説明

樹脂製発泡シート、樹脂製発泡シートの製造方法および収納ケース

【課題】樹脂製発泡シートにおいて、製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行可能とし、生産効率を高めて製造コストを削減する。
【解決手段】シート本体2に折り曲げ部4が設けられ、折り曲げ部4には、シート本体2の融点以下の温度で形成された一対以上の第1のけい線13、13が互いに平行に設けられている。これら第1のけい線13、13の間には、シート本体2の融点以下の温度で形成された1本以上の第2のけい線15が第1のけい線13より深く設けられている。一対以上の第1のけい線13、13の間に第2のけい線15が深く設けられているので、シート本体2を折り曲げ部4で折り曲げたときの反発力を逃がすことができる。また、シート本体2の所定箇所を加熱溶融しなくても、第1および第2のけい線13、15を形成して折り曲げ部4を設けることができる。そのため、樹脂製発泡シート1の生産効率を高め、製造コストを削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製発泡シートと、この樹脂製発泡シートの製造方法と、この樹脂製発泡シートから組み立てられる収納ケースとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紙製の段ボールに代えて、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる段ボール、所謂プラスチック段ボールが種々の用途(例えば、通い箱、緩衝材、養生シート)で多用されている。このプラスチック段ボールは、中空構造を有するため、軽さと強度とを両立させることができるという特徴を備えている。
【0003】
そして、このようなプラスチック段ボールを適宜折り曲げて箱形に形成する場合には、このプラスチック段ボールの所定箇所に折り曲げ部を設けるべく、この折り曲げ部となる部位に沿って熱けい線(熱罫線)と非熱けい線(非熱罫線)とを交互に形成する手法(以下、公知技術1という。)が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。この公知技術1によれば、プラスチック段ボールの折り曲げ部の反発力を適度に調整することができるため、従来の製函機や封緘機による製函または封緘が可能になるとしている。
【0004】
一方、浴槽のふた(蓋)、自動車用の内装材などの用途に樹脂製発泡シートが用いられている。この樹脂製発泡シートは、主に、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を発泡させてシート状に押出成形したものであり、耐久性や断熱性、耐水性(耐湿性)に優れるという特性を有している。
【0005】
そして、このような樹脂製発泡シートを適宜折り曲げて箱形に形成する場合には、この樹脂製発泡シートの所定箇所に折り曲げ部を設けるべく、この折り曲げ部となる部位を加熱して溶かしながら熱けい線を形成する手法(以下、公知技術2という。)が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−254983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、中実構造の樹脂製発泡シートは、中空構造のプラスチック段ボールより硬いため、これを折り曲げて箱形に形成する際に、折り曲げ部の反発力が増大する。したがって、プラスチック段ボールに関する公知技術1をそのまま樹脂製発泡シートに適用しても、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を実行できる保証はない。
【0008】
また、公知技術2では、樹脂製発泡シートを折り曲げる際に、樹脂製発泡シートの所定箇所を加熱溶融しなければならないので、製造工程が煩雑となり、勢い樹脂製発泡シートの生産効率が低くなる。しかも、熱けい線を形成するための加熱装置を含む大掛かりな設備が必要となるので、製造コストが高騰するという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行することができ、かつ、生産効率を高めるとともに製造コストを削減することが可能な樹脂製発泡シート、樹脂製発泡シートの製造方法および収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シート本体に折り曲げ部が設けられた樹脂製発泡シートであって、前記折り曲げ部には、前記シート本体の融点以下の温度で形成された一対以上の第1のけい線が互いに平行に設けられ、これら第1のけい線の間には、前記シート本体の融点以下の温度で形成された1本以上の第2のけい線が当該第1のけい線より深く設けられている樹脂製発泡シートを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一対以上の第1のけい線の間に第2のけい線が深く設けられているので、シート本体を折り曲げ部で折り曲げたときの反発力を逃がすことができる。そのため、樹脂製発泡シートに対して、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行することが可能となる。
【0012】
また、樹脂製発泡シートの製造に際して、シート本体の所定箇所を加熱溶融しなくても、第1および第2のけい線を形成して折り曲げ部を設けることが可能となる。そのため、製造工程を簡略にして樹脂製発泡シートの生産効率を高めることができるとともに、熱けい線を形成するための加熱装置を含む大掛かりな設備が不要となるので、樹脂製発泡シートの製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る樹脂製発泡シートの平面図である。
【図2】同実施の形態1に係る樹脂製発泡シートの折り曲げ部を示す断面図であって、(a)は折り曲げ前の状態図、(b)は折り曲げ後の状態図である。
【図3】同実施の形態1に係る樹脂製発泡シートから組み立てられる収納ケースの斜視図であって、(a)はその開蓋状態図、(b)はその閉蓋状態図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る樹脂製発泡シートの折り曲げ部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る樹脂製発泡シートの折り曲げ部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0015】
図1乃至図3には、本発明の実施の形態1を示す。この実施の形態1では、樹脂製発泡シート1について、その構成および製造方法を順に説明した後、この樹脂製発泡シート1を用いて収納ケース16を組み立てる方法を説明する。
<樹脂製発泡シートの構成>
【0016】
まず、樹脂製発泡シート1の構成について説明する。
【0017】
この実施の形態1に係る樹脂製発泡シート1は、図1に示すように、所定の形状に打ち抜かれたポリプロピレン製のシート本体2を有しており、シート本体2は均一な厚さ(例えば、4mm)を有している。このシート本体2は、正面部3、側面部5、第1外フラップ6、第2外フラップ7、第1内フラップ8、第2内フラップ9、のり付け部(つぎしろ部)10および手掛け穴部12から構成されている。
【0018】
ここで、正面部3の図1上側には、第1外フラップ6が折り曲げ部4Aを介して連設されているとともに、正面部3の図1下側には、第2外フラップ7が折り曲げ部4Bを介して連設されている。また、正面部3の図1左側には、のり付け部10が折り曲げ部4Cを介して連設されているとともに、正面部3の図1右側には、側面部5が折り曲げ部4Dを介して連設されている。側面部5の図1上側には、第1内フラップ8が折り曲げ部4Eを介して連設されているとともに、側面部5の図1下側には、第2内フラップ9が折り曲げ部4Fを介して連設されている。さらに、側面部5の上部には、折り曲げ部4Gを介して長円形の手掛け穴部12が、図1紙面と直角な方向に切り起こし自在に形成されている。
【0019】
そして、各折り曲げ部4(4A〜4G)には、図2(a)に示すように、一対(2本)のU字断面形状の第1のけい線(罫線)13、13が、互いに所定の間隔W3(例えば、W3=3.7mm)で平行に設けられている。また、これら第1のけい線13、13の間には、1本のU字断面形状の第2のけい線(罫線)15が第1のけい線13に沿って設けられている。
【0020】
ここで、第2のけい線15の深さは、第1のけい線13の深さより深くなっている。また、第1のけい線13の深さD1は、折り曲げたときの応力を減らすという観点から、シート本体2の折り曲げ部4における厚さT1の50〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは85〜90%の範囲内とするのがよい。一方、第2のけい線15の深さD2は、折り曲げたときの応力を減らすという観点から、シート本体2の折り曲げ部4における厚さT1の60〜99%、好ましくは75〜97%、より好ましくは90〜95%の範囲内とするのがよい。また、第1のけい線13の幅W1および第2のけい線15の幅W2はいずれも、折り曲げたときの応力を減らすという観点から、シート本体2の折り曲げ部4における厚さT1の20〜95%、好ましくは50〜95%、より好ましくは60〜90%の範囲内とするのがよい。
【0021】
なお、第1のけい線13としては、半切けい(半切罫、ハーフカット)等を採用することができる。また、第2のけい線15としては、ミシン目、半切けい等を採用することができる。
<樹脂製発泡シートの製造方法>
【0022】
この樹脂製発泡シート1を製造する際には、次の手順による。
【0023】
まず、シート本体作製工程で、シート本体2を作製する。このとき、押出発泡法、ビーズ型発泡法、電子線架橋発泡法、化学架橋発泡法、バッチ式発泡法などの公知の製造方法を採用することができる。このうち、シート本体2の生産性やリサイクル性の観点から、押出発泡法を用いることが好ましい。
【0024】
そこで、ここでは押出発泡法によるシート本体2の作製手順について以下に説明する。まず、ポリプロピレン樹脂組成物と発泡剤その他を押出機(図示せず)の中で溶融混練して溶融樹脂組成物とし、押出機に接続されたダイ(図示せず)内へこの溶融樹脂組成物を送り出す。次いで、こうしてダイ内へ送り込まれた溶融樹脂組成物をダイの出口から大気中に平板状に押し出して発泡させる。最後に、こうして発泡した平板状の溶融樹脂組成物を冷却し、切断機(図示せず)によって所望のサイズに切断する。すると、平板状のシート本体2が得られる。
【0025】
ここで、ダイの形状としては、マルチマニホールド方式のTダイやサーキュラーダイなどを挙げることができる。但し、シート本体2の生産性の観点からは、マルチマニホールド方式のTダイを採用することが好ましい。
【0026】
また、シート本体2を作製する際にポリプロピレン樹脂に添加される発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤、これらの混合物などを用いることができる。
【0027】
物理発泡剤の具体例としては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンなどが挙げられる。これらの物理発泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても構わない。これらの物理発泡剤のうち、窒素ガス、炭酸ガス、空気を用いることが、その経済性、安全面の観点から好ましい。
【0028】
発泡剤として物理発泡剤を用いる場合には、押出機の中で溶融混練する樹脂に物理発泡剤を圧入し、これをさらに溶融混練することが必要である。このとき、物理発泡剤の圧入量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。また、この物理発泡剤には、気泡核剤を添加することが好ましい。この気泡核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMAなどのポリマービーズ、合成アルミノシリケートの他、後述する化学発泡剤などを使用することができる。この気泡核剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0029】
一方、化学発泡剤の具体例としては、重曹、重曹とクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸などの有機酸との混合物;アゾジカルボン酸アミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物;アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジンなどのアゾ、ジアゾ化合物;ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドなどのヒドラジン誘導体;N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミドなどのニトロソ化合物;P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物;アジ化合物;トリアゾール化合物などが挙げられる。これらの化学発泡剤のうち、重曹、クエン酸、アゾジカルボン酸アミドを用いることが、その経済性、安全面の観点から好ましい。
【0030】
発泡剤として化学発泡剤を用いる場合、その添加量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。また、この化学発泡剤には、その分解温度および分解速度を調製するため、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素などの発泡助剤を添加してもよい。
【0031】
このようにしてシート本体2が作製されたところで、折り曲げ部形成工程に移行し、抜型を備えた平打ち抜き(図示せず)を用いて、このシート本体2を所定の形状(図1に示す外周形状)に打ち抜くと同時に、すべての折り曲げ部4に第1および第2のけい線13、15を形成する。このとき、第1および第2のけい線13、15は、シート本体2の融点(ここでは、ポリプロピレンの融点で160〜170℃)以下の温度で形成する。なお、打ち抜きの温度は、室温であることが好ましい。すると、樹脂製発泡シート1が完成する。
【0032】
ここで、樹脂製発泡シート1の製造作業が終了する。
【0033】
このように、この実施の形態1によれば、樹脂製発泡シート1の製造に際して、シート本体2の所定箇所を加熱溶融しなくても、第1および第2のけい線13、15を形成して折り曲げ部4を設けることが可能となる。そのため、製造工程を簡略にして樹脂製発泡シート1の生産効率を高めることができる。また、公知技術2と異なり、熱けい線を形成するための加熱装置を含む大掛かりな設備が不要となるので、樹脂製発泡シート1の製造コストを削減することができる。
【0034】
また、シート本体2の融点を超える温度で第1および第2のけい線13、15を形成する場合は、折り曲げ部4の溶けた部分が脇に盛り上がったり、折り曲げ部4が可塑化して白く変色したりするため、樹脂製発泡シート1の外観が悪くなることがある。本発明では、シート本体2の融点以下の温度で第1および第2のけい線13、15を形成しているので、樹脂製発泡シート1の外観を良好なものとすることができる。
<収納ケースの組立方法>
【0035】
以上のような構成を有する樹脂製発泡シート1を用いて、図3に示すように、収納ケース16を組み立てる際には、次の手順による。
【0036】
まず、樹脂製発泡シート1を2枚用意する。そして、各樹脂製発泡シート1においてそれぞれ、のり付け部10が正面部3に対して直角になるように折り曲げ部4Cで折り曲げ、側面部5が正面部3に対して直角になるように折り曲げ部4Dで折り曲げ、第2内フラップ9が側面部5に対して直角になるように折り曲げ部4Fで折り曲げ、第2外フラップ7が正面部3に対して直角になるように折り曲げ部4Bで折り曲げる。さらに、両方の樹脂製発泡シート1ののり付け部10を他方の樹脂製発泡シート1の側面部5の内面に接着して貼り付ける。すると、2枚の樹脂製発泡シート1は、図3(a)に示すように、上面が開口した六面体状の箱形に形成される。
【0037】
こうして各樹脂製発泡シート1を折り曲げ部4B、4C、4D、4Fで直角に折り曲げると、シート本体2には、箱の内側(谷折り側)に圧縮応力が作用するとともに、箱の外側(山折り側)に引張応力が作用するため、シート本体2は、図2(b)に示すように、第1および第2のけい線13、15が扇形断面形状に開くように弾性変形する。したがって、シート本体2は、その弾性により、反発力が生じて元の形状に戻ろうとする。
【0038】
しかし、第2のけい線15は第1のけい線13より深く設けられているので、以下の述べるように、シート本体2の反発力を逃がし、シート本体2を曲げた状態で固定することができる。そのため、樹脂製発泡シート1に対して、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行することが可能となる。
【0039】
すなわち、第1のけい線13が2本設けられているので、第1のけい線13が1本の場合と比べて、折り曲げ部4の曲げ剛性を小さくし、シート本体2の反発力を弱めることができる。また、これら第1のけい線13、13間に第2のけい線15が設けられているので、シート本体2を曲げたときに、第2のけい線15が開くことにより、けい線13の開口量を減らすことができる。その結果、けい線13が開き過ぎてシート本体2が割れてしまう事態を回避することが可能となる。しかも、この第2のけい線15の深さは第1のけい線13の深さより深いので、けい線13の開口量を減らす効果を第1のけい線13の深さ方向の全長にわたって発揮させることができる。したがって、シート本体2の反発力を逃がし、シート本体2を曲げた状態で固定することができる。
【0040】
次いで、各樹脂製発泡シート1においてそれぞれ、第1内フラップ8が側面部5に対して直角になるように折り曲げ部4Eで折り曲げ、第1外フラップ6が正面部3に対して直角になるように折り曲げ部4Aで折り曲げる。すると、2枚の樹脂製発泡シート1は、図3(b)に示すように、上面が閉口した六面体状の箱形に形成される。
【0041】
こうして各樹脂製発泡シート1を折り曲げ部4A、4Eで直角に折り曲げると、上述した折り曲げ部4B、4C、4D、4Fと同様、シート本体2は、その弾性により、反発力が生じて元の形状に戻ろうとするが、第2のけい線15は第1のけい線13より深いので、シート本体2の反発力を逃がすことができる。そのため、樹脂製発泡シート1に対して、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行することが可能となる。
【0042】
最後に、図3(b)に示すように、各樹脂製発泡シート1の手掛け穴部12を切り起こす形で箱の内側に折り曲げる。すると、2枚の樹脂製発泡シート1からなる収納ケース16が完成する。
【0043】
こうして各樹脂製発泡シート1の手掛け穴部12を折り曲げると、上述した折り曲げ部4B、4C、4D、4Fと同様、シート本体2は、その弾性により、反発力が生じて元の形状に戻ろうとするが、第2のけい線15は第1のけい線13より深いので、シート本体2の反発力を逃がすことができる。そのため、樹脂製発泡シート1に対して、従来の製函機や封緘機による製函または封緘を容易に実行することが可能となる。
【0044】
ここで、樹脂製発泡シート1を用いた収納ケース16の組立作業が終了する。
[発明の実施の形態2]
【0045】
図4には、本発明の実施の形態2を示す。
【0046】
この実施の形態2に係る樹脂製発泡シート1では、図4に示すように、第2のけい線15が2本である点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。なお、実施の形態1と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。したがって、この実施の形態2では、第2のけい線15が2本とも第1のけい線13より深いので、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。
【0047】
また、この樹脂製発泡シート1の製造方法および収納ケース16の組立方法についてはそれぞれ、上述した実施の形態1の方法に準じて行われる。したがって、この実施の形態2では、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0048】
[発明の実施の形態3]
【0049】
図5には、本発明の実施の形態3を示す。
【0050】
この実施の形態3に係る樹脂製発泡シート1では、図5に示すように、第2のけい線15が3本である点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。なお、実施の形態1と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。したがって、この実施の形態3では、第2のけい線15が3本とも第1のけい線13より深いので、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。
【0051】
また、この樹脂製発泡シート1の製造方法および収納ケース16の組立方法についてはそれぞれ、上述した実施の形態1の方法に準じて行われる。したがって、この実施の形態3では、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
[発明のその他の実施の形態]
【0052】
なお、上述した実施の形態1〜3では、第1のけい線13の本数が一対(2本)である樹脂製発泡シート1について説明したが、第1のけい線13の本数を二対以上、例えば、二対(4本)、三対(6本)としてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態1では、第2のけい線15が1本である樹脂製発泡シート1について説明し、上述した実施の形態2では、第2のけい線15が2本である樹脂製発泡シート1について説明した。さらに、上述した実施の形態3では、第2のけい線15が3本である樹脂製発泡シート1について説明した。しかし、すべての第2のけい線15が第1のけい線13より深いという条件を満たす限り、第2のけい線15の本数を4本以上にしても構わない。
【0054】
また、上述した実施の形態1〜3では、第1および第2のけい線13、15がU字断面形状である場合について説明した。しかし、これら第1および第2のけい線13、15の断面形状は、U字に限るわけではなく、種々の断面形状(例えば、V字、角形状)が考えられる。
【0055】
さらに、上述した実施の形態1〜3では、2枚の樹脂製発泡シート1から1個の収納ケース16を組み立てる場合について説明したが、樹脂製発泡シート1の2枚分を1枚物のシートで成形することにより、1枚の樹脂製発泡シート1から1個の収納ケース16を組み立てることも可能である。2枚の樹脂製発泡シート1から1個の収納ケース16を組み立てる場合は、上述したとおり、のり付け部10による貼付作業が2箇所必要となるのに対して、1枚の樹脂製発泡シート1から1個の収納ケース16を組み立てる場合は、のり付け部10による貼付作業が1箇所で済む。したがって、収納ケース16の組立作業を効率よく実施することができる。
【0056】
さらにまた、上述した実施の形態1〜3では、ポリプロピレン製のシート本体2を有する樹脂製発泡シート1について説明した。しかし、シート本体2の材質としては、ポリオレフィン樹脂であれば特に限定されず、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。
【0057】
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素原子数4以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと炭素原子数4以上の環状オレフィンとの共重合体、および、これらの混合物などを挙げることができる。
【0058】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体に少量のエチレンおよび/またはα−オレフィンのコモノマーを共重合させた共重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体)などを挙げることができる。このうち、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体を用いることが好ましい。
【0059】
なお、これらのポリオレフィン樹脂は、無機フィラー、有機フィラー、顔料、滑材、帯電防止剤、安定剤などの充填剤および/または添加剤を含有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、通い箱、工場内での保管箱、精密機器ケース、緩衝材、養生シートその他に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1……樹脂製発泡シート
2……シート本体
3……正面部
4(4A〜4G)……折り曲げ部
5……側面部
6……第1外フラップ
7……第2外フラップ
8……第1内フラップ
9……第2内フラップ
10……のり付け部
12……手掛け穴部
13……第1のけい線
15……第2のけい線
16……収納ケース
D1……第1のけい線の深さ
D2……第2のけい線の深さ
T1……シート本体の折り曲げ部における厚さ
W1……第1のけい線の幅
W2……第2のけい線の幅
W3……間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体に折り曲げ部が設けられた樹脂製発泡シートであって、
前記折り曲げ部には、前記シート本体の融点以下の温度で形成された一対以上の第1のけい線が互いに平行に設けられ、
これら第1のけい線の間には、前記シート本体の融点以下の温度で形成された1本以上の第2のけい線が当該第1のけい線より深く設けられていることを特徴とする樹脂製発泡シート。
【請求項2】
前記第2のけい線は、ミシン目および/または半切けいであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製発泡シート。
【請求項3】
前記第1のけい線の深さは、前記シート本体の前記折り曲げ部における厚さの50〜95%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製発泡シート。
【請求項4】
前記第2のけい線の深さは、前記シート本体の前記折り曲げ部における厚さの60〜99%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂製発泡シート。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂製発泡シートの製造方法であって、
前記シート本体を作製するシート本体作製工程と、
前記シート本体の所定箇所に当該シート本体の融点以下の温度で前記第1および第2のけい線を形成して前記折り曲げ部を設ける折り曲げ部形成工程と
を含むことを特徴とする樹脂製発泡シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂製発泡シートが、その折り曲げ部で折り曲げられて箱形に形成されていることを特徴とする収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−31893(P2011−31893A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177247(P2009−177247)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(509215134)ファーストインター株式会社 (1)
【出願人】(597075823)住化プラステック株式会社 (37)
【Fターム(参考)】