説明

検出装置および方法、並びに、プログラム

【課題】車両の制御に必要な情報を、状況に応じて効率よく検出する。
【解決手段】想定状況選択部143は、状況情報入力I/F回路141を介して、状況情報取得部111から取得した状況情報、および、想定状況選択テーブル171に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、自車が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する。検出処理選択部151は、選択された想定状況、および、検出処理選択テーブル172に基づいて、対象検出部145の各検出部が実行することができる検出処理の中から、実際に実行する検出処理を選択する。本発明は、車載用の画像処理装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置および方法、並びに、プログラムに関し、特に、車両の制御に必要な情報を効率よく検出することができるようにした検出装置および方法、並びに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に取り付けられたTVカメラから得られる時系列画像を用いて、先行車、駐車中の車両、歩行者等の前方障害物、および、自車の走行領域に進入してくる車両、歩行者等の割込み障害物を検出し、検出した障害物のうち自車両に最も近い障害物の位置を、最終的な障害物位置として検出する前方監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、車線の逸脱を警報する車線逸脱警報機能、先行車の動きに自動的に追従する自動追従機能、車両の衝突を予測し、自動的にブレーキを作動させる衝突軽減ブレーキ機能など、車両の周囲を撮影した画像を用いて検出された所定の対象に関する情報を利用する車載機能の普及が進んでいる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−280194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の前方監視装置、および、上述したような複数の車載機能を有する車両においては、例えば、他の車両、歩行者、車線など複数の対象に関する情報を検出する必要があるが、通常、各対象によって、必要な情報を精度よく検出できる適切な検出方法が異なる。そこで、対象ごとにそれぞれ異なる検出処理プログラムを実装し、複数のプログラムを並行して実行させることにより、複数の対象に関する情報を並行して検出することが一般的に行われている。
【0006】
しかしながら、検出する対象の種類が増加すると、実行するプログラムの種類も増加するため、所定の時間内に検出処理を終えることができないという問題が発生する。この問題を解決するために、CPU(Central Processing Unit)またはCPUコアなどの処理手段の数を増やし、ハードウエアにより複数のプログラムを並列処理させる対策が考えられるが、この場合、ハードウエアの規模の増大、回路構成の複雑化、コストの上昇などの問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車両の制御に必要な情報を、状況に応じて効率よく検出することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の検出装置は、車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の対象に関する情報を検出することができる検出装置において、車両の状態または車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、車両が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する状況選択手段と、選択された想定状況に基づいて、複数の検出処理の中から、実際に実行する検出処理を選択する検出処理選択手段とを備える。
【0009】
本発明の一側面の検出装置においては、車両の状態または車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、車両が置かれている状況に最も近い想定状況が選択され、選択された想定状況に基づいて、複数の検出処理の中から、実際に実行する検出処理が選択される。
【0010】
従って、車両が置かれている状況に応じて、実行する検出処理を選択することができる。また、車両の制御に必要な情報を効率よく検出することができる。
【0011】
この状態選択手段、検出処理選択手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、専用のハードウエア回路により構成される。
【0012】
この検出処理選択手段には、さらに、想定状況に基づいて、検出処理を実行する順序を決定させることができる。
【0013】
これにより、車両が置かれている状況に応じた順に、車両の制御に必要な情報を検出することができる。
【0014】
想定状況を、ドライバが運転中に注意すべき状況の観点に基づいて想定された状況であるようにすることができる。
【0015】
これにより、ドライバが運転中に注意すべき状況において、車両の制御に必要な情報を効率よく検出することができる。
【0016】
この検出処理選択手段には、選択された想定状況において、ドライバが注意すべき対象に関する情報を検出する検出処理を選択させることができる。
【0017】
これにより、ドライバが注意すべき対象に関する情報を、迅速かつ効率よく検出することができる。
【0018】
この検出処理選択手段には、ドライバが注意すべき対象の順序に基づいて、検出処理を実行する順序を決定させることができる。
【0019】
これにより、ドライバが注意すべき順に、ドライバが注意すべき対象に関する情報を検出することができる。
【0020】
本発明の一側面の検出方法、または、プログラムは、車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の対象に関する情報を検出することができる検出装置の検出処理制御方法、または、車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の対象に関する情報を検出することができる検出装置のコンピュータに、検出処理制御処理を行わせるプログラムであって、車両の状態または車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、車両が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する状況選択ステップと、選択された想定状況に基づいて、複数の検出処理の中から、実行する検出処理を選択する検出処理選択ステップとを含む。
【0021】
本発明の一側面の検出方法、または、プログラムにおいては、予め想定されている複数の想定状況の中から、車両が置かれている状況に最も近い想定状況が選択され、選択された想定状況に基づいて、複数の検出処理の中から、実際に実行する検出処理が選択される。
【0022】
従って、車両が置かれている状況に応じて、実行する検出処理を選択することができる。また、車両の制御に必要な情報を効率よく検出することができる。
【0023】
この状況選択ステップは、例えば、前記車両の状態または前記車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、前記車両が置かれている状況に最も近い前記想定状況をCPUにより選択する状況選択ステップにより構成され、この検出処理選択ステップは、例えば、選択された前記想定状況に基づいて、複数の前記検出処理の中から、実行する前記検出処理をCPUにより選択する検出処理選択ステップにより構成される。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明の一側面によれば、車両が置かれている状況に応じて、実行する検出処理を選択することができる。また、本発明の一側面によれば、車両の制御に必要な情報を効率よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明を適用した検出システムの一実施の形態を示すブロック図である。本発明を適用した検出システム101は、車両に設けられ、その車両(以下、自車と称する)の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出するシステムである。
【0027】
検出システム101は、状況情報取得部111、検出用情報取得部112、および、検出装置113を含むように構成される。また、状況情報取得部111は、車速センサ121、方向指示器122、レーダ装置123、雨滴センサ124、温度センサ125、時計126、および、カーナビゲーションシステム127を含むように構成される。さらに、検出用情報取得部112は、可視光カメラ131F、可視光カメラ131L、近赤外光カメラ132、遠赤外光カメラ133、路面状態監視センサ134、および、レーダ装置135を含むように構成される。また、検出装置113は、状況情報入力インタフェース(I/F)回路141、データ前処理用回路142、想定状況選択部143、検出処理制御部144、対象検出部145、および、出力インタフェース(I/F)回路146を含むように構成される。さらに、検出処理制御部144は、検出処理選択部151、および、スイッチ152−1乃至152−7を含むように構成される。また、対象検出部145は、路面状態検出部161、前方人検出部162、左側方バイク検出部163、割込み車両検出部164、先行車位置検出部165、物体位置検出部166、および、制限速度検出部167を含むように構成される。
【0028】
状況情報取得部111は、自車の状態および自車の周辺の状況に関する情報(以下、状況情報と称する)を取得し、取得した状況情報を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0029】
状況情報取得部111に含まれる各構成要素のうち、車速センサ121は、例えば、自車に設けられている車速センサである。車速センサ121は、自車の車速を検出し、検出した車速を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0030】
方向指示器122は、自車に設けられている方向指示器である。方向指示器122は、方向指示器122のランプの点滅を切換えるスイッチの状態を示すデータ、すなわち、方向指示器122が、点滅なし、右側のランプを点滅、および、左側のランプを点滅の3つの状態のうちどの状態に選択されているかを示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0031】
レーダ装置123は、ミリ波、マイクロ波などの電波、または、レーザ光などの光を用いて、自車の前方に存在する物体、例えば、車両、自転車、人、動物、障害物の有無を検出する。レーダ装置123は、自車の前方に物体が存在する場合、物体の大きさ、位置、その物体が車両であるか、自車に対する相体速度などを検出する。また、レーダ装置123は、路面に描かれている区画線などを検出することにより、自車が走行している車線(以下、自車線と称する)の位置を検出する。レーダ装置123は、検出結果を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0032】
雨滴センサ124は、例えば、自車のウインドシールドガラス(いわゆる、フロントガラス)に付着した雨滴または雪の量を光学センサにより検出する。雨滴センサ124は、検出した雨滴または雪の量を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0033】
温度センサ125は、自車の外部の気温(以下、周温と称する)または走行している路面の温度(以下、路温と称する)を検出可能な位置に設置され、検出した周温または路温を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0034】
時計126は、現在の時刻を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0035】
カーナビゲーションシステム127は、GPS(Global Positioning System)センサにより測地衛星からの電波を受信し、自車の現在位置を測定する。カーナビゲーションシステム127は、デジタルマップなどの地図情報に基づいて、自車の地図上の位置を検出し、通行中の場所に関する情報、例えば、通行中の場所が市街地、郊外、または、自動車専用道路であるなどの情報を収集する。カーナビゲーションシステム127は、通行中の場所に関する情報を示すデータを状況情報入力I/F回路141に供給する。
【0036】
検出用情報取得部112は、自車の制御に用いられる所定の対象に関する情報の検出に用いられる情報(以下、検出用情報と称する)を取得し、取得した検出用情報をデータ前処理用回路142に供給する。
【0037】
検出用情報取得部112に含まれる各構成要素のうち、可視光カメラ131Fおよび可視光カメラ131Lは、少なくとも可視光線領域の光に対して十分な感度を有するカメラである。可視光カメラ131Fは、自車の前方を撮影できる位置に設置され、撮影した自車の前方の画像(以下、前方画像と称する)をデータ前処理用回路142に供給する。可視光カメラ131Lは、自車の左側方を通行するバイクなどを撮影できる位置に設置され、撮影した自車の左側方の画像(以下、左側方画像と称する)をデータ前処理用回路142に供給する。
【0038】
近赤外光カメラ132は、少なくとも可視光線領域から近赤外光領域までの光に対して十分な感度を有するカメラである。近赤外光カメラ132は、可視光カメラ131Fと同様に、自車の前方を撮影できる位置に設置され、車両の前方に近赤外光を照射しながら、車両の前方を撮影する。従って、近赤外光カメラ132は、夜間など周囲が暗い状況においても、車両の前方を鮮明に撮影することができる。近赤外光カメラ132は、撮影した前方画像をデータ前処理用回路142に供給する。
【0039】
遠赤外光カメラ133は、少なくとも可視光線領域から遠赤外光領域までの光に対して十分な感度を有するカメラである。遠赤外光カメラ133は、可視光カメラ131Fと同様に、自車の前方を撮影できる位置に設置され、車両の前方に遠赤外光を照射しながら、車両の前方を撮影する。従って、遠赤外光カメラ133は、特に雨の夜に発生しやすいグレア現象が発生した状況においても、車両の前方を鮮明に撮影することができる。遠赤外光カメラ133は、撮影した前方画像をデータ前処理用回路142に供給する。
【0040】
路面状態監視センサ134は、路面に赤外光などの光を照射し、その反射光に基づいて、路面の明るさや模様を検出し、その検出結果に基づいて、乾燥、湿潤、凍結などの路面の状態を識別する。路面状態監視センサ134は、識別した路面の状態を示すデータをデータ前処理用回路142に供給する。
【0041】
レーダ装置135は、ミリ波、マイクロ波などの電波、または、レーザ光などの光を用いて、自車の左側方を通行するバイクなどの有無、大きさ、位置、自車に対する相体速度などを検出する。レーダ装置135は、検出結果を示すデータをデータ前処理用回路142に供給する。
【0042】
検出装置113は、自車の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する装置である。検出装置113は、複数の検出処理を実行することにより、複数の対象の関する情報を検出することが可能である。
【0043】
検出装置113に含まれる個々の構成要素のうち、状況情報入力I/F回路141は、車速センサ121、方向指示器122、レーダ装置123、雨滴センサ124、温度センサ125、時計126、および、カーナビゲーションシステム127から供給されるデータを、想定状況選択部143、または、対象検出部145の各検出部が処理できる形式に変換し、変換後のデータを想定状況選択部143、または、対象検出部145の各検出部に供給する。
【0044】
データ前処理用回路142は、可視光カメラ131F、可視光カメラ131L、近赤外光カメラ132、遠赤外光カメラ133、路面状態監視センサ134、および、レーダ装置135から供給される画像またはデータを、必要に応じて、対象検出部145の各検出部に供給する。このとき、データ前処理用回路142は、対象検出部145の各検出部からの指令に基づいて、取得した画像またはデータを、各検出部の処理に適した画像またはデータに変換する。
【0045】
想定状況選択部143は、図2などを参照して後述するように、状況情報、および、想定状況選択テーブル171に基づいて、ドライバが運転中に注意すべき状況の観点に基づいて予め想定されている状況(以下、想定状況と称する)の中から、現在の自車および自車の周辺の状況に最も近い想定状況、換言すれば、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する。想定状況選択部143は、選択した想定状況を示す情報を検出処理選択部151に供給する。なお、想定状況選択テーブル171は、状況情報に基づいて、想定状況を選択するためのテーブルであり、詳細については、図3などを参照して後述する。
【0046】
検出処理制御部144は、対象検出部145に含まれる各検出部が実行可能な検出処理の実行の要否および実行順を決定し、決定内容に従って検出処理を実行するように各検出部を制御する。
【0047】
検出処理制御部144に含まれる各構成要素のうち、検出処理選択部151は、図2などを参照して後述するように、想定状況選択部143により選択された想定状況、および、検出処理選択テーブル172に基づいて、対象検出部145に含まれる各検出部が実行可能な複数の検出処理の中から、実際に実行する検出処理を選択する。また、検出処理選択制御部151は、検出処理選択テーブル172に基づいて、選択した検出処理を実行する順序を決定する。検出処理選択部151は、スイッチ152−1乃至152−7のオンまたはオフを切換え、対象検出部145に含まれる各検出部に検出処理の指令を出すことにより、選択した検出処理を決定した順序に従って実行するように、各検出部を制御する。なお、検出処理選択テーブル172は、想定状況に基づいて、実際に実行する検出処理の選択、および、選択した検出処理を実行する順序を決定するためのテーブルであり、詳細については、図4などを参照して後述する。
【0048】
対象検出部145は、検出処理制御部144により選択された検出処理を、決定された順序に従って実行し、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。
【0049】
対象検出部145に含まれる個々の構成要素のうち、路面状態検出部161は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像、および、路面状態監視センサ134により検出された路面状態を示すデータをデータ前処理用回路142から取得する。路面状態検出部161は、所定の手法を用いて、前方画像、または、路面状態を示すデータに基づいて、自車が走行している路面の凍結の有無、凍結している場所、凍結している度合いなど、路面の凍結状態の検出を行う。路面状態検出部161は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、路面状態検出部161が、路面の凍結状態を検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に路面の凍結状態を検出できる手法が望ましい。
【0050】
前方人検出部162は、車速センサ121により検出された自車の車速を示すデータ、および、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得する。また、前方人検出部162は、可視光カメラ131F、近赤外光カメラ132、または、遠赤外光カメラ133により撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自転車やバイクなどに乗っている人を含めて、自車の前方の人の有無、位置、進行方向などの検出を行う。前方人検出部162は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、前方人検出部162が人の有無、位置、進行方向などを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に自車の前方の人の有無、位置、進行方向などを検出できる手法が望ましい。
【0051】
左側方バイク検出部163は、可視光カメラ131Lにより撮影された左側方画像、おおよび、レーダ装置135による検出結果を示すデータをデータ前処理用回路142から取得する。左側方バイク検出部163は、所定の手法を用いて、左側方画像、または、レーダ装置135による検出結果に基づいて、自車の左側方を走行するバイクの有無、位置、進行方向などの検出を行う。左側方バイク検出部163は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、左側方バイク検出部163がバイクの有無、位置、進行方向などを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に自車の左側方のバイクの有無、位置、進行方向などを検出できる手法が望ましい。
【0052】
割込み車両検出部164は、車速センサ121により検出された自車の車速を示すデータ、および、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得する。また、割込み車両検出部164は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。割込み車両検出部164は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、他の車線から自車の前方に割り込んでくる割込み車両の有無、位置、大きさ、移動方向などの検出を行う。割込み車両検出部164は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、割込み車両検出部164が割込み車両の有無、位置、大きさ、移動方向などを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に割込み車両の有無、位置、大きさ、移動方向などを検出できる手法が望ましい。
【0053】
先行車位置検出部165は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得する。また、先行車位置検出部165は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。先行車位置検出部165は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線内の前方にいる先行車の位置および車幅を検出し、先行車との衝突を回避するために自車を左または右に移動させる必要がある量を表す回避量を算出する。先行車位置検出部165は、検出結果および回避量を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、先行車位置検出部165が先行車の位置および車幅を検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に先行車の位置および車幅を検出できる手法が望ましい。
【0054】
物体位置検出部166は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得する。また、物体位置検出部166は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。物体位置検出部166は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線内の前方に存在する物体の位置および大きさを検出し、その物体との衝突を回避するための回避量を算出する。物体位置検出部166は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、物体位置検出部166が前方の物体の位置および大きさを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に前方の物体の位置および大きさを検出できる手法が望ましい。
【0055】
制限速度検出部167は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得する。また、制限速度検出部167は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。制限速度検出部167は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線の前方の路面または道路標識に表示されている制限速度の検出を行う。制限速度検出部167は、検出結果を示す情報を出力I/F回路146に供給する。なお、制限速度検出部167が制限速度を検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より迅速かつ正確に制限速度を検出できる手法が望ましい。
【0056】
出力I/F回路146は、対象検出部145の各検出部からの検出結果を示す情報の出力形式の変換、出力タイミングの調整などを行うことにより、車両制御ECU(Electronic Control Unit)102への検出結果の出力を制御する。
【0057】
車両制御ECU102は、検出装置113から出力される検出結果に基づいて、自車に搭載されている各種の電子制御装置の動作を制御する。
【0058】
次に、図2のフローチャートを参照して、検出システム101により実行される検出処理を説明する。なお、この処理は、例えば、検出システム101が設けられている車両のエンジンが始動され、検出システム101への電源の供給が開始されたとき開始される。
【0059】
ステップS1において、状況情報取得部111は、状況情報の取得を開始する。具体的には、車速センサ121は、自車の車速の検出、および、検出した車速を示すデータの状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。方向指示器122は、ランプの点滅を切換えるスイッチの状態を示すデータの状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。レーダ装置123は、自車の前方の物体の有無、物体の位置、大きさ、自車に対する相対速度、物体が車両であるかなどの検出を開始し、検出結果を示すデータの状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。雨滴センサ124は、雨滴量の検出、および、検出した雨滴量を示す情報の状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。温度センサ125は、周温または路温の検出、および、検出した周温または路温を示すデータの状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。時計126は、現在の時刻を示すデータの状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。カーナビゲーションシステム127は、通行中の場所に関する情報の収集、および、収集した情報の状況情報入力I/F回路141への供給を開始する。
【0060】
ステップS2において、検出用情報取得部112は、検出用情報の取得を開始する。具体的には、可視光カメラ131F、近赤外光カメラ132、および、遠赤外光カメラ133は、自車の前方の撮影、および、撮影した前方画像のデータ前処理用回路142への供給を開始する。可視光カメラ131Lは、自車の左側方の撮影、および、撮影した左側方画像のデータ前処理用回路142への供給を開始する。路面状態監視センサ134は、走行中の路面の状態の監視、および、監視結果を示す情報のデータ前処理用回路142への供給を開始する。レーダ装置135は、自車の左側方を通行するバイクなどの有無、大きさ、位置、自車に対する相体速度などの検出、および、検出結果を示す情報のデータ前処理用回路142への供給を開始する。
【0061】
ステップS3において、想定状況選択部143は、状況情報、および、想定状況選択テーブル171に基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する。想定状況選択部143は、選択した想定状況を示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0062】
ステップS4において、検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に基づいて、実際に実行する検出処理を選択し、処理順を決定する。
【0063】
ステップS5において、対象検出部145は、検出処理選択部151からの指令に基づいて、検出処理を実行する。対象検出部145の各検出部のうち、実際に検出処理を実行した検出部は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。車両制御ECU102は、取得した検出結果に基づいて、車両の各部の動作を制御する。
【0064】
ここで、図3乃至図15を参照して、ステップS3乃至S5の処理の具体的な例について説明する。なお、以下、想定状況選択テーブル171が、想定状況選択テーブルA乃至Fの6種類のテーブルにより構成されている例について説明する。
【0065】
想定状況選択部143は、まず、複数の想定状況選択テーブル171の中から、図3に示される想定状況選択テーブルAを選択し、参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルAの表側に示される条件A1と表頭に示される条件A2との組み合わせに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択、または、次に参照する想定状況選択テーブルの選択を行う。
【0066】
条件A1は、現在の時刻に基づく条件であり、現在の時刻が昼間の時間帯であるか、それとも、夜間の時間帯であるかが判定される。想定状況選択部143は、時計126により示される時刻が、所定の時間帯(例えば、午前6時から午後6時までの時間帯)に含まれる場合、現在の時刻が昼間の時間帯であると判定し、それ以外の時間帯である場合、現在の時刻が夜間の時間帯であると判定する。
【0067】
条件A2は、周温または路温に基づく条件であり、周温または路温が所定の閾値未満であるかが判定される。想定状況選択部143は、温度センサ125により検出された温度が所定の閾値(例えば、0℃)未満である場合、周温または路温が所定の閾値未満であると判定し、温度センサ125により検出された温度が所定の閾値以上である場合、周温または路温が所定の閾値以上であると判定する。
【0068】
想定状況選択部143は、現在の時刻が夜間の時間帯であり、かつ、周温または路温が所定の閾値未満であると判定した場合、想定状況選択テーブルAに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況1を選択する。なお、想定状況1は、気温が低く、夜間で日があたらないため、路面が凍結している可能性がある状況である。従って、スリップ等により安全走行が困難となる可能性があるため、想定状況1は、ドライバが、路面の状態に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況1を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0069】
検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況1において実行する検出処理を選択する。図4は、検出処理選択テーブル172の一例を示しており、検出処理選択テーブル172は、各想定状況において実行する検出処理、および、複数の検出処理を実行する場合の優先順位、すなわち、検出処理を実行する順序を定義したテーブルである。なお、検出処理選択テーブル172において、例えば、各想定状況において、ドライバが注意すべき対象に関する情報を検出する検出処理が、各想定状況において実行する検出処理として選択され、ドライバが注意すべき対象の順序に基づいて、選択された検出処理の優先順位が決定される。
【0070】
検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況1において実行する検出処理として、検出処理A1を選択する。検出処理選択部151は、スイッチ152−1をオンにし、スイッチ152−1を介して、検出処理A1の実行の指令を示す情報を路面状態検出部161に供給する。
【0071】
路面状態検出部161は、検出処理A1を実行する。具体的には、路面状態検出部161は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。路面状態検出部161は、前方画像の自車の前方の路面が写っている領域を対象に、所定の手法を用いて、路面の凍結状態の検出を行う。路面状態検出部161は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、路面状態検出部161は、スイッチ152−1を介して、検出処理A1が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−1をオフにする。
【0072】
車両制御ECU102は、路面の凍結状態に応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、各種の安全装置に用いられる適正な車間距離の値の調整、ABS(Antilock Brake System)の動作の制御などを行うように自車の各部を制御する。
【0073】
このように、想定状況1においては、路面の凍結により安全走行が困難であるため、路面の凍結状態の検出が優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0074】
図3に戻り、想定状況選択部143は、現在の時刻が昼間の時間帯である、または、周温または路温が所定の閾値以上であると判定した場合、すなわち、路面の凍結により自車が安全に走行できない状況である可能性が低い場合、想定状況選択テーブルAに基づいて、次に、図5に示される想定状況選択テーブルBを参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルBの表側に示される条件B1と表頭に示される条件B2との組み合わせに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択、または、次に参照する想定状況選択テーブルの選択を行う。
【0075】
条件B1は、自車の進行方向に基づく条件であり、自車が右折、左折、または、直進するかが判定される。想定状況選択部143は、方向指示器122のスイッチが右のランプの点滅するように設定されている場合、自車は右折しようとしている、または、右折していると判定し、方向指示器122のスイッチが左のランプを点滅するように設定されている場合、自車は左折しようとしている、または、左折していると判定し、方向指示器122のスイッチがランプの点滅をしないように設定されている場合、自車は直進しようとしている、または、直進していると判定する。
【0076】
条件B2は、自車の車速の変化に基づく条件であり、自車が発進もしくは減速したか、または、自車が定速走行もしくは加速したかが判定される。想定状況選択部143は、車速センサ121により検出された自車の車速に基づいて、車速が所定の速度(例えば、10km/h)未満の状態から上昇した場合、発進したと判定し、自車が所定の速度以上で走行している場合に、車速が所定の閾値(例えば、10km/h)以上下降したとき、減速したと判定し、発進したと判定される場合を除いて、車速の変化が所定の閾値未満である場合、定速走行していると判定し、自車が所定の速度以上で走行している場合に、車速が所定の閾値以上上昇したとき、自車が加速したと判定する。
【0077】
想定状況選択部143は、自車が右折しようとしている、または、右折している、かつ、自車が発進もしくは減速したと判定した場合、想定状況選択テーブルBに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況2を選択する。なお、想定状況2は、交差点などにおいて自車が右折中、または、右折しようとしている状況である。従って、道路を横断中の人と衝突する可能性があるため、想定状況2は、ドライバが、自車の前方を横断する人に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況2を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0078】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況2において実行する検出処理として、検出処理B1を選択する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B1の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0079】
前方人検出部162は、検出処理B1を実行する。具体的には、前方人検出部162は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車の前方を横断する人の有無、位置、進行方向などの検出を行う。前方人検出部162は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B1が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0080】
車両制御ECU102は、自車の前方を横断する人の有無、位置、進行方向などに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0081】
このように、想定状況2においては、道路を横断中の人と衝突する可能性があるため、自車の前方を横断する人の検出が優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0082】
図5に戻り、想定状況選択部143は、自車が左折しようとしている、または、左折している、かつ、自車が発進もしくは減速したと判定した場合、想定状況選択テーブルBに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況3を選択する。なお、想定状況3は、交差点などにおいて自車が左折中、または、左折しようとしている状況である。従って、自車の左側を走行するバイクを巻き込んだり、道路を横断中の人と衝突する可能性があるため、想定状況3は、ドライバが、自車の左側を走行するバイクに最も注意し、次に、自車の前方を横断する人に注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況3を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0083】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況3において実行する検出処理として、検出処理B1およびCを選択する。検出処理Cは、左側方バイク検出部163により、可視光カメラ131Lにより撮影された左側方画像を用いて、自車の左側方を走行するバイクの検出を行う処理である。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−3をオンにし、スイッチ152−3を介して、検出処理Cの実行の指令を示す情報を左側方バイク検出部163に供給する。
【0084】
左側方バイク検出部163は、検出処理Cを実行する。具体的には、左側方バイク検出部163は、可視光カメラ131Lにより撮影された左側方画像をデータ前処理部142から取得する。左側方バイク検出部163は、所定の手法を用いて、左側方画像に基づいて、自車の左側方を走行するバイクの有無、位置、進行方向などの検出を行う。左側方バイク検出部163は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、左側方バイク検出部163は、スイッチ152−3を介して、検出処理Cが終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−3をオフにする。
【0085】
車両制御ECU102は、自車の左側方を走行するバイクの有無、位置、進行方向など応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0086】
次に、想定状況2における処理と同様に、検出処理B1、および、検出処理B1の検出結果に応じた処理が実行される。
【0087】
このように、想定状況3においては、ドライバの死角となる自車の左側方を走行するバイクを巻き込む可能性があるため、自車の左側方を走行するバイクの検出が第1に優先して行われ、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。また、想定状況2と同様に、道路を横断中の人と衝突する可能性があるため、自車の前方を横断する人の検出が2番目に優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0088】
図5に戻り、想定状況選択部143は、自車が直進しようとしている、または、直進している、または、自車が定速走行もしくは加速していると判定した場合、想定状況選択テーブルBに基づいて、次に、図6に示される想定状況選択テーブルCを参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルCの表側に示される条件C1と表頭に示される条件C2との組み合わせに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択、または、次に参照する想定状況選択テーブルの選択を行う。
【0089】
条件C1は、自車が走行している車線(以下、自車線と称する)内の前方の物体の有無とその属性に基づく条件であり、自車線内の前方に車両が存在するか、自車線内の前方に車両以外の物体が存在するか、または、自車線内の前方に物体が存在しないかが判定される。想定状況選択部143は、レーダ装置123による自車線の前方の物体の有無およびその属性の検出結果に基づいて、自車線内の前方に車両が存在するか、自車線内の前方に車両以外の物体が存在するか、または、自車線内の前方に物体が存在しないかを判定する。
【0090】
条件C2は、自車線内の前方の物体までの距離に基づく条件であり、自車線内の前方の物体までの距離が適正な車間距離以上であるかが判定される。想定状況選択部143は、車速センサ121により検出された自車の車速に応じた適正な車間距離を求め、レーダ装置123により検出された自車線内の前方の物体までの距離が、適正な車間距離以上であるかを判定する。
【0091】
想定状況選択部143は、自車線内の前方に車両が存在し、その車両までの距離が適正な車間距離以上であると判定した場合、想定状況選択テーブルCに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況4を選択する。なお、想定状況4は、自車線内の先行車との車間距離が広い状況である。従って、自車と先行車との間に車両が割り込んできて、割り込み車両と衝突する可能性があるため、想定状況4は、ドライバが、割込み車両に最も注意し、次に、先行車に注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況4を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0092】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況4において実行する検出処理として、検出処理D1およびEを選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−4をオンにし、スイッチ152−4を介して、検出処理D1の実行の指令を示す情報を割込み車両検出部164に供給する。
【0093】
割込み車両検出部164は、検出処理D1を実行する。具体的には、割込み車両検出部164は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。割込み車両検出部164は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、割込み車両の有無、位置、大きさ、移動方向などの検出を行う。このとき、割込み車両検出部164は、例えば、図7に示されるように、自車と先行車201との間であって、自車線より外の領域であるの前方画像内の領域R1およびR2を対象に、検出処理D1を行う。割込み車両検出部164は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、割込み車両検出部164は、スイッチ152−4を介して、検出処理D1が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−4をオフにする。
【0094】
車両制御ECU102は、割込み車両の有無、位置、大きさ、進行方向などに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0095】
次に、検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、スイッチ152−5をオンにし、スイッチ152−5を介して、検出処理Eの実行の指令を示す情報を先行車位置検出部165に供給する。
【0096】
先行車位置検出部165は、検出処理Eを実行する。具体的には、先行車位置検出部165は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。先行車位置検出部165は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、先行車の位置および車幅を検出する。このとき、先行車位置検出部165は、例えば、図8に示されるように、自車線内の先行車211を含む前方画像内の領域R11を対象に、検出処理Eを行う。先行車位置検出部165は、先行車の位置および車幅に基づいて、先行車との衝突を回避するための回避量を算出する。先行車位置検出部165は、検出結果および回避量を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、先行車位置検出部165は、スイッチ152−5を介して、検出処理Eが終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−5をオフにする。
【0097】
車両制御ECU102は、先行車の位置および車幅、並びに、先行車との衝突を回避するための回避量に応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、自車の進行方向の制御、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0098】
このように、想定状況4においては、割込み車両と衝突する可能性が高いため、割込み車両の検出が1番目に優先して行われ、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。また、自車線内の前方に存在する先行車と衝突する可能性があるため、先行車の検出、並びに、回避量の算出が2番目に優先して行われ、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0099】
図6に戻り、想定状況選択部143は、自車線内の前方に車両が存在し、その車両までの距離が適正な車間距離未満であると判定した場合、想定状況選択テーブルCに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況5を選択する。なお、想定状況5は、自車線内の先行車との車間距離が狭い状況である。従って、例えば、先行車が急ブレーキをかけた場合などに、先行車と衝突する可能性があるため、想定状況5は、ドライバが、先行車に最も注意し、次に、割込み車両に注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況5を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0100】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況5において実行する検出処理として、検出処理D1およびEを選択する。その後、想定状況4の場合とは逆に、検出処理E、検出処理D1の順番で検出処理、および、検出結果に対応する処理が実行される。
【0101】
このように、想定状況5においては、想定状況4と比較して、先行車に衝突する可能性が高くなり、自車と先行車の間に車両が割り込んでくる可能性が低くなるため、先行車の検出、並びに、回避量の算出が1番目に優先して行われ、割込み車両の検出が2番目に優先して行われる。
【0102】
図6に戻り、想定状況選択部143は、自車線内の前方に車両以外の物体が存在し、その物体までの距離が適正な車間距離未満であると判定した場合、想定状況選択テーブルCに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況6を選択する。なお、想定状況6は、自車の前方の近い位置に物体が存在する状況である。従って、回避行動を起さないと、その物体に衝突する可能性があるため、想定状況6は、ドライバが、前方の物体に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況6を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0103】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況6において実行する検出処理として、検出処理Fを選択する。検出処理選択部151は、スイッチ152−6をオンにし、スイッチ152−6を介して、検出処理Fの実行の指令を示す情報を物体位置検出部166に供給する。
【0104】
物体位置検出部166は、検出処理Fを実行する。具体的には、物体位置検出部166は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。物体位置検出部166は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線の前方に存在する物体の位置および大きさを検出する。このとき、物体位置検出部166は、例えば、自車線内の物体を含む前方画像内の領域を対象に、検出処理Fを行う。物体位置検出部166は、物体の位置および大きさ、特に、物体の横方向の幅に基づいて、物体との衝突を回避するための回避量を算出する。物体位置検出部166は、検出結果および回避量を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、物体位置検出部166は、スイッチ152−6を介して、検出処理Fが終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−6をオフにする。
【0105】
車両制御ECU102は、前方の物体の位置および大きさ、並びに、前方の物体との衝突を回避するための回避量に応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、自車の進行方向の制御、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0106】
このように、想定状況6においては、自車の前方にある物体に衝突する可能性が高いため、物体の位置および大きさの検出、並びに、回避量の算出が優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0107】
図6に戻り、想定状況選択部143は、自車線内の前方に車両以外の物体が存在し、その物体までの距離が適正な車間距離以上であると判定した場合、次に、図9に示される想定状況選択テーブルDを参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルDの表側に示される条件D1と表頭に示される条件D2との組み合わせに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択を行う。
【0108】
条件D2は、周囲の天候に基づく条件であり、晴天もしくは曇天、または、雨天もしくは雪であるかが判定される。想定状況選択部143は、雨滴センサ124により検出された雨滴量が所定の閾値(例えば、0.1mm/h)以上である場合、雨天もしくは雪であると判定し、雨滴量が所定の閾値未満である場合、晴天もしくは曇天であると判定する。
【0109】
なお、条件D1は、図3の条件A1と同様の条件である。
【0110】
想定状況選択部143は、現在の時刻が昼間の時間帯であり、かつ、晴天もしくは曇天であると判定した場合、想定状況選択テーブルDに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況7を選択する。なお、想定状況7は、自車線内の前方の遠い位置に、例えば、道路を横断中に人などの物体が存在する状況である。従って、その物体に衝突する可能性があるため、想定状況7は、ドライバが、前方の物体に最も注意すべき状況であり、特に、前方の物体が人であるかを確認する必要がある状況である。また、想定状況7は、自車線内の前方の物体が人である場合、その人が傘を持っている可能性が低い状況である。想定状況選択部143は、想定状況7を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0111】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況7において実行する検出処理として、検出処理B2およびFを選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B2の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0112】
前方人検出部162は、検出処理B2を実行する。具体的には、前方人検出部162は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線の前方に存在する人の検出を行う。このとき、前方人検出部162は、例えば、自車線内の物体を含む前方画像内の領域を対象に、検出処理B2を行う。前方人検出部162は、自車線内の前方の物体が人であるか否かを示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B2が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0113】
車両制御ECU102は、前方の物体が人である場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0114】
次に、想定状況6における処理と同様に、検出処理F、および、検出処理Fの検出結果に応じた処理が実行される。
【0115】
このように、想定状況7においては、自車線内の前方の物体までの距離が離れているので、まず、前方の物体が、衝突した場合の被害が重大な人であるかの検出が1番目に優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。次に、前方の物体の位置および大きさの検出、並びに、回避量の算出が実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0116】
図9に戻り、想定状況選択部143は、現在の時刻が昼間の時間帯であり、かつ、雨天もしくは雪であると判定した場合、想定状況選択テーブルDに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況8を選択する。なお、想定状況8は、想定状況7と同様に、自車線内の遠い位置に、例えば、道路を横断中に人などの物体が存在する状況である。また、想定状況8は、自車線内の前方の物体が人である場合、その人が傘を持っている可能性が高い状況である。想定状況選択部143は、想定状況8を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0117】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況8において実行する検出処理として、検出処理B3およびFを選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B3の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0118】
前方人検出部162は、検出処理B3を実行する。具体的には、前方人検出部162は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線の前方に存在する人の検出を行う。このとき、前方人検出部162は、例えば、自車線内の物体を含む前方画像内の領域を対象に、検出処理B3を行う。また、前方人検出部162は、傘を持った人は、一般的な人のモデルとは異なるため、検出する対象として、傘を持った人のモデルを追加して、検出処理B3を行う。前方人検出部162は、自車線内の前方の物体が人であるか否かを示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B3が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0119】
車両制御ECU102は、前方の物体が人である場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0120】
次に、想定状況6における処理と同様に、検出処理F、および、検出処理Fの検出結果に応じた処理が実行される。
【0121】
このように、想定状況8においては、想定状況を7と比較して、人が傘を持っている可能性が高いため、傘を持った人のモデルに追加して、前方の人の検出が行われる。
【0122】
図9に戻り、想定状況選択部143は、現在の時刻が夜間の時間帯であり、かつ、晴天もしくは曇天であると判定した場合、想定状況選択テーブルDに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況9を選択する。なお、想定状況9は、想定状況7と同様に、自車線内の前方の遠い位置に、例えば、道路を横断中に人などの物体が存在する状況である。また、想定状況9は、自車線内の前方の物体が人である場合、その人が傘を持っている可能性が低い状況である。さらに、想定状況9は、夜間のため、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像では、画像が暗くて、人の検出が困難になる状況である。想定状況選択部143は、想定状況9を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0123】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況9において実行する検出処理として、検出処理B4およびFを選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B4の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0124】
前方人検出部162は、検出処理B4を実行する。具体的には、前方人検出部162は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、近赤外光カメラ132により撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、少なくとも可視光線領域から近赤外光領域までの光が撮影された前方画像に基づいて、自車線の前方に存在する人の検出を行う。このとき、前方人検出部162は、例えば、自車線内の物体を含む前方画像内の領域を対象に、検出処理B4を行う。前方人検出部162は、自車線内の前方の物体が人であるか否かを示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B4が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0125】
車両制御ECU102は、前方の物体が人である場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0126】
次に、想定状況6における処理と同様に、検出処理F、および、検出処理Fの検出結果に応じた処理が実行される。
【0127】
このように、想定状況9においては、想定状況を7と比較して、夜間で周囲が暗くなるため、近赤外光カメラ132により撮影された前方画像を用いて、前方の人の検出が行われる。
【0128】
図9に戻り、想定状況選択部143は、現在の時刻が夜間の時間帯であり、かつ、雨天もしくは雪であると判定した場合、想定状況選択テーブルDに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況10を選択する。なお、想定状況10は、想定状況7と同様に、自車線内の前方の遠い位置に、例えば、道路を横断中に人などの物体が存在する状況である。また、想定状況10は、自車線内の前方の物体が人である場合、その人が傘を持っている可能性が高い状況である。さらに、想定状況10は、夜間かつ悪天候のため、対向車のヘッドライトなどの灯りなどによるグレア現象により、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像、および、近赤外光132により撮影された前方画像では、人の検出が困難になる状況である。想定状況選択部143は、想定状況10を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0129】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況10において実行する検出処理として、検出処理B5およびFを選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B5の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0130】
前方人検出部162は、検出処理B5を実行する。具体的には、前方人検出部162は、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、遠赤外光カメラ133により撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、少なくとも可視光線領域から遠赤外光領域までの光が撮影された前方画像に基づいて、自車線の前方に存在する人の検出を行う。このとき、前方人検出部162は、例えば、自車線内の物体を含む前方画像内の領域を対象に、検出処理B5を行う。また、前方人検出部162は、検出処理B3の場合と同様に、傘を持った人のモデルを追加して、検出処理B7を行う。前方人検出部162は、自車線内の前方の物体が人であるか否かを示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B5が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0131】
車両制御ECU102は、前方の物体が人である場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0132】
次に、想定状況6における処理と同様に、検出処理F、および、検出処理Fの検出結果に応じた処理が実行される。
【0133】
このように、想定状況10においては、想定状況を9と比較して、さらに前方の視界が悪化するため、遠赤外光カメラ133により撮影された前方画像を用いて、さらに、人が傘を持っている可能性が高いため、傘を持った人のモデルに追加して、前方の人の検出が行われる。
【0134】
図6に戻り、想定状況選択部143は、自車線内の前方に物体が存在しないと判定した場合、次に、図10に示される想定状況選択テーブルEを参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルEの表側に示される条件E1と表頭に示される条件E2との組み合わせに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択、または、次に参照する想定状況選択テーブルの選択を行う。
【0135】
条件E1は、自車線の外の前方の物体の有無とその移動速度に基づく条件であり、自車線の外の前方に物体が存在しないか、自車線の外の前方に高速移動中の物体が存在するか、または、自車線の外の前方に低速移動中または静止中の物体が存在するかが判定される。想定状況選択部143は、レーダ装置123による自車線の外の前方の物体の有無およびその移動速度の検出結果に基づいて、自車線の外の前方に物体が存在しないか、自車線の外の前方に高速移動中(例えば、40km/h以上の速度で移動中)の物体が存在するか、または、自車線の外の前方に低速移動中(例えば、40km/h未満の速度で移動中)または静止中の物体が存在するかを判定する。
【0136】
条件E2は、自車が通行中の場所に基づく条件であり、歩行者や自転車などの人が通行できない場所を通行中、人が通行可能で、車両や人などの交通量が多い場所を通行中、または、人が通行可能で、車両や人などの交通量が少ない場所を通行中であるかが判定される。想定状況選択部143は、例えば、カーナビゲーションシステム127により、自車が高速道路、自動車専用道路など人の通行が禁止されている場所を通行中であることが検出された場合、人が通行できない場所を通行中であると判定し、自車が市街地や商店街などを通行中であることが検出された場合、人が通行可能で、交通量が多い場所を通行中であると判定し、自車が郊外を通行中であることが検出された場合、人が通行可能で、交通量が少ない場所を通行中であると判定する。
【0137】
想定状況選択部143は、自車線の外の前方に物体が存在しない、または、前方に高速移動中の物体が存在する、かつ、人が通行可能で交通量が多い場所を通行中であると判定した場合、想定状況選択テーブルEに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況11を選択する。なお、想定状況11は、車両や人などの交通量が多く、かつ、自車線の外の前方に人がいる可能性が低い状況である。従って、無理に前方に割り込んできた車両と衝突したり、飛び出してきた人と衝突する可能性があるため、想定状況11は、ドライバが、割込み車両に最も注意し、次に、飛び出してくる人に注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況11を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0138】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況11において実行する検出処理として、検出処理B6およびD2を選択する。検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、まず、スイッチ152−4をオンにし、スイッチ152−4を介して、検出処理D2の実行の指令を示す情報を割込み車両検出部164に供給する。
【0139】
割込み車両検出部164は、検出処理D2を実行する。具体的には、割込み車両検出部164は、車速センサ121により検出された自車の車速を示すデータ、および、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。割込み車両検出部164は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、割込み車両の有無、位置、大きさ、移動方向などの検出を行う。このとき、割込み車両検出部164は、自車の車速に応じて、検出処理D2の対象となる前方画像の領域を調整する。
【0140】
図11および図12は、検出処理D2の対象となる前方画像の検出領域の例を示している。図11は、図12と比較して、自車の車速が速い場合の検出領域の例を示し、図12は、図11と比較して、自車の車速が遅い場合の検出領域の例を示している。車速が速くなるほど、停止距離が長くなるため、検出処理D2により、より遠方の割込み車両まで検出する必要が生じる。従って、より遠方の割込み車両を検出できるように、図11の検出領域R21およびR22の方が、図12の検出領域R31およびR32より広く設定される。すなわち、検出処理D2においては、自車の車速が速くなるほど、自車線の外の前方のより遠い位置まで含まれるように、検出領域が設定される。
【0141】
割込み車両検出部164は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、割込み車両検出部164は、スイッチ152−4を介して、検出処理D2が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−4をオフにする。
【0142】
車両制御ECU102は、の有無、位置、大きさ、移動方向などに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0143】
次に、検出処理選択部151は、検出処理選択テーブル172に示される優先順位に基づいて、スイッチ152−2をオンにし、スイッチ152−2を介して、検出処理B6の実行の指令を示す情報を前方人検出部162に供給する。
【0144】
前方人検出部162は、検出処理B6を実行する。具体的には、前方人検出部162は、車速センサ121により検出された自車の車速を示すデータ、および、レーダ装置123により検出された自車線の位置を示すデータを状況情報入力I/F回路141から取得し、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。前方人検出部162は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線内の前方に存在する人の有無、位置、進行方向などの検出を行う。このとき、前方人検出部162は、自車の車速に応じて、検出処理B6の対象となる前方画像の領域を調整する。
【0145】
図13および図14は、検出処理B6の対象となる前方画像の検出領域の例を示している。図13は、図14と比較して、自車の車速が遅い場合の検出領域の例を示し、図12は、図11と比較して、自車の車速が速い検出領域の場合の例を示している。車速が遅くなるほど、より自車に近い位置において飛び出した人と衝突する可能性があるため、より自車に近い位置における人の飛出しを検出する必要が生じる。従って、より自車に近い位置における人の飛出しを検出できるように、図13の検出領域R41の方が、図14の検出領域R51より広く設定される。すなわち、検出処理B6においては、自車の車速が遅くなるほど、自車の前方のより近い位置まで含まれるように、検出領域が設定される。
【0146】
また、自車の車速が速くなるほど、停止距離が長くなるので、より遠方における人の飛出しを検出する必要が生じる。加えて、遠方の領域においては、検出する対象が小さくなるため、検出処理B6に用いる画像の解像度は、より高い方が望ましい。一方、自車の車速が遅くなるほど、停止距離が短くなり、遠方における人の飛出しを検出する必要性が小さくなる。従って、検出する対象がある程度大きくなるため、検出処理B6に用いる画像の解像度をある程度低く抑えることが可能である。従って、前方人検出部162は、車速が速くなるほど、解像度が高くなり、車速が遅くなるほど、解像度が低くなるように、データ前処理部142に前方画像の解像度を変換させてから、検出処理B6に用いる前方画像を取得する。
【0147】
前方人検出部162は、検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、前方人検出部162は、スイッチ152−2を介して、検出処理B6が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−2をオフにする。
【0148】
車両制御ECU102は、前方の人の有無、位置、進行方向などに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報、加速の抑制、ブレーキを自動的に作動させるなどの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0149】
このように、想定状況11においては、自車線の外の前方において、人らしき物体が検出されていないため、割込み車両の検出が1番目に優先して実行され、自車の前方に飛び出してくる人の検出が2番目に優先して行われる。
【0150】
図10に戻り、想定状況選択部143は、自車線の外の前方に静止中または定速移動中の物体が存在する、かつ、人が通行可能で、交通量が多い場所を通行中であると判定した場合、想定状況選択テーブルEに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況12を選択する。なお、想定状況12は、車両や人などの交通量が多く、かつ、自車線の外の前方に人がいる可能性が高い状況である。従って、無理に前方で割り込んできた車両と衝突したり、想定状況11より高い確率で飛び出してきた人と衝突する可能性があるため、想定状況12は、ドライバが、飛び出してくる人に最も注意し、次に、割込み車両に注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況12を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0151】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況12において実行する検出処理として、検出処理B6およびD2を選択する。その後、想定状況11の場合とは逆に、検出処理B6、検出処理D2の順番で検出処理、および、検出結果に対応する処理が実行される。
【0152】
このように、想定状況12においては、想定状況11と比較して、飛び出してきた人と衝突する可能性が高いため、まず、自車線の前方に飛び出してくる人の検出が1番目に優先して実行され、割込み車両の検出が2番目に優先して実行される。
【0153】
図10に戻り、想定状況選択部143は、人が通行できない場所を通行中であると判定した場合、想定状況選択テーブルEに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況13を選択する。なお、想定状況13は、車両の通行量が多く、かつ、歩行者や自転車がいる可能性が極めて低い状況である。従って、無理に割り込んできた車両と衝突する可能性がある一方、人が飛び出してくる可能性は極めて低いため、想定状況13は、ドライバが、割込み車両に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況13を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0154】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況13において実行する検出処理として、検出処理D2を選択する。その後、上述した検出処理D2、および、検出処理D2の検出結果に対応する処理が実行される。
【0155】
このように、想定状況13においては、人が飛び出してくる可能性は極めて低いため、割込み車両の検出のみが優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0156】
図10に戻り、想定状況選択部143は、自車線の外の前方に物体が存在する、かつ、自車が、人が通行可能で、交通量が少ない場所を通行中であると判定した場合、想定状況選択テーブルEに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況14を選択する。なお、想定状況14は、交通量が少ない場所において、自車線の外の前方かつ遠方に、例えば、車両や人などの物体が存在する状況である。従って、割込み車両や、飛び出して来た人に衝突する可能性は低いが、砂利道において石をはねたりして、他車や他人に迷惑をかける可能性があるため、想定状況14は、ドライバが、路面の状態に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況14を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0157】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況14において実行する検出処理として、検出処理A2を選択する。検出処理選択部151は、スイッチ152−1をオンにし、スイッチ152−1を介して、検出処理A2の実行の指令を示す情報を路面状態検出部161に供給する。
【0158】
路面状態検出部161は、検出処理A2を実行する。具体的には、路面状態検出部161は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。路面状態検出部161は、所定の手法を用いて、前方画像の自車の前方の路面が写っている領域を対象に、路面が砂利道であるか否かの検出を行う。路面状態検出部161は、路面が砂利道であるか否かを示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、路面状態検出部161は、スイッチ152−1を介して、検出処理A2が終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−1をオフにする。
【0159】
車両制御ECU102は、路面が砂利道である場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0160】
このように、想定状況14においては、車両や人などの物体に衝突する可能性は低いが、砂利道を走行している場合、石をはねるなどして、他車や他人に迷惑をかける可能性があるため、路面が砂利道であるかの検出が優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0161】
図10に戻り、想定状況選択部143は、自車線の外の前方に物体が存在しない、かつ、人が通行可能で、交通量が少ない場所を通行中であると判定した場合、想定状況選択テーブルFに基づいて、次に、図15に示される想定状況選択テーブルFを参照する。想定状況選択部143は、想定状況選択テーブルFの表頭に示される条件Fに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況の選択を行う。
【0162】
条件Fは、自車の車速に基づく条件であり、自車の車速が閾値を超過しているかが判定される。想定状況選択部143は、車速センサ121により検出された自車の車速が所定の閾値(例えば、60km/h)を超過しているかを判定する。
【0163】
想定状況選択部143は、自車の車速が閾値を超過していると判定した場合、想定状況選択テーブルFに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況15を選択する。なお、想定状況15は、自車の車速が制限速度を超過し、違反走行している可能性がある状況である。従って、想定状況15は、ドライバが、通行中の道路の制限速度に最も注意すべき状況である。想定状況選択部143は、想定状況15を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0164】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況15において実行する検出処理として、検出処理Gを選択する。検出処理選択部151は、スイッチ152−7をオンにし、スイッチ152−7を介して、検出処理Gの実行の指令を示す情報を制限速度検出部167に供給する。
【0165】
制限速度検出部167は、検出処理Gを実行する。具体的には、制限速度検出部167は、可視光カメラ131Fにより撮影された前方画像をデータ前処理用回路142から取得する。制限速度検出部167は、所定の手法を用いて、前方画像に基づいて、自車線の前方の路面または道路標識に記されている制限速度の検出を行う。制限速度検出部167は、検出した制限速度を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。また、制限速度検出部167は、スイッチ152−7を介して、検出処理Gが終了したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。検出処理選択部151は、スイッチ152−7をオフにする。
【0166】
車両制御ECU102は、検出された制限速度を自車が超えて走行している場合、それに応じた動作、例えば、ドライバに注意を促すための表示や警報などの動作を行うように自車の各部を制御する。
【0167】
このように、想定状況15においては、走行中の道路の制限速度を超過し、違反走行をしている可能性があるため、通行中の道路の制限速度の検出が優先して実行され、検出結果に応じて、自車の動作が制御される。
【0168】
図15に戻り、想定状況選択部143は、自車の車速が閾値を超過していないと判定した場合、想定状況選択テーブルFに基づいて、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況として、想定状況16を選択する。なお、想定状況16は、自車は安全に走行し、かつ、車両や人などの周辺の物体に衝突する可能性が低く、かつ、他車や他人に迷惑をかける可能性が低く、かつ、自車が道路に応じた適正な走行をしている状況である。想定状況選択部143は、想定状況16を選択したことを示す情報を検出処理選択部151に供給する。
【0169】
検出処理選択部151は、図4に示される検出処理選択テーブル172に基づいて、想定状況16において実行する検出処理がないことを認識する。すなわち、検出処理は実行されない。
【0170】
図2に戻り、ステップS6において、検出システム101は、電源の供給が停止されたかを判定する。電源の供給が停止されていないと判定された場合、処理はステップS3に戻り、ステップS6において、電源の供給が停止されたと判定されるまで、ステップS3乃至S6の処理が繰り返し実行される。
【0171】
ステップS6において、例えば、自車のエンジンが停止され、検出システム101への電源の供給が停止された場合、検出システム101は、電源の供給が停止されたと判定し、検出処理は終了する。
【0172】
このようにして、自車が現在置かれている状況に応じて、自車の制御に必要な情報を、効率よく適切に検出することができる。その結果、検出処理に必要なハードウエアの能力を抑えることができ、検出装置のハードウエアの規模の増大を抑制することができる。
【0173】
図16は、想定状況1乃至16において選択される検出処理の種類、および、選択された検出処理の実行に要する処理時間の合計、並びに、全ての検出処理を実行した場合の処理時間の合計の例を示している。なお、図16においては、説明を簡単にするために、検出処理A1乃至Gの処理時間を全て45ミリ秒であると仮定している。
【0174】
図16のいちばん下の行に示されるように、全ての検出処理を実行した場合、処理時間の合計は585ミリ秒となる。例えば、車両制御ECU102が、100ミリ秒サイクルで処理を実行する場合、検出装置113は、100ミリ秒以内ごとに検出結果を車両制御ECU102に通知する必要がある。従って、毎回全ての検出処理を実行するためには、例えば、検出処理を実行するCPU、CPUコアなどのハードウエアの増強が必要となる。
【0175】
一方、上述したように、自車が現在置かれている状況に応じて、実行する検出処理を選択することにより、処理時間の合計を最大90ミリ秒に抑えることができ、制限時間の100ミリ秒以内に検出処理を完了することができるため、ハードウエアの増強は不要となる。また、自車が現在置かれている状況に応じて、検出する情報が適切に選択されるため、全ての検出処理を実行しないことによる車両の安全性や利便性の低下を抑制することができる。さらに、CPUなどのハードウエアの使用率が低減され、発熱による熱暴走の発生や寿命の短縮などを抑制することができる。
【0176】
次に、図17および図18を参照して、図1の検出装置113を実現するための具体的な回路構成の例について説明する。
【0177】
図17に示される検出システム201は、状況情報取得部111、検出用情報取得部112、および、検出装置211を含むように構成される。また、検出装置211は、状況情報入力I/F回路141、データ前処理用回路142、出力I/F回路146、CPU(Central Processing Unit)221、ROM(Read Only Memory)222、および、演算用RAM(Random Access Memory)223を含むように構成される。なお、図中、図1と対応する部分については、同じ符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0178】
検出装置211においては、図1の検出装置113の想定状況選択部143、検出処理制御部144および対象検出部145により実行される処理をCPU221が実行する。具体的には、CPU221は、車速センサ121、方向指示器122、レーダ装置123、雨滴センサ124、温度センサ125、時計126、および、カーナビゲーションシステム127により検出された状況情報を示すデータを、状況情報入力I/F回路141から取得する。CPU221は、取得した状況情報、および、ROM222に記憶されている想定状況選択テーブル171に基づいて、図1の想定状況選択部143と同様に、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する。CPU221は、選択した想定状況、および、ROM222に記憶されている検出処理選択テーブル172に基づいて、実際に実行する検出処理を選択し、選択した検出処理を実行する順序を決定する。
【0179】
ROM222には、各検出処理を実行するための検出処理プログラム231−1乃至231−nが記憶されている。なお、検出処理プログラム231−1乃至231−nを、各検出処理ごとに異なるプログラムを用いるように構成してもよいし、同じ対象を検出する検出処理、例えば、検出処理B1乃至B6については、同じ検出処理プログラムを用いるように構成し、プログラムの実行時のパラメータなどを変更することにより、実行する検出処理を切換えるようにしてもよい。
【0180】
CPU221は、決定した検出処理の実行順に従って、次に実行する検出処理に対応する検出処理プログラムをROM222からロードし、ロードした検出処理プログラムを実行する。CPU221は、可視光カメラ131F、可視光カメラ131L、近赤外光カメラ132、または、遠赤外光カメラ133により撮影された画像、路面状態監視センサ134、または、レーダ装置135による検出結果を示すデータをデータ前処理用回路142から取得し、状況情報、または、データ前処理用回路142から取得した画像またはデータに基づいて、ロードした検出処理プログラムに対応する検出処理を実行する。CPU221は、検出処理を実行することにより得られた検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。なお、演算用RAM223は、CPU221の処理の実行において、適宜変化するパラメータやデータなどを記憶する。
【0181】
図18に示される検出システム301は、状況情報取得部111、検出用情報取得部112、および、検出装置311を含むように構成される。また、検出装置311は、状況情報入力I/F回路141、データ前処理用回路142、出力I/F回路146、想定状況選択回路321、ROM322、検出処理選択回路323、ROM324、デジタル処理回路325、および、演算用RAM326を含むように構成される。なお、図中、図1または図17と対応する部分については、同じ符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0182】
検出装置311においては、図1の検出装置113の想定状況選択部143により実行される処理を、想定状況選択回路321が実行し、検出処理制御部144により実行される処理を検出処理選択回路323が実行し、対象検出部145により実行される処理をデジタル処理回路325が実行する。
【0183】
具体的には、想定状況選択回路321は、車速センサ121、方向指示器122、レーダ装置123、雨滴センサ124、温度センサ125、時計126、および、カーナビゲーションシステム127により検出された状況情報を示すデータを、状況情報入力I/F回路141から取得する。想定状況選択回路321は、取得した状況情報、および、ROM322に記憶されている想定状況選択テーブル171に基づいて、図1の想定状況選択部143と同様に、現在自車が置かれている状況に最も近い想定状況を選択する。想定状況選択回路321は、選択した想定状況を示す情報を検出処理選択回路323に供給する。
【0184】
検出処理選択回路323は、選択された想定状況、および、ROM324に記憶されている検出処理選択テーブル172に基づいて、実行する検出処理を選択し、選択した検出処理を実行する順序を決定する。
【0185】
ROM324には、検出処理選択テーブル172の他に、各検出処理を実行するための検出処理プログラム331−1乃至331−nが記憶されている。なお、検出処理プログラム331−1乃至331−nを、各検出処理ごとに異なるプログラムを用いるように構成してもよいし、同じ対象を検出する検出処理、例えば、検出処理B1乃至B6については、同じ検出処理プログラムを用いるように構成し、プログラムの実行時のパラメータなどを変更することにより、実行する検出処理を切換えるようにしてもよい。
【0186】
検出処理選択回路323は、決定した検出処理の実行順に従って、内部のハードウェアスイッチの状態を切換えて、次に実行する検出処理に対応する検出処理プログラムをROM324から読み出し、デジタル処理回路325に供給する。
【0187】
デジタル処理回路325は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)型FPGA(Field Programmable Gate Array)、DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)など、動作中に内部の回路を動的に再構成できる回路またはプロセッサにより構成される。デジタル処理回路325は、検出処理選択回路323から供給された検出処理プログラムに基づいて、対応する検出処理を実行するように内部の回路構成を再構成する。デジタル処理回路325は、可視光カメラ131F、可視光カメラ131L、近赤外光カメラ132、または、遠赤外光カメラ133により撮影された画像、路面状態監視センサ134、または、レーダ装置135による検出結果を示すデータをデータ前処理用回路142から取得し、状況情報、または、データ前処理用回路142から取得した画像またはデータに基づいて、検出処理選択回路323により選択された検出処理を行う。デジタル処理回路325は、検出処理を実行することにより得られた検出結果を示す情報を、出力I/F回路146を介して、車両制御ECU102に供給する。なお、演算用RAM326は、デジタル処理回路325の処理の実行において、適宜変化するパラメータやデータなどを記憶する。
【0188】
なお、以上の説明では、状況情報に基づいて、想定状況が一意に選択される例を示したが、確率的なパラメータを用いて、想定状況を選択するようにしてもよい。これにより、想定状況を一意に決定することが難しい場合に、特定の想定状況に偏ることなく、現在の状況に近い想定状況が選択されるようになり、より短時間で、必要な対象の情報を検出することができることがある。例えば、図6の想定状況選択テーブルCの条件C2における適正な車間距離の値に幅を持たせ、所定の確率で値を変化させることにより、適正な車間距離を一意に決定することが難しい状況において、特定の想定状況ばかりが選択されることが防止される。なお、上述した確率的なパラメータを学習処理により、最適化するようにしてもよい。
【0189】
また、以上の説明では、選択された想定状況に応じて、実行される検出処理の種類および順序が一意に決定される例を示したが、例えば、各想定状況ごとに、全ての検出処理に対して優先順位を設定しておき、許される処理時間内において、優先順位が上位のものから順に検出処理を実行するようにしてもよい。これにより、例えば、検出処理を実行するCPUやデジタル処理回路などの負荷に余裕がある場合は、より多くの検出処理を実行し、負荷に余裕がない場合には、必要な検出処理のみ実行するようにすることができる。
【0190】
さらに、雨滴センサ124の代わりに、自車のワイパーのスイッチから出力される信号に基づいて、天候を判断するようにしてもよい。
【0191】
また、想定状況選択テーブル171の代わりに、各条件に基づいて、想定状況を選択するフローチャートなどを用いるようにしてもよい。
【0192】
さらに、想定状況14が選択された場合、他車や他人に水をはねかけを防止するように、路面の水たまりの検出を行うようにしてもよい。
【0193】
また、状況情報は、上述した例に限定されものではなく、例えば、自車のステアリングホイールの位置や回転方向、渋滞情報、道路の形状情報などを用いるようにしてもよい。
【0194】
なお、本発明は、例えば、画像処理を行うことにより複数の所定の対象に関する情報を検出する車載用の画像処理装置に適用できる。
【0195】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0196】
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータ500の構成の例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502、または記録部508に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)503には、CPU501が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504により相互に接続されている。
【0197】
CPU501にはまた、バス504を介して入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507が接続されている。CPU501は、入力部506から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU501は、処理の結果を出力部507に出力する。
【0198】
入出力インタフェース505に接続されている記録部508は、例えばハードディスクからなり、CPU501が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部509は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0199】
また、通信部509を介してプログラムを取得し、記録部508に記憶してもよい。
【0200】
入出力インタフェース505に接続されているドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記録部508に転送され、記憶される。
【0201】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、図19に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア511、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM502や、記録部508を構成するハードディスクなどにより構成される。プログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースである通信部509を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0202】
なお、本明細書において、プログラム記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0203】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0204】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】本発明を適用した検出システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した検出システムにより実行される検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】想定状況選択テーブルAの例を示す図である。
【図4】検出処理選択テーブルの例を示す図である。
【図5】想定状況選択テーブルBの例を示す図である。
【図6】想定状況選択テーブルCの例を示す図である。
【図7】検出処理D1の対象となる領域の例を示す図である。
【図8】検出処理D1の対象となる領域の例を示す図である。
【図9】想定状況選択テーブルDの例を示す図である。
【図10】想定状況選択テーブルEの例を示す図である。
【図11】検出処理D2の対象となる領域の例を示す図である。
【図12】検出処理D2の対象となる領域の例を示す図である。
【図13】検出処理B6の対象となる領域の例を示す図である。
【図14】検出処理B6の対象となる領域の例を示す図である。
【図15】想定状況選択テーブルFの例を示す図である。
【図16】各想定状況において検出処理に要する時間を示す表である。
【図17】検出装置を実現するための具体的な回路構成の例を示すブロック図である。
【図18】検出装置を実現するための具体的な回路構成の例を示すブロック図である。
【図19】パーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0206】
101 検出システム
102 車両制御ECU
111 状況情報取得部
112 検出用情報取得部
113 検出装置
121 車速センサ
122 方向指示器
123 レーダ装置
124 雨滴センサ
125 温度センサ
126 時計
127 カーナビゲーションシステム
131F,131L 可視光カメラ
132 近赤外光カメラ
133 遠赤外光カメラ
134 路面状態監視センサ
135 レーダ装置
143 想定状況選択部
144 検出処理制御部
145 対象検出部
151 検出処理選択部
152−1乃至152−7 スイッチ
161 路面状態検出部
162 前方人検出部
163 左側方バイク検出部
164 割込み車両検出部
165 先行車位置検出部
166 物体位置検出部
167 制限速度検出部
171 想定状況選択テーブル
172 検出処理選択テーブル
201 検出システム
211 検出装置
221 CPU
231−1乃至231−n 検出処理プログラム
301 検出システム
311 検出装置
321 想定状況選択回路
323 検出処理選択回路
325 デジタル処理回路
331−1乃至331−n 検出処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の前記対象に関する情報を検出することができる検出装置において、
前記車両の状態または前記車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、前記車両が置かれている状況に最も近い前記想定状況を選択する状況選択手段と、
選択された前記想定状況に基づいて、複数の前記検出処理の中から、実際に実行する前記検出処理を選択する検出処理選択手段と
を含む検出装置。
【請求項2】
前記検出処理選択手段は、さらに、前記想定状況に基づいて、前記検出処理を実行する順序を決定する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記想定状況は、ドライバが運転中に注意すべき状況の観点に基づいて想定された状況である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記検出処理選択手段は、選択された前記想定状況において、ドライバが注意すべき前記対象に関する情報を検出する前記検出処理を選択する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出処理選択手段は、前記ドライバが注意すべき前記対象の順序に基づいて、前記検出処理を実行する順序を決定する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の前記対象に関する情報を検出することができる検出装置の検出処理制御方法において、
前記車両の状態または前記車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、前記車両が置かれている状況に最も近い前記想定状況を選択する状況選択ステップと、
選択された前記想定状況に基づいて、複数の前記検出処理の中から、実行する前記検出処理を選択する検出処理選択ステップと
を含む検出処理制御方法。
【請求項7】
車両の制御に用いられる所定の対象に関する情報を検出する複数の検出処理を実行し、複数の前記対象に関する情報を検出することができる検出装置のコンピュータに、検出処理制御処理を行わせるプログラムにおいて、
前記車両の状態または前記車両の周辺の状況に関する情報に基づいて、予め想定されている複数の想定状況の中から、前記車両が置かれている状況に最も近い前記想定状況を選択する状況選択ステップと、
選択された前記想定状況に基づいて、複数の前記検出処理の中から、実行する前記検出処理を選択する検出処理選択ステップと
を含むプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−20577(P2009−20577A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180969(P2007−180969)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】