欠陥検査方法及びその装置
【課題】照明条件、もしくは検出条件の異なる検査結果を統合することで、ノイズやNuisance欠陥と真の欠陥を高精度に判別することができる欠陥検査装置及びその方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、被検査対象物を所定の光学条件で照射する照明光学系と、被検査対象物からの散乱光を所定の検出条件で検出して画像データを取得する検出光学系とを備えた欠陥検査装置であって、前記検出光学系で取得される光学条件若しくは画像データ取得条件が異なる複数の画像データから欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、該複数の画像データから検出された欠陥候補の情報を統合して、欠陥とノイズを判別する検査後処理部とを有する画像処理部を備えたことを特徴とする。
【解決手段】本発明は、被検査対象物を所定の光学条件で照射する照明光学系と、被検査対象物からの散乱光を所定の検出条件で検出して画像データを取得する検出光学系とを備えた欠陥検査装置であって、前記検出光学系で取得される光学条件若しくは画像データ取得条件が異なる複数の画像データから欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、該複数の画像データから検出された欠陥候補の情報を統合して、欠陥とノイズを判別する検査後処理部とを有する画像処理部を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光若しくはレーザ若しくは電子線等を用いて得られた被検査対象物の画像(検出画像)から微細なパターン欠陥や異物等を検出する検査に係り、特に半導体ウェハ、TFT、ホトマスクなどの欠陥検査を行うのに好適な欠陥検査装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出画像と参照画像とを比較して欠陥検出を行う従来の技術としては、特許第2976550号公報(特許文献1)に記載の方法がある。これは、半導体ウェハ上に規則的に形成された多数のチップの画像を取得し,得られたチップの画像に対し,チップ内で周期的なパターンで形成されるメモリマット部に対しては,同一チップ内における近接する繰り返しパターンを相互に比較してその不一致部を欠陥として検出するセル比較検査と,非周期的なパターンで形成される周辺回路部に対しては,近接する複数のチップ間の対応するパターンを比較してその不一致部を欠陥として検出するチップ比較検査を個々に行うものである。
【0003】
更に,特許第3808320号公報(特許文献2)に記載された方法がある。これは,あらかじめ設定されたチップ内のメモリマット部に対して,セル比較検査とチップ比較検査の両者を行い,結果を統合して欠陥を検出するものである。これらの従来技術は,メモリマット部,周辺回路部の配置情報をあらかじめ定義する,もしくは事前に入手し,その配置情報に従って比較の方式を切替えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2976550号公報
【特許文献2】特許第3808320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検査対象物である半導体ウェハでは、CMPによる平坦化等により、隣接チップであってもパターンに膜厚の微妙な違いが生じ、チップ間の画像には局所的に明るさの違いがある。また、パターンの太さのばらつきを起因とするチップ間の明るさの違いもある。ここで,比較するパターン間の距離が近いセル比較検査がチップ比較検査よりも高感度であるが,図17の174の例に示すように,チップ内に複数の異なる周期をもつメモリマット部1741〜1748が混在している場合,従来の技術においては,セル比較検査を行うためのメモリマット部の配置情報の定義や事前の入手が煩雑になってくる。また,周辺回路部といえども,その中には,周期性のあるパターンが混在していることが少なくないが,従来の技術では,これらに対して,セル比較検査を実施するのは困難,可能であったとしてその設定は一層,煩雑になってくる。
【0006】
本発明の目的は、ユーザによる煩雑なチップ内のパターン配置情報の設定や事前の情報入力を不要とし,更には非メモリマット部においても可能な限り高感度な欠陥検出が実現可能な欠陥検査装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、試料上に形成されたパターンを検査する装置を、試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置された試料を撮像して試料上に形成されたパターンの画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段で取得したパターンの画像からパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と画像取得手段で取得したパターンの画像とから参照画像を作成する参照画像作成手段と、参照画像作成手段で作成した参照画像と画像取得手段で取得したパターンの画像とを比較してパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段とを備えて構成した。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する装置を、試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置された試料を撮像して試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得する画像取得手段と、画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの画像から標準画像を生成する標準画像生成手段と、標準画像生成手段で生成した標準画像から本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は標準画像生成手段で生成した標準画像とを用いて参照画像を作成する参照画像作成手段と、参照画像作成手段で作成した参照画像と画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像とを比較して検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段とを備えて構成した。
【0009】
更に、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に形成されたパターンを検査する方法において、試料を一方向に連続的に移動させながら試料を撮像して試料上に形成されたパターンの画像を取得し、取得したパターンの画像からパターンの配置情報を抽出し、 抽出したパターンの配置情報を用いて取得したパターンの画像のうちの検査対象画像から参照画像を作成し、作成した参照画像と検査対象画像とを比較してパターンの欠陥候補を抽出するようにした。
【0010】
更にまた、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する方法において、試料を一方向に連続的に移動させながら試料を撮像して試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得し、順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの複数の画像から標準画像を生成し、生成した標準画像から本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出し、抽出したパターンの配置情報と順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は生成した標準画像とを用いて参照画像を作成し、作成した参照画像と検査すべきパターンの画像とを比較して検査すべきパターンの欠陥候補を抽出するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パターンの配置情報を得る手段と得られたパターンの配置情報から参照画像を自己生成し,比較して欠陥を検出する手段を備えることにより,煩雑なチップ内のパターン配置情報を事前に設定することなく,同一チップ内の比較検査を実現し,欠陥を高感度に検出することを特徴とする。また,同一チップの画像内で類似パターンが見つからなかったパターンのみに,近接するチップの画像の対応するパターンで自己参照画像を補間することにより,非メモリマット領域においても,チップ比較による欠陥判定を行う領域を最小限にし,チップ間の明るさの違いを抑制し,広範囲に亘って高感度な欠陥の検出を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像処理部で行われる欠陥検出処理の一実施例
【図2】欠陥検査装置の構成の概念を示すブロック図である。
【図3A】欠陥検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図3B】自己参照画像生成部8−22の概略の構成を示すブロック図である。
【図4A】チップの画像をウェハの移動方向に分割した状態と各分割画像を複数のプロセッサに分配した状態を説明する図である。
【図4B】チップの画像をウェハの移動方向と直角な方向に分割した状態と各分割画像を複数のプロセッサに分配した状態を説明する図である。
【図4C】1つ又は複数のチップの対応する分割画像を全て一つのプロセッサAに入力し,これらを用いて欠陥候補の検出を行う場合の画像処理部の概略の構成を示す図である。
【図5A】ウェハ上のチップの並びと各チップ内の同じ位置の部分画像の関係を示すウェハの平面図である。
【図5B】自己参照画像生成部8−22で実行する欠陥候補抽出処理の流れを示すフロー図である。
【図6A】パターンの配置情報抽出処理ステップS503の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図6B】先頭チップの画像から画像内の類似パターンを探索する例を示すチップの画像である。
【図7】自己参照画像生成ステップS504の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図8】欠陥判定ステップS505の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図9A】実施例2に係る欠陥候補検出処理の流れを示すフロー図である。
【図9B】実施例2に係る標準画像生成処理の流れを示すフロー図である。
【図9C】実施例2に係る欠陥検査装置の欠陥候補検出部の概略の構成を示す図である。
【図10A】異なる2つの検査条件のそれぞれの画像においてパターンの配置情報を抽出する状態を示すパターンの平面図である。
【図10B】異なる2つの検査条件のそれぞれの画像において評価した類似度を表示したグラフである。
【図11】実施例3に係る欠陥候補検出処理の流れを示すフロー図である。
【図12A】実施例3において欠陥が一つである場合にパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図12B】実施例3において欠陥が二つある場合にパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図13】実施例3において欠陥が二つある場合に二つのパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図14】実施例1に係る欠陥判定処理内容・処理結果として画面上に表示する画像の例である。
【図15A】ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される処理結果表示画面の正面図である。
【図15B】ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される別の例を示す処理結果表示画面の正面図である。
【図16】半導体ウェハの欠陥検査を行う一般的な処理の流れを模式的に示した図である。
【図17】複数の異なる周期を持つメモリマット部が混在している半導体チップの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の実施の形態について図を用いて説明する。まず、被検査対象物として半導体ウェハを対象とした暗視野照明による欠陥検査装置の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
図2は本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態を示す概念図である。光学部1は、複数の照明部4a、4b及び複数の検出部7a、7bを有して構成される。照明部4aと照明部4bとは互いに異なる照明条件(例えば照射角度、照明方位、照明波長、偏光状態の何れか少なくとも一つが異なる)の光を被検査対象物5(半導体ウェハ)に照射する。照明部4a及び照明部4bの各々から出射される照明光により被検査対象物5から夫々散乱光6a及び散乱光6bが発生し、該発生した散乱光6a及び散乱光6bの夫々を検出部7a及び検出部7bの夫々で散乱光強度信号として検出する。該検出された散乱光強度信号の夫々はA/D変換部2で増幅されてA/D変換され、画像処理部3に入力される。
【0015】
画像処理部3は、前処理部8−1、欠陥候補検出部8−2、検査後処理部8−3を適宜有して構成される。画像処理部3に入力された散乱光強度信号に対し、前処理部8−1において、後述する信号補正、画像分割等を行う。欠陥候補検出部8−2では学習部8−21,自己参照画像生成部8−22,欠陥判定部8−23を備えており、前処理部8−1で生成された画像から、後述する処理を行い、欠陥候補を検出する。検査後処理部8−3では、欠陥候補検出部8−2で検出された欠陥候補からノイズやNuisance欠陥(ユーザが不要とする欠陥種や致命性のない欠陥)を除外し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行い、全体制御部9に出力する。
【0016】
図2では、散乱光6a、6bは別々の検出部7a、7bで検出する実施の形態を示すが、1つの検出部で共通に検出しても構わない。また、照明部及び検出部は2つに限定されるものではなく、1又は3つ以上であっても構わない。
【0017】
散乱光6a及び散乱光6bの夫々は、各々照明部4a及び4bに対応して発生する散乱光分布を指す。照明部4aによる照明光の光学条件と照明部4bによる照明光の光学条件が異なれば、各々によって発生する散乱光6aと散乱光6bは互いに異なる。本実施例において、ある照明光によって発生した散乱光の光学的性質およびその特徴を、その散乱光の散乱光分布と呼ぶ。散乱光分布とは、より具体的には、散乱光の出射位置・出射方位・出射角度に対する、強度・振幅・位相・偏光・波長・コヒーレンシ等の光学パラメータ値の分布を指す。
【0018】
次に、図2に示す構成を実現する具体的な欠陥検査装置の一実施の形態としてのブロック図を図3Aに示す。即ち、本実施例に係る欠陥検査装置は、被検査対象物(半導体ウェハ5)に対して照明光を斜方から照射する複数の照明部4a、4bと、半導体ウェハ5からの垂直方向への散乱光を結像させる検出光学系(上方検出系)7aと、斜方向への散乱光を結像させる検出光学系(斜方検出系)7bと、それぞれの検出光学系により結像された光学像を受光し、画像信号に変換するセンサ部31、32とを有する光学部1と、得られた画像信号を増幅してA/D変換するA/D変換部2と、画像処理部3と、全体制御部9とを備えて構成される。
【0019】
半導体ウェハ5はXY平面内の移動及び回転とXY平面に垂直なZ方向への移動が可能なステージ(X−Y−Z−θステージ)33に搭載され、X−Y−Z−θステージ33はメカニカルコントローラ34により駆動される。このとき、半導体ウェハ5をX−Y−Z−θステージ33に搭載し、該X−Y−Z−θステージ33を水平方向に移動させながら被検査対象物上の異物からの散乱光を検出することで、検出結果を二次元画像として得る。
【0020】
照明部4a、4bの各照明光源は、レーザを用いても、ランプを用いてもよい。また、各照明光源の光の波長は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。短波長の光を用いる場合、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長(160〜400nm)の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合、それが単波長のレーザである場合には、可干渉性を低減する手段4c,4dを照明部4a、4bの夫々に備えることも可能である。この可干渉性を低減する手段4c,4dは、回転拡散板で構成してもよいし,または、互いに光路長の異なる複数の光ファイバあるいは石英板あるいはガラス板などを用いて各々が異なる光路長を持つ複数の光束を生成しこれを重ね合わせるような構成にしても良い。照明条件(例えば照射角度、照明方位、照明波長、偏光状態等)はユーザにより選択,もしくは自動選択され,照明ドライバ15において,選択条件に応じた設定,制御を行う。
【0021】
半導体ウェハ5から発した散乱光のうち半導体ウェハ5の対して垂直な方向に散乱した光は検出光学系7aを介してセンサ部31にて画像信号に変換される。また、半導体ウェハ5の対して斜め方向に散乱した光は検出光学系7bを介してセンサ部32にて画像信号に変換される。検出光学系7a,7bは,それぞれ,対物レンズ71a,71b及び結像レンズ72a,72bにより構成され,センサ部31,32に集光,結像される。また,検出系7a及び7bは,フーリエ変換光学系を構成しており,半導体ウェハ5からの散乱光に対する光学処理,例えば,空間フィルタリングによる光学特性の変更,調整なども行えるようになっている。ここで,光学処理として空間フィルタリングを行う場合,照明光として平行光を用いるほうが異物の検出性能が向上するため,長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームとした。
【0022】
センサ部31、32は、イメージセンサに複数の1次元イメージセンサを2次元に配列して構成した時間遅延積分型のイメージセンサ(Time Delay Integration Image Sensor:TDIイメージセンサ)を採用し、X−Y−Z−θステージ12の移動と同期して各1次元イメージセンサが検出した信号を次段の1次元イメージセンサに転送して加算することにより、比較的高速で高感度に2次元画像を得ることが可能になる。このTDIイメージセンサとして複数の出力タップを備えた並列出力タイプのセンサを用いることにより、センサ部31,32からのそれぞれの複数の出力311及び321を並列に処理することができ、より高速な検出が可能になる。空間フィルタ73a,73bは,特定のフーリエ成分を遮光し,パターンからの回折散乱光を抑制する。また,74a、74bは光学フィルタ手段であり、NDフィルタやアッテネータ等の光強度を調整が可能な光学素子、あるいは偏光板や偏光ビームスプリッタや波長板等の偏光光学素子、あるいはバンドパスフィルタやダイクロイックミラー等の波長フィルタの何れか又はそれらを組合せたもので構成され、検出光の光強度、偏光特性、波長特性の何れか又はそれらを組合せて制御する。
【0023】
画像処理部3は被検査対象物である半導体ウェハ5上の欠陥を抽出するものであって、センサ部31、32から入力された画像信号に対してシェーディング補正・暗レベル補正等の画像補正を行い一定単位の大きさの画像に分割する前処理部8−1、補正・分割された画像から欠陥候補を検出する欠陥候補検出部8−2、検出された欠陥候補からNuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥について欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う検査後処理部8−3、外部から入力されるパラメータなどを受け付け、欠陥候補検出部8−2および検査後処理部8−3へセットするパラメータ設定部8−4、前処理部8−1・欠陥候補検出部8−2・検査後処理部8−3それぞれで処理中のデータ及び処理されたデータを記憶する記憶部8−5を含んで構成される。そして、画像処理部3において例えばパラメータ設定部8−4はデータベース35を接続して構成される。
【0024】
また、欠陥候補検出部8−2は、図3Bに示すように、学習部8−21と自己参照画像生成部8−22と欠陥判定部8−23とを備えている。
【0025】
全体制御部9は、各種制御を行うCPU(全体制御部9に内蔵)を備え、ユーザからのパラメータなどを受け付け、検出された欠陥候補の画像、最終的に抽出された欠陥の画像等を表示する表示手段と入力手段を持つユーザインターフェース部(GUI部)36及び画像処理部3で検出された欠陥候補の特徴量や画像等を記憶する記憶装置37を適宜接続している。メカニカルコントローラ34は、全体制御部9からの制御指令に基づいてX−Y−Z−θステージ33を駆動する。尚、画像処理部3、検出光学系7a、7b等も全体制御部9からの指令により駆動される。
【0026】
被検査対象物である半導体ウェハ5は、例えばメモリマット部と周辺回路部とを有する同一パターンのチップが多数、規則的に並んでいる。全体制御部9は半導体ウェハ5をX−Y−Z−θステージ33により連続的に移動させ、これに同期して、順次、チップの像をセンサ部31、32より取り込み、得られた2種の散乱光(6a、6b)の画像各々に対し、欠陥を含まない基準画像を自動生成し,生成した基準画像と順次取り込んだチップの画像とを比較して欠陥を抽出する。
【0027】
そのデータの流れを図4Aに示す。半導体ウェハ5において、例えばX−Y−Z−θステージ33を走査させることにより矢印401の方向に半導体ウェハ5上の帯状の領域40の画像が得られたとする。チップnを検査対象チップとした場合、41a、42a、・・、46aはセンサ部31から得られたチップnの画像をX−Y−Z−θステージ33の進行方向に6分割した分割画像(即ち、チップnを撮像した時間を6分割してそれぞれの時間ごとに得られた画像)である。また、41a’、42a’、・・、46a’は隣接するチップmをチップnと同様に6分割した分割画像である。同じセンサ部31から得られたこれらの分割画像は、縦縞で図示されている。一方、41b、42b、・・、46bはセンサ部32から得られたチップnの画像を同様にX−Y−Z−θステージ33の進行方向に6分割した分割画像である。また、41b’、42b’、・・、46b’はチップmの画像を同様に画像を取得する方向(矢印401の方向)に6分割した分割画像である。同じセンサ部32から得られたこれらの分割画像は、横縞で図示されている。
【0028】
本実施例では画像処理部3に入力される2つの異なる検出系(図3の7aと7b)の画像各々について、分割位置がチップnとチップmとの間で対応するように分割する。画像処理部3は複数の並列に動作するプロセッサで構成されており、各対応する画像(例えば、センサ部31で得たチップnとチップmの対応する位置の分割画像41aと41a’、センサ部32で得たチップnとチップmの対応する位置の分割画像41bと41b’など)を同じプロセッサに入力する。各プロセッサは同じセンサ部から入力された各チップの対応する箇所の分割画像から欠陥候補の検出を並列に行う。
【0029】
このように、2つのセンサ部から光学条件と検出条件の組合せが異なる同領域の画像が同時に入力された場合、複数のプロセッサにて並列(例えば、図4AのプロセッサAとプロセッサCの並列、プロセッサBとプロセッサDの並列等)に欠陥候補の検出を行う。
【0030】
一方、光学条件と検出条件の組合せが異なる画像から欠陥候補の検出を時系列に行うことも可能である。例えば、プロセッサAにて分割画像41aと41a’から欠陥候補の検出を行った後、同じプロセッサAにて分割画像41bと41b’から欠陥候補の検出を行う、もしくは,同じプロセッサAにて光学条件と検出条件の組合せが異なる分割画像41a,41a’,41b,41b’を統合して欠陥候補の検出を行う,等各プロセッサに分割画像をどう割り振り,どの画像を用いて欠陥検出を行うかは自由に設定できる。
【0031】
また,得られたチップの画像の分割方向を変えて欠陥判定を行うことも可能である。そのデータの流れを図4Bに示す。上記,帯状の領域40の画像に対し,検査対象チップnについて,41c,42c,43c,44cはセンサ部31から得られた画像をセンサのステージの進行方向と垂直な方向(センサ部31の幅方向)に4分割した分割画像である。また,41c’,42c’,43c’,44c’は隣接するチップmを同様に4分割した分割画像である。これらの画像は縦縞で図示されている。同様にセンサ部32から得られ,同様に分割した画像(41d〜44d,41d’〜44d’)は斜線で図示されている。そして各対応する位置の分割画像を同じプロセッサに入力し,並列に欠陥候補の検出を行う。当然,得られた各チップの画像を分割せずに画像処理部3に入力して処理することも可能である。
【0032】
図4Bの41c〜44cはセンサ部31から得られた帯状の領域40のうち,チップnの画像,41c'〜44c'はセンサ部31から得られた隣接するチップmの画像,同様に41d〜44dはセンサ部32から得られたチップnの画像, 41d'〜44d'はセンサ部32から得られたチップmの画像である。このように,同じセンサから得られた各チップの対応する位置の画像を図4Aで説明したように検出時間ごとに分割せずに同一のプロセッサに入力し,欠陥候補の検出を行うことも可能である。
なお,図4A及び図4Bでは,隣接する2つのチップnとmの対応する分割画像が同じプロセッサに入力され,欠陥検出を行う例を示したが,図4Cに示すように、1つ又は複数のチップ(最大で半導体ウェハ5に形成されたチップの数)の対応する分割画像をプロセッサAに入力し,これらを全て用いて欠陥候補の検出を行うことも可能である。いずれにせよ、複数の光学条件の画像それぞれに対し、各チップの対応する位置の画像(分割してもしなくてもよい)を同じプロセッサに入力し、各光学条件の画像毎,もしくは各光学条件の画像を統合して欠陥候補を検出する。
【0033】
次に、各プロセッサにおいて行われる,画像処理部3の欠陥候補検出部8−2の処理の流れについて説明する。図5Aには,図4A及び図4Bに示した,半導体ウェハ5において、ステージ33の走査によりセンサ部31から得られる帯状の領域40の画像のうち,チップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzとそれに対応する領域の分割画像51,52,・・・,5zとの関係を示す。また、図5Bには,分割画像51,52,・・・,5zをプロセッサAに入力し、51,52,・・・ 5zにある欠陥候補を検出する処理の流れの概要を示す。
【0034】
図2及び図3に示したように、欠陥候補検出部8−2には,学習部8−21,自己参照画像生成部8−22,欠陥判定部8−23が備えられている。まず,先頭のチップ1の画像51が最初に欠陥候補検出部8−2に入力されると(S501),学習部8−21において,入力された画像51からパターンの配置情報を抽出する(S503)。これは,画像51内の各パターンについて,類似するパターンを画像内で探索して抽出し,この抽出された類似パターンの位置を記憶するものである。
【0035】
図6Aを用いて、S501で入力された先頭チップの画像51からパターンの配置情報を抽出するステップS503の詳細を説明する。
【0036】
S501で入力された先頭チップの画像51に対し,まず,パターンを含むN×N画素の小領域を抽出する(S601)。以下,N×N画素の小領域をパッチと記載する。次に抽出した全てのパッチについて、各パッチ内の特徴量を1つ以上,演算する(S602)。特徴量は,そのパッチの特徴を表すものであればよい。その例としては、(a)輝度値の分布(数1)、(b)コントラストの分布(数2)、(c)輝度分散値(数3),(d)近傍画素との輝度増減分布(数4)等がある。
【0037】
これらの特徴量は、パッチ内の各画素(x,y)の明るさをf(x,y)とすると,以下の式で算出する。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
(数1)〜(数4)において,
i,j=0,1,・・N-1
そして、画像51の各パッチの特徴量全て、あるいは、いくつかを選択し、パッチ間の類似度を演算する(S603)。類似度の例として,選択した特徴量の分布,すなわち,(数1)〜(数4)で示すN×N次元の特徴を軸とする特徴空間上でのパッチ間の距離などがある。例えば,(a)輝度値の分布を特徴量とした場合,パッチP1(中心座標(x,y))とパッチP2(中心座標(x',y'))の類似度は,
【0043】
【数5】
【0044】
となる。
【0045】
そして,各パッチについて,類似度が最も高いパッチを探索し(S604),類似パターンとしてその座標を記憶部8−5に保存する(S605)。
【0046】
例えば,パッチP1の類似パターンがパッチP2であった場合,パッチP1の座標(x,y)の類似座標情報はパッチP2の(x',y')であるということになる。これは,画像内の各パターンについて,参照すべき類似パターンがどこにあるか,または,座標(x,y)に対応する類似座標情報が無い場合には類似パターンが存在しないといった,パターンの配置情報となる。例えば、図6Bに示すように、左側の画像51について,パッチ61a,62a,63a,64aの類似パターン探索結果は図6B右側のパッチ61b,62b,63b,64bとなる。
【0047】
図5Bの例では,S501で入力された先頭のチップの画像51を用いてS503で抽出されたパターンの配置情報を基に,自己参照画像生成ステップS504において,画像51から欠陥候補を抽出する際の基準画像となる参照画像を自己生成する。以下,実際には存在せず,検査対象画像自身から生成する参照画像を自己参照画像と記載する。
【0048】
次に、自己参照画像生成ステップS504において自己参照画像生成部8−22で実行する具体的な自己参照画像の生成方法の一例を図1に示す。検査対象となる画像51について,S503で学習部8−21においてパターンの配置情報抽出を実行して類似パターンを探索した結果,図6Bの通り,パッチ61a,62a,63a,64aの類似パターンがパッチ61b,62b,63b,64bであるという配置情報510が得られた場合,自己参照画像100を,パッチ61aの位置にパッチ61b(具体的にはパッチ61bの位置のN×N画素の輝度値)を配置,同様に,パッチ62a,63a,64aの位置にパッチ62b,63b,64bを配置することにより生成する。ここで,パッチ11a,12aのように,画像51内で類似するパッチが存在しない場合は,隣接するチップの対応する分割画像52の同じ位置のパッチ11c,12c(具体的には,画像52内のN×N画素の部分画像)を自己参照画像100に配置して補間する。
【0049】
以上に説明した自己参照画像生成部8−22で実行する自己参照画像生成ステップS504の詳細を図7を用いて説明する。先ず、S503で先頭チップの画像51から抽出したパターンの配置情報510を基に,類似パターン(パッチ)が先頭チップの画像(自画像)51内に存在するか否かを判断し(S701),類似パターン(パッチ)が自画像51内に存在する場合には配置情報に含まれる座標の類似パターン(パッチ)を自己参照画像100に配置し(S702),類似パターン(パッチ)が自画像51内に存在しない場合には他の領域(隣接するチップ2)の画像52の同座標のパターンを自己参照画像100に配置して(S703)自己参照画像100を生成する(S704)。
【0050】
この生成された自己参照画像100は欠陥判定部8−23へ送られて、次の欠陥判定ステップS505が実行される。ここで,各パッチに対する,自画像内の類似パターンの有無も配置情報510に含まれている。なお,パッチのサイズNは,1画素以上のいずれの画素数でも定義できる。
【0051】
図8は,欠陥判定部8−23で実行される検査対象画像51と自己参照画像100で行う欠陥判定ステップS505の処理の流れを示す。半導体ウェハ5は前述の通り,同一パターンが規則的に形成されており、S501で入力された画像51とS504で生成された自己参照画像100は本来、同一であるべきだが、多層膜が形成されているウェハ5には、チップ間の膜厚の違いに起因して、画像間には大きな明るさの違いが生じている。このため,隣接チップの画像から配置したパッチの部分においては,S501で入力した画像51とS504で生成した自己参照画像100の間で明るさの違いが大きい可能性が高い。また、ステージ走査時の画像の取得位置の微妙な違い(サンプリング誤差)による,パターンの位置のずれも生じている可能性がある。
【0052】
このため,欠陥判定部8−23は最初にそれらの補正を行う。まず、S501で入力された画像51とS504で生成した自己参照画像100の明るさのずれを検出し、補正を行う(S801)。明るさの補正は,画像間全体で行う,各パッチ間で行う,隣接チップの画像52から配置したパッチのみで行う,などいずれの単位で行ってもよい。明るさのずれの検出,補正の例としてここでは、最小二乗近似による例を示す。
画像間の対応する画素f(x,y)、g(x,y)について、(数6)に示す線形関係があると仮定し、(数7)が最小となるようにa、bを算出し、これを補正係数gain、offsetとするものである。そして、明るさ補正対象となるS501で入力された画像51の全画素値f(x,y)に対して、(数8)の通りに明るさの補正を行う。
【0053】
【数6】
【0054】
【数7】
【0055】
【数8】
【0056】
次に、画像間の位置のずれを検出し、補正を行う(S802)。これも同様に全パッチ間で行ってもよいし,隣接チップの画像52から配置したパッチのみで行ってもよい。位置ずれ量検出、補正処理は一方の画像をずらしながら、他方の画像との間で輝度差の二乗和が最小になるずれ量を求める、もしくは、正規化相関係数が最大となるずれ量を求める方法等が一般的である。
【0057】
次に、明るさ補正、及び位置補正を行った画像51の対象画素に対して、自己参照画像100の対応する画素との間で特徴量を演算する(S803)。そして、対象画素の特徴量全て、あるいは、いくつかを選択し、特徴空間を形成する(S804)。特徴量は、その画素の特徴を表すものであればよい。その一実施例としては、(a)コントラスト(数9)、(b)濃淡差(数10)、(c)近傍画素の明るさ分散値(数11)、(d)相関係数、(e)近傍画素との明るさの増減、(f)2次微分値等がある。
【0058】
これらの特徴量の例は、検出画像の各点の明るさをf(x,y)、対応する参照画像の明るさをg(x,y)とすると以下の式で画像のセット(51と100)から算出する。
【0059】
【数9】
【0060】
【数10】
【0061】
【数11】
【0062】
加えて、各画像の明るさそのものも特徴量とする。そして、これらの特徴量から1つ又は複数個の特徴量を選択し,画像内の各画素を、選択した特徴量を軸とする特徴空間に特徴量の値に応じてプロットし、正常と推定する分布を囲むようにしきい値面を設定する(S805)。設定されたしきい値面の外側にある画素、すなわち、特徴的にはずれ値となる画素を検出して(S806)、欠陥候補として出力する(S506)。正常範囲の推定には、ユーザが選択した特徴量に対して個々にしきい値を設定してもよいし、正常画素の特徴の分布は正規分布に従うと仮定し、対象画素が非欠陥画素である確率を求めて識別する方法でもよい。
【0063】
後者は、n個の正常画素のd個の特徴量をx1、x2、‥、xnとすると、特徴量がxとなる画素を欠陥候補として検出するための識別関数φは、(数12)、(数13)で与えられる。
【0064】
【数12】
【0065】
【数13】
【0066】
ここで、特徴空間は画像51と自己参照画像100内の全画素で形成してもよいし,パッチ毎に形成してもよいし,画像51内の類似パターンで配置した全パッチと,隣接チップの画像52から配置した全パッチ各々で形成しても構わない。ここまでが,欠陥候補検出部8−2の処理の例である。
【0067】
更に、欠陥候補検出部8−2において検出した欠陥候補から、Nuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を検査後処理部8−3で行う。
【0068】
次に、隣接するチップ2を撮像して得た部分画像52を入力し(S502)、既に先頭ダイの画像51から得たパターンの配置情報を用いて部分画像52から自己参照画像を作成し(S504),この作成した自己参照画像と部分画像52とを比較して欠陥判定し(S505)、欠陥候補を抽出する(S506)。以降、先頭ダイの画像51から得たパターンの配置情報を用いて光学系1で撮像して得た部分画像に対して順次この(S504)乃至(S506)の処理を繰り返すことにより、ウェハ5上に形成された各チップの欠陥検査を行うことができる。
【0069】
以上に説明したように、本実施例では,検査対象となる画像自身からパターンの配置情報を得て,参照画像を自己生成し,比較して欠陥を検出する。
【0070】
図14は,図3の装置の構成におけるユーザインターフェース部36に表示されるこれらの処理内容,処理結果の例である。140は検査対象となる画像であり,微小な欠陥141を含む。142は,画像140に対して,近傍の複数のチップの同じ位置の画像を統計的に処理して生成した標準画像である。
【0071】
通常,検査対象画像140と標準画像142を比較して,差の大きい部分を欠陥として検出するのが一般的である。これに対し,143は、本実施例において標準画像142から抽出したパターンの配置情報を用いて,画像140から生成される自己参照画像であり,これらを並べて表示する。
【0072】
自己参照画像143内のパッチ143a〜143fは,パターン領域のコーナといった画像140内に類似するパッチがなく,標準画像142の同位置から配置されたパッチを示す。144は,一般的に行われる,検査対象画像140と標準画像142の比較結果である。差異の大きい部分ほど,明るく表示してある。145は,検査対象画像140と自己参照画像143の比較結果である。
【0073】
検査対象画像140と標準画像142との間には,半導体ウェハ内膜厚の違いなどを起因とし,欠陥141の背景パターン領域で明るさむらが生じており,画像144においてその差異も大きくでてしまい,欠陥が顕在化できないのに対し,自己参照画像との比較においては,背景パターン領域の明るさむらが抑制されるため,画像145において欠陥が顕在化可能となる。一方,自己参照画像143において,標準画像のパッチを配置したパッチ143a〜143fの部分は,画像145において,画像144と同様に差異が大きく残る。
【0074】
画像146は,自己参照画像143を生成する際に,標準画像142から配置したパッチの部分を示すものである。画像147は,自己参照画像143の各パッチが,検査対象画像140自身から配置したものか,標準画像141から配置したものかに応じて算出されるしきい値を示すものである。しきい値が高い部分ほど,明るく表示してある。
【0075】
本実施例ではこれらの画像の全て,もしくはいくつかを並べて表示する。これにより,ユーザはこれらの画像から,検出された欠陥が,自画像内の類似パターンと比較して検出されたものか,近傍のチップの同位置のパターンと比較して検出されたものであるか,また,そのときのしきい値がいくつであったか,などを確認できる。
【0076】
図15Aの1500は,ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される上述の処理結果表示画面の一例である。1501は,検査対象となった半導体ウェハのどこで欠陥が検出されたかを示す欠陥マップである。黒点が検出された欠陥の位置を示す。1502は,検出された欠陥各々の特徴を示す欠陥リストである。特徴には,各々の欠陥のウェハ上の座標,輝度値,面積などがあり,欠陥リストはそれらの特徴でソートして表示することも可能である。
【0077】
1503は,条件設定ボタンであり,ユーザが条件(光学条件,画像処理条件など)を変えて検査をしなおしたい場合は,ここから条件の変更を行う。条件設定ボタン1503が押されると,各画像処理パラメータに対する入力ボタンが表示され,ユーザはパラメータ値や条件を変更できる。また,ユーザが各欠陥の種類や画像,検出された経緯などの詳細な解析を行いたい場合,その欠陥を欠陥マップ1501上の黒点を選択するか,欠陥リスト1502上から選択すると(図14bでは欠陥リスト1502のNo.2の欠陥をマウスで操作してポインタ(1504)で指定),その欠陥の詳細が示される。
【0078】
図15Bの1510は別の表示画面の例で,図15Aで説明した欠陥マップ1501、欠陥リスト1502のほかに、特定の欠陥の詳細情報を更に表示する例である。選択された欠陥について,図14で示した処理内容,処理結果の全て,もしくはいずれかの画像が表示される,図中の1511の領域に表示された画像はその一例である。更に,1512のように,特定の欠陥を別の検出系で見た観察像,例えば,電子線像,明視野照明で取得した正反射像などを表示することも可能である。
【0079】
図16は,半導体ウェハに対する一般的な欠陥判定処理の流れである。半導体ウェハ上には,同一となるように,チップが規則的に形成されており(160,161),それらを図3で説明したような光学系を用いて撮像して得たそれぞれの画像の差異を算出し,図14で説明したように別途設定されるしきい値画像147と比較し(165),差異が大きい部分を欠陥として検出する(166)。ここで,チップは一般的に,周期的な微細パターンからなるメモリマット部163(チップ160,161内の小さな矩形で示す各領域)と,ランダムなパタ-ンからなる周辺回路部162(チップ160,161内の斜線で示す領域)で構成される。メモリマット部163内の各画素は同じ領域内の1〜数周期分,離れた画素と比較して(セル比較)欠陥を検出し,周辺回路部162内の各画素は近傍のチップの同位置の画素と比較して(チップ比較又はダイ比較)欠陥を検出するのが一般的である。
このような検査を実現するために,従来、ユーザは事前に各メモリマット部の領域の定義,すなわち,チップ内のメモリマット部の開始座標と終点座標,メモリマット部のサイズ,間隔など,メモリマップ部内の微細パターンの周期など,チップの構成を示す情報の入力を行う必要があった。
【0080】
図17の174は複数のメモリマット部1741〜1748を混載したチップの例である。図17に示した例ではメモリマット部が8個存在し,各メモリマット部は,面積,パターンの周期,周期の方向(チップの縦方向に周期性があるか,横方向に周期性があるか)などが異なる。このようなチップに対しては,従来ユーザが各メモリマット部1741〜1748について個別に定義を行う必要があった。これに対し,本実施例においては,メモリマット部/非メモリマット部に係わらず,また,繰返しパターンの周期や周期の方向などの情報を事前に必要とせず,チップ内の比較(セル比較),チップ間の比較(チップ比較又はダイ比較)の切り分けを自動で行い,それぞれに最適な感度を自動で設定して,欠陥の検出を行うことが可能となる。
そして,CMP(Chemical Mechanical Polishing)加工等平坦化プロセス後のパターンの膜厚の微妙な違いや、照明光の短波長化により比較するチップ間に大きな明るさの違いがあっても、煩雑なチップのレイアウトの入力を必要とせずにチップ間の比較を最小限にとどめ,膜厚の違いが大きい領域にある微小な欠陥(例えば,100nm以下の欠陥など)を高感度に検出することが可能となる。
【0081】
また、SiO2をはじめ、SiOF、BSG、SiOB、多孔質シリア膜、等の無機絶縁膜や、メチル基含有SiO2、MSQ、ポリイミド系膜、パレリン系膜、テフロン(登録商標)系膜、アモルファスカーボン膜等の有機絶縁膜といったlow k膜の検査において、屈折率分布の膜内ばらつきによる局所的な明るさの違いがあっても、本発明により、微小な欠陥の検出が可能となる。
【実施例2】
【0082】
本発明の第2の実施例について、図9A〜C及び図10を用いて説明する。第2の実施例における装置の構成は、第1の実施例で説明した図2及び図3に示した構成と欠陥候補検出部8−2以外は同じであるので説明を省略する。第1の実施例と異なる部分は、第1の実施例において図5乃至7を用いて説明したパターンの配置情報を抽出して自己参照画像を生成する部分であり、第1の実施例においては先頭ダイの画像からパターンの配置情報を得、このパターンは位置情報を用いて各検査画像から自己参照画像を生成する方法について説明したが、本実施例においては、複数のダイの画像からパターンの配置情報を得る方法について、図9A〜C及び10を用いて説明する。
【0083】
図9Aは,図9Bに示すような半導体ウェハ5上に切り返し形成されたチップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzの対応する領域の分割画像51,52,・・・,5zをプロセッサA(図4A参照)に入力し,51,52,・・・,5zにある欠陥候補を検出する別の処理の概要である。本実施例における欠陥候補検出部8−2'は,図9Cに示すように、学習部8−21',自己参照画像生成部8−22',欠陥判定部8−23'、基準画像生成部8−24'を備えている。
【0084】
まず,光学部1で半導体ウェハ5を撮像して得られた画像が前処理部8−1で前処理された後に欠陥候補検出部8−2'の同じプロセッサに入力され(S901),複数チップ間で位置が対応する分割画像51,52,・・・,5zのうちの複数の分割画像から,標準画像を生成する(S902)。
【0085】
標準画像の生成方法の一例としては,図9Bに示すように、複数の画像間で位置のずれを補正し(S9021)、整列させ(S9022)、この整列させた状態で,全画素を対象として,複数画像間の対応する座標の画素値(輝度値)を収集し(S9023),(数14)に示すように,統計的に各画素の輝度値を決定する(S9024)。これにより,欠陥の影響を排除した標準画像を生成する(S9025)。
S(x,y)= Median{f1(x,y),f2(x,y),f3(x,y),f4(x,y),f5(x,y),・・・}
・・・(数14)
Median:収集した輝度値の中央値(メディアン)を出力する関数
S(x,y):標準画像の輝度値
fn(x,y):整列位置補正後の分割画像5nの輝度値
なお,統計的な処理として,収集した画素値の平均値を標準画像の輝度値としてもよい。
【0086】
また,標準画像の生成に用いる画像は,別の行に配列されたチップの対応する位置の分割画像(最大で半導体ウェハ5上の形成された全チップ数となる)を加えることも可能である。
S(x,y)= Σ{fn(x,y)}/N,N:統計処理に用いる分割画像数
・・・(数15)
そして,欠陥の影響を除外した標準画像から,学習部8−21'において,実施例1において図5Bを用いて説明したS503のステップと同じようにパターンの配置情報910を抽出する(S903)。そして,検査対象となる各画像51,52,・・・,5z各々について,自身の画像から配置情報910に基づき図5Bを用いて説明したS504のステップと同じよう自己参照画像を生成する(S904)。ここで,類似パターン(パッチ)が存在しないパターン(パッチ)について,隣接するチップの同座標のパターンを自己参照画像に配置してもよいが,図9Aに示すように,S902で生成した標準画像91を用いて自己参照画像生成ステップS904で自己参照画像を生成してもよい。次に、ステップS904で生成した自己参照画像をステップS901で前処理部8−1から入力した画像51,52,53・・・とそれぞれ比較する欠陥判定処理を行い(S905),欠陥候補を抽出して(S906)その結果を検査後処理部8−3へ送り、実施例1で説明したのと同様な処理を行う。
【0087】
以上に説明したように,本実施例においては1つの光学条件の複数の領域の画像を用いて作成した標準画像からパターンの配置情報910を抽出し(S903),自己参照画像を生成して(S904)比較してS905で欠陥を判定し、S906で欠陥候補を検出するが,更に光学条件と検出条件の組合せが異なる画像から,パターンの配置情報を抽出することも可能である。
【0088】
図10Aは,光学条件と検出条件の組合せが異なる条件A,条件Bで得られた,ウェハ上の特定の位置の画像101A,画像101BからS903のステップでパターンの配置情報を抽出する例である。条件Aで取得した画像101Aにおいて,パッチ102に対して最も類似度が高いパッチが103a,2番目に類似度が高いパッチが104aであり,条件Bで取得した同じ領域の画像101Bにおいては,対応するパッチ102に対して最も類似度が高いパッチが104b,2番目に類似度が高いパッチが103bであった場合,画像101A,画像101Bそれぞれから算出する類似度を統合して類似パッチを決定する。
【0089】
統合して類似パッチを決定する一例としては,図10Bに示すように横軸に画像101Aから算出するパッチ間の類似度,縦軸に画像101Bから算出するパッチ間の類似度を取り,対象パッチを,両画像から算出される類似度に応じてプロットする。プロット点103cは,パッチ102−103a間の類似度DA3と,パッチ102−103b間の類似度DB3に応じてプロットされた点であり,点104cは,同様にパッチ102−104a間の類似度DA4と,パッチ102−104b間の類似度DB4に応じてプロットされた点である。そして,2点のうち,原点からの距離が大きい点104cを類似度最大パッチとする。すなわち,102に対して,類似度最大パッチは104a,104bとなる。このように見え方の異なる2枚以上の複数の画像から算出した類似度を統合して,類似度最大パッチを決定することにより,S903のステップにおける類似パターンの探索精度を向上させることも可能である。
【0090】
生成した自己参照画像を用いて検査画像51と比較し、欠陥候補を抽出する処理は実施例1において図8を用いて説明したものと同じである。また、検査結果の出力についても、実施例1において図14を用いて説明したものと同じである。
【実施例3】
【0091】
本発明の第3の実施例について、図11乃至13を用いて説明する。本実施例における装置の構成は実施例1で説明した図2及び図3に示した構成と欠陥候補検出部8−2以外は同じであるので説明を省略する。
実施例2において図10を用いて説明したパターンの位置情報を抽出する例では2つの類似パターンの候補から類似度最大パターンを1つ決定しているが,実際には,1枚の画像内に,類似パターンは複数個あることが多い。本実施例においては、複数の類似パターンを用いることにより,より信頼性の高い欠陥判定を行う方法について説明する。
【0092】
図11に処理の流れの概要を示す。チップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzの対応する領域の分割画像51,52,53・・・,5zを取得し(S1101)、この取得した分割画像のうちの2つ以上の複数の分割画像から,標準画像1110を生成する(S1102)。
【0093】
標準画像1110の生成方法は実施例1及び実施例2の場合と同じである。そして,標準画像1110から,学習部8−21'において,パターンの配置情報を抽出する(S1103)。ここでは,類似度が最も高いパッチを1つ抽出するのではなく,類似度が最も高いパッチ,2番目に高いパッチ,3番目に高いパッチ,・・・とパターン情報を抽出しその座標などを配置情報(1102a,1102b,1102,・・・)として保持する。そして,検査対象となる各画像51,52,・・・,5z各々について,自身の画像から配置情報(1102a,1102b,1102c,・・・)に基づき,自己参照画像を各々に生成し(S1104),得られた複数枚の自己参照画像について,欠陥判定ステップS1105においてそれぞれに図8で示したはずれ画素検出処理を行い,全自己参照画像から検出されるはずれ画素を統合して欠陥候補を検出する(S1106)。
【0094】
統合の一例としては,各画素で算出される,はずれ画素であるか否かの評価値(例えば,特徴空間上で推定された正常部の分布からの距離など)を各自己参照画像から算出し,それらの論理積(画像間の最小評価値)や論理和(画像間の最大評価値)をとることで行う。図12A、B及び図13にその具体的な効果の例を示す。
【0095】
図12Aの1200は検査対象となるチップの画像,1110は標準画像である。パッチ1201乃至1203のうち、パッチ1202内のパターン(横縞の十字パターン)は欠陥を示す。ステップS1103において、標準画像1110のパッチ1201aに対する類似パッチが1203a,パッチ1202aに対する類似パッチが1201a,パッチ1203aに対する類似パッチが1201aとして抽出されたとする。この配置情報からS1104において画像1200の自己参照画像を生成した画像が1210である。そして,S1105で画像1200と自己参照画像1210を比較してそれらの差画像1215を作成することにより,欠陥1202dが検出される(S1106)。
【0096】
これに対し,図12Bに示す検査対象画像1220のように,パッチ1204乃至1206のうち、パッチ1204,1205内それぞれに欠陥が生じていた場合,S1104において上記配置情報から生成される画像1220の自己参照画像は1230となり,欠陥判定ステップS1105において作成した画像1220と自己参照画像1230との差画像1225にはパッチ1205内になる欠陥は検出できない。更にパッチ1204と1205が互いに類似パターンであった場合,2つの欠陥ともに検出できない。
【0097】
これに対し,図13は,複数のパターン配置情報を利用することで,複数の類似パターンにまたがる大きな欠陥を検出可能とする例である。検査対象画像1300内の三つのパッチ1301乃至1303のうちパッチ1301と1302内それぞれに欠陥が生じている検査対象画像1300に対し、ステップS1103において求めた上記配置情報から自己参照画像生成ステップS1104で自己参照画像生成部8−22'において生成される画像1310に加え、ステップS1103で学習部8−21'において更に2番目に類似度が高いパッチによるパターンの配置情報を求め、この2番目に類似度が高いパッチによるパターンの配置情報から自己参照画像生成ステップS1104において自己参照画像生成部8−22'で1320を自己参照画像として生成する。
【0098】
これは、標準画像1110において、パッチ1301aに対する2番目の類似パッチが1302a,パッチ1302aに対する2番目の類似パッチが1303aとした2番目のパターン配置情報から生成したものである。そして、欠陥判定ステップS1105において欠陥判定部8−23'で画像1300と2つの自己参照画像1310、1320とを比較し、その結果,差画像1331a、と差画像1331bとを欠陥候補として抽出する(S1106)。
【0099】
そして、欠陥判定部8−23'でこれらの2つの比較結果を統合する(ここでは、論理和をとる)ことにより、検査対象画像1300のパッチ1301、1302内の欠陥画像1332が抽出される。ここでは,以上のように、大きな欠陥の見逃しを防ぐために2つの自己参照画像との比較結果の論理和をとる例を示したが、誤検出を防ぐために、2つ以上の複数の自己参照画像との比較結果に対して論理積をとることにより処理は多少複雑になるが、より信頼性の高い欠陥検出を行うことが出来る。
【0100】
生成した自己参照画像を用いて検査画像51と比較し、欠陥候補を抽出する処理は実施例1において図8を用いて説明したものと同じである。また、検査結果の出力についても、実施例1において図14を用いて説明したものと同じである。
【0101】
以上、本発明の一実施例を半導体ウェハを対象とした暗視野検査装置における比較検査画像を例にとって説明したが、電子線式パターン検査における比較画像にも適用可能である。また、明視野照明のパターン検査装置にも適用可能である。
【0102】
検査対象は半導体ウェハに限られるわけではなく、画像の比較により欠陥検出が行われているものであれば、例えばTFT基板、ホトマスク、プリント板等でも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1・・・光学部 2・・・メモリ 3・・・画像処理部 4a,4b・・・照明部 5・・・半導体ウェハ 7a,7b・・・検出部 8−2・・・欠陥候補検出部 8−3・・・検査後処理部 31,32・・・センサ部 9・・・全体制御部 36・・・ユーザインターフェース部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光若しくはレーザ若しくは電子線等を用いて得られた被検査対象物の画像(検出画像)から微細なパターン欠陥や異物等を検出する検査に係り、特に半導体ウェハ、TFT、ホトマスクなどの欠陥検査を行うのに好適な欠陥検査装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出画像と参照画像とを比較して欠陥検出を行う従来の技術としては、特許第2976550号公報(特許文献1)に記載の方法がある。これは、半導体ウェハ上に規則的に形成された多数のチップの画像を取得し,得られたチップの画像に対し,チップ内で周期的なパターンで形成されるメモリマット部に対しては,同一チップ内における近接する繰り返しパターンを相互に比較してその不一致部を欠陥として検出するセル比較検査と,非周期的なパターンで形成される周辺回路部に対しては,近接する複数のチップ間の対応するパターンを比較してその不一致部を欠陥として検出するチップ比較検査を個々に行うものである。
【0003】
更に,特許第3808320号公報(特許文献2)に記載された方法がある。これは,あらかじめ設定されたチップ内のメモリマット部に対して,セル比較検査とチップ比較検査の両者を行い,結果を統合して欠陥を検出するものである。これらの従来技術は,メモリマット部,周辺回路部の配置情報をあらかじめ定義する,もしくは事前に入手し,その配置情報に従って比較の方式を切替えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2976550号公報
【特許文献2】特許第3808320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検査対象物である半導体ウェハでは、CMPによる平坦化等により、隣接チップであってもパターンに膜厚の微妙な違いが生じ、チップ間の画像には局所的に明るさの違いがある。また、パターンの太さのばらつきを起因とするチップ間の明るさの違いもある。ここで,比較するパターン間の距離が近いセル比較検査がチップ比較検査よりも高感度であるが,図17の174の例に示すように,チップ内に複数の異なる周期をもつメモリマット部1741〜1748が混在している場合,従来の技術においては,セル比較検査を行うためのメモリマット部の配置情報の定義や事前の入手が煩雑になってくる。また,周辺回路部といえども,その中には,周期性のあるパターンが混在していることが少なくないが,従来の技術では,これらに対して,セル比較検査を実施するのは困難,可能であったとしてその設定は一層,煩雑になってくる。
【0006】
本発明の目的は、ユーザによる煩雑なチップ内のパターン配置情報の設定や事前の情報入力を不要とし,更には非メモリマット部においても可能な限り高感度な欠陥検出が実現可能な欠陥検査装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、試料上に形成されたパターンを検査する装置を、試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置された試料を撮像して試料上に形成されたパターンの画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段で取得したパターンの画像からパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と画像取得手段で取得したパターンの画像とから参照画像を作成する参照画像作成手段と、参照画像作成手段で作成した参照画像と画像取得手段で取得したパターンの画像とを比較してパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段とを備えて構成した。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する装置を、試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、テーブル手段に載置された試料を撮像して試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得する画像取得手段と、画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの画像から標準画像を生成する標準画像生成手段と、標準画像生成手段で生成した標準画像から本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は標準画像生成手段で生成した標準画像とを用いて参照画像を作成する参照画像作成手段と、参照画像作成手段で作成した参照画像と画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像とを比較して検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段とを備えて構成した。
【0009】
更に、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に形成されたパターンを検査する方法において、試料を一方向に連続的に移動させながら試料を撮像して試料上に形成されたパターンの画像を取得し、取得したパターンの画像からパターンの配置情報を抽出し、 抽出したパターンの配置情報を用いて取得したパターンの画像のうちの検査対象画像から参照画像を作成し、作成した参照画像と検査対象画像とを比較してパターンの欠陥候補を抽出するようにした。
【0010】
更にまた、上記目的を達成するために、本発明では、試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する方法において、試料を一方向に連続的に移動させながら試料を撮像して試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得し、順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの複数の画像から標準画像を生成し、生成した標準画像から本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出し、抽出したパターンの配置情報と順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は生成した標準画像とを用いて参照画像を作成し、作成した参照画像と検査すべきパターンの画像とを比較して検査すべきパターンの欠陥候補を抽出するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パターンの配置情報を得る手段と得られたパターンの配置情報から参照画像を自己生成し,比較して欠陥を検出する手段を備えることにより,煩雑なチップ内のパターン配置情報を事前に設定することなく,同一チップ内の比較検査を実現し,欠陥を高感度に検出することを特徴とする。また,同一チップの画像内で類似パターンが見つからなかったパターンのみに,近接するチップの画像の対応するパターンで自己参照画像を補間することにより,非メモリマット領域においても,チップ比較による欠陥判定を行う領域を最小限にし,チップ間の明るさの違いを抑制し,広範囲に亘って高感度な欠陥の検出を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像処理部で行われる欠陥検出処理の一実施例
【図2】欠陥検査装置の構成の概念を示すブロック図である。
【図3A】欠陥検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図3B】自己参照画像生成部8−22の概略の構成を示すブロック図である。
【図4A】チップの画像をウェハの移動方向に分割した状態と各分割画像を複数のプロセッサに分配した状態を説明する図である。
【図4B】チップの画像をウェハの移動方向と直角な方向に分割した状態と各分割画像を複数のプロセッサに分配した状態を説明する図である。
【図4C】1つ又は複数のチップの対応する分割画像を全て一つのプロセッサAに入力し,これらを用いて欠陥候補の検出を行う場合の画像処理部の概略の構成を示す図である。
【図5A】ウェハ上のチップの並びと各チップ内の同じ位置の部分画像の関係を示すウェハの平面図である。
【図5B】自己参照画像生成部8−22で実行する欠陥候補抽出処理の流れを示すフロー図である。
【図6A】パターンの配置情報抽出処理ステップS503の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図6B】先頭チップの画像から画像内の類似パターンを探索する例を示すチップの画像である。
【図7】自己参照画像生成ステップS504の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図8】欠陥判定ステップS505の詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【図9A】実施例2に係る欠陥候補検出処理の流れを示すフロー図である。
【図9B】実施例2に係る標準画像生成処理の流れを示すフロー図である。
【図9C】実施例2に係る欠陥検査装置の欠陥候補検出部の概略の構成を示す図である。
【図10A】異なる2つの検査条件のそれぞれの画像においてパターンの配置情報を抽出する状態を示すパターンの平面図である。
【図10B】異なる2つの検査条件のそれぞれの画像において評価した類似度を表示したグラフである。
【図11】実施例3に係る欠陥候補検出処理の流れを示すフロー図である。
【図12A】実施例3において欠陥が一つである場合にパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図12B】実施例3において欠陥が二つある場合にパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図13】実施例3において欠陥が二つある場合に二つのパターンの配置情報を利用して欠陥判定を行う処理の流れを示す図である。
【図14】実施例1に係る欠陥判定処理内容・処理結果として画面上に表示する画像の例である。
【図15A】ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される処理結果表示画面の正面図である。
【図15B】ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される別の例を示す処理結果表示画面の正面図である。
【図16】半導体ウェハの欠陥検査を行う一般的な処理の流れを模式的に示した図である。
【図17】複数の異なる周期を持つメモリマット部が混在している半導体チップの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の実施の形態について図を用いて説明する。まず、被検査対象物として半導体ウェハを対象とした暗視野照明による欠陥検査装置の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
図2は本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態を示す概念図である。光学部1は、複数の照明部4a、4b及び複数の検出部7a、7bを有して構成される。照明部4aと照明部4bとは互いに異なる照明条件(例えば照射角度、照明方位、照明波長、偏光状態の何れか少なくとも一つが異なる)の光を被検査対象物5(半導体ウェハ)に照射する。照明部4a及び照明部4bの各々から出射される照明光により被検査対象物5から夫々散乱光6a及び散乱光6bが発生し、該発生した散乱光6a及び散乱光6bの夫々を検出部7a及び検出部7bの夫々で散乱光強度信号として検出する。該検出された散乱光強度信号の夫々はA/D変換部2で増幅されてA/D変換され、画像処理部3に入力される。
【0015】
画像処理部3は、前処理部8−1、欠陥候補検出部8−2、検査後処理部8−3を適宜有して構成される。画像処理部3に入力された散乱光強度信号に対し、前処理部8−1において、後述する信号補正、画像分割等を行う。欠陥候補検出部8−2では学習部8−21,自己参照画像生成部8−22,欠陥判定部8−23を備えており、前処理部8−1で生成された画像から、後述する処理を行い、欠陥候補を検出する。検査後処理部8−3では、欠陥候補検出部8−2で検出された欠陥候補からノイズやNuisance欠陥(ユーザが不要とする欠陥種や致命性のない欠陥)を除外し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行い、全体制御部9に出力する。
【0016】
図2では、散乱光6a、6bは別々の検出部7a、7bで検出する実施の形態を示すが、1つの検出部で共通に検出しても構わない。また、照明部及び検出部は2つに限定されるものではなく、1又は3つ以上であっても構わない。
【0017】
散乱光6a及び散乱光6bの夫々は、各々照明部4a及び4bに対応して発生する散乱光分布を指す。照明部4aによる照明光の光学条件と照明部4bによる照明光の光学条件が異なれば、各々によって発生する散乱光6aと散乱光6bは互いに異なる。本実施例において、ある照明光によって発生した散乱光の光学的性質およびその特徴を、その散乱光の散乱光分布と呼ぶ。散乱光分布とは、より具体的には、散乱光の出射位置・出射方位・出射角度に対する、強度・振幅・位相・偏光・波長・コヒーレンシ等の光学パラメータ値の分布を指す。
【0018】
次に、図2に示す構成を実現する具体的な欠陥検査装置の一実施の形態としてのブロック図を図3Aに示す。即ち、本実施例に係る欠陥検査装置は、被検査対象物(半導体ウェハ5)に対して照明光を斜方から照射する複数の照明部4a、4bと、半導体ウェハ5からの垂直方向への散乱光を結像させる検出光学系(上方検出系)7aと、斜方向への散乱光を結像させる検出光学系(斜方検出系)7bと、それぞれの検出光学系により結像された光学像を受光し、画像信号に変換するセンサ部31、32とを有する光学部1と、得られた画像信号を増幅してA/D変換するA/D変換部2と、画像処理部3と、全体制御部9とを備えて構成される。
【0019】
半導体ウェハ5はXY平面内の移動及び回転とXY平面に垂直なZ方向への移動が可能なステージ(X−Y−Z−θステージ)33に搭載され、X−Y−Z−θステージ33はメカニカルコントローラ34により駆動される。このとき、半導体ウェハ5をX−Y−Z−θステージ33に搭載し、該X−Y−Z−θステージ33を水平方向に移動させながら被検査対象物上の異物からの散乱光を検出することで、検出結果を二次元画像として得る。
【0020】
照明部4a、4bの各照明光源は、レーザを用いても、ランプを用いてもよい。また、各照明光源の光の波長は短波長であってもよく、また、広帯域の波長の光(白色光)であってもよい。短波長の光を用いる場合、検出する画像の分解能を上げる(微細な欠陥を検出する)ために、紫外領域の波長(160〜400nm)の光(Ultra Violet Light:UV光)を用いることもできる。レーザを光源として用いる場合、それが単波長のレーザである場合には、可干渉性を低減する手段4c,4dを照明部4a、4bの夫々に備えることも可能である。この可干渉性を低減する手段4c,4dは、回転拡散板で構成してもよいし,または、互いに光路長の異なる複数の光ファイバあるいは石英板あるいはガラス板などを用いて各々が異なる光路長を持つ複数の光束を生成しこれを重ね合わせるような構成にしても良い。照明条件(例えば照射角度、照明方位、照明波長、偏光状態等)はユーザにより選択,もしくは自動選択され,照明ドライバ15において,選択条件に応じた設定,制御を行う。
【0021】
半導体ウェハ5から発した散乱光のうち半導体ウェハ5の対して垂直な方向に散乱した光は検出光学系7aを介してセンサ部31にて画像信号に変換される。また、半導体ウェハ5の対して斜め方向に散乱した光は検出光学系7bを介してセンサ部32にて画像信号に変換される。検出光学系7a,7bは,それぞれ,対物レンズ71a,71b及び結像レンズ72a,72bにより構成され,センサ部31,32に集光,結像される。また,検出系7a及び7bは,フーリエ変換光学系を構成しており,半導体ウェハ5からの散乱光に対する光学処理,例えば,空間フィルタリングによる光学特性の変更,調整なども行えるようになっている。ここで,光学処理として空間フィルタリングを行う場合,照明光として平行光を用いるほうが異物の検出性能が向上するため,長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームとした。
【0022】
センサ部31、32は、イメージセンサに複数の1次元イメージセンサを2次元に配列して構成した時間遅延積分型のイメージセンサ(Time Delay Integration Image Sensor:TDIイメージセンサ)を採用し、X−Y−Z−θステージ12の移動と同期して各1次元イメージセンサが検出した信号を次段の1次元イメージセンサに転送して加算することにより、比較的高速で高感度に2次元画像を得ることが可能になる。このTDIイメージセンサとして複数の出力タップを備えた並列出力タイプのセンサを用いることにより、センサ部31,32からのそれぞれの複数の出力311及び321を並列に処理することができ、より高速な検出が可能になる。空間フィルタ73a,73bは,特定のフーリエ成分を遮光し,パターンからの回折散乱光を抑制する。また,74a、74bは光学フィルタ手段であり、NDフィルタやアッテネータ等の光強度を調整が可能な光学素子、あるいは偏光板や偏光ビームスプリッタや波長板等の偏光光学素子、あるいはバンドパスフィルタやダイクロイックミラー等の波長フィルタの何れか又はそれらを組合せたもので構成され、検出光の光強度、偏光特性、波長特性の何れか又はそれらを組合せて制御する。
【0023】
画像処理部3は被検査対象物である半導体ウェハ5上の欠陥を抽出するものであって、センサ部31、32から入力された画像信号に対してシェーディング補正・暗レベル補正等の画像補正を行い一定単位の大きさの画像に分割する前処理部8−1、補正・分割された画像から欠陥候補を検出する欠陥候補検出部8−2、検出された欠陥候補からNuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥について欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う検査後処理部8−3、外部から入力されるパラメータなどを受け付け、欠陥候補検出部8−2および検査後処理部8−3へセットするパラメータ設定部8−4、前処理部8−1・欠陥候補検出部8−2・検査後処理部8−3それぞれで処理中のデータ及び処理されたデータを記憶する記憶部8−5を含んで構成される。そして、画像処理部3において例えばパラメータ設定部8−4はデータベース35を接続して構成される。
【0024】
また、欠陥候補検出部8−2は、図3Bに示すように、学習部8−21と自己参照画像生成部8−22と欠陥判定部8−23とを備えている。
【0025】
全体制御部9は、各種制御を行うCPU(全体制御部9に内蔵)を備え、ユーザからのパラメータなどを受け付け、検出された欠陥候補の画像、最終的に抽出された欠陥の画像等を表示する表示手段と入力手段を持つユーザインターフェース部(GUI部)36及び画像処理部3で検出された欠陥候補の特徴量や画像等を記憶する記憶装置37を適宜接続している。メカニカルコントローラ34は、全体制御部9からの制御指令に基づいてX−Y−Z−θステージ33を駆動する。尚、画像処理部3、検出光学系7a、7b等も全体制御部9からの指令により駆動される。
【0026】
被検査対象物である半導体ウェハ5は、例えばメモリマット部と周辺回路部とを有する同一パターンのチップが多数、規則的に並んでいる。全体制御部9は半導体ウェハ5をX−Y−Z−θステージ33により連続的に移動させ、これに同期して、順次、チップの像をセンサ部31、32より取り込み、得られた2種の散乱光(6a、6b)の画像各々に対し、欠陥を含まない基準画像を自動生成し,生成した基準画像と順次取り込んだチップの画像とを比較して欠陥を抽出する。
【0027】
そのデータの流れを図4Aに示す。半導体ウェハ5において、例えばX−Y−Z−θステージ33を走査させることにより矢印401の方向に半導体ウェハ5上の帯状の領域40の画像が得られたとする。チップnを検査対象チップとした場合、41a、42a、・・、46aはセンサ部31から得られたチップnの画像をX−Y−Z−θステージ33の進行方向に6分割した分割画像(即ち、チップnを撮像した時間を6分割してそれぞれの時間ごとに得られた画像)である。また、41a’、42a’、・・、46a’は隣接するチップmをチップnと同様に6分割した分割画像である。同じセンサ部31から得られたこれらの分割画像は、縦縞で図示されている。一方、41b、42b、・・、46bはセンサ部32から得られたチップnの画像を同様にX−Y−Z−θステージ33の進行方向に6分割した分割画像である。また、41b’、42b’、・・、46b’はチップmの画像を同様に画像を取得する方向(矢印401の方向)に6分割した分割画像である。同じセンサ部32から得られたこれらの分割画像は、横縞で図示されている。
【0028】
本実施例では画像処理部3に入力される2つの異なる検出系(図3の7aと7b)の画像各々について、分割位置がチップnとチップmとの間で対応するように分割する。画像処理部3は複数の並列に動作するプロセッサで構成されており、各対応する画像(例えば、センサ部31で得たチップnとチップmの対応する位置の分割画像41aと41a’、センサ部32で得たチップnとチップmの対応する位置の分割画像41bと41b’など)を同じプロセッサに入力する。各プロセッサは同じセンサ部から入力された各チップの対応する箇所の分割画像から欠陥候補の検出を並列に行う。
【0029】
このように、2つのセンサ部から光学条件と検出条件の組合せが異なる同領域の画像が同時に入力された場合、複数のプロセッサにて並列(例えば、図4AのプロセッサAとプロセッサCの並列、プロセッサBとプロセッサDの並列等)に欠陥候補の検出を行う。
【0030】
一方、光学条件と検出条件の組合せが異なる画像から欠陥候補の検出を時系列に行うことも可能である。例えば、プロセッサAにて分割画像41aと41a’から欠陥候補の検出を行った後、同じプロセッサAにて分割画像41bと41b’から欠陥候補の検出を行う、もしくは,同じプロセッサAにて光学条件と検出条件の組合せが異なる分割画像41a,41a’,41b,41b’を統合して欠陥候補の検出を行う,等各プロセッサに分割画像をどう割り振り,どの画像を用いて欠陥検出を行うかは自由に設定できる。
【0031】
また,得られたチップの画像の分割方向を変えて欠陥判定を行うことも可能である。そのデータの流れを図4Bに示す。上記,帯状の領域40の画像に対し,検査対象チップnについて,41c,42c,43c,44cはセンサ部31から得られた画像をセンサのステージの進行方向と垂直な方向(センサ部31の幅方向)に4分割した分割画像である。また,41c’,42c’,43c’,44c’は隣接するチップmを同様に4分割した分割画像である。これらの画像は縦縞で図示されている。同様にセンサ部32から得られ,同様に分割した画像(41d〜44d,41d’〜44d’)は斜線で図示されている。そして各対応する位置の分割画像を同じプロセッサに入力し,並列に欠陥候補の検出を行う。当然,得られた各チップの画像を分割せずに画像処理部3に入力して処理することも可能である。
【0032】
図4Bの41c〜44cはセンサ部31から得られた帯状の領域40のうち,チップnの画像,41c'〜44c'はセンサ部31から得られた隣接するチップmの画像,同様に41d〜44dはセンサ部32から得られたチップnの画像, 41d'〜44d'はセンサ部32から得られたチップmの画像である。このように,同じセンサから得られた各チップの対応する位置の画像を図4Aで説明したように検出時間ごとに分割せずに同一のプロセッサに入力し,欠陥候補の検出を行うことも可能である。
なお,図4A及び図4Bでは,隣接する2つのチップnとmの対応する分割画像が同じプロセッサに入力され,欠陥検出を行う例を示したが,図4Cに示すように、1つ又は複数のチップ(最大で半導体ウェハ5に形成されたチップの数)の対応する分割画像をプロセッサAに入力し,これらを全て用いて欠陥候補の検出を行うことも可能である。いずれにせよ、複数の光学条件の画像それぞれに対し、各チップの対応する位置の画像(分割してもしなくてもよい)を同じプロセッサに入力し、各光学条件の画像毎,もしくは各光学条件の画像を統合して欠陥候補を検出する。
【0033】
次に、各プロセッサにおいて行われる,画像処理部3の欠陥候補検出部8−2の処理の流れについて説明する。図5Aには,図4A及び図4Bに示した,半導体ウェハ5において、ステージ33の走査によりセンサ部31から得られる帯状の領域40の画像のうち,チップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzとそれに対応する領域の分割画像51,52,・・・,5zとの関係を示す。また、図5Bには,分割画像51,52,・・・,5zをプロセッサAに入力し、51,52,・・・ 5zにある欠陥候補を検出する処理の流れの概要を示す。
【0034】
図2及び図3に示したように、欠陥候補検出部8−2には,学習部8−21,自己参照画像生成部8−22,欠陥判定部8−23が備えられている。まず,先頭のチップ1の画像51が最初に欠陥候補検出部8−2に入力されると(S501),学習部8−21において,入力された画像51からパターンの配置情報を抽出する(S503)。これは,画像51内の各パターンについて,類似するパターンを画像内で探索して抽出し,この抽出された類似パターンの位置を記憶するものである。
【0035】
図6Aを用いて、S501で入力された先頭チップの画像51からパターンの配置情報を抽出するステップS503の詳細を説明する。
【0036】
S501で入力された先頭チップの画像51に対し,まず,パターンを含むN×N画素の小領域を抽出する(S601)。以下,N×N画素の小領域をパッチと記載する。次に抽出した全てのパッチについて、各パッチ内の特徴量を1つ以上,演算する(S602)。特徴量は,そのパッチの特徴を表すものであればよい。その例としては、(a)輝度値の分布(数1)、(b)コントラストの分布(数2)、(c)輝度分散値(数3),(d)近傍画素との輝度増減分布(数4)等がある。
【0037】
これらの特徴量は、パッチ内の各画素(x,y)の明るさをf(x,y)とすると,以下の式で算出する。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
(数1)〜(数4)において,
i,j=0,1,・・N-1
そして、画像51の各パッチの特徴量全て、あるいは、いくつかを選択し、パッチ間の類似度を演算する(S603)。類似度の例として,選択した特徴量の分布,すなわち,(数1)〜(数4)で示すN×N次元の特徴を軸とする特徴空間上でのパッチ間の距離などがある。例えば,(a)輝度値の分布を特徴量とした場合,パッチP1(中心座標(x,y))とパッチP2(中心座標(x',y'))の類似度は,
【0043】
【数5】
【0044】
となる。
【0045】
そして,各パッチについて,類似度が最も高いパッチを探索し(S604),類似パターンとしてその座標を記憶部8−5に保存する(S605)。
【0046】
例えば,パッチP1の類似パターンがパッチP2であった場合,パッチP1の座標(x,y)の類似座標情報はパッチP2の(x',y')であるということになる。これは,画像内の各パターンについて,参照すべき類似パターンがどこにあるか,または,座標(x,y)に対応する類似座標情報が無い場合には類似パターンが存在しないといった,パターンの配置情報となる。例えば、図6Bに示すように、左側の画像51について,パッチ61a,62a,63a,64aの類似パターン探索結果は図6B右側のパッチ61b,62b,63b,64bとなる。
【0047】
図5Bの例では,S501で入力された先頭のチップの画像51を用いてS503で抽出されたパターンの配置情報を基に,自己参照画像生成ステップS504において,画像51から欠陥候補を抽出する際の基準画像となる参照画像を自己生成する。以下,実際には存在せず,検査対象画像自身から生成する参照画像を自己参照画像と記載する。
【0048】
次に、自己参照画像生成ステップS504において自己参照画像生成部8−22で実行する具体的な自己参照画像の生成方法の一例を図1に示す。検査対象となる画像51について,S503で学習部8−21においてパターンの配置情報抽出を実行して類似パターンを探索した結果,図6Bの通り,パッチ61a,62a,63a,64aの類似パターンがパッチ61b,62b,63b,64bであるという配置情報510が得られた場合,自己参照画像100を,パッチ61aの位置にパッチ61b(具体的にはパッチ61bの位置のN×N画素の輝度値)を配置,同様に,パッチ62a,63a,64aの位置にパッチ62b,63b,64bを配置することにより生成する。ここで,パッチ11a,12aのように,画像51内で類似するパッチが存在しない場合は,隣接するチップの対応する分割画像52の同じ位置のパッチ11c,12c(具体的には,画像52内のN×N画素の部分画像)を自己参照画像100に配置して補間する。
【0049】
以上に説明した自己参照画像生成部8−22で実行する自己参照画像生成ステップS504の詳細を図7を用いて説明する。先ず、S503で先頭チップの画像51から抽出したパターンの配置情報510を基に,類似パターン(パッチ)が先頭チップの画像(自画像)51内に存在するか否かを判断し(S701),類似パターン(パッチ)が自画像51内に存在する場合には配置情報に含まれる座標の類似パターン(パッチ)を自己参照画像100に配置し(S702),類似パターン(パッチ)が自画像51内に存在しない場合には他の領域(隣接するチップ2)の画像52の同座標のパターンを自己参照画像100に配置して(S703)自己参照画像100を生成する(S704)。
【0050】
この生成された自己参照画像100は欠陥判定部8−23へ送られて、次の欠陥判定ステップS505が実行される。ここで,各パッチに対する,自画像内の類似パターンの有無も配置情報510に含まれている。なお,パッチのサイズNは,1画素以上のいずれの画素数でも定義できる。
【0051】
図8は,欠陥判定部8−23で実行される検査対象画像51と自己参照画像100で行う欠陥判定ステップS505の処理の流れを示す。半導体ウェハ5は前述の通り,同一パターンが規則的に形成されており、S501で入力された画像51とS504で生成された自己参照画像100は本来、同一であるべきだが、多層膜が形成されているウェハ5には、チップ間の膜厚の違いに起因して、画像間には大きな明るさの違いが生じている。このため,隣接チップの画像から配置したパッチの部分においては,S501で入力した画像51とS504で生成した自己参照画像100の間で明るさの違いが大きい可能性が高い。また、ステージ走査時の画像の取得位置の微妙な違い(サンプリング誤差)による,パターンの位置のずれも生じている可能性がある。
【0052】
このため,欠陥判定部8−23は最初にそれらの補正を行う。まず、S501で入力された画像51とS504で生成した自己参照画像100の明るさのずれを検出し、補正を行う(S801)。明るさの補正は,画像間全体で行う,各パッチ間で行う,隣接チップの画像52から配置したパッチのみで行う,などいずれの単位で行ってもよい。明るさのずれの検出,補正の例としてここでは、最小二乗近似による例を示す。
画像間の対応する画素f(x,y)、g(x,y)について、(数6)に示す線形関係があると仮定し、(数7)が最小となるようにa、bを算出し、これを補正係数gain、offsetとするものである。そして、明るさ補正対象となるS501で入力された画像51の全画素値f(x,y)に対して、(数8)の通りに明るさの補正を行う。
【0053】
【数6】
【0054】
【数7】
【0055】
【数8】
【0056】
次に、画像間の位置のずれを検出し、補正を行う(S802)。これも同様に全パッチ間で行ってもよいし,隣接チップの画像52から配置したパッチのみで行ってもよい。位置ずれ量検出、補正処理は一方の画像をずらしながら、他方の画像との間で輝度差の二乗和が最小になるずれ量を求める、もしくは、正規化相関係数が最大となるずれ量を求める方法等が一般的である。
【0057】
次に、明るさ補正、及び位置補正を行った画像51の対象画素に対して、自己参照画像100の対応する画素との間で特徴量を演算する(S803)。そして、対象画素の特徴量全て、あるいは、いくつかを選択し、特徴空間を形成する(S804)。特徴量は、その画素の特徴を表すものであればよい。その一実施例としては、(a)コントラスト(数9)、(b)濃淡差(数10)、(c)近傍画素の明るさ分散値(数11)、(d)相関係数、(e)近傍画素との明るさの増減、(f)2次微分値等がある。
【0058】
これらの特徴量の例は、検出画像の各点の明るさをf(x,y)、対応する参照画像の明るさをg(x,y)とすると以下の式で画像のセット(51と100)から算出する。
【0059】
【数9】
【0060】
【数10】
【0061】
【数11】
【0062】
加えて、各画像の明るさそのものも特徴量とする。そして、これらの特徴量から1つ又は複数個の特徴量を選択し,画像内の各画素を、選択した特徴量を軸とする特徴空間に特徴量の値に応じてプロットし、正常と推定する分布を囲むようにしきい値面を設定する(S805)。設定されたしきい値面の外側にある画素、すなわち、特徴的にはずれ値となる画素を検出して(S806)、欠陥候補として出力する(S506)。正常範囲の推定には、ユーザが選択した特徴量に対して個々にしきい値を設定してもよいし、正常画素の特徴の分布は正規分布に従うと仮定し、対象画素が非欠陥画素である確率を求めて識別する方法でもよい。
【0063】
後者は、n個の正常画素のd個の特徴量をx1、x2、‥、xnとすると、特徴量がxとなる画素を欠陥候補として検出するための識別関数φは、(数12)、(数13)で与えられる。
【0064】
【数12】
【0065】
【数13】
【0066】
ここで、特徴空間は画像51と自己参照画像100内の全画素で形成してもよいし,パッチ毎に形成してもよいし,画像51内の類似パターンで配置した全パッチと,隣接チップの画像52から配置した全パッチ各々で形成しても構わない。ここまでが,欠陥候補検出部8−2の処理の例である。
【0067】
更に、欠陥候補検出部8−2において検出した欠陥候補から、Nuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を検査後処理部8−3で行う。
【0068】
次に、隣接するチップ2を撮像して得た部分画像52を入力し(S502)、既に先頭ダイの画像51から得たパターンの配置情報を用いて部分画像52から自己参照画像を作成し(S504),この作成した自己参照画像と部分画像52とを比較して欠陥判定し(S505)、欠陥候補を抽出する(S506)。以降、先頭ダイの画像51から得たパターンの配置情報を用いて光学系1で撮像して得た部分画像に対して順次この(S504)乃至(S506)の処理を繰り返すことにより、ウェハ5上に形成された各チップの欠陥検査を行うことができる。
【0069】
以上に説明したように、本実施例では,検査対象となる画像自身からパターンの配置情報を得て,参照画像を自己生成し,比較して欠陥を検出する。
【0070】
図14は,図3の装置の構成におけるユーザインターフェース部36に表示されるこれらの処理内容,処理結果の例である。140は検査対象となる画像であり,微小な欠陥141を含む。142は,画像140に対して,近傍の複数のチップの同じ位置の画像を統計的に処理して生成した標準画像である。
【0071】
通常,検査対象画像140と標準画像142を比較して,差の大きい部分を欠陥として検出するのが一般的である。これに対し,143は、本実施例において標準画像142から抽出したパターンの配置情報を用いて,画像140から生成される自己参照画像であり,これらを並べて表示する。
【0072】
自己参照画像143内のパッチ143a〜143fは,パターン領域のコーナといった画像140内に類似するパッチがなく,標準画像142の同位置から配置されたパッチを示す。144は,一般的に行われる,検査対象画像140と標準画像142の比較結果である。差異の大きい部分ほど,明るく表示してある。145は,検査対象画像140と自己参照画像143の比較結果である。
【0073】
検査対象画像140と標準画像142との間には,半導体ウェハ内膜厚の違いなどを起因とし,欠陥141の背景パターン領域で明るさむらが生じており,画像144においてその差異も大きくでてしまい,欠陥が顕在化できないのに対し,自己参照画像との比較においては,背景パターン領域の明るさむらが抑制されるため,画像145において欠陥が顕在化可能となる。一方,自己参照画像143において,標準画像のパッチを配置したパッチ143a〜143fの部分は,画像145において,画像144と同様に差異が大きく残る。
【0074】
画像146は,自己参照画像143を生成する際に,標準画像142から配置したパッチの部分を示すものである。画像147は,自己参照画像143の各パッチが,検査対象画像140自身から配置したものか,標準画像141から配置したものかに応じて算出されるしきい値を示すものである。しきい値が高い部分ほど,明るく表示してある。
【0075】
本実施例ではこれらの画像の全て,もしくはいくつかを並べて表示する。これにより,ユーザはこれらの画像から,検出された欠陥が,自画像内の類似パターンと比較して検出されたものか,近傍のチップの同位置のパターンと比較して検出されたものであるか,また,そのときのしきい値がいくつであったか,などを確認できる。
【0076】
図15Aの1500は,ユーザインターフェース部(GUI部)に表示される上述の処理結果表示画面の一例である。1501は,検査対象となった半導体ウェハのどこで欠陥が検出されたかを示す欠陥マップである。黒点が検出された欠陥の位置を示す。1502は,検出された欠陥各々の特徴を示す欠陥リストである。特徴には,各々の欠陥のウェハ上の座標,輝度値,面積などがあり,欠陥リストはそれらの特徴でソートして表示することも可能である。
【0077】
1503は,条件設定ボタンであり,ユーザが条件(光学条件,画像処理条件など)を変えて検査をしなおしたい場合は,ここから条件の変更を行う。条件設定ボタン1503が押されると,各画像処理パラメータに対する入力ボタンが表示され,ユーザはパラメータ値や条件を変更できる。また,ユーザが各欠陥の種類や画像,検出された経緯などの詳細な解析を行いたい場合,その欠陥を欠陥マップ1501上の黒点を選択するか,欠陥リスト1502上から選択すると(図14bでは欠陥リスト1502のNo.2の欠陥をマウスで操作してポインタ(1504)で指定),その欠陥の詳細が示される。
【0078】
図15Bの1510は別の表示画面の例で,図15Aで説明した欠陥マップ1501、欠陥リスト1502のほかに、特定の欠陥の詳細情報を更に表示する例である。選択された欠陥について,図14で示した処理内容,処理結果の全て,もしくはいずれかの画像が表示される,図中の1511の領域に表示された画像はその一例である。更に,1512のように,特定の欠陥を別の検出系で見た観察像,例えば,電子線像,明視野照明で取得した正反射像などを表示することも可能である。
【0079】
図16は,半導体ウェハに対する一般的な欠陥判定処理の流れである。半導体ウェハ上には,同一となるように,チップが規則的に形成されており(160,161),それらを図3で説明したような光学系を用いて撮像して得たそれぞれの画像の差異を算出し,図14で説明したように別途設定されるしきい値画像147と比較し(165),差異が大きい部分を欠陥として検出する(166)。ここで,チップは一般的に,周期的な微細パターンからなるメモリマット部163(チップ160,161内の小さな矩形で示す各領域)と,ランダムなパタ-ンからなる周辺回路部162(チップ160,161内の斜線で示す領域)で構成される。メモリマット部163内の各画素は同じ領域内の1〜数周期分,離れた画素と比較して(セル比較)欠陥を検出し,周辺回路部162内の各画素は近傍のチップの同位置の画素と比較して(チップ比較又はダイ比較)欠陥を検出するのが一般的である。
このような検査を実現するために,従来、ユーザは事前に各メモリマット部の領域の定義,すなわち,チップ内のメモリマット部の開始座標と終点座標,メモリマット部のサイズ,間隔など,メモリマップ部内の微細パターンの周期など,チップの構成を示す情報の入力を行う必要があった。
【0080】
図17の174は複数のメモリマット部1741〜1748を混載したチップの例である。図17に示した例ではメモリマット部が8個存在し,各メモリマット部は,面積,パターンの周期,周期の方向(チップの縦方向に周期性があるか,横方向に周期性があるか)などが異なる。このようなチップに対しては,従来ユーザが各メモリマット部1741〜1748について個別に定義を行う必要があった。これに対し,本実施例においては,メモリマット部/非メモリマット部に係わらず,また,繰返しパターンの周期や周期の方向などの情報を事前に必要とせず,チップ内の比較(セル比較),チップ間の比較(チップ比較又はダイ比較)の切り分けを自動で行い,それぞれに最適な感度を自動で設定して,欠陥の検出を行うことが可能となる。
そして,CMP(Chemical Mechanical Polishing)加工等平坦化プロセス後のパターンの膜厚の微妙な違いや、照明光の短波長化により比較するチップ間に大きな明るさの違いがあっても、煩雑なチップのレイアウトの入力を必要とせずにチップ間の比較を最小限にとどめ,膜厚の違いが大きい領域にある微小な欠陥(例えば,100nm以下の欠陥など)を高感度に検出することが可能となる。
【0081】
また、SiO2をはじめ、SiOF、BSG、SiOB、多孔質シリア膜、等の無機絶縁膜や、メチル基含有SiO2、MSQ、ポリイミド系膜、パレリン系膜、テフロン(登録商標)系膜、アモルファスカーボン膜等の有機絶縁膜といったlow k膜の検査において、屈折率分布の膜内ばらつきによる局所的な明るさの違いがあっても、本発明により、微小な欠陥の検出が可能となる。
【実施例2】
【0082】
本発明の第2の実施例について、図9A〜C及び図10を用いて説明する。第2の実施例における装置の構成は、第1の実施例で説明した図2及び図3に示した構成と欠陥候補検出部8−2以外は同じであるので説明を省略する。第1の実施例と異なる部分は、第1の実施例において図5乃至7を用いて説明したパターンの配置情報を抽出して自己参照画像を生成する部分であり、第1の実施例においては先頭ダイの画像からパターンの配置情報を得、このパターンは位置情報を用いて各検査画像から自己参照画像を生成する方法について説明したが、本実施例においては、複数のダイの画像からパターンの配置情報を得る方法について、図9A〜C及び10を用いて説明する。
【0083】
図9Aは,図9Bに示すような半導体ウェハ5上に切り返し形成されたチップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzの対応する領域の分割画像51,52,・・・,5zをプロセッサA(図4A参照)に入力し,51,52,・・・,5zにある欠陥候補を検出する別の処理の概要である。本実施例における欠陥候補検出部8−2'は,図9Cに示すように、学習部8−21',自己参照画像生成部8−22',欠陥判定部8−23'、基準画像生成部8−24'を備えている。
【0084】
まず,光学部1で半導体ウェハ5を撮像して得られた画像が前処理部8−1で前処理された後に欠陥候補検出部8−2'の同じプロセッサに入力され(S901),複数チップ間で位置が対応する分割画像51,52,・・・,5zのうちの複数の分割画像から,標準画像を生成する(S902)。
【0085】
標準画像の生成方法の一例としては,図9Bに示すように、複数の画像間で位置のずれを補正し(S9021)、整列させ(S9022)、この整列させた状態で,全画素を対象として,複数画像間の対応する座標の画素値(輝度値)を収集し(S9023),(数14)に示すように,統計的に各画素の輝度値を決定する(S9024)。これにより,欠陥の影響を排除した標準画像を生成する(S9025)。
S(x,y)= Median{f1(x,y),f2(x,y),f3(x,y),f4(x,y),f5(x,y),・・・}
・・・(数14)
Median:収集した輝度値の中央値(メディアン)を出力する関数
S(x,y):標準画像の輝度値
fn(x,y):整列位置補正後の分割画像5nの輝度値
なお,統計的な処理として,収集した画素値の平均値を標準画像の輝度値としてもよい。
【0086】
また,標準画像の生成に用いる画像は,別の行に配列されたチップの対応する位置の分割画像(最大で半導体ウェハ5上の形成された全チップ数となる)を加えることも可能である。
S(x,y)= Σ{fn(x,y)}/N,N:統計処理に用いる分割画像数
・・・(数15)
そして,欠陥の影響を除外した標準画像から,学習部8−21'において,実施例1において図5Bを用いて説明したS503のステップと同じようにパターンの配置情報910を抽出する(S903)。そして,検査対象となる各画像51,52,・・・,5z各々について,自身の画像から配置情報910に基づき図5Bを用いて説明したS504のステップと同じよう自己参照画像を生成する(S904)。ここで,類似パターン(パッチ)が存在しないパターン(パッチ)について,隣接するチップの同座標のパターンを自己参照画像に配置してもよいが,図9Aに示すように,S902で生成した標準画像91を用いて自己参照画像生成ステップS904で自己参照画像を生成してもよい。次に、ステップS904で生成した自己参照画像をステップS901で前処理部8−1から入力した画像51,52,53・・・とそれぞれ比較する欠陥判定処理を行い(S905),欠陥候補を抽出して(S906)その結果を検査後処理部8−3へ送り、実施例1で説明したのと同様な処理を行う。
【0087】
以上に説明したように,本実施例においては1つの光学条件の複数の領域の画像を用いて作成した標準画像からパターンの配置情報910を抽出し(S903),自己参照画像を生成して(S904)比較してS905で欠陥を判定し、S906で欠陥候補を検出するが,更に光学条件と検出条件の組合せが異なる画像から,パターンの配置情報を抽出することも可能である。
【0088】
図10Aは,光学条件と検出条件の組合せが異なる条件A,条件Bで得られた,ウェハ上の特定の位置の画像101A,画像101BからS903のステップでパターンの配置情報を抽出する例である。条件Aで取得した画像101Aにおいて,パッチ102に対して最も類似度が高いパッチが103a,2番目に類似度が高いパッチが104aであり,条件Bで取得した同じ領域の画像101Bにおいては,対応するパッチ102に対して最も類似度が高いパッチが104b,2番目に類似度が高いパッチが103bであった場合,画像101A,画像101Bそれぞれから算出する類似度を統合して類似パッチを決定する。
【0089】
統合して類似パッチを決定する一例としては,図10Bに示すように横軸に画像101Aから算出するパッチ間の類似度,縦軸に画像101Bから算出するパッチ間の類似度を取り,対象パッチを,両画像から算出される類似度に応じてプロットする。プロット点103cは,パッチ102−103a間の類似度DA3と,パッチ102−103b間の類似度DB3に応じてプロットされた点であり,点104cは,同様にパッチ102−104a間の類似度DA4と,パッチ102−104b間の類似度DB4に応じてプロットされた点である。そして,2点のうち,原点からの距離が大きい点104cを類似度最大パッチとする。すなわち,102に対して,類似度最大パッチは104a,104bとなる。このように見え方の異なる2枚以上の複数の画像から算出した類似度を統合して,類似度最大パッチを決定することにより,S903のステップにおける類似パターンの探索精度を向上させることも可能である。
【0090】
生成した自己参照画像を用いて検査画像51と比較し、欠陥候補を抽出する処理は実施例1において図8を用いて説明したものと同じである。また、検査結果の出力についても、実施例1において図14を用いて説明したものと同じである。
【実施例3】
【0091】
本発明の第3の実施例について、図11乃至13を用いて説明する。本実施例における装置の構成は実施例1で説明した図2及び図3に示した構成と欠陥候補検出部8−2以外は同じであるので説明を省略する。
実施例2において図10を用いて説明したパターンの位置情報を抽出する例では2つの類似パターンの候補から類似度最大パターンを1つ決定しているが,実際には,1枚の画像内に,類似パターンは複数個あることが多い。本実施例においては、複数の類似パターンを用いることにより,より信頼性の高い欠陥判定を行う方法について説明する。
【0092】
図11に処理の流れの概要を示す。チップ1,チップ2,チップ3,・・・,チップzの対応する領域の分割画像51,52,53・・・,5zを取得し(S1101)、この取得した分割画像のうちの2つ以上の複数の分割画像から,標準画像1110を生成する(S1102)。
【0093】
標準画像1110の生成方法は実施例1及び実施例2の場合と同じである。そして,標準画像1110から,学習部8−21'において,パターンの配置情報を抽出する(S1103)。ここでは,類似度が最も高いパッチを1つ抽出するのではなく,類似度が最も高いパッチ,2番目に高いパッチ,3番目に高いパッチ,・・・とパターン情報を抽出しその座標などを配置情報(1102a,1102b,1102,・・・)として保持する。そして,検査対象となる各画像51,52,・・・,5z各々について,自身の画像から配置情報(1102a,1102b,1102c,・・・)に基づき,自己参照画像を各々に生成し(S1104),得られた複数枚の自己参照画像について,欠陥判定ステップS1105においてそれぞれに図8で示したはずれ画素検出処理を行い,全自己参照画像から検出されるはずれ画素を統合して欠陥候補を検出する(S1106)。
【0094】
統合の一例としては,各画素で算出される,はずれ画素であるか否かの評価値(例えば,特徴空間上で推定された正常部の分布からの距離など)を各自己参照画像から算出し,それらの論理積(画像間の最小評価値)や論理和(画像間の最大評価値)をとることで行う。図12A、B及び図13にその具体的な効果の例を示す。
【0095】
図12Aの1200は検査対象となるチップの画像,1110は標準画像である。パッチ1201乃至1203のうち、パッチ1202内のパターン(横縞の十字パターン)は欠陥を示す。ステップS1103において、標準画像1110のパッチ1201aに対する類似パッチが1203a,パッチ1202aに対する類似パッチが1201a,パッチ1203aに対する類似パッチが1201aとして抽出されたとする。この配置情報からS1104において画像1200の自己参照画像を生成した画像が1210である。そして,S1105で画像1200と自己参照画像1210を比較してそれらの差画像1215を作成することにより,欠陥1202dが検出される(S1106)。
【0096】
これに対し,図12Bに示す検査対象画像1220のように,パッチ1204乃至1206のうち、パッチ1204,1205内それぞれに欠陥が生じていた場合,S1104において上記配置情報から生成される画像1220の自己参照画像は1230となり,欠陥判定ステップS1105において作成した画像1220と自己参照画像1230との差画像1225にはパッチ1205内になる欠陥は検出できない。更にパッチ1204と1205が互いに類似パターンであった場合,2つの欠陥ともに検出できない。
【0097】
これに対し,図13は,複数のパターン配置情報を利用することで,複数の類似パターンにまたがる大きな欠陥を検出可能とする例である。検査対象画像1300内の三つのパッチ1301乃至1303のうちパッチ1301と1302内それぞれに欠陥が生じている検査対象画像1300に対し、ステップS1103において求めた上記配置情報から自己参照画像生成ステップS1104で自己参照画像生成部8−22'において生成される画像1310に加え、ステップS1103で学習部8−21'において更に2番目に類似度が高いパッチによるパターンの配置情報を求め、この2番目に類似度が高いパッチによるパターンの配置情報から自己参照画像生成ステップS1104において自己参照画像生成部8−22'で1320を自己参照画像として生成する。
【0098】
これは、標準画像1110において、パッチ1301aに対する2番目の類似パッチが1302a,パッチ1302aに対する2番目の類似パッチが1303aとした2番目のパターン配置情報から生成したものである。そして、欠陥判定ステップS1105において欠陥判定部8−23'で画像1300と2つの自己参照画像1310、1320とを比較し、その結果,差画像1331a、と差画像1331bとを欠陥候補として抽出する(S1106)。
【0099】
そして、欠陥判定部8−23'でこれらの2つの比較結果を統合する(ここでは、論理和をとる)ことにより、検査対象画像1300のパッチ1301、1302内の欠陥画像1332が抽出される。ここでは,以上のように、大きな欠陥の見逃しを防ぐために2つの自己参照画像との比較結果の論理和をとる例を示したが、誤検出を防ぐために、2つ以上の複数の自己参照画像との比較結果に対して論理積をとることにより処理は多少複雑になるが、より信頼性の高い欠陥検出を行うことが出来る。
【0100】
生成した自己参照画像を用いて検査画像51と比較し、欠陥候補を抽出する処理は実施例1において図8を用いて説明したものと同じである。また、検査結果の出力についても、実施例1において図14を用いて説明したものと同じである。
【0101】
以上、本発明の一実施例を半導体ウェハを対象とした暗視野検査装置における比較検査画像を例にとって説明したが、電子線式パターン検査における比較画像にも適用可能である。また、明視野照明のパターン検査装置にも適用可能である。
【0102】
検査対象は半導体ウェハに限られるわけではなく、画像の比較により欠陥検出が行われているものであれば、例えばTFT基板、ホトマスク、プリント板等でも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1・・・光学部 2・・・メモリ 3・・・画像処理部 4a,4b・・・照明部 5・・・半導体ウェハ 7a,7b・・・検出部 8−2・・・欠陥候補検出部 8−3・・・検査後処理部 31,32・・・センサ部 9・・・全体制御部 36・・・ユーザインターフェース部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上に形成されたパターンを検査する装置であって、
試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置された前記試料を撮像して該試料上に形成されたパターンの画像を取得する画像取得手段と、
該画像取得手段で取得した前記パターンの画像から該パターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、
該パターン配置情報抽出手段で抽出した前記パターンの配置情報と前記画像取得手段で取得した前記パターンの画像とから参照画像を作成する参照画像作成手段と、
該参照画像作成手段で作成した前記参照画像と前記画像取得手段で取得した前記パターンの画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、前記取得した前記パターンの画像を分割して出力し、前記パターン配置情報抽出手段は、前記画像取得手段から分割して出力された分割画像のパターンの配置情報を抽出し、前記参照画像作成手段は前記分割画像に対応する参照画像を作成し、前記欠陥候補抽出手段は前記参照画像作成手段で作成した前記分割画像に対応する参照画像と前記画像取得手段から分割して出力された分割画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する装置であって、
試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置された前記試料を撮像して該試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得する画像取得手段と、
該画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの画像から標準画像を生成する標準画像生成手段と、
該標準画像生成手段で生成した標準画像から前記本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、
該パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と前記画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は前記標準画像生成手段で生成した標準画像とを用いて参照画像を作成する参照画像作成手段と、
該参照画像作成手段で作成した参照画像と前記画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの前記検査すべきパターンの画像とを比較して該検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
前記画像取得手段は、前記順次取得した前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を分割して出力し、前記標準画像生成手段は、前記画像取得手段から分割して出力された前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像から前記分割された画像に対応する分割された標準画像を生成し、前記パターン配置情報抽出手段は、前記標準画像生成手段で生成された分割された標準画像のパターンの配置情報を抽出し、前記参照画像作成手段は、前記パターン配置情報抽出手段で抽出された前記分割された標準画像のパターンの配置情報と前記画像取得手段から分割して出力された前記分割された画像又は前記標準画像生成手段で生成された前記分割された標準画像とを用いて該分割された画像に対応する参照画像を作成し、
前記欠陥候補抽出手段は、前記参照画像作成手段で作成した前記分割された画像に対応する参照画像と前記画像取得手段から分割して出力された前記分割された画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記画像取得手段は、前記試料に光を照射する照明光学系部と、該照明光学系部により光が照射された前記試料からの反射光を検出する反射光検出光学系とを備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補から、Nuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う欠陥分類・寸法推定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は3に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
試料上に形成されたパターンを検査する方法であって、
前記試料を一方向に連続的に移動させながら前記試料を撮像して該試料上に形成されたパターンの画像を取得し、
該取得したパターンの画像から該パターンの配置情報を抽出し、
該抽出したパターンの配置情報を用いて前記取得したパターンの画像のうちの検査対象画像から参照画像を作成し、
該作成した参照画像と前記検査対象画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項8】
前記パターンの配置情報を抽出するステップにおいて、前記取得した前記パターンの画像を分割した画像ごとにパターンの配置情報を抽出し、
前記参照画像を作成するステップにおいて前記分割した画像ごとに抽出したパターンの配置情報と前記分割した画像とを用いて該分割した画像に対応する参照画像を作成し、
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて、前記分割した画像に対応して作成した参照画像と前記分割した画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する方法であって、
前記試料を一方向に連続的に移動させながら前記試料を撮像して該試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得し、
該順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの複数の画像から標準画像を生成し、
該生成した標準画像から前記本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出し、
該抽出したパターンの配置情報と前記順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は前記生成した標準画像とを用いて参照画像を作成し、
該作成した参照画像と前記検査すべきパターンの画像とを比較して該検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
前記標準画像を生成するステップにおいて、前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を分割した画像に対応する分割された標準画像を生成し、
前記パターンの配置情報を抽出するステップにおいて、前記生成した分割された標準画像ごとに前記パターンの配置情報を抽出し、
前記参照画像を作成するステップにおいて、前記分割された標準画像ごとに抽出したパターンの配置情報と前記分割した画像と又は前記分割された標準画像を用いて該分割した画像に対応する参照画像を作成し、
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて、前記分割した画像に対応して作成した参照画像と前記分割した画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項9記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記パターンの画像を取得することを、前記試料に光を照射し、該光が照射された前記試料からの反射光を検出することにより前記パターンの画像を取得することを特徴とする請求項7又は9に記載の欠陥検査方法。
【請求項12】
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて抽出した欠陥候補からNuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う欠陥分類・寸法推定するステップを更に備えたことを特徴とする請求項7又は9に記載の欠陥検査方法。
【請求項1】
試料上に形成されたパターンを検査する装置であって、
試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置された前記試料を撮像して該試料上に形成されたパターンの画像を取得する画像取得手段と、
該画像取得手段で取得した前記パターンの画像から該パターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、
該パターン配置情報抽出手段で抽出した前記パターンの配置情報と前記画像取得手段で取得した前記パターンの画像とから参照画像を作成する参照画像作成手段と、
該参照画像作成手段で作成した前記参照画像と前記画像取得手段で取得した前記パターンの画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、前記取得した前記パターンの画像を分割して出力し、前記パターン配置情報抽出手段は、前記画像取得手段から分割して出力された分割画像のパターンの配置情報を抽出し、前記参照画像作成手段は前記分割画像に対応する参照画像を作成し、前記欠陥候補抽出手段は前記参照画像作成手段で作成した前記分割画像に対応する参照画像と前記画像取得手段から分割して出力された分割画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する装置であって、
試料を載置して少なくとも一方向に連続的に移動可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に載置された前記試料を撮像して該試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得する画像取得手段と、
該画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの画像から標準画像を生成する標準画像生成手段と、
該標準画像生成手段で生成した標準画像から前記本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出するパターン配置情報抽出手段と、
該パターン配置情報抽出手段で抽出したパターンの配置情報と前記画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は前記標準画像生成手段で生成した標準画像とを用いて参照画像を作成する参照画像作成手段と、
該参照画像作成手段で作成した参照画像と前記画像取得手段で順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの前記検査すべきパターンの画像とを比較して該検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
前記画像取得手段は、前記順次取得した前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を分割して出力し、前記標準画像生成手段は、前記画像取得手段から分割して出力された前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像から前記分割された画像に対応する分割された標準画像を生成し、前記パターン配置情報抽出手段は、前記標準画像生成手段で生成された分割された標準画像のパターンの配置情報を抽出し、前記参照画像作成手段は、前記パターン配置情報抽出手段で抽出された前記分割された標準画像のパターンの配置情報と前記画像取得手段から分割して出力された前記分割された画像又は前記標準画像生成手段で生成された前記分割された標準画像とを用いて該分割された画像に対応する参照画像を作成し、
前記欠陥候補抽出手段は、前記参照画像作成手段で作成した前記分割された画像に対応する参照画像と前記画像取得手段から分割して出力された前記分割された画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記画像取得手段は、前記試料に光を照射する照明光学系部と、該照明光学系部により光が照射された前記試料からの反射光を検出する反射光検出光学系とを備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補から、Nuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う欠陥分類・寸法推定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は3に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
試料上に形成されたパターンを検査する方法であって、
前記試料を一方向に連続的に移動させながら前記試料を撮像して該試料上に形成されたパターンの画像を取得し、
該取得したパターンの画像から該パターンの配置情報を抽出し、
該抽出したパターンの配置情報を用いて前記取得したパターンの画像のうちの検査対象画像から参照画像を作成し、
該作成した参照画像と前記検査対象画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項8】
前記パターンの配置情報を抽出するステップにおいて、前記取得した前記パターンの画像を分割した画像ごとにパターンの配置情報を抽出し、
前記参照画像を作成するステップにおいて前記分割した画像ごとに抽出したパターンの配置情報と前記分割した画像とを用いて該分割した画像に対応する参照画像を作成し、
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて、前記分割した画像に対応して作成した参照画像と前記分割した画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンを検査する方法であって、
前記試料を一方向に連続的に移動させながら前記試料を撮像して該試料上に繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を順次取得し、
該順次取得した本来同一の形状となるべき繰返し形成されたパターンの複数の画像から標準画像を生成し、
該生成した標準画像から前記本来同一の形状となるべきパターンの配置情報を抽出し、
該抽出したパターンの配置情報と前記順次取得した本来同一の形状となるべきパターンの画像のうちの検査すべきパターンの画像又は前記生成した標準画像とを用いて参照画像を作成し、
該作成した参照画像と前記検査すべきパターンの画像とを比較して該検査すべきパターンの欠陥候補を抽出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
前記標準画像を生成するステップにおいて、前記繰返し形成された本来同一の形状となるべきパターンの画像を分割した画像に対応する分割された標準画像を生成し、
前記パターンの配置情報を抽出するステップにおいて、前記生成した分割された標準画像ごとに前記パターンの配置情報を抽出し、
前記参照画像を作成するステップにおいて、前記分割された標準画像ごとに抽出したパターンの配置情報と前記分割した画像と又は前記分割された標準画像を用いて該分割した画像に対応する参照画像を作成し、
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて、前記分割した画像に対応して作成した参照画像と前記分割した画像とを比較して前記パターンの欠陥候補を抽出することを特徴とする請求項9記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記パターンの画像を取得することを、前記試料に光を照射し、該光が照射された前記試料からの反射光を検出することにより前記パターンの画像を取得することを特徴とする請求項7又は9に記載の欠陥検査方法。
【請求項12】
前記パターンの欠陥候補を抽出するステップにおいて抽出した欠陥候補からNuisance欠陥やノイズを除去し、残った欠陥に対して欠陥種に応じた分類と寸法推定を行う欠陥分類・寸法推定するステップを更に備えたことを特徴とする請求項7又は9に記載の欠陥検査方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−163855(P2011−163855A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25368(P2010−25368)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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