説明

揺動体装置、光偏向装置、及びそれを用いた光学機器

【課題】面倒となり易い加工などを要することなく振動系の振動子の回転軸回りの慣性モーメントを可逆的に変化させことができる揺動体装置、これを用いる光偏向装置を提供する。
【解決手段】揺動体装置は、回転軸70の回りに揺動可能に支持された振動子40を含む振動系と、振動子40を回転軸70の回りに揺動させるための駆動手段とを有する。振動子40には、形状記憶合金部10を含む形状可変部60が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動可能に支持された振動子を有する揺動体装置、それを用いた光偏向装置、それを用いた画像形成装置、ディスプレイなどの光学機器に関する。この光偏向装置は、例えば、光スイッチ、バーコードリーダ、光の偏向走査で画像を投影するプロジェクションディスプレイや、電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置などの光学機器に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、光偏向装置として、反射面を持つ振動子を正弦振動させて光を偏向する光走査系が種々提案されている。共振現象を利用して正弦振動を行う光偏向器を用いた光走査系は、ポリゴンミラー等の回転多面鏡を使用した光走査光学系に比べて、次の様な特徴がある。すなわち、光偏向器を大幅に小型化することが可能であること、消費電力が少ないこと、特に半導体製造プロセスによって製造される単結晶シリコンからなる光偏向器は理論上金属疲労が無く耐久性にも優れていること、等の特徴がある。
【0003】
この様な共振現象を利用した光偏向器は、所望の駆動周波数に対応して、目標とする固有振動モードの共振周波数が決められており、これを良好に製造する方法が幾つか提案されている。
【0004】
1つの提案では、次の如き技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術では、図7に示す様に、ねじり軸に揺動可能に弾性支持された反射面とコイルを有する振動子の両端に質量負荷部1001、1002を形成したプレーナ型ガルバノミラーが用いられる。このガルバノミラーの質量負荷部1001、1002にレーザー光を照射することで、質量を除去し、慣性モーメントを調整して共振周波数を所望の値にする。
【0005】
また、樹脂で代表される質量片を振動子に塗布して、前記と同様の原理で、共振周波数を調整する技術もある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002-40355号公報
【特許文献2】特開2004-219889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術による共振周波数調整では、振動子に質量片を接着して質量を増加させたり、振動子を削って質量を減少させたりすることで、振動子の慣性モーメントを変化させ、結果として共振周波数を調整している。
【0007】
しかしながら、こうした方法では、一旦、質量調整操作を行なった後にその操作を取り消したい場合、元の状態に戻すことは容易ではない。そのため、正確に周波数を合わせるためには少しずつ質量を変化させねばならず、調整時間が長くなり易い。また、共振周波数の調整範囲が大きいと、調整に長い加工時間を要しがちである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明の揺動体装置は、回転軸の回りに揺動可能に支持された振動子を含む振動系と、振動子を回転軸の回りに揺動させるための駆動手段とを有し、振動子に、形状記憶合金部を含む形状可変部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題に鑑み、本発明の光偏向装置は、前記揺動体装置を含み、前記振動体に、光ビームを偏向・走査するミラーなどの光偏向素子が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題に鑑み、本発明の光学機器は、光源と、前記光偏向装置と、感光体や画像表示体などの照射対象物を有し、光偏向装置は、光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を照射対象物上に入射させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、形状記憶合金部を含む形状可変部を振動子に設けたので、面倒となり易い加工などを要することなく振動子の回転軸回りの慣性モーメントを可逆的に変化させることができる。従って、共振周波数などを可逆的に比較的簡易に調整することができ、一旦調整した振動系の共振周波数などを元のものに戻すこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の揺動体装置の実施形態は、基本的に、回転軸の回りに揺動可能に支持された少なくとも1つの振動子を含むと、振動子を回転軸の回りに揺動させる駆動手段とを有し、振動子に、形状記憶合金部を含む形状可変部が設けられている。前記形状可変部は、振動系全体の重心を回転軸上に正確に位置決めして回転軸回りの振動系の慣性モーメントのバランスを良くする為に、好ましくは、回転軸を挟んで対称に一対設けられるのが良い。
【0013】
前記形状可変部は、形状記憶合金部と該形状記憶合金部で保持された質量部を含んで構成されたり、形状記憶合金部のみを含んで構成されたりする。前者の場合、例えば、図1や図3に図示される様に、複数の形状記憶合金部の間に質量部が保持され、両端の形状記憶合金部の外端が振動子に固定される構成を採り得る。後者の場合、例えば、図4に図示される様に、形状可変部が形状記憶合金部のみを含む構成を採り得る。
【0014】
前記形状記憶合金部の変形で、質量部の位置が回転軸と直交する方向に移動されたり、形状記憶合金部の重心が回転軸と直交する方向に移動されたりするので、回転軸回りの振動系の慣性モーメントを可逆的に調整できる。形状記憶合金部の形状は、場合に応じたものを用いればよい。例えば、針金状などの線状や板状などの形状が可能である。
【0015】
また、振動系は、1つの振動子を含む構成でもよいし、図5に示す様に、複数の振動子を含み、1つの振動子に形状可変部が設けられ、他の振動子に光偏向素子が設けられる構成などでもよい。
【0016】
前記構成により、共振周波数を可逆的に比較的簡易に調整できるので、振動系は共振振動可能に容易に構成され得る。
【0017】
前記構成の揺動体装置を含み、振動体に、光ビームを偏向・走査するミラーなどの光偏向素子が設けて、光偏向装置を構成することができる。また、光源と、前記光偏向装置と、感光体や画像表示体などの照射対象物を設けて、画像形成装置や画像表示装置などの光学機器を構成することができる。ここでは、光偏向装置は、光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を照射対象物上に入射させる。
【実施例】
【0018】
以下、図に沿って本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1は、本発明による共振型揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例1の平面図であり、図2はその斜視図である。
【0019】
本実施例の振動系では、図1に示す様に、平板状の振動子40がねじりバネなどの弾性支持部70で片持ち梁式に支持され、振動子40は、弾性支持部70により規定される回転軸の回りに揺動可能である。振動子40は、一対の弾性支持部70で両持ち梁式に支持されてもよい。振動子40上には、回転軸を挟んで対称に一対の形状可変部60が設けられている。各 形状可変部60は、一対の針金状の形状記憶合金部10と円板状の質量部30を有し、形状記憶合金部10の内端に質量部30が固着され、形状記憶合金部10の外端はハンダ等の接着剤50で振動子40に固定されている。
【0020】
一対の形状記憶合金部10は、バネ機構の如く、図1(A)の縮んだ状態と図1(B)の伸びた状態の間で変形可能である。この変形により、質量部30は、回転軸に直角な方向に振動子40上を移動する。これにより、振動子40全体の回転軸回りの慣性モーメントを変化させることができる。形状記憶合金部10の縮んだ状態は、例えば、真っ直ぐに伸びた針金状の形状記憶合金に外力を加えたり適切に加熱したりすることで実現可能である。伸びた状態は、図1(A)の縮んだ状態のものを変態点ないし転移温度以上の温度に加熱することによって実現可能である。これらの間の状態も、針金状の形状記憶合金に適切に外力を加えたり適切に加熱したりすることで実現可能である。形状可変部60の質量部30と接着剤50の部分は、位置を逆転して設けることもできる。この場合、形状記憶合金部10の伸びた状態では、質量部30が振動子40の面上から外に出る様になってもよい。
【0021】
図2に、磁石130と駆動用コア160に卷回された駆動コイル140からなる駆動手段を示す。駆動コイル140に駆動電源150から電圧を印加することにより、駆動用コア60から発生する磁界と振動子40上の磁石130の間の電磁力により振動子40を機械的に共振させることができる。磁石130と駆動コイル140の配置は逆にすることもできる。ここでは電磁式駆動手段を示したが、駆動手段としては、静電式、圧電式などの方式もある。静電式では、対向して駆動電極を設け、駆動電極に印加する変調電圧による静電引力で振動子を揺動させる。圧電式では、振動子を揺動可能に支持する支持部などに設けられる圧電素子に印加する変調電圧による振動エネルギーで振動子を揺動させる。振動子は、前述した様に、典型的には共振振動可能に構成されるが、意図的に共振周波数から外した周波数で振動させることもできる。
【0022】
振動子40は表面に光偏向素子である反射ミラーを有し、図2に示す様に、レーザーダイオードなどの光源から入射するレーザービーム110を反射して偏向・走査する。図2では形状可変部60は示されていないが、振動子40の表面と裏面の少なくとも一方に、図1に示す様に設けられる。
【0023】
形状可変部60の機能を説明する。形状記憶合金部10によるバネ機構は、前述した様に、変態点以上の温度への加熱によって形状記憶合金部10が縮んだ状態から伸びた状態になる。図1(A)の縮んだ状態と図1(B)の伸びた状態で質量部30が移動する距離をΔrとし、伸びた状態での質量部30の回転軸からの距離をrとする。質量部30の質量をmとすると、形状記憶合金部10が伸びた状態での質量部30の慣性モーメントI1と縮んだ状態での慣性モーメントI2は、夫々、以下の式で表される。
1=m×r2
2=m×(r+Δr)2
【0024】
他方、振動子の共振周波数fは、回転軸回りの慣性モーメントIと弾性支持部のバネ定数kで次の様に表される。
f=√(k/I)/2π
従って、慣性モーメントが夫々I1、I2であるとき、次の様な周波数で振動子40は共振可能となる。尚、ここでは、図1(B)の状態と図1(A)の状態の振動子40全体の回転軸回りの慣性モーメントを夫々I1、I2とする。
1=√(k/I1)/2π
2=√(k/I2)/2π
【0025】
本実施例では、以上の様なメカニズムで、形状記憶合金部10が縮んだ状態の共振周波数f2と伸びた状態の共振周波数f1の間で可逆的に振動系の共振周波数を連続的或いは離散的に調整できる。また、形状可変部60が振動子40の回転軸に対して対称に配置されているので、振動子40の動作中の回転軸ずれ等の影響を無くすことができる。
【0026】
本実施例によれば、形状記憶合金部を含む形状可変部を設けたので、面倒となり易い加工などを要することなく振動子の回転軸回りの慣性モーメントを可逆的に変化させることができる。従って、振動系の共振周波数を可逆的に比較的簡易に調整することができ、一旦調整した振動系の共振周波数を元の状態に戻すこともできる。よって、共振周波数の調整時間を比較的短くしたり、共振周波数の調整範囲を比較的柔軟に設定したりすることができる。また、振動子が動作している間は質量部移動機構に制御をかけないで構造的に安定な状態を保つことができ、電気的ノイズ等に対する耐性も高いものとできる。
【0027】
(実施例2)
図3は、本発明による共振型揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例2の平面図である。
【0028】
本実施例では、図3に示す様に、質量部30を挟んで保持した2つの針金状の形状記憶合金部10、20を含む可逆なバネ機構の形状可変部60が、振動子40の回転軸を挟んで対称に一対設けられている。質量部30を固着した側とは反対側の形状記憶合金部10、20の端は、夫々、ハンダ等の接着剤50で振動子40に固定されている。
【0029】
図3(A)に示す形状可変部60の状態では、形状記憶合金部10は縮んだ状態にあり、形状記憶合金部20は伸びた状態にある。この状態では、質量部30が振動子40の回転軸から(r+Δr)の距離の位置にある。ここで、形状記憶合金部10を変態点以上の温度に加熱するとこれが一方向に伸びて、伸びた状態の形状記憶合金部20に力が加わりこれを伸びた状態から縮んだ状態へ変化させる。これによって、図3(B)に示す様に、形状可変部60の質量部30がΔrだけ振動子40の回転軸の側に移動する。
【0030】
逆に、図3(B)に示す状態で、形状記憶合金部20を変態点以上の温度に加熱すると、今度は形状記憶合金部20が伸びて形状記憶合金部10が縮み、図3(A)に示す状態に戻る。こうして、質量部30が振動子40の回転軸から(r+Δr)の距離の位置に戻る。この様にして、可逆的に質量部30の移動が可能になる。図3(A)に示す状態と図3(B)に示す状態の間の状態は、針金状の形状記憶合金部10、20に適切に外力を加えたり適切に加熱したりすることで実現可能である。本実施例でも、形状可変部60が振動子の回転軸に対して対称に配置されているので、振動子40の動作中の回転軸ずれ等の影響を無くすことができる。その他の点は、実施例1と同様である。
【0031】
本実施例によっても、形状記憶合金部を含む形状可変部を設けたので、面倒となり易い加工などを要することなく振動子の回転軸の回りの慣性モーメントを可逆的に変化させることができる。従って、振動系の共振周波数を可逆的に比較的簡易に調整することができる。
【0032】
(実施例3)
図4は、本発明による共振型揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例3の平面図である。
【0033】
本実施例では、図4に示す様に、一方向にのみ変化する針金状の形状記憶合金部10のみを含む可逆なバネ機構の形状可変部60が、振動子40の回転軸を挟んで対称に一対設けられている。本実施例では、質量部は用意せず、一本の形状記憶合金部10のみで形状可変部60を構成している。
【0034】
針金状の形状記憶合金部10の上部の略半分が曲がった図4(A)に示す状態と、針金状の形状記憶合金部10の下部の略半分が曲がった図3(B)に示す状態とでは、形状記憶合金部10の針金全体の重心位置が異なる。形状記憶合金部10の針金全体の重心の移動量をΔr、質量をmとすると、上述した様に振動子40の共振周波数の変化を可逆的に行なうことができる。例えば、図4(A)に示す状態は、1本の直線状に伸びた針金状の形状記憶合金を図示の様に変形することで実現でき、図4(B)に示す状態は、図4(A)に示す状態の形状記憶合金を変態点以上の温度に加熱することで実現できる。図4(A)に示す状態と図4(B)に示す状態の間の状態は、針金状の形状記憶合金部10に適切に外力を加えたり適切に加熱したりすることで実現可能である。その他の点は、実施例1と同様である。
【0035】
本実施例によっても、形状記憶合金部を含む形状可変部を設けたので、面倒となり易い加工などを要することなく振動子の回転軸の回りの慣性モーメントを可逆的に変化させることができる。従って、振動系の共振周波数を可逆的に比較的簡易に調整することができる。
【0036】
(実施例4)
図4は、本発明による共振型揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例4の振動系の部分の構成を示すブロック図である。
【0037】
本実施例では、図4に示す様に、振動系は、揺動可能に支持された第1の振動子201と第2の振動子202を有する。振動子201と振動子202は、ねじりばね211で直列に連結され、第2の振動子202と支持部221は、ねじりばね212で連結されている。こうした構成では、例えば、2つのねじれ共振振動数fと2fの成分を合成した振動子201の揺動運動を実現できる。fと2fの成分を適切な位相と振幅の条件で合成することで、反射ミラー付き振動子201に、比較的広い等角速度範囲を有する揺動運動を行わせることができる。
【0038】
本実施例では、第1の振動子201の表面に反射ミラー230が設けられ、光源から入射する光ビームを反射して偏向・走査する。第2の振動子202には、一対の形状可変部60と駆動手段の一部をなす永久磁石が設けられる。
【0039】
ここでは、反射ミラー230と一対の形状可変部60が設けられる振動子が異なるので、余り制限を受けることなく反射ミラー230と形状可変部60を夫々の振動子201、202上に配置することができる。形状可変部60の働きや振動系の駆動方法は前記実施例と同様である。
【0040】
本実施例によっても、形状記憶合金部を含む形状可変部を設けたので、面倒となり易い加工などを要することなく振動系の回転軸の回りの慣性モーメントを可逆的に変化させることができる。従って、振動系の共振周波数を可逆的に比較的簡易に調整することができる。
【0041】
前記実施例において、形状記憶合金はNi−Ti系が一般的であるが、これは100℃以下で転移するため、変態点の温度を高くするためにはPbなどで置き換え、転移温度を高めてもよい。その他にも、鉄−マンガン−珪素合金の鉄系形状記憶合金などを用いてもよく、場合に応じて適切なものを用いればよい。何れにせよ、形状記憶合金は、組成を変更することで任意の温度以上になった場合に予め設定した形状に変形する性質を持つので、その性質を利用して形状可変部を構成すればよい。
【0042】
また、接着剤は転移温度でも変質しないものを選択する必要がある。転移温度が100℃程度ならばエポキシ系でも用いることができるが、数百度のときはセラミックス系を用いることになる。図6は、図4と同様の構造のイメージを具体的に表したものである。
【0043】
(実施例5)
図7は、本発明の光偏向装置を用いた光学機器に係る実施例5を示す概略斜視図である。ここでは、光学機器として画像形成装置を示している。図7において、3003は本発明の光偏向装置であり、本実施例では入射光を1次元に走査する。3001はレーザー光源である。3002はレンズ或いはレンズ群であり、3004は書き込みレンズ或いはレンズ群、3005はドラム状の感光体である。
【0044】
レーザー光源3001から射出されたレーザー光は、光の偏向走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けている。この強度変調光は、レンズ或いはレンズ群3002を通って、光走査系(光偏向装置)3003により1次元的に走査される。この走査されたレーザー光は、書き込みレンズ或いはレンズ群3004により、感光体3005上に画像を形成する。
【0045】
走査方向と直角な方向に回転軸の回りに回転される感光体3005は、図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を走査することによりその走査部分に静電潜像が形成される。次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部分にトナー像が形成され、これを、例えば、図示しない用紙に転写・定着することで用紙上に画像が形成される。
【0046】
本発明の光偏向装置3003により、所望の周波数に良好に調整された光走査系を用いることができる。従って、振幅増幅率の高い状態で駆動可能であるため、小型・低消費電力とできる。また、実施例4の様に複数の振動子を持つ振動系を有する光偏向装置を用いれば、光の偏向走査の角速度を感光体3005上の仕様範囲内で略等角速度とする様なことも容易にできる。更に、本発明の光偏向装置を用いることにより、安定的に鮮明な画像を生成できる画像形成装置とできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例1の振動系の部分を示す平面図である。
【図2】実施例1の斜視図である。
【図3】本発明の揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例2の振動系の部分を示す平面図である。
【図4】本発明の揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例3の振動系の部分を示す平面図である。
【図5】本発明の揺動体装置を用いた光偏向装置に係る実施例4の振動系の部分を示す図である。
【図6】図4と同様の構造のイメージを具体的に表した図である。
【図7】本発明の光偏向装置を用いた光学機器に係る実施例5を示す概略斜視図である。
【図8】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
10、20 形状記憶合金部
30 質量部
40、201、202 振動子
60 形状可変部
70、211、212 弾性支持部(回転軸)
130 駆動手段(磁石)
140 駆動手段(駆動コイル)
150 駆動手段(駆動コア)
230 光偏向素子(反射ミラー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回りに揺動可能に支持された振動子を含む振動系と、前記振動子を前記回転軸の回りに揺動させるための駆動手段とを有し、
前記振動子に、形状記憶合金部を含む形状可変部が設けられていることを特徴とする揺動体装置。
【請求項2】
前記形状可変部は、前記回転軸を挟んで対称に一対設けられていることを特徴とする請求項1記載の揺動体装置。
【請求項3】
前記形状可変部は、形状記憶合金部と前記形状記憶合金部で保持された質量部を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の揺動体装置。
【請求項4】
複数の形状記憶合金部の間に前記質量部が保持され、両端の形状記憶合金部の外端が前記振動子に固定されていることを特徴とする請求項3記載の揺動体装置。
【請求項5】
前記形状可変部は、形状記憶合金部のみを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の揺動体装置。
【請求項6】
前記振動系は複数の振動子を含み、1つの振動子に前記形状可変部が設けられ、他の振動子に光偏向素子が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の揺動体装置。
【請求項7】
前記振動系は共振振動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の揺動体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の揺動体装置を含み、
前記振動体に、光ビームを偏向・走査する光偏向素子が設けられていることを特徴とする光偏向装置。
【請求項9】
光源と、請求項8記載の光偏向装置と、照射対象物を有し、
前記光偏向装置は、前記光源からの光を偏向し、該光の少なくとも一部を前記照射対象物上に入射させることを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−258468(P2009−258468A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108613(P2008−108613)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】