説明

携帯端末

【課題】緊急事態が発生した場合にその状況を正確に記録し、確実に防犯対策を行うことができる携帯端末を提供する。
【解決手段】音声を集音する集音手段と、集音手段により集音された音声を拡大して外部に出力する拡声モードを起動させる拡声モード起動手段と、拡声モードが起動された場合、集音手段により集音された音声を拡大して出力する拡声出力手段と、集音手段により集音された音声に基づく音声データを記憶する拡声データ記憶手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に係り、特に音声を拡大して出力する拡声器機能を備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、防犯対策に利用することができる携帯端末が知られている。例えば、事故・事件発生時などの緊急事態発生時において、プリセットされたアラーム音を鳴動させることで緊急事態を周囲に通知させる携帯端末が知られている。このような防犯対策機能は、アラーム音が聞こえる範囲に他の者が存在する際には防犯対策として有効となる場合がある。
【0003】
しかし、アラーム音で緊急事態を通知するだけでは、通知したい相手に正確に伝えることが難しい。また、アラーム音の起動トリガがキー操作であった場合には、誤操作により緊急事態以外においても防犯機能を起動させてしまう可能性がある。
【0004】
今日の携帯端末は、携帯電話機のような通信機能を備えたものが広く利用されている。そのため、単に周囲に存在する他の者にアラーム音を通知することによる防犯対策機能では、携帯端末の特性を十分に生かした機能とはいえない。
【0005】
ここで、従来、事故、犯罪などの危難に遭遇したとき、気が動転していても所定の連絡先に所定のメッセージを確実に送信できる携帯電話機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−19933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された携帯電話機は、キー操作が困難および不可能な場合であっても救難メッセージを着実に送信することができるものであった。しかし、特許文献1に開示された携帯電話機は、危難に遭遇した場合には予め登録された救難メッセージを送信するのみで、当事者および周囲の者に危難の状況を正確に把握する、または、させることができなかった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、緊急事態が発生した場合にその状況を正確に記録し、確実に防犯対策を行うことができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯端末は、音声を集音する集音手段と、前記集音手段により集音された音声を拡大して外部に出力する拡声モードを起動させる拡声モード起動手段と、前記拡声モードが起動された場合、前記集音手段により集音された前記音声を拡大して出力する拡声出力手段と、前記集音手段により集音された音声に基づく音声データを記憶する拡声データ記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯端末は、緊急事態が発生した場合にその状況を正確に記録し、確実に防犯対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る携帯端末装置の一例である折り畳み式の携帯電話機の外観の構成を示す図。
【図2】本発明に係る携帯端末装置の一例である折り畳み式の携帯電話機の他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の主な機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【図4】本実施形態における携帯電話機で拡声モードが起動した場合の処理を説明するフローチャート。
【図5】本実施形態における携帯電話機で実行される拡声キーワードの設定処理を説明するフローチャート。
【図6】本実施形態における携帯電話機により実行される緊急時撮影機能による緊急時撮影処理の流れを説明するフローチャート。
【図7】本実施形態における携帯電話機により実行される緊急通信機能による緊急通信処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る携帯端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る携帯端末の一例である折り畳み式の携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(A)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態のときの正面から見た外観の構成を示し、図1(B)は、携帯電話機1を開状態としたときの側面から見た外観の構成を示す。
【0014】
図1(A)および(B)に示されるように、携帯電話機1は、中央のヒンジ部11を境に第一の筐体12と第二の筐体13とがヒンジ結合されている。第一の筐体12と第二の筐体13とは、ヒンジ部11を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ38)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信する。
【0015】
第一の筐体12には、その表面に操作キー14が設けられる。操作キー14は、特に、「0」から「9」の数字や「あ」行から「わ」行のかな文字、「A」から「Z」のアルファベットの入力が可能な数字キー15や、上下左右方向キーを備えた十字キー16、確定キー17、左ソフトキー18、右ソフトキー19などで構成される。
【0016】
十字キー16は、上下左右方向に操作されることによりメインディスプレイ23に表示されたカーソルなどを上下左右方向に移動させることができる。また、確定キー17が押下されることにより、種々の処理の確定処理が実行される。確定キー17には、メインディスプレイ23の下部に設けられた確定キー機能表示部23aに表示される処理も割り当てられる。
【0017】
さらに、第一の筐体12の十字キー16および確定キー17の上部には、左ソフトキー18および右ソフトキー19が設けられる。第一の筐体12の側面には、携帯電話機1の操作を行うサイドキー22が設けられる。左ソフトキー18、右ソフトキー19およびサイドキー22は、第一の筐体12の内部方向に押下されることによって、それぞれ所定の処理が割り当てられている。特に左ソフトキー18および右ソフトキー19は、メインディスプレイ23の下部に設けられた左ソフトキー機能表示部23bおよび右ソフトキー機能表示部23cに表示される処理が割り当てられる。
【0018】
第一の筐体12には、操作キー14の下部にマイクロフォン24が設けられており、マイクロフォン24によって通話時のユーザの音声を集音する。
【0019】
なお、第一の筐体12は、背面側に図示しないバッテリパックが挿着されており、操作キー14のうち電源キーとして割り当てられたキーが押下されてオン状態になると、バッテリパックから各回路部に対して電力が供給されて動作可能な状態に起動する。
【0020】
一方、第二の筐体13には、その大部分の面積を占めるメインディスプレイ23が設けられており、電波の受信状態、電池残量の他、電子メールの内容、簡易ホームページなどを表示することができる。なお、メインディスプレイ23は、例えばLCD(LiquidCrystalDisplay)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成されるディスプレイである。
【0021】
第二の筐体13のメインディスプレイ23の上部の所定の位置にはレシーバ(受話器)25が設けられており、これにより、ユーザは音声通話することが可能である。さらに、第二の筐体13のレシーバ25上部には、内部CCDカメラ26が設けられており、これにより、所望の撮影対象を撮影することができる。
【0022】
図2は、本発明に係る携帯端末装置の一例である折り畳み式の携帯電話機1の他の外観の構成を示す図である。図2の携帯電話機1は、図1の携帯電話機1の状態から矢印X方向に回動させた閉状態を構成する。図2(A)は、携帯電話機1が閉状態のときの正面から見た外観の構成を示し、図2(B)は、携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観の構成を示す。
【0023】
第二の筐体13の上部には、外部CCDカメラ27が設けられており、これにより、所望の撮影対象を撮影することができる。外部CCDカメラ27の図示上部には、レシーバ25以外の音声出力部としてのスピーカ35が設けられる。また、第二の筐体13には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ28が設けられており、現在のアンテナの感度のレベルを示すアンテナピクト、携帯電話機1の現在の電池残量を示す電池ピクト、現在の時刻などが表示される。
【0024】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の主な機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。携帯電話機1は、主制御部30、電源回路部31、入力制御部32、表示制御部33、音声制御部34、通信制御部36、記憶部37がバスによって相互に通信可能に接続されて構成されている。
【0025】
主制御部30は、CPU(CentralProcessingUnit)を具備し、記憶部37に記憶された各種プログラムに基づき動作して、携帯電話機1の総括的な制御を行う。電源回路部31は、操作キー14に含まれる電源キーに対する入力インタフェースを備える。電源回路部31は、ユーザにより電源キーが押されたことを検知すると、その旨を示す信号を生成して主制御部30に伝送する。また、電源回路部31は、電力供給源(バッテリ)を備える。電源回路部31は、電源キーを介した入力に基づいて携帯電話機1の電源のON/OFF状態を切り替え、電源がON状態の場合に電力供給源から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
【0026】
入力制御部32は操作キー14、サイドキー22、内部CCDカメラ26および外部CCDカメラ27(CCDカメラ26、27)に対する入力インタフェースを備える。入力制御部32は、操作キー14、サイドキー22のいずれかが押されたことを検知すると、押されたキーを示す信号を生成して主制御部30に伝送する。CCDカメラ26、27は、CCDなどからなる撮像素子を備えており、撮影光学系による被写体像を光電変換して、画像信号を生成する。CCDカメラ26、27は、本実施形態においては撮影手段として機能する。
【0027】
表示制御部33はメインディスプレイ23およびサブディスプレイ28に対する表示インタフェースを備える。表示制御部33は、主制御部30の制御に基づいて、文書データや画像信号に基づいた撮影画像をメインディスプレイ23あるいはサブディスプレイ28に表示する。
【0028】
音声制御部34は、主制御部30の制御に基づいて、マイクロフォン24で集音された音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部34は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部30の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、レシーバ25またはスピーカ35から音声として出力する。音声制御部34およびスピーカ35は、本実施形態においては拡声出力手段として機能する。また、音声制御部34およびマイクロフォン24は、本実施形態においては集音手段として機能する。
【0029】
通信制御部36は、主制御部30の制御に基づいて、基地局からアンテナ38を介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部30の指示により、音声制御部34に伝送されてレシーバ25やスピーカ35から出力されたり、表示制御部33に伝送されてメインディスプレイ23に表示されたり、または記憶部37に記録されたりする。また通信制御部36は、主制御部30の制御に基づいて、マイクロフォン24で集音された音声データや操作キー14を介して入力されたデータや記憶部37に記憶されたデータを取得すると、これらのデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、基地局に対してアンテナ38を介して送信する。
【0030】
通信制御部36は、本実施形態においては発呼制御手段、電子メール送信制御手段およびアップロード制御手段として機能する。
【0031】
記憶部37は、主制御部30が行う処理についての処理プログラムや処理に必要なデータなどを格納するROM(ReadOnlyMemory)やハードディスク、不揮発性メモリ、データベース、主制御部30が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(RandomAccessMemory)などから構成される。
【0032】
記憶部37には、本実施形態における携帯電話機1に設けられた防犯対策機能を実現するための各種データが記憶されたユーザデータ格納部41が設けられる。ユーザデータ格納部41には、拡声キーワードデータフォルダ(DF)42、拡声モード音声・画像データフォルダ(DF)43、緊急連絡先データベース(DB)44が設けられる。
【0033】
拡声キーワードDF42には、CCDカメラ26、27による撮影および拡声モード起動後における緊急連絡先への通信の起動トリガとなる音声パターンや語句が拡声キーワードとして格納される。
【0034】
拡声モード音声・画像DF43には、拡声モード起動中において録音された音声データ、撮影された画像データが格納される。
【0035】
緊急連絡先DB44には、拡声モード起動中において緊急連絡先として用いられる電話番号、電子メールアドレス、URLが格納される。
【0036】
本実施形態における携帯電話機1は、防犯対策機能としての拡声器機能、緊急時撮影機能、および緊急通信機能を備える。「拡声器機能」は、携帯電話機1を、集音された音声を拡大して出力(拡声)する拡声器として用いることができる機能である。また、「緊急時撮影機能」および「緊急通信機能」は、拡声された音声の中から予め設定された拡声キーワードが検出された場合に、CCDカメラ26、27を起動する機能、および所定の緊急連絡先に緊急連絡を行う機能である。以下、拡声モード、緊急時撮影機能および緊急通信機能の詳細について説明する。
【0037】
まず、携帯電話機1において拡声モードが起動され、拡声器として使用される場合の動作について説明する。
【0038】
図4は、本実施形態における携帯電話機1で拡声モードが起動した場合の処理を説明するフローチャートである。
【0039】
ステップS1において、主制御部30は、拡声モードを起動させる指示を受け付けたか否かの判定を行う。拡声モードを起動させる指示は、例えば所定の操作キー14による入力操作(例えば確定キー17による長押し操作)により受け付ける。主制御部30は、拡声モードを起動させる指示を受け付けていないと判定した場合、指示を受け付けるまで待機する。
【0040】
一方、主制御部30は、拡声モードを起動させる指示を受け付けたと判定した場合、ステップS2において、音声制御部34を制御することによりマイクロフォン24より入力されたユーザの音声を集音する。
【0041】
ステップS3において、主制御部30は、音声制御部34を制御することにより集音ステップS2で集音された音声を拡声してスピーカ35より出力する。このときスピーカ35より出力される音声は、一般的に用いられる拡声器と同様に周囲にいる他の者に届く音量に拡大されて出力される。例えば、携帯電話機1のユーザが、事故や事件に巻き込まれた場合に、周囲にいる他の者に助けを求めることができる程度の音量で出力される。
【0042】
ステップS4において、主制御部30は、集音ステップS2において集音された音声に基づく音声データを記憶部37の拡声モード音声・画像DF43に記録する。
【0043】
ステップS5において、主制御部30は、拡声モードを終了させる指示を受け付けたか否かの判定を行う。拡声モードを終了させる指示は、例えば所定の操作キー14による入力操作(例えば確定キー17による短押し操作)により受け付ける。主制御部30は、拡声モードを終了させる指示を受け付けていないと判定した場合、集音ステップS2に戻り、拡声モードを終了させる指示を受け付けるまで集音ステップS2〜終了判定ステップS5の処理を繰り返す。
【0044】
一方、主制御部30は、拡声モードを終了させる指示を受け付けたと判定した場合、拡声モードを終了し、拡声モード処理は終了する。
【0045】
なお、主制御部30が音声データを記録するタイミングは、拡声ステップS3で出力される前であってもよい。また、拡声モードは、例えば所定の操作キー14の押下が継続されている間に起動し、所定の操作キー14の押下が終了した場合に終了するように構成してもよい。
【0046】
以上で、拡声モード処理の説明を終了する。
【0047】
次に、携帯電話機1で実行される緊急時撮影機能および緊急通信機能について説明する。緊急時撮影機能および緊急通信機能を説明する前に、緊急時撮影機能および緊急通信機能の起動トリガとなる拡声キーワードの設定処理について説明する。
【0048】
図5は、本実施形態における携帯電話機1で実行される拡声キーワードの設定処理を説明するフローチャートである。
【0049】
ステップS11において、主制御部30は、拡声キーワードの設定を開始する指示を受け付けたか否かの判定を行う。拡声キーワードの設定は、例えばメニュー画面から呼び出し可能な拡声キーワード設定画面より、拡声キーワードの設定を開始する指示を受け付けることにより開始される。主制御部30は、拡声キーワードの設定を開始する指示を受け付けていないと判定した場合、指示を受け付けるまで待機する。
【0050】
一方、主制御部30は、拡声キーワードの設定を開始する指示を受け付けたと判定した場合、ステップS12において、音声制御部34を制御することによりマイクロフォン24より入力されたユーザの音声を拡声キーワードとして録音を開始する。拡声キーワードとして設定される語句としては、「助けて」、「痴漢です」、「やめて」など、事件や事故が発生した緊急事態においてユーザが発すると想定される語句が挙げられる。
【0051】
ステップS13において、主制御部30は、ユーザの音声パターンや語句が拡声キーワードとして正しく録音されて登録されたか否かの判定を行う。主制御部30は、拡声キーワードが正しく録音されず、登録が完了していないと判定した場合、ステップS14において、ユーザに拡声キーワードの録音ができなかった旨の通知(NG通知)を行う。主制御部30は、例えばメインディスプレイ23にポップアップを表示したり、アラーム音、ブザー音などを出力したりすることにより、ユーザに対してNG通知を行う。なお、拡声キーワードの録音ができなかった場合とは、例えば録音時における周囲の雑音が影響して音声を検出できなかった場合が該当する。
【0052】
主制御部30は、ステップS14においてNG通知を行った後、再び録音ステップS12に戻り、拡声キーワードの録音を開始する。ステップS12〜S14は、登録判定ステップS13において拡声キーワードが録音されて登録が完了したと判定されるまで繰り返し実行される。
【0053】
一方、主制御部30は、登録判定ステップS13において拡声キーワードが正しく録音されて登録が完了したと判定した場合、ステップS15において、拡声キーワードの録音を終了する。
【0054】
ステップS16において、主制御部30は、再度拡声キーワードの録音を行う。ステップS16において再度拡声キーワードを録音するのは、録音ステップS12において録音された拡声キーワードが、正しく登録されているか否かを確認するためである。
【0055】
ステップS17において、主制御部30は、録音ステップS16において録音された拡声キーワードと、録音ステップS12において録音され登録された拡声キーワード(音声パターン、語句)とが一致するか否かの判定を行う。主制御部30は、録音された拡声キーワードと既に登録された拡声キーワードとが一致しないと判定した場合、ステップS18において、ユーザに拡声キーワードの登録が正しく行われなかった旨の通知(NG通知)を行う。主制御部30は、例えばメインディスプレイ23にポップアップを表示したり、アラーム音、ブザー音などを出力したりすることによりユーザに対してNG通知を行う。
【0056】
主制御部30は、ステップS18においてNG通知を行った後、再び録音ステップS16に戻り、確認のための拡声キーワードの録音を開始する。ステップS16〜S18は、一致判定ステップS17において拡声キーワードが正しく登録されたと判定されるまで繰り返し実行される。なお、登録された拡声キーワードの確認中は、ユーザは拡声キーワードを視聴でき、音声パターンや語句を確認することができるようになっている。
【0057】
一方、主制御部30は、一致判定ステップS17において拡声キーワードが正しく登録されたと判定した場合、ステップS19において、確認ための拡声キーワードの録音を終了する。
【0058】
ステップS20において、主制御部30は、拡声キーワードが正しく録音されたことをユーザに通知する。主制御部30は、例えば携帯電話機1に拡声キーワードが正しく録音された旨が記載された登録完了メールを送信することにより、ユーザに通知を行う。
【0059】
なお、図5の拡声キーワードの設定処理では、録音ステップS16において確認のための拡声キーワードの録音を行うようにしたが、この録音ステップS16の処理を省略してもよい。この場合、一致判定ステップS17および通知ステップS18の処理も省略される。
【0060】
以上で、拡声キーワードの設定処理の説明を終了する。
【0061】
次に、設定された拡声キーワードを用いて実行される、緊急時撮影機能について説明する。
【0062】
図6は、本実施形態における携帯電話機1により実行される緊急時撮影機能による緊急時撮影処理の流れを説明するフローチャートである。この緊急時撮影機能は、拡声モード起動中において、集音された音声に基づく音声データが、拡声モード音声・画像DF43に記憶された後(図4の記録ステップS4)に実行される。
【0063】
ステップS21において、主制御部30は、拡声モード音声・画像DF43に記憶された音声データより、拡声キーワードを検出したか否かの判定を行う。主制御部30は、記憶された音声データより、拡声キーワードが検出されないと判定した場合、緊急時撮影処理を終了する。
【0064】
一方、主制御部30は、記憶された音声データより、拡声キーワードを検出した場合、ステップS22において、CCDカメラ26、27を起動させる。このとき起動されるCCDカメラは、内部CCDカメラ26および外部CCDカメラ27のどちらでもよく、起動されるCCDカメラが予めユーザに設定されていてもよいし、起動時に選択するようにしてもよい。
【0065】
ステップS23において、主制御部30は、起動されたCCDカメラ26、27により静止画または動画の撮影を開始する。このとき撮影を動画で行うか、または静止画で行うかは、予めユーザにより設定されるようになっている。または、起動時にユーザにより選択させるようにしてもよい。
【0066】
ステップS24において、主制御部30は、撮影された静止画または動画に基づく撮影データを、拡声モード音声・画像DF43に記憶させる。
【0067】
ステップS25において、主制御部30は、撮影が終了したか否かの判定を行う。撮影は、例えばユーザより撮影を終了させる指示を受け付けた場合や、所定時間が経過した場合に終了する。主制御部30は、撮影が未だ終了していないと判定した場合、撮影ステップS23に戻り、終了したと判定するまで撮影を継続する。一方、主制御部30は、撮影が終了したと判定した場合、CCDカメラ26、27を終了させて、緊急時撮影処理を終了する。
【0068】
以上で、緊急時撮影処理の説明を終了する。
【0069】
次に、設定された拡声キーワードを用いて実行される、緊急通信機能について説明する。
【0070】
図7は、本実施形態における携帯電話機1により実行される緊急通信機能による緊急通信処理の流れを説明するフローチャートである。この緊急通信機能は、拡声モード起動中において、集音された音声に基づく音声データが、拡声モード音声・画像DF43に記憶された後(図4の記録ステップS4)に実行される。
【0071】
なお、緊急通信処理において緊急連絡先として用いられる電話番号、電子メールアドレス、URLは、予めユーザにより登録され、緊急連絡先DB44に記憶されているものとする。図7で説明する処理においては、電話番号、電子メールアドレスおよびURLのうち、一の連絡先が緊急連絡先として設定されている場合を説明する。
【0072】
ステップS31において、主制御部30は、拡声モード音声・画像DF43に記憶された音声データより、拡声キーワードを検出したか否かの判定を行う。主制御部30は、記憶された音声データより、拡声キーワードが検出されないと判定した場合、緊急通信処理を終了する。
【0073】
一方、主制御部30は、記憶された音声データより、拡声キーワードを検出した場合、ステップS32において、予め登録された緊急連絡先が電話番号であるか否かの判定を行う。主制御部30は、予め登録された緊急連絡先が電話番号であると判定した場合、ステップS33において、その電話番号に対して発呼処理を行う。これにより、予め登録された緊急連絡先に自動的に発呼されるため、ユーザは発信処理を行うことのできない緊急事態であっても、救助などを求めることができる。
【0074】
一方、主制御部30は、予め登録された緊急連絡先が電話番号ではないと判定された場合、ステップS34において、予め登録された緊急連絡先が電子メールアドレスであるか否かの判定を行う。主制御部30は、予め登録された緊急連絡先が電子メールアドレスであると判定した場合、ステップS35において、その電子メールアドレスに送信するための電子メールを作成する。このとき主制御部30は、拡声モード起動中(図4の記録ステップS4)において集音された音声に基づき、拡声モード音声・画像DF43に記憶された音声データが添付された電子メールを作成する。また、主制御部30は、予め設定された救助メッセージを伴った電子メールを作成してもよい。
【0075】
ステップS36において、主制御部30は、撮影拡声モード音声・画像DF43に、緊急時撮影機能が起動されて撮影された撮影データが存在するか否かの判定を行う。主制御部30は、撮影データが存在しないと判定した場合、ステップS38に進む。
【0076】
一方、主制御部30は、撮影データが存在すると判定した場合、ステップS37において、電子メールに撮影データを添付する。
【0077】
ステップS38において、主制御部30は、作成された電子メールを緊急連絡先としての電子メールアドレスに対して送信する。
【0078】
主制御部30は、連絡先判定ステップS34において、予め登録された緊急連絡先は電子メールアドレスではないと判定した場合、ステップS39において、緊急連絡先はURLであるか否かの判定を行う。主制御部30は、緊急連絡先がURLでないと判定した場合、緊急通信処理を終了する。なお、ステップS39において、緊急連絡先がURLでないと判定された場合は、緊急連絡先DB44に予め緊急連絡先が登録されていなかった場合が該当する。
【0079】
一方、主制御部30は、予め登録された緊急連絡先がURLであると判定した場合、ステップS40において、そのURLに緊急連絡をアップロードするためのHTML(HyperTextMarkupLanguage)文書を作成する。このとき主制御部30は、拡声モード起動中(図4の記録ステップS4)において集音された音声に基づき、拡声モード音声・画像DF43に記憶された音声データをアップロードするためのHTML文書を作成する。また、主制御部30は、予め設定された救助メッセージを伴ったHTML文書を作成してもよい。
【0080】
ステップS41において、主制御部30は、撮影拡声モード音声・画像DF43に、緊急時撮影機能が起動されて撮影された撮影データが存在するか否かの判定を行う。主制御部30は、撮影データが存在しないと判定した場合、ステップS43に進む。
【0081】
一方、主制御部30は、撮影データが存在すると判定した場合、ステップS42において、撮影データをアップロードするHTML文書を作成する。
【0082】
ステップS43において、主制御部30は、作成されたHTML文書を緊急連絡先としてのURLにアップロードする。
【0083】
以上で、緊急通信処理の説明を終了する。
【0084】
なお、図7の緊急通信処理においては、予め登録された一の緊急連絡先に緊急連絡を行う例を説明したが、これに限らず緊急連絡先として登録された複数の電話番号、電子メールアドレスおよびURLに緊急連絡を行うようにしてもよい。
【0085】
また、図7の緊急通信処理においては、音声データおよび撮影データの少なくとも一方を添付・アップロードしてもよいし、メッセージのみをアップロードするようにしてもよい。
【0086】
この携帯電話機1によれば、緊急事態が発生した場合においては、防犯対策として携帯電話機1を拡声器として利用することができる。このため、周囲の者に対して音声を用いて緊急事態であることを正確に伝えることができる。
【0087】
また、携帯電話機1は、拡声器として利用することができるのみならず、拡大されて出力された音声を録音することができる。このため、携帯電話機1は、緊急事態が発生した場合にその状況を正確に記録することができ、緊急事態発生後の防犯対策にも活用することができる。また、携帯電話機1は、予め拡声キーワードを設定しておくことにより、録音された音声に拡声キーワードが含まれる場合には、緊急事態に応じた種々の処理を自動的に実行することができる。
【0088】
携帯電話機1は、拡声キーワードを検出した場合に自動的に静止画または動画の撮影を行うことで、緊急事態が発生した状況を視覚的に正確に記録することができる点で有効である。緊急事態におけるユーザは、携帯電話機1の煩雑な操作を行うことが困難であることが想定されるが、撮影を自動的に行うことで、例えば危害を加えた相手の様相を正確に記録することができる。
【0089】
さらに、携帯電話機1は、拡声キーワードを検出した場合に自動的に緊急連絡先への緊急連絡(通信)を実行することで、緊急事態が発生した状況を遠隔地にいる者に対しても知らせることができる。このとき、携帯電話機1は、記憶された音声データや撮影データと共に緊急連絡を行うことができるため、より正確に現在の状況を伝えることができる点で優れている。
【0090】
なお、本発明に係る携帯端末は、携帯電話機1以外にもPDA(PersonalDigitalAssistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機、その他の携帯端末にも適用することができる。
【0091】
また、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0092】
さらに、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0093】
1 携帯電話機
11 ヒンジ部
12 第一の筐体
13 第二の筐体
14 操作キー
15 数字キー
17 確定キー
23 メインディスプレイ
24 マイクロフォン
25 レシーバ
26 内部CCDカメラ
27 外部CCDカメラ
28 サブディスプレイ
30 主制御部
31 電源回路部
32 入力制御部
33 表示制御部
34 音声制御部
35 スピーカ
36 記憶部
37 通信制御部
38 アンテナ
41 ユーザデータ格納部
42 拡声キーワードデータフォルダ(DF)
43 画像データフォルダ(DF)
44 緊急連絡先データベース(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を集音する集音手段と、
前記集音手段により集音された音声を拡大して外部に出力する拡声モードを起動させる拡声モード起動手段と、
前記拡声モードが起動された場合、前記集音手段により集音された前記音声を拡大して出力する拡声出力手段と、
前記集音手段により集音された音声に基づく音声データを記憶する拡声データ記憶手段とを備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記集音手段により集音された音声を拡声キーワードとして記憶するキーワード記憶手段と、
前記拡声モードが起動された場合、前記集音手段により集音された前記音声から前記キーワード記憶手段に記憶された前記拡声キーワードを検出する検出手段と、
前記拡声キーワードが検出された場合、予め設定された所定の電話番号に発呼処理を行う発呼制御手段とをさらに備えた請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記集音手段により集音された音声を拡声キーワードとして記憶するキーワード記憶手段と、
前記拡声モードが起動された場合、前記集音手段により集音された前記音声から前記キーワード記憶手段に記憶された前記拡声キーワードを検出する検出手段と、
前記拡声キーワードが検出された場合、静止画または動画の撮影を開始する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された静止画または動画に基づく撮影データを記憶する撮影データ記憶手段とを備えた請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記拡声キーワードが検出された場合、前記拡声データ記憶手段に記憶された前記音声データおよび前記撮影データ記憶手段に記憶された前記撮影データの少なくとも一方が添付された電子メールを所定の電子メールアドレスに送信する電子メール送信制御手段とをさらに備えた請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記拡声キーワードが検出された場合、前記拡声データ記憶手段に記憶された前記音声データおよび前記撮影データ記憶手段に記憶された前記撮影データの少なくとも一方を所定のURLにアップロードするアップロード制御手段とをさらに備えた請求項3記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226461(P2010−226461A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72009(P2009−72009)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】