説明

樹脂組成物及びハードコート剤並びにハードコートフィルム

【課題】 表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)と、柔軟性(曲げ性)を兼ね揃えたフィルムを得る。
【解決手段】 アミノトリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、および水酸基含有(メタ)アクリレートから1工程で合成され、平均分子量200〜20000のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーに残存する未反応の水酸基を、イソシアネート化合物と反応させる。全光線透過率が90%以上、3R以下の曲げ性を有し、ハードコート層の鉛筆硬度がJIS K 5600−5−4(1999年版)で測定しH以上であることを特徴とするハードコートフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物及びハードコート剤並びにハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードコート樹脂を塗工したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの裏面に印刷を施したインサート成型用に供されるハードコートフィルムは、金型に貼り付け、成型と同時にフィルムごと絵付けされる。
【特許文献1】特開平6−240108
【特許文献2】特開平11−34248
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら樹脂として柔軟性に優れた高分子量のウレタン変性アクリレートなどが主に利用されていたが、表面物性を満足するものではなかった。一方、表面硬度を満足させるためにハードコート樹脂などを用いた開発が行われてきたが、硬すぎるために成型時に曲面部でクラックが発生する問題が生じていた。そのため、表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)と、柔軟性(曲げ性)を兼ね揃えたフィルムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、アミノトリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、および水酸基含有(メタ)アクリレートから1工程で合成され、平均分子量200〜20000のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーに残存する未反応の水酸基を、イソシアネート化合物と反応させてなることを特徴とする樹脂組成物を用いることにより、前記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の樹脂組成物により、アクリルメラミンの分子量が比較的大きく、かつウレタンの柔軟性を伴うことで柔軟性を付与することができ、多官能型アクリレートとメラミン環構造を有することで表面硬度も優れたものとなる。以下、本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係るトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーはアミノトリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから縮合反応によって合成される平均分子量200〜20000のプレポリマーである。平均分子量が下限未満の場合は、ハードコート用として十分な性能は得られず、20000を超えると粘度が高くなりすぎて使用が難しくなる。
【0007】
アミノトリアジン化合物は、Cからなるトリアジン環の3つの炭素原子にそれぞれアミノ基が結合した構造の化合物であり、アミノトリアジン化合物とは、アミノトリアジン自身あるいはアミノトリアジン誘導体を示す。
【0008】
アミノトリアジン自身としては、メラミンが挙げられ、アミノトリアジン誘導体としては、ベンゾグアナミン,アセトグアナミン,シクロヘキサンカルボグアナミン,シクロヘキセンカルボグアナミン,ノルボルナンカルボグアナミン,ノボルネンカルボグアナミン等が挙げられる。
【0009】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートのほか、必要により、少なくとも1個のヒドロキシシル基を有するエチレン性不飽和結合を持つ化合物、例えば2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、エチレングリコールアリルエーテル、グリセリン(モノ、ジ)アリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等あるいはこれらの混合物が添加可能である。このうち、コストや扱い易さの点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0010】
プレポリマーの合成は以下の方法により行われる。合成反応はアミノトリアジン化合物へのホルムアルデヒドの付加反応によるメチロール基の生成及びメチロール基とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートのヒドロキシル基との縮合反応、あるいはアミノトリアジン化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、ホルムアルデヒドヘミアセタールとの反応により縮合反応して進行するものと解される。縮合反応の進行程度はこれら縮合反応により離脱する水分量により判断できる。この水分量を経時的に把握し、所定の段階において水分留出を止めれば縮合反応をコントロールできる。
【0011】
本発明の樹脂組成物は、トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーに残存する未反応の水酸基にはイソシアネート化合物を反応させる。
【0012】
本発明で用いるイソシアネ−ト化合物は、2つ以上のイソシアネート基を含有する化合物で、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタントリイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、トリエチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリエチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネートのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネートは、単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
イソシアネート成分のイソシアネート基との反応を促進するために、有機錫系ウレタン化触媒が使用されるが、有機錫系ウレタン化触媒としては、ウレタン化反応に一般に使用されるのものであればよく、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアルキルマレート、ステアリン酸錫、オクチル酸錫等が挙げられる。
【0014】
これら有機錫系ウレタン化触媒の使用量は特に制限されるものではないが、0.005〜3重量%の範囲内で用いるのが適当である。下限に満たないとウレタン反応が十分に進行せず、上限を超えるとウレタン反応時の発熱により反応制御が困難となる。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、そのまま若しくは硬化剤などが加えられてハードコート剤としてグラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法など、公知の方法により硬化後の塗膜の厚みが1〜10μmとなるようにフィルムに塗布される。1μm未満では耐擦傷性や鉛筆硬度が劣りやすく、10μm超では曲げ性が劣りやすくなる。
【0016】
フィルムとしては、塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムのほか、ポリプロピレンフィルム、低延伸性ポリエステルフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム、ナイロンフィルムなどを用いることができる。
【0017】
硬化剤としては、公知の有機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤が用いられる。有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソピルベンゼンパーオキサイドなどハイドロパーオキサイド類、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、1、1、3、3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのアルキルパーエステル類、ジイソプロピルなパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなどのパーオキシエステル類などの有機過酸化物や、2、2−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上の併用が可能である。好ましくは有機過酸化物で分解温度が低いものが硬化性の面で都合が良く、具体的には、メチルエチルケトンパ−オキサイド、ラウロイルパ−オキサイドを用いるのが好ましい。
【0018】
ラジカル重合用光開始剤としては、特に限定はなく既知の種類のものが使用可能であるが、例えばベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジェットキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられ、光増感剤としては、2ークロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0019】
フィルムに塗布されたハードコート剤は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射により硬化させる。紫外線により硬化する場合には、組成物中に光開始剤、場合により光増感剤、光促進剤を含有せしめる必要がある。
【0020】
また、光促進剤としては、例えばp−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸2−n−プトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
【0021】
更に、光カチオン重合用開始剤としては、ジアリルヨードニウム塩及びトリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0022】
紫外線照射装置としては、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等既知の装置を使用でき、照射エネルギーは100〜2000mJ/cm2、さらに300〜700mJ/cm2がより好ましい。
【0023】
また、電子線により硬化する場合には、従来既知の硬化装置を使用することができ、照射線量は10kGy〜200kGyが好ましく、さらに30kGy〜100kGyがより好ましい。10kGy未満だと完全硬化ができず、200kGyを越えると電子線照射管の寿命は著しく短くなり、経済的に好ましくない。
また、加速電圧は基材上に設ける塗膜厚みおよび密度により設定されるが、50kvから300kv、さらに、150kv〜250kvがより好ましい。
【0024】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
【実施例1】
【0025】
(1)トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマー(A)
攪拌装置、温度計、気体導入管、還流冷却管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、696g(6モル)、メラミン126g(1モル)、95重量%パラホルムアルデヒド189g(ホルムアルデヒドとして6モル)、パラトルエンスルホン酸3.0g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2gを加え、空気を吹き込みながら昇温した。80〜100℃において、メラミンおよびパラホルムアルデヒドが2−ヒドロキシエチルアクリレートに溶解した後、内温を105〜115℃に保ちながら、水分の留出量が108g(6モル)になるまで反応した。得られたトリアジン環含有アクリレートプレポリマーは、20℃での粘度が2Pa・s、臭素価92.1(gBr/100g)、分子量3200であった。
(2)ウレタン化メラミンアクリレートプレポリマー(a)
上記トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマー100重量部に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)28.7重量部、触媒としてジラウリン酸ジーn−ブチル錫(DBTDL)を0.1重量部加え24時間室温で攪拌後、イソプロパノールを加えた。IRにてイソシアネート基の反応の確認を行い、エバポレーターで未反応のイソプロパノールを除去してウレタン化メラミンアクリレートプレポリマー(a)を得た。
(3)ハードコート剤
次いで、上記のウレタン化メラミンアクリレートプレポリマー100重量部に対し、MEK150重量部、開始剤として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンを5重量部加えハードコート剤を得た。
(4)ハードコートフィルム
次いで、上記ハードコート剤を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに硬化膜厚が1.5μmとなるようにバーコート法で塗工して熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。しかる後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製、フュージョンランプ)を用いて紫外線を積算光量約200mJ/cm照射してハードコートフィルム(1)を得た。
【実施例2】
【0026】
前記実施例1において、硬化膜厚が2.6μmとなるように塗工した以外は同様に実施して、ハードコートフィルム(2)を得た。
【実施例3】
【0027】
前記実施例1において、硬化膜厚が4.7μmとなるように塗工した以外は同様に実施して、ハードコートフィルム(3)を得た。
【実施例4】
【0028】
前記実施例1において、硬化膜厚が6.3μmとなるように塗工した以外は同様に実施して、ハードコートフィルム(4)を得た。
【実施例5】
【0029】
前記実施例1において、硬化膜厚が8.9μmとなるように塗工した以外は同様に実施して、ハードコートフィルム(5)を得た。
【0030】
比較例1
前記実施例1において、硬化膜厚が0.9μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、耐擦傷性と鉛筆硬度が劣っていた。
【0031】
比較例2
前記実施例1において、硬化膜厚が10.8μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、曲げ性が劣っていた。
【0032】
比較例3
(1)ハードコート剤
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名カヤラッドDPHA 不揮発分100%)100重量部に対し、MEK150重量部、開始剤として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンを5重量部加えハードコート剤を得た。
(2)ハードコートフィルム
次いで、上記ハードコート剤を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに硬化膜厚が1.4μmとなるようにバーコート法で塗工して熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。しかる後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製、フュージョンランプ)を用いて紫外線を積算光量約200mJ/cm照射したが、耐擦傷性と鉛筆硬度が劣っていた。
【0033】
比較例4
前記比較例3において、硬化膜厚が2.4μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、曲げ性が劣っていた。
【0034】
比較例5
前記比較例3において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名カヤラッドDPHA 不揮発分100%)の代わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名カヤラッドPET−30 不揮発分100%)を用いて、硬化膜厚が2.3μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、耐擦傷性と鉛筆硬度が劣っていた。
【0035】
比較例6
前記比較例5において、硬化膜厚が4.0μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、曲げ性が劣っていた。
【0036】
比較例7
(1)ハードコート剤
高分子量ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製、商品名アートレジンHDP−4T 不揮発分70%)100重量部に対し、MEK75重量部、開始剤として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンを3.5重量部加えハードコート剤を得た。
(2)インサート成型用ハードコートフィルム
次いで、上記ハードコート剤を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに硬化膜厚が2.5μmとなるようにバーコート法で塗工して熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。しかる後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製、フュージョンランプ)を用いて紫外線を積算光量約200mJ/cm照射したが、耐擦傷性と鉛筆硬度が劣っていた。
【0037】
比較例8
前記比較例7において、硬化膜厚が5.0μmとなるように塗工した以外は同様に実施したが、曲げ性と耐擦傷性が劣っていた。

評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
評価方法は以下の通りとした。
試験・評価方法
(1)全光線透過率:JIS K 7361−1(2000年版)3.2の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定した。
(2)ヘイズ度:JIS K 7136(2000年版)の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定した。
(3)曲げ性の測定
半径1Rから6Rの筒の外周に、ハードコート剤塗工面を外側にしたハードコートフィルムを巻き、樹脂層にクラックが入るかどうかにより評価する。クラックの入らない最小の半径を曲げ性の値とした。1R〜3Rを許容範囲とし、4R以上は曲げ性に劣っていると判断。
(4)耐擦傷性の測定
ハードコートフィルムの表面を、2kg/cmの荷重をかけた日本スチールウール株式会社製のスチールウール#0000にて摩擦して傷の度合いを目視により評価した。傷の付き方で4段階に分け、下記のように評価を行った。
◎ないし○を許容範囲とし、△以下は耐擦傷性に劣っていると判断。
◎:全く傷が入らない。
○:1〜5本の傷が入る。
△:5〜15本の傷が入る。
×:15本以上の傷が入る。
(5)鉛筆硬度の測定
JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づいて行った。測定装置としては、株式会社東洋精機製作所製の鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(形式P)を用いた。鉛筆硬度H以上を許容範囲とし、F以下は劣っていると判断。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノトリアジン化合物、パラホルムアルデヒド、および水酸基含有(メタ)アクリレートから1工程で合成され、平均分子量200〜20000のトリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーに残存する未反応の水酸基を、イソシアネート化合物と反応させてなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物からなるハードコート剤。
【請求項3】
前記ハードコート剤をプラスチックフィルムに塗布、硬化させてなることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項4】
全光線透過率が90%以上、3R以下の曲げ性を有し、ハードコート層の鉛筆硬度がJIS K 5600−5−4(1999年版)で測定しH以上であることを特徴とする請求項3記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層の硬化膜厚が1〜10μmであることを特徴とする請求項4記載のハードコートフィルム。

【公開番号】特開2007−224230(P2007−224230A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49628(P2006−49628)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】