説明

搬送装置及び搬送方法

【課題】収容物の出し入れを行う面を下側とし、その面のフラップの封止を行うことなく、かつ、収容物の脱落を防止しつつ箱体を搬送する。
【解決手段】開閉自在な左右一対のフラップ201を底面に有する箱体200の搬送装置であって、前記箱体200を保持する保持ユニット10と、保持ユニット移動手段とを備え、前記保持ユニット10は、前記箱体200の上面又は側面において前記箱体200を保持し、前記箱体200を昇降させる昇降手段11と、前記一対のフラップ201のそれぞれに当接し前記フラップ201の開放を規制する一対の当接部材14と、前記一対の当接部材14が前記箱体の下方において互いに近接して前記フラップ201の開放を規制する開放規制位置と、前記一対の当接部材が前記箱体の下方において互いに離間して前記フラップの開放を許容する開放許容位置と、の間で前記一対の当接部材を移動させる当接部材開閉作動手段12とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は箱体を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物の搬送にあたり、メカニカルハンドで搬送対象物を把持して搬送する搬送装置が提案されている(特許文献1及び2)。この種の搬送装置では、搬送対象物を直接把持して搬送するものの他、搬送対象物を収容した箱体を搬送するものもある。箱体を搬送する装置は、例えば、フレーク状の原材料を収容したダンボール箱等の箱体を搬送する。そして、複数の箱体をパレット上に積み重ね、パレット毎一括して所定の位置に搬送し、積み重ねられた箱体を上から順に取り出して下流工程へ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−256582号公報
【特許文献2】特開昭61−263524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
箱体に搬送対象物を収容して搬送する場合、一般には、搬送対象物の脱落防止等の理由から搬送対象物の出し入れを行う面を上側とし、その面のフラップをテープや金具等で封止する。しかし、フラップをテープや金具等で封止すると、開封時にテープ等を剥がす際に箱体が損傷する場合があり、箱体の再利用性が悪い上に開封作業が必須となり手間もかかる。また、箱体を、搬送対象物の出し入れを行う面を上側にして、その面のフラップを封止せずにパレット上に積み重ねる場合、上側に積み重ねられる箱体の上面のフラップが自然に開く方向に起き上がることもある。このため、その上に異なる箱体を積み重ねる場合は、フラップを閉じてから積み重ねる必要があり積み重ね作業の効率が低下する。更に、最上段に積み重ねられた箱体のフラップが開かないように最上段のフラップの開き防止の工夫を施す必要が発生する。
【0005】
本発明の目的は、収容物の出し入れを行う面を下側とし、その面のフラップの封止を行うことなく、かつ、収容物の脱落を防止しつつ箱体を搬送することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、開閉自在な左右一対のフラップを底面に有する箱体の搬送装置であって、前記箱体を保持する保持ユニットと、前記保持ユニットを移動させる保持ユニット移動手段と、を備え、前記保持ユニットは、前記箱体の上面又は側面において前記箱体を保持し、前記箱体を昇降させる昇降手段と、前記一対のフラップのそれぞれに当接し前記フラップの開放を規制する一対の当接部材と、前記一対の当接部材が前記箱体の下方において互いに近接して前記フラップの開放を規制する開放規制位置と、前記一対の当接部材が前記箱体の下方において互いに離間して前記フラップの開放を許容する開放許容位置と、の間で前記一対の当接部材を移動させる当接部材開閉作動手段と、を備えたことを特徴とする搬送装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、開閉自在な左右一対のフラップを底面に有する箱体の搬送方法であって、前記箱体を保持し、前記箱体をその載置面から前記一対のフラップが開放しない範囲で上昇させる上昇工程と、前記一対のフラップにそれぞれ当接する一対の当接部材のそれぞれを、前記フラップの開放を規制する開放規制位置に配置する第1配置工程と、前記一対の当接部材が前記開放規制位置に配置された状態で、前記箱体を搬送先に搬送する搬送工程と、前記箱体が前記搬送先に到達した後、前記一対の当接部材のそれぞれを、前記フラップが開放される開放許容位置に配置する第2配置工程と、を備えたことを特徴とする箱体の搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容物の出し入れを行う面を下側とし、その面のフラップの封止を行うことなく、かつ、収容物の脱落を防止しつつ箱体を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置Aの平面図。
【図2】搬送装置Aの側面図。
【図3】(A)及び(B)は箱体200の斜視図。
【図4】(A)乃至(C)は箱体200の使用例の説明図。
【図5】保持ユニット10の側面図。
【図6】(A)は図5の線I−Iに沿う断面図、(B)は開閉作動ユニット12の説明図。
【図7】(A)乃至(C)は開閉作動ユニット12の説明図。
【図8】位置決め部材109の斜視図。
【図9】制御部30のブロック図。
【図10】(A)及び(B)は保持ユニット10の動作説明図。
【図11】(A)及び(B)は保持ユニット10の動作説明図。
【図12】(A)及び(B)は保持ユニット10の動作説明図。
【図13】(A)乃至(C)は開閉作動ユニット12の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<全体構成>
図1は本発明の一実施形態に係る搬送装置Aの平面図、図2は搬送装置Aの側面図である。図中、X、Yは互いに直交する水平方向を、Zは垂直方向を示す。搬送装置Aは、箱体200を搬送する装置であって、箱体200を保持する保持ユニット10と、保持ユニット10を移動させるガントリ式の移動装置20と、を備える。図1及び図2の例は、搬送装置Aが、段積みされた箱体200を処理装置1上に搬送し、箱体200の収容物を処理装置1のホッパ1aに落下させ、その後、空となった箱体200を回収箱2に搬送する例を示す。処理装置1は、例えば、射出成形機であり、箱体200内には射出成形の原材料となるフレーク状の樹脂材料が収容される。
【0011】
移動装置20は、Y方向に延設され、X方向に離間した一対のガイドフレーム21を備える。ガイドフレーム21は支柱24により支持されている。一対のガイドフレーム21には、X方向に延設された可動フレーム22が架設されている。可動フレーム22は、不図示の駆動機構(例えばラック&ピニオン機構)により、ガイドフレーム21、21に案内されながらガイドフレーム21上をY方向に移動される。
【0012】
可動フレーム22には、移動ユニット23が設けられている。移動ユニット23は不図示の駆動機構(例えばラック&ピニオン機構)により、可動フレーム22に案内されながら可動フレーム22上をX方向に移動する。移動ユニット23は、吊り下げ軸23aを昇降する不図示の昇降機構(例えばボールネジ機構)を備え、吊り下げ軸23aの下端部に保持ユニット10が支持されている。しかして、可動フレーム22のY方向の移動、移動ユニット23のX方向の移動及び吊り下げ軸23aの昇降によって、保持ユニット10を三次元で移動できる。
【0013】
なお、保持ユニット10はZ軸回りの旋回機能を有していることが好ましい。また、本実施形態ではガントリ式の移動装置20により保持ユニット10を移動する構成としたが、多関節ロボット式の移動装置により保持ユニット10を移動する構成としてもよい。
【0014】
<箱体200>
図3(A)及び(B)は箱体200の斜視図である。箱体200は、本実施形態の場合、プラスチックダンボール箱であり、搬送時に上面となる面は封止されていて、その上面4隅に係合孔202が形成されている。搬送時に底面となる面には開閉自在な左右一対のフラップ201が設けられており、フラップ201を閉じると収容物が箱体200内に保持され、フラップ201を開放すると収容物が箱体200から脱落する。図3(A)及び(B)はいずれも、フラップ201が開放状態の場合を示している。
【0015】
なお、本実施形態では、フラップ201は、搬送時に底面となる面の対向する2辺に設けて合計2つとしているが、対向する4辺に設けて合計4つとしてもよい。また、箱体200は紙製でもよいが、再利用性の点でプラスチック製の方が有利である。
【0016】
箱体200の側面のうちの対向する2側面(フラップ201が設けられていない2側面)には、それぞれ、係止部203が設けられている。係止部203は、箱体200の上面側が箱体200に固着され、底面側がフラップ状に外向きに折り曲げられた帯片(横長の条片)である。係止部203は、前述した箱体200の対向する2側面にU字状の切り込みを入れ、そのU字状の切り込み部を外向きに折り曲げて形成するようにしても良い。
【0017】
図4(A)乃至(C)は箱体200の使用例の説明図である。同図の例は、フレーク状の材料4をビニール製の内袋3に収容した上で、これを箱体200に収容する例を示す。図4(A)に示すように、材料4は内袋3に収容され、材料4がこぼれないように内袋3は何層にも折り畳まれる。なお、必要に応じて、材料4の酸化、劣化を防ぐガス(例えば窒素ガス)を内袋3内に注入してもよい。内袋3の先端は箱体200から出して係止部203に係止する。その後、フラップ201を閉じると共に図4(B)に示すように箱体200の上下を反転する。フラップ201は閉じただけとして、これをテープ等で留めて封止することはしない。封止しないことで、テープ等の剥離時の箱体200の破損等が無く、箱体200の再利用性を向上できる。
【0018】
箱体200はこの状態で保管等される。搬送装置Aによる搬送の際も、箱体200は図4(B)の状態で搬送される。そして、搬送装置Aは、後述するように箱体200を処理装置1上に搬送して、フラップ201を開放し、図4(C)に示すように材料4が落下してホッパ1aに投入される。
【0019】
<保持ユニット10>
図5は保持ユニット10の側面図、図6(A)は図5の線I−Iに沿う断面図である。保持ユニット10は、吊り下げ軸23aの下端部に接続される接続部101を備える。接続部101の下部には接続プレート102が略水平に固定されており、接続プレート102の下面の略中央から、下方向に支持フレーム103が伸びている。支持フレーム103の下端部には、ガイドプレート104が略水平に固定されている。
【0020】
ガイドプレート104には、ガイド孔104bが設けてあり、このガイド孔104bには、ガイドシャフト105が挿通している。ガイドシャフト105の上端はフランジ状になっており、ガイドシャフト105がガイド孔104bから抜け落ちないようにしている。ガイドシャフト105の下端部には上部固定プレート106が略水平に固定されている。上部固定プレート106上には、複数本のガイドピン107が立設されており、これらのガイドピン107は、ガイドプレート104の孔104a、接続プレート102の孔102aを挿通してその先端が接続プレート102上に突出している。
【0021】
ガイドプレート104には、ブラケット15aを介してセンサ15が支持されている。このセンサ15は、複数のガイドピン107のうちの1つの先端近傍に配設され、この1つのガイドピン107の先端の、接続プレート102上への突出高さが規定高さに達したか否かを検出する。センサ15は、例えば、反射型の光センサである。ガイドプレート104には、また、撮像装置16が下向きに支持されている。撮像装置16は例えばCCDセンサであり、保持ユニット10の下方の画像を撮像する。
【0022】
上部固定プレート106には、支柱108aを介して下部固定プレート108が略水平に固定されている。ガイドプレート104と下部固定プレート108との間にはファインロックシリンダ17が設けられている。ファインロックシリンダ17は、ガイドプレート104と下部固定プレート108との間の間隔を調整するものであり、該間隔が変動しないように一定とする場合にロックされる。また、下部固定プレート108の下面には、Y方向に延設され、X方向に離間した一対のガイドレール108bが設けられる。
【0023】
下部固定プレート108には、シャフト18が垂直方向に挿通する孔108dが形成されている。シャフト18の上端部には鍔部が設けられて、孔108dからシャフト18が抜け落ちないようにしている。下部固定プレート108には、シャフト18の上端近傍にセンサ19が配設されている。センサ19は、シャフト18の先端の、下部固定プレート108上への突出高さが規定高さに達したか否かを検出する。センサ19は、例えば、反射型の光センサである。
【0024】
保持ユニット10は、箱体200の上面を保持し、箱体200を昇降させる昇降ユニット11を備える。昇降ユニット11は、エアシリンダ111と、係合爪113を開閉する爪開閉装置112と、を備える。エアシリンダ111は、上部固定プレート106の下面に固定され、下部固定プレート108の開口部108cを通過して下部固定プレート108の下方に延びている。
【0025】
爪開閉装置112はエアシリンダ111のロッド部111aの下端部に固定されており、エアシリンダ111の伸縮により昇降する。爪開閉装置112は係合爪113をY方向に近接又は離間させる機構(例えば、エアシリンダ)を有する。係合爪113は、L字型をなし、箱体200の4つの係合孔202に合わせた位置に、かつ、係合孔202を貫通できる大きさで4つ設けられている。
【0026】
しかして、昇降ユニット11は、箱体200の係合孔202に係合爪113を係合させてエアシリンダ111を伸縮することで箱体200を昇降することができる。本実施形態では、箱体200の係合孔202を、搬送時に上面となる面に設けたが、側面に設けるようにしてもよい。この場合、係合爪113は箱体200側に向かって湾曲され、これらの係合爪113を箱体200の側面に設けた係合孔202に係合させ、箱体200の側面を保持する構成としてもよい。尤も、本実施形態のように、箱体200の搬送時の上面を保持する構成とすることで、複数の箱体200が密に隣接している場合にも、箱体200を保持し易いという利点がある。また、本実施形態では、係合孔202と係合爪113との係合により箱体200を保持する構成としたが、昇降ユニット11に吸着装置を設けて箱体200を吸着することで保持する構成としてもよい。この場合、箱体200に係合孔202を設ける必要はない。
【0027】
次に、下部固定プレート108の下面には、Z方向に延びる4つの位置決め部材109の上端部が固定されている。図8は、下部側から見た位置決め部材109の斜視図である。各位置決め部材109の下部には、箱体200の上面の4隅の縁部がそれぞれ当接する当接面109aと、当接面109aよりも下方に突出されたL字型の下端面109cと、下端面109cと当接面109aを連絡する傾斜面109bと、を備える。各当接面109aは、箱体200の上面の4隅の縁部の配置に対応した位置に配置されている。
【0028】
昇降ユニット11が箱体200を保持して上昇させた場合、箱体200に位置ずれが生じていると、箱体200の上面の各縁部は、まず、下端面109c或いは傾斜面109bに当接され、その後傾斜面109bに沿って各下端面109cで囲まれた領域に案内され、当接面109aに当接されることで、箱体200の位置決めがなされる。なお、本実施形態では、箱体200の上面の4隅の縁部にそれぞれ対応して、位置決め部材109を4つ設けたが、箱体200の上面の4隅の縁部のうち、対向する2つの縁部(上面の対向線上の2つの縁部)に対応して少なくとも2つ設ければ足りる。
【0029】
図5及び図6に戻り、保持ユニット10は、一対の当接部材14と、一対の当接部材14をX方向に移動させる開閉作動ユニット12と、開閉作動ユニット12と共に一対の当接部材14をY方向に移動させる移動ユニット13と、を備える。
【0030】
移動ユニット13は、昇降ユニット11に対向して垂設される支持プレート127と、支持プレート127の昇降ユニット11側の面(図5中では左側面)に設けられ、X−Y面上に延びる水平面を有するスライドプレート131と、同じく支持プレート127の昇降ユニット11側の面(図5中では左側面)に設けられ、スライドプレート131を下方から支持するサイドフレーム132、132と、を備える。
【0031】
スライドプレート131は、後述するスライド時、エアシリンダ111との干渉を防止すべく、例えば、平面視でC字型(図6(A)では逆C字型に見える。)とされ、中央凹部131aを有する。また、各サイドフレーム132は、スライドプレート131の下面における両外側に設けられる。各サイドフレーム132は、後述するスライド時、昇降ユニット11との干渉を防止すべく、例えば、L字型(図5では逆L字型に見える。)とされる。
【0032】
スライドプレート131の上面には、下部固定プレート108の下面に設けられた一対のガイドレール108bにそれぞれ係合される一対のスライダ134が設けられる。スライダ134は、片側に少なくとも1個ずつ配置される。一対のスライダ134が両ガイドレール108bに沿ってそれぞれスライドすることで、移動ユニット13はY方向に移動可能となっている。
【0033】
移動ユニット13は、下部固定プレート108上に設けられたエアシリンダ135を備える。エアシリンダ135のロッド部135aの先端はブラケット136に接続されている。このブラケット136は支持プレート127に接続される。したがって、エアシリンダ135の伸縮により、スライドプレート131、サイドフレーム132及び支持プレート127がY方向に移動することになる。
【0034】
次に、開閉作動ユニット12について、図5、図6(B)、図7(A)乃至(C)を参照して説明する。これらの図は開閉作動ユニット12の説明図である。開閉作動ユニット12は、上下に反転して連結されたエアシリンダ121、122を備える。エアシリンダ121のロッド部121aの先端はブラケット121bを介して支持プレート127に連結されており、エアシリンダ122のロッド部122aの先端はカム部材124に連結されている。
【0035】
開閉作動ユニット12は、エアシリンダ121、122と並設されたファインロックシリンダ123を備える。ファインロックシリンダ123はブラケット123bを介して支持プレート127に固定されており、そのロッド部123aの先端はカム部材124に連結されている。支持プレート120は、軸120aを介してと支持プレート127に固定されている。支持プレート120、127は開閉作動ユニット12の各構成を支持する支持部材をなしている。
【0036】
支持板125、126は、支持プレート120と支持プレート127との間に配置され、それぞれ当接部材14の端部が接続されて当接部材14を支持する。一対の当接部材14は、箱体200の一対のフラップ201のそれぞれに当接しフラップ201の開放を規制する。一対の当接部材14は、本実施形態の場合、X方向に互いに離間し、Y方向に延びる棒状の部材であるが、例えば、長板状の部材でもよい。
【0037】
図7(A)は支持プレート120を取り外した状態を示す。支持プレート120における支持板125側の面には、同図において左下から右上へ斜めに延びるガイドレール125bが固定されており、支持板125における支持プレート120側の面にはガイドレール125bに係合されるスライダ125aが固定されている。つまり、支持板125とこれに支持された当接部材14は、ガイドレール125bに案内されて、ガイドレール125bの長手方向と平行な矢印d1方向に移動可能となっている。また、支持板125における支持プレート127側の面にはピン状のカムフォロア125cが装着されている。
【0038】
図7(B)は、図7(A)の状態から、更に、支持板125に関わる構成を取り外した状態を示す。カム部材124は、板状をなし、カム孔124a、124bが形成されている。カム孔124a、124bは、それぞれ細長い長孔であり、上端部が離間され、下端部が近接されるよう、図7(B)中では略V字状に配置される。カムフォロア125cはカム孔124aに挿入され、係合する。
【0039】
図7(C)は、図7(B)の状態から、更に、カム部材124を取り外した状態を示す。支持プレート127における支持板126側の面には、同図において右下から左上へ斜めに延びるガイドレール126bが固定されており、支持板126における支持プレート127側の面にはガイドレール126bに係合されるスライダ126aが固定されている。つまり、支持板126とこれに支持された当接部材14は、ガイドレール126bに案内されて、ガイドレール126bの長手方向と平行な矢印d2方向に移動可能となっている。また、支持板126におけるカム部材(図示せず)側の面にはピン状のカムフォロア126cが装着されている。カムフォロア126cはカム孔124bに挿入され、係合する。
【0040】
係る構成からなる開閉作動ユニット12は、エアシリンダ121、122及びファインロックシリンダ123の伸縮によるカム部材124の移動により、支持板125とこれに支持された当接部材14は矢印d1方向に、支持板126とこれに支持された当接部材14は矢印d2方向に、それぞれ移動することができる。つまり、カム部材124の移動により、カムフォロア125c、126cがカム孔124a、124bに案内されて支持板125、126に移動力が付勢され、ガイドレール125b、126bに沿って支持板125、126が移動することになる。
【0041】
なお、開閉作動ユニット12の構成は、当接部材14を移動可能であれば本実施形態のものに限られないが、本実施形態ではカム部材124、スライダ125a、126a及びガイドレール125b、126bを用いたことにより、比較的簡易な構成で、一対の当接部材14を同期的に、かつ、所定の軌道上で移動させることができる。
【0042】
<制御部30>
図9は搬送装置Aを制御する制御装置30のブロック図である。制御装置30は、CPU等の処理部31と、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶部32と、外部デバイスと処理部31とをインターフェースするインターフェース部33と、を備える。処理部31は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行して、各種センサ34の検出結果に基づいて、各種アクチュエータ35を制御する。各種センサ34には、センサ15、撮像装置16、センサ19等が含まれる。各種アクチュエータ35には、移動装置20が備えるモータ等のアクチュエータ、ファインロックシリンダ17、123、エアシリンダ111、121、122、135等が含まれる。
【0043】
処理部31は、例えば、撮像装置16が撮像した画像データに基づいて、保持ユニット10と箱体200との位置を演算し、その演算結果に基づいて、保持ユニット10の係合爪113が箱体200の4つの係合孔202に合わせた位置に位置決めすべく、移動装置20が備えるモータを制御する。また、この位置決めを行ったのち、記憶部32に記憶された保持ユニット10の制御プログラムを実行して箱体200の搬送を行う。センサ15やセンサ19の検出結果は、処理部31において、制御プログラム実行の継続の有無、他の制御プログラムの切り替え等を判断するトリガー情報として処理され、制御部31は各種アクチュエータ35に対する制御指令を出力する。
【0044】
<搬送装置Aの動作例>
制御装置30により制御される搬送装置Aの動作例を説明する。ここでは、図1において、図4(B)の状態で段積みされた箱体200を、図4(B)の状態を維持しつつ処理装置1のホッパ1a上に搬送し、図4(C)に示すようにフラップ201を開放して収容物である材料4をホッパ1aに落下させる場合の保持ユニット10の動作を説明する。
【0045】
なお、前提として箱体200は、一対のフラップ201の合わせ目方向がY方向の状態(つまり、当接部材14の長手方向と平行)で段積みされているものとする。これにより、当接部材14はフラップ201の合わせ目方向に沿って延びている状態となる。尤も、保持ユニット10にZ軸回りに旋回させる機構を設けた場合には、フラップ201の合わせ目方向と当接部材14の長手方向とが合致するように保持ユニット10の向きを旋回機構にて調整すればよいので、箱体200の段積みの方向は問われない。
【0046】
図10乃至図12は保持ユニット10の動作説明図である。保持ユニット10は、最上段に位置し、かつ、Y方向で処理装置1から最も離れた箱体200から順に保持して搬送する。まず、移動装置20により、保持ユニット10を、搬送対象とする箱体200上に移動する(図10(A))。その際、まず、箱体200上に撮像装置16が位置するように保持ユニット10を移動し、保持ユニット10の下方の画像を撮像する。そして、撮像した画像に基づいて保持ユニット10の位置補正量を演算し、保持ユニット10が箱体200上の適切な位置に位置するように保持ユニット10を移動する。続いて、搬送対象とする箱体200の係合孔202と、係合爪113とを係合させる。図10(A)の状態では、エアシリンダ111は伸長して爪開閉装置113が降下した状態にあり、また、エアシリンダ135は伸長して、当接部材14は、箱体200の下方から外れてフラップ201の合せ目方向に後退した待機位置に位置している。
【0047】
次に、移動ユニット23により保持ユニット10を、搬送対象の箱体200のZ方向の位置に応じて予め定めた高さまで降下させ、係合爪113が係合孔202に挿入されるようにする。このとき、ファインロックシリンダ17はフリーの状態としておく。そうすると、仮に、係合爪113と係合孔202との位置がずれており、係合爪113が箱体200の上面に当接すると、保持ユニット10の降下にしたがって、図10(B)に示すように接続部101、接続プレート102及びガイドプレート104に対して、上部固定プレート106以下の構成が相対的に上昇する。このとき、上部固定プレート106に立設されたガイドピン107の、接続プレート102上への突出高さが増大し、規定高さに達すると、センサ15によりこれが検知される。センサ15にてガイドピン107の突出が検知されると、係合爪113の係合孔202への挿入が失敗と判断され、処理が中断される。
【0048】
センサ15によりガイドピン107の突出が検知されずに、保持ユニット10が予め定めた高さまで降下した場合、係合爪113の係合孔202への挿入が成功と判断され、処理が継続される。
【0049】
挿入成功と判断した場合、まず、ファインロックシリンダ17をロックしてガイドプレート104と下部固定プレート108との間隔が変動しないようにする。続いて、図11(A)に示すように爪開閉装置112を作動させて爪113を互いにX方向に離間させ、係合爪113を係合孔202に係合させる。続いて、エアシリンダ111を収縮させて爪開閉装置112を上昇させる。これにより、図11(B)に示すように箱体200が上昇する。
【0050】
このときの箱体200は、箱体200の載置面(図11(A)(B)の例の場合は、真下に位置する箱体200の上面)から、当接部材14の高さ以上で、かつ、フラップ201が開放しない範囲の高さまで上昇される。つまり、図11(B)に示すように、箱体200の上昇により、そのフラップ201が収容物の重さで開き始めるが、箱体200の上昇量は、上下に位置する箱体200同士の間に、当接部材14を差し込めるスペースが生じ、収容物が脱落してしまわない程度に留められる。
【0051】
また、本実施形態の場合、図11(B)に示すように、箱体200の上昇により、箱体200の上面が位置決め部材109の下端に当接し、箱体200の位置決めが同時に行われる。更に、箱体200が上昇すると、シャフト18の下端に箱体200の上面が当接し、シャフト18が持ち上げられる。シャフト18の先端の、下部固定プレート108上への突出高さが規定高さに達すると、これがセンサ19(図6(A)参照)により検出され、箱体200の上昇が完了したと判断される。
【0052】
次に、エアシリンダ135を収縮させ、図12(A)に示すように、開閉作動ユニット12をY方向(図12(A)中では左方向)に移動させ、当接部材14は待機位置から、箱体200の下方に位置した作業位置にフラップ201の合わせ目方向に前進する。図13(A)は、このときの各当接部材14の位置及びフラップ201の位置を示す。同図に示すように、各当接部材14は、箱体200の下方で幅方向の両端部近傍に位置しており、フラップ201は開き始めてはいるものの開放してはいない。この状態で、エアシリンダ121及びファインロックシリンダ123は伸長状態、エアシリンダ122は収縮状態にある。
【0053】
次に、図13(B)に示すように、エアシリンダ121及びファインロックシリンダ123を収縮する。これによりカム部材124が上昇し、図12(B)に示すように、支持板125、126は互いに近接する方向でかつ上昇する方向に移動する。この結果、一対の当接部材14は、箱体200の下方において互いに近接して上昇した、フラップ201の開放を規制する開放規制位置に位置する。ファインロックシリンダ123は収縮後にロックする。
【0054】
この状態で、移動装置20により保持ユニット10を処理装置1のホッパ1a上に移動する。フラップ201は当接部材14により開放が規制されているので、フラップ201がテープ等で封止されていなくても収容物が途中で脱落することが防止される。
【0055】
保持ユニット10がホッパ1a上に到達すると、図13(C)に示すように、エアシリンダ121、122及びファインロックシリンダ123を全て伸長する。これによりカム部材124が降下し、支持板125、126は互いに離間する方向でかつ降下する方向に移動する。この結果、一対の当接部材14は、箱体200の下方において互いに離間してフラップ201の開放を許容する開放許容位置に位置する。図13(A)乃至(C)で当接部材14の位置を比較すると、図13(B)で一対の当接部材14が最も近接し、かつ、上昇した位置にあり、図13(C)で一対の当接部材14が最も離間し、かつ、降下した位置にある。
【0056】
当接部材14が開放許容位置に位置すると、図13(C)に示すようにフラップ201が開放し、収容物を落下させることができる。その後、空きの箱体200を回収箱2に搬送し、係合爪113と係合孔202の係合を解除することで箱体200を回収箱2に回収できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な左右一対のフラップを底面に有する箱体の搬送装置であって、
前記箱体を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる保持ユニット移動手段と、を備え、
前記保持ユニットは、
前記箱体の上面又は側面において前記箱体を保持し、前記箱体を昇降させる昇降手段と、
前記一対のフラップのそれぞれに当接し前記フラップの開放を規制する一対の当接部材と、
前記一対の当接部材が前記箱体の下方において互いに近接して前記フラップの開放を規制する開放規制位置と、前記一対の当接部材が前記箱体の下方において互いに離間して前記フラップの開放を許容する開放許容位置と、の間で前記一対の当接部材を移動させる当接部材開閉作動手段と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記昇降手段は前記箱体の上面において前記箱体を保持して昇降し、
前記一対の当接部材が、前記一対のフラップの合せ目方向に沿って延びる棒状の部材であり、
前記一対の当接部材が前記箱体の下方に位置した作業位置と、前記一対の当接部材全体が、前記箱体の下方から前記一対のフラップの合せ目方向に後退した待機位置と、の間で前記一対の当接部材を前記合せ目方向に移動させる当接部材移動手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記当接部材開閉作動手段は、
前記当接部材移動手段により移動される支持部材と、
前記一対の当接部材をそれぞれ支持する一対の支持板と、
前記一対の支持板に装着されたカムフォロアと、
前記一対の当接部材が前記開放規制位置と前記開放許容位置との間を移動するように、前記一対の支持板の移動をそれぞれ案内する一対の案内手段と、
前記一対の当接部材を近接、離間自在に移動させるべく、前記カムフォロアと係合するカム部材と、
前記プレートに固定され、前記カム部材を移動させる駆動手段と、
を備え、
前記一対の案内手段は、それぞれ、前記支持部材に固定されたガイドレールと、前記支持板に固定され、前記ガイドレール上を移動するスライダと、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記昇降手段は、前記箱体の上面に設けられる係合孔と係合される係合爪を備え、該係合爪を前記係合孔に係合させることで前記昇降手段にて前記箱体を保持し、
前記昇降手段にて前記箱体を保持して上昇させる位置に対応して設けられ、前記箱体の前記上面における少なくとも対向する2つの縁部に当接され、前記箱体の位置決めをする位置決め部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
開閉自在な左右一対のフラップを底面に有する箱体の搬送方法であって、
前記箱体を保持し、前記箱体をその載置面から前記一対のフラップが開放しない範囲で上昇させる上昇工程と、
前記一対のフラップにそれぞれ当接する一対の当接部材のそれぞれを、前記フラップの開放を規制する開放規制位置に配置する第1配置工程と、
前記一対の当接部材が前記開放規制位置に配置された状態で、前記箱体を搬送先に搬送する搬送工程と、
前記箱体が前記搬送先に到達した後、前記一対の当接部材のそれぞれを、前記フラップが開放される開放許容位置に配置する第2配置工程と、
を備えたことを特徴とする箱体の搬送方法。
【請求項6】
前記第1配置工程が、
前記一対の当接部材を、前記箱体から後退した待機位置から前記箱体の下方の作業位置へと前進させる前進工程と、
前記一対の当接部材を、前記箱体の下方において互いに離間した状態から前記箱体の下方において互いに近接した状態にする接近工程と、
を含み、
前記第2配置工程が、少なくとも、前記一対の当接部材を、前記箱体の下方において互いに近接した状態から前記箱体の下方にて互いに離間した状態にする離間工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の箱体の搬送方法。
【請求項7】
前記上昇工程では、
上昇された前記箱体の上面を位置決めして、位置決めした状態を維持することを特徴とする請求項5項に記載の箱体の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−46524(P2011−46524A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198996(P2009−198996)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】