説明

携帯ナビゲーション装置

【課題】特定対象者が所定の位置に停止した状態のままであっても、仮想特定対象者の方向を地図上に正確に表示することにある。
【解決手段】地上における特定対象者の位置及び方向を仮想特定対象者Aの位置及び方向として携帯電話機(携帯端末)10の液晶画面(表示部)12bに地図Bと共に表示するものであって、仮想特定対象者Aの方向は、特定対象者が履くことになるシューズ(履物)2に設けられた方位センサ3aによって検出された方向に基づいて定められるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上における特定対象者の位置及び方向を仮想特定対象者の位置及び方向として携帯端末の表示部に地図と共に表示する携帯ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯ナビゲーション装置としては、携帯端末に設けた例えばGPS(Global Positioning system)受信装置(位置検出装置)によって3つ以上のGPS衛星からの電波を受け、三角測量の原理を用いて当該GPS受信装置の地上における位置を特定すると共に、GPS受信装置の位置の変化に基づいて当該GPS受信装置の移動方向を特定し、これらの位置及び移動方向の双方を同時に示す仮想特定対象者を携帯端末の液晶画面(表示部)に地図と共に表示するように構成されたものが知られている。また、この携帯ナビゲーション装置としては、例えばGPS受信装置を備えた携帯電話機によって構成されたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のように構成された携帯ナビゲーション装置においては、携帯端末を所持することにより、その所持者である特定対象者の位置及び移動方向を仮想特定対象者の位置及び移動方向として地図上に表示することができるので、特定対象者は目的地まで容易に移動することができるという利点がある。
【特許文献1】特開2003−8734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の携帯ナビゲーション装置においては、仮想特定対象者の方向を特定対象者の移動方向としてしか地図上に表示することができないので、特定対象者が例えば所定の場所に停止した状態で向きを変えた場合には、当該特定対象者の方向を仮想特定対象者の方向として地図上に正確に表示することができなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特定対象者が所定の位置に停止した状態のままであっても、当該特定対象者の方向を仮想特定対象者の方向として地図上に正確に表示することができる携帯ナビゲーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、地上における特定対象者の位置及び方向を仮想特定対象者の位置及び方向として携帯端末の表示部に地図と共に表示する携帯ナビゲーション装置であって、前記仮想特定対象者の方向は、前記特定対象者が履くことになる履物に設けられた方位センサによって検出された方向に基づいて定められるようになっていることを特徴としている。
【0007】
上記方位センサとしては、例えば、磁気コンパスや、ジャイロコンパスを用いることが好ましい。また、携帯端末と履物との間では、無線によってデータの送受信を行うことが好ましい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記方位センサによって前記履物のつま先方向を検出し、当該履物のつま先方向が前記仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向を設定していることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記履物であって当該一対の履物の双方に設けた前記方位センサによって当該各履物のつま先方向を検出し、当該各履物のつま先方向の平均方向が前記仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向を設定していることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記特定対象者の位置を検出する位置検出装置が前記携帯端末及び履物の何れか一方に設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記携帯端末として、携帯電話機又は腕時計を用いていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜5に記載の発明によれば、仮想特定対象者の方向が特定対象者が履くことになる履物に設けられた方位センサによって検出された方向に基づいて定められるようになっているので、特定対象者が所定の場所に停止した状態で向きを変えた場合には、その向きを変えた方角分だけ、仮想特定対象者の方向が変化することになる。従って、特定対象者が所定の位置に停止した状態のまま向きを変えるようなことがあっても、当該特定対象者の方向を仮想特定対象者の方向として地図上に正確に表示することができる。
【0013】
この場合、携帯端末は、履物を履いている特定対象者自身が所持してもよく、また特定対象者以外の他の者が所持していてもよい。ここで、特定対象者が携帯端末を所持する場合には、特定対象者自身の位置や方向を携帯端末上の地図で確認しながら、目的地まで容易に移動することができる。また、例えば、特定対象者を子供とし、当該子供に履物を履かせ、他の者である親が携帯端末を所持する場合には、親は子供の位置及び方向を携帯端末上の地図で確認しなら、目的地まで安全に移動することができる。
【0014】
なお、地上における特定対象者の方向と地図上における仮想特定対象者の方向とを一致させるためには、特定の方向を向いた特定対象者の方向に仮想特定対象者の方向を合わせるような校正を事前に行っておく必要がある。例えば、履物を履いた特定対象者を特定の方向(例えは北方向)に体の前面を向けさせて自然に立たせ(この際、つま先方向は自然に立ったときの方向であることが好ましい)、その状態で仮想特定対象者の前方を携帯端末の地図上における前記特定の方向(北方向)に合わせることにより、特定対象者の前方と仮想特定対象者の前方と一致させることができる。しかも、このような校正を行うことにより、東西南北等の絶対的な方向に関連付けて仮想特定対象者の方向を地図上で表示することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、方位センサによって履物のつま先方向を検出し、当該履物のつま先方向が仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向が設定されているので、当該履物を履いた特定対象者のつま先方向が携帯端末の地図上における仮想特定対象者の前方となる。この場合、地上に置いた履物のつま先方向を特定の方向(例えは北方向)に向け、その状態で仮想特定対象者の前方を携帯端末の地図上における前記特定の方向(北方向)に合わせることにより、履物のつま先方向と仮想特定対象者の前方とを一致させる校正ができるので、特定対象者を介在させることなく、携帯ナビゲーション装置の製造者側でのみその校正を行うことができる利点がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、一対の履物の双方に設けた方位センサによって当該各履物のつま先方向を検出し、当該各履物のつま先方向の平均方向が仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向を設定するようになっているので、特定対象者の履いた各履物のつま先方向がO脚やX脚等により当該特定対象者の前方を向いていない場合であっても、当該特定対象者の前方が仮想特定対象者のほぼ前方となるように地図上に表示することができる。また、この場合も、各履物のつま先方向を東西南北等の絶対的な方向に関連付ける校正を予め行っておく必要があるが、その校正についても請求項2に記載の発明と同様に、携帯ナビゲーション装置の製造者側でのみ行うことができる利点がある。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、特定対象者の位置を検出する位置検出装置が携帯端末及び履物の何れか一方に設けられるようになっているので、設計の自由度が広がることになる。そして、例えば、携帯端末に位置検出装置を設けた場合には、携帯端末を所持する特定対象者の位置を正確に把握することができると共に、履物の軽量化を図ることができる。従って、特定対象者自身が履物を履き、携帯端末を持って行動する場合に適している。特に、履物が軽量化されることから、高齢者が利用する上で好適といえる。一方、履物に位置検出装置を設けた場合には、当該履物を履いた特定対象者の位置を正確に把握することができる。従って、特定対象者以外の他の者が携帯端末を所持し、当該他の者が特定対象者の位置を常に把握しておきたい場合に適している。例えば、特定対象者としての子供に履物を履かせ、他の者である親が携帯端末を所持することにより、子供の位置を常に確認しながら、所定の目的地まで安全に移動することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、携帯端末として、携帯電話機又は腕時計を用いているので、電話等の通信機能又は時刻等の表示機能を利用することができると共に、地図によるナビゲーション機能を利用することができる。特に、携帯電話機を携帯端末として用いた場合には、特定対象者の居る位置に対応する範囲の地図を通信機能を利用して地図情報の提供サイトから容易にダウンロードすることができるので、地図情報を記憶すべきメモリの容量を低減することができると共に、最新の地図情報を利用することができる利点がある。一方、腕時計を携帯端末として用いた場合には、腕時計としての優れた携帯性をそのまま利用することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明を実施するための最良の形態としての第1の実施の形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0020】
この第1の実施の形態で示す携帯ナビゲーション装置1は、図1〜図6に示すように、地上における特定対象者(図示せず)の位置及び方向を仮想特定対象者Aの位置及び方向として携帯電話機(携帯端末)10の液晶画面(表示部)12bに地図Bと共に表示し、仮想特定対象者Aの方向を一対のシューズのうち片方のシューズ(履物)2に設けた方位センサ3aによって検出する方向に基づいて定めるように構成している。なお、仮想特定対象者Aの位置は、当該仮想特定対象者Aを示す円形状のマークの中心点で示し、仮想特定対象者Aの方向は、当該仮想特定対象者A内に表示した矢印状の方向マークA1の方向で示す。
【0021】
方位センサ3aは、ジャイロコンパス(図示せず)を備えたもので構成されており、地球の回転軸線に常に平行になるジャイロ(図示せず)の回転軸線と、このジャイロを三次元上において自在に支持するジンバル(図示せず)との相対角度から、方位データを検出し出力するようになっている。この方位センサ3aは、図3に示すように、方位検出装置3の一部を構成している。
【0022】
方位検出装置3は、上述した方位センサ3aと、自己発電装置3bと、整流装置3cと、二次電池3dと、電圧制御部3eと、制御部3fと、ROM3gと、RAM3hと、ローカル送信部3iと、ローカルアンテナ3jとを備えている。
【0023】
自己発電装置3bは、片持ち状に支持された振動板(図示せず)に圧電素子(図示せず)を設けたもので構成されており、振動板の振動によって生じる振動エネルギを交流状の電気エネルギに変換するようになっている。整流装置3cは、自己発電装置3bから出力される交流状の電流を直流状に整流するようになっている。二次電池3dは、整流装置3cから出力される直流状の電流を入力することによって電気エネルギを蓄えるようになっている。電圧制御部3eは、整流装置3cや二次電池3dから供給される電圧を当該電圧より若干低い安定した電圧となるように制御するようになっている。この安定化された電圧の電気エネルギが方位センサ3a、制御部3f、ローカル送信部3i等に供給されるようになっている。
【0024】
制御部3fは、方位センサ3aから出力された方位データを所定のサンプリング間隔で取り入れると共に、所定の処理を行ってローカル送信部3iに出力するようになっている。ROM3gは、方位データについてのサンプリングや所定の処理等を行うプログラムなどが記録されるようになっており、RAM3hは、その処理等の際に必要な数値等を一時的に格納するようになっている。なお、方位センサ3aからの出力がアナログ信号である場合には、方位センサ3aと制御部3fとの間にAD変換機を設けることになる。
【0025】
ローカル送信部3iは、制御部3fから出力される方位データに関するデジタル信号を無線によって送信可能なアナログ信号に変調してローカルアンテナ3jに出力するようになっている。即ち、ローカル送信部3i及びローカルアンテナ3jは、無線インターフェースを構成している。
【0026】
このように構成された方位検出装置3は、図2に示すように、扁平状のケース31内に収容されるようになっている。ケース31は、防水性を有するもので構成されており、一対あるうちの一方のシューズ2の踵部2aに設けられた凹部21aに収容されるようになっている。なお、ローカルアンテナ3jについては、その送信のために機能する先端部分をケース31から引き出してシューズ2の外側に配置するように構成してもよい。また、一対あるうちの他方のシューズ2についても、凹部21aと同様の凹部を設けると共に、当該凹部に方位検出装置3及びケース31の合計重量と同程度の重量の重りを挿入することにより、左右のシューズ2の重量が均等になるように構成することが好ましい。
【0027】
シューズ2の底は、表底21と、中敷22とを重ねた構造になっており、踵部2aには表底21と中敷22との間にアッパヒール23が挿入されている。凹部21aは、表底21の上面から凹状に形成されており、その深さが扁平状のケース31の厚さとほぼ一致するものとなっている。そして、凹部21aに挿入されたケース31は、アッパヒール23及び中敷22によって押さえつけられて、当該凹部21a内に保持されるようになっている。また、上述した方位センサ3aの振動板は、シューズ2が水平面上に置かれた状態において、ほぼ水平方向に延在すべく、ケース31内に設置されており、シューズ2を履いて歩行した際に最も効率よく振動するようになっている。
【0028】
一方、携帯電話機10は、図4に示すように、本体部11と、蓋部12とを備えた構成になっている。本体部11の正面には、その上端部側から、ヒンジ部11a、各種の機能を有する複数の入力ボタン11b、カーソルキー11c及び送話口11dが設けられている。ヒンジ部11aは、本体部11と蓋部12とを回動自在に連結するようになっている。
【0029】
入力ボタン11bやカーソルキー11cは、携帯電話機10の各種機能を利用する際に使用するようになっている。また、カーソルキー11cは、後述する液晶画面12bに地図Bを表示した際に、当該地図Bを上下、左右、斜め等の各種の方向に移動させる際に用いるようになっている。
【0030】
送話口11dは、本体部11の正面に開口するように形成されたものであり、当該正面の裏側に配置された後述するマイク11iへの音の伝達を可能にしている。
【0031】
また、本体部11には、その上端部の背部から上方に突出するようにメインアンテナ11eが設けられている。このメインアンテナ11eは、基地局(図示せず)からの電波を受信すると共に、当該基地局に電波を送信することによって、携帯電話機10としての通信機能を発揮するようになっている。
【0032】
蓋部12の正面には、上端部に受話口12aが設けられ、その下側に液晶画面12bが設けられている。
【0033】
受話口12aは、蓋部12の正面に開口するように形成されたものであり、当該正面の裏側に配置された後述するスピーカ11hからの音が外部に流出するのを可能にしている。
【0034】
液晶画面12bは、携帯電話機10の機能を発揮するための必要な情報等を表示することが可能になっていると共に、ナビゲーション装置としての機能を発揮するために、図4及び図5に示す地図Bを表示することが可能になっている。
【0035】
また、蓋部12には、その上端部の背部側にGPSアンテナ12cが設けられている。GPSアンテナ12cは、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信するためのものである。
【0036】
図6は、携帯電話機10の内部構成を示すブロック図である。この図において、メインアンテナ11eは、送受信部11fに接続されている。
【0037】
送受信部11fは、基地局からの無線信号をメインアンテナ11eで受信して得た高周波信号を、増幅、周波数変換等をすることによってベースバンド信号とするようになっている。このベースバンド信号は、音声処理部11gにおいて音声信号に復調されてから、スピーカ11hに出力される。これにより、通話相手側の音をスピーカ11hを介して聞くことができる。一方、マイク11iでとらえた音は、音声信号として音声処理部11gに入力され、当該音声処理部11gによって変調された後、ベースバンド信号となって、送受信部11fに出力され、当該送受信部11fで高周波信号となってメインアンテナ11eから基地局に無線信号として送信されることになる。
【0038】
送受信部11f及び音声処理部11gは、携帯制御部11jによって、制御されるようになっている。また、携帯制御部11jは、入力ボタン11b、カーソルキー11cから入力されるデータに基づいて種々の制御を行うと共に、液晶画面12bへの出力等を制御し、またROM11kからプログラム等のデータを読み込んだり、RAM11mに対してデータのやり取りを行ったりするなどの携帯電話機10の全体を制御するようになっている。
【0039】
携帯制御部11jには、更に、GPS受信装置11n及びローカル受信部11pが接続されている。GPS受信装置11nは、3つ以上のGPS衛星(図示せず)からの電波をGPSアンテナ12cで受けたデータに基づいて、三角測量の原理を用いて当該GPSアンテナ12cが存在する地上における位置を特定するようになっていると共に、その位置データを携帯制御部11jに出力するようになっている。なお、GPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cによって位置検出装置が構成されている。
【0040】
ローカル受信部11pは、ローカルアンテナ11qで受信した方位データに関するアナログ信号を携帯制御部11jで処理が可能なデジタル信号に復調して当該携帯制御部11jに出力するようになっている。即ち、ローカル受信部11p及びローカルアンテナ11qは、無線インターフェースを構成している。また、ローカルアンテナ11qは、本体部11内に配置されている。ただし、ローカルアンテナ11qにおける受信のために機能する先端部分を本体部11あるいは蓋部12の外側に露出させるように構成してもよい。
【0041】
また、本体部11には、その側面等の表面部に露出するように充電端子11r、11sが設けられている。そして、一方の充電端子11rには、充電回路11t、二次電池11uのプラス電極及び電圧制御部11vが順次接続されている。
【0042】
充電回路11tは、過充電を防止しながら二次電池11uを充電するようになっている。電圧制御部11vは、充電回路11tや二次電池11uから供給される電圧を当該電圧より若干低い例えば5Vの安定した電圧となるように制御するようになっている。この安定化された電圧によって提供される電力は、携帯制御部11j等に供給されるようになっている。
【0043】
また、ROM11kには、携帯制御部11jにおいて、携帯ナビゲーション装置としての機能を発揮させるためのナビ制御プログラムが記録されている。このナビ制御プログラムは、次に示すように構成されている。
【0044】
即ち、携帯ナビゲーション装置としての機能を発揮させるべく特定の入力ボタン11bを操作すると、まず、GPS受信装置11nによって、地上におけるメインアンテナ11eが存在する位置、即ち携帯電話機10が存在する位置が特定され、この特定された位置を中心とした所定の範囲の地図Bが携帯電話機10による基地局との通信機能を利用して地図情報の提供サイトからダウンロードされる。そして、そのダウンロードした地図Bが液晶画面12bに表示されることになる。この場合、図4及び図5に示すように、液晶画面12bにおける地図Bを表示する領域の中央部に仮想特定対象者Aが表示される。なお、仮想特定対象者Aが地図B上に表示される位置は、特定対象者が実際に存在している位置に対応していることはいうまでもない。
【0045】
一方、シューズ2に修められた方位検出装置3から供給されるシューズ2の地上における方位データが上述した無線インターフェースを介して携帯電話機10に供給されることから、この方位データに基づいて、地図Bにおける仮想特定対象者Aの方向マークA1の方向が定まる。
【0046】
この場合、方位検出装置3におけるジャイロの回転軸線については、常時、地球の回転軸線方向と平行になるものの、方位検出装置3自体は、種々の方向に取り付けるれることが多いため、方位検出装置3から出力される方位データのみからでは地上における絶対的な方位を検出することは不可能に近い。
【0047】
このため、携帯ナビゲーション装置の機能を使用する前に、シューズ2を履いた特定対象者の方向と、地図上における方向マークA1の方向とを一致させるべく校正する必要がある。即ち、ここで説明しているナビ制御プログラムには、その校正のためのサブプログラムが組み込まれており、このサブプログラムは、特定の入力ボタン11bを操作することによって携帯電話機10を校正モードに設定することができ、その上で、シューズ2を履いた特定対象者を特定の方向(例えは北方向)に体の前面を向けさせて自然に立たせ(この際、つま先方向は自然に立ったときの方向であることが好ましい)、この状態において仮想特定対象者Aの前方である方向マークA1の先端方向を地図B上における特定の方向(北方向)に、カーソルキー11cを使って合わせることを可能にするものである。これにより、特定対象者の前方と方向マークA1の指し示す方向とが一致したものとなると共に、当該方向マークA1の方向が地図B上における東西南北等の絶対的な方向に関連付けられたものとなる。
【0048】
このような校正を行うためのサブプログラムを実行した後は、所定の入力ボタン11bを押して通常のモードに切り換えることにより、携帯ナビゲーション装置として機能することになる。即ち、特定対象者が南を向けば、地図B上における方向マークA1も南側を向くことになる。また、地図Bを表示する範囲は、カーソルキー11cを利用して、上下、左右、斜め等に移動することが可能になっている。
【0049】
上記のように構成された携帯ナビゲーション装置1においては、シューズ2に設けられた方位センサ3aによって、仮想特定対象者Aの前方である方向マークA1の方向がシューズ2を履いた特定対象者の前方に対応した方向を向くようになるので、特定対象者が所定の場所に停止した状態で向きを変えた場合でも、その向きを変えた方向に方向マークA1の方向も変化することになる。従って、特定対象者が所定の位置に停止した状態のままであっても、当該特定対象者の方向を仮想特定対象者Aの方向として地図B上に正確に表示することができる。
【0050】
この場合、携帯電話機10を、シューズ2を履いた特定対象者自身が所持することにより、特定対象者自身の位置や方向を地図Bで確認しながら、目的地まで容易に移動することができる。また、GPS受信装置11n及びメインアンテナ11eが携帯電話機10に設けられた状態になっており、これらのGPS受信装置11n及びメインアンテナ11eがシューズ2側に設けられた状態にはなっていないので、当該シューズ2の軽量化を図ることができる。従って、特に、高齢者がシューズ2を履いて利用する上で好適であるといえる。
【0051】
また、携帯電話機10を携帯端末として利用しているので、その通信機能を利用して地図情報を容易にダウンロードすることができる。従って、地図情報を記憶すべきメモリの容量を低減することができると共に、最新の地図情報を容易に利用することができる利点がある。
【0052】
{発明を実施するための異なる形態}
(第2の実施の形態)
次に、本発明を実施するための異なる形態としての第2の実施の形態について図7及び図8を参照して説明する。但し、第1の実施の形態で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0053】
この第2の実施の形態で示す携帯ナビゲーション装置1が第1の実施の形態で示したものと異なる点は、携帯端末として携帯電話機10に代えて腕時計20を用いている点である。
【0054】
即ち、腕時計20は、図7に示すように、時刻等を液晶画面(表示部)21aによって表示するようになっていると共に、この液晶画面21aに上述した仮想特定対象者A及び地図Bを表示するようになっている。また、腕時計20における外周を覆うケース21には、液晶画面21aの周囲をほぼ八等分する各位置に入力ボタン21bが設けられており、各入力ボタン21bはその何れかを操作することにより、地図Bをその入力ボタン21bが位置する方向に移動することを可能にするようになっている。なお、所定の入力ボタン21bは、時計として機能させている状態から携帯ナビゲーション装置として機能させる状態に切り換えたり、その反対に切り換えたりするものとなっている。また、各入力ボタン21bの一部又は全部は、時計としての機能を発揮しているときに、種々の設定をするために使用することが可能になっている。
【0055】
腕時計20の内部構成は、図8に示すようになっている。そして、内部構成において、携帯電話機10と異なる主な点は次の通りである。即ち、携帯電話機10で示した携帯制御部11jに代えて時計制御部21cを用いた構成になっている。また、携帯電話機10で示した基地局との通信に関する機能を発揮させるためのメインアンテナ11e、送受信部11f、音声処理部11g、スピーカ11h及びマイク11iを削除した構成になっている。また、携帯電話機10で示した電源に関する充電端子11r、11s、充電回路11t、二次電池11u及び電圧制御部11vに代えて、一次電池21dを用いた構成になっている。即ち、一次電池21dから供給される電力により時計制御部21c等を駆動するようになっている。更に、携帯電話機10で示した入力ボタン11b及びカーソルキー11cに代えて入力ボタン21bを用いた構成になっている。また、時計制御部21cには、地図情報が記録されたROM21eが接続されている。なお、GPSアンテナ12c及びローカルアンテナ11qは、腕時計20のバンド部に構成されることによって、ケース21の外側に配置された状態になっている。
【0056】
上記のように構成された携帯ナビゲーション装置1においても、上述した第1の実施の形態と同様に、シューズ2を履いた特定対象者の位置及び方向を仮想特定対象者Aの位置及び方向マークA1の方向として地図B上に表示することができる。しかも、携帯端末として腕時計20を用いているので、腕時計としての優れた携帯性をそのまま利用することができるという利点がある。
【0057】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においては、シューズ2を履いた特定対象者の前面が仮想特定対象者Aの方向マークA1で示す方向となるように構成した例を示したが、方位検出装置3を設けた一方のシューズ2のつま先方向が仮想特定対象者Aの方向マークA1の指し示す方向(即ち、仮想特定対象者Aの前方)となるように構成してもよい。
【0058】
この場合には、シューズ2のつま先方向と、方向マークA1の示す方向とが対応した状態となるように校正する必要がある。この校正としては、例えば、地上に置いた履物のつま先方向を特定の方向(例えは北方向)に向け、その状態で方向マークA1が指し示す方向を地図B上における前記特定の方向(北方向)に合わせることにより行うことができる。この校正は、特定対象者を介在させることなく、携帯ナビゲーション装置の製造者側でのみ行うことができる利点がある。
【0059】
また、一対あるシューズ2の双方に方位検出装置3を設けることによって当該各シューズ2のつま先方向を検出し、当該各シューズ2のつま先方向の平均方向(即ち、各シューズ2のつま先方向がなす角度の1/2の方向)が仮想特定対象者Aの方向マークA1で示す方向(即ち、仮想特定対象者Aの前方)となるように当該方向マークA1を設定するように構成してもよい。
【0060】
この場合には、特定対象者の履いた各シューズ2のつま先方向がO脚やX脚等により当該特定対象者の前方を向いていない場合であっても、当該特定対象者の前方を方向マークA1で示す方向にほぼ一致させることができる。そして、この場合も、各シューズ2のつま先方向を東西南北等の絶対的な方向に関連付ける校正を予め行っておく必要がある。ただし、その校正についても特定対象者を介在させる必要がないので、携帯ナビゲーション装置の製造者側でのみ行うことができる利点がある。
【0061】
また、上記各実施の形態においてはGPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cを携帯電話機10や腕時計20側に設けた例を示したが、このGPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cについては、シューズ2側に設けるように構成してもよい。この場合には、GPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cを方位検出装置3と共に、防水処理されたケース31内に収容し、位置データ及び方位データをローカルアンテナ3jから出力すると共に、携帯電話機10や腕時計20のローカルアンテナ11qで受信するように構成することになる。ただし、GPSアンテナ12cについては、GPS衛星からの無線を受信しやすくするため、シューズ2の外部に露出させるように設けることが好ましい。
【0062】
上記のようにGPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cをシューズ2側に設けた場合には、シューズ2の重さが増えるものの、シューズ2を履いた特定対象者の位置及び方向を特定することができる利点がある。従って、特定対象者以外の他の者が携帯電話機10や腕時計20を所持し、当該他の者が特定対象者の位置を常に把握しておきたい場合に適している。即ち、特定対象者としての子供にシューズ2を履かせ、他の者である親が携帯電話機10や腕時計20を所持することにより、子供の位置や方向を常に把握しながら、所定の目的地まで安全に移動することができる。
【0063】
また、方位センサ3aとしてジャイロコンパスを用いた例を示したが、この方位センサ3aとしては、ジャイロコンパスの他に、磁気コンパス等を用いるようにしてもよい。
【0064】
更に、位置検出装置としてGPS受信装置11n及びGPSアンテナ12cを備えたものを示したが、この位置検出装置としては、携帯電話機の通信で用いられる基地局から発する電波を受信することによって、位置を検出する装置によって構成したものであってもよい。
【0065】
また、履物としてシューズ2を用いた例を示したが、この履物としては、革靴や、登山靴、サンダル等の何れの履物であってもよい。更に、携帯端末として携帯電話機10又は腕時計20を用いた例を示したが、この携帯端末としては、ナビゲーションのために専用に構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示した携帯ナビゲーション装置の一構成要素としてのシューズを示す正面図である。
【図2】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としてのシューズの要部断面図である。
【図3】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての方位センサを有する方位検出装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての携帯電話機を示す正面図である。
【図5】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての携帯電話機の液晶画面に表示する地図の拡大図である。
【図6】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態として示した携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての腕時計を示す正面図である。
【図8】同携帯ナビゲーション装置の一構成要素としての腕時計の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 携帯ナビゲーション装置
2 シューズ(履物)
3 方位検出装置
3a 方位センサ
10 携帯電話機(携帯端末)
12b 液晶画面(表示部)
20 腕時計(携帯端末)
21a 液晶画面(表示部)
A 仮想特定対象者
A1 方向マーク
B 地図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上における特定対象者の位置及び方向を仮想特定対象者の位置及び方向として携帯端末の表示部に地図と共に表示する携帯ナビゲーション装置であって、
前記仮想特定対象者の方向は、前記特定対象者が履くことになる履物に設けられた方位センサによって検出された方向に基づいて定められるようになっていることを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記方位センサによって前記履物のつま先方向を検出し、当該履物のつま先方向が前記仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向を設定していることを特徴とする請求項1に記載の携帯ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記履物であって当該一対の履物の双方に設けた前記方位センサによって当該各履物のつま先方向を検出し、当該各履物のつま先方向の平均方向が前記仮想特定対象者の前方となるように当該仮想特定対象者の方向を設定していることを特徴とする請求項1に記載の携帯ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定対象者の位置を検出する位置検出装置が前記携帯端末及び履物の何れか一方に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記携帯端末として、携帯電話機又は腕時計を用いていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の携帯ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−268098(P2008−268098A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113786(P2007−113786)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】