051】
ダイ120を出る押出品は、引っ張り装置145により実質的に一定速度で引出されて型押ロール172に通される。該型押ロールは押出品にデザインを付し、成形される最終製品が審美性に優れた表面をもつようにする。1つ以上の型押ローラ172にデザインを付しておくことができる。次に、押出品は冷却ローラ174に通されてキャリブレータ140に入り、押出品を所望形状にサイジングしかつ較正する。押出品が較正されたならば、成形された押出品は冷却タンク150に通されることにより更に冷却される。
【0052】
押出品は次に穿孔機176に通され、該穿孔機176は、通気、ドレン、水抜き孔および/または釘打ちスロットとして機能する孔を、押出された材料にパンチングまたはドリリングする。穿孔機176を出た後、押出品は、切断/トリミング装置170により個別の長さに切断され、ビニルサイディング製品(図示せず)等の最終製品を形成する。最終製品は、パッキングテーブル上で積重ねられ、パッキングされた後に出荷される。
【0053】
任意であるが、キャップを同時押出しするためのキャップ押出機135を押出ラインに配置することができる。図7に示すように、キャップストック(図示せず)は、キャップストックフィードホッパからフィードスロート181を通ってキャップ押出機135に供給される。キャップに所望の色または外観を付与するため、カラーペレットを、カラーペレットホッパ182からフィードスロート183を介してキャップ押出機135に供給できる。キャップを同時押出するため、キャップストックから形成されたキャップと、押出機100からのポリマー樹脂/繊維混合物から形成されたベースシートとが、実質的に同時にダイ120を出る。
【0054】
以上、異なる特徴を有する種々の実施形態を別々に説明したが、種々の実施形態についての個々の特徴は任意の態様で組合せることができ、このような他の実施形態も本発明の範囲内にあると考えられることに留意すべきである。
本明細書で説明した押出方法により製造されるビニルサイディング製品には、サイディング製品のモジュラスまたは剛性を増大させかつサイディングの温度変化により生じることがある移動量を低減させるため、しばしば充填剤が装入される。本発明におけるようなビニルサイディング製品を補強するのに、WUCSのようなウェット補強繊維が使用される場合には、サイディング製品内に、より多量の充填剤を装入することができる。従って、WUCSガラス繊維により強化されたビニルサイディング製品は、小さい熱歪みを呈する。例えば、WUCS強化サイディング製品は、160゜Fで熱歪みを生じない。ビニルサイディング製品内に装入できる適当な充填剤の例として、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、三水和アルミニウム、クレー、カルシウムシリケート、カオリン、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、シリカ、スレート粉末、亜鉛塩化物、ゼオライト、硫化カルシウム、バリウム塩化物、ポルトランドセメント、CaO、Na2CO3および/またはCaSO4があるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
以上、本発明を全体的に説明したが、以下に示す或る特定例を参照することにより更なる理解が得られるであろう。これらの例は、例示のみを目的とするものであって、特にことわらない限り、包括的または限定的なものではない。
【0056】

例1
PVC固体押出配合物が定量され、2200lb/hrの流量で130mmツインスクリュウ押出機のフィードスロート内に供給された。5重量%のガラス組成物を得るため、同時に、12%の水分を含有するWUCSガラス繊維が定量され、側方装着型振動フィーダを介して押出機のフィードスロート内に供給された。ガラス充填配合物から水分を除去するため、押出機のバレルの約60%下流側に配置された低圧ゾーンを使用した。厚さ48ミルの製品を作るため、押出機にはシートダイが装着された。製品は、図6に示したような押出ラインで製造された。製品は、試験の結果、 ASTM D3679の条件に適合した。
【0057】
例2
単一スクリュウ60mm押出機のフィードスロートには、2%の無水マレイン酸改質ポリプロピレンがブレンドされたポリプロピレンが添加された。約16インチ下流側で、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が、フィードスロートを介して大容積ゾーン(例えば、第一低圧ゾーン)内に添加された。押出機内の配合物から水分を除去するため、更に約16インチ下流側のバレルには、15インチ水銀柱の真空に設定された真空システムが設けられた第二低圧ゾーンを配置した。押出機には、厚さ125ミルの製品を押出すためのシートダイが設けられた。
【0058】
例3
ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、耐衝撃性および加工性改質剤、錫ベース安定化剤、発泡剤、および炭酸カルシウムのような無機充填剤で形成された配合物が、12%の含水率を有する15%のWUCSガラス繊維で予めブレンドされかつ88mmツインスクリュウ押出機のフィードスロート内に供給された。発泡押出品がボードに較正された。
【0059】
例4
例3で上述した配合物が、12%の含水率を有するWUCSガラス繊維と同時に、15%ガラス繊維含有量を有する発泡押出品を得るのに充分な速度で、88mmツインスクリュウ押出機のフィードスロート内に供給された。発泡押出品は、ボードに成形された。
【0060】
例5
例3で上述した配合物が、88mmツインスクリュウ押出機のフィードスロート内に供給された。12%の含水率を有するウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が、ポリマーフィードゾーンおよび第一圧縮/混合ゾーンの後の、押出機のバレルに沿う別の位置で添加された。発泡押出品は、ボードに較正された。
【0061】
特定実施形態についての上記説明は本発明の一般的性質を完全に開示するものであり、従って、本明細書を読む者は、当業者の知識(本明細書で引用した参考文献の内容を含む)を適用することにより、不適当な実験を行うことなくかつ本発明の一般的概念から逸脱することなく、上記特定実施形態を改変しおよび/または種々の用途に適合させることができるであろう。従って、このような適合および改変は、本明細書に開示した教示およびガイダンスに基いたものであり、開示した実施形態の意味および均等物の範囲内に含まれるものである。本明細書における表現または用語は説明のためのものであって限定的なものではない。従って、これらの表現または用語は、当業者の知識と組み合せて本明細書における教示およびガイダンスの観点から当業者により解釈されなくてはならないと理解すべきである。また、当業者ならば、これらの教示を上記以外の押出加工に適用できるであろう。
【0062】
以上、本発明を概略的にかつ特定実施形態に関連して説明した。本発明は、好ましい実施形態であると考えられるものについて説明したが、本願の開示範囲内で、当業者に知られた広範囲の変更を選択できる。本発明は、特許請求の範囲を除き制限を受けるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】発泡製品を押出成形するための従来技術による押出装置を示す概略図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの例示実施形態によるスクリュウ押出装置を示す概略図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの例示実施形態によるツインスクリュウ押出装置を示す概略図である。
【図4】本発明の少なくとも1つの他の例示実施形態によるスクリュウ押出装置を示す概略図である。
【図5】本発明の一態様による押出ラインを示す概略図である。
【図6】本発明の少なくとも1つの例示実施形態による同時押出キャップストック用第二押出機を備えた押出ラインを示す概略図である。
【図7】本発明の少なくとも1つの他の例示実施形態による同時押出キャップストック用第二押出機を備えた押出ラインを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機(100)のバレル(104)内の第一圧縮ゾーン(113)内でポリマー樹脂を少なくとも部分的に溶融させる段階を有し、バレルは、フライト(108)を備え、かつ実質的にバレルの長さ方向に沿って延びる少なくとも1つの回転スクリュウ(102)を包囲しており、
ウェット補強繊維を大容積ゾーン(107)のバレル内に供給する段階を有し、バレル内へのウェット補強繊維の導入を容易にすべく、大容積ゾーン(107)内に配置されたフライトのピッチは第一圧縮増ゾーン内に配置されたフライトのピッチより大きく、ウェット補強繊維は溶融された樹脂と混合されて溶融樹脂/繊維混合物を形成し、
樹脂/繊維混合物を、少なくとも1つのスクリュウに沿って低圧ゾーン(115)内へと下流側に搬送し、低圧ゾーン(115)内では、ウェット補強繊維から放出された水蒸気が、バレルに設けた開口(109)を通ってバレルから排出され、
樹脂/繊維混合物を押出ダイ(120)に通して押出熱可塑性樹脂製品を製造することを特徴とする強化押出熱可塑性樹脂製品の成形方法。
【請求項2】
前記ウェット補強繊維はウェットユース・チョップドストランドガラス繊維であることを特徴とする請求項1記載の成形方法。
【請求項3】
前記樹脂/繊維混合物を第二圧縮ゾーン(112)に通す段階を更に有し、第二圧縮ゾーン(112)では、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が、前記搬送段階の前に少なくとも部分的にフィラメント化されることを特徴とする請求項2記載の成形方法。
【請求項4】
前記第二圧縮ゾーン内のフライトのピッチは、ポリマーフィードゾーン、低圧ゾーンおよび大容積ゾーン内のフライトのピッチより小さいことを特徴とする請求項3記載の成形方法。
【請求項5】
前記ポリマー樹脂を、前記溶融段階の前にポリマーフィードゾーン(106)内のバレルに添加する段階を更に有することを特徴とする請求項3記載の成形方法。
【請求項6】
前記樹脂/繊維混合物を圧縮/ダイフィードゾーン(116)に通して、前記押出ダイに入る前に、前記樹脂およびウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を更に混合および配合する段階を更に有することを特徴とする請求項5記載の成形方法。
【請求項7】
前記バレルに発泡剤を添加する段階を更に有することを特徴とする請求項3記載の成形方法。
【請求項8】
前記樹脂をバレルに添加する前に、発泡剤と樹脂とを予めブレンドする段階を更に有することを特徴とする請求項5記載の成形方法。
【請求項9】
前記ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維をバレル内に供給する前に、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を少なくとも部分的に開繊する段階を更に有することを特徴とする請求項2記載の成形方法。
【請求項10】
前記ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維をバレル内に供給する前に、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維内に含まれた水の少なくとも一部を除去する段階を更に有することを特徴とする請求項2記載の成形方法。
【請求項11】
前記押出成形された熱可塑性樹脂製品を型押し加工する段階を更に有することを特徴とする請求項2記載の成形方法。
【請求項12】
前記押出成形された熱可塑性樹脂製品上にキャップストック(135)を同時押出しする段階を更に有することを特徴とする請求項2記載の成形方法。
【請求項13】
出口を備えた細長バレル(104)と、
ポリマー樹脂を保持するポリマー樹脂フィードホッパ(105)と、
ウェット補強繊維を保持するウェット補強繊維フィードホッパ(110)と、
該ウェット補強繊維フィードホッパの下流側でバレルに設けられた、ウェット補強繊維から放出された水分を排出するための開口(109)と、
バレル内に配置されかつバレルの実質的に長さ方向に延びている少なくとも1つの回転スクリュウ(102)とを有し、該少なくとも1つのスクリュウがバレルの内面と協働して、樹脂およびウェット補強繊維を、バレルを通して前記出口まで下流側に搬送する通路を形成しており、少なくとも1つのスクリュウが、
ポリマー樹脂がバレル内に導入されるポリマーフィードゾーン(106)と、
該ポリマーフィードゾーンの下流側の大容積ゾーン(107)とを有し、該大容積ゾーン内のフライトは、バレル内へのウェット補強繊維の導入を容易にするのに充分な大きさのピッチを有し、
第一圧縮ゾーン(113)を有し、該第一圧縮ゾーン(113)では、樹脂およびウェット補強繊維が配合されかつウェット補強繊維が少なくとも部分的にフィラメント化され、
大容積ゾーンの下流側の低圧ゾーン(115)を更に有し、該低圧ゾーンは、第一圧縮ゾーン内のフライトのピッチより大きいピッチで配置されたフライトを備えていることを特徴とする強化熱可塑性樹脂製品の押出成形装置。
【請求項14】
前記ウェット補強繊維はウェットユース・チョップドストランドガラス繊維であることを特徴とする請求項13記載の押出成形装置。
【請求項15】
前記ポリマー樹脂フィードホッパとバレルとを相互連結する第一フィードスロート(101)と、
前記ウェット補強繊維フィードホッパとバレルとを相互連結する第二フィードスロート(103)とを更に有することを特徴とする請求項14記載の押出成形装置。
【請求項16】
前記ポリマー樹脂をバレル内に供給する第一フィードスロート内の定量機構を更に有することを特徴とする請求項15記載の押出成形装置。
【請求項17】
発泡剤、サーモスタビライザ、UVスタビライザ、潤滑剤、着色剤、充填剤、相容化剤、溶融強度増強剤および粘着性付与剤からなる群から選択された少なくとも1つの部材を第一フィードスロートに供給すべく、第一フィードスロートに直接連通している入口(118)を更に有することを特徴とする請求項15記載の押出成形装置。
【請求項18】
前記ウェット補強繊維を少なくとも部分的にフィラメント化すべく、ウェット補強繊維フィードホッパに連結された開繊機を更に有することを特徴とする請求項13記載の押出成形装置。
【請求項19】
少なくとも部分的にフィラメント化されたウェット補強繊維を少なくとも部分的に乾燥させるべく、開繊機と補強繊維フィードホッパとを相互連結する凝縮器を更に有することを特徴とする請求項18記載の押出成形装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスクリュウは、ポリマー樹脂が少なくとも部分的に溶融されるポリマーゾーンの下流側に配置された第二圧縮ゾーン(112)を更に有することを特徴とする請求項13記載の押出成形装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのスクリュウは、前記出口に隣接して配置された圧縮/ダイフィードゾーン(116)を更に有し、該圧縮/ダイフィードゾーン内のフライトは、ポリマーフィードゾーン、第一圧縮ゾーン、大容積ゾーンおよび低圧ゾーンのピッチと同じかこれより小さいピッチを有することを特徴とする請求項20記載の押出成形装置。
【請求項22】
前記大容積ゾーン内のフライトは、第一および第二圧縮ゾーン内のフライトのピッチより大きいピッチを有していることを特徴とする請求項21記載の押出成形装置。
【請求項23】
前記第一圧縮ゾーン内のフライトは、ポリマーフィードゾーン、大容積ゾーンおよび低圧ゾーンのピッチより小さいピッチを有していることを特徴とする請求項13記載の押出成形装置。
【請求項24】
出口を備えた細長バレル(104)と、
ポリマー樹脂を保持するポリマー樹脂フィードホッパ(105)と、
該ポリマー樹脂フィードホッパをバレルに相互連結する樹脂/繊維フィードスロート(101)と、
ウェット補強繊維を保持すべく樹脂/繊維フィードスロートに連結されたウェット補強繊維フィードホッパ(110)と、
ポリマー樹脂フィードホッパおよびウェット補強繊維フィードホッパの下流側でバレルに設けられた、ウェット補強繊維から放出された水分を排出するための開口(109)と、
バレル内に配置されかつバレルの実質的に長さ方向に延びている少なくとも1つの回転スクリュウ(102)とを有し、該少なくとも1つのスクリュウがバレルの内面と協働して、樹脂およびウェット補強繊維を、バレルを通して前記出口まで下流側に搬送する通路を形成しており、少なくとも1つのスクリュウが、
ポリマー樹脂がバレル内に導入されるポリマーフィードゾーン(106)と、
ポリマー樹脂が少なくとも部分的に溶融されるポリマーフィードゾーンの下流側に配置された圧縮ゾーン(113)と、
該圧縮ゾーン内のフライトのピッチより大きいピッチで配置されたフライトを備えている低圧ゾーン(115)と、
前記出口に隣接して配置された圧縮/ダイフィードゾーン(116)とを有し、圧縮/ダイフィードゾーン内のフライトは、ポリマーフィードゾーン、圧縮ゾーンおよび低圧ゾーンのピッチに等しいかこれより小さいピッチを有していることを特徴とする強化熱可塑性樹脂製品の押出成形装置。
【請求項25】
前記ウェット補強繊維はウェットユース・チョップドストランドガラス繊維であることを特徴とする請求項24記載の押出成形装置。
【請求項26】
前記樹脂とウェット補強繊維とを混合すべく樹脂/繊維フィードスロート内に配置された、1つ以上のバッフル、クラマーおよび振動スクリュウからなる群から選択された部材を更に有することを特徴とする請求項24記載の押出成形装置。
【請求項27】
前記ウェット補強繊維フィードホッパと樹脂/繊維フィードスロートとを相互連結するウェット繊維フィードスロート(132)を更に有し、ウェット繊維フィードスロートは振動スクリュウ(134)を備えていることを特徴とする請求項24記載の押出成形装置。
【請求項28】
前記ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を少なくとも部分的にフィラメント化すべくウェット補強繊維フィードホッパに連結された開繊機を更に有することを特徴とする請求項24記載の押出成形装置。
【請求項29】
前記フィラメント化されたウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を少なくとも部分的に乾燥させるべく、開繊機と補強繊維フィードホッパとを相互連結する凝縮器を更に有することを特徴とする請求項28記載の押出成形装置。
【請求項30】
プレミックスを、押出機(100)のバレル(104)のポリマーフィードゾーン(133)内に添加する段階を有し、バレルは、フライトを備え、かつ実質的にバレルの長さ方向に沿って延びる少なくとも1つの回転スクリュウ(102)を包囲しており、
前記プレミックスを圧縮ゾーン(136)内で少なくとも部分的に溶融して、溶融樹脂/繊維混合物を形成する段階と、
樹脂/繊維混合物を、少なくとも1つのスクリュウに沿って低圧ゾーン(137)内へと下流側に搬送する段階とを有し、該低圧ゾーン内では、樹脂/繊維の水分が少なくとも1つのスクリュウに沿って搬送されるときにウェット補強繊維から放出された水蒸気が、バレルに設けた開口(109)を通ってバレルから逃散され、
樹脂/繊維混合物を押出ダイ(120)に通して押出熱可塑性樹脂製品を製造することを特徴とする強化押出熱可塑性樹脂製品の成形方法。
【請求項31】
前記ウェット補強繊維はウェットユース・チョップドストランドガラス繊維であることを特徴とする請求項30記載の成形方法。
【請求項32】
前記樹脂/繊維混合物を前記ダイに通す前に、溶融樹脂/繊維混合物を圧縮/ダイフィードゾーン(138)に通す段階を更に有し、前記フィードゾーン内のフライトは、ポリマーフィードゾーン内のフライトより大きくないピッチを有することを特徴とする請求項31記載の成形方法。
【請求項33】
前記樹脂/繊維プレミックスを成形すべくポリマー樹脂とウェット補強繊維とをブレンドする段階を更に有することを特徴とする請求項32記載の成形方法。
【請求項34】
発泡剤、サーモスタビライザ、UVスタビライザ、潤滑剤、着色剤、充填剤、相容化剤、溶融強度増強剤および粘着性付与剤からなる群から選択された部材を添加する段階を更に有することを特徴とする請求項33記載の成形方法。
【請求項35】
前記ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維と樹脂とをブレンドする前に、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維を少なくとも部分的に開繊する段階と、
ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維が少なくとも部分的に開繊された後に、ウェットユース・チョップドストランドガラス繊維内に含まれる水の少なくとも一部を除去する段階とを更に有することを特徴とする請求項31記載の成形方法。
【請求項36】
ポリマー樹脂およびウェット補強繊維を、押出機のバレル内に供給する段階と、
バレル内のポリマー樹脂を少なくとも部分的に溶融させる段階と、
前記繊維と溶融樹脂とを混合して溶融樹脂/繊維混合物を形成する段階と、
樹脂/繊維混合物を、ウェット補強繊維から放出された水蒸気がバレルの開口を通ってバレルから出るゾーンまで、少なくとも1つのスクリュウに沿って下流側に搬送する段階と、
樹脂/繊維混合物を押出ダイに通して、押出成形された熱可塑性樹脂製品を成形することを特徴とする強化押出熱可塑性樹脂製品の成形方法。
【請求項37】
ポリマー樹脂およびウェット補強繊維を、押出機(100)のバレル(104)内に供給する段階と、
バレル内のポリマー樹脂を少なくとも部分的に溶融させる段階と、
前記溶融樹脂と混合して溶融樹脂/繊維混合物を形成する段階と、
樹脂/繊維混合物を、ウェット補強繊維から放出された水蒸気の少なくとも一部が前記樹脂の発泡剤として作用するゾーンまで、少なくとも1つのスクリュウ(102)に沿って下流側に搬送する段階と、
樹脂/繊維混合物を押出ダイ(120)に通して、押出成形された熱可塑性樹脂製品を成形することを特徴とする強化押出熱可塑性樹脂製品の成形方法。
【請求項38】
前記樹脂/繊維混合物を、ウェット補強繊維から放出される水蒸気の少なくとも一部がバレルから除去されるゾーンまで、少なくとも1つのスクリュウに沿って下流側に搬送する段階を更に有することを特徴とする請求項37記載の成形方法。
【請求項39】
活性充填剤または無水充填剤を前記混合物に供給して、前記プロセス中に放出された水分と結合させる段階を更に有することを特徴とする請求項37記載の成形方法。
【請求項40】
前記バレルに発泡剤を添加する段階を更に有することを特徴とする請求項37記載の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−520471(P2008−520471A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543129(P2007−543129)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/040810
【国際公開番号】WO2006/055398
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507161204)オウェンス コーニング ファイバーグラス テクノロジー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】