説明

改質多糖類

【課題】分散または結晶成長の改質により、炭酸カルシウムスケールを最小にできるポリマーの提供等。
【解決手段】抗スケール剤および分散剤として使用される改質多糖ポリマー。ポリマーは水性システムで使用される組成物に有用である。改質多糖はまた、洗浄剤配合物、水処理、分散剤、および油田用途で、かつガラス繊維結合剤としても有用である。かかる用途には、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する改質多糖がある。用途はまた、改質多糖と他の合成ポリマーとの混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸塩、アルデヒド、スルホン酸塩、ホスフェート、およびホスホネート部分を含む種々の成分で改質された多糖に関する。本発明はまた、かかるポリマーを含む抗スケール剤(anti-scalant)および/または分散剤配合物または組成物、およびスケール最小化を含む水性システムにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボイラー水または蒸気発電システム、冷却水システム、ガス洗浄システム、パルプおよび製紙工場システム、脱塩システム、布、食器および硬表面クリニーングシステム、ガス、油および地熱井戸の製造中のダウンホールシステムのような水性システムは公知である。これらのシステムの水はしばしば、天然にまたは汚染により無機粒子および/または塩のような成分を含有する。泥、シルト、および粘土のような無機粒子は表面に沈殿して、有効に分散されないと水の流れや熱移動を制限する。塩は溶解、懸濁または分散された状態に維持されないと、これらの水性システムに蓄積、沈着、および汚れの問題を引き起こす。
【0003】
無機塩は典型的には、金属陽イオン(例えばカルシウム、マグネシウム、またはバリウム)と無機陰イオン(例えば、ホスフェート、カーボネート、およびスルフェート)との反応により形成される。塩は形成されると不溶性になりやすく、または水中での溶解度が低い。溶液中のこれらの濃度が上昇するか、またはこれらの塩を含有する水のpHおよび/または温度が変化すると、塩は溶液から沈殿、結晶化し、表面上に硬い沈着物またはスケール(scale)(塊片)を形成する。かかるスケールの形成は、硬水で洗浄される熱移動器具、ボイラー、二次油回収井戸、および自動食器洗浄機、ならびに基板のような装置において問題であり、装置の性能や寿命を低下させる。
【0004】
炭素鋼から作成される多くの冷却水システム(例えば産業用の冷却塔および熱交換器)は、スケール形成以外に腐食の問題を経験する。水にオルトホスフェートおよび/または亜鉛化合物のような種々の抑制物質を加えてこの腐食を防ぐ試みがしばしば行われる。しかしホスフェートの添加は、リン酸カルシウムのような不溶性の高いホスフェートの形成を増加させる。亜鉛化合物の添加は、水酸化亜鉛やリン酸化亜鉛のような不溶性塩の沈殿を引き起こす。
【0005】
スケール形成性塩や無機粒子を含有する水性システムの安定化には、種々の機構がある。抑制(inhibition)は、スケール形成性塩の悪影響を排除するための通常の方法である。抑制では、水性システム中のスケール形成性塩の溶解度を上昇させる1つ以上のポリマーが加えられる。
【0006】
冷却水の処理においてホスホン酸塩と低分子量ホモポリマーは、主要な炭酸カルシウム抑制物質となる。しかしこれらの添加物はストレス条件下では充分でないことがある。従って、ストレス条件下で形成される結晶の結晶成長改質物として作用することができるポリマーに対するニーズがある。従来の抑制物質は、完全には有効ではないことがある。
【0007】
他の安定化機構は、沈殿した塩結晶の分散である。カルボン酸基を有する合成ポリマーは、炭酸カルシウムのような沈殿した塩の良好な分散剤として機能する。この機構では、結晶が水溶液に溶解するのではなく分散している。
【0008】
第3の安定化機構は、ポリマーによるスケールの結晶構造の干渉と変形を含み、それによって表面、他の形成結晶または既存の粒子へのスケールの付着を少なくする。
クリニーング組成物への合成ポリマーの添加はまた、これらの組成物に多くの有用な機能を付与する。例えばこれらは、粉末化洗浄剤において独立にまたは粘度低下剤と同時に機能することができる。これらはまた、再沈着防止剤、分散剤、スケールおよび沈着物抑制物質、結晶改質剤、および/または界面活性剤に最適な洗浄活性を付与しながらビルダーとして使用される物質を部分的または完全に置換することができる洗浄剤補助剤としても機能する。
【0009】
クリニーング配合物は典型的には、そのクリニーング性能を強化するためにホスフェートやカーボネートのようなビルダーを含有する。しかしこれらのビルダーはまた、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムのような不溶性塩(オルトリン酸カルシウムの形で)を沈殿することができる。塩沈殿物は衣類や食器に沈着物を生成し、これらの物品にきたない膜やスポットを形成する。同様に不溶性塩は、ダウンホール油田用途で大きな問題を引き起こすことがある。従って、水処理、油田、およびクリニーング配合物に存在する不溶性塩からのスケール生成を最小にするポリマーに対するニーズがある。
【0010】
水性処理システムにおけるスケール形成を最小にするために、何年もの間合成ポリマーが使用されている。例えばポリアクリル酸のようなポリマーは、数十年の間洗浄剤や水処理用途においてカルシウム結合、或いは炭酸カルシウム抑制物質、コビルダーおよび分散剤として使用されている。しかし原油に対する需要の増加と供給の減少のために、最近はこれらの合成ポリマーを製造するのに使用されるモノマーが不足しており、ポリマーの製造コストが上昇している。従ってこれらの合成ポリマーに替わる再生可能な天然資源からのポリマーに対するニーズがある。再生可能な天然資源からのポリマーは、付加的利益として、生体分解性のほとんど無い合成ポリマーより良好な生体分解性プロフィールを有する。
【0011】
酸化デンプンならびに他の改質多糖を含むデンプンは、過去において洗浄剤添加物として使用できる可能性が示されている。例えば、カルシウム結合剤として酸化イヌリンを使用することが知られている。また多糖コビルダーには、洗浄剤配合物で使用される酸化グルコサン、酸化デキストリン、および同様に洗浄剤用途で使用される低分子量カルボキシレート化マルトデキストリンがある。さらに、キレート剤として改質多糖を使用することが知られている。しかしその性能は、ポリアクリル酸のような合成ポリマーと比較するとあまり強くない。
【0012】
合成ポリマーは典型的には、石油ベースの原料から製造される。かかる合成ポリマーを製造するのに使用される原料の価格は、過去数年間に急速に上昇した。従って本発明の改質多糖は、コスト−性能ベースで合成ポリマーに対する利点を提供する。
【0013】
カルボン酸基を含有する合成ポリマーおよび天然のポリマーの両方が炭酸カルシウムの抑制においてよく機能することも認識されている。一般にカルボキシレート官能基の量が多いほど、提供される炭酸カルシウム抑制量が多い。しかし多くの環境に存在するスケールの量は、ポリマーが通常抑制できる量より多い。従って分散または結晶成長の改質により、炭酸カルシウムスケールを最小にできるポリマーに対するニーズがある。
【0014】
カルボキシレート化された基で改質された多糖は、従来カルシウム結合と硬度制御に提唱されている。しかしこれらの天然由来の生成物は、かかる応用に合成ポリマーほど有効ではないことが多く、これは少なくとも一部は多糖骨格中に導入できるカルボキシル基の量が限定されているためである。従ってポリアクリル酸のような合成ポリマーは材料1g当たり、高度に酸化された多糖より多くのカルボン酸官能基を含有する傾向がある。さらに置換または酸化の程度が上昇すると、多糖の生体分解性が低下する。従ってスケール調節剤、分散剤、および/または土壌懸濁剤として機能することができる多糖に対するニーズがある。
合成ポリマーと天然ポリマーの混合物は不相溶性になりやすい。従って、互いに混合することを可能にする互いに相溶性である合成ポリマーと天然ポリマーに対するニーズも存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の方法で製造された改質多糖類がほとんどまたは全くカルシウム結合性やコビルディング(co-building)特性を持たないことが、この度見出された。但し、これらの天然ポリマーは、一部は結晶成長性を分散および/または改質するその能力により、界面活性剤用途で非常に優れたスケール制御剤であるとともに分散剤および土壌懸濁剤であることがわかった。さらにこれらの改質多糖類は、合成ポリマーと同じかまたはそれ以上の性能を有している。
【0016】
酸化方法を制御することにより、カルシウム結合性をほとんどまたは全く持たないが性能の良い改質多糖類を製造することができる。理論に拘束はされないが、比較的少量の置換が、成長する結晶表面にこれらの分子を引きつけることになると考えられる。従ってこれらの分子は、結晶成長抑制物質および分散剤として機能することができる。合成ポリマーはポリマー1グラム当たりより多くのカルボキシル基を運搬できるため、多糖のカルシウム結合性またはコビルディング性は合成ポリマーほど有効ではないことがある。従ってその結晶成長の改質と、カルシウム結合性ではなく分散性とを最大にすることにより、水処理や洗浄剤のような水性処理用途において、これらのポリマーは合成ポリマーと同等かまたはより有効となり得る。
【0017】
本発明はさらに、多くの異なるスケール(ホスフェート、スルフェート、カーボネート、およびシリケートベースのスケールを含む)を最小するのに有効な改質多糖類を開示する。これらのスケール最小化ポリマーは、水処理組成物、油田関連組成物、例えばセメント組成物、クリニーング配合物、および他の水性処理組成物を含む多くのシステムで有用である。
【0018】
1つの態様において、改質多糖類の重量平均分子量は1,000〜10,000,000である。別の態様において改質多糖類の重量平均分子量は1,000〜1,000,000である。さらに別の態様において改質多糖の分子量は1,000〜350,000である。別の態様において改質多糖の分子量は1,000〜100,000である。
【0019】
本発明の改質多糖ポリマーは、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムスケールのようなスケールを防止するための水または水性処理システムにおいて有用である。かかるシステムにおいてそのポリマーは、少なくとも約0.5mg/Lの量で存在する。改質多糖ポリマーはまた、水処理システムのカルシウムスケールを防止するための水性処理組成物または配合物に有用であり、ポリマーは組成物の約10〜約25重量%の量で組成物中に存在する。
【0020】
改質多糖ポリマーはまた、炭酸カルシウム結晶成長を改質するための、またはスルフェートスケールを最小にするための水性システム処理組成物で使用することができる。さらにその改質多糖ポリマーは、水処理システム、油田システムまたはクリニーングシステムのような水性処理システムで使用することができる。水性システムが油田システムである時、最小にされるスルフェートスケールは硫酸バリウムスケールでもよい。
【0021】
水性処理組成物中に存在する時、改質多糖は水性処理組成物の約0.001〜約25重量%の量で存在する。別の態様においてポリマーは組成物の約0.5〜約5重量%の量で存在する。
【0022】
本発明はさらに、改質多糖ポリマーを有するミネラル分散剤を含む。このミネラル分散剤は、タルク、二酸化チタン、雲母、沈殿炭酸カルシウム、摩砕炭酸カルシウム、沈殿シリカ、シリケート、酸化鉄、粘土、カオリン粘土、石膏、またはこれらの組合せを分散することができる。
【0023】
改質多糖ポリマーはまたクリニーング配合物に有用であり、ここでそのポリマーがクリニーング配合物の約0.01〜約10重量%の量で存在する。かかるクリニーング配合物は、リンベースのおよび/または炭酸ビルダーを含むことができる。クリニーング配合物は食器洗浄機用の洗浄剤配合物でもよい。この自動食器洗浄機用の洗浄剤配合物は、ビルダー、界面活性剤、酵素、溶媒、ヒドロトロープ、増量剤、漂白剤、香料、および/または着色物質を含む。
【0024】
さらに別の態様において改質多糖は、ガラス繊維の結合剤として使用することができる。ガラス繊維断熱製品は一般に、ガラス繊維とポリマー性結合剤と結合させることにより形成される。典型的には水性ポリマー結合剤は、生成後まもなく熱いうちにマット状にしたガラス繊維に噴霧される。ポリマー結合剤は、繊維が互いに交差する結合点に蓄積しやすく、こうして繊維をこれらの点で接着させる。熱繊維からの熱は、結合剤中の水のほとんどを蒸発させる。ガラス繊維結合剤は、最終のガラス繊維製品が包装と輸送用に圧縮され、そして取り付けた時にその完全な縦の大きさを回復できるように柔軟でなければならない。
【0025】
さらに別の態様においていくつかの疎水性成分の添加は、合成ポリマーとこれらの天然ポリマーとの安定な混合物を産生する。
【0026】
本発明はさらに、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖組成物の製造法を提供する。この方法は、1モルの多糖無水糖単位(「ASU」)当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力と媒介量(mediating amount)のニトロキシルラジカルを有するオキシダント(oxidant)を有する水性媒体中で多糖を酸化することを含む。反応は、約5℃〜約50℃の温度で約6.0〜約11.0のpHで行われる。生じる生成物は、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有することができる。
【0027】
この方法では、アルカリ性条件下で酸化多糖の制御された分解が起き、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖の低分子量体と即使用可能な(RFU)分散体を生成する。場合により、得られる分散体を乾燥させて、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する低分子量改質多糖の冷水可溶性(CWS)RFU粉末体を形成することができる。
【0028】
従って本発明は、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する少なくとも1種の改質多糖を含む水性処理組成物を提供する。その多糖は組成物中少なくとも約0.5mg/Lの量で存在し、組成物はスケール生成を防止することができる。1つの態様において、多糖は、組成物中で組成物の約10〜約25重量%の量で存在する。水性システム処理組成物は、炭酸カルシウム結晶成長を改変するのに適している。
【0029】
組成物はまた、1種の以上の合成ポリマーを随時含むことができる。多糖とともに作用する適当なポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリリックマレイック共重合体、アクリルアミド共重合体、およびスルホン化を含む共重合体があり、ここでスルホン化はビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホ−フェニルメタリルエーテルのようなコモノマーにより提供される。これらの(共)重合体のすべてはさらに、必要であれば非イオン性または疎水性成分で修飾される。
【0030】
さらに、使用に適した合成または天然レオロジー改質剤には、架橋ポリアクリル酸、メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、グアールガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースがある。ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、アミン、酸化アミンのポリマーや共重合体もまた有用である。
【0031】
さらなる態様において、水性処理組成物は、少なくとも1種のホスホネート部分をさらに含んでよい。これは、少なくとも1種の多糖と少なくとも1種のホスホネート部分との混合物の形でもよい。同様に水性処理組成物は、少なくとも1種の多糖、少なくとも1種の合成ポリマー、および少なくとも1種のホスホネート部分との混合物の形でもよい。
【0032】
本発明はさらに1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する改質多糖を有するクリニーング配合物を提供する。そのポリマーは、配合物中でクリニーング配合物の約0.01〜約10重量%の量で存在することができる。クリニーング配合物はまた、リンベースのおよび/またはカーボネートビルダーを含むことができる。さらなる態様において、クリニーング配合物は合成ポリマーを含む。
【0033】
ある実施態様において、クリニーング配合物は、自動食器洗浄機用の洗浄剤配合物である。この自動食器洗浄機用の洗浄剤配合物は、例えばビルダー、界面活性剤、酵素、溶媒、ヒドロトロープ、増量剤、漂白剤、香料および/または着色物質を含む。
【0034】
本発明はさらに、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する改質多糖を有するミネラル分散剤を提供する。分散されるミネラルは、例えばタルク、二酸化チタン、雲母、沈殿炭酸カルシウム、摩砕炭酸カルシウム、沈殿シリカ、シリケート、酸化鉄、粘土、カオリン粘土、石膏、またはこれらの組合せでもよい。
【0035】
本発明はさらに、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する改質多糖を有する水性処理システムを提供する。水性処理システムは、例えば水処理システム、油田システム、またはクリニーングシステムでもよい。システムが改質多糖を含む時、これはカーボネート、ホスフェート、およびスルフェートスケールを最小にすることができる。システムが油田システムである時、最小にされるスルフェートスケールは例えば硫酸バリウムスケールでもよい。
【0036】
別の実施態様において本発明は、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する改質多糖を有するガラス繊維結合剤を提供する。
【0037】
本発明はまた、水性処理組成物を製造するための方法を提供する。この方法は、水性媒体中での多糖の酸化を含み、ここで水性媒体は、1モルの多糖無水糖単位(「ASU」)当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力と媒介量のニトロキシルラジカルとを有するオキシダントを有する。次に酸化された多糖は分解されて、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する多糖の低分子量体の分散体を生成する。多糖が顆粒状(例えば顆粒デンプン)である時、これはろ過し洗浄してニトロキシルメディエータ(mediator)と副産物とを除去した後分解される。いったん酸化され分解されると、この改質多糖は次に水性処理組成物に添加することができる。随時の工程において、多糖を架橋により改質することができる。架橋は酸化の前に実施することができる。多糖が顆粒デンプンである時、これは特に有効である。随時の工程において、多糖分散体を、水性処理組成物に添加する前に乾燥することができる。この乾燥工程は、多糖分散体を凍結乾燥または噴霧乾燥することにより行うことができる。
【0038】
本発明の改質多糖ポリマーは、広範囲の条件下で優れたスケール抑制と沈着制御とを提供する。例えば本発明のポリマーは、炭酸カルシウムスケール形成と沈着とを最小にすることがわかった。
【0039】
本発明のポリマーの組成と分子量は、これらが結晶改質剤として作用して、炭酸カルシウムスケール形成を最小にすることに寄与するものである。さらに本発明のポリマーは、油田処理用途でスルフェートスケールを最小にするのに有効である。
【0040】
改質多糖ポリマーはまた、ミネラル、粘土、塩、金属鉱、および金属酸化物のような粒状物質を分散させるのに極めて有効である。具体例には、タルク、二酸化チタン、雲母、シリカ、シリケート、カーボンブラック、酸化鉄、カオリン粘土、二酸化チタン、炭酸カルシウム、および酸化アルミニウムがある。これらの粒状物質は、コーティング、プラスチック、ゴム、ろ過製品、化粧品、食物、ペンキ、掘穿泥水、およびペーパーコーティングなどの多様な用途において見出され得る。
【0041】
本発明において多糖は、規定された条件下でニトロキシルラジカルメディエータを有するオキシダントを使用して、水性システムで選択的に酸化される。選択的に酸化された多糖は、主にASUのC6位にカルボキシル官能基とアルデヒド官能基との両方を有する。いったん酸化されると、次にこれらはRFU(「即使用可能」)分散体としてその低分子量類似体に転化される。顆粒状(例えば顆粒デンプン)である多糖類について、この分解工程は、制御された方法で低分子量への分解を引き起こしながら、同時に酸化多糖を分散させるアルカリ性の方法により起きる。場合により、これらの分散体は、噴霧乾燥または凍結乾燥によりCWS粉末に転化することができる。
【0042】
多糖がデンプンである時、本発明で有用なデンプンベース物質は、本来のまたは改質された種々のデンプンの任意のものでよい。これらのデンプンには、任意の植物源、例えばトウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、コムギ、コメ、タピオカ、トウモロコシ(waxy maize)、サゴ、モロコシ、および高アミローストウモロコシのような高アミロースデンプン(すなわち、少なくとも45重量%のアミロース含量であるデンプン)から得られるものが含まれる。デンプンフラワー(flours)はまた、デンプン源としても使用することができる。また、前者ベースの任意のものから得られる転化産物、誘導体化および架橋デンプン(例えば、酸および/または熱の加水分解作用により調製されるデキストリン;および酵素転化または弱酸加水分解により調製される流動性または薄膜沸騰性(thin boiling)デンプン)も含まれる。
【0043】
デンプンは、陽イオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、疎水性、および非イオン性基、ならびにかかる基の組合せを用いて改質することができる。デンプンの改質は、例えば「改質デンプン:性質と用途(Modified Starches: Properties and Uses)」(1986)に開示されたようなアミノ、イミノ、アンモニウム、スルホニウム、またはホスホニウム基のような基を含有する試薬を用いて公知の化学反応により行うことができる。かかる誘導体には、一級、二級、三級、および四級アミンを含む窒素含有基、ならびにエーテルもしくはエステル結合により結合したスルホニウム基およびホスホニウム基を含有するものがある。
【0044】
多糖がゴムである時、本明細書で使用可能な該当するベースには、ポリガラクトマンナン類(主にα‐D‐ガラクトピラノシル単位の単一単位側鎖が結合したβ‐D‐マンノピラノシル単位の長鎖からなるヘテロ‐多糖)を含む。また酸、熱、剪断力、および/または酵素の加水分解作用から生じる分解ゴム生成物;酸化ゴム;および誘導体化ゴムが含まれる。適当なゴムベースには、グアールガム、ローカストビーンガム、タラ(tara)ガム、およびコロハ種子(fenugreek)ガムがある。
【0045】
本発明で有用な他の適当な多糖ベースには、例えばプルラン、キチン、キトサン、アラビアゴム、寒天、アルギン、カラギーナン、キサンタン、ジェラン(gellan)、ウェラン(welan)、ラムサン(rhamsan)、カードランスクレログルカン(curdlan scleroglucan)、タマリンドガム、およびヘミセルロース(アラビノガラクタン、コーンファイバーガム)、およびこれらの誘導体がある。
【0046】
多糖がセルロースである時、本発明で有用な該当するベースには、セルロースおよびセルロース誘導体、例えば水溶性セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、およびアルキルおよびヒドロキシアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、およびエチルヒドロキシエチルセルロース)がある。
【0047】
改質多糖ベースの製造法は当業者に公知であり、文献に記載されている。例えば R.L. Whistler、「炭水化物化学の方法(Methods in Carbohydrate Chemistry)」、第IV巻、279〜311頁(1964); R.L. Whistlerら、「デンプン化学と技術(Starch Chemistry and Technology)」、第II巻、293〜430頁(1967); R.L. WhistlerとJ.N. Bemiller編、「工業ゴム(Indestrial Gums)」、第3版、第3章(1993); R.L. DavidsonとN. Sittig、「水溶性樹脂(Water Soluble Resins)」、第2版、第2章(1968);およびR.L. Davidson、「水溶性ゴムと樹脂のハンドブック(Handbook of Water Soluble Gums and Resins)」(1980)を参照されたい。
【0048】
本明細書に例示されるように、多糖類はまず、1種の以上の基(例えば、スルホネート、ホスフェート、および/またはホスホネート)で改質された後、酸化することができる。しかし、多糖はまた、例えば後述されるように酸化後に改質することもできる。
【0049】
本発明で調製される改質多糖類は、規定された条件下でニトロキシルラジカルメディエータを有するオキシダントを使用して、水性システムで行われる選択的酸化法により得られる。カルボキシル官能基とアルデヒド官能基を用いて改質多糖組成物を調製するこの方法は、1モルの多糖無水糖単位(「ASU」)当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力と媒介量のニトロキシルラジカルを有するオキシダントとで水性媒体中の多糖を酸化することを含む。反応は、約5℃〜約50℃の温度で約6.0〜約11.0のpHで行われる。生じる生成物は、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する。
【0050】
多糖がデンプンである時、デンプンが粒子状態である時に酸化を行うことができる。次に酸化デンプンは、まだ粒子状にある時ろ過および洗浄されて、ニトロキシルメディエータと酸化の結果として生成される塩副産物が除去される。
次に酸化多糖は、多糖を加熱調理(cook)することにより制御分解され、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖の低分子量体のRFU分散体が生成する。多糖が酸化顆粒デンプンである時、デンプンが分解されながら分散されるように、この分解はアルカリ性条件下で行われる。生じる多糖分散体は、場合により、噴霧乾燥または凍結乾燥により乾燥されて、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する低分子量改質多糖のCWS RFU粉末体を生成することができる。
【0051】
別の実施態様において、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖組成物の製造法は、架橋して多糖を改質することを含む。デンプンでは、これが顆粒状態にある時架橋が起きることが好ましい。次に架橋多糖は、1モルの多糖無水糖単位(「ASU」)当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力と媒介量のニトロキシルラジカルを有するオキシダントを有する水性スラリー中で酸化される。反応は、約5℃〜約50℃の温度で約6.0〜約11.0のpHで行われる。生じる生成物は、1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する。架橋は酸化の後でもよい。
【0052】
いったん架橋され酸化されると、次に多糖は加熱することにより制御分解され、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖の低分子量体のRFU分散体が生成する。多糖が架橋された酸化顆粒デンプンである時、ニトロキシルメディエータと酸化の結果として生成される任意の塩副産物を除去するために、これが顆粒状である時(すなわち分解の前)ろ過され洗浄される。顆粒デンプンの分解はアルカリ性条件下で起きる。生じる分散体は場合により、噴霧乾燥または凍結乾燥により、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する低分子量改質多糖のCWS RFU粉末体を生成することができる。
本明細書で使用されるニトロキシルラジカルメディエータは、以下の式の1つを有するジ‐三級ニトロキシルラジカルである:
【0053】
【化1】

または
【0054】
【化2】

【0055】
(式中、Aは2個または3個の原子(例えば炭素原子)の鎖であるか、または1個または2個の炭素原子と酸素もしくは窒素原子との組合せであり、R基は同じかまたは異なるアルキル基である)。A鎖は、1つ以上の基(例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、またはオキソ基)、または式Iを有する1つ以上の他の基に結合した2価の基もしくは多価の基により置換することができる。特に有用なニトロキシルラジカルは、以下の式を有するジ‐三級アルキルニトロキシルラジカルである:
【0056】
【化3】

【0057】
(式中、YはH、OHまたはNH‐C(O)‐CH3であり、各R基は1〜18個の炭素原子の同じかまたは異なるアルキル基である)。1つの態様において、1つ以上のR基はメチル基である。
【0058】
このタイプのニトロキシルラジカルは、例えばR基がすべてメチル(または1炭素原子のアルキル)でYがHであるもの(すなわち、2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペラジニルオキシ(TEMPO);R基がすべてメチルでYがOHであるもの(4‐ヒドロキシ‐TEMPOとして特定される);およびR基がすべてメチルでYがNH‐C(O)‐CH3であるもの(4‐アセトアミド‐TEMPOとして特定される)を含む。1つの態様において、ニトロキシルラジカルはTEMPOまたは4‐アセトアミド‐TEMPOである。
【0059】
ニトロキシルラジカルは酸化を媒介するのに有効な量で使用される。ある実施態様において約0.001〜20モル%のニトロキシルラジカルが使用される。別の実施態様において、1モルの多糖ASUについて約0.01〜5モル%のニトロキシルラジカルが使用される。ニトロキシルラジカルは反応混合物に加えられるか、または対応するヒドロキシアミンもしくはオキソアンモニウム塩から現場で生成することができる。
【0060】
本発明で使用されるオキシダントは、ニトロキシルラジカルをその対応するオキソアンモニウム塩に転化することができる任意の物質でよい。これらには、アルカリまたはアルカリ土類金属次亜ハロゲン酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸カリウム、および次亜塩素酸カルシウムがある。アルカリまたはアルカリ土類金属次亜臭素酸塩も使用することができる。これは次亜臭素酸塩自体の形(例えば、次亜臭素酸ナトリウム)で加えられるか、または適当なオキシダント(例えば次亜塩素酸ナトリウムとアルカリまたはアルカリ土類金属次亜臭素酸塩)の添加により現場で生成することができる。
【0061】
さらなる有用な酸化法には、アルカリまたはアルカリ土類金属亜塩素酸塩または亜臭素酸塩、例えば亜塩素酸ナトリウムまたは亜臭素酸ナトリウム、過酸化水素と遷移金属触媒(例えばトリオキソレニウムメチル(VII))との組合せ;過酸化水素と酵素との組合せ;酸素と遷移金属触媒との組合せ;酸素と酵素との組合せ;過酸、例えば過酢酸および3‐クロロ過安息香酸;過スルフェートのアルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えば過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウム;過オキシモノスルフェートのアルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えば過オキシモノ硫酸カリウム;クロロアミン、例えば1,3,5‐トリクロロ‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6‐(1H,3H,5H)トリオン、1,3‐ジクロロ‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンナトリウム塩、1,3‐ジクロロ‐5,5‐ジメチルヒダントイン、1‐ブロモ‐3‐クロロ‐5,5‐ジメチルヒダントイン、および1-クロロ‐2,5‐ピロリジンジオン;およびフェリシアン化物のアルカリまたはアルカリ土類金属塩がある。オキシダントのこのリストは例示のためのみであって、決して包括的ではない。いくつかのオキシダントを一度にまたは連続して組合せて使用することができる。オキシダントは単独でまたはアルカリもしくはアルカリ土類金属臭化物塩と組合せて使用することができる。1つの態様においてオキシダントは、次亜塩素酸ナトリウム、または次亜塩素酸ナトリウムと臭化ナトリウムの添加により生成される次亜臭素酸ナトリウムである。
【0062】
オキシダントは、1モルの多糖ASU当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力を有する量で使用すべきである。1つの態様において、使用されるオキシダントの量は約3.55〜約99.27gの活性塩素の当量酸化力を有する。別の態様において、使用されるオキシダントの量は約3.55〜約78.00gの活性塩素の当量酸化力を有する。さらに別の態様において、使用されるオキシダントの量は約3.55〜約63.82gの活性塩素の当量酸化力を有する。さらに別の態様において、使用されるオキシダントの量は1モルの多糖ASU当たり約3.55〜約49.63gの活性塩素の当量酸化力を有する。さらに別の態様において、使用されるオキシダントの量は1モルの多糖ASU当たり約3.55〜約24.82gの活性塩素の当量酸化力を有する。
【0063】
次亜塩素酸ナトリウムが使用される時、これは1モルの多糖ASU当たり最大約150モル%の量で加えることができる。1つの態様において、次亜塩素酸ナトリウムは約5〜140モル%の量で使用される。別の態様において、次亜塩素酸ナトリウムは約5〜110モル%の量で使用される。さらに別の態様において、次亜塩素酸ナトリウムは約5〜90モル%の量で使用される。1つの態様において、次亜塩素酸ナトリウムは1モルの多糖ASU当たり約5〜約70モル%の量で使用される。別の態様において、次亜塩素酸ナトリウムは約5〜35モル%の量で使用される。規定の水性条件下でオキシダントとその添加速度の両方を制御することにより、主に多糖ASUのC6位でのカルボキシル官能基とアルデヒド官能基の生成が有効なレベルで確保される。
【0064】
酸化は、多糖の有機もしくは水性溶液中または水性スラリー中で行うことができる。これは、反応温度を50℃の最大温度未満に維持するために、媒介量のニトロキシルラジカルを含有する水性多糖溶液またはスラリーへのオキシダントのゆっくりした制御添加により行われる。別の態様において、反応温度は約5〜約50℃の温度範囲で維持される。さらに別の態様において、反応温度は約10〜30℃の温度範囲で維持される。スラリーのpHは約6〜約11で維持される。別の態様においてpHは約8〜約10で維持される。オキシダントは、次亜塩素酸塩または次亜臭素酸塩(例えば次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜臭素酸ナトリウム)として加えるか、または次亜臭素酸塩は、まず臭化ナトリウムを加えて次に次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて現場で次亜臭素酸塩を生成することにより、現場で生成することができる。
【0065】
本発明の規定条件下で多糖の選択的酸化を実施する重要性は、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基の両方を有する酸化多糖が産生されることである。これらの生成物は、最大約70モル%のカルボキシル基(主に多糖ASUのC6位に)を有する。1つの態様において、これらの生成物は約1〜約70モル%の量のカルボキシル基を有する。別の態様において、これらの生成物は1モルの多糖ASU当たり約2〜50モル%の量のカルボキシル基を有する。1つの態様において、これらの生成物は1モルの多糖ASU当たり約2〜40モル%の量のカルボキシル基を有する。別の態様において、これらの生成物は1モルの多糖ASU当たり約2〜30モル%の量のカルボキシル基を有する。さらに別の態様において、これらの生成物は1モルの多糖ASU当たり約2〜15モル%の量のカルボキシル基を有する。これらの生成物はまた、最大約20モル%の量のアルデヒド基(主に多糖ASUのC6位に)を有する。1つの態様においてこれらの生成物は、1モルの多糖ASU当たり約1〜15モル%の量のアルデヒド基を有するであろう。
【0066】
酸化は、水不溶性多糖については不均一状態(スラリー反応)中で、または可溶性多糖については溶液状態で行うことができる。スラリー反応は典型的には、最大40%の固形分で行われる。1つの態様において、スラリー反応は約0.1〜40%固形分で行われる。別の態様においてスラリー反応は、約20〜40%固形分で行われる。不均一反応は、最大30%の固形分で行われる。1つの態様において不均一反応は、約0.1〜30%固形分で行われる。別の態様において不均一反応は、約5〜約20%固形分で行われる。
【0067】
使用される多糖がデンプンである時、デンプンは顆粒状態またはスラリー状態水性反応で酸化することができる。こうしてデンプン顆粒は、酸化反応の間完全なままである。デンプンが酸化前に架橋されるなら、これはさらに確実になる。反応が完了すると、スラリーのpHは約4またはそれ以下に調整される。1つの態様においてスラリーpHは約3〜4になるように調整され、この間カルボキシレート基は部分的にプロトン化されてカルボン酸になる。次に酸化デンプンは、ろ過と水洗(これは、ニトロキシルメディエータと酸化反応の副産物とを除去する)により回収される。酸化デンプンは、湿潤ケーキ状態で方法の次の工程に移されるか、または長期保存で乾燥された後方法の次の工程に移される。
【0068】
ある実施態様において、酸化多糖中のカルボキシル基以外のアルデヒド基の生成および存在は、方法の次の工程で付加的利益を提供する。この工程は、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖の同時分散(通常加熱調理による)と、その分子量を低下させるための制御された方法での分解とを含む(注:多糖が水溶性多糖であるなら、分解前にすでに分散されていてもよい)。こうしてこれを低分子量型に転化(本明細書に記載の最終用途に必須)しながら、酸化多糖のRFU体が生成される。さらにアルデヒド基はまた、有用な反応性官能基として機能し、これは所望であれば、アルデヒドと反応できる官能基を含有する試薬を用いて反応することにより、他の官能基に転化することができる。さらに詳しくは、これらはさらに酸化されて追加のカルボン酸基を生成するか、またはアルデヒド反応性官能基(例えばヒドロキシル、アミノ、アミド、チオール、イミド、および亜硫酸基またはこれらの組合せ)を有する試薬を用いて還元修飾もしくは反応される。試薬基のこのリストは例示のためのみであって、包括的ではない。アルデヒド基のある具体的に有用な転化は、重亜硫酸基(例えば重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸カリウム)との反応を含み、いわゆるアルデヒド基の重亜硫酸付加物として知られているものが得られる。この反応の正味の結果は、酸化デンプン中のアルデヒド基のすべてまたは一部のスルホン酸塩またはスルホン酸基への有効な転化である。
【0069】
カルボキシル官能基とアルデヒド官能基の両方を有して製造される本発明の酸化多糖は、アルカリ性条件下で加熱調理することにより制御されて分解され、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質多糖の低分子量体のRFU分散体を生成する。この単一ポット法(one-pot process)は、水中でカルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する1〜40重量%の改質多糖で行われる。別の態様において、この方法は5〜30重量%で行われる。pHは標準的方法を使用して約7〜約12.5に調整される。1つの態様において、pHは約9〜約11に調整される。温度は約40℃〜約100℃に調整される。混合物は、例えば機械的手段により攪拌され、pH、温度、および必要な転化程度により約10分〜約5時間攪拌される。この攪拌工程の間、pHは必要に応じて再調整することができる。
【0070】
典型的には、方法のこの段階の間、酸化多糖は膨潤し(特に多糖が酸化顆粒デンプンなら)し、混合物の粘度が上昇し、次に低分子量に転化しながら同時に分散し、最後に低粘度溶液になる。この方法の間の酸化多糖の転化または制御分解は、アルデヒド官能性ASUで多糖骨格のアルカリ性触媒分解により促進される。従って、全体の方法の初期酸化工程中のカルボキシル基以外のアルデヒド基の存在と制御生成は転化工程に影響を与え、これは次に、本明細書に記載の種々の最終使用用途のための必要な分子量を達成するのに決定的に重要である。分散とアルカリ性処理の所定の期間の最後に、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する転化された改質多糖の溶液は冷却され、必要であれば、約4〜7のpHに調整される。
【0071】
カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する低分子量改質多糖のRFU溶液は、最終使用用途に直接使用することができる。しかし必要であればこれはまた、凍結乾燥または噴霧乾燥して、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する低分子量改質多糖のCWS粉末型を得ることもできる。噴霧乾燥の種々の方法は公知であり、本発明で使用される。例えば米国特許第5,318,635号は有用な噴霧乾燥法を記載する。
【0072】
本発明の別の実施態様において、カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有する改質デンプンの分散/転化および噴霧乾燥法の2工程法は、米国特許第5,131,953号に開示されたような連続的連結ジェット加熱/噴霧乾燥により単一工程で行われる。この方法は、酸化デンプンと水とを含むアルカリ性スラリーまたはペーストを生成することを含む。アルカリ性水性スラリーまたはペーストは、酸化デンプンを完全に分散または可溶化し転化するのに充分な温度の流れでジェット加熱される。このジェット加熱分散体または溶液は、高温高圧で噴霧乾燥機のノズル中に運搬され導入される。次にジェット加熱分散体または溶液は、噴霧乾燥機のノズルを介して霧化され、噴霧乾燥機チャンバー内で乾燥される。カルボキシル官能基とアルデヒド官能基とを有するジェット加熱および噴霧乾燥した低分子量改質多糖は、次にCWS粉末として回収される。
【0073】
他の有用な噴霧乾燥法は、米国特許第4,280,851号、第4,600,472号、および第5,149,799号に記載のような蒸気注入/2重および単一の噴霧法である。噴霧乾燥操作に使用される温度と圧力条件は、使用される特定の多糖物質により変化する。典型的には、温度は約80〜220℃で変化し、圧力は約20〜150psigで変化する。
【0074】
水処理システム
工業用水処理には、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、およびリン酸カルシウムのようなカルシウム塩の沈殿によるカルシウムスケールの防止を含む。これらの塩は逆可溶性であり、これはその溶解度が温度の上昇とともに低下することを意味する。より高温と塩のより高濃度が存在する工業的応用では、これは通常熱移動表面で沈殿が起きることを意味する。次に沈殿する塩は表面に沈着し、カルシウムスケールの層が生成する。カルシウムスケールはシステムの熱移動喪失を引き起こす製造プロセスの過熱を引き起こす。このスケール生成はまた、局在化した腐食を促進する。
【0075】
リン酸カルシウムは炭酸カルシウムと異なり、一般に自然に起きる問題ではない。しかしオルトホスフェートは一般に、第一鉄金属の腐食抑制物質として典型的には2.0〜20.0mg/Lのレベルで工業的システム(時には自治体の水システム)に加えられる。従ってリン酸カルシウム沈殿は、前記したスケール生成問題を引き起こすのみでなく、オルトリン酸が溶液から除去されると重い腐食問題が発生する。その結果、工業的冷却システムは周期的メンテナンスが必要であり、ここでシステムをシャットダウンし、洗浄し、水を交換しなければならない。維持シャットダウン間の時間を長くすることは、コストを節約し、好ましい。
【0076】
工業的水処理システムの水をできるだけ再使用することが有利である。それでも水は種々の機構(例えば蒸発)により時間の経過とともに失われる。その結果、溶解され懸濁された固形分は時間の経過とともにより濃縮される。濃縮サイクルは、特定量の水の中の固形分が濃縮される回数を示す。補給水の品質は、許容される濃縮回数を決定する。補給水が硬い(すなわち、品質が低い)冷却塔用途では、2〜4サイクルが正常であると考えられ、5サイクルおよびそれ以上はストレスの掛かった条件(stressed condition)である。本発明の改質多糖ポリマーは、ストレス条件下で特に良好に機能する。
【0077】
水処理システムのメンテナンス間の時間を延長する1つの方法は、カルシウム塩の生成抑制または結晶成長の改質で機能するポリマーの使用である。結晶成長改質ポリマーは、結晶の形態を規則的な構造(例えば立方晶系)から不規則な構造(例えば針状結晶または花形)に変化させる。形の変化のために、沈着される結晶は、表面を流れる水により単に機械的攪拌により表面から容易に除去される。本発明の改質多糖は、オルトリン酸カルシウムのようなリン酸カルシウムベースのスケール生成を抑制するのに特に有用である。さらにこれらの本発明の多糖はまた、炭酸カルシウムスケールの結晶成長を改質する。本発明の改質多糖は、分散によりならびに結晶成長改質により、スケールを最小にするのに特に有用であることがわかった。
【0078】
本発明の改質多糖はそのまま水性システム加えるか、または種々の水処理組成物に調製して次に水性システムに加えることができる。沈着物質の低レベルを維持するために大量の水が連続的に処理されるいくつかの水性システムでは、ポリマーは0.5mg/Lという低いレベルで使用することができる。使用される多糖の量の上限は、処理される特定の水性システムに依存する。例えば粒状物質を分散するために使用される時、多糖は約0.5〜約2,000mg/Lの範囲のレベルで使用することができる。ミネラルスケールの生成または沈着を抑制するために使用される時、ポリマーは約0.5〜約100mg/Lの範囲のレベルで使用することができ、別の実施態様において約3〜約20mg/Lの範囲、および別の実施態様において約5〜約10mg/Lの範囲のレベルで使用することができる。
【0079】
いったん調製されると改質多糖は、これらの多糖と他の水処理化学物質とを含む水処理組成物中に取り込むことができる。これらの化学物質には、例えば腐食抑制物質、例えばオルトホスフェート、亜鉛化合物、およびトリルトリアゾールがある。上記したように水処理組成物で使用される本発明のポリマーの量は、処理される特定の水性システムで必要な処理レベルにより変動する。水処理組成物は一般に、約10〜約25重量%の改質多糖を含有する。
【0080】
改質多糖類は、ミネラル塩の安定化が重要である任意の水性システム、例えば硬水で洗浄される熱移動器具、ボイラー、二次油回収井戸、自動食器洗浄機、ならびに基板で使用することができる。改質多糖は、他のスケール抑制物質がうまくいかないストレス条件下で特に有効である。
【0081】
改質多糖ポリマーは水中の多くのミネラル(特に限定されないが、鉄、亜鉛、ホスホン酸塩、およびマンガン)を安定化することができる。ポリマーはまた、水性システム中に存在する粒子を分散させる。
【0082】
本発明の改質多糖ポリマーは、多くのタイプの方法でスケールを抑制し、ミネラルを安定化し、粒子を分散させるのに使用することができる。かかる方法の例には、砂糖キビ圧搾機抗スケール剤(anti-scalant);土壌調整;工業的方法(例えば、採鉱、油田、パルプと紙製造、および他の類似の方法)で使用される水の処理;廃水処理;地下水改善;逆浸透と脱塩などの方法による水精製;エアウォッシャーシステム;腐食抑制;ボイラー水処理;生物分散剤として;およびスケールと腐食沈着物の化学的クリニーングがある。当業者は、改質多糖が有用となり得る多くの他の用途を思いつくであろう。
クリニーング配合物
【0083】
本発明の改質多糖はまた、ホスフェートベースのビルダーを含有する広範囲のクリニーング配合物で使用することができる。例えばこれらの配合物は、粉末、液体、または単位用量(例えば錠剤またはカプセル剤)の形でもよい。さらにこれらの配合物は、種々の基質、例えば衣服、食器、および硬い表面(例えば浴室や台所の表面)を洗浄するのに使用することができる。配合物は工業的および施設の洗浄用途で表面を洗浄するのに使用することができる。
【0084】
クリニーング配合物では、改質多糖は、洗浄液体で最終使用レベルまで希釈することができる。改質多糖は典型的には、洗浄水溶液中0.01〜1,000ppmで投与される。これらのポリマーは、生地、食器洗浄、および硬い表面の洗浄用途でホスフェートベースのスケールの沈着を最小にすることができる。ポリマーはまた、生地の付着物を最小にするのに役立つ。さらに多糖ポリマーは食器の膜やしみを最小にする。食器は、ガラス、プラスチック、陶器、刃物類などを含む。
【0085】
界面活性剤配合物中の任意成分には、特に限定されないが、イオン交換剤、アルカリ、抗腐食物質、再沈着防止剤、光学的光沢剤、香水、染料、増量剤、キレート剤、酵素、生地漂白剤および光沢剤、起泡制御剤、溶媒、ヒドロトロープ、漂白剤、漂白前駆体、緩衝化剤、土壌除去剤、土壌放出剤、生地柔軟剤、および乳白剤がある。これらの光学的成分は最大約90重量%の界面活性剤配合物を含む。
【0086】
本発明の改質多糖は、手動皿洗い(hand dish)、自動皿洗い(autodish)、および硬表面クリニーング配合物に取り込むことができる。これらのポリマーはまた、自動皿洗い配合物で使用される洗浄補助配合物中に取り込むことができる。自動皿洗い配合物は、種々の成分(ビルダー、例えばホスフェートおよびカーボネート、漂白剤と漂白活性化剤、およびシリケート)を含有することができる。これらの配合物はまた、酵素、緩衝剤、香料、消泡剤、加工補助剤などがある。次亜塩素酸塩漂白剤を含む自動皿洗いゲルシステムは、漂白安定性を維持するのに必要な高いpHのためにポリマーに対して特に硬質である。
【0087】
硬表面クリニーング配合物は、他の付加物成分および担体を含有することができる。付加物成分の例には、特に限定されないが、緩衝剤、ビルダー、キレート剤、充填塩、分散剤、酵素、酵素強化剤、香料、増粘剤、粘土、溶媒、界面活性剤、およびこれらの混合物がある。
【0088】
当業者は、必要な改質多糖ポリマーの量がクリニーング配合物とクリニーング配合物に与えたい利点に依存することを認識するであろう。1つの態様において使用レベルは、クリニーング配合物の約0.01重量%〜約10重量%である。別の実施態様において使用レベルは、クリニーング配合物の約0.1重量%〜約2重量%である。
【0089】
油田スケール応用
スケール形成は油田用途で大きな問題である。地下の油回収操作は、油が地層を移動するのを助け、液体が除去される時に油層中の圧力を維持するための油の層への水溶液の注入を含む。注入される水[表面水(湖または川)または海水(沖合の操業のため)]は、可溶性塩(例えばスルフェートおよびカーボネート)を含有することがある。これらの塩は、油含有地層中にすでに存在するイオン(地層水)と非相溶性であることが多い。地層水は、正常な表面水中でははるかに低いレベルで存在するいくつかのイオン(例えば、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、およびカルシウム)を高濃度で含有することができる。溶解度に影響を与える条件(例えば温度と圧力)が製造井戸穿孔や上側で変化すると、部分的に可溶性の無機塩(例えば、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウム)は、しばしば産出水から沈殿する。これは、非相溶性の水(例えば地層水、海水、または産出水)の場合に特によくある。
【0090】
硫酸バリウムや硫酸ストロンチウムは、非常に硬くて非常に不溶性のスケールを形成し、これは防止することが困難である。硫酸バリウムまたは他の無機過飽和塩は、地層に沈殿してスケールを生成し、こうして地層を詰まらせ貯蔵場所からの油の回収を制限する。不溶性塩はまた、生産チューブ表面や関連する抽出装置上に沈殿して、生産性、生産効率を制限し、安全性を脅かす。いくつかの油含有産出水は、400ppmおよびそれ以上の高いバリウム濃度を含むことが知られている。硫酸バリウムは、特に不溶性の塩を形成し、その溶解度は温度とともに急激に低下するため、スケール生成を抑制することが困難であり、油層や上側の操作および安全装置の詰まりを防止することが困難である。
【0091】
スルフェートスケールの溶解は困難であり、高いpH、長時間の接触、熱、および循環を必要とし、上側でのみ行うことができる。あるいは粉砕やある場合には高圧水洗浄を行うことができる。これらは高価で侵襲的方法であり、運転を中断する必要がある。本発明の改質多糖は、スケール、特にダウンホールスルフェートスケールを最小にすることができる。
【0092】
粒子の分散剤
本発明の改質多糖は、ペーパーコーティング、ペンキ、および他のコーティング用途のような用途で染料の分散剤として使用することができる。本発明のポリマーにより分散できる染料の例には、二酸化チタン、カオリン粘土、改質カオリン粘土、炭酸カルシウム、および合成炭酸カルシウム、酸化鉄、カーボンブラック、タルク、雲母、シリカ、シリケート、および酸化アルミニウムがある。典型的には染料の疎水性が高いほど、本発明のポリマーは粒子の分散性が良い。これらの粒状物質は、特に限定されないが、コーティング、プラスチック、ゴム、ろ過製品、化粧品、食物、ペンキ、掘穿泥水、およびペーパーコーティングなどの多様な用途がある。
【0093】
ガラス繊維サイジング
ガラス繊維は通常、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはポリアクリル酸ベースの樹脂でサイジングされる。前者は、最終使用中にホルムアルデヒドが放出されるという欠点がある。ポリアクリル酸樹脂システムは、原油価格が高騰したため非経済的になった。従って、この業界では再生可能なサイジング物質に対するニーズがある。本発明の改質多糖は、この応用に適している。これは、これ自体でまたはフェノールホルムアルデヒドもしくはポリアクリル酸結合剤システムと組合せて使用することができる。
【0094】
結合剤組成物は一般に、適当な噴霧剤アプリケータにより生成されながらガラス繊維マットに適用される。噴霧剤アプリケータは結合剤溶液を、生成されたガラス繊維マット中に均一に分布させるのを助ける。固形分は典型的には、総溶液の約5〜25重量%の量で水溶液中に存在する。結合剤はまた、当該分野で公知の他の手段(特に限定されないが、エアレススプレー、エアスプレー、パッディング、飽和、およびロールコーティングを含む)により適用される。
【0095】
繊維からの残存熱は、結合剤から水を揮発させる。生じる高固形分結合剤被覆ガラス繊維マットは、ガラス繊維の弾性のために垂直に膨張される。次にガラス繊維マットは加熱され、結合剤を硬化する。典型的には硬化オーブンは130℃〜325℃の温度で運転される。しかし本発明の結合剤組成物は、約110℃〜約150℃の低い温度で硬化することができる。1つの態様において結合剤組成物は約120℃で硬化することができる。ガラス繊維マットは、典型的には約5秒〜約15分間硬化される。1つの態様において、ガラス繊維マットは約30秒〜約3分間硬化される。硬化温度と硬化時間はまた、使用される温度と触媒のレベルに依存する。次にガラス繊維マットは輸送のために圧縮される。ガラス繊維マットの重要な性質は、これはいったん加圧が除去されるとほとんど完全な高さに戻ることである。改質多糖ベースの結合剤は柔軟性あるフィルムを産生し、これは、ロールの包装を解き壁/天井に使用するとガラス繊維断熱物が飛び出してもどることを可能にする。
【0096】
共重合体結合剤組成物で処理したガラス繊維または他の不織物は、ロールまたはバットの形で熱または音の遮断物として;屋根およびフローリング製品、天井タイル、フローリングタイルのための補強マットとして、プリント基板およびバッテリーセパレータのマイクロガラスベースの基材として;フィルターストックおよびテープストック、および非セメントおよびセメント性の建築物コーティングの補強物として有用である。
【実施例】
【0097】
以下の例は本発明を例示するが、決して本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は請求項によってのみ限定されるべきものである。
【0098】
実施例1−高アミロースデンプンの酸化
高アミロースデンプン(ハイロン(HYLON)(登録商標)VIIデンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)を、オーバーヘッドカスターラーを取り付けたジャケット付ビーカーを使用して、水性条件下で以下の方法を使用して酸化した。
【0099】
ニトロキシルラジカル、4‐アセトアミド‐TEMPO(0.79g;デンプンASUのモル数に基づき0.2モル%)および臭化ナトリウム(9.52g;5モル%)を高アミロースデンプンの水性スラリー(500mLの水中344g(300g乾燥;1.85モルASU))に加えた。水循環器を用いてシステムを10℃未満に冷却し、スラリーのpHを水酸化ナトリウム(2.5M溶液)で9.0に調整した。次に次亜塩素酸ナトリウム(1090.5g;11.4%溶液;90モル%)を反応混合物中に、反応混合物の温度を<15℃に維持するような速度で滴下して加えることにより導入した。ブリンクマンメトローム718スタットチトリノ(Brinkmann Metrohm 718 STAT Titrino)(pHスタット)を使用してこの添加方法により2.5Mの水酸化ナトリウム溶液を添加して、スラリーのpHを9.0で一定に維持した。いったん次亜塩素酸塩溶液のすべてを加えると酸化は基本的に完了し、システムのpHは安定化した。この時点で、アスコルビン酸(10g)を加えて、残存する微量の次亜塩素酸塩を除去することにより反応を停止させた。最後に混合物のpHを塩酸で約3.5まで低下させた。次に酸化デンプン生成物をろ過し、約3.5のpHの水(4L)で洗浄し、低湿度環境で空気乾燥させた。
【0100】
酸化ハイロン(HYLON)(登録商標)VIIデンプンのアルデヒド含量の測定
酸化デンプンのアルデヒド含量を、以下の反応と方法によりオキシム誘導体化により塩酸ヒドロキシアミン滴定を使用して測定した。
RCHO+NH2OH・HCl→ RCHNOH + HCl
酸化デンプンを水(50mLの水に1.223g)でスラリー化し、そのpHをHCl水溶液で4に調整した。この攪拌溶液に、大過剰の2.0M塩酸ヒドロキシアミン水溶液(これもpH4、約3mL)を一回で急速に加えた。反応中、混合物のpHを、pHスタットを使用して0.1N NaOH溶液で滴定して4に維持した。溶液のpHのさらなる低下が検出されなくなるまで、これを継続した。
【0101】
上記酸化デンプン試料のアルデヒド含量は、以下の式を使用してNAOH(10.93mL)の総消費によりデンプンASUのモルに基づき14.5モル%と計算された。
【0102】
【数1】

【0103】
酸化ハイロン(HYLON)(登録商標)VIIデンプンのカルボン酸含量の測定
酸化中に形成されるカルボン酸をアルデヒド生成で消費されなかった酸化物の残存量から推定し、これは本例の場合、デンプンASU当たり約38モル%であった。これはまた、D2O溶液から取った酸化デンプンの13C NMRスペクトルにより確認され、これはデンプンASU C6カルボキシル含量当たり約38モル%であることを示した。
【0104】
実施例2−トウモロコシ(waxy maize)デンプンの酸化
トウモロコシ(waxy maize)デンプン(アミオカ(AMIOCA)(登録商標)デンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)を、実施例1に記載の方法を使用して酸化した。酸化したトウモロコシ(waxy maize)生成物は、実施例1に記載の対応するハイロン(HYLON)(登録商標)VIIよりいくぶん膨潤しており、従ってろ過し水洗した後にエタノールでも洗浄した。これを最後に低湿度環境で空気乾燥させた。
【0105】
酸化トウモロコシ(waxy maize)デンプン試料のアルデヒド含量を実施例1に記載のように測定し、1モルのデンプンASU当たり12.0モル%と計算された。
酸化中に形成されるカルボン酸をアルデヒド生成で消費されなかった酸化物の残存量から推定し、これは本例の場合、デンプンASU当たり約39モル%であった。これはまた、D2O溶液から取った酸化デンプンの13C NMRスペクトルにより確認され、これはデンプンASU C6カルボキシル含量当たり約39モル%であることを示した。
【0106】
実施例3−トウモロコシ(waxy maize)デンプンの酸化
次亜塩素酸ナトリウム酸化物を560gの8.2%溶液、すなわち50モル%デンプンASUに制限した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法を使用してトウモロコシ(waxy maize)デンプン(アミオカ(AMIOCA)(登録商標)デンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)を酸化し回収した。酸化中に生成されるカルボン酸はデンプンASU当たり約18モル%であると測定された(酸化中にpHを維持するために使用された2.5M NAOH消費に基づく)。
【0107】
実施例4−架橋コーンスターチの酸化
実施例1に記載の方法を使用して架橋コーンスターチ(ブルカ(VULCA)(登録商標)90デンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)を酸化し回収した。酸化ブルカ(VULCA)(登録商標)90デンプンのアルデヒド含量を実施例1に記載のように測定し、1モルのデンプンASU当たり15.1モル%であると計算された。
【0108】
酸化中に形成されるカルボン酸をアルデヒド生成で消費されなかった酸化物の残存量から推定し、これは本例の場合、デンプンASU当たり約37モル%であった。これはまた、D2O溶液から取った酸化デンプンの13C NMRスペクトルにより確認され、これはデンプンASU C6カルボキシル含量当たり約40モル%であることを示した。
【0109】
実施例5−3‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐1‐プロパンスルホン酸で改質したデンプンの酸化
トウモロコシ(waxy maize)デンプン(アミオカ(AMIOCA)(登録商標)デンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)(350グラム)を525m/Lの水で、40℃でスラリーにした。水酸化ナトリウム水溶液(3%)をゆっくり加え、次に3‐クロロ‐2‐ヒドロキシ‐1‐プロパンスルホン酸ナトリウム塩(デンプンの7重量%)(シグマ‐アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、セントルイス、ミズーリ州から入手できる)を加えて混合物のpHを11.5〜11.7に上げた。次に追加の水酸化ナトリウム水溶液(3%)を加えてスラリーのpHを11.5〜11.7に再調整した。40℃で6時間反応を行った後、10%塩酸水溶液を加えてスラリーのpHを5〜6の範囲まで下げた。次に改質デンプンをろ過し水で洗浄した。次に改質デンプンのフィルターケーキを水で再スラリー化し、実施例1に記載の方法に従って酸化した。
【0110】
実施例6−リン酸化デンプンの酸化
トウモロコシ(waxy maize)デンプン(アミオカ(AMIOCA)(登録商標)デンプン、ナショナルスターチアンドケミカルカンパニー(National Starch and Chemical Company)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州から入手できる)を、まず米国特許第4,166,173号に記載のようにアルカリ金属トリポリホスフェートでリン酸化した。次に実施例1に記載の方法に従ってデンプンを酸化した。
【0111】
実施例7−酸化デンプンの同時加熱調理と転化
実施例1〜3の酸化デンプンを同時に分散させ、以下の2つの方法のうちの1つを使用して1ポット法で低分子量類似体に転化した。
【0112】
方法7(a)‐約35gの酸化デンプン(30g乾燥ベース)を1200m/Lの水に分散した。スラリーのpHを2.5M NAOH溶液を使用して6.0〜12.5範囲のあらかじめ決められた値に調整した。次にスラリーを蒸気浴(90〜95℃)中で20〜30分間激しく機械攪拌して加熱した。この加熱時間中、デンプンはまず加熱され(溶液の急速な膨潤と粘度上昇により証明される)、次に同時にかつ急速に低粘度溶液に転化される。転化の程度は、各スラリーのpHを調整しその加熱時間により測定した。いったん所望の程度に転化されると、溶液を室温まで冷却し、必要であればそのpHを4〜5の範囲に低下させた。次に転化された低分子量酸化多糖を凍結乾燥により回収した。
【0113】
方法7(b)‐約60gの酸化デンプン(55g乾燥ベース)を1200m/Lの水に分散した。スラリーのpHを2.5M NAOH溶液を使用して10.5に調整し、スラリーの温度を60℃まで上げた。ブリンクマンメトローム718スタットチトリノ(Brinkmann Metrohm 718 STAT Titrino)(pHスタット)を使用して2.5M NAOHでpHを10.5に維持しながら、機械攪拌した混合物をこの温度で一定時間処理した。上記方法と同様の方法で、デンプンはまず膨潤し、低分子量に転化されながら分散して、低粘度溶液になる。処理時間の最後に、溶液を室温まで冷却し、そのpHを4〜5の範囲まで下げた。次に転化された低分子量酸化多糖を凍結乾燥により回収した。表1は、加熱条件と転化された酸化デンプンの性質を要約する。
【0114】
【表1】

【0115】
方法7(a)
方法7(b)
「Mw」は重量平均分子量である。「Mn」は数平均分子量である。低分子量標準物質を使用してサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。
【0116】
実施例8−プルランの酸化と転化
以下のように1ポット均一法によりプルラン(スペクトラムケミカルズ・アンド・ラボラトリープロダクツ(Spectrum Chemicals & Laboratory Products)、ニューブランズウィック(New Brunswick)、ニュージャージー州より入手できる)を連続的に酸化し低分子量類似体に転化した。27.5gのプルラン(0.170モルプルランASU)、0.049gの4‐アセトアミド‐TEMPO、および9.52gの臭化ナトリウムを含有する水溶液(約250g)を室温で調製し、そのpHを1M水酸化ナトリウム溶液を用いて9.5まで上げた。次に反応混合物の温度を20〜25℃範囲に維持するような速度で、14.8gの水酸化ナトリウム(11.5%溶液;プルランASU当たり13.4モル%)を、激しく攪拌した溶液に滴下して導入した。ブリンクマンメトローム718スタットチトリノ(Brinkmann Metrohm 718 STAT Titrino)(pHスタット)を使用して1M NAOHでpHを9.5に維持した。いったん次亜塩素酸塩溶液のすべてを加えると酸化は完了し、システムのpHは9.5で安定化した。この段階でアルデヒドとカルボキシル含量の分析のために少量の溶液(約20g)を取り、これはプルランASU当たりそれぞれ5.1モル%と4.2モル%であると測定された(実施例1に記載のように)。
【0117】
次に溶液のpHをゆっくり10まで上げ、このレベルで室温に90分維持し、この間粘度の明らかな目に見える低下が起きた。最後に塩酸でpHを4まで下げ、酸化され転化されたプルランをエタノール中に沈殿して回収した。
この連続方法の最後の酸化し転化したプルランの数平均分子量は、NMRスペクトル法から約13,500であると推定された。
【0118】
実施例9−市販の洗剤配合物中の抗付着性について酸化デンプンを評価する方法
テストファブリクスインク(Test Fabrics Inc.)から入手できるブラック綿のインターロック生地を17.8cm×17.8cm(7"×7")の布きれに切断した。各試験(これはテルギトメーター(Tergitometer)で行われる)のために全部で40グラム(±0.2g)のきれを計量し、所望の重量を得るための必要に応じて各試験できれの1つを切りそろえた。
【0119】
炭酸カルシウムとして硬度(Ca:Mg=2:1)150ppmを有する1Lの水を各テルギトメーター(Tergitometer)に加えた。1.24gのタイド(TIDE)(登録商標)粉末界面活性剤と0.09gの粉末漂白剤をディスポーザブルの重りボートに計量した。特定量のポリマーを重り(典型的には4%乾燥/洗浄剤重量)ボートに計量した。ポリマーを含んでなる対照試料も調製した。
【0120】
洗浄剤とポリマーをテルギトメーター(Tergitometer)のポットに加え、水を30秒間攪拌して洗浄水を均一化した。次に生地をポットに加え、10分間洗浄した。洗浄サイクル中、水の温度は約93°F(約34℃)、洗浄時間は約10分、リンス時間は約5分、および攪拌速度は約80〜100ppmであった。
洗浄サイクルの完了時にテルギトメーター(Tergitometer)ポットの水気をきり、上記の1Lの水を使用してきれを5分間リンスした。次にきれをタンブルドライヤーで高熱で20分間乾燥した。上記洗浄工程を全部で5洗浄/乾燥サイクル繰り返した。
【0121】
各テルギトメーター(Tergitometer)ポットからの3つの別のきれを5.1cm×5.1cm(2"×2")の布きれに切断した。各きれを分析天秤上で計量し、名前を書いた試料カップに入れた。各小さいきれを20グラムの10%硝酸中に入れ、軽く1分間攪拌してCaCO3をキレート上で溶解した。次に硝酸をメスシリンダー中にデカントした。きれを脱イオン水でさらに2回洗浄し、各リンス後に水をシリンダーにデカントした。1mLの12%KCl溶液をシリンダーに入れ、次に脱イオン水を加えて容量を200mLにした。30〜50mLの溶液をろ過して繊維を除去し、次に各試料を名前を書いた容器に注ぎ、原子吸光スペクトル法を使用してppmカルシウムを測定した。
パーセントCaCO3を以下の式に従って測定した。
【0122】
【数2】

(式中、Xは硝酸洗浄後の溶液の希釈率である(この場合2))
【0123】
試験結果を以下の表IIに要約する。
【表2】

【0124】
上記表IIの試験結果は、本発明の酸化デンプンを含有する洗浄剤組成物で洗浄したきれは、合成ポリマーポリアクリル酸を含有する洗浄剤(アルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602N洗浄剤添加剤、アルコケミカル(Alco Chemical)、チャッタヌーガ(Chattanooga)、テネシー州から入手できる)と同等かまたはそれより少ない炭酸カルシウムがきれに沈着する。
本発明のポリマーのカルシウム結合/封鎖を、標準的滴定法を使用して測定した。結果を以下の表IIIに示す。
【0125】
【表3】

【0126】
上記表IIIのデータは、本発明の改質多糖がほとんどまたは全くカルシウム封鎖性を持たないことを示す。この結果は、文献(例えば、米国特許第5,326,864号の実施例IIと表A参照)で報告された酸化デンプンのカルシウム結合性とは完全に反対である。先行技術で教示された酸化デンプン(例えば'864特許のもの)は優れたカルシウム結合性を有する。これに対して本発明の改質多糖は、優れた抗付着性を有する(すなわち、生地上のCaCO3蓄積の防止)。これは、結晶成長の改質または分散性機構に帰因することができる。実際本発明のポリマーの抗付着性は、合成ポリアクリル酸ホモポリマー(アルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602N)より優れている。従って本発明のポリマーの組成と性能は、先行技術に開示されたものとは異なり新規である。
【0127】
実施例10−炭酸カルシウム抑制のための標準的Nace試験における本発明のポリマーの評価
【表4】

【0128】
上記データは、典型的な合成ポリマーのレベルの5倍で試験したにもかかわらず、本発明のポリマーが実験室ビーカー試験で測定すると炭酸カルシウムスケールを抑制するのに適していないことを示すようである。これは、本発明の改質多糖が良好なカルシウム封鎖剤ではないことを示す。しかし実施例1で見られるように、これらは優れた付着性を有する。従ってこれらの物質(文献で引用されたものとは異なり)は、結晶成長または分散機構によりカーボネートスケールを防止する。
【0129】
実施例11−土壌再沈着防止性
酸化デンプンを、一般的に作成した液体洗浄剤配合物で再沈着防止性について試験した。一般的に作成した液体洗浄剤配合物は以下の通りである。
成分 wt%
脱イオン水 37.25
クエン酸ナトリウム 9.0
プロピレングリコール 8.0
40%キシレンスルホン酸ナトリウム 18.75
バイオソフト(BIOSOFT)(登録商標)D‐40陰イオン性洗浄剤(ステパンケミカル(Stepan Cehmical Co.)、ノースフィールド(Northfield)、イリノイ州から入手できる) 20.00
ネオドール(NEODOL)(登録商標)25-9洗浄剤アルコール(シェル(Shell)、ヒューストン、テキサス州から入手できる) 7.0
【0130】
試験はフルスケール洗濯機で3つの綿と3つのポリエステル/綿きれを使用して行った。使用した土壌は、ローズクレイ(rose clay)(17.5g)、バンディブラッククレイ(bandy black clay)(175.g)、および油(6.9g、75:25植物/ミネラル)の混合物である。試験は、1回の洗浄量当たり100gの液体洗浄剤を使用して3サイクルについて行った。酸化デンプンは、洗浄剤の2重量%で与え、ポリアクリル酸(アルコケミカル(Alco Chemical)からのアルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602N)洗浄剤添加剤)は0.5%で与えた。使用した洗浄条件は温度34℃(93°F)、150ppmの硬度、および10分の洗浄サイクルである。
【0131】
【表5】

【0132】
第1のサイクル前と第3のサイクル後のL、a、b値は、分光光度計を使用してそれぞれL1、a1、b1およびL2、a2、b2として測定した。次にΔE値を以下の式を使用して計算した。
ΔE=[(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2]0.5
データは、酸化デンプンがポリアクリル酸試料と同様の再沈着防止性/土壌懸濁性を有することを示す(低いΔEは良好な再沈着防止性を示す)。
【0133】
実施例12‐土壌再沈着防止性
実施例7H1の酸化デンプンを、異なるレベルの活性成分レベルで一般的に作成した液体洗浄剤配合物で再沈着防止剤性について試験した。一般的に作成した液体洗浄剤配合物は、上記実施例11と同じであった。
試験はフルスケール洗濯機で3つの綿と3つのポリエステル/綿きれを使用して行った。使用した土壌は、ローズクレイ(rose clay)(17.5g)、バンディブラッククレイ(bandy black clay)(175.g)、および油(6.9g、75:25植物/ミネラル)の混合物である。試験は、1回の洗浄量当たり100gの液体洗浄剤を使用して3サイクルについて行った。酸化デンプンは、洗浄剤の0.5、1.0、および1.5重量%で使用した。洗浄条件は温度34℃(93°F)、150ppmの硬度、および10分の洗浄サイクルを使用した。
【0134】
【表6】

【0135】
第1のサイクル前と第3のサイクル後のL、a、b値は、分光光度計を使用してそれぞれL1、a1、b1およびL2、a2、b2として測定した。次にΔE値を以下の式を使用して計算した。
ΔE=[(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2]0.5
データは、本発明の酸化デンプンが、洗浄液体中で、低濃度で再沈着防止性/土壌懸濁性を示すことを示す(低いΔEは良好な再沈着防止性を示す)。
【0136】
実施例13−分散
本発明の酸化デンプンを分散性能について試験した。2%粘土水溶液(50:50ローズクレイ(rose clay)/ブラッククレイ(black clay))と0.1%ポリマースラリーをメスシリンダーに導入した。一定の間隔でスラリー(図1にある)のスナップ写真を撮った。データは、低分子量酸化デンプン(実施例7A3、7H1および7V2)がポリアクリル酸と同程度に良好な分散剤であることを示す。
【0137】
配合物例
以下の例は、異なる水性システムで使用される本発明の改質多糖ポリマーを有する種々の配合物を例示する。
実施例14−自動リン酸化食器洗浄機用粉末配合物成分
成分 wt%
トリポリリン酸ナトリウム 25.0
炭酸ナトリウム 25.0
7モルのEOを有するC12-15 線状アルコールエトキシレート 3.0
実施例7V1のポリマー 14.0
硫酸ナトリウム 33.0
【0138】
実施例15−自動非リン酸化食器洗浄機用粉末配合物成分
成分 wt%
クエン酸ナトリウム 30
実施例7A2のポリマー 10
二ケイ酸ナトリウム 10
過ホウ酸一水和物 6
テトラアセチルエチレンジアミン 2
【0139】
実施例16−ハンドウォッシュ布洗浄剤
成分 wt%
線状アルキルベンゼンスルホン酸塩 15〜30
非イオン性界面活性剤 0〜3
トリポリリン酸Na(STPP) 3〜20
ケイ酸Na 5〜10
硫酸Na 20〜50
ベントナイトクレイ/石灰質 0〜15
実施例7A3のポリマー 1〜10
酵素 2
水 残り
【0140】
実施例17−柔軟剤を有する布洗浄剤
成分 wt%
線状アルキルベンゼンスルホン酸塩 2
アルコールエトキシレート 4
STPP 23
実施例7V1のポリマー 5
炭酸Na 5
過ホウ酸四水和物 12
モンモリロナイト粘土 16
硫酸Na 20
香料、FWA、酵素、水 残り
【0141】
実施例18−洗濯のためのバー/ペースト
成分 wt%
線状アルキルベンゼンスルホン酸塩 15〜30
ケイ酸Na 2〜5
STPP 2〜10
実施例7H1のポリマー 2〜10
炭酸Na 5〜10
方解石 0〜20
尿素 0〜2
グリセロール 0〜2
カオリン 0〜15
硫酸Na 5〜20
香料、FWA、酵素、水 残り
【0142】
実施例19−水処理組成物
いったん調製されると水溶性ポリマーは好ましくは、水溶性ポリマーと他の水処理化合物とを含む水処理組成物中に取り込まれる。このような他の化学物質には、腐食抑制剤、例えばオルトホスフェート、亜鉛化合物、およびトリルトリアゾールがある。上記したように水処理組成物で使用される本発明のポリマーのレベルは、処理される特定の水性システムについて所望の処理レベルにより決定される。水処理組成物は一般に、10〜25重量%の水溶性ポリマーを含む。従来の水処理組成物は当業者に公知であり、水処理組成物の例を配合物1〜4で後述する。本発明のポリマーを含有するこれらの配合物は、例えば油田での用途がある。
【0143】
配合物1 配合物2
5.0% ポリマー7A2 5.0%ポリマー7A3
47.7% 水 59.6% 水
4.2% HEDP 4.2% HEDP
10.3% NaOH 18.4% TKPP
24.5% モリブデン酸ナトリウム 7.2% NAOH
2.0% トリルトリアゾール 2.0% トリルトリアゾール
pH 13.0 pH 12.64
【0144】
配合物3 配合物4
10.0%ポリマー7H1 5.0%ポリマー7V2
51.1% 水 59.0% 水
8.3% HEDP 4.2% HEDP
14.0% NaOH 19.3% NaOH
4.0% トリルトリアゾール 2.0% トリルトリアゾール
pH 12.5 4.2% ZnCl2
pH 13.2
【0145】
配合物5 配合物6
5.0% ポリマー7A2 5.0%ポリマー7A3
46.2% 水 58.1% 水
3.2% HEDP 3.2% HEDP
2.5% ポリマレイン酸 2.5% ポリマレイン酸
10.3% NaOH 18.4% TKPP
24.5% モリブデン酸ナトリウム 7.2% NaOH
2.0% トリルトリアゾール 2.0% トリルトリアゾール
pH 13.0 pH 12.64
ここで、HEDPは1‐ヒドロキシエチリデン‐1,1ジホスホン酸であり、TKPPはポリリン酸三カリウムである。
【0146】
実施例20−セメント組成物
上記実施例7A1に記載の種々の量のポリマー(9重量%ポリマー水溶液)を、ベースのセメントスラリーの試験部分に加えた。ベースセメント組成物は、ローンスタークラスH(Lone Star Class H)水硬セメントと、乾燥セメントの38重量%の量の水とを含んだ。ベース組成物の密度は16.4ポンド/ガロンであった。本発明のポリマーを含有するこれらの組成物は、例えば油田での用途がある。
【0147】
実施例21−典型的な硬表面クリニーング配合物
酸性クリーナー
成分 wt%
クエン酸(50%溶液) 12.0
リン酸 1.0
3モルのEOを有するC12-C13線状アルコールエトキシレート 5.0
アルキルベンゼンスルホン酸 3.0
実施例7A3のポリマー 1.0
水 78.0
【0148】
アルカリ性クリーナー
成分 wt%
水 89.0
トリポリリン酸ナトリウム 2.0
ケイ酸ナトリウム 1.9
NaOH(50%) 0.1
ジプロピレングリセロールモノメチルエーテル 5.0
オクチルポリエトキシエタノール、12-12モルEO 1.0
実施例7A2のポリマー 1.0
【0149】
実施例22−ガラス繊維サイジング配合物
成分 wt%
アルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602A* 20.0
実施例7A3のポリマー 5.0
水 残り
* アルコケミカル(Alco Chemical)からポリアクリル酸
【0150】
実施例23−酸化鉄の分散剤としての酸化デンプンの評価
実施例7A3と7V2の改質多糖試料を攪拌しながら水に溶解した。次に赤い酸化鉄粉末をデンプン溶液に攪拌しながらゆっくり加えた。混合物を20分間攪拌した後、粘度を測定した。
【0151】
【表7】

いずれの物質も酸化鉄分散剤としての性能を示すが、低分子量アミロース含有物質の方が良好な性能が見られる。
【0152】
実施例24−カオリンの分散
279gのカオリンを171gの水に高剪断力下で加えることによりカオリンスラリーを調製した。酸化デンプンの溶液を10%濃度で調製した。次にこれらの溶液をカオリンスラリーに加え、粘度を測定した。これらのデンプン物質をアルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)149ポリアクリル酸分散剤と比較した。
【0153】
【表8】

【0154】
上記より、実施例7V2の改質多糖がポリアクリル酸分散剤として機能することがわかる。ポリアクリル酸が酸化デンプンより少し性能が良いようであるが、この実験の初期スラリー粘度は低かった。従って改質多糖は、カオリンを分散するための分散剤として従来のポリアクリル酸に匹敵する。
【0155】
実施例25−炭酸カルシウムの分散
306gの炭酸カルシウムを144gの水に高剪断力下で加えることによりスラリーを調製した。実施例7V2と7A3の酸化デンプンを10%水溶液の形でスラリーに加えた。各デンプンの添加後、粘度を測定して分散剤要求量曲線を作成した。
酸化デンプンをアルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)149ポリアクリル酸ホモポリマー(これはこの用途で典型的に使用される)と比較した。
【0156】
【表9】

結果は、本発明の改質多糖が標準的ポリアクリル酸より優れていることを示す。
【0157】
実施例26−硫酸カルシウム(石膏スラリー)
成分 wt%
石膏 30〜60%
水 30〜60%
実施例7H1の試料 0.1〜10%
随時の付加的成分(保存剤、レオロジー改質剤、界面活性剤)
【0158】
実施例27−カーボンブラック配合物
成分 wt%
カーボンブラック 40%
実施例7V1の試料 1〜20%
グリコール 0〜5%
水 残り
随時の付加的成分(保存剤、レオロジー改質剤、界面活性剤)
【0159】
実施例28−コンクリート配合物
成分 wt%
ポートランドセメント 315kg
骨材 1926kg
水 158kg
超可塑剤(実施例7A3) 120kg
随時の付加的成分(凝結遅緩剤、気泡混入剤、硬化促進剤、防水剤、染料、腐食抑制剤、可塑剤)
【0160】
実施例29−セメント分散剤(調製例)
成分 wt%
粘土 60〜75%
分散剤(ケイ酸アント、STPP、ポリアクリル酸 0〜2%
実施例7A1の試料 0〜5%
水 残り
随時の付加的成分(レオロジー改質剤、染料、界面活性剤、保存剤)
【0161】
実施例30−粉砕補助剤
粗粒子状炭酸カルシウムの水性懸濁物を「ミルまたはグラインダー」に通して所望の粒子サイズを得る。懸濁物を回収した後、所望の粒子サイズを得てもよい。実施例7V2の改質多糖を懸濁物に加えた後、破砕して分散機構により粒子の集結度を維持してもよい。
【0162】
実施例31−油掘削
新鮮水掘削
水 1500g
ベントナイト 60g
ベントナイトCa 150g
実施例7A2の試料 10g
付加的成分−消泡剤、腐食抑制剤、液体ロス物質、シェールコントロール、保存剤/殺生物剤、緩衝剤、増量剤
【0163】
海水掘削
海水 1500.0g
NaCO3 3.0g
ベントナイト 75.0g
アタパルジャイト 112.5g
CMC 37.5g
ベントナイトCa 225.0g
苛性 pH 9〜11に
実施例7H1の試料 7.5g
付加的成分−消泡剤、腐食抑制剤、シェールコントロール、保存剤/殺生物剤、緩衝剤、増量剤
【0164】
実施例32−土壌再沈着防止性
実施例6の改質多糖を一般的に作成した液体洗浄剤配合物で再沈着防止剤性について試験した。一般的に作成した液体洗浄剤の調製は、以下の通りである。
成分 wt%
脱イオン水 37.25
クエン酸ナトリウム 9.00
プロピレングリコール 8.00
40% キシレンスルホン酸ナトリウム 18.75
バイオソフト(BIOSOFT)(登録商標)D-40陰イオン性洗浄剤(ステパンケミカル(Stepan Cehmical Co.)、ノースフィールド(Northfield)、イリノイ州から入手できる) 20.00
ネオドール(NEODOL)(登録商標)25-9洗浄剤アルコール(シェル(Shell)、ヒューストン、テキサス州から入手できる) 7.0
【0165】
試験はフルスケール洗濯機で3つの綿と3つのポリエステル/綿きれを使用して行った。使用した土壌は、ローズクレイ(rose clay)(17.5g)、バンディブラッククレイ(bandy black clay)(175.g)、および油(6.9g、75:25植物/ミネラル)の混合物である。試験は、1回の洗浄量当たり100gの液体洗浄剤を使用して3サイクルについて行った。改質多糖とポリアクリル酸(アルコケミカル(Alco Chemical)からのアルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602N)洗浄剤添加剤)は洗浄剤の0.5重量%で与えた。使用した洗浄条件は温度34℃(93°F)、150ppmの硬度、および10分の洗浄サイクルである。
【0166】
【表10】

【0167】
第1のサイクル前と第3のサイクル後のL、a、b値は、分光光度計を使用してそれぞれL1、a1、b1およびL2、a2、b2として測定した。次にΔE値を以下の式を使用して計算した。
ΔE=[(L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2]0.5
データは本発明の改質多糖が、洗浄剤用途で典型的に使用される標準的4500分子量ポリアクリル酸より優れた再沈着防止性/土壌懸濁性を有することを示す。
【0168】
実施例33−液体洗浄剤配合物
成分 wt%
脱イオン水 37.00
クエン酸ナトリウム 9.00
プロピレングリコール 8.00
40% キシレンスルホン酸ナトリウム 18.75
バイオソフト(BIOSOFT)(登録商標)D-40陰イオン性洗浄剤(ステパンケミカル(Stepan Cehmical Co.)、ノースフィールド(Northfield)、イリノイ州から入手できる) 20.00
ネオドール(NEODOL)(登録商標)25-9洗浄剤アルコール(シェル(Shell)、ヒューストン、テキサス州から入手できる) 7.0
実施例7A4 0.25
【0169】
実施例34−布柔軟剤配合物
成分 wt%
エステルクアット(Ester quat) 5.0
実施例7V3 0.2
香料、染料、水 残り
【0170】
実施例35−改質多糖と合成ポリマーの混合物
実施例7H1の改質多糖を合成ポリマー(アルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)725、35%の疎水性に改質されたポリマー水溶液、アルコケミカル(Alco Chemical)、チャッタヌーガ(Chattanooga)、テネシー州から入手できる)と混合した。活性改質多糖対ポリマー溶液を10:90と90:10の重量比で2つの成分を混合した。次に溶液を2週間後に観察した。
【0171】
【表11】

【0172】
データは、多糖水溶液が10重量%の低い希釈率でも安定ではないことを示す。しかし多糖と疎水性に改質されたポリマーの混合物は、高多糖レベルでも非常に安定である。これは、合成ポリマーが多糖水溶液を安定化するのに使用できることを示す。
【0173】
実施例36−抑制無しでスケールを最小にするための水処理応用
本発明の改質多糖を、パイロット冷却塔を模倣する動的システムで評価した。動的性能試験は、図2に示すように非蒸発性動的試験具で行った。システムのデザインは、試験中一定のシステム容量と一定のポリマー濃度を維持するためにオーバーフローを伴って補給水濃縮物の連続的添加とポリマーの制御された供給により、濃縮サイクルを上昇させることを可能にする。システム中の水の容量は約26Lである。水は25Lの容器に含有され、システムを介してポンプで流され、容器に戻る。容器を離れると水は熱交換ラック(これは、水が流れるようにガラスチューブで囲まれた約750ワットで流れる3つの熱交換棒を含む)を通過する。各棒の加熱面積は11.75インチである。これは約16,000 BTU/hr/ft2の熱交換速度を与える。次に水を1インチのCPVCパイプでできた腐食ラック、冷却器に流し、容器に戻す。容器の水温度は、冷却器内に冷却水を流す冷却機を使用して制御する。pHはまた、pHコントローラーの使用と硫酸の添加により制御される。濃縮サイクルは、硬度とアルカリ性濃縮溶液の一定の供給により制御し上昇させることができる。システム内の処理の所望の供給レベルを維持するために、濃縮処理供給物はまた絶えず添加される。
【0174】
すべてのビーカーと動的試験のための1回の濃縮サイクルのシミュレートされた補給水は以下の濃度から構成された:
・CaCO3として100.0mg/LのCa(Caとして40mg/L)
・CaCO3として49.2mg/LのMg(Mgとして12.0)
・162M アルカリ性(HCO3として141.5mg/L)
・23P アルカリ性(CO3として27.6mg/L)
・比伝導度=約750マイクロmhos
【0175】
熱移動速度は約16,000 BTU/hr/ft2の一定速度で維持された。熱交換器中の流れは3.25ft/秒で維持された。
試験の3つの変数は、補給水中の第1鉄イオンの有無、操作pH、およびバルク水温度であった。以下の範囲は試験に使用した標準的設定点であり、スケール接着性の試料をスクリーニングするためのすべての「標準化」試験を含む。
・第1鉄イオン=0.2〜0.4mg/L Fe2+(補給水中)
・温度=39.4〜40.6℃(103〜105°F)
・pH範囲=8.70〜8.85
【0176】
試験は3サイクルの硬度を使用した。1つの硬度サイクルは「Caとして」40ppmのCa、「Mgとして」12.5ppmのMg、120ppmのHCO3、および40ppmのCO3にほぼ等しい。
試験具中の棒は以下のスケールにより判定した。
0=棒上にスケール無し
1=デッドフロー領域にのみスケール
2=棒上に少量のスケール
3=棒上に中程度の量のスケール
4=棒上に多量のスケール
【0177】
【表12】

【0178】
上記データは、本発明のポリマーがCaCO3の抑制においてうまく機能しない(上記実施例9を参照)が、実際の水処理条件ではカルシウムスケール生成の防止に非常によく機能することを示す。これは、結晶成長改質物質を修飾するのにこれらのポリマーが機能するという事実に帰因する。
本発明を詳細に説明し例示したが、これらは決して本発明を限定するものではないことを理解されたい。本発明の精神と範囲は請求項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】図1は、すべて0.1%の6つの酸化デンプン試料と0.1%のアルコスパース(ALCOSPERSE)(登録商標)602N洗浄剤添加物試料の分散性能の1時間スナップ写真である。
【図2】図2は、非揮発性動的試験具の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド基とを有する少なくとも1種の改質多糖を含む多糖組成物。
【請求項2】
前記の少なくとも1種の改質多糖が少なくとも1つのホスホネート部分をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項3】
前記の少なくとも1種の改質多糖と、ホスホネート部分を有する少なくとも1種のモノマーとの混合物をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項4】
前記の少なくとも1種の改質多糖が少なくとも1つのスルホネート部分をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項5】
前記の少なくとも1種の改質多糖と、スルホネート部分を有する少なくとも1種のモノマーとの混合物をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項6】
前記の少なくとも1種の改質多糖は少なくとも1つのホスホネート部分をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項7】
前記の少なくとも1種の改質多糖と、ホスフェート部分を有する少なくとも1種のモノマーとの混合物をさらに含む、請求項1の多糖組成物。
【請求項8】
水性処理組成物中における請求項1の多糖組成物の使用であって、前記水性処理組成物はスケール形成を防止することができ、前記水性処理組成物中に前記の少なくとも1種の改質多糖が少なくとも約0.5mg/Lの量で存在する、多糖組成物の使用。
【請求項9】
クリニーング配合物における請求項1の多糖組成物の使用であって、前記の少なくとも1種の改質多糖ポリマーはクリニーング配合物の約0.01〜約10重量%の量で存在する、多糖組成物の使用。
【請求項10】
分散剤における請求項1の多糖組成物の使用であって、前記分散剤は、1種以上のミネラル、1種以上の有機成分、および/または1種以上の農薬活性成分を分散させることができる、多糖組成物の使用。
【請求項11】
請求項10の多糖組成物であって、前記組成物は1種以上のミネラルを分散させることができ、分散される前記1種以上のミネラルはタルク、二酸化チタン、雲母、沈殿炭酸カルシウム、摩砕炭酸カルシウム、沈殿シリカ、シリケート、酸化鉄、粘土、カオリン粘土、石膏、またはこれらの組合せである、多糖組成物。
【請求項12】
請求項10の多糖組成物であって、前記組成物は1種以上の有機成分を分散させることができ、分散される前記1種以上の有機成分はカーボンブラック、染料、インク、蛍光剤、またはこれらの組合せである、多糖組成物。
【請求項13】
請求項10の多糖組成物であって、前記組成物は1種以上の農薬活性成分を分散させることができ、分散される前記1種以上の農薬活性成分は防腐剤、除草剤、殺虫剤、成長制御物質、またはこれらの組合せである、多糖組成物。
【請求項14】
水性処理システムにおける請求項1の多糖組成物の使用であって、
前記水性処理システムは水処理システム、油田システム、またはクリニーングシステムであり、かつ
前記水性処理システムは、スルフェートスケール、カーボネートスケール、および/またはホスフェートスケールを最小にすることができる、多糖組成物の使用。
【請求項15】
ガラス繊維結合剤またはセメント組成物における請求項1の多糖組成物の使用。
【請求項16】
多糖組成物の調製法であって、
水性媒体中で多糖を酸化する工程(水性媒体は、1モルの多糖無水糖単位(「ASU」)当たり最大106.37gの活性塩素の当量酸化力と媒介量のニトロキシルラジカルとを有するオキシダントを有する)、ここで、生じる改質多糖は1モルの多糖ASU当たり最大約70モル%のカルボキシル基と1モルの多糖ASU当たり最大約20モル%のアルデヒド官能基とを有し、そして
制御された温度とpH下で酸化多糖を分解する工程、
とを含む調製法。
【請求項17】
請求項16の調製法であって、前記多糖は顆粒デンプンであり、前記調製法は、
前記酸化デンプンをろ過し洗浄して、デンプンを分解する前にニトロキシルメディエータと塩副産物を除去する工程、および
デンプンを架橋する工程、ここで、デンプンは酸化の前に架橋される、
をさらに含む、調製法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−63534(P2007−63534A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−194308(P2006−194308)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】