説明

放射線検出器、放射線画像撮影システム、断線検出プログラム、及び断線検出方法

【課題】一画素から出力される電荷量が少ない場合でも、特定信号配線の断線を検出することができる、放射線検出器、放射線画像撮影システム、断線検出プログラム、及び断線検出方法を提供する。
【解決手段】画素20にバイアス電圧を印加して画素20のセンサ部(フォトダイオード)103のリーク電流によるオフセット電荷を蓄積させ、順次、画素20のTFTスイッチ4のゲートをオンさせて蓄積されているオフセット電荷に応じた電気信号を出力させる。当該電気信号に基づいて、オフセット電荷量の累積値を検出し、制御部106は、検出した累積値と断線検出用に予め定められた閾値とを比較し、累積値が閾値未満の場合は信号配線3が断線していることを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線画像撮影システム、断線検出プログラム、及び断線検出方法に係り、特に医療用の放射線画像を撮影する放射線検出器、放射線画像撮影システム、断線検出プログラム、及び断線検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断を目的とした放射線画像の撮影を行うための放射線検出器が知られている。当該放射線検出器は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線検出器は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。
【0003】
このような放射線検出器として、放射線または、放射線が変換された光が照射されることにより電荷を発生する光電変換素子等によるセンサ部と、センサ部で発生した電荷を読み出すスイッチング素子と、を備えた放射線検出素子と共に、前記スイッチング素子から読み出された電荷に基づいて、放射線の照射が開始(放射線画像の撮影が開始)されたことを検知する検知部を備えたものが知られている。
【0004】
このような放射線検出器では、放射線検出素子に欠陥が生じていると、適正な放射線画像を取得することができない場合があるため、放射線検出器の欠陥を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、被写体がない状態で撮影された第1の画像データと、被写体がある状態で撮影された第2の画像データとを用いて画像欠陥を検出して補正する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、射線撮像分野において、放射線の非照射時における放射線検出素子に溜まった電荷を取り出し、アナログマルチプレクサから出力された電気信号に応じたダーク読取値のみに基づいて放射線検出素子が欠陥画素であるか否かを判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−253668号公報
【特許文献2】特開2010−74644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載の技術では、放射線を放射線検出器に照射させて撮影した放射線画像を取得する必要があった。特に、放射線画像に線欠陥が生じる原因となる信号配線の断線の検出では、放射線を照射しない場合、断線している信号配線と断線していない信号配線とのデータ差(コントラスト)が小さく、検出が困難な場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、ダーク読取値が小さい場合、適切に断線を検出できない場合があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、一画素から出力される電荷量が少ない場合でも、特定信号配線の断線を検出することができる、放射線検出器、放射線画像撮影システム、断線検出プログラム、及び断線検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線検出器は、照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子と、を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線と、複数の前記特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出手段と、前記電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出手段と、を備える。
【0011】
複数の特定信号配線の各々には、照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から電荷を読み出して電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子と、を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続されている。
【0012】
当該特定信号配線が断線している場合、当該特定信号配線に接続された放射線検知素子及び放射線画像取得用画素からは、放射線に応じて発生した電荷を読み出すことができない。
【0013】
そこで、電荷量検出手段が、複数の特定信号配線の各々に設けられ、かつ、特定信号配線に接続された複数の放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、放射線画像取得用画素のセンサ部に蓄積された電荷量の放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する。さらに、断線検出手段が、電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、特定信号配線の断線を検出する。
【0014】
このように、特定信号配線毎に、電荷量検出手段が設けられており、電荷量検出手段で検出した電荷量に基づいて特定信号配線の断線を検出するため、一画素から出力される電荷量が少ない場合でも、特定信号配線の断線を検出することができる。また、複数の特定信号配線のいずれが断線したのかを検出することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項2に記載の放射線検出器のように、前記放射線検知素子は、前記スイッチング素子が短絡している画素とすることができる。
【0016】
また、本発明は、請求項3に記載の放射線検出器のように、前記放射線検知素子から出力される電気信号の出力を制御する放射線検知用制御信号を前記放射線検知素子に出力する検知素子用制御信号線を備えることができる。
【0017】
また、本発明は、請求項4に記載の放射線検出器のように、前記放射線検知素子から前記特定信号配線に出力される電気信号に基づいて、放射線の照射開始を検知する検知手段と、前記断線検出手段が断線を検出しなかった前記特定信号配線に前記放射線検知素子から出力された電気信号に基づいて、放射線の照射開始を検知するよう前記検知手段を制御する制御手段と、を備えることができる。
【0018】
このように、断線を検出した特定信号配線に接続されている放射線検知素子を放射線の照射開始の検知に使用しないようにすることにより、放射線の照射開始の検知精度を高めることができる。
【0019】
また、本発明は、請求項5に記載の放射線検出器のように、前記電荷量検出手段は、放射線が非照射の場合に前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷に応じて出力された電気信号に基づいて、前記累積値を検出することができる。
また、本発明は、請求項6に記載の放射線検出器のように、前記断線検出手段の検出結果を記憶する記憶手段を備えることができる。
【0020】
また、本発明は、請求項7に記載の放射線検出器のように、前記断線検出手段が断線を検出した前記特定信号配線の本数、及び前記断線検出手段が断線を検出した前記特定信号配線の本数が予め定められた本数以上の場合に前記予め定められた本数以上であること、の少なくともいずれかを報知する報知手段を備えることができる。
【0021】
請求項8に記載の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する照射装置と、前記照射装置から照射された放射線を検出して、検出した放射線に応じた放射線画像を取得する、前記請求項1から前記請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器と、を備えた放射線画像撮影システム。
【0022】
請求項9に記載の断線検出プログラムは、コンピュータを、照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出手段として機能させるためのものである。
【0023】
請求項10に記載の断線検出方法は、照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出工程と、前記電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、一画素から出力される電荷量が少ない場合でも、特定信号配線の断線を検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る放射線検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】本実施の形態に係る放射線検出素子の構成の一例を示す平面図である。
【図4】本実施の形態に係る放射線検出素子の一例の線断面図である。
【図5】本実施の形態に係る放射線検出素子の一例の線断面図である。
【図6】本実施の形態に係る放射線検出器の信号検出回路の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図7】本実施の形態に係る放射線検出器の制御部で実行される、特定信号配線の断線の有無の検出動作の流れの一例を示したフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る放射線検出器における電荷量の累積値の検出動作の流れの一例を示したタイムチャートである。
【図9】その他の形態に係る放射線検知素子の構成の一例を示す平面図である。
【図10】その他の形態に係る放射線検知素子の構成の一例を示す平面図である。
【図11】その他の形態に係る放射線検知素子の構成の一例を示す平面図である。
【図12】その他の形態に係る放射線検知素子の構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0027】
まず、本実施の形態の放射線検出器を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0028】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出素子10を備えた放射線検出器100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線検出器100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えて構成されている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線検出器100に照射される。
【0029】
次に、本実施の形態の放射線検出器100の概略構成について説明する。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出素子10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線検出器100は、間接変換方式の放射線検出素子10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0030】
放射線検出素子10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103が、電荷が発生する。
【0031】
画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう)にマトリクス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
【0032】
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線画像取得用の画素20Aと放射線検知用の画素20Bが予め定められている。図2では、放射線検知用の画素20Bを破線で囲んでいる。放射線画像取得用の画素20Aは、放射線を検出して放射線が示す画像を生成するために用いられ、放射線検知用の画素20Bは、放射線を検知するために用いられる画素であり、電荷の蓄積期間であっても、電荷を出力する画素である(詳細後述)。
【0033】
また、放射線検出素子10には、基板1(図3参照)上に、TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、一方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は1024本ずつ設けられている。
【0034】
さらに、放射線検出素子10には、各信号配線3と並列に共通電極配線25が設けられている。共通電極配線25は、一端及び他端が並列に接続されており、一端が所定のバイアス電圧を供給する電源110に接続されている。センサ部103は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介してバイアス電圧が印加されている。
【0035】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするための制御信号が流れる。このように制御信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
【0036】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がONされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0037】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするための制御信号を出力するスキャン信号制御回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3又は走査配線101を接続する。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0038】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路(図6参照)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅し、ADC(アナログ・デジタル変換器)によりデジタル信号へ変換する(詳細後述)。
【0039】
この信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104には、信号検出回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する制御部106が接続されている。
【0040】
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROM及びRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。また、制御部106は、上記所定の処理が施された画像データに対して、各放射線検知用の画素20Bの画像データを補間する処理(補間処理)を行って、照射された放射線が示す画像を生成する。すなわち、制御部106は、各放射線検知用の画素20Bの画像データを、上記所定の処理が施された画像データに基づいて補間することで、照射された放射線が示す画像を生成する。
【0041】
図3には、本実施形態に係る間接変換方式の放射線検出素子10の構造を示す平面図が示されており、図4には、図3の放射線画像取得用の画素20AのA−A線断面図が示されており、図5には、図3の放射線検知用の画素20BのB−B線断面図が示されている。
【0042】
図4に示すように、放射線検出素子10の画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図3参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0043】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0044】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0045】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図3参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0046】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0047】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0048】
本実施の形態に係る放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0049】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0050】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0051】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bをと電気的に接続する。
【0052】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出素子10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0053】
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、上部電極22に対応する一部で開口27Aを持ち、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0054】
この層間絶縁膜23上には、共通電極配線25がAl若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。共通電極配線25は、開口27A付近にコンタクトパッド27が形成され、層間絶縁膜23の開口27Aを介して上部電極22と電気的に接続される。
【0055】
一方、図5に示すように、放射線検出素子10の放射線検知用の画素20Bでは、ソース電極9とドレイン電極13とが接触するようにTFTスイッチ4が形成されている。すなわち、画素20Bでは、TFTスイッチ4のソースとドレインが短絡している。これにより、画素20Bでは、下部電極11に収集された電荷がTFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらず信号配線3に流れ出す。
【0056】
このように形成された放射線検出素子10には、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、その表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータが貼り付けられる。
【0057】
次に、本実施の形態の信号検出回路105の概略構成について説明する。図6は、本実施の形態の信号検出回路105の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50、及びADC(アナログ・デジタル変換器)54を備えて構成されている。なお、図6では、図示を省略したが増幅回路50は、信号配線3毎に設けられている。すなわち、信号検出回路105は、放射線検出素子10の信号配線3の数と同じ数の、複数の増幅回路50を備えて構成されている。
【0058】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0059】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4により読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0060】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0061】
ADC54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。ADC54は、デジタル信号に変換した電気信号を制御部106に順次出力する。
【0062】
なお、本実施の形態のADC54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのADC54を備えている。
【0063】
本実施の形態では、放射線検知用の画素20Bが接続された信号配線3(以下、特定信号配線3という。図2の場合、D2、D6の少なくとも一方、例えば、D2)の電気信号を信号検出回路105の増幅回路50で検出し、制御部106が、信号検出回路105により変換されたデジタル信号の値を予め定めた放射線検知用の閾値と比較し、閾値以上となった否かにより放射線が照射されたか否かの検知を行うようにしており、制御装置202から制御信号を必要としない、いわゆる同期フリーとして構成している。なお、制御部106による放射線が照射されたか否かの検知は、放射線検知用の閾値と比較することに限らず、例えば、検知回数等、予め設定した条件に基づいて検知するようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施の形態で電気信号の「検出」とは、電気信号をサンプリングすることを示している。
【0065】
次に、図7及び図8を参照して、上記構成の放射線検出器100の画素20Bが接続されている特定信号配線3(図2では、D2及びD6)及びその他の信号配線3(図2では、D1、D3〜D5、及びD7、D8)の断線の有無の検出を行う断線検出動作の流れについて説明する。なお、以下では、具体的一例として、特定信号配線3(D6)が断線している場合(図2参照)について説明する。図7は、本実施の形態の放射線検出器100の制御部106で実行される、断線検出動作の流れの一例を示したフローチャートである。また、図8は、電荷量の累積値の検出動作の流れの一例を示したタイムチャートである。
【0066】
なお、本実施の形態では、断線検出動作は、放射線検出器100に放射線が照射されていない状態(例えば、放射線検出器100の電源投入時、電源オフ時、放射線画像撮影のための放射線の照射開始前等)で行っている。
【0067】
図7に示した断線検出動作は、制御部106のRAM等に記憶されている制御プログラムがCPUで処理されることにより実行される。なお、当該制御プログラムは、予め制御部106に記憶させておいてもよいし、外部から取得するようにしてもよい。断線検出動作では、まず、電源110から、共通電極配線25を介して画素20にバイアス電圧を印加させる。次のステップS102では、所定時間(フレーム周期Tf)が経過したか否かを判断する。経過していない場合は、否定されて待機状態になる。一方、経過した場合は、肯定されてステップS104へ進む。
【0068】
バイアス電圧が印加されることにより、各画素20には、センサ部(フォトダイオード)103のリーク電流がオフセット値として充電される。すなわち、オフセット電荷が蓄積される。この際、オフセット電荷量をQo、フォトダイオードリーク電流をIpd、及びフレーム周期をTfとすると、オフセット電荷量Qoは、以下の(1)式で表される。
【0069】
Qo=Ipd×Tf ・・・(1)
【0070】
ステップS104では、画素20に蓄積されたオフセット電荷量Qoの累積値を検出する(図8参照)。まず、増幅回路50のS/HスイッチSWをサンプリング期間Tsの間、オン状態にさせる。次に、走査配線101(G1〜Gn、本実施の形態では、具体的一例としてn=8)に順次、周期1Hの制御信号を出力させて、走査配線101毎に順次、各画素20のTFTスイッチ4をオン状態にさせて、オフセット電荷(オフセット電荷量Qo)を読み出す。なお、画素20Bは、TFTスイッチ4のソースとドレインが短絡しているため、走査配線101の制御信号の状態(VghまたはVgl)にかかわらず、オフセット電荷が読み出される。
【0071】
図8には、断線していない信号配線3(D5)に接続された増幅回路50のアンプ(チャージアンプCA)52の出力(信号配線3(D5)に接続された画素20から読み出したオフセット電荷)を示す。また、同様に、断線している特定信号配線3(D6)に接続された増幅回路50のアンプ52の出力を示す。さらに、比較のため、特定信号配線3(D6)が断線してない場合の、特定信号配線3(D6)に接続された増幅回路50のアンプ52の出力を同様に示す。
【0072】
信号配線3(D5)に接続されたアンプ52の出力(図8参照)に示されるように、オフセット電荷量Qoは、画素20のTFTスイッチ4のゲートが順次オン状態になる毎に、累積(積分)されていく。一方、特定信号配線3(D6)が断線しているため、画素20から増幅回路50に電気信号(オフセット電荷)が入力されない。従って、断線している特定信号配線3(D6)に接続されたアンプ52の出力(図8参照)に示されるようにアンプ52は、オフセット電荷量Qoが変化せず、0(または、0と見なせる値)となる。なお、特定信号配線3(D6)が断線していない場合は、まず、特定信号配線3(D6)に接続されている全ての画素20Bに蓄積されていたオフセット電荷量Qoが出力及び累積され、その後、順次、画素20AのTFTスイッチ4のゲートがオンされて、画素20Aのゲートに蓄積されていたオフセット電荷量Qoが累積される(図8参照)。
【0073】
次のステップS106では、オフセット電荷量Qoの累積値が、予め定められた閾値(図8参照)以上であるか否かを判断する。本実施の形態では、ノイズの影響等を考慮して、閾値を予め定めておき、オフセット電荷量Qoの累積値が当該閾以上となった場合は、断線していないと判断し、閾値未満となった場合は、断線していると判断する。
【0074】
オフセット電荷量Qoの累積値が閾値以上の場合は、断線していないと判断し、肯定されてステップS110へ進む。一方、オフセット電荷量Qoの累積値が閾値未満の場合は、断線していると判断し、否定されてステップS108へ進み、断線していると判断した信号配線3がいずれであるかを図示を省略した記憶部(例えば、制御部106に備えられている記憶部)に記憶した後、ステップS110へ進む。当該処理により、本実施の形態では、特定信号配線3(D6)が記憶された状態になる。
【0075】
ステップS110では、全部の信号配線3に対してオフセット電荷量Qoの累積値と閾値との比較を行ったか否か判断する。本実施の形態では、信号配線3(D1)〜信号配線3(D8)まで8本の信号配線3について終了したか否かを判断する。未だオフセット電荷量Qoの累積値と閾値との比較を行っていない信号配線3がある場合は、否定されてステップS100に戻り、上述の処理を繰り返す。一方、全ての信号配線3について終了している場合は、肯定されてステップS112へ進む。
【0076】
ステップS112では、断線が検出された特定信号配線3の数が所定本数以上であるか否かを判断する。特定信号配線3が断線している場合、当該特定信号配線3に接続されている放射線検知用の画素20Bで放射線に応じて発生した電荷を増幅回路50で検出することができないため、放射線の照射開始を適切に検知できない場合がある。そのため、予め定められた所定本数以上、特定信号配線3が断線している場合は、その放射線検出器100(放射線検出素子10)を使用するのは、好ましくない。そのため、本実施の形態では、断線している特定信号配線3の本数が所定本数以上の場合は、ステップS112で肯定されてステップS114へ進み、特定信号配線3に断線が生じている旨を報知し、放射線検出器100の使用を禁止させるようにした後、本処理を終了する。一方、断線している特定信号配線3の本数が所定本数未満の場合は、本処理を終了する。なお、使用を禁止させるか否かの判断基準となる上記所定本数は、放射線検出器100の仕様や特定信号配線3の全数等により予め定めておけばよい。また、報知の仕方については、特に限定されないが、例えば、放射線検出器100の外部にサービスコールを出力したり、放射線検出器100に設けたLED等の発光部を発光させたりするようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出器100では、画素20にバイアス電圧を印加して画素20のセンサ部(フォトダイオード)103のリーク電流によるオフセット電荷を蓄積させ、順次、画素20のTFTスイッチ4のゲートをオンさせて蓄積されているオフセット電荷に応じた電気信号を出力させる。当該電気信号に基づいて、オフセット電荷量Qoの累積値を検出し、制御部106は、検出した累積値と断線検出用に予め定められた閾値とを比較し、累積値が閾値未満の場合は信号配線3が断線していることを検出する。
【0078】
このように、本実施の形態では、画素20毎のオフセット電荷量Qoの累積値を検出して閾値と比較しているため、非常に小さい(特に、放射線が照射された場合に比べて)オフセット電荷量Qoであっても、信号配線3の断線を検出することができる。従って、一画素20から出力される電荷量が少ない場合でも、特定信号配線3の断線を検出することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、小さいオフセット電荷量Qoを用いて特定信号配線3の断線を検出することができるため、撮影される放射線画像に線欠陥が生じるのを防止することができる。これにより、放射線画像の再撮影を抑制することができ、被験者の不要な被曝を抑制することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、オフセット電荷量Qoを用いて断線が検出できるため、放射線を照射する必要がない。これにより、放射線を照射させるための技師等のユーザを必要としないため、自動的に断線の検出を行うことができる。
【0081】
また、本実施の形態の放射線検出器100では、放射線照射装置204から放射線を照射させて放射線画像の撮影を行う際、信号検出回路105の増幅回路50で特定信号配線3に接続された放射線検知用の画素20Bから出力された電気信号(電荷量に応じた電気信号)を検出し、制御部106が検出された電気信号(電荷量に応じた電気信号)を予め定めた放射線検知用の閾値と比較し、閾値以上となった否かにより放射線の照射開始を検知する。この際、本実施の形態では、上述の断線検出処理で断線が検出された特定信号配線3に接続された画素20Bは、放射線の照射開始の検知に用いないようにしている。すなわち、記憶部に記憶されている断線が検出された特定信号配線3を除いた他の特定信号配線3を用いて画素20Bから出力された電気信号を検出する。従って、放射線の照射開始の検知精度を高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態の放射線検出器100では、放射線画像の取得後に、記憶部に記憶されている断線が検出された信号配線3に接続されている画素20に対して補間処理を行う。従って、撮影された放射線画像の精度を高めることができる。
【0083】
なお、上記各実施の形態では、ソースとドレインが短絡されたTFTスイッチ4を備えた放射線検知用の画素20Bを用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、図9に示すように、ドレイン電極13の途中から接続配線82を形成して信号配線3と接続するようにしてもよい。この場合も、TFTスイッチ4のソースとドレインは実質的に短絡していることとなる。上記実施の形態や図9に示すように、TFTスイッチ4のソースとドレインを短絡させる場合、図10に示すようにゲート電極2を走査配線101から離して形成するようにしてもよい。
【0084】
また、例えば、図11に示すように、放射線検知用の画素20Bでは、接続配線82を形成して接続配線82及びコンタクトホール17を介して、センサ部103と信号配線3とを接続し、ドレイン電極13とコンタクトホール17の間を電気的に切断してもよい。
【0085】
なお、本実施の形態では、全ての信号配線3の断線検出を行っているがこれに限らず、少なくとも、特定信号配線3の断線検出を行えばよい。また、上述の実施の形態では、信号配線3毎にTFTスイッチ4のゲートを順次オンさせているがこれに限らず、同時に複数の画素20のTFTスイッチ4のゲートをオンさせるように制御してもよい。
【0086】
また、オフセット電荷量Qoを累積させる上述のサンプリング期間Ts、すなわち、累積するオフセット電荷量Qoの数は、本実施の形態に限定されず、放射線検出器100(放射線検出素子10)の仕様等に応じて、予め定めておけばよい。
【0087】
また、本実施の形態の放射線検出器100の放射線検出素子10(図2参照)では、放射線検知用の画素20Bが一部の信号配線3に接続されているがこれに限らず、全ての信号配線3に接続される位置に放射線検知用の画素20Bを設けるようにしてもよく、放射線検知用の画素20Bが設けられている位置は特に限定されない。
【0088】
その他、本実施の形態で説明した放射線検出器100、放射線検出素子10等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0089】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、放射線検知用の画素20BとしてTFTスイッチ4が短絡された画素を用いる場合について説明したが、TFTスイッチ4が短絡していない画素を放射線検知用の画素20Bとして用いてもよい。この場合の放射線検出器の全体構成の一例の構成図を図12に示す。図12に示すように、この場合の放射線検出器100では、走査配線101とは別に、走査配線101と並列に画素20Bを制御するための特定走査配線108が設けられており、画素20BのTFTスイッチ4の制御は、画素20AのTFTスイッチ4の制御とは独立して、制御信号出力回路190を介して制御部106により制御される。このように、TFTスイッチ4の制御が画素20Aと画素20Bとで異なる他は、上述の実施の形態と同様であるため、同様に、信号配線3に接続された画素20のオフセット電荷量Qoを累積した累積値と閾値とを比較することにより信号配線3の断線を検出することができる。なお、この場合においては、走査配線101のみを用いて画素20AのTFTスイッチ4のゲートを順次オンさせてオフセット電荷を出力させてもよいし、さらに特定走査配線108を用いて画素20BのTFTスイッチ4のゲートを順次オンさせてオフセット電荷を出力させてもよい。また、この場合の画素20Bは、放射線検出素子10の所定の画素20を用いてもよいし、放射線検出素子10内の画素20とは異なる画素を設けてもよい。
【符号の説明】
【0091】
3 信号配線
4 TFTスイッチ
10 放射線検出素子
20 画素、20A 放射線画像取得用の画素、20B 放射線検知用の画素
50 増幅回路
52 アンプ
100 放射線検出器
103 センサ部
105 信号検出回路
106 制御部
200 放射線画像撮影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線と、
複数の前記特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出手段と、
前記電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出手段と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記放射線検知素子は、前記スイッチング素子が短絡している画素である、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記放射線検知素子から出力される電気信号の出力を制御する放射線検知用制御信号を前記放射線検知素子に出力する検知素子用制御信号線を備えた、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記放射線検知素子から前記特定信号配線に出力される電気信号に基づいて、放射線の照射開始を検知する検知手段と、
前記断線検出手段が断線を検出しなかった前記特定信号配線に前記放射線検知素子から出力された電気信号に基づいて、放射線の照射開始を検知するよう前記検知手段を制御する制御手段と、
を備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記電荷量検出手段は、放射線が非照射の場合に前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷に応じて出力された電気信号に基づいて、前記累積値を検出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記断線検出手段の検出結果を記憶する記憶手段を備えた、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記断線検出手段が断線を検出した前記特定信号配線の本数、及び前記断線検出手段が断線を検出した前記特定信号配線の本数が予め定められた本数以上の場合に前記予め定められた本数以上であること、の少なくともいずれかを報知する報知手段を備えた、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
放射線を照射する照射装置と、
前記照射装置から照射された放射線を検出して、検出した放射線に応じた放射線画像を取得する、前記請求項1から前記請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項9】
コンピュータを、
照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出手段として機能させるための断線検出プログラム。
【請求項10】
照射された放射線に応じて発生した電荷に応じた電気信号を出力する放射線検知素子と、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積するセンサ部及び制御信号線から出力された画像取得用制御信号に基づいて前記センサ部から前記電荷を読み出して前記電荷に応じた電気信号を出力するスイッチング素子を備えた複数の放射線画像取得用画素と、が接続された複数の特定信号配線の各々に設けられ、かつ、前記特定信号配線に接続された複数の前記放射線画像取得用画素から出力された電気信号に基づいて、前記放射線画像取得用画素の前記センサ部に蓄積された電荷量の前記放射線画像取得用画素の数に応じた累積値を検出する電荷量検出工程と、
前記電荷量検出手段で検出された電荷量と、予め定められた電荷量とを比較した比較結果に基づいて、前記特定信号配線の断線を検出する断線検出工程と、
を備えた放射線検出器の断線検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−16910(P2013−16910A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146444(P2011−146444)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】