歩行ナビゲーションシステム
【課題】施設内で人を誘導するシステムにおいて、利用者が身につける装置の小型化とローコスト化を図る。
【解決手段】誘導される対象である人物に携行されICタグリーダ14を備える杖2と、建物の床に複数並べて配置され、杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグ12と、杖に内蔵又は接続される携帯コンピュータ4と、建物内において人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバ7と、サーバにより作成された誘導経路情報を携帯コンピュータに無線で送信するアンテナ5とを具備し、携帯コンピュータは、サーバから受信した誘導経路情報を記憶し、記憶した誘導経路情報とICタグリーダによりICタグから読み出された情報とに基づいて、人物が誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを人物に報知する。
【解決手段】誘導される対象である人物に携行されICタグリーダ14を備える杖2と、建物の床に複数並べて配置され、杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグ12と、杖に内蔵又は接続される携帯コンピュータ4と、建物内において人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバ7と、サーバにより作成された誘導経路情報を携帯コンピュータに無線で送信するアンテナ5とを具備し、携帯コンピュータは、サーバから受信した誘導経路情報を記憶し、記憶した誘導経路情報とICタグリーダによりICタグから読み出された情報とに基づいて、人物が誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを人物に報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、福祉施設等の建物内において人を誘導する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院、役所等の公共施設や、遊園地、博覧会等のイベント会場において、従業員や訪問者を個別に誘導案内するシステムが知られている。
【0003】
このようなシステムとして、特開2000−149150号公報(特許文献1)には、病院内において、患者に携帯送受信機を携行させると共に、病院の通路分岐点等の迷いやすい場所に固定送受信機を設置し、携帯送受信機と固定送受信機の通信により患者についての必要な情報を得て、表示装置などにより患者を進むべき方向に誘導する案内システムが開示されている。このシステムにおいては、患者の受付時に携帯送受信機に、患者の氏名、受診科、身体障害の有無等の個人情報を記憶させておき、携帯送受信機と壁側の固定送受信機の通信により、携帯送受信機に記憶されている患者の個人情報を読み取り、その情報に応じて表示装置に名前や診察室の方向などを表示するようにしている。
【特許文献1】特開2000−149150号公報
【特許文献2】特開2002−24983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来のシステムにおいては、表示装置などに患者の進むべき方向を表示して患者に知らせていたため、目の不自由な患者にとっては便利なものとはいえないという問題点があった。
【0005】
これを解決するために、特開2002−24983号公報(特許文献2)には、RFID技術(Radio Frequency Identification)を装着したタイルを施設等における利用者を案内したい経路に並べて配置するとともに、目の不自由な利用者に、RFID技術のリーダライタを内蔵する杖と、この杖に接続された携帯コンピュータを携行させ、患者が杖をRFID技術が装着されたタイル上にかざすことで、携帯コンピュータから推奨経路上にいることを音声で知らせ、利用者を目的の方向に誘導するシステムが開示されている。
【0006】
しかしながら、この特開2002−24983号公報では、携帯コンピュータの記憶装置内にRFID技術の全経路情報が記憶されており、携帯コンピュータのモニタにRFID技術が装着されたタイルの位置がマップ表示されるようになされている。そして、利用者は、携帯コンピュータのモニタのタッチパネルを用いて、付属のペンや指などでマップ上の出発点と目的地を入力し、その情報から携帯コンピュータが推奨経路を求めるようになされている。そのため、携帯コンピュータは、例えば建物内の全経路情報を記憶しておく必要があり、携帯コンピュータの記憶装置が大型化するとともに、コストも高くなるという問題点があった。
【0007】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、施設内で人を誘導するシステムにおいて、利用者が身につける装置の小型化とローコスト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる歩行ナビゲーションシステムは、誘導される対象である人物に携行され、ICタグリーダを備える杖と、建物の床に複数並べて配置され、前記杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、前記杖に内蔵されるか又は接続された携帯コンピュータと、前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバに前記終点位置の情報を入力する入力手段をさらに具備することを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記始点位置の情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、種々の指示を入力するための入力ボタンをさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記入力ボタンには点字が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記終点位置において前記ICタグリーダにより読み取られた前記終点位置のICタグのID番号に基づく位置情報を、次回のナビゲーションの始点位置情報として前記サーバに前記通信手段を用いて送信することを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記複数のICタグのそれぞれには固有のID番号が記憶されており、前記サーバは、前記誘導経路情報を前記複数のICタグのID番号の並びとして作成することを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、一時的に誘導する目的地を変更することをサーバに通知する通知手段を備え、前記サーバは、前記通知手段により目的地が一時的に変更された通知を受けた場合に、前記終点位置である最終目標位置を変更せずに、前記人物の現在位置情報と前記一時的に変更された目的地の位置情報とに基づいて誘導経路情報を再作成することを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物を一時的に変更された目的地に誘導した後、前記最終目標位置に再誘導することを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記通信手段は、前記建物内の複数箇所に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを電子音、振動、音声又は画面表示により前記人物に報知することを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記誘導経路情報とともに、前記人物が前記誘導経路から外れた場合に引き返すことを促す引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、予め記憶されている前記始点位置と前記終点位置間の引き返し補助ルートデータから、前記引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記複数のICタグのID番号は前記サーバで管理されており、前記サーバは、前記始点位置と終点位置の組み合わせに一対一に対応する前記誘導経路情報であるID番号の並び情報を予め記憶していることを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物が道に迷った場合に前記終点位置までの経路情報を再提供するためのルート再設定ボタンを備え、前記サーバは、前記ルート再設定ボタンが押された場合に、前記人物の現在位置から前記終点位置までの誘導経路情報を再作成することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係わる歩行ナビゲーションシステムは、誘導される対象である人物に使用され、ICタグリーダを備える車椅子と、建物の床に複数並べて配置され、前記車椅子に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、前記ICタグリーダに接続される携帯コンピュータと、前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、施設内で人を誘導するシステムにおいて、利用者が身につける装置の小型化とローコスト化を図ることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の歩行ナビゲーションシステムの第1の実施形態のシステム構成を示す模式図である。
【0027】
本実施形態のシステムは、福祉施設、病院、一般建物等の建物内において、無線ICタグを備えるカーペットを連続的に床に設置しておき、目の不自由な人にICタグリーダつきの杖を携行させ、その杖を無線ICタグ(RFID技術(Radio Frequency Identification)の原理を用いる)を備えるカーペット上にかざすようにしてもらうものである。
【0028】
図1において、本実施形態の歩行ナビゲーションシステム10は、無線ICタグ12を備え病院等の床に適切な間隔に並べて配置された複数のカーペット1と、ICタグリーダ14を備え利用者(被誘導者)が携行する杖2と、杖2にUSBケーブル等のケーブル3で接続された携帯用のタブレットPC(パーソナルコンピュータ)4と、病院等の通路の壁面に所定の間隔で複数配置されタブレットPC4と無線で通信を行うアンテナ(例えば無線LAN用アンテナ)5と、アンテナ5とLANケーブル6で接続され被誘導者の誘導目的地への経路を検索する等の処理を行う管理サーバ7と、管理サーバ7と接続され、建物内の必要な地点に配置されたPC(パーソナルコンピュータ)8とを備えて構成されている。PC8は、オペレータ(例えば病院の受付などでは受付担当者など)により操作され、被誘導者を誘導する目的地を管理サーバ7に入力するために用いられる。なお、タブレットPC4は、杖2にケーブルにより接続される形態のほかに、杖2に内蔵されている形態でもよい。
【0029】
複数のカーペット1のそれぞれに備えられている無線ICタグ12には、それぞれ固有のID番号が記憶されており、管理サーバ7は、これらのID番号を並べることにより、利用者を誘導するための経路情報を作成する。
【0030】
タブレットPC4は、管理サーバ7により作成されたカーペット1に備えられているICタグのID番号の並びとしての誘導経路情報を、予め管理サーバ7よりアンテナ5を介して無線で受け取って記憶しておき、杖2のICタグリーダ14がその順番どおりにカーペットのID番号を読み取っていることを確認することで、利用者が正しい道を正しい方向に進んでいることを確認する。
【0031】
次に、図2は、カーペット1に備えられているICタグ12と、杖2に備えられたICタグリーダ14の間における通信の原理を示すブロック図である。
【0032】
図2において、ICタグ12は、ICチップ22と、ICチップ22の制御によりICタグ12のID番号を記憶又は読み出すためのメモリ24と、メモリ24から読み出されたICタグ12のID番号をICタグリーダ14に送信するための送受信回路26と、送受信回路26とICタグリーダ14との間の信号のやり取りを行なうと共に、ICタグリーダ14から発信される電磁波等によりICチップ22の電源となる起電力を発生するためのアンテナ28とを備えて構成されている。
【0033】
また、ICタグリーダ14は、ICタグ12に電磁波等を送信するためのアンテナ30と、カーペット1に備えられているICタグ12からID番号を読み出すための送受信回路32とを備えている。
【0034】
ここで、ICタグ12は無線ICタグを構成しており、ICタグリーダ14とともに、所謂RFID技術(Radio Frequency Identification)と呼ばれる無線通信システムを構成している。
【0035】
RFID技術には、125KHz帯域の静電結合方式と、120〜150KHzあるいは13.56MHz帯の短波の電磁波を利用する電磁誘導方式と、300MHz帯あるいは400〜530KHzの長波帯での交信を行なう電磁結合方式と、860〜956MHzのUHF帯を利用する電磁波伝播方式と、2.45GHzの準マイクロ波帯により交信を行なうマイクロ波方式と、5.8〜5.9GHzのマイクロ波方式とがあるが、いずれの方式も本実施形態に適用可能である。
【0036】
なお、病院などの医療機器を備える施設では、電波が医療機器に対して影響を与えることを防止するために、ICタグ12とICタグリーダ14との通信の電力を好ましくは0.3W以下、最大でも1W以下に抑えるように設定する。
【0037】
図3は、本実施形態におけるICタグ12の構成の一例を示す模式的平面図である。
【0038】
ICタグ12は、ICチップ22と、このICチップ22をループ状に取り巻くように配置されたループアンテナ28とを備えている。ICタグリーダ14から発信された電磁波により、ループアンテナ28に電磁誘導による起電力が発生し、この起電力がICチップ22を駆動する電源となる。図3においては、メモリ24と送受信回路26は、ICチップ22の中に含まれるものとして示されている。
【0039】
なお、本実施形態では、図12に示すように、ICタグ12はカーペット1と一体的に構成されており、ループアンテナ28は、受信感度を向上させるために、1枚のカーペット1の周囲に配置されている。
【0040】
次に、管理サーバ7による利用者を誘導する経路の検索方法について説明する。
【0041】
図4は、例えば病院における通路の地図の一例を示す図である。図4に示すように、各通路には、例えば図面上の縦方向の通路にV11,V12,V13,V21,V22,V23、横方向の通路にH21,H22,H31,H32のように便宜上の名称をつけておくものとする。そして、各通路に敷き詰められている各カーペット1のICタグ12には、図5に示すように、順番にID番号を記憶させておく。例えば、通路V11に敷き詰められている各カーペット1のICタグ12には、図5に示すように図4中の上のカーペットから順に101,102,103,104のID番号が1つずつ記憶されている。その他の通路に敷き詰められているカーペット1にも同様に、図5に示すようなID番号が付されている。
【0042】
例えば、図4におけるA地点(例えば病院の受付とする)からB地点(例えば内科の診察室とする)に利用者を誘導したい場合は、管理サーバ7は、出発点であるA地点からB地点まで利用者を誘導するための経路を、例えばV11,H21,V22,H32のように検索し、その経路をたどるためのID番号の並びとして、図6(a)のようなカーペット1に備えられているICタグ12のID番号の並び情報を作成する。タブレットPC4は、管理サーバ7から、このID番号の並び情報を予め受信して記憶しておき、利用者が携行する杖2のICタグリーダ14が、このID番号の並び順にID番号を読んでいくように利用者を誘導する。タブレットPC4は、ICタグリーダ14によって管理サーバ7が決めたID番号の順番にICタグ12が読み取られている場合には、利用者が正しい道を正しい方向に進んでいるものと判断し、ピッ、ピッという電子音等を発して、利用者に正しい道を正しい方向に進んでいることを報知する。ただし、利用者への報知はピッ、ピッという電子音に限られるものではなく、他の音声や振動でもよい。また、音声による報知だけでなく、それに加えてタブレットPC4の画面上(図8参照)に、案内画面を表示するようにしてもよい。
【0043】
なお、管理サーバ7には、出発地点と目的地点の組み合わせ1つに対して1つの誘導経路が対応するように予め経路情報がテーブルとして記憶されている。そのため、管理サーバ7は出発地点と目的地点の情報が得られれば、利用者を誘導するための経路を容易に決定することが可能である。また、管理サーバには、上記の経路情報のテーブルのほかに利用者個別の情報がデータベースとして格納されており、電子カルテとの連携も可能なように配慮されている。ただし、個人情報はサーバのみに格納されており、タブレットPC4などには送信されることはなく、個人情報の漏洩が起きないように配慮されている。
【0044】
次に、上記のように構成される歩行ナビゲーションシステムを病院の施設に適用した場合の利用方法について説明する。
【0045】
図7A乃至図7Fは、病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。図7A乃至図7F、及び図1、図4、図5、図8を参照して本実施形態の歩行ナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0046】
まず、患者は病院の受付(図4のA地点)に行って診察受付を行ない、診察を受けたい科を受付担当者にアナウンスする(ステップS2)。診察を受けたい科をアナウンスされた病院の受付担当者は、受付に設置されているPC8(図1参照)を用いて、管理サーバ7に目的地がB地点であることを示す情報を伝送する(ステップS4)。また、受付担当者はタブレットPCに現在位置が受付であることを入力する。
【0047】
患者又は受付担当者が図8に示すタブレットPC4の画面上の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示とICタグ12のID番号による現在位置情報(A地点)が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、データベースに格納されているICタグ12のID番号と建物内の位置の関係を表わす場所座標データから、A地点の位置と、目的地であるB地点の位置を検索し、それぞれを始点、終点として、データベース上でテーブル化されているルートデータ(経路情報)から目的地までのルートを検索する。この検索により、例えば、図4におけるV11,H21,V22,H32というルートが検索される(ステップS6)。管理サーバ7は、図5に示したような、検索したルートに対応するカーペット1のタグ情報(カーペットに備えられているICタグのID番号)を、ICタグの番号と通路番号の対応関係を表わす通路番号表データから検索する(ステップS8)。そして、始点(A地点)から終点(B地点)までの通過するカーペット1に備えられているICタグ12のID番号と、目的地(B地点)までのICタグのID番号の並び順を、一つのルートデータとして組み立てる(ステップS10)。組み立てられたルートデータは、例えば図6(a)に示したようなものとなる。
【0048】
次に、管理サーバ7は、データベースに記憶されている、始点と終点間の引き返し補助ルートデータから、引き返し補助用のルートを検索する(ステップS12)。ここで、引き返し補助用のルートとは、患者が正規のルートから外れたため引き返すことを促す必要のあるルートである。図4においてA地点からB地点に向かうことを考えた場合、引き返し補助用のルートは、正規のルートから外れているV21,V12,H31,H22である。管理サーバ7は、検索した引き返し補助用のルートのタグ情報(カーペットに備えられているICタグのID番号)を、通路番号表データから検索する(ステップS14)。そして、引き返しを補助する経路に対応するICタグ12のID番号と、引き返す地点までのICタグのID番号の並び順を一つの引き返し補助ルートデータとして組み立てる(ステップS16)。なお「引き返し補助ルート」は、「正規ルート」ではないが、「正規ルート」から外れたときに、「正規ルート」に誘導することができる経路である。つまり、「誘導経路」とは、「正規ルート」及び「引き返し補助ルート」を合わせた経路のことを意味する。
【0049】
次に、管理サーバ7は、患者が歩行するルートである正規ルートデータと、正規のルートを外れた場合に引き返しを補助する引き返し補助ルートデータとを、患者が携帯するべきタブレットPC4にアンテナ5を介して無線で伝送する(ステップS18)。
【0050】
ここまでを行った時点で、病院の受付担当者は、杖2及びタブレットPC4を患者に渡す(ステップS20)。
【0051】
この後は、患者が杖2の先端をカーペット1上にかざすことで、杖2のICタグリーダ14がカーペット1からICタグ12のID番号を読み取る。ICタグ12のID番号が読み取れた場合、その読み取られたID番号の順番が正規のルートに則っていればタブレットPCのスピーカーからピッ、ピッという電子音が鳴るので、患者はこの電子音に従って、管理サーバ7により設定された正規のルート上を誘導されながら歩行することとなる(ステップS22)。なお、患者が正規のルートから外れて引き返し補助用のルートに進入した場合は、読み取られるICタグのID番号の順番が正規のルートのID番号の順番と異なるので、タブレットPC4は容易に患者がルートを外れたことを検出することができる。その場合は、タブレットPC4に設けられているスピーカーから「引き返してください」というアナウンスや警告音等を発することにより、患者に知らせることができる。例えば、V11からH21に進むときに、患者が間違ってV21に入り込んだとする。V21に入り込んでしまったことは、タブレットPC4が105のタグ情報を取得することでわかる。104から107の方向に向かっている場合は、「引き返し」を要求するアナウンスか警報音等を発生し、107から105の方向に向かっている場合は、「正規ルート」に向かっていることがわかるので、「そのまま進む」ことを要求するアナウンスか警報音等を発生させる。
【0052】
次に、ステップS24〜ステップS42のフローを参照して、本実施形態の特に特徴的な動作について説明する。
【0053】
ステップS24〜ステップS54の動作は、患者がB地点まで誘導されている途中で他の場所(例えば図4のC地点)に立ち寄る必要ができた場合(例えばトイレに行きたくなった場合)に、その誘導を行うとともに、C地点に立ち寄った後にC地点から本来の目的地であるB地点に誘導する動作を示すものである。ここでは、トイレにいきたくなった場合を例に説明する。
【0054】
例えば、通路H21のID番号「202」のICタグの位置で患者がトイレ(C地点)に行きたくなったとする(ステップS24)。その場合、患者は、図8に示すタブレットPC4の画面上に配置されている一時ボタン(トイレボタン)801を押す(ステップS26)。トイレボタン801が表示されている画面上には点字などを設けておき、目の不自由な患者でも指先の感覚でボタンの位置がわかるようにしておく。
【0055】
トイレボタン801が押されると、タブレットPC4は、現在位置のICタグのID番号「202」(最終に読み取ったID番号)をアンテナ5を介して管理サーバ7に無線で送信する(ステップS28)。
【0056】
管理サーバ7は、タブレットPC4から送られてきたID番号に基づいて、患者がどの位置にいるかを場所座標データから検索する(ステップS30)。そして、管理サーバ7は、最終読み取りID番号「202」を新たな始点に設定する(ステップS32)。
【0057】
管理サーバ7は、新たに設定された始点とC地点の間のルート検索を行う。また、同時に引き返し補助用のルートを検索する(ステップS34)。ここでは、C地点までの正規のルートは、図4のH21,H22となる。なお、管理サーバ7は、一時ボタン801が押された場合でも、一時的に目的地がC地点に変更されただけであり、最終目的地がB地点であることは変更せずに、最終目的地がB地点であることを記憶しておく。
【0058】
管理サーバ7は、ルート検索結果から新しい正規のルートデータを組み立てる。また、同時に引き返し補助ルートデータも組み立てる(ステップS36)。ここで組み立てられた正規のルートデータにおけるICタグのID番号の並びは、図6(b)に示したようになる。なお、引き返し補助用ルートは、V12,V22,V13,V23である。
【0059】
管理サーバ7は、組み立てられた新しいルートデータを、アンテナ5を介してタブレットPC4に送信する(ステップS40)。
【0060】
これにより、タブレットPC4には、新しいルートデータが記憶されるので、このデータに従って患者が誘導され(ステップS40)、C地点に到着する(ステップS42)。C地点に到着すると、患者は図8に示すタブレットPC4の画面上の目的地到着ボタン804を押す。これにより、タブレットPC4はナビゲーションを終了する。
【0061】
次のステップS44〜ステップS54のフローは、患者がトイレに立ち寄ってから本来の目的地であるB地点に行く動作を示している。
【0062】
患者がトイレを済ませると、タブレットPC4の画面上の案内開始ボタン803を押す(ステップS44)。案内開始ボタン803が表示されている画面上には点字などを設けておき、目の不自由な患者でも指先の感覚でボタンの位置がわかるようにしておく。このような点字は、トイレボタン801、ルート再設定ボタン802、目的地到着ボタン804、終了ボタン805などにも設けておくことが好ましい。なお、ルート再設定ボタン802は、迷子になった場合などに、現在地から目的地までのルートを再計算するためのボタンである。また、終了ボタン805は、全てのナビゲーションを終了するボタンである。
【0063】
案内開始ボタン803が押されると、タブレットPC4は、最終に読み取った目的地(ここではC地点)をアンテナ5を介して管理サーバ7に送信する(ステップS46)。
【0064】
管理サーバ7は、最終に読み取った目的地を新たな始点に設定する(ステップS48)。
【0065】
管理サーバ7は、新たに設定された始点(C地点)と最終目的地として管理サーバ7に記憶されているB地点の間のルート検索を行う。また、同時に引き返し補助用のルートを検索する(ステップS50)。ここでは、B地点までの正規のルートは、図4のV23,H32となる。
【0066】
管理サーバ7は、ルート検索結果から新しいルートデータ(カーペットに備えられているICタグのID番号の並び)を組み立てる。また、同時に引き返し補助ルートデータも組み立てる(ステップS52)。なお、引き返し補助用ルートは、V13,H22である。
【0067】
管理サーバ7は、組み立てられた新しいルートデータを、アンテナ5を介してタブレットPC4に送信する(ステップS54)。
【0068】
ここまでのフローで、最終目的地であるB地点までのルート設定が行われたことになる。
【0069】
これにより、タブレットPC4には、最終目的地であるB地点までの新しいルートデータが記憶されるので、このデータに従って患者が誘導され(ステップS56)、B地点に到着する(ステップS58)。患者は、B地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がB地点であることが設定される。
【0070】
患者がB地点(例えば内科の診察室)に到着すると、医師による診察が行われる(ステップS60)。診察の結果、そこで診察が終了である場合には、ステップS80に進み、他科の診察が必要であるか、又は他の検査等が必要である場合には、ステップS64に進む。ここでは、以下のフローでレントゲン撮影を行う必要があった場合について説明する。
【0071】
内科の診察室では、医師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8(図1参照)を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がD地点(レントゲン室)であることを示す情報を伝送する(ステップS64)。
【0072】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がB地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、D地点に向かって歩行する(ステップS66)。
【0073】
こうして、患者はD地点(レントゲン室)に到着する(ステップS68)。患者は、D地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がD地点であることが設定される。
【0074】
D地点であるレントゲン室では、レントゲンの撮影が行われる(ステップS70)。
【0075】
次に、レントゲンの撮影結果を内科の診察室(B地点)に持ち帰る必要があるので、レントゲン室では、レントゲン技師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がB地点(内科の診察室)であることを示す情報を伝送する(ステップS72)。
【0076】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がD地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、B地点に向かって歩行する(ステップS74)。
【0077】
こうして、患者はB地点(内科の診察室)に到着する(ステップS76)。患者は、B地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がB地点であることが設定される。
【0078】
B地点である内科の診察室では、医師が、レントゲン撮影の結果に基づいて再診察を行う(ステップS78)。
【0079】
再診察が終了すると、医師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がA地点(受付)であることを示す情報を伝送する(ステップS80)。
【0080】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がB地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、A地点に向かって歩行する(ステップS82)。
【0081】
こうして、患者はA地点(受付)に到着する(ステップS84)。患者は、A地点に到着すると、終了ボタン805を押して全てのナビゲーションを終了する。
【0082】
患者は、A地点において、精算を行うとともに、タブレットPC4と杖2を返却し(ステップS86)、帰宅する(ステップS88)。なお、患者が道に迷ったときは、タブレットPC4の「ルート再設定ボタン」を押すことができる。そのとき、管理サーバ7は、タブレットPC4から現在位置を取得し、現在位置から終点位置までの誘導経路情報を再作成して、タブレットPC4に送信する。それにより、患者を、終点位置まで誘導することができる。
【0083】
以上説明したように、上記の第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0084】
タブレットPCへの目的地の入力を、利用者本人が行うのではなく、受付や診察室などにいる施設関係者が行うので、目の不自由な利用者でも操作に戸惑うことがない。
【0085】
ルート検索などのための大容量のデータベースは管理サーバが有しており、タブレットPCは管理サーバから送られてきたルートデータのみを記憶できればよいので、タブレットPCに必要とされる記憶容量を小さくすることができ、タブレットPCの小型化、ローコスト化を図ることが可能となる。
【0086】
途中で利用者がトイレやその他の場所に立ち寄る必要ができた場合でも、一時ボタンを押すことにより、トイレ等に自動的に誘導することができ、その後再びもとの目的地に誘導することが可能となる。
【0087】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、第1の実施形態において杖2に内蔵されていたICタグリーダ14を車椅子に取り付け、車椅子の必要な利用者の誘導を可能とするものである。
【0088】
この第2の実施形態のシステムの構成は、第1の実施形態における杖2が車椅子に変更されただけで、第1の実施形態と基本的に同様である。また、利用者の誘導の方法も第1の実施形態と同様である。
【0089】
図9は、車椅子の構造を示す側面図及び正面図である。
【0090】
第1の実施形態では、ICタグリーダ14が杖2に内蔵されていたために、ICタグリーダ14をICタグ12が配置されているカーペット1に接触させることも可能であったが、車椅子の場合は、ICタグリーダ14がカーペット1から所定距離上空を移動することとなる。そのため、ICタグリーダ14は、車椅子のカーペット1の表面に近い位置に配置することが好ましい。また、患者よりも前方で案内ルートに沿っているか外れているかを検出できる必要があるので、患者の胴体よりも前方の位置に配置されることが好ましい。さらには、車椅子の前輪と干渉しない位置に配置する必要もある。
【0091】
これらの点を考慮すると、ICタグリーダ14は、図9にA1で示す足載せの下方の位置、又はA2,A3で示す前輪の上方の位置等が好ましい。
【0092】
また、病院等の廊下は、一般事務所の廊下と比較して広い傾向にある。廊下が狭い場合は、図10に示すように、ICタグ12を備えるカーペット1を廊下の略中央に配置するが、対向する人がきた場合は、一時的によけてもとの位置に戻ることになる。そのため、図12に示すように、ICタグ12のアンテナは、なるべく幅方向に広い範囲で受信することが可能なように、1枚のカーペットの周囲に配置することが好ましい。
【0093】
また、廊下が広い場合は、図11に示すように、ICタグ12を備えるカーペット1を2列に配置することも可能である。
【0094】
なお、上記の実施形態では、カーペット1側にICタグ12を配置し、車椅子側にICタグリーダ14を配置するように説明したが、逆にカーペット側にICタグリーダを配置し、車椅子側にICタグを配置するようにしてもよい。
【0095】
以上説明したように、上記の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、車椅子の必要な利用者の誘導も可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の歩行ナビゲーションシステムの第1の実施形態のシステム構成を示す模式図である。
【図2】カーペットに配置されているICタグと杖に配置されているICタグリーダの間における通信の原理を示すブロック図である。
【図3】ICタグの構成の一例を示す模式的平面図である。
【図4】病院内の通路の地図を示す図である。
【図5】病院内の各通路と、各通路に配置されているカーペットに備えられているICタグのID番号との対応関係を示す図である。
【図6】管理サーバで組み立てられる案内ルートのID番号の並びの一例を示す図である。
【図7A】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7B】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7C】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7D】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7E】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7F】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図8】タブレットPCの表示画面を示す図である。
【図9】第2の実施形態における車椅子の構造を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるカーペットの配置状態を示す図である。
【図11】第2の実施形態におけるカーペットの配置状態を示す図である。
【図12】第2の実施形態におけるICタグつきのカーペットを示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 カーペット
2 杖
3 ケーブル
4 タブレットPC
5 アンテナ
6 LANケーブル
7 管理サーバ
8 パーソナルコンピュータ
10 歩行ナビゲーションシステム
12 ICタグ
14 ICタグリーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、福祉施設等の建物内において人を誘導する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院、役所等の公共施設や、遊園地、博覧会等のイベント会場において、従業員や訪問者を個別に誘導案内するシステムが知られている。
【0003】
このようなシステムとして、特開2000−149150号公報(特許文献1)には、病院内において、患者に携帯送受信機を携行させると共に、病院の通路分岐点等の迷いやすい場所に固定送受信機を設置し、携帯送受信機と固定送受信機の通信により患者についての必要な情報を得て、表示装置などにより患者を進むべき方向に誘導する案内システムが開示されている。このシステムにおいては、患者の受付時に携帯送受信機に、患者の氏名、受診科、身体障害の有無等の個人情報を記憶させておき、携帯送受信機と壁側の固定送受信機の通信により、携帯送受信機に記憶されている患者の個人情報を読み取り、その情報に応じて表示装置に名前や診察室の方向などを表示するようにしている。
【特許文献1】特開2000−149150号公報
【特許文献2】特開2002−24983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来のシステムにおいては、表示装置などに患者の進むべき方向を表示して患者に知らせていたため、目の不自由な患者にとっては便利なものとはいえないという問題点があった。
【0005】
これを解決するために、特開2002−24983号公報(特許文献2)には、RFID技術(Radio Frequency Identification)を装着したタイルを施設等における利用者を案内したい経路に並べて配置するとともに、目の不自由な利用者に、RFID技術のリーダライタを内蔵する杖と、この杖に接続された携帯コンピュータを携行させ、患者が杖をRFID技術が装着されたタイル上にかざすことで、携帯コンピュータから推奨経路上にいることを音声で知らせ、利用者を目的の方向に誘導するシステムが開示されている。
【0006】
しかしながら、この特開2002−24983号公報では、携帯コンピュータの記憶装置内にRFID技術の全経路情報が記憶されており、携帯コンピュータのモニタにRFID技術が装着されたタイルの位置がマップ表示されるようになされている。そして、利用者は、携帯コンピュータのモニタのタッチパネルを用いて、付属のペンや指などでマップ上の出発点と目的地を入力し、その情報から携帯コンピュータが推奨経路を求めるようになされている。そのため、携帯コンピュータは、例えば建物内の全経路情報を記憶しておく必要があり、携帯コンピュータの記憶装置が大型化するとともに、コストも高くなるという問題点があった。
【0007】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、施設内で人を誘導するシステムにおいて、利用者が身につける装置の小型化とローコスト化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる歩行ナビゲーションシステムは、誘導される対象である人物に携行され、ICタグリーダを備える杖と、建物の床に複数並べて配置され、前記杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、前記杖に内蔵されるか又は接続された携帯コンピュータと、前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバに前記終点位置の情報を入力する入力手段をさらに具備することを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記始点位置の情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、種々の指示を入力するための入力ボタンをさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記入力ボタンには点字が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記終点位置において前記ICタグリーダにより読み取られた前記終点位置のICタグのID番号に基づく位置情報を、次回のナビゲーションの始点位置情報として前記サーバに前記通信手段を用いて送信することを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記複数のICタグのそれぞれには固有のID番号が記憶されており、前記サーバは、前記誘導経路情報を前記複数のICタグのID番号の並びとして作成することを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、一時的に誘導する目的地を変更することをサーバに通知する通知手段を備え、前記サーバは、前記通知手段により目的地が一時的に変更された通知を受けた場合に、前記終点位置である最終目標位置を変更せずに、前記人物の現在位置情報と前記一時的に変更された目的地の位置情報とに基づいて誘導経路情報を再作成することを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物を一時的に変更された目的地に誘導した後、前記最終目標位置に再誘導することを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記通信手段は、前記建物内の複数箇所に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを電子音、振動、音声又は画面表示により前記人物に報知することを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、前記誘導経路情報とともに、前記人物が前記誘導経路から外れた場合に引き返すことを促す引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記サーバは、予め記憶されている前記始点位置と前記終点位置間の引き返し補助ルートデータから、前記引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記複数のICタグのID番号は前記サーバで管理されており、前記サーバは、前記始点位置と終点位置の組み合わせに一対一に対応する前記誘導経路情報であるID番号の並び情報を予め記憶していることを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係わる歩行ナビゲーションシステムにおいて、前記携帯コンピュータは、前記人物が道に迷った場合に前記終点位置までの経路情報を再提供するためのルート再設定ボタンを備え、前記サーバは、前記ルート再設定ボタンが押された場合に、前記人物の現在位置から前記終点位置までの誘導経路情報を再作成することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係わる歩行ナビゲーションシステムは、誘導される対象である人物に使用され、ICタグリーダを備える車椅子と、建物の床に複数並べて配置され、前記車椅子に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、前記ICタグリーダに接続される携帯コンピュータと、前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、施設内で人を誘導するシステムにおいて、利用者が身につける装置の小型化とローコスト化を図ることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の歩行ナビゲーションシステムの第1の実施形態のシステム構成を示す模式図である。
【0027】
本実施形態のシステムは、福祉施設、病院、一般建物等の建物内において、無線ICタグを備えるカーペットを連続的に床に設置しておき、目の不自由な人にICタグリーダつきの杖を携行させ、その杖を無線ICタグ(RFID技術(Radio Frequency Identification)の原理を用いる)を備えるカーペット上にかざすようにしてもらうものである。
【0028】
図1において、本実施形態の歩行ナビゲーションシステム10は、無線ICタグ12を備え病院等の床に適切な間隔に並べて配置された複数のカーペット1と、ICタグリーダ14を備え利用者(被誘導者)が携行する杖2と、杖2にUSBケーブル等のケーブル3で接続された携帯用のタブレットPC(パーソナルコンピュータ)4と、病院等の通路の壁面に所定の間隔で複数配置されタブレットPC4と無線で通信を行うアンテナ(例えば無線LAN用アンテナ)5と、アンテナ5とLANケーブル6で接続され被誘導者の誘導目的地への経路を検索する等の処理を行う管理サーバ7と、管理サーバ7と接続され、建物内の必要な地点に配置されたPC(パーソナルコンピュータ)8とを備えて構成されている。PC8は、オペレータ(例えば病院の受付などでは受付担当者など)により操作され、被誘導者を誘導する目的地を管理サーバ7に入力するために用いられる。なお、タブレットPC4は、杖2にケーブルにより接続される形態のほかに、杖2に内蔵されている形態でもよい。
【0029】
複数のカーペット1のそれぞれに備えられている無線ICタグ12には、それぞれ固有のID番号が記憶されており、管理サーバ7は、これらのID番号を並べることにより、利用者を誘導するための経路情報を作成する。
【0030】
タブレットPC4は、管理サーバ7により作成されたカーペット1に備えられているICタグのID番号の並びとしての誘導経路情報を、予め管理サーバ7よりアンテナ5を介して無線で受け取って記憶しておき、杖2のICタグリーダ14がその順番どおりにカーペットのID番号を読み取っていることを確認することで、利用者が正しい道を正しい方向に進んでいることを確認する。
【0031】
次に、図2は、カーペット1に備えられているICタグ12と、杖2に備えられたICタグリーダ14の間における通信の原理を示すブロック図である。
【0032】
図2において、ICタグ12は、ICチップ22と、ICチップ22の制御によりICタグ12のID番号を記憶又は読み出すためのメモリ24と、メモリ24から読み出されたICタグ12のID番号をICタグリーダ14に送信するための送受信回路26と、送受信回路26とICタグリーダ14との間の信号のやり取りを行なうと共に、ICタグリーダ14から発信される電磁波等によりICチップ22の電源となる起電力を発生するためのアンテナ28とを備えて構成されている。
【0033】
また、ICタグリーダ14は、ICタグ12に電磁波等を送信するためのアンテナ30と、カーペット1に備えられているICタグ12からID番号を読み出すための送受信回路32とを備えている。
【0034】
ここで、ICタグ12は無線ICタグを構成しており、ICタグリーダ14とともに、所謂RFID技術(Radio Frequency Identification)と呼ばれる無線通信システムを構成している。
【0035】
RFID技術には、125KHz帯域の静電結合方式と、120〜150KHzあるいは13.56MHz帯の短波の電磁波を利用する電磁誘導方式と、300MHz帯あるいは400〜530KHzの長波帯での交信を行なう電磁結合方式と、860〜956MHzのUHF帯を利用する電磁波伝播方式と、2.45GHzの準マイクロ波帯により交信を行なうマイクロ波方式と、5.8〜5.9GHzのマイクロ波方式とがあるが、いずれの方式も本実施形態に適用可能である。
【0036】
なお、病院などの医療機器を備える施設では、電波が医療機器に対して影響を与えることを防止するために、ICタグ12とICタグリーダ14との通信の電力を好ましくは0.3W以下、最大でも1W以下に抑えるように設定する。
【0037】
図3は、本実施形態におけるICタグ12の構成の一例を示す模式的平面図である。
【0038】
ICタグ12は、ICチップ22と、このICチップ22をループ状に取り巻くように配置されたループアンテナ28とを備えている。ICタグリーダ14から発信された電磁波により、ループアンテナ28に電磁誘導による起電力が発生し、この起電力がICチップ22を駆動する電源となる。図3においては、メモリ24と送受信回路26は、ICチップ22の中に含まれるものとして示されている。
【0039】
なお、本実施形態では、図12に示すように、ICタグ12はカーペット1と一体的に構成されており、ループアンテナ28は、受信感度を向上させるために、1枚のカーペット1の周囲に配置されている。
【0040】
次に、管理サーバ7による利用者を誘導する経路の検索方法について説明する。
【0041】
図4は、例えば病院における通路の地図の一例を示す図である。図4に示すように、各通路には、例えば図面上の縦方向の通路にV11,V12,V13,V21,V22,V23、横方向の通路にH21,H22,H31,H32のように便宜上の名称をつけておくものとする。そして、各通路に敷き詰められている各カーペット1のICタグ12には、図5に示すように、順番にID番号を記憶させておく。例えば、通路V11に敷き詰められている各カーペット1のICタグ12には、図5に示すように図4中の上のカーペットから順に101,102,103,104のID番号が1つずつ記憶されている。その他の通路に敷き詰められているカーペット1にも同様に、図5に示すようなID番号が付されている。
【0042】
例えば、図4におけるA地点(例えば病院の受付とする)からB地点(例えば内科の診察室とする)に利用者を誘導したい場合は、管理サーバ7は、出発点であるA地点からB地点まで利用者を誘導するための経路を、例えばV11,H21,V22,H32のように検索し、その経路をたどるためのID番号の並びとして、図6(a)のようなカーペット1に備えられているICタグ12のID番号の並び情報を作成する。タブレットPC4は、管理サーバ7から、このID番号の並び情報を予め受信して記憶しておき、利用者が携行する杖2のICタグリーダ14が、このID番号の並び順にID番号を読んでいくように利用者を誘導する。タブレットPC4は、ICタグリーダ14によって管理サーバ7が決めたID番号の順番にICタグ12が読み取られている場合には、利用者が正しい道を正しい方向に進んでいるものと判断し、ピッ、ピッという電子音等を発して、利用者に正しい道を正しい方向に進んでいることを報知する。ただし、利用者への報知はピッ、ピッという電子音に限られるものではなく、他の音声や振動でもよい。また、音声による報知だけでなく、それに加えてタブレットPC4の画面上(図8参照)に、案内画面を表示するようにしてもよい。
【0043】
なお、管理サーバ7には、出発地点と目的地点の組み合わせ1つに対して1つの誘導経路が対応するように予め経路情報がテーブルとして記憶されている。そのため、管理サーバ7は出発地点と目的地点の情報が得られれば、利用者を誘導するための経路を容易に決定することが可能である。また、管理サーバには、上記の経路情報のテーブルのほかに利用者個別の情報がデータベースとして格納されており、電子カルテとの連携も可能なように配慮されている。ただし、個人情報はサーバのみに格納されており、タブレットPC4などには送信されることはなく、個人情報の漏洩が起きないように配慮されている。
【0044】
次に、上記のように構成される歩行ナビゲーションシステムを病院の施設に適用した場合の利用方法について説明する。
【0045】
図7A乃至図7Fは、病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。図7A乃至図7F、及び図1、図4、図5、図8を参照して本実施形態の歩行ナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0046】
まず、患者は病院の受付(図4のA地点)に行って診察受付を行ない、診察を受けたい科を受付担当者にアナウンスする(ステップS2)。診察を受けたい科をアナウンスされた病院の受付担当者は、受付に設置されているPC8(図1参照)を用いて、管理サーバ7に目的地がB地点であることを示す情報を伝送する(ステップS4)。また、受付担当者はタブレットPCに現在位置が受付であることを入力する。
【0047】
患者又は受付担当者が図8に示すタブレットPC4の画面上の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示とICタグ12のID番号による現在位置情報(A地点)が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、データベースに格納されているICタグ12のID番号と建物内の位置の関係を表わす場所座標データから、A地点の位置と、目的地であるB地点の位置を検索し、それぞれを始点、終点として、データベース上でテーブル化されているルートデータ(経路情報)から目的地までのルートを検索する。この検索により、例えば、図4におけるV11,H21,V22,H32というルートが検索される(ステップS6)。管理サーバ7は、図5に示したような、検索したルートに対応するカーペット1のタグ情報(カーペットに備えられているICタグのID番号)を、ICタグの番号と通路番号の対応関係を表わす通路番号表データから検索する(ステップS8)。そして、始点(A地点)から終点(B地点)までの通過するカーペット1に備えられているICタグ12のID番号と、目的地(B地点)までのICタグのID番号の並び順を、一つのルートデータとして組み立てる(ステップS10)。組み立てられたルートデータは、例えば図6(a)に示したようなものとなる。
【0048】
次に、管理サーバ7は、データベースに記憶されている、始点と終点間の引き返し補助ルートデータから、引き返し補助用のルートを検索する(ステップS12)。ここで、引き返し補助用のルートとは、患者が正規のルートから外れたため引き返すことを促す必要のあるルートである。図4においてA地点からB地点に向かうことを考えた場合、引き返し補助用のルートは、正規のルートから外れているV21,V12,H31,H22である。管理サーバ7は、検索した引き返し補助用のルートのタグ情報(カーペットに備えられているICタグのID番号)を、通路番号表データから検索する(ステップS14)。そして、引き返しを補助する経路に対応するICタグ12のID番号と、引き返す地点までのICタグのID番号の並び順を一つの引き返し補助ルートデータとして組み立てる(ステップS16)。なお「引き返し補助ルート」は、「正規ルート」ではないが、「正規ルート」から外れたときに、「正規ルート」に誘導することができる経路である。つまり、「誘導経路」とは、「正規ルート」及び「引き返し補助ルート」を合わせた経路のことを意味する。
【0049】
次に、管理サーバ7は、患者が歩行するルートである正規ルートデータと、正規のルートを外れた場合に引き返しを補助する引き返し補助ルートデータとを、患者が携帯するべきタブレットPC4にアンテナ5を介して無線で伝送する(ステップS18)。
【0050】
ここまでを行った時点で、病院の受付担当者は、杖2及びタブレットPC4を患者に渡す(ステップS20)。
【0051】
この後は、患者が杖2の先端をカーペット1上にかざすことで、杖2のICタグリーダ14がカーペット1からICタグ12のID番号を読み取る。ICタグ12のID番号が読み取れた場合、その読み取られたID番号の順番が正規のルートに則っていればタブレットPCのスピーカーからピッ、ピッという電子音が鳴るので、患者はこの電子音に従って、管理サーバ7により設定された正規のルート上を誘導されながら歩行することとなる(ステップS22)。なお、患者が正規のルートから外れて引き返し補助用のルートに進入した場合は、読み取られるICタグのID番号の順番が正規のルートのID番号の順番と異なるので、タブレットPC4は容易に患者がルートを外れたことを検出することができる。その場合は、タブレットPC4に設けられているスピーカーから「引き返してください」というアナウンスや警告音等を発することにより、患者に知らせることができる。例えば、V11からH21に進むときに、患者が間違ってV21に入り込んだとする。V21に入り込んでしまったことは、タブレットPC4が105のタグ情報を取得することでわかる。104から107の方向に向かっている場合は、「引き返し」を要求するアナウンスか警報音等を発生し、107から105の方向に向かっている場合は、「正規ルート」に向かっていることがわかるので、「そのまま進む」ことを要求するアナウンスか警報音等を発生させる。
【0052】
次に、ステップS24〜ステップS42のフローを参照して、本実施形態の特に特徴的な動作について説明する。
【0053】
ステップS24〜ステップS54の動作は、患者がB地点まで誘導されている途中で他の場所(例えば図4のC地点)に立ち寄る必要ができた場合(例えばトイレに行きたくなった場合)に、その誘導を行うとともに、C地点に立ち寄った後にC地点から本来の目的地であるB地点に誘導する動作を示すものである。ここでは、トイレにいきたくなった場合を例に説明する。
【0054】
例えば、通路H21のID番号「202」のICタグの位置で患者がトイレ(C地点)に行きたくなったとする(ステップS24)。その場合、患者は、図8に示すタブレットPC4の画面上に配置されている一時ボタン(トイレボタン)801を押す(ステップS26)。トイレボタン801が表示されている画面上には点字などを設けておき、目の不自由な患者でも指先の感覚でボタンの位置がわかるようにしておく。
【0055】
トイレボタン801が押されると、タブレットPC4は、現在位置のICタグのID番号「202」(最終に読み取ったID番号)をアンテナ5を介して管理サーバ7に無線で送信する(ステップS28)。
【0056】
管理サーバ7は、タブレットPC4から送られてきたID番号に基づいて、患者がどの位置にいるかを場所座標データから検索する(ステップS30)。そして、管理サーバ7は、最終読み取りID番号「202」を新たな始点に設定する(ステップS32)。
【0057】
管理サーバ7は、新たに設定された始点とC地点の間のルート検索を行う。また、同時に引き返し補助用のルートを検索する(ステップS34)。ここでは、C地点までの正規のルートは、図4のH21,H22となる。なお、管理サーバ7は、一時ボタン801が押された場合でも、一時的に目的地がC地点に変更されただけであり、最終目的地がB地点であることは変更せずに、最終目的地がB地点であることを記憶しておく。
【0058】
管理サーバ7は、ルート検索結果から新しい正規のルートデータを組み立てる。また、同時に引き返し補助ルートデータも組み立てる(ステップS36)。ここで組み立てられた正規のルートデータにおけるICタグのID番号の並びは、図6(b)に示したようになる。なお、引き返し補助用ルートは、V12,V22,V13,V23である。
【0059】
管理サーバ7は、組み立てられた新しいルートデータを、アンテナ5を介してタブレットPC4に送信する(ステップS40)。
【0060】
これにより、タブレットPC4には、新しいルートデータが記憶されるので、このデータに従って患者が誘導され(ステップS40)、C地点に到着する(ステップS42)。C地点に到着すると、患者は図8に示すタブレットPC4の画面上の目的地到着ボタン804を押す。これにより、タブレットPC4はナビゲーションを終了する。
【0061】
次のステップS44〜ステップS54のフローは、患者がトイレに立ち寄ってから本来の目的地であるB地点に行く動作を示している。
【0062】
患者がトイレを済ませると、タブレットPC4の画面上の案内開始ボタン803を押す(ステップS44)。案内開始ボタン803が表示されている画面上には点字などを設けておき、目の不自由な患者でも指先の感覚でボタンの位置がわかるようにしておく。このような点字は、トイレボタン801、ルート再設定ボタン802、目的地到着ボタン804、終了ボタン805などにも設けておくことが好ましい。なお、ルート再設定ボタン802は、迷子になった場合などに、現在地から目的地までのルートを再計算するためのボタンである。また、終了ボタン805は、全てのナビゲーションを終了するボタンである。
【0063】
案内開始ボタン803が押されると、タブレットPC4は、最終に読み取った目的地(ここではC地点)をアンテナ5を介して管理サーバ7に送信する(ステップS46)。
【0064】
管理サーバ7は、最終に読み取った目的地を新たな始点に設定する(ステップS48)。
【0065】
管理サーバ7は、新たに設定された始点(C地点)と最終目的地として管理サーバ7に記憶されているB地点の間のルート検索を行う。また、同時に引き返し補助用のルートを検索する(ステップS50)。ここでは、B地点までの正規のルートは、図4のV23,H32となる。
【0066】
管理サーバ7は、ルート検索結果から新しいルートデータ(カーペットに備えられているICタグのID番号の並び)を組み立てる。また、同時に引き返し補助ルートデータも組み立てる(ステップS52)。なお、引き返し補助用ルートは、V13,H22である。
【0067】
管理サーバ7は、組み立てられた新しいルートデータを、アンテナ5を介してタブレットPC4に送信する(ステップS54)。
【0068】
ここまでのフローで、最終目的地であるB地点までのルート設定が行われたことになる。
【0069】
これにより、タブレットPC4には、最終目的地であるB地点までの新しいルートデータが記憶されるので、このデータに従って患者が誘導され(ステップS56)、B地点に到着する(ステップS58)。患者は、B地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がB地点であることが設定される。
【0070】
患者がB地点(例えば内科の診察室)に到着すると、医師による診察が行われる(ステップS60)。診察の結果、そこで診察が終了である場合には、ステップS80に進み、他科の診察が必要であるか、又は他の検査等が必要である場合には、ステップS64に進む。ここでは、以下のフローでレントゲン撮影を行う必要があった場合について説明する。
【0071】
内科の診察室では、医師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8(図1参照)を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がD地点(レントゲン室)であることを示す情報を伝送する(ステップS64)。
【0072】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がB地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、D地点に向かって歩行する(ステップS66)。
【0073】
こうして、患者はD地点(レントゲン室)に到着する(ステップS68)。患者は、D地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がD地点であることが設定される。
【0074】
D地点であるレントゲン室では、レントゲンの撮影が行われる(ステップS70)。
【0075】
次に、レントゲンの撮影結果を内科の診察室(B地点)に持ち帰る必要があるので、レントゲン室では、レントゲン技師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がB地点(内科の診察室)であることを示す情報を伝送する(ステップS72)。
【0076】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がD地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、B地点に向かって歩行する(ステップS74)。
【0077】
こうして、患者はB地点(内科の診察室)に到着する(ステップS76)。患者は、B地点に到着すると、目的地到着ボタン804を押してナビゲーションを終了する。この時点で、タブレットPC4には、最終に読み取られたICタグのID番号から、現在地がB地点であることが設定される。
【0078】
B地点である内科の診察室では、医師が、レントゲン撮影の結果に基づいて再診察を行う(ステップS78)。
【0079】
再診察が終了すると、医師又はオペレーション担当者が、そこに設置されているPC8を用いて、管理サーバ7に、次の目的地がA地点(受付)であることを示す情報を伝送する(ステップS80)。
【0080】
患者がタブレットPC4の案内開始ボタン803を押して、タブレットPC4からナビゲーション開始の指示と現在地点がB地点であることの情報が管理サーバ7に送られると、管理サーバ7は、患者の現在位置の情報と目的地の情報とから、既に説明したステップS6〜ステップS18と同様にして、患者を誘導するための正規ルートデータと引き返し補助ルートデータを作成し、それらのデータをタブレットPC4にアンテナ5を介して送信する。そして、患者は、新たなルートに従って誘導されながら、A地点に向かって歩行する(ステップS82)。
【0081】
こうして、患者はA地点(受付)に到着する(ステップS84)。患者は、A地点に到着すると、終了ボタン805を押して全てのナビゲーションを終了する。
【0082】
患者は、A地点において、精算を行うとともに、タブレットPC4と杖2を返却し(ステップS86)、帰宅する(ステップS88)。なお、患者が道に迷ったときは、タブレットPC4の「ルート再設定ボタン」を押すことができる。そのとき、管理サーバ7は、タブレットPC4から現在位置を取得し、現在位置から終点位置までの誘導経路情報を再作成して、タブレットPC4に送信する。それにより、患者を、終点位置まで誘導することができる。
【0083】
以上説明したように、上記の第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0084】
タブレットPCへの目的地の入力を、利用者本人が行うのではなく、受付や診察室などにいる施設関係者が行うので、目の不自由な利用者でも操作に戸惑うことがない。
【0085】
ルート検索などのための大容量のデータベースは管理サーバが有しており、タブレットPCは管理サーバから送られてきたルートデータのみを記憶できればよいので、タブレットPCに必要とされる記憶容量を小さくすることができ、タブレットPCの小型化、ローコスト化を図ることが可能となる。
【0086】
途中で利用者がトイレやその他の場所に立ち寄る必要ができた場合でも、一時ボタンを押すことにより、トイレ等に自動的に誘導することができ、その後再びもとの目的地に誘導することが可能となる。
【0087】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、第1の実施形態において杖2に内蔵されていたICタグリーダ14を車椅子に取り付け、車椅子の必要な利用者の誘導を可能とするものである。
【0088】
この第2の実施形態のシステムの構成は、第1の実施形態における杖2が車椅子に変更されただけで、第1の実施形態と基本的に同様である。また、利用者の誘導の方法も第1の実施形態と同様である。
【0089】
図9は、車椅子の構造を示す側面図及び正面図である。
【0090】
第1の実施形態では、ICタグリーダ14が杖2に内蔵されていたために、ICタグリーダ14をICタグ12が配置されているカーペット1に接触させることも可能であったが、車椅子の場合は、ICタグリーダ14がカーペット1から所定距離上空を移動することとなる。そのため、ICタグリーダ14は、車椅子のカーペット1の表面に近い位置に配置することが好ましい。また、患者よりも前方で案内ルートに沿っているか外れているかを検出できる必要があるので、患者の胴体よりも前方の位置に配置されることが好ましい。さらには、車椅子の前輪と干渉しない位置に配置する必要もある。
【0091】
これらの点を考慮すると、ICタグリーダ14は、図9にA1で示す足載せの下方の位置、又はA2,A3で示す前輪の上方の位置等が好ましい。
【0092】
また、病院等の廊下は、一般事務所の廊下と比較して広い傾向にある。廊下が狭い場合は、図10に示すように、ICタグ12を備えるカーペット1を廊下の略中央に配置するが、対向する人がきた場合は、一時的によけてもとの位置に戻ることになる。そのため、図12に示すように、ICタグ12のアンテナは、なるべく幅方向に広い範囲で受信することが可能なように、1枚のカーペットの周囲に配置することが好ましい。
【0093】
また、廊下が広い場合は、図11に示すように、ICタグ12を備えるカーペット1を2列に配置することも可能である。
【0094】
なお、上記の実施形態では、カーペット1側にICタグ12を配置し、車椅子側にICタグリーダ14を配置するように説明したが、逆にカーペット側にICタグリーダを配置し、車椅子側にICタグを配置するようにしてもよい。
【0095】
以上説明したように、上記の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、車椅子の必要な利用者の誘導も可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の歩行ナビゲーションシステムの第1の実施形態のシステム構成を示す模式図である。
【図2】カーペットに配置されているICタグと杖に配置されているICタグリーダの間における通信の原理を示すブロック図である。
【図3】ICタグの構成の一例を示す模式的平面図である。
【図4】病院内の通路の地図を示す図である。
【図5】病院内の各通路と、各通路に配置されているカーペットに備えられているICタグのID番号との対応関係を示す図である。
【図6】管理サーバで組み立てられる案内ルートのID番号の並びの一例を示す図である。
【図7A】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7B】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7C】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7D】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7E】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図7F】病院での診察受付から患者を目的の場所に誘導しながら診察が終了するまでの流れを示す図である。
【図8】タブレットPCの表示画面を示す図である。
【図9】第2の実施形態における車椅子の構造を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるカーペットの配置状態を示す図である。
【図11】第2の実施形態におけるカーペットの配置状態を示す図である。
【図12】第2の実施形態におけるICタグつきのカーペットを示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 カーペット
2 杖
3 ケーブル
4 タブレットPC
5 アンテナ
6 LANケーブル
7 管理サーバ
8 パーソナルコンピュータ
10 歩行ナビゲーションシステム
12 ICタグ
14 ICタグリーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導される対象である人物に携行され、ICタグリーダを備える杖と、
建物の床に複数並べて配置され、前記杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、
前記杖に内蔵されるか又は接続された携帯コンピュータと、
前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、
前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする歩行ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記サーバに前記終点位置の情報を入力する入力手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯コンピュータは、前記始点位置の情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記携帯コンピュータは、前記終点位置において前記ICタグリーダにより読み取られた前記終点位置のICタグのID番号に基づく位置情報を、次回のナビゲーションの始点位置情報として前記サーバに前記通信手段を用いて送信することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記複数のICタグのそれぞれには固有のID番号が記憶されており、前記サーバは、前記誘導経路情報を前記複数のICタグのID番号の並びとして作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記携帯コンピュータは、一時的に誘導する目的地を変更することをサーバに通知する通知手段を備え、前記サーバは、前記通知手段により目的地が一時的に変更された通知を受けた場合に、前記終点位置である最終目標位置を変更せずに、前記人物の現在位置情報と前記一時的に変更された目的地の位置情報とに基づいて誘導経路情報を再作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記通信手段は、前記建物内の複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記携帯コンピュータは、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを電子音、振動、音声又は画面表示により前記人物に報知することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記サーバは、前記誘導経路情報とともに、前記人物が前記誘導経路から外れた場合に引き返すことを促す引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記携帯コンピュータは、前記人物が道に迷った場合に前記終点位置までの経路情報を再提供するためのルート再設定ボタンを備え、前記サーバは、前記ルート再設定ボタンが押された場合に、前記人物の現在位置から前記終点位置までの誘導経路情報を再作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項11】
誘導される対象である人物に使用され、ICタグリーダを備える車椅子と、
建物の床に複数並べて配置され、前記車椅子に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、
前記ICタグリーダに接続される携帯コンピュータと、
前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、
前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする歩行ナビゲーションシステム。
【請求項1】
誘導される対象である人物に携行され、ICタグリーダを備える杖と、
建物の床に複数並べて配置され、前記杖に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、
前記杖に内蔵されるか又は接続された携帯コンピュータと、
前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、
前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする歩行ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記サーバに前記終点位置の情報を入力する入力手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯コンピュータは、前記始点位置の情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記携帯コンピュータは、前記終点位置において前記ICタグリーダにより読み取られた前記終点位置のICタグのID番号に基づく位置情報を、次回のナビゲーションの始点位置情報として前記サーバに前記通信手段を用いて送信することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記複数のICタグのそれぞれには固有のID番号が記憶されており、前記サーバは、前記誘導経路情報を前記複数のICタグのID番号の並びとして作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記携帯コンピュータは、一時的に誘導する目的地を変更することをサーバに通知する通知手段を備え、前記サーバは、前記通知手段により目的地が一時的に変更された通知を受けた場合に、前記終点位置である最終目標位置を変更せずに、前記人物の現在位置情報と前記一時的に変更された目的地の位置情報とに基づいて誘導経路情報を再作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記通信手段は、前記建物内の複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記携帯コンピュータは、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを電子音、振動、音声又は画面表示により前記人物に報知することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記サーバは、前記誘導経路情報とともに、前記人物が前記誘導経路から外れた場合に引き返すことを促す引き返し補助経路情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記携帯コンピュータは、前記人物が道に迷った場合に前記終点位置までの経路情報を再提供するためのルート再設定ボタンを備え、前記サーバは、前記ルート再設定ボタンが押された場合に、前記人物の現在位置から前記終点位置までの誘導経路情報を再作成することを特徴とする請求項1に記載の歩行ナビゲーションシステム。
【請求項11】
誘導される対象である人物に使用され、ICタグリーダを備える車椅子と、
建物の床に複数並べて配置され、前記車椅子に配置されたICタグリーダと無線で通信を行なうICタグと、
前記ICタグリーダに接続される携帯コンピュータと、
前記建物内において前記人物を誘導する始点位置と終点位置とに基づいて、前記始点位置と終点位置とを結ぶ誘導経路情報を作成するサーバと、
前記サーバにより作成された誘導経路情報を前記携帯コンピュータに無線で送信する通信手段とを具備し、
前記携帯コンピュータは、前記サーバから受信した前記誘導経路情報を記憶し、該記憶した誘導経路情報と前記ICタグリーダにより前記ICタグから読み出された情報とに基づいて、前記人物が前記誘導経路上を正しい方向に進んでいるか否かを前記人物に報知することを特徴とする歩行ナビゲーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−132721(P2007−132721A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324070(P2005−324070)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年7月31日 社団法人日本建築学会発行の「2005年度大会(近畿)学術講演梗概集 構造系、計画系、環境系」に発表
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年7月31日 社団法人日本建築学会発行の「2005年度大会(近畿)学術講演梗概集 構造系、計画系、環境系」に発表
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】
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