説明

新規な化合物、この化合物を含む医薬組成物、この化合物の使用方法、およびこの化合物の調製方法



本発明は、式Iを含む新規な類型の化合物に関し、式中、nは0または1である。Aは、NR、OまたはSであり、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキルである。Xは、カルボキシレート残基、ホスホネート残基もしくはホスフェート残基、またはカルボキシレート残基、ホスホネート残基もしくはホスフェート残基で任意選択で置換されたC〜C10アルキル残基である。YおよびZは、明細書中に記載のとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2008年7月7日に出願された米国仮特許出願第61/129,578号からの優先権を主張し、この出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、新規な化合物、該化合物を含む医薬組成物、およびグリセロール3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)の活性をすることによるさまざまな治療上有益な用途、例えば限定されないが、肥満の処置のための使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
トリアシルグリセロール量の増加と関連している肥満および他の疾患の発生は、次第に、公衆の深刻な健康問題として認識されてきている。現在、世界保健機関によると、世界中で少なくとも4億人の成人が肥満であると推定されている。米国単独では、成人のほぼ3分の2が太り過ぎまたは肥満であると推定されている。種々の疾患、例えば、2型糖尿病、高血圧、心血管疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、および一部の特定の型の癌が肥満と関連している。
【0004】
有効で広く利用可能な抗肥満治療薬の必要性が明白であるにもかかわらず、米国で長期使用が承認されているかかる薬物は2つしかない。オルリスタットは、食事脂肪の吸収をブロックすることにより機能を果たし、シブトラミンは、中枢神経系に作用してエネルギー摂取量を減少させ、エネルギー使用量を増大させる。完全に無効ではないが、これらの薬物はいずれも、示される有効性が限定的であり、望ましくない副作用が生じる。
【0005】
現在開発中の抗肥満薬は、中枢対象と末梢対象の両方を伴う多種多様な機構を利用するものである。トリグリセリドのデノボ合成を低減させるとともに貯蔵された脂肪の酸化を増大させることによる脂質代謝の改変は、末梢機構である。このアプローチは、化合物C75、セルレニンおよびhGH(177−191)で観察された体重減少効果に基づいたものであり、抗肥満薬の開発において高度に有益であり得る。
【0006】
グリセロール3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)は、グリセロ脂質生合成の律速段階である、飽和長鎖アシル−CoAによるグリセロール3−リン酸のアシル化を触媒する。現在、4つのGPATファミリー構成員:肝臓での大量のトリグリセリド合成を触媒するミトコンドリア内異性体である、GPAT1;トリグリセリドを合成するが、食事制限にあまり応答性でない第2のミトコンドリア内異性体である、GPAT2;小胞体に局在しており、脂肪細胞、小腸、腎臓および心臓における大量のトリグリセリド合成を担うGPAT3;ならびに機能が完全に解明されていないミクロソーム内異性体であるGPAT4が確認されている。グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼ−1のミトコンドリア内異性体(mtGPAT)は、sn−グリセロール3−リン酸による長鎖アシル−CoAのエステル化を触媒し、リゾホスファチド酸(LPA)を生成させる。この反応は、グリセロ脂質の生合成の第一の律速(committed and rate−limiting)段階を構成していると考えられる。この反応の推定される(purported)機構は、セリンプロテアーゼのものと類似しており、グリセロール3−リン酸では、3つの触媒性部分内のセリンが第1級ヒドロキシル基に置き換えられる。次に、LPAがさらにエステル化され、種々のリン脂質(例えば、動物脂肪の主成分であるトリアシルグリセロール(TAG))の前駆物質であるホスファチジン酸が生成される。肥満に加え、血流中の高TAGレベルは、いくつかの疾患、特に、アテローム性動脈硬化および膵炎と関連している。
【0007】
mtGPAT1は、パルミトイル−CoA(16:0)の組込みに対して強い優先性を示し、それにより、主に飽和リン脂質を生成させるが、他の2つの酵素は選択的ではないことが示されている。GPATの3つの異性体のうち、mtGPAT1だけが食事または運動の変化に影響される。高炭水化物の食事により過剰なカロリーが摂取された場合、mtGPAT1のmRNAの発現が増大し、より大きなmtGPAT1活性がもたらされる。長時間の運動治療プログラムの後、10時間静置させたマウスは、全く運動をさせず、トリアシルグリセロール(TAG)合成の有意なオーバーシュートがもたらされたマウスと比べて、mtGPAT1活性の増大が見られたことが示されている。MtGPAT1欠損マウスでは、対照マウスよりも低い肝臓内TAGレベルが示され、分泌される超低密度リポタンパク質(VLDL)が少ない。対照的に、2.7倍高いmtGPAT1活性を有するラット肝細胞では、ジアシルグリセロールのデノボ合成の有意な増加が示された。インビボでのmtGPAT1の過剰発現により、既報の結果から予測されるように、マウス肝臓内に蓄積されたTAGおよびジアシルグリセロール(DAG)のレベルが正常レベルの12倍および7倍に劇的に上昇した。存在する活性酵素の量に依存性である一定量のTAGの生成に加え、mtGPAT1活性は、脂肪族アシルCoAのβ−酸化またはグリセロ脂質合成への分配の制御に不可欠である。
【0008】
mtGPAT1、およびβ−酸化の律速段階を触媒する酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)はともに、ミトコンドリアの外側膜に局在している。これは、これらの酵素間に、脂肪族アシル−CoA基質に対する競合が存在することを示唆する。AMP活性化型プロテインキナーゼ(AMPK)は、リン酸化によるアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)を不活化し、これらの酵素の両方を短期的に調節するようである。AMPKによるACCの不活化により、CPT−1のアロステリック抑制因子であるマロニル−CoAの構築が抑制され、β−酸化の増大がもたらされる。AMPKはまた、mtGPAT1を阻害し、それにより、生成されるTAGの量が減少する。この2つのプロセス間の関係はインビボで実証されている。mtGPAT1ノックアウトマウスに高脂肪、高糖分食事を与えて肥満を誘導させると、長鎖アシル−CoA基質の分配がTAG合成経路からCPT−1およびβ−酸化の方に移行するため、酸化の増大がもたらされた。ラット肝細胞でのMtGPAT1の過剰発現により、脂肪酸酸化の80%の低減とともに、リン脂質生合成の増大がもたらされた。インビボでの過剰発現でも同様に、β−酸化の低減がもたらされた。
【0009】
mtGPAT活性の低下によってTAGレベルの低下ならびにβ−酸化量の増大がもたらされることを示す証拠により、この酵素を小分子で阻害することが、肥満、糖尿病、およびTAG合成の増大と関連している他の健康問題の処置に有効であり得ることが示唆される。したがって、mtGPATおよび他のGPAT異性体を阻害し得る小分子の必要性が存在している。かかる化合物は、肥満の処置または体重減少の誘導に使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、式I:
【0011】
【化1】

を含む新規な類型の化合物に関し、式中、nは、0または1のいずれかである。Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキルのいずれかである。Xは、カルボキシレート残基、ホスホネート残基、ホスフェート残基、またはC〜C10アルキル残基からなる群より選択され、該アルキル残基は任意選択で、1つ以上のカルボキシレート残基、ホスホネート残基またはホスフェート残基で置換されている。Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環からなる群より選択され、任意選択で、1つ以上の位置がハライドで置換されていてもよい。Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環からなる群より選択される。Zがアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環である実施形態では、該環部分は、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
前述のことに基づき、本発明の1種類以上の化合物は、単独または別の活性成分との組合せのいずれかで、合成され得、本明細書において想定される投薬形態および投与経路、あるいは当該技術分野で知られた投薬形態および投与経路を用いて治療用組成物として投与され得る。さらに、投薬の様式および持続期間は、本明細書において示す要素および当業者によって通常考慮される要素に依存する。この目的を達成ため、治療有効量の決定は、特に、本明細書において提供する詳細な開示および実施例に鑑みると、充分当業者の能力の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物5a〜5dの製造のための第1の反応スキームを示す。
【図2】図2は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物5e〜5fの製造のための第2の反応スキームを示す。
【図3】図3は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物13a〜13fの製造のための第3の反応スキームを示す。
【図4】図4は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物15a〜15iの製造のための第4の反応スキームを示す。
【図5】図5は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物17a〜17fの製造のための第5の反応スキームを示す。
【図6】図6は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物21a〜21cの製造のための第6の反応スキームを示す。
【図7】図7は、本発明の化合物、特に、本明細書に開示した化合物24a〜24fの製造のための第1の反応スキームを示す。
【図8】図8は、本明細書に開示した化合物4a〜tの製造のための反応スキームを示す。
【図9】図9は、化合物7a〜tの製造のための反応スキームを示す。
【図10】図10は、3T3−L1脂肪細胞におけるアシルグリセリド合成のFSG67による阻害を示す。トリグリセリド合成の濃度依存性の低減は、対応する脂肪滴の蓄積の低減を示す培養細胞の位相差顕微鏡写真(×400)に反映されている。
【図11】図11は、痩せ型およびDIOマウスの短期FSG67処置により、味覚嫌悪学習(conditioned taste aversion)なしで体重が減少し、飼料消費量が減少したことを示す。体重および飼料摂取量は、痩せ型またはDIOマウス(8匹/群)においてFSG67の単回用量の20mg/kg ip後に測定し、(a)FSG67処置痩せ型マウス(灰色バー)は3.7±0.9%(1.0±0.2g)減少し、絶食マウスは15.5±0.7%(3.9±0.2g)減少した(黒バー)。処置マウスおよび絶食マウスではいずれも、体重の減少は、2.5±0.5%(0.6±0.1g)増加したビヒクル対照マウス(白色バー)と比べて有意であった(p<0.0001 両側t−検定)。(b)FSG67処置により、飼料消費量がビヒクル対照の33%に減少した(1.4±0.2g,灰色バーに対して、4.2±0.2g 白色バー,p<0.0001,両側t−検定)。(c)FSG67処置DIOマウス(灰色バー)は体重が4.3±0.5%(1.7±0.2g)減少し、絶食マウス(黒バー)では5.3±0.4%(2.1±0.2g)、ビヒクル対照(白色バー)では2.5±0.6%(1.0±0.2g)減少した。ビヒクル対照と比較すると、体重減少は、FSG67処置(p=0.026,両側t−検定)および絶食(p=0.002,両側t−検定)の両方のマウスで有意であり、(d)FSG67により、飼料消費量がヒクル対照の41.6%に減少した(0.5±0.1g,灰色バーに対して、1.2±0.3g,白色バー,p=0.043,両側t−検定)。(e)FSG67は、マウスにおいて味覚嫌悪学習を誘導しなかった。8匹の痩せ型マウスの群における2瓶選択パラダイムを用いたCTA試験において、5mg/kg(p=0.12)または20mg/kg(p=0.10)で、サッカリン摂取量の有意な低減は得られなかった(両側t−検定)。したがって、飼料摂取量に対するFSG67の効果は、おそらく、疾病挙動の誘導ではなく、食欲に対する特異的効果であった。データはすべて、平均±SEMで表示している(*,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図12】図12は、DIOマウスの長期FSG67処置により、体重および飼料摂取量は可逆的に減少するが、脂肪酸の酸化は増強されることを示す。(a)DIOマウス(4匹/群)を、FSG67 5mg/kg ip(赤)またはビヒクル対照(黒)で20日間(黒矢印は処置の終了を示す)毎日処置し、次いで体重を回復させた。FSG67処置マウスは、処置中(第0日〜第19日)に体重が10.3±0.6%減少したのに対して、ビヒクル対照では4.0±0.5%増加した(p>0.0001,二元配置ANOVA解析)。FSG67による体重減少は、処置動物では可逆的であり第32日目に元の体重に戻った。(b)飼料消費量は、FSG67処置中(2.6±0.1g/日)、ビヒクル対照と比べて(3.1±0.1g/日)有意に低かった(p=0.0008,二元配置ANOVA)。第20日目に処置を中止後、FSG67処置群では、飼料消費量が3.5±0.1g/日に増加し、ビヒクル対照3.2±0.1g/日と比べて飼料摂取量の有意な増加を示す(p=0.006,二元配置ANOVA)。(c)カロリーメーター内での3日間の馴化後、8匹のDIOマウス/群を、FSG67 5mg/kg ip(赤)またはビヒクル対照(黒)で毎日16日間、FSG67処置動物のペアフィード群(青)とともに処置した。体重は、FSG67処置動物では9.5±0.6%減少し、ペアフィードでは5.5±0.9%減少したが、ビヒクル対照では3.5±1.3%増加した。FSG67処置動物での体重減少は、ビヒクル対照およびペアフィード動物のどちらと比べても有意であった(p<0.0001,二元配置ANOVA)。(d)FSG67処置(赤)により、1日の平均飼料消費量は、ビヒクル対照(黒)3.1±0.1g/日と比べて33%減少した(2.0±0.1g/日)(p<0.0001,二元配置ANOVA)。(e)FSG67処置により、平均VO2は、処置前の値の106.5±1.1%に増大した(赤線)のに対して、ペアフィード群(青線)では89.9±1.1%に減少し(p<0.0001 二元配置ANOVA)、エネルギー利用量の増大と整合した。(f)対照的に、平均RERは、FSG67処置DIOマウス(0.732±0.002)(赤線)の方が、ペアフィード群(0.782±0.006)(青線)と比べて低く(p<0.0001,二元配置ANOVA)、燃料の脂肪酸に対する依存性が高いことが示された。
【図13】図13は、薬理学的GPAT阻害により、DIOマウスにおいて脂肪過多が減少し、脂質生成遺伝子の発現が下方調節されたことを示す。(a)FSG67処置またはビヒクル対照動物10匹/群のQ−NMR分析。FSG67処置動物(格子縞のバー)では、ビヒクル対照と比べて(白色バー)脂肪量の有意な低減(4.0g)が示されたが、除脂肪量(lean)および水分量は影響を受けなかった(p<0.0001,両側t−検定)。実験終了時、ビヒクル対照マウスはFSG67対照よりも4.4g体重が多かった(p=0.0014,両側t−検定)。(b)FSG67処置(格子縞のバー)、ビヒクル対照(白色バー)、およびペアフィード(黒バー)DIOマウスにおける脂質生成遺伝子の発現のリアルタイムRT−PCR解析(図4cに示す実験による)。FSG67によりACC1の発現が低減され(対照に対してp=0.0005,ペアフィードに対してp=0.0004)、FAS(対照に対してp=0.0001,ペアフィードに対してp=0.0007)、PPARγ(対照に対してp=0.032,ペアフィードに対してp=0.0019)、およびGPAT(対照に対してp=0.0034,ペアフィードに対してp=0.0002)はすべて、白色脂肪組織において下方調節された。データは両側t−検定により解析したものである(*,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図14】図14は、FSG67処置に関連する肝臓脂肪症および血清トリグリセリドおよびグルコースレベルの低減を示す。図4の16日間の処置実験の(a)ビヒクル対照、(b)ペアフィードおよび(c)FSG67処置DIOマウス由来の肝臓のオイルレッドで染色した組織学的検査用切片。細胞質内の大小の脂肪滴の蓄積は、主に、ビヒクル対照(a)で顕著なことに注目のこと。ペアフィードでは脂肪症は低減され、一方、FSG67処置動物では、ほぼ完全な脂肪蓄積の改善が示された。(d)同じ動物のビヒクル対照、FSG67処置およびペアフィードマウスの平均血清トリグリセリド、コレステロールおよびグルコースの測定値。FSG67処置動物では、血清グルコースレベル(153.3±10.5mg/dL)が、ペアフィードマウス(189.0±20.3mg/dL,p=0.047)およびビヒクル対照(200.6±22.2mg/dL,p=0.031 二元配置ANOVA)と比べて有意に低かった。このトリグリセリドレベルの低下は統計学的に有意ではなかった。コレステロールレベルは影響を受けなかった。データは、平均±SEMで表示している(*,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図15】図15は、脳室内(icv)FSG67処置に関連する飼料消費量と体重の低減を示す。(a)FSG67またはビヒクルを6匹の痩せ型マウスの群にicv投与した。処置の1日後、マウスの体重は、100(縦縞のバー)および320nmol(格子縞のバー)の両方の用量で有意に減少した(p=0.016,p=0.0003,両側t−検定)。(b)飼料摂取量の有意な低減は、320nmol群(格子縞のバー)でのみ、みられた(p=0.005,両側t−検定)(*,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図16】図16は、短期および長期FSG67処置により、視床下部内神経ペプチドの発現が改変されたことを示す。(a)視床下部内神経ペプチドのリアルタイムRT−PCR解析を、20mg/kgの単回用量のFSG67(図3aのもの)で処置した痩せ型マウスにおいて実施した。NPYは、FSG67処置群(灰色バー)では、絶食マウス(黒バー)(p=0.016)と比べて有意に少なく、一方、AGRP発現は、ビヒクル対照(白色バー)(p=0.02)および絶食マウス(p=0.0009)の両方と比べて低減されていた。POMCおよびCARTの発現は影響を受けなかった。(b)16日間処置したDIOマウス(図4cのもの)による同様の解析では、FSG67処置(p=0.0074)およびペアフィード対照(p=0.0057)の両方でNPY発現の低減が示された。AGRP、POMCおよびCARTの発現は影響を受けなかった。データは両側t−検定により解析したものである(*,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図17】図17は、DIOマウスにおけるFSG67の用量応答を示す。DIOマウスの群を、表示した用量のFSG67またはビヒクルで毎日ip処置した。5日間の過程で、5mg/kgは、ビヒクル対照と比べて3.9%の有意な体重減少がもたらされた最小用量であった(p=0.008,二元配置ANOVA)(* p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001)。
【図18】図18は、Q−NMR分析のためのDIOマウスのFSG67処置を示す。FSG67(5mg/kg)で10日間、毎日処置したDIOマウス(10匹/群)では、ビヒクル対照と比べて(1.1g,2.4%)、体重が有意に減少した(6.1g,13.1%)(p<0.0001,二元配置ANOVA)。
【図19】図19は、FSG67処置により、肝臓およびWATにおいてUCP2発現が増大することを示す。肝臓および白色脂肪組織におけるLCPT−1およびUCP2発現のリアルタイムRT−PCR発現解析。UCP2発現は、FSG67で16日間処置したDIOマウスの(a)肝臓(対照に対してp=0.043)および(b)WAT(ペアフィードに対してp=0.013)において増大した(図4C参照)。L−CPT−1発現は、FSG67処置またはペアフィードでは影響されなかった。データは両側t−検定で解析した。p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001。
【図20】図20は、FSG67処置により、肝臓内脂質生成遺伝子が下方調節されたことを示す。FSG67で16日間処置したDIOマウスの肝臓における脂質生成遺伝子の発現のリアルタイムRT−PCR発現解析(図12C参照)。FAS発現は、ビヒクルおよびペアフィード動物と比べて低減された(対照に対してp=0.0016,ペアフィードに対してp=0.018)、一方、ACC1は、ペアフィード動物と比べて低減された(p=0.037)。GPAT発現は影響されなかった。データは両側t−検定で解析した。p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で用いる場合、「アルキル基」は、1つ以上の炭素原子を有する直鎖の炭素鎖と分枝鎖の炭素鎖の両方を示すが、「プロピル」などの個々の原子団に対する言及は直鎖の原子団のみを包含し、「イソプロピル」などの分枝鎖異性体は、具体的に分枝鎖の原子団のみをいう。「置換アルキル」は、1個以上の水素が、本明細書において別途規定した1つ以上の置換基で置換されたアルキル基である。
【0015】
本明細書で用いる場合、「アルコキシ基」は、式アルキル−O−の基をいい、該アルキルは本明細書において規定したものである。「置換アルコキシ」は、1個以上の水素が、本明細書において別途規定した置換基の1つ以上で置換されたアルコキシ基である。
【0016】
本明細書で用いる場合、「アルケニル」は、アルキル鎖から1個以上の水素原子を、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むように除去することによって誘導される部分不飽和アルキル原子団をいう。
【0017】
本明細書で用いる場合、「アリール基」は、6個の炭素原子を含む芳香族環から誘導される構造を示す。例としては、限定されないが、フェニルまたはベンジル原子団およびその誘導体が挙げられる。
【0018】
本明細書で用いる場合、「アリールアルキル」は、結合点でない1つ以上のアルキル基を有するアリール基を示す。
【0019】
本明細書で用いる場合、「アルキルアリール」は結合点にアルキル基を有するアリール基を示す。
【0020】
本明細書で用いる場合(A used herein)、「カルボキシレート」は、原子団−COORを含む有機酸の塩またはエステルを示し、式中、Rは、限定されないが、H、アルキル基、アルケニル基、あるいは当該技術分野で知られた任意の他の残基であり得る。
【0021】
本明細書で用いる場合、「カルボン酸」は下記の構造:−COOHまたは−COHを含む有機官能基を示す。
【0022】
本明細書で用いる場合、「シアノ」は下記の構造:−C≡Nを含む有機官能基を示す。
【0023】
本明細書で用いる場合、「シクロアルキル」は、環構造内に含まれる原子が全部炭素である一価または多環式の飽和または部分不飽和の環状非芳香族基をいい、本明細書において規定した1つ以上の置換基で置換されていてもよい。一部の特定の非限定的な実施形態において、シクロアルキル基を構成する炭素の数は3〜7個であり得る。
【0024】
本明細書で用いる場合、「シクロアルケニル」は、シクロアルキル環系から1個以上の水素原子を、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むように除去することによって誘導される部分不飽和シクロアルキル原子団をいう。
【0025】
本明細書で用いる場合、「ハロゲン」または「ハライド」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子の任意の1つ以上を示す。
【0026】
本明細書で用いる場合、「複素環式」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む(一部の特定の実施形態ではヘテロ原子が1〜4個であり、ヘテロ原子は、限定されないが、以下:窒素、酸素、イオウ、リン、ホウ素、塩素、臭素またはヨウ素の1つ以上であり得る)一価の飽和または部分不飽和の環状の芳香族または非芳香族炭素環基をいう。さらなる非限定的な実施形態では、複素(hetercyclic)環は、1〜10個の炭素原子で構成され得る。
【0027】
本明細書で用いる場合、「ヒドロキシル」は、下記の構造:−OHを含む有機官能基(grouop)を示す。
【0028】
本明細書で用いる場合、「ホスホネート(phosphate)」は、下記の構造:−POまたは−PO(OH)を含む有機官能基を示す。
【0029】
本明細書で用いる場合、「ホスフェート(phosphate)」は、下記の構造:−OPOまたは−OPO(OH)を含む有機官能基を示す。
【0030】
本発明は、新規な化合物、該化合物を含む医薬組成物、およびグリセロール3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)の酵素活性を阻害することによる使用方法に関する。かかる化合物、組成物および方法は、さまざまな治療上有益な用途(例えば、限定されないが肥満の処置)を有する。この類型の本発明の化合物は、式I:
【0031】
【化2】

で構成され、式中、nは、0または1のいずれかである。Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキルのいずれかである。Xは、カルボキシレート残基、ホスホネート残基、ホスフェート残基、またはC〜C10アルキル残基からなる群より選択され、該アルキル残基は任意選択で、1つ以上のカルボキシレート残基、ホスホネート残基、またはホスフェート残基で置換されている。Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環からなる群より選択される。YがC〜C20アルキル、アルケニル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環である実施形態において、これは、1つ以上の位置がハライドで任意選択で置換されている。Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環からなる群より選択される。Zがアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環である実施形態において、該環部分は、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0032】
一部の特定の実施形態では、Xが、カルボン酸残基またはホスホネート残基のいずれかで構成される。代替実施形態では、Xは、1つ以上の位置がホスホネート残基またはカルボキシレートのいずれかで置換されたC〜C10アルキル基を含むものであり得る。さらなる実施形態において、該アルキル基は1〜3個の炭素を含むものであり得る。前述の任意のものにおいて、Xは、フェニル環上に、スルホニルリンカーに対してオルト位、メタ位またはパラ位のいずれかに配置され得る。以下に示すように、一部の特定の非限定的な実施形態では、Xは、オルト位またはメタ位のいずれかを占める。
【0033】
さらなる非限定的な実施形態では、Yが、CH、C11、C17、C19、C1429、およびC1633のいずれかであり得るC〜C20アルキル基で構成される。あるいはまた、Yは、任意選択で1個以上のハロゲン原子で置換されたアリール環系で構成され得る。またさらなる代替実施形態では、Yは、アルキル部分がアリール環のYの位置で連結されたアルキルアリール残基で構成される。該アルキル鎖は1〜3個の炭素原子を有するものであり得、一部の特定の実施形態では、1個または2個の炭素原子を有する。この後者の実施形態でのアリール残基は、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0034】
またさらなる非限定的な実施形態において、Zは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、任意選択で置換されたアリール基または任意選択で置換された複素環のいずれかである。前述の任意のものにおいて、Zは、フェニル環上に、スルホニルリンカーに対してオルト位、メタ位またはパラ位のいずれかに配置され得る。以下に示すように、一部の特定の非限定的な実施形態では、Zは、フェニル環のスルホニルリンカーに対してメタ位またはパラ位のいずれかを占める。またさらなる実施形態において、Zは、スルホニルリンカーとXの位置の両方に対してメタ位またはパラ位のいずれかを占める。
【0035】
前述のことに基づき、本発明の化合物の一例はC−67またはFSG67であり、下記の構造:
【0036】
【化3】

で構成される。
【0037】
別の実施形態において、本発明の化合物は、
下記の構造:
【0038】
【化4】

で構成され得る。
【0039】
またさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下:
【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

の1つ以上で構成され得る。
【0043】
前述のことに基づき、式Iの一部の特定の非限定的な実施形態では、Aが、NR(式中、Rは上記規定の実施形態のいずれかである)で構成される。さらなる実施形態では、Rは水素原子である。この目的のため、本発明の化合物の一部の特定の実施形態は、式II:
【0044】
【化8】

(式中、n、X、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
で表されるものであり得る。
【0045】
式Iの代替実施形態では、nが0で構成される。この目的のため、本発明の一部の特定の化合物は、式III:
【0046】
【化9】

(式中、A、X、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
で表されるものであり得る。
【0047】
式Iのまたさらなる実施形態では、Xが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してオルト位、メタ位またはパラ位のいずれかのカルボン酸残基で構成される。したがって、本発明の一部の特定の化合物は、式IVa:
【0048】
【化10】

(式中、n、A、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
で表されるものであり得る。
【0049】
カルボン酸残基は、スルホニルリンカーに対してオルト位、メタ位またはパラ位のどの位置を占めていてもよいが、一部の特定の実施形態ではオルト位を占めている。この目的のため、本発明の一部の特定の化合物は、式IVb:
【0050】
【化11】

(式中、n、A、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
で表されるものであり得る。
【0051】
同様に、Zはオルト位、メタ位またはパラ位のどの位置を占めていてもよいが、本発明の一部の特定の化合物では、Zは、以下の式IVcおよびIVd:
【0052】
【化12】

(式中、n、A、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
に示すように、スルホニルリンカーとXの両方に対してメタ位またはパラ位のいずれかを占めている。
【0053】
前述のことに基づき、本発明の式IVc〜dの化合物の構造は、以下:
【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

の1つ以上で構成され得る。
【0057】
式Iのさらなる実施形態では、Xが、ホスフェート基または1〜3個の炭素原子のいずれかを有するアルキル残基で構成され、ホスホネート基で置換されている。かかる本発明の化合物は、式V:
【0058】
【化16】

(式中、mは、0、1、2または3のいずれかで構成され、n、A、YおよびZは各々、上記規定のいずれかの実施形態である)
で表されるものであり得る。
【0059】
したがって、本発明の化合物は、以下:
【0060】
【化17】

の1つ以上で構成され得る。
【0061】
前述の化合物の考えられ得る使用範囲が制限されることを望まないが、想定される臨床的治療適応症としては、限定されないが、肥満の処置または体重減少の誘導が挙げられる。本発明の1種類以上の小分子またはその医薬用の塩は、GPAT活性(特に、mtGPAT活性)の標的化および/または脂肪酸酸化の刺激によって肥満を処置および/または予防するために使用される組成物として合成および投与され得る。本発明の化合物は、当該技術分野で知られた方法を用いて、または本明細書において別の個所に具体的に示したようにして合成され得る。
【0062】
特に記載のない限り、本発明の具体的な化合物に対する言及は、該化合物のあらゆる異性体形態を包含し、そのジアステレオマー、互変異性体、エナンチオマー、ラセミおよび/または他の混合物をすべて包含する。また、特に記載のない限り、具体的な化合物に対する言及は、そのイオン形態、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、保護型形態、およびプロドラッグを包含する。この目的のため、該活性化合物の対応する塩(例えば、薬学的に許容され得る塩)を調製し、精製し、および/または取り扱うことが簡便であるか、または望ましい場合がある。薬学的に許容され得る塩の例は、Bergeら,1977,“Pharmaceutically Acceptable Salts,”J.Pharm.Sci.,第66巻,第1〜19頁に論考されており、その内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0063】
前述のことに基づき、本発明の1種類以上の化合物は、単独または別の活性成分との組合せのいずれかで、合成され得、治療用組成物として投与され得る。本発明の組成物は、ヒトおよび他の動物への投与用として、単位投薬形態、例えば、適当な量の該化合物を含む錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、経口液剤または懸濁剤、水中油型および油中水型乳剤、坐剤ならびに液状の懸濁剤または液剤などで提示され得る。この目的のため、医薬組成物は、選択される投与経路に適合するように製剤化され得、投与経路に特定される成分が含有され得る。かかる医薬組成物の投与経路は、通常、一般的な5つの群:吸入、経口、経皮、非経口および坐剤に分けられる。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、静脈内、皮内、筋肉内、髄腔内または皮下注射などの注射による非経口投与に適したものであり得る。あるいはまた、本発明の組成物は、本明細書に示したような、あるいは当該技術分野で知られたような経口投与のために製剤化され得る。
【0064】
本明細書で用いる場合、用語「医薬用希釈剤」と「医薬用担体」は同じ意味を有する。経口投与のためには、固形または液状いずれかの単位投薬形態が調製され得る。錠剤などの固形組成物の調製では、該化合物は、慣用的な成分、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、デンプン、ラクトース、アカシア、メチルセルロースなど、および医薬用希釈剤または担体として機能的に同様の物質と混合され得る。カプセル剤は、該化合物を不活性な医薬用希釈剤と混合し、この混合物を、適切な大きさの硬質ゼラチンカプセル内に充填することにより作製される。軟質ゼラチンカプセル剤は、該化合物のスラリーを、許容され得る植物油、軽流動ワセリンまたは他の不活性な油類とともに、機械によってカプセル封入することにより作製される。
【0065】
シロップ剤、エリキシル剤および懸濁剤などの液状の単位投薬形態または経口投与も調製され得る。この形態は、水性ビヒクル中に糖類または別の甘味料、芳香フレーバー剤および保存料と一緒に溶解させてシロップ剤を形成したものであり得る。懸濁剤は、アカシア、トラガカント、メチルセルロースなどの懸濁化剤の補助を伴って、水性ビヒクルを用いて調製され得る。
【0066】
非経口投与のためには、液状単位投薬形態は、該化合物と滅菌ビヒクルを用いて調製され得る。液剤の調製では、該化合物は、注射用水に溶解させ、濾過滅菌された後、適当なバイアルまたはアンプル内に充填され、密封され得る。局所麻酔剤、保存料および緩衝剤などの佐剤をビヒクルに溶解させてもよい。バイアル内に充填後、該組成物を凍結させてもよく、水分を真空下で除去してもよい。次いで、この凍結乾燥粉末は、バイアル内に密封され、使用前に再構成され得る。
【0067】
用量および治療期間は、さまざまな要素、例えば、(1)患者の年齢、体重ならびに器官機能(例えば、肝機能および腎機能);(2)処置対象の疾患の経過の性質および程度、ならびに既存の深刻な併発疾患状態および摂取している併用薬、ならびに(3)薬物関連パラメータ、例えば、投与経路、治癒がもたらされるのに必要な投与の頻度および期間、ならびに当該薬物の治療指数などに依存する。一般に、用量は、ほぼ1gg/ml〜10μg/mlの標的部位での有効濃度が得られることを目標とした1ng/ml〜100ng/mlの血清レベルが達成されるように選択される。このような要素を使用し、治療有効量は、対象の症状が改善および/または肥満もしくは肥満関連疾患が処置もしくは予防されるように投与され得る。治療有効量の決定は、特に、本明細書において提供する詳細な開示および実施例に鑑みると、充分当業者の能力の範囲内である。
【実施例】
【0068】
実施例
実施例1−化合物5a〜5dの化学合成
化合物5a〜5dの合成は、本明細書の図1に示すスキーム1を用いて行なった。
【0069】
反応条件:(a)NBS,hν,CHCN;(b)NaN,EtOH,還流;(d)C19SOClまたはC11SOCl,ピリジン,CHCl,0℃〜室温;(e)Kt−Bu,EtO,HO,0℃〜室温
第1の化合物群は、種々に置換されたメチル安息香酸メチルから誘導した。メタ−およびパラ−アミンは、文献のプロトコルに従うことにより作製した(Okada,Y.ら,Bromination by means of sodium monobromoisocyanurate(SMBI)。Org.Biomolec.Chem.2003,1,2506−2511)。NBS含有CHCNでのメチル基のラジカル臭素化後、臭化物を、NaN含有EtOHで還流することにより置換させた。シュタウディンガー条件下、アジドを遊離アミン3に環元し、次いで、これを、1−ペンタン−または1−ノナンスルホニルクロリド(既報(Blotny,G.,A new,mild preparation of sulfonyl chlorides,Tet.Lett.2003,44,1499−1501)のようにして調製)にカップリングさせ得る。最後に、メチルエステル4を、水の存在下、カリウムt−ブトキシド(EtO中)との反応によってカルボキシレート生成物5に変換させた。
【0070】
4a〜dの一般手順.適切なアミン3a〜c(1.2mmol)のCHCl(4mL)攪拌溶液に、0℃で塩化スルホニル(1.3mmol)を滴下した後、EtN(1.3mmol)を滴下した。反応混合物を室温まで昇温させ、その時点で、これを2〜3時間攪拌した。飽和NHCl溶液を添加して反応液をクエンチし、混合物を3×10mLのCHClで抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、真空濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc含有ヘキサン)によって精製した。
【0071】
5a〜dの一般手順.0℃まで冷却したカリウムt−ブトキシド(5.88mmol)のEtO(15mL)攪拌懸濁液に水(1.4mmol)を、シリンジによって添加した。このスラリーを5分間攪拌し、4a〜d(0.67mmol)を添加した。この混合物を、出発物質が消失するまで(TLC分析(20%EtOAc含有ヘキサン)による)室温で攪拌した。透明な2つの層が形成されるまで氷水を添加した。水層を分離し、1M HClで酸性化した。次いで、生成物をEtO(3×20mL)で抽出し、真空にてエバポレートし、5a〜dを得た。
【0072】
4−(ペンチルスルホンアミドメチル)安息香酸5a.mp=188〜189℃;
【0073】
【化18】

4−(ノニルスルホンアミドメチル)安息香酸5b.mp=178〜180℃;
【0074】
【化19】

3−(ペンチルスルホンアミドメチル)安息香酸5c.mp=160〜161℃;
【0075】
【化20】

3−(ノニルスルホンアミドメチル)安息香酸5d.mp=150〜151℃;
【0076】
【化21】

実施例2−化合物5eおよび5fの合成
化合物5e〜5fの合成は、本明細書の図2に示すスキーム2を用いて行なった。
【0077】
反応条件:(a)NH,MeOH,還流;(b)NaH,RSOCl,DMF,0℃〜室温;(c)NaOH,THF/HO,0℃〜室温
オルト置換カルボキシレートには、メタ−およびパラ−化合物とは異なるアプローチが必要であった。インドリノン6(オルトブロミドとアンモニアガス(MeOH中)との反応にて形成(Kovtunenko,V.A.ら;Condensation of o−(bromomethyl)benzoic acid with amines,Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal 1983,49,1099−1103))は、NaH(DMF中)によってアルカンスルホニルクロリドにカップリングされ、生成されたγ−ラクタム結合はNaOH(THF/HO中)によって容易に切断され、カルボン酸5eおよび5fが生成された。
【0078】
7a〜bの一般手順.1.5mmolの6をDMF(8mL)に添加し、溶液を0℃まで冷却した。NaH(1.65mmol)を添加した後、塩化スルホニル(1.8mmol)を添加し、混合物を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(25%MeOH含有CHCl)によってモニタリングした。終了時、飽和塩化アンモニウム溶液を添加し(80mL)、生成物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、真空にてエバポレートした。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(2%MeOH含有CHCl)によって精製した。
【0079】
5e〜fの一般手順.7a〜b(0.66mmol)をTHF(3mL)に溶解させ、溶液を0℃まで冷却した。次いで、1M NaOH(1mL,10当量)を添加し、溶液を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(1:1 EtOAc:ヘキサン)によってモニタリングした。出発物質が完全に反応したら、飽和NaHCO(30mL)を添加し、溶液をEtOAcで洗浄した。水相を1M HClでpH3に酸性化し、生成物をEtOAcで抽出し、MgSO上で乾燥させ、真空にてエバポレートした。
【0080】
2−(ペンチルスルホンアミドメチル)安息香酸5e.mp=100℃;
【0081】
【化22】

2−(ノニルスルホンアミドメチル)安息香酸5f.mp=79〜82℃;
【0082】
【化23】

実施例3−化合物13a〜13fの合成
化合物13a〜13fの合成は、本明細書の図3に示すスキーム3を用いて行なった。
【0083】
反応条件:(a)NBS,hν,CHCN;(b)P(OEt),還流;(c)HSO,EtOH,還流;(d)C19SOClまたはC11SOCl,ピリジン,CHCN,0℃〜室温;(e)TMSBr,CHCl,室温.。
【0084】
ホスホン酸アルキル13a〜fの合成は、出発物質のトルイジンをビス−アシル化アニリン8として保護することから開始した(Brown,J.J.;Brown,R.K.Preparation of o−and p−acetamidobenzaldehydes,Can.J.Chem.1955,33,1819−1823)。NBS(CHCN中)でのフリーラジカル臭素化により臭化ベンジル9を得、これを、亜リン酸トリエチルとのアルブーゾフ反応によってホスホネート10に変換させた。アニリンを、還流させた酸性EtOH溶液に曝露することによって脱マスキング(unmask)した。アミンとアルカンスルホニルクロリドとのカップリングによりスルホンアミド12を得た後、ホスホン酸部分を、TMSBr(CHCl中)での処置、続いてメタノール分解によって露出させた。
【0085】
9a〜cの一般手順.8a〜c(31.3mmol)をCHCN(150mL)に溶解させ、NBS(31.3mmol)を添加した。次いで、この溶液を275Wの太陽灯で還流加熱した。反応の進行をTLC(30%EtOAc含有ヘキサン)によってモニタリングした。次いで、この溶液を冷却し、真空にてエバポレートし、混合物をフラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc含有ヘキサン)によって精製した。
【0086】
10a〜cの一般手順.9a〜c(22.2mmol)をP(OEt)(25mL,6.6当量)に溶解させ、50℃まで加熱した還流冷却器により、溶液を18時間還流加熱した。反応の進行をTLC(30%EtOAc含有ヘキサン)によってモニタリングした。次いで、反応混合物を冷却し、P(OEt)を真空除去した。次いで、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(2%MeOH含有CHCl)によって精製した。
【0087】
11a〜cの一般手順.濃HSO(3mL)を、10a〜c(9.7mmol)のEtOH(60mL)攪拌溶液に添加した。この溶液を18時間還流加熱した。反応の進行をTLC(5%MeOH含有CHCl)によってモニタリングした。溶液を水(100mL)で希釈し、EtOAc(30mL)で洗浄し、飽和NaHCO溶液で水相をpH9にした。生成物をEtOAc(3×30mL)で抽出し、合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、溶媒を真空除去した。
【0088】
12a〜bの一般手順.11a(1.36mmol)をCHCN(3.3mL)に溶解させ、次いで、ピリジン(10.8mmol)を添加した。この溶液を0℃まで冷却し、塩化スルホニル(1.63mmol)をシリンジによってゆっくりと添加した。溶液を室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(5%MeOH含有CHCl)によってモニタリングした。終了時、飽和NaHCO溶液を添加することにより反応液をクエンチした。生成物をEtOAc(3×5mL)で抽出し、1N HClで洗浄し、合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(2%MeOH含有CHCl)によって精製した。
【0089】
12c〜fの一般手順.塩化スルホニル(4.9mmol)を、11b〜c(3.3mmol)のCHCN(13mL)溶液に0℃で滴下した。EtN(3.63mmol)を滴下し、溶液を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(10%MeOH含有CHCl)によってモニタリングした。終了時(約2時間)、飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加することにより反応液をクエンチした。生成物をEtOAc(3×10mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(2%MeOH含有CHCl)により生成物を得た。
【0090】
13a〜fの一般手順.TMSBr(8.6mmol)を、12a〜f(0.277mmol)のCHCl(2mL)溶液に添加し、この溶液を室温で攪拌した。24時間後、MeOH(3×1.6mL)を添加することにより反応液をクエンチした。溶液を真空濃縮し、飽和NaHCO溶液(10mL)に溶解させた。この溶液をEtO(5mL)で洗浄し、次いで1N HClで酸性化した。生成物をEtO(3×5mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥させ、真空乾燥させた。
【0091】
2−(ペンチルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13a.
【0092】
【化24】

2−(ノニルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13b.mp=104〜106℃;
【0093】
【化25】

3−(ペンチルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13c.mp=127〜128℃;
【0094】
【化26】

3−(ノニルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13d.mp=149〜150℃;
【0095】
【化27】

4−(ペンチルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13e.mp=198〜200℃;
【0096】
【化28】

4−(ノニルスルホンアミド)ベンジルホスホン酸13f.mp=201〜203℃;
【0097】
【化29】

実施例4−化合物15a〜15iの合成
化合物15a〜15iの合成は、本明細書の図4に示すスキーム4を用いて行なった。
【0098】
反応条件:(a)RSOCl,ピリジン,CHCl,0℃〜室温;(b)Kt−Bu,EtO,HO,0℃〜室温
化合物15a〜iは、市販の出発材料アニリンをさまざまな塩化スルホニルとカップリングさせることにより合成した。次いで、得られたスルホンアミド14a〜iを、カリウムt−ブトキシドと水(エーテル中)での加水分解によって最終生成物に変換させた。アシル−CoA基質のCoA部分を模倣させる試みにおいて、芳香族塩化スルホニルとともに、アルキル鎖に対して飽和C鎖を使用した。
【0099】
14a〜iの一般手順.出発物質アニリン(3.3mmol)のCHCl(12mL)攪拌溶液に、0℃でピリジン(7.5当量)を添加した。次いで、塩化スルホニル(1.2当量)を、シリンジによってゆっくりと添加した。溶液を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(20%EtOAc含有ヘキサン)によってモニタリングした。終了時、反応液を飽和NaHCO溶液(45mL)に注入し、CHCl(3×15mL)で抽出し、1M HCl(50mL)で洗浄した。合わせた有機相を真空濃縮し、EtOAc/ヘキサンからの再結晶によって14a〜iを得た。
【0100】
15a〜iの一般手順.0℃まで冷却したカリウムt−ブトキシド(5.88mmol)のEtO(15mL)攪拌懸濁液に、シリンジによって水(1.4mmol)を添加した。このスラリーを5分間攪拌し、14a〜i(0.67mmol)を添加した。この混合物を、出発物質が消失するまで(TLC分析(20%EtOAc含有ヘキサン)による)室温で攪拌した。透明な2つの層が形成されるまで氷水を添加した。水層を分離し、1M HClで酸性化した。次いで、生成物をEtO(3×20mL)で抽出し、真空にてエバポレートし、15a〜iを得た。
【0101】
4−(ノニルスルホンアミド)安息香酸15a.mp=193〜194℃;
【0102】
【化30】

4−(フェニルスルホンアミド)安息香酸15b.mp=186〜188℃;
【0103】
【化31】

4−(4−クロロフェニルスルホンアミド)安息香酸15c.mp=254〜256℃;
【0104】
【化32】

3−(ノニルスルホンアミド)安息香酸15d.mp=183〜184℃;
【0105】
【化33】

3−(フェニルスルホンアミド)安息香酸15e.mp=203〜204℃;
【0106】
【化34】

3−(4−クロロフェニルスルホンアミド)安息香酸15f.mp=242〜243℃;
【0107】
【化35】

C67−2−(ノニルスルホンアミド)安息香酸15g.mp=122〜124℃;
【0108】
【化36】

2−(フェニルスルホンアミド)安息香酸15h.mp=213〜215℃;
【0109】
【化37】

2−(4−クロロフェニルスルホンアミド)安息香酸15i.mp=202〜203℃;
【0110】
【化38】

実施例5−化合物17a−17fの合成
化合物17a〜17fの合成は、本明細書の図5に示すスキーム5を用いて行なった。
【0111】
反応条件:(a)RSOCl,ピリジン,CHCl,0℃〜室温;(b)Kt−Bu,EtO,HO,0℃〜室温
化合物17a〜fは、分子のアリールスルホンアミド部分におけるリンカーの長さの違いの効果を調べるために設計した。これらは、化合物(cmpound)15a〜iと同様にして作製し、市販のアニリンを出発材料とし、ベンジルスルホニルクロリドまたはフェニルエチルスルホニルクロリドのいずれかにピリジン(塩化メチレン中)をカップリングさせてスルホンアミド16a〜fを得た。次いで、メチルエステルを、カリウムt−ブトキシドと水(エーテル中)でカルボン酸17a〜fに変換させた。
【0112】
16a〜fの一般手順.出発物質アニリン(3.3mmol)のCHCl(12mL)攪拌溶液に、0℃でピリジン(7.5当量)を添加した。次いで、塩化スルホニル(1.2当量)をシリンジによってゆっくりと添加した。溶液を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(20%EtOAc含有ヘキサン)によってモニタリングした。終了時、反応液を飽和NaHCO(45mL)に注入し、CHCl(3×15mL)で抽出し、1M HCl(50mL)で洗浄した。合わせた有機相を真空濃縮し、得られた固形物をEtOAc/ヘキサンから再結晶させ、16a〜fを得た。
【0113】
17a〜fの一般手順.0℃まで冷却したカリウムt−ブトキシド(5.88mmol)のEtO(15mL)攪拌懸濁液に、シリンジによって水(1.4mmol)を添加した。このスラリーを5分間攪拌し、16a〜f(0.67mmol)を添加した。混合物を、出発物質が消失するまで(TLC分析(20%EtOAc含有ヘキサン)による)室温で攪拌した。透明な2つの層が形成されるまで氷水を添加した。水層を分離し、1M HClで酸性化した。次いで、生成物をEtO(3×20mL)で抽出し、真空にてエバポレートし、17a〜fを得た。
【0114】
4−(フェニルメチルスルホンアミド)安息香酸17a.mp=221〜223℃;
【0115】
【化39】

4−(2−フェニルエチルスルホンアミド)安息香酸17b.mp=222〜223℃;
【0116】
【化40】

3−(フェニルメチルスルホンアミド)安息香酸17c.mp=205〜206℃;
【0117】
【化41】

3−(2−フェニルエチルスルホンアミド)安息香酸17d.mp=199〜200℃;
【0118】
【化42】

2−(フェニルメチルスルホンアミド)安息香酸17e.mp=216〜219℃;
【0119】
【化43】

2−(2−フェニルエチルスルホンアミド)安息香酸17f.mp=157〜159℃;
【0120】
【化44】

実施例6−化合物21a〜21cの合成
化合物21a〜21cの合成は、本明細書の図6に示すスキーム6を用いて行なった。
【0121】
反応条件:(a)亜リン酸ジエチル,EtN,Pd(PPh,EtOH,還流;(b)HSO,EtOH,還流;(c)C17SOCl,EtN,CHCl,0℃〜室温;(d)TMSBr,CHCl,室温。
【0122】
アリールホスホン酸21a〜cの合成をスキーム6に示す。臭化アリール18に対して、亜リン酸ジエチルとのパラジウム触媒型ハロゲン化アリールカップリングを行ない、ホスホネート官能性を付与した(Goossen,L.J.,et.al.;Dezfuli,M.K.Practical Protocol for the Palladium−Catalyzed Synthesis of Arylphosphonates from Bromoarenes and Diethyl Phosphite,Synlett 2005,3,445)。次いで、アニリンを酸性エタノール中で還流することにより脱保護し、遊離アミンを市販のオクタンスルホニルクロリドとカップリングさせ、20を得た。次いで、ホスホン酸ジエチルをTMSBrで脱保護することにより最終化合物を得た。
【0123】
19a〜cの一般手順.出発物質の臭化物18(1.96mmol)を、亜リン酸ジエチル(2.35mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.04mmol)、EtN(2.94mmol)およびEtOH(8mL)を入れた丸底フラスコに添加し、溶液を一晩(16時間)還流加熱した。次いで、この溶液を30mLのEtOAcで希釈し、50mLの飽和NaHCO溶液、50mLのHOで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。次いで、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製した。
【0124】
4−(オクチルスルホンアミド)フェニルホスホン酸21a.mp=185〜187℃;
【0125】
【化45】

3−(オクチルスルホンアミド)フェニルホスホン酸21b.mp=112〜114℃;
【0126】
【化46】

2−(オクチルスルホンアミド)フェニルホスホン酸21c.mp=92〜94℃;
【0127】
【化47】

実施例7−化合物24a〜24fの合成
化合物24a〜24fの合成は、本明細書の図7に示すスキーム7を用いて行なった。
【0128】
反応条件:(a)RSOCl,ピリジン,CHCl,0℃〜室温;(b)Kt−Bu,EtO,HO,0℃〜室温。
【0129】
化合物24a〜cは、15gをベースにし、アルキルスルホンアミドの長さの違いがオルト置換類似体に対してもたらす効果を調べるためのプローブとして設計した。飽和C16鎖を有する化合物(24c)は、該酵素が他の長鎖アシル−CoAよりもパルミトイル−CoAに対して顕著な優先性を示すため、15gよりも有意に大きな阻害活性を示すであろうと考えた13。化合物24d〜fは、おそらく第2級アルコールの電子密度と類似しているであろうベンゼン環の4位の電気陰性基のグリセロール3−リン酸に対する役割を調べるために設計した。これらの化合物(24a〜f)はすべて、15a〜fおよび17a〜fを作製するために使用したものと同じ反応シーケンスで作製した。
【0130】
23a〜fの一般手順.出発物質アニリン(3.3mmol)のCHCl(12mL)攪拌溶液に、0℃でピリジン(7.5当量)を添加した。次いで、塩化スルホニル(1.2当量)をシリンジによってゆっくりと添加した。溶液を攪拌し、室温まで昇温させた。反応の進行をTLC(20%EtOAc含有ヘキサン)によってモニタリングした。終了時、反応液を飽和NaHCO溶液(45mL)に注入し、CHCl(3×15mL)で抽出し、1M HCl(50mL)で洗浄した。合わせた有機相を真空濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc含有ヘキサン)によって分離し、23a〜fを得た。
【0131】
24a〜fの一般手順.0℃まで冷却したカリウムt−ブトキシド(5.88mmol)のEtO(15mL)攪拌懸濁液に、シリンジによって水(1.4mmol)を添加した。このスラリーを5分間攪拌し、23a〜f(0.67mmol)を添加した。混合物を、出発物質が消失するまで(TLC分析(20%EtOAc含有ヘキサン)による)室温で攪拌した。透明な2つの層が形成されるまで氷水を添加した。水層を分離し、1M HClで酸性化し、生成物をEtO(3×20mL)で抽出し、真空にてエバポレートした。必要であれば、次いで生成物を再結晶させ(EtOAc/ヘキサン)、純粋な24a〜fを得た。
【0132】
2−(メチルスルホンアミド)安息香酸24a.mp=187〜189℃;
【0133】
【化48】

2−(テトラデシルスルホンアミド)安息香酸24b.mp=120〜122℃;
【0134】
【化49】

2−(ヘキサデシルスルホンアミド)安息香酸24c.mp=126〜128℃;
【0135】
【化50】

5−クロロ−2−(ノニルスルホンアミド)安息香酸24d.mp=101〜103℃;
【0136】
【化51】

5−ヒドロキシ−2−(オクチルスルホンアミド)安息香酸24e.mp=142〜144℃;
【0137】
【化52】

5−フルオロ−2−(オクチルスルホンアミド)安息香酸24f.mp=141〜143℃;
【0138】
【化53】

実施例8−化合物4a〜tおよび7a〜tの合成
化合物4a〜tおよび7−a〜tの合成は、本明細書において、それぞれ図8および9に示したスキームを用いて行なった。
【0139】
一般的なスズキ反応実験−0.247mmolの臭化アリールを、アルゴンをさっと通したバイアル内に入れ、Pd(PPh(10mg)のトルエン(0.40mL)溶液を添加した後、0.25mLの2M NaCO溶液を添加した。溶液を室温で5分間攪拌し、次いで、ボロン酸(1.25当量)のMeOH(0.40mL)溶液を添加した。バイアルに蓋をし、90℃まで24時間加熱した。次いで反応液を室温まで冷却し、CHClで希釈し、有機相を水相から分離し、有機相を真空濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製し、所望のビス−アリール生成物を得た。
【0140】
4a〜tおよび7a〜tの一般手順.0℃まで冷却したカリウムt−ブトキシド(2.00mmol)のEtO(8mL)攪拌懸濁液に、シリンジによって水(0.4mmol)を添加した。このスラリーを5分間攪拌し、3a〜tまたは6a〜t(0.2mmol)を添加した。混合物を、出発物質が消失するまで(TLC分析(20%EtOAc含有ヘキサン)による)室温で攪拌した。透明な2つの層が形成されるまで氷水を添加した。水層を分離し、1M HClで酸性化した。次いで、生成物をEtO(3×20mL)で抽出し、真空にてエバポレートし、4a〜tおよび7a〜tを得た。さらなる精製が必要な場合は、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(chromatograpy)。(1:1:8 AcOH:EtOAc:ヘキサン)によって精製した。
【0141】
【化54】

【0142】
【化55】

【0143】
【化56】

【0144】
【化57】

【0145】
【化58】

【0146】
【化59】

実施例8−インビトロ試験
上記のようにして作製した化合物を、グリセロール3−リン酸のアシル化を阻害する能力についてインビトロで評価した。mtGPATの添加によって開始させた14C−標識グリセロール3−リン酸とパルミトイル−CoAとのアシル化反応を、種々の濃度の該インヒビターの存在下、シンチレーション計数によって、より詳細に後述するようにして測定した。
【0147】
ミトコンドリア内グリセロール3−リン酸アシルトランスフェラーゼの調製物を、14C−標識グリセロール3−リン酸、パルミトイル−CoA、および種々の濃度のインヒビターを含むインキュベーション混合物に添加し、反応を開始させた。10分後、クロロホルム、メタノールおよび1%過塩素酸を添加することにより反応を停止させた。5分後、さらにクロロホルムと過塩素酸を添加し、上側の水層を除去した。1%過塩素酸で3回洗浄後、有機層を窒素下でエバポレートし、存在する14Cの量を計数し、反応阻害の程度を調べた。データ点を3連で記録し、IC50値を、DMSOビヒクル対照の存在下であるが、インヒビターの非存在下で観察されたmtGPAT活性の50%がもたらされるのに必要な試験インヒビターの量に基づいて計算した。
【0148】
化合物5a〜f、13a〜f、15a〜i、17a〜f、21a〜c、および24a〜fの結果を、以下の表1〜3にまとめる。各化合物4a〜tおよび7a〜tの結果を、以下に個々にまとめる。
【0149】
【表1】

安息香酸5a〜fで得られたデータは、すべての場合で、スルホンアミドに対するカルボキシレートの位置とは関係なく、C飽和鎖よりも長鎖のCアルキル鎖の方が大きな阻害がもたらされたことを示す。該酸とスルホンアミドとの最も有効な配向は、5f(IC50=22.7μM)の方が、5b(IC50=43.9μM)または5d(IC50=28.5μM)のどちらよりも良好なインヒビターであるため、オルト置換のようであった。また、ホスホン酸13a〜fのアッセイデータでも、長鎖のCアルキル鎖の方が有効であることが示された。しかしながら、この化合物群では、該ホスホン酸と該アルキルスルホンアミド部分との配向の違いによる活性の有意差はみられない。この類型の最も活性な化合物は、メタ置換ホスホン酸である13d(IC50=23.7μM)であったが、13b(IC50=30.6μM)および13f(IC50=30.7μM)と比べてはるかに高いことはなかった。
【0150】
【表2】

ベンゼン環とスルホンアミドのイオウ間の距離は、メチレンリンカー1つとメチレンリンカー2つに有効な差がみられないため、これらの化合物の阻害活性に対して有意な効果をもたないようである。しかしながら、このようなリンカーメチレンを含むオルト置換化合物(17e〜f)は、その他の置換型安息香酸(17a〜d)よりも有効であるようである。メタ化合物およびパラ化合物では、そのベンゼン環を該イオウに直接結合させると、阻害活性が大きくなるが、オルト化合物ではすべて同様である。ベンゼン環上にパラ塩化物が付加されると、パラ(15c)、メタ(15f)およびオルト化合物(15i)では、わずかな活性の増大がもたらされる。化合物15a、15dおよび15gは、容易に取得可能な目的物であり、5a〜fにおいてベンゼン環とスルホンアミド間のメチレンリンカーの効果を調べることが可能であった。どの置換の場合も、これらの化合物は最も有効なGPATインヒビターであり、オルト化合物(15g,C67)で最も大きな活性(IC50=8.1μM)が示された。このような結果に基づくと、単純なベンゼン環には長鎖アルキル鎖が好ましい。
【0151】
【表3】

15gでの阻害活性の増大に鑑み、2種類の他の化合物群を調製した。第1の21a〜cでは、安息香酸部分の代わりにアリールホスホン酸の有効性を調べる。インビトロでは、オルト置換型の酸(21c)は15gよりも活性が低く、ホスホン酸部分の置換は、活性に対して有意に影響しないようである(表3)。作製したその他の化合物(24a〜f)により、アルキルスルホンアミドの鎖長、ならびにヘテロ原子をスルホンアミドに対してパラ位に付加する効果の重要性が示される。C鎖(24a)ではC鎖よりも有意に低いインビトロ活性がもたらされるため、鎖長が長いことは、これらの化合物の活性に非常に重要なようである。化合物24bおよび24cは、天然状態では好ましいC16鎖が、これらの化合物において、他の鎖長(例えば、C14鎖)よりも好ましいかどうかを調べるために作製した。この場合、天然のアシル−CoA基質で観察されたこととは対照的に、他の長鎖よりもC16化合物に対する優先性は観察されない。
【0152】
化合物4a〜tおよび7a〜t(上記の方法を用いて開発)の結果を以下に示す。
【0153】
【表4−1】

【0154】
【表4−2】

【0155】
【表4−3】

【0156】
【表4−4】

【0157】
【表4−5】

【0158】
【表4−6】

【0159】
【表4−7】

【0160】
【表4−8】

【0161】
【表4−9】

実施例9−インビボ試験
実験手順
DIOおよび痩せ型マウスモデル。動物実験はすべて、ジョンズ・ホプキンス大学医学部のIACUCによって確立された動物の保護および使用に関するガイドラインに従って行なった。DIO C57BL6J雄マウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から取得した。脂肪から60%、炭水化物から20%およびタンパク質から20%のカロリーで構成された合成飼料(5.2kcal/g)を、実験手順(D12492i,Research Diets,Inc.,New Brunswick,NJ)により離乳後に与えた。痩せ型動物の試験では、12週齢のC57BL6J雄マウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)に、脂肪から13%、炭水化物から58%およびタンパク質から29%のカロリーで構成された齧歯類用飼料(4.1kcal/g)(Prolab RMH 2500,PMI Nutrition International Inc.,Brentwood,MO)を与えた。マウスを12時間の明暗サイクル(25℃)で1週間維持して馴化させた後、処置した。全試験において、FSG67(FASgen,Inc.,Baltimore,MD)は、RPMI 1640(Invitrogen,Carlsbad,CA)に溶解させた。
【0162】
短期試験では、6匹のDIOまたは痩せ型マウスを、点灯からほぼ3時間経過後に、単回用量のFSG67(20mg/kg,i.p.)で処置した。動物の体重および飼料消費量を、処置の18時間後に測定した。安楽死後、視床下部(hypothalmus)を回収し、食欲促進性神経ペプチドおよび食欲不振誘発性神経ペプチドの遺伝子発現を調べた。長期試験では、DIOマウス4〜10動物/群を、FSG67(5mg/kg,i.p.)またはRMPIビヒクルで毎日、表示した日数処置した。体重および飼料摂取量を毎日測定した。試験の一例では、マウスのコホートを、FSG67処置動物に消費させる量でのペアフィードとし、マウスを間接熱量測定(Oxymax Equal Flow System(登録商標),Columbus Instruments,Columbus,OH)によりモニタリングした。VO2(ml/kg/時)およびVCO2(ml/kg/時)の測定を15分毎に行ない、記録した。呼吸交換率(RER)は、Oxymaxソフトウェア,バージョン5.9によって計算したものであり、VO2に対するVCO2の比率と定義される(33)。処置過程の終了後、最終のFSG67投与の4時間後に、動物をCO吸入によって安楽死させた。すぐに組織を回収してRNA抽出を行なった。血清を収集し、グルコース、コレステロールおよびトリグリセリドの測定値について解析した(Bioanalytics,Gaithersburg,MD)。新鮮な肝臓組織を、液体N2中でスナップ凍結させ、切片を作製し、ヘマトキシリンおよびオイルレッドOで染色してトリグリセリド滴を可視化した。
【0163】
長期側脳室内カニューレ。化合物の脳室内(i.c.v.)投与が必要とされる実験では、マウスの側脳室に対して片側に長期間留置カニューレを装着した。マウスを1週間の外科処置から戻した後、i.c.v.神経ペプチドY(NPY,American Peptide Co.,CA)に応答した飼料摂取量を測定することによりカニューレ留置を評価した。マウスには、NPY(0.25ηmol/2μl注射)または滅菌0.9%生理食塩水ビヒクルをi.c.v.カニューレによって与え、明期の間の1時間、穀類系ペレットを摂取可能にした。NPY後、少なくとも0.5gの飼料を摂取したマウスを実験に使用した。ビヒクル対照では、11匹のマウスに、グルコース(Cambrex,MD)なしのRPMI−1640の2μLの注射液を与えた。3日後、6匹のマウスに100nmol用量のFSG67(ビヒクル中)を与え、一方、5匹のマウスには320nmolの該化合物を与えた。
【0164】
脂肪過多のQ−NMR評価。ip投与による10日間のFSG67またはビヒクル処置後、DIOマウスを安楽死させ、死体を−80℃で保存した。死体を解凍してQ−NMR分析を行なった。脂肪量、除脂肪量および水分量の測定は、Molecular and Comparative Pathobiology Phenotyping Core内で、EchoMRI−100TM(Echo Medical Systems,Houston,TX)を用いて行なった。
【0165】
味覚嫌悪学習。試験の10日前、18匹の雄C57/BL6マウスを、日中2時間の水分摂取のスケジュール下に置き、試験当日、マウスを3つの群に分け、水分ではなく0.15%サッカリンナトリウムを30分間摂取させた。サッカリン摂取の直後、マウスにRPMIビヒクルまたはFSG67(5および20mg/kg体重)をip注射し、残りの90分間、水分を摂取させた。24時間後、マウスに対して2時間、0.15%サッカリンまたは水分の2瓶選択試験を行なった。両方の溶液の摂取量を記録し、データを、サッカリン嗜好性(100×サッカリン摂取量/サッカリン摂取量+水摂取量)で表示した。
【0166】
リアルタイムRT−PCR。DIOおよび痩せ型マウスの視床下部、肝臓およびWATを回収し、直ちに液体窒素中で凍結させた。既報(13)のようにして全RNAを単離し、リアルタイム定量的RT−PCRを行なった。遺伝子特異的プライマーペアを、Primer3ソフトウェア(http://www−genome.wi.mit.edu/cgi−bin/primer/primer3_www.cgi/)を用いて設計した。プライマーペアの配列を補足データ表1に示す。
【0167】
3T3−L1脂肪細胞 3T3−L1細胞を34に記載のようにして脂肪細胞に分化させた。分化の7日後、細胞を、表示した濃度のFSG67で18時間処置し、次いで、[14C]パルミテートで2時間標識した。Folch抽出後、脂質を極性および無極性薄層クロマトグラフィーに供した(35)。トリグリセリド画分およびホスファチジルコリン画分を、ホスホルイメージング(phosphorimaging)(Storm 840,Molecular Dynamics,Piscataway,NJ)により定量した。
【0168】
統計解析。データはすべて、平均±平均の標準誤差で表示する。IC50の測定は線形回帰により行なった。対応なしの両側t−検定または二元配置ANOVA検定を、記載のようにして、Prism 4.0(Graph Pad Software,San Diego,CA)を用いて行なった。
【0169】
FSG67はマウス3T3−L1脂肪細胞においてアシルグリセリド合成を低減させる
マウス3T3−L1脂肪細胞を使用し、アシルグリセリド合成に対するFSG67の効果をインビトロで試験した。分化後7日目の3T3−L1脂肪細胞を、7.6μM〜61μM(2.5〜20μg/ml)の濃度のFSG67で処置し、トリグリセリドおよびホスファチジルコリンの合成阻害のIC50値を、線形回帰を用いて測定した。IC50値は、細胞内トリグリセリド合成では33.9μM(p=0.023,r2=0.86,n=3)、およびホスファチジルコリン合成では36.3μM(p=0.015,r2=0.89,n=3)であった。ホスファチジルコリンは3T3−L1脂肪細胞内で合成される主なリン脂質であったため、細胞内の全体的なリン脂質合成を代表する。これらのIC50値は、マウスのミトコンドリア内GPAT活性で報告されたIC50値24.7μM(12)と類似している。そのアシルグリセリド合成阻害と整合して、図10は、FSG67処置の48時間後、3T3−L1脂肪細胞におけるトリグリセリド蓄積の用量依存性低減を示す。FSG67処置細胞内では、ビヒクル処置対照と比べて脂肪滴が減少していることに注目されたい。したがって、FSG67は、ミトコンドリア調製物内でのそのGPAT活性阻害と同様のIC50で、細胞内アシルグリセリド合成を阻害する。このような生化学的観察結果と一致して、FSG67により、培養脂肪細胞内でのトリグリセリド蓄積がかなり低減された。総合すると、これらの結果は、FSG67が細胞内GPAT活性を阻害することを示す。
【0170】
痩せ型およびDIOマウスの短期FSG67処置により、味覚嫌悪学習なしで体重が減少し、飼料消費量が減少した。FSG67によりアシルグリセリド合成がインビトロで低減されたため、本発明者らは、痩せ型マウスとDIOマウスの両方を単回用量のFSG67(20mg/kg i.p.)で処置し、動物の体重および摂食行動に対する短期的効果を調べた。また、本発明者らは、飼料摂取量減少の原因が不快感であることが示唆され得るCTA応答がFSG67によって誘発されるかどうかを調べるための試験である味覚嫌悪学習(CTA)も行なった。8匹のDIOおよび痩せ型マウスを、暗サイクルの開始時にFSG67で処置した。24時間以内に、FSG67を注射した痩せ型マウスは、体重が3.7±0.9%(1.0±0.2g)減少したが、絶食マウスでは15.5±0.7%(3.9±0.2g)減少した(図11a)。両群における体重の減少は、ビヒクル対照(これは、2.5±0.5%(0.6±0.1g)増加した)と比べて有意であった(p<0.0001,両側t−検定)。また、FSG67処置により、飼料摂取量がビヒクル対照の33%に減少した(p<0.0001 両側t−検定)(図11b)。
【0171】
FSG67によるGPAT阻害によって、高脂肪飼料を摂取したDIOマウスの体重が減少した。FSG67処置DIOマウスでは、体重が4.3±0.5%(1.7±0.2g)減少したのに対し、絶食マウスでは5.3±0.4%(2.1±0.2g)減少した(図11c)。2.5±0.6%(1.0±0.2g)減少したビヒクル対照マウスと比較すると、FSG67処置マウス(p=0.026,両側t−検定)および絶食マウス(p=0.002,両側t−検定)ではともに、体重減少は有意であった。FSG67により、DIOマウスの飼料消費量はビヒクル対照の41.6%と有意に少なかった(図11d)。DIOと痩せ型ビヒクル対照群の平均飼料摂取量は相当異なる(それぞれ、1.2および4.2g)(p<0.0001,両側t−検定)が、FSG67処置後の飼料摂取量の相対的減少量は、DIO(ヒクル対照の41.6%)と痩せ型マウス(ビヒクル対照の33%)で異ならない(p=0.19、フィッシャーの直接確率検定)。2瓶選択パラダイムを用いた8匹の痩せ型マウスの群でのCTA試験において、FSG67によるサッカリン摂取量の有意な低減は、5mg/kg(p=0.12)でも20mg/kgでももたらされないことが示された(p=0.10,両側t−検定)。したがって、FSG67による飼料摂取量の低減は、疾病挙動によるものではなかった(図11e)。FSG67処置による明白な毒性は、痩せ型マウスでもDIOマウスでもみとめられなかった。これらのデータは、痩せ型マウスとDIOマウスの両方において、動物の体重の減少を伴う薬理学的GPAT阻害の明白な食欲不振誘発性効果を示す。
【0172】
DIOマウスの長期FSG67処置により、体重と飼料消費量が可逆的に減少し、脂肪酸の酸化が増大した。長期処置に適したFSG67の用量を調べるため、本発明者らは、4匹/群のDIOマウスにおいて、1、2および5mg/kgの毎日の腹腔内用量を用いた5日間の用量範囲試験を行なった(図17)。5mg/kg用量により、ビヒクル対照と比べて3.9%の有意な体重減少がもたらされた(p=0.008,二元配置ANOVA)。この用量を、その後の長期処置実験に選択した。
【0173】
第1の長期処置実験は、FSG67によって誘導される体重減少が可逆的であるかどうかを試験するために設計した。4匹のDIOマウス/群をFSG67またはビヒクルで20日間処置した。全32日間の試験で、FSG67処置によって動物が元の体重に戻るまで、体重と飼料消費量を毎日記録した。FSG67処置中(第0日〜第20日)、マウスは体重が10.3±0.6%減少したが、対照は4.0±0.5%増加した(p<0.0001,二元配置ANOVA)(図12a)。平均飼料消費量は、FSG67処置中、ビヒクル対照と比べて(3.1±0.1g)減少した(2.6±0.1g/日,第1日〜第20日)(p=0.0008,二元配置ANOVA)(図12b)。処置終了後、飼料消費量は、FSG67処置群では、平均3.5±0.1g/日(第21日〜第32日)に増加し、ビヒクル対照3.2±0.1g/日と比べて飼料摂取量の有意な増加を示す(p=0.006,二元配置ANOVA)。FSG67処置動物は、処置の終了から11日後に処置前の平均体重になった(図12a)。
【0174】
第2の長期処置試験では、間接熱量測定を用いてGPAT阻害時の代謝の変化を試験した。DIOマウス(8匹/群)をFSG67(5mg/kg,ip)で処置するか、またはFSG67処置動物のペアフィードとした。間接熱量測定を使用し、ペアフィード動物と処置動物間で、酸素消費量(VO2)および呼吸交換率(RER)の変化を測定した。16日間の処置後、FSG67処置マウスは体重が9.5±0.6%減少し、ペアフィードでは5.5±0.9%減少したが、ビヒクル対照では3.5±1.3%増加した(図12c)。FSG67処置動物での体重減少は、ビヒクル対照動物およびペアフィード動物の両方と比べて有意であった(p<0.0001,二元配置ANOVA)。この場合も、FSG67処置により、FSG67処置群では、ビヒクル対照での3.1±0.1g/日と比べて、飼料消費量が33%、2.0±0.1g/日有意に減少した(p<0.0001,二元配置ANOVA)(図12d)。FSG67処置により、平均VO2は処置前の値の106.5±1.1%に増大した。この値は、ペアフィードマウス(これは、処置前の値の89.9±1.1%のVO2減少を示した)と比べて有意に高かった(p<0.0001,二元配置ANOVA)(図12e)。RERは、ペアフィード(0.782±0.006)と比べてFSG67処置マウス(0.732±0.002)において低く(p<0.0001,二元配置ANOVA)(図12f)、FSG67処置動物では、燃料のための脂肪酸の使用が多いことを示す。FSG67処置動物におけるVO2の増大とRERの低下の組合せは、脂肪酸の酸化およびエネルギー利用量の増大と整合し、これは、おそらく、ペアフィード対照と比べて体重が少ないことの一因である。
【0175】
薬理学的GPAT阻害により、DIOマウスにおいて脂肪過多が低減され、脂質生成遺伝子の発現が下方調節された。FSG67により、DIOマウスにおいて脂肪酸の酸化が増大し、飼料摂取量が減少しため、本発明者らは、次に、Q−NMR分析を使用し、FSG67処置マウスと対照マウスにおける除脂肪量、脂肪量および水分量を測定し、FSG67処置による組織組成減損量(compositin of the tissue loss)を調べた。さらなる長期処置実験において、10匹のDIOマウスをFSG67(5mg/kg/日,ip)で処置し、10匹にはビヒクルを10日間与えた。FSG67処置マウスでは6.1±0.9g(13.1±1.9%)減少したが、ビヒクル対照では1.1±0.4g(2.3±0.8%)減少した(p<0.0001.二元配置ANOVA)(図18)Q−NMR分析により、FSG67処置動物ではビヒクル対照と比べて、脂肪量の4.0g減少が測定された(p<0.0001,両側t−検定)が、除脂肪量または水分量には有意な変化はなかった(図13a)。実験終了時、FSG67処置マウスはビヒクル対照よりも体重が4.4g少なく、これにより、脂肪量の4.0gの差が説明され得る。したがって、GPAT阻害により、DIOマウスにおいて脂肪過多が選択的に低減される。
【0176】
脂肪組織量の低減を担う機構をさらに調べるため、本発明者らは、リアルタイムRT−PCRを使用し、ビヒクル対照、ペアフィードおよびFSG67処置DIOマウス由来の白色脂肪組織における以下の重要な脂質生成遺伝子:脂肪酸シンターゼ(FAS)(脂肪酸のデノボ還元的合成を担う(13))、アセチル−CoAカルボキシラーゼ1(ACC1)(脂質生成器官内で発現され、脂肪酸合成のためのFASの基質として使用されるマロニル−CoAを合成するACCの細胞質内異性体(14))、ペルオキシソーム増殖因子活性化型受容体γ(PPARγ)(脂肪生成に重要な転写因子(15))、脂質分配(16)、および食後脂質貯蔵(17))、ならびにGPATの発現を、第2の間接熱量測定試験によって調べた(図12c参照)。16日間の処置後、FSG67処置動物の白色脂肪組織のリアルタイムRT−PCR解析により、ACC1(対照に対してp=0.0005,ペアフィードに対してp=0.0004)、FAS(対照に対してp=0.0001,ペアフィードに対してp=0.0007)、PPARγ(対照に対してp=0.032,ペアフィードに対してp=0.0019)、およびGPAT(対照に対してp=0.0034,ペアフィードに対してp=0.0002)の相当な下方調節が示された(図13b)。興味深いことに、脱共役タンパク質−2(UCP2)発現は、FSG67処置動物の肝臓(対照に対してp=0.043)と白色脂肪組織(ペアフィードに対してp=0.013)の両方において増大し、これらもまた、脂肪酸の酸化の増大の一因であり得(18)、L−CPT−1発現は影響されなかった(図19)。したがって、薬理学的GPAT阻害により、脂肪酸の酸化が増大して飼料摂取量が低減されるだけでなく、肝臓および白色脂肪組織においてUCP2が上方調節されるとともに、白色脂肪組織において脂質生成遺伝子の発現が下方調節され、これらはすべて、脂肪過多の選択的低減に有利なはずである。
【0177】
FSG67により、DIOマウスにおいて、血清グルコースレベルとトリグリセリドレベルは相当低下したとともに、肝臓脂肪症が消散した。全身性の脂肪過多の低減と整合して、GPAT阻害により、DIOマウスにおいて肝臓脂肪症が逆転された。肝臓の凍結切片のオイルレッド−O染色により、ビヒクル処置動物では、大小のトリグリセリド滴の蓄積を特徴とする顕著な脂肪症が示された(図14a)。脂肪症は、ペアフィード動物では少なく(図14b)、FSG67処置によりほぼ消散した(図14c)。炎症、壊死または肝細胞損傷は確認されなかった。肝臓内脂質生成遺伝子ACC1、FASおよびGPATのリアルタイムRT−PCR発現解析では、FAS(対照に対してp=0.0016,ペアフィードに対してp=0.018)およびACC1(ペアフィードに対してp=0.037)の発現の有意な低減が示されたが、GPATはそうではなく、これは、FSG67処置によるデノボ脂肪酸合成の下方調節を示す(図20)。組織内トリグリセリドの減少に加え、血清グルコースレベル(153.3±10.5mg/dL)も、ビヒクル対照マウス(200.6±22.2mg/dL,p=0.03 二元配置ANOVA)およびペアフィード(189.0±20.3mg/dL,p=0.04,二元配置ANOVA)の両方と比べて低かった。FSG67処置DIOマウスで見られた血清トリグリセリドレベル(111.3±10.9mg/dL)が、ペアフィード(138.5±9.8mg/dL)またはビヒクル対照(138.8±13.5mg/dL)と比べて低いことは、統計学的に有意ではなかった。コレステロールレベルには変化はなかった(図14d)。FSG67処置マウスにおける肝臓脂肪症の消散は、血中グルコースレベルの正常化の一因となり得る。
【0178】
脳室内(icv)FSG67処置により、飼料消費量と体重が減少した。本発明者らは、FSG67のicv投与により、GPAT阻害が中枢に作用して飼料摂取量を低減させるのかどうかを調べた。痩せ型マウスを、100および320nmol(5mg/kgの全身性単回日用量のほぼ300倍および100倍少ない)用量のFSG67 icvで処置した。24時間以内に、100nmolで処置したマウスは、0.75±0.4g(p=0.016)減少し、一方、320nmol群は1.8±0.3g(p=0.0003)減少した。ビヒクル対照は、それぞれ、0.43±0.1gおよび0.33±0.1g増加した(図15a)。動物の体重は、有意なリバウンドなく48時間以内に戻った(データ表示せず)。飼料摂取量の有意な減少は、320nmol処置群でのみ、みられた(3.8±0.1g 対照,2.5±0.3g FSG67,p=0.0051)(図15b)。48時間以内に動物は正常な摂食を開始し、320nmol群では、第3日および第4日にわずかな摂食亢進がみられた(データ表示せず)。これらのデータは、GPAT阻害を伴う飼料消費量の減少には、CNSが大きく寄与している可能性を示す。さらに、100nmol群において、飼料摂取量の減少なく体重減少がみられたことは、飼料摂食行動の変化とは無関係な代謝に対する中枢の効果を示す。
【0179】
短期および長期のFSG67処置により、視床下部内神経ペプチドの発現が改変された。視床下部内ペプチドの発現を、単回用量のFSG67で処置した痩せ型およびDIOマウス(図11参照)ならびに長期処置DIOマウス(図12参照)において測定し、飼料摂取量の低減を担う機構をさらに評価(asses)した。単回用量のFSG67で処置した痩せ型マウスでは、食欲促進性の視床下部内神経ペプチドである神経ペプチド−Y(NPY)の発現は、絶食動物と比べて有意に低減された(p=0.012,両側t−検定)とともに、アグーチ関連タンパク質(AgRP)の発現も、絶食(p=0.020,両側t−検定)およびビヒクル対照(p=0.0009,両側t−検定)と比べてかなり低減され、飼料摂取量の短期間での低減と整合する(図16a)。逆に、食欲不振誘発性神経ペプチドであるプロオピオメラノコルチン(POMC)およびコカイン−アンフェタミン関連転写物(CART)のmRNAレベルは、飼料奪取または短期FSG67処置に影響されなかった。痩せ型マウスにおける所見とは対照的に、DIOマウスの単回用量でのFSG67処置により、AgRP発現は、ビヒクル対照および飼料奪取動物よりも有意に高かった(データ表示せず)。注目すべきことに、飼料奪取によって、DIOマウスでは、痩せ型動物で見られたような視床下部内NPYまたはAgRPメッセンジャー(message)のレベルの増大はもたらされなかった。処置によるこの食欲促進性神経ペプチド発現増大のパターンは、空腹応答と整合し、DIOマウスにおける食欲促進性ペプチド発現のリバウンドを示している可能性があるか、またはDIOマウスにおける神経ペプチドシグナル伝達の調節不全のさらなる例を示すものであり得る(19)。しかしながら、長期処置DIOマウスでは、視床下部内神経ペプチド解析により、FSG67(p=0.0052,両側t−検定)とペアフィード動物(p=0.0074,両側t−検定)の両方において、ビヒクル対照と比べてNPY発現の有意な低減が示された(図16b)。このプロフィールは、短期処置した痩せ型マウスの方とより類似しており、長期処置DIOマウスにおける食欲応答の正常化を反映している可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化60】

(式中、
nは、0または1のいずれかである;
Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択される;
Xは、カルボキシレート残基、ホスホネート残基、ホスフェート残基およびC〜C10アルキル残基からなる群より選択され、該アルキル残基は任意選択で、カルボキシレート残基、ホスホネート残基およびホスフェート残基からなる群より選択される1つ以上の残基で置換されている;
Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置がハロゲンで置換されている)からなる群より選択される;ならびに
Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置が、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環からなる群より選択される置換基のうちの1つまたは組合せで置換されている)からなる群より選択される)
を含む化合物。
【請求項2】
Aが、Rが水素であるNRで構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xがカルボン酸残基で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xがホスホネート残基で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xが、ホスホネート残基またはカルボキシレート残基で置換されたメチルまたはエチル残基で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してオルトまたはメタ位にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Yが、CH、C11、C17、C19、C1429、およびC1633からなる群より選択されるC〜C20アルキル基で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル残基(これらはいずれも、任意選択で1個以上のハロゲン原子で置換されている)からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Yが4−ClPhで構成される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Yが、C〜C炭素原子を有するアルキルアリール残基で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルキルアリール残基のアリール部分が1個以上のハロゲン原子で置換されている、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Zが、H、F、ClまたはOHからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Zが、任意選択で置換されたアリール基または任意選択で置換された複素環で構成される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
【化61】

【化62】

【化63】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式IVa:
【化64】

(式中、
nは、0または1のいずれかである;
Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択される;
Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置がハロゲンで置換されている)からなる群より選択される;ならびに
Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置が、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環からなる群より選択される置換基のうちの1つまたは組合せで置換されている)からなる群より選択される)
を含む化合物。
【請求項16】
Aが、Rが水素であるNRで構成される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Yが、CH、C11、C17、C19、C1429、およびC1633からなる群より選択されるC〜C20アルキル基で構成される、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Yが、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル残基(これらはいずれも、任意選択で1個以上のハロゲン原子で置換されている)からなる群より選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
Yが4−ClPhで構成される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Yが、C〜C炭素原子を有するアルキルアリール残基で構成される、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
前記アルキルアリール残基のアリール部分が1個以上のハロゲン原子で置換されている、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Zが、H、F、Cl、OH、任意選択で置換されたアリール基、および任意選択で置換された複素環からなる群より選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項23】
COOHがフェニル環のスルホニルリンカーに対してオルトまたはメタ位にある、請求項15に記載の化合物。
【請求項24】
Zが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してメタ位またはパラ位のいずれかである、請求項15に記載の化合物。
【請求項25】
【化65】

【化66】

【化67】

からなる群より選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項26】
式IVb:
【化68】

(式中、
nは、0または1のいずれかである;
Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択される;
Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置がハロゲンで置換されている)からなる群より選択される;ならびに
Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置が、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および複素環からなる群より選択される置換基のうちの1つまたは組合せで置換されている)からなる群より選択される)
を含む化合物。
【請求項27】
Aが、Rが水素であるNRで構成される、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Yが、CH、C11、C17、C19、C1429、およびC1633からなる群より選択されるC〜C20アルキル基で構成される、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
Yが、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル残基(これらはいずれも、任意選択で1個以上のハロゲン原子で置換されている)からなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
Yが4−ClPhで構成される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
Yが、C〜C炭素原子を有するアルキルアリール残基で構成される、請求項26に記載の化合物。
【請求項32】
前記アルキルアリール残基のアリール部分が1個以上のハロゲン原子で置換されている、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Zが、H、F、Cl、OH、任意選択で置換されたアリール基、および任意選択で置換された複素環からなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項34】
Zが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してオルト位にある、請求項26に記載の化合物。
【請求項35】
【化69】

【化70】

からなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項36】
式V:
【化71】

(式中、
nは、0または1のいずれかである;
mは、0、1、2または3のいずれかである;
Aは、NR、OおよびSからなる群より選択され、ここで、Rは、H、ヒドロキシル、C〜C10アルキル、C〜C10アルコキシ、アルケニル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択される;
Yは、C〜C20アルキル、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、C〜C20アルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置がハロゲンで置換されている)からなる群より選択される;ならびに
Zは、H、ヒドロキシル基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環(これらはいずれも、任意選択で1つ以上の位置が、C〜C10アルキル基、C〜C10アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシレート基、ハライド、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または複素環からなる群より選択される置換基のうちの1つまたは組合せで置換されている)からなる群より選択される)
を含む化合物。
【請求項37】
Aが、Rが水素であるNRで構成される、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
Yが、CH、C11、C17、C19、C1429、およびC1633からなる群より選択されるC〜C20アルキル基で構成される、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
Yがアリール残基で構成される、請求項36に記載の化合物。
【請求項40】
前記アリール残基が1個以上のハロゲン原子で置換されている、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
Yが、C〜C炭素原子を有するアルキルアリール残基で構成される、請求項36に記載の化合物。
【請求項42】
前記アルキルアリール残基のアリール部分が1個以上のハロゲン原子で置換されている、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
Zが、H、F、Cl、OH、任意選択で置換されたアリール基、および任意選択で置換された複素環からなる群より選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項44】
(CHPOが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してオルト位にある、請求項36に記載の化合物。
【請求項45】
Zが、フェニル環のスルホニルリンカーに対してパラ位にある、請求項36に記載の化合物。
【請求項46】
【化72】

からなる群より選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項47】
医薬用希釈剤と、請求項1、15、26および36のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項48】
前記化合物が
【化73】

【化74】

【化75】

からなる群より選択される、請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記化合物が
【化76】

からなる群より選択される、請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項50】
有効量の請求項47に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、該被験体において体重減少を誘導する方法。
【請求項51】
前記医薬組成物が
【化77】

【化78】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
該医薬組成物が
【化79】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
有効量の請求項47に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、該被験体においてグリセロール3−リン酸アシルトランスフェラーゼ活性を阻害する方法。
【請求項54】
前記医薬組成物が
【化80】

【化81】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬組成物が
【化82】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
有効量の請求項47に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、該被験体において脂肪酸の酸化を増大させる方法。
【請求項57】
前記医薬組成物が
【化83】

【化84】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記医薬組成物が
【化85】

からなる群より選択される1種類以上の化合物を含む、請求項56に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図10】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−527345(P2011−527345A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517507(P2011−517507)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/049744
【国際公開番号】WO2010/005922
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510316914)ファスジェン, インコーポレイテッド (2)
【出願人】(398076227)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー (35)
【Fターム(参考)】