説明

接続器具

【課題】 2つの部材、例えば、2つの管の端部、壁とそれに固定するもの、2つの板状のものの面同士や端部同士等を簡易にかつ確実に接続でき、また、その接続の解除もできるようにする。
【解決手段】 第1及び第2の部材を接続するために、第1の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部を備える係止部材と、第2の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部とそれぞれ係合する第1及び第2の係合部を備える係合部材とを備える接続器具であって、第1の係止部と第1の係合部とが係合すると同時に、第2の係止部と第2の係合部とが係合することによって、第1及び第2の部材の接続が行える接続器具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材、例えば、2つの管の端部、壁とそれに固定するもの、2つの板状のものの面同士や端部同士等を簡易に接続でき、また、その接続の解除をすることのできる接続器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管と管や、壁と壁のように、同種類のもの同士を接続する装置は存在するが、管と管、管と壁、壁と壁、壁とそれに取り付けられる物同士のように、さまざまな部材同士やさまざまな形状の部材同士を接続する簡単な装置は存在していない。また、同種類のものであっても簡易に接続したり、また、その接続を解除したりできるようなものも存在していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、2つの部材、例えば、2つの管の端部同士、壁とそれに固定する物同士、2つの板状のものの面同士や端部同士等を簡易に接続でき、さらに、その接続の解除をすることのできる接続器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る接続器具は、第1及び第2の部材を接続するために、第1の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部を備える係止部材と、第2の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部とそれぞれ係合する第1及び第2の係合部を備える係合部材とを備える接続器具であって、第1の係止部と第1の係合部とが係合すると同時に、第2の係止部と第2の係合部とが係合することによって、第1及び第2の部材の接続を行うことができる。
【0005】
第1及び第2の係止部を突出部及び凹部とし、突出部が第1の係合部と係合すると、第2の係合部が凹部と係合するようにすることができる。第2の係止部及び係合部をそれぞれ凹部及び突出部にして、突出部が凹部と係合することによって、第2の係止部及び係合部の係合を行うようにしてもよい。第2の係止部及び係合部をそれぞれ突出及び凹部にして、突出部が凹部と係合することによって、第2の係止部及び係合部の係合を行うようにしてもよい。第1及び第2の係合部を略L字状に形成して、この略L字状に形成された第1及び第2の係合部を回動自在にすることができる。
【0006】
また、本発明に係る接続器具は、第1及び第2の部材を接続するために、第1の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部を備える係止部材と、第2の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部とそれぞれ係合する第1及び第2の係合部を備える係合部材とを備え、第1の係止部と第1の係合部とが係合すると同時に、第2の係止部と前記第2の係合部とが係合することによって、第1及び第2の部材を接続する、接続手段と、第1及び第2の部材が接続された状態において、第2の係合部を移動することによって、第2の係合部と第2の係止部との係合を解除する解除手段とを備える。
【0007】
また、係止部材と係合部材とを用いて第1の部材と第2の部材とを接続する方法も提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、どのような形状の部材同士であっても容易に接続することができ、また、その接続を強固に保つことができ、さらに、容易にその接続を解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1及び図2を参照しながら本発明に係る接続装置1について説明する。
【0010】
接続装置1は、図1に向かって左側に示す第1の部材に設けた係止部材と、右側に示す第2の部材に設けた係合部材とからなる接続器具を2つ備える。係止部材は、第1の係止部である突出部16と第2の係止部である凹部18とを備える。係合部材は、2つの略L字状に折れ曲げられた接続部材10を備えていて、その接続部材10は、第2の部材内に形成された凹部20内に配置されている。接続装置1の数やその接続装置を構成する接続器具の数は、接続のする物の大きさや必要な接続強度に応じて変えることができる。図3及び図4には、この接続装置1と同様の構造の接続装置30を12個用いて2本の管を接続する場合の実施例を示している。これについては後述する。
【0011】
各接続部材10は、棒状のものや板状のものによって形成することができ、長い係合部分11と短い係合部分12とが一体的に形成又は結合されている。長い係合部分11の端部には第2の係合部である係合部11aが設けられている。
【0012】
また、長い係合部分11と短い係合部分12との折れ曲がり部分は、支持部材14に、回転軸15を中心に回動するように取り付けられており、支持部材14は凹部20を形成する壁面に固定されている。
【0013】
第1の部材には突出部16によって空間21が形成されており、その空間21の内部には凹部18が形成されている。図1には2つの突起形状の突出部16を設けたように示すが、それらに代えて、1つの管状部材を第1の部材から突出させるようにしてもよい。その場合には、図1の2つの突出部16は1本の管状部材の管壁の断面を表すことになる。突出部16は、2つの部材を接続する際に、その先端部によって、接続部材10の短い係合部分12を押して、回転軸15を中心に、それを回転させるように機能する。その際には、その短い係合部分12と一体的に形成された長い係合部分11も回転軸15を中心に回転し、それによって、長い係合部分11の係合部11aが凹部18に入り込んでそれと係合する。
【0014】
図2には2つの第1及び第2の部材を接続した状態を示す。その図に示すように、突出部16の先端部は短い係合部分12を押し込んで、図2に向かって、その短い係合部分12を回転軸15を中心に少し右回りに回転させている。また、長い係合部分11が同様に回転軸15を中心に少し右回りに回転し、係合部11aが凹部18に入り込んでいる。
【0015】
図2に示すように、突出部16の長さは、第1及び第2の部材を接続すると、接続部材10の短い係合部分12を押して長い係合部分11を回転させることができる程度の大きさが必要であり、また、凹部18の大きさ及び位置は、そのときに係合部11aがその内部に入り込んでその凹部を形成する壁面と係合できるようでなければならない。
【0016】
第1及び第2の部材を接続する場合を説明すると、まずは、図1に示すように、複数の長い係合部分11を中央に寄せ集めて第1の部材に形成された空間21に挿入しやすいようにする。次に、突出部16を凹部20の壁面と長い係合部分11との間の空間に挿入すると、長い係合部分11が空間21に入り込むようになる。突出部16をさらに挿入すると、突出部16の先端が短い係合部分12に衝突してそれを押し込む。つまり、図2に向かって、突出部16の先端が短い係合部分12を押してそれを回転軸15を中心に右回りに回転させる。そうすると、同時に、短い係合部分12と一体的に形成又は結合された長い係合部分11が、同様に、回転軸15を中心に右回りに回転する。また、同時に、長い係合部分11の係合部11aが凹部18に入り込んで凹部18の壁面と係合する。図2はその接続状態を示す。ただし、図2には、突出部16の先端と短い係合部分12との間と、係合部11aと凹部18の壁面との間とには隙間を描いているが、それは、線が重複してそれらの関係が不明瞭になるのを防ぐためであり、実際には、少なくとも係合部11aと凹部18の壁面とは接していて両者が係合した状態になっている。
【0017】
図1及び図2の実施例では、第2の係合部及び第2の係止部をそれぞれ突出した係合部11a及び凹部18として形成したが、逆に、第2の係合部及び第2の係止部をそれぞれ凹部及び突出部となるように形成してもよい。
【0018】
図2には示していないが、2つの部材の接続面の間に柔軟なエラストマーやスポンジを介装させてもよい。その場合には、第1及び第2の部材を接続すると、その復元力によって2つの部材が離れる方向に押されるため、係合部11aと凹部18の壁面との係合をより強固にすることができる。
【0019】
図3及び図4は、2本の管(第1及び第2の部材)の端面31及び32を接続するために用いる接続装置30を示す。接続装置30は、端面に設けられた複数の一対の被係合器具30aから30lまでのものと、それに対応して端面32に設けられた複数の一対の係合器具とを備える。基本的な接続の機能は一対の接続器具からなる1つの係止部材とそれに対応する1つの係合部材との1つの組合せによって達成される。
【0020】
各被係合器具30a等は、図1及び図2に示す実施例の係止部材と同様に、第1の係止部の突出部33及び凹部34を備える。また、各係合器具も、図1及び図2に示す実施例の係合部材と同様に、長い係合部分36及び第1の係止部の短い係合部分37からなる接続部材35を備える。突出部33は管状の部材であり、2本の管の端面31及び32を接続する際には、突出部33の先端部によって短い係合部分37を押して長い係合部分36を少し右回りに回転させると同時に、長い係合部分36の第2の係合部を凹部34に挿入できるように構成されている。
【0021】
図3及び図4に示す実施例では、複数の接続装置を管の端面に均等な間隔で設けているので、2つの管の接続後には、それらに均等に力が分散されるようになり、単独の場合よりもより接続の強度を維持することができるようになる。また、接続部に接続装置等の器具が露出しないため、接続した管の取り扱いが容易である。
【0022】
次に、図5及び図6に基づいて、第2の係合部及び第の2係止部をそれぞれ2つずつ設けた接続装置50について説明する。
【0023】
図5及び図6に示す接続装置50の基本的な構成は、図1及び図2に示す接続装置1と同様に一対の接続器具を備える。各接続器具は、図5に向かって左側に示す第1の部材に設けた係止部材と右側に示す第2の部材に設けた係合部材とからなり、係止部材は、第1の係止部の突出部56と第2の凹部の凹部57及び58を備える。係合部材は、長い係合部分51と短い係合部分52とが一体的に形成又は結合されていて略L字状に折れ曲がった接続部材を備える。その接続部材は、第2の部材に形成された凹部53内に配置されている。例えば、図3及び図4の実施例のように、2本の管を接続する場合には、そのような凹部を一方の管の端部に形成すればよい。
【0024】
長い係合部分51と短い係合部分52との結合部分は、支持部材54に対し、回転軸55を中心に回動するように取り付けられており、支持部材54は凹部53を形成する壁面に固定されている。
【0025】
第1の部材の突出部56によって空間59が形成されている。その空間59の内部の奥には2つある第2の係止部のひとつの凹部58が形成されていて、さらに、突出部56の中ごろには2つめの第2の係止部の凹部57が形成されている。図1の場合と同様に、図5にも2つの突起形状の突出部56を設けたように示してあるが、それらに代えて、図3及び図4のように、1つの管状部材を部材から突出させるようにしてもよい。その場合には、図5の2つの突出部56は1本の管状部材の管壁の断面を表すことになる。突出部56は、2つの部材を接続する際に、その先端部によって、短い係合部分52を押して、回転軸55を中心に、短い係合部分52と長い係合部分51とを同時に回転させるように機能する。また、凹部57と凹部58とには、その際に、長い係合部分51の係合部51b及び51aのそれぞれが入り込んでそれらと係合する。
【0026】
図6には2つの部材を接続した状態を示す。それに示されているように、突出部56の先端部は短い係合部分52を押し込んで、図6に向かって、回転軸55を中心に少し右回りに回転させている。また、短い係合部分52と一体的に形成又は結合された長い係合部分51も、同様に回転軸55を中心に少し右回りに回転して、係合部51a及び51bのそれぞれが凹部58及び57に入り込んでいる。
【0027】
図6に示すように、突出部56の長さは、2つの部材を接続する際に、短い係合部分52を押して長い係合部分51を回転させることができる程度の大きさが必要であり、また、凹部58及び57の大きさ及び位置は、係合部51a及び51bのそれぞれがそれらの内部に入り込んでそれぞれの凹部を形成する壁面と係合できるようでなければならない。
【0028】
この実施例によって2つの部材を接続する場合を説明すると、まずは、図5に示すように、複数の長い係合部分51を中央に寄せ集めて第1の部材に形成された空間59に挿入しやすいようにする。次に、突出部56を凹部53の壁面と長い係合部分51との間の空間に挿入させて長い係合部分51を空間59に入り込ませる。突出部56をさらに挿入すると、突出部56の先端が短い係合部分52に衝突してそれを押し込む。その結果、図6に向かって、短い係合部分52及び長い係合部分51が、回転軸55を中心に右回りに回転して、長い係合部分51の係合部51a及び51bのそれぞれを凹部58及び57に入り込ませる。図6はその状態を示す。ただし、図6にも、図2と同様に、突出部56の先端と短い係合部分52との間と、係合部51a及び51bの各々と凹部58及び57の各々の壁面との間とには隙間を描がいているが、同様に、それは線が重複してそれらの関係が不明瞭になるのを防ぐためであり、実際には、少なくとも係合部51a及び51bのそれぞれは凹部58及び57の壁面と接していてそれぞれの組が係合した状態になっている。この実施例では、2つの第2の係合部と2つの第2の係止部とがそれぞれ係合するので、より強固に接続を維持することができる。
【0029】
図5及び図6にも示していないが、この実施例の場合でも、2つの部材の接続面の間に柔軟なエラストマーやスポンジを挿入してもよい。
【0030】
図7及び図8は、第1の部材70b及び第2の部材70aを接続する一方、必要に応じて、その接続を解除するための解除機構80を備える接続装置70を示す。その接続装置の接続のための構造は、基本的には、上述の図1から図6までの実施例と同様に一対の接続器具を備えており、各接続器具は、図7及び図8に向かって、左側に示す係止部材の被係合器具と右側に示す係合部材の係合器具とを備える。
【0031】
各係合部材の長い係合部分71と短い係合部分72とは一体的に形成又は結合されていて略L字状に折れ曲がった接続部材を備える。一対の接続部材が、部材70aに形成された凹部内に配置されている。
【0032】
各接続部材は、棒状のものや板状のものによって形成することができ、長い係合部分71と短い係合部分72とが一体的に形成又は結合されている。長い係合部分71の端部に第2の係合部71aが設けられている。
【0033】
また、長い係合部分71と短い係合部分72との結合部分は、支持部材74に、回転軸75を中心に回動するように接続されており、支持部材74は部材70aの凹部を形成する壁面に固定されている。
【0034】
部材70bには第1の係止部の突出部76が設けられており、その突出部76によって空間が形成されていて、その空間の内部には第2の係止部の凹部78が形成されている。図7には2つの突起形状の突出部76を設けたように示してあるが、図1の実施例と同様に、それらに代えて、1つの管状部材をその部材から突出させるようにしてもよい。その場合には、図7の2つの突出部76は1本の管状部材の管壁の断面を表すことになる。突出部76は、2つの部材70a及び70bを接続する際に、その先端部によって、短い係合部分72を押して、回転軸75を中心に、長い係合部分71を回転させるように機能する。また、凹部78には、その際に、長い係合部分71の係合部71aが入り込んで、凹部78の壁面はそれと係合するように機能する。
【0035】
図8には2つの部材70a及び70bを接続した状態を示す。それに示されているように、突出部76の先端部は短い係合部分72を押し込んで、短い係合部分72と長い係合部分71とをともに、回転軸75を中心に少し右回りに回転させて、係合部71aを凹部78に入り込ませている。
【0036】
図8に示すように、突出部76の長さは、2つの部材70a及び70bを接続する際に、短い係合部分72を押して長い係合部分71を回転させることができる程度の大きさが必要であり、また、凹部78の大きさ及び位置は、係合部71aがその内部に入り込んでその凹部を形成する壁面と係合できるようでなければならない。
【0037】
2つの部材を接続する場合を説明すると、まずは、図8に示すように、複数の長い係合部分71を中央に寄せ集めて部材70bに形成された空間に挿入しやすいようにする。次に、突出部76を部材70aの凹部の壁面と長い係合部分71との間の空間に挿入して、長い係合部分71を部材70bの空間に入り込ませる。突出部76をさらに挿入すると、突出部76の先端が短い係合部72に衝突してそれを押し込む。つまり、図8に向かって、突出部76の先端が短い係合部分72を押してそれと長い係合部分71とをともに回転軸75を中心に右回りに回転させる。それにより、長い係合部分71の係合部71aを部材70bの凹部78に入り込ませてその凹部の壁面と係合させる。図8はその状態を示す。ただし、図8にも、図1の実施例の場合と同様に、突出部76の先端と短い係合部分72との間と、係合部71aと部材70bの凹部78の壁面との間とには隙間を描いているが、それは、線が重複してそれらの関係が不明瞭になるのを防ぐためであり、実際には、少なくとも第2の係合部71aと凹部78の壁面とは接していて両者が係合した状態になっている。
【0038】
また、2つの部材70a及び70bのそれぞれの接続面の間に、柔軟なエラストマーやスポンジ79を挿入させてもよい。その場合には、2つの部材70a及び70bを接続した際に、その復元力によって2つの部材70a及び70bが離れる方向に力が加わるため、係合部71aと凹部78の壁面との係合がより強固になる。
【0039】
次に、図7及び図8に基づいて、接続を解除するための機構80について説明する。
【0040】
機構80は、接続を解除するために、各々の短い係合部分72を押すための棒部材82を備える。その棒部材82は、支持部材74が固定された台座81に、コイルバネ83を介して接続されている。コイルバネ83は、通常は、棒部材82を部材70aの凹部から引っ込める方向に付勢する。また、棒部材82は、接続器具が設けられている側とは反対側の位置に傾斜面を持つ突出部84を有する。また、その突出部84の傾斜面に対向してその傾斜面と相補的な傾斜面を持つ部材85が配置されている。その部材85は、コイルバネ85bを介して部材70aの外側面に突出するボタン86に接続されている。そのコイルバネ85bは、通常は、部材85の傾斜面が突出部84の傾斜面から離れるように、図8に矢印で示す方向に部材85を付勢する。
【0041】
図7に示すように、コイルバネ85bの力に抗して、ボタン86を矢印方向に押すと、部材85が矢印の方向に移動して、部材85の斜面が突出部84の傾斜面と接する。さらに、ボタン86を押すと、部材85の前進する力が突出部84をコイルバネ83に抗して移動させる力に変わる。つまり、図7に向かって、部材85が上方向に進むと、突出部84の傾斜面が部材85の傾斜面上を滑りながら、棒部材82とともに左側に動移動する。その結果、棒部材82の先端部が、短い係合部分72を、突出部76の先端が接している側とは反対側から押すことになる。そうすると、短い係合部分72が図7に向かって左回り方向に少し回転し、それとともに長い係合部分71も左側に少し回転するので、長い係合部分71の係合部71aが凹部78から抜けるようになる。なお、ボタンを押す際に、部材70bを部材70aに向かって押しつけた状態にすると、スポンジ79が圧縮されて長い係合部分71がさらに部材70bの空間内に入り込むので、係合部71aが凹部78から抜け出やすくなる。
【0042】
次に、図9及び図10に基づいて、2つの接続をより容易に解除できる機構100を備える接続装置90について説明する。
【0043】
接続装置90は、2つの部材90a及び90bを接続するためのものであり、また、その接続を解除するための解除機構100を備える。その接続装置90の接続のための構造は、基本的には、上述の図1から図8までの実施例と同様に一対の接続器具を備える。各接続器具は、図9及び図10に向かって、左側に示す係止部材と右側に示す係合部材とからなる。
【0044】
係止部材及び係合部材は、それぞれ第2の部材90b及び第1の部材の90aに設けられている。各接続器具は、長い係合部分91と短い係合部分92とが一体的に形成又は結合されていて略L字状に折れ曲がった係合部材を備える。その係合部材は、部材90aに形成された凹部内に配置されている。この実施例でも、例えば、図3及び図4の実施例のように、2本の管を接続する場合には、そのような凹部は、一方の管の端部に形成すればよい。
【0045】
各係合部材は、棒状のものや板状のものによって形成することができ、長い係合部分91と第1の係合部である短い係合部分92とが一体的に形成又は結合されている。長い係合部分91の端部には第2の係合部である係合部分91aが設けられている。
【0046】
また、長い係合部分91と短い係合部分92との結合部分は、支持部材94に、回転軸95を中心に回動するように接続されており、支持部材94は部材90aの凹部を形成する壁面に固定されている。
【0047】
部材90bには突出部96が設けられており、その突出部96によって空間が形成されていて、その空間の内部には凹部98が形成されている。図9にも図1の実施例と同様に、2つの突起形状の突出部96を設けたように示してあるが、図1の実施例と同様に、それらに代えて、1つの管状部材をその部材から突出させるようにしてもよい。その場合には、図9の2つの突出部96は1本の管状部材の管壁の断面を表すことになる。突出部96は、2つの部材90a及び90bを接続する際に、その先端部によって、短い係合部分92を押して、回転軸95を中心に、短い係合部分92と長い係合部分91とをともに回転させるように機能する。また、凹部98には、その際に、長い係合部分91の係合部91aが入り込んで、凹部98の壁面はそれと係合するように機能する。
【0048】
図10には2つの部材90a及び90bを接続した状態を示す。それに示されているように、突出部96の先端部は第1の係合部の短い係合部分92を押し込んで、図10に向かって、短い係合部分92及び長い係合部分91をともに、回転軸95を中心に少し右回りに回転させて係合部91aを凹部98に入り込ませている。
【0049】
図10に示すように、突出部96の長さは、2つの部材90a及び90bを接続する際に、短い係合部分92を押して長い係合部分91を回転させることができる程度の大きさが必要であり、また、凹部98の大きさ及び位置は、係合部91aがその内部に入り込んでその凹部を形成する壁面と係合できるようでなければならない。
【0050】
2つの部材90a及び90bを接続する場合を説明すると、まずは、図10に示すように、複数の長い係合部分91を中央に寄せ集めて部材90bに形成された空間に挿入しやすいようにする。次に、突出部96を部材90aの凹部の壁面と長い係合部分91との間の空間に挿入させて、長い係合部分91を部材90bの空間に入り込ませる。突出部96をさらに挿入すると、突出部96の先端が短い係合部分92に衝突してそれを押し込み、短い係合部分92及び長い係合部分91をともに、回転軸95を中心に、図10に向かって右回りに回転させる。そうすると、長い係合部分91の係合部91aは部材90bの凹部98に入り込んでその凹部の壁面と係合する。図10はその状態を示す。ただし、図10にも、図1の実施例の場合と同様に、突出部96の先端と短い係合部分92との間と、係合部91aと部材90bの凹部98の壁面との間とには隙間が描かれているが、それは、線が重複してそれらの関係が不明瞭になるのを防ぐためであり、実際には、少なくとも係合部91aと凹部98の壁面とは接していて両者が係合した状態になっている。
【0051】
また、図示していないが、2つの部材90a及び90bのそれぞれの接続面の間に、柔軟なエラストマーやスポンジ79を挿入してもよい。その場合には、2つの部材90a及び90bを接続した際に、その復元力によってそれらの2つの部材の間の隙間が広がる方向にそれらの部材が押されるため、係合部91aと凹部98の壁面との係合がより強固になる。
【0052】
次に、図9及び図10に基づいて、接続を解除するための機構100について説明する。
【0053】
機構100は、解除用駆動部分101を備える。この解除用駆動部分101は、支持部材94の近くに配置されていて、コイルバネ120を介して突出部材105に固定されている。突出部材105は部材90aに形成された溝103に配置されている。図9に矢印で示すように、突出部材105を部材90aの凹部に配置した接続器具90から離れる方向に移動すると、そのコイルバネ120はその突出部材105を引き戻すように付勢する。また、解除用駆動部分101の端部には、係合用突出部が形成されていて、後述するように、その係合用突出部は、短い係合部分92とは反対側に突出する突出部分92aと係合して、突出部分92aを移動させるように機能する。
【0054】
突出部分92aは、回転軸95を境にして、短い係合部分92とは反対側に突出していて、解除用駆動部分101の係合用突出部と係合する。この係合は、解除用駆動部分101が図9の矢印に示すように引っ込むように移動する場合に達成される。
【0055】
突出部材105の端部には、傾斜面が形成されている。また、その突出部材105の傾斜面に対向してその傾斜面と相補の傾斜面を持つ部材107が配置されている。その部材107は、コイルバネ109を介して部材90aの外側面に突出するボタン110に接続されている。そのコイルバネ109は、通常は、部材107の傾斜面が突出部105の傾斜面から離れるように、図10に矢印で示す方向に部材107を付勢する。
【0056】
図9に示すように、コイルバネ109の力に抗して、ボタン110を矢印方向に押すと、部材107が矢印の方向に移動して、部材107の斜面が突出部105の傾斜面を押し下げる。それにより、突出部105の傾斜面が部材107の傾斜面上を滑りながら右側に移動し、その結果、解除用駆動部分101も、コイルバネの力に抗して引っ張られて右側に移動する。その際、解除用駆動部分101の係合用突出部が突出部分92aと係合して、それを、右側の方向に引っ張る。それによって、長い係合部分91が回転してその係合部91aが凹部98から外れて、部材90bと部材90aとを分離できるようになる。
【0057】
次に、図11及び図12に、部材90a及び90b自体を部品として形成した場合を示す。図9及び図10の実施例と同一の符号を付した部材は、それらと同一の機能を達成するものである。
【0058】
図13、図14及び図15は、接続及び解除機構を備える円柱状の部材200と、突出部221を備える円柱状の部材220からなる他の実施例に係る接続器具を示す。
【0059】
部材200に設けられた接続及び解除機構は、図13に示されているように、その図の上下の位置に、対称に、2つの同じ構造の接続及び解除機構が配置されている。各接続及び解除機構は、円柱状の部材200の中心に形成された空間に突出して部材220の突出部221のフランジ部223と係合する係止部材207を備える。その係止部材207には図示せぬスプリングが設けられていて、通常は、係止部材207はそのスプリングによって中心の空間に突出するように付勢されている。また、円柱状の部材200の外側面には、露出する押部201が設けられている。それは円柱状の部材200の中心方向に向かって延びる押圧部203を備えている。それには図示せぬスプリングが設けられていて、通常、押部201を外側に露出させる方向に付勢する。押圧部203を中心の空間に向けて移動させると、それに伴って、係止部材207が移動する。その移動のために、伝達部材205が設けられている。これらの組合せによって、押部201を押すと、押圧部203が中心に向かって移動しながら伝達部材205を部材200の端面方向に移動させ、それにより、係止部材207が空間から引っ込むようになる。
【0060】
部材200と部材220とを接続させる場合には、部材200の中心部の空間に部材220の突出部221を挿入して、図15に示すように、突出部221のフランジ部223が係止部材207の突出した先端部と係合することによって行う。これにより、部材200と部材220とを接続することができる。
【0061】
また、図14に示すように、押部201を部材200の中心に向かって押すと、押圧部203が中心に向かって移動するので伝達部材205は部材200の端面方向に移動する。それに伴い、係止部材207が部材200の空間から引っ込む。その結果、突出部221のフランジ部223と係止部材207の突出した先端部との係合を解除できるようになる。
【0062】
上記の実施例は便宜的なものであり、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明を逸脱することなく、さまざまな変形や応用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】 図1は、本発明の一実施例にかかる接続器具を備える接続装置の断面図である。
【図2】 図2は、図1に係る接続装置を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【図3】 図3は、図1の実施例に係る接続装置の係止部材が設けられた側の正面図である。
【図4】 図4は、図3の接続装置の係止部材を用いて2つの管を接続する場合の例を説明するための側面図である。
【図5】 図5は、本発明の他の実施例に係る接続装置の断面図である。
【図6】 図6は、図5に係る接続装置を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【図7】 図7は、本発明の接続解除機構を備える実施例に係る接続装置の断面図である。
【図8】 図8は、図7に係る接続装置を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【図9】 図9は、本発明の接続解除機構を備える他の実施例に係る接続装置の断面図である。
【図10】 図10は、図9に係る接続器具を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【図11】 図11は、本発明の接続解除機構を備えるさらに他の実施例に係る接続装置の断面図である。
【図12】 図12は、図11に係る接続装置を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【図13】 図13は、本発明の接続解除機構を備える他の実施例に係る接続装置の正面図である。
【図14】 図14は、図13に係る接続装置を用いて2つの部材を接続する前の状態を示す断面図である。
【図15】 図15は、図13に係る接続装置を用いて2つの部材を接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 接続装置
11 長い係合部分
12 短い係合部分
11a 係合部
18 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の部材を接続するために、前記第1の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部を備える係止部材と、前記第2の部材に設けられていて、前記第1及び第2の係止部とそれぞれ係合する第1及び第2の係合部を備える係合部材とを備える接続器具であって、
前記第1の係止部と前記第1の係合部とが係合すると同時に、前記第2の係止部と前記第2の係合部とが係合することによって、前記第1及び第2の部材の接続が行える、接続器具。
【請求項2】
請求項1の接続器具において、前記第1及び第2の係止部が突出部及び凹部であり、前記突出部が前記第1の係合部と係合すると、前記第2の係合部が前記凹部と係合する、接続器具。
【請求項3】
請求項1の接続器具において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ凹部及び突出部であり、該突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続器具。
【請求項4】
請求項1の接続器具において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ突出及び凹部であり、前記突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続器具。
【請求項5】
請求項1の接続器具において、前記第1及び第2の係合部が、略L字状に形成されており、該略L字状に形成された第1及び第2の係合部が回動自在である、接続器具。
【請求項6】
第1及び第2の部材を接続する方法であって、
前記第1及び第2の部材を付き合わせる段階と、
前記第1の部材に設けた第1の係止部によって、前記第2の部材に設けた略L字状部材の一方の端部に設けた第2の係合部を押す段階と、
前記第2の部材に設けた前記略L字状部材の一方の端部の前期第2の係合部を押す段階を実行するのと同時に、前記第2の部材に設けた前記略L字状部材の他方の端部に設けた第2の係合部を、前記第1の部材に形成した第2の係止部に係合させる段階とを実行することによって、前記第1及び第2の部材を接続する方法。
【請求項7】
請求項6の接続方法において、前記第1及び第2の係止部が突出部及び凹部であり、前記突出部が前記第1の係合部と係合すると、前記第2の係合部が前記凹部と係合する、接続方法。
【請求項8】
請求項6の接続方法において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ凹部及び突出部であり、該突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続方法。
【請求項9】
請求項6の接続方法において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ突出及び凹部であり、前詑突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続方法。
【請求項10】
第1及び第2の部材を接続するために、前記第1の部材に設けられていて、第1及び第2の係止部を備える係止部材と、前記第2の部材に設けられていて、前記第1及び第2の係止部とそれぞれ係合する第1及び第2の係合部を備える係合部材とを備え、前記第1の係止部と前記第1の係合部とが係合すると同時に、前記第2の係止部と前記第2の係合部とが係合することによって、前記第1及び第2の部材を接続する、接続手段と、
前記第1及び第2の部材が接続された状態において、前記第2の係合部を移動することによって、前記第2の係合部と前記第2の係止部との係合を解除する解除手段とを備える接続器具。
【請求項11】
請求項10の接続器具において、前記解除手段が、前記第1係合部を移動することによって前記第2係合部を移動させ、それによって、前記第2の係合部と前記第2の係止部との係合を解除する、接続器具。
【請求項12】
請求項10の接続器具において、さらに、前記第2の部材の外部から前記解除手段の起動を行う起動手段を備える、接続器具。
【請求項13】
請求項10の接続器具において、前記第1及び第2の係止部が突出部及び凹部であり、突出部が前記第1の係合部と係合すると、前記第2の係合部が前記凹部と係合する、接続器具。
【請求項14】
請求項10の接続器具において、前記第1及び第2の係合部が、略L字状に形成されており、該略L字状に形成された前記第1及び第2の係合部が回動自在である、接続器具。
【請求項15】
請求項14の接続器具において、前記解除手段が、前記略L字状に形成された前記第1の係合部を押すことによって、前記第2の係合部と前記第2の係止部との係合を解除する、接続器具。
【請求項16】
請求項10の接続器具において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ凹部及び突出部であり、該突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続器具。
【請求項17】
請求項10の接続器具において、前記第2の係止部及び係合部がそれぞれ突出及び凹部であり、前記突出部が前記凹部と係合することによって、前記第2の係止部及び係合部の係合が行われる、接続器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−308070(P2006−308070A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161935(P2005−161935)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(505204789)株式会社Hello’t (2)
【Fターム(参考)】