説明

樹脂封止型半導体装置とその製造方法

【課題】半導体素子の動作に対する信頼性に優れた樹脂封止型半導体装置を提供する。
【解決手段】外装体14と、その外装体14の内部に収納されると共に、その外装体14から端部が突出したリードフレーム11と、その外装体14の内部に収納され、リードフレーム11に実装された半導体素子12と、を備え、外装体14は、局所的に偏在する多孔質フィラー15を含有した封止樹脂で形成されている。これにより、効率的な放熱が可能な樹脂封止型半導体装置とその製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止型半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インバーター制御機器等に搭載される半導体素子は、さらなる高密度化、高速化が求められている。その結果、半導体素子の発熱量が増大し、半導体素子の動作に対する信頼性が低下するというおそれがある。そのため、半導体素子を実装するパッケージの放熱構造が重要になっている。
【0003】
そこで、半導体素子を金属製カバーで覆い、金属製カバーの内部に絶縁性の冷媒を封入する放熱構造を有する密閉型パッケージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図13に示すように、金属製カバーと冷媒との間に空隙をもたせ、多孔質部材に吸着させた冷媒の気化熱を利用し、半導体素子を冷却する放熱構造を有する密閉型パッケージも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
以下、特許文献2に示された密閉型パッケージの放熱構造について説明する。
【0006】
図13は、特許文献2に示された密閉型パッケージの断面図である。
【0007】
図13に示すように、密閉型パッケージは、半導体素子101を実装した基板102と、基板102の実装面を覆い、実装面を密閉する金属製カバー103と、柔軟性を有するシート104と、冷媒を吸着した多孔質部材105から構成されている。このとき、半導体素子101は、柔軟性を有するシート104を介して多孔質部材105に接している。そのため、半導体素子101の温度が上がると、多孔質部材105に吸着されている冷媒が気化する。その結果、冷媒の気化熱により半導体素子101が冷却される。なお、気化した冷媒の蒸気は、金属製カバー103の内壁面で水滴状に凝固して液化し、液化された冷媒は再度、多孔質部材105に吸着される。
【0008】
また、図14に示すように、放熱性を高めるために、周囲にリード204が配された半導体素子202を封止する封止樹脂206に、導電性フィラー207を含むものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
図14に示すように、アイランド201上に半導体素子202を配設し、更に樹脂封止することにより得られる半導体装置に対し、封止樹脂206中に導電性フィラー207を含有させている。導電性フィラー207としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、金属繊維、金属粒子などの導電粒子を使用している。このような導電性フィラー207は封止樹脂に比べ高い熱伝導性を有する。従って、半導体装置の放熱特性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−4688号公報
【特許文献2】特開平7−66575号公報
【特許文献3】実開平6−72243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に示された密閉型パッケージは、半導体素子を搭載した基板に金属製カバーを接続した構成を有する。そのため、パッケージの外形寸法が大きくなり、小型化が困難である。また、半導体素子の冷却を、冷媒の気化熱により行うので、気化した冷媒を再度、多孔質へ吸着させる必要があるため、半導体素子を覆うように金属製カバーで密閉している。しかし、冷媒の蒸気圧に耐えるため、強固に金属製カバーと基板とを接合しなければならない。さらに、金属製カバーの接続前に冷媒を吸着させた多孔質フィラーを含有する多孔質部材を金属製カバー内に設ける必要があるため、工程が複雑となる。
【0012】
以上のように、従来の密閉型パッケージは、金属製カバー等の部材コストがかかる。また、冷媒の蒸気圧により、金属製カバーと基板との接続部に応力がかかるため、半導体素子の長期にわたる信頼性を確保することが困難であるという課題がある。
【0013】
また、特許文献3に示された半導体装置は、封止樹脂よりも導電性フィラーの方が熱伝導性が高いことを利用して放熱するものである。そのため、導電性フィラーの分布状況については特に開示されておらず、効率的な放熱ができない可能性がある。
【0014】
そこで、本発明は、金属製カバーによる密閉構造を用いることなく、効率的な放熱が可能な樹脂封止型半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の樹脂封止型半導体装置は、外装体と、前記外装体の内部に収納されると共に、前記外装体から端部が突出したリードフレームと、前記外装体の内部に収納され、前記リードフレームに実装された半導体素子と、を備え、前記外装体は、局所的に偏在する多孔質フィラーを含有した封止樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の別の形態の樹脂封止型半導体装置は、外装体と、前記外装体から端部が突出したリードフレームと、前記リードフレームの第1のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入されたパワー素子と、前記リードフレームの第1のダイパッド部の他方の面に設けられ、前記外装体に封入された放熱板と、前記リードフレームの第2のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入された制御素子とを備え、前記外装体は、局所的に偏在する多孔質フィラーを含有した熱硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、外装体と、前記外装体から端部が突出したリードフレームと、前記リードフレームの第1のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入されたパワー素子と、前記リードフレームの第1のダイパッド部の他方の面に設けられ、前記外装体に封入された放熱板と、前記リードフレームの第2のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入された制御素子とを備え、前記外装体は、局所的に偏在する多孔質フィラーを含有した熱硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記樹脂封止型半導体装置とその製造方法により、初期の目的を達成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多孔質フィラーを含有した熱硬化性樹脂で形成した外装体の多孔質フィラーに吸着された水分の気化熱を利用することで、金属製カバーによる密閉構造を用いることなく、効率的な放熱が可能な樹脂封止型半導体装置とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の断面図
【図2】本発明にかかる半導体装置の外装体に用いた封止樹脂の吸水率の各条件に対する変化を説明する図
【図3】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の断面図
【図4】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の図3のA部拡大図
【図5】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図
【図8】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の断面図
【図10】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の内部構造を示す平面図
【図11】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図
【図12】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の製造方法を示す平面図
【図13】従来の密閉型パッケージを示す断面図
【図14】従来の放熱性パッケージを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
なお、本発明は、本明細書に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下に記載の内容に限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる樹脂封止型半導体装置(以下、「半導体装置」と記す)の断面図である。
【0024】
本発明の実施の形態1の半導体装置は、図1に示すように、少なくともリードフレーム11と、半導体素子12と、外装体14とから構成されている。そして、リードフレーム11は、例えば銅(Cu)などの熱伝導性のよい材料からなり、ダイパッド部11cと、複数のリードを備えている。また、リードフレーム11は、外装体14内に収納されると共に、そのリードの端部は、外装体14内から、外方に突出している。さらに、外装体14内部のリードフレーム11には、例えば、ろう材16によりダイパッド部11cの一方の面11aに半導体素子12が実装されている。ここで、半導体素子12は、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やパワーMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ)などである。
【0025】
そして、半導体素子12のボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム11の複数のリードは、例えばワイヤー線などの金属部材13により相互に電気的に接続されている。以下では、半導体素子12として、ダイオードが内蔵された横型パワーMOSFETを例に、また、金属部材13として、例えばアルミニウム(Al)ワイヤーを例にして説明する。なお、アルミニウムワイヤーの代わりにアルミニウム(Al)リボンや銅(Cu)クリップを用いてもよい。アルミニウムリボンや銅クリップはアルミニウムワイヤーに比べて断面積が大きく配線抵抗値が小さくなるため、電力損失を低減できる。
【0026】
また、外装体14は、例えばビフェニル系あるいはクレゾールノボラック系のエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる封止樹脂で構成され、半導体素子12およびダイパッド部11cを含むリードフレーム11の一部を内包している。これにより、リードフレーム11と半導体素子12とを一体化すると共に、半導体素子12を保護する。
【0027】
そして、外装体14を構成する封止樹脂には、多孔質フィラー15が、例えば70〜90重量%の割合で含有されている。このとき、多孔質フィラー15は、例えば二酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)またはアルミナ(Al32)などからなり、比表面積が少なくとも300m2/g以上で、平均粒径が約1〜10μmの、例えば球状のフィラーで構成される。これにより、多孔質フィラー15が球状であるので、フィラー同士は面接触でなく、点で接触するため、多孔質フィラーとエポキシ樹脂との接触面積を最大限に確保できる。
【0028】
なお、半導体素子12は、高速、大電流でのスイッチング動作により発熱する。このとき、半導体素子12のジャンクション温度が上昇し、一般的に言われているように、例えば125℃以上になると、動作に対する信頼性が著しく低下し、半導体素子12が誤動作する可能性がある。
【0029】
そこで、以下に、半導体素子の発熱を抑制する外装体に含有した多孔質フィラーの作用について、図2を用いて説明する。
【0030】
図2は、本発明にかかる半導体装置の外装体に用いた封止樹脂の吸水率の各条件に対する変化を説明する図である。図2において、横軸は、単位がhr(時間)の時間の軸であり、縦軸は、単位が重量%の吸湿率の軸である。
【0031】
このとき、測定に用いた試料は、外形寸法が直径40mm、肉厚3.5mmの樹脂構造体を、平均粒径2.8μm、比表面積380m2/gの球状フィラーからなる多孔質フィラー15を約80重量%含有したビフェニル系エポキシ樹脂で作製したものである。
【0032】
まず、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気中に試料を放置して吸湿させると、図2に示すように、約5時間で飽和吸水率(約32重量%)に到達した。
【0033】
次に、温度125℃の雰囲気中で、吸着した水分を蒸発、気化して試料を脱湿させると、試料中の吸水率は、約20時間で約2重量%まで低下した。
【0034】
上記から、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂からなる封止樹脂は、外装体14内に封止された半導体素子12が、発熱により100℃以上になると、半導体素子12の近傍の多孔質フィラー15に吸着されている水分が蒸発、気化することが分かった。その結果、本発明の実施の形態1の構成を用いることで、気化熱により半導体素子12の温度を、実用上問題とならない温度以下で保持できることが分かった。
【0035】
本発明の実施の形態1は、多孔質フィラーに吸着された水分の気化熱を用いて、半導体素子12を冷却することを目的とするものである。そのためには、半導体素子12の使用時間中に、多孔質フィラーが水分を含有していることが必要である。ここで発明者らの実験により、図2に示すように、発明者らの実験により、外装体14内の多孔質フィラー15を含有するエポキシ樹脂を125℃の雰囲気中で脱湿処理をしたとしても殆ど全ての水分を放出するのに20時間以上かかることが分かった。この特性を活かし、半導体素子の使用前に、予め水分を含有させるための吸湿工程を設けることで、半導体素子の使用期間は、気化熱で、発熱体である半導体素子から熱を奪って温度を下げることができる。
【0036】
なお、吸湿工程を、半導体素子12の温度が低い状態である使用初期段階に設け、半導体素子12の温度が高くなるまでに吸湿させておくことでも、効率的に半導体素子から熱を奪うことが可能であると考えられる。しかしながら、この場合は、使用しながら吸湿させることになるため、半導体素子の機能が低下する可能性や、急に発熱した場合に対応できない可能性があるので、事前に吸湿工程を設けておくことが望ましい。
【0037】
具体的には、半導体素子12が活用される家庭用の電気製品を考えた場合、例えばエアコンの1日の平均稼動時間は約10時間である。つまり、稼働時間中は、上述した多孔質フィラー15に吸着されている水分の気化熱により、半導体素子12を十分に冷却できる。
【0038】
そのため、本実施の形態1の半導体素子12が、エアコンに使用される場合は、エアコンの使用時間を、例えば8時から20時と予め設定しておき、その使用時間前に積極的に吸湿させる吸湿工程を設けることで、使用時間中の冷却効果を、より確実に実現することが可能であると考えられる。また、エアコンの使用時間を個別に学習して、その学習結果に応じて使用時間を適宜修正することで、さらに確実に使用時間中の冷却効果を実現できると考えられる。
【0039】
また、図2に示すように、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂は、吸湿速度が速く、家庭用の電気製品が停止している時間中に再度、吸湿させることも可能である。このように使用時間外に吸湿させることで、使用時間中は、効率的に発熱を抑制できる。
【0040】
本実施の形態1によれば、半導体素子12を実装するに際して密閉するパッケージ構造としなくても、多孔質フィラー15に吸着した水分が蒸発、気化して気化熱を奪うことにより、半導体素子12を冷却し、温度を125℃以下に保つことができる。これにより、小型で、放熱性に優れ、長期にわたって半導体素子の動作の信頼性が向上した半導体装置を実現できる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂封止型半導体装置(以下、「半導体装置」と記す)の断面図である。図4は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂封止型半導体装置の図3のA部拡大図である。
【0042】
本発明の実施の形態2の半導体装置は、図3に示すように、少なくともリードフレーム11と、半導体素子12と、外装体14とから構成されている。そして、リードフレーム11は、例えば銅(Cu)などの熱伝導性のよい材料からなり、ダイパッド部11cと、複数のリードを備えている。また、リードフレーム11は、外装体14内に収納されると共に、そのリードの端部は、外装体14内から、外方に突出している。さらに、外装体14内部のリードフレーム11には、例えば、ろう材16によりダイパッド部11cの一方の面11aに半導体素子12が実装されている。ここで、半導体素子12は、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やパワーMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ)などである。
【0043】
そして、半導体素子12のボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム11の複数のリードは、例えばワイヤー線などの金属部材13により相互に電気的に接続されている。以下では、半導体素子12として、ダイオードが内蔵された横型パワーMOSFETを例に、また、金属部材13として、例えばアルミニウム(Al)ワイヤーを例にして説明する。なお、アルミニウムワイヤーの代わりにアルミニウム(Al)リボンや銅(Cu)クリップを用いてもよい。アルミニウムリボンや銅クリップはアルミニウムワイヤーに比べて断面積が大きく配線抵抗値が小さくなるため、電力損失を低減できる。
【0044】
また、外装体14は、例えばビフェニル系あるいはクレゾールノボラック系のエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる封止樹脂で構成され、半導体素子12およびダイパッド部11cを含むリードフレーム11の一部を内包している。これにより、リードフレーム11と半導体素子12とを一体化すると共に、半導体素子12を保護する。
【0045】
そして、外装体14を構成する封止樹脂には、多孔質フィラー15が、例えば70〜90重量%の割合で含有されている。このとき、多孔質フィラー15は、例えば二酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)またはアルミナ(Al32)などからなり、比表面積が少なくとも300m2/g以上で、平均粒径が約1〜10μmの、例えば球状のフィラーで構成される。これにより、多孔質フィラー15が球状であるので、フィラー同士は面接触でなく、点で接触するため、多孔質フィラーとエポキシ樹脂との接触面積を最大限に確保できる。
【0046】
なお、半導体素子12は、高速、大電流でのスイッチング動作により発熱する。このとき、半導体素子12のジャンクション温度が上昇し、一般的に言われているように、例えば125℃以上になると、動作に対する信頼性が著しく低下し、半導体素子12が誤動作する可能性がある。
【0047】
そこで、以下に、半導体素子の発熱を抑制する外装体に含有した多孔質フィラーの作用について、図2を用いて説明する。
【0048】
図2は、本発明にかかる半導体装置の外装体に用いた封止樹脂の吸水率の各条件に対する変化を説明する図である。図2において、横軸は、単位がhr(時間)の時間の軸であり、縦軸は、単位が重量%の吸湿率の軸である。
【0049】
このとき、測定に用いた試料は、外形寸法が直径40mm、肉厚3.5mmの樹脂構造体を、平均粒径2.8μm、比表面積380m2/gの球状フィラーからなる多孔質フィラー15を約80重量%含有したビフェニル系エポキシ樹脂で作製したものである。
【0050】
図2に示すように、まず、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気中に試料を放置して吸湿させると、約5時間で飽和吸水率(約32重量%)に到達した。
【0051】
次に、温度125℃の雰囲気中で、吸着した水分を蒸発、気化して試料を脱湿させると、試料中の吸水率は、約20時間で約2重量%まで低下した。
【0052】
図3と図4に示すように、本発明の実施の形態2では、実施の形態1とは異なり、多孔質フィラー15が外装体14の外表面である一方の面14aと他方の面14bよりも内部側で中間部である半導体素子12の近傍に偏在させたものである。すなわち、外装体14内の多孔質フィラー15を、局所的に偏在させたものである。これにより、半導体素子12から発生する熱を、効率よく多孔質フィラー15に伝えることができる。その結果、多孔質フィラー15に吸着した水分がより蒸発、気化しやすくなるので、冷却効果が増大する。このように、本実施の形態2では、半導体素子12の熱を、外装体14全体で放熱するのではなく、まず、半導体素子12の周囲から外装体14に熱を積極的に逃がすことで、半導体素子12の熱の影響を低減させているものである。
【0053】
上記から、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂からなる封止樹脂は、外装体14内に封止された半導体素子12が、発熱により100℃以上になると、半導体素子12の近傍の多孔質フィラー15に吸着されている水分が蒸発、気化する。その結果、気化熱により半導体素子12の温度を、実用上問題とならない温度以下で保持できる。
【0054】
本発明の実施の形態2は、局所的に偏在させた多孔質フィラー15に吸着された水分の気化熱を用いて、半導体素子12を、より効率的に冷却することを目的とするものである。そのためには、半導体素子12の使用時間中に、多孔質フィラー15が水分を含有していることが必要である。ここで発明者らの実験により、図2に示すように、外装体14内の多孔質フィラー15を含有するエポキシ樹脂を125℃の雰囲気中で脱湿処理をしたとしても殆ど全ての水分を放出するのに20時間以上かかることが分かった。この特性を活かし、半導体素子の使用前に、予め水分を含有させるための吸湿工程を設けることで、半導体素子の使用期間は、気化熱により、発熱体である半導体素子から熱を奪って温度を下げることができる。
【0055】
具体的には、半導体素子12が活用される家庭用の電気製品を考えた場合、例えばエアコンの1日の平均稼動時間は約10時間である。つまり、稼働時間中は、上述した多孔質フィラー15に吸着されている水分の気化熱により、半導体素子12を十分に冷却できる。
【0056】
また、図2に示すように、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂は、吸湿速度が速く、家庭用の電気製品が停止している時間中に再度、吸湿させることも可能である。このように使用時間外に吸湿させることで、使用時間中は、効率的に発熱を抑制できる。
【0057】
本実施の形態2によれば、半導体素子12を実装するに際して密閉するパッケージ構造としなくても、局所的に偏在させた多孔質フィラー15に吸着した水分が蒸発、気化して気化熱を奪うことにより、半導体素子12をさらに効率よく冷却し、温度を125℃以下に保つことができる。これにより、小型で、放熱性に優れ、長期にわたって半導体素子の動作の信頼性が向上した封止樹脂型半導体装置を実現できる。
【0058】
以下に、本発明の実施の形態2の半導体装置の製造方法について、図5〜図8を用いて説明する。
【0059】
まず、図5に示すように、半導体素子12を実装したリードフレーム11を下金型22に載置し、上金型21との間でクランプする。
【0060】
次に、図6に示すように、例えばトランスファーモールド法により、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂からなる封止樹脂26を、例えば下金型22に設けたゲート25からキャビティ23内に充填する。このとき、はじめに流入された封止樹脂26は、リードフレーム11に沿って流れる。そして、封止樹脂26は、半導体素子12やリードフレーム11と熱交換して、エポキシ樹脂中に含有した多孔質フィラー15と共に硬化する。
【0061】
次に、図7に示すように、高い流動性の封止樹脂26(エポキシ樹脂)がキャビティ23を完全に充填するように入り込んでいく。
【0062】
そして、図8に示すように、半導体素子12およびダイパッド部11cを含むリードフレーム11の一部を内包した外装体14が形成される。
【0063】
上述のように、まず半導体素子12やリードフレーム11の近傍で多孔質フィラー15を含有した封止樹脂26(エポキシ樹脂)が硬化し、その周りを囲むように高い流動性の封止樹脂26(エポキシ樹脂)を充填して、外装体14が形成される。その結果、多孔質フィラー15が外装体14の一方の面14aと他方の面14bの中間部分である半導体素子12の近傍に偏在した半導体装置が作製される。
【0064】
本実施の形態2によれば、外装体の多孔質フィラー15を半導体素子12の近傍に偏在させることにより、冷却効果を高めた半導体装置を容易に作製できる。
【0065】
なお、図5〜図8の工程においては、多孔質フィラー15の含有率の異なる封止樹脂26を複数準備しておくことで、更に効率的に多孔質フィラーを偏在させることが可能になると考えられる。たとえば、多孔質フィラー15の含有率が高く流動性が若干低い第1の封止樹脂と、多孔質フィラー15の含有率が第1の封止樹脂より低く流動性が第1の封止樹脂より高い第2の封止樹脂を準備する。まず、図5,図6の工程では、第1の封止樹脂を充填させ、図7,図8の工程で第2の封止樹脂を充填させる。このようにして、2段階で封止樹脂を充填させることで、図5、図6の工程で、半導体素子12の周囲に多孔質フィラー15をより偏在させることが可能であると考えられる。
【0066】
また、第1の封止樹脂の多孔質フィラーの平均粒径を第2の封止樹脂の多孔質フィラーの平均粒径よりも大きくすることで、多孔質フィラーの局所的な偏在による前述の効果を更に高めることも可能であると考えられる。この場合、半導体素子12の近傍の領域の多孔質フィラー15の平均粒径は、外装体14の外表面側の領域の多孔質フィラー15の平均粒径よりも大きくなる。
【0067】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の断面図である。図10は、本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の内部構造を示す平面図である。
【0068】
本発明の実施の形態3の半導体装置は、図9および図10に示すように、少なくともリードフレーム31と、パワー素子32と、放熱板33と、制御素子34と、外装体35とから構成されている。そして、リードフレーム31は、例えば銅(Cu)などの熱伝導性のよい材料からなり、第1のダイパッド部36と、第2のダイパッド部40と、複数のリードを備えている。また、リードフレーム31は、外装体35内に収納されると共に、そのリードの端部は、外装体35内から、外方に突出している。さらに、リードフレーム31の第1のダイパッド部36の一方の面36a(以下、「上面」と記す)には、パワー素子32が、例えばろう材16により実装されている。また、第2のダイパッド部40の一方の面40aには、制御素子34が、例えば銀(Ag)ペーストにより実装されている。ここで、パワー素子32は、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やパワーMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ)などである。
【0069】
そして、パワー素子32のボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム31の複数のリードは、例えばワイヤー線などの金属部材51により相互に電気的に接続されている。
【0070】
また、制御素子34は、パワー素子32を制御する素子で、駆動回路、過電流防止回路等を内蔵し、制御素子34のボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム31の複数のリードは金(Au)ワイヤー52により相互に電気的に接続されている。
【0071】
さらに、制御素子34は、パワー素子32のボンディングパッド(図示せず)と制御素子34のボンディングパッド(図示せず)を金ワイヤー52で電気的に接続して、パワー素子32を制御している。以下では、パワー素子32として、ダイオードが内蔵された横型パワーMOSFETを例に、また、金属部材51として、例えばアルミニウム(Al)ワイヤーを例にして説明する。なお、アルミニウムワイヤーの代わりにアルミニウム(Al)リボンや銅(Cu)クリップを用いてもよい。アルミニウムリボンや銅クリップはアルミニウムワイヤーに比べて断面積が大きく配線抵抗値が小さくなるため、電力損失を低減できる。
【0072】
また、リードフレーム31の第1のダイパッド部36の他方の面36b(以下、「下面」と記す)には絶縁シート41を介して、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの熱伝導性のよい金属からなる放熱板33が固着されている。そして、絶縁シート41は、絶縁層を接着層で挟む3層構造を有する熱伝導性絶縁材料からなり、パワー素子32から発生する熱を効果的に放熱板33へ伝達する。このとき、放熱板33の一方の面33b(以下、「下面」と記す)は、外装体35の一方の面35b(以下、「下面」と記す)から露出している。これにより、パワー素子32から生じる熱を外部に効率的に伝達する。また、放熱板33の側面33cは外装体35で覆われているため放熱板33とリードフレーム31との接合が強固となる。
【0073】
また、外装体35は、例えばエポキシなど熱硬化性樹脂からなる封止樹脂で構成され、パワー素子32、制御素子34および第2のダイパッド部40を含むリードフレーム31の一部、並びに放熱板33の側面33cを内包している。これによりリードフレーム31とリードフレーム31とを一体化すると共に、パワー素子32と制御素子34とを保護する。
【0074】
また、リードフレーム31の端部は、外装体35の側面から突出しており、半導体装置の実装端子として、例えばインバーター制御機器などの回路と接続される。
【0075】
また、外装体35を構成する封止樹脂には、多孔質フィラー15が、例えば70〜90重量%の割合で含有されている。このとき、多孔質フィラー15は、例えば二酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)またはアルミナ(Al32)などからなり、比表面積が少なくとも300m2/g以上で、平均粒径が約1〜10μmの、例えば球状のフィラーで構成される。これにより、多孔質フィラー15が球状であるので、フィラー同士は面接触でなく、点で接触するため、多孔質フィラーとエポキシ樹脂との接触面積を最大限に確保できる。
【0076】
なお、パワー素子32は、高速、大電流でのスイッチング動作により発熱する。このとき、パワー素子32のジャンクション温度が上昇し、一般的に言われているように、例えば125℃以上になると、動作に対する信頼性が著しく低下し、パワー素子32が誤動作する可能性がある。
【0077】
そこで、以下に、パワー素子の発熱を抑制する外装体に含有した多孔質フィラーの作用について、図2を用いて説明する。
【0078】
図2は、本発明にかかる半導体装置の外装体に用いた封止樹脂の吸水率の各条件に対する変化を説明する図である。図2において、横軸は、単位がhr(時間)の時間の軸であり、縦軸は、単位が重量%の吸湿率の軸である。
【0079】
このとき、測定に用いた試料は、外形寸法が直径40mm、肉厚3.5mmの樹脂構造体を、平均粒径2.8μm、比表面積380m2/gの球状フィラーからなる多孔質フィラー15を約80重量%含有したビフェニル系エポキシ樹脂で作製したものである。
【0080】
図2に示すように、まず、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気中に試料を放置して吸湿させると、約5時間で飽和吸水率(約32重量%)に到達した。
【0081】
次に、温度125℃の雰囲気中で、吸着した水分を蒸発、気化して試料を脱湿させると、試料中の吸水率は、約20時間で約2重量%まで低下した。
【0082】
上記から、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂からなる封止樹脂は、外装体内に封止されたパワー素子32が、発熱により100℃以上になると、パワー素子32の近傍の多孔質フィラー15に吸着されている水分が蒸発、気化することが分かった。その結果、本発明の実施の形態3の構成でも、気化熱により半導体素子12の温度を、実用上問題とならない温度以下で保持できることが分かった。
【0083】
本発明の実施の形態3は、局所的に偏在させた多孔質フィラー15に吸着された水分の気化熱を用いて、パワー素子32を、より効率的に冷却することを目的とするものである。そのためには、パワー素子32の使用時間中に、多孔質フィラー15が水分を含有していることが必要である。ここで、発明者らの実験により、図2に示すように、多孔質フィラー15を含有するエポキシ樹脂を125℃の雰囲気中で脱湿処理をしたとしても殆ど全ての水分を放出するのに20時間以上かかることが分かった。この特性を活かし、半導体素子の使用前に、予め水分を含有させるための吸湿工程を設けることで、パワー素子の使用期間は、気化熱で、発熱体であるパワー素子から熱を奪って温度を下げることができる。
【0084】
具体的には、パワー素子32が活用される家庭用の電気製品を考えた場合、例えばエアコンの1日の平均稼動時間は約10時間である。つまり、稼働時間中は、上述した多孔質フィラー15に吸着されている水分の気化熱により、パワー素子32を十分に冷却できる。
【0085】
また、図2に示すように、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂は、吸湿速度が速く、家庭用の電気製品が停止している時間中に再度、吸湿させることも可能である。このように使用時間外に吸湿させることで、使用時間中は、効率的に発熱を抑制できる。
【0086】
本実施の形態3によれば、多孔質フィラー15がパワー素子32の近傍に偏在させることにより、パワー素子32から発生する熱をさらに効率よく、多孔質フィラー15に伝えることができる。その結果、多孔質フィラー15に吸着した水分がより蒸発、気化しやすくなるので、冷却効果を高めた半導体装置を実現できる。
【0087】
また、本実施の形態3によれば、パワー素子32を密閉するパッケージ構造としなくても、多孔質フィラー15に吸着した水分が蒸発、気化して気化熱を奪うことにより、パワー素子32を冷却し、温度を125℃以下に保つことができる。これにより、小型で、放熱性に優れ、長期にわたってパワー素子の動作の信頼性が向上した半導体装置を実現できる。
【0088】
以下に、本発明の実施の形態3の半導体装置の製造方法について、図11および図12を用いて説明する。
【0089】
まず、図11に示すように、絶縁シート41を仮接着した放熱板33を下金型62に放熱板33を下側にして載置する。次に、リードフレーム31をリードフレーム31の第1のダイパッド部36の下面36bが絶縁シート41に接するように下金型62に載置する。その後、上金型63を下降させ、リードフレーム31およびリードフレーム31を、上金型63と下金型62でクランプする。
【0090】
そして、例えばトランスファーモールド法により、多孔質フィラー15を含有したエポキシ樹脂からなる封止樹脂66を、上金型63に設けたゲート64からキャビティ65内に充填する。これにより、パワー素子32、制御素子34および放熱板33の側面に、外装体35が形成される。このとき、キャビティ65に連結して上金型63に設けられたゲート64は、キャビティ65に向かって細くなるようにテーパが付けられている。さらに、図12に示すように、ゲート64は、リードフレーム31のリード31d間に配置するように設けられている。
【0091】
そのため、まず、ゲート64から注入された封止樹脂66は、ゲート64のテーパにより、樹脂の流動が規制され、下金型62の方向、つまり放熱板33側に流れ出す。次に、封止樹脂66は、ゲート64とキャビティ65の連結部からキャビティ65内に注入される。このとき、ゲート64がリードフレーム31上に配置している場合には、注入された封止樹脂66の流動方向が規制され、キャビティ65の上下方向に均等に流動しやすくなる。
【0092】
しかし、本実施の形態3では、ゲート64がリード31d間に配置されているので、流動が規制されることなく、下金型62の方向、つまり第1のダイパッド部36に向けて流入する。
【0093】
つまり、はじめに流入された封止樹脂66は、第1のダイパッド部36に沿って流れ、パワー素子32の上面を覆うように流れる。そして、第1のダイパッド部36やパワー素子32と熱交換して封止樹脂66(エポキシ樹脂)中に含有した多孔質フィラー15と共に硬化する。
【0094】
その後、高い流動性の封止樹脂66(エポキシ樹脂)が上金型63のキャビティ65を完全に充填するように入り込んでいく。
【0095】
そして、図9に示すような、パワー素子32、制御素子34、放熱板33およびリードフレーム31の一部を内包した外装体35が形成される。
【0096】
上述のように、まず放熱板33上に設けた第1のダイパッド部36やパワー素子32の近傍で多孔質フィラー15を含有した封止樹脂66(エポキシ樹脂)が硬化し、その周りを囲むように低抵抗のエポキシ樹脂を充填して、外装体35が形成される。その結果、多孔質フィラー15が外装体35内の放熱板33側、つまりパワー素子32の近傍に偏在した半導体装置が作製される。
【0097】
本実施の形態3によれば、外装体35の多孔質フィラー15をパワー素子32の近傍に偏在させることにより、冷却効果を高めた半導体装置を容易に作製できる。
【0098】
なお、本実施の形態3の半導体装置では、1枚のリードフレームを用いた例で説明したが、これに限らない。例えば、2枚の個別のリードフレームを一体化したリードフレームを用いてもよい。
【0099】
また、本実施の形態3の半導体装置では、まず多孔質フィラー15を含有した封止樹脂(エポキシ樹脂)を充填して外装体を形成する例で説明したが、これに限らない。例えば、押圧注入される封止樹脂を、多孔質フィラー15の含有率が70〜90重量%であるエポキシ樹脂組成物からなる第1の層と、上記第1の層より多孔質フィラー15の含有率が小さいエポキシ樹脂組成物からなる第2の層を有するタブレットの構成としてもよい。これにより、はじめに注入される第1の層の封止樹脂が、第1のダイパッド部36やパワー素子32の近傍で硬化する。次に第1の層より多孔質フィラー15の含有率が小さい第2の層の封止樹脂が、硬化した第1の層の封止樹脂の周りを囲むようにして注入される。その結果、多孔質フィラー15が外装体35内のパワー素子32の近傍に確実に偏在させて、冷却効果を高めることができる。
【0100】
また、第1の層の多孔質フィラーの平均粒径を第2の層の多孔質フィラーの平均粒径よりも大きくすることで、多孔質フィラーの局所的な偏在による前述の効果を更に高めることも可能であると考えられる。この場合、パワー素子32の近傍の領域の多孔質フィラー15の平均粒径は、外装体14の外表面側の領域の多孔質フィラー15の平均粒径よりも大きくなる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、エアコンなどの大電力用の機器に用いられる半導体装置に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
11,31 リードフレーム
11a,35b,36a,40a 一方の面
11c ダイパッド部
12,101,202 半導体素子
13,51 金属部材
14,35 外装体
14a,33b 一方の面
14b 他方の面
15 多孔質フィラー
16,38 ろう材
21,63 上金型
22,62 下金型
23,65 キャビティ
25,64 ゲート
26,66,206 封止樹脂
31d リード
32 パワー素子
33 放熱板
33c 側面
34 制御素子
36 第1のダイパッド部
36b 他方の面
40 第2のダイパッド部
41 絶縁シート
52 金(Au)ワイヤー
102 基板
103 金属製カバー
104 シート
105 多孔質部材
201 アイランド
207 導電性フィラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体と、
前記外装体の内部に収納されると共に、前記外装体から端部が突出したリードフレームと、
前記外装体の内部に収納され、前記リードフレームに実装された半導体素子と、を備え、
前記外装体は、局所的に偏在する多孔質フィラーを含有した封止樹脂で形成されていることを特徴とする
樹脂封止型半導体装置。
【請求項2】
前記多孔質フィラーは、前記外装体の外表面側よりも前記半導体素子近傍側に偏在することを特徴とする
請求項1に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項3】
前記多孔質フィラーの平均粒径は、前記外装体の外表面側の領域よりも前記半導体素子近傍側の領域の方が大きいことを特徴とする
請求項1または2に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項4】
外装体と、
前記外装体から端部が突出したリードフレームと、
前記リードフレームの第1のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入されたパワー素子と、
前記リードフレームの第1のダイパッド部の他方の面に設けられ、前記外装体に封入された放熱板と、
前記リードフレームの第2のダイパッド部の一方の面に実装され、前記外装体に封入された制御素子とを備え、
前記外装体は、局所的に偏在する多孔質フィラーを含有した熱硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする
樹脂封止型半導体装置。
【請求項5】
前記多孔質フィラーは、前記外装体の外表面側よりも前記パワー素子側に偏在することを特徴とする
請求項4に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項6】
前記多孔質フィラーの平均粒径は、前記外装体の外表面側の領域よりも前記パワー素子近傍側の領域の方が大きいことを特徴とする
請求項4または5に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項7】
前記多孔質フィラーは、球状であることを特徴とする
請求項1から6いずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする
請求項1から7いずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項9】
多孔質フィラーを含有した熱硬化性樹脂で形成された外装体を備えた樹脂封止型半導体装置の製造方法であって、
リードフレームの第1のダイパッド部の一方の面にパワー素子を実装し、前記リードフレームの第2のダイパッド部の一方の面に制御素子を実装し、放熱板に絶縁シートを貼り合わせ、前記絶縁シート上に前記リードフレームの前記第1のダイパッド部の他方の面を載置した後、上金型に設けたゲートより多孔質フィラーを含有する封止樹脂を封入し、外装体を形成することを特徴とする
樹脂封止型半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記外装体の外表面側よりも前記パワー素子近傍に前記多孔質フィラーが偏在するように前記封止樹脂を封入することを特徴とする
請求項9に記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記封止樹脂を押圧封入する時に、まず、多孔質フィラーを含有した第1の封止樹脂を注入し、次に前記第1の封止樹脂より多孔質フィラー含有率が小さい第2の封止樹脂を注入することを特徴とする
請求項9または10に記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−38792(P2012−38792A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175025(P2010−175025)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】