説明

有機半導体としてのケトピロール類

式(Ia)の少なくとも1つの部を含むモノマー化合物もしくはポリマー化合物[式中、Xは、CRであり、その際、Rは、Hもしくは請求項1に定義される置換基であるか、又はこの部を有する、例えば式(Ib)もしくは(Ic)の別のケトピロール部であり、全ての他の記号は請求項1に定義したものである]は、有機溶剤中で良好な溶解度を示し、そして優れた皮膜形成特性を示す。さらに、本発明によるポリマーを半導体デバイスもしくは有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)で使用した場合に、高い効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比及び/又は優れた安定性を観察できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のケトピロールを含有する新規半導体と、該新規半導体を含有する相応するデバイス、例えばダイオード、ホトダイオード、特に有機電界効果トランジスタ及び/又は光電池又はダイオード及び/又はホトダイオード及び/又は有機電界効果トランジスタ及び/又は太陽電池を含むデバイスに関する。本発明による新規半導体は、有機溶剤中に優れた溶解度を有し、かつ優れた被膜形成特性を有する。さらに、本発明による化合物を半導体デバイスもしくは有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)で使用した場合に、高い効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比及び/又は優れた安定性を観察できる。
【0002】
多くの刊行物(例えばWO05/049695号、WO08/000664号)は、一定のジケトピロロピロール(DPP)を基礎とするポリマー及び当該ポリマーをエレクトロニクス用途、例えばPLED、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜型トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)又は有機レーザダイオードにおいて用いる使用を記載している。
【0003】
本発明の課題は、例えば半導体デバイス、ホトダイオード、有機電界効果トランジスタ(OFET)もしくは有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)で使用した場合に、優れた性能、例えば高いエネルギー変換効率、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比及び/又は優れた安定性、特に酸化に対する安定性を示す新規の有機半導体材料を提供することである。
【0004】
前記課題は、式(I)のケトピロール化合物、又は式(Ia)の繰返単位を含む相応するオリゴマーもしくはポリマー(以下で、式(1a)のポリマーもしくは式(1a)の化合物とも呼ぶ)
【化1】

[式中、
a、b、c、d、e及びfは、0〜3の範囲であり;
A、A′、R1、R2のそれぞれは、無関係に、水素;E;C1〜C25−アルキル、C2〜C25−アルケニル、C2〜C24−アルキニル(そのそれぞれは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合に任意のC,C単結合においてDによって中断されていてよい);シクロアルキル基(前記基は、Eによって、特にC1〜C8−アルキル、C1〜C8−チオアルコキシもしくはC1〜C8−アルコキシによって1〜3置換されていてよい);又はシクロアルキル基(前記基は、非置換フェニルもしくはEによって置換されたフェニル、特にC1〜C4−アルキル、ハロゲン、ニトロもしくはシアノによって1〜3置換されたフェニルによって1もしくは2縮合されていてよい);シクロアルケニル基;ケトン基もしくはアルデヒド基;エステル基;カルバモイル基;シリル基;シロキサニル基;Ar10もしくは−CR56−(Cg2g)−Ar10(式中、gは0、1、2、3もしくは4を表す)から選択されるか;又は
2及びAr1は、それらが結合されるビニル部と一緒になって、環、例えばアリール基もしくはヘテロアリール基を形成し、前記環は、場合によりGによって置換されていてよく;
Xは、CR(式中、RはR1について定義したものである)であるか、又は式(Ib)
【化2】

(式中、係数gは0もしくは1であり、かつArは、存在する場合には、2つの化学的二重結合によって該分子の基に結合された四価の残基であり、かつキノイドC6〜C10−環系、例えば=C64=及び式
【化3】

の残基から選択される)の別のケトピロール部であり;
Ar1は、R2と結合されていない場合に、Ar2、Ar2'、Ar3、Ar3'、Ar4、Ar4'及びAr5と、互いに無関係に、5〜15個の炭素原子の二価の炭素環式部、2〜15個の炭素原子とO、N、S、Siから選択される1〜8個のヘテロ原子との二価の複素環式部(前記部のそれぞれは、共役もしくは交差共役の二重及び/又は三重結合を有する)又はエチレン性部もしくはエチン性部(これらの部のそれぞれは、非置換であるかもしくはEによって置換されている)から選択され;
5及びR6は、互いに無関係に、水素、フッ素、シアノもしくはC1〜C4−アルキル(これはフッ素、塩素もしくは臭素によって置換されていてよい)又はフェニル(これはC1〜C4−アルキルで1〜3置換されていてよい)を表し;
Ar10は、アリールもしくはヘテロアリール(それらは場合によりGによって置換されていてよい)、特にフェニル又は1−もしくは2−ナフチル(それらはC1〜C8−アルキル、C1〜C8−チオアルコキシ及び/又はC1〜C8−アルコキシで1〜3置換されていてよい)を表し;
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−OP(O)(OR29)O−;−OP(O)(R'29)O−;−O−;−NR25−;−CR23=CR24−;又は−C≡C−であり;かつ
Eは、−OR29;−SR29;−SOR29;−SO229;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;ニトロ;−OP(O)(OR292;−OP(O)R'292;−Si(R'293;又はハロゲンであり;
G及びG′は、無関係に、E;C1〜C18−アルキル(それはDによって中断されていてよい);又はC1〜C18−アルコキシ(それは、Eによって置換されており、かつ/又は、2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されている)であり、その際、
23、R24、R25及びR26は、互いに無関係に、H;C6〜C18−アリール;C6〜C8−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
27及びR28は、互いに無関係に、H;C6〜C18−アリール;C6〜C8−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
29は、H;C6〜C18−アリール;C6〜C8−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
'29は、R29について定義したものであるが、但し、R'29はHではない]又はかかる化合物、オリゴマーもしくはポリマーの互変異性体を使用することによって解決される。
【0005】
本発明のポリマーは、本発明の構造(Ia)を統計学的なもしくは非統計学的な様式で含んでよい。その製造、例えばスズキ重合によって定義されるポリマーの末端基は、所望であれば、当該技術分野で通常知られる方法に従って変更できる。類似に、グラフト反応が実施されることがある。
【0006】
Xは、分子の基と一緒になって、殆どの場合に非対称の残基を形成するので、これは、トランスもしくはシスの様式で結合されてよく、従って、式IIIc及びIIId(トランス)もしくはIIIe及びIIIf(シス):
【化4】

[式中、nは、例えば1〜10000の範囲であり、他の記号は他で定義したものである]でのような相応する異性体を含む。前記の式(Ib)の橋かけ基の例には、以下の式
【化5】

の基が含まれる。
【0007】
式(1e)のものと類似のキノイドC6〜C10系としてのArの更なる例には、相応するナフトキノリンから誘導された残基と置換された別形が含まれ、その際、置換基は、例えばR2について前記したものから選択される。
【0008】
殊に、本発明の半導体デバイスは、式(I)及び/又は(Ia)で示され、その式中、
Ar1は、R2に結合されていない場合には、Ar2、Ar2'、Ar3、Ar3'、Ar4、Ar4'及びAr5と、互いに無関係に、
【化6】

から選択され、式中、
Lは、CR7'7、C=O、C=NR7、O、S、NR7、SiR17'17から選択され;
3は、1つの基内で同一もしくは異なってよく、かつ水素、残基E、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C6〜C24−アリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C2〜C20−ヘテロアリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C7〜C25−アラルキル(それは、アラルキルのアラ(=アリール)は、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28から選択されるか、又は互いに隣接する2つ以上の基R3は、環を形成し;
4、R4'、R7及びR7'は、互いに無関係に、水素、残基E、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C6〜C24−アリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C2〜C20−ヘテロアリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C7〜C25−アラルキル(それは、アラルキルのアラ(=アリール)は、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28から選択されるか、又はR4及びR4'は、環を形成し;かつ
17及びR'17は、R29として定義したもの、特にR'29として定義したものである化合物、例えばそれぞれのアリール及びヘテロアリールが、フェニル及びチオフェニルから選択される化合物を含んでよい。
【0009】
好ましい半導体デバイスは、式中、
A及びA′が、無関係に、水素;C1〜C25−アルキルもしくはC2〜C25−アルケニル(そのそれぞれは、互いに無関係にEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合にはC,C単結合において、Dによって中断されていてよい);Ar10又は−CR56−(CH2g−Ar10;から選択され;
Ar10は、フェニル及びチオフェニルから選択され;
Dは、−S−;−O−;−CR23=CR24−であり;かつ
Eは、−OR29;−SR29;−NR2526;−CN;又はハロゲンであり;
G及びG′は、無関係に、E;C1〜C18−アルキル(それは、Dによって中断されていてよい);又はC1〜C18−アルコキシ(それは、Eによって置換されており、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されている)であり、その際、
23、R24、R25及びR26は、互いに無関係に、H;フェニル;チオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル(それらは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキルであり;
29は、H;フェニル;チオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル(それらは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキルであり;
'29は、R29について定義されるものであるが、但し、R'29はHではない、化合物を含有する。
【0010】
式(I)又は(Ia)のかかる化合物の例は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)又は(IId)
【化7】

[式中、記号は前記のとおりである]に従う化合物、又は式(IIe)又は(IIf)
【化8】

[式中、記号は前記のとおりである]に従う化合物、又は式(IIIa)又は(IIIb)
【化9】

[式中、記号は前記のとおりである]に従う化合物である。
【0011】
部分A、A′は、通常は、式(Ia)中のホモオリゴマー鎖もしくはホモポリマー鎖の末端基を形成する;これらの基A、A′は、好ましくは、水素;C1〜C25−アルキルもしくはC2〜C25−アルケニル(そのそれぞれは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合にC,C単結合において、Dによって中断されていてよい);Ar10又は−CR56−(CH2g−Ar10から選択され;その際、
5及びR6は、互いに無関係に、水素、フッ素又はC1〜C4−アルキル(それは、フッ素によって置換されていてよい)を表し;かつ
Ar10は、式
【化10】

の基を表し、その際、pは、0、1、2もしくは3を表し;
3は、1つの基内で同一もしくは異なってよく、かつC1〜C18−アルキル、C1〜C18−アルコキシ(それらのそれぞれは、Eによって置換されていてよい)であるか;又は−CO−R28であるか;互いに隣接する2つ以上の基R3は、縮合された5もしくは6員の炭素環式の環を形成し;
4、R4'及びR4''は、無関係に、水素、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい);C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい);C7〜C15−フェニルアルキル(フェニルは、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28を表す。
【0012】
本発明の重要なオリゴマー及びポリマーのための例は、式中、
式Iaの部分が、式IVa〜IVi:
【化11】

【化12】

【化13】

[式中、記号は、前記の通りであり、特に、R1及びR4のそれぞれは、水素及びC1〜C22−アルキルから選択され、かつAr5は、フェニレンもしくは
【化14】

であり、そのそれぞれは、場合によりGによって、例えばC1〜C22−アルキルもしくはCNによって置換されていてよい]に従うオリゴマー及びポリマーである。
【0013】
本発明のポリマーは、電荷輸送性の、半導性の、電子伝導性の、光伝導性の、発光性の材料、表面改質材料、電池中での電極材料、アライメント層として、又はOFET、IC、TFT、ディスプレイ、RFIDタグ、エレクトロルミネッセンスもしくはホトルミネッセンスデバイス、ディスプレイのバックライト、光起電性デバイスもしくはセンサデバイス、電荷注入層、ショットキダイオード、メモリデバイス(例えばFeFET)、平坦層、静電防止剤、導電性基板もしくはパターン、光伝導体、又は電子写真用途(記録)において使用することができる。
【0014】
本発明のポリマーは、式Iaの1もしくはそれより多くの(異なる)繰り返し単位、例えば式IVa及びIVdの繰り返し単位を含んでよい。
【0015】
式Iの化合物及び式Iaの繰返単位は、非対称構造を有してよいが、好ましくは対称構造を有し、その際、a=d;b=e;c=f;Ar1=Ar1';Ar2=Ar2';Ar3=Ar3';Ar4=Ar4'である。
【0016】
1及びR2は、同一もしくは異なってよく、好ましくは、水素、C1〜C25−アルキル基(それは、場合により1つ以上の酸素原子によって中断されていてよい)、C1〜C25−ペルフルオロアルキル基、アリル基(それは、C1〜C4−アルキルで1〜3置換されていてよい);シクロアルキル基(それは、C1〜C8−アルキル、C1〜C8−チオアルコキシもしくはC1〜C8−アルコキシで1〜3置換されていてよい)又はシクロアルキル基(それは、フェニルによって1又は2縮合されていてよく、前記フェニルは、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、ニトロもしくはシアノで1〜3置換されていてよい)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン基もしくはアルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、Ar10又は−CR56−(CH2g−Ar10から選択され、その際、
5及びR6は、互いに無関係に、水素、フッ素、シアノ又はC1〜C4−アルキル(それは、フッ素、塩素もしくは臭素によって置換されていてよい)又はフェニル(それは、C1〜C4−アルキルで1〜3置換されていてよい)を表し、
1及びR2は、より好ましくは、C1〜C25−アルキル(それは、場合により1つ以上の酸素原子によって中断されていてよい)、C5〜C12−シクロアルキル、特にシクロヘキシル(それは、C1〜C8−アルキル及び/又はC1〜C8−アルコキシ1〜3置換されていてよい)、又はC5〜C12−シクロアルキル、特にシクロヘキシル(それは、フェニルによって1もしくは2縮合されていてよく、前記フェニルは、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、ニトロもしくはシアノで1〜3置換されていてよい)、フェニル又は1−もしくは2−ナフチル(それらは、C1〜C8−アルキル及び/又はC1〜C8−アルコキシで1〜3置換されていてよい)又は−CR56−(CH2g−Ar10から選択され、その際、R3及びR4は、水素を表し、Ar10は、フェニル又は1−もしくは2−ナフチル(それらは、C1〜C8−アルキル及び/又はC1〜C8−アルコキシで1〜3置換されていてよい)を表し、かつgは、0又は1を表す。−O−によって1回以上中断されたアルキル基は、直鎖状もしくは分枝鎖状のC2〜C25−アルキル基であって、−O−によって1回以上、例えば−O−によって1回、2回もしくは3回中断されていてよく、例えば−(CH22OCH3、−(CH2CH2O)2CH2CH3、−CH2−O−CH3、−CH2CH2−O−CH2CH3、−CH2CH2CH2−O−CH(CH32、−[CH2CH2O]Y1−CH3(式中、Y1=1〜10である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH2CH3及び−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3などの構造単位をもたらす基であると解されるべきである。
【0017】
最も好ましいR1及びR2は、C1〜C25−アルキル基、特にC4〜C25−アルキル基、例えばn−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシルもしくはペンタコシルであり、その際、好ましい基は、式
【化15】

[式中、m1=n1+2及びm1+n1≦22である]によって表すことができる。
【0018】
キラル側鎖、例えばR1及びR2は、ホモキラルであるかラセミであるかのいずれかであってよく、それはポリマーの形状に影響を及ぼすことがある。
【0019】
Ar1及びAr1'は、異なってよいが、好ましくは同一であり、それらは式
【化16】

の基であり、かつ
Ar2、Ar2'、Ar3、Ar3'、Ar4及びAr4'は、互いに無関係に、式
【化17】

の基であり、その際、
pは、0、1もしくは2を表し、R3は、1つの基内で同一もしくは異なってよく、かつC1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又はDによって中断されていてよい)、もしくはC1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又はDによって中断されていてよい)から選択され;R4は、C6〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又はDによって中断されていてよい)、C6〜C14−アリール、例えばフェニル、ナフチルもしくはビフェニリル(それらは、場合によりGによって置換されていてよい)、C1〜C25−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又はDによって中断されていてよい)又はC7〜C15−アラルキル(それは、場合によりGによって置換されていてよい)であり;
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR25−であり、その際、R25は、C1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルもしくはs−ブチルであり;
Eは、−OR29;−SR29;−NR2525;−COR26;−COOR27;−CONR2525;又は−CNであり;その際、R25、R27、R28及びR29は、互いに無関係に、C1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、ヘキシル、オクチル又は2−エチル−ヘキシル又はC6〜C14−アリール、例えばフェニル、ナフチルもしくはビフェニリルであり;
Gは、Eと同じ好ましい態様を有するか、又はそれは、C1〜C18−アルキル、特にC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、ヘキシル、オクチルもしくは2−エチル−ヘキシルである。
【0020】
単位
【化18】

は、異なってよいが、好ましくは同一であり、かつそれらは、式
【化19】

の基であり、式中、
太線は、ケトピロール骨格への結合を示し、かつR4は、前記の通りであり、かつR4'は、R4の意味を有する。
【0021】
本発明のもう一つの好ましい実施態様においては、単位
【化20】

は異なってよいが、好ましくは同一であり、かつそれらは式
【化21】

[式中、R4は、C6〜C25−アルキル(それは、場合により1つ以上の酸素原子によって中断されていてよい)である]の基であるか、又はAr5は、式
【化22】

[式中、R7及びR7'は、前記の定義の通りである]の基であるか、又は該ポリマーは、式
【化23】

[式中、第一の"繰返単位"は、式(Ia)の繰返単位であり、"分枝単位"は、2つより多くの結合部位を有する単位であり、かつq及びtは、整数であり、その際、q/tは、式(Ia)の繰返単位と"分枝単位"との比率である]の構造を有する。
【0022】
本発明のもう一つの好ましい実施態様においては、該ポリマーは、式
【化24】

[式中、第一の"繰返単位"は、式Iaの繰返単位であり、"分枝単位"は、2つより多くの結合部位を有する単位であり、かつq及びtは、整数であり、その際、q/tは、式Iの繰返単位と"分枝単位"との比率である]の構造を有する。
【0023】
式(Ia)の繰返単位は、好ましくは、対称構造を有する:a=d;b=e;c=f;Ar1=Ar1';Ar2=Ar2';Ar3=Ar3';Ar4=Ar4'
【0024】
"分枝単位"は、2つより多くの結合部位を有する単位である。分枝単位の例は、例えばDendrimers and Other Dendritic Polymers,D.A.Tomalia,J.M.J.Frechet(Eds),JohnWiley&Sons,Ltd.2002;Star and Hyperbranched Polymers,M.K.Mishra and S.Kobayashi(Eds),Marcel Dekker 2000に記載されている。
【0025】
特に適した"分枝単位"の例は、以下に示されるものである:
【化25】

[式中、B及びCは、互いに無関係に、場合により縮合された芳香族もしくは複素芳香族の環、例えば
【化26】

であり、その際、太線は、化合物/ポリマー骨格への結合であり、それらは、特に
【化27】

(式中、R200、R201、R202は、互いに無関係に、HもしくはC1〜C25−アルキル)、
【化28】

(s=1もしくは2である)、
【化29】

である]。
【0026】
多官能性単位("分枝単位")の使用によって、以下に2つの多官能性単位:
【化30】

[Aは、式Iaの繰返単位であり;o、q、r及びtは、0〜500である]又は
【化31】

について概説されるように、分枝鎖状のポリマー材料がもたらされる。
【0027】
"分枝単位"は、式
【化32】

の単位であってよく、その単位から誘導されるポリマーは、新規であり、かつそれは本発明の更なる態様を構成する。
【0028】
一実施態様において、本発明によるポリマーは、式Iaの1種以上の種類の繰返単位のみから成る。好ましい一実施態様において、本発明によるポリマーは、式Iaの厳密に1種の繰返単位から成る。
【0029】
本発明によれば、用語"ポリマー"は、ポリマー並びにオリゴマーを含み、その際、ポリマーは、高い相対分子量の分子であり、その構造は、実質的に低い相対分子量の分子から事実上もしくは概念的に誘導される単位の繰り返しであり、かつオリゴマーは、中程度の分子量の分子であり、その構造は、実質的により低い相対分子量の分子から事実上もしくは概念的に誘導される少ない複数の単位を含む。分子は、それが1もしくは数個の単位の除去により大きく変化しない特性を有する場合に、高い相対分子量を有すると見なされる。分子は、それが1もしくは数個の単位の除去により大きく変化する特性を有する場合に、中程度の分子量を有すると見なされる。
【0030】
ヘック反応、ソノガシラ反応、メタセシスもしくは重縮合などの一般的なカップリング反応は、本発明の化合物(オリゴマー及び特にポリマーを含む)の製造のために類似に適用できるが、それらは例えば、Babudri他のレビューJ.Mater.Chem.,2004,14,11−34に示されている。
【0031】
本発明によれば、ホモポリマーは、1種の(現実の、潜在的なもしくは仮定的な)モノマーから誘導されるポリマーである。多くのポリマーは、相補的モノマーの相互反応によって製造される。これらのモノマーは、反応して"潜在的なモノマー"が得られるものとして容易に可視化することができ、その単独重合によって、事実上の生成物が得られ、それがホモポリマーと見なすことができる。幾つかのポリマーは、得られるポリマーを構成する巨大分子の構造が、仮定的なモノマーの単独重合によって形成されていると考えられるように、他のポリマーを化学的変性することによって得られる。
【0032】
従って、コポリマーは、1種より多くのモノマーから誘導されるポリマー、例えばバイオポリマー、ターポリマー、クアテルポリマーなどである。
【0033】
本発明のオリゴマーは、3000ダルトン未満の質量平均分子量を有する。本発明のポリマーは、好ましくは、3000ダルトン以上、特に3000〜2000000ダルトン、より好ましくは10000〜1000000ダルトン、最も好ましくは10000〜750000ダルトンの質量平均分子量を有する。分子量は、ポリスチレンスタンダードを使用してゲル透過クロマトグラフィーに従って測定される。
【0034】
好ましい一実施態様において、本発明のポリマーは、式Iaの繰返単位を含むホモポリマーであり、該ポリマーは、式
【化33】

[式中、RUは式Iaの繰返単位である]によって表すことができる。前記の態様において、該ポリマーは、好ましくは式IVa〜IViの繰返単位の1つを含み、その際、式IVa、IVd、IVh及びIViの繰返単位が特に好ましい。
【0035】
式VIIのコポリマーであって、式Ia及びCOM1もしくはCOM2(v=0.995〜0.005、w=0.005〜0.995)の繰返単位を含むものは、また、ニッケルカップリング反応などのカップリング反応によって得ることもできる:
【化34】

[式中、RUは、前記定義の通りであり、かつ−COM1−は、式:
【化35】

(式中、R7及びR7'は前記の定義の通りである)の繰返単位から選択され、
44及びR41は、水素、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシであり、かつ
45は、H、C1〜C18−アルキルもしくはEによって置換及び/又はDによって中断されたC1〜C18−アルキル、特に−O−によって中断されたC1〜C18−アルキルであり、その際、D及びEは、前記の定義の通りであり、かつ
−COM2−は、式
【化36】

の基であり、その際、
116及びR117は、互いに無関係に、H、C1〜C18−アルキル(それは、場合によりOによって中断されていてよい)又はC1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりOによって中断されていてよい)であり、
119及びR120は、互いに無関係に、H、C1〜C18−アルキル(それは、場合によりOによって中断されていてよい)であるか、又は
119及びR120は、一緒になって、式=CR100101の基を形成し、その際、
100及びR101は、互いに無関係に、H、C1〜C18−アルキルであるか、又は
119及びR120は、一緒になって、5員もしくは6員の環を形成し、該環は、場合によりC1〜C18−アルキルによって置換されていてよい]。
【0036】
前記の実施態様において、ポリマーは、式
【化37】

[式中、RU、COM1及びCOM2は、前記の定義の通りであり、oは、1であり、pは、0もしくは1であり、qは、0.005〜1であり、rは、0もしくは1であり、sは、0もしくは1であり、その際、eは、dが0でない場合に1ではなく、tは、0.995〜0であり、その際、c及びfの合計は1である]のポリマーである。
【0037】
式VIIのホモポリマーは、例えば、ニッケルカップリング反応、特にヤマモト反応によって得られる:
【化38】

[式中、RUは、式Iaの繰返単位である]。
【0038】
ジハロゲン官能性反応物のみを含む重合方法は、ニッケルカップリング反応を使用して実施できる。1つのかかるカップリング反応は、Colon他によってJ.Pol.Sci.,Part A,Polymer Chemistry Edition 28(1990)367において、かつColon他によってJ.Org.Chem.51(1986)2627において記載されている。該反応は、一般に、極性非プロトン性溶剤(例えばジメチルアセトアミド)中で、触媒量のニッケル塩と、実質的な量のトリフェニルホスフィンと、大過剰の亜鉛末を用いて実施される。この方法の変法は、Ioyda他によってBull.Chem.Soc.Jpn,63(1990)80において記載されており、その際、有機可溶性ヨウ化物を、促進剤として使用できる。
【0039】
別のニッケルカップリング反応は、Yamamotoによって、Progress in Polymer Science 17(1992)1153において開示されており、その際、ジハロゲン芳香族化合物の混合物は、過剰量のニッケル(1,5−シクロオクタジエン)錯体で不活性溶剤中で処理される。全てのニッケルカップリング反応は、2つ以上の芳香族ジハロゲン化物の反応体混合物に適用した場合には、実質的にランダムなコポリマーが得られる。かかる重合反応は、少量の水を重合反応混合物に添加することによって止めることができ、その添加は、末端ハロゲン基を水素基と交換する。選択的に、単官能性アリールハロゲン化物は、かかる反応において連鎖停止剤として使用でき、それは、末端アリール基の形成をもたらす。
【0040】
ニッケルカップリング重合は、実質的に、ホモポリマー又は、DPP基含有単位と、他のコモノマーから誘導された単位とを含むランダムコポリマーをもたらす。
【0041】
式VIIdもしくはVIIeのホモポリマーは、例えばスズキ反応によって得ることができる:
【化39】

[式中、RU、COM1及びCOM2は、前記の定義の通りである]。
【0042】
芳香族ボロネート及びハロゲン化物、特に臭化物の縮合反応は、通常は"スズキ反応"と呼ばれるが、それは、N.Miyaura及びA.SuzukiによってChemical Reviews,Vol.95,pp.457−2483(1995)において報告されるように、様々な有機官能基の存在が許容される。好ましい触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジアルコキシビフェニル/パラジウム(II)アセテートである。特に好ましい触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,6′−ジ−メトキシビフェニル(sPhos)/パラジウム(II)アセテートである。この反応は、高分子量ポリマー及びコポリマーの製造に適用できる;例えばEP−A−1754736号を参照。
【0043】
式VIIdもしくはVIIeに相当するポリマーの製造のために、ジハロゲン化物、例えば二臭化物もしくは二塩化物、特に式Br−RU−Brに相当する二臭化物は、式
【化40】

[式中、X11は、無関係にそれぞれの存在において、−B(OH)2、−B(OY12もしくは
【化41】

であり、その際、Y1は、無関係にそれぞれの存在においてC1〜C10−アルキル基であり、かつY2は、無関係にそれぞれの存在においてC2〜C10−アルキレン基、例えば−CY34−CY56−もしくは−CY78−CY910−CY1112−であり、その際、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11及びY12は、互いに無関係に、水素又はC1〜C10−アルキル基、特に−C(CH32C(CH32−もしくは−C(CH32CH2C(CH32−である]に相当する等モル量のジボロン酸もしくはジボロネートと、Pd及びトリフェニルホスフィンの触媒作用下で反応される。該反応は、一般に、約70℃〜180℃で、トルエンなどの芳香族の炭化水素溶剤中で実施される。ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランなどの他の溶剤は、また、単独で、又は芳香族炭化水素との混合物において使用できる。水性塩基、好ましくは炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムは、HBr捕捉剤として使用される。それらの反応体の反応性に依存して、重合反応には2〜100時間かかることがある。有機塩基、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどの有機塩基及び相転移触媒、例えばTBABなどの相転移触媒は、ホウ素の活性を促進しうる(例えばLeadbeater&Marco;Angew.Chem.Int.Ed.Eng.42(2003)1407並びにそこに引用される参考文献を参照のこと)。他の反応条件の変更は、T.I.Wallow及びB.M.NovakによってJ.Org.Chem.59(1994)5034−5037において、かつM.Remmers、M.Schuize及びG.WegnerによってMacromol.Rapid Commun.17(1996)239−252において示されている。
【0044】
所望であれば、単官能性アリールハロゲン化物もしくはアリールボロネートは、かかる反応において連鎖停止剤として使用でき、それは、末端アリール基の形成をもたらす。
【0045】
得られるコポリマー中のモノマー単位の配列は、スズキ反応におけるモノマー供給物の順序と組成を制御することによって制御できる。
【0046】
本発明のポリマーは、また、Stilleカップリングによって合成することもできる(例えばBabudri et al,J.Mater.Chem.,2004,14,11−34;J.K.Stille,Angew.Chemie Int.Ed.Engl.1986,25,508も参照)。式VIIdもしくはVIIeに相当するポリマーの製造のために、ジハロゲン化物、例えば二臭化物もしくは二塩化物、特に式Br−RU−Brに相当する二臭化物を、式
【化42】

[式中、X11は、基−SnR207208209である]の化合物と、不活性溶剤中で、0℃〜200℃の範囲の温度で、パラジウム含有触媒の存在下で反応させる。ここでは、全ての使用されるモノマーの全量を、有機スズ官能基とハロゲン官能基とが高く釣り合いの取れた比率とすることを保証せねばならない。さらに、反応の終わりに単官能性試薬での末端封鎖によって任意の可能の反応性基を除去することが好ましいことがある。該方法の実施のために、スズ化合物とハロゲン化合物は、好ましくは、1種以上の不活性有機溶剤中に導入し、そして0〜200℃の温度、有利には30〜170℃の温度で、1時間〜200時間の期間にわたり、好ましくは5時間〜150時間の期間にわたり撹拌する。粗生成物は、当業者に公知であり、それぞれのポリマーのために適切な方法、例えば繰り返しの再沈殿もしくは透析によってさえも精製することができる。
【0047】
記載の方法のために適した有機溶剤は、例えばエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル及びt−ブチルメチルエーテル、炭化水素、例えばヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1−ブタノール、2−ブタノール及びt−ブタノール、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトン及びイソブチルメチルケトン、アミド、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリル並びにそれらの混合物である。
【0048】
パラジウム及びホスフィン成分は、スズキ変法についての記載と同様に選択すべきである。
【0049】
選択的に、本発明のポリマーは、また、ネギシ反応によって、亜鉛試薬(RU−(ZnX122、式中X12はハロゲン)及びハロゲン化物もしくはトリフレート(COM1−(X112、式中X11はハロゲンもしくはトリフレート)を使用することで合成できる。例えば、E.Negishi他著のHeterocycles 18(1982)117−22を参照される。
【0050】
さらに、DPPのハロゲン誘導体は、酸化的に(例えばFeCl3を使用して、とりわけP.Kovacic et al.,Chem.Ber.87(1987)357〜379;M.Wenda et al.,Macromolecules 25(1992)5125)を参照)もしくは電気化学的に(とりわけN.Saito et al.,Polym.Bull.30(1993)285を参照)重合できる。
【0051】
本発明の幾つかの材料は、新規化合物である。このように、本発明は、式
【化43】

[式中、記号は前記定義の通りである]の少なくとも4つの繰返単位を含むオリゴマーもしくはポリマーを含む。
【0052】
本発明の更なる一態様は、本発明によるポリマー及び材料の酸化形及び還元形の両方に関する。電子の損失も獲得も、高度に非局在化したイオン形の形成をもたらし、それは高い導電性となる。これは、通常のドーパントへの曝露で生じうる。好適なドーパントとドーピング方法は、当業者に、例えばEP−0528662号、US−5198153号又はW096/21659号から公知である。
【0053】
ドーピング法は、一般に、半導体材料を酸化剤もしくは還元剤でレドックス反応において処理し、該材料中に、適用されたドーパントから誘導された相応の対イオンによって非局在化されたイオン性中心を形成することを含む。好適なドーピング法は、例えば大気圧もしくは減圧下でドーピング蒸気に曝すこと、ドーパントを含む溶液中での電気化学的ドーピング、ドーパントと半導体材料とを接触させて熱拡散させること、及びドーパントを半導体材料中にイオン注入することを含む。
【0054】
電子をキャリヤーとして使用する場合に、好適なドーパントは、例えばハロゲン(例えばI2、Cl2、Br2、ICl、ICl3、IBr及びIF)、ルイス酸(例えばPF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、SbCl5、BBr3及びSO3)、プロトン酸、有機酸もしくはアミノ酸(例えばHF、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H及びClSO3H)、遷移金属化合物(例えばFeCl3、FeOCl、Fe(ClO43、Fe(4−CH364SO33、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoF5、MoCl5、WF5、WCl6、UF6及びLnCl3(Lnはランタノイドである))、アニオン(例えばCl-、Br-、I-、I3-、HSO4-、SO2-、NO3-、ClO4-、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、FeCl4-、Fe(CN)63-、種々のスルホン酸のアニオン、例えばアリール−SO3-)である。正孔をキャリヤーとして使用する場合に、ドーパントの例は、カチオン(例えばH+、Li+、Na+、K+、Rb+及びCs+)、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Rb及びCs)、アルカリ土類金属(例えばCa、Sr及びBa)、O2、XeOF4、(NO2+)(SbF6-)、(NO2+)(SbCl6-)、(NO2+)(BF4-)、AgClO4、H2IrCl6、La(NO33・6H2O、FSO2OOSO2F、Eu、アセチルコリン、R4+(Rはアルキル基である)、R4+(Rはアルキル基である)、R6As+(Rはアルキル基である)及びR3+(Rはアルキル基である)である。
【0055】
本発明の化合物及び材料の導電性形は、有機"金属"として、例えばそれらに限定されないが、有機発光ダイオードでの電荷注入層及びITO平坦層、フラットパネルディスプレイ及びタッチスクリーン用のフィルム、静電防止フィルム、印刷された導電性基板、エレクトロニクス用途、例えば印刷回路板及びコンデンサでのパターンもしくはトラックの用途で使用することができる。
【0056】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0057】
1〜C25−アルキルは、一般に、直鎖状もしくは、可能であれば分枝鎖状である。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシルもしくはペンタコシルである。C1〜C8−アルキルは、一般に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシルである。C1〜C4−アルキルは、一般に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルである。
【0058】
1〜C25−アルコキシ基は、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ又はt−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ及びオクタデシルオキシである。C1〜C8−アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ及び2−エチルヘキソキシ、好ましくはC1〜C4−アルコキシ、例えば一般に、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシである。用語"アルキルチオ基"は、アルコキシ基と同じであるが、但し、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子によって置き換えられている基を意味する。
【0059】
2〜C25−アルケニル基は、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニル又はn−オクタデカ−4−エニルである;一例は、場合によりC1〜C4−アルキルで1〜3置換されたアリル基である。
【0060】
2〜C24−アルキニルは、直鎖状もしくは分枝鎖状であり、好ましくはC2〜C8−アルキニルであり、これは非置換であるか又は置換されていてもよく、例えばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル又は1−テトラコシン−24−イルである。
【0061】
用語"ハロアルキル、ハロアルケニル及びハロアルキニル"は、上記のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基がハロゲンにより部分的に又は完全に置換されていることにより示される基、例えば、トリフルオロメチルなどを意味する。"アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基及びアミノ基"には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基により置換されているものが含まれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基は、非置換もしくは置換されていてもよい。用語"シリル基"とは、式:−SiR626364(式中、R62、R63及びR64は、互いに無関係に、C1〜C8−アルキル基、特にC1〜C4−アルキル基、C6〜C24−アリール基、又はC7〜C12−アラルキル基である)で示される基、例えばトリメチルシリル基を意味する。
【0062】
用語"シクロアルキル基"は、一般に、C5〜C12−シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチルであり、それらは、非置換もしくは置換されていてよい。用語"シクロアルケニル基"は、1つ以上の二重結合を含む不飽和の脂環式の炭化水素基、例えばシクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルなどであって、非置換もしくは置換されていてよいものを意味する。シクロアルキル基、特にシクロヘキシルは、C1〜C4−アルキル、ハロゲン及びシアノで1〜3置換されていてよいフェニルによって1もしくは2縮合されていてよい。かかる縮合されたシクロヘキシル基の例は:
【化44】

[式中、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は、互いに無関係に、C1〜C8−アルキル、C1〜C8−アルコキシ、ハロゲン及びシアノ、特に水素である]である。
【0063】
用語"アリール基"は、一般にC6〜C24−アリール、例えばフェニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、ビフェニル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、クリセニル、ナフタセン、ピセニル、ペリレニル、ペンタフェニル、ヘキサセニル、ピレニルもしくはアントラセニル、好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、9−フェナントリル、2−もしくは9−フルオレニル、3−もしくは4−ビフェニルであり、それらは非置換もしくは置換されていてよい。C6〜C12−アリールの例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3−もしくは4−ビフェニル、2−もしくは9−フルオレニル又は9−フェナントリルであり、それらは非置換もしくは置換されていてよい。
【0064】
用語"アラルキル基"は、一般に、C7〜C24−アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシルもしくはω−フェニル−ドコシル、好ましくはC7〜C18−アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシルもしくはω−フェニル−オクタデシル、特に好ましくはC7〜C12−アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチルもしくはω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルであり、その際、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基の両方は、非置換もしくは置換されていてよい。
【0065】
用語"アリールエーテル基"は、一般に、C6〜C24−アリールオキシ基、すなわちO−C6〜C24−アリール、例えばフェノキシもしくは4−メトキシフェニルなどの基である。用語"アリールチオエーテル基"は、一般に、C6〜C24−アリールチオ基、すなわちS−C6〜C24−アリール、例えばフェニルチオもしくは4−メトキシフェニルチオなどの基である。用語"カルバモイル基"は、一般に、C1〜C18−カルバモイル基、好ましくはC1〜C8−カルバモイル基であって、非置換もしくは置換されていてよい基、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボモイルもしくはピロリジノカルバモイルなどの基である。
【0066】
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アリールアミノ基及びジアリール基中の用語"アリール"及び"アルキル"は、それぞれ一般に、C1〜C25−アルキル及びC6〜C24−アリールである。
【0067】
アルキルアリールは、アルキル置換されたアリール基、特にC7〜C12−アルキルアリールを指す。例は、トリル、例えば3−メチル−もしくは4−メチルフェニルもしくはキシリル、例えば3,4−ジメチルフェニルもしくは3,5−ジメチルフェニルである。
【0068】
ヘテロアリールは、典型的にはC2〜C26−ヘテロアリールであり、すなわち、窒素、酸素又は硫黄が考えられるヘテロ原子である、5〜7個の環原子を持つ環であるか、又は縮合環系であり、典型的には、少なくとも6個の共役π電子を有する原子5〜30個を持つ不飽和複素環基であり、例えば、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ジベンゾ〔b,d〕チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル又はフェノキサジニルであり、これらは非置換もしくは置換されていてよい。
【0069】
上記の基のために可能である置換基は、C1〜C8−アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8−アルコキシ、C1〜C8−アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8−アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基又シリル基である。
【0070】
前記のように、前記の基は、Eによって置換されていてよく、かつ/又は所望であればDによって中断されていてよい。中断は、もちろん、互いに単結合によって結合されて少なくとも2つの炭素原子を含む基の場合にのみ可能である;C6〜C18−アリールは、中断されない;中断されたアリールアルキルもしくはアルキルアリールは、アルキル部中に単位Dを含む。1つ以上のEによって置換及び/又は1つ以上の単位Dによって中断されたC1〜C18−アルキルは、例えば(CH2CH2O)1-9−Rx(式中、RxはHもしくはC1〜C10−アルキルもしくはC2〜C10−アルカノイル(例えばCO−CH(C25)C49)である)、CH2−CH(ORy')−CH2−O−Ry(式中、RyはC1〜C18−アルキル、C5〜C12−シクロアルキル、フェニル、C7〜C15−フェニルアルキルであり、かつRy'は、Ryと同じ定義を含むか又はHである);C1〜C8−アルキレン−COO−Rz、例えばCH2COORz、CH(CH3)COORz、C(CH32COORz(式中、Rzは、H、C1〜C18−アルキル、(CH2CH2O)1-9−Rxであり、かつRxは、前記に示した定義を含む);CH2CH2−O−CO−CH=CH2;CH2CH(OH)CH2−O−CO−C(CH3)=CH2である。
【0071】
本発明のポリマーは、半導体デバイス中の半導体層として使用することができる。従って、本発明は、また、式Iaのポリマーもしくは式Iのモノマーを含む半導体デバイスに関する。半導体デバイスは、特にダイオード、有機電界効果トランジスタ及び/又は太陽電池、又はダイオード及び/又は有機電界効果トランジスタ及び/又は太陽電池を含むデバイスである。多くの型の半導体デバイスが存在する。全てに共通することは、1もしくはそれより多くの半導体材料の存在である。半導体デバイスは、例えばS.M.SzeによってPhysics of Semiconductor Devices,第2版,John Wiley and Sons,New York(1981)において記載されている。かかるデバイスは、整流器、トランジスタ(そのうち、p−n−p型、n−p−n型及び薄膜トランジスタを含む多くの種類が存在する)、発光半導体デバイス(例えば、ディスプレイ用途又は例えば液晶ディスプレイでのバックライトにおける有機発光ダイオード)、光伝導体、電流制御器、太陽電池、サーミスタ、p−n接合、電界効果トランジスタ、ショットキダイオードなどを含む。各半導体デバイスにおいて、半導体材料を、1もしくはそれより多くの金属及び/又は絶縁体と組み合わせることで、該デバイスが形成される。半導体デバイスは、公知の方法によって、例えばPeter Van ZantによってMicrochip Fabrication,第4版、McGraw−Hill,New York(2000)において記載される方法によって製造もしくは作成することができる。特に、有機電子コンポーネントは、D.R.Gamota他によってPrinted Organic and Molecular Electronics,Kluver Academic Publ.,Boston,2004に記載されるように作成することができる。
【0072】
特に有用な種類のトランジスタデバイス、つまり薄膜トランジスタ(TFT)は、一般に、ゲート電極と、該ゲート電極上のゲート誘電体と、ソース電極と、該ゲート誘電体に隣接したドレイン電極と、該ゲート誘電体に隣接し、かつソース電極とドレイン電極とに隣接した半導体層とを含む(例えばS.M.Sze,Physics of Semiconductor Devices,第2版,John Wiley and Sons,第492頁,New York(1981)を参照)。これらのコンポーネントは、様々な構成において組み立てることができる。より特に、有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、有機半導体層を有する。
【0073】
典型的に、基板は、作成、試験及び/又は使用の間にOTFTを支持する。場合により、該基板は、OTFTのための電気的機能を提供しうる。有用な基板材料は、有機材料及び無機材料を含む。例えば、該基板は、様々な好適な型のシリコーンを含むシリコン材料、無機ガラス、セラミックフォイル、ポリマー材料(例えばアクリル、ポリエステル、エポキシ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレン)(時としてポリ(エーテルエーテルケトン)もしくはPEEKと呼称される)、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS))、充填されたポリマー材料(例えば繊維強化プラスチック(FRP))及び被覆された金属フォイルを含んでよい。
【0074】
ゲート電極は、任意の有用な導電性材料であってよい。例えば、ゲート電極は、ドープトシリコン又は金属、例えばアルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタル及びチタンを含んでよい。導電性酸化物、例えばインジウムスズ酸化物又は場合によりポリマーバインダーを含有するカーボンブラック/グラファイトもしくはコロイド状銀分散液から構成される導電性インク/ペーストを使用することもできる。導電性ポリマー、例えばポリアニリン又はポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)を使用することもできる。更に、これらの材料の合金、組合せ物及び多層も有用であってよい。幾つかのOTFTにおいて、同じ材料は、ゲート電極機能を提供することができ、また基板の支持機能を提供することもできる。例えば、ドープトシリコンは、ゲート電極として機能し、かつOTFTを支持することができる。
【0075】
ゲート誘電体は、一般に、ゲート電極上に提供される。このゲート誘電体は、OTFTデバイスのバランスからゲート電極を電気的に絶縁する。該ゲート誘電体のために有用な材料は、例えば無機の電気的絶縁性材料を含んでよい。
【0076】
該ゲート誘電体(絶縁体)は、強誘電性の絶縁体(例えばポリ(ビニリデンフルオリド/トリフルオロエチレン)もしくはポリ(m−キシレンアジパミド)などの有機材料)のファミリーから選択される材料であってよく、又は有機ポリマー絶縁体(例えばポリ(メタクリレート)類、ポリ(アクリレート)類、ポリイミド類、ベンゾシクロブテン類(BCB)、パリレン類(parylenes)、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン類、ポリエステル、ポリカーボネート類)であってよく、それらは例えばJ.Veres他著のChem.Mat.2004,16,4543もしくはA.Facchetti他著のAdv.Mat.2005,17,1705に記載されている。該ゲート誘電体のために有用な材料の特定の例は、ストロンチウム酸塩、タンタル酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ケイ素窒化物、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコン酸チタン酸バリウム、セレン化亜鉛及び硫化亜鉛を含むが、PbZrxTi1-x3(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、Ba(Zr1-xTix)O3(BZT)に制限されるものではない。更に、これらの材料の合金、複合材料(例えばポリシロキサンもしくはナノ粒子充填ポリマー)、組合せ物及び多層は、ゲート誘電体のために使用することができる。誘電体層の厚さは、例えば約10〜1000nmであり、その際、より特定の厚さは、約100〜500nmであり、それは0.1〜100ナノファラッド(nF)の範囲のキャパシタンスを提供する。
【0077】
ソース電極とドレイン電極は、ゲート誘電体によってゲート電極から隔離されているが、有機半導体層は、ソース電極とドレイン電極の上にもしくは下にあってよい。ソース電極とドレイン電極は、半導体層に対する低抵抗のオーム接触を好ましくは提供する任意の有用な導電性材料であってよい。有用な材料は、ゲート電極のための前記される殆どの材料、例えばアルミニウム、バリウム、カルシウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、ポリアニリン、PEDOT:PSS、他の導電性ポリマー、そのアロイ、その組合せ物、そのドープ形及びその多層を含む。これらの材料の幾つかは、n型半導体材料と一緒に使用するために好適であり、他のものは、p型半導体材料と一緒に使用するために好適であり、それは当該技術分野において公知である。
【0078】
薄膜電極(すなわち、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極)は、任意の有用な手段、例えば物理蒸着(例えば熱的蒸発もしくはスパッタリング)もしくは(インクジェット)印刷法によって提供することができる。これらの電極のパターン形成は、公知法によって、例えばシャドウマスク法、加法ホトリソグラフィー、減法ホトリソグラフィー、印刷、マイクロコンタクト印刷及びパターン被覆によって達成できる。
【0079】
本発明は、更に、基板上に配置された複数の導電性のゲート電極;前記導電性のゲート電極上に配置されたゲート絶縁体層;前記絶縁体層上に配置された導電性のソース電極とドレイン電極の複数の組であって前記ゲート電極のそれぞれと整列している組;前記ゲート電極と事実上重なる前記絶縁体層上でソース電極とドレイン電極との間のチャネル中に配置された有機半導体層を含み、前記有機半導体層が式Iaのポリマー又は式Iのモノマーである薄膜トランジスタデバイスを提供する。
【0080】
本発明は、更に、薄膜トランジスタデバイス(ボトムゲート配置)の製造方法において、以下の工程:
複数の導電性のゲート電極を基板上に堆積させる工程と;
ゲート絶縁体層を前記の導電性のゲート電極上に堆積させる工程と;
導電性のソース電極とドレイン電極の複数の組を前記層上に、前記の組が前記のそれぞれのゲート電極と整列するように堆積させる工程と;
式IもしくはIaの化合物の層を前記絶縁体層上に、前記の式IもしくはIaの化合物の層が事実上前記のゲート電極と重なるように堆積させることで、薄膜トランジスタデバイスを製造する工程と
を含む製造方法を提供する。
【0081】
トップゲート配置を含むTFTデバイスは、これらの手順並びにこのデバイスアーキテクチャに公知の方法と同様にして製造される。
【0082】
任意の好適な基板を使用して、本発明の化合物の薄膜を製造することができる。好ましくは、前記の薄膜の製造に使用される基板は、金属、シリコン、プラスチック、紙、塗工紙、ファブリック、ガラスもしくは被覆ガラスである。
【0083】
選択的に、TFTは、例えば化合物を、熱的成長された酸化物層で覆われた高ドープされたシリコン基板上に溶液堆積させ、引き続きソース電極とドレイン電極の蒸着とスパッタリングを行うことによって作成される。
【0084】
更に別のアプローチでは、TFTは、熱的成長された酸化物で覆われた高ドープシリコン基板上にソース電極とドレイン電極を堆積させ、次いで、化合物を溶液堆積させて、薄膜を形成することによって作成される。
【0085】
ゲート電極は、また、基板又は導電性ポリマーなどの導電性材料上にパターン形成された金属ゲート電極であってよく、該電極は、次いで絶縁体で被覆され、それは前記のパターン形成されたゲート電極上での溶液コーティングもしくは真空堆積のいずれかによって適用される。
【0086】
任意の好適な溶剤を使用して本願の化合物を溶解及び/又は分散させることができるが、但し、該溶剤は不活性であり、少なくとも幾つかの材料を溶解でき、かつ基板から慣用の乾燥手段(例えば熱の適用、減圧、気流など)によって除去できることを条件とする。本発明の半導体の加工のための好適な有機溶剤は、それらに制限されないが、芳香族もしくは脂肪族の炭化水素、ハロゲン化、例えば塩素化もしくはフッ素化された炭化水素、エステル、エーテル、アミド、クロロホルム、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラリン、アニソール、キシレン、エチルアセテート、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びそれらの混合物を含む。該溶液及び/又は分散液を、次いで、スピンコート、ディップコート、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷、ドクターブレード塗布もしくは当該技術分野で公知の他の溶液塗布技術などの方法によって基板上に適用して、半導体材料の薄膜を得る。
【0087】
用語"分散液"は、完全に溶剤中に溶解されない本発明の半導体材料を含む任意の組成物を含む。該分散液は、少なくとも1種の式IもしくはIaの化合物を含有する混合物と溶剤を含む組成物を選択して製造でき、その際、該ポリマーは、溶剤中で室温においてより低い溶解度を示すが、高められた温度では溶剤中により高い溶解度を示し、該組成物は、高められた温度が第一のより低い温度にまで撹拌することなく低減された場合にゲル化する;
− 高められた温度で少なくとも一部のポリマーを溶剤中に溶解させる;該組成物の温度を高められた温度から第一のより低い温度へと低減させる;該組成物を撹拌して任意のゲル化を防ぎ、その際、該撹拌は第一のより低い温度へと前記組成物の高められた温度を低減させる前に、それと同時にもしくはそれに引き続き任意の時点で始める;該組成物の層を堆積させる(その際、該組成物は前記の高められた温度よりも低い第二のより低い温度である);及び少なくとも部分的に該層を乾燥させる。
【0088】
分散液は、また、(a)溶剤、バインダー樹脂及び場合により分散剤を含む連続相と、(b)本発明の有機半導体材料を含む分散相と構成されていてよい。溶剤中の半導体材料の溶解度は、例えば0%〜約20%の溶解度、特に0%〜約5%の溶解度で変動しうる。
【0089】
好ましくは、有機半導体層の厚さは、約5nm〜約1000nmの範囲であり、特にその厚さは、約10nm〜約100nmの範囲である。
【0090】
本発明の材料は、また、例えばW007/04804号、W005/24907号、US−2006−208251号に記載される垂直有機FET(VOFET)デバイスアーキテクチャの製造のために使用してもよい。しばしば、より高い電流を供給するVOFETは、OLEDバックプレーンに特に有用である。
【0091】
本発明のポリマーは、単独で又は組み合わせて、半導体デバイスの有機半導体層として使用することができる。該層は、任意の有用な手段によって、例えば蒸着(比較的低分子量を有する材料用)及び印刷技術によって提供することができる。本発明の化合物は、有機溶剤中に十分に可溶性であり、かつ溶液堆積させ、パターン形成(例えばスピンコート、ディップコート、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト(マイクロ波)印刷、ドロップキャスティングもしくはゾーンキャスティング又は他の公知の技術)させることができる。
【0092】
本発明の化合物は、複数のOTFTを含む集積回路において、並びに様々な電子物品において使用することができる。かかる物品は、例えば無線周波数識別(RFID)タグ、(例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話又はハンドヘルドデバイスで使用するための)フレキシブルディスプレイ用のバックパネル、スマートカード、メモリデバイス、センサ(例えば光センサ、イメージセンサ、生体センサ、化学センサ、機械センサもしくは温度センサ)又はセキュリティデバイスなどを含む。
【0093】
本発明は、更に、本発明による化合物を含む有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)を提供する。
【0094】
該光起電デバイスは、この順序で:
(a)カソード(電極)、
(b)場合により遷移層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)場合により平滑化層、
(e)アノード(電極)、
(f)基板
を含む。
【0095】
前記光活性層は、本発明の化合物/ポリマーを含む。好ましくは、該光活性層は、電子供与体としての本発明の共役化合物/ポリマーと、電子受容体としてのフラーレン、特に官能化されたフラーレンPCBMとから構成される。
【0096】
本発明において有用なフラーレンは、広範なサイズ(1分子あたりの炭素原子数)を有してよい。本願で使用される用語フラーレンは、バックミンスターフラーレン(C60)を含む純粋な炭素の様々なかご型分子及び関連の"球状"フラーレン並びにカーボンナノチューブを含む。フラーレンは、例えばC20〜C1000の範囲の当該技術分野で公知のものから選択することができる。好ましくは、フラーレンは、C60〜C96の範囲から選択される。最も好ましくは、フラーレンは、C60もしくはC70、例えば[60]PCBMもしくは[70]PCBMである。また、化学的に変性されたフラーレンの使用も許容できるが、変性されたフラーレンは、受容体型の電子移動特性を保持することを条件とする。受容体材料は、また、別の式Iのポリマー又は任意の半導性ポリマーであるが、受容体型の電子移動特性を保持するポリマー、有機小分子、カーボンナノチューブ、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnOなど)からなる群から選択される材料であってもよい。
【0097】
電極は、好ましくは、金属又は"代用金属"から構成される。本願で、用語"金属"は、元素的に純粋な金属、例えばMgと、また、2もしくはそれより多くの元素的に純粋な金属、例えばMgとAg(Mg:Agを示す)と共に構成される材料である金属合金の両方の材料を含むものとして使用される。本願で、用語"代用金属"とは、通常の定義では金属ではないが、一定の好適な用途において望まれる金属様の特性を有する材料を指す。電極及び電荷輸送層のために通常使用される代替金属は、ドープされたワイドバンドギャップ半導体、例えば透明な導電性酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)及び亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO)を含む。他の好適な代替金属は、透明な導電性ポリマーであるポリアナリン(PANI)及びその化学的関連物もしくはPEDOT:PSSである。代替金属は、更に、広範な非金属材料から選択でき、その際、用語"非金属"とは、広範な材料であるが、但し、該材料がその化学的に化合していない形で金属を含まない材料を含むことが意味される。高度に透明な非金属の低抵抗のカソードもしくは高効率の低抵抗の金属/非金属化合物カソードは、例えばUS−B−6,420,031号及びUS−B−5,703,436号に開示されている。
【0098】
基板は、例えばプラスチック(フレキシブル基板)もしくはガラス基板であってよい。
【0099】
本発明のもう一つの別の実施態様においては、平滑化層が、アノードと光活性層との間に位置している。この平滑化層のための好ましい材料は、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)もしくは3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)のフィルムを含む。
【0100】
本発明の好ましい一実施態様においては、光起電性電池は、例えばUS−B−6933436号に記載されるように、透明なガラスキャリヤーを含み、その上にインジウム/スズ酸化物(ITO)から構成される電極層が適用される。この電極層は、一般に、比較的粗い表面構造を有するので、ドーピングにより導電性にしたポリマー、典型的にはPEDOTから構成される平滑化層で覆われる。光活性層は、2種の成分から構成され、適用方法に応じて例えば100nmないし数μmの層厚を有し、かつ前記の平滑化層上に適用される。該光活性層は、電子供与体としての本発明の共役ポリマーと、電子受容体としてのフラーレン、特に官能化されたフラーレンPCBMとから構成される。これらの2種の成分は、溶剤を混合され、溶液として該平滑化層上へと、例えばスピンコート法、キャスティング法、ラングミュア−ブロジェット("LB")法、インクジェット印刷法及びディッピング法によって適用される。スキージ法もしくは印刷法を使用して、より広い表面をかかる光活性層で被覆することもできる。典型的なトルエンの代わりに、クロロベンゼンなどの分散剤も溶剤として好ましくは使用される。これらの方法のなかで、真空堆積法、スピンコート法、インクジェット印刷法及びキャスティング法は、作業の容易さと費用の観点で特に好ましい。
【0101】
スピンコート法、キャスティング法及びインクジェット印刷法を使用することにより層を形成する場合に、その被覆は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン及びそれらの混合物などの好適な有機溶剤中で0.01〜90質量%の濃度で組成物を溶解もしくは分散することによって調製される溶液及び/又は分散液を使用して実施することができる。
【0102】
対向電極を塗布する前に、電気的に絶縁性でなければならない、層厚、例えば0.6nmを有する薄い遷移層が、光活性層4に適用される。この例示的実施態様においては、この遷移層は、アルカリ金属ハロゲン化物、すなわちフッ化リチウムから構成され、それは、2・10-6トルの真空中で0.2nm/分の速度で蒸着される。
【0103】
ITOが正孔回収電極として使用される場合に、電子回収電極として、電気的に絶縁する遷移層上に蒸着されたアルミニウムが使用される。遷移層の電気的絶縁特性は、明らかに、電荷担体の横断が効果的になることを妨げる影響を、特に光活性層から遷移層への遷移領域において抑える。
【0104】
本発明の更なる一実施態様において、1もしくはそれより多くの層をプラズマで処理してから、後続の層を堆積させてよい。PEDOT:PSS層を、後続層の堆積前に穏やかなプラズマ処理に供することが特に好ましい。
【0105】
光起電性(PV)デバイスは、また、多層のヘテロ接合型デバイスからなってもよい。かかる構造は、例えばAdv.Mater.18,2872−2875(2006)に記載されており、その際、該デバイスは、この順序で:
(a)カソード(電極)、
(b)場合により、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)場合により、励起子ブロック層(例えばバソクプロイン(BCP)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)…)、
(d)光活性アクセプタ層、
(e)場合により、光活性ドナー/アクセプタ混合層、
(f)光活性ドナー層、
(g)場合により、正孔輸送層(例えばN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(MeOTPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4′−(N,N−ビス(ナフト−1−イル)−アミノ)−ビフェニル−4−イル)−ベンジジン、(Di−NPB)…)、
(h)場合により、平滑化層、
(i)アノード(電極)
を含む。
【0106】
少なくとも1つの光活性層は、本発明の化合物/ポリマーを含む。好ましくは、該光活性ドナー層は、本発明の共役化合物/ポリマーから構成され、かつ該光活性アクセプタ層は、フラーレン、特にC60もしくはPCBMから構成される。
【0107】
光起電性(PV)デバイスは、また、より多くの太陽スペクトルを吸収するために互いの上部に加工された多接合太陽電池からなってもよい。かかる構造は、例えばApp.Phys.Let.90,143512(2007),Adv.Funct.Mater.16,1897−1903(2006)及びAdv.Funct.Mater.18,169−181(2008)に記載される。
【0108】
いわゆる"タンデム型太陽電池"は、この順序で:
(a)カソード(電極)、
(b)場合により遷移層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)場合により平滑化層、
(e)中間電極(例えばAu、Al、ZnO、TiO2など)、
(f)場合によりエネルギー準位の適合のための外部電極、
(g)場合により遷移層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(h)光活性層、
(i)場合により平滑層、
(j)アノード(電極)、
(k)基板
を含む。
【0109】
多重接合型太陽電池デバイスは、また、多層のヘテロ接合型デバイスからなっていてもよく、その際、該デバイスは、この順序で:
(a)カソード(電極)、
(b)場合により、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)場合により、励起子ブロック層(例えばバソクプロイン(BCP)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)…)、
(d)光活性アクセプタ層、
(e)場合により、光活性ドナー/アクセプタ混合層、
(f)光活性ドナー層、
(g)場合により、正孔輸送層(例えばN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(MeOTPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4′−(N,N−ビス(ナフト−1−イル)−アミノ)−ビフェニル−4−イル)−ベンジジン、(Di−NPB)…)、
(h)場合により、平滑化層、
(i)中間電極(例えばAu、Al、ZnO、TiO2など)、
(j)場合により、エネルギー準位の適合のための外部電極、
(k)場合により、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(l)場合により、励起子ブロック層(例えばバソクプロイン(BCP)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール(PTCBI)…)、
(m)光活性アクセプタ層、
(n)場合により、光活性ドナー/アクセプタ混合層、
(o)光活性ドナー層、
(p)場合により、正孔輸送層(例えばN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(MeOTPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4′−(N,N−ビス(ナフト−1−イル)−アミノ)−ビフェニル−4−イル)−ベンジジン、(Di−NPB)…)、
(q)場合により、平滑化層、
(r)アノード(電極)
を含む。
【0110】
該PVデバイスは、また、例えばUS20070079867号及びUS20060013549号に記載される繊維上で加工することもできる。
【0111】
その優れた自己組織化特性のため、本発明の化合物、材料もしくはフィルムは、単独でも又は他の材料と一緒でも、例えばUS2003/0021913号に記載されるように、LCDもしくはOLEDデバイス中でアラインメント層中でもしくはアラインメント層として使用することもできる。
【0112】
以下の実施例は、説明を目的とするものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。特に記載がない限り、全ての部及びパーセンテージは、質量に対するものである。質量平均分子量(M)及び多分散性(M/M=PD)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。装置:GPCmax+TDA302(Viscotek社製)(Houston,TX,USA)、これにより屈折率(RI)、低角光散乱(LALS)、直角光散乱(RALS)及び差動粘度(DP)測定をもたらす。クロマトグラフィー条件:カラム:PLgel mixed C(300×7.5mm、5μm粒子)、それは約1×103〜約2.5×106Daの分子量範囲をカバーする(Polymer Laboratories社製)(Church Stretton,UK);移動相:5g/lのトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有するテトラヒドロフラン;移動相流:0.5か0.7ml/分のいずれか;溶質濃度:約1〜2mg/ml;注入容量:100μl;検出:RI、LALS、RALS、DP。分子量校正の手順:相対校正は、Polymer Laboratories社(Church Stretton,UK)社製の、1930000Da〜5050Daの分子量範囲に及ぶ、すなわちPS1930000Da、PS1460000Da、PS1075000Da、PS560000Da、PS330000Da、PS96000Da、PS52000Da、PS30300Da、PS10100Da、PS5050Daという、10種のポリスチレン校正スタンダードの組を使用することによって行う。絶対校正は、LALS、RALS及びDPの応答を基礎として行う。多数の調査で経験されるように、この組み合わせは、分子量データの最適な計算を提供する。通常、PS96000が分子量校正スタンダードとして使用されるが、一般に、測定されるべき分子量範囲内にあるあらゆる他のPSスタンダードをこの目的のために選択できる。以下の実施例に示される全てのポリマー構造は、記載される重合手順によって得られるポリマー生成物の理想的な代表物である。2つより多くの成分が互いに共重合される場合に、そのポリマー中の順序は、重合条件に依存して交互でもランダムでもよい。特に記載がない限り、全てのパーセンテージは、質量に対するものであり、"一晩"とは、14から16時間の期間を表し、かつ室温は、20〜25℃の範囲の温度を示す。実施例、明細書及び/又は特許請求の範囲における略語:
CSEM スイス・エレクトロニクス・マイクロテクノロジーセンターSA
ITO インジウムドープ酸化スズ
Ph フェニル
t− 第三級(アルキル)基、例えばt−Buは、第三級ブチルを表す
Bu ブチル
LC 液体クロマトグラフィー
MS 質量分光分析
CIE 国際照明/色度委員会
NMR 核磁気共鳴、特に記載がない限り、1Hの核磁気共鳴
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
OFET 有機電界効果トランジスタ
【0113】
製造例
a)
5,5′−ブロモビインドリリデン−2,2′−ジオン1及び6,6′−ブロモビインドリリデン−2,2′−ジオン2を、文献に従って、1回の高収率のステップで、5−ブロモオキシインドール及び5−ブロモイサチンもしくは6−ブロモオキシインドール及び6−ブロモイサチンから合成する(Papageorgiou,C.:Borer,X.Helv.Chim.Acta 1988,71,1079)。
【0114】
b)
【化45】

【0115】
3g(7.1ミリモル、1当量)の化合物1、3.4g(17.9ミリモル、2.5当量)の1−ブロモ−2−エチルヘキサン及び6g(43ミリモル、6当量)のK2CO3を、DMF(100mL)中で窒素下で一晩100℃で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、固体を濾過し、水及びエタノールで数回洗浄する。固体を、最少量のクロロホルム中に溶解させ、エタノール中で沈殿させることで、3.05gの純粋な化合物3が赤紫色の粉末として得られる。
【0116】
収率67%;

【0117】
c)
【化46】

【0118】
7g(16.6ミリモル、1当量)の化合物2、8g(41.7ミリモル、2.5当量)の1−ブロモ−2−エチルヘキサン及び13.9g(100ミリモル、6当量)のK2CO3を、DMF(200mL)中で窒素下で一晩100℃で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、固体を濾過し、水及びエタノールで数回洗浄する。固体を、最少量のクロロホルム中に溶解させ、エタノール中で沈殿させることで、8.45gの純粋な化合物4が赤紫色の粉末として得られる。
【0119】
収率79%;

【0120】
d)
【化47】

【0121】
8g(19ミリモル、1当量)の化合物2、12.8g(42ミリモル、2.25当量)の1−ブロモ−2−ヘキシルデカン及び16g(115ミリモル、6当量)のK2CO3を、DMF(150mL)中で窒素下で一晩100℃で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、油状物を傾瀉し、そして水及びエタノールで数回洗浄する。油状物を、最少量のクロロホルム中に溶解させ、エタノール中に注ぐことで、12.1gの純粋な化合物5がゆっくりと固化する赤紫色の油状物として得られる。
【0122】
収率73%;

【0123】
e)
【化48】

【0124】
10g(24ミリモル、1当量)の化合物2、8.5g(60ミリモル、2.5当量)のヨードメタン及び20g(145ミリモル、6当量)のK2CO3を、DMF(150mL)中で窒素下で一晩100℃で撹拌する。次いで、該混合物を水に注ぎ、固体を濾過し、そして水及びエタノールで数回洗浄し、そしてそれを後続工程のために直接使用する。収率94%;
【0125】
f)
【化49】

【0126】
8g(19ミリモル、1当量)の化合物2、7.8g(47.6ミリモル、2.5当量)の1−ブロモヘキサン及び15.8g(110ミリモル、6当量)のK2CO3を、DMF(100mL)中で窒素下で一晩100℃で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、固体を濾過し、水及びエタノールで数回洗浄する。固体を、最少量のクロロホルム中に溶解させ、エタノール中で沈殿させることで、10.30gの純粋な化合物7が赤色の粉末として得られる。
【0127】
収率92%;

【0128】
オリゴマー
g)
【化50】

【0129】
窒素下で、50mLのトルエンを用いて、1g(2.23ミリモル、1当量)の化合物6、2gの2−トリブチルスタニルチオフェン(5.6ミリモル、2.5当量)及び260mgのPd(Ph34(225マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、770mgの純粋な化合物8が黒色の固体として得られる。
【0130】
収率73%;

【0131】
h)
【化51】

【0132】
窒素下で、50mLのトルエンを用いて、1.1g(2.4ミリモル、1当量)の化合物6、2.7gの2−トリブチルスタニル−5−ヘキシルチオフェン(6ミリモル、2.5当量)及び280mgのPd(Ph34(240マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、1.1gの純粋な化合物9が黒色の固体として得られる。
【0133】
収率74%;

【0134】
i)
【化52】

【0135】
窒素下で、50mLのトルエンを用いて、2.3g(5.2ミリモル、1当量)の化合物6、6.8gの2−トリブチルスタニル−5−ドデシルチオフェン(13ミリモル、2.5当量)及び600mgのPd(Ph34(520マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、3.0gの純粋な化合物10が黒色の固体として得られる。
【0136】
収率73%;

【0137】
k)
【化53】

【0138】
窒素下で、70mLのトルエンを用いて、2.95g(5ミリモル、1当量)の化合物7、4.6gの2−トリブチルスタニルチオフェン(12ミリモル、2.5当量)及び580mgのPd(Ph34(500マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.3gの純粋な化合物11が黒色の固体として得られる。
【0139】
収率77%;

【0140】
l)
【化54】

【0141】
窒素下で、100mLのトルエンを用いて、2.95g(5ミリモル、1当量)の化合物7、5.6gのトリブチル−(5−フェニル−チオフェン−2−イル)スタナン(12ミリモル、2.5当量)及び580mgのPd(Ph34(580マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.6gの純粋な化合物12が黒色の固体として得られる。
【0142】
収率69%;

【0143】
m)
【化55】

【0144】
窒素下で、100mLのトルエンを用いて、2.95g(5ミリモル、1当量)の化合物7、5.7gの[2,2′]ビチオフェニル−5−イル−トリブチル−スタナン(12ミリモル、2.5当量)及び580mgのPd(Ph34(580マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.3gの純粋な化合物13が黒色の固体として得られる。
【0145】
収率62%;

【0146】
n)
【化56】

【0147】
窒素下で、60mLのトルエンを用いて、3g(4.65ミリモル、1当量)の化合物3、6.3gの2−トリブチルスタニル−4−ドデシルチオフェン(11.6ミリモル、2.5当量)及び270mgのPd(Ph34(230マイクロモル、0.05当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.9gの純粋な化合物14が黒色の固体として得られる。
【0148】
収率63%;

【0149】
o)
【化57】

【0150】
窒素下で、200mLのトルエンを用いて、7g(11ミリモル、1当量)の化合物4、14.7gの2−トリブチルスタニル−4−ドデシルチオフェン(27ミリモル、2.5当量)及び1.2gのPd(Ph34(1ミリモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、7.3gの純粋な化合物15が黒色の固体として得られる。
【0151】
収率67%;

【0152】
p)
【化58】

【0153】
窒素下で、150mLのトルエンを用いて、10.6g(12.2ミリモル、1当量)の化合物5、16.5gの2−トリブチルスタニル−4−ドデシルチオフェン(30.5ミリモル、2.5当量)及び1.4gのPd(Ph34(1.2ミリモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、13gの純粋な化合物16が黒色の固体として得られる。
【0154】
収率89%;

【0155】
q)
【化59】

【0156】
1.8gのNBS(10ミリモル、2当量)を、5gの化合物15(5ミリモル)をTHF(60mL)中に溶かした溶液に添加する。該混合物を次いで5時間撹拌する。水性後処理後に、溶剤を真空下で除去し、そして得られた生成物を、CHCl3中に溶解させ、そしてMeOH中で沈殿させることで、相応の純粋な化合物17が黒色の固体として得られる。
【0157】
収率=97%

【0158】
r)
【化60】

【0159】
2.1gのNBS(11.9ミリモル、2.05当量)を、7gの化合物16(5.8ミリモル)をTHF(60mL)中に溶かした溶液に添加する。該混合物を次いで5時間撹拌する。水性後処理後に、溶剤を真空下で除去し、そして得られた生成物を、CHCl3中に溶解させ、そしてMeOH中で沈殿させることで、相応の純粋な化合物18が黒色の固体として得られる。
【0160】
収率=87%

【0161】
s)
【化61】

【0162】
窒素下で、100mLのトルエンを用いて、5.6g(4.8ミリモル、1当量)の化合物17、4.5gの2−トリブチルスタニルチオフェン(12.2ミリモル、2.5当量)及び560mgのPd(Ph34(480マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の固体をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、4.6gの純粋な化合物19が黒色の固体として得られる。
【0163】
収率84%;

【0164】
t)
【化62】

【0165】
窒素下で、60mLのトルエンを用いて、3g(2.2ミリモル、1当量)の化合物18、2gの2−トリブチルスタニル−4−ドデシルチオフェン(5.3ミリモル、2.5当量)及び250mgのPd(Ph34(210マイクロモル、0.1当量)を120℃で一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた暗色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.8gの純粋な化合物20が黒色の固体として得られる。
【0166】
収率93%;

【0167】
u)
【化63】

【0168】
1.5gのNBS(8.7ミリモル、2当量)を、5gの化合物19(4.3ミリモル、1当量)をTHF(100mL)中に溶かした溶液に添加する。該混合物を次いで5時間撹拌する。水性後処理後に、溶剤を真空下で除去し、そして得られた生成物を、CHCl3中に溶解させ、そしてMeOH中で沈殿させることで、相応の純粋な化合物21が黒色の固体として得られる。
【0169】
収率=79%

【0170】
v)
【化64】

【0171】
260mgのNBS(725マイクロモル、2当量)を、1gの化合物20(1.5ミリモル、1当量)をTHF(50ml)中に溶かした溶液に添加する。該混合物を次いで5時間撹拌する。水性後処理後に、溶剤を真空下で除去し、そして得られた生成物を、CHCl3中に溶解させ、そしてMeOH中で沈殿させることで、相応の純粋な化合物22が黒色の固体として得られる。
【0172】
収率=66%

【0173】
w)
【化65】

【0174】
40g(245ミリモル、1当量)の3−ブロモチオフェン、39.5g(370ミリモル、1.5当量)のベンジルアミン、1.5g(25ミリモル、0.1当量)の銅、4.6g(25ミリモル、0.1当量)のCuI及び105g(490ミリモル、2当量)のK3PO4を、ジメチルアミノエタノール(220mL)中で窒素下で80℃で48時間にわたり撹拌する。次いで、該混合物を濾過し、ジメチルアミノエタノールを真空下で除去する。得られた黒色の油状物を真空下で蒸留することで、化合物23が無色の液体として得られる。収率43%;
【0175】
x)
【化66】

【0176】
10g(52.8ミリモル、1当量)の化合物23を40mLのCH2Cl2中に入れたものを、8.7g(68.7ミリモル、1.3当量)の塩化オキサリルを60mLのCH2Cl2中に入れたものに−10℃で滴加する。30分後に、18mLのトリエチルアミンを40mLのCH2Cl2中に溶かしたものを滴加し、該混合物を一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた黒色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、6.5gの純粋な化合物24が赤色の固体として得られる。収率53%;
【0177】
y)
【化67】

【0178】
3g(12.3ミリモル、1当量)の化合物24及び800mg(12.3ミリモル、1当量)のナトリウムエタノレートを、還流下に一晩、15mLのヒドラジン及び30mLのエタノールと一緒に撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた黄色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.1gの純粋な化合物25が淡黄色の固体として得られる。収率74%;
【0179】
z)
【化68】

【0180】
2.2g(12.3ミリモル、1当量)の化合物24及び2.1g(9.2ミリモル、1当量)の化合物25を、還流下に48時間、40mLの酢酸中で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、固体を濾過し、水及びエタノールで数回洗浄する。固体を、最少量のクロロホルム中に溶解させ、ヘプタン中で沈殿させることで、3.9gの純粋な化合物26が暗色の紫色の粉末として得られる。収率93%;
【0181】
aa)
【化69】

【0182】
16.3g(100ミリモル、1当量)の3−ブロモチオフェン、19.4g(150ミリモル、1.5当量)の2−エチルヘキシルアミン、320mg(5ミリモル、0.05当量)の銅、950mg(5ミリモル、0.05当量)のCuI及び12.3g(200ミリモル、2当量)のK3PO4を、ジメチルアミノエタノール(100mL)中で窒素下で80℃で48時間にわたり撹拌する。次いで、該混合物を濾過し、ジメチルアミノエタノールを真空下で除去する。得られた黒色の油状物を真空下で蒸留することで、化合物27が無色の液体として得られる。収率35%;
【0183】
ab)
【化70】

【0184】
6.1g(28.9ミリモル、1当量)の化合物27を20mLのCH2Cl2中に入れたものを、4.8g(37.5ミリモル、1.3当量)の塩化オキサリルを40mLのCH2Cl2中に入れたものに0℃で滴加する。30分後に、10mLのトリエチルアミンを10mLのCH2Cl2中に溶かしたものを滴加し、該混合物を一晩撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた黒色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、6.5gの純粋な化合物28が赤色の油状物として得られる。収率64%;
【0185】
ac)
【化71】

【0186】
2g(7.5ミリモル、1当量)の化合物28及び510mg(7.5ミリモル、1当量)のナトリウムエタノレートを、還流下に一晩、7mLのヒドラジン及び10mLのエタノールと一緒に撹拌する。次いで、溶剤を真空下で除去し、そして得られた黒色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、2.1gの純粋な化合物29が淡黄色の油状物として得られる。収率67%;
【0187】
ad)
【化72】

【0188】
1g(3.7ミリモル、1当量)の化合物28及び950mg(3.7ミリモル、1当量)の化合物29を、還流下に48時間、20mLの酢酸中で撹拌する。次いで、該混合物を、水に注ぎ、固体を濾過し、水及びエタノールで数回洗浄する。該固体を、シリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、1.7gの純粋な化合物30が暗紫色の粉末として得られる。収率93%;
【0189】
ae)
【化73】

【0190】
1.05gのNBS(6ミリモル、2当量)を、1.5gの化合物27(3ミリモル、1当量)をTHF(30mL)中に溶かした溶液に添加する。該混合物を次いで5時間撹拌する。水性後処理後に、溶剤を真空下で除去し、そして得られた生成物を、CHCl3中に溶解させ、そしてMeOH中で沈殿させることで、相応の純粋な化合物28が暗紫色の粉末として得られる。
【0191】
収率=87%
【0192】
af)
【化74】

【0193】
22.2g(0.15モル、1当量)のグリオキシル酸の水中の50%溶液を、真空下(50mmHg)で80%の水が除去されるまで加熱する。次いで、37.8g(0.3モル、2当量)の2−アセチルチオフェンを添加し、そして該混合物を真空下で2時間加熱する。室温に冷却したら、100mLの水及び8.7gのNa2CO3を添加し、そして水相を、エーテルで数回洗浄し、次いで約1のpH値にまで酸性化し、そして酢酸エチルで数回抽出する。有機相を、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発させることで、19.8gの純粋な化合物32が淡黄色の油状物として得られる。
【0194】
収率=66%
【0195】
ag)
【化75】

【0196】
10g(50ミリモル、1当量)の化合物32、2g(37ミリモル、0.75当量)のNH4Cl、1.8g(19ミリモル、0.38当量)のCuClを、無水酢酸(50mL)中で還流下で2時間撹拌する。次いで、冷却したら、該混合物を濾過し、そして得られた黒紫色の粉末を、水、エタノール及びエーテルで数回洗浄し、そして酢酸中で再結晶化させる。
【0197】
収率=67%;
【0198】
ah)
【化76】

【0199】
1g(2.05ミリモル、1当量)の化合物33及び0.92g(6.2ミリモル、3当量)の4−ブチルアニリンを、酢酸(50mL)中で還流下に2時間撹拌する。次いで、冷却したら、水及びCH2Cl2を添加し、そして有機相を水で数回洗浄し、Na2CO3上で乾燥させ、蒸発させる。得られた褐色の油状物をシリカゲル(グラジエント ヘプタン/CH2Cl2)で精製することで、180mgの純粋な化合物34が青色の粉末として得られる。
【0200】
ポリマー
ai)
【化77】

【0201】
窒素下で、1.3g(8.1ミリモル、4当量)のFeCl3を15mLのニトロメタン中に入れたものを、2g(2ミリモル、1当量)の化合物15を60mLの無水クロロベンゼン中に溶かした溶液に滴加する。該混合物を、50℃で一晩撹拌する。次いで、該混合物をMeOH中に注ぎ、固体をソックスレー装置でMeOH、Et2O及びCHCl3を用いて洗浄する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、530mgのP1が黒緑色の粉末として得られる。
【0202】
収率=81%;
Mn=2.24・104g・モル-1、Mw=1.41・105g・モル-1、Mz=4.11・105g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=22
【0203】
aj)
【化78】

【0204】
窒素下で、790mg(2.9ミリモル、1.25当量)のNi(COD)2及び450mgのビピリジン(2.9ミリモル、1.25当量)を30mLのトルエン中に入れたものを、3g(2.3ミリモル、1当量)の化合物21を70mLのトルエン中に溶かした溶液に添加する。該混合物を、80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、300mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム塩の水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、ヘキサン及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、700mgのP2が黒緑色の粉末として得られる。
【0205】
収率=27%;
Mn=1.07・104g・モル-1、Mw=2.11・104g・モル-1、Mz=3.97・104g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=17
【0206】
ak)
【化79】

【0207】
窒素下で、260mg(940マイクロモル、1.25当量)のNi(COD)2及び150mgのビピリジン(940マイクロモル、1.25当量)を15mLのトルエン中に入れたものを、1.15g(750マイクロモル、1当量)の化合物22を35mLのトルエン中に溶かした溶液に添加する。該混合物を、80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、100mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム塩の水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、ヘキサン及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、660mgのP3が黒青色の粉末として得られる。
【0208】
収率=66%;
Mn=1.56・104g・モル-1、Mw=2.61・104g・モル-1、Mz=4.75・104g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=19
【0209】
al)
【化80】

【0210】
窒素下で、40mLのTHF及び8mLの水を用いて、2.00g(2.3ミリモル、1当量)の化合物3、0.584g(2.3ミリモル、1当量)のビスピナコラトジボラン、53mg(57マイクロモル、0.025当量)のPd2dba3、33mg(115マイクロモル、0.05当量)のtBu3PBF4及び1.9g(8.7ミリモル、4当量)のK3PO4を80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、100mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、そして、シアン化ナトリウムの水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、エーテル及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、1.3gのP4が黒色の粉末として得られる。
【0211】
収率=79%;
Mn=4.95・104g・モル-1、Mw=2.00・104g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=70
【0212】
am)
【化81】

【0213】
窒素下で、20mLのTHF及び3mLの水を用いて、1.00g(1.15ミリモル、1当量)の化合物3、0.386g(1.15ミリモル、1当量)の2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン、26mg(29マイクロモル、0.025当量)のPd2dba3、17mg(57マイクロモル、0.05当量)のtBu3PBF4及び0.73g(3.5ミリモル、3当量)のK3PO4を80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、60mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、そして、シアン化ナトリウムの水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、エーテル及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、640mgのP4が黒色の粉末として得られる。
【0214】
収率=71%;
Mn=2.6・105g・モル-1、Mw=5.9・104g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=320
【0215】
an)
【化82】

【0216】
窒素下で、20mLのTHF及び3mLの水を用いて、1.00g(1.15ミリモル、1当量)の化合物3、0.491g(1.15ミリモル、1当量)の5,5′−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,2′−ビチオフェン、26mg(29マイクロモル、0.025当量)のPd2dba3、17mg(57マイクロモル、0.05当量)のtBu3PBF4及び0.73g(3.5ミリモル、3当量)のK3PO4を80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、60mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、そして、シアン化ナトリウムの水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、エーテル及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、170mgのP6が黒色の粉末として得られる。
【0217】
収率=17%;
Mn=7.7・103g・モル-1、Mw=5.0・103g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=8
【0218】
ao)
【化83】

【0219】
窒素下で、25mLのTHF及び5mLの水を用いて、1.00g(1.5ミリモル、1当量)の化合物31、0.387g(1.5ミリモル、1当量)のビスピナコラトジボラン、34mg(38マイクロモル、0.025当量)のPd2dba3、21mg(76マイクロモル、0.05当量)のtBu3PBF4及び0.95g(8.7ミリモル、4当量)のK3PO4を80℃で一晩撹拌する。次いで、該溶液を、50mLのメタノール/アセトン/HCl(4N)の1/1/1混合物に注ぎ、そして1時間撹拌する。次いで、該沈殿物を、濾過し、CHCl3中に溶解させ、そして、シアン化ナトリウムの水溶液と一緒に60℃で更に1時間にわたり激しく撹拌する。有機相を、水で洗浄し、濃縮し、そしてメタノール中で沈殿させる。残留物を、ソックスレー抽出によってメタノール、エーテル及びCHCl3を用いて精製する。クロロホルムフラクションをMeOH中で沈殿させることで、510mgのP7が黒色の粉末として得られる。
【0220】
収率=69%;
Mn=3.2・104g・モル-1、Mw=2.0・104g・モル-1
生成物中のモノマー単位の平均数=64
【0221】
適用例:ポリマーX、Y及びZを基礎とする電界効果トランジスタ
a)実験:
p型Siゲートを有するボトムゲート型薄膜トランジスタ(TFT)構造を全ての実験のために使用する。高品質の熱的SiO2層は、Ci=32.6nF/cm2の単位面積当たりの容量のゲート絶縁体としてはたらく。ソース電極とドレイン電極は、ホトリソグラフィーによってゲート酸化物上に直接パターン形成させる(ボトムコンタクト配置)。それぞれの基板上に、16個のトランジスタが、種々の長さのチャネルを規定するAuのソース/ドレイン電極と共に存在する。有機半導体の堆積の前に、SiO2表面を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)もしくはオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で誘導体化する。該被膜は、例w)、x)、y)で得られたポリマーの種々の溶剤中でのスピンキャスティングもしくはドロップキャスティングのいずれかによって作成される。トランジスタ挙動を、CSEMにより作成された自動化テスター、トランジスタテスターTP−10で測定する。
【0222】
b)トランジスタ性能:
P1
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、9・10-5cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、約−7Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、103のオン/オフ電流比を示す。
【0223】
P2
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、2.5・10-3cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、−6Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、1.8・104の良好なオン/オフ電流比を示す。
【0224】
該サンプルのアニーリングによって、性能(特に移動度)の劇的な増大がもたらされ、それは、固体状態でのポリマーの良好な凝集に相関することがある。
【0225】
空気条件中に曝して2ヶ月後の一組のOFETの試験は、その移動度がほぼ一定なので顕著な安定性を示している。通常最も悪影響があるオン/オフ比が、10分の1だけしか減少しなかった。
【0226】
P3
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、9・10-3cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、−5Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、8.5・104の良好なオン/オフ電流比を示す。
【0227】
該サンプルのアニーリングによって、性能(特に移動度)の劇的な増大がもたらされ、それは、固体状態でのポリマーの良好な凝集に相関することがある。
【0228】
空気条件中に曝して2ヶ月後の一組のOFETの試験は、その移動度がほぼ一定なので顕著な安定性を示している。オン/オフ比が、10分の1だけしか減少しなかった。
【0229】
P4
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、2・10-5cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、3Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、1.2・104の良好なオン/オフ電流比を示す。
【0230】
P5
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、4・10-4cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、−13Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、8・103のオン/オフ電流比を示す。
【0231】
P6
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、5・10-4cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、−5Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、7・103の良好なオン/オフ電流比を示す。
【0232】
P7
該薄膜型トランジスタは、p型のトランジスタ挙動を示す。飽和移動特性の平方根への線形フィットから、2.1・10-2cm2/Vsの電界効果移動度が測定される。該トランジスタは、−11Vの閾値電圧を示す。該トランジスタは、6・105のオン/オフ電流比を示す。
【0233】
該サンプルのアニーリングによって、性能(特に移動度)の劇的な増大がもたらされ、それは、固体状態でのポリマーの良好な凝集に相関することがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は式(Ia)の繰返単位を含む相応するオリゴマーもしくはポリマー
【化1】

[式中、
a、b、c、d、e及びfは、0〜3の範囲であり;
A、A′、R1、R2のそれぞれは、無関係に、水素;E;C1〜C25−アルキル、C2〜C25−アルケニル、C2〜C24−アルキニル(そのそれぞれは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合に任意のC,C単結合においてDによって中断されていてよい);シクロアルキル基(前記基は、Eによって、特にC1〜C8−アルキル、C1〜C8−チオアルコキシもしくはC1〜C8−アルコキシによって1〜3置換されていてよい);又はシクロアルキル基(前記基は、非置換フェニルもしくはEによって置換されたフェニル、特にC1〜C4−アルキル、ハロゲン、ニトロもしくはシアノによって1〜3置換されたフェニルによって1もしくは2縮合されていてよい);シクロアルケニル基;ケトン基もしくはアルデヒド基;エステル基;カルバモイル基;シリル基;シロキサニル基;Ar10もしくは−CR56−(Cg2g)−Ar10(式中、gは0、1、2、3もしくは4を表す)から選択されるか;又は
2及びAr1は、それらが結合されるビニル部と一緒になって、環、例えばアリール基もしくはヘテロアリール基を形成し、前記環は、場合によりGによって置換されていてよく;
Xは、CR(式中、RはR1について定義したものである)であるか、又は式(Ib)
【化2】

(式中、係数gは0もしくは1であり、かつArは、存在する場合には、2つの化学的二重結合によって該分子の基に結合された四価の残基であり、かつキノイドC6〜C10−環系、例えば=C64=及び式
【化3】

の残基から選択される)の別のケトピロール部であり;
Ar1は、R2と結合されていない場合に、Ar2、Ar2'、Ar3、Ar3'、Ar4、Ar4'及びAr5と、互いに無関係に、5〜15個の炭素原子の二価の炭素環式部、2〜15個の炭素原子とO、N、S、Siから選択される1〜8個のヘテロ原子との二価の複素環式部(前記部のそれぞれは、共役もしくは交差共役の二重及び/又は三重結合を有する)又はエチレン性部もしくはエチン性部(これらの部のそれぞれは、非置換であるかもしくはEによって置換されている)から選択され;
5及びR6は、互いに無関係に、水素、フッ素、シアノもしくはC1〜C4−アルキル(これはフッ素、塩素もしくは臭素によって置換されていてよい)又はフェニル(これはC1〜C4−アルキルで1〜3置換されていてよい)を表し;
Ar10は、アリールもしくはヘテロアリール(それらは場合によりGによって置換されていてよい)、特にフェニル又は1−もしくは2−ナフチル(それらはC1〜C8−アルキル、C1〜C8−チオアルコキシ及び/又はC1〜C8−アルコキシで1〜3置換されていてよい)を表し;
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−OP(O)(OR29)O−;−OP(O)(R'29)O−;−O−;−NR25−;−CR23=CR24−;又は−C≡C−であり;かつ
Eは、−OR29;−SR29;−SOR29;−SO229;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;ニトロ;−OP(O)(OR292;−OP(O)R'292;−Si(R'293;又はハロゲンであり;
G及びG′は、無関係に、E;C1〜C18−アルキル(それはDによって中断されていてよい);又はC1〜C18−アルコキシ(それは、Eによって置換されており、かつ/又は、2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されている)であり、その際、
23、R24、R25及びR26は、互いに無関係に、H;C6〜C18−アリール;C6〜C18−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
27及びR28は、互いに無関係に、H;C6〜C18−アリール;C6〜C18−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
29は、H;C6〜C18−アリール;C6〜C18−アリール(それは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキル;又はC2〜C18−アルキル(それは−O−によって中断されている)であり;
'29は、R29について定義したものであるが、但し、R'29はHではない]又はかかる化合物、オリゴマーもしくはポリマーの互変異性体を含む層を含有する、半導体デバイス、特にダイオード、ホトダイオード、有機電界効果トランジスタ、太陽電池又はダイオード及び/又はホトダイオード及び/又は有機電界効果トランジスタ及び/又は太陽電池を含むデバイス。
【請求項2】
式中、
Ar1は、R2に結合されていない場合には、Ar2、Ar2'、Ar3、Ar3'、Ar4、Ar4'及びAr5と、互いに無関係に、
【化4】

から選択され、式中、
Lは、CR7'7、C=O、C=NR7、O、S、NR7、SiR17'17から選択され;
3は、1つの基内で同一もしくは異なってよく、かつ水素、残基E、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C6〜C24−アリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C2〜C20−ヘテロアリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C7〜C25−アラルキル(それは、アラルキルのアラ(=アリール)は、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28から選択されるか、又は互いに隣接する2つ以上の基R3は、環を形成し;
4、R4'、R7及びR7'は、互いに無関係に、水素、残基E、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C6〜C24−アリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C2〜C20−ヘテロアリール(それは、場合によりGによって置換されていてよい)、C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい)、C7〜C25−アラルキル(それは、アラルキルのアラ(=アリール)は、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28から選択されるか、又はR4及びR4'は、環を形成し;かつ
17及びR'17は、R29として定義したものである、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
各アリールが、フェニル及びチオフェニルから選択される、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
式中、
A及びA′が、無関係に、水素;C1〜C25−アルキルもしくはC2〜C25−アルケニル(そのそれぞれは、互いに無関係にEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合にはC,C単結合において、Dによって中断されていてよい);Ar10又は−CR56−(CH2g−Ar10;から選択され;
Ar10は、フェニル及びチオフェニルから選択され;
Dは、−S−;−O−;−CR23=CR24−であり;かつ
Eは、−OR29;−SR29;−NR2526;−CN;又はハロゲンであり;
G及びG′は、無関係に、E;C1〜C18−アルキル(それは、Dによって中断されていてよい);又はC1〜C18−アルコキシ(それは、Eによって置換されており、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されている)であり、その際、
23、R24、R25及びR26は、互いに無関係に、H;フェニル;チオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル(それらは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキルであり;
29は、H;フェニル;チオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル;フェニルもしくはチオフェニル(それらは、C1〜C18−アルキルもしくはC1〜C18−アルコキシによって置換されている);C1〜C18−アルキルであり;
'29は、R29について定義されるものであるが、但し、R'29はHではない、請求項1から3までのいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
式(I)又は(Ia)の化合物が、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)もしくは(IIf)
【化5】

[式中、記号は、請求項1に定義されるものである]に一致する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
式(I)又は(Ia)の化合物が、式(IIIa)もしくは(IIIb)
【化6】

[式中、記号は、請求項1、2もしくは5に定義されるものである]に一致する、請求項1、2又は5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
式(Ia)、(IIb)、(IId)及び/又は(IIIb)のオリゴマーもしくはポリマーの半導体化合物を含有する請求項1から6までのいずれか1項に記載の半導体デバイスであって、部分Aをホモオリゴマー鎖もしくはホモポリマー鎖の末端基として含み、その末端基A、A′は、水素;C1〜C25−アルキルもしくはC2〜C25−アルケニル(そのそれぞれは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は存在する場合にC,C単結合において、Dによって中断されていてよい);Ar10又は−CR56−(CH2g−Ar10から選択され;その際、
5及びR6は、互いに無関係に、水素、フッ素又はC1〜C4−アルキル(それは、フッ素によって置換されていてよい)を表し;かつ
Ar10は、式
【化7】

の基を表し、その際、pは、0、1、2もしくは3を表し;
3は、1つの基内で同一もしくは異なってよく、かつC1〜C18−アルキル、C1〜C18−アルコキシ(それらのそれぞれは、Eによって置換されていてよい)であるか;又は−CO−R28であるか;又は互いに隣接する2つ以上の基R3は、縮合された5もしくは6員の炭素環式の環を形成し;
4、R4'及びR4''は、無関係に、水素、C1〜C25−アルキル(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい);C1〜C18−アルコキシ(それは、場合によりEによって置換されていてよく、かつ/又は2もしくは特にそれより多くの炭素原子を含む場合には、Dによって中断されていてよい);C7〜C15−フェニルアルキル(フェニルは、場合によりGによって置換されていてよい)又は−CO−R28を表す、半導体デバイス。
【請求項8】

【化8】

[式中、記号は、請求項1に定義されるものである]の少なくとも4つの繰返単位を含むオリゴマー又はポリマー。
【請求項9】
有機半導体デバイスの製造方法であって、請求項1から8までのいずれか1項による式(I)及び/又は(Ia)の化合物の有機溶剤中の溶液及び/又は分散液を、好適な基板に適用し、そして溶剤を除去することを含む製造方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項による式(I)及び/又は(Ia)の化合物を、電荷輸送性の、半導性の、電子伝導性の、光伝導性の、発光性の材料、表面改質材料、電池中での電極材料、アライメント層として、又はOFET、IC、TFT、ディスプレイ、RFIDタグ、エレクトロルミネッセンスもしくはホトルミネッセンスデバイス、ディスプレイのバックライト、光起電性デバイスもしくはセンサデバイス、電荷注入層、ショットキダイオード、メモリデバイス(例えばFeFET)、平坦層、静電防止剤、導電性基板もしくはパターン、光伝導体、又は電子写真用途(記録)において用いる使用。

【公表番号】特表2011−501451(P2011−501451A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530403(P2010−530403)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063919
【国際公開番号】WO2009/053291
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】