説明

搬送処理方法

【課題】物品の箱出しや箱入れをする際に安全性・安定性・作業性・経済性などを確保することのできる搬送処理方法を提供する。
【解決手段】
出入口22が開放保持された箱21を搬送ラインの箱出し操作部41にて上下反転させる。これで箱21外に出た横長姿勢の物品11を出発走行部51から姿勢変換部61まで搬送する。姿勢変換部61では、横長姿勢の物品11を縦長姿勢に姿勢変換し、それを処理作業部71〜73へ搬送して処理する。処理後の物品11を箱入れ操作部81まで搬送し、ここから箱配置部92側へ押し込む。箱配置部92では、押し込まれた縦長姿勢の物品11を開放状態の出入口22より箱21内に受け入れる。その後、物品入りの箱21を箱配置部92外へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装ないし梱包の技術分野に属するものであり、より詳しくは、内部処理および/または外部処理を目的として処理対象の物品を箱出し搬送したり箱入れ搬送したりするときに、それを合理的に実現することのできる有用で有益な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工業包装や商業包装などの包装(梱包)は、物品の輸送・保管などに際してその物品の価値や状態を保護するため、当該物品に施されるものである。したがって包装に求められる典型的な機能の一つは内容物の保護である。加えて、物品取扱い時の利便性を確保することや内容物に関する適正な情報を提供することも包装の重要な機能である。このほか経済性・環境性・作業性・衛生性・安全性・品質なども包装に求められる。
【0003】
物品の包装技術については周知のとおり、全自動やその他を目標にした合理化のための開発が間断なく行われており、その結果、省力化や作業性をはじめとする多くの成果を収めている。かかる包装技術については搬送ラインを主体にしたものが多くみられる。その一つは包装ラインが生産ラインと直結しているもの、他の一つはこの二つのそれぞれにラインが別立てになっているものである。これらには独自の適応性があるので、それぞれ適応する分野において有効利用されている。これに関する先行技術としては、下記の特許文献1〜2に示すものがすでに公知である。
【0004】
【特許文献1】特開2008−018943号公報
【特許文献2】特開2008−105759号公報
【0005】
包装(梱包)された物品は通常、最終目的地に配送されたときや使用するときに包装を解かれて取り出されるものである。とはいえ特殊事情や特別要請がある場合は、使用前であっても包装を解かれることがある。たとえば箱詰め物品が飲料入りボトルであってそれが輸入品などというとき、内容物(飲料)の品質チェック・充填量チェック・王冠部へのシール付加などを目的としてボトルが箱出しされたりする。
【0006】
上記のケースで箱出しされたボトルは、飲料の充填量が適正であることを確認した上で王冠部にシールを施し、それから再度箱詰めする。再度箱詰めされたボトルはその後、保管とか出荷とかのような通常の扱いを受ける。ちなみに省資源・省エネルギ・エコロジーなどを踏まえた容器包装の取り組みや現状を参照してみると、これはかねてより「リサイクル(recycle)=再生利用」「リユース(reuse)=再使用」「リデュース(reduce)=ゴミ減量」「リフュース(refuse)=購入拒否」などの4R運動が推進されており、それがエンドユーザに至るまで広く浸透している。したがって上記ケースのように、新規包装を排しながら元の箱を有効活用してこれにボトルを箱詰めするということは、4R運動の理念に適う望ましい実例といえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
保護その他を目的として箱詰めされている物品を使用前に箱出しするという技術、しかもそれを搬送ラインの利用で行うという技術は、皆目といってよいほどみられない。これを技術的に確立するときは、もちろん安全性・安定性・作業性などを満足させることが望ましい。しかしながら、かかる技術に関する参照事項が既存の技術にみられないから、これには難度の高い技術上の創意工夫が要求される。それに現状がこのような状況下にあるとき、この種の箱出し搬送処理手段として合理的なものを実現して提供することは、包装ないし梱包の技術分野においてきわめて重要といえる。
【0008】
上記において指摘した事項は箱出し後の物品を元の箱に入れる場合にも共通する。とくに元の箱を再使用する場合は、トラブルなく物品を箱入れするだけでなく、箱の強度低下や外観の見劣りをできるだけ回避して新規包装に匹敵するぐらいに保持することが望ましい。
【0009】
さらに箱出しや箱入れのための搬送ラインについては、経済性の観点から、イニシャルコストやランニングコストをより低減できるものが希求される。
【0010】
本発明はこのような技術上の課題に鑑み、物品の箱出しや箱入れをする際に安全性・安定性・作業性・経済性などを確保することのできる搬送処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(01)本発明の第1課題解決手段は、所期の目的を達成するための箱出し搬送処理方法として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち本発明の第1課題解決手段に係る箱出し搬送処理方法は、
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、箱内に収納されて胴部周側面を箱の出入口側に向けている物品を内部処理および/または外部処理するために箱から出してライン搬送する方法において、
物品を箱出しするための箱出し操作部と、物品を出発走行させるための出発走行部と、物品の姿勢を変換させるための姿勢変換部と、物品を内部処理および/または外部処理するための処理作業部とが順次装備されている搬送ラインを用いること、および、
物品入りの状態にある箱について、物品を箱から出す前の段階で箱の蓋を開けて箱の出入口を開放状態に保持しておくこと、および、
物品入り状態かつ出入口開放状態において出入口を上面側にした箱について、その箱内物品の長さ方向に沿う軸心線が搬送ラインに対して交差するように箱の向きを保持して搬送ラインの箱出し操作部にセットすること、および、
搬送ラインの箱出し操作部において、出入口がその反対面よりも低くなるまで箱を上下反転させて箱の出入口を搬送ラインの出発走行部に対応させるとともに、この際の上下反転で箱外に出てくる横長姿勢の物品を、その横長姿勢のまま出発走行部に乗せて搬送ラインの姿勢変換部まで搬送すること、および、
搬送ラインの姿勢変換部において、横長姿勢の物品を姿勢変換手段により縦長姿勢に姿勢変換し、その縦長姿勢になった物品を姿勢変換部から搬送ラインの処理作業部まで搬送すること、および、
搬送ラインの処理作業部において、縦長姿勢の物品に内部処理および/または外部処理を施すことを特徴とする。
(02)本発明の第2課題解決手段は、所期の目的を達成するための箱入れ搬送処理方法として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち本発明の第2課題解決手段に係る箱入れ搬送処理方法は、
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、内部処理および/または外部処理を終えてライン搬送されてくる物品を箱に入れる方法において、
搬送ラインとして、物品を内部処理および/または外部処理するための処理作業部と、物品を箱入れするため箱入れ操作部とが順次装備されているとともに、物品用の箱入れ操作部に対応して箱を配置しておくための箱配置部が装備されているものを用い、かつ、物品用の箱入れ操作部にはこれに連なる箱用の供給部を装備しておくこと、および、
搬送ラインの処理作業部において内部処理および/または外部処理が施された縦長姿勢の物品を、その処理作業部から搬送ラインの箱入れ操作部まで搬送すること、および、
搬送ラインの箱入れ操作部まで搬送された縦長姿勢の物品について、箱の出入口寸法を上回ることのない数のものを当該箱入れ操作部の押し込み手段で箱配置部側へ押し込むこと、および、
物品が押し込まれてくる箱配置部には、その押し込みに至るまでの段階において、出入口を開放状態に保持してその出入口を箱入れ操作部側に向けた箱を箱用の供給部から供給して配置しておき、かつ、上記において箱配置部側に押し込まれた縦長姿勢の物品を開放状態の出入口より箱内に受け入れること、および、
物品を入れた後の箱を箱配置部外へ搬送することを特徴とする。
(03)本発明の第3課題解決手段は、所期の目的を達成するための箱出し箱入れ搬送処理方法として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち本発明の第3課題解決手段に係る箱出し箱入れ搬送処理方法は、
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、箱内に収納されて胴部周側面を箱の出入口側に向けている物品を内部処理および/または外部処理のために箱から出してライン搬送し、かつ、内部処理および/または外部処理を終えてライン搬送されてくる物品を箱内に入れる方法において、
請求項1に記載された箱出し搬送処理方法と請求項2に記載された箱入れ搬送処理方法とを処理作業部の共有状態においてライン結合しておくこと、および、
請求項1および請求項2に記載の手段で物品の箱出しから物品の内部処理および/または外部処理を経て物品の箱入れまでを行うとともに、物品を入れた後の箱を箱配置部外へ搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る箱出し搬送処理方法は下記(11)〜(16)のような効果を有する。
(11)搬送ラインの箱出し操作部にセットされた物品入り状態の箱は、これを反転させるだけのきわめて簡単な操作でよく、それで箱内の全物品を一挙に搬送ラインへ送り出すことができるから、たとえばロボットハンドのようなマニピュレータで物品を一つ一つ箱出しする場合に比し、円滑かつ迅速な箱出し性を確保することができる。しかも箱出し時、物品を縦長姿勢(起立状態)でなく横長姿勢(倒伏状態)にするから、搬送ラインで物品が転倒することのない安全性や安定性も得られ、物品のライン転倒に起因した事故の発生を防止することができる。
(12)上記のようにして箱出しされる箱内物品は、その長さ方向に沿う軸心線が搬送ラインと交差しているのでライン脱落しがたく、各物品の前後関係(前後順位)も自然と折り合いをなして成立するようになる。これはライン脱落の起こりがたい物品搬送性や取り扱いの容易な物品整列性が、格別の手段を要せずして確保できるということである。もちろんこの種の物品脱落がないときは、それに基づく安全性や安定性によって、事故のないライン作業が確かなものになる。ちなみに長さ方向の軸心線が搬送ラインと平行するときの物品は、搬送ラインの側方へ転がりやすいためにライン脱落が起こりやすく、それに複数の物品が同一順位で併走したりすることがあるので、物品を一つ一つ取り扱う際に困難をきわめるが、上記のようにするときは、このような事態が回避できる。
(13)上記において円滑性・迅速性・安定性・整列性をもって箱出しされた横長姿勢の物品は、搬送ラインの出発走行部から姿勢変換部に至り、この姿勢変換部を経ることで横長姿勢から縦長姿勢(起立状態)に姿勢変換される。一般に、搬送ラインにおいて物品の処理を行う場合、とくに縦長姿勢を常態とする物品の処理を搬送ラインで行う場合、搬送ラインの物品が低姿勢(横長の倒伏状態)であったりすると、その低姿勢に起因して物品の処理難度が増す。これに対し、上記のように姿勢変換して横長姿勢の物品を縦長姿勢にするときは、事後の内部処理や外部処理を物品の縦長姿勢において容易に行うことができる。さらに安定性や整列性をもって物品が搬送されてくる姿勢変換部では、その安定性や整列性に依存して姿勢変換を確実に行うことができる。
(14)上記の姿勢変換部を通過することで縦長姿勢になった物品は、搬送ラインの処理作業部で内部処理および/または外部処理が施される。これは処理の容易な物品の起立状態において行うものであるから、誤作動やその他、トラブルの発生しがたい状況下で所要の処理作業を完遂することができる。
(15)上述した搬送ラインの各部について、箱出し操作部は物品入り状態の箱を上下反転させるだけの簡易構成でよく、姿勢変換部も物品の搬送性を利用して横長姿勢のものを縦長姿勢にするという構成のもので足りる。一方で処理作業部に必要な処理手段は、起立状態にある物品に対応して搬送ラインに設備すればよいものであるから、ライン整合性がとりやすく、搬送ラインに難なく組み付けることができる。かかる相乗効果として、箱出し搬送処理方法を実施するための装置構成が安価になり、それによってイニシャルコストを低減させることができる。
(16)上述した搬送ラインの各部について、箱出し操作部の場合は物品入り状態の箱を上下反転させるだけの小動力でよく、姿勢変換部の場合は横長姿勢の物品を縦長姿勢にするだけの小動力である。さらに処理作業部にある処理手段は、自明のとおり、その処理用の処理力さえあればよいものである。これは搬送ラインで稼働する各部が少ない上にそれぞれの動力源も小さくてよいのであるから、搬送処理方法を実施する際のランニングコストを低減させることができる。加えて、作業の多くを自動化して行うことができるから、作業員の削減など省力化の点でも貢献することができる。
【0013】
本発明に係る箱入れ搬送処理方法は下記(17)〜(19)のような効果を有する。
(17)物品が押し込まれてくる箱配置部には、その押し込みに至るまでの段階において、開放状態の出入口を箱入れ操作部側に向けた箱が箱用供給部から供給かつ配置されるものである。一方、搬送ラインの処理作業部で処理された縦長姿勢の物品は、これが箱入れ操作部まで搬送されたとき、箱の出入口寸法を上回ることのない数のものが箱配置部側へ押し込まれる。しかもその際の物品は箱の出入口寸法を上回ることのない数のものである。これはすなわち、箱入れ操作部と箱配置部において物品と箱とが相対的な「姿勢」「方向」「体積:容積」などをマッチングさせて対峙し、その状態で物品が箱入れされるものである。こうした場合は双方がマッチングしていることにより、物品を無理なく安定して箱入れすることができ、箱入れミスによる箱または物品の損傷や、その種の箱入れミスに起因した事故の発生を防止することができる。
(18)搬送ラインの処理作業部で処理された縦長姿勢の物品はそのままの姿勢で箱入れ操作部に送られ、箱入れ操作部における物品はそのままの姿勢で箱配置部側へ押し込まれる。これは物品姿勢を変えることなく箱入れするのであるから、搬送ラインでの物品に無駄な動きがない。一方で物品を待ち受ける箱は物品の受け入れ体勢がとりやすいものである。さらに処理作業部に必要な処理手段は、既述のとおり、起立状態にある物品に対応して搬送ラインに設備すればよいものであるから、ライン整合性がとりやすく、搬送ラインに難なく組み付けることができる。これは箱入れ搬送処理方法を実施するための装置構成が簡潔で合理的なものになり、それによってイニシャルコストを低減させることができる。
(19)上述したように搬送ラインは簡潔化されていて無駄がない。そのライン上の各部も、箱入れ操作部は物品を押し込むだけの小動力でよく、箱配置部は単純に箱を供給配置するだけの小動力である。さらに処理作業部にある処理手段は、既述のとおり、その処理用の処理力さえあればよい。したがって、これらの相乗効果として搬送処理方法を実施する際のランニングコストを低減させることができる。加えて、作業の多くを自動化して行うことができるから、作業員の削減など省力化の点でも貢献することができる。
【0014】
本発明に係る箱出し箱入れ搬送処理方法は下記(20)〜(21)のような効果を有する。
(20)既述の箱出し搬送処理方法と箱入れ搬送処理方法とを組み合わせたものであるから、物品の箱出しから箱入れまでを行うというときに、上記(11)〜(19)のような諸効果をすべて得ることができる。
(21)箱内物品をいったん箱から出し、これに所定の処理を施した後、処理済み物品を再度元の箱に入れるというとき、この一連の作業を単一の搬送ラインですべて実施することができるから、かかる作業能率や作業合理化をより一層はかることができ、また、箱出し箱入れ各方法を単独実施する場合に比し、作業員の削減数も倍以上にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る搬送処理方法についてその実施形態を添付の図面に基づき説明する。この図示の実施形態は本発明搬送処理方法の一例にすぎないものである。さらにいうと、この図示の実施形態のものは、「箱出し搬送処理方法」と「箱入れ搬送処理方法」とが組み合わされた「箱出し箱入れ搬送処理方法」に関するものである。
【0016】
図1〜図2において、11は本発明方法において取り扱われる物品を示し、21は本発明方法において取り扱われる箱を示す。
【0017】
図1を参照して明らかなように、物品11は起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になるものである。この物品11の具体的一例として図1に示されているのは飲料容器である。したがって図1の物品11には、その胴部12の上方に口13があってそこに栓14が施されている。ちなみに口13の外周面には雄ネジがあり、キャップ状をなす栓14の内周面にはその雄ネジ対応した雌ネジがある。この物品11の栓14の上から口13の下部にわたっては、後述するシール部材15が後付けされる。
【0018】
上記のような縦長姿勢や横長姿勢になる物品11は、図1のものだけに限定されるわけではない。したがってこの物品11についてはつぎのようなものをあげることができる。その一つは図示のような容器やその他の容器(図示せず)からなるものであり、他の一つは容器以外の中空体からなるものである。さらに他の一つは、棒状・柱状・ブロック状などの充実体(無空体)からなるものである。物品11の主要部の横断面形状(物品11の長さ方向に沿う軸心線と直交する断面形状)は、真円や楕円などの円形・三角形以上の多角形・面取りされた多角形・各種の異形など、これらのうちのいずれかである。物品11は周知材料から選択された任意材料からなる。それはプラスチック・ゴム・金属・木材・紙(とくに段ボールのようなボール紙)・布(とくに硬質のもの)・硝子・セラミック・セメントなどのうちのいずれからなり、または、それらのうちの二つ以上の材料を複合化した複合材からなる。図1に例示された物品(飲料容器)11の場合は、代表的一例としてプラスチック製である。
【0019】
図2において同図(イ)(ロ)に例示された箱21は直方体容器または立方体容器のいずれかである。箱21については、少なくともその一つの面に開閉自在な出入口22を有しているものであればよい。その一つの面と出入口22との関係についても、箱21の態様いかんでは全面開放式の出入口構造が採用されたり部分開放式の出入口構造が採用されたりする。典型的な一例でいうと、箱21は、前後両面とか左右両側面とかまたは上下両面とかのように、一対の面に出入口22を有している。その一対の面にある各出入口22は、それぞれ一つの面を全開することのできる一面全開式(一面全開型)であることが多い。図示例の箱21はこのような一面全開式の出入口22を有していてその出入口開閉用の蓋23をも備えている。箱21は、また、上記一対の面で説明したように、蓋23付き出入口22の反対側にも同じような蓋付き出入口22を有しているものである。箱21と蓋23の関係でいうと、図示例のものは蓋23が箱21と一体になっていてフラップ型をしている。具体的には蓋23は、出入口22の四辺に連続する四枚のフラップからなる。フラップ型の蓋23については、一枚のフラップで出入口22を閉じることができるものであってもよいし、二枚のフラップで出入口22を閉じることができるものもであってもよい。周知のとおり、一枚フラップからなる蓋23は出入口22の一辺に連続するものであり、二枚フラップからなる蓋23は出入口22の互いに対向する二辺に連続するものである。箱21と蓋23は別体であってもよい。箱21と別体である場合の蓋23は、たとえば箱21の出入口部に被せるタイプのキャップ型であったり、または、箱21の出入口部内に嵌め込むタイプのキャップ型であったりする。箱21も周知の材料からなる。その典型例として段ボール製の箱21をあげることができる。このほか木製(例:ベニヤ板のような合板製)・プラスチック製・金属製などの箱21もあげることができる。段ボール製の箱21の場合には、その任意の一面(例:上面)に開口(開封)用の切開線24が施されることもある。切開線24は一例としてミシン目と称される破線状の小孔で形成されるものである。切開線24のある箱21は周知のとおり、切開線24の箇所に所定値以上の力を加えて破断することにより、その箱21の上面を開けることができる。
【0020】
物品11と箱21との相対関係でいうと、箱21の大きさ(容積)は、箱21内に詰め込まれる物品11の大きさ(体積)や数量で定まるものである。概していえば、箱21内に入れられる物品11は単数または複数のいずれかである。そのうちで、一つの箱21に一物品のみを入れるというときの物品11は応分の大きさがあり、箱21はこの一つの物品11を受け入れただけで満杯になる。一つの箱21に複数の物品11を入れるというときは、その複数の物品11を受け入れることで満杯になる。複数の物品11を箱詰めするときは、また、物品数量の多寡にかかわらず、箱内空間を無駄に消費しないように整然と箱詰めされる。それは物品11の数量と箱21の大きさとの関係で、物品11が一列状態で箱詰めされたり、二列状態で箱詰めされたり、さらには三列以上の多列状態で箱詰めされたりするものである。図2を参照して明らかなように、このような態様で箱21内に入れられ物品11は、その胴部12の周側面(外周面)を箱21の出入口22側に向けているものである。
【0021】
図3は本発明方法の実施に用いられる本発明装置(本発明システム)の一例を略示したものであり、これは以下のようなライン構成になっている。
【0022】
図3において、31は始点側のターミナル部、32〜33は複数の始点搬送路、41は箱出し操作部、51は出発走行部、61は姿勢変換部、71〜73は複数の処理作業部、81は箱入れ操作部、91は箱用の供給部、92は箱配置部、101は箱閉じ部、111は終点搬送路、112は重量測定部、113は終点側のターミナル部をそれぞれ示す。
【0023】
図3に略示した各部のうちで、始点側のターミナル部31は、作業用の荷台として一般に用いられる物品積載用のパレットからなるものである。パレットからなるターミナル部31は周知のように、台板やそれを支える複数本の脚などで構成されているものである。その構成材料として金属・木材・プラスチック・複合材料・その他が適材適所で用いられている。
【0024】
図3における複数の始点搬送路32〜33は、始点側のターミナル部31と箱出し操作部41とにわたる物品搬送用の手段になるものである。これはたとえば、ベルトコンベアとかローラコンベアとかのような周知のコンベアからなる。具体的一例として前段の始点搬送路32はフリーローラコンベアからなり、後段の始点搬送路33は駆動ローラコンベアからなる。
【0025】
図3に略示された箱出し操作部41は、たとえば金属かプラスチック(FRPを含む)のいずれかで構成される。その代表的一例は金属製である。かかる箱出し操作部41の詳細が図4〜図5に示されている。図4〜図5を参照して、箱出し操作部41で主体となるのは上下反転自在な箱受体42である。箱受体42は中空の箱体を基準にした場合に上面と後面と一側面とが欠落したような構造をしている。したがって箱受体42は底面部と前面部と一側面部とを有している。箱受体42の前面両側であってその上下中間部には、軸受片43a・43bがそれぞれ設けられている。二つの軸受片43a・43bは貫通孔を有するものである。箱受体42の前面下部中央には連結片44も設けられている。図4〜図5における始点搬送路33の前方両側には、箱受体42を支持するための部材として一対の軸受スタンド45a・45bが床面に設置されている。二つの軸受スタンド45a・45bはそれぞれの上面に軸受46a・46bを有するものである。箱受体用の支軸47は箱受体42の両軸受片43a・43bを貫通してその両端部が両軸受スタンド45a・45bの軸受46a・46bで支持される。かくて箱受体支持状態の支軸47が両軸受スタンド45a・45b間に架設され、この支軸47を支点にして箱受体42が上下反転可能になる。一方で、両軸受スタンド45a・45b間の床面上には、箱受体42の連結片44と対をなす他の一つの連結片48が回転自在に設けられている。箱受体42を上下反転操作させるための動力式の伸縮具49は油圧シリンダまたは空気圧シリンダからなり、それが図示しない圧油供給系または圧縮空気供給系に接続されているものである。動力式伸縮具49はその一端部と他端部とがそれぞれの連結片44・48に連結されて当該両連結片44・48間に介在される。この場合の連結は軸ピンを軸孔に差し込む方式である。したがって動力式伸縮具49の一端部・他端部と各連結片44・48とは回転可能に対応するものとなる。箱受体42は、かかる動力式伸縮具49を伸縮操作することでこれを上下反転させたり復帰させたりすることができる。
【0026】
図3に略示された出発走行部51は、箱出し操作部41と姿勢変換部61との間をつなぐ搬送路からなる。一例として出発走行部51は、箱出し操作部41から姿勢変換部61に向けて下り勾配をなすスロープ型搬送路からなり、断面凹形のようなチャンネル形状をしている。図4〜図5を参照して明らかなように、出発走行部51の上端部両側にはその両側壁52a・52bの上面から一段と高く突出する高側壁53a・53bがあり、出発走行部51のスロープ面には、複数本たとえば二本〜四本程度の平行したレール54が敷設されている。レール54において細幅のレール面(上面)は出発走行部51のスロープ面よりも高い位置にある。このようなレール54は、一例として周知のアングル材を出発走行部51のスロープ面上に取り付けることで構成することができる。出発走行部51については、ここを移動する物品11の寸法(長さ)に応じて幅(スロープ幅)の調整できるような態様が望ましい。そのような場合は図6に略示するように、出発走行部51の一側壁52aまたは他側壁52bあるいは両側壁52a・52bを、公知ないし周知のスライド調整手段で出発走行部51の幅方向に移動調整できるようにすればよい。この場合はレール54も、サイズの異なる物品11にそれぞれ対応させるべく本数を増やしたりする。図示例における出発走行部51と前記箱出し操作部41との関係では、もちろん箱出し操作部41が出発走行部51よりも高位にある。それで箱出し操作部41の箱受体42が上下反転したとき、その反転した箱受体42の先端部が出発走行部51の上端部の上に重なるようになっている。箱出し操作部41と姿勢変換部61とにわたる出発走行部51は水平型のものであってもよい。そのような場合は、駆動式のベルトコンベアとか駆動式のローラコンベヤとかが採用される。
【0027】
図3に略示された姿勢変換部61が図6〜図9に明示されている。図6〜図9を参照して明らかなように、姿勢変換部61を構成している部品ないし部材で主たるものは、溝車62と姿勢変換用のメインガイド部材63と姿勢変換用のサブガイド部材64とサポート部材65と通路部材66と直線型の搬送路68である。この搬送路68はラインの始点と終点の間にあるから、中間搬送路のようにいうこともできる。上記各部材のうちで、搬送路68を除く各部材63〜67は、一例として、金属製またはプラスチック製(FRP製を含む)のいずれかである。概していえば金属製であることが多い。これらの部材63〜68うちで搬送路68は駆動式のベルトコンベアからなり、床面などに設置されるものである。この種の搬送路68は周知のとおり、エンドレスベルトを主体にしたエンドレス回転部・コンベアフレーム・フレーム支持用脚架・コンベア用動力源・コンベア用伝導系などで構成されているものである。搬送路68以外の部材63〜67は、搬送路68を基準にして適所に配置されている。まず、周面に等間隔で多数の溝62aを有する溝車62についていうと、これは搬送ラインと直交する水平な軸62bに取り付けられているものである。溝車62の軸62bは、図示しない原動機(モータ)やその伝導系(歯車伝導系・ベルト伝導系・チェーン伝導系など)を介して回転するものである。溝車62は溝62aのある周面の一部(図7の左側周面部)が前記出発走行部51側を向いている。出発走行部51の先端部(前端部)に対してこのような対応をとる溝車62は、当該溝車中心部のやや上にある溝62aが出発走行部51の先端部と対面するものである。こうして配置された溝車62と上記搬送路68については、溝車62の内側面が搬送路68の搬送ライン方向に沿い、しかも両者が互いに近接しているほか、溝車62の下部が搬送路68の上面よりも低い位置にある。姿勢変換用のメインガイド部材63は板状のものである。メインガイド部材63は、接触式のガイド面として図6〜図7で明らかな傾斜面63aと円弧面63bと平坦面63cとを前面に有するものである。この三面のうちで傾斜面63aと平坦面63cは互いに交差する関係にあり、円弧面63bは傾斜面63aと平坦面63cとの間にあって当該二面63a・63cを円滑に繋いでいる。メインガイド部材63はその表裏面が水平面をなすように配置される。図6〜図7を参照して具体的にいうと、メインガイド部材63は板面が水平に保持される状態で出発走行部51の先端部と溝車62との対向部上面に配置されるものである。メインガイド部材63を図6の平面図でみると略L字状であり、傾斜面63aが搬送路68を斜めに横切り、平坦面63cが搬送路68の搬送ラインに対して平行している。図6を参照してさらにいうと、傾斜面63aは搬送ラインと直交する線分に対して傾斜角度αが45度以下と小さいものであり、平坦面63cは搬送ラインと平行するものである。そしてこれらの間にある円弧面63bは傾斜面63aと平坦面63cとを円滑に繋いでいる。この位置に配置されたメインガイド部材63は、搬送路68のフレームなどに組み付けられた支持部材(図示せず)に取り付け固定されるものである。具体的には、金具止め・溶接・接着など周知の固定手段でメインガイド部材63が支持部材に取り付け固定される。かくてメインガイド部材63が上記所定の位置に取り付けられたとき、物品11の直径を基準にした各部の態様はつぎのようになる。すなわち物品11の直径をDとした場合、前記出発走行部51の先端部(前端部)上面とメインガイド部材63の下面との間には、その[D]をやや上回る程度の空間が介在する。姿勢変換用のサブガイド部材64は板状部分を主要部とするものである。その場合の板状部分は長くて分厚いのものである。サブガイド部材64においてその長さ方向に沿う一方の内面隅部は、丸く面取りされた面取部64aになっている。サブガイド部材64は、面取部64aをメインガイド部材63の円弧面63b側に向けた縦長姿勢で溝車62と搬送路68との間に配置されるものである。この部位に配置されたサブガイド部材64も、その周辺のフレームや支持部材などに既述の手段で取り付け固定される。上記と同様に、物品11の直径をDとしてサブガイド部材64と上記メインガイド部材63との関係を図6の平面図でみた場合、この両者の対向部間には[D×1]よりも大きく、かつ、[D×2]よりも小さい空間が介在する。具体的にいうと、この空間は[D]を10〜30%程度上回るものであることが多い。物品11の縦長姿勢を支持するためのサポート部材65は、分厚い板状あるいはブロック状のものである。サポート部材65の一つの面には、縦長の凹曲面65aとこれに隣接する平坦面65bとが形成されている。サポート部材65は、凹曲面65aや平坦面65bを有する面がサブガイド部材64側を向いて立ち上がるように、搬送路68上に配置されるものである。すなわちサポート部材65の場合は、凹曲面65aや平坦面65bのある面がサブガイド部材64の内面と対面してその間隔を保持するように、搬送路68上の外側寄りに配置されるものである。この部位に配置されたサブガイド部材64も既述と同様にして取付固定される。かくて装備されたサポート部材65の場合、縦に長い凹曲面65aは、上記メインガイド部材63における円弧面63bのほぼ直下に位置するようになる。これを図6の平面図でみると、搬送路68上における当該二面は、円弧面63bが上位で凹曲面65aが下位という相対関係にある。さらに、図6の平面図でみた上記凹曲面65aと上記平坦面63cとの相対関係では、搬送路68上において凹曲面65aが平坦面63cよりも内側にある。図6〜図7における通路部材66・67は、搬送路68上で縦長姿勢に姿勢変換された後の物品11について、その搬送方向を規制したり調整したり誘導したりするためのものである。いずれの通路部材66・67も帯状や板状などの部材で構成されるが、図示例での通路部材67は通路部材66より長いものである。そのうちで一方の通路部材66は、基端部側の緩傾斜案内部66aと先端部側の直線案内部66bとを有している。通路部材66は搬送路68上において横長態様で配置されるものである。図6〜図7の例でいうと、通路部材66は、サブガイド部材64の下端部に通路部材66の基端部が結合されるという取付態様で上記の所定位置に設けられる。このようにして装備された通路部材66は、おおむね搬送ラインの方向に沿うものであるが、より詳しくはつぎのとおりである。すなわち、上記の装備状態にある通路部材66を図6の平面図でみた場合、搬送ラインに対して非平行関係にある緩傾斜案内部66aは、その緩傾斜案内部66aの先端側がサポート部材65の平坦面65b側に接近する方向へ緩傾斜しており、かつ、搬送ラインに対して平行関係にある直線案内部66bは、サポート部材65の平坦面65bと互いに平行しているのである。これに対する他方の通路部材67は、搬送路68の一側縁に沿う横長態様でその搬送路68の一側縁に配置され、かつ、周知の取付手段でそこに装備されるものである。こうして配置された両通路部材66・67は図示のように互いに対面する。上記において、サブガイド部材64とサポート部材65との間とか、通路部材66の緩傾斜案内部66aとサポート部材65との間とか、さらに両通路部材66・67間とかに介在するそれぞれのスペース(間隔)は、物品11の直径Dをわずかに上回る程度のものである。したがって縦長姿勢の物品11については、二本以上のものが並列状態(横並び状態)で同時にここを通り抜けることができないこととなる。換言すると、姿勢変換部61で後述のごとく姿勢変換された縦長姿勢の物品11については、一列状態でのみ、これらの間を通過できることとなる。姿勢変換部61におけるメインガイド部材63・サブガイド部材64・サポート部材65などは、所要のガイド機能や所要のサポート機能を奏するものであるとき、それぞれが単一部品からなるものでもよいし、複数の部品を組み立て結合することで構成されるものであってもよい。
【0028】
図3において搬送ライン上に装備される処理作業部71〜73は、自明のとおり、物品11を処理対象にして実施するための処理機能を有するものである。その場合の処理についていうと、一つは物品11の内部処理、他の一つは物品11の外部処理、さらに他の一つは内部処理と外部処理との両方である。ちなみに物品11の内部処理は、物品11の内部を対象とする各種処理をいう。具体的には、物品内部の加工処理・物品内部の仕上げ処理・物品内外への物の出し入れ処理(注入・充填・抽出・排出・その他)・物品内部の殺菌処理(非破壊処理も含む)・物品内部の洗浄処理・物品内部の乾燥処理・物品内部の検査処理(非破壊処理も含む)など、公知ないし周知の各種処理をいう。これに対する物品11の外部処理は、物品11の外部を対象とする各種処理をいう。具体的には、物品外部の加工処理(ラベル貼り・包装・容器類の施栓・容器類の封印等も含む)・物品外部の仕上げ処理(表面処理・ラッピング処理等も含む)・物品外部の殺菌処理(非破壊処理も含む)・物品外部の洗浄処理・物品外部の乾燥処理・物品外部の検査処理(非破壊処理も含む)・付属品(交換部品・関連器具・補助用具・景品等も含む)を組み付けたり取り付けたり掛け付けたりするための付属品セッティング処理など、公知ないし周知の各種処理をいう。もちろん物品11の内部処理や外部処理については、ここに例示した以外のものを搬送ライン上に装備してよい。このような処理作業部は、また、搬送ライン上に一つだけ装備されてもよいし、複数のものが装備されてもよい。
【0029】
図3において姿勢変換部61の直後にある処理作業部71は、直線型の搬送路71aとその搬送路71aを挟んで互いに対向する一対の処理機71b・71cとを主体にして構成されるものである。搬送路71aは、前記搬送路68と同様、周知の駆動式ベルトコンベアからなる。この場合の搬送路71aは搬送路68と別体であってもよいし、一つの搬送路を搬送路71aと搬送路68とで兼用するものであってもよい。図示の実施形態における物品11は飲料入りの容器である。これに鑑み、一対の処理機71b・71cとしては容器内の飲料が適正量であるか否かという検査の行えるものが用いられる。このような処理機(検査機)71b・71cについては、光学式のものや超音波式のものなど、公知ないし周知のものが任意に用いられる。物品(容器)内の液体が飲料以外のときはX線検査式のものも用いられたりする。光学式のものは一方の処理機71bが光信号発信系を主体にしたものからなり、他方の処理機71cが光信号受信系を主体にしたものからなる。光学式によるときは周知のとおり、処理機71bの光信号発信系から物品11の液面領域に向けて光信号(例:赤外線ビーム・レーザ光など)が出射されるとともに物品11の液面領域を透過した後の透過光が処理機71cの光信号受信系で受信され、かつ、当該処理機71cでの信号解析処理(電気的ないし電子的な演算処理)により上記内容量の適否が判定される。X線検査式のものは通常、飲料以外の液体入り容器(物品11)について適用される。これは一方の処理機71bがX線照射系を主体にしたものからなり、他方の処理機71cがX線検出系を主体にしたものからなる。X線検査式も周知のとおり、処理機71bのX線照射系から物品11の液面領域に向けてX線が出射されるとともに物品11の液面領域を透過した透過X線が処理機71cのX線検出系で受信され、かつ、当該処理機71cでのX線量解析処理や受信画像解析処理により上記内容量の適否が判定される。超音波式のものは、一方の処理機71bが超音波発信系(発振系)を主体にしたものからなり、他方の処理機71cが超音波反射波の受信系を主体にしたものからなる。超音波式も周知のとおり、処理機71bの超音波発信系から物品11の液面に向けて超音波が発信されるとともに物品11の液面で反射した反射波が処理機71cの受信系で受信され、かつ、この場合における信号の送受信時間解析処理(電気的ないし電子的な演算処理)が当該処理機71cにより行われる結果、上記内容量の適否(液面高さ)が判定される。処理作業部71における両処理機71b・71cについては、いずれか一方の処理機が送信系と受信系とを兼備するときに、その兼備タイプの処理機のみが搬送路71aの片側に配置されたりする。図3において、処理作業部71の直線型搬送路71aには、その先端側に曲線型の搬送路71dが連結されている。搬送ラインの長大化を回避するために用いられる曲線型搬送路71dは、一例として周知のカーブコンベアからなる。
【0030】
図3において処理作業部71の後段にある処理作業部72も、直線型の搬送路72aとその搬送路72aを挟んで互いに対向する一対の処理機72b・72cとを主体にして構成されるものである。この搬送路72aも、前記搬送路68と同様、周知の駆動式ベルトコンベアからなる。物品11が飲料入りの容器である図示の実施形態においては、一対の処理機72b・72cとして、その物品11の施栓状態(キャップ装着状態)を検査して適否を判定するものが用いられる。かかる処理機(検査機)72b・72cの代表的一例としては、公知ないし周知の光学式が用いられる。光学式のものは一方の処理機71bが光信号発信系を主体にしたものからなり、他方の処理機71cが光信号受信系を主体にしたものからなる。この光学式の両処理機72b・72cでは、処理機71bの光信号発信系から物品11の所定部(キャップのある領域)に向けて送信用の光信号が出射されるとともに物品11の所定領域を通過した後の受信用光信号が処理機71cの光信号受信系で受信され、それが解析されてキャップの適否が判定される。その一つは、物品11の口部でのキャップレベル(高さ)検出により、キャップに弛みがあるか否かを判定するものである。他の一つは、キャップのイメージ検出により、キャップに傷や汚損があるか否かを判定するものである。処理作業部72における両処理機72b・72cについても、いずれか一方の処理機が光信号発信系と受信系と光信号受信系を兼備するときに、その兼備タイプの処理機のみが搬送路72aの片側に配置されたりする。図3において、処理作業部72の直線型搬送路72aには、その先端側に曲線型の搬送路72dが連結されている。搬送ラインの長大化を回避するために用いられる曲線型搬送路72dも、一例として周知のカーブコンベアからなる。
【0031】
図3において処理作業部72の後段にある処理作業部73は、直線型の搬送路73aとその搬送路73a上において相互に隣接して配置された複数の処理機73b・73cとを主体にして構成されるものである。この搬送路73aも、前記搬送路68と同様、周知の駆動式ベルトコンベアからなる。図示の実施形態では、物品11の所定部すなわち飲料入り容器の施栓部を封緘することから、両処理機73b・73cとして、ボトルキャップをシールするための手段が用いられる。具体的には、シュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)からなる筒状のシール部材15によりボトル(容器)のキャップ(栓)を熱収縮被包してシールするという装置が用いられる。この場合のシール部材15はキャップ状でもよいし、筒状やキャップ状に類した形状のものでよい。両処理機73b・73cについて図示例のものは、一方の処理機73bがシール部材配給用の処理機で、他方の処理機73cがシール部材熱収縮用の処理機からなる。この種の処理機については公知のものや周知のものが多数存在するので、それらのうちから適当なものを選択すればよい。それで図示例の場合は図10〜図11のような処理機73b・73cが採用されるている。図10に略示されたシール材供給用の処理機73bは、操作アーム73b1と操作ハンド73b2とその制御機構(図示せず)とを主体にして構成されたマニピュレータからなり、操作ハンド73b2が操作アーム73b1の先端部に組み付けられているものである。この一方の処理機73bは搬送路73aの片側または両側に配置されてそこに装備されるが、他方の処理機73cとの関係ではそれよりも前段に配置されるものである。この処理機73bの操作アーム73b1は、制御機構を介したコントロールに基づいて操作ハンド73b2を搬送路73a上に進入させたりそこから退出(復帰)させたりするものである。この場合の操作ハンド73b2も、制御機構を介したコントロールに基づいてシール部材15を掴んだりそれを搬送路73a上の物品11(容器施栓部)に被せたりするものである。処理機73bの他の実施形態として操作アーム73b1は、搬送路73a上と搬送路73a外とにわたって周回させることのできるターンテーブルやエンドレスベルトなどの回転供給体、具体的にはシール部材15のキャッチ&リリース機能を有する回転供給体に変更されてよいものである。これは搬送路73a上と搬送路73a外とにわたって周回する回転供給体が、搬送路73a外においてキャッチしたシール部材15を搬送路73a上でリリースして物品11の所定部(容器施栓部)に被せるというものである。操作ハンド73b2の場合は、たとえば、人工関節のある人工指部の開閉操作でシール部材15を掴んだり放したりする多指型のものとか、または、真空吸引とその吸引解除でシール部材15を吸着したり解き離したりするバキューム型のものとかが適宜採用される。搬送路73aの片側または両側に配置される当該処理機73bは、その搬送路73aに沿って複数基のものが配置されることがある。図11に略示されたシール材熱収縮用の処理機73cは、アーチ型をした基体73c1のアーチ空間内に熱源(例:電気ヒータ)73c2や送風用ファン73c3が装備されたものである。処理機73cについては、これらを総合してトンネル型かつ送風式の熱風発生手段ということができる。かかる処理機73cも搬送路73a上の所定位置に配置されるが、それは処理機73bよりも後段の位置である。具体的には搬送路73aの両側部を跨ぐようにして所定位置に配置される。したがってそこに配置された処理機73cは、搬送路73a上でトンネル型かつ送風式の熱風発生領域を形成することとなる。シール部材15を被された上記物品11が搬送路73a上の処理機73c内を通過するとき、そのシール部材15が後述のごとく熱収縮する。この処理機73bについては、基体73c1内の一側壁または両側壁に熱源73c2や送風用ファン73c3が装備されるものであってもよい。上記物品11に被されたシール材15がこのような処理機73b内を通過するときは、基体73c1内の一側面または両側面から吹きつけられる熱風によって当該シール部材15が熱収縮することとなる。
【0032】
上記熱収縮性のシール部材15は、一般にシュリンクフィルムシールやセキュリティーシール、キャップシールなどの名称で周知のものである。その一例が図1(ハ)に略示されているある。かかるシュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)としては、この技術分野で知られた下記のものが用いられる。それは熱収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム・ポリスチレンフィルム・ポリプロピレンフィルム・低密度ポリエチレンフィルム・中密度ポリエチレンフィルム・高密度ポリエチレンフィルム・低密度直鎖状ポリエチレンフィルム・環状ポリオレフィンフィルム・エチレン−プロピレン共重合体・エチレン−酢酸ビニル共重合体・アイオノマー樹脂・エチレン−アクリル酸共重合体・エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の樹脂から製膜されたポリオレフィン系フィルム・塩素化ポリエチレン・塩素化ポリプロピレンなどの樹脂から製膜された変性ポリオレフィンフィルム・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の樹脂から製膜されたフィルム・アクリル系樹脂系フィルムなどである。シュリンクフィルムの厚さについては10〜70μmの範囲内でよい。シュリンクフィルムは単層であっても複層であってもい。シュリンクフィルムの熱収縮温度は70〜110℃であり、このような熱処理温度域でのシュリンクフィルムの熱収縮時間は10〜30秒程度である。シュリンクフィルムからなる筒状のシール部材15には、図1(ハ)のごとく、開封を容易にするためのミシン目状の切り裂き用線16が形成されていることが多い。
【0033】
図3において処理作業部73の後段にある箱入れ操作部81は、直線型の搬送路73aとその搬送路73a上の端末部側に配置された箱入れ操作機82とを主体にして構成されるものである。このうちで箱入れ操作部81の搬送路73aは、処理作業部73用のものでもあるから、当該搬送路73aは処理作業部73と箱入れ操作部81とで兼用されていることになる。図12に略示されているとおり、搬送路73aにおける一部の領域であって処理作業部73以降の領域には、起立状態で搬送される物品11を前後一列に並べるための複数(二つ)の案内部材73d1・73d2が装備されている。この二つの案内部材73d1・73d2について、一方の案内部材73d1は搬送路73aの一側縁に沿って立ち上がる直線状のものであり、他方の案内部材73d2も搬送路73aの上面から立ち上がるものである。ただし他方の案内部材73d2は屈曲した立面を呈している。搬送路73aをベースにして起立する両案内部材73d1・73d2は互いに対面しているが、搬送路73aの動的部材(コンベア用のベルトなど)には接触していない。二つの案内部材73d1・73d2は、搬送路73aのフレームやその付属物などに直接取り付けられたり、または、アーチ型・ボード型・ブラケット型・スタンド型・コラム型・アーム型・異型など、適当なタイプの取付部材を介してそれらの箇所に取り付けられたりするものである。一例として図12〜図14の実施形態では搬送路73aに装備されたアーチ型の取付部材73eが示されている。両案内部材73d1・73d2の相対関係について図12を参照していうと、一方の案内部材73d1は上記のとおり搬送路73aの一側縁に沿う直線状のものである。これに対して、屈曲した他方の案内部材73d2は、先端部(終端部)側の立面領域が一方の案内部材73d1と平行していて、その基端部側の立面領域が処理作業部73側から一方の案内部材73d1に向けて傾斜しているものである。かかる案内部材73d1・73d2によって、搬送方向に沿う前後一連の通路が搬送路73aの端末部側に形成されるている。すなわち、両案内部材73d1・73d2の基端部間に生じた三角形状の先細通路73f1と、両案内部材73d1・73d2の平行部間に生じた一定幅の細幅通路73f2とが前後一連に形成されている。細幅通路73f2には起立状態の物品11が前後一列状態で通過するだけの幅しかない。したがって細幅通路73f2の幅は物品11の直径に対応するもので、より詳しくは物品11の直径をわずかに上回るものである。細幅通路73f2の幅を物品11の大きさ(外径)に合わせて調整するというときは、たとえば公知や周知のスライド調整手段を介して他方の案内部材73d2を一方の案内部材73d1に向けて移動調整可能に設ければよい。図12〜図14を参照して明らかなように、箱入れ操作機82における主要な構成要素の一つは搬送路73aの端末部上でその幅方向沿いに往復動自在な押し込み操作体82aであり、他の一つは押し込み操作体82aを往復動させるための動力式の往復動機具82bである。一例にすぎない図示の押し込み操作体82aは、図12の平面において骨格部82a1がコ字形をなすものであるため、下記の押出部材82a2・開閉部材82a4・連結部材82a5が平面コ字形に組み立て結合されている。すなわち図示例の骨格部82a1はつぎのとおりである。骨格部82a1の前面部にある押出部材82a2の前面には、搬送路73aの端末部上で整列した所定数の物品11を整列状態のまま押し出すための前壁部材82a3が取り付けられている。前壁部材82a3の前面は平坦面である。骨格部82a1の右側部には、上記細幅通路73f2の先端(端末)側を開閉するための開閉部材82a4がある。開閉部材82a4も右側面は平坦面である。骨格部82a1の左側部にある連結部材82a5の後端には、前壁部材82a3に対して平行するストローク規制用のストッパ82a6が一体に結合されているものである。ストローク規制用である当該ストッパ82a6は、他の一つのストローク規制用ストッパ82a7と対をなすものである。このような両ストッパ82a6・82a7は対面するように配置されて保持されるものである。より具体的にいうと、上下間隔を介在して水平かつ平行な上下複数本(例:二本)のガイド棒82a8・82a9が両ストッパ82a6・82a7間にわたって架設され、それによって両ストッパ82a6・82a7の対面配置状態が保持されている。この場合のガイド棒82a8・82a9は一本であっても三本以上であってもよい。各ガイド棒82a8・82a9は取付部材83の筒管83a1・83a2などを貫通することとなるが、それについては後述する。箱入れ操作機82の他の一つの構成要素である動力式往復動機具82bは、公知ないし周知のものからる。それは油圧シリンダ・空気圧シリンダ・回転カム式往復動機構・ネジ軸式往復動機構などのうちから選択されるものである。具体的一例として動力式往復動機具82bは油圧シリンダまたは空気圧シリンダからなる。したがって、この機具はシリンダ82b1やピストンロッド82b2を備えていて、図示しない圧油供給系または圧縮空気供給系に接続されているものである。箱入れ操作機82の押し込み操作体82aや動力式往復動機具82bは搬送路73a上の端末部側に組み付けられるものである。そのため搬送路73a上の端末部には、当該搬送路73aのフレームやその付属物を利用してそこにボード型・ブラケット型・スタンド型・アーチ型・コラム型・アーム型など適当な取付部材83が取り付けられる。図14など図示例の取付部材83は、下半部83aや上半部83bが板状をしたボード型からなる。取付部材83は起立しているのでスタンド型取付部材ということもできる。取付部材83の下半部83aには、上下間隔をおいて互いに平行する複数(二つ)の孔がある。複数のこの孔は上記ガイド棒82a8・82a9と同数である。図12〜図14から理解できるように、複数のこの孔は、下半部83aそのものを厚さ方向に貫通する貫通孔と、該各貫通孔に通じるようにして下半部83aに取り付けられた筒管83a1・83a2とで形成される。この場合の貫通孔や筒管83a1・83a2は、上記それぞれのガイド棒82a8・82a9と嵌め合い自在に対応するものである。一つの例としてガイド棒82a8・82a9が丸棒のときは、貫通孔が円形孔、筒管83a1・83a2が円筒ないし円管ということになる。他の一つの例としてガイド棒82a8・82a9が断面多角形(角棒)のときは、貫通孔が角形孔、筒管83a1・83a2が角筒ないし角管ということになる。代表的一例でいうと、ガイド棒82a8・82a9が丸棒からなり、貫通孔や筒管83a1・83a2はその丸棒に対応した内部形状を有するものからなる。取付部材83の上半部83bにもこれを厚さ方向に貫通する一つの孔がある。この孔は下半部83aにある上記二つの孔と平行するものである。上半部83bにあるこの孔は部品取付用のものであり、ここには後述のとおり、動力式往復動機具82bのシリンダ82b3が装着されてピストンロッド82b2が貫通する。このほか搬送路73aの端末部(とくに最先端部)側には、その搬送路73aのフレームなどに取り付けられて立ち上がる端末ストッパ73gがある。
【0034】
図12〜図14の押し込み操作体82aや動力式往復動機具82bについてその取付態様を詳述する。取付部材83の下半部83aにある各筒管83a1・83a2内やこれに通じる各孔に対しては、ここを押し込み操作体82aの各ガイド棒82a8・82a9が摺動自在に貫通するものである。一方、取付部材83の上半部83bにある孔には動力式往復動機具82bのシリンダ82b1(シリンダ先端部)が挿入され、それが止金具など周知の固定手段で上半部83bに取り付けられる。この場合に動力式往復動機具82bのピストンロッド82b2は、図14において取付部材83の左側へ突出し、かつ、各ガイド棒82a8・82a9と平行するようになる。図14を参照してさらにいうと、各ガイド棒82a8・82a9やピストンロッド82b2は、その軸方向と直交する線分上においてそれぞれの左端部が揃えられるとともに、それぞれの左端部を一括するようにストッパ82a7が取り付けられるものである。これは連繋部材(連結部材)をも兼ねる単一のストッパ82a7が各ガイド棒82a8・82a9やピストンロッド82b2の各左端部(各一端部)に取り付けられたということである。図14において、取付部材83の下半部83aを貫通してその右側に突出する各ガイド棒82a8・82a9の各右端部(各他端部)にも、上記に準じ、連繋部材(連結部材)を兼ねる単一のストッパ82a6が取り付けられる。ここまでの説明で明らかなように、箱入れ操作機82の場合は一対のストッパ82a6・82a7・各ガイド棒82a8・82a9・動力式往復動機具82bのピストンロッド82b2などの組み立て・組み付け・結合等によって押し込み操作体82aと動力式往復動機具82bとが連動可能に一体化されることとなる。したがって、動力式往復動機具82bのピストンロッド82b2を図14の左右方向にストローク運動させたときは、一方のストッパ82a7が筒管83a1に衝突するまで押し込み操作体82aが右動(前進)するようになるとともに、他方のストッパ82a7が筒管83a1に衝突するまで押し込み操作体82aが左動(後退)するようになる。
【0035】
箱入れ操作部81の主要な構成要素である箱入れ操作機82の場合、その部品や部材の多くは、機械的特性に優れた金属製であるのが通常であるが、合成樹脂製(FRP製も含む)のもので代替できるものについては、それに代えてもよい。また一部の部品や部材が金属製で、他の一部の部品や部材が合成樹脂製ということもあるほか、場合によっては、一部の部品や部材が金属と合成樹脂とを除く材質のものからなることもある。既製品や規格品についてはそれがそのまま採用される。
【0036】
図12〜図14を参照して明らかなように、上記箱入れ操作部81や後述する箱配置部92には、これらに関連する装備品として箱用の出入口操作機84や箱用の接触式保持具85が付帯するものである。出入口操作機84や接触式保持具85については、箱入れ操作部81の構成要素、箱配置部92の構成要素、または、独立した構成要素のいずれとみなしてもよい。以下、出入口操作機84や接触式保持具85の構成について説明する。
【0037】
図12〜図14に例示された出入口操作機84は、上下揺動式の操作腕84aや動力式往復動機具84bを主要な構成部品にしている。操作腕84aは上下方向を長さ方向とする長いものである。操作腕84aの上端部側と下端部側にはそれぞれ前方に向けて折れ曲がった部分があり、それらが上位の受動端部(力点部)84a1や下位の能動端部(作用点部)84a2となっている。能動端部84aの前面には軟質のパッド84a3が取り付けられている。動力式往復動機具84bも前記動力式往復動機具82bで述べた公知ないし周知ものが採用される。具体的一例として動力式往復動機具84bの場合も油圧シリンダまたは空気圧シリンダからなる。ゆえにこの機具もシリンダ84b1やピストンロッド84b2を備えていて、図示しない圧油供給系または圧縮空気供給系に接続されている。出入口操作機84の上下揺動式操作腕84aや動力式往復動機具84bは、前述した箱入れ操作部81や後述する箱配置部92に対応して組み付けられるものである。そのため前記搬送路73aの端末部または後述する箱配置部92には、前記と同様、アーチ型・ボード型・ブラケット型・スタンド型・コラム型・アーム型・異型など、適当な形状構造の取付部材が所定位置に取り付けられる。その具体的一例として、搬送路73aの端末部側のフレームに取付部材86が取り付けられる。この具体的一例での取付部材86は逆L字形に屈曲したメインアーム86aを主要部材とするものであり、このメインアーム86aに対し、周知の固定手段(溶接・接着・金具止めなど)で小さな取付板86bや逆凹形の取付腕86cが組み付けられている。このうちで取付板86bは上下揺動式操作腕84aや動力式往復動機具84bを装備するためのものであるが、取付腕86cは後述するとおり接触式保持具85を取り付るときに活用される。メインアーム86aの取付態様や当該メインアーム86aに対する取付板86b・取付腕86cの組付態様は、図12〜図14を参照してつぎのとおりである。逆L字形のメインアーム86aは、これの下端部が搬送路73aの端末部(先端側のフレーム)に取り付けられて上方に立ち上がっている。図12で明らかなように、この取付態様におけるメインアーム86aの水平で細長い上端部は、前記箱入れ操作部81と後記箱配置部92との境界部上方にあって搬送路73aの長さ方向に沿うものとなっており、しかも搬送路73aの端末部最先端側からその搬送路73aの逆搬送方向へと突出している。取付板86bは、メインアーム86aの上端部最先端に取り付けられている。より具体的にいうと、取付板86bは、その板面が搬送路73aの搬送方向と直交する姿勢でメインアーム86aの上端部最先端に取り付けられている。取付腕86cは図12のように、メインアーム86aの上端部と交差するように取り付けられて後記箱配置部92側へ突出している。取付板86bの板面には、チャック式・クランプ式・ネジ込み式など適当な周知方式の取付治具86b1が付設されている。動力式往復動機具84bは、かかる取付治具86b1を介して取付板86bの板面に取り付けられている。取付板86bの板面には、また、軸ピンのような支点部材84a4を介して操作腕84aが揺動回転自在に取り付けられている。この場合において支点部材84a4は、操作腕84aにおける上下両端部間の中央よりも少し上位側に偏った箇所を貫通してそこを操作腕84aの揺動回転用の支点にしている。これは操作腕84aの重心よりも高い位置に揺動回転用の支点があるため、自重の働きで操作腕84aの能動端部84a2が常に下側になる傾向を示すものである。取付板86bの取付板面上における操作腕84aと動力式往復動機具84bとの相対関係はつぎのようなものである。操作腕84aの上端部である受動端部84a1と、動力式往復動機具84bのピストンロッド84b2とは互いに対向して接触している。図には明示されていないが、ピストンロッド84b2の先端部には調整ネジ(例:ボルト)がねじ込まれていてその調整ネジがピストンロッド84b2の先端面から突出している。したがって操作腕84aの受動端部84a1がピストンロッド先端の調整ネジと接触しているのである。このようにしてピストンロッド84b2と接触した操作腕84aは図14のごとく傾斜している。傾斜した操作腕84aについては、能動端部84a2が上記の理由で図14の時計回り方向へ回転する傾向にあるから、受動端部84a1がピストンロッド84b2との接触状態を保持するようになる。後述する内容との関係で操作腕84aについていうと、開放状態の出入口22を箱入れ操作部81側に向けた箱21が箱配置部92にあるとき、操作腕84aの能動端部84a2が箱21の出入口22(出入口22のほぼ上辺中央)を指向するという位置に当該操作腕84aが配置されているものである。
【0038】
つぎに接触式保持具85についていうと、これは箱21の上面に接して抑え(押さえ)を効かすものであれば帯状・板状・棒状・ブロック状などいずれの形態でもよいものである。その一例として図12〜図14に示された接触式保持具85は、細長い帯状をしているものである。かかる接触式保持具85は、前述した取付部材86の一部すなわち逆凹形をした取付腕86cの先端下側部に取り付けられて水平な宙吊り状態を呈している。前記箱入れ操作部81と後記箱配置部92との相対関係でいうと、接触式保持具85は箱配置部92側の領域にあって両者81・92の境界部に近接し、かつ、搬送路73aの搬送方向に沿うものとなっている。この場合の接触式保持具85についてじゃ、先端部(図12における右端部)または先端部下面がスキーの橇板のように上方に向けて傾斜とか湾曲とかしているのが望ましい。さらに、接触式保持具85について後述する内容との関係でいうと、開放状態の出入口22を箱入れ操作部81側に向けた箱21が箱配置部92にあるとき、接触式保持具85は、その下面が箱21の上面に接触あるいは近接状態になるものである。
【0039】
上述した接触式保持具85や取付部材86の構成材料は周知材料の場合が多く、たとえば、金属製・合成樹脂製(FRP製も含む)・複合材料製など機械的特性の優れたものからなる。
【0040】
図3を参照して明らかなように、箱用の供給部91と箱配置部92は相互に隣接して一直線状に並んでいる。これらについては図12〜図14にも示されているので、以下の説明においてはこれらの図も参照する。箱用の供給部91も搬送路91aを主体にして構成されている。この場合の搬送路91aはベルトコンベアやローラコンベア(フリー式・駆動式を含む)などのいずれでもよく、その一例としてベルトコンベアが採用されている。しかも搬送路91aは、箱配置部92の搬送路をも兼用するものである。すなわち箱配置部92は、搬送路91aの端末部を利用して構成されているものである。箱用供給部91と箱配置部92は前述した箱入れ操作部81に平行かつ近接して配置されている。これは搬送路73aの端末部側と搬送路91aとが平行かつ近接しているということである。供給部91や箱配置部92には適当なガイド91bのあることが望ましい。これについては図12のように、箱21の案内手段や転落防止手段を兼ねるガイド91bが、搬送路のフレームなどを利用してその外側縁に取り付けられることとなる。前述のとおり、箱配置部92の上方部には水平な宙吊り状態の前記接触式保持具85が存在する。箱配置部92の終端部側には、箱止め用のストッパ92aが装備される。このストッパ92aは図12や図14のごとく、搬送路91aの最先端側に設けられていて搬送路91aの路面よりも高位に突出することを常態としているが、適時、搬送路91aの路面以下に降下させたり転倒させたりすることができるものである。そのためにストッパ92aは、図示しない昇降機構(周知)に取り付けられていたり、または、図示しない回転式起立転倒機構(周知)に取り付けられていたりするものである。ストッパ92aも金属製・合成樹脂製のいずれであってもよい。
【0041】
図3を参照して明らかなように、箱閉じ部101は箱配置部92の後段に位置するものである。箱配置部92と箱閉じ部101との間には、この間をつなぐ連絡搬送路93が介在している。連絡搬送路93も前述した各搬送路と同様のものでよく、その一例としてフリーローラコンベアまたは駆動ローラコンベアが採用されている。箱配置部92から箱閉じ部101に至るまでの間の連絡搬送路102上において物品入り箱21の姿勢を変換するというとき、すなわち出入口22を上向にするために物品入り箱21の姿勢を変換するというとき、連絡搬送路102の中間部または端末部に、手動式または自動式の姿勢変換部が装備される。この姿勢変化部は前記の姿勢変換部61に類した構造のものでよい。その場合の一例である自動式姿勢変化部などは、支点を中心にして所定方向に90度回転する箱受体と、当該箱受体を90回転させたり元に復帰させたりするための動力源とを主体にして構成される。ここでの箱受体としては扁平な板状のものとか断面L字形のものとかが採用され、動力源としては油圧式または空気圧式のシリンダが採用される。手動式の姿勢変化部は上記自動式のものにおいて動力源が省略されることとなる。箱閉じ部101には、物品入り箱21の出入口22を蓋23で閉じて粘着性テープでシールするという箱閉じ機械(図示せず)が装備されている。この箱閉じ機械としては公知のものや周知のものでよい。そのようなケースの一例として、下記の公知文献1〜3などに開示されたフラップ折り込み式のカートンシーラが採用されたりする。
公知文献1:特開平11−321817号公報
公知文献2:特開2002−326761号公報
公知文献3:特開2002−326292号公報
【0042】
図3いおいて、箱閉じ部101の後段には重量測定部112が配置されている。箱閉じ部101と重量測定部112との間にも、この間をつなぐ終点搬送路111がある。この終点搬送路111も前述した各搬送路と同様のものでよく、その一例としてフリーローラコンベアあるいは駆動ローラコンベアが採用されている。重量測定部112についていえば、ここには公知ないし周知の重量計(図示せず)が装備されている。重量測定部112は、その重量計で物品入り箱21を重量計測することにより、物品入り箱21が適切であるか否かをチェックするものである。
【0043】
図3に略示されている終点側のターミナル部113は、前記始点側ターミナル部31と同様、作業用の荷台として一般に用いられる物品積載用のパレットからなるものである。したがって終点側ターミナル部113は、始点側ターミナル部31と実質的に同一かそれに準ずるものである。
【0044】
本発明方法には既述の三つがある。その一つは、箱21内から物品11を出し、それを搬送する過程で物品11に所要の処理を施すというものである。他の一つは、そのような処理を終えた後の物品11を箱21内に入れるというものである。さらに他の一つは、上記の二つが組み合わされているものである。以下、添付の図面を参照してこらの方法を説明する。
【0045】
はじめに図2(イ)に示された箱21についていうと、これは所定数の物品11が充填されたものであり、適用な手段で封緘もされているものである。封緘の一例をあげると、それは箱21の出入口22において複数枚の蓋23を折り込むことで当該出入口22が閉じられており、その折り込み状態(重なり合い状態)の各蓋23が相対接着されて閉蓋状態が保持されているものである。この箱21内に充填されているところの各物品11は、図1(イ)に示されている飲料容器である。
【0046】
図3において、始点側ターミナル部31の上には物品入りの箱21が供給され、それがここからライン上に送り出される。それまでの段階において、物品入りの箱21は蓋23を開けられて出入口22が開放され、かつ、その開放状態が保持される。この際の出入口22の開放では、部分開放と全開とのうちのいずれかが採用される。ちなみに部分開放のときは、出入口22の上部・下部・左部・右部などを基準にして[1/4]〜[3/4]などの範囲内で開放される。具体例には、出入口22の下部から1/2までの範囲を開放するといった態様で出入口22の下半部が開放される。全開のときは自明のとおり、出入口22が全面的に開放される。このような出入口22の開放状態は箱21の態様に応じて適当に保持される。たとえば、脱着式の蓋23の場合はそれを箱21から外したりする。箱21と一体化されたフラップ型の蓋23の場合は、開放状態の蓋23をその状態に拘束して出入口22を閉鎖できないようにする。フラップ型の蓋23で出入口22を部分開放状態しているときは、出入口22を部分的に閉じている一部の蓋21のみを閉じ状態に保持し、残る一部の蓋21を開閉自在な非拘束状態にすることがある。出入口22がこのような状態にあるときに箱21内→出入口22→箱21外へと転がる物品11は、非拘束状態で開閉自在な一部の蓋21を押し開けながら箱21外に出ることとなる。したがって本発明の場合、一部の蓋21が非拘束で開閉自在な状態にある箱21も「開放状態」ということができる。この非拘束状態にある一部の蓋21については、これを開放状態で拘束してもよい。図示の実施形態でいうと、物品入りの箱21は蓋23を開けられて出入口22が全開され、かつ、その全開状態が保持される。もちろんこのとき、箱21は出入口22を上にしている。箱21の出入口開放作業については作業員が手作業で行ってもよいし、機械的な開封手段(図示せず)で行ってもよい。出入口開放後の箱21には、一例として図2(ハ)のような出入口全開保持措置が講じられる。すなわち箱21の出入口全開状態は、それぞれの蓋23が箱21の四つの外面に張り付くように折り返され、その上から抑え付け用の拘束材25が装着されることで保持される。この場合の拘束材25は、箱21に巻き付け可能なものであればいずれのものであってもよく、伸縮性の有無なども問わないから、各種材質の紐・テープ・バンドなどが適宜採用される。その一例として、輪形をしたゴムまたは合成樹脂製の伸縮バンドが採用される。
【0047】
以下、物品11の箱出し作業・処理作業・箱入れ作業・その他を図3の搬送ライン上において実施する。そのために各搬送路は運転状態にあり、所要の処理を行う各処理部もスタンバイの状態にある。
【0048】
既述のように出入口22の全開状態を保持された物品入り箱21は、図3において始点側ターミナル部31から始点搬送路32上へとつぎつぎと乗せられてその後段の始点搬送路33上に乗り移る。この場合の箱送りで先行する箱21と後行する箱21との間隔は適当に設定される。さらに、箱21内にある物品11と搬送ラインとの相対関係では、物品11の長さ方向に沿う軸心線が搬送ラインに対して交差するように箱21の向きが定められている。したがって箱21は、この関係を保持するように始点搬送路32・33上に乗せられて移動していくのである。かかる箱送りで始点搬送路33の終端(先端)に至った物品入り箱21はそこから箱出し操作部41に至る。箱出し操作部41には、図4〜図5に明示するところの箱受体42があり、物品入り箱21はそこに乗り入れる。ちなみに始点搬送路33が動力型のものであるとき、物品入り箱21はその搬送動力によって箱受体42上に乗り入れることとなり、その乗り入れと同時、所定の制御信号を受けた始点搬送路33が一時停止する。一方、こうして物品入り箱21をセットされた箱受体42も、所定の制御信号を受けて運転を開始する。すなわち、図5の動力式の伸縮具49が伸長することで箱受体42の底部が押し上げられるため、当該箱受体42が支軸47を支点にして図5の出発走行部51側に回転する。この箱受体42の回転によって箱21は、底面が出入口22よりも高くなるまで、換言すると、出入口22がその反対面(底面)よりも低くなるまで上下反転し、その状態に至ったときに所定の制御信号を受けた伸縮具49が一時停止する。全開状態にある出入口22が底面側よりも低くなった箱21内からは、すべての物品11が前列から順に自重で転がり出る。転がり出た各物品11は、姿勢変換部61に向けて下り勾配をなす出発走行部51上に乗り、ここを転動しながら滑降して姿勢変換部61側に至る。このときの各物品11は倒れた横長姿勢にあり、各物品11の長さ方向に沿う軸心線は搬送ライン方向と直交状態で交差しているものである。箱受体42が所定方向に回転してから一定時間が経過した後、あるいは、すべての物品11が箱21外に出たという信号が伸縮具49の制御部に入力されたとき、当該伸縮具49が元の状態に収縮するため、箱受体42も旧位に復してつぎに備える。ここで配慮すべき事項として、上記にける始点搬送路33の終端(先端)と箱受体42とは、箱受体42の作動時において両者が互いに干渉しないことを要する。そのため両者間には、適当なスペースが介在されている。これについて、始点搬送路33を搬送ライン方向に沿って揺動するように設けている場合は、物品入り箱21が箱受体42に乗り入れるときに始点搬送路33を箱受体42に近接移動(前進)させたり、その移乗後、始点搬送路33を箱受体42からタイムリーに遊離移動(後退)させたりすることで対処できる。
【0049】
出発走行部51を前進移動した各物品11は、上述したとおり図3の姿勢変換部61側に至る。さらにいうと、箱21外に出たすべての物品11は前後に列をなして姿勢変換部61の直前にまで到達するのである。ここに至った各物品11は姿勢変換部61でつぎつぎと起立状態の縦長姿勢に変換される。これについては図6〜図9を参照して詳述する。図6〜図8において、溝車62は原動機(モータ)からの動力伝達を受けて図7の矢印方向に定速回転しているものである。これらの図で明らかなように、出発走行部51上で横長姿勢を呈して姿勢変換部61の直前にまで至った各物品11は、最前列のものから順に溝車62の溝62a内に入る。この溝62aには一つの物品11しか入らない。これは図7において物品11と溝62aとが正対したときにのみ、その一つの溝62aに一つの物品11が嵌り込むからである。したがって、最前列一番目の物品11が嵌め込み位置一つの溝62a内に嵌り込んだとき、二番目の物品11は、溝車62の回転変位で到来するつぎの溝62aとの正対を待ち、それが生じたときにその溝62a内に嵌り込む。三番目以降の物品11についてもこれと同様である。物品11と溝62aとの相対関係について、図6を参照してさらにいうと、溝62aに対して嵌り込む物品(飲料容器)11の嵌り込み部分は、物品11の栓14側に偏倚している。このような場合、溝62aを基準にした物品(飲料容器)11の重心はその容器底部側にある。したがって当該溝62a内の溝車62の溝62a内については、その容器底部側が自重で下がり物品全体が自然に傾くこととなる。すなわち物品11は、栓14側を上、底部側を下にして立ち上がる傾向を示す。物品11がこのような傾向を示すのに加えて溝車62が所定方向に回転していくと、その回転によって物品11の立ち上がりが助長されるようになり、しかも物品11の嵌り込んだ溝62aが溝車62の頂上付近くまで達するに至っては、物品11が溝62a内から脱して搬送路68上に立つようになる。すなわち横長姿勢から縦長姿勢(起立状態)へという物品11の姿勢変換が完了する。この姿勢変換の過程で物品11の上部側(栓14側)は、図8のごとくメインガイド部材63の傾斜面63aに接触してこれを立ち上がり時のガイドにする。したがって、こうして立ち上がり動作や立ち上がりの方向性を誘導される物品11については、この間の動作が安定する。起立状態(縦長姿勢)になったときの物品11とメインガイド部材63との相対関係では、物品11がメインガイド部材63の円弧面63bのところまで進んでいる。これに引き続いて物品11は、サポート部材65の凹曲面65aにいったん嵌り込んで安定した縦長姿勢を確保する。姿勢変換部61に至る各物品11は、このようしてつぎつぎと縦長姿勢に変換されていく。姿勢変換部61の搬送路68上で縦長姿勢になった物品11は、その後、搬送路68によって処理作業部71側へ搬送される。その際、縦長姿勢の物品11は、サポート部材65の平坦面65bとサブガイド部材64との間を通過しながら搬送路68上の所定位置をスタンドポジションにし、等間隔の一列状態で処理作業部71へと進行していく。物品11が上記のようにして姿勢変換していく一連の過程は、図8において、丸囲いの符号(1〜6)がこれを示している。
【0050】
搬送路68で搬送される縦長姿勢の物品11は、図3における次段の搬送路71a上で処理作業部71の処理を受ける。すなわち物品11は、一対の処理機71b・71cによる処理を受ける。その具体例としては、物品11が飲料入りの容器であるとき、既述の内容を参照して以下のようなものになる。はじめは一方の処理機71bの光信号発信系から物品11の液面領域に向けて光信号光信号が出射される。つぎに物品11の液面領域を透過した後の透過光が処理機71cの光信号受信系で受信される。その後、処理機71cでの信号解析処理により上記内容量の適否が判定される。この内容量チェックのための処理作業において判定結果が「適」のときは、搬送路71aから搬送路71dを経て次段の処理作業部72側へ搬送される。これに対し当該判定結果が「否」のときは通常、つぎのような措置の講じられる。その一つは処理機71cから音および/または光による報知信号が発せられることであり、それによって判定結果の「否」が報知される。他の一つは搬送路71a・71dのいずれかにおいて、判定結果「否」の物品11が排除手段で搬送路外へ排除されることである。ちなみに排除手段は処理機71cからの異常検出信号を受けて作動するマニピュレータからなる。この場合のマニピュレータは、物品11を搬送路外へ押し出すためのプッシュロッド・物品11を搬送路外へ掃き出すためのスイープハンド・物品11を搬送路外へ摘み出すためのピックアップハンドのうちのいずれかを主体にしたロボットハンドからなる。かかる排除手段に代えて、作業員がこの種の物品排除を担当することもある。
【0051】
第1の処理作業部71での判定結果が「適」である物品11は、図3においてそのまま搬送路71a・71dを進行し、つぎなる処理作業部72の搬送路72aに移乗する。具体的一例において飲料入りの容器である当該物品11は、この処理作業部72においても一対の処理機71b・71cでチェック(検査処理)を受けることとなる。一例としてそれは、物品11の栓(キャップ)14に傷や弛みがあるか否かを判定するものである。これにつき以下説明する。はじめは処理機71bの光信号発信系から縦長姿勢にある物品11の所定部(栓14のある領域)に向けて送信用の光信号が出射される。つぎに物品11の所定領域を通過した後の受信用光信号が処理機71cの光信号受信系で受信される。その後、処理機71cでの信号解析により栓14そのものや施栓状態の適否が判定される。この施栓チェック等のための処理作業において判定結果が「適」のときは、搬送路72aから搬送路72dを経てつぎの処理作業部73側へ搬送される。これに対し当該判定結果が「否」のときは、上記内容量チェックの場合と同様である。
【0052】
第2の処理作業部72での判定結果が「適」である物品11は、図3においてそのまま搬送路72a・72dを進行し、つぎなる処理作業部73の搬送路73aに移乗する。具体的一例において飲料入りの容器である当該物品11は、この処理作業部73において施栓部の封緘処理を受けることとなる。そのために処理作業部73に装備されているのは前述の図10〜図11に示した処理機73b・73cである。このうちで前段にある一方の処理機73bは、これの操作アーム73b1や操作ハンド73b2によって、図1(ハ)のごとき筒状またはキャップ状のシール部材15を物品11の施栓部に被せる。熱収縮性フィルムからなる当該シール部材15は、この段階では熱処理前の状態にある。シール材15を被された縦長姿勢(起立状態)の物品11は、搬送路73aにより搬送されながら後段にある他方の処理機73cを通過する。アーチ型をなすこの処理機73cには、そのアーチ空間内に熱源73c2や送風用ファン73c3が装備されている。したがってシール部材15を施栓部に被せた後の物品11がこの処理機73c内を通過するとき、その処理機73c内で熱エネルギを受けたシール部材15が熱収縮して施栓部に密着する。このようにしてシール部材15が施栓部に密着することにより、飲料入りの容器からなる物品11の封緘が完了する。
【0053】
図3において、縦長姿勢(起立状態)の物品11が第3の処理作業部73で所定部を封緘されたとき、当該物品11に対する主要処理が終わりになる。この後、当該物品11は上記搬送路73aでつぎなる箱入れ操作部81側へと搬送される。この箱入れ操作部81には前述の図12〜図14に示した各種機器その他が装備されている。以下物品11の箱入れについて説明する。
【0054】
上記のようにして順次封緘される各物品11は、搬送路73a上において縦長姿勢(起立状態)を保持しつつ箱入れ操作部81へと進行していく。その過程で各物品11は搬送路73aの先細通路73f1や細幅通路73f2を通過するのである。これについてさらにいうと、各物品11は先細通路73f1の案内により細幅通路73f2へと誘導されて細幅通路73f2内に進入し、その細幅通路73f2内で進行方向に一列状態で並ぶ。ここで各物品11が一列状態になるのは、細幅通路73f2の通路幅と物品11の直径とが1:1で対応しているからである。したがって細幅通路73f2内には、複数の物品11が並列状態で同時進入することがない。細幅通路73f2内につぎつぎと進入して一列状態を呈する各物品11は、図12のごとく細幅通路73f2の先端側が開放状態のときのみ、搬送路73aで搬送されて箱入れ操作部81内にまで進入する。これは箱入れ操作部81内からみたとき、先頭から一番目・二番目・三番目…というように各物品11が進入してくるのである。より詳しくは、箱入れ操作部81内における押し込み操作体82aの前面側(前壁部材82a3の前)に各物品11が進入してくるのである。それで、細幅通路73f2の端末部にある端末ストッパ73gに一番目の物品11が接したとき、当該一番目の物品11は、それ以上の進行を端末ストッパ73gにより阻止されるので、搬送路73aの搬送力を受けながらもそこで停止する。二番目の物品11は一番目の物品11に接して同様に停止する。三番目以降の各物品11も前者と同様に停止する。こうして箱入れ操作部81内に進入した所定数の物品11、すなわち、細幅通路73f2の先端から端末ストッパ73gまでの間にある各物品11は、相互に接触した一列状態に並び、その最後尾には、細幅通路73f2内の各物品11が連なることとなる。箱入れ操作部81内に所定数の物品11が進入したか否かについては、たとえば細幅通路73f2を形成している案内部材73d1・73d2や取付部材73eのいずれか一つ以上に取り付けられた検出器(図示せず)を介して検出される。この場合の検出器は公知や周知のものでよいのであり、具体的には、接触式センサを主体にしたものや光学式センサを主体にしたものをあげることができる。接触式センサを主体にした検出器の場合は、細幅通路73f2を通過する際の物品11が接触式センサに触れるので、その数を当該センサで積算(カウント)することにより上記所定数が検出される。光学式センサを主体にした検出器の場合は、細幅通路73f2を通過する際の物品11を光学式センサで読み取ることにより上記所定数が検出される。箱入れ操作部81内に所定数の物品11が進入したことを検出器が検出したとき、その検出信号(例:電気信号)が当該検出器から箱入れ操作機82の制御部(図示せず)に入力され、これに基づいて箱入れ操作機82の往復動機具82bが作動するようになる。一方、往復動機具82bが作動するのと同期または同調して、あるいは、それよりも前、図3の箱配置部92には以下のようにして空の箱21が準備される。
【0055】
上述した各種の処理を受けた物品11は、当初、所定数のものが箱詰めされていて、それが箱21外に出されたものである。その際に箱21は、図2(ハ)のごとく、それぞれの蓋23が箱21の四つの外面に張り付くように折り返され、その上から抑え付け用の拘束材25が装着されて出入口12の全開状態が保持されていたのである。それで上記処理後の物品11を箱に入れるとき、この出入口全開状態にある空の箱21が再使用されるのである。かかる再使用の際、空の箱21の内底部には図2(ニ)のように中敷部材26がセットされる。ちなみにいうと、空の箱21の内底部に凹凸や他の変形が生じていたりするときは、箱入れ時の物品11が転倒したり箱21の内面が傷ついたりするなどトラブルが起こりがちである。中敷部材26は、このような不具合を解消するために空箱21の内底部に敷き込まれるのである。中敷部材26については、適度の強度を有する平面の平滑な薄い材料などが望ましい。それはフィルム状・シート状・板状などのいずれかである。材質面からいえば、紙製のもの(例:ボール紙やラミネート加工紙)・木製のもの(例:薄い合板)・合成樹脂製のもの・金属製のもの・複合材製のものなど、そのいずれかが選択されるである。これについては、また、軟質・硬質・半硬質(軟質と硬質との中間)のいずれであってもよい。これには可撓性を有するものも含まれる。より具体的な例をあげると、プラスチック製で厚さ3mm以下望ましく1〜2mm厚のボードやシートが中敷部材26として採用される。中敷部材26の板面は、通常、箱21の内底部の面積よりもわずかに小さいもの(内底部の面積と実質的に同じ)である。このような中敷部材26は箱21の内外にスムーズに出し入れできる寸法範囲のものといえる。中敷部材26は、後述のようにして箱21内に物品11を詰め込み終えたときに、その箱21内から抜き取ってもよいし、そのまま箱21内に残置してもよいものである。箱21の内底部と大きさがほぼ同等の上記中敷部材26の場合は、箱21内に残置するのに適している。中敷部材26の他の一例はつぎのようなものである。それは、箱21の内底部の幅をH1、箱21の出入口22から後壁内面までの長さをL1、中敷部材26の幅をH2、中敷部材26の長さをL2とした場合に、H2がH1と実質的に同じで、L2がL1よりも大きいというものである。具体的にはL2がL1を2〜10cm程度上回るというものである。このような中敷部材26を箱21内に敷いたときは、中敷部材26の一端部が数cmほど箱21の出入口22外に突出する。箱21の出入口22より一部が突出するこの中敷部材26の場合は、その突出部分を出入口22の段差緩和に活用することで箱外の物品11を箱内へより層円滑に導入することができる。また、その突出部分を把持することで中敷部材26を箱21から容易に引き抜くこともできる。
【0056】
図2(ニ)の空の箱21、すなわち、出入口12の全開状態の保持とか内底部への中敷部材26のセットとかがなされている空の箱21は、既述のとおり、図3の箱出し操作部41で生じた空の箱21が元になっている。それに中敷部材26を仕込み、それを図3の箱用供給部91へ回送することで再使用がはかられるのである。一例として、箱出し操作部41と箱用供給部91とがコンベアを主体にした空箱搬送ライン(図示せず)で連絡されているとき、その空箱搬送ラインの始点部側・途中部・終点部側のいずれか、または、箱用供給部91において、中敷部材26が箱21内にセットされたりする。このほか、空の箱21を箱出し操作部41から箱用供給部91へ回送したり箱21内に中敷部材26をセットしたりすることが作業員により行われることもある。
【0057】
図2(ニ)の空の箱21は、図3において箱用供給部91から箱配置部92に向けて搬送される。この搬送は搬送路91aを介して行われる。一例として搬送路91aが駆動式のものからなるとき、搬送路91aは間欠作動または連続作動をして空の箱21を箱用供給部91から箱配置部92まで搬送する。この搬送開始時において箱配置部92にある空の箱21は、出入口22を図12の箱入れ操作部81側に向けていて、図2(イ)の切開線24のある上面を上に向けている。このような姿勢をした空の箱21については、これが箱配置部92に至ったとき、箱入れ操作部81側から列をなして押し込まれてくる所定数の物品11をその出入口22より受け入れることができるものである。図12を参照していうと、搬送路91aによる空箱搬送が間欠搬送・連続搬送のいずれであっても、空の箱21は箱配置部92の箱止め用ストッパ92aに衝突するまで搬送を受ける。すなわち空の箱21は、箱配置部92において接触式保持具85下に進入しながらストッパ92aに衝突して停止する。この状態に至ったときの空の箱21に対しては、その上面側にある接触式保持具85が抑えを効かせている。箱配置部92に空の箱21が用意されているか否かについては、箱配置部92側の適所に配置された周知の検出器(前記検出器と同様・図示せず)がこれをチェックしている。かかる検出器において、箱配置部92に「空の箱21が存在しない」とか「空の箱21の位置が適切でない」とかいう検出結果が出たときは、その検出信号が箱入れ操作部81の制御部(図示せず)に入力される。したがってこのようなとき、箱入れ操作部81の所定機器(箱入れ操作機82の往復動機具82b)は作動しない。
【0058】
図12〜図14やその他を参照して説明したように、箱入れ操作部81内には箱入れすべき所定数の物品11が用意されており、箱配置部92にも物品11を受け入れるべき空の箱21が用意されている。このように双方の準備が整ったときは、この状態を検出する検出系(図示せず)やその検出系からの検出信号を受けて作動する制御部(図示せず)などを介して、箱入れ操作部81の箱入れ操作機82や出入口操作機84が以下のような操作を開始する。
【0059】
図12〜図14において、箱入れ操作機82が物品箱入れ操作開始前の段階にあるときは、往復動機具82bのシリンダ82b1とピストンロッド82b2とが相対伸長した状態にある。このとき、物品を箱入れするための運転開始信号が箱入れ操作機82に入力されると、すなわち箱入れ操作機82がスイッチオンされると、往復動機具82bの上記伸長状態にあるシリンダ82b1とピストンロッド82b2とが所定ストロークだけ相対収縮する。これはピストンロッド82b2がシリンダ82b1内に没するのであるが、その没する方向が箱配置部92側へ向かう方向と同じであるため、ピストンロッド82b2と一体関係にある押し込み操作体82aも、嵌め合い状態の両ガイド棒82a8・82a9と両筒管83a1・83a2とを案内にして箱配置部92側へ前進する。この前進が開始されるよりも前、箱入れ操作部81内では既述のとおり所定数の各物品11が押し込み操作体82aの前面側に一列状態で並んで箱入れに備えている。ここで説明の便宜上、搬送路73aの搬送方向に平行する物品11の列を縦列とし、搬送路73aの搬送方向に直交する物品11の列を横列とすると、押し込み操作体82aの前面に並んだ各物品11の場合は複数(例:四〜六本)のものが縦列をなし、横列方向が単数(一本)ということになる。前進する上記押し込み操作体82aは、その前面側の前壁部材82a3で所定数の各物品11を箱配置部92側へ押し込む。かかる押し込みによって、箱入れ操作部81内のこれら物品11が箱配置部92側に向けて移動する。それは搬送方向に沿って縦列状態で並んでいた所定数の各物品11が向きを変え、今度は搬送方向と直交する横列方向へ移動していくのである。こうして押し込まれる各物品11は、自明のとおり箱配置部92にある空の箱21内に入る。より詳しくは、所定数の各物品11が上記一列状態のままで空の箱21の出入口22からその内部に同時進入するのである。かかる物品箱入れのときは、押し込み操作体82aと連繋する出入口操作機84が当該物品箱入れを支援することとなる。これは押し込み物品11が箱配置部92側の空箱出入口22に達するよりも前、出入口操作機84の往復動機具84bを作動させることで行われる。この物品箱入れ支援の具体的内容は以下のとおりである。上記押し込み物品11の位置については、周知の位置検出手段や移動時間の計測手段で検出できるほか、上記往復動機具82bのストローク量を読み取ることでも判明する。したがってこの種の適当な手段を講じておき、当該押し込み物品11が空箱出入口22の手前あたりに至ったときに、出入口操作機84の往復動機具84bを作動させる。すなわち、往復動機具84bを作動させることにより、収縮状態にあるシリンダ84b1とピストンロッド84b2とを所定ストローク量だけ相対伸長させる。図14で明らかなように、往復動機具84bはピストンロッド84b2を介して操作腕84aの受動端部84a1と接触している。一方で操作腕84aは、支点部材84a4を支点にして回転するものである。したがって上記伸長時の往復動機具84bはピストンロッド84b2を介して操作腕84aの受動端部84a1を斜め下方に押すこととなる。これにともなって所定方向に回転する操作腕84aは、その能動端部84aを空の箱21の出入口22(出入口22のほぼ上辺中央)に押し当てながらその部分を下から上へと少しだけ押し上げる。このとき、箱配置部92側にある接触式保持具85が空の箱21に対して上面から抑えを効かせるから、空の箱21は浮き上がらず、出入口22の上辺のみが上方に向けて変形する。これで空の箱21出入口22が上下方向に拡張されるのである。ここで一般的な箱21と物品11との関係を参考までに述べると、所定数の物品11を箱詰め完了したときの箱21内にできるだけ余剰空間が残存しないようにするのが通常である。そのために箱21は、内部空間の高さが物品11の高さと等しくなるようにつくられる。このような箱21に対して上記一列状態の各物品11を押し込んで箱入れするとき、物品胴部(円曲面)が箱21の両側辺に引っ掛かることはほとんどないにしても、物品上端部(口部)が箱21の上辺に引っ掛かることは少なからずある。これが原因で箱入れ難度が高いものになる。けれども空の箱21の出入口22を上記のように拡張して物品11の箱入れを行う場合は、機械的な手段で単純に押し込むだけの簡易操作により、上記一列状態の各物品11を支障なく同時箱入れすることができる。さらに望ましいことは、この場合における空の箱21の内底面に中敷部材26がセットされていることである。このような技術配慮がなされているときは、中敷部材26によって箱21の内底面上に平滑面が形成され、それにより箱内所定面の物品スライディング機能や物品安定性が高まるので、上記一列状態の各物品11を空箱21内に押し込むときに、当該物品11の転倒が起こりがたく、また、当該物品11の引っ掛かりで箱21の内面が傷つくことも発生しがたくなる。上記の物品押し込みにおいて、押し込み操作体82aによる箱21内への物品押し込み量は、ピストンロッド82b2のストローク量で定まるものである。それは空箱21の内奥まで物品11を押し込んでいくというのでなく、物品11が出入口22から箱21内に没した時点で押し込み操作体82aの押し込み行程を終えるものである。押し込み操作体82aを介して上記一列状態の各物品11を押し込んでいるときは、また、押し込み操作体82aの開閉部材82a4が細幅通路73f2の先端側(開放端側)を横切るものであるため、当該細幅通路73f2の開放端を遮断する。したがって押し込み操作体82aが押し込み動作をしてるときに、細幅通路73f2の物品11が箱入れ操作部81内に進入することはない。その他に関して、押し込み操作体82aの押し込み動作回数が箱入れ操作機82の制御部(図示せず)でカウントされる。すなわちこれは、操作腕84aのストロークを基準にしてそのストローク回数を積算することにより空の箱21への物品詰め込み量が演算処理されるということである。
【0060】
上記のように箱入れ操作機82の押し込み操作体82aをメインにし、かつ、出入口操作機84の操作腕84aをアシストにして一回目の物品箱入れを終えたときは、それぞれの往復動機具82b・84bが復帰行程に切り替わるために「シリンダ82b1とピストンロッド82b2」や「シリンダ84b1とピストンロッド84b2」が相対収縮する。これで押し込み操作体82aや操作腕84aは旧位に復し、それぞれ次回の物品箱入れ操作に備えることとなる。ただし操作腕84aについては空の箱21に対する所定回数(複数回)の物品箱入れを終えるまで、箱11の出入口22を上下方向に拡張するという状態を維持させてもよい。箱入れ操作機82の押し込み操作体82aが旧位に復したときは、押し込み操作体82aの開閉部材82a4が細幅通路73f2の先端側を開放するので、箱入れ操作部81内には再び所定数の物品11が進入して一列状態で並ぶ。これで二回目の物品箱入れがスタンバイの状態になる。以下、二回目以降の物品箱入れが前記と同様にして所定回数繰り返されることとなる。その際、先行して箱入れされた各物品11は、後続して箱入れされる各物品11によって箱21の内奥へと押し込まれていく。二回目以降における押し込み操作体82aの押し込み動作回数も、前記と同様、箱入れ操作機82の制御部でカウント(積算)される。かくて箱配置部92上の箱21内には、これを満杯にする数量の物品11が詰め込まれることとなる。箱21内に満杯数量の物品11が詰め込まれたときは、箱入れ操作機82が既述の検出系や制御部などに基づいて自動制御機能を奏するため、この箱21に対するそれ以上の物品11の詰め込みが行われない。このときは、また、箱入れ操作機82の制御部から所定の制御信号を受けた昇降機械(図示せず)が、箱止め用ストッパ92aを制御したり、あるいは、搬送路91aと箱止め用ストッパ92aとを制御したりする。その際の具体例では以下に述べる前者と後者のようになる。まず前者について、箱配置部92上の箱21が物品11で満杯になったとき、これを検出した検出系(図示せず)から制御部(図示せず)に所定の検出信号が入力されるので、当該制御部からの制御を受けた箱止め用ストッパ92aは搬送路91a下へ降下する。この前者では搬送路91aが定常的な運転状態(連続運転状態)にある。したがって前者の場合、搬送路91aの搬送力を受けている上にストッパ92aが降下したことで、上記満杯箱21が箱配置部92から通箱閉じ部101側へと進行する。一方で後者の場合、搬送路91aが間欠運転するものであってこれが一時停止の状態にある。それで上記満杯を検出したろきには箱止め用ストッパ92aが搬送路91a下へ降下するとともに搬送路91aが運転状態になる。したがって後者の場合も、搬送路91aの搬送力を受けている上にストッパ92aが降下したことで上記満杯箱21は箱配置部92から通箱閉じ部101側へと進行する。上記のうちの前者では、満杯箱21が箱止め用ストッパ92aを通過したとき、これが検出系で検出されると同時にそれに基づいて制御部が作動するので、箱止め用ストッパ92aが元の位置に上昇復帰し、この復帰したストッパ92aにつぎの空箱21が衝突して停止することとなる。すなわち、箱配置部92上であって接触式保持具85の下には、つぎの新たな空箱21が用意されることとなる。上記のうちの後者においても、満杯箱21のストッパ通過が上記と同様に検出されて所定の制御が行われるから、箱止め用ストッパ92aが元の位置に上昇復帰したり、この復帰ストッパ92aにつぎの空の箱21が衝突して停止したりするほか、搬送路91aが再度の一時停止状態になる。この後者の場合も、これによって新たな空箱21が上記と同様に用意される。これまでの説明で理解できるように、箱配置部92では満杯箱21の退出と空箱21の進入とが上記のように交換的に行われ、それが繰り返し実施される。したがって箱用供給部91から箱配置部92へと順次送り込まれる空の各箱21には、一番目の空の箱21に引き続き、二番目・三番目・四番目…といった空の各箱21に対しても、これまで説明したと同様、箱内が満杯になるまで所定数量の物品11が詰め込まれることとなる。
【0061】
図3において物品11の箱入れを終えた後の箱21は、上記のとおり箱配置部92から箱閉じ部101へと搬送される。より詳しくは、箱配置部92と箱閉じ部101との間をつなぐ連絡搬送路93を介して箱21が所定方向に搬送される。このときの箱21の出入口22は上向きでなく箱入れ操作部81側を向いた立面状態にある。この箱21の姿勢を変換するために連絡搬送路93には手動式または自動式の姿勢変換部(図示せず)が設けられている。したがって箱21は、連絡搬送路93の姿勢変換部で姿勢変換されて出入口22を上に向けるようになる。出入口22を上に向けた後の箱21からは、蓋23の開放状態を保持している拘束材(例:伸縮バンド)25が外される。箱21から拘束材25を外すという作業を機械的手段で行うときは、拘束材25を引っ掛けて外すためのフックを備えたマニピュレータなどで実施したりするが、これについては作業員が手作業で行ってもよいものである。中敷部材26については、箱21内に残置する場合と箱21内から取り出す場合とがあるから、後者の場合のみ、適当なマニピュレータまたは作業員を介して上向き状態の箱21内から取り出す。物品入りの箱21は、このとおり、連絡搬送路93を介して箱閉じ部101に至るまでの間に姿勢を変換されたり拘束材25を外されたりするほか、必要に応じて中敷部材26が取り出されたりするものである。さらに、箱閉じ部101において箱21は、出入口22が蓋23で閉ざされるとともに当該蓋閉じ状態が粘着性テープなどの封止材27でシール保持されるので、当初と同じような箱詰め状態に仕上がる。ちなみにいうと、箱閉じ部101でこの作業を行う機械の代表的一例は既述のフラップ折り込み式カートンシーラである。さらにシール用の封止材27には、物品11の出所などを明らかにするための表示(製造業者名・販売業者名・ブランドとかこれに準じたもの)が記されている。
【0062】
図3いおいてシール処理までを終えた箱21は、箱閉じ部101から終点搬送路111を経て重量測定部112に至る。物品入りでシールをも終えた上記の箱21は、重量測定部112において重量計(図示せず)で重量計測され、物品入りの状態が適切であるか否かを重量面からもチェックされる。この物品入り箱21の重量計測が図示の実施形態での最終処理である。最終処理後の箱21は終点側のターミナル部113に集荷され、出荷・保管・その他の取り扱いを受けることとなる。
【0063】
以上に述べた本発明の実施形態は一例にすぎないものであるが、ここには、本発明に係る三つの方法の実施形態がすべて示されている。その一つは、箱出し操作部41と出発走行部51と姿勢変換部61と処理作業部71〜73とが装備された搬送ラインを用いる箱出し搬送処理方法の実施形態である。他の一つは、処理作業部71〜73と箱入れ操作部81と箱用供給部91と箱配置部92と箱用供給部91とが装備された搬送ラインを用いる箱入れ搬送処理方法の実施形態である。さらに他の一つは、上記二者の搬送ラインを組み合わせて用いる箱出し箱入れ搬送処理方法の実施形態である。
【0064】
本発明方法における箱21には、蓋23が一体のものと別体のものとがある。このいずれの箱21を用いる場合でも、物品11を箱21から出し入れするときは自明のとおり出入口22を開放状態にする。さらにいうと、物品11を箱21から出すときの出入口22については、部分開放や全開のいずれでもよいが、物品11を箱21内に入れるときの出入口22については、全開するのが望ましいといえる。本発明方法について物品11と箱21との関係でいうと、単数の物品11を箱21から出し入れしたり複数の物品11を箱21から出し入れしたりするものであるが、このいずれであっても本発明方法は実質的に変わるところがない。これらのうちで、単数の物品11を箱21から出し入れするものなどは、安全性などの点で物品11に直接触れない方がよいケースのときに採用されたりする。本発明方法は、また、これまでに述べた説明事項の範囲内で種々の実施形態を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る搬送処理方法は、物品の箱出しや箱入れをする際に安全性・安定性・作業性・経済性などを確保することができるから、有用かつ有益なものである。加えて、具体的に実施する上での難度もない。したがって産業上の利用可能性が高い。
によって、適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明方法において取り扱われる物品(飲料入り容器)の一例について、その取り扱い状況を示した説明図である。
【図2】本発明方法において取り扱われる箱の一例について、その取り扱い状況を示した説明図である。
【図3】本発明方法で用いられる搬送ラインの一実施形態を略示した平面図である。
【図4】本発明方法の搬送ラインにおける箱出し操作部とその隣接部とを略示した平面図である。
【図5】本発明方法の搬送ラインにおける箱出し操作部とその隣接部とを略示した縦断面図である。
【図6】本発明方法の搬送ラインにおける姿勢変換部の平面図である。
【図7】本発明方法の搬送ラインにおける姿勢変換部の縦断面図である。
【図8】本発明方法の搬送ラインにおける姿勢変換部の要部斜視図である。
【図9】本発明方法の搬送ラインにおける姿勢変換部の部分断面図である。
【図10】本発明方法の搬送ラインにおいて後段側にある処理作業部の一つを略示した断面図である。
【図11】本発明方法の搬送ラインにおいて後段側にある処理作業部の他の一つを略示した断面図である。
【図12】本発明方法の搬送ラインにおいて箱入れ操作部と箱配置部とを略示した平面図である。
【図13】本発明方法の搬送ラインにおいて箱入れ操作部と箱配置部とを略示した側面図である。
【図14】本発明方法の搬送ラインにおいて箱入れ操作部と箱配置部とを略示した断面図である。
【符号の説明】
【0067】
11 物品(飲料入り容器)
12 物品の胴部
13 物品の口
14 物品の栓
21 箱
22 出入口
23 蓋
25 拘束材
26 中敷部材
27 封止材
31 始点側のターミナル部
32 始点搬送路
33 始点搬送路
41 箱出し操作部
51 出発走行部
61 姿勢変換部
68 搬送路
71 処理作業部
71a 搬送路
71b 処理機
71c 処理機
71d 搬送路
72 処理作業部
72a 搬送路
72b 処理機
72c 処理機
72d 搬送路
73 処理作業部
73a 搬送路
73b 処理機
73c 処理機
81 箱入れ操作部
91 箱用の供給部
91a 搬送路
92 箱配置部
92a 箱止め用ストッパ92a
101 箱閉じ部
111 終点搬送路
112 重量測定部
113 終点側のターミナル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、箱内に収納されて胴部周側面を箱の出入口側に向けている物品を内部処理および/または外部処理するために箱から出してライン搬送する方法において、
物品を箱出しするための箱出し操作部と、物品を出発走行させるための出発走行部と、物品の姿勢を変換させるための姿勢変換部と、物品を内部処理および/または外部処理するための処理作業部とが順次装備されている搬送ラインを用いること、および、
物品入りの状態にある箱について、物品を箱から出す前の段階で箱の蓋を開けて箱の出入口を開放状態に保持しておくこと、および、
物品入り状態かつ出入口開放状態において出入口を上面側にした箱について、その箱内物品の長さ方向に沿う軸心線が搬送ラインに対して交差するように箱の向きを保持して搬送ラインの箱出し操作部にセットすること、および、
搬送ラインの箱出し操作部において、出入口がその反対面よりも低くなるまで箱を上下反転させて箱の出入口を搬送ラインの出発走行部に対応させるとともに、この際の上下反転で箱外に出てくる横長姿勢の物品を、その横長姿勢のまま出発走行部に乗せて搬送ラインの姿勢変換部まで搬送すること、および、
搬送ラインの姿勢変換部において、横長姿勢の物品を姿勢変換手段により縦長姿勢に姿勢変換し、その縦長姿勢になった物品を姿勢変換部から搬送ラインの処理作業部まで搬送すること、および、
搬送ラインの処理作業部において、縦長姿勢の物品に内部処理および/または外部処理を施すこと
を特徴とする箱出し搬送処理方法。
【請求項2】
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、内部処理および/または外部処理を終えてライン搬送されてくる物品を箱に入れる方法において、
搬送ラインとして、物品を内部処理および/または外部処理するための処理作業部と、物品を箱入れするため箱入れ操作部とが順次装備されているとともに、物品用の箱入れ操作部に対応して箱を配置しておくための箱配置部が装備されているものを用い、かつ、物品用の箱入れ操作部にはこれに連なる箱用の供給部を装備しておくこと、および、
搬送ラインの処理作業部において内部処理および/または外部処理が施された縦長姿勢の物品を、その処理作業部から搬送ラインの箱入れ操作部まで搬送すること、および、
搬送ラインの箱入れ操作部まで搬送された縦長姿勢の物品について、箱の出入口寸法を上回ることのない数のものを当該箱入れ操作部の押し込み手段で箱配置部側へ押し込むこと、および、
物品が押し込まれてくる箱配置部には、その押し込みに至るまでの段階において、出入口を開放状態に保持してその出入口を箱入れ操作部側に向けた箱を箱用の供給部から供給して配置しておき、かつ、上記において箱配置部側に押し込まれた縦長姿勢の物品を開放状態の出入口より箱内に受け入れること、および、
物品を入れた後の箱を箱配置部外へ搬送すること
を特徴とする箱入れ搬送処理方法。
【請求項3】
少なくとも一つの面に開閉自在な出入口を有していてその出入口開閉用の蓋をも備えた箱と、起こせば縦長姿勢で倒せば横長姿勢になる物品との相対関係において、箱内に収納されて胴部周側面を箱の出入口側に向けている物品を内部処理および/または外部処理のために箱から出してライン搬送し、かつ、内部処理および/または外部処理を終えてライン搬送されてくる物品を箱内に入れる方法において、
請求項1に記載された箱出し搬送処理方法と請求項2に記載された箱入れ搬送処理方法とを処理作業部の共有状態においてライン結合しておくこと、および、
請求項1および請求項2に記載の手段で物品の箱出しから物品の内部処理および/または外部処理を経て物品の箱入れまでを行うとともに、物品を入れた後の箱を箱配置部外へ搬送すること
を特徴とする箱出し箱入れ搬送処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−64765(P2010−64765A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231634(P2008−231634)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(597039685)旭光商運株式会社 (1)
【Fターム(参考)】