説明

携帯端末装置

【課題】 身体に直接装着する必要なく、新たに定められた操作を特別のキー操作を行うことなく実現でき、しかもアナログ的な量の指示も比較的容易に行うことのできる携帯端末装置を得ること。
【解決手段】 携帯電話機11は、加速度センサ18を備えており装置に振動等の加速度を与えるとこれを検出し、加速度の加わる継続時間を測定して、バックライト25やキーLED14Lが一度消灯した際の再点灯の時間を調整する。また、電子メールの入力が終わった時点で携帯電話機11を振る等の操作を行うだけで、メールの送信等の予め設定した処理を行わせることもできる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯電話機あるいは小型の情報端末のような携帯端末装置に係わり、特に操作性の向上を図った携帯端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機に代表される携帯端末装置は、携帯性の点から同一機能であればサイズがより小型のものが好まれる傾向がある。ところが、小型化すればするほど、操作部あるいは操作用のキースイッチあるいはボタンスイッチ等の操作具(以下キースイッチと総称する。)も小型化したり、キースイッチの数が少なくなることになり、操作性は必ずしも良くならないという問題がある。
【0003】図8はこのような問題を解決するための提案を示したものである。特開平10−200610号公報に開示されたこの提案では、手101あるいは指102の動きを手首に装着した加速度検出器103で検出して、それに応じたトリガ信号104をトリガ信号発生器105から発生させるようにしている。そして、トリガ信号104をコマンド生成回路106に入力して、トリガ信号104の態様に応じたコマンド107を出力させ、このコマンド107を電話送受信回路108に入力することで電話の送受信の操作を行うようにしている。
【0004】この特開平10−200610号公報では、操作者の耳の部分に同様に加速度検出器をとり付けて、歯を噛み合わせた時に発生し、顎の骨や皮膚の表面を伝わってきた加速度を同様に検出して、同様の原理でコマンドを発生させて電話の送受信の操作を行う技術も開示している。この場合には、操作者による時系列の歯の噛み合わせ動作で電話の送受信操作を行うことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この提案の技術では、操作者が腕や耳といった手や歯の動きが検出される部位に加速度検出器を取り付ける必要がある。したがって、この提案で示されたように携帯端末装置自体が腕時計や補聴器といったサイズまで小型化されたときには有効な提案となるが、通常の携帯電話機やPDA(personal digitalassistants:個人向け携帯型情報通信機器)のような手に持って操作するようなサイズの装置の場合には、更に腕輪や耳カバーのような検出器を必要とする。このため、煩雑であると共に装置間で無線で信号を送受信する必要から電源も2系統必要となって管理もしにくいという問題が発生する。またこのような身体に装着する装置を付け忘れた場合には当然ながら補助入力機器としての機能を果たし得ないという問題がある。
【0006】また、このように操作者が装着するサイズの携帯端末装置の場合には、手首や歯の動きによって装置の送受信動作が勝手に行われてしまう危険性がある。これを防止するために操作時には日常生じ得ないような特殊な動作を操作者に要求する必要がある。このため、操作させるコマンドの数も限定されるだけでなく、特殊な動作であるために、緊急に必要な操作あるいはとっさに必要とする操作には不向きであるという問題もあった。
【0007】また、コマンドの使用はある処理を開始させたり停止させるといった指示には効果があるが、ある処理を任意の時間長だけ行わせるといったアナログ的な指示を行うには必ずしも適さない。したがって、実際の携帯端末装置の各種の指示に適用しようとしても、その適用範囲が限定されるといった問題もあった。
【0008】そこで本発明の目的は、身体に直接装着する必要なく、新たに定められた操作を特別のキー操作を行うことなく実現でき、しかもアナログ的な量の指示も比較的容易に行うことのできる携帯端末装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、(イ)各種の操作を行う操作部と、(ロ)この操作部を照明する照明手段と、(ハ)加速度を検出する加速度センサと、(ニ)この加速度センサによって加速度が検出されている時間を測定する時間長測定手段と、(ホ)この時間長測定手段が検出した時間長に応じた時間だけ照明手段を駆動させる照明手段駆動手段とを携帯端末装置に具備させる。
【0010】すなわち請求項1記載の発明では、加速度を検出する加速度センサが加速度の検出により所定の出力を行ったときに、時間長測定手段によって加速度が検出されている時間を測定することにして、この時間長測定手段が検出した時間長に応じた時間だけ照明手段を駆動させることにして、必要な時間だけ照明が行われるようにしている。
【0011】請求項2記載の発明では、加速度センサは3軸すべての方向の加速度を検出することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【0012】すなわち請求項2記載の発明では、加速度センサは3軸すべての方向の加速度を検出するセンサなので、携帯電話機等の携帯端末装置がどのような状態に置かれていてもこれに加えた振動によって装置の照明の点灯や着信音の停止を確実かつ迅速に行うことができる。もちろん、3軸すべての方向の加速度を検出するセンサ以外であっても加速度を与える方向を知っておくことにより、あるいは装置のどの方向にセンサを配置するかを工夫しておくことにより、十分な効果を得ることができる。
【0013】請求項3記載の発明では、請求項1記載の携帯端末装置が、装置の開閉を検出する開閉検出センサを備え、照明手段駆動手段は開閉検出センサが装置が開かれた状態を検出したときで加速度センサが所定の出力を行ったとき照明手段を駆動させることを特徴としている。
【0014】すなわち請求項3記載の発明では、折畳式の携帯端末装置の場合を扱っており、開閉検出センサが装置が開かれた使用状態を検知した条件で照明手段を駆動させることにしている。このため、加速度センサの出力の信頼性を低くしても確度の高い制御を行うことができる他、装置が閉じられた使用されない状態で照明がつく事態を防止できるので省電力に寄与することになる。
【0015】請求項4記載の発明では、請求項1記載の携帯端末装置が、操作部の周囲の明るさを検出する光センサを備え、照明手段駆動手段は光センサが周囲の明るさが所定値以下である状態を検出したときで加速度センサが所定の出力を行ったとき照明手段を駆動させることを特徴としている。
【0016】すなわち請求項4記載の発明では、操作部の周囲の明るさを検出する光センサが周囲の明るさが暗いと検出した条件で照明手段を駆動させることにしている。このため、加速度センサの出力の信頼性を低くしても確度の高い制御を行うことができる他、装置の周囲が明るい状態では照明がつかないので、省電力に寄与することになる。
【0017】請求項5記載の発明では、(イ)各種の操作を行う操作部と、(ロ)加速度を検出する加速度センサと、(ハ)装置の採り得る特定の1または複数の動作状態ごとに加速度センサの加速度の検出動作と操作部による特定の操作とを対にして記憶した加速度操作対応付け記憶手段と、(ニ)加速度センサが加速度を検出したとき、前記した特定の1または複数の動作状態に対応するかどうかを判別する状態判別手段と、(ホ)この状態判別手段が特定の1または複数の動作状態に対応すると判別したとき加速度操作対応付け記憶手段に記憶された操作部による対応する特定の操作と同一の操作を実行する加速度検出時操作実行手段とを携帯端末装置に具備させる。
【0018】すなわち請求項5記載の発明では、加速度操作対応付け記憶手段に装置の特定の各状態と操作部(あるいは入力部)による対応する操作(あるいは入力)とを記憶させておき、加速度センサが加速度の検出を行ったら、特定の1または複数の動作状態に対応するかどうかを状態判別手段で判別し、特定の1または複数の動作状態に対応していれば、加速度操作対応付け記憶手段に記憶された特定の動作状態に対応する操作部による操作と同一の操作を実行させることにしている。たとえば、メニューの中の特定の項目の決定や電子メールの送受信あるいは発着信といった操作を、各状況に対応させて加速度操作対応付け記憶手段に記憶させておけば、携帯端末装置を振ったりこれに衝撃を与えることで加速度を検出させ、そのときの装置の動作状態に応じて(たとえば電子メールの各欄の記入が行われているという状態に応じて)、電子メールを送信するといったアクションを採らせることができる。
【0019】請求項6記載の発明では、(イ)各種の操作を行う操作部と、(ロ)加速度を検出する加速度センサと、(ハ)操作部を操作し、予め定めたトップメニューから順次項目を展開していくことで所望の作業を行うモードに移行させる制御手順を記憶した手順記憶領域と、(ニ)この手順記憶領域に記憶された制御手順で予め定めた作業を実行している状態で加速度センサが加速度を検出したとき、操作の状態をトップメニューに復帰させるトップメニュー復帰手段とを携帯端末装置に具備させる。
【0020】すなわち請求項6記載の発明では、携帯端末装置が、その操作部を操作することで、予め定めたトップメニューから順次項目を展開していくことで所望の作業を行うモードに移行させる制御手順を記憶した手順記憶領域を備えている。たとえばトップメニューが電子メールの処理についてのメニュー表示のトップである場合に、メールを新たに書いて送信するモードで電子メールを書いて送信した場合には、装置本体を振ってあるいは装置本体に衝撃を与えて加速度を発生させれば、トップメニューに簡単に戻すことができる。これは水銀柱式の温度計で測定を再開する前に振る動作を行うのと近似しており、動作としても分かりやすい。
【0021】請求項7記載の発明では、(イ)トップメニュー復帰手段が操作の状態をトップメニューに復帰させる直前の状態を記憶しておく直前状態記憶手段と、(ロ)加速度センサによって加速度が検出されている時間を測定する時間長測定手段と、(ハ)トップメニュー復帰手段が操作の状態をトップメニューに復帰させて操作部から操作入力がない段階で加速度センサについて時間長測定手段が所定長以上の時間を測定するかどうかを判別する復帰後加速有無判別手段と、(ニ)この復帰後加速有無判別手段がトップメニューに復帰して操作部から操作入力がない段階で加速度センサについて時間長測定手段が前記した所定長以上の時間を測定したと判別したとき直前状態記憶手段に記憶された直前の操作状態に復帰させる直前作業復帰手段とを請求項6記載の発明に更に具備させたことを特徴としている。
【0022】すなわち請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明で、トップメニュー復帰手段がトップメニューに復帰させたとき、これが誤操作であったときに元の作業に戻せるようにしたものである。なお、このとき直前状態記憶手段にはトップメニューの状態が記憶されるので、再度、加速度を加える操作を行えばトップメニューに再度戻すことができることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
【0024】
【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0025】図1は本発明の実施例における携帯端末装置の一例としての携帯電話機の外観を示したものである。この携帯電話機11はその装置本体12の表面に通常の携帯電話機と同様に液晶ディスプレイからなる表示部13、キーおよびこれらのキーを発光させるキーLED(発光ダイオード)からなる入力部14、マイクロフォン15およびスピーカ16を配置している。また、装置本体12の内部には加速度センサ18が配置されている。加速度センサ18は、市販されている3軸加速度センサであり、図示しない基板に装着した状態で高さが約7mm、幅および奥行きが1cm弱のサイズのパッケージとなっている。この加速度センサ18はX、Y、Zの3軸方向の加速度を検出することができる。装置によっては2軸方向の加速度を検出するものであってもよい。このような加速度センサは、たとえばエアバック装置に衝突時の加速度を検出するものとして使用されている。本実施例では携帯電話機11を直接振ったり、あるいは携帯電話機11を収容したバック等の入れ物(図示せず)を振ったときの加速度を検出するようになっている。表示部13の近傍には、この携帯電話機11の周囲の明るさを検出する受光センサ19が配置されている。
【0026】図2はこの携帯電話機の回路構成の要部を表わしたものである。携帯電話機11は、各種制御を行うための制御部21を備えている。制御部21はCPU(中央処理装置)21Cと制御用のプログラムを格納したROM(リード・オンリ・メモリ)21Rおよび各種データを格納するためのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)21Aを備えている。この制御部21は、無線の送受信を行う無線部22と、入力部14および加速度センサ18の検出出力をアナログ・デジタル(A/D)変換するA/Dコンバータ23ならびに所定の図示しない駆動回路あるいはインタフェイス回路を介して、表示部13、マイクロフォン15、スピーカ16、受光センサ19、バックライト25、開閉検出回路26およびバイブレータ27と接続されている。
【0027】ここで、バックライト25は表示部13を構成する液晶ディスプレイを背面から照明する光源であるが、本実施例では入力部14を構成するキースイッチの照明も図示しないダイオードの発光によって行うようになっている。開閉検出回路26は装置本体12の開閉を検出するセンサを備えており、開いている状態と閉じている状態のいずれであるかを検出するようになっている。このようなセンサとしては、たとえば磁気センサや光学センサあるいはマイクロスイッチがある。バイブレータ27はこの携帯電話機11をいわゆるマナーモードに設定したときに着信音の鳴動の代わりに振動してこれを通知する振動発生手段である。また、A/Dコンバータ23は加速度センサ18の検出した3軸のアナログ出力を入力してこれを検出出力に応じたディジタル信号に変換する回路である。すなわち加速度センサ18およびA/Dコンバータ23は振動や振れを検出する加速度検出回路を構成している。制御部21はこの加速度検出回路によって日常生活で通常に生じる振動よりも強い「振れ」が検出されたとき、携帯電話機11が故意に振られたことを検出するようになっている。本実施例では、所定の振れを検出したときにその継続時間に応じてバックライト25が点灯するようになっている。
【0028】図3は、この実施例の携帯電話機におけるバックライトの点等制御を表わしたものである。操作者が携帯電話機11を使用するために折り畳まれた状態から装置本体12を図1に示したように開くと、開閉検出回路26が開いたことを検出し(ステップS31:Y)、制御部のCPU21Cに割り込みをかける。CPU21Cはこれにより携帯電話機11が本来の使用状態に移行したことを判別し、バックライト25および入力部のキーLED14Lを点灯させる(ステップS32)。これと共に、図示しないクロック信号をカウントすることによって計時を行うソフトウェア的なタイマの動作を開始させ、所定の時間t1の計時を開始する(ステップS33)。なお、本実施例で加速度センサ18およびA/Dコンバータ23で構成した加速度検出回路を独立で電源を供給されるハードウェアで構成した場合には、このバックライト25等に電源が投入される時点でこの回路にも電源が供給されるような制御が行われる。
【0029】時間t1の計時が終了する前に入力部14によってキー入力が行われれば(ステップS34:Y)、そのキースイッチの押下に基づく処理が実行される(ステップS35)。通常の場合にはこのような操作が行われる。
【0030】操作者が何らかの理由によって操作を何も行わない状態が続行すると(ステップS34:N)、制御部14は時間t1の計時が完了した時点で(ステップS36:Y)、消費電力を節約するためにバックライト25および入力部のキーLED14Lを消灯させる(ステップS37)。ところが、このようにバックライト25および入力部のキーLED14Lが消灯してしまうと、特に周囲が暗いような場所では操作者はその後、キー入力を開始しようとしてもこれを行うことが困難である。
【0031】本実施例の携帯電話機11ではこのような場合に操作者が装置本体12を比較的強く振ることでバックライト25および入力部のキーLED14Lが再び点灯するようになっている。すなわち、操作者がこのような動作を行うと、制御部21は加速度センサ18の検出出力の強さが所定の値を超えたとき(ステップS38:Y)、その継続時間を測定する(ステップS39)。そしてこれを図2に示した制御部21内のRAM21Aに格納する。
【0032】このとき、制御部21は受光センサ19の検出出力が所定のしきい値以下の暗さであるかどうかを判別する(ステップS40)。そして、周囲がある程度以上に暗いと判別されたときには(Y)、前記したソフトウェア的なタイマの計測時間をRAM21Aに格納された加速度センサ18の加速度が連続的に検出された時間tDを基にして設定する(ステップS41)。この再設定される時間t2は、たとえば次の(1)式で与えられる。
【0033】t2=t3+CtD ……(1)
ただし、ここで符号Cは倍率を示す係数である。また時間t3は工場出荷時に設定される任意の時間であり、たとえば時間t1の半分程度の長さであってもよいし、時間t1とほぼ同様の時間であってもよい。
【0034】この後、ステップS32に戻ってバックライト25およびキーLED14Lを点灯させる。したがって、操作者はバックライト25およびキーLED14Lが消えた時点で、続けて点灯させたい時間に応じた振り幅で携帯電話機11を振れば、それに応じた長さだけバックライト25およびキーLED14Lが再び点灯する。したがって、キー入力や読みかけのメールを読む等の作業を容易に行うことができる。
【0035】もし、メールを読む作業等に手間取ってバックライト25およびキーLED14Lが再び消灯した場合には(ステップS36:Y)、再び携帯電話機11を必要とする幅で振ればよい。
【0036】なお、この実施例では受光センサ19を配置して、バックライト25およびキーLED14Lの無用な点灯を防止したが、受光センサ19を用意せずに操作者が装置本体12を振るたびに明るい場所でもバックライト25およびキーLED14Lを点灯させるようにしてもよい。また、受光センサ19を配置した場合には、明るい場所では開閉検出回路26が装置本体12が開けられた状態を検出したときバックライト25およびキーLED14Lを点灯しないようにすることも自由である。
【0037】第1の変形例
【0038】図4は、本発明の第1の変形例を示したものである。先の実施例では携帯電話機11の所持者が1回に振ったその振り幅(あるいは振った距離または時間)を測定して、これを基にしてバックライト25およびキーLED14Lが再度点灯するときの時間を設定するようにしたが、この第1の変形例では短時間に複数回振ることを可能にしてその積算値を基にして、更に設定することのできる時間を広範囲に調整可能にしたものである。
【0039】すなわち図3のステップS38と同様に所持者が図1に示した携帯電話機11を最初に振ると(ステップS38:Y)、そのときの継続時間がまず第1回目の値として測定される(ステップS51)。次に図2に示した制御部21は比較的短い時間t4が過ぎる前に再度携帯電話機11が振られるかを監視している(ステップS52、S53)。そして、振られた場合には(ステップS53:Y)、ステップS51に戻ってこの2回目の継続時間を測定する。そして、再び比較的短い時間t4が過ぎる前に携帯電話機11が振られるかを監視する。このようにして所持者が携帯電話機11を連続して複数回振った場合には、それぞれの継続時間が測定されていく。
【0040】時間t4が過ぎても携帯電話機11が振られなかったような場合、制御部21内のCPU21Cは前記したRAM21Aに書き込まれたそれぞれの継続時間の和を求めて(ステップS54)、これを全体的な継続時間として、前記した(1)式を用いてバックライト25およびキーLED14Lの点灯時間を設定することになる。
【0041】場所によって携帯電話機11を振る幅が制限される場合がある。この変形例によれば、このような状況下でも、たとえば手首を複数回小刻みに振ることによって腕を大きく振り回すのと同様の継続時間を設定することができることになる。
【0042】第2の変形例
【0043】図5は、本発明の第2の変形例で携帯端末装置の電子メールについての処理の流れの概要を表わしたものである。電子メールに関する作業を行う場合、図1R>1に示した携帯電話機11の所持者は入力部14を操作して表示部13に電子メールの各種作業を行うためのトップメニューを表示させる(ステップS61)。このトップメニューには、たとえば「電子メールの新規作成」、「電子メールの受信」、「アドレス帳の編集」等の各種の項目が表示される。携帯電話機11の所持者は、必要に応じて入力部14(図2)を操作してカーソルを移動させ(ステップS62、S63)、カーソルが所望の項目を表示している状態でこれを選択することで(ステップS64:Y)、その選択された項目を実行させる(ステップS65)。このような階層的な処理手順は予め制御部のROM21Rに格納されている。
【0044】図6は、ステップS65の処理の一例として新規メールの作成とその送信処理の項目が選択された場合の処理の流れを表わしたものである。この初期状態でバックライト25と入力部のキーLED14Lは点灯している。制御部21は加速度センサ18による加速度が感知されるか(ステップS71)、あるいは入力部14の操作があるか(ステップS72)、またはこれらの感知あるいは入力が行われることなく所定の時間t5が経過したか(ステップS73)の監視を行っている。入力部14の操作があれば(ステップS72:Y)、新規メールの作成や送信処理処理が行われているので、その操作入力に対応した処理が実行されることになる(ステップS74)。そして、その新規メールの作成と送信処理の終了を指示する入力がない限り(ステップS75:N)、ステップS71に処理が戻ることになる。新規メールの作成とその送信処理の終了の指示があれば(ステップS75:Y)、トップメニューに戻る処理が行われる(ステップS76)。
【0045】一方、新規メールの作成と送信処理の項目が選択されたにも係らず、入力部14からの入力が行われず、あるいは入力が中断したままになっている場合には(ステップS72:N)、その時間が前記した時間t5を経過した時点で(ステップS73:Y)、省電力のためにバックライト25および入力部のキーLED14Lが点灯しているかどうかを確認する(ステップS77)。そして点灯している場合にはこれらを消灯させて(ステップS78:Y)、処理がステップS71に処理が戻ることになる。バックライト25および入力部のキーLED14Lがこの時点で消灯している場合には(ステップS77:N)、直ちにステップS71に処理が戻る。
【0046】このような制御が行われているときに、ある時点で加速度センサ18が所定レベル以上の加速度を感知したとする(ステップS71:Y)。この場合、制御部21はバックライト25および入力部のキーLED14Lが点灯指定かどうかをチェックする(ステップS79)。両者が共に点灯している以外の場合には(N)、これらを点灯させて(ステップS80)新規メールの作成やその送信処理が支障なく行えるようにした状態で処理をステップS71に戻す。このとき、加速度センサ18の加速度の積分値あるいは加速度の継続時間等の加速度を加えた態様に応じて、バックライト25および入力部のキーLED14Lの点灯時間を加減するようにしてもよい。
【0047】一方、ステップS79でバックライト25および入力部のキーLED14Lが共に点灯されている場合には(Y)、所持者が携帯電話機11を振ったのは、これらを点灯させるためのものではない。そこで、制御部21は新規メールの作成状況をチェックする(ステップS81)。このチェックは、メール本文として何らかの情報が記入されているかどうかというチェックと、宛先が少なくとも1つ記入されているかどうかというチェックの2つである。これらが共に記入されていれば(Y)、所持者のアクションは電子メールの送信であると判別して、その電子メールの送信作業が実行される(ステップS82)。制御プログラムによってはこの段階で「メールを送信してよいですか」という文字を表示部13に表示して、所持者が再度、所定の時間t6以内に携帯電話機11を振った場合に送信を行うようになっていてもよい。この場合には、時間t6が過ぎても携帯電話機11が振られなければ、誤動作として加速度センサ18の検出結果を無視することになる。
【0048】ステップS82で電子メールの送信が行われた場合には、その後、トップメニューに戻ることになる(ステップS76)。したがって、所持者は電子メールの本文を書き上げたら宛先を記入して、手首を短く振ったり、携帯電話機11を持っている手を体や机等に軽く当てて加速度を生じさせれば送信作業が行われ、トップメニューに戻っていることを所定の時点で確認することで送信完了を確認することができる。
【0049】ステップS81で電子メールの本文を1字も記入していなかったり、宛先を記入していないような場合には(N)、その内容を図2に示したRAM21Aに一時的に保存して(ステップS83)、トップメニューに戻る。これは、携帯電話機11の所持者が新規メールの作成を断念してその内容を廃棄した場合の処理を簡略化させるためである。ただし、所持者が何らかの原因で携帯電話機11に衝撃を与えて加速度を感知させる事態もあるので、その場合にはすでに説明したように再度携帯電話機11を振る等によって加速度を検出させ、電子メールの作成を行っている状態に処理を戻すようにしてもよい。
【0050】第3の変形例
【0051】図7は、本発明の第3の変形例として加速度センサの検出出力に対するカスタマイズ機能を備えた携帯端末装置の処理の要部を表わしたものである。以上の実施例および変形例で説明したように図2に示した加速度センサ18による携帯電話機11の加速度の検出で、各種の機能を実現することができる。しかしながら、携帯電話機11の所持者によってはそれぞれの作業場面で別の機能に変える方が便利であることもあるし、バックライト25の点灯時間と加速度の継続時間の関係についても(1)式における倍率係数Cや時間t3を変更したい場合がある。
【0052】そこで、この第3の変形例では、加速度に関してカスタマイズできるカスタマイズモードが装置に備えられている。図1に示した携帯電話機11をカスタマイズモードに設定し(ステップS91:Y)、更に対応キー設定モードを選択した場合には(ステップS92:Y)、加速度が感知されたときに現時点で実現される機能に相当する入力部14のキーの種類が確認のために表示されると共に、変更後の入力部14のキーまたは変更後の機能の設定が行えるようになっている(ステップS93)。前記したRAM21Aは、加速度が検出されたときの携帯電話機11の各状態と入力部14の操作を行わずに代わって実現する機能とを対比したテーブル(加速度操作対応付け記憶手段)を備えており、工場出荷時にはデフォルト値が設定されているが、これを携帯電話機11の所持者がカスタマイズすることができるようになっている。たとえば図6のステップS82で示した電子メールの送信処理を送信箱に入れる処理や、電子メール自体を廃棄する処理等の携帯電話機11の所持者に都合のよい機能に変更することができる。メニューの中の特定の項目の決定や電子メールの送受信あるいは発着信といった操作を、各状況に対応させてこのテーブルに記憶させておけば、携帯端末装置を振ったりこれに衝撃を与えることで加速度を検出させ、そのときの装置の動作状態に応じて必要な処理を簡単に採らせることができる。
【0053】また、所持者がバックライト25の点灯時間と加速度の継続時間の関係を変更するための時間調整モードを選択すると(ステップS94:Y)、(1)式における現在の値が表示されると共に倍率係数Cや時間t3を数値として新たに入力したり、あるいはグラフィカルに変更することができる(ステップS95)。もちろん、所定の場合には、これらの工場出荷時の値としてのデフォルト値に復元できる機能を備えさせておくことも有効である。
【0054】なお、実施例および変形例では折畳式の携帯電話機11について説明したが、折畳式でない携帯電話機にも本発明を同様に適用することができる。もちろん、その他の携帯端末装置の照明関係および着信音の出力等の各種制御に対して本発明を同様に適用することができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように請求項1〜請求項4記載の発明によれば、加速度を検出する加速度センサが加速度の検出により所定の出力を行ったときに、時間長測定手段によって加速度が検出されている時間を測定することにしたので、この時間長測定手段が検出した時間長に応じた時間だけ照明手段を駆動させることができ、照明手段をそのたびに画一的な時間だけ駆動する場合と比べると省電力に寄与することになる。また、装置本体を振る等の単純な動作で照明手段を駆動させることができるので、操作に手間取った、間違った操作を行うことによるエラーの発生を防止することができる。
【0056】また請求項2記載の発明によれば、加速度センサとして3軸すべての方向の加速度を検出するセンサを使用するので、携帯電話機等の携帯端末装置がどのような状態に置かれていてもこれに加えた振動によって装置の照明の点灯や着信音の停止を確実かつ迅速に行うことができる。
【0057】更に請求項3記載の発明によれば、開閉検出センサが装置が開かれた使用状態を検知した条件で照明手段を駆動させることにしているので、折畳式の装置が閉じられた使用されない状態で照明がつく事態を防止でき、省電力に寄与することになる。
【0058】また請求項4記載の発明によれば、操作部の周囲の明るさを検出する光センサが周囲の明るさが暗いと検出した条件で照明手段を駆動させるので、加速度センサの出力の信頼性を低くしても確度の高い制御を行うことができる他、装置の周囲が明るい状態では照明がつかないので、省電力に寄与することになる。
【0059】更に請求項5〜請求項7記載の発明によれば、混雑した場所や暗がりといった入力操作が困難な場所でも予め定めた処理を簡単に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における携帯端末装置の一例としての携帯電話機の外観を示した斜視図である。
【図2】本実施例の携帯電話機の回路構成の要部を表わしたブロック図である。
【図3】本実施例の携帯電話機におけるバックライトの点等制御を表わした流れ図である。
【図4】本発明の第1の変形例における加速度の継続時間の処理を示した流れ図である。
【図5】本発明の第2の変形例で携帯端末装置の電子メールについての処理の流れの概要を表わした流れ図である。
【図6】第2の変形例における新規メールの作成とその送信処理の項目が選択された場合の処理の流れを表わした流れ図である。
【図7】本発明の第3の変形例として加速度センサの検出出力に対するカスタマイズ機能を備えた携帯端末装置の処理の要部を表わした流れ図である。
【図8】加速度検出器を使用した従来の装置の構成を示した説明図である。
【符号の説明】
11 携帯電話機
13 表示部
14 入力部
14K キー
14L キーLED
18 加速度センサ
21 制御部
21A RAM
21C CPU
21R ROM
25 バックライト
26 開閉検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 各種の操作を行う操作部と、この操作部を照明する照明手段と、加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサによって加速度が検出されている時間を測定する時間長測定手段と、この時間長測定手段が検出した時間長に応じた時間だけ前記照明手段を駆動させる照明手段駆動手段とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】 前記加速度センサは3軸すべての方向の加速度を検出することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】 装置の開閉を検出する開閉検出センサを備え、前記照明手段駆動手段は開閉検出センサが装置が開かれた状態を検出したときで前記加速度センサが所定の出力を行ったとき前記照明手段を駆動させることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】 操作部の周囲の明るさを検出する光センサを備え、前記照明手段駆動手段は光センサが周囲の明るさが所定値以下である状態を検出したときで前記加速度センサが所定の出力を行ったとき前記照明手段を駆動させることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】 各種の操作を行う操作部と、加速度を検出する加速度センサと、装置の採り得る特定の1または複数の動作状態ごとに前記加速度センサの加速度の検出動作と前記操作部による特定の操作とを対にして記憶した加速度操作対応付け記憶手段と、前記加速度センサが加速度を検出したとき、前記特定の1または複数の動作状態に対応するかどうかを判別する状態判別手段と、この状態判別手段が前記特定の1または複数の動作状態に対応すると判別したとき前記加速度操作対応付け記憶手段に記憶された前記操作部による対応する特定の操作と同一の操作を実行する加速度検出時操作実行手段とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】 各種の操作を行う操作部と、加速度を検出する加速度センサと、前記操作部を操作し、予め定めたトップメニューから順次項目を展開していくことで所望の作業を行うモードに移行させる制御手順を記憶した手順記憶領域と、この手順記憶領域に記憶された制御手順で予め定めた作業を実行している状態で前記加速度センサが加速度を検出したとき、操作の状態を前記トップメニューに復帰させるトップメニュー復帰手段とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】 前記トップメニュー復帰手段が操作の状態を前記トップメニューに復帰させる直前の状態を記憶しておく直前状態記憶手段と、前記加速度センサによって加速度が検出されている時間を測定する時間長測定手段と、前記トップメニュー復帰手段が操作の状態を前記トップメニューに復帰させて前記操作部から操作入力がない段階で前記加速度センサについて時間長測定手段が所定長以上の時間を測定するかどうかを判別する復帰後加速有無判別手段と、この復帰後加速有無判別手段が前記トップメニューに復帰して前記操作部から操作入力がない段階で前記加速度センサについて時間長測定手段が所定長以上の時間を測定したと判別したとき前記直前状態記憶手段に記憶された直前の操作状態に復帰させる直前作業復帰手段とを具備することを特徴とする請求項6記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−163742(P2003−163742A)
【公開日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−362312(P2001−362312)
【出願日】平成13年11月28日(2001.11.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】