説明

接合装置および接合方法

【課題】熱膨張に起因するアライメントへの悪影響を抑制することが可能な接合技術を提供する。
【解決手段】この接合技術においては、第1の被接合物と第2の被接合物との両被接合物が加熱された状態で、第1の被接合物と第2の被接合物とを水平方向において相対的に移動して第1の被接合物と第2の被接合物とが位置合わせされる(ステップS10,S11,S12)。その後、第1の被接合物と第2の被接合物との接触状態において、両被接合物が接合される(ステップS13,S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの被接合物を接合する接合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被接合物を接合する技術が存在する。たとえば、特許文献1においては、2つの被接合物を加熱前に位置合わせした後に、当該2つの被接合物を加熱接合する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−73780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、両被接合物を加熱すると、当該両被接合物が熱膨張し、両被接合物の相互間で位置ずれが発生する。
【0005】
上記のような接合技術においては、2つの被接合物を位置合わせし、接触させ、加熱接合するという順序で処理が実行される。すなわち、2つの被接合物が加熱前に位置合わせされ、その後に2つの被接合物が加熱接合される。
【0006】
そのため、加熱による熱膨張に起因する位置ずれが生じたまま2つの被接合物が接合され、2つの被接合物のアライメント精度が結果的に低下する、という問題が存在する。
【0007】
そこで、この発明は、熱膨張に起因するアライメントへの悪影響を抑制することが可能な接合技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、第1の被接合物と第2の被接合物との両被接合物を接合する接合方法であって、a)前記両被接合物が加熱された状態で、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを所定の方向において相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを位置合わせするステップと、b)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との接触状態において、前記両被接合物を接合するステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る接合方法において、前記両被接合物の少なくとも一方は、赤外光を透過し、前記ステップa)は、a−1)前記両被接合物が加熱された状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、a−2)前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物をアライメントするステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る接合方法において、前記ステップa)は、a−3)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させるステップと、a−4)前記両被接合物が加熱され且つ互いに接触した状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、a−5)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを非接触状態に遷移させるステップと、a−6)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との非接触状態において、前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物を再びアライメントするステップと、をさらに有することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る接合方法において、前記ステップa)において、前記ステップa−3)と前記ステップa−4)と前記ステップa−5)と前記ステップa−6)とが繰り返し実行されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2の発明に係る接合方法において、前記ステップa)は、a−3)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させるステップと、a−4)前記両被接合物が加熱され且つ互いに接触した状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、a−5)前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物を再びアライメントするステップと、をさらに有することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項2の発明に係る接合方法において、前記ステップa−1)における前記両被接合物の位置ずれの計測動作と、前記ステップa−2)における前記位置ずれの補正動作とが繰り返し実行されることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項2ないし請求項6のいずれかの発明に係る接合方法において、前記両被接合物のうち少なくとも一方は、シリコン基板であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項2ないし請求項7のいずれかの発明に係る接合方法において、前記両被接合物の少なくとも一方は、シリコンで形成された交換可能なツール部材に保持されることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項2ないし請求項8のいずれかの発明に係る接合方法において、照明光の進行経路において、前記両被接合物のうちの少なくとも前記第1の被接合物を加熱する加熱部と前記加熱部を保持する所定の部材との間に透光性支持部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明に係る接合方法において、前記ステップa)におけるアライメント動作は、前記ステップb)における接合動作時の温度と実質的に同じ温度で実行されることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、第1の被接合物と第2の被接合物との両被接合物を接合する接合装置であって、前記両被接合物を加熱した状態で、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを所定の方向において相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを位置合わせするアライメント手段と、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との接触状態において、前記両被接合物を接合する接合手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項11の発明に係る接合装置において、前記両被接合物の少なくとも一方は、赤外光を透過し、前記アライメント手段は、前記両被接合物が加熱された状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測する位置計測手段と、前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物をアライメントする第1の駆動手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項12の発明に係る接合装置において、前記アライメント手段は、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させる第2の駆動手段、をさらに有し、前記位置計測手段は、前記両被接合物の位置ずれの計測動作を前記両被接合物の接触状態においても実行し、前記第1の駆動手段は、前記接触状態における前記両被接合物の位置ずれの補正動作をも実行することを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、請求項12または請求項13の発明に係る接合装置において、前記両被接合物のうち少なくとも一方は、シリコン基板であることを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、請求項12ないし請求項14のいずれかの発明に係る接合装置において、前記両被接合物の少なくとも一方は、シリコンで形成された交換可能なツール部材に保持されることを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明は、請求項12ないし請求項15のいずれかの発明に係る接合装置において、照明光の進行経路において、前記両被接合物のうちの少なくとも前記第1の被接合物を加熱する加熱部と前記加熱部を保持する所定の部材との間に透光性支持部材が設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項17の発明は、請求項11ないし請求項16のいずれかの発明に係る接合装置において、前記アライメント手段によるアライメント動作は、前記接合手段による接合動作時の温度と実質的に同じ温度で実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1ないし請求項17に記載の発明によれば、両被接合物が加熱され熱膨張した状態で位置合わせされた後、両被接合物の接触状態において両被接合物が接合されるので、位置ずれが良好に補正された状態で両被接合物を接合することが可能である。したがって、熱膨張に起因するアライメントへの悪影響を抑制することができる。
【0026】
特に、請求項3ないし請求項5、および請求項13に記載の発明によれば、両被接合物の接触状態における位置ずれが補正されるので、より良好なアライメントが実現される。
【0027】
また特に、請求項8および請求項15に記載の発明によれば、シリコンで形成されたツール部材は赤外光を透過するため、赤外光の進行経路確保のために当該ツール部材に孔を設けることを要しない。したがって、孔の存在に起因する被接合物の変形を回避ないし抑制することが可能である。
【0028】
また特に、請求項9および請求項16に記載の発明によれば、第1の被接合物を加熱する加熱部と当該加熱部を保持する所定の部材との間に透光性支持部材が設けられているので、赤外光の進行経路上における孔の長さを小さくすることができる。したがって、「ゆらぎ」を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る接合装置を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す図である。
【図3】第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図4】加熱工程(昇温工程)を示す図である。
【図5】アライメント工程(位置ずれ補正工程)を示す図である。
【図6】接触工程を示す図である。
【図7】接合工程を示す図である。
【図8】熱膨張前の両被接合物を示す図である。
【図9】熱膨張後の両被接合物を示す図である。
【図10】良好なアライメント後の状態を示す図である。
【図11】位置識別用マークを示す図である。
【図12】位置識別用マークを示す図である。
【図13】マーク相互間のずれ量(Δxa,Δya)を示す図である。
【図14】陽極接合の原理を示す図である。
【図15】一般的な赤外線カメラの波長感度特性およびシリコン透過光の波長域を示す図である。
【図16】第2の比較例に係る技術を示す図である。
【図17】第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図18】第3実施形態に係る接合装置を示す縦断面図である。
【図19】図18の一部を拡大して示す図である。
【図20】第3の比較例を示す図である。
【図21】被接合物の変形状態を示す図である。
【図22】変形例に係るツール(シリコンツール)を示す図である。
【図23】変形例に係るツール(シリコンツール)を示す図である。
【図24】変形例に係る接合装置を示す図である。
【図25】第1実施形態に係る接合装置の一断面を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
<1.第1実施形態>
<1−1.装置概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係る接合装置1(1Aとも称する)を示す縦断面図である。なお、以下、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
【0032】
この接合装置1Aは、減圧下のチャンバ(真空チャンバ)2内で、被接合物91と被接合物92とを対向させて両被接合物91,92を接合する装置である。
【0033】
接合装置1Aは、両被接合物91,92の処理空間である真空チャンバ2を備える。真空チャンバ2は、排気管6と排気弁7とを介して真空ポンプ5に接続されている。真空ポンプ5の吸引動作に応じて真空チャンバ2内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ2は真空状態にされる。また、排気弁7は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ2内の真空度を調整することができる。
【0034】
この接合装置1Aは、陽極接合動作を実行することが可能である。具体的には、温度T2(たとえば250℃)にまで加熱された両被接合物91,92(たとえばシリコンウエハとガラス基板)を接触させた状態で、両被接合物のうちの一方を陽極とし他方を陰極として、数百ボルト(たとえば500V(ボルト))の電圧を印加することによって両被接合物91,92が接合される(図14参照)。
【0035】
なお、2つの被接合物91,92を接合する前に、当該両被接合物91,92の表面を活性化させる表面活性化処理がさらに行われることが好ましい。表面活性化処理は、たとえば、接合装置1Aに搬入される前に行われればよい。この表面活性化処理においては、各種のエネルギー波が当該両被接合物91,92の表面に付与されることによって、両被接合物91,92の表面の不純物が除去されるとともに、当該表面が活性化される。より具体的には、アルゴンあるいは酸素等を用いたプラズマ処理による表面活性化処理が実行される。また、プラズマ処理等を実行することによれば、接合時の加熱温度を低減することも可能である。たとえば、プラズマ処理等が実行されない場合には、接合時に350℃〜400℃程度にまで加熱することが求められるのに対して、プラズマ処理等が実行される場合には、接合時の加熱温度を200℃〜250℃程度に低減することが可能である。
【0036】
ここでは、被接合物91,92としては、赤外光(赤外線波長域の光)を透過するものが用いられるものとする。また、両被接合物91,92として、異種材料(互いに異なる線膨張係数を有する異種材料)が用いられる場合を例示する。詳細には、被接合物91としてシリコンウエハを用い且つ被接合物92としてガラス基板を用いるものとする。
【0037】
なお、被接合物91,92は、被加圧物であるとも称され、装置1における接合処理(接合方法)は加圧処理(加圧方法)であるとも称される。
【0038】
また、上側の被接合物92は、ヘッド22(より詳細にはその先端部に設けられた静電チャック部227等)によって保持される。同様に、下側の被接合物91は、当該ステージ12(より詳細にはその先端部に設けられた静電チャック部127等)によって保持される。
【0039】
図2は、図1の一部(ヘッド22およびステージ12付近)を拡大して示す図である。
【0040】
図2にも示すように、ヘッド22は、ベース部222と冷却部225と透光部226と静電チャック部227とを有している。ベース部222は、プリズム223,224を有している。冷却部225は、略板状の形状を有するとともに、その内部に水冷機構を有している。透光部226は、ガラスなどの透光部材で構成される支持部材であり、透光性支持部材とも称される。また、静電チャック部227は、その内部にヒータ22h(加熱部)を有している。
【0041】
また、冷却部225には、孔部225c,225dが設けられており、後述する照明光の進行経路が確保されている。同様に、静電チャック部227には、孔部227c,227dが設けられており、照明光の進行経路が確保されている。
【0042】
ステージ12は、冷却部125と透光部126と静電チャック部127とを有している。冷却部125は、略板状の形状を有するとともに、その内部に冷却機構を有している。透光部126は、ガラスなどの透光部材で構成される支持部材であり、透光性支持部材とも称される。静電チャック部127は、その内部にヒータ12h(加熱部)を有している。
【0043】
また、冷却部125には、孔部125c,125dが設けられており、後述する照明光の進行経路が確保されている。同様に、静電チャック部127には、孔部127c,127dが設けられており、照明光の進行経路が確保されている。
【0044】
ヘッド22およびステージ12は、いずれも、真空チャンバ2内に設置されている。ヘッド22は、当該ヘッド22の静電チャック部227に内蔵されたヒータ22hによって加熱され、ヘッド22に保持された被接合物92の温度を調整(昇温等)することができる。同様に、ステージ12は、当該ステージ12の静電チャック部127に内蔵されたヒータ12hによって加熱され、ステージ12上の被接合物91の温度を調整(昇温等)することができる。
【0045】
ステージ12は、XY駆動機構14によってX方向およびY方向に移動(並進移動)され、透光性部材等で構成されたベース部11に対して相対的に並進移動する。ステージ12は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいてXY駆動機構14によって駆動され、X方向、Y方向におけるアライメント動作が実行される。
【0046】
また、ヘッド22は、回転駆動機構25によってθ方向(Z軸回りの回転方向)に回転され、Z軸昇降駆動機構26によってZ方向に移動(昇降)される。ヘッド22は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいて回転駆動機構25によって駆動され、θ方向におけるアライメント動作が実行される。
【0047】
<1−2.位置認識部>
接合装置1Aは、被接合物91,92の水平位置(詳細にはX,Y,θ)を認識する位置認識部(位置計測部とも称される)28を備えている。
【0048】
図1に示すように、位置認識部28は、被接合物等に関する光像を画像データとして取得するカメラ28M,28Nを有する。なお、図25の断面図(カメラ28M,28N付近の断面図)にも示すように、略円柱形状を有するベース部11は、カメラ28M,28Nの先端部が挿入される位置において切り欠き部分(凹状部分)を有している。また、当該切り欠き部分の一部に、反射面28e,28f(後述)が設けられている。
【0049】
また、両被接合物91,92には、それぞれ、位置識別用パターンマークMK(以下、アライメントマークあるいは単にマークとも称する)が付されている。例えば、一方の被接合物91に2つの位置識別用マークMK1a,MK1b(図11参照)が設けられ、他方の被接合物92にも2つの位置識別用マークMK2a,MK2b(図12参照)が設けられる。なお、各マークは、特定の形状を有することが好ましい。たとえば、マークMK1a,MK1bとしては、比較的大きな径を有する円形状のものが用いられ、マークMK2a,MK2bとしては、比較的小さな径を有する円形状のものが用いられる。マークMK1a,MK2aは各被接合物91,92内の第1の基準位置にそれぞれ配置され、マークMK1b,MK2aはb各被接合物91,92内の第2の基準位置にそれぞれ配置される。なお、両被接合物91,92の相対角度を良好に調整するため、マークMK1a,MK1bは、各被接合物91において、互いに離間した位置(たとえば、被接合物91の両端部付近)に設けられることが好ましい。マークMK2a,MK2bも同様である。
【0050】
両被接合物91,92の位置合わせ動作(アライメント動作)は、当該位置認識部(カメラ等)28により、両被接合物91,92に付された2組のマークの位置を認識することによって実行される。
【0051】
図1に示すように、位置認識部28は、両被接合物91,92が対向する状態において、光源(出射部とも称される)27c,27dから出射された照明光(ここでは赤外光)の透過光および反射光に関する画像データを用いて、両被接合物91,92の位置を認識する。
【0052】
具体的には、光源27cから出射された光は、プリズム223の反射面223f(図2)で反射されてその進行方向が変更され下方に進行する。当該光は、冷却部225の孔部225c、透光部226、静電チャック部227の孔部227c、被接合物92、被接合物91、静電チャック部127の孔部127c、透光部126、および冷却部125の孔部125c等を透過した後、反射面28e(図1)で反射され、カメラ28Mの撮像素子28cに到達する。位置認識部28は、このようにして両被接合物91,92に関する光像(各マーク部分を通過した赤外光による光像)を含む画像を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被接合物91,92に付された或る1組のマークの位置を認識するとともに、当該1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0053】
同様に、光源27dから出射された光は、プリズム224の反射面224f(図2)で反射されてその進行方向が変更され下方に進行する。当該光は、冷却部225の孔部225d、透光部226、静電チャック部227の孔部227d、被接合物92、被接合物91、静電チャック部127の孔部127d、透光部126、および冷却部125の孔部125d等を透過した後、反射面28f(図1)で反射され、カメラ28Nの撮像部(撮像素子)28dに到達する。位置認識部28は、このようにして両被接合物91,92に関する光像(各マーク部分を通過した赤外光による光像)を含む画像を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被接合物91,92に付された他の1組のマークの位置を認識するとともに、当該他の1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0054】
なお、カメラ28M,28Nは、X方向、Y方向、Z方向に移動可能であり、撮影範囲を変更して調整することが可能である。
【0055】
その後、位置認識部28は、これら2組のマークの位置ずれ量に基づいて、X方向、Y方向およびθ方向における両被接合物91,92の相対的ずれ量を算出する。そして、位置認識部28により認識された当該相対的ずれ量が低減されるように、ステージ12が2つの並進方向(X方向およびY方向)に駆動され、ヘッド22が回転方向(θ方向)に駆動される。これにより、両被接合物91,92が相対的に移動され、上記の位置ずれ量が補正される。
【0056】
このようにして、(X方向、Y方向およびθ方向に関する)アライメント動作が実行される。
【0057】
なお、このような位置認識動作(位置ずれ計測動作)と位置合わせ用の駆動動作(位置ずれの補正動作)とは繰り返し実行されることが好ましい。これによれば、ヘッド22およびステージ12の駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なアライメント動作が実行される。
【0058】
<1−3.接合動作>
図3は、第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。図4〜図7は、当該動作における複数の工程を時系列で示す図である。
【0059】
以下、図3等を参照しながら、第1実施形態に係る動作について説明する。
【0060】
ここでは、図3のフローチャートの動作の開始時点よりも前の時点において、接合装置1Aとは別の装置にて両被接合物91,92に対してプラズマ処理等を用いた表面活性化処理が施されているものとする。
【0061】
その後、これら両被接合物91,92は搬送用ロボット(搬送手段)等によって接合装置1A内に搬入される。そして、接合装置1Aのチャンバ2内において両被接合物91,92は非接触状態で対向配置される。なお、図1、図2、図4および図5等においては、図示の都合上、両被接合物91,92は比較的大きく離れているように示されているが、実際には両被接合物91,92の離間距離は非常に小さい。たとえば、両被接合物91,92は、互いに数十μm(マイクロメートル)程度の距離を空けた状態にまで近接されて配置される。これによれば、ステップS11(後述)等において各組のマーク(たとえば(MK1a,MK1b))を1つの撮影画像内において合焦状態で撮影することができる。
【0062】
そして、ステップS10において、加熱処理が開始される(図4参照)。具体的には、被接合物91は、ステージ12の静電チャック部127に内蔵されたヒータ12h(図2参照)によって加熱され、ステージ12に保持された被接合物91の温度が値T1(たとえば250℃程度)にまで昇温される。また、被接合物92は、ヘッド22の静電チャック部227に内蔵されたヒータ22hによって加熱され、ヘッド22に保持された被接合物92の温度が値T1にまで昇温される。
【0063】
ここにおいて、温度T1は、ステップS19(後述)における接合時の温度T2と実質的に同じ温度であることが好ましい。詳細には、両被接合物91,92の温度は、ステップS11の位置ずれ測定時点からステップS19における接合時点に至るまで、実質的に同じ温度Te(=T1=T2)であることが好ましい。温度T1と温度T2との相違量は小さいことが好ましいが、温度T1と温度T2とは完全に同一であることを要さない。温度T1と温度T2とは実質的に同じ温度であれば十分である。温度T1と温度T2との相違量が数℃程度であるときには、各温度T1,T2における熱膨張は同程度であり、両温度T1,T2は、実質的に同じ温度であるとみなすことができる。
【0064】
その後、ステップS11,S12において、非接触状態におけるアライメント動作がさらに実行される(図5参照)。特に、このアライメント動作は、両被接合物91,92が加熱された状態で実行される。また、アライメント動作時の両被接合物91,92の温度は、接合時(ステップS19)における両被接合物91,92の温度T2と実質的に同じ温度(たとえば250℃)である。
【0065】
具体的には、ステップS11において、まず、非接触状態における両被接合物91,92の撮影画像GBa,GBb(不図示)が取得される。撮影画像GBaは、両マークMK1a,MK2a(図9参照)を同時に読み取った画像であり、撮影画像GBbは、両マークMK1b,MK2bを同時に読み取った画像である。そして、当該2つの撮影画像GBa,GBbに基づいて両被接合物91,92のX方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)がそれぞれ求められる。
【0066】
詳細には、Z方向に離間した両マークMK1a,MK2aを同時に読み取った画像GBaに基づきずれ量(Δxa,Δya)が算出される(図13参照)。また、同様に、Z方向に離間した両マークMK1b,MK2bを同時に読み取った画像GBbに基づきずれ量(Δxb,Δyb)が算出される。そして、当該ずれ量(Δxa,Δya),(Δxb,Δyb)に基づいて、両被接合物91,92の水平方向における位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)が測定される。
【0067】
このようにして、両被接合物91,92が加熱された状態において、光源27c,27d(出射部)から出射され両被接合物91,92のアライメントマーク部分を通過した赤外光を受光することによって、両被接合物91,92の位置ずれが計測される。
【0068】
その後、ステップS12において、当該位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)を補正すべく、両被接合物91,92が相対的に移動され、両被接合物91,92がアライメントされる。具体的には、位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)を解消するように、ステージ12がX方向、Y方向に移動し且つヘッド22がθ方向に移動する。これにより、両被接合物91,92は、水平方向において、非常に高い精度(たとえば許容誤差が0.3マイクロメートル以内)でアライメントされる。
【0069】
なお、このような位置認識動作(ステップS11)と位置合わせ用の駆動動作(ステップS12)とは繰り返し実行されることが好ましい。これによれば、ヘッド22駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なアライメント動作が実行される。
【0070】
図5および図10は、アライメント後の状態を示す概念図である。すなわち、図5および図10は、両被接合物91,92が水平方向において正しい位置関係を有している状態を示している。なお、ステップS11,S12においては、両被接合物91,92は、鉛直方向に離間して配置されており、両被接合物91,92は未だ接触していない。
【0071】
その後、ステップS13において、Z軸昇降駆動機構26を駆動することによって、ヘッド22を下降させて、両被接合物91,92を接触させる(図6参照)。図6は、両被接合物91,92が、水平方向において正しい位置関係を有する状態で、接触している様子を示している。なお、このとき、圧力検出センサ29等の検出結果に基づいて、両被接合物91,92の相互間の接触圧が所定値になるように調整される。
【0072】
次のステップS19においては、両被接合物91,92が陽極接合処理によって接合される(図7および図14参照)。具体的には、温度T2(たとえば250℃)にまで加熱されている両被接合物91,92(シリコンウエハとガラス基板)を接触させた状態で、両被接合物のうちの一方を陽極とし他方を陰極として、数百ボルト(たとえば500V(ボルト))の電圧を印加することによって両被接合物91,92が接合される。
【0073】
以上のような動作によれば、加熱処理により温度T1にまで昇温された状態においてアライメントが行われ、温度T1と実質的に同じ温度T2で接合処理が実行される。したがって、両被接合物91,92による熱膨張の影響を抑制することが可能である。
【0074】
図8〜図10を参照しながら、これについて説明する。図8は熱膨張前の両被接合物91,92を示す図であり、図9は熱膨張後の両被接合物91,92を示す図である。また、図10は、良好なアライメント後の状態を示す図である。なお、図9においては、膨張の向きと大きさとが、それぞれ、白矢印の向きと大きさとで示されている。
【0075】
従来技術においては、アライメント時点では両被接合物に対する加熱処理は未だ行われず、アライメント完了後に加熱が開始されて接合処理が行われる。そのため、アライメント時点と接合処理時点とでは両被接合物91,92の温度が大きく異なる。たとえば、アライメント時点の温度T0は室温(例えば25℃)程度であるのに対して、接合処理時点の温度T2は比較的高温(例えば250℃)である。
【0076】
仮に、このような技術(アライメント時には加熱処理が行われない技術)を、第1の比較例に係る技術として想定する。
【0077】
このような第1の比較例においては、まずアライメント処理によって両被接合物91,92が図8のような正しい位置に移動される。
【0078】
しかしながら、その後、接合処理において温度が値T2程度にまで上昇する。このような温度上昇に起因して、両被接合物91,92は熱膨張する。この熱膨張は、完全に左右対称ではなく、左右不均一である。図9は、このような熱膨張後の状態を示している。図9においては、被接合物91は、幾何学的な中心位置に対して左側にシフトした位置を中心に膨張し、被接合物92は、幾何学的な中心位置に対して右側にシフトした位置を中心に膨張した様子が模式的に示されている。被接合物91は左側に比較的大きく熱膨張し、被接合物92は左側に比較的小さく熱膨張している。また、被接合物91は右側に比較的小さく熱膨張し、被接合物92は左側に比較的大きく熱膨張している。なお、この実施形態においては、上述のように、両被接合物91,92が異種材料で構成されているが、図9においては、説明の簡単化のため、まず両被接合物91,92が同種材料であり、被接合物91の総膨張量と被接合物92の総膨張量とが等しい場合を想定している。両被接合物91,92が異種材料である場合については後述する。
【0079】
このような熱膨張の結果、両被接合物91,92の各位置において位置ずれが発生する。特に、両被接合物91,92の左端側のマークMK1a,MK2a付近においては、比較的大きな位置ずれ(水平方向の位置ずれ)が発生する。同様に、両被接合物91,92の右端側のマークMK1b,MK2b付近においても、比較的大きな位置ずれが発生する。たとえば、両被接合物91,92として、4インチのシリコンウエハが用いられ且つ温度T2が250℃程度である場合には、2つの両被接合物91,92が互いに水平方向に約20μm(マイクロメートル)程度ずれることもある。
【0080】
その後、両被接合物91,92がそのまま接合される。そのため、仮にアライメント時の両被接合物91,92の相対位置が図8のように正確であったとしても、図9に示すような熱膨張に伴う位置ずれが残留した状態で接合される。
【0081】
一方、この実施形態によれば、まず、ステップS10において両被接合物91,92が加熱され両被接合物91,92の温度が上昇する(図4および図9参照)。この結果、アライメント動作前において図9に示すような状態に遷移する。その後、ステップS11,S12の処理が実行され、アライメント動作が行われる(図5および図10参照)。その結果、図10に示すように、両被接合物91,92の位置ずれが良好に補正される。
【0082】
このような態様によれば、両被接合物91,92が加熱され、両被接合物91,92が熱膨張した状態においてアライメント動作が行われる。そして、位置ずれが良好に補正された状態で両被接合物91,92を接合することが可能である。そのため、第1の比較例に係る技術と比較して、熱膨張に起因するアライメントへの悪影響を抑制することができる。
【0083】
なお、ここでは、両被接合物91,92が同種材料の場合をまず想定して説明した。一方、両被接合物91,92が異種材料である場合において、両被接合物91,92の相互間で総膨張量が互いに異なるときには、加熱膨張後にアライメントしても、両被接合物91,92の両端側にて2組のマークが完全には一致しない。そのような状況においては、左の1組のマークの位置ずれ量と右の1組のマークの位置ずれ量とが同量になるように、位置合わせ動作(アライメント動作)が実行されればよい。これによれば、位置ずれを最小限に止めることが可能である。
【0084】
また、ここでは、カメラ28(28M、28N)として、一般的な赤外線カメラではなく、InGaAs(In:インジウム、GA:ガリウム、As:ヒ素)を撮像素子に用いて構成された特殊な赤外線カメラが用いられている。
【0085】
図15は、一般的な赤外線カメラの波長感度特性およびシリコン透過光の波長域を示す図である。
【0086】
図15の曲線L1に示すように、シリコン(Si)は、1100nm(ナノメートル)以上の波長域において高い透過率を有している。そのため、シリコンウエハの透過像を見るためには、1100nm(ナノメートル)以上の波長の光を良好に光電変換する撮像素子が求められる。
【0087】
従来の一般的な赤外線カメラに用いられる撮像素子は、図15の曲線L0に示すように、400nm〜1200nmの波長域の光を光電変換して画像を取得する。当該撮像素子は、主に700nm〜1100nmの波長域の赤外光を光電変換して画像を取得するが、赤外光のうち1100nm以上の波長域の光を光電変換することも可能ではある。ただし、図15に示すように、1100nm以上の波長域における感度はそれほど高くない。
【0088】
また、シリコンの温度が比較的高温(例えば200℃〜400℃)であるときには、温度上昇の影響により、シリコンの透過光の波長域が比較的大きな波長の波長域(長波長側の波長域)に(図15の右側に向けて)シフトする(図15の白矢印参照)。その結果、従来の一般的な赤外線カメラではシリコン透過光を感じることが殆どできず、真っ暗な撮影画像が取得される。このように、従来の一般的な赤外線カメラでは、加熱環境下(高温環境下)においてシリコン透過像を撮影することが困難である。
【0089】
一方、上記実施形態のように、カメラ28として、InGaAsを撮像素子に用いて構成された特殊な赤外線カメラを用いることによれば、シリコン透過光の波長域においても比較的高い感度を得ることが可能であり、良好な撮影画像を得ることが可能である。詳細には、当該特殊な赤外線カメラは、900nm〜1700nmの波長域の光を感じることが可能であり、1100nmよりも大きな波長域(たとえば、1200nm〜1700nmの波長域)の光をも良好に感じることが可能である。したがって、加熱時(高温時)においても、長波長側にシフトした波長域のシリコン透過光を良好に光電変換して、良好なシリコン透過画像を得ることが可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、図2等に示すように、照明光(赤外光)の進行経路において、被接合物91と冷却部125との間に、静電チャック部127と透光部(透光性支持部材)126とがこの順序で設けられている。詳細には、ヒータ12hを有する静電チャック部127と水冷機構を有する冷却部125との間に、ガラスで形成された透光部(透光性支持部材)126が設けられている。この冷却部125の冷却機能により、静電チャック部127での温度上昇が装置本体側の周辺部材に伝搬することが抑制される。換言すれば、静電チャック部127から被接合物91以外の部材への熱の伝達が抑制される。なお、冷却部125は、透光部126を介して静電チャック部127(加熱部とも表現される)を保持する部材でもあるとも表現される。
【0091】
図16は第2の比較例に係る技術を示す図である。図16に示すように、照明光(赤外光)の進行経路において、被接合物91と冷却部125との間に、静電チャック部927のみが設けられている。静電チャック部927は、ヒータを内蔵しており、被接合物91の温度を上昇させることができる。静電チャック部927においては、その上端から下端まで貫通する孔927c,927dが設けられている。
【0092】
ところで、第2の比較例に係る技術においては、孔927c,927dの空間において、加熱された気体が存在する。そのため、当該気体のゆらぎによって、当該空間を通過する光の像にも「ゆらぎ」が発生する。その結果、撮影画像GBa,GBbにおけるマーク位置が不正確になり、位置の測定精度が低下するという問題が存在する。なお、図16においては、「ゆらぎ」が生じている様子が、波線で模式的に表現されている。
【0093】
一方、上記第1実施形態においては、上述のように、被接合物91と冷却部125との間に、静電チャック部127と透光部(透光性支持部材)126とが設けられている(図2等参照)。図2を図16と比較すると判るように、上記第1実施形態に係るステージ12においては、第2の比較例に係る静電チャック部927のうちの一部(下側部分)に相当する部分に透光部126が設けられている。詳細には、被接合物91と冷却部125との間に、比較的小さな厚さを有する静電チャック部127が設けられるとともに、比較的大きな厚さを有する透光部(透光性支持部材)126もが設けられている。
【0094】
光を透過する透光部126においては、孔を設けることを要しないため、上記第1実施形態においては、第2の比較例と比較して、上記の「ゆらぎ」の発生要因となる孔の長さ(赤外光の進行経路上における孔の長さ)を小さくすることができる。したがって、「ゆらぎ」を抑制することができる。
【0095】
また、透光部126は、ガラスで構成されており、接合時の圧力を支える支持部材としても機能するため、静電チャック部927において上端から下端まで貫通する孔927c,927dが設けられる場合に比べて、比較的大きな強度を得ることが可能である。
【0096】
さらに、これらの効果を好適に得るためには、透光部(透光性支持部材)126の厚さは、静電チャック部127の厚さよりも小さいことが好ましい。たとえば、透光部126の厚さは、静電チャック部127の厚さの数分の1〜十数分の1程度であることが好ましい。
【0097】
なお、ここでは、ステージ12に関して説明したが、ヘッド22に関しても同様である。
【0098】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0099】
第2実施形態に係る接合装置1Bは、第1実施形態に係る接合装置1Aと同様の構成を備える。
【0100】
また、図17は、第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【0101】
ステップS10からステップS13までは第1実施形態と同様の動作が行われる。
【0102】
上記第1実施形態と同様にして、加熱処理により温度T1にまで昇温された状態においてアライメントが行われる(ステップS10,S11,S12)。そして、ステップS13で両被接合物91,92が相対的に接近した後に接触する。その後、ステップS19において温度T1と実質的に同じ温度T2で接合処理が実行される。したがって、両被接合物91,92による熱膨張の影響を抑制することが可能である。
【0103】
ただし、第2実施形態においては、ステップS13の後に位置ずれの再計測動作(ステップS14)および再補正動作(ステップS17)等が実行される点において、第1実施形態と相違する。
【0104】
仮に、ステップS12の水平移動動作(アライメント動作)によって両被接合物91,92がステップS13での接触前において、正しい位置関係を有していたとしても、両被接合物91,92が接触する際に物理的な衝撃力が作用することなどに起因して新たな位置ずれが生じ得る。特に、両被接合物91,92の接合面の平行度合が十分でない場合には、比較的大きな新たな位置ずれが生じ得る。
【0105】
これに対して、第2実施形態に係る接合装置1Bは、ステップS14〜S17の動作を行う。具体的には、被接合物91と被接合物92とが接触した状態において、両被接合物91,92の水平方向における位置ずれを測定する(ステップS14)。そして、当該接合装置1Bは、当該位置ずれを補正して両被接合物の位置合わせを行う(ステップS17)。このような動作によれば、両被接合物91,92を水平方向において更に正確に位置決めした状態で、当該両被接合物91,92を接合することが可能である。すなわち、両被接合物91,92が接触する際に物理的な衝撃力が作用することなどに起因して発生する新たな位置ずれを良好に補正することが可能である。以下、このようなステップS14〜S17の動作等について説明する。
【0106】
より具体的には、ステップS13までの動作が完了すると、まず、ステップS14(図8)にて、「接触状態」(図6)における両被接合物91,92の撮影画像GBa,GBb(図6参照)が取得される。そして、当該2つの撮影画像GBa,GBbに基づいて両被接合物91,92のX方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)がそれぞれ測定される。
【0107】
詳細には、両マークMK1a,MK2aを同時に読み取った画像GBaに基づきずれ量(Δxa,Δya)が算出される。同様に、両マークMK1b,MK2bを同時に読み取った画像GBbに基づきずれ量(Δxb,Δyb)が算出される。そして、ずれ量(Δxa,Δya),(Δxb,Δyb)に基づいて、両被接合物91,92の水平方向における位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)が測定される。
【0108】
その後、ステップS15において、当該位置ずれ量が許容誤差範囲内に収まっていないと判定されると、ステップS16に進む。一方、当該位置ずれ量が許容誤差範囲内に収まっていると判定されると、ステップS19に進む。なお、位置ずれ量が所定の許容誤差範囲内に収まっているか否かは、たとえば、3つの位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)の全てがそれぞれの許容誤差範囲に収まっている旨の条件を充足するか否かに基づいて判定されればよい。
【0109】
ステップS16においては、両被接合物91,92がZ方向において相対的に離れる向きに移動され、両被接合物91,92の接触状態が一旦解除される。詳細には、ヘッド22が上昇されることによって、両被接合物91,92の接触状態が解除される。
【0110】
そして、ステップS17において、両被接合物91,92の非接触状態(換言すれば、両被接合物91,92が水平方向において自由に移動可能な状態)にて、ステップS14で求められた位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)を補正すべく両被接合物91,92が相対的に移動され、位置合わせ動作(アライメント動作)が実行される(図5および図10参照)。具体的には、位置ずれ量(Δx,Δy,Δθ)を解消するように、ステージ12がX方向、Y方向に移動し且つヘッド22がθ方向に移動する。これにより、両被接合物91,92は、水平方向において、非常に高い精度(たとえば許容誤差が0.3マイクロメートル以内)でアライメントされる。
【0111】
その後、ステップS13に戻り、接合装置1Bは、Z軸昇降駆動機構26を駆動して、ヘッド22を下降させ、両被接合物91,92を再度接触させる。
【0112】
そして、ステップS14の動作、すなわち接触状態における両被接合物91,92の位置ずれ計測動作が再度実行され、ステップS15に進む。
【0113】
ステップS15においては、両被接合物91,92の位置ずれが許容誤差範囲内に収まっていないと判定されると、再びステップS16に進む。一方、両被接合物91,92の位置ずれが許容誤差範囲内に収まっていると判定されると、ステップS19に進む。
【0114】
ステップS19においては、第1実施形態と同様に、両被接合物91,92が陽極接合処理によって接合される(図7および図14参照)。
【0115】
以上のような第2実施形態に係る動作によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
また、上記のようなステップS14〜S17の動作(特に、接触状態における位置ずれ計測動作、および位置ずれを補正する補正動作)が、1回、あるいは複数回繰り返し実行されることによれば、さらに良好なアライメント動作が実現される。
【0117】
より詳細には、両被接合物の位置ずれの計測動作(ステップS14)と当該位置ずれの補正動作(ステップS17)とが、必要に応じて両被接合物の非接触化動作(ステップS16)と接触動作(ステップS13)とを挟んで、繰り返し実行される(このような繰り返し動作をリトライ動作とも称する)。これによれば、両被接合物91,92相互間における接触動作自体に起因する位置ずれが低減される。したがって、両被接合物91,92は、接触後の最終状態においても、水平方向において非常に高い精度(たとえば許容誤差が0.3マイクロメートル以内)でアライメントされる(図10参照)。
【0118】
特に、ステップS14での位置ずれ計測動作は、両被接合物91,92の接触状態で行われるため、両被接合物91,92が非常に高精度で位置決めされていることを確認することが可能である。
【0119】
また特に、陽極接合においては、両被接合物91,92相互間に電圧が印加されるまでは両被接合物91,92が接合されないため、上記のようなリトライ動作を良好に行うことが可能である。
【0120】
なお、第2実施形態においては、位置ずれ補正動作(特にステップS17(図17参照))が両被接合物91,92の非接触状態において実行される場合を例示したが、これに限定されず、位置ずれ補正動作は、両被接合物91,92が接触した状態のまま実行されるようにしてもよい。特に、ハンダ接合においては、両被接合物91,92の接触時にハンダが加熱溶融されているため、接触を解除することなく、両被接合物91,92を水平方向に相対的に移動して、両被接合物91,92の相互間の位置ずれを補正することが可能である。
【0121】
また、上記第1および第2実施形態においては、被接合物91としてシリコンウエハを用い且つ被接合物92としてガラス基板を用いる場合を例示した。換言すれば、被接合物91,92として、互いに異なる材質のものを用いる場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、被接合物91,92として、同じ材質のものを用いるようにしてもよい。たとえば、被接合物91,92として、シリコンウエハ(基板)を用いるようにしてもよい。
【0122】
<3.第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る接合装置1(1Cとも称する)を示す縦断面図である。
【0123】
この接合装置1Cは、いわゆるチップボンダである。接合装置1Cは、被接合物(基板等)91と被接合物(チップ等)92とを対向させて加圧し、両被接合物91,92を接合する装置である。ここでは、被接合物91,92として、シリコンウエハ(基板)およびシリコンチップをそれぞれ用いるものとする。
【0124】
この接合装置1Cにおいては、加熱および加圧による接合動作が実行される。具体的には、温度T2(たとえば250℃)にまで加熱された両被接合物91,92(シリコンウエハおよびチップ等)を接触させた状態で、両被接合物が加圧されて接合される。
【0125】
上側の被接合物(チップ)92は、ヘッド62(より詳細にはその先端部に設けられたツール628等)によって保持される。同様に、下側の被接合物(ウエハ)91は、当該ステージ52(より詳細にはその先端部に設けられたツール528等)によって保持される。
【0126】
図19は、図18の一部(ヘッド62付近)を拡大して示す図である。
【0127】
図19にも示すように、ヘッド62は、ベース部622とセラミックヒータ627とツール628とを有している。ベース部622は、プリズム623,624を有している。セラミックヒータ627は、その内部に加熱源を有している。また、セラミックヒータ627には、孔部627c,627dが設けられており、照明光の進行経路が確保されている。ツール628は、被接合物(チップ)92の形状および大きさに応じて、交換可能にセラミックヒータ627に対して装着され、被接合物(チップ)92を保持する。ツール628は、シリコンで形成されており、赤外光を透過することが可能である。ツール628は、シリコンツールとも称される。ツール628を交換することによれば、異なる形状および大きさの被接合物92をヘッド22の先端部に適切に保持することが可能である。
【0128】
ステージ52は、ステージ12と同様の構成を有している。ステージ52の冷却部525および透光部526は、ステージ12の冷却部125および透光部126とそれぞれ同様の構成を有している。また、ステージ52は、セラミックヒータ627と同様のセラミックヒータ527をも有している。また、ステージ52においては、セラミックヒータ527と被接合物91との間に、ツール528が設けられている。ツール528は、ツール628と同様、シリコンツールである。
【0129】
ステージ52は、XY駆動機構14によってX方向およびY方向に移動(並進移動)され、ベース部11に対して相対的に並進移動する。ステージ52は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいてXY駆動機構14によって駆動され、X方向、Y方向におけるアライメント動作が実行される。
【0130】
また、ヘッド62は、回転駆動機構25によってθ方向(Z軸回りの回転方向)に回転され、Z軸昇降駆動機構26によってZ方向に移動(昇降)される。ヘッド62は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいて回転駆動機構25によって駆動され、θ方向におけるアライメント動作が実行される。
【0131】
ヘッド62に保持された被接合物92は、ヘッド62のセラミックヒータ627によって加熱され、その温度が調整される。同様に、ステージ52に保持された被接合物91は、ステージ52のセラミックヒータ527によって加熱され、その温度が調整される。
【0132】
以上のような構成を備える接合装置1Cにおいて、たとえば上記第1実施形態と同様の動作が実行される。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0133】
また、第3実施形態に係る接合装置1Cにおいては、ツール628は、シリコンで形成されている。したがって、第3の比較例(次述)と比べて、次のような効果を得ることが可能である。
【0134】
図20は、第3の比較例に係る技術を示す図である。図20に示すように、ヘッド62等の先端部に装着されるツールとしては、セラミックツール(セラミックで形成されたツール部材)が一般的に想定される。たとえば、セラミックツール928は、セラミックヒータ627の先端側に設けられ、被接合物(チップ)92を保持する保持部材である。セラミックツール928においては、照明光の進行経路を確保するため、セラミックヒータ627と同様に、孔部928c,928dが設けられている。
【0135】
しかしながら、上記のセラミックツール928においては、被接合部92に接する部分に孔部928c,928dが設けられている。そのため、接合圧力が加わると、図21に示すように、支持部材が存在しない孔部(928c等)付近において被接合物92が変形するという問題が生じる。また、近年、技術の発展に伴ってチップの厚さが小さくなってきている。そのような非常に薄いチップが被接合物92として用いられる場合には、孔部928c,928dにおける被接合物92(チップ)の変形が顕著になる。
【0136】
一方、上記第3実施形態のように、セラミックツール928に代えてシリコンツール628が設けられる場合(図19参照)には、シリコンツール628は赤外光を透過するため、シリコンツール628に孔を設けることを要しない。したがって、孔の存在に起因する被接合物92の変形を回避ないし抑制することができる。
【0137】
また、シリコンツール528についても同様の効果を得ることが可能である。
【0138】
なお、ツール528,628として、セラミックツール928ではなくスチールツール(スチールで形成されたツール部材)を採用する構成も想定され得る。上記第3実施形態によれば、このようなスチールツールにおいて光路確保用の孔部を設けた構成と比較しても同様の効果を得ることが可能である。
【0139】
また、ツール528,628として、光(赤外光を含む)を透過しないセラミックツール等ではなく、光(可視光および赤外光を含む)を透過するガラスツール(ガラスで形成されたツール部材)を利用することも考えられる。ただし、シリコンは、ガラスに比べて熱伝導率が高い。たとえば常温においては、ガラスの熱伝導率は、1(W/(m・K))であり、一方、シリコンの熱伝導率は、168(W/(m・K))である。そのため、ツール628,528をシリコンで形成すること(換言すれば、シリコンツールを用いること)によれば、ガラスツールを用いる場合に比べて、所定温度Tに上昇するまでの時間を短縮することが可能である。ひいては、製造工程におけるタクトタイムの短縮を図ることも可能である。
【0140】
なお、シリコンは、鉄に比べても熱伝導率が高い。たとえば常温においては、鉄の熱伝導率は、84(W/(m・K))である。そのため、シリコンツール628,528を用いることによれば、スチールツールを用いる場合に比べても、同様の加熱時間短縮効果を得ることが可能である。
【0141】
以上のように、ツール528,628としては、赤外光(特に1100nm以上の波長域の赤外光)を透過し且つ所定値よりも高い熱伝導率(好ましくは150(W/(m・K))以上の熱伝導率)を有する材料を使用することが好ましい。そのような材料としてシリコン(Si)が好適である。なお、シリコン以外では、たとえば、GaAs(ガリウムヒ素)なども当該材料として好適である。
【0142】
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0143】
たとえば、上記第3実施形態においては、チップボンダのヘッド等に装着されるツールとして、セラミックツールではなくシリコンツールを用いる技術を例示したが、これに限定されない。具体的には、ウエハボンダ(接合装置1A等)のヘッド等に装着されるツールとしてシリコンツールを用いるようにしても良い。図22および図23は、このような変形例に係る接合装置1Dの一部を示す図である。
【0144】
図22は、接合装置1Aのヘッド22の先端部において、シリコンツール828(詳細には828a)が装着されている様子を示す図である。図23は、接合装置1Aのヘッド22の先端部において、シリコンツール828(詳細には828b)が装着されている様子を示す図である。シリコンツール828a,828bは、互いに異なるサイズの被接合物を保持するツール部材である。たとえば、シリコンツール828a(図22)は6インチのシリコンウエハ92aを保持するツール部材であり、シリコンツール828b(図23)は8インチのシリコンウエハ92bを保持するツール部材である。各シリコンツール828a,828bは、ウエハを位置決めするためのクランプピン(および搬送用ロボットによるハンドリング用のチャック溝)等を、それぞれの大きさに応じた位置に有している。
【0145】
このようなシリコンツール828は赤外光を透過する。そのため、照明光の進行経路確保のためにシリコンツール828に孔を設けることを要しない。したがって、孔の存在に起因する被接合物の変形を回避ないし抑制することができる。シリコンツール828を用いる技術は、薄い基板(シリコンウエハ等)を被接合物として用いる場合に特に有用である。
【0146】
また、孔を設けることを要しないため、比較的容易に強度を確保することも可能である。シリコンツール828を用いる技術は、接合時に大きな接合圧力が加わる場合に特に有用である。
【0147】
同様に、接合装置1Aのステージ12の先端部においてシリコンツールが装着されるようにしてもよい。
【0148】
また、上記第3実施形態においては、接合装置1Cにおいて、上記第1実施形態と同様の動作が実行される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、接合装置1C,1D等において、第2実施形態と同様の動作が実行されるようにしてもよい。
【0149】
また、上記各実施形態においては、装置1内において光源27c,27dが比較的上方に配置され、カメラ(撮像素子等)28M,28Nが比較的下方に配置される場合が例示されたが、これに限定されない。たとえば、逆に、装置内において光源が比較的下方に配置され、カメラ(撮像素子等)が比較的上方に配置されるようにしてもよい。より具体的には、第1実施形態におけるカメラと光源とが互いに逆の位置に設けられるようにしてもよい。
【0150】
また、上記各実施形態においては、両被接合物91,92を透過した赤外線を受光することによって得られる撮影画像に基づいて、両被接合物の位置ずれを計測する態様を例示したが、これに限定されない。具体的には、両被接合物91,92のうちの一方の被接合物のみを透過した赤外光を受光して得られる撮影画像を用いて、両被接合物の位置ずれが計測されるようにしてもよい。詳細には、アライメントマークMK(たとえば金属で形成されたマーク)部分で反射された赤外線を受光することによって得られる撮影画像に基づいて、両被接合物の位置ずれを計測するようにしてもよい。図24は、このような変形例に係る接合装置を示す図である。
【0151】
たとえば、図24に示すように、カメラ28P、28Qの同軸照射系により赤外光を両被接合物91,92に照射し、両被接合物91,92の一部(詳細にはアライメントマークMK)で反射された赤外光をカメラ28P、28Qの撮像素子28c,28dで受光する構成を採用すればよい。具体的には、当該構成において、光源27c,27dから出射され一方の被接合物92を透過した後に当該一方の被接合物92のアライメントマークMK2(MK2a,MK2b)と他方の被接合物91のアライメントマークMK1(MK1a,MK1b)とで反射された赤外光(反射赤外光)を、カメラ28P、28Q内の撮像素子28c,28dで受光することによって、撮影画像を得る。そして、当該撮影画像に基づいて、両被接合物91,92の位置ずれを計測する。
【0152】
このようにして、両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて両被接合物の位置ずれが計測されるようにしてもよい。換言すれば、両被接合物91,92のうちの少なくとも一方の被接合物を透過した赤外光を受光して得られる撮影画像を用いて、両被接合物の位置ずれが計測されるようにしてもよい。
【0153】
また、上記各実施形態においては、ヘッド側にZ方向およびθ方向に関する駆動機構が設けられ、且つ、ステージ側にX方向およびY方向に関する駆動機構が設けられる構成を例示したが、これに限定されない。両被接合物91,92の相対移動が実現されればよく、たとえば、X方向、Y方向、Z方向およびθ方向に関する駆動機構が全てヘッド側に設けられるようにしてもよい。
【0154】
また、上記各実施形態においては、2つの被接合物91,92が接合され2層に積層された接合物が生成される場合を例示したが、上記の動作を繰り返すことによって、多層に積層された接合物を生成することも可能である。詳細には、2つの被接合物91,92の接合物と他の被接合物とを積層する場合に上記の動作を実行するようにしてもよい。さらに、同様の積層動作を繰り返し実行するようにしてもよい。
【0155】
また、上記第1および第2実施形態においては、接合動作として陽極接合動作が実行される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、ウエハボンダ(接合装置1A等)において、加熱および加圧による接合動作が実行されるようにしてもよい。
【0156】
また、上記各実施形態においては、両被接合物91,92に対して赤外光のみを照射する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、赤外光と可視光との双方を含む光を両被接合物91,92に対して照射することによって、赤外光を両被接合物91,92に照射するようにしてもよい。そして、このような照射による撮影画像を用いて、両被接合物91,92の位置ずれを計測するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1,1A,1B,1C,1D 接合装置
12,52 ステージ
12h,22h ヒータ
22,62 ヘッド
27c,27d 光源
28 位置認識部
28c,28d 撮像素子
28M,28N カメラ
91,92 被接合物
125,225,525 冷却部
126,226,526 透光部
127,227 静電チャック部
527,627 セラミックヒータ
528,628,828a,828b シリコンツール
GBa,GBb 撮影画像
MK1a,MK1b,MK2a,MK2b 位置識別用パターンマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被接合物と第2の被接合物との両被接合物を接合する接合方法であって、
a)前記両被接合物が加熱された状態で、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを所定の方向において相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを位置合わせするステップと、
b)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との接触状態において、前記両被接合物を接合するステップと、
を備えることを特徴とする接合方法。
【請求項2】
請求項1に記載の接合方法において、
前記両被接合物の少なくとも一方は、赤外光を透過し、
前記ステップa)は、
a−1)前記両被接合物が加熱された状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、
a−2)前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物をアライメントするステップと、
を有することを特徴とする接合方法。
【請求項3】
請求項2に記載の接合方法において、
前記ステップa)は、
a−3)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させるステップと、
a−4)前記両被接合物が加熱され且つ互いに接触した状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、
a−5)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを非接触状態に遷移させるステップと、
a−6)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との非接触状態において、前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物を再びアライメントするステップと、
をさらに有することを特徴とする接合方法。
【請求項4】
請求項3に記載の接合方法において、
前記ステップa)において、前記ステップa−3)と前記ステップa−4)と前記ステップa−5)と前記ステップa−6)とが繰り返し実行されることを特徴とする接合方法。
【請求項5】
請求項2に記載の接合方法において、
前記ステップa)は、
a−3)前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させるステップと、
a−4)前記両被接合物が加熱され且つ互いに接触した状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測するステップと、
a−5)前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物を再びアライメントするステップと、
をさらに有することを特徴とする接合方法。
【請求項6】
請求項2に記載の接合方法において、
前記ステップa−1)における前記両被接合物の位置ずれの計測動作と、前記ステップa−2)における前記位置ずれの補正動作とが繰り返し実行されることを特徴とする接合方法。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の接合方法において、
前記両被接合物のうち少なくとも一方は、シリコン基板であることを特徴とする接合方法。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の接合方法において、
前記両被接合物の少なくとも一方は、シリコンで形成された交換可能なツール部材に保持されることを特徴とする接合方法。
【請求項9】
請求項2ないし請求項8のいずれかに記載の接合方法において、
照明光の進行経路において、前記両被接合物のうちの少なくとも前記第1の被接合物を加熱する加熱部と前記加熱部を保持する所定の部材との間に透光性支持部材が設けられていることを特徴とする接合方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の接合方法において、
前記ステップa)におけるアライメント動作は、前記ステップb)における接合動作時の温度と実質的に同じ温度で実行されることを特徴とする接合方法。
【請求項11】
第1の被接合物と第2の被接合物との両被接合物を接合する接合装置であって、
前記両被接合物を加熱した状態で、前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを所定の方向において相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを位置合わせするアライメント手段と、
前記第1の被接合物と前記第2の被接合物との接触状態において、前記両被接合物を接合する接合手段と、
を備えることを特徴とする接合装置。
【請求項12】
請求項11に記載の接合装置において、
前記両被接合物の少なくとも一方は、赤外光を透過し、
前記アライメント手段は、
前記両被接合物が加熱された状態において、前記両被接合物のアライメントマーク部分に赤外光を照射して得られる撮影画像を用いて前記両被接合物の位置ずれを計測する位置計測手段と、
前記両被接合物を相対的に移動して前記位置ずれを補正して、前記両被接合物をアライメントする第1の駆動手段と、
を有することを特徴とする接合装置。
【請求項13】
請求項12に記載の接合装置において、
前記アライメント手段は、
前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを前記所定の方向に垂直な方向に相対的に移動して前記第1の被接合物と前記第2の被接合物とを接触させる第2の駆動手段、
をさらに有し、
前記位置計測手段は、前記両被接合物の位置ずれの計測動作を前記両被接合物の接触状態においても実行し、
前記第1の駆動手段は、前記接触状態における前記両被接合物の位置ずれの補正動作をも実行することを特徴とする接合装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の接合装置において、
前記両被接合物のうち少なくとも一方は、シリコン基板であることを特徴とする接合装置。
【請求項15】
請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の接合装置において、
前記両被接合物の少なくとも一方は、シリコンで形成された交換可能なツール部材に保持されることを特徴とする接合装置。
【請求項16】
請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の接合装置において、
照明光の進行経路において、前記両被接合物のうちの少なくとも前記第1の被接合物を加熱する加熱部と前記加熱部を保持する所定の部材との間に透光性支持部材が設けられていることを特徴とする接合装置。
【請求項17】
請求項11ないし請求項16のいずれかに記載の接合装置において、
前記アライメント手段によるアライメント動作は、前記接合手段による接合動作時の温度と実質的に同じ温度で実行されることを特徴とする接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−138423(P2012−138423A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288599(P2010−288599)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(304019355)ボンドテック株式会社 (36)
【Fターム(参考)】