説明

推進力関連動作パラメータの推定方法

【課題】道路区分に対する推進力関連動作パラメータの改良された推定を可能にする方法を提供すること。
【解決手段】道路区分に対する自動車(1)の推進力関連動作パラメータを推定する方法であって、該方法は、該道路区分に提供された情報に基づいて、少なくとも該道路区分に対する該自動車(1)の第1の動作パラメータを推定するステップと、該第1の動作パラメータに基づいて、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップであって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、ステップとを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、道路区分のための自動車の推進力関連動作パラメータの推定方法に関し、自動車ナビゲーションシステムにおけるルート計算の方法に関する。本発明は、ポータブルナビゲーションシステム、あるいはダッシュボードマウント型ナビゲーションシステムのようなナビゲーションシステムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ナビゲーションシステムにおける出発点から目的地へのルートの決定は、しばしば、走行距離あるいは走行時間のいずれかを最小にする。しかし、エネルギのコストの上昇と環境配慮により、エネルギ効率のよいルートの使用がより望ましくなってくる。そのようなルートの計算のために、エネルギ消費量が、ルートの道路区分に対して予測される必要がある。従来のナビゲーションシステムは、所与の道路区分に対するエネルギ消費量を予測できないか、あるいは、むしろ、不正確な予測を行うかのいずれかである。
【0003】
所与のルートに対する燃料消費量を予測することの問題は、燃料消費量が自動車特有であるという事実にある。自動車の平均燃料消費量は、異なるメーカおよびモデルの間で、大きく変化する。同一のモデルに対しても、燃料消費量は、異なるタイプのエンジン、異なるタイヤ、異なる自動車アクセサリ等によって変化する。燃料消費量のさらなる変化は、ドライバの走行スタイル、および、自動車が走行している道路タイプのような環境条件からもたらされる。
【0004】
結果として、現時点では、自動車ナビゲーションシステム内で燃料消費量の予測をすることは、実際的ではない。自動車の複雑なモデルが存在するが、それらは多くの固定の、自動車特有のパラメータを使用する。これらのパラメータは、すべてのタイプの自動車に利用可能ではないかもしれなく、自動車ナビゲーションシステムのプロバイダに利用可能ではないかもしれない。これらの複雑性および増大するパラメータ空間が原因で、そのようなモデルは、ポータブルあるいはダッシュボードマウント型ナビゲーションシステムでの使用には高額である。さらに、ナビゲーションシステムが他の自動車で使用される場合、システムによって行われる予測は、もはや有効ではないであろう。結論として、十分な精度を有するエネルギ効率のよいルートの決定は、従来の自動車ナビゲーションシステムでは、可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、推進力関連動作パラメータの改良された推定を可能にする方法に対するニーズが存在し、加えて、そのような推定を実行できる自動車ナビゲーションシステムに対するニーズが存在する。推進力関連動作パラメータには、道路区分に対する自動車の燃料あるいはエネルギ消費量、あるいはCO2排出量のようなものがある。そのような推定が、多くの一定の自動車特有パラメータを必要とせずに、また、増大する処理時間およびパワーを必要とせずに実行され得ることがさらに望まれる。推定は、車両あるいは車両のドライバが変わる場合のような、状況の変化を考慮するようにさらにフレキシブルであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このニーズは、独立請求項の特徴部によって満たされる。従属請求項には、本発明の好ましい実施形態が記述される。
【0007】
本発明の第1の局面によると、道路区分に対する自動車の推進力関連動作パラメータを推定する方法が提供される。該方法は、少なくとも該道路区分に対する該自動車の第1の動作パラメータを、該道路区分に対して提供された情報に基づいて推定するステップと、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを、該第1の動作パラメータに基づいて推定するステップとを含み、該推定は、少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する。該少なくとも1つの自動車特有パラメータは、該自動車が動作中に、少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、該少なくとも2つの自動車動作パラメータ間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを、該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび該関係に対する該走行データから決定することとによって決定される。
【0008】
少なくとも1つの自動車特有パラメータは、従って、自動車の特性プロパティであり、従って、自動車特有パラメータの考慮は、道路区分に対する推進力関連動作パラメータの正確な推定を結果としてもたらす。自動車特有パラメータが自動車動作中に取得されたデータに基づいて決定されるので、自動車特有パラメータに対するアプリオリな情報は必要とはされない。従って、推進力関連動作パラメータの推定は、非常にフレキシブルであり、該方法を実装しているシステムは、該推進力関連動作パラメータの正確な予測を行うことが可能であり得ながら、異なる自動車に採用され得る。所定の関係は、限られた数の自動車パラメータを含むのみであり得、該パラメータは走行中に拡大パラメータセットを必要とする複雑なモデルは必要とされない。
【0009】
推進力関連動作パラメータは、例えば、燃料消費量、エネルギ消費量、および二酸化炭素(CO)排出量のうちの少なくとも1つであり得る。
【0010】
1つの実施形態によると、道路区分に対する第1の動作パラメータは、道路区分について可変である関数値を有する時間あるいは距離の関数として推定される。第1の動作パラメータの平均値を考慮するのみでなく、推進力関連動作パラメータの推定の精度が、大きく改善され得る。1つの例として、自動車の多くの加速フェーズおよび減速フェーズが要求される道路区分は、自動車が一定の速さで走行し得る同じ長さの道路区分に比べて、大きな燃料消費量に導く。
【0011】
第1の動作パラメータは、道路区分に対して推定された自動車の速度、および道路区分に対して推定された自動車の加速度、あるいは、自動車の動き/状態を記述する任意の他のパラメータのうちの少なくとも1つであり得る。加速は、負であり得、従って減速を含み得ることを明確にするべきである。
【0012】
道路区分に対して提供された情報は、道路区分タイプ、道路区分クラス、道路区分の最大許容速度、道路区分のタイプに対して決定された平均速度、道路区分に対する目標速度、道路区分に対する形式パラメータ、道路区分に対する傾斜、および道路区分に対する現在の交通情報のうちの少なくとも1つを含み得る。道路区分に対するこれらのタイプの情報のうちの1つあるいは組合せを使用することは、自動車の第1の動作パラメータのより正確な推定が達成され得るという利点を有する。
【0013】
第1の動作パラメータの推定は、自動車のドライバに対して決定された走行挙動にさらに基づき得る。異なる走行挙動を有するドライバに対しても、第1の動作パラメータおよび従って推進力関連動作パラメータの正確な推定が可能にされ得る。
【0014】
所定の自動車動作パラメータ間の所定の関係は、複数の自動車サブシステムモデルのそれぞれに対して提供され得る。少なくとも1つの自動車特有パラメータがそれぞれのサブシステムモデルに対して、該関係に基づいて決定され得、該決定された自動車特有パラメータが、推進力関連動作パラメータを推定するために考慮される。サブシステムへの分割は、走行データが獲得される自動車動作パラメータ間の単純化された関係の使用を可能にし得、推進力関連動作パラメータの推定の精度をさらに強化する。従って、より少ない処理パワーを必要とする、より効率的な計算をもたらし得、強化された推定を送達する。
【0015】
1つの例として、自動車サブシステムモデルは、車輪のモータへの結合のモデル、アップシフト/ダウンシフトの間のスリップモデル、自動車のモータからの要求されたトルクのモデル、およびアイドリングモデルのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0016】
少なくとも2つの自動車動作パラメータは、そのために走行データが獲得され、速度、加速度、ブレーキ圧力、モータトルク、モータ回転スピード、係合しているギア、燃料消費量、燃料タンクの充填レベル、および走行状態を含む群から選択され得る。これらの動作パラメータのうちの2つ以上に対する走行データを獲得することによって、該少なくとも1つの自動車特有パラメータが、自動車特有のアプリオリな知識の必要なく、正確に決定され得る。
【0017】
1つの例として、該少なくとも2つの自動車動作パラメータのうちの少なくとも1つに対する走行データが、動作パラメータに対するセンサ情報が提供される自動車の内部ネットワークから取得され得る。それは、例えば、自動車のコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network;CAN)から取得され得る。
【0018】
前記少なくとも1つの自動車特有パラメータは、少なくとも1つの自動車特有プロパティに比例し得、該少なくとも1つの自動車特有プロパティは、トランスミッション比、ローリング抗力係数(C)、空気力学的抗力係数(C)、対加速抵抗係数(C)、ブレーキ抵抗係数、ブレーキ減速摩擦、クラッチ動作スピード係数、アイドリング燃料消費量、アイドリングモータ回転スピード、および自動車モータ効率を含む群から選択されている。これらの自動車特有パラメータのうちの1つあるいは組合せによって、推進力関連動作パラメータの正確な推定が達成され得る。さらに、これらの自動車特有パラメータは、自動車動作中に獲得された走行データから「オンライン」で決定され得る。
【0019】
前記方法は、前記少なくとも2つの自動車動作パラメータに対して獲得された走行データの異なる走行フェーズを識別することをさらに含み、それぞれの走行フェーズに対して、少なくとも1つの自動車特有パラメータが決定され得る。それぞれの識別された走行フェーズは、例えば、自動車特有パラメータのセットに関連し得、該パラメータはそれぞれの走行データから決定される。それぞれのセットは、1つ以上の所定の自動車特有パラメータを含み得、同一のパラメータが異なるセットで発生し得、該パラメータは、概してそれぞれの走行フェーズに対する特性である。識別された走行フェーズに対して決定された自動車特有パラメータは、推進力関連動作パラメータを推定する場合に考慮され得る。これらは、これらが決定された走行フェーズには無関係に、推進力関連動作パラメータの推定に使用され得る。その場合、走行フェーズ間の区別は、自動車特有パラメータを推定する場合のみに起こり得るが、推進力関連動作パラメータを推定する場合には起こらない場合がある。
【0020】
他の実施形態において、いくつかの自動車特有パラメータのみが使用され得る。あるいは、これらは、前記第1の動作パラメータに対して識別された走行フェーズに従って使用され得る。1つの例として、推進力関連動作パラメータの推定は、道路区分に対する前記第1の動作パラメータの関数のコースに対する異なる走行フェーズを識別することを含み得る。推進力関連動作パラメータの推定に考慮された、該少なくとも1つの自動車特有パラメータは、そして、それぞれの走行フェーズに従って選択され得る。推進力関連動作パラメータは、例えば、識別された走行フェーズに対して別々に推定され得る。それぞれの走行フェーズに対して、適切な関係および1つ以上の対応する自動車特有パラメータが従って使用され得、推進力関連動作パラメータの決定の制度を改善し得る。同一の自動車特有パラメータが異なる走行フェーズに対して考えられ得ることは、クリアであるべきである。
【0021】
1つの例として、識別され得る走行フェーズは、アイドリングフェーズ、加速フェーズ、定速走行フェーズ、平坦走行フェーズ、減速走行フェーズ、およびブレーキ適用走行フェーズを含み得る。1つの道路区分に対する走行データにおいて、ただ1つの走行フェーズあるいは複数の走行フェーズが識別され得ることを明確にしておくべきである。異なる自動車特有パラメータが異なる走行フェーズに対して確定的であるので、推進力関連動作パラメータが、推定プロセス中の異なるフェーズを識別することによって、より正確に推定され得る。
【0022】
1つの例として、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、トランスミッション比を含み得、トランスミッション比は自動車の速度に対する走行データ、およびそれぞれの利用可能なギアに対する所定の走行距離に対する自動車のモータの回転スピードを獲得することによって決定されている。トランスミッション比は、そして、それぞれのギアに対する獲得された走行データから、所定の関係および統計的方法を用いて計算され得る。
【0023】
他の例として、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、ローリングおよび抗力パラメータおよび空気力学的抗力パラメータを含み得、両方とも自動車の速度に対する走行データを獲得することによって決定されており、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、自動車の加速度が所定の閾値より下であるとき、所定の走行距離に対して自動車のモータによって生成されたトルクを含み得る。ローリングおよび抗力パラメータおよび空気力学的抗力パラメータは、獲得された走行データから、所定の関係および統計的方法を用いて計算され得る。
【0024】
また他の例では、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、加速(C)パラメータに対する抵抗をさらに含み得る。自動車の加速に対する走行データが、さらに獲得されあるいは獲得された速度から決定され得る。加速パラメータへの抵抗は、そして獲得された走行データから、所定の関係、決定されたローリングおよび空気力学的抗力パラメータおよび統計的方法を用いて決定され得る。なおもさらに、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、ブレーキ抵抗パラメータを含み得る。走行データは、そして、自動車のブレーキのブレーキ圧力に対して獲得され得る。ブレーキ抵抗パラメータは、そして、獲得された走行データから、所定の関係、決定されたローリングおよび空気力学的抗力パラメータ、加速パラメータに対して獲得された抵抗および統計的方法を用いて決定され得る。
【0025】
また他の例では、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、自動車のモータ効率に比例する効率パラメータを含み得、効率パラメータは、自動車のモータによって生成されたトルク、自動車のモータの回転スピード、および所定の走行距離に対する自動車の燃料消費量に対する走行データを獲得することによって決定されている。効率パラメータは、獲得された走行データから所定の関係および統計的方法を用いて計算され得る。モータは、内燃エンジン、電気エンジンあるいは、自動車を推進するあるいは自動車を推進するためのエネルギを生成する、任意の他のタイプのエンジン、あるいは、それらの組合せであり得ることを明確にしておくべきである。
【0026】
少なくとも1つの自動車特有パラメータは、例えば、平均最小二乗法のような、統計的パラメータ推定手順あるいはパラメータ最適化手順を用いて決定され得る。そのような方法は、多数の獲得された走行データを、比較的少ない計算労力で処理することが可能であり、たとえ走行データが強く分散していても、自動車特有パラメータの正確な決定をさらに可能にし得る。
【0027】
例のように、推進力関連動作パラメータの推定は、第1の動作パラメータ、少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの第1のパラメータ、および対応する関係に基づいて、道路区分に対する自動車のモータの回転スピードの推定を含み得る。自動車のモータによって生成されるべきトルクは、第1の動作パラメータ、少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第2のパラメータおよび対応する関係に基づいて、道路区分に対して推定され得る。推進力関連動作パラメータは、そして、推定モータ回転スピード、推定モータトルク、少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第3のパラメータおよび対応する関係から、道路区分に対して推定され得る。推進力関連動作パラメータの単純化されなおかつ正確な推定がこのように可能にされ得る。
【0028】
他の実施形態において、前記第1の動作パラメータは、自動車の速度であり、推進力関連動作パラメータの推定は、道路区分に対して推定された速度、少なくとも1つの自動車特有パラメータおよび対応する関係に基づいて、道路区分に対する自動車の走行抵抗の合計を推定するステップを含み、推定速度、推定走行抵抗、少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第2のパラメータ、および対応する関係から、道路区分に対する推進力関連動作パラメータを推定するステップを含む。
【0029】
方法は、道路区分、あるいは道路区分のクラスあるいはタイプに対する推定推進力関連動作パラメータに対応するコスト値の割り当てをさらに含み得る。コスト値は、さらなるルート計算のために提供され得る。複数の道路区分を含むルートが計算され得、例えば、対応する割り当てコスト値を最小にする。結果として、エネルギあるいは燃料効率ルート、あるいは最小CO排出量のルートが得られ得、自動車に対する動作コストの減少およびより少ない環境汚染をもたらす。
【0030】
本発明の他の局面によると、自動車ナビゲーションシステムのルートを計算する方法が提供される。該方法は、道路区分をナビゲーションシステムのデータベースから検索するステップを含み、道路区分は、上述の方法のうちの1つに従って決定された推進力関連動作パラメータに対応するコスト値に関連しており、コスト値は、個別の道路区分あるいは異なるタイプあるいはクラスの道路区分に関連している。さらに、推進力関連動作パラメータに対応するコスト値を考慮している出発点から目的地へのルートが決定される。コスト値は、例えば、自動車専用道路、高速道路、田園道路、都市道路等の、異なる道路クラスに割り当てられ得、なおも、割り当ては、道路区分の異なるフォームファクタ、あるいは道路区分上の高度変化のような道路区画プロパティ間でさらに区別し得、あるいはこれらは個別の道路区分に割り当てられ得る。特定の道路タイプあるいはクラスへの割り当てに対して、ナビゲーションシステムのメモリへの要求および処理パワーが低く保たれる一方で、コスト値の個別の道路区分への割り当ては、効率的ルートの改善された、より正確な決定に導くであろう。
【0031】
本発明の他の局面によると、自動車ナビゲーションシステムのルートを計算する方法が提供される。該方法は、所定の道路区分に対する現在の交通量情報を受信するステップと、所定の道路区分に対する推進力関連動作パラメータの推定を、上述の方法に従って実行するステップであって、該推定が現在の交通量情報を考慮しているステップと、所定の道路区分に対して推定された推進力関連動作パラメータに対応するコストを考慮して、目的地へのルートを決定するステップとを含む。そのような方法によって、たとえ交通量が大きいあるいは交通状況の変化が支配的であるとしても、例えば、エネルギまたは燃料消費量、あるいはCO排出量によって最も効率的なルートを決定し得る。異なる交通状況に置ける道路区分に対する燃料消費量の変化は、このように考慮され得る。
【0032】
本発明のさらなる局面によると、自動車のナビゲーションシステムが提供される。該ナビゲーションシステムは、自動車センサシステムへのインターフェイスを提供するインターフェイスと、道路区分に対して提供された情報に基づいて、自動車の少なくとも第1の動作パラメータを推定し、該第1の動作パラメータに基づいて道路区分に対する推進力関連動作パラメータを推定することによって、道路区分に対する自動車の推進力関連動作パラメータを推定するように適合された処理ユニットであって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、処理ユニットとを含む。該処理ユニットは、自動車の動作中に該インターフェイスを介して少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得し、少なくとも2つの自動車動作パラメータ間の所定の関係を提供することによって、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを決定するようさらに適合されており、該関係は、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮し、少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データから少なくとも1つの自動車特有パラメータ、および該関係を決定する。そのようなナビゲーションシステムによって、上に概観した同様な利点が達成され得る。
【0033】
1つの実施形態によると、ナビゲーションシステムは、処理ユニットによって決定された前記少なくとも1つの自動車特有パラメータを格納するように適合されたデータベースをさらに含む。該データベースは、道路区分に協調あるいは道路区分のタイプあるいはクラスに協調して決定された推進力関連動作パラメータに対応するコスト値を格納するようにさらに適合され得る。自動車特有パラメータを格納することは、新しい道路区分を有する新しいマップデータが利用可能になる場合、自動車特有パラメータに基づいて、推進力関連動作パラメータが新しいマップデータに対して推定され得る、という利点を有する。対応する道路区分、あるいは道路区分タイプまたはクラスに協調してコスト値を格納することは、これらが、例えば、エネルギあるいは燃料消費量、またはCO排出量のような、コスト効率的なルートの計算に対して検索され得る、という利点を有する。
【0034】
処理ユニットは、上述の方法のうちの1つを実行するように、さらに適合され得る。
【0035】
本発明の他の局面によると、コンピューティングデバイスの内部メモリにロードされ得るコンピュータプログラム製品が提供され、該製品は、該製品が実行されるとき、上述の方法のうちの1つを実行するためのソフトウェアコード部分を含んでいる。そのようなコンピュータプログラム製品は、例えば、自動車ナビゲーションシステムに使用され得る。さらに、格納された電気的読み取り可能制御情報を有する電気的に読み取り可能データキャリアが提供され、該制御情報は、コンピュータデバイス内のデータキャリアを使用する場合、制御情報が上述の方法のうちの1つを実行するように構成されている。電気的読み取り可能データキャリアは、例えば、自動車のナビゲーションシステムに使用され得る。
【0036】
上述の方法は、任意のタイプのナビゲーションシステム上で自動的に実行され得る。上述のナビゲーションシステムは、ダッシュボードマウント型自動車ナビゲーションシステム、ハンドヘルド携帯型ナビゲーション装置、あるいは、モバイル電話、パーソナルデジタルアシスタント等のナビゲーションの可能な任意の他の装置として提供され得る。
【0037】
上で述べた特徴および下で説明されるべき特徴は、本発明の範囲から外れることなく、それぞれの組合せでおいてのみでなく、他の組合せであるいは個別に使用され得ることが、理解されるべきである。
【0038】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
道路区分に対する自動車(1)の推進力関連動作パラメータを推定する方法であって、該方法は、
該道路区分に対して提供された情報に基づいて、少なくとも該道路区分に対する該自動車(1)の第1の動作パラメータを推定するステップと、
該第1の動作パラメータに基づいて、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップであって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、ステップと
を含み、
該少なくとも1つの自動車特有パラメータは、
該自動車(1)が動作中に、少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータ間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、
該少なくとも1つの自動車特有パラメータを、該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび該関係に対する該走行データから決定することと
によって決定されている、方法。
(項目2)
上記推進力関連動作パラメータは、燃料消費量、エネルギ消費量および二酸化炭素(CO)排出量のうちの少なくとも1つである、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記道路区分に対する上記第1の動作パラメータは、該道路区分に関して可変である関数値を用いた時間あるいは距離の関数として推定される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記第1の動作パラメータは、上記道路区分に対して推定された上記自動車(1)の速度、および該道路区分に対して推定された該自動車(1)の加速度のうちの少なくとも1つである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
上記道路区分に対して提供された情報は、道路区分タイプ、道路区分クラス、該道路区分に対して許容された最大速度、該道路区分のタイプに対して決定された平均速度、該道路区分に対する目標速度、該道路区分に対する形式パラメータ、該道路区分に対する傾斜、および該道路区分に対する現在の交通情報(205)のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記第1の動作パラメータの上記推定は、上記自動車(1)のドライバに対して決定された走行挙動(203)にさらに基づく、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
所定の自動車動作パラメータの間の所定の関係は、複数の自動車サブシステムモデル(202)のそれぞれに対して提供されており、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、該関係に基づきそれぞれのサブシステムモデルに対して決定されており、該決定された自動車特有パラメータは、上記推進力関連動作パラメータの推定のために考慮されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
上記自動車サブシステムモデル(202)は、車輪のモータへの結合に対するモデル、アップ/ダウンシフトの間のスリップに対するモデル、該自動車のモータから要求されるトルクに対するモデル、およびアイドリングに対するモデルのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
少なくとも2つの自動車動作パラメータのために走行データが獲得され、該少なくとも2つの自動車動作パラメータは、速度、加速度、ブレーキ圧力、モータトルク、モータ回転スピード、係合しているギア、燃料消費量、燃料タンクの充填レベル、および走行状態を含む群から選択される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
上記少なくとも1つの自動車特有パラメータは、トランスミッション比、ローリング抗力係数(C)、空気力学的抗力係数(C)、抗加速抵抗係数(C)、ブレーキ抵抗係数、減速のブレーキ摩擦、クラッチ動作スピード係数、アイドリング時の燃料消費量、アイドリング時のモータ回転スピード、登坂抵抗、および上記自動車のモータの効率を含む群から選択された自動車特有特性に比例する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
上記少なくとも2つの自動車動作パラメータに対して獲得された走行データにおける異なる走行フェーズを識別することをさらに含み、各走行フェーズに対して、少なくとも1つの自動車特有パラメータが決定される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
各識別された走行フェーズは、上記それぞれの走行データから決定された一組の自動車特有パラメータに関連しており、上記推進力関連動作パラメータを推定する場合、該識別された走行フェーズに対して決定された該自動車特有パラメータが考慮される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
識別され得る上記走行フェーズは、アイドリングフェーズ、加速フェーズ、定速走行フェーズ、平坦走行フェーズ、減速フェーズ走行、およびブレーキ適用走行フェーズのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記少なくとも1つの自動車特有パラメータは、統計的パラメータ推定手順あるいはパラメータ最適化手順を用いて決定される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記推進力関連動作パラメータの上記推定は、
上記第1の動作パラメータ、少なくとも1つの自動車特有パラメータの第1のパラメータ、および対応する関係に基づいて、上記道路区分に対する上記自動車のモータの回転スピードを推定するステップと、
該第1の動作パラメータ、該少なくとも1つの自動車特有パラメータの少なくとも第2のパラメータ、および対応する関係に基づいて、該道路区分に対する該自動車の該モータによって生成されるべきトルクを推定するステップと、
該推定されたモータ回転スピード、該推定されたモータトルク、該少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第3のパラメータ、および対応する関係から、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記第1の動作パラメータは、上記自動車の上記速度であり、上記推進力関連動作パラメータの上記推定は、
上記速度、上記少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第1のパラメータ、および対応する関係に基づいて、上記道路区分に対する該自動車の走行抵抗の合計を推定するステップと、
該推定速度、該推定走行抵抗、上記少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第2のパラメータ、および対応する関係から、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記推定推進力関連動作パラメータに対応するコスト値を、上記道路区分に、あるいは該道路区分のクラスまたはタイプに割り当てるステップを含み、該コスト値はさらなるルート計算のために提供されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
自動車ナビゲーションシステムにおいてルートを計算する方法であって、該方法は、
該ナビゲーションシステムのデータベースから道路区分を検索するステップであって、該道路区分は、項目1から17のうちの1つの方法に従って決定される推進力関連動作パラメータに対応しているコスト値に関連しており、該コスト値は、個別の道路区分あるいは道路区分の異なるタイプあるいはクラスに関連している、ステップと、
該推進力関連動作パラメータに対応する該コスト値を考慮して、出発点から目的地へのルートを決定するステップと
を含む、方法。
(項目19)
自動車ナビゲーションシステムにおいてルートを計算する方法であって、該方法は、
所定の道路区分に対する現在の交通情報を受信するステップと、
上記項目のいずれかに記載の方法に従って該所定の道路区分に対する推進力関連動作パラメータの推定を実行するステップであって、該推定は、該現在の交通情報を考慮する、ステップと、
該所定の道路区分に対して推定された該推進力関連動作パラメータに対応するコストを考慮する目的地へのルートを決定するステップと
を含む、方法。
(項目20)
自動車のためのナビゲーションシステムであって、該ナビゲーションシステムは、
自動車センサシステム(1−14)へのインターフェイスを提供するインターフェイスユニット(26)と、
道路区分に対して提供された情報に基づいて、該道路区分に対する該自動車の少なくとも1つの第1の動作パラメータを推定することと、該第1の動作パラメータに基づいて該道路区分に対する推進力関連動作パラメータを推定することとによって、該道路区分に対する該自動車の該推進力関連動作パラメータを推定するように適合された処理ユニット(21)であって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、処理ユニット(21)と
を含み、該処理ユニット(21)は
該自動車(1)が動作中に該インターフェイスユニットを介して少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータの間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび関係に対する該走行データから該少なくとも1つの自動車特有パラメータを決定することと
によって、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを決定するようにさらに適合されている、ナビゲーションシステム。
(項目21)
上記処理ユニットによって決定された上記少なくとも1つの自動車特有パラメータ上に格納するように適合されたデータベース(22)をさらに含む、上記項目に記載のナビゲーションシステム。
(項目22)
上記処理ユニットは、上記項目のいずれかに従った方法を実行するように適合されている、上記項目のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(項目23)
コンピューティングデバイスの内部メモリにロードされ得るコンピュータプログラム製品であって、該製品は、該製品が実行されるときに、上記項目のいずれかに記載の方法を実行するためのソフトウェアコード部分を含む、コンピュータプログラム製品。
(項目24)
コンピューティングデバイス内のデータキャリアを使用する場合に制御情報が上記項目のいずれかに記載の方法を実行するように構成された、格納された電子的に読み取り可能な制御情報を有する電子的に読み取り可能なデータキャリア。
【0039】
(摘要)
本発明は、道路区分に対する自動車(1)の推進力関連動作パラメータの推定方法に関し、該方法は、該道路区分に提供された情報に基づいて、少なくとも該道路区分に対する該自動車(1)の第1の動作パラメータを推定するステップと、該第1の動作パラメータに基づいて、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップであって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、ステップとを含み、該少なくとも1つの自動車特有パラメータは、該自動車(1)が動作中に、少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、該少なくとも2つの自動車動作パラメータ間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを、該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび該関係に対する該走行データから決定することとによって決定されている、方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の上のおよび他の特徴および利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な記述を読むことからさらに明白になるであろう。詳細な説明および図面は、本発明の単なる例示であり、本発明を限定するものではない。図面において、同様な参照番号は同様な要素を参照する。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従った、異なるデータソースからのデータを処理することを例示する模式的ブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従ったナビゲーションシステムを含む自動車内のデータソースを模式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従ったナビゲーションシステムの模式的ブロックダイアグラムの図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従った方法を例示するフローダイアグラムの図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従った方法を例示するフローダイアグラムの図であり、自動車の推進力関連動作パラメータが推定されている。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従った方法のフローダイアグラムの図であり、目的地へのルートが決定されている。
【図7】図7は、自動車動作パラメータ「速度」および「モータ回転スピード」の走行データを示しているダイアグラムの図である。
【図8】図8は、自動車のモータによって生成された自動車動作パラメータ「速度」および「トルク」に対して獲得された走行データを示しているダイアグラムの図である。
【図9】図9は、自動車の動作パラメータ「ブレーキ圧力」および「加速度」に対して獲得された走行データを示しているダイアグラムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面は、模式的表現としてのみであると見なされるべきであり、図面における要素は、必ずしも互いに縮尺どおりではないことに注意すべきである。むしろ、様々な要素の表現は、それらの機能および通常の目的が当業者に明白になるように選ばれている。
【0042】
実施形態の以下の記述において、図面あるいは本明細書に記述された機能ブロック、デバイス、構成部品、回路部品、あるいは他の物理的あるいは機能的ユニットの間の直接の接続あるいは結合(例えば、部品に介在しない任意の接続、あるいは結合)は、また、間接接続あるいは結合(例えば、1つ以上の追加の介在部品を有する接続あるいは結合)によっても実装され得ることが理解されるべきである。さらに、図面に示された実施形態を機能ブロックあるいはユニットに分割することは、これらのユニットが必ずしも物理的に個別のユニットとして実装されると示されているようには制限されるべきではなく、示されたあるいは記述された機能ブロックまたはユニットが、個別のユニット、回路、チップあるいは回路部品として実装され得、1つ以上の機能ブロックあるいはユニットが、同様に共通回路、チップ、回路部品あるいはユニットに実装され得ることを容易に理解されるべきである。
【0043】
本明細書に記述された様々な実施形態の特徴が、特に他に注解されない限り互いに組合せられ得ることが理解されるべきである。
【0044】
以下では、本発明に従ったナビゲーションシステム20の実施形態が記述され、その後、そのようなナビゲーションシステムによって実行され得る方法が記述される。本実施形態のナビゲーションシステムは、目的地への燃料あるいはエネルギ効率的なルートを決定するために、あるいは、最小のCO排出量を有するルートを決定するために適合されており、CO排出量は、内燃エンジンを有する自動車に対する燃料消費量に大雑把に比例する。燃料消費量、エネルギ消費量あるいは二酸化炭素排出量が、これらの数量が自動車を推進するモータの動作を特徴付けるので、考察された自動車の推進力関連動作パラメータであり得る。本発明はすべてのタイプの自動車に対するナビゲーションシステムに適用され得、それらには、内燃エンジンによって推進される、電気モータにより推進される、バイブリッド駆動(内燃エンジンと電気モータの組合せを用いる)により推進される自動車、あるいは燃料電池動力自動車がある。以下では、内燃エンジンによって動力が与えられる自動車を参照しているが、この説明は明らかに本発明に対して非限定的であり、任意のタイプの自動車に対するナビゲーションシステムが本発明によってカバーされていることが、明確であるべきである。以下の記述が燃料消費量に言及する限り、すべての説明が、例えば電気エネルギ、二酸化炭素排出量等のエネルギ消費量のような、自動車の任意の他の推進力関連動作パラメータに均等に適用され得ることが理解されるべきである。
【0045】
本実施形態のナビゲーションシステムは、燃料(あるいはエネルギ)効率的ルートを、マップデータに含まれる道路区分に割り当てられたコスト値を計算する。ルート決定において信頼でき正確な結果を達成するために、道路区分に割り当てられたコスト値は道路区分に対する燃料消費量を可能な限り正確に反映することが望ましい。これを達成するために、本実施形態のナビゲーションシステムは、道路区分に対する燃料消費量を推定するために複数のデータソースから取得された走行データを考慮する。これは、模式的に図1に例示されている。道路区分上の自動車の燃料消費量に影響を与えうる4つのファクタが図に識別されている。1つのファクタは、特定の空気抗力、特定のモータ効率、特定のローリング抗力等を有し得る自動車自体である。もう1つのファクタは、自動車のドライバであり、例えば、ギアを早めに変更することによって自動車を燃料効率よく動かし得るドライバであり、自動車を非効率的に操作し得るドライバである。さらなるファクタは、交通量であり、停止および発進の多い交通量において燃料消費量が増加するので、これは自動車が一定のスピードで進むときに低い値で解決される。もう1つのファクタは、自動車が進行する道路のプロパティであり、高速道路上で、あるいは急峻な曲がりくねった道路上での高速進行スピードにおいて燃料消費量が上昇し得るので、これは、小さな傾斜の直線道路上で限定された進行スピードにおいて、適度の燃料消費量が期待され得る。
【0046】
本実施形態のシステムにおいて、自動車の異なる動作パラメータに対する走行データ(201)が自動車のバスシステム(例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN))から獲得される。自動車のサブシステムに対する異なる物理モデルを用いて、トランスミッション比、ローリング抗力係数(C)、空気力学的抗力係数(C)、対加速抵抗係数(C)、登坂抵抗等の自動車特有パラメータが、獲得された走行データ(機能ユニット202)から決定され得る。ドライバモデル(機能ユニット203)を用いて、最大あるいは平均速度、ドライバがギアチェンジをする速度あるいはモータ回転スピード等のような、ドライバ特有パラメータが、獲得された走行データから決定され得る。これらのモデルおよび決定された自動車あるいはドライバ特有パラメータを用いて、所与の道路区分に対する燃料消費量が、自動車が道路区分を進行すると予想されている速度プロファイルが既知の場合、かなり正確に決定され得る。
【0047】
速度/加速度プロファイルの推定は、機能ユニット204において実行され、機能ユニット204は、交通量データあるいは、データソース205からの試験走行からのデータのような他のデータを受信する。データソース206は、マップデータをさらに提供し、マップデータは、道路ネットワークを反映するリンクおよびノードを含む。これらは、道路/通りモデル207によってさらに分析され得、道路/通りモデル207は、マップデータに含まれる特定の道路区分を特徴付けるパラメータを決定し得る。速度プロファイルの推定は、ドライバモデル203によって配送されるドライバ特有パラメータをさらに考慮し得る。例として、道路区分に対する推定速度プロファイルは、道路のサイズ、道路の形状、(ユニット07によって配送された)道路の傾斜、(ユニット205によって配送された)道路上の現在の交通状況および(ユニット203によって配送された)ドライバの運転習慣に依存し得る。従って、道路区分に対する速度プロファイルのかなり正確な推定が機能ユニット204によって達成され得る。
【0048】
決定された自動車特有パラメータおよびドライバ特有パラメータに基づいて、機能ユニット208において、燃料消費量のような自動車の推進力関連動作パラメータが決定された速度プロファイルから推定され得る。ユニット208は、例えば、自動車サブシステムのためのモデルおよび対応する決定されたパラメータを使用し得、正確な推定が達成され得る。推定は、自動車が道路区分を進行してきたか否かによらず、マップデータに含まれる任意の道路区分に対して実行され得る。予想される燃料消費量は、個別にマップデータに含まれる多くの道路区分に対して推定され得る、あるいは、道路区分の特定のタイプまたはクラスに対して推定され得、より早く実行され、推定値を格納するためのより少ないスペースを必要とし得る。推定燃料消費量に基づいて、コスト値が道路区分あるいは道路区分のタイプまたはクラスに割り当てられ得る。道路区分に対する速度プロファイルが既知の場合、道路区分を進行するために必要な時間が、また、ユニット208において決定され得、対応するコスト値が道路区分に割り当てられ得る。
【0049】
ユニット209は、ナビゲーションシステム20のユーザによって入力され得る目的地へのルートの決定を実行し、決定はマップデータおよび割り当てられたコスト値に基づく。進行距離および必要な進行時間に加えて、ルート決定は、従って、特定のルートに対する自動車の燃料あるいはエネルギ消費量を考慮し得る。ユニット209は、ルートを決定するための異なるコストファクタを考慮し得、それらのコストファクタは、例えば、ユーザプロファイルに従って差動的に重み付けされ得、あるいは、燃料消費量に対応するコスト値のような特定のタイプのコスト値を最小にするのみであり得る。
【0050】
図1に与えられたナビゲーションシステム20の機能的概観から見られるように、たとえナビゲーションシステム20が更新されたマップデータ、あるいは新しい幾何的領域のマップデータを受信しても、燃料消費量あるいは他の推進力関連動作パラメータが、任意の所与のマップデータに対して推定され得る。推定は、自動車サブシステムおよびドライバモデルに使用される、自動車あるいはドライバ特有パラメータを決定するために十分な走行データが収集され次第に、実行され得る。初期は、つまり、十分な走行データが収集される前は、既定値がこれらのパラメータとして使用され得る。走行データ201の収集は、自動車が動作中に連続して行われるので、システムの精度は、時間とともに改善される。また、新しいドライバあるいは新しい自動車にも容易に適合できる。
【0051】
自動車ナビゲーションシステム20は、ダッシュボードマウント型、つまり、固定ナビゲーションシステム、あるいは、ポータブルナビゲーションシステムであり得る。従って、異なる自動車において異なるドライバによって使用され得る。従って、自動車およびドライバモデルに対するパラメータは、現在のドライバおよび自動車に従って格納され検索され得る。
【0052】
モデルに対するすべての検索パラメータは、自動車が動作中に、例えば、自動車センサから取得され得、自動車に関する特定のかつ詳細な情報が取得される必要はない。システムは、複雑かつ詳細な自動車モデルの使用を要求しない。燃料消費量は、道路区分上に与えられた情報および決定されたパラメータのみを用いて予測され得る。ナビゲーションシステム20は、インストールされる自動車の動力学を本質的にモデル化し、従って、主に道路データに基づいて、燃料消費量の正確な予測を行う。もちろん、計算されたルートに対して必要な総燃料量が、また、決定され得る。
【0053】
図1に示された機能ユニットのうちの多くは、選択的であることを明確にすべきである。例えば、道路/通りモデル207および交通量データ205に加えてドライバモデル203は、推進力関連動作パラメータを推定するため、およびルート決定を実行するためには使用される必要はない。
【0054】
図2は、自動車ネットワーク2(例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN))にインターフェイスする自動車ナビゲーションシステム20を含む自動車1を、模式的に示している。ネットワーク2は、無線あるいは有線接続によってインターフェイスされ得る。多くのセンサおよびシステムがネットワーク2に接続されて図2に模式的に示されている。センサあるいはシステムのそれぞれから、動作パラメータに対応する走行データが、ネットワーク20を介して、自動車ナビゲーションシステム20によって獲得され得る。データ収集は、自動車が動作中に、つまり、自動車のモータが運転中にあるいは自動車が走行中に実行される。モータトルクセンサ3は、現在生成されているあるいは自動車のモータによって加えられているトルクを配送する。モータ回転スピードセンサ4は、自動車のモータの現在の回転スピード(例えば、毎分の回転数(RPM))を配送する。燃料注入センサ5は、自動車のモータに注入される燃料量を配送し得、その測定から現在の燃料消費量が決定され得る。他のセンサが、燃料フローセンサ等のような現在の燃料消費量を決定するために使用され得ることを明確にしておくべきである。さらに、燃料レベルセンサ6が、自動車の燃料タンクの現在の充填レベルを決定するために提供されている。システムクロック7は、走行データの時間依存収集のために使用され得るタイミング情報を提供し、高度センサ8は、例えば圧力あるいはGPSベースの自動車の現在の高度を提供し、かつ、位置センサ9は、例えば、全地球測位システム(GPS)ベースの自動車の現在の位置を提供する。センサ16は、自動車の傾きの情報を提供する。現在のブレーキ圧力がパワーブレーキシステム10によって提供され得、現在の係合ギアの情報がトランスミッションシステム11によって提供され得、センサ12が、自動車の車輪の現在の回転スピードを提供する。他のシステムにおいては、トランスミッションシステム11は、トランスミッション比、あるいは自動車の車輪の回転スピードの情報を直接提供し得る。
【0055】
ネットワーク2に提供され結合され得るさらなるセンサは、自動車の現在の速度v(t)を提供する速度センサ13、および自動車の現在の加速度a(t)を提供する加速度センサ14を含む。図2に示されたこれらのセンサの大部分は、自動車の対応する動作パラメータが他のセンサおよびシステムから決定され得るので選択的であることを明確にしておくべきである。1つの例として、自動車の車輪の直径が既知である場合、車輪スピードセンサ12は、自動車の車輪の現在の回転スピードあるいは現在の回転スピードの変化に基づいて、現在の自動車速度および加速度をそれぞれ決定するために用いられ得る。自動車ナビゲーションシステム20は、上述の動作パラメータのうちのいくつかのみを獲得し得る、あるいは、他の自動車システムから、あるいは、ネットワーク2以外のデータソースからでさえ、さらなる動作パラメータを獲得し得る。1つの例として、ナビゲーションシステム20は、自動車速度、現在の燃料消費量、および現在のモータ回転スピードおよびトルクのみを獲得し得る。ネットワーク2は任意のタイプのネットワークあるいはバスシステムであり得、有線あるいは無線ネットワークであり得ることを明確にしておくべきである。
【0056】
図3は、本実施形態のナビゲーションシステム20をより詳細に示している。ナビゲーションシステム20は、例えば、メモリ22に格納されたソフトウェアの形の制御命令に従って処理ユニット21によって制御される。処理ユニット21は、単一のプロセッサとして、複数のプロセッサとして構成され得る、あるいは、汎用あるいは特定用途マイクロプロセッサ、あるいはデジタルシグナルプロセッサを含み得る。メモリ22は、数タイプのメモリ含み得、それらのメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)および他のタイプの、フラッシュメモリのような不揮発性メモリ、ハードドライブ等である。不揮発性メモリは、また、EPROMまたはEEPROMを含み得、ナビゲーションデバイス20に提供され得るか、またはメモリカードのようなリムーバブル型で提供され得るか、あるいはそれらの組み合わせで提供され得る。メモリ22は、また、CD−ROM、DVD−ROMあるいは、ナビゲーションシステム20によってアクセス可能な任意の他のタイプのデータキャリアを含み得る。メモリ22は、従って、オペレーティングプロセッシングユニット21のための制御情報を含み得るのみでなく、マップデータおよび他の情報を格納し得、上述の自動車特有あるいはドライバ特有パラメータ、獲得走行データ、推定動作パラメータ、決定コスト値等を格納するために、データベースのための格納空間を提供し得る。メモリ22は、また、自動車サブシステムのためのモデル、ドライバモデル、および/または、道路/通りモデルを格納し得る。
【0057】
制御命令に従って、プロセッシングユニット21は、インターフェイスユニット26を介して走行データを獲得し得、自動車および/またはドライバ特有パラメータの決定を実行する。プロセッシングユニット21は、図1に関して記述された機能ユニットを実装し得る。このように、プロセッシングユニット21は、速度/加速度プロファイルをマップデータおよび可能性のある交通量データに従って推定し得、燃料消費量のような推進力関連動作パラメータの推定を、決定された自動車特有パラメータに従って実行する。対応するコスト値の決定、および決定されたコスト値を考慮するルート計算をさらに実行し得る。
【0058】
インターフェイスユニット26は、自動車1のネットワーク2と有線接続27を介してインターフェイスする。インターフェイスユニット26は、無線インターフェイスユニットとして構成され得、無線インターフェイスユニットはアンテナを含み、無線接続で走行データを受信する。インターフェイスユニット26を介して、処理ユニット21に、自動車の動作パラメータの範囲のデータが提供され、従って、推進力関連動作パラメータの正確な推定を実行することが可能にされる。
【0059】
処理ユニット21は、ナビゲーションシステム20の現在位置を決定するためにGPSセンサのような位置センサ23と、計算されたルートのような情報をナビゲーションシステム20のユーザに表示するためにディスプレイユニット24と、ユーザが例えば目的地、構成パラメータ等を入力するときに介する入力ユニット25とインターフェイスする。
【0060】
ナビゲーションシステム20は、ナビゲーションシステムに共通のさらなる構成部品を含み得ることを明確にしておくべきであり、さらなる構成部品は、処理ユニットと他の構成部品との間のインターフェイスを提供する入力/出力ユニット、音声命令を受信するあるいは走行指示を与えるためのマイクロフォンおよびラウドスピーカ等である。図2に示された、位置センサ23のようなユニットのうちのいくつかは、位置情報はインターフェイスユニット26を介して得られるので、選択的である。ナビゲーションシステム20は、自動車のダッシュボードにマウントされた内蔵型ナビゲーションシステムであり得、ディスプレイユニット24および入力ユニット25は自動車内の任意の位置に提供され得、あるいは、パーソナルナビゲーションシステム(PND)、モバイルフォン、パーソナルデジタルアシスタント等のようなポータブル電子デバイスの形を有し得る。
【0061】
図4から図6に関して、処理ユニット21に実装され得る方法が記述される。方法は、自動車特有パラメータの決定、推進力関連動作パラメータ、および関連するコスト値の決定、および推進力関連動作パラメータに関して効率的なルートの決定に関係する。以下の記述は、再び自動車の燃料消費量b(t)を参照するが、他の推進力関連動作パラメータに同様に適用され得る。
【0062】
時刻t(a)およびt(b)の間の2点間の走行に対して消費された全燃料は、次のように決定され得る。
【0063】
【数1】

積分は、基本的に、自動車によって行なわれる仕事であり、この仕事は、ローリング抗力に対する摩擦力F、加速に抵抗する慣性力F、自動車の空気力学抗力から生じる力F、および登坂抵抗Fに依存する。全燃料消費量Bは、使用される燃料の燃焼値Hにのみでなく、モータ効率ηおよびトランスミッション効率ηにさらに依存する。述べられた力は、自動車の個別の特性に依存する。本実施形態に従って、これらのパラメータは獲得された走行データに基づいて決定される。方法は、また、これらのパラメータのうちのいくつかは、自動車の個別のドライバに依存し得、特定のドライバに対して燃料消費量の正確な決定が実行され得るという事実を考慮する。
【0064】
当然、Fに対する値は、自動車の加速度a(t)に依存し、値Fは、自動車の速度v(t)の平方に比例する。登坂抵抗Fは、高度差についてのマップデータの解が十分に正確である場合、全道路区分の派生部分に対して使用され得る。同一地点をスターとし同一目的地に導く2つの所与のルートに対する高度差が原因のエネルギ差が等しくても、異なるルートに沿う走行のエネルギ消費量の結果は、異なるエンジン動作点あるいは傾斜の異なるばらつきが原因で変化し得る。考慮され得る他の力は、ブレーキの作動が一般にエネルギの損失をもたらすので、ブレーキ抵抗Fである。
【0065】
当業者は、上述の力が、自動車パラメータに基づいてどのように計算され得るかを知っており、従って、本明細書では詳細は議論されない。いくつかの依存性が短く述べられるのみである。慣性力は、自動車の回転構成部品の慣性モーメントが原因のフラクションλを含む。このパラメータλは、kで指定される現在のエンジンギアに従って変化する。さらに、効率ηおよびηは、エンジンの回転スピードおよび現在の負荷、つまり現在生成されているトルクに依存し得る。
【0066】
係合ギアは、トランスミッション比I=n/nを変化させ、ここで、nは自動車のモータあるいはエンジンの回転スピードであり、nは自動車の車輪の回転スピードである。係合ギアは、モータおよびトランスミッションの効率に影響するのみでなく、パラメータλに影響し、従って、減速あるいはブレーキの場合に受ける力に加えて加速に抗する抵抗に影響する。
【0067】
通常、上述の力は別々には測定され得ない。しかし、自動車が進行中には、自動車のエンジンは、あるトルクM(t)を生成し、それはトランスミッションによって自動車の車輪に伝達され、これらの力を克服する、つまり、エンジンはあるパワーP(t)を生成する。自動車によって行われた仕事、従って自動車によって消費された燃料は、また、エンジンによって生成されたパワーP(t)についての積分として表現され得る。エンジンによって生成されたパワーは、次のように示される。
【0068】
【数2】

トルクM(t)およびエンジンの回転スピードn(t)が、CANバスへのインターフェイスを通じてナビゲーションシステムによって取得され得るので、有利である。なおも、風および傾斜のような他の摂動に加えて、ブレーキペダルの作動、クラッチのように、自動車の燃料消費量に影響するさらなる効果がある。さらに、自動車の内部摩擦抵抗があり、ライト、暖房等の自動車の補助装置が原因で、さらなるエネルギ要求をカバーするために、さらなるトルクがエンジンから必要とされ得る。本実施形態では、さらなるトルクMintの導入が示唆され、パワーは次のように計算される。
【0069】
【数3】

全燃料消費量は、従って、次のように計算され得る。
【0070】
【数4】

ここで、自動車のモータおよびトランスミッションに対する平均係数
【0071】
【化1】

が用いられている。本実施形態は、ここで、M(t)およびn(t)の値を動作パラメータギアk(t)、速度v(t)、加速度a(t)およびブレーキ圧力p(t)から計算し、これらはマップデータに基づいて推定され得る。
【0072】
上述の力は、自動車重量、自動車の空気力学的抗力係数c、空気圧ρ、自動車の投影前面積A等のような自動車特有パラメータに依存する。これらのパラメータは特定の製品において起きるので、これらは一般に、動作パラメータに対して獲得された走行データから別々には計算され得ない。このように、上述のパラメータあるいはその製品に比例する自動車特有パラメータが、本実施形態おいて決定される。さらに、本実施形態は、これらの自動車特有パラメータの決定を異なる走行フェーズに対して実行することを示唆する。これは、特定のパラメータのみが特定の走行フェーズに関係しているので、パラメータ決定を容易にする。実施形態は、自動車を、クラッチ、トランスミッション、エンジンおよび消費量のようないくつかのサブシステムに分割することをさらに示唆する。次の走行フェーズが使用され得る。
−休憩 速度v(t)=0が検出される場合、自動車は休憩している。これは、もちろん、特定の誤差マージンあるいは速度閾値を用いて実行され得、ゼロからわずかに異なっている値に対して、自動車が休憩していると決定され得る。
−発進 速度v(t)≠0が閾値vmin(k)より下である、あるいは「休憩」フェーズの閾値レベルよりも上である場合、自動車は走行を開始している。
−低速走行 現在の速度が相当する閾値vmin(k)を超えている場合でかつ、加速度|a(t)|が特定の閾値aminより下である場合、自動車は定速走行フェーズにある。加速度aは負であり得、それは減速であることを明確にしておくべきである。
−ブレーキ適用なしの走行 現在の速度が相当する閾値vmin(k)を超えておりブレーキ圧pが検出されない、つまり、p(t)=0の場合、自動車は、ブレーキ適用なしで走行している。自動車は、例えば、エンジンによるトルクの適用によって起こされた、加速あるいは減速をしていてもよい。
−ブレーキ適用ありの走行 現在の速度が対応する閾値vmin(k)を超えており、ブレーキ圧力p(t)≠0が検出される場合、自動車はブレーキ適用状態で走行している。誤差マージンが、非ゼロのブレーキ圧力を検出するために再び使用され得る。
−通常走行 自動車は、現在の速度が閾値vmin(k)を超えない場合、通常走行をしている。
【0073】
CANバスから獲得された走行データを解析することによって、ナビゲーションシステム20の処理ユニットは、どの走行フェーズで自動車が動作しているかを決定できる。それぞれの走行フェーズに対して、自動車サブシステムに対する異なるモデルが、自動車特有パラメータを決定するために使用され得る。これは、図4を参照して詳細に説明される。
【0074】
図4の方法は、自動車のコントローラエリアネットワークに接続された自動車ナビゲーションシステム20によって実行され得る。ステップ301において、自動車動作が開始される。自動車は、エンジンアイドリング状態で、あるいは、定速で、あるいは加速/減速状態で動作し得る。ステップ302において、自動車が動作中の間、自動車動作パラメータの走行データがCANバスから読み込まれる。図2に関して記述された動作パラメータのような、CANバス上で利用可能な任意のタイプの動作パラメータが獲得され得、本実施形態では、少なくとも現在のギア、現在の速度、および現在のブレーキ圧力が獲得される。現在の加速度がまた、獲得されてもよく、あるいは、現在の速度(例えば、時間における派生物として)から決定され得る。
【0075】
次のステップ303において、上述のように、獲得された走行データを解析することによって、走行フェーズが識別される。自動車サブシステムに対する動作パラメータ間の関係が、ステップ304において提供され、次いでステップ305において、異なる走行フェーズに対する自動車特有パラメータの決定が行われる。以下に、提供された関係に基づく自動車特有パラメータの決定が詳細に記述される。
【0076】
自動車特有パラメータの決定は、所与の速度および/または加速度プロファイルに基づいて燃料消費量単独の予測を可能にすることを目的としている。燃料消費量は、モータの回転スピードnに依存するので、この動作パラメータが決定される必要がある。自動車のそれぞれのギアkに対して、自動車の速度をモータの回転スピードに変換するために、自動車特有パラメータiが定義され得る。
【0077】
【数5】

自動車特有定数iは、トランスミッション比に比例し、各ギアkに対して決定され得る。定数i(k)は、図7に示されるように、速度およびモータの回転スピードに対する走行データを獲得すること、および、線形回帰を用いる平均最小二乗法のような統計的方法を用いることによって決定される。クラッチの係合の間のスリップが、上の関係に影響するので、定数i(k)は、閾値vmin(k)が十分に高く設定されクラッチの動作がすでに完了している「通常走行」フェーズの間に決定される。
【0078】
走行フェーズ「休憩」に対して、時間当たりの平均燃料消費量の形の自動車特有パラメータが決定される。特に、自動車内で動作中の補助デバイスが原因で、アイドリング時の燃料消費量は無視できなく、その考慮は膳燃料消費量の推定を改善する。現在の燃料消費量は、CANバスから獲得され、「休憩」中に獲得されてすべての消費量データに渡って平均される。
【0079】
自動車のモータから獲得されたトルクの決定のための自動車特有パラメータは、上述の走行フェーズの第3、第4および第5のフェーズの間に決定される。フェーズ「定速走行」の間に、本実施形態はトルクM(t)および速度v(t)の間の、次の形式の関係を使用する。
【0080】
【数6】

このように、M(t)およびv(t)に対する走行データを獲得することによって、自動車特有定数
【0081】
【化2】

が決定され得、これらの係数は、自動車のローリング抗力係数および空気力学的抗力係数にそれぞれ比例する。そのような走行データおよび、走行データに当てはめられた関係に対応する曲線が、図8に示されている。平均最小二乗法を用いる回帰式からのパラメータの決定は、所与の速度プロファイルからのモータトルクの予測を可能にする。
【0082】
加速度への抵抗に比例する係数
【0083】
【化3】

および係数
【0084】
【化4】

に基づいて、フェーズ「ブレーキ適用なしの走行」の間に係数が決定され得る。この走行フェーズにおいては、自動車の加速度あるいは減速度a(t)が考慮され、次の関係
【0085】
【数7】

が用いられる。自動車特有パラメータ
【0086】
【化5】

は、自動車が動作しているギアに依存するので、それぞれのギアに対して別々に決定される。決定のために、走行データフェーズに対して決定された閾値を超える加速度の絶対値に対して、各ギアに対するv(t)およびM(t)に対する走行データが使用され得る。
CANネットワークから取得されたデータは、このように分割され、
【0087】
【化6】

の決定はそれぞれのデータセットに対して、平均最小二乗法を用いて実行され得る。
【0088】
ブレーキフェーズにおいては、ブレーキの適用によって、自動車は追加的に減速され得る。さらなる減速は、次の式によって記述され得る。
【0089】
【化7】

ここで、
【0090】
【化8】

は、通常は現在の係合ギアに依存しない。ブレーキフェーズの間のモータトルクは、従って次のように記述される。
【0091】
【数8】

パラメータ
【0092】
【化9】

は前もって決定されており、パラメータ
【0093】
【化10】

は、ブレーキフェーズの間に、つまり、ブレーキ圧力p(t)>0のときに獲得された走行データから決定され得る。言うまでもなく、
【0094】
【化11】

の決定は、平均最小二乗法のような統計的方法によって再び実行され得る。ブレーキ圧力pに対する走行データの例および結果の加速度aが、図9に示されており、パラメータ
【0095】
【化12】

は、図に示されたフィッティングラインの傾斜に比例する。
【0096】
走行フェーズ「発進」は、自動車のクラッチの動作を考慮する。例えば、自動車がギアkで減速されている場合、自動車のスピードが閾値vmin(k)より低下した場合、エンジンの停止を防ぐために、ドライバはクラッチを操作する。クラッチが操作された場合、エンジンは、通常、CANバスから獲得されるエンジンの最小回転スピードとして決定され得る、所定の最小回転スピードにアイドル状態になる。速度の閾値は、従って次のように決定される。
【0097】
【数9】

パラメータi(k)は、再び上で決定されたパラメータであり、ギアkに対するトランスミッション比に比例する。なお、この閾値速度より低い場合、自動車は必ずしも最小回転スピードで動作されない。自動車が加速された場合、高回転スピードが生じ、いくつかの自動車は、動的にアイドリングスピードを自動車速度に適合することさえある。従って、エンジンに対して測定された平均回転スピードは、燃料消費量の決定に使用される。「発進」フェーズにおいてエンジンから要求されたトルクを決定するために、ブレーキフェーズ(式(8))に関して記述された関係が使用され得る。
【0098】
上記から見られるように、自動車特有パラメータの範囲は、提供された関係および所与の自動車動作パラメータに対して獲得された走行データから決定され得る。これは自動車特有パラメータを決定する単なる例であり、他の関係および他の動作パラメータが考慮され得、あるいはより少ない自動車特有パラメータが決定され得ることであることを明確にしておくべきである。自動車が進行している道路区分の傾斜を登ることに対する抵抗は、「定速走行」フェーズにおいて考慮され得る。対応する自動車特有パラメータは、そして、傾斜に依存して決定され得る。さらに、ドライバがギアをチェンジするエンジン回転スピードのような、自動車のドライバの走行特性が考慮され得る。
【0099】
本実施形態において、自動車特有効率パラメータおよび追加で要求されたトルクMintが、獲得された走行データからさらに決定される。この目的のために、式(4)は、ゼロ次の数値積分に対する形式を用いて、各時間ステップjに対して評価され、式
【0100】
【数10】

が得られる。エンジンの現在の回転スピードnおよびエンジンによって加えられたトルクMに加えて、現在の燃料消費量b(t)が、CANバスから取得され得る。自動車特有パラメータ
【0101】
【化13】

が、平均最小二乗法を用いる線形回帰から決定され得る。自動車の高減速に対して、負の燃料消費量が取得され得ることに注意すべきである。これは、従来の内燃エンジンでは可能ではなく、関数M(t)+Mintの単に正の値のみが使用され得、負の関数値は、0に設定されてよい。ハイブリッド駆動あるいは電気モータのような他のタイプのモータに対しては、バッテリの再充電が可能であり、従って、負の燃料消費量が可能である。
【0102】
ここで、図4に戻って、次のステップ306において、決定された自動車特有パラメータはナビゲーションシステムに格納され、燃料消費量予測およびルート決定のようなさらなる用途のために提供され得る。獲得された走行データが、また格納され、格納された走行データに基づいて自動車特有パラメータが決定され得ることを明確にしておくべきである。この目的のために、移動ウィンドウアプローチが使用され得、所定の距離あるいは所定の走行時間に獲得された走行データが、自動車特有パラメータの決定のために評価される。獲得された走行データは、また、重み付けされてもよく、例えば、より最近取得されたデータに高い重みをつけてもよい。異なるタイプの道路上での2時間の走行の期間の走行データの収集は、自動車特有パラメータの正確な決定には十分であり得る。係数の決定は、ナビゲーションシステムが異なる自動車において使用され得、一方、決定されたパラメータの精度が走行時間あるいは走行距離を改善するように適合される。
【0103】
決定された自動車特有パラメータに基づく自動車の推進力関連動作パラメータは、図5に関連して記述される。初めのステップ401において、例えばメモリ22に格納され得るマップデータが受信される。次のステップ402において、自動車のドライバに関する情報が受信される。これは、ドライバによって好まれる進行速度、どの程度速くドライバが自動車を加速するかに関する情報、および任意の他のタイプの、所与の道路区分に対する速度プロファイルを推定するために使用され得るドライバ関連情報を含み得る。次のステップ403において、交通情報が検索される。それは、交通メッセージチャネル(TMC)、TPEG(トランスポートプロトコルエキスパートグループ)、VICS(自動車情報および通信システム)あるいは、モバイル電話ネットワーク、流動的車両データ等の他のタイプのデータソースのようなデータソースから検索され得る。交通情報は、マップデータに含まれる、例えば自動車の現在位置から所定の距離内の、特定の道路区分に対して受信され得る。
【0104】
ステップ404において、自動車特有パラメータが検索され/推定される。これらのパラメータが以前に決定されている場合、これらば、例えばメモリから検索され得、そうでなければ、これらは上記のように推定され得る。さらに、自動車動作パラメータ間の関係が、ステップ405において検索される。
【0105】
道路区分に対する速度プロファイルが、次のステップ406において推定される。推定は、利用可能な情報から、速度プロファイルが道路区分に対して決定されることを意味する。これは、通常、自動車が実際に道路区分を進行している場合に、自動車の速度プロファイルを近似するのみである。推定は、例えば、それが自動車専用道路、高速道路等であるかという、道路区分のクラスを、つまり、道路区分上で一般の交通および個別のドライバ特性に加えて、それが直線かあるいは複数の曲線を含んでいるかを考慮する。推定はまた、さらなる減速および加速に繋がる、道路区分に配置された交通照明があるか、道路区分に対する最大許容スピードおよび他の同様な情報があるかを考慮する。これらの異なるタイプの情報を考慮して、速度プロファイルがより正確に推定される。速度プロファイルはまた、加速および減速フェーズを考慮し、速度が道路区分によってかなり変化し得るので、単に道路区分に対する平均速度を使用する方法に比較して、道路区分に対する燃料消費量のより正確な推定が達成され得る。速度プロファイルは、例えば特定の範囲内の各別々の道路区分に対して推定され得る、あるいは、異なるクラスあるいはタイプの道路区分に対して推定され得るのみである。これは、要求された処理パワーが大きく減少するという利点を有する。
【0106】
道路区分に対する速度プロファイルに基づいて、ステップ407において、自動車のモータから要求されるトルクは、道路区分に対して推定され得る。トルクは、式(6)、(7)あるいは(8)に従った関係から推定され得る。推定速度プロファイルは、例えば、上記のように、異なる走行フェーズに分割され得、決定された自動車特有パラメータと共に、各走行フェーズに対する適切な関係が、次にトルク決定に対して使用され得る。同様に、ステップ408において、モータ回転スピードが、道路区分に対する速度プロファイルから推定され得る。これは、異なる係合ギアに対して式(5)の関係を用いて実行され得る。
【0107】
自動車の特定のパラメータxおよびxを用いて、その次に、式(4)に従った関係を用いて、自動車の燃料消費量が道路区分に対して推定され得る(ステップ409)。他の実施形態において、エネルギ消費量(例えば電気モータの)あるいはCO排出量が、道路区分に対して推定され得る。燃料消費量は、例えば異なる時間ステップに対して推定され得、次に速度プロファイルに対して積分される。
【0108】
燃料消費量に対して推定された値は、次に、ステップ410において格納され得る。対応するコスト値は、次に、ステップ411において、道路区分に、あるいは異なる道路クラスに割り当てられる。特定のタイプの道路区分に対する高い燃料消費量が、例えば、高いコスト値に導き得る。コスト値は、次にステップ412において、例えば道路区分あるいは異なるタイプの道路区分に関連して、格納される。それらは、例えば、ハードドライブあるいはフラッシュメモリのような不揮発性メモリに格納され得、ルート計算のために直接アクセスされ得る。それらは、また、例えば、交通状況が変化し、あるいは、決定された自動車特有パラメータの値が変化する場合、動的に更新され得る。
【0109】
図5に示されたすべてのステップが実行されるべき必要はないことを明確にしておくべきである。速度プロファイルの推定は、また、現在の交通情報を使用しないで実行され得る、あるいは、推定燃料消費量が、コスト値として道路区分に直接割り当てられ得る。燃料消費量は道路区分にわたる平均として計算され得る。さらに、例えば、特定の、1日の時間、日、あるいは年の期間に対する交通量に関する過去の統計情報を用いて、統計的交通モデルが使用され得る。
【0110】
自動車ナビゲーションシステム20は、次に、図6に関して記述されるように、ルート決定のために割り当てられたコスト値を使用し得る。最初のステップ500において、自動車がいる現在位置が、例えば、位置あるいはGPSセンサ9によって決定される。次のステップ501において、マップデータがナビゲーションシステムによって、例えばメモリから検索される。ステップ502において、例えばドライバの入力によって、目的地が受信される。さらに、現在のドライバ/交通情報がステップ503において検索され、推進力関連動作パラメータ、例えば燃料消費量、および対応するコスト値が、例えば図5に関して記述された方法によって、ステップ504において決定される。自動車は異なるドライバによって使用され得るので、現在のドライバ情報を検索することは、特定のルートに対する燃料消費量のより正確な推定がなされ得るという利点を有している。現在のドライバは、ユーザ入力によって、あるいは当該技術において公知の、自動車の現在のドライバのアイデンティティを決定するための任意の方法によって決定され得る。ステップ503および504に従ったコスト値の動的な決定の代わりに、以前決定され格納されたコスト値が、例えばメモリ22から検索され得る。
【0111】
ステップ505において、現在位置から目的地へのルートが、自動車ナビゲーションシステムによって決定され、ルートの道路区分に関連したコストを最小にする。最小にされるべきコストは、例えば、ドライバによって決定され得る。ルート決定は、例えば、燃料消費量に関連するコストに加えて時間あるいは任意の他のコスト標準を考慮する。従って、最も燃料効率のよいルート、最もエネルギ効率のよいルートあるいは最小のCO排出量に導くルートが決定され得るのみでなく、様々なコスト標準の間のトレードオフを最適化するルートを計算することも可能である。ルート決定は、Viterbiサーチアルゴリズム、Aアルゴリズム等のような、当該分野で公知の任意の方法によって実行され得る。これらのアルゴリズムは、動的な交通情報と使用するために適合され得る。アルゴリズムは、ルートの道路区分に関連するコストが最小になるルートを探索する。
【0112】
ただ1つのルートが決定され得る、あるいは、最小の全コストを有する所定の数のルートが決定され得、ドライバが選択するために提供され得る。次のステップ506では、決定されたあるいは選択されたルートに沿ったルートガイダンスが開始される。本実施形態の方法によって、ドライバは、最も燃料効率のよいルートに沿って導かれ得、その結果として、自動車の動作コストおよび環境汚染が低減される。
【0113】
本発明の特定の実施形態が、本明細書に開示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得る。本実施形態は、すべての点において非限定の例示として考えられるべきであり、添付の特許請求範囲の意味および均等物の範囲内に入るすべての変更は、それらの中に包括的にとらえられるように意図されている。
【符号の説明】
【0114】
20 ナビゲーションシステム
201 走行データ
202 自動車サブシステムモデル
203 ドライバモデル
204 機能ユニット
205 交通データ
206 データソース
207 道路/通りモデル
208 機能ユニット
209 ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路区分に対する自動車(1)の推進力関連動作パラメータを推定する方法であって、該方法は、
該道路区分に対して提供された情報に基づいて、少なくとも該道路区分に対する該自動車(1)の第1の動作パラメータを推定するステップと、
該第1の動作パラメータに基づいて、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップであって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、ステップと
を含み、
該少なくとも1つの自動車特有パラメータは、
該自動車(1)が動作中に、少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータ間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、
該少なくとも1つの自動車特有パラメータを、該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび該関係に対する該走行データから決定することと
によって決定されている、方法。
【請求項2】
前記推進力関連動作パラメータは、燃料消費量、エネルギ消費量および二酸化炭素(CO)排出量のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記道路区分に対する前記第1の動作パラメータは、該道路区分に関して可変である関数値を用いた時間あるいは距離の関数として推定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の動作パラメータは、前記道路区分に対して推定された前記自動車(1)の速度、および該道路区分に対して推定された該自動車(1)の加速度のうちの少なくとも1つである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記道路区分に対して提供された情報は、道路区分タイプ、道路区分クラス、該道路区分に対して許容された最大速度、該道路区分のタイプに対して決定された平均速度、該道路区分に対する目標速度、該道路区分に対する形式パラメータ、該道路区分に対する傾斜、および該道路区分に対する現在の交通情報(205)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の動作パラメータの前記推定は、前記自動車(1)のドライバに対して決定された走行挙動(203)にさらに基づく、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
所定の自動車動作パラメータの間の所定の関係は、複数の自動車サブシステムモデル(202)のそれぞれに対して提供されており、少なくとも1つの自動車特有パラメータは、該関係に基づきそれぞれのサブシステムモデルに対して決定されており、該決定された自動車特有パラメータは、前記推進力関連動作パラメータの推定のために考慮されている、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記自動車サブシステムモデル(202)は、車輪のモータへの結合に対するモデル、アップ/ダウンシフトの間のスリップに対するモデル、該自動車のモータから要求されるトルクに対するモデル、およびアイドリングに対するモデルのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの自動車動作パラメータのために走行データが獲得され、該少なくとも2つの自動車動作パラメータは、速度、加速度、ブレーキ圧力、モータトルク、モータ回転スピード、係合しているギア、燃料消費量、燃料タンクの充填レベル、および走行状態を含む群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの自動車特有パラメータは、トランスミッション比、ローリング抗力係数(C)、空気力学的抗力係数(C)、抗加速抵抗係数(C)、ブレーキ抵抗係数、減速のブレーキ摩擦、クラッチ動作スピード係数、アイドリング時の燃料消費量、アイドリング時のモータ回転スピード、登坂抵抗、および前記自動車のモータの効率を含む群から選択された自動車特有特性に比例する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの自動車動作パラメータに対して獲得された走行データにおける異なる走行フェーズを識別することをさらに含み、各走行フェーズに対して、少なくとも1つの自動車特有パラメータが決定される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
各識別された走行フェーズは、前記それぞれの走行データから決定された一組の自動車特有パラメータに関連しており、前記推進力関連動作パラメータを推定する場合、該識別された走行フェーズに対して決定された該自動車特有パラメータが考慮される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
識別され得る前記走行フェーズは、アイドリングフェーズ、加速フェーズ、定速走行フェーズ、平坦走行フェーズ、減速フェーズ走行、およびブレーキ適用走行フェーズのうちの少なくとも1つを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの自動車特有パラメータは、統計的パラメータ推定手順あるいはパラメータ最適化手順を用いて決定される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記推進力関連動作パラメータの前記推定は、
前記第1の動作パラメータ、少なくとも1つの自動車特有パラメータの第1のパラメータ、および対応する関係に基づいて、前記道路区分に対する前記自動車のモータの回転スピードを推定するステップと、
該第1の動作パラメータ、該少なくとも1つの自動車特有パラメータの少なくとも第2のパラメータ、および対応する関係に基づいて、該道路区分に対する該自動車の該モータによって生成されるべきトルクを推定するステップと、
該推定されたモータ回転スピード、該推定されたモータトルク、該少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第3のパラメータ、および対応する関係から、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップと
を含む、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第1の動作パラメータは、前記自動車の前記速度であり、前記推進力関連動作パラメータの前記推定は、
前記速度、前記少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第1のパラメータ、および対応する関係に基づいて、前記道路区分に対する該自動車の走行抵抗の合計を推定するステップと、
該推定速度、該推定走行抵抗、前記少なくとも1つの自動車特有パラメータのうちの少なくとも第2のパラメータ、および対応する関係から、該道路区分に対する該推進力関連動作パラメータを推定するステップと
を含む、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記推定推進力関連動作パラメータに対応するコスト値を、前記道路区分に、あるいは該道路区分のクラスまたはタイプに割り当てるステップを含み、該コスト値はさらなるルート計算のために提供されている、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
自動車ナビゲーションシステムにおいてルートを計算する方法であって、該方法は、
該ナビゲーションシステムのデータベースから道路区分を検索するステップであって、該道路区分は、請求項1から17のうちの1つの方法に従って決定される推進力関連動作パラメータに対応しているコスト値に関連しており、該コスト値は、個別の道路区分あるいは道路区分の異なるタイプあるいはクラスに関連している、ステップと、
該推進力関連動作パラメータに対応する該コスト値を考慮して、出発点から目的地へのルートを決定するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
自動車ナビゲーションシステムにおいてルートを計算する方法であって、該方法は、
所定の道路区分に対する現在の交通情報を受信するステップと、
請求項1から17のうちの1つの方法に従って該所定の道路区分に対する推進力関連動作パラメータの推定を実行するステップであって、該推定は、該現在の交通情報を考慮する、ステップと、
該所定の道路区分に対して推定された該推進力関連動作パラメータに対応するコストを考慮する目的地へのルートを決定するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
自動車のためのナビゲーションシステムであって、該ナビゲーションシステムは、
自動車センサシステム(1−14)へのインターフェイスを提供するインターフェイスユニット(26)と、
道路区分に対して提供された情報に基づいて、該道路区分に対する該自動車の少なくとも1つの第1の動作パラメータを推定することと、該第1の動作パラメータに基づいて該道路区分に対する推進力関連動作パラメータを推定することとによって、該道路区分に対する該自動車の該推進力関連動作パラメータを推定するように適合された処理ユニット(21)であって、該推定は少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮している、処理ユニット(21)と
を含み、該処理ユニット(21)は
該自動車(1)が動作中に該インターフェイスユニットを介して少なくとも2つの自動車動作パラメータに対する走行データを獲得することと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータの間の所定の関係を提供することであって、該関係は該少なくとも1つの自動車特有パラメータを考慮する、ことと、
該少なくとも2つの自動車動作パラメータおよび関係に対する該走行データから該少なくとも1つの自動車特有パラメータを決定することと
によって、該少なくとも1つの自動車特有パラメータを決定するようにさらに適合されている、ナビゲーションシステム。
【請求項21】
前記処理ユニットによって決定された前記少なくとも1つの自動車特有パラメータ上に格納するように適合されたデータベース(22)をさらに含む、請求項20に記載のナビゲーションシステム。
【請求項22】
前記処理ユニットは、請求項1から19のうちの1つに従った方法を実行するように適合されている、請求項20または21に記載のナビゲーションシステム。
【請求項23】
コンピューティングデバイスの内部メモリにロードされ得るコンピュータプログラム製品であって、該製品は、該製品が実行されるときに、請求項1から19のうちの1つの方法を実行するためのソフトウェアコード部分を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項24】
コンピューティングデバイス内のデータキャリアを使用する場合に制御情報が請求項1から19のうちの1つの方法を実行するように構成された、格納された電子的に読み取り可能な制御情報を有する電子的に読み取り可能なデータキャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−190895(P2010−190895A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32641(P2010−32641)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】