説明

来訪者識別インターホンシステム

【課題】来訪者の識別を確実に行ない、来訪者への迅速かつ的確な応対を可能にする。
【解決手段】来訪者の所持する携帯電話1a、1b、…と、携帯電話と通信し認証データを読み込み可能な子機2と、子機からの呼出に応じて通話可能な親機4とで構成され、親機には、子機からの呼出時に携帯電話と通信し読み込まれた来訪者の認証データを予め登録した認証データと照合するための認証データ保存部45と、両データを比較するための認証データ比較部46と、認証データ比較部で両データが合致した場合にその登録内容を表示する親機ディスプレイ48と、来訪者の認証データに対応する個別の呼出メロディの鳴動により呼出すためのメロディデータ保存部47とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、来訪者識別インターホンシステムに係わり、特に、来訪者の所持する携帯電話の認証データを読み込み可能な子機と、子機からの呼出に応じて通話可能な親機とを備える来訪者識別インターホンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種のインターホンシステムとしては、図3に示すような構成のものが知られている。同図において、従来のインターホンシステムは、玄関等に設置され、呼出ボタン110、カメラ120、子機マイク130および子機スピーカ140を有するカメラ付子機10と、室内に設置され、ディスプレイ210、出画操作ボタン220、通話ボタン230、親機マイク240および親機スピーカ250を有する親機20とを備えており、カメラ付子機10は専用線L10を介して親機20に接続されている。
【0003】このような構成のインターホンシステムにおいては、来訪者が呼出ボタン110を押下すると、カメラ120で撮像された来訪者の映像信号を含有する呼出信号が専用線L10を介して親機20へ伝送され、これにより、親機スピーカ250から呼出音が放音される。そして、室内の居住者が出画操作ボタン220を押下すると、来訪者の映像がディスプレイ210に表示される。
【0004】また、居住者が、通話ボタン230を押下すると、専用線L10を介して親機マイク240および親機スピーカ250と、子機マイク130および子機スピーカ140間に通話路が形成される。
【0005】これにより、室内の居住者は来訪者の映像を確認しながら玄関に居る来訪者と通話することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成のインターホンシステムにおいては、来訪者の識別を視認性が不充分なディスプレイのみで判断しているため、来訪者を確実に識別することができないという難点があった。
【0007】本発明は、このような難点を解決するためになされたもので、来訪者の識別を確実に行ない得る来訪者識別インターホンシステを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するために、本発明の来訪者識別インターホンシステムは、来訪者の所持する携帯電話と、携帯電話と通信し認証データを読み込み可能な子機と、子機からの呼出に応じて通話可能な親機とで構成され、親機には、子機からの呼出時に携帯電話と通信し読み込まれた来訪者の認証データを予め登録した認証データと照合するための認証データ保存部と、両データを比較するための認証データ比較部と、認証データ比較部で両データが合致した場合にその登録内容を表示するディスプレイと、来訪者の認証データに対応する個別の呼出メロディの鳴動により呼出すためのメロディデータ保存部とを設けたことを特徴としている。
【0009】また、本発明の来訪者識別インターホンシステムにおける親機には、認証データを携帯電話から取得して登録し認証データ保存部に予め保存するための認証データ登録部を設けたことを特徴としている。
【0010】また、本発明の来訪者識別インターホンシステムにおける子機および親機には、無線通信インターフエースをそれぞれ設けたことを特徴としている。
【0011】また、本発明の来訪者識別インターホンシステムにおけるメロディデータ保存部は、携帯電話からメロディデータを受信し保存するものであることを特徴としている。
【0012】また、本発明の来訪者識別インターホンシステムは、来訪者の認証データを表示するための認証データディスプレイ、来訪者の認証データに対応する個別の呼出メロディの鳴動により呼出すためのスピーカを有する呼出補助器を設けたことを特徴としている。
【0013】本発明の来訪者識別インターホンシステムによれば、親機のディスプレイに予め登録した来訪者に関する情報が表示されることから、来訪者の識別を確実に行なうことができ、ひいては、来訪者への迅速かつ的確な応対が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の来訪者識別インターホンシステムを適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して詳述する。
【0015】図1は、本発明の来訪者識別インターホンシステムのシステム構成図、図2は、本発明の来訪者識別インターホンシステムのブロック図を示している。
【0016】図1、2において、本発明の来訪者識別インターホンシステムは、来訪者の所持する携帯電話1a、1b、…と、携帯電話と通信し認証データを読み込み可能な子機2と、子機からの呼出に応じて通話可能な親機4と、住居内の各所に設置される呼出補助器6a、6b、…とを備えている。ここで、子機2は、第1の専用線L1を介して親機4に接続され、また、この親機4には第2の専用線L2を介して各呼出補助器6a、6b、…が接続されている。
【0017】子機2は、携帯電話1a、1b、…と無線通信を行うための子機アンテナ21aを有する無線通信インターフエース21(以下「子機無線通信IF21」という。)と、信号処理を行うためのCPU22(以下「子機CPU22」という。)と、呼出を検出するための呼出検出手段23と、音声信号の処理を行う音声回路24(以下「子機音声回路24」という。)と、音声の入出力を行うためのマイク25(以下「子機マイク25」という。)およびスピーカ26(以下「子機スピーカ26」という。)と、来訪者を撮像するためのカメラ27と、映像信号を処理するための映像回路28(以下「子機映像回路28」という。)と、信号の多重化または分離を行うための多重・分離回路29(以下「子機多重・分離回路29」という。)とを備えている。ここで、子機CPU22は、子機無線通信IF21、呼出検出手段23、子機音声回路24および子機多重・分離回路29に接続され、子機音声回路24には子機マイク25および子機スピーカ26が、子機多重・分離回路29には子機音声回路24および子機映像回路28が、子機映像回路28にはカメラ27がそれぞれ接続されている。
【0018】親機4は、携帯電話1a、1b、…と無線通信を行うための無線通信インターフエース41(以下「親機無線通信IF41」という。)と、信号処理を行うためのCPU42(以下「親機CPU42」という。)と、信号の多重化または分離を行うための多重・分離回路43(以下「親機多重・分離回路43」という。)と、携帯電話1a、1b、…から取得した認証データを登録するための認証データ登録部44と、認証データを保存するための認証データ保存部45(以下「親機認証データ保存部45」という。)と、来訪者の所持する携帯電話1a、1b、…の認証データと親機認証データ保存部45に登録された認証データとを比較するための認証データ比較部46と、携帯電話1a、1b、…から受信したメロディデータを保存するためのメロディデータ保存部47と、来訪者の映像および認証データを表示するためのディスプレイ48(以下「親機ディスプレイ48」という。)と、映像信号を処理するための映像回路49(以下「親機映像回路49」という。)と、音声の入出力を行うためのマイク50(以下「親機マイク50」という。)およびスピーカ51(以下「親機スピーカ51」という。)と、音声信号の処理を行う音声回路52(以下「親機音声回路52」という。)とを備えている。ここで、親機CPU42は、親機無線通信IF41、親機多重・分離回路43、認証データ登録部44、親機認証データ保存部45、認証データ比較部46、メロディデータ保存部47、親機ディスプレイ48および親機音声回路52に接続され、親機多重・分離回路43には子機多重・分離回路29、親機映像回路49および親機音声回路52が、親機音声回路52には親機マイク50および親機スピーカ51が、親機映像回路49には親機ディスプレイ48がそれぞれ接続されている。
【0019】各呼出補助器6a、6b、…は、それぞれ、来訪者の認証データを表示するための呼出補助器ディスプレイ61と、音声を出力するためのスピーカ62(以下「呼出補助器スピーカ62」という。)と、音声信号の処理を行うための音声回路63(以下「呼出補助器音声回路63」という。)とを備えている。ここで、各呼出補助器スピーカ62は、それぞれ呼出補助器音声回路63に接続され、各呼出補助器音声回路63にはそれぞれ呼出補助器ディスプレイ61が接続されている。また、各認証データディスプレイ61および各呼出補助器音声回路63は親機CPU42に接続されている。
【0020】次に、このような構成の来訪者識別インターホンシステムの動作について説明する。
【0021】最初に、当該居住者を訪問すると思われる友人や知人等(以下「来訪者」という。)が所持する携帯電話1a、1b、…の認証データを、次のようにして親機4の認証データ登録部44に登録する。
【0022】先ず、親機4の認証データ登録ボタン(図示せず)を押下すると、親機CPU42から認証データ登録信号が出力され、この認証データ登録信号が親機無線通信IF41へ送出される。かかる認証データ登録信号は無線信号として親機アンテナ41a送信され、この無線信号が親機4の近傍に位置する携帯電話1a(以下「第1の携帯電話1a」という。)のアンテナ(不図示)で受信される。
【0023】そうすると、第1の携帯電話1aから当該第1の携帯電話1aの認証データ(以下「第1の認証データ」という。)が、認証データ登録信号と逆の経路を経由して親機CPU42へ伝送される。そして、第1の認証データが親機CPU42で検出されると、第1の認証データが親機認証データ保存部45に保存される(以下、親機認証データ保存部45に保存された第1の認証データを「第1の登録認証データ」という。)。ここで、親機認証データ保存部45には、タッチパネル等の入力手段(図示せず)を用いることにより、第1の携帯電話1aを所持する人の名前、居住者との関係等のデータが入力され、第1の登録認証データと共に保存される。
【0024】次に、親機4のメロディデータ受信ボタン(図示せず)を押下すると、親機CPU42からメロディデータ受信信号が出力され、このメロディデータ受信信号が親機無線通信IF41へ送出される。そうすると、前述の認証データ登録信号と同様に、親機4と第1の携帯電話1a間で無線信号の送受信が行なわれ、携帯電話1aから当該第1の携帯電話1aに内蔵された若しくは第1の携帯電話1aで作成・取得したメロディデータが親機無線通信IF41で受信される。かかるメロディデータは、親機認証データ保存部45における登録認証データの保存と同様にして、親機CPU42を介してメロディデータ保存部47へ伝送され、当該メロディデータ保存部47に保存される。
【0025】以上のようにして、第1の認証データおよび第1のメロディデータが親機4に保存された後において、第1の携帯電話1aを所持する来訪者が玄関等に設置された子機2の呼出ボタンを押下すると、呼出検出手段23から呼出信号が出力され、この呼出信号が子機CPU22へ送出される。かかる呼出信号が子機CPU22で検出されると、子機CPU22から、認証データ受信信号が出力され、この認証データ受信信号が子機無線通信IF21へ送出される。かかる認証データ受信信号は無線信号として子機アンテナ21aから送信され、この無線信号が当該第1の携帯電話1aのアンテナで受信される。
【0026】そうすると、第1の携帯電話1aから第1の認証データが、認証データ受信信号と逆の経路を経由して子機CPU22へ伝送される。そして、第1の認証データが子機CPU22で検出されると、子機CPU22から認証データ確認信号が出力され、この認証データ確認信号が子機多重・分離回路29へ送出される。また、これと共に、カメラ27によって撮像された来訪者の映像信号が、子機映像回路28を介して多重・分離回路29へ送出される。
【0027】かかる認証データ確認信号および映像信号は、子機多重・分離回路29において多重化されて、第1の専用線L1を介して親機多重・分離回路43へ送出され、この親機多重・分離回路43において、映像信号および認証データ確認信号が分離され、前者の映像信号は親機映像回路49へ、後者の認証データ確認信号は親機CPU42へそれぞれ送出される。これにより、親機ディスプレイ48に来訪者の映像が映し出される。また、後者の認証データ確認信号が親機CPU42で検出されると、親機CPU42から第1の認証データが認証データ比較部46へ送出され、この認証データ比較部46において、この第1の認証データと予め認証データ保存部45に保存されている第1の登録認証データとが比較される。
【0028】ここで、第1の認証データと合致する第1の登録認証データがあれば、当該第1の登録認証データが読み出され、親機ディスプレイ48若しくは呼出補助器ディスプレイ61に来訪者の映像と共に来訪者に関する情報(第1の携帯電話1aを所持する人の名前や居住者との関係等)が表示される。
【0029】また、メロディデータ保存部47に、来訪者の第1の認証データに対応する個別の呼出メロディが保存されている場合は、メロディデータ保存部47から、メロディデータが読み出され、このメロディデータが親機CPU42から親機音声回路52若しくは呼出補助器音声回路63へ送出される。これにより、親機スピーカ51若しくは各呼出補助器スピーカ62より呼出メロディが鳴動する。
【0030】また、この呼出メロディデータは、親機CPU42、親機多重・分離回路43、第1の専用線L1、子機多重・分離回路29および子機CPU22を介して子機音声回路24へ送出される。これにより、子機スピーカ26より来訪者へ向けて設定したメロディが鳴動する。
【0031】ここで、居住者が親機4若しくは呼出補助器の例えばハンドセット(図示せず)を取上げて呼出に応答すると、親機4若しくは呼出補助器6a、6b、…と子機2間に通話路が形成され、これにより、室内の居住者は玄関に居る来訪者と通話することができる。
【0032】なお、居住者と密接な関係を有しない来訪者、すなわち、予め携帯電話の認証データを親機に登録していない携帯電話を所持する来訪者は、従来のインターホンシステムと同様に、呼出ボタン(不図示)を押下することにより、居住者を呼出すことになる。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の来訪者識別インターホンシステムによれば、親機のディスプレイに来訪者に関する多くの情報が表示されることから、来訪者の識別を確実に行なうことができ、ひいては、来訪者への迅速かつ的確な応対が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の来訪者識別インターホンシステムのシステム構成図。
【図2】本発明の来訪者識別インターホンシステムのブロック図。
【図3】従来の来訪者識別インターホンシステムのシステム構成図。
【符号の説明】
1a、1b、…・・・・・・携帯電話
2・・・・・・子機
21・・・・無線通信インターフエース(子機無線通信インターフエース)
4・・・・・・親機
48・・・・ディスプレイ
41・・・・無線通信インターフエース(親機無線通信インターフエース)
44・・・・認証データ登録部
45・・・・認証データ保存部
46・・・・認証データ比較部
47・・・・メロディデータ保存部
6a、6b、…・・・・・・呼出補助器
61・・・・・・認証データディスプレイ
62・・・・・・スピーカ(呼出補助器スピーカ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】来訪者の所持する携帯電話(1a、1b、…)と、前記携帯電話と通信し認証データを読み込み可能な子機(2)と、前記子機からの呼出に応じて通話可能な親機(4)とで構成され、前記親機には、前記子機からの呼出時に前記携帯電話と通信し読み込まれた前記来訪者の認証データを予め登録した認証データと照合するための認証データ保存部(45)と、両データを比較するための認証データ比較部(46)と、前記認証データ比較部で前記両データが合致した場合にその登録内容を表示するディスプレイ(48)と、前記来訪者の認証データに対応する個別の呼出メロディの鳴動により呼出すためのメロディデータ保存部(47)とを設けたことを特徴とする来訪者識別インターホンシステム。
【請求項2】前記親機には、前記認証データを前記携帯電話から取得して登録し前記認証データ保存部に予め保存するための認証データ登録部(44)を設けたことを特徴とする請求項1記載の来訪者識別インターホンシステム。
【請求項3】前記子機および前記親機には、無線通信インターフエース(21、41)をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項2記載の来訪者識別インターホンシステム。
【請求項4】前記メロディデータ保存部は、前記携帯電話からメロディデータを受信し保存するものであることを特徴とする請求項1記載の来訪者識別インターホンシステム。
【請求項5】前記来訪者の認証データを表示するための認証データディスプレイ(61)、前記来訪者の認証データに対応する個別の呼出メロディの鳴動により呼出すためのスピーカ(62)を有する呼出補助器(6a、6b、…)を設けたことを特徴とする請求項1記載の来訪者識別インターホンシステム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−224663(P2003−224663A)
【公開日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−19558(P2002−19558)
【出願日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】