放射線画像撮影装置
【課題】圧縮処理に要する時間の短縮が可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1において、内部メモリ(RAM領域23a)には圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が格納され、外部メモリ(記憶手段40)には圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納され、複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮用FPGA23は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって圧縮処理を行うことを特徴とする。
【解決手段】放射線画像撮影装置1において、内部メモリ(RAM領域23a)には圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が格納され、外部メモリ(記憶手段40)には圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納され、複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮用FPGA23は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって圧縮処理を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、二次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このような放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0004】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納して持ち運びできるようにした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0005】
ところで、このような放射線画像撮影装置では、複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部が形成されるが、その際、放射線検出素子の数(すなわち画素数)は、通常、数百万〜数千万画素或いはそれ以上の画素数にのぼる。そのため、各放射線検出素子から読み出された画像データを外部装置に圧縮せずに転送すると、転送時間が長くなる。また、バッテリが内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置では、画像データの転送時間が長くなると、転送の際に消費される電力が大きくなり、バッテリの消耗につながる。
【0006】
そこで、例えば特許文献4や特許文献5に記載されているように、読み出された画像データは、通常、可逆圧縮(ロスレス圧縮ともいう。)や非可逆圧縮(不可逆圧縮ともいう。)などのデータ圧縮法で圧縮されて、コンソールやサーバなどの外部装置に転送される。
【0007】
そして、例えば、放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合には、画像データを圧縮するデータ圧縮法としては、一般的に、圧縮により画像データが有する情報の一部が失われてしまう非可逆圧縮の手法よりも圧縮前の画像データと復元後の画像データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の手法が採用されることが好ましいと考えられている。
【0008】
画像データを可逆圧縮する手法としては、例えば、ハフマン符号化等の手法、すなわち、圧縮テーブル(符号化テーブル)を参照して、画像データに対して対応する圧縮コードを割り当てる手法を用いることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開2000−275350号公報
【特許文献5】特開2005−287927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来、圧縮テーブルを参照して画像データを圧縮する放射線画像撮影装置において、圧縮テーブルは、例えば図20に示すように、放射線画像撮影装置の制御手段22に接続された記憶手段40に格納されている。そして、制御手段22が備える圧縮用FPGA(Field Programmable Gate Array)23内の圧縮制御部46が、制御手段22に接続された記憶手段40に格納されている圧縮テーブルTを参照して、画像データに対して対応する圧縮コードを割り当てるように構成されている。
しかしながら、このような構成の場合、圧縮制御部46が、制御手段22に外付けされた記憶手段40へとアクセスしなければならない分、圧縮処理に時間が掛かるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、圧縮処理に要する時間の短縮が可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記放射線検出素子から前記信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して画像データとして出力する読み出し回路と、
複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段と、
前記圧縮手段の外部に設けられた外部メモリと、
前記圧縮手段の内部に設けられた内部メモリと、を備え、
前記内部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが格納され、
前記外部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが格納され、
前記圧縮手段は、作成した前記差分データごとに、当該差分データに基づいて前記第1圧縮テーブルおよび前記第2圧縮テーブルのうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって前記圧縮処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが内部メモリに格納され、圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが外部メモリに格納されているので、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、外部メモリへとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては外部メモリへのアクセス時間や外部メモリとのアクセスシーケンスが不要になるので、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0014】
また、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となるので、圧縮処理時の消費電力を低減させることが可能となる。特に、放射線画像撮影装置がバッテリ内蔵型である場合、バッテリの電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置の使用効率を向上させることが可能となる。
【0015】
また、第1圧縮テーブルは、圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶しているので、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、例えば内部メモリの記憶容量に制限があり、全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを内部メモリに格納できない場合であっても、第1圧縮テーブルは内部メモリに格納することが可能となる。
また、第2圧縮テーブルは、圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶しているので、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを外部メモリに格納する場合と比較して、外部メモリの記憶容量を圧縮テーブルの格納により消費してしまうことを抑制することが可能となる。
【0016】
また、圧縮処理のための圧縮コードの一部を記憶する第1圧縮テーブルが内部メモリに格納されているので、外部メモリに、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを格納する必要がなくなり、外部メモリ自体のメモリ容量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子やTFTなどの構成を示す拡大図である。
【図5】図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【図6】COFやPCB基板などが取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各読み出しICで放射線検出素子から一斉に読み出された画像データがバッファメモリに蓄積された後並べ替えられて記憶手段に送信される状態を説明する図である。
【図10】制御手段および記憶手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図11】(A)は信号線方向に差分をとる場合を説明する図、(B)は走査線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図12】レジスタ部の構成、および本実施形態における同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データの作成の仕方を説明する図である。
【図13】走査線のラインL1に接続された各放射線検出素子から読み出された各画像データについて、信号線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図14】(A)〜(C)1つのバッファレジスタを用いて同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データを作成する仕方を説明する図である。
【図15】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図16】本実施形態に係る放射線画像撮影装置による圧縮処理について説明するためのフローチャートである。
【図17】(A)は従来の場合における圧縮処理に要する時間を説明するための図、(B)は本実施形態の場合の一例における圧縮処理に要する時間を説明するための図である。
【図18】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて走査線方向に差分をとり作成した差分データの分布を示す図である。
【図19】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて信号線方向に差分を取り作成した差分データの分布を示す図である。
【図20】従来の放射線画像撮影装置における、制御手段および記憶手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではなく、また、本発明は図示例に限定されるものでもない。
【0019】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して照射し、放射線検出素子で電気信号である画像データに変換する、いわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、放射線画像撮影装置が可搬型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0020】
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、いわゆるフラットパネルディテクタ(以下「FPD」という。)を可搬型に構成したカセッテ型FPDであり、放射線画像撮影に用いられ、放射線を検出して当該放射線の線量に応じた画像データを生成して取得するものである。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4などが収納されて構成されている。
【0021】
筐体2は、少なくとも放射線入射面Rが放射線を透過するカーボン板やプラスチックなどの材料で形成されている。
なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわゆる弁当箱型である場合が示されているが、これに限定されることはなく、例えば、筐体2を一体的に角筒状に形成した、いわゆるモノコック型とすることも可能である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態においては、筐体2の側面部分に、電源スイッチ36や、LED等で構成されたインジケータ37や、バッテリ41(後述する図7参照)の交換等のために開閉可能とされた蓋部材38などが配置されている。
また、本実施形態においては、蓋部材38の側面部に、画像データ等を、コンソール58(後述する図15参照)等の外部装置に無線で転送するための転送手段であるアンテナ装置39が埋め込まれている。なお、画像データ等を外部装置に有線方式で転送するように構成することも可能であり、その場合は、例えば、転送手段として、ケーブル等を差し込むなどして接続するための接続端子等が放射線画像撮影装置1の側面部等に設けられる。
【0023】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34などが取り付けられている。なお、本実施形態において、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
【0024】
シンチレータ3は、基板4の検出部P(後述)に貼り合わされている。本実施形態において、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0025】
本実施形態において、基板4は、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0026】
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0027】
本実施形態においては、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図3や図3の拡大図である図4に示すように、スイッチ手段である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」という。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0028】
そして、TFT8は、走査駆動手段15(後述)により、接続された走査線5にオン電圧が印加されてゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を当該放射線検出素子7から信号線6に放出させるように構成されている。
また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加されてゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内で発生した電荷を当該放射線検出素子7内に保持して蓄積させるように構成されている。
【0029】
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【0030】
図5に示すように、基板4の面4a上には、AlやCrなどからなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
【0031】
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
【0032】
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上にゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCrなどが積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCrやMoなどからなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。なお、補助電極72は必ずしも設けられなくてもよい。
【0033】
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
【0034】
放射線画像撮影装置1に対して照射された放射線が筐体2の放射線入射面Rから入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
【0035】
また、p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。本実施形態においては、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態においては、放射線検出素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
【0036】
放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
【0037】
図3や図4に示すように、本実施形態においては、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、図3に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0038】
また、本実施形態において、各走査線5や各信号線6やバイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0039】
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0040】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は、検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0041】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極78にそれぞれバイアス電圧を印加する。
また、バイアス電源14は、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によって、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるように構成されている。
【0042】
本実施形態では、バイアス線9の結線10に、結線10(バイアス線9)を流れる電流の電流量を検出する電流検出手段43が設けられている。そして、前述したように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると各放射線検出素子7のi層76(図5参照)内で電子正孔対が発生し、それがバイアス線9や結線10に流れ出して結線10等に電流が流れるが、電流検出手段43は、その結線10を流れる電流の増減を検出して放射線の照射の開始や終了を検出できるようになっている。なお、電流検出手段43は必ずしも設けられなくてもよい。
【0043】
図7や図8に示すように、本実施形態では、放射線検出素子7のp層77側(図5参照)に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極78にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極74側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0044】
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15(後述)のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0045】
本実施形態において、走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態において、ゲートドライバ15bには、前述したIC12aが複数並設されて形成されている。
【0046】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には1本の信号線6に1個ずつ読み出し回路17が設けられている。
【0047】
読み出しIC16は、主に、増幅回路18や相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19などからなる読み出し回路17と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0048】
本実施形態において、増幅回路18は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列に接続されたコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cとで構成されている。また、増幅回路18には、増幅回路18に電力を供給するための電源供給部18dが接続されている。
【0049】
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるように構成されている。
なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加される。
【0050】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によってオン/オフが制御されるように構成されている。
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介して信号読み出し用のオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるように構成されている。増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換するようになっている。
【0051】
また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、増幅回路18がリセットされるように構成されている。なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
【0052】
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、各放射線検出素子7から電荷が読み出され、増幅回路18で電荷電圧変換されて出力された電圧値は、相関二重サンプリング回路19でサンプリング処理されて画像データとして下流側に出力される。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データは、アナログマルチプレクサ21(図7参照)に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて記憶手段40の画像データ記憶領域40a(後述する図10参照)に出力されて順次保存される。
【0053】
なお、本実施形態において、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の際には、オン電圧が印加される走査線5の各ラインL1〜Lxが順次切り替えられながら、上記のような各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるようになっている。
【0054】
ここで、本実施形態においては、128本の信号線6を1つの読み出しIC16で処理するように構成されている。
すなわち、1つの読み出しIC16は、主に、各信号線6に対応して128個の読み出し回路17(すなわち、増幅回路18や相関二重サンプリング回路19など)と、1つのアナログマルチプレクサ21と、1つのA/D変換器20とで形成されている。
【0055】
そして、信号線6の本数が、例えば2048本である場合、2048÷128=16個の読み出しIC16が並設されて読み出し部が形成されている。
なお、以下、1つの読み出しIC16内に形成された読み出し回路17の数、すなわち1つの読み出しIC16に接続される信号線6の本数が128であり、信号線6の総本数が2048本であることを前提に説明するが、本発明がこの場合に限定されないことは言うまでもない。
【0056】
図9に示すように、画像データの読み出し処理の際に、例えば走査線5のラインL1にオン電圧が印加されると、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から一斉に画像データが読み出されて、パラレルに各読み出しIC16に送られる。
【0057】
そして、各読み出しIC16中の各読み出し回路17で電荷電圧変換等が行われ、パラレルに送信されてきた128個の画像データを、各読み出しIC16中のアナログマルチプレクサ21でA/D変換器20に順次シリアル転送し、デジタル化された画像データがA/D変換器20から一旦バッファメモリ45に蓄積されるように構成されている。
【0058】
すなわち、画素位置(n,m)の画素に対応する放射線検出素子7を放射線検出素子(n,m)と表し、放射線検出素子(n,m)から読み出された画像データを画像データD(n,m)と表すと、各読み出しIC16から、まず、画像データD(1,1)、D(1,129)、D(1,257)、…、D(1,1921)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積され、続いて、画像データD(1,2)、D(1,130)、D(1,258)、…、D(1,1922)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積される。
【0059】
そして、バッファメモリ45に、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)が蓄積されると、各画像データが画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順に並べ替えられて、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに順次送信されて保存されるように構成されている。
【0060】
また、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)の読み出し処理が終了すると、続いて、オン電圧が印加される走査線5のラインがL2に切り替えられる。そして、同様にして各画像データD(2,1)〜D(2,2048)が各読み出しIC16ごとにバッファメモリ45に送信されて並べ替えられた後、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに順次送信されて保存される。
【0061】
そして、この読み出し処理と記憶手段40への保存処理とが走査線5の各ラインL1〜Lxごとに順次繰り返されて、全ての放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるように構成されている。
【0062】
なお、この画像データの並べ替えの処理は、放射線画像撮影装置1から画像データが転送される外部装置がどのような装置であっても、通常、画像データを画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順番で転送すれば対応することができるため、画像データの記憶手段40への保存の段階で、汎用的に画像データを上記の順番に並べ替えて保存するための処理である。
【0063】
したがって、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを転送する順番等を取り決めておくことができる場合には、その取り決めに従って画像データを並べ替えるように構成することが可能である。
【0064】
また、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを、例えば各読み出しIC16から出力される順に画像データD(1,1)、D(1,129)、…、D(1,1921)、D(1,2)、D(1,130)、…、D(1,1922)、…の順番で転送するように取り決めておけば、各読み出しIC16から出力された画像データを、バッファメモリ45を介さずに直接記憶手段40に順次送信して保存することも可能となる。
【0065】
さらに、上記のような画像データの並べ替えを行う場合、各画像データの記憶手段40への保存の際ではなく、各画像データを記憶手段40から読み出す際に画像データの並べ替えを行うように構成することも可能である。
【0066】
なお、本実施形態では、上記のように各放射線検出素子7から読み出した各画像データを一旦記憶手段40に保存した後、放射線画像撮影装置1から外部装置に転送する際に、画像データから差分データを作成し、作成した差分データに対して圧縮処理を施す場合について説明するが、各放射線検出素子7から読み出された各画像データを、記憶手段40に保存せずに、或いは記憶手段40への保存と並行して別処理として、画像データから差分データを作成し、作成した差分データに対して圧縮処理を施して直接転送するように構成することも可能である。
【0067】
制御手段22は、図10に示すように、CPU(Central Processing Unit)22a、ROM(Read Only Memory)22b、RAM(Random Access Memory)22c等を備えるコンピュータや、FPGAなどにより構成されている。
なお、本実施形態において、制御手段22は、FPGAとして、図10に示す圧縮用FPGA23の他に、図示を省略するが、画像データを取得する処理を行う画像データ取得用FPGA等を備えている。
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。
【0068】
図7や図10などに示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)などで構成される記憶手段40が接続されている。
記憶手段40は、図10に示すように、各放射線検出素子7から読み出された各画像データを保存するための画像データ記憶領域40aや、第2圧縮テーブルT2(後述)等を保存するためのテーブル記憶領域40bなどを有している。
【0069】
また、本実施形態において、制御手段22には、図7に示すように、アンテナ装置39が接続されており、さらに、検出部P、走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段40、バイアス電源14等の各機能部に電力を供給するためのバッテリ41が接続されている。このバッテリ41には、クレードル55(後述する図15参照)等の充電装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ41を充電する際の接続端子42が取り付けられている。
【0070】
前述したように、制御手段22(具体的には、制御部22が備える画像データ取得用FPGA)は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御したり、読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19にパルス信号を送信して、そのサンプルホールド機能のオン/オフを制御する等の各種の処理を実行するように構成されている。
【0071】
また、制御手段22(具体的には、制御部22が備える画像データ取得用FPGA)は、各放射線検出素子7のリセット処理時や放射線画像撮影後の各放射線検出素子7からの画像データの読み出し時に、走査駆動手段15に対して、走査駆動手段15から各走査線5を介して各TFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えさせるためのパルス信号を送信するように構成されている。
【0072】
制御手段22が備える圧縮用FPGA23は、本発明の圧縮手段であり、図10に示すように、レジスタ部44や圧縮制御部46などを備えている。
また、圧縮用FPGA23は、図10に示すように、第1圧縮テーブルT1(後述)等を保存するためのRAM領域23aを有している。
【0073】
なお、本実施形態では、レジスタ部44には2つのバッファレジスタ(バッファレジスタ44aおよびバッファレジスタ44b)が設けられているが、これに限定されることはなく、例えば、後述するように1つのバッファレジスタを設けるように構成することも可能であるし、3つ以上のバッファレジスタを設けるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、圧縮用FPGA23におけるRAM領域23aとは別の領域にレジスタ部44が設けられているが、これに限定されることはなく、例えば、RAM領域23aにレジスタ部44を設けるように構成することも可能である。
【0074】
<圧縮処理>
以下、圧縮手段としての圧縮用FPGA23における圧縮処理について説明する。
【0075】
なお、本実施形態では、画像データの差分データに圧縮処理を施した後、そのまま記憶手段40に保存せずにアンテナ装置39から無線方式で外部装置に転送する場合について説明するが、圧縮された差分データを放射線画像撮影装置1の記憶手段40に保存するように構成することも可能である。
【0076】
まず、画像データ同士の差分について説明する。
本実施形態において、画像データは、旧来の銀塩フィルムを用いたアナログ画像に匹敵する程度に細かく階調区分されているため、各画像データがとり得るデータ値のダイナミックレンジ(dynamic range)が非常に大きくなる。
例えば、画像データを216(=65536)階調とした場合、画像データは0〜65535の間の各データ値をとり得る。そのため、圧縮処理の手法として、例えば後述するようにハフマン符号化等の手法を用いた場合、画像データの圧縮率が必ずしも良好な値にならない可能性がある。
【0077】
一方、放射線画像の場合、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出すると、差分の分布は比較的狭い範囲の分布になることが知られている。
そこで、本実施形態においては、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うこととする。
【0078】
なお、本実施形態では、信号線6の延在方向(以下「信号線方向」という。)の各画像データ、すなわち同じ信号線6に接続された各放射線検出素子7から出力された各画像データ(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…(図11(a)参照)に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成するが、これに限定されることはなく、例えば、走査線5の延在方向(以下「走査線方向」という。)の各画像データ、すなわち同じ走査線5に接続された各放射線検出素子7から出力された各画像データ(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…(図11(b)参照)に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0079】
具体的には、本実施形態において、レジスタ部44には、図10や図12に示すように、少なくとも2つのバッファレジスタ44a,44bが設けられており、また、圧縮された各差分データを、アンテナ装置39を介して外部装置に転送する前に一時的に格納するバッファメモリ44cが設けられている。
【0080】
そして、差分データに対する圧縮処理時には、圧縮制御部46が、記憶手段40の画像データ記憶領域40aから、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…、D(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0081】
その後、圧縮制御部46が、バッファレジスタの44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(n+1,1)、ΔD(n+1,2)、ΔD(n+1,3)、ΔD(n+1,4)、…を作成することで、同じ信号線6に接続された信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成するように構成されている。
【0082】
その際、差分データを作成するために、記憶手段40から毎回隣接する2ライン分の走査線方向に並ぶ各画像データを読み出すように構成すると読み出し制御が面倒なものとなる。
【0083】
そのため、本実施形態において、圧縮制御部46は、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データ同士の差分データを作成すると、各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、空になったバッファレジスタ44bに次に隣接する走査線5のラインLn+2の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…を蓄積させる。
【0084】
そして、差分データΔD(n+2,1)、ΔD(n+2,2)、ΔD(n+2,3)、ΔD(n+2,4)、…を作成すると、各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、バッファレジスタ44bに各画像データD(n+3,1)、D(n+3,2)、D(n+3,3)、D(n+3,4)、…を蓄積させる。
このようにして、各画像データをバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し替えながらバッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出する処理を繰り返して差分データを順次作成していくように構成されている。
【0085】
上記のように構成する場合、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するための基準となるデータが必要となる。そのため、本実施形態においては、予め設定された基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が、RAM領域23a等に予め保存されていることとする。
【0086】
そして、圧縮制御部46は、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成する際には、図13に示すように、RAM領域23a等から読み出した基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させ、記憶手段40から読み出した走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…をバッファレジスタ44bに蓄積させて、その差分を算出して差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するように構成されている。
【0087】
その際、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…の各値は、同一の値に設定することも可能であるし、また、互いに異なる値に設定することも可能であり、予め適宜設定される。
【0088】
なお、レジスタ部44にバッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも上記と同様の信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成するように構成することが可能である。
【0089】
まず、圧縮制御部46は、図14(A)、図14(B)、図14(C)に示すように、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データのうち、走査線5のラインLnの走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0090】
この状態で、圧縮制御部46は、隣接する走査線5のラインLn+1の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…を記憶手段40から順次読み出してきて、それぞれ対応する各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…と順次置換しながらバッファレジスタ44aに蓄積させるが、その際、対応する画像データ同士の差分データを作成してから置換するように構成する。
【0091】
このように構成すれば、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、上記と同様にして、同じ信号線6に接続された隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成することが可能となる。
【0092】
また、このようにして差分データが作成され置換されながらバッファレジスタ44aに蓄積された各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…が、今度は、続いて記憶手段40から順次読み出された各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…に順次差分データが作成されながら置換される。そのため、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、各差分データの作成処理を連続して容易に行うことが可能となる。
【0093】
次に、差分データに対する圧縮処理について説明する。
本実施形態においては、前述したように、作成した差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。
【0094】
ここで、放射線画像撮影装置1により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合等には、差分データに対する圧縮処理の手法として、圧縮前の差分データと復元後の差分データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の手法を採用することが好ましい。
【0095】
本実施形態においては、可逆圧縮の手法として、ハフマン符号化の手法を採用することとする。
なお、本実施形態では、差分データに対する圧縮処理の手法として、ハフマン符号化の手法を採用するが、差分データに対する圧縮処理の手法は必ずしもハフマン符号化の手法に限定されるものではなく、圧縮テーブルを参照して差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることにより圧縮処理を行う手法であれば、他の可逆圧縮の手法或いは不可逆圧縮の手法を用いて差分データに対する圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0096】
本実施形態においては、ハフマン符号化の手法によって差分データに対する圧縮処理を行うために、圧縮コードであるハフマンコードを記憶する圧縮テーブル、具体的には、差分データのデータ値と当該差分データに割り当てるハフマンコードとを対応付けて記憶する圧縮テーブルが、予め圧縮用FPGA23のRAM領域23aと記憶手段40のテーブル記憶領域40bとに格納されており、圧縮手段としての圧縮用FPGA23は、圧縮処理の際にはこれらのテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行うように構成されている。
【0097】
具体的には、圧縮用FPGA23の圧縮制御部46は、上記のようにして差分データを作成するごとに、圧縮テーブルを参照して、当該差分データに対して対応するハフマンコードを割り当てるように構成されている。すなわち、各ハフマンコードが、圧縮された各差分データに相当する。なお、ハフマン符号化によるデータ圧縮では、よく知られているように、出現頻度が高いデータほど短いハフマンコードが割り当てられるようになっている。
【0098】
ここで、本発明に係る差分データに対する圧縮処理の特徴について説明する。
【0099】
圧縮用FPGA23の内部に設けられた内部メモリとしてのRAM領域23aには、圧縮テーブルとして、ハフマン符号化のためのハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1が格納されている。
一方、圧縮用FPGA23の外部に設けられた外部メモリとしての記憶手段40には、圧縮テーブルとして、ハフマン符号化のためのハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納されている。
【0100】
そして、圧縮制御部46は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定する。
具体的には、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)が予め設定されており、圧縮制御部46は、作成した差分データごとに、当該差分データのデータ値に基づいて、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであるか否かを判断する。そして、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであると判断した場合には、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定する。一方、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れでもないと判断した場合には、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定する。
【0101】
その後、圧縮制御部46は、特定した圧縮テーブルを参照して、当該差分データに対して対応するハフマンコードを割り当てる。
具体的には、圧縮制御部46は、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定した場合には、内部メモリであるRAM領域23aへとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、RAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てる。一方、圧縮制御部46は、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定した場合には、外部メモリである記憶手段40へとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納されている第2圧縮テーブルT2から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てる。
【0102】
そして、圧縮制御部46は、各差分データに割り当てた各ハフマンコードをバッファメモリ44c(図10や図12参照)に一時的に格納し、アンテナ装置39を介して外部装置に順次転送するように構成されている。
【0103】
この場合、放射線画像撮影装置1から差分データが転送される先の外部装置も同じ圧縮テーブルを備えており、外部装置では、解凍処理の際に、圧縮テーブルを参照して、転送されてきた圧縮された差分データを解凍するように構成される。
なお、外部装置が備える圧縮テーブルは、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とに分割されていてもよいし、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とに分割されていなくてもよい。
【0104】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1から圧縮された差分データ(すなわちハフマンコード)の転送を受けた外部装置側での画像データの復元について説明する。
以下、まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1を備える放射線画像撮影システム50の構成について説明する。
【0105】
図15は、放射線画像撮影システム50の全体構成を示す図である。
放射線画像撮影システム50は、例えば、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、放射線画像として医療用の診断画像を撮影するシステムとして採用することができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0106】
放射線画像撮影システム50は、図15に示すように、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師等の操作者が被写体に照射する放射線の制御等の種々の操作を行う前室R2と、それらの外部とに配置される。
【0107】
撮影室R1には、例えば、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51と、被写体に照射する放射線を発生させるX線管球を備えた放射線源(図示省略)を備える放射線発生装置52と、無線アンテナ53を備え放射線画像撮影装置1とコンソール58等の外部装置とが通信する際にこれらの通信を中継する基地局54とが設けられている。
【0108】
なお、図15では、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填した状態で用いる場合と、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、具体的には臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる場合等とが示されているが、前述したように、放射線画像撮影装置1はブッキー装置51や支持台等と一体的に形成されたものであってもよい。
ここで、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる他に、例えば撮影室R1内に設けられたベッド等の上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足などとベッドとの間に差し込んだりして用いることも可能である。
【0109】
また、図15では、放射線画像撮影装置1と基地局54とを無線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して無線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、放射線画像撮影装置1と基地局54とをLAN(Local Area Network)ケーブル等で有線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成することも可能である。
また、図15では、ブッキー装置51と基地局54とを有線接続し、ブッキー装置51に装填されている放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、これに限定されることはなく、ブッキー装置51と基地局54とは有線接続されていなくてもよい。
【0110】
また、図15では、撮影室R1内に、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられるブッキー装置51の個数や種類は特に限定されない。
また、図15では、撮影室R1内に、放射線発生装置52として、ブッキー装置51に対応付けられた放射線発生装置52Aと、ポータブルの放射線発生装置52Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられる放射線発生装置52の個数や種類は特に限定されない。
【0111】
また、図15に示すように、本実施形態において、撮影室R1には、放射線画像撮影装置1が挿入されると、放射線画像撮影装置1から当該放射線画像撮影装置1を識別するためのカセッテIDを読み取り、基地局54を介してコンソール58等の外部装置に通知するクレードル55が備えられている。なお、前述したように、このクレードル55で放射線画像撮影装置1の充電等を行うように構成することも可能である。
【0112】
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する放射線発生装置52が設けられている。
そして、本実施形態においては、撮影室R1に隣接する前室R2に、放射線発生装置52の操作卓57が設けられており、この操作卓57には、放射線技師等の操作者が放射線発生装置52に対して放射線の照射開始等を指示する際に操作するための操作スイッチ56が設けられている。
【0113】
また、放射線発生装置52は、放射線技師等の操作者が操作卓57を操作して或いは手動で、放射線画像撮影装置1に対して放射線が適切に照射されるように放射線照射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように絞りを調整したり、適切な線量の適切な線質の放射線が照射されるように放射線源を調整したりすることができるように構成されている。
【0114】
[コンソール]
コンソール58は、図15に示すように、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部58aと、コンソール58の各機能部の動作等を制御する制御部58bと、HDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶手段59と、LANケーブル等によって基地局54と接続され放射線画像撮影装置1等の他の装置との間で通信を行うための通信部(図示省略)と、キーボードやマウスなどからなる入力部(図示省略)とを備えて構成されるコンピュータである。
【0115】
なお、図15では、コンソール58が撮影室R1や前室R2の外側に設けられている場合が示されているが、コンソール58は、例えば前室R2に設けられていてもよい。
また、図15では、コンソール58に記憶手段59が接続されている場合が示されているが、記憶手段59はコンソール58に内蔵されていてもよい。
【0116】
コンソール58の制御部58bは、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、CPUは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、コンソール58の各機能部の動作等を制御するように構成されている。
【0117】
<復元処理>
以下、コンソール58における画像データの復元処理について説明する。
【0118】
コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、基地局54を介して放射線画像撮影装置1からハフマンコード、すなわち圧縮された差分データが転送されてくると、それらを一旦記憶手段59に保存した後、それらに基づいて画像データを復元するように構成されている。
【0119】
具体的には、コンソール58は、まず、記憶手段59等に予め格納されている圧縮テーブルを読み出し、読み出した圧縮テーブルを参照して、放射線画像撮影装置1からの各ハフマンコードを元の差分データに解凍し、解凍した元の差分データに基づいて元の画像データを復元する。
【0120】
この場合、コンソール58側でも前述した基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が予め記憶手段59等に保存されており、コンソール58は、まず、これらの基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を読み出す。
【0121】
そして、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を復元し、
Dc(0,m)+ΔD(1,m)→D(1,m) …(1)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を復元する。この処理は、図13に示した走査線5のラインL1に接続された放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…に対する処理の逆の処理に相当する。
【0122】
その後、コンソール58は、復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0123】
次いで、コンソール58は、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…を復元する。
【0124】
そして、先に復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を用いて、
D(1,m)+ΔD(2,m)→D(2,m) …(2)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を復元し、復元した画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0125】
このようにして、コンソール58は、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(n,m)に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(n,m)…を復元し、先に算出した画像データD(n−1,m)を用いて、
D(n−1,m)+ΔD(n,m)→D(n,m) …(3)
を演算していくことで、全ての画像データD(n,m)を順次復元するように構成されている。
【0126】
そして、コンソール58は、このようにして復元した画像データに基づいて、医療用の放射線画像である診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示したり、他の装置に送信したりする。
【0127】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について、図16のフローチャート等を参照して説明する。
【0128】
まず、本実施形態において、放射線画像撮影装置1は、制御手段22が備えるROM22b等の不揮発性メモリに、差分データのデータ値と当該差分データに割り当てるハフマンコードとを対応付けて記憶する圧縮テーブルや、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を、予め格納していることとする。
【0129】
そして、例えば放射線画像撮影装置1の電源がONされると、制御手段22が備えるCPU22aは、ROM22b等の不揮発性メモリに格納されている圧縮テーブルに基づいて、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とを作成する。
具体的には、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)が予め設定されており、CPU22aは、圧縮テーブルに記憶されているハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)に対応付けられたハフマンコードを、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに記憶させて第1圧縮テーブルT1を作成し、出現頻度が所定の閾値Q未満となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa以外のデータ値)に対応付けられたハフマンコードを、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに記憶させて第2圧縮テーブルT2を作成する。これにより、第1圧縮テーブルT1が、内部メモリであるRAM領域23aに格納され、第2圧縮テーブルT2が、外部メモリである記憶手段40に格納される。
【0130】
なお、ここでいう「出現頻度」とは、平均的な出現頻度である。
すなわち、例えば、放射線画像撮影装置1を医療用の放射線画像の撮影装置として用いる場合、被写体である患者の身体の撮影部位(胸部、頭蓋骨、腰椎等)やその撮影方向(正面、側面等)によって、照射する放射線の線量や照射時間などの撮影条件が変えられる場合も多い。このように撮影条件等が変わると、各差分データの出現頻度も変わるが、本実施形態では、様々な撮影条件等を考慮して各差分データの平均的な出現頻度を予め算出し、当該平均的な出現頻度の分布に基づいて、平均的な出現頻度が高い差分データほど短いハフマンコードが割り当てられるよう、各差分データにハフマンコード(ハフマン符号化の符号ビット)を割り当てて圧縮テーブルを作成し、作成した圧縮テーブルをROM22b等の不揮発性メモリに格納していることとする。そして、当該圧縮テーブルに基づいて、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てられるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1と、平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満となる差分データ(差分データ−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に割り当てられるハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2とを作成するように構成されていることとする。すなわち、平均的な出現頻度が高い差分データほど短いハフマンコードが割り当てられるようになっているので、短いハフマンコードほど第1圧縮テーブルT1に記憶され、長いハフマンコードほど第2圧縮テーブルT2に記憶されている。
ちなみに、本実施形態において、差分データは、撮影条件等にかかわらず、例えば後述する図18や図19に示すように、ΔD=0を中心とする正規分布状の分布を示す。そのため、本実施形態では、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データの範囲を、ΔD=0を中心としてΔD=0からΔDa離れた範囲−ΔDa〜ΔDaとしている。
また、所定の閾値Qは、外部メモリである記憶手段40の記憶容量と内部メモリであるRAM領域23aの記憶容量との双方を考慮して適宜選択可能となっている。
【0131】
また、例えば放射線画像撮影装置1の電源がONされると、制御手段22が備えるCPU22aは、ROM22b等の不揮発性メモリから基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を取得して、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに記憶させる。
【0132】
次いで、放射線画像撮影等が行われて、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに画像データが保存されると、圧縮用FPGA23の圧縮制御部46は、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに保存されている画像データを読み出し、信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成する。
【0133】
そして、差分データを作成するごとに、圧縮制御部46は、図16に示すように、作成した差分データのデータ値に基づいて、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであるか否かを判断する(ステップS1)。
【0134】
ステップS1で、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであると判断した場合(ステップS1;Yes)には、圧縮制御部46は、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定し、内部メモリであるRAM領域23aへとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、RAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てることによって、当該差分データに対する圧縮処理を行う(ステップS2)。
【0135】
一方、ステップS1で、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れでもないと判断した場合(ステップS1;No)には、圧縮制御部46は、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定し、外部メモリである記憶手段40へとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納されている第2圧縮テーブルT2から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てることによって、当該差分データに対する圧縮処理を行う(ステップS3)。
【0136】
そして、圧縮制御部46は、ステップS1〜S3の処理を、差分データの作成が終了するまで繰り返して実行する。
【0137】
そして、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から圧縮された差分データが転送されてきた場合、当該圧縮された差分データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の画像データを復元する。そして、当該復元した画像データに対してオフセット補正処理やゲイン補正処理や欠陥画素補正処理などの画像補正処理を行う等して当該復元した画像データに基づき診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示等する。
【0138】
従来、放射線画像撮影装置において、圧縮処理に使用する圧縮テーブルは、内部メモリであるRAM領域23aの記憶容量に制限がある等の観点から、外部メモリである記憶手段40のみに格納されていた。そのため、圧縮制御部46は、差分データに割り当てるハフマンコードを取得するために、外部メモリである記憶手段40へとアクセスしなければならず、その分、差分データに対する圧縮処理に時間が掛かっていた。また、外部メモリである記憶手段40からハフマンコードを取得するためには、複雑なアクセスシーケンスが必要な場合もあり、その場合、差分データに対する圧縮処理にさらに時間が掛かっていた。
【0139】
これに対し、本実施形態においては、圧縮テーブルを、圧縮処理のためのハフマンコードのうち一部のハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1と、残りのハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2とに分割し、第1圧縮テーブルT1を内部メモリであるRAM領域23aに格納するとともに、第2圧縮テーブルT2を外部メモリである記憶手段40に格納している。これにより、外部メモリである記憶手段40へとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては圧縮処理の際に記憶手段40へのアクセス時間や記憶手段40とのアクセスシーケンスが不要になるので、その分、1画像分の圧縮処理に要する時間、すなわち、1画像分の差分データ全てを圧縮するために要する総時間を短縮することが可能となる。
【0140】
1画像分の圧縮処理に要する時間がどの程度短縮されるかは、外部メモリである記憶手段40の仕様(具体的には、アクセスシーケンスの内容や圧縮用FPGA23と同期しているか否かなど)、所定の閾値Qの設定の仕方、撮影条件等によって決まるため、一概に示すことは難しい。具体例として、例えば、図17(b)に示すような場合、すなわち、1画像分の全差分データのうち、50%の差分データが、第1圧縮テーブルT1を用いて圧縮処理を行う差分データ(図17(b)における「データ1」や「データ2」)であるとともに、残りの50%の差分データが、第2圧縮テーブルT2を用いて圧縮処理を行う差分データ(図17(b)における「データ3」や「データ4」)である場合であり、かつ、第1圧縮テーブルT1を用いて行う圧縮処理に要する時間が、第2圧縮テーブルT2を用いて行う圧縮処理に要する時間の1/3である場合は、図17(a)に示す従来の場合、すなわち、外部メモリである記憶手段40のみに圧縮テーブルが格納されている場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間を約33%減少させることが可能となる。
【0141】
さらに、本実施形態において、内部メモリであるRAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1は、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶しているので、1画像分の圧縮処理に要する時間をさらに短縮することが可能となる。
すなわち、撮影条件等にかかわらず、1画像分の全差分データには、平均的な出現頻度が比較的高い差分データの方が、平均的な出現頻度が比較的低い差分データよりも多く含まれている場合が多い。本実施形態においては、内部メモリであるRAM領域23aに、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第1テーブルT1を格納しているので、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が、外部メモリである記憶手段40にアクセスする頻度よりも高くなる場合が多い。そのため、逆の場合、すなわち、内部メモリであるRAM領域23aに平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データ(−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に対して割り当てるハフマンコードを記憶し、外部メモリである記憶手段40に平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶する場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0142】
また、本実施形態において、圧縮制御部46は、同じ信号線6に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データの差分を算出して差分データを作成するので、同じ走査線5に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データの差分を算出して差分データを作成する場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間をさらに短縮することが可能となるとともに、差分データの圧縮率を向上させることが可能となる。
【0143】
ここで、本願発明者らの研究によると、走査線方向に隣接する画像データ同士、すなわち同じ走査線5に接続された互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して作成した差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かった。
【0144】
このように走査線方向の差分データが、比較的広い範囲に分布することの原因を明らかにするために、放射線画像撮影装置1に被写体を介さずに一様に放射線を照射した場合に同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…から読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データを作成したところ、図18に示すような差分データの分布が得られた。なお、図18や後述する図19において、縦軸はその差分データΔDの出現頻度Fを表す。出現頻度Fは、放射線画像撮影装置1に被写体を介さずに一様に放射線を照射した場合に得られた実際の出現頻度であり、平均的な出現頻度ではないとする。
【0145】
図18に示すように、同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…は同じ線量の放射線の照射を受けているにもかかわらず、或いは同じ線量の放射線の照射を受けたシンチレータ3で変換された同じ強度の電磁波の照射を受けているにもかかわらず、それらから読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かる。
【0146】
差分データの分布が広くなる原因が、図5に示したように各層が積層されて形成される各放射線検出素子7の製造ばらつきによるものとするには、分布の広がり方が大き過ぎる。
そのため、このように同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子7から読み出された画像データの各差分データの分布が図18に示したような分布になる主な原因は、各放射線検出素子7から画像データを読み出す読み出し回路17の出力特性が各読み出し回路17ごとに異なり、各読み出し回路17の出力特性にばらつきがあるためと考えられている。
【0147】
すなわち、本実施形態においては、図9に示したように、各読み出しIC16内に形成された計2048個の読み出し回路17を備えているが、各読み出し回路17において増幅回路18の電荷電圧変換特性や相関二重サンプリング回路19のサンプリング特性などが総合された読み出し回路17の出力特性がそれぞれ異なる。そのため、各放射線検出素子7から各読み出し回路17に送られる画像データが同じ値であっても、各読み出し回路17で電荷電圧変換されて出力される画像データは異なる値になると考えられている。
【0148】
なお、この各読み出し回路17の出力特性が異なることにより画像データに生じる差異は、例えば、コンソール58等の外部装置に転送された後、画像補正処理の際に画像データ(正確には画像データからオフセット分を差し引いた値)に乗算する各読み出し回路17ごとのゲイン補正値を調整することにより解消され、或いは軽減される。
【0149】
図18に示したような幅広の分布では、図18に示す分布全体に対する斜線領域の割合からも分かるように、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの割合が比較的小さくなる。
そのため、図18に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1を使用する頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が比較的低くなる。そのため、1画像分の圧縮処理に要する時間をさほど短縮できないと考えられる。
また、図18に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、さほど短くないハフマンコードが割り当てられる差分データの数が比較的多くなる。そのため、差分データの圧縮率がさほど高くならないと考えられる。
【0150】
これに対して、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から読み出された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…の各差分データは、図19に示すように、比較的狭い範囲に分布することが分かった。
【0151】
これは、図7に示した構成を見れば分かるように、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から読み出された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…は同一の読み出し回路17により電荷電圧変換等がなされるため、差分データの分布には上記のような各読み出し回路17の出力特性のばらつきの影響は現れない。したがって、この場合は、まさに各放射線検出素子7の製造ばらつきによる影響のみが反映されて、差分データの分布が図19に示したような幅狭の分布になると考えられる。
【0152】
図19に示したような幅狭の分布では、図19に示す分布全体に対する斜線領域の割合からも分かるように、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの割合が比較的大きくなる。
そのため、図19に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1を使用する頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が比較的高くなり、1画像分の圧縮処理に要する時間がさらに短縮できると考えられる。すなわち、本実施形態のように信号線方向に差分を取ると、走査線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮処理に要する時間が短縮される。
また、図19に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、短いハフマンコードが割り当てられる差分データの数が比較的多くなり、差分データの圧縮率が向上すると考えられる。すなわち、本実施形態のように信号線方向に差分をとると、走査線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮率が向上する。
【0153】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、内部メモリであるRAM領域23aには、圧縮処理のための圧縮コードであるハフマンコードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が格納され、外部メモリである記憶手段40には、圧縮処理のための圧縮コードであるハフマンコードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納されている。そして、複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段である圧縮用FPGA23は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって圧縮処理を行うように構成されている。
【0154】
従来は、圧縮テーブルが外部メモリである記憶手段40のみに格納されていたため、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、差分データごとに外部メモリである記憶手段40へとアクセスしなければならず、その分、圧縮処理に時間が掛かっていた。これに対し、本実施形態のように構成することで、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、外部メモリである記憶手段40へとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては記憶手段40へのアクセス時間や記憶手段40とのアクセスシーケンスが不要になるので、その分、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0155】
また、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となるので、圧縮処理時の消費電力を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に示したように放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合、バッテリ41の電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置1をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
【0156】
また、第1圧縮テーブルT1は、圧縮処理のためのハフマンコードのうちの一部を記憶しているので、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、例えば内部メモリの記憶容量に制限があり、全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを内部メモリであるRAM領域23aに格納できない場合であっても、第1圧縮テーブルT1は内部メモリであるRAM領域23aに格納することが可能となる。
また、第2圧縮テーブルT2は、圧縮処理のためのハフマンコードのうちの残りを記憶しているので、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを外部メモリである記憶手段40に格納する場合と比較して、外部メモリである記憶手段40の記憶容量を圧縮テーブルの格納により消費してしまうことを抑制することが可能となる。
【0157】
また、圧縮処理のためのハフマンコードの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が内部メモリであるRAM領域23aに格納されているので、外部メモリである記憶手段40に、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを格納する必要がなくなり、記憶手段40自体のメモリ容量を削減することが可能となる。
【0158】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、第1圧縮テーブルT1は、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶し、第2圧縮テーブルT2は、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データ(差分データ−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に対して割り当てるハフマンコードを記憶している。
【0159】
1画像分の全差分データには、平均的な出現頻度が比較的高い差分データの方が、平均的な出現頻度が比較的低い差分データよりも多く含まれている場合が多い。そのため、本実施形態のように構成することで、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、第1圧縮テーブルT1を用いる頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が、第2圧縮テーブルT2を用いる頻度、すなわち外部メモリである記憶手段40にアクセスする頻度よりも高くなり、1画像分の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0160】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、圧縮処理のための圧縮コードは、ハフマンコードであり、圧縮手段である圧縮用FPGA23は、特定した圧縮テーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って圧縮処理を行うように構成されている。そして、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、短いハフマンコードほど第1圧縮テーブルT1に記憶され、長い圧縮コードほど第2圧縮テーブルT2に記憶されている。
【0161】
したがって、内部メモリの記憶容量に制限がある場合であっても、内部メモリであるRAM領域23aに格納される第1圧縮テーブルT1に、より多くのハフマンコードを記憶させることができるので、1画像分の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0162】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、圧縮手段である圧縮用FPGA23は、同じ信号線6に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。
【0163】
このように構成することで、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、走査線方向に並ぶ各画像データの差分データに対する圧縮処理のように各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって内部メモリであるRAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1を用いる頻度が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された1画像分の画像データの差分データを圧縮する際の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0164】
また、このように構成することで、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、走査線方向に並ぶ各画像データの差分データに対する圧縮処理のように各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された画像データの差分データを圧縮する際の圧縮率を的確に向上させることが可能となる。
【0165】
また、本実施形態のように差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となることで、転送するデータ量が軽減され、転送時間も短縮されるため、消費電力を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に示したように放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合、バッテリ41の電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置1をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
【0166】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0167】
上記の実施形態では、圧縮テーブルとして、一種類の圧縮テーブル(すなわち、一種類の第1圧縮テーブルT1および一種類の第2圧縮テーブルT2)のみを備えるように構成したが、これに限定されることはなく、例えば、複数種類の圧縮テーブル(すなわち、複数種類の第1圧縮テーブルT1および複数種類の第2圧縮テーブルT2)を備えるように構成し、放射線画像撮影装置1の圧縮制御部46やコンソール58の制御部58bで圧縮テーブルの種類を選択して参照するように構成することも可能である。なお、このように複数種類の圧縮テーブルを備える場合も、複数種類の第1圧縮テーブルT1は、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに格納され、複数種類の第2圧縮テーブルT2は、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納される。
【0168】
例えば、上記のように放射線画像撮影装置1を医療用の放射線画像の撮影装置として用いる場合、被写体である患者の身体の撮影部位(胸部、頭蓋骨、腰椎等)やその撮影方向(正面、側面等)によって、照射する放射線の線量や照射時間などの撮影条件が変えられる場合も多い。
そのため、被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向などを含む撮影条件ごとに圧縮処理のための圧縮テーブルを予め複数種類備えておき、圧縮制御部46が、設定された撮影条件に応じて圧縮テーブルの種類を選択し、選択した種類の圧縮テーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って差分データに対する圧縮処理を行うように構成すれば、撮影条件に即して差分データの圧縮率をより向上させることが可能となる。
また、このように撮影条件に応じて複数種類の圧縮テーブルを備える場合、撮影条件に応じて所定の閾値Qを変更することも可能である。
【0169】
また、上記の実施形態では、圧縮用FPGA23を、差分データを作成して圧縮処理を行う圧縮手段としたが、これに限ることはなく、例えば、CPU22a等からなるコンピュータを、差分データを作成して圧縮処理を行う圧縮手段としてもよい。なお、CPU22a等からなるコンピュータが圧縮手段である場合、第1圧縮テーブルT1は、当該コンピュータの内部メモリ(RAM22c等)に格納される。
【符号の説明】
【0170】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
17 読み出し回路
23 圧縮用FPGA(圧縮手段)
23a RAM領域(内部メモリ)
40 記憶手段(外部メモリ)
P 検出部
r 領域
T1 第1圧縮テーブル
T2 第2圧縮テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、二次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このような放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0004】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納して持ち運びできるようにした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0005】
ところで、このような放射線画像撮影装置では、複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部が形成されるが、その際、放射線検出素子の数(すなわち画素数)は、通常、数百万〜数千万画素或いはそれ以上の画素数にのぼる。そのため、各放射線検出素子から読み出された画像データを外部装置に圧縮せずに転送すると、転送時間が長くなる。また、バッテリが内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置では、画像データの転送時間が長くなると、転送の際に消費される電力が大きくなり、バッテリの消耗につながる。
【0006】
そこで、例えば特許文献4や特許文献5に記載されているように、読み出された画像データは、通常、可逆圧縮(ロスレス圧縮ともいう。)や非可逆圧縮(不可逆圧縮ともいう。)などのデータ圧縮法で圧縮されて、コンソールやサーバなどの外部装置に転送される。
【0007】
そして、例えば、放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合には、画像データを圧縮するデータ圧縮法としては、一般的に、圧縮により画像データが有する情報の一部が失われてしまう非可逆圧縮の手法よりも圧縮前の画像データと復元後の画像データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の手法が採用されることが好ましいと考えられている。
【0008】
画像データを可逆圧縮する手法としては、例えば、ハフマン符号化等の手法、すなわち、圧縮テーブル(符号化テーブル)を参照して、画像データに対して対応する圧縮コードを割り当てる手法を用いることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開2000−275350号公報
【特許文献5】特開2005−287927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来、圧縮テーブルを参照して画像データを圧縮する放射線画像撮影装置において、圧縮テーブルは、例えば図20に示すように、放射線画像撮影装置の制御手段22に接続された記憶手段40に格納されている。そして、制御手段22が備える圧縮用FPGA(Field Programmable Gate Array)23内の圧縮制御部46が、制御手段22に接続された記憶手段40に格納されている圧縮テーブルTを参照して、画像データに対して対応する圧縮コードを割り当てるように構成されている。
しかしながら、このような構成の場合、圧縮制御部46が、制御手段22に外付けされた記憶手段40へとアクセスしなければならない分、圧縮処理に時間が掛かるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、圧縮処理に要する時間の短縮が可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記放射線検出素子から前記信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して画像データとして出力する読み出し回路と、
複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段と、
前記圧縮手段の外部に設けられた外部メモリと、
前記圧縮手段の内部に設けられた内部メモリと、を備え、
前記内部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが格納され、
前記外部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが格納され、
前記圧縮手段は、作成した前記差分データごとに、当該差分データに基づいて前記第1圧縮テーブルおよび前記第2圧縮テーブルのうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって前記圧縮処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが内部メモリに格納され、圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが外部メモリに格納されているので、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、外部メモリへとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては外部メモリへのアクセス時間や外部メモリとのアクセスシーケンスが不要になるので、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0014】
また、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となるので、圧縮処理時の消費電力を低減させることが可能となる。特に、放射線画像撮影装置がバッテリ内蔵型である場合、バッテリの電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置の使用効率を向上させることが可能となる。
【0015】
また、第1圧縮テーブルは、圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶しているので、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、例えば内部メモリの記憶容量に制限があり、全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを内部メモリに格納できない場合であっても、第1圧縮テーブルは内部メモリに格納することが可能となる。
また、第2圧縮テーブルは、圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶しているので、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを外部メモリに格納する場合と比較して、外部メモリの記憶容量を圧縮テーブルの格納により消費してしまうことを抑制することが可能となる。
【0016】
また、圧縮処理のための圧縮コードの一部を記憶する第1圧縮テーブルが内部メモリに格納されているので、外部メモリに、圧縮処理のための全圧縮コードを記憶する圧縮テーブルを格納する必要がなくなり、外部メモリ自体のメモリ容量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子やTFTなどの構成を示す拡大図である。
【図5】図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【図6】COFやPCB基板などが取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各読み出しICで放射線検出素子から一斉に読み出された画像データがバッファメモリに蓄積された後並べ替えられて記憶手段に送信される状態を説明する図である。
【図10】制御手段および記憶手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図11】(A)は信号線方向に差分をとる場合を説明する図、(B)は走査線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図12】レジスタ部の構成、および本実施形態における同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データの作成の仕方を説明する図である。
【図13】走査線のラインL1に接続された各放射線検出素子から読み出された各画像データについて、信号線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図14】(A)〜(C)1つのバッファレジスタを用いて同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データを作成する仕方を説明する図である。
【図15】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図16】本実施形態に係る放射線画像撮影装置による圧縮処理について説明するためのフローチャートである。
【図17】(A)は従来の場合における圧縮処理に要する時間を説明するための図、(B)は本実施形態の場合の一例における圧縮処理に要する時間を説明するための図である。
【図18】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて走査線方向に差分をとり作成した差分データの分布を示す図である。
【図19】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて信号線方向に差分を取り作成した差分データの分布を示す図である。
【図20】従来の放射線画像撮影装置における、制御手段および記憶手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではなく、また、本発明は図示例に限定されるものでもない。
【0019】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して照射し、放射線検出素子で電気信号である画像データに変換する、いわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、放射線画像撮影装置が可搬型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0020】
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、いわゆるフラットパネルディテクタ(以下「FPD」という。)を可搬型に構成したカセッテ型FPDであり、放射線画像撮影に用いられ、放射線を検出して当該放射線の線量に応じた画像データを生成して取得するものである。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4などが収納されて構成されている。
【0021】
筐体2は、少なくとも放射線入射面Rが放射線を透過するカーボン板やプラスチックなどの材料で形成されている。
なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわゆる弁当箱型である場合が示されているが、これに限定されることはなく、例えば、筐体2を一体的に角筒状に形成した、いわゆるモノコック型とすることも可能である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態においては、筐体2の側面部分に、電源スイッチ36や、LED等で構成されたインジケータ37や、バッテリ41(後述する図7参照)の交換等のために開閉可能とされた蓋部材38などが配置されている。
また、本実施形態においては、蓋部材38の側面部に、画像データ等を、コンソール58(後述する図15参照)等の外部装置に無線で転送するための転送手段であるアンテナ装置39が埋め込まれている。なお、画像データ等を外部装置に有線方式で転送するように構成することも可能であり、その場合は、例えば、転送手段として、ケーブル等を差し込むなどして接続するための接続端子等が放射線画像撮影装置1の側面部等に設けられる。
【0023】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34などが取り付けられている。なお、本実施形態において、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
【0024】
シンチレータ3は、基板4の検出部P(後述)に貼り合わされている。本実施形態において、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0025】
本実施形態において、基板4は、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0026】
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0027】
本実施形態においては、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図3や図3の拡大図である図4に示すように、スイッチ手段である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」という。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0028】
そして、TFT8は、走査駆動手段15(後述)により、接続された走査線5にオン電圧が印加されてゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を当該放射線検出素子7から信号線6に放出させるように構成されている。
また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加されてゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内で発生した電荷を当該放射線検出素子7内に保持して蓄積させるように構成されている。
【0029】
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【0030】
図5に示すように、基板4の面4a上には、AlやCrなどからなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
【0031】
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
【0032】
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上にゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCrなどが積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCrやMoなどからなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。なお、補助電極72は必ずしも設けられなくてもよい。
【0033】
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
【0034】
放射線画像撮影装置1に対して照射された放射線が筐体2の放射線入射面Rから入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
【0035】
また、p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。本実施形態においては、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態においては、放射線検出素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
【0036】
放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
【0037】
図3や図4に示すように、本実施形態においては、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、図3に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0038】
また、本実施形態において、各走査線5や各信号線6やバイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0039】
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0040】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は、検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0041】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極78にそれぞれバイアス電圧を印加する。
また、バイアス電源14は、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によって、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるように構成されている。
【0042】
本実施形態では、バイアス線9の結線10に、結線10(バイアス線9)を流れる電流の電流量を検出する電流検出手段43が設けられている。そして、前述したように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると各放射線検出素子7のi層76(図5参照)内で電子正孔対が発生し、それがバイアス線9や結線10に流れ出して結線10等に電流が流れるが、電流検出手段43は、その結線10を流れる電流の増減を検出して放射線の照射の開始や終了を検出できるようになっている。なお、電流検出手段43は必ずしも設けられなくてもよい。
【0043】
図7や図8に示すように、本実施形態では、放射線検出素子7のp層77側(図5参照)に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極78にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極74側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0044】
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15(後述)のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0045】
本実施形態において、走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態において、ゲートドライバ15bには、前述したIC12aが複数並設されて形成されている。
【0046】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には1本の信号線6に1個ずつ読み出し回路17が設けられている。
【0047】
読み出しIC16は、主に、増幅回路18や相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19などからなる読み出し回路17と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0048】
本実施形態において、増幅回路18は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列に接続されたコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cとで構成されている。また、増幅回路18には、増幅回路18に電力を供給するための電源供給部18dが接続されている。
【0049】
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるように構成されている。
なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加される。
【0050】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によってオン/オフが制御されるように構成されている。
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介して信号読み出し用のオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるように構成されている。増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換するようになっている。
【0051】
また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、増幅回路18がリセットされるように構成されている。なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
【0052】
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、各放射線検出素子7から電荷が読み出され、増幅回路18で電荷電圧変換されて出力された電圧値は、相関二重サンプリング回路19でサンプリング処理されて画像データとして下流側に出力される。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データは、アナログマルチプレクサ21(図7参照)に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて記憶手段40の画像データ記憶領域40a(後述する図10参照)に出力されて順次保存される。
【0053】
なお、本実施形態において、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の際には、オン電圧が印加される走査線5の各ラインL1〜Lxが順次切り替えられながら、上記のような各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるようになっている。
【0054】
ここで、本実施形態においては、128本の信号線6を1つの読み出しIC16で処理するように構成されている。
すなわち、1つの読み出しIC16は、主に、各信号線6に対応して128個の読み出し回路17(すなわち、増幅回路18や相関二重サンプリング回路19など)と、1つのアナログマルチプレクサ21と、1つのA/D変換器20とで形成されている。
【0055】
そして、信号線6の本数が、例えば2048本である場合、2048÷128=16個の読み出しIC16が並設されて読み出し部が形成されている。
なお、以下、1つの読み出しIC16内に形成された読み出し回路17の数、すなわち1つの読み出しIC16に接続される信号線6の本数が128であり、信号線6の総本数が2048本であることを前提に説明するが、本発明がこの場合に限定されないことは言うまでもない。
【0056】
図9に示すように、画像データの読み出し処理の際に、例えば走査線5のラインL1にオン電圧が印加されると、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から一斉に画像データが読み出されて、パラレルに各読み出しIC16に送られる。
【0057】
そして、各読み出しIC16中の各読み出し回路17で電荷電圧変換等が行われ、パラレルに送信されてきた128個の画像データを、各読み出しIC16中のアナログマルチプレクサ21でA/D変換器20に順次シリアル転送し、デジタル化された画像データがA/D変換器20から一旦バッファメモリ45に蓄積されるように構成されている。
【0058】
すなわち、画素位置(n,m)の画素に対応する放射線検出素子7を放射線検出素子(n,m)と表し、放射線検出素子(n,m)から読み出された画像データを画像データD(n,m)と表すと、各読み出しIC16から、まず、画像データD(1,1)、D(1,129)、D(1,257)、…、D(1,1921)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積され、続いて、画像データD(1,2)、D(1,130)、D(1,258)、…、D(1,1922)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積される。
【0059】
そして、バッファメモリ45に、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)が蓄積されると、各画像データが画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順に並べ替えられて、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに順次送信されて保存されるように構成されている。
【0060】
また、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)の読み出し処理が終了すると、続いて、オン電圧が印加される走査線5のラインがL2に切り替えられる。そして、同様にして各画像データD(2,1)〜D(2,2048)が各読み出しIC16ごとにバッファメモリ45に送信されて並べ替えられた後、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに順次送信されて保存される。
【0061】
そして、この読み出し処理と記憶手段40への保存処理とが走査線5の各ラインL1〜Lxごとに順次繰り返されて、全ての放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるように構成されている。
【0062】
なお、この画像データの並べ替えの処理は、放射線画像撮影装置1から画像データが転送される外部装置がどのような装置であっても、通常、画像データを画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順番で転送すれば対応することができるため、画像データの記憶手段40への保存の段階で、汎用的に画像データを上記の順番に並べ替えて保存するための処理である。
【0063】
したがって、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを転送する順番等を取り決めておくことができる場合には、その取り決めに従って画像データを並べ替えるように構成することが可能である。
【0064】
また、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを、例えば各読み出しIC16から出力される順に画像データD(1,1)、D(1,129)、…、D(1,1921)、D(1,2)、D(1,130)、…、D(1,1922)、…の順番で転送するように取り決めておけば、各読み出しIC16から出力された画像データを、バッファメモリ45を介さずに直接記憶手段40に順次送信して保存することも可能となる。
【0065】
さらに、上記のような画像データの並べ替えを行う場合、各画像データの記憶手段40への保存の際ではなく、各画像データを記憶手段40から読み出す際に画像データの並べ替えを行うように構成することも可能である。
【0066】
なお、本実施形態では、上記のように各放射線検出素子7から読み出した各画像データを一旦記憶手段40に保存した後、放射線画像撮影装置1から外部装置に転送する際に、画像データから差分データを作成し、作成した差分データに対して圧縮処理を施す場合について説明するが、各放射線検出素子7から読み出された各画像データを、記憶手段40に保存せずに、或いは記憶手段40への保存と並行して別処理として、画像データから差分データを作成し、作成した差分データに対して圧縮処理を施して直接転送するように構成することも可能である。
【0067】
制御手段22は、図10に示すように、CPU(Central Processing Unit)22a、ROM(Read Only Memory)22b、RAM(Random Access Memory)22c等を備えるコンピュータや、FPGAなどにより構成されている。
なお、本実施形態において、制御手段22は、FPGAとして、図10に示す圧縮用FPGA23の他に、図示を省略するが、画像データを取得する処理を行う画像データ取得用FPGA等を備えている。
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。
【0068】
図7や図10などに示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)などで構成される記憶手段40が接続されている。
記憶手段40は、図10に示すように、各放射線検出素子7から読み出された各画像データを保存するための画像データ記憶領域40aや、第2圧縮テーブルT2(後述)等を保存するためのテーブル記憶領域40bなどを有している。
【0069】
また、本実施形態において、制御手段22には、図7に示すように、アンテナ装置39が接続されており、さらに、検出部P、走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段40、バイアス電源14等の各機能部に電力を供給するためのバッテリ41が接続されている。このバッテリ41には、クレードル55(後述する図15参照)等の充電装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ41を充電する際の接続端子42が取り付けられている。
【0070】
前述したように、制御手段22(具体的には、制御部22が備える画像データ取得用FPGA)は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御したり、読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19にパルス信号を送信して、そのサンプルホールド機能のオン/オフを制御する等の各種の処理を実行するように構成されている。
【0071】
また、制御手段22(具体的には、制御部22が備える画像データ取得用FPGA)は、各放射線検出素子7のリセット処理時や放射線画像撮影後の各放射線検出素子7からの画像データの読み出し時に、走査駆動手段15に対して、走査駆動手段15から各走査線5を介して各TFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えさせるためのパルス信号を送信するように構成されている。
【0072】
制御手段22が備える圧縮用FPGA23は、本発明の圧縮手段であり、図10に示すように、レジスタ部44や圧縮制御部46などを備えている。
また、圧縮用FPGA23は、図10に示すように、第1圧縮テーブルT1(後述)等を保存するためのRAM領域23aを有している。
【0073】
なお、本実施形態では、レジスタ部44には2つのバッファレジスタ(バッファレジスタ44aおよびバッファレジスタ44b)が設けられているが、これに限定されることはなく、例えば、後述するように1つのバッファレジスタを設けるように構成することも可能であるし、3つ以上のバッファレジスタを設けるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、圧縮用FPGA23におけるRAM領域23aとは別の領域にレジスタ部44が設けられているが、これに限定されることはなく、例えば、RAM領域23aにレジスタ部44を設けるように構成することも可能である。
【0074】
<圧縮処理>
以下、圧縮手段としての圧縮用FPGA23における圧縮処理について説明する。
【0075】
なお、本実施形態では、画像データの差分データに圧縮処理を施した後、そのまま記憶手段40に保存せずにアンテナ装置39から無線方式で外部装置に転送する場合について説明するが、圧縮された差分データを放射線画像撮影装置1の記憶手段40に保存するように構成することも可能である。
【0076】
まず、画像データ同士の差分について説明する。
本実施形態において、画像データは、旧来の銀塩フィルムを用いたアナログ画像に匹敵する程度に細かく階調区分されているため、各画像データがとり得るデータ値のダイナミックレンジ(dynamic range)が非常に大きくなる。
例えば、画像データを216(=65536)階調とした場合、画像データは0〜65535の間の各データ値をとり得る。そのため、圧縮処理の手法として、例えば後述するようにハフマン符号化等の手法を用いた場合、画像データの圧縮率が必ずしも良好な値にならない可能性がある。
【0077】
一方、放射線画像の場合、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出すると、差分の分布は比較的狭い範囲の分布になることが知られている。
そこで、本実施形態においては、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うこととする。
【0078】
なお、本実施形態では、信号線6の延在方向(以下「信号線方向」という。)の各画像データ、すなわち同じ信号線6に接続された各放射線検出素子7から出力された各画像データ(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…(図11(a)参照)に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成するが、これに限定されることはなく、例えば、走査線5の延在方向(以下「走査線方向」という。)の各画像データ、すなわち同じ走査線5に接続された各放射線検出素子7から出力された各画像データ(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…(図11(b)参照)に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0079】
具体的には、本実施形態において、レジスタ部44には、図10や図12に示すように、少なくとも2つのバッファレジスタ44a,44bが設けられており、また、圧縮された各差分データを、アンテナ装置39を介して外部装置に転送する前に一時的に格納するバッファメモリ44cが設けられている。
【0080】
そして、差分データに対する圧縮処理時には、圧縮制御部46が、記憶手段40の画像データ記憶領域40aから、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…、D(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0081】
その後、圧縮制御部46が、バッファレジスタの44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(n+1,1)、ΔD(n+1,2)、ΔD(n+1,3)、ΔD(n+1,4)、…を作成することで、同じ信号線6に接続された信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成するように構成されている。
【0082】
その際、差分データを作成するために、記憶手段40から毎回隣接する2ライン分の走査線方向に並ぶ各画像データを読み出すように構成すると読み出し制御が面倒なものとなる。
【0083】
そのため、本実施形態において、圧縮制御部46は、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データ同士の差分データを作成すると、各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、空になったバッファレジスタ44bに次に隣接する走査線5のラインLn+2の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…を蓄積させる。
【0084】
そして、差分データΔD(n+2,1)、ΔD(n+2,2)、ΔD(n+2,3)、ΔD(n+2,4)、…を作成すると、各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、バッファレジスタ44bに各画像データD(n+3,1)、D(n+3,2)、D(n+3,3)、D(n+3,4)、…を蓄積させる。
このようにして、各画像データをバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し替えながらバッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出する処理を繰り返して差分データを順次作成していくように構成されている。
【0085】
上記のように構成する場合、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するための基準となるデータが必要となる。そのため、本実施形態においては、予め設定された基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が、RAM領域23a等に予め保存されていることとする。
【0086】
そして、圧縮制御部46は、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成する際には、図13に示すように、RAM領域23a等から読み出した基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させ、記憶手段40から読み出した走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…をバッファレジスタ44bに蓄積させて、その差分を算出して差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するように構成されている。
【0087】
その際、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…の各値は、同一の値に設定することも可能であるし、また、互いに異なる値に設定することも可能であり、予め適宜設定される。
【0088】
なお、レジスタ部44にバッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも上記と同様の信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成するように構成することが可能である。
【0089】
まず、圧縮制御部46は、図14(A)、図14(B)、図14(C)に示すように、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データのうち、走査線5のラインLnの走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0090】
この状態で、圧縮制御部46は、隣接する走査線5のラインLn+1の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…を記憶手段40から順次読み出してきて、それぞれ対応する各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…と順次置換しながらバッファレジスタ44aに蓄積させるが、その際、対応する画像データ同士の差分データを作成してから置換するように構成する。
【0091】
このように構成すれば、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、上記と同様にして、同じ信号線6に接続された隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成することが可能となる。
【0092】
また、このようにして差分データが作成され置換されながらバッファレジスタ44aに蓄積された各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…が、今度は、続いて記憶手段40から順次読み出された各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…に順次差分データが作成されながら置換される。そのため、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、各差分データの作成処理を連続して容易に行うことが可能となる。
【0093】
次に、差分データに対する圧縮処理について説明する。
本実施形態においては、前述したように、作成した差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。
【0094】
ここで、放射線画像撮影装置1により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合等には、差分データに対する圧縮処理の手法として、圧縮前の差分データと復元後の差分データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の手法を採用することが好ましい。
【0095】
本実施形態においては、可逆圧縮の手法として、ハフマン符号化の手法を採用することとする。
なお、本実施形態では、差分データに対する圧縮処理の手法として、ハフマン符号化の手法を採用するが、差分データに対する圧縮処理の手法は必ずしもハフマン符号化の手法に限定されるものではなく、圧縮テーブルを参照して差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることにより圧縮処理を行う手法であれば、他の可逆圧縮の手法或いは不可逆圧縮の手法を用いて差分データに対する圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0096】
本実施形態においては、ハフマン符号化の手法によって差分データに対する圧縮処理を行うために、圧縮コードであるハフマンコードを記憶する圧縮テーブル、具体的には、差分データのデータ値と当該差分データに割り当てるハフマンコードとを対応付けて記憶する圧縮テーブルが、予め圧縮用FPGA23のRAM領域23aと記憶手段40のテーブル記憶領域40bとに格納されており、圧縮手段としての圧縮用FPGA23は、圧縮処理の際にはこれらのテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行うように構成されている。
【0097】
具体的には、圧縮用FPGA23の圧縮制御部46は、上記のようにして差分データを作成するごとに、圧縮テーブルを参照して、当該差分データに対して対応するハフマンコードを割り当てるように構成されている。すなわち、各ハフマンコードが、圧縮された各差分データに相当する。なお、ハフマン符号化によるデータ圧縮では、よく知られているように、出現頻度が高いデータほど短いハフマンコードが割り当てられるようになっている。
【0098】
ここで、本発明に係る差分データに対する圧縮処理の特徴について説明する。
【0099】
圧縮用FPGA23の内部に設けられた内部メモリとしてのRAM領域23aには、圧縮テーブルとして、ハフマン符号化のためのハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1が格納されている。
一方、圧縮用FPGA23の外部に設けられた外部メモリとしての記憶手段40には、圧縮テーブルとして、ハフマン符号化のためのハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納されている。
【0100】
そして、圧縮制御部46は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定する。
具体的には、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)が予め設定されており、圧縮制御部46は、作成した差分データごとに、当該差分データのデータ値に基づいて、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであるか否かを判断する。そして、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであると判断した場合には、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定する。一方、当該差分データは出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れでもないと判断した場合には、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定する。
【0101】
その後、圧縮制御部46は、特定した圧縮テーブルを参照して、当該差分データに対して対応するハフマンコードを割り当てる。
具体的には、圧縮制御部46は、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定した場合には、内部メモリであるRAM領域23aへとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、RAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てる。一方、圧縮制御部46は、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定した場合には、外部メモリである記憶手段40へとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納されている第2圧縮テーブルT2から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てる。
【0102】
そして、圧縮制御部46は、各差分データに割り当てた各ハフマンコードをバッファメモリ44c(図10や図12参照)に一時的に格納し、アンテナ装置39を介して外部装置に順次転送するように構成されている。
【0103】
この場合、放射線画像撮影装置1から差分データが転送される先の外部装置も同じ圧縮テーブルを備えており、外部装置では、解凍処理の際に、圧縮テーブルを参照して、転送されてきた圧縮された差分データを解凍するように構成される。
なお、外部装置が備える圧縮テーブルは、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とに分割されていてもよいし、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とに分割されていなくてもよい。
【0104】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1から圧縮された差分データ(すなわちハフマンコード)の転送を受けた外部装置側での画像データの復元について説明する。
以下、まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1を備える放射線画像撮影システム50の構成について説明する。
【0105】
図15は、放射線画像撮影システム50の全体構成を示す図である。
放射線画像撮影システム50は、例えば、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、放射線画像として医療用の診断画像を撮影するシステムとして採用することができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0106】
放射線画像撮影システム50は、図15に示すように、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師等の操作者が被写体に照射する放射線の制御等の種々の操作を行う前室R2と、それらの外部とに配置される。
【0107】
撮影室R1には、例えば、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51と、被写体に照射する放射線を発生させるX線管球を備えた放射線源(図示省略)を備える放射線発生装置52と、無線アンテナ53を備え放射線画像撮影装置1とコンソール58等の外部装置とが通信する際にこれらの通信を中継する基地局54とが設けられている。
【0108】
なお、図15では、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填した状態で用いる場合と、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、具体的には臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる場合等とが示されているが、前述したように、放射線画像撮影装置1はブッキー装置51や支持台等と一体的に形成されたものであってもよい。
ここで、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる他に、例えば撮影室R1内に設けられたベッド等の上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足などとベッドとの間に差し込んだりして用いることも可能である。
【0109】
また、図15では、放射線画像撮影装置1と基地局54とを無線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して無線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、放射線画像撮影装置1と基地局54とをLAN(Local Area Network)ケーブル等で有線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成することも可能である。
また、図15では、ブッキー装置51と基地局54とを有線接続し、ブッキー装置51に装填されている放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、これに限定されることはなく、ブッキー装置51と基地局54とは有線接続されていなくてもよい。
【0110】
また、図15では、撮影室R1内に、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられるブッキー装置51の個数や種類は特に限定されない。
また、図15では、撮影室R1内に、放射線発生装置52として、ブッキー装置51に対応付けられた放射線発生装置52Aと、ポータブルの放射線発生装置52Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられる放射線発生装置52の個数や種類は特に限定されない。
【0111】
また、図15に示すように、本実施形態において、撮影室R1には、放射線画像撮影装置1が挿入されると、放射線画像撮影装置1から当該放射線画像撮影装置1を識別するためのカセッテIDを読み取り、基地局54を介してコンソール58等の外部装置に通知するクレードル55が備えられている。なお、前述したように、このクレードル55で放射線画像撮影装置1の充電等を行うように構成することも可能である。
【0112】
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する放射線発生装置52が設けられている。
そして、本実施形態においては、撮影室R1に隣接する前室R2に、放射線発生装置52の操作卓57が設けられており、この操作卓57には、放射線技師等の操作者が放射線発生装置52に対して放射線の照射開始等を指示する際に操作するための操作スイッチ56が設けられている。
【0113】
また、放射線発生装置52は、放射線技師等の操作者が操作卓57を操作して或いは手動で、放射線画像撮影装置1に対して放射線が適切に照射されるように放射線照射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように絞りを調整したり、適切な線量の適切な線質の放射線が照射されるように放射線源を調整したりすることができるように構成されている。
【0114】
[コンソール]
コンソール58は、図15に示すように、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部58aと、コンソール58の各機能部の動作等を制御する制御部58bと、HDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶手段59と、LANケーブル等によって基地局54と接続され放射線画像撮影装置1等の他の装置との間で通信を行うための通信部(図示省略)と、キーボードやマウスなどからなる入力部(図示省略)とを備えて構成されるコンピュータである。
【0115】
なお、図15では、コンソール58が撮影室R1や前室R2の外側に設けられている場合が示されているが、コンソール58は、例えば前室R2に設けられていてもよい。
また、図15では、コンソール58に記憶手段59が接続されている場合が示されているが、記憶手段59はコンソール58に内蔵されていてもよい。
【0116】
コンソール58の制御部58bは、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、CPUは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、コンソール58の各機能部の動作等を制御するように構成されている。
【0117】
<復元処理>
以下、コンソール58における画像データの復元処理について説明する。
【0118】
コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、基地局54を介して放射線画像撮影装置1からハフマンコード、すなわち圧縮された差分データが転送されてくると、それらを一旦記憶手段59に保存した後、それらに基づいて画像データを復元するように構成されている。
【0119】
具体的には、コンソール58は、まず、記憶手段59等に予め格納されている圧縮テーブルを読み出し、読み出した圧縮テーブルを参照して、放射線画像撮影装置1からの各ハフマンコードを元の差分データに解凍し、解凍した元の差分データに基づいて元の画像データを復元する。
【0120】
この場合、コンソール58側でも前述した基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が予め記憶手段59等に保存されており、コンソール58は、まず、これらの基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を読み出す。
【0121】
そして、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を復元し、
Dc(0,m)+ΔD(1,m)→D(1,m) …(1)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を復元する。この処理は、図13に示した走査線5のラインL1に接続された放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…に対する処理の逆の処理に相当する。
【0122】
その後、コンソール58は、復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0123】
次いで、コンソール58は、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…を復元する。
【0124】
そして、先に復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を用いて、
D(1,m)+ΔD(2,m)→D(2,m) …(2)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を復元し、復元した画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0125】
このようにして、コンソール58は、圧縮テーブルを参照して、各差分データΔD(n,m)に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(n,m)…を復元し、先に算出した画像データD(n−1,m)を用いて、
D(n−1,m)+ΔD(n,m)→D(n,m) …(3)
を演算していくことで、全ての画像データD(n,m)を順次復元するように構成されている。
【0126】
そして、コンソール58は、このようにして復元した画像データに基づいて、医療用の放射線画像である診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示したり、他の装置に送信したりする。
【0127】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について、図16のフローチャート等を参照して説明する。
【0128】
まず、本実施形態において、放射線画像撮影装置1は、制御手段22が備えるROM22b等の不揮発性メモリに、差分データのデータ値と当該差分データに割り当てるハフマンコードとを対応付けて記憶する圧縮テーブルや、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を、予め格納していることとする。
【0129】
そして、例えば放射線画像撮影装置1の電源がONされると、制御手段22が備えるCPU22aは、ROM22b等の不揮発性メモリに格納されている圧縮テーブルに基づいて、第1圧縮テーブルT1と第2圧縮テーブルT2とを作成する。
具体的には、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)が予め設定されており、CPU22aは、圧縮テーブルに記憶されているハフマンコードのうち、出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa)に対応付けられたハフマンコードを、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに記憶させて第1圧縮テーブルT1を作成し、出現頻度が所定の閾値Q未満となる差分データのデータ値(−ΔDa〜ΔDa以外のデータ値)に対応付けられたハフマンコードを、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに記憶させて第2圧縮テーブルT2を作成する。これにより、第1圧縮テーブルT1が、内部メモリであるRAM領域23aに格納され、第2圧縮テーブルT2が、外部メモリである記憶手段40に格納される。
【0130】
なお、ここでいう「出現頻度」とは、平均的な出現頻度である。
すなわち、例えば、放射線画像撮影装置1を医療用の放射線画像の撮影装置として用いる場合、被写体である患者の身体の撮影部位(胸部、頭蓋骨、腰椎等)やその撮影方向(正面、側面等)によって、照射する放射線の線量や照射時間などの撮影条件が変えられる場合も多い。このように撮影条件等が変わると、各差分データの出現頻度も変わるが、本実施形態では、様々な撮影条件等を考慮して各差分データの平均的な出現頻度を予め算出し、当該平均的な出現頻度の分布に基づいて、平均的な出現頻度が高い差分データほど短いハフマンコードが割り当てられるよう、各差分データにハフマンコード(ハフマン符号化の符号ビット)を割り当てて圧縮テーブルを作成し、作成した圧縮テーブルをROM22b等の不揮発性メモリに格納していることとする。そして、当該圧縮テーブルに基づいて、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てられるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1と、平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満となる差分データ(差分データ−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に割り当てられるハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2とを作成するように構成されていることとする。すなわち、平均的な出現頻度が高い差分データほど短いハフマンコードが割り当てられるようになっているので、短いハフマンコードほど第1圧縮テーブルT1に記憶され、長いハフマンコードほど第2圧縮テーブルT2に記憶されている。
ちなみに、本実施形態において、差分データは、撮影条件等にかかわらず、例えば後述する図18や図19に示すように、ΔD=0を中心とする正規分布状の分布を示す。そのため、本実施形態では、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上となる差分データの範囲を、ΔD=0を中心としてΔD=0からΔDa離れた範囲−ΔDa〜ΔDaとしている。
また、所定の閾値Qは、外部メモリである記憶手段40の記憶容量と内部メモリであるRAM領域23aの記憶容量との双方を考慮して適宜選択可能となっている。
【0131】
また、例えば放射線画像撮影装置1の電源がONされると、制御手段22が備えるCPU22aは、ROM22b等の不揮発性メモリから基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を取得して、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに記憶させる。
【0132】
次いで、放射線画像撮影等が行われて、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに画像データが保存されると、圧縮用FPGA23の圧縮制御部46は、記憶手段40の画像データ記憶領域40aに保存されている画像データを読み出し、信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成する。
【0133】
そして、差分データを作成するごとに、圧縮制御部46は、図16に示すように、作成した差分データのデータ値に基づいて、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであるか否かを判断する(ステップS1)。
【0134】
ステップS1で、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れかであると判断した場合(ステップS1;Yes)には、圧縮制御部46は、第1圧縮テーブルT1を参照すると特定し、内部メモリであるRAM領域23aへとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、RAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てることによって、当該差分データに対する圧縮処理を行う(ステップS2)。
【0135】
一方、ステップS1で、当該差分データは、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの何れでもないと判断した場合(ステップS1;No)には、圧縮制御部46は、第2圧縮テーブルT2を参照すると特定し、外部メモリである記憶手段40へとアクセスして所定のアクセスシーケンスを実行し、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納されている第2圧縮テーブルT2から当該差分データのデータ値に対応するハフマンコードを取得し、取得したハフマンコードを当該差分データに対して割り当てることによって、当該差分データに対する圧縮処理を行う(ステップS3)。
【0136】
そして、圧縮制御部46は、ステップS1〜S3の処理を、差分データの作成が終了するまで繰り返して実行する。
【0137】
そして、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から圧縮された差分データが転送されてきた場合、当該圧縮された差分データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の画像データを復元する。そして、当該復元した画像データに対してオフセット補正処理やゲイン補正処理や欠陥画素補正処理などの画像補正処理を行う等して当該復元した画像データに基づき診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示等する。
【0138】
従来、放射線画像撮影装置において、圧縮処理に使用する圧縮テーブルは、内部メモリであるRAM領域23aの記憶容量に制限がある等の観点から、外部メモリである記憶手段40のみに格納されていた。そのため、圧縮制御部46は、差分データに割り当てるハフマンコードを取得するために、外部メモリである記憶手段40へとアクセスしなければならず、その分、差分データに対する圧縮処理に時間が掛かっていた。また、外部メモリである記憶手段40からハフマンコードを取得するためには、複雑なアクセスシーケンスが必要な場合もあり、その場合、差分データに対する圧縮処理にさらに時間が掛かっていた。
【0139】
これに対し、本実施形態においては、圧縮テーブルを、圧縮処理のためのハフマンコードのうち一部のハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1と、残りのハフマンコードを記憶する第2圧縮テーブルT2とに分割し、第1圧縮テーブルT1を内部メモリであるRAM領域23aに格納するとともに、第2圧縮テーブルT2を外部メモリである記憶手段40に格納している。これにより、外部メモリである記憶手段40へとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては圧縮処理の際に記憶手段40へのアクセス時間や記憶手段40とのアクセスシーケンスが不要になるので、その分、1画像分の圧縮処理に要する時間、すなわち、1画像分の差分データ全てを圧縮するために要する総時間を短縮することが可能となる。
【0140】
1画像分の圧縮処理に要する時間がどの程度短縮されるかは、外部メモリである記憶手段40の仕様(具体的には、アクセスシーケンスの内容や圧縮用FPGA23と同期しているか否かなど)、所定の閾値Qの設定の仕方、撮影条件等によって決まるため、一概に示すことは難しい。具体例として、例えば、図17(b)に示すような場合、すなわち、1画像分の全差分データのうち、50%の差分データが、第1圧縮テーブルT1を用いて圧縮処理を行う差分データ(図17(b)における「データ1」や「データ2」)であるとともに、残りの50%の差分データが、第2圧縮テーブルT2を用いて圧縮処理を行う差分データ(図17(b)における「データ3」や「データ4」)である場合であり、かつ、第1圧縮テーブルT1を用いて行う圧縮処理に要する時間が、第2圧縮テーブルT2を用いて行う圧縮処理に要する時間の1/3である場合は、図17(a)に示す従来の場合、すなわち、外部メモリである記憶手段40のみに圧縮テーブルが格納されている場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間を約33%減少させることが可能となる。
【0141】
さらに、本実施形態において、内部メモリであるRAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1は、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶しているので、1画像分の圧縮処理に要する時間をさらに短縮することが可能となる。
すなわち、撮影条件等にかかわらず、1画像分の全差分データには、平均的な出現頻度が比較的高い差分データの方が、平均的な出現頻度が比較的低い差分データよりも多く含まれている場合が多い。本実施形態においては、内部メモリであるRAM領域23aに、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶する第1テーブルT1を格納しているので、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が、外部メモリである記憶手段40にアクセスする頻度よりも高くなる場合が多い。そのため、逆の場合、すなわち、内部メモリであるRAM領域23aに平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データ(−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に対して割り当てるハフマンコードを記憶し、外部メモリである記憶手段40に平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶する場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0142】
また、本実施形態において、圧縮制御部46は、同じ信号線6に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データの差分を算出して差分データを作成するので、同じ走査線5に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データの差分を算出して差分データを作成する場合と比較して、1画像分の圧縮処理に要する時間をさらに短縮することが可能となるとともに、差分データの圧縮率を向上させることが可能となる。
【0143】
ここで、本願発明者らの研究によると、走査線方向に隣接する画像データ同士、すなわち同じ走査線5に接続された互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して作成した差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かった。
【0144】
このように走査線方向の差分データが、比較的広い範囲に分布することの原因を明らかにするために、放射線画像撮影装置1に被写体を介さずに一様に放射線を照射した場合に同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…から読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データを作成したところ、図18に示すような差分データの分布が得られた。なお、図18や後述する図19において、縦軸はその差分データΔDの出現頻度Fを表す。出現頻度Fは、放射線画像撮影装置1に被写体を介さずに一様に放射線を照射した場合に得られた実際の出現頻度であり、平均的な出現頻度ではないとする。
【0145】
図18に示すように、同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…は同じ線量の放射線の照射を受けているにもかかわらず、或いは同じ線量の放射線の照射を受けたシンチレータ3で変換された同じ強度の電磁波の照射を受けているにもかかわらず、それらから読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かる。
【0146】
差分データの分布が広くなる原因が、図5に示したように各層が積層されて形成される各放射線検出素子7の製造ばらつきによるものとするには、分布の広がり方が大き過ぎる。
そのため、このように同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子7から読み出された画像データの各差分データの分布が図18に示したような分布になる主な原因は、各放射線検出素子7から画像データを読み出す読み出し回路17の出力特性が各読み出し回路17ごとに異なり、各読み出し回路17の出力特性にばらつきがあるためと考えられている。
【0147】
すなわち、本実施形態においては、図9に示したように、各読み出しIC16内に形成された計2048個の読み出し回路17を備えているが、各読み出し回路17において増幅回路18の電荷電圧変換特性や相関二重サンプリング回路19のサンプリング特性などが総合された読み出し回路17の出力特性がそれぞれ異なる。そのため、各放射線検出素子7から各読み出し回路17に送られる画像データが同じ値であっても、各読み出し回路17で電荷電圧変換されて出力される画像データは異なる値になると考えられている。
【0148】
なお、この各読み出し回路17の出力特性が異なることにより画像データに生じる差異は、例えば、コンソール58等の外部装置に転送された後、画像補正処理の際に画像データ(正確には画像データからオフセット分を差し引いた値)に乗算する各読み出し回路17ごとのゲイン補正値を調整することにより解消され、或いは軽減される。
【0149】
図18に示したような幅広の分布では、図18に示す分布全体に対する斜線領域の割合からも分かるように、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの割合が比較的小さくなる。
そのため、図18に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1を使用する頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が比較的低くなる。そのため、1画像分の圧縮処理に要する時間をさほど短縮できないと考えられる。
また、図18に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、さほど短くないハフマンコードが割り当てられる差分データの数が比較的多くなる。そのため、差分データの圧縮率がさほど高くならないと考えられる。
【0150】
これに対して、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から読み出された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…の各差分データは、図19に示すように、比較的狭い範囲に分布することが分かった。
【0151】
これは、図7に示した構成を見れば分かるように、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から読み出された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…は同一の読み出し回路17により電荷電圧変換等がなされるため、差分データの分布には上記のような各読み出し回路17の出力特性のばらつきの影響は現れない。したがって、この場合は、まさに各放射線検出素子7の製造ばらつきによる影響のみが反映されて、差分データの分布が図19に示したような幅狭の分布になると考えられる。
【0152】
図19に示したような幅狭の分布では、図19に示す分布全体に対する斜線領域の割合からも分かるように、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaの割合が比較的大きくなる。
そのため、図19に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに割り当てるハフマンコードを記憶する第1圧縮テーブルT1を使用する頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が比較的高くなり、1画像分の圧縮処理に要する時間がさらに短縮できると考えられる。すなわち、本実施形態のように信号線方向に差分を取ると、走査線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮処理に要する時間が短縮される。
また、図19に示したような分布を有する各差分データに対して圧縮処理を行うと、短いハフマンコードが割り当てられる差分データの数が比較的多くなり、差分データの圧縮率が向上すると考えられる。すなわち、本実施形態のように信号線方向に差分をとると、走査線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮率が向上する。
【0153】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、内部メモリであるRAM領域23aには、圧縮処理のための圧縮コードであるハフマンコードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が格納され、外部メモリである記憶手段40には、圧縮処理のための圧縮コードであるハフマンコードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルT2が格納されている。そして、複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段である圧縮用FPGA23は、作成した差分データごとに、当該差分データに基づいて第1圧縮テーブルT1および第2圧縮テーブルT2のうちの何れを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって圧縮処理を行うように構成されている。
【0154】
従来は、圧縮テーブルが外部メモリである記憶手段40のみに格納されていたため、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、差分データごとに外部メモリである記憶手段40へとアクセスしなければならず、その分、圧縮処理に時間が掛かっていた。これに対し、本実施形態のように構成することで、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、外部メモリである記憶手段40へとアクセスする割合が低減され、一部の差分データについては記憶手段40へのアクセス時間や記憶手段40とのアクセスシーケンスが不要になるので、その分、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0155】
また、1画像分の圧縮処理に要する時間を短縮することが可能となるので、圧縮処理時の消費電力を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に示したように放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合、バッテリ41の電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置1をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
【0156】
また、第1圧縮テーブルT1は、圧縮処理のためのハフマンコードのうちの一部を記憶しているので、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、例えば内部メモリの記憶容量に制限があり、全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを内部メモリであるRAM領域23aに格納できない場合であっても、第1圧縮テーブルT1は内部メモリであるRAM領域23aに格納することが可能となる。
また、第2圧縮テーブルT2は、圧縮処理のためのハフマンコードのうちの残りを記憶しているので、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルと比較して、省サイズ化が可能となる。したがって、全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを外部メモリである記憶手段40に格納する場合と比較して、外部メモリである記憶手段40の記憶容量を圧縮テーブルの格納により消費してしまうことを抑制することが可能となる。
【0157】
また、圧縮処理のためのハフマンコードの一部を記憶する第1圧縮テーブルT1が内部メモリであるRAM領域23aに格納されているので、外部メモリである記憶手段40に、圧縮処理のための全ハフマンコードを記憶する圧縮テーブルを格納する必要がなくなり、記憶手段40自体のメモリ容量を削減することが可能となる。
【0158】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、第1圧縮テーブルT1は、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、平均的な出現頻度が所定の閾値Q以上の差分データ−ΔDa〜ΔDaに対して割り当てるハフマンコードを記憶し、第2圧縮テーブルT2は、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、平均的な出現頻度が所定の閾値Q未満の差分データ(差分データ−ΔDa〜ΔDa以外の差分データ)に対して割り当てるハフマンコードを記憶している。
【0159】
1画像分の全差分データには、平均的な出現頻度が比較的高い差分データの方が、平均的な出現頻度が比較的低い差分データよりも多く含まれている場合が多い。そのため、本実施形態のように構成することで、1画像分の全差分データに対する圧縮処理を行うに際して、第1圧縮テーブルT1を用いる頻度、すなわち内部メモリであるRAM領域23aにアクセスする頻度が、第2圧縮テーブルT2を用いる頻度、すなわち外部メモリである記憶手段40にアクセスする頻度よりも高くなり、1画像分の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0160】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、圧縮処理のための圧縮コードは、ハフマンコードであり、圧縮手段である圧縮用FPGA23は、特定した圧縮テーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って圧縮処理を行うように構成されている。そして、圧縮処理のためのハフマンコードのうち、短いハフマンコードほど第1圧縮テーブルT1に記憶され、長い圧縮コードほど第2圧縮テーブルT2に記憶されている。
【0161】
したがって、内部メモリの記憶容量に制限がある場合であっても、内部メモリであるRAM領域23aに格納される第1圧縮テーブルT1に、より多くのハフマンコードを記憶させることができるので、1画像分の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0162】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、圧縮手段である圧縮用FPGA23は、同じ信号線6に接続された複数の放射線検出素子7から出力された各画像データについて、隣接する放射線検出素子7の画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。
【0163】
このように構成することで、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、走査線方向に並ぶ各画像データの差分データに対する圧縮処理のように各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって内部メモリであるRAM領域23aに格納されている第1圧縮テーブルT1を用いる頻度が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された1画像分の画像データの差分データを圧縮する際の圧縮処理に要する時間を的確に短縮することが可能となる。
【0164】
また、このように構成することで、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、走査線方向に並ぶ各画像データの差分データに対する圧縮処理のように各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された画像データの差分データを圧縮する際の圧縮率を的確に向上させることが可能となる。
【0165】
また、本実施形態のように差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となることで、転送するデータ量が軽減され、転送時間も短縮されるため、消費電力を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に示したように放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合、バッテリ41の電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置1をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
【0166】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0167】
上記の実施形態では、圧縮テーブルとして、一種類の圧縮テーブル(すなわち、一種類の第1圧縮テーブルT1および一種類の第2圧縮テーブルT2)のみを備えるように構成したが、これに限定されることはなく、例えば、複数種類の圧縮テーブル(すなわち、複数種類の第1圧縮テーブルT1および複数種類の第2圧縮テーブルT2)を備えるように構成し、放射線画像撮影装置1の圧縮制御部46やコンソール58の制御部58bで圧縮テーブルの種類を選択して参照するように構成することも可能である。なお、このように複数種類の圧縮テーブルを備える場合も、複数種類の第1圧縮テーブルT1は、圧縮用FPGA23のRAM領域23aに格納され、複数種類の第2圧縮テーブルT2は、記憶手段40のテーブル記憶領域40bに格納される。
【0168】
例えば、上記のように放射線画像撮影装置1を医療用の放射線画像の撮影装置として用いる場合、被写体である患者の身体の撮影部位(胸部、頭蓋骨、腰椎等)やその撮影方向(正面、側面等)によって、照射する放射線の線量や照射時間などの撮影条件が変えられる場合も多い。
そのため、被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向などを含む撮影条件ごとに圧縮処理のための圧縮テーブルを予め複数種類備えておき、圧縮制御部46が、設定された撮影条件に応じて圧縮テーブルの種類を選択し、選択した種類の圧縮テーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って差分データに対する圧縮処理を行うように構成すれば、撮影条件に即して差分データの圧縮率をより向上させることが可能となる。
また、このように撮影条件に応じて複数種類の圧縮テーブルを備える場合、撮影条件に応じて所定の閾値Qを変更することも可能である。
【0169】
また、上記の実施形態では、圧縮用FPGA23を、差分データを作成して圧縮処理を行う圧縮手段としたが、これに限ることはなく、例えば、CPU22a等からなるコンピュータを、差分データを作成して圧縮処理を行う圧縮手段としてもよい。なお、CPU22a等からなるコンピュータが圧縮手段である場合、第1圧縮テーブルT1は、当該コンピュータの内部メモリ(RAM22c等)に格納される。
【符号の説明】
【0170】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
17 読み出し回路
23 圧縮用FPGA(圧縮手段)
23a RAM領域(内部メモリ)
40 記憶手段(外部メモリ)
P 検出部
r 領域
T1 第1圧縮テーブル
T2 第2圧縮テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記放射線検出素子から前記信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して画像データとして出力する読み出し回路と、
複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段と、
前記圧縮手段の外部に設けられた外部メモリと、
前記圧縮手段の内部に設けられた内部メモリと、を備え、
前記内部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが格納され、
前記外部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが格納され、
前記圧縮手段は、作成した前記差分データごとに、当該差分データに基づいて前記第1圧縮テーブルおよび前記第2圧縮テーブルのうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって前記圧縮処理を行うことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記第1圧縮テーブルは、前記圧縮処理のための圧縮コードのうち、出現頻度が所定の閾値以上の前記差分データに対して割り当てる圧縮コードを記憶し、
前記第2圧縮テーブルは、前記圧縮処理のための圧縮コードのうち、出現頻度が前記所定の閾値未満の前記差分データに対して割り当てる圧縮コードを記憶することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記圧縮処理のための圧縮コードは、ハフマンコードであり、
前記圧縮手段は、前記特定した圧縮テーブルを参照して前記差分データのハフマン符号化を行って前記圧縮処理を行い、
前記圧縮処理のためのハフマンコードのうち、短いハフマンコードほど前記第1圧縮テーブルに記憶され、長いハフマンコードほど前記第2圧縮テーブルに記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記圧縮手段は、同じ前記信号線に接続された複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記放射線検出素子から前記信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を電気信号に変換して画像データとして出力する読み出し回路と、
複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う圧縮手段と、
前記圧縮手段の外部に設けられた外部メモリと、
前記圧縮手段の内部に設けられた内部メモリと、を備え、
前記内部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの一部を記憶する第1圧縮テーブルが格納され、
前記外部メモリには、前記圧縮処理のための圧縮コードのうちの残りを記憶する第2圧縮テーブルが格納され、
前記圧縮手段は、作成した前記差分データごとに、当該差分データに基づいて前記第1圧縮テーブルおよび前記第2圧縮テーブルのうちの何れの圧縮テーブルを参照するか特定し、特定した圧縮テーブルを参照して当該差分データに対して対応する圧縮コードを割り当てることによって前記圧縮処理を行うことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記第1圧縮テーブルは、前記圧縮処理のための圧縮コードのうち、出現頻度が所定の閾値以上の前記差分データに対して割り当てる圧縮コードを記憶し、
前記第2圧縮テーブルは、前記圧縮処理のための圧縮コードのうち、出現頻度が前記所定の閾値未満の前記差分データに対して割り当てる圧縮コードを記憶することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記圧縮処理のための圧縮コードは、ハフマンコードであり、
前記圧縮手段は、前記特定した圧縮テーブルを参照して前記差分データのハフマン符号化を行って前記圧縮処理を行い、
前記圧縮処理のためのハフマンコードのうち、短いハフマンコードほど前記第1圧縮テーブルに記憶され、長いハフマンコードほど前記第2圧縮テーブルに記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記圧縮手段は、同じ前記信号線に接続された複数の前記放射線検出素子から出力された前記各画像データについて、隣接する前記放射線検出素子の前記画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−156648(P2012−156648A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12284(P2011−12284)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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