説明

撮像装置及び制御方法

【課題】撮影前に周囲の明るさが変化した場合、適正露光で撮影が可能か、設定したシャッタ速度や絞り値のまま適正露光で撮影が可能かの目安を使用者に知らせることを可能とした撮像装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】デジタルカメラは、カメラマイコン101、撮像素子102、画像表示部106を有するデジタルカメラ本体100と、レンズマイコン201、撮影レンズ202、絞り205を有するレンズユニット200を備える。カメラマイコン101は、マニュアル露出モード、Av優先モード、Tv優先モード、プログラム露出モードの中から、使用者より入力された露出モードを設定する。カメラマイコン101は、被写体が適正露光となる撮影条件と、設定された露出モードに応じた、いずれかの項目(Av値、Tv値、ISO感度)の制御可能な連動範囲とを関連付けて画像表示部106に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画や動画の撮影が可能で露出の連動範囲の表示が可能な撮像装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置(カメラ)では使用者が絞り値(Av値)やシャッタ速度(Tv値)を設定することが可能となっている。例えば、使用者がAv値を設定しカメラがシャッタ速度とISO感度(撮影感度)を変更して撮影を行う露出モード(以下Av優先モード)を選択した場合、従来のカメラは以下の制御を行っていた。周囲の明るさが変化し、シャッタ速度とISO感度が各々の限界値まで達すると、カメラ本体に装備されたシャッタ速度表示部を点滅させることで連動範囲外である旨を警告するか、Av値を設定値以外の値に自動的に変更し適正露光となるように制御を行っていた。
【0003】
また、例えば、使用者がシャッタ速度を設定しカメラがAv値とISO感度を変更して撮影を行う露出モード(以下Tv優先モード)を選択した場合、Av優先モードにおけるAv値とシャッタ速度を置き換えた制御を行っていた。尚、連動範囲とは、適正露光となるようにカメラが自動的に設定可能な範囲のことである。
【0004】
他方、上記カメラの制御に関連した技術としては以下の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ISO感度を自動的に設定可能なカメラと閃光装置(ストロボ)の組み合わせにおいて、設定可能なISO感度の上限/下限とAv値をカメラから閃光装置に送信し、閃光装置側でISO感度の範囲を加味した調光連動範囲の表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−115060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来例では、使用者が設定するAv値やシャッタ速度等の設定値以外のカメラが変更するパラメータが連動範囲外となった場合に警告表示が行われる。しかし、実際の露出はオーバー(画像全体が白っぽい状態)やアンダー(画像全体が黒っぽい状態)となってしまうという問題があった。
【0007】
また、上記の従来例では、設定値以外のカメラが変更するパラメータが連動範囲外となった場合にカメラが自動的に設定を変更する制御を行うため、露出は適正となる。しかし、最初に使用者が設定したAv値によるボケ味(背景のボケを大きくするか否かの度合い)、シャッタ速度でのストップ効果(動体撮影時に動体が停止した状態またはブレた状態に写す手法)等の作画効果が得られないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、撮影前に周囲の明るさが変化した場合、適正露光で撮影が可能であるか、設定したシャッタ速度や絞り値のまま適正露光で撮影が可能であるかの目安を使用者に知らせることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、レンズに入射する光量を調整する絞りと、被写体を撮像する感度調整可能な撮像手段と、前記撮像手段の遮光および露光を制御するシャッタと、被写体の輝度を測定する測光手段と、表示手段と、を備える撮像装置であって、前記測光手段により測定した結果に基づき、前記被写体が適正露光となる撮影条件の演算を行う演算手段と、感度、絞り値、シャッタ速度のうち少なくとも1つを手動で設定し、残りを前記演算手段による演算結果に応じて制御する第1の露出モード、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度を前記演算手段による演算結果に応じて制御する第2の露出モードのいずれかを選択する選択手段と、前記演算手段による演算結果と、前記選択手段により選択された前記第1の露出モードまたは前記第2の露出モードに応じた、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度のうちいずれかの制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、選択された第1の露出モードまたは第2の露出モードに応じた、感度、絞り値、シャッタ速度のうちいずれかの制御可能な連動範囲を表示する。これにより、撮影前に周囲の明るさが変化した場合、適正露光で撮影が可能であるか、設定したシャッタ速度や絞り値のまま適正露光で撮影が可能であるかの目安を使用者に知らせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2a】デジタルカメラのデジタルカメラ本体のカメラマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図2b】デジタルカメラのデジタルカメラ本体のカメラマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るTv優先モード時のプログラム線図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るAv優先モード時のプログラム線図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプログラム露出モード時のプログラム線図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るマニュアル露出モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るTv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るTv優先モードかつISO感度固定状態における画像表示部の表示状態を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るAv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るプログラム露出モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るAv優先モードにおける画像表示部の派生形の表示状態を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るTv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るAv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係るTv優先モードのプログラム線図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係るAv優先モードのプログラム線図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るTv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るAv優先モードにおける画像表示部の表示状態を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係るシャッタ速度と絞り値とISO感度の関係を示す図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示部の派生形の表示状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、デジタルカメラは、デジタルカメラ本体100と、デジタルカメラ本体100に着脱可能なレンズユニット200と、デジタルカメラ本体100に着脱可能な閃光装置(ストロボ:不図示)から構成されている。また、デジタルカメラは、静止画の撮影と動画の撮影が可能に構成されている。
【0015】
デジタルカメラ本体100は、マイクロコンピュータ(以下カメラマイコン)101、撮像素子102、A/D変換器103、タイミングジェネレータ(以下TG)104、デジタル信号処理部105、画像表示部106、画像記録部107等を備えている。レンズユニット200は、マイクロコンピュータ(以下レンズマイコン)201、撮影レンズ202、レンズ駆動部203、エンコーダ204、絞り205、絞り制御部206を備えている。
【0016】
まず、デジタルカメラ本体100の構成を説明する。カメラマイコン101(演算手段、制御手段)は、デジタルカメラ本体各部の制御と各種の演算を行うものであり、制御プログラムに基づき図2a及び図2bのフローチャートに示す処理を実行する。撮像素子102は、例えば赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ等を含むCCDイメージセンサ(またはCMOSイメージセンサ)から構成されており、撮影レンズ202により結像された被写体の光学像を電気信号に光電変換する。
【0017】
A/D変換器103は、感度調整可能な撮像素子102から出力されるアナログの電気信号をデジタルの画像データに変換する。TG104は、撮像素子102とA/D変換器103をそれぞれ動作させるための駆動タイミングを発生すると共に、動画の撮影時における撮像素子102の電荷蓄積時間(シャッタ速度)を制御する。また、TG104は、シャッタ速度(Tv値)と、撮像素子102の感度(ISO感度)をそれぞれ変更することが可能である。
【0018】
デジタル信号処理部105は、A/D変換器103により変換された画像データに対し画像処理パラメータに従って画像処理を行う。画像表示部106は、例えば液晶パネルから構成されており、撮像素子102により撮像された画像、使用者により設定された設定値等を表示する。画像記録部107は、デジタルカメラで撮像された画像を記録する。メモリ108は、各種データを記憶する。
【0019】
更に、デジタルカメラ本体100は、撮像光学系として、主ミラー150、ピント板151、ペンタプリズム152、結像レンズ153、測光部154、シャッタ155、ファインダ160、電源スイッチ、動画開始スイッチ(以上不図示)等を備えている。図示の撮像光学系はデジタルカメラ本体100の横断面方向における概略的な配置を示している。
【0020】
電源スイッチは、デジタルカメラの電源の投入または電源の切断を行う際に操作する。動画開始スイッチは、デジタルカメラによる動画撮影を開始させる際に操作する。主ミラー150は、使用者がファインダ160により被写体を観察するための観察位置150A(撮影光路に斜めに位置する斜設)、被写体を撮影するための撮影位置150B(撮影光路からの退去)のどちらかの位置に、カメラマイコン101により制御される。主ミラー150は、カメラマイコン101からの制御信号(不図示)に基づきモータを介して駆動される。
【0021】
ピント板151は、撮影レンズ202の予定結像面に配置されている。ペンタプリズム152は、ファインダ160を通る撮影光路の変更を行う。ファインダ160は、使用者がピント板151を観察することで撮像画面を観察する際に用いる。結像レンズ153と測光部154は、撮像画面(観察画面)内の被写体輝度の測定に用いる。結像レンズ153は、ペンタプリズム152内の反射光路を介してピント板151と測光部154を共役に関係づけている。測光部154の出力がカメラマイコン101のAD端子(不図示)に接続されることで測光値が読み取られる。
【0022】
シャッタ155は、走行が可能な先幕と後幕を備えており、撮像素子102の遮光と、先幕と後幕の走行間隔による露光とを行う。シャッタ155の動作はカメラマイコン101により制御端子(不図示)を介して制御される。尚、本実施の形態では撮像素子102と主ミラー150との間にシャッタ155を配置する構成としているが、これに限定されるものではない。撮像素子102と主ミラー150との間にシャッタ155を配置しない電子シャッタの構成としてもよい。
【0023】
インタフェース部130は、閃光装置との間のインタフェースを司るものであり、カメラマイコン101と閃光装置マイコン(不図示)との間の通信を可能にする。
【0024】
インタフェース部120は、レンズユニット200との間のインタフェースを司るものであり、カメラマイコン101とレンズマイコン201との間の通信を可能にする。
【0025】
次に、レンズユニット200の構成を説明する。レンズマイコン201は、レンズ各部の動作を制御する。撮影レンズ202は、複数枚のレンズ(不図示)から構成されている。尚、撮影レンズ202の焦点距離を単焦点とする構成、焦点距離を変更可能とする構成のいずれでも構わない。レンズ駆動部203は、撮影レンズ202内の焦点位置合わせ用の光学系を移動させる。撮影レンズ202の駆動量は、デジタルカメラ本体100に装備された公知の自動焦点検出部(不図示)の出力に基づきカメラマイコン101の演算により算出される。
【0026】
撮影レンズ202の駆動量は、カメラマイコン101からレンズマイコン201に通信される。レンズマイコン201は、通信された駆動量分だけレンズ駆動部203を動作させることで撮影レンズ202を駆動する。エンコーダ204は、撮影レンズ202の焦点位置を検出する。絞り205は、レンズに入射する光量を調整する機構である。絞り制御部206は、カメラマイコン101からレンズマイコン201に通信された絞り値(Av値)に基づき、絞り205の絞り込み動作を制御する。
【0027】
尚、本発明の測光手段は、撮像素子102による撮像結果、撮像時のシャッタ速度(Tv値)、絞り値(Av値)、ISO感度に基づき、適正露光の演算結果から適正露光値を算出する構成ではなく、測光部154の出力より適正露光値を算出する構成でもよい。
【0028】
次に、上記の構成を備える本実施の形態のデジタルカメラの動作について図2a、図2b〜図18を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図2a、図2bは、デジタルカメラのデジタルカメラ本体100のカメラマイコン101の処理を示すフローチャートである。
【0030】
図2a、図2bにおいて、カメラマイコン101は、本処理を開始すると(ステップS100)、インタフェース部120を介してレンズユニット200と通信を行い、レンズマイコン201からレンズユニット200の情報を取得する(ステップS101)。前記情報とは、開放絞り値(開放Av値または最小Av値)、最大の絞り値(最小絞り位置、最大Av値)の情報(Av値の連動範囲)である。次に、カメラマイコン101は、使用者が入力部170から入力した露出モードの設定を読み込む(ステップS102)。
【0031】
使用者は入力部170への入力により、マニュアル露出モード、Av優先モード(絞り優先露出モード)、Tv優先モード(シャッタ速度優先露出モード)、プログラム露出モードの中から任意の露出モードを設定(選択)することが可能である。
【0032】
マニュアル露出モード(第1の露出モード)は、使用者がシャッタ速度(Tv値)と絞り値(Av値)を手動で設定し、カメラマイコン101が適正露光の演算結果に応じてISO感度を制御する露出モードである。カメラマイコン101は、適正露光の演算結果と、ISO感度の制御可能な連動範囲を画像表示部106に表示する。
【0033】
Tv優先モード(第1の露出モード)は、使用者がTv値を手動で設定し、カメラマイコン101が適正露光の演算結果に応じてAv値またはAv値とISO感度を制御する露出モードである。カメラマイコン101は、適正露光の演算結果と、Av値またはAv値とISO感度の制御可能な連動範囲を画像表示部106に表示する。
【0034】
Av優先モード(第1の露出モード)は、使用者がAv値を手動で設定し、カメラマイコン101が適正露光の演算結果に応じてTv値またはTv値とISO感度を制御する露出モードである。カメラマイコン101は、適正露光の演算結果と、Tv値またはTv値とISO感度の制御可能な連動範囲を画像表示部106に表示する。
【0035】
プログラム露出モード(第2の露出モード)は、カメラマイコン101が適正露光の演算結果に応じてTv値とAv値の制御またはTv値とAv値とISO感度を制御する露出モードである。カメラマイコン101は、適正露光の演算結果と、Tv値とAv値またはTv値とAv値とISO感度の制御可能な連動範囲を画像表示部106に表示する。
【0036】
次に、カメラマイコン101は、ステップS102で読み込んだ露出モードがマニュアル露出モードまたはTv優先モードであるか否かを判定する(ステップS103)。マニュアル露出モードまたはTv優先モードでない場合は、ステップS104に進む。マニュアル露出モードまたはTv優先モードである場合は、カメラマイコン101は、使用者が入力部170から入力したTv値の設定を読み込む(ステップS110)。その後、ステップS104に進む。
【0037】
次に、カメラマイコン101は、ステップS102で読み込んだ露出モードがマニュアル露出モードまたはAv優先モードであるか否かを判定する(ステップS104)。マニュアル露出モードまたはAv優先モードでない場合は、ステップS105に進む。マニュアル露出モードまたはAv優先モードである場合は、カメラマイコン101は、使用者が入力部170から入力したAv値の設定を読み込む(ステップS111)。その後、ステップS105に進む。
【0038】
次に、カメラマイコン101は、使用者が入力部170から入力した撮像素子102の感度(ISO感度)の設定を読み込む(ステップS105)。尚、本実施の形態では、設定可能なISO感度の範囲はISO100〜ISO1600とする。また、外光に応じてカメラマイコン101がISO感度を変更するオートISO感度の設定もステップS105で読み込む。更に、オートISO感度モードの場合は、優先的に使用するISO感度の設定も合わせてステップS105で読み込む。
【0039】
デジタルカメラによる撮影時の露光前においてレンズユニット200の撮影レンズ202から被写体光が入射すると、デジタルカメラ本体100の主ミラー150が観察状態150Aの位置にあるので、測光部154により被写体光の測光が可能である。カメラマイコン101は、以下の演算を行う(ステップS106)。即ち、カメラマイコン101は、測光部154からの出力に基づき(Bv値:測光値)を演算する。また、カメラマイコン101は、Bv値より、Tv優先モード時のAv値とISO感度の設定、Av優先モード時のTv値とISO感度の設定、プログラム露出モード時のTv値とAv値とISO感度などの撮影条件の演算を行う。
【0040】
ここで、図3、図4、図5を参照しながら、各露出モードにおける演算の詳細を説明する。その後、図2a、図2bのフローチャートの続きを説明する。
【0041】
カメラマイコン101は、図2aのステップS102で読み込んだ露出モードがTv優先モードであれば、次の演算を行う。ステップS106で演算したBv値とステップS110で読み込んだTv値に基づき、図3のTv優先モード時の線図よりAv値とISO感度を演算する。露出の演算には以下の演算式を用いる。
【0042】
Bv=Tv+Av-Sv ・・・・(1)
Tv=-log2(シャッタ速度) ・・・・(2)
Av=2log2(絞り値) ・・・・(3)
Sv=log2(0.3×ISO感度) ・・・・(4)
上記の演算式(2)、(3)、(4)を表にすると図18に示すような関係となっている。
【0043】
図3は、Tv優先モード時のプログラム線図の一例である。
【0044】
図3において、300は、Bv値を示している。301は、図2aのステップS110で読み込んだTv値の設定を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度設定がISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Tv値301の上から1行目を使用する。
【0045】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したTv値301の行を使用する。
【0046】
302は、Bv値と設定されたTv値に対してカメラマイコン101が設定するAv値と、オートISO感度設定時のISO感度設定を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度設定がISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Av値302の左から1列目を使用する。
【0047】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したAv値302の列を使用する。
【0048】
例えば、Tv値1/125、オートISO、ISO200優先、レンズユニット200のAv値の連動範囲がF2.8〜22の場合は、Tv値301は上から2行目の1/125の位置、Av値とオートISO値は左から2列目の値を使用する。Bv値に対するプログラム線図は図3の点線部303−1、実線部303−2、点線部303−3を使用する。(ISO感度が200固定の場合は、実線部303−2のみ使用する。)
尚、Tv優先モード時のオートISO設定ありの場合に、Av値とISO感度を別々に変更するのではなく、Av値とISO感度を同時に変更するプログラム線図としても構わない。
【0049】
次に、カメラマイコン101は、図2aのステップS102で読み込んだ露出モードがAv優先モードであれば、次の演算を行う。ステップS106で演算したBv値とステップS111で読み込んだAv値に基づき、図4のAv優先モード時の線図よりTv値とISO感度を演算する。露出の演算にはTv優先モード時と同じ演算式(1)、(2)、(3)、(4)を用いる。
【0050】
図4は、Av優先モード時のプログラム線図の一例である。
【0051】
図4において、400は、Bv値を示している。401は、Bv値と設定されたAv値に対してカメラマイコン101が設定するTv値とオートISO感度設定時のISO感度設定を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度設定がISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Tv値401の上から1行目を使用する。
【0052】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したTv値401の行を使用する。
【0053】
402は、図2aのステップS111で設定されたAv値を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度が、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Av値402の左から1列目を使用する。
【0054】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したAv値402の列を使用する。
【0055】
例えば、Av値F4、オートISO、ISO400優先の場合は、Av値402は左から3列目のF4の位置、Tv値とオートISO値はTv値401の上からか3行目の値を使用する。Bv値に対するプログラム線図は点線部403−1、実線部403−2、点線部403−3を使用する。(ISO感度が400固定の場合は、実線部403−2のみ使用する。)
尚、Av優先モード時のオートISO設定ありの場合に、Tv値とISO感度を別々に変更するのではなく、Tv値とISO感度を同時に変更するプログラム線図としても構わない。
【0056】
次に、カメラマイコン101は、図2aのステップS102で読み込んだ露出モードがプログラム露出モードであれば、次の演算を行う。ステップS106で演算したBv値に基づき、図5のプログラム露出モード時の線図よりTv値、Av値、ISO感度を演算する。露出の演算にはTv優先モード時と同じ演算式(1)、(2)、(3)、(4)を用いる。
【0057】
図5は、プログラム露出モード時のプログラム線図の一例である。
【0058】
図5において、500は、Bv値を示している。501は、Bv値に対してカメラマイコン101が設定するTv値とオートISO感度設定時のISO感度設定を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度設定がISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Tv値501の上から1行目を使用する。
【0059】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したTv値501の行を使用する。
【0060】
502は、Bv値に対してカメラマイコン101が設定するAv値を示している。図2aのステップS105で読み込んだISO感度が、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合は、Av値502の左から1列目を使用する。
【0061】
以下、ISO100固定またはオートISOでISO100優先の場合と同様に、固定または優先されるISOの数値に対応したAv値502の列を使用する。
【0062】
例えば、レンズユニット200のAv値の連動範囲がF2.8〜22、オートISO、ISO800優先の場合は、Av値502は左から4列目の値、Tv値とオートISO値はTv値501の上から4行目の値を使用する。Bv値に対する線図は図5の点線部503−1、実線部503−2、点線部503−3を使用する。(ISOが800固定の場合は、実線部503−2のみ使用する。)
尚、プログラム露出モード時のオートISO設定ありの場合に、Tv値、Av値、ISO感度を別々に変更するのではなく、Tv値、Av値とISO感度を同時に変更するプログラム線図としても構わない。
【0063】
尚、マニュアル露出モード時かつISO設定を自動で設定された場合は、図2aのステップS110で読み込まれた設定されたTv値、ステップS111で読み込まれた設定されたAv値より前記演算式(1)の関係を満たす又は一番近いISO感度を演算する。
【0064】
次に、図2a、図2bのフローチャートの続きを説明する。
【0065】
図2a、図2bに戻り、カメラマイコン101は、動画開始スイッチが押下されたかどうかを判定する(ステップS107)。動画開始スイッチの押下により動画撮影開始が指示された場合は、ステップS120に進む。ステップS120〜ステップS132は動画撮影中の動作であり、後述する。動画開始スイッチが押下されていない場合は、カメラマイコン101は、電源スイッチの押下により動作終了が指示されたかどうかを判定する(ステップS108)。動作終了が指示されていない場合は、ステップS101に戻る。動作終了が指示された場合は、カメラマイコン101は、動作を停止し本処理を終了する(ステップS109)。
【0066】
動画開始スイッチが押下された場合、カメラマイコン101は、次の設定を行う。ステップS106で測光値Bvに応じて演算した、各露出モードでのTv値、Av値、ISO感度に設定を行う(ステップS120)。また、カメラマイコン101は、主ミラー150を撮影状態150Bに移動させ、シャッタ155の先幕を走行させる。
【0067】
次に、カメラマイコン101は、次の制御及び演算を行う(ステップS121)。即ち、カメラマイコン101は、TG104を動作させ、撮影レンズ202を通過し撮像素子102に露光された被写体の光を撮像素子102により周期的に撮像させる。更に、A/D変換器103及びデジタル信号処理部105を動作させ、動画撮影情報(撮影画像)を画像記録部107に保存する。更に、撮像画像、設定ISO感度、Tv値、Av値に基づき、適正露光のBv値の再演算を行う。
【0068】
次に、カメラマイコン101は、露出モードがプログラム露出モードまたはTv優先モードであるか否かを判定する(ステップS122)。プログラム露出モードまたはTv優先モードでない場合は、ステップS123に進む。プログラム露出モードまたはTv優先モードである場合は、カメラマイコン101は、ステップS121で再演算したBv値に基づきAv値を算出し、Av値を設定するようにレンズマイコン201にAv値を送信し(ステップS130)、ステップS123に進む。
【0069】
次に、カメラマイコン101は、露出モードがプログラム露出モードまたはAv優先モードであるか否かを判定する(ステップS123)。プログラム露出モードまたはAv優先モードでない場合は、ステップS124に進む。プログラム露出モードまたはAv優先モードである場合は、カメラマイコン101は、ステップS121で再演算したBv値に基づきTv値を算出し、TG104にBv値に応じたTv値を設定し(ステップS131)、ステップS124に進む。
【0070】
次に、カメラマイコン101は、ISO感度がオートISOに設定されているかどうかを判定する(ステップS124)。オートISOに設定されていない場合は、ステップS125に進む。オートISOに設定されている場合は、カメラマイコン101は、ステップS121で再演算したBv値に基づきTG104にBv値に応じたISO値を設定し(ステップS132)、ステップS125に進む。
【0071】
次に、カメラマイコン101は、ステップS121で撮像素子102により撮像された画像を画像表示部106に表示し、適正露光のBv値との各露出モードにおけるTv値、Av値、ISO感度の連動範囲を画像表示部106に表示する(ステップS125)。ステップS125における画像表示部106に対する表示制御の詳細は、各露出モードごとに後述する。
【0072】
次に、カメラマイコン101は、電源スイッチの押下により動画撮影終了が指示されたかどうかを判定する(ステップS126)。動画撮影終了が指示されていない場合は、ステップS121に戻る。動画撮影終了が指示された場合は、カメラマイコン101は、次の制御を行う。即ち、カメラマイコン101は、シャッタ155の後幕を走行させ、主ミラー150を観察位置150Aに移動させ、レンズマイコン201と通信を行うことで絞り205を開放状態にさせ、動画撮影を終了する(ステップS127)。その後、ステップS101に戻る。
【0073】
次に、各露出モードにおける画像表示部106の表示について説明する。
【0074】
図2aのステップS102で設定された露出モードがマニュアル露出モードである場合における画像表示部106の表示を図6を用いて説明する。
【0075】
図6は、マニュアル露出設定において、Av値F8、Tv値1/250、オートISO(連動範囲ISO100〜1600)の時の動画記録中の画像表示部106の状態を示す図である。
【0076】
図6において、撮影中の画像の画面下側にある目盛り600が1段ごとに露出の連動範囲を示しており、左端600−1がBv-3でアンダー側を示し、右端600−2がBv17でオーバー側を示している。また、上記の演算式(1)より、Av値F8、Tv値1/250、オートISO(連動範囲ISO100〜1600)で適正となるBv値は5〜9となるので、ISO感度の適正露光となる連動範囲は603で示す範囲となる(適正露光となる連動範囲を示す目盛り600の位置600−3がBv5の位置、位置600−4がBv9の位置である)。
【0077】
601は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すものであって、表示601はBv6を示しているので、使用者はオートISOによる適正露光の連動範囲内にあることを知ることができる。仮に、適正露光のBv値の位置が602の位置に表示されていれば、602はBv4の位置であり、使用者はオートISOによる適正露光の連動範囲より1段アンダー露出となっていることを知ることができる。更に、604はAv値の設定値、605はTv値の設定値、606はISO感度の連動範囲を示している。また、図2bのステップS121で再演算した適性露光のBv値と、図2aのステップS110で設定されたTv値、ステップS111で設定されたAv値、ステップS105で設定されたISO設定より図19のような表示を行ってもよい。
【0078】
図19において、図19(a)〜(j)は0.5段刻みのBv値に応じた適正露光と設定値との差、適正露光の連動範囲を示す図である。
【0079】
つまり、各Bv値の表示において、1900は0.5段刻み露光レベルの表示であり、中心が適正露光、左端が2段の露光アンダー、右端が2段の露光オーバーの位置を示している。1901は設定されたTv値、Av値、ISO感度と適正露光のBv値との差を示す表示であり、1902は適正露光の連動範囲を示している。例えば、Av値F8、Tv値1/250、オートISO (連動範囲ISO100〜1600)の場合の動画記録中の画像表示においては、上記演算式(1)から(4)の関係からBv5〜9が適正露光の連動範囲となる。つまり図19(a)はBv11.5以上明るい場合で、Av値F8、Tv値1/250、図2bのステップS121で再演算された一番適正に近いISO100の設定ではBv9相当となる。そのため、適正露光との差の表示1901は2段以上オーバー露光の右三角表示となり、適正露光の連動範囲表示1902は表示しない。
【0080】
図19(b)はBv11の場合であり、適正露光との差の表示1901は2段オーバー露光の位置で適正露光の連動範囲表示1902も2段オーバー露光の表示となる。
【0081】
以下0.5段ずつBv値が下がっていき、図19(c)のように、適正露光との差の表示1901の位置が移動していくとともに、適正露光の連動範囲表示1902が長くなっていく。更に0.5段ずつBv値が下がっていくと、図19(d)のように、適正露光との差の表示1901は適正露光の位置で止まり、適正露光の連動範囲表示1902は更に長くなっていく。
【0082】
図19(e)はBv7の場合であり、適正露光の連動範囲表示1902は図2bのステップS121で再演算されたISO感度設定はISO400、ISO感度の連動範囲はISO100〜1600なので、2段アンダーから2段オーバー露光の表示となる。つまり、使用者は現在適正露光であり、設定したTv値、Av値のまま撮影可能な連動範囲がアンダー側に2段、オーバー側に2段あることを知ることができる。このとき、適正露光の連動範囲表示1902の長さは最長となる。更に0.5段ずつBv値が下がっていくと、図19(f)のように、適正露光との差の表示1901は適正露光の位置のままで、適正露光の連動範囲表示1902が短くなっていく。
【0083】
図19(g)はBv5の場合であり、図2bのステップS121で再演算されたISO感度設定はISO1600、ISO感度の連動範囲はISO100〜1600なので2段アンダーから適正露光の位置となる。
【0084】
更に0.5段ずつBv値が下がっていくと、図19(h)、(i)のように、適正露光との差の表示1901の位置が移動していくとともに、適正露光の連動範囲表示1902が短くなっていく。そして、図19(j)のように、Bv2.5以下の暗い場合では、適正露光との差の表示1901は2段以上アンダー露光の左三角表示となり、適正露光の連動範囲表示1902は表示はしない。
【0085】
次に、図2aのステップS102で設定された露出モードがTv優先モードである場合における画像表示部106の表示を図7を用いて説明する。
【0086】
図7は、Tv優先露出設定において、Tv値1/125、Av値の連動範囲F2.8〜F22、オートISO、優先ISO200(連動範囲ISO100〜1600)の時の動画記録中の画像表示部106の状態を示す図である。
【0087】
図7において、各符号は図6の符号にそれぞれ対応しており、703は、設定されたTv値が1/125で、Av値とISO感度が図3における303−1、303−2、303−3の適正露光で連動する連動範囲を示している。つまり、図3の線図より連動範囲はBv1からBv11となるので、連動範囲703も目盛り700のBv1の位置700−3からBv11の位置700−4となる範囲を示している。
【0088】
701は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示している。つまり、表示701はBv6を示しているので、使用者は設定したTv値1/125のまま撮影可能な連動範囲がアンダー側に5段、オーバー側に5段あるために、多少外光の明るさが変化しても適正露光が得られることを知ることができる。702(Bv2)に適正露光のBv値があるときは、アンダー側に1段しか連動範囲がないので、使用者は外光が1段以上暗くなると露出がアンダーとなることを知ることができる。
【0089】
図8は、Tv優先モード設定において、Tv値1/125、Av値の連動範囲F2.8〜F22、ISO200固定の場合の画像表示部106の表示を示す図である。
【0090】
図8は、図7とISO設定がオートではない点が異なっており、ISO200固定の場合はTv値1/125のまま、Av値の連動範囲が図3の303−2のようになるので、連動範囲803はBv4(800−5)からBv10(800−6)までの範囲となる。また、806のISO感度の値はISO200固定と表示される。
【0091】
次に、図2aのステップS102で設定された露出モードがAv優先モードである場合における画像表示部106の表示を図9を用いて説明する。
【0092】
図9は、Av優先露出モード設定において、Av値の設定値F4、Tv値の連動範囲1/30〜1/2000、オートISO、優先ISO400(連動範囲ISO100〜1600)の時の動画記録中の画像表示部106の状態を示す図である。
【0093】
図9において、各符号は図6の符号とそれぞれ対応しており、903は、設定されたAv値がF4で、Tv値とISO感度が図4における403−1、403−2、403−3の適正露光で連動する連動範囲を示している。つまり、図4の線図より連動範囲はBv0からBv10となるので、連動範囲903も目盛り900のBv0(900−3)からBv10(900−4)となる範囲を示している。
【0094】
901は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すものであって、表示901はBv9を示しているので、使用者はAv値F4のまま撮影可能な連動範囲がアンダー側に9段、オーバー側に1段あることを知ることができる。
【0095】
次に、図2aのステップS102で設定された露出モードがプログラム露出モードである場合における画像表示部106の表示を図10を用いて説明する。
【0096】
図10は、プログラム露出モード設定において、Av値の連動範囲F2.8〜F22、Tv値の連動範囲1/30〜1/2000、オートISO、優先ISO800(連動範囲ISO100〜1600)の時の動画記録中の画像表示部106の状態を示す図である。
【0097】
図10において、各符号は図6の符号にそれぞれ対応しており、1003は、図5における503−1、503−2、503−3の適正露光で連動する範囲を示している。つまり、図5の線図より連動範囲はBv-1からBv15となるので、連動範囲1003も目盛り1000のBv-1(1000−3)からBv15(1000−4)となる範囲を示している。
【0098】
1001は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すもので、表示1001はBv9を示しているので、使用者は撮影可能な連動範囲がアンダー側に10段、オーバー側に6段あることを知ることができる。
【0099】
尚、画像表示部106に表示される、図6乃至図10に示した連動範囲を示す目盛り600〜1000は左端をBv-3、右端をBv17としたが、設定等により範囲や間隔を変化させても構わない。また、図6乃至図10に示した連動範囲603〜1003が左右均等となるように、連動範囲の目盛り600〜1000を配置する方式でも構わない。
【0100】
例えば図9では、露出連動範囲の目盛900の左端900−1はBv-3、右端900−2はBv17を示しているが、これを図11に示すように連動範囲1103を左右均等となるように表示してもよい。
【0101】
図11は、Av優先モードにおける画像表示部106の派生形の表示状態を示す図であって、露出の連動範囲1103はBv0からBv10なので、連動範囲の目盛1100の左端1100−1はBv-5、右端1100−2はBv15となる。
【0102】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、画像表示部106の表示により、使用者は適正露光量となる撮影条件と、Tv値、Av値、ISO感度の連動範囲とを関連付けて知ることができる。これにより、外光変化があっても、撮影が連動範囲内で可能となるかを予想することができる。
【0103】
即ち、適正露光量と、使用者が設定した項目以外のカメラ本体が自動で変更する項目の制御可能な連動範囲を画像表示部106に表示する。これにより、撮影前に周囲の明るさが変化した場合、適正露光で撮影が可能であるか、設定したTv値やAv値のまま適正露光で撮影が可能であるかの目安を使用者に知らせることが可能となる。
【0104】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、図2bのステップS125の画像表示部106の表示動作のみ異なる。以下では、第1の実施の形態との相違点について図12及び図13を用いて説明する。
【0105】
図2bのステップS125では、ステップS121で撮像された画像を画像表示部106に表示すると共に、適正露光のBv値との各露出モードにおけるTv値、Av値、ISO感度の連動範囲を表示する。以下、画像表示部106に対する表示制御の詳細について、相違点のあるTv優先モード、Av優先モードについて説明する。
【0106】
図2aのステップS102で設定された露出モードがTv優先モードである場合における画像表示部106の表示を図12を用いて説明する。
【0107】
図12における各符号は図7の符号にそれぞれ対応しており、図12の設定内容は図7と同様である。
【0108】
図12において、1203−1は図3における303−1に対応し、Tv値が1/125、Av値がF2.8、ISO感度がISO1600〜ISO200で連動する範囲を示している。
【0109】
1203−2は図3における303−2に対応し、Tv値が1/125、ISO感度がISO200、Av値がF2.8〜F22で連動する範囲を示している。1203−3は図3における303−3に対応し、Tv値が1/125、Av値がF22、ISO感度がISO200〜ISO100で連動する範囲を示している。
【0110】
1201は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示している。つまり、表示1201はBv6を示しているので、使用者はTv値1/125のまま撮影可能な連動範囲(図12の1203−1、1203−2、1203−3)がアンダー側に5段、オーバー側に5段ある。これにより、多少外光の明るさが変化してもTv値が1/125のまま適正露光が得られることが分かる。更に、1203−2の範囲内にあればISO感度も図2aのステップS105で読み取った優先ISO感度(ISO200)固定で且つTv値が1/125のまま適正露光が得られることが分かる。
【0111】
Av値の連動範囲1204の背景にある表示1207と連動範囲1203−2とを同じ表示色や模様で表示することで、Av値の連動範囲1204と連動範囲1203−2を関連づけて表示している。また、ISO感度の連動範囲1206の背景にある表示1208と連動範囲1203−1、1203−3の表示色や模様を同じにすることで、ISO感度の連動範囲1206と連動範囲1203−1、1203−3を関連づけて表示している。
【0112】
次に、図2aのステップS102で設定された露出モードがAv優先モードである場合における画像表示部106の表示を図13を用いて説明する。
【0113】
図13における各符号は図9の符号にそれぞれ対応しており、図13の設定内容は図9と同様である。
【0114】
図13において、1303−1は図4における403−1に対応し、Tv値が1/30、Av値がF4、ISO感度がISO1600〜ISO400で連動する範囲を示している。
【0115】
1303−2は図4における403−2に対応し、Av値がF4、ISO感度がISO400、Tv値が1/30〜1/2000で連動する範囲を示している。1303−3は図4における303−3に対応し、Tv値が1/2000、Av値がF4、ISO感度がISO400〜ISO100で連動する範囲を示している。
【0116】
1301は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すものであって、表示1301はBv8を示しているので、使用者はAv値F4のまま撮影可能な連動範囲がアンダー側に8段あり、オーバー側に2段あることを知ることができる。更に、表示1301が1303−2の範囲内にあればISO感度も図2aのステップS105で読み取った優先ISO感度(ISO400)固定で且つAv値がF4のまま適正露光を得られることが分かる。
【0117】
ただし、表示1301の位置(Bv8)は連動範囲1303−2と1303−3の境界であり、ISO感度固定で撮影するには、使用者は優先ISO感度をISO400から低感度側に設定するか、Av値を小さく設定する必要があることが分かる。連動範囲1305の背景にある表示1309と連動範囲1303−2とを同じ表示色や模様で表示することで、Tv値1305と連動範囲1303−2を関連づけて表示をしている。また、連動範囲1306の背景にある表示1308と連動範囲1303−1、1303−3の表示色や模様を同じにすることでISO感度の連動範囲1306と連動範囲1303−1、1303−3を関連づけて表示している。
【0118】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、使用者は適正光量となる撮影条件と、Tv値、Av値、ISO感度の連動範囲とを関連付けて知ることが可能となる。更にそれに加え、Tv優先モード時はTv値とISO感度の固定状態でのAv値の連動範囲を知ることが可能となり、Av優先モード時はAv値とISO感度の固定状態でのTv値の連動範囲を知ることが可能となる。これにより、外光変化により撮影が連動範囲内となるかを撮影中により細かに予想することが可能となる。
【0119】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、図2bのステップS125の画像表示部106の表示動作のみ異なる。以下では、第1の実施の形態との相違点について図14乃至図17を用いて説明する。
【0120】
まず、図14に示すTv優先モードのプログラム線図における、図3に示したプログラム線図との相違点を説明する。
【0121】
図14において、各符号は図3の符号にそれぞれ対応しており、相違点は1403−4と1403−5の部分を追加した点である。1403−4、1403−5は、Av値とISO感度を連動範囲の限界まで変更しても適正露光とならない場合に、Tv値を図2aのステップS110で読み込んだ設定値よりも低速側または高速側にシフトして適正露光を維持する領域である。
【0122】
例えば、Tv値1/125、オートISO、ISO200優先、図2aのステップS101でAv値の連動範囲がF2.8〜22の場合は、Tv値が1/125の設定のまま連動する範囲は点線部1403−1、実線部1403−2、点線部1403−3となる。また、Tv値が1/125よりシフトして連動する範囲は点線部1403−4、1403−5となる。
【0123】
次に、図15に示すAv優先モードのプログラム線図における、図4に示したプログラム線図との相違点を説明する。
【0124】
図15において、各符号は図4の符号にそれぞれ対応しており、相違点は1503−4と1503−5の部分を追加した点である。1503−4、1503−5は、Tv値とISO感度を連動範囲の限界まで変更しても適正露光とならない場合に、Av値を図2aのステップS111で読み込んだ設定値よりも開放側または小絞り側にシフトして適正露光を維持する領域である。
【0125】
例えば、Av値F4(レンズのAv値の連動範囲がF2.8〜22)、オートISO、ISO400優先の場合は、Av値がF4の設定のまま連動する範囲は図15の点線部1503−1、実線部1503−2、点線部1503−3となる。また、Av値がF4よりシフトして連動する範囲は点線部1503−4、1503−5となる。
【0126】
次に、Tv優先モード時及びAv優先モード時における、図2bのステップS125での画像表示部106の表示動作について第1の実施の形態との相違点を説明する。
【0127】
図2aのステップS102で設定された露出モードがTv優先モードである場合の画像表示部106の表示を図16を用いて説明する。
【0128】
図16における各符号は図7の符号にそれぞれ対応しており、図16の設定内容は図7と同様である。
【0129】
図16において、1603は図14における1403−1、1403−2、1403−3に対応して連動する連動範囲を示している。つまり、図14の線図より連動範囲はBv1からBv11となるので、連動範囲1603も目盛り1600のBv1(1600−3)からBv11(1600−4)となる範囲を示している。
【0130】
連動範囲1603−4は図14におけるTv値が低速側にシフトして連動する範囲を示し、連動範囲1603−5はTv値が高速側にシフトする範囲を示している。1601は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すものであって、適正露光Bv値表示1601が連動範囲1603内にあれば、使用者は設定したTv値のまま適正露光が得られることが分かる。適正露光Bv値表示1601が連動範囲1603−4、1603−5内にあれば、使用者はTv値は設定値からシフトしてしまうが、適正露光が得られることが分かる。
【0131】
連動範囲1604、1606、設定値1605の背景にある表示1609と連動範囲1603とを同じ表示色や模様で表示することで、表示1604、1605、1606の数値と連動範囲1603を関連づけて示している。
【0132】
1610はTv値のシフト範囲を表示している。シフト範囲1610の背景にある表示1608を連動範囲1603−4、1603−5と同じ表示色や模様で表示することで、Tv値のシフト範囲1610と連動範囲1603−4、1603−5を関連づけて示している。
【0133】
次に、図2aのステップS102で設定された露出モードがAv優先モードである場合の画像表示部106の表示を図17を用いて説明する。
【0134】
図17における各符号は図7の符号にそれぞれ対応しており、図17の設定内容は図9と同様である。 図17において、1703は図15における1503−1、1503−2、1503−3に対応して連動する連動範囲を示している。つまり、図14の線図より連動範囲はBv0からBv10となるので、連動範囲1703も目盛り1700のBv0(1700−3)からBv10(1700−4)となる範囲を示している。
【0135】
連動範囲1703−4は図15におけるAv値が開放側にシフトして連動する範囲を示している。連動範囲1703−5はAv値が小絞り側にシフトする範囲を示している。1701は図2bのステップS121で再演算した適正露光のBv値の位置を示すものであって、適正露光Bv値表示1701が連動範囲1703内にあれば、使用者は設定したAv値のまま適正露光が得られることが分かる。適正露光Bv値表示1701が連動範囲1703−4、1703−5内にあれば、使用者はAv値は設定値からシフトしてしまうが適正露光が得られることが分かる。
【0136】
連動範囲1705、1706、設定値1704の背景にある表示1709と連動範囲1703とを同じ表示色や模様で表示することで、表示1704、1705、1706の数値と連動範囲1703を関連づけて示している。
【0137】
1710はAv値のシフト範囲を示している。シフト範囲1710の背景にある表示1708が連動範囲1703−4、1703−5と同じ表示色や模様で表示することで、Av値のシフト範囲1710と連動範囲1703−4、1703−5を関連づけて示している。
【0138】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、使用者はTv優先モードやAv優先モードでの撮影において、適正露光となる撮影条件と設定したTv値またはAv値のままで適正露光を得ることができる範囲とを関連付けて知ることが可能となる。更にそれに加え、外光の明るさが変化し、設定したTv値またはAv値から値がシフトして連動可能な範囲も知ることが可能となる。
【0139】
〔他の実施の形態〕
第1乃至第3の実施の形態では、デジタルカメラの画像表示部106に撮影に関する情報を表示する構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。主ミラー150が観察位置150Aにある動画撮影前または静止画撮影前に測光部154で測光したBvに対し、適正光量となるBv値と、各露出モードにおけるTv値、Av値、ISO感度の連動範囲をファインダ160内の表示部に表示する構成としてもよい。これにより、使用者はファインダ160を介して撮影に関する情報を観察することが可能となる。
【符号の説明】
【0140】
101 カメラマイコン
102 撮像素子
104 TG
106 画像表示部
155 シャッタ
201 レンズマイコン
205 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズに入射する光量を調整する絞りと、被写体を撮像する感度調整可能な撮像手段と、前記撮像手段の遮光および露光を制御するシャッタと、被写体の輝度を測定する測光手段と、表示手段と、を備える撮像装置であって、
前記測光手段により測定した結果に基づき、前記被写体が適正露光となる撮影条件の演算を行う演算手段と、
感度、絞り値、シャッタ速度のうち少なくとも1つを手動で設定し、残りを前記演算手段による演算結果に応じて制御する第1の露出モード、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度を前記演算手段による演算結果に応じて制御する第2の露出モードのいずれかを選択する選択手段と、
前記演算手段による演算結果と、前記選択手段により選択された前記第1の露出モードまたは前記第2の露出モードに応じた、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度のうちいずれかの制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の露出モードは、前記絞り値と前記シャッタ速度を手動で設定し、前記演算手段による演算結果に応じて前記感度を制御するマニュアル露出モードであり、
前記制御手段は、前記演算手段による演算結果と、前記感度の制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の露出モードは、少なくとも前記シャッタ速度を手動で設定し、前記演算手段による演算結果に応じて前記絞り値を制御または前記絞り値と前記感度を制御するシャッタ速度優先露出モードであり、
前記制御手段は、前記演算手段による演算結果と、前記絞り値または前記絞り値と前記感度の制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の露出モードは、少なくとも前記絞り値を手動で設定し、前記演算手段による演算結果に応じて前記シャッタ速度を制御または前記シャッタ速度と前記感度を制御する絞り優先露出モードであり、
前記制御手段は、前記演算手段による演算結果と、前記シャッタ速度または前記シャッタ速度と前記感度の制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の露出モードは、前記演算手段による演算結果に応じて前記シャッタ速度と前記絞り値を制御または前記シャッタ速度と前記絞り値と前記感度を制御するプログラム露出モードであり、
前記制御手段は、前記演算手段による演算結果と、前記絞り値と前記シャッタ速度または前記絞り値と前記シャッタ速度と前記感度の制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記測光手段は、前記撮像手段による撮像結果、撮像時の前記シャッタ速度、前記絞り値、前記感度に基づき、前記演算手段による演算結果から適正露光値を算出する構成であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記測光手段は、前記撮像手段を用いないで適正露光値を算出する構成であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
レンズに入射する光量を調整する絞りと、被写体を撮像する感度調整可能な撮像手段と、前記撮像手段の遮光および露光を制御するシャッタと、被写体の輝度を測定する測光手段と、表示手段と、を備える撮像装置の制御方法であって、
前記測光手段により測定した結果に基づき、前記被写体が適正露光となる撮影条件の演算を行う演算工程と、
感度、絞り値、シャッタ速度のうち少なくとも1つを手動で設定し、残りを前記演算工程による演算結果に応じて制御する第1の露出モード、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度を前記演算工程による演算結果に応じて制御する第2の露出モードのいずれかを選択する選択工程と、
前記演算工程による演算結果と、前記選択工程により選択された前記第1の露出モードまたは前記第2の露出モードに応じた、前記感度、前記絞り値、前記シャッタ速度のうちいずれかの制御可能な連動範囲とを関連付けて前記表示手段に表示する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−59499(P2011−59499A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210492(P2009−210492)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】