説明

検体分析装置および試薬吸引方法

【課題】多項目の分析に対しても直ちに対応することが可能な検体分析装置および試薬吸引方法を提供する。
【解決手段】検体分析装置は、第2試薬テーブルと、第2試薬容器ラックと、第3試薬容器ラックと、第2駆動部と、試薬バーコードリーダと、試薬分注アームと、試薬分注駆動部と、制御部とを備え、制御部は、分析に用いる対象試薬が保持されたラックが第2試薬容器ラックの場合は、第1試薬吸引位置に試薬分注アームを移動させるように試薬分注駆動部を制御すると共に対象試薬を第1試薬吸引位置に移動させるように第2駆動部を制御し、対象試薬が保持されたラックが第3試薬容器ラックの場合は、第2試薬吸引位置に試薬分注アームを移動させるように試薬分注駆動部を制御すると共に対象試薬を第2試薬吸引位置に移動させるように第2駆動部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や血漿等の検体を所定の分析項目に応じた試薬を用いて分析する検体分析装置、および試薬を吸引する試薬吸引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の試薬を用いて、血液や血漿等の検体を分析する検体分析装置が知られている。
【0003】
そして、近年では、測定項目数の増加や処理速度の向上のために、検体分析装置の試薬配置部に配置される試薬容器の数や種類が増加する傾向にある。また、試薬の使用状況に応じて、多様なサイズの試薬容器を使いたいというユーザからのニーズもある。
【0004】
しかしながら、単に試薬配置部に配置可能な試薬容器の数を増加させると、試薬配置部の機構が大型化し、装置を大型化させる必要が生じる。
【0005】
特許文献1には、その図2や段落0015に示されるように、1つの測定項目用の2つの試薬容器が接続具で固定され、2つの試薬容器に収容された試薬の情報および2つの試薬容器のそれぞれの吸引位置の情報が記録されたバーコードラベルを備えた試薬カセットと、この試薬カセットと略同じ大きさの試薬容器とを用いる検体分析装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−121492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の自動分析装置では、多項目の分析に対応しようとすると、予め複数の試薬容器が接続具で固定された試薬カセットを多数用意し、且つ、カセット化された試薬の種類やそれぞれの試薬容器の吸引位置の情報が記録されたバーコードラベルを用意する必要がある。このため多項目の分析を行う必要が生じた際に、直ちに対応することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、多項目の分析に対しても直ちに対応することが可能である検体分析装置および試薬吸引方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面の検体分析装置は、検体を所定の分析項目に応じた試薬を用いて分析する検体分析装置であって、複数の試薬容器ラックを保持するための環状のラック配置部を備えた回転テーブルと、ラック配置部に保持されたときに、第1の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第1試薬容器ラックと、第1試薬吸引位置とは異なる第2の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第2試薬容器ラックと、回転テーブルを回転駆動するための回転テーブル駆動手段と、第1および第2試薬容器ラックに付された識別子ならびに第1および第2試薬容器ラックに保持された各試薬容器に付された識別子から試薬容器ラックおよび試薬を特定する識別情報を取得する識別情報取得手段と、識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて回転テーブル上の試薬容器位置情報を取得する位置情報取得手段と、識別情報取得手段によって取得された識別情報、および位置情報取得手段によって取得された試薬容器位置情報を格納する記憶手段と、第1試薬吸引位置および第2試薬吸引位置に移動可能に設けられており、試薬容器から試薬を吸引するための吸引部と、吸引部を移動させるための吸引部移動手段と、分析に用いる対象試薬が保持されたラックのラック識別情報および試薬容器位置情報を記憶手段から読み出して、対象試薬が保持されたラックが第1試薬容器ラックの場合は、第1試薬吸引位置に吸引部を移動させるように吸引部移動手段を制御すると共に対象試薬を第1試薬吸引位置に移動させるように回転テーブル駆動手段を制御し、対象試薬が保持されたラックが第2試薬容器ラックの場合は、第2試薬吸引位置に吸引部を移動させるように吸引部移動手段を制御すると共に対象試薬を第2試薬吸引位置に移動させるように回転テーブル駆動手段を制御する駆動制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の第2の局面の試薬吸引方法は、ラック配置部に保持されたときに、第1の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第1試薬容器ラックと、第1試薬吸引位置とは異なる第2の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第2試薬容器ラックとを、複数の試薬容器ラックを保持するための環状のラック配置部を備えた回転テーブルに配置する工程と、第1および第2試薬容器ラックに付された識別子ならびに第1および第2試薬容器ラックに保持された各試薬容器に付された識別子から試薬容器ラックおよび試薬を特定する識別情報を取得する工程と、識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて回転テーブル上の試薬容器位置情報を取得する工程と、識別情報取得手段によって取得された識別情報、および位置情報取得手段によって取得された試薬容器位置情報を記憶手段に記憶する工程と、吸引の対象試薬が保持されたラックのラック識別情報および試薬容器位置情報を記憶手段から読み出して、対象試薬が保持されたラックが第1試薬容器ラックの場合は、第1試薬吸引位置に吸引部を移動させると共に対象試薬を第1試薬吸引位置に移動させるように回転テーブルを回転させ、対象試薬が保持されたラックが第2試薬容器ラックの場合は、第2試薬吸引位置に吸引部を移動させると共に対象試薬を第2試薬吸引位置に移動させるように回転テーブルを回転させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多項目の分析の必要が生じた場合にも、所定の試薬容器ラックに必要な試薬容器を載置するだけで直ちに分析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0013】
検体分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体として血漿を用いる。検体分析装置1は、図1〜図5に示すように、測定機構部2と、測定機構部2の前面側に配置された搬送機構部3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とにより構成されている。
【0014】
搬送機構部3は、測定機構部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の試験管250が載置されたラック251を測定機構部2の吸引位置2a(図3参照)に搬送する機能を有している。
【0015】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)などからなり、図1に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、後述する測定機構部2の制御部501に、測定機構部2および搬送機構部3の動作開始の信号を伝えるとともに、測定機構部2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示部4bは、制御部4aで得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0016】
次に、制御装置4の構成について詳細に説明する。制御部4aは、図6に示すように、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0017】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0018】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0019】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0020】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、本実施形態では、後述する試薬マスタ、試薬ロットマスタおよび容器マスタなどのテーブルは、このハードディスク401dに記憶されている。
【0021】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0022】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0023】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0024】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0025】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0026】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0027】
ここで、本実施形態では、表示部4bは、図7に示すように、後述する試薬保存部6の試薬の配置を表示する試薬配置画面410を表示することが可能である。試薬配置画面410は、試薬配置表示領域420と、試薬情報表示領域430と、コマンド表示領域440とを有する。また、試薬配置画面410には、検体分析装置1の測定を開始するための測定開始ボタン411と、測定を停止するための測定停止ボタン412とが設けられている。なお、表示部4bは、タッチパネル機能を有し、試薬配置画面410に表示されるボタンなどをユーザが直接触れることによって選択または操作可能である。
【0028】
試薬配置表示領域420は、後述する第1試薬テーブル11に配置されている試薬が表示される複数の第1試薬表示領域421と、後述する第2試薬テーブル12に配置されている試薬が表示される複数の第2試薬表示領域422とを含む。第1試薬表示領域421は、試薬の位置を表示する位置表示部421aと、試薬名を表示する試薬名表示部421bと、試薬の残量を表示する残量表示部421cとを含む。また、第2試薬表示領域422は、試薬の位置を表示する位置表示部422aと、試薬名を表示する試薬名表示部422bと、試薬の残量を表示する残量表示部422cとを含む。試薬名表示部421aおよび422aに表示される試薬の位置は、後述する第1試薬容器ラック310のバーコード311b、312b(図8参照)、第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326b(図9参照)および第3試薬容器ラック330のバーコード331b〜338b(図13参照)を試薬バーコードリーダ350により読み取ることによって表示される。また、試薬名表示部421bおよび422bに表示される試薬名は、試薬容器300のバーコード300aを試薬バーコードリーダ350により読み取った値を元に、別途用意された一覧表を参照して表示される。また、残量表示部421cおよび422cに表示される試薬の残量は、試薬が収容される容器の種類およびその試薬が吸引された回数などから算出した値を元に表示される。
【0029】
また、第1試薬表示領域421は、第1試薬テーブル11に配置される2つの試薬容器300を保持可能な5つの第1試薬容器ラック310に対応する領域毎に2つずつ分割されて表示される。また、第2試薬表示領域422は、第2試薬テーブル12に配置される6つの試薬容器300を保持可能な5つの第2試薬容器ラック320に対応する領域毎に6つずつ分割されて表示される。なお、図7には、第2試薬テーブル12に第2試薬容器ラック320が配置された場合しか示されていないが、第2試薬テーブル12に8つの試薬容器300を保持可能な第3試薬容器ラック330が配置された場合には、第2試薬表示領域422は、第3試薬容器ラック330に対応する領域毎に8つずつ分割されて表示される。これにより、試薬配置画面410では、どの試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)の、どの試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330)の、どの位置に試薬が配置されているかを確認することが可能である。
【0030】
また、第1試薬容器ラック310(図8)、第2試薬容器ラック320(図9)または第3試薬容器ラック330(図13)が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されていない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、何も表示されない。また、第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されており、試薬容器ラックに保持される試薬容器300がない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、位置表示部421aまたは位置表示部422aのみに表示がなされる。この点については、後に詳細に説明する。
【0031】
また、試薬情報表示領域430には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422において指定された試薬の属性情報(試薬名、使用順、使用可能な残量(使用可能量)、残りテスト数、攪拌の有無、ロット番号、試薬容器の種類、試薬の有効期限、セット日、セット時刻など)およびホルダ番号が表示される。この試薬の属性情報によって、ユーザは、試薬の交換時期を判断することが可能である。
【0032】
また、コマンド表示領域440には、試薬の交換または追加を指示するための交換・追加指示ボタン440aと、試薬情報の編集を行うための編集ボタン440bと、試薬ロットをマニュアルで入力するための試薬ロット設定ボタン440cとを含む。本実施形態では、試薬が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択されることによって、指定された試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330が、検体分析装置1から取り出し可能な取出位置に移動されるように構成されている。なお、試薬の追加が行われる場合には、試薬が配置されていない第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択される。これにより、試薬が収容されていない第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330が取出位置に移動される。
【0033】
搬送機構部3は、図1〜図3に示すように、測定機構部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の試験管250が載置されたラック251を測定機構部2の吸引位置2a(図3参照)に搬送する機能を有している。また、搬送機構部3は、未処理の検体を収容した試験管250が収納されたラック251をセットするためのラックセット領域3aと、処理済みの検体を収容した試験管250が収納されたラック251を収容するためのラック収容領域3bとを有している。
【0034】
測定機構部2は、搬送機構部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態では、搬送機構部3のラック251に載置された試験管250から測定機構部2のキュベット200内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。また、測定機構部2は、図3に示すように、試薬を保存するための試薬保存部6と、試薬を交換または追加するための試薬交換部7とを含んでいる。
【0035】
測定機構部2は、図14に示すように、検体分注駆動部70aと、試薬分注駆動部120aと、第1駆動部502と、第2駆動部503と、第1ロック検知部504と、第2ロック検知部505と、試薬バーコードリーダ350と、検体バーコードリーダ3cと、光学的情報取得部130と、搬送機構部3などに電気的に接続される制御部501とを有している。
【0036】
検体分注駆動部70aは、後述する検体分注アーム70(図3および図5参照)を回転上下させる機能を有するステッピングモータ部70bと、ステッピングモータ部70bを駆動させるための駆動回路(図示せず)と、検体を吸引および分注するためのポンプ(図示せず)とを備えている。
【0037】
試薬分注駆動部120aは、後述する試薬分注アーム120(図3および図5参照)を回転上下させる機能を有するステッピングモータ部120bと、ステッピングモータ部120bを駆動させるための駆動回路(図示せず)と、試薬を吸引および分注するためのポンプ(図示せず)とを備えている。
【0038】
第1駆動部502は、後述する第1試薬テーブル11(図5参照)を回転させる機能を有する第1ステッピングモータ(図示せず)と、第1ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第1試薬テーブル11は、制御部501から第1駆動部502に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0039】
同様に、第2駆動部503は、後述する第2試薬テーブル12(図5参照)を回転させる機能を有する第2ステッピングモータ(図示せず)と、第2ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第2試薬テーブル12は、制御部501から第2駆動部503に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0040】
なお、制御部501は、供給した駆動パルス信号のパルス数をカウントすることにより、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点位置からの各試薬テーブル11、12の回転移動量を決定し、各試薬テーブル11、12の回転移動を制御することが可能である。
【0041】
第1ロック検知部504は、後述する第1蓋部30(図3参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされたときにロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0042】
同様に、第2ロック検知部505は、後述する第2蓋部40(図3参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされたときにロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0043】
試薬バーコードリーダ350は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12上の各バーコードを読み取る機能を有しており、後述する試薬保存部6の側面21の近傍に、試薬保存部6と所定の距離を隔てて設けられている(図3〜図5参照)。この試薬バーコードリーダ350は、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能であるとともに、試薬バーコードリーダ350をON/OFF制御するための駆動回路(図示せず)を有している。なお、試薬バーコードリーダ350の位置は常に固定されている。
【0044】
検体バーコードリーダ3cは、搬送機構部3によって搬送されたラック251に載置された検体を収容した試験管250に貼付されたバーコードを読み取る機能を有しており、前述した測定機構部2の吸引位置2aの近傍に、搬送機構部3によって搬送されるラック251に対向するように設けられている(図3〜図5参照)。この検体バーコードリーダ3cは、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能であるとともに、検体バーコードリーダ3cをON/OFF制御するための駆動回路(図示せず)を有している。なお、検体バーコードリーダ3cの位置は常に固定されている。
【0045】
光学情報取得部130(図3および図5参照)は、検体の光学的情報を取得するための機能を有しており、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能なように構成されている。光学情報取得部130の詳細については後述する。
【0046】
制御部501は、図15に示すように、CPU501aとROM501bと、RAM501cと、通信インタフェース501dとから主として構成されている。
【0047】
CPU501aは、ROM501bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM501cに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM501bは、CPU501aに実行させるためのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータ等を記憶している。RAM501cは、ROM501bに記憶しているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501aの作業領域として利用される。
【0048】
通信インタフェース501dは、制御装置4に接続されており、検体の光学的な情報を制御装置4に送信するとともに、制御装置4の制御部4aからの信号を受信するための機能を果たす。また、通信インタフェース501dは、搬送機構部3および測定機構部2の各部を駆動するためのCPU501aからの指令を送信するための機能を有する。
【0049】
また、測定機構部2は、図3に示すように、試薬を保存するための試薬保存部6と、試薬を交換または追加するための試薬交換部7とを含んでいる。
【0050】
試薬保存部6は、キュベット200内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器300を、低温(約10℃)で冷蔵保存するとともに、回転方向に搬送するために設けられている。試薬を低温で保存することにより、試薬が変質することが抑制される。また、試薬保存部6は、図3〜図5に示すように、試薬の保持および回転搬送を行う試薬搬送部10(図4および図5参照)と、試薬搬送部10の周囲および上方を覆うように設けられた外壁部20(図3参照)とを含んでいる。また、試薬が保持される試薬搬送部10は、外壁部20と、後述する試薬交換部7の第1蓋部30および第2蓋部40とにより形成される冷蔵領域に配置される。
【0051】
この試薬搬送部10は、図5に示すように、円形状の第1試薬テーブル11と、円形状の第1試薬テーブル11の外側に、第1試薬テーブル11に対して同心円状に配置された円環形状の第2試薬テーブル12とを含む。また、第1試薬テーブル11は、試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310が着脱可能に配置されるように構成されており、第2試薬テーブル12は、試薬容器300を保持する第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330が着脱可能に配置されるように構成されている。また、外壁部20は、側面21(図4参照)と、側面21に固定されている上面22(図3参照)と、取り外し可能な蓋部23(図3参照)とにより構成されている。また、試薬保存部6の側面21(図4参照)の近傍には、試薬保存部6と所定の距離を隔てて試薬バーコードリーダ350が設けられている。
【0052】
第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12は、それぞれ、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。これにより、試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330は、それぞれ、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12によって回転方向に搬送される。また、試薬容器300を回転方向に搬送することによって、後述する試薬分注アーム120が試薬を分注する際に、分注対象の試薬を試薬分注アーム120の近傍に配置させることが可能である。
【0053】
また、外壁部20の側面21には、断熱材(図示せず)が取り付けられており、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気を逃がさないように構成されている。また、図4に示すように、外壁部20の側面21の試薬バーコードリーダ350と対向する位置には、開閉可能なシャッタ21aが設けられている。このシャッタ21aは、試薬バーコードリーダ350によって試薬容器300、第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330のバーコードを読み取る時にのみ開くように構成されている。これにより、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気が外部に逃げることが抑制される。
【0054】
また、図3に示すように、外壁部20の上面22は、4つの穴部22a、22b、22cおよび22dを含む。この4つの穴部22a、22b、22cおよび22dを介して、試薬分注アーム120により試薬保存部6に保存されている試薬の吸引が行われる。なお、穴部22a〜22cは、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22a〜22cを介して、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。また、穴部22dは、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22dを介して、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。
【0055】
また、蓋部23が後述する第1蓋部30および第2蓋部40とともに取り外されることによって、試薬保存部6(冷蔵領域)に半円形状の開口が形成される。この開口を介して、検体分析装置1において測定を開始する際に、試薬保存部6に第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320、および第3試薬容器ラック330が配置される。
【0056】
また、図5に示すように、第1試薬容器ラック310は、第1試薬テーブル11に5つ配置可能である。この5つの第1試薬容器ラック310に、試薬容器300が円環状に配置される。第1試薬容器ラック310は、図8および図10に示すように、試薬容器300を保持するための2つの保持部311および312と、保持部311および312の前面側にそれぞれ設けられた切欠部311aおよび312aと、上方に突出するように設けられた1つの把持部313とを含む。また、図8に示すように、保持部311および312は、平面的に見て円形状に形成されており、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。また、アダプタ(図示せず)を保持部311または312に取り付けることにより、上記保持部311または312の内径よりも小さい外径を有する試薬容器300を保持部311または312に保持させることが可能である。また、保持部311および312の外側面の前面側には、それぞれ、バーコード311bおよび312bが設けられており、保持部311および312の内側面には、それぞれ、バーコード311cおよび312cが設けられている。
【0057】
2つの保持部311および312は、検体から測定用試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器300を1つずつ保持することが可能である。すなわち、第1試薬テーブル11には、最大10個(2×5=10)の試薬容器300が配置可能である。また、切欠部311aおよび312aは、それぞれ、バーコード311cおよび312cを試薬バーコードリーダ350(図5参照)によって読み取るために設けられている。また、把持部313は、第1試薬容器ラック310を試薬保存部6から取り出す時に把持される。
【0058】
バーコード311bおよび312bには、それぞれ、保持部311および312の位置を識別するためのホルダ番号情報が含まれている。また、バーコード311cおよび312cには、保持部311および312に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。また、試薬容器300のバーコード300aには、試薬容器300に収容されている試薬の詳細情報(試薬名、試薬容器の種類、ロット番号、試薬の有効期限などの情報)を特定するための情報が含まれている。
【0059】
なお、たとえば、試薬容器300が保持部311に保持されている場合には、バーコード311cは読み取られず、試薬容器300のバーコード300aが読み取られる。すなわち、試薬バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aを読み取った場合は、制御部4aは、バーコード300aによる試薬情報を有する試薬が保持部311に保持されていると認識するように構成されている。そして、試薬管理画面410の試薬配置表示領域420において、保持部311に対応する位置に第1試薬マーク421が表示されるように構成されている。また、試薬バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード311cを読み取った場合は、制御部4aは、保持部311に保持されている試薬容器300は存在しないと認識するように構成されている。そして、試薬管理画面410の試薬配置表示領域420において、保持部311に対応する位置に試薬未配置マーク427が表示されるように構成されている。また、試薬バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aまたはバーコード311cのいずれも読み取らなかった場合(試薬容器300が横を向いている場合など)には、制御部4aは、読み取りエラーを認識するとともに、表示部4bにおいて、読み取りが失敗したことを表すバーコード読取エラーマークEが表示されるように構成されている。また、第1試薬テーブル11に第1試薬容器ラック自体が配置されていない場合には、試薬バーコードリーダ350は、第1試薬容器ラック310のバーコード311b、312b、311c、312cおよび試薬容器300のバーコード300aを読み取ることがないように構成されている。このため、試薬管理画面410の試薬配置表示領域420において、第1試薬容器ラック310が配置されていない部分に対応する第1ラックマーク424上には、ラック未配置マーク426が表示されるように構成されている。
【0060】
また、第2試薬容器ラック320は、図5に示すように、第2試薬テーブル12に5つ配置可能である。なお、第2試薬テーブル12には第2試薬容器ラック320以外に第3試薬容器ラック330(図13)も配置される。第2試薬容器ラック320の外形形状と第3試薬容器ラック330の外形形状は同じであるため、図示しないが、第3試薬容器ラック330も、第2試薬テーブル12に5つ配置可能である。この試薬容器ラック320および330に、試薬容器300が円環状に配置される。また、互いに隣接する第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330の5箇所の隙間のうち、1個所は、他の4箇所の隙間の間隔よりも大きい間隔を有する。この大きい間隔を有する隙間12aを介して、試薬保存部6の外部に位置する試薬バーコードリーダ350により、第2試薬テーブル12の内側に位置する第1試薬テーブル11に配置される第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bと、第1試薬容器ラック310に保持される試薬容器300のバーコード300aとが読み取られる。また、第2試薬容器ラック320は、図9、図11および図12に示すように、試薬容器300を保持するための6つの保持部321〜326と、保持部321〜326の前面側にそれぞれ設けられた切欠部321a〜326aと、上方に突出するように設けられた1つの把持部327とを含む。また、第2試薬容器ラック320の保持部321〜326は、第1試薬容器ラック310と同様に、平面的に見て円形状に形成されており、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。第2試薬容器ラック320には、第1試薬容器ラック310に配置された試薬と同じ試薬を配置することが可能に構成されている。
【0061】
また、第2試薬容器ラック320の前列側の切欠部321aの両側には、バーコード321bと322bとが設けられている。また、同様に、切欠部323aの両側および切欠部325aの両側には、それぞれ、バーコード323bおよび324b、および、バーコード325bおよび326bが設けられている。また、保持部321〜326の内側面には、それぞれ、バーコード321c〜326cが設けられている。
【0062】
このバーコード321b〜326bには、それぞれ、保持部321〜326の位置を識別するためのホルダ番号情報が含まれている。また、バーコード321cおよび326cには、保持部321〜326に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。
【0063】
また、第3試薬容器ラック330は、図13に示すように、試薬容器300を保持するための8つの保持部331〜338を含み、保持部331〜338の前面側にそれぞれ設けられた切欠部(図示せず)の両側には、バーコード331b〜338bが設けられている。そして、このバーコード331b〜338bにも、それぞれ、保持部331〜338の位置を識別するためのホルダ番号情報が含まれている。
【0064】
また、試薬バーコードリーダ350によって読み取られた試薬情報または試薬容器無し情報は、ホルダ番号情報と対応させて制御部4aのハードディスク401dに記憶されるように構成されている。また、ハードディスク401dに記憶された情報は、制御装置4の制御部4aにより表示部4bの試薬管理画面410に反映されるように構成されている。
【0065】
また、バーコード311b、312b、321b〜326bおよび331b〜338bは、4桁の値を示している。1桁目は、「A」または「B」の値をとり、「A」は、試薬容器300が第2試薬テーブル12に配置されていることを示し、「B」は、試薬容器300が第1試薬テーブル11に配置されていることを示す。また、2桁目は、「1」〜「3」の値をとり、「1」は、当該試薬容器ラックのタイプが第2試薬容器ラック320のタイプであることを示し、「2」は、当該試薬容器ラックのタイプが第3試薬容器ラック330のタイプであることを示し、「3」は、当該試薬容器ラックのタイプが第1試薬容器ラック310であることを示す。また、3桁目は、「0」〜「9」の値をとり、第1試薬容器ラック310、第2試薬容器ラック320または第3試薬容器ラック330の番号を示す。また、4桁目は、第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bでは、「1」または「2」の値をとり、「1」および「2」は、それぞれ、保持部311および312を示す。また、第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326bでは、「1」〜「6」の値をとり、「1」〜「6」は、それぞれ、保持部321〜326を示す。また、第3試薬容器ラック320のバーコード331b〜338bでは、「1」〜「8」の値をとり、「1」〜「8」は、それぞれ、保持部331〜338を示す。このバーコード(バーコード311b、312b、321b〜326bおよび331b〜338b)の値は、図7に示すように、試薬管理画面410の第1試薬マーク421の位置表示部421a、第2試薬マーク422の位置表示部422aまたは試薬未配置マーク427の位置表示部427aに反映されるように構成されている。たとえば、バーコードの値が「A11−6」であった場合には、第2試薬テーブル12に配置可能であるとともに、3種類の内の「1」に対応するラック(第2試薬容器ラック320)であり、ラック番号1の第2試薬容器ラック320の6番目の保持部(保持部326)を表す。すなわち、4桁の値のうち、前3桁は、試薬容器ラックを特定し、後1桁は、その試薬容器ラックにおける試薬の位置を特定する。
【0066】
また、詳細情報のうちの試薬名は、試薬管理画面410の第1試薬マーク421および第2試薬マーク422の試薬名表示部421bおよび422bに反映されるように構成されている。また、試薬容器無し情報は、試薬未配置マーク427に反映されるように構成されている。すなわち、図7に示すように、試薬が配置されていた場合には、試薬名表示部421bまたは422bに試薬名が表示され、試薬が配置されていない場合には、試薬名表示部421bまたは422bには何も表示されない。たとえば、図7では、試薬位置「A12−5」には、試薬名「CaCl2」が配置されており、試薬位置「A14−2」には、試薬が配置されていない。
【0067】
また、試薬交換部7は、図1および図2に示すように、検体分析装置1の中央部近傍に設けられている。ここで、本実施形態では、試薬交換部7は、図3に示すように、ロック機構31および41をそれぞれ備えた取り外し可能な第1蓋部30および第2蓋部40と、ユーザに第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の搬送状態を通知する通知部50とを含んでいる。
【0068】
第1蓋部30は、第1試薬テーブル11(第1試薬容器ラック310)に配置された試薬容器300の交換が行われる際に取り外すことが可能なように構成されている。また、第1蓋部30のロック機構31は、通常使用時、または、試薬の交換または追加が終了した後に、第1蓋部30が外れないようにロックするとともに、第1試薬テーブル11における試薬の交換または追加が終了したことを制御部4aに認識させるために設けられている。
【0069】
また、第2蓋部40は、第2試薬テーブル12(第2試薬容器ラック320)に配置された試薬容器300の交換の際に取り外すことが可能なように構成されている。また、第2蓋部40のロック機構41は、通常使用時、または、試薬の交換が終了した後に、第2蓋部40が外れないようにロックするとともに、第2試薬テーブル12における試薬の交換または追加が終了したことを制御部4aに認識させるために設けられている。
【0070】
また、通知部50は、2つのLEDインジケータ51および52を含む。図1および図3に示すように、2つのLEDインジケータ51および52は、第2蓋部40の近傍に配置されており、検体分析装置1の外部からユーザが視認可能である。また、LEDインジケータ51および52は、青色または赤色に発光可能である。
【0071】
LEDインジケータ51は、ユーザが試薬管理画面410において指定した第1試薬テーブル11の試薬に対応する第1試薬容器ラック310が、試薬の交換が可能な取出位置(第1蓋部30の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。具体的には、第1試薬テーブル11が回転移動中には、LEDインジケータ51は、赤色に発光し、指定された第1試薬テーブル11の試薬に対応する第1試薬容器ラック310が取出位置に移動されて停止した時には、青色に発光するように構成されている。これにより、ユーザに、試薬の交換または追加のために第1蓋部30を取り外すタイミングを通知することが可能である。
【0072】
また、LEDインジケータ52は、ユーザが試薬管理画面410において指定した第2試薬テーブル12の試薬に対応する第2試薬容器ラック320が、試薬の交換が可能な取出位置(第2蓋部40の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。LEDインジケータ52は、LEDインジケータ51と同様に、第2試薬テーブル12が回転移動中には赤色に発光し、指定された第2試薬テーブル12の試薬に対応する第2試薬容器ラック320が取出位置に移動されて停止した時には、青色に発光するように構成されている。
【0073】
また、試薬の交換または追加が終了した後、第1蓋部30または第2蓋部40のロックがユーザにより行われると、検体分析装置1は、自動的に、交換された試薬が保持される第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に保持される全ての試薬容器300のバーコード300aの読み取りが行われるように構成されている。これにより、たとえば、1つの試薬を指定して試薬の交換を指示した際に、指定した試薬に加えて、同じ第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に含まれる指定した試薬以外の試薬も交換した場合にも、交換後の試薬の配置が正しく試薬管理画面410に反映される。
【0074】
また、測定機構部2は、さらに、図3〜図5に示すように、キュベット搬送部60と、検体分注アーム70と、ランプユニット90と、加温部100と、キュベット移送部110と、試薬分注アーム120と、光学的情報取得部130と、緊急検体セット部140と、流体部150と、キュベット供給機構部160とを備えている。
【0075】
キュベット搬送部60は、キュベット200を検体分析装置1の各部分に搬送する機能を有する。キュベット搬送部60は、円環形状の第2試薬テーブル12の外側に配置された円環形状のキュベット搬送テーブル61と、キュベット搬送テーブル61上に円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数のキュベット保持部62とからなる。キュベット保持部62は、キュベット200を1つずつ保持するために設けられている。キュベット搬送テーブル61のキュベット保持部62に保持されたキュベット200(図5参照)には、搬送機構部3の試験管250に収容されている検体および試薬保存部6に保存されている試薬が分注され、測定用試料が調製される。
【0076】
検体分注アーム70は、搬送機構部3により吸引位置2aに搬送された試験管250に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体をキュベット搬送テーブル61のキュベット保持部62に保持されたキュベット200内に分注する機能を有している。
【0077】
加温部100は、保温可能なプレート101からなり、10個の凹形状のキュベット保持部101aが設けられている。各キュベット保持部101aは、それぞれ、1つのキュベット200を保持可能であり、検体が分注されたキュベット200をキュベット保持部101aに数分間保持することによって、キュベット200内の検体を約37℃に加温する機能を有する。また、加温部100で加温された検体は、加温が終了してから一定時間内に試薬の分注および測定が行われる。これにより、検体、および、検体と試薬とから調製される測定試料の変質を抑制するとともに、測定結果を安定させることが可能である。
【0078】
また、キュベット移送部110は、キュベット200を、キュベット搬送部60と、保温部110と、光学的情報取得部130との間を移送させるために設けられている。キュベット移送部110は、キュベット200を把持する移送用キャッチャ部111と、移送用キャッチャ部111を移動させるための駆動部112とを含む。移送用キャッチャ部111は、駆動部112の駆動により移動領域110a内を移動可能であり、キュベット搬送部60と、加温部100と、光学的情報取得部130の測定用載置部131との間でキュベット200の移送を行う。また、移送用キャッチャ部111には振動機能が設けられており、キュベット200を把持した状態でキュベット200を振動させることにより、キュベット200内の検体と試薬とを攪拌することが可能である。
【0079】
試薬分注アーム120は、図3〜図5に示すように、試薬保存部6に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200に分注することにより、キュベット200内の検体に試薬を混合するために設けられている。具体的には、前述した試薬保存部6の外壁部20の穴部22a、22b、22cまたは22d(図3参照)を介して試薬の吸引を行い、加温(37℃)が完了したキュベット200を移送用キャッチャ部111が加温部100のキュベット保持部101aから取り出し、把持した状態で、吸引した試薬をキュベット200に分注する。なお、試薬分注アーム120のピペット部121には加温機能が設けられており、吸引された試薬は、瞬間的に約37℃に加温される。すなわち、試薬保存部6で低温(約10℃)保存されている試薬は、試薬分注アーム120によって約37℃に加温された状態で、加温が完了した約37℃の検体と混合される。
【0080】
ここで、本実施形態では、試薬分注アーム120は、分注動作を行う際に、ステッピングモータ(図示せず)によるパルス制御によりピペット部121を上下方向に移動させるように構成されている。
【0081】
ここで、本実施形態では、試薬分注アーム120の動作中に試薬の交換が指示された場合に、指定された試薬が含まれる試薬テーブルから分注対象の試薬の分注作業が行われている場合には、指定された試薬が含まれる試薬テーブルからの試薬分注アーム120による分注対象の試薬の分注作業が停止される。この場合、分注対象の試薬が指定された試薬が含まれる試薬テーブルと別の試薬テーブルにも含まれる場合には、試薬分注アーム120は、指定された試薬が含まれる試薬テーブルの分注対象の試薬の分注作業を停止し、もう一方の試薬テーブルに含まれる分注対象の試薬から分注作業を継続する。また、分注対象の試薬が、交換が指示された試薬が含まれる試薬テーブルにのみ配置されている場合には、試薬分注アーム120は、交換指示のときに加温部100において加温中の検体(試薬分注待機中の検体)に対する分注対象の試薬の分注を終了させてから分注動作を行わないように構成されている。これにより、交換指示時に加温部100において加温中の検体も、加温後、一定時間内に測定が行われる。
【0082】
光学的情報取得部130は、測定用試料から光学的な情報を測定するための機能を有している。この光学的情報取得部130は、図5に示すように、測定用載置部131と、測定用載置部131の下方に配置された検出部132とにより構成されている。
【0083】
また、光学的情報取得部130の検出部132は、キュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)を行うことが可能なように構成されている。また、光学的情報取得部130は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、取得したデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、光学的情報取得部130から送信されたデータ(光学的な情報)が分析されて、表示部4bに表示される。
【0084】
緊急検体セット部140は、図3〜図5に示すように、緊急を要する検体に対しての検体分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部140は、搬送機構部3から供給された検体に対しての検体分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。また、緊急検体セット部140は、X方向にスライド可能であり、希釈液および洗浄液が収容された容器(図示せず)を保持するための5つの保持部141が設けられている。また、希釈液および洗浄液が収容された容器(図示せず)には、バーコード(図示せず)が貼付されている。希釈液および洗浄液のバーコードは、緊急検体セット部140がX方向にスライドされながら、バーコードリーダ351によって読み取られるように構成されている。これにより、希釈液および洗浄液の種類、配置などが試薬管理画面410の希釈・洗浄液マーク423として表示されるように構成されている。また、図1および図2に示すように、検体分析装置1の交換部7の前面側には、蓋部1cが設けられている。この蓋部1cを介して、希釈液および洗浄液が収容された容器(図示せず)の交換または追加が行われる。
【0085】
また、キュベット供給機構部160は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット200をキュベット搬送部60に順次供給することが可能なように構成されている。このキュベット供給機構部160は、図3〜図5に示すように、第1ホッパ161aと、第1ホッパ161aからキュベット200が供給されるとともに、第1ホッパ161aよりも小さい第2ホッパ161bと、第2ホッパ161bからキュベット200が供給される2つの誘導板162と、2つの誘導板162の下端に配置された支持台163と、支持台163から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部164とを含んでいる。第1ホッパ161a内に供給されたキュベット200は、第1ホッパ161aよりも小さい第2ホッパ161bを介して、誘導板162上を、支持台163に向かって滑り落ちながら移動するように構成されている。また、支持台163は、誘導板162を滑り落ちて移動したキュベット200を、供給用キャッチャ部164が把持可能な位置まで回転移送する機能を有している。そして、供給用キャッチャ部164は、支持台163により回転移送されたキュベット200をキュベット搬送部60に供給するために設けられている。
【0086】
また、図3〜図5に示すように、測定機構部2には、上述した供給用キャッチャ部164から所定の間隔を隔てて、キュベット200を廃棄するための廃棄用孔171(図3および図5参照)と、廃棄用孔171の下方に設置された廃棄ボックス172とが設けられている。上述した供給用キャッチャ部164は、キュベット搬送部60のキュベット搬送テーブル61上のキュベット200を、廃棄用孔171(図3および図5参照)を介して廃棄ボックス172に廃棄することが可能である。すなわち、供給用キャッチャ部164は、キュベット200の供給と廃棄との両方を行うことが可能である。
【0087】
図16は、本実施形態による検体分析装置1の制御装置4の制御部4aおよび測定機構部2の制御部501の測定処理フローを説明するためのフローチャートである。次に、図16を参照して、本実施形態による検体分析装置1の制御部4aと制御部501の測定処理フローを説明する。
【0088】
まず、ユーザの操作により測定機構部2の電源(図示しない)が入れられると、測定機構部2の制御部501は、測定機構部2の初期化を実行する(ステップS2−1)。ステップS2−1の制御部501による初期化処理については後述する。また、ユーザの操作により制御装置4の電源(図示しない)が入れられると、制御装置4の制御部4aは、制御部4aに記憶されているプログラムの初期化を実行する(ステップS4−1)。
【0089】
ここで、図17を参照して、測定機構部2の制御部501による初期化処理について説明する。
【0090】
まず、制御部501は、制御部501に記憶されているプログラムの初期化を実行する(ステップS11)。次に、制御部501は、測定機構部2の各部の動作チェックを実行する(ステップS12)。これにより、キュベット200を移動させるための機構と各分注アーム(検体分注アーム70および試薬分注アーム120)とを初期位置に戻すための動作が行われる。次に、制御部501は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点出しを実行する(ステップS13)。これにより、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12が原点位置まで回転して停止する。続いて、制御部501は、制御部4aの初期化完了を示す初期化完了信号を要求し、初期化完了信号を受信すると、試薬保存部6にセットされた全ての試薬のバーコードおよび試薬容器ラックのバーコードを読み取るように試薬バーコードリーダ350を制御する(ステップS14)。そして、読み取られたバーコード情報に基づいて、制御部501は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12上の各試薬容器の位置情報を決定し、決定した位置情報およびバーコード情報をRAM501cに記憶する(ステップS15)。なお、読み取られたバーコード情報および位置情報は、制御部501から制御部4aに送信され、制御部4aのハードディスク401dに記憶される。
【0091】
ステップS15における試薬テーブル(第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12)上の各試薬容器の位置情報の決定方法について説明する。本実施形態では、試薬テーブルにおける各試薬容器ラックの配置領域(第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の各々に5つ)毎の所定位置に基準位置が設けられている。そして、配置された試薬容器ラックの各ホルダ(保持部)と当該基準位置とのズレ量が、試薬容器ラックのタイプ毎に、予め設計値として定められている。また、試薬テーブルの原点位置から上記の各基準位置までのズレ量も、予め設計値として定められている。そのため、ステップS14において試薬バーコードリーダ350により読み取られたバーコード情報に基づき、試薬テーブルの原点位置から上記の各基準位置までのズレ量と、配置された試薬容器ラックの各ホルダと基準位置とのズレ量とから、試薬テーブルの原点位置から試薬テーブル上の各試薬容器までのズレ量が演算される。これにより、試薬テーブル上の各試薬容器の位置情報が決定される。なお、これらのズレ量は、試薬テーブルの回転角度の値で表されている。
【0092】
次に、制御装置4の制御部4aは、表示部4bに表示されているメニュー画面(図示せず)に表示されたスタートボタンがユーザにより押されたか否かを判断し(ステップS4−2)、スタートボタンが押されたと判断すると、測定開始信号を制御部501に送信する(ステップS4−3)。ステップS4−2においてスタートボタンが押されなかったと判断された場合には、ステップS4−13に進む。
【0093】
次に、測定機構部2の制御部501は、測定開始信号を受信したか否を判断する(ステップS2−2)。ステップS2−2において測定開始信号を受信しなかったと判断された場合には、ステップS2−9に進む。
【0094】
一方、測定開始信号を受信した場合、制御部501は、検体を収容した試験管250を載置したラック251が、測定機構部2の吸引位置2aに対応する位置まで移動されるように搬送機構部3を制御する。そして、制御部501は、ラック251に載置された試験管250のバーコードを検体バーコードリーダ3cが読み取るよう制御する。制御部501は、読み取られたバーコード情報に基づいて、制御装置4の制御部4aに対してオーダ情報の要求を行う(ステップS2−3)。なお、オーダ情報とは、検体を特定する情報に対応付けられた分析項目を含む情報である。オーダ情報は、制御装置4に接続されたホストコンピュータ(図示せず)に登録されたり、制御装置4にユーザがマニュアル入力することで記憶されるようになっている。
【0095】
次に、制御装置4の制御部4aは、オーダ要求があったか否かを判断し(ステップS4−4)、オーダ要求があったと判断すると、制御部4aのハードディスク401dにオーダ情報が登録されているか否かを判断する(ステップS4−5)。ハードディスク401dにオーダ情報が登録されている場合、制御部4aは、登録されているオーダ情報を測定機構部2の制御部501に送信する(ステップS4−6)。ステップS4−5においてハードディスク401dにオーダ情報が登録されていない場合、制御部4aは、検体バーコードリーダ3cにより読み取られた検体のバーコード情報に基づいて、ホストコンピュータにオーダ登録の問い合わせを行う(ステップS4−7)。そして、制御部4aは、ホストコンピュータからオーダ情報を受信すると(ステップS4−8)、受信したオーダ情報を測定機構部2の制御部501に送信する(ステップS4−6)。
【0096】
測定機構部2の制御部501は、制御部4aからオーダ情報を受信すると(ステップS2−4)、次に、検体分注アーム70に検体分注を行わせる(ステップS2−5)。具体的には、制御部501は、検体分注アーム70に試験管250から所定量の検体を吸引させる。そして、検体分注アーム70をキュベット搬送部60のキュベット搬送テーブル61に保持されたキュベット200の上方に移動させる。その後、検体分注アーム70からキュベット200内に検体を吐出させる。次に、制御部501は、オーダ情報に従って、試薬分注アーム130を駆動させて、試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200内の検体に添加させる(ステップS2−6)。これにより測定用試料が調製される。ステップS2−6における試薬分注処理については後述する。そして、制御部501は、キュベット移送部120が、測定用試料が収容されたキュベット200を光学的情報取得部140のキュベット載置部141に移動させるよう制御する。そして、光学的情報取得部140の検出部142がキュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定を行うよう制御され、これにより、測定用試料から光学的な情報が取得される(ステップS2−7)。そして、制御部501は、取得した光学的情報を、制御装置4の制御部4aに順次送信する(ステップS2−9)。なお、制御部501におけるステップS2−5、S2−6、およびステップS2−7は、並列処理されている。
【0097】
そして、制御装置4の制御部4aは、制御部501から測定結果を受信すると(ステップS4−9)、受信した測定結果を分析し(ステップS4−10)、得られた分析結果を制御部4aのハードディスク401dに記憶する(ステップS4−11)。
【0098】
次に、制御部4aによって、シャットダウンの指示が行われたか否か(メニュー画面からシャットダウンボタン(図示せず)がユーザにより押されたか否か)が判断され(ステップS4−12)、シャットダウンの指示が行われた場合には、シャットダウン信号が制御部4aから制御部501へ送信されるとともに(ステップS4−13)、制御装置4のシャットダウンが行われ、処理が終了する。シャットダウンの指示が行われなかった場合には、ステップS4−2に戻る。
【0099】
次に、測定機構部2の制御部501により、シャットダウン信号の受信が行われたか否かが判断され(ステップS2−9)、シャットダウン信号の受信が行われた場合には、測定機構部2のシャットダウンが行われ(ステップS2−10)、処理が終了する。シャットダウン信号の受信が行われなかった場合には、ステップS2−2に戻る。
【0100】
次に、図18を参照して、ステップS2−6における試薬分注処理について説明する。
【0101】
なお、本実施形態においては、試薬テーブルは水平方向に回転移動可能に構成され、試薬分注アーム120も水平方向に回転移動可能に構成されている。そのため、試薬分注アーム120は、試薬テーブルに配置された試薬容器の中心点の回転移動の軌道と、試薬分注アーム120の回転移動の軌道との交点位置により定まる試薬吸引位置において試薬を吸引可能である。
【0102】
なお、第2試薬テーブル12には、ラックタイプの異なる2種類の試薬容器ラック(第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330)が配置可能である。図12,13に示すように、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320とラックタイプ2の第3試薬容器ラック330の外形の形状は同じであるが、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320におけるホルダ(保持部)の数とラックタイプ2の第3試薬容器ラック330におけるホルダ(保持部)の数とは異なる。また、両タイプの試薬容器ラックにおけるホルダの数が異なることに伴い、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320におけるホルダの位置と、ラックタイプ2の第3試薬容器ラック330におけるホルダの位置とは異なっている。
【0103】
また、両タイプの試薬容器ラックにはホルダが同心円状に設けられているが、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320の後列(内周側)の各ホルダの中心点が回転移動する軌道と、ラックタイプ2の第3試薬容器ラック330の後列の各ホルダの中心点が回転移動する軌道とは異なっている。一方、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320の前列(外周側)の各ホルダの中心点が回転移動する軌道と、ラックタイプ2の第3試薬容器ラック330の前列の各ホルダの中心点が回転移動する軌道とは同一である。ラックタイプ1及びラックタイプ2の試薬容器ラックの前列(外周側)の各ホルダに保持された試薬容器から試薬を吸引するための試薬吸引位置、すなわち、当該ホルダの中心点の回転移動の軌道と試薬分注アーム120の回転移動の軌道との交点位置を「試薬吸引位置A」とする。また、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320の後列(内周側)の各ホルダに保持された試薬容器から試薬を吸引するための試薬吸引位置、すなわち、当該各ホルダの中心点の回転移動の軌道と試薬分注アーム120の回転移動の軌道との交点位置を「試薬吸引位置B」とする。同様に、ラックタイプ2の第3試薬容器ラック330の後列(内周側)の各ホルダに保持された試薬容器から試薬を吸引するための試薬吸引位置、すなわち、当該各ホルダの中心点の回転移動の軌道と試薬分注アーム120の回転移動の軌道との交点位置を「試薬吸引位置C」とする。なお、本実施形態では、第1試薬テーブル11には、図8に示す第1試薬容器ラック310のみが配置されるため、第1試薬テーブル11に配置された第1試薬容器ラック310のホルダに保持された試薬容器から試薬を吸引するための試薬吸引位置、すなわち、当該各ホルダの中心点が回転移動する軌道と、試薬分注アーム120の回転移動の軌道との交点位置を「試薬吸引位置D」とする。
【0104】
ステップS2−6における試薬分注処理においては、制御部501は、まず、オーダ情報に従って、検体の分析項目に応じた分注対象の試薬が収容された試薬容器(以下、「試薬容器R」とする)が試薬分注アーム120による試薬吸引位置に移動するよう、試薬テーブル(第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12)を回転移動させる(ステップS61)。
【0105】
図19を用いて、ステップS61における回転移動処理について以下に説明する。制御部501は、まず、RAM501Cに記憶されているバーコード情報および位置情報に基づき、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックであるか否かを判断する(ステップS611)。試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックである場合、次に、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列(外周側)のホルダであるか否かが判断される(ステップS612)。試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダである場合には、試薬容器Rを保持しているホルダが試薬吸引位置Aに移動するよう、制御部501は、パルス数N1の駆動パルス信号を第2駆動部503に供給し、第2試薬テーブル12を回転させる(ステップS613)。
【0106】
制御部501が駆動部(第1駆動部502または第2駆動部503)に供給する駆動パルス信号のパルス数Nは次の式(1)により求められる。
【0107】
N=(L−M)/S・・・(1)
ここで、「L」は、試薬テーブル(第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12)上の試薬容器Rの位置情報、すなわち、試薬テーブルの原点位置から試薬容器Rまでのズレ量を試薬テーブルの回転角度の値で表すものである。試薬テーブルの回転に応じて試薬容器Rの位置情報は変更するため、「L」の値も試薬テーブルの回転に応じて変更する。「M」は、試薬テーブルの原点位置から試薬分注アーム120による試薬吸引位置までのズレ量を試薬テーブルの回転角度の値で表すものである。「L−M」は、試薬容器Rから試薬分注アーム120による試薬吸引位置までのズレ量を試薬テーブルの回転角度の値で表すものである。「S」は、第1駆動部502の第1ステッピングモータおよび第2駆動部503の第2ステッピングモータのステップ角度(1パルスあたりの回転角度)を表すものである。なお、式(1)では、時計回り方向の回転角度を正の値としている。
【0108】
また、本実施形態では、上記の式(1)で用いられた「L−M」の値が180以下であるか、すなわち、
L−M≦180・・・(2)
であるか否かが制御部501により判断される。上記の式(2)が成り立っていると判断されると、試薬テーブルは反時計回りにパルス数Nだけ回転される。上記の式(2)が成り立っていないと判断されると、試薬テーブルは、時計回りに
(360/S)−N・・・(3)
のパルス数だけ回転される。
【0109】
上記の式(1)、式(2)および式(3)を用いて、ステップS613において制御部501が第2駆動部503に供給する駆動パルス信号のパルス数N1、および第2試薬テーブル12の回転方向が決定される。
【0110】
ステップS612において、試薬容器Rを保持している試薬ホルダが、試薬容器ラックにおける前列の試薬ホルダでないと判断されると、試薬容器Rを保持している試薬ホルダが試薬吸引位置Bに移動するよう、制御部501は、パルス数N2の駆動パルス信号を第2駆動部503に供給し、第2試薬テーブル12を回転させ(ステップS614)、処理をリターンする。なお、パルス数N2および第2試薬テーブル12の回転方向は、上記の式(1)〜(3)により決定される。
【0111】
ステップS611において、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックでない場合、次に、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ2の試薬容器ラックであるか否かが判断される(ステップS615)。試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ2の試薬容器ラックであると、次に、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダであるか否かが判断される(ステップS616)。試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダである場合、試薬容器Rが試薬吸引位置Aに移動するよう、制御部501は、パルス数N3の駆動パルス信号を第2駆動部503に供給し、第2試薬テーブル12を回転させる(ステップS617)。なお、パルス数N3および第2試薬テーブル12の回転方向は、上記の式(1)〜(3)により決定される。ステップS616において、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダでない場合には、試薬容器Rが試薬吸引位置Cに移動するよう、制御部501は、パルス数N4の駆動パルス信号を第2駆動部503に供給し、第2試薬テーブル12を回転させ(ステップS618)、処理をリターンする。なお、パルス数N4および第2試薬テーブル12の回転方向も、上記の式(1)〜(3)により決定される。
【0112】
ステップS615において、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ2の試薬容器ラックでない場合、試薬容器Rが試薬吸引位置Dに移動するよう、制御部501は、パルス数N5の駆動パルス信号を第1駆動部502に供給し、第1試薬テーブル11を回転させ(ステップS619)、処理をリターンする。なお、パルス数N5および第1試薬テーブル11の回転方向も、上記の式(1)〜(3)により決定される。
【0113】
ステップS61における試薬テーブルの回転移動処理の後、制御部501は、試薬テーブル上の各試薬容器の位置情報を、試薬テーブルの回転移動処理後の位置情報に更新する(ステップS62)。各試薬容器の位置情報の更新は、試薬容器Rの回転角度と、試薬テーブルの回転移動処理前の各試薬容器の位置情報とに基づき行われる。
【0114】
次に、制御部501は、試薬吸引位置に試薬分注アーム120が移動するよう、試薬分注駆動部120aを駆動させる(ステップS63)。図20を参照して、試薬分注アーム120の移動処理について以下に説明する。
【0115】
制御部501は、まず、制御装置4の制御部4aに記憶されているバーコード情報に基づき、検体の分析項目に応じた分注対象の試薬が収容される試薬容器(試薬容器R)が保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックであるか否かを判断する(ステップS631)。試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックである場合、次に、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダであるか否かが判断される(ステップS632)。試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダであると、試薬分注アーム120が試薬吸引位置Aに移動するよう、試薬分注駆動部120aが駆動される(ステップS633)。
【0116】
ステップS632において、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダでない場合には、試薬分注アーム120が試薬吸引位置Bに移動するよう、制御部501は、試薬分注駆動部120aを駆動し(ステップS614)、処理をリターンする。
【0117】
ステップS631において、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ1の試薬容器ラックでない場合、次に、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ2の試薬容器ラックであるか否かが判断される(ステップS635)。試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがラックタイプ2の試薬容器ラックである場合、次に、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダであるか否かが判断される(ステップS636)。試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダであると、試薬分注アーム120が試薬吸引位置Aに移動するよう、制御部501は、試薬分注駆動部120aを駆動する(ステップS637)。ステップS636において、試薬容器Rを保持しているホルダが、試薬容器ラックにおける前列のホルダでない場合には、試薬分注アーム120が試薬吸引位置Cに移動するよう、制御部501は、試薬分注駆動部120aを駆動し(ステップS638)、処理をリターンする。
【0118】
ステップS635において、試薬容器Rが保持されている試薬容器ラックがタイプ2の試薬容器ラックでない場合、試薬分注アーム120が試薬吸引位置Dに移動するよう、制御部501は、試薬分注駆動部120aを駆動し(ステップS639)、処理をリターンする。
【0119】
次に、制御部501は、試薬吸引位置に移動した試薬分注アーム120が試薬容器Rから試薬を吸引し、その後、吸引した試薬を所定位置にあるキュベット200に吐出するよう、試薬分注駆動部120aを駆動させる(ステップS64)。次に、制御部501は、試薬分注アーム120が初期位置に移動するよう、試薬分注駆動部120aを駆動させる(ステップS65)。その後、処理をリターンする。
【0120】
以上のように、本実施形態では、試薬容器ラックのタイプに応じた試薬吸引位置に、分注対象の試薬が収容された試薬容器および試薬分注アーム120が移動するよう、制御部501により試薬テーブルの駆動部および試薬分注駆動部120aが制御される。したがって、試薬容器を保持するホルダの数が異なる複数の試薬容器ラックや、ホルダの位置が異なる複数の試薬容器ラックを試薬テーブル上に配置するとともに、その試薬容器ラックに保持された試薬容器から容易に試薬を吸引することができる。したがって、測定項目数の増加や処理速度の向上にも寄与することができる。
【0121】
また、本実施形態では、試薬容器ラックのタイプに応じて、試薬容器ラックに保持される試薬容器のサイズを変更することができる。そのため、試薬の使用状況に応じて、多様なサイズの試薬容器を用いることができる。
【0122】
また、本実施形態では、試薬容器ラックを特定する識別情報に基づいて、その試薬容器ラックに保持される試薬容器から試薬が吸引される試薬吸引位置を決定している。そのため、試薬吸引位置に関する情報を、各試薬容器のバーコードや各試薬容器ラックのバーコードに予め記録しておく必要がなく、多項目の分析に対しても直ちに対応することができる。
【0123】
また、本実施形態では、回転移動可能で試薬容器ラックを配置可能な第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12とが同心円状に配設されているため、より多くの試薬容器を試薬テーブル上に配置することができる。
【0124】
また、本実施形態では、第2試薬テーブル12に配置可能な第2試薬容器ラック320の外形形状と第3試薬容器ラック330の外形形状とが同じになるよう形成されている。これにより、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330のうちから、第2試薬テーブル12の所定の配置領域に配置する試薬容器ラックを自由に選択することができる。
【0125】
また、本実施形態では、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330は、試薬容器300を千鳥状に保持可能に構成されている。これにより、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330において試薬容器300をより多く保持できるとともに、試薬バーコードリーダ350による試薬容器300のバーコード300aの読み取りも良好に行うことができる。
【0126】
また、本実施形態では、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330において、試薬容器300は同心円状に保持されている。そのため、第2試薬テーブル12の回転移動により、第2試薬容器ラック320の前列(外周側)の各ホルダは同一軌道上を回転移動し、後列(内周側)の各ホルダも同一軌道上を回転移動することができる。また、第2試薬テーブル12の回転移動により、第3試薬容器ラック330の前列(外周側)の各ホルダも同一軌道上を回転移動し、後列(内周側)の各ホルダも同一軌道上を回転移動することができる。これにより、試薬分注処理の制御を容易にすることができる。
【0127】
また、本実施形態では、試薬分注アーム120は水平方向に回転移動可能に構成されており、試薬分注アーム120による試薬吸引位置は、試薬分注アーム120の回転移動の軌道と、試薬テーブルの回転移動の軌道の交点位置となるよう構成されている。これにより、試薬分注アーム120の駆動制御を簡易にすることができる。
【0128】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0129】
例えば、上記実施形態では、第1試薬テーブル11には同一タイプの試薬容器ラック310が配置されているが、試薬容器を保持するホルダの数が異なる別のタイプの試薬容器ラックが配置されてもよい。また、ホルダの位置が異なる別のタイプの試薬容器ラックが第1試薬テーブル11に配置されてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、第2試薬テーブル12には、ラックタイプ1の第2試薬容器ラック320と、ラックタイプ2の第3試薬容器ラック330とが配置されているが、ラックタイプ1の試薬容器ラックに代えて、例えば、図21に示すような、ラックタイプ1及びラックタイプ2とホルダの数や位置が異なるラックタイプ3の試薬容器ラックが配置されてもよいし、ラックタイプ2の試薬容器ラックに代えて、ラックタイプ3の試薬容器ラックが配置されてもよい。また、ラックタイプ1およびラックタイプ2の試薬容器ラックに加えて、ラックタイプ3の試薬容器ラックが配置されてもよい。また、ラックタイプ1〜3とホルダの数や位置が異なる他のタイプの試薬容器ラックが配置されてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の各々は、試薬容器ラックが5つ配置可能に構成されているが、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12を、試薬容器ラックを5つ以上配置可能に構成してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、第2試薬容器ラック320および第3試薬容器ラック330にはホルダ(保持部)が同心円状に設けられているが、必ずしもホルダを同心円状に設けなくてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、試薬分注アーム120が水平方向に回転移動可能に構成されているが、試薬分注アーム120をXY方向に移動可能に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態による検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した検体分析装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による検体分析装置の測定機構部を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による検体分析装置の測定機構部および試薬保存部の内部を示す斜視図である。
【図5】図4に示した測定機構部および試薬保存部の内部を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による検体分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による制御装置の表示部に表示される試薬管理画面を示す図である。
【図8】一実施形態による第1試薬容器ラックを示す斜視図である。
【図9】一実施形態による第2試薬容器ラックを示す斜視図である
【図10】図8に示した第1試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図11】図9に示した第2試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図12】ラックタイプ1である図9に示した第2試薬容器ラックの模式図である。
【図13】ラックタイプ2である第3試薬容器ラックの模式図である。
【図14】本発明の一実施形態による検体分析装置のブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態による検体分析装置の測定機構部の制御部のブロック図である。
【図16】本発明の一実施形態による検体分析装置の制御装置4の制御部4aおよび測定機構部2の制御部501の測定処理フローを示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態による測定機構部2の制御部501による初期化処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態による測定機構部2の制御部501による試薬分注処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の一実施形態による測定機構部2の制御部501による試薬テーブルの回転移動処理を示すフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態による測定機構部2の制御部501による試薬分注アームの移動処理を示すフローチャートである。
【図21】ラックタイプ3の試薬容器ラックを示す模式図である。
【符号の説明】
【0135】
1 検体分析装置
2 測定機構部
3 搬送機構部
4 制御装置
4a 制御部
11 第1試薬テーブル
12 第2試薬テーブル
120 試薬分注アーム
120a 試薬分注駆動部
120b ステッピングモータ部
300 試薬容器
310 第1試薬容器ラック
320 第2試薬容器ラック
330 第3試薬容器ラック
350 試薬バーコードリーダ
501 制御部
502 第1駆動部
503 第2駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を所定の分析項目に応じた試薬を用いて分析する検体分析装置であって、
複数の試薬容器ラックを保持するための環状のラック配置部を備えた回転テーブルと、
ラック配置部に保持されたときに、第1の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第1試薬容器ラックと、
第1試薬吸引位置とは異なる第2の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第2試薬容器ラックと、
回転テーブルを回転駆動するための回転テーブル駆動手段と、
第1および第2試薬容器ラックに付された識別子ならびに第1および第2試薬容器ラックに保持された各試薬容器に付された識別子から試薬容器ラックおよび試薬を特定する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて回転テーブル上の試薬容器位置情報を取得する位置情報取得手段と、
識別情報取得手段によって取得された識別情報、および位置情報取得手段によって取得された試薬容器位置情報を格納する記憶手段と、
第1試薬吸引位置および第2試薬吸引位置に移動可能に設けられており、試薬容器から試薬を吸引するための吸引部と、
吸引部を移動させるための吸引部移動手段と、
分析に用いる対象試薬が保持されたラックのラック識別情報および試薬容器位置情報を記憶手段から読み出して、対象試薬が保持されたラックが第1試薬容器ラックの場合は、第1試薬吸引位置に吸引部を移動させるように吸引部移動手段を制御すると共に対象試薬を第1試薬吸引位置に移動させるように回転テーブル駆動手段を制御し、対象試薬が保持されたラックが第2試薬容器ラックの場合は、第2試薬吸引位置に吸引部を移動させるように吸引部移動手段を制御すると共に対象試薬を第2試薬吸引位置に移動させるように回転テーブル駆動手段を制御する駆動制御部と、を備えた検体分析装置。
【請求項2】
第1試薬容器ラックは、第2試薬容器ラックとは異なる数の試薬容器保持部を有する請求項1記載の検体分析装置。
【請求項3】
第1試薬容器ラックは第2試薬容器ラックと同じ外形形状を有する請求項1または請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
第1試薬容器ラックは、第1試薬吸引位置に対応し回転テーブルの同心円の円弧上に配置される複数の第1試薬容器保持部と、第1及び第2試薬吸引位置とは異なる第3試薬吸引位置に対応し回転テーブルの同心円の円弧上に配置される複数の第2試薬容器保持部とを備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
第1試薬容器保持部と第2試薬容器保持部はそれぞれ千鳥状に配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
記憶手段は、試薬容器ラックの種類と、ラック内の各試薬容器保持部の位置情報を予め記憶している請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
吸引部は水平面内を回転移動可能に構成されており、第1試薬吸引位置は、吸引部の回転移動の軌道と、回転テーブルの回転移動による第1試薬容器ラックの試薬容器保持部の回転移動の軌道との交点位置であり、第2試薬吸引位置は、吸引部の回転移動の軌道と、回転テーブルの回転移動による第2試薬容器ラックの試薬容器保持部の回転移動の軌道との交点位置である請求項1〜6のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
第1試薬吸引位置および第2試薬吸引位置とは異なる第4の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための試薬容器保持部を備え、識別子が付された第3試薬容器ラックと、第3試薬容器ラックを配置するための環状のラック配置部を備え、前記回転テーブルの内側に同心円状に配設されると共に、前記回転テーブルとは独立して回転可能に設けられた第2回転テーブルをさらに備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
ラック配置部に保持されたときに、第1の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第1試薬容器ラックと、第1試薬吸引位置とは異なる第2の試薬吸引位置に対応した位置に、識別子が付された試薬容器を保持するための複数の試薬容器保持部を備え、識別子が付された第2試薬容器ラックとを、複数の試薬容器ラックを保持するための環状のラック配置部を備えた回転テーブルに配置する工程と、
第1および第2試薬容器ラックに付された識別子ならびに第1および第2試薬容器ラックに保持された各試薬容器に付された識別子から試薬容器ラックおよび試薬を特定する識別情報を取得する工程と、
識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて回転テーブル上の試薬容器位置情報を取得する工程と、
識別情報取得手段によって取得された識別情報、および位置情報取得手段によって取得された試薬容器位置情報を記憶手段に記憶する工程と、
吸引の対象試薬が保持されたラックのラック識別情報および試薬容器位置情報を記憶手段から読み出して、対象試薬が保持されたラックが第1試薬容器ラックの場合は、第1試薬吸引位置に吸引部を移動させると共に対象試薬を第1試薬吸引位置に移動させるように回転テーブルを回転させ、対象試薬が保持されたラックが第2試薬容器ラックの場合は、第2試薬吸引位置に吸引部を移動させると共に対象試薬を第2試薬吸引位置に移動させるように回転テーブルを回転させる工程と、を備えた試薬吸引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−249414(P2008−249414A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89300(P2007−89300)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】