説明

水晶発振器製造方法、及び水晶発振器製造装置

【課題】開示の水晶発振器製造方法は、電極パッド上からの導電性接着剤の流出を防ぐ。
【解決手段】接着剤を電極パッド上に塗布し、塗布された接着剤が、電極パッド外にあるか否かを判断し、塗布された接着剤の一部が電極パッド外にある場合、少なくとも電極パッド外にある接着剤の一部をレーザーにより除去し、電極パッド上の接着剤に、水晶振動子の電極を配置する、ことを有する水晶発振器製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、水晶発振器製造方法、及び水晶発振器製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は、水晶片(「水晶ブランク」とも呼ばれる)を2枚の電極で挟んだものである。水晶片は、圧電体であるため、電圧が印加されると変形して、振動する。
【0003】
水晶発振器は、水晶振動子の変形により生じる固有振動を利用するので、水晶発振器は、水晶発振器のパッケージ内の電極パッドに導電性接着剤を介して、水晶振動子の電極を接続することによって、水晶振動子を水晶発振器内に支持している。即ち、導電性接着剤が、電気的接続と機械的支持を兼ねることにより、水晶振動子の固有振動を妨げないようにしている。
【0004】
導電性接着剤を用いた技術について、水晶発振器の製造方法ではないが、赤外線センサの製造方法にレーザーを使用する技術が提案されている。提案されている赤外線センサの製造方法では、表裏に端子を有する焦電性基材を導電性平板上に配置し、導電性平板にレーザーを照射することで飛散した導電性物質を焦電性基材側面に付着させる。このようにして、焦電性基材の側面に付着した導電性物質により、表裏の端子を短絡させて、赤外線センサを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003ー133603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、水晶発振器の製造工程では、水晶発振器のパッケージ内の電極パッド上に導電性接着剤を塗布し、塗布された導電性接着剤上に水晶片を配置する。水晶振動子の出力の精度は、導電性接着剤の量と径に大きく影響を受ける。導電性接着剤は、機械又は人力により攪拌工程を経て製造されているので、導電性接着剤の粘度にはばらつきがある。例えば、粘度が所定値より小さいと電極パッド上に導電性接着剤を塗布すると、導電性接着剤が電極パッドから流れ出し、導電性接着剤の径が大きくなる。また、導電性接着剤の塗布量が増えても導電性接着剤の径が大きくなる。このような、導電性接着剤の量や径の増加は、水晶振動子の固有振動に影響を与えて、水晶振動子の精度を悪化させる。また、電極パッドから流れ出す導電性接着剤は、他の電極パッドとの短絡の原因になり、所定の電圧が水晶振動子に印加されない状態を生じる。
【0007】
また、半導体チップの微細化に伴い電極パッドが小型化し、導電性接着剤の流出が生じ易くなっている。このような導電性接着剤の電極パッド上からの流出は、電極パッド上に導電性接着剤を塗布して製造する製品の歩留まりを低下させる。
【0008】
開示の水晶発振器製造方法は、電極パッド上からの導電性接着剤の流出を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、接着剤を電極パッド上に塗布し、塗布された接着剤が、電極パッド外にあるか否かを判断し、塗布された接着剤の一部が電極パッド外にある場合、少なくとも電極パッド外にある接着剤の一部をレーザーにより除去し、電極パッド上の接着剤に、水晶振動子の電極を配置する、ことを有する水晶発振器製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の水晶発振器製造方法は、電極パッド上からの導電性接着剤の流出を防ぐという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】片持ちタイプ水晶発振器の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す水晶発振器の上面図である。
【図3】両持ちタイプ水晶発振器の一例を示す断面図である。
【図4】図3に示す水晶発振器の上面図である。
【図5】水晶発振器の表面と裏面の一例を示す図である。
【図6】水晶発振器の回路構成の一例を示す図である。
【図7】水晶発振器製造装置の一例を示す図である。
【図8】水晶発振器の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図9A】配線パターンを有するパッケージの一例を示す上面図である。
【図9B】配線パターンを有するパッケージの一例を示す断面図である。
【図10A】導電性接着剤が塗布されたパッケージの一例を示す上面図である。
【図10B】導電性接着剤が塗布されたパッケージの一例を示す断面図である。
【図11】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図12】塗布された導電性接着剤の一部のレーザー除去の一例を示す図である。
【図13】レーザーの形状の一例を示す図である。
【図14A】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図14B】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図14C】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図14D】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図14E】電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図15】水晶振動子を導電性接着材に配置する一例を示す図である。
【図16A】内層配線を有するパッケージの一例を示す上面図である。
【図16B】内層配線を有するパッケージの一例を示す断面図である。
【図17A】導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図17B】導電性接着剤の画像の一例を示す図である。
【図18】水晶発振器をプリント基板に配置した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、水晶発振器製造方法の一実施形態を説明する。なお、図面においては、同じ要素が同じ参照符号によって示される。それゆえ、既に説明した要素と同じ参照符号を有する要素に関する説明は、以下の記述において省略される。
【0013】
図1は、片持ちタイプ水晶発振器の一例を示す断面図であり、図2は、図1に示す片持ちタイプ水晶発振器の蓋を取り除いた上面図である。水晶発振器10aは、水晶振動子11a、電極パッド23a、電極パッド23b(図2に示す)、下部電極端子25a〜25d(25c及び25dは、図5に示される)、パッケージ29a、蓋36、及び周辺回路37を有する。
【0014】
水晶振動子11aは、水晶片21、水晶片21を挟む2つの電極32a、32bを有する。電極32aは、水晶片21の一方の面に配置され、電極32bは、水晶片21の他方の面に配置される。水晶片21を挟む2つの電極32a、32bは、配線26a及び導電性接着剤31a、並びに、配線26b及び導電性接着剤31b(図2に示す)を介して、電極パッド23a、23bに電気的に接続されている。
【0015】
以上のように、水晶振動子11aは、電気的に接続されると共に、パッケージ29aの片側に配置された電極パッド23a、23bに固定されることで、支持される。このように、パッケージの片端で支持される水晶振動子11aを有する水晶発振器10aは、「片持ち支持タイプ」と呼ばれる。
【0016】
導電性接着剤31a、31bは、例えば、エポキシ樹脂と、銀フィラーとを混合したものであり、約180℃で硬化するものである。導電性接着剤31a、31b上に水晶片21を配置した後、導電性接着剤31a、31bは、水晶片21と電極パッド23a、23bとを強固に固定するために、加熱される。
【0017】
水晶片21は、電極32a、32bにより電圧が印加されると、電極32a、32bに水晶片21の固有振動数の信号を出力する。なお、水晶片21の固有振動数は、水晶片21の厚みや、形状によって決まる。目的の周波数を出力するために、水晶原石を加工して、水晶片21が作られる。
【0018】
電極パッド23a、23bは、図示されない配線を介して、周辺回路37に電気的に接続されている。周辺回路37は、電極パッド23a、23b、及び下部電極端子25a〜25dに電気的に接続されてもよい。なお、電極パッド23a、23bは、例えば、周辺回路37と配線パターンにより接続されてもよい(図9A〜図14Eを用いて後述される)。また、電極パッド23a、23bは、例えば、周辺回路37と内層配線により接続される(図16A〜図17Bを用いて後述される)。
【0019】
パッケージ29aは、水晶振動子11a、電極パッド23a、電極パッド23b、及び周辺回路37を収納する筐体であり、例えば、セラミック製である。蓋36は、製造工程において、パッケージ29a内に水晶発振器10aの各要素が配置された後で、パッケージ29aに取り付けられる。
【0020】
周辺回路37は、水晶振動子11aと共に水晶発振器10aの回路を形成する。周辺回路37は、水晶振動子11aから発振される固有振動数の出力信号を増幅し、増幅した信号からクロックパルスに信号を変形して、外部出力する回路である。
【0021】
また、図1及び図2で、周辺回路37をパッケージ29a内部に配置したが、周辺回路37は、水晶発振器10aの外部に配置しても良い。
【0022】
図3は、両持ちタイプ水晶発振器の一例を示す図であり、図4は、図3に示した両持ちタイプ水晶発振器の上面図である。水晶発振器10bは、水晶振動子11b、電極パッド23a、23c、下部電極端子25a〜25d(25c及び25dは、図5に示される)、パッケージ29b、蓋36、及び周辺回路37を有する。
【0023】
水晶発振器10bと水晶発振器10aとの相違点は、水晶振動子11bがパッケージ29bの対角線方向の両端に配置した電極パッド23a、23cに導電性接着剤31a、31cを介して保持されることである。水晶片21は、水晶片21の上面にある電極32aと、水晶片21の下面にある電極32cとに挟まれている。電極32aは、電極パッド23aと配線で接続されており、電極32cは、電極パッド23aの反対側のパッケージ29bの端部に配置された電極パッド23cと配線で接続されている。
【0024】
このように、水晶振動子11bをパッケージ29bの両端に配置された電極パッド23a、23cで支持するタイプの水晶発振器10bを、「両持ち支持タイプ」と呼ぶ。
【0025】
図5は、水晶発振器の表面と裏面の一例を示す図である。水晶発振器表面10−1は、例えばニッケル等でメッキされた蓋36の上面である。水晶発振器裏面10−2は、パッケージ29aの下面であり、下部電極端子25a〜25dがある。下部電極端子25a〜25dは、上記した周辺回路37と電気的に接続されており、下部電極端子25aは、例えば、水晶振動子への電圧の印加を開始又は停止するための制御端子である。下部電極端子25bは、例えば、電源接続用端子である。下部電極端子25cは、例えば、出力端子である。下部電極端子25dは、例えば、グランド接続端子である。
【0026】
図1〜図4に示すように、水晶振動子11a、11bは圧電効果により自由に変形するための空隙を設けて、パッケージ29a、29b内に配置される。そして、水晶振動子11a、11aは、導電性接着材のみによって支持されることで、自由に変形することが出来る。しかし、導電性接着剤が、電極パッドから流出して接着力が低下すると、水晶片の変形形状が不安定化することにより、水晶振動子の出力が変化して、水晶発振器の出力信号は不安定化する。よって、導電性接着剤の径を所定形状より小さくすることで、水晶発振器の出力周波数を安定化させることが出来る。
【0027】
図6は、水晶発振器の回路構成の一例を示す図である。図6に示す水晶発振器10は、図1及び図2に示す水晶発振器10a又は図3及び図4に示す水晶発振器10bである。同様に、図6に示す水晶振動子11は、図1及び図2に示す水晶振動子11a又は図3及び図4に示す水晶振動子11bである。水晶発振器10は、水晶振動子11に加え、周辺回路37の構成素子として、帰還抵抗51、制限抵抗52、インバータ回路53、54、及びコンデンサ55、56を有する。
【0028】
帰還抵抗51は、インバータ回路53の出力側から、出力信号を帰還させ、水晶振動子11の発振を継続させる。制限抵抗52は、水晶振動子11に流れ込む電流を制御し、負性抵抗や励振レベルの調整、振動子の異常発振の防止や周波数変動を抑制する。
【0029】
インバータ回路53は、増幅回路として動作する。インバータ回路53は、水晶振動子11が出力する信号を増幅して、増幅した信号をインバータ回路54に供給する。インバータ回路54は、バッファ回路として動作する。インバータ回路54は、入力された周波数信号の波形整形、及び/又は、出力インピーダンスを下げるように動作する。コンデンサ55、56は、負性抵抗、励振レベル、発振周波数を調整するために、任意の負荷容量に設定される。
【0030】
図7は、水晶発振器製造装置の一例を示す図である。水晶発振器製造装置70は、搬送部71、液体定量吐出部72、光学部73、レーザー照射部74、水晶振動子配置部77、加熱部80、蓋取付部81、制御部84、及び記憶部85を有する。
【0031】
搬送部71は、例えば、パッケージ29a、29bを搬送部71の上部に配置し、水晶発振器製造装置70の内部に移動させるユニットである。搬送部71は、パッケージ29a、29bを搬送することによって、パッケージ29a、29bを、光学部73、レーザー照射部74、水晶振動子配置部77、加熱部80、及び蓋取付部81に搬送する。
【0032】
液体定量吐出部72は、制御部84の制御指示に示されるタイミングで、制御部84の制御指示に示される電極パッドの位置に対して、導電性接着剤を吐出するユニットである。
【0033】
光学部73は、パッケージの電極パッドを上方から撮影して、電極パッド周辺の画像を取得するユニットである。光学部73は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)や、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS、相補性金属酸化膜半導体)のイメージセンサを有する。
【0034】
レーザー照射部74は、レーザー光源75と、レーザー照射光学系76とを有する。レーザー光源75は、ランプ等の光源から、レーザー光を照射するユニットである。レーザー光源75は、例えば、Yttrium Aluminum Garnet(YAG)レーザー光源である。レーザー光源75は、例えば、YAGロッドとフラッシュランプを有し、YAGロッドにフラッシュランプによる閃光を与えることにより、YAGロッドを励起して、レーザー光を生じさせる。レーザー照射光学系76は、反射鏡やスリットを有し、制御部84の制御指示に従いレーザー形状を生成し、制御部84の制御指示に従った照射位置にレーザーを照射する。レーザー照射部74は、制御部84の制御指示に従いレーザーを照射することで、導電性接着剤を削ることが出来る。
【0035】
水晶振動子配置部77は、フィーダ部78と、ヘッド部79とを有する。フィーダ部78には、多数の水晶振動子が充填されており、ヘッド部79に水晶振動子を供給する。ヘッド部79は、液体定量吐出部72から吐出された導電性接着剤の上に、水晶振動子の電極を配置する。
【0036】
加熱部80は、導電性接着剤上に水晶振動子を配置した後で、導電性接着剤を硬化させるために、導電性接着剤を加熱するユニットである。加熱部80は、例えば、約180℃に導電性接着剤を加熱して、導電性接着剤を硬化させることで、水晶振動子の電極を電極パッドに固定する。
【0037】
蓋取付部81は、フィーダ部82と、ヘッド部83とを有する。フィーダ部82には、蓋36が充填されており、ヘッド部83に蓋36を供給する。ヘッド部83は、パッケージに対して蓋36を取り付ける。このようにして、水晶発振器は製造される。
【0038】
制御部84は、記憶部85に格納されるプログラムを実行することで、水晶発振器製造装置70に含まれる各ユニットの動作を制御する。制御部84は、例えば、Central Processing Unit(CPU)である。制御部84は、図7には示されない演算実行部及びL1キャッシュ(Level 1 Cache Memory:1次キャッシュメモリ)を含む。L1キャッシュは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)である。演算実行部により頻繁に使用されるデータ及び命令は、L1キャッシュに保持される。
【0039】
制御部84は、液体定量吐出部72による導電性接着剤吐出のタイミングや、吐出量を制御する液体定量吐出部の制御処理を実行する。制御部84は、水晶振動子配置部77が水晶振動子をパッケージに装着するタイミング制御、及び、蓋取付部81が蓋36をパッケージに装着するタイミング制御を行っても良い。
【0040】
また、制御部84は、光学部73により取得された画像から、電極パッド上に塗布された導電性接着剤の位置及び大きさを検出する画像認識処理を実行する。さらに、制御部84は、塗布された導電性接着剤の少なくとも一部が電極パッド外にある場合、電極パッド外にある導電性接着剤の少なくとも一部をレーザーにより除去するレーザー制御処理を実行する。また、制御部84は、所定の位置及び大きさに導電性接着剤が塗布されるように、レーザーを導電性接着剤に照射して、導電性接着剤の一部を除去するレーザー制御処理を実行する。さらに、制御部84は、水晶振動子配置部77から水晶振動子を、パッケージの所定位置に配置するように指示し、加熱部80に加熱処理を実行するように指示をする加熱部80の制御処理を実行する。
【0041】
記憶部85は、半導体素子を利用して電気的にデータを記憶する装置であり、制御部84で実行されるプログラムを保持する。プログラムは、上記の各制御処理を実現するタスク、プロセス、スレッドを構成するようにコーディングされ得る。記憶部85は、例えば、制御部84に含まれるキャッシュメモリの下位階層に配置される下位階層キャッシュメモリ、及び/又はメインメモリである。
【0042】
下位階層キャッシュメモリは、制御部84に含まれるキャッシュメモリが保持する内容を包含する。下位階層キャッシュメモリは、例えば、SRAMである。メインメモリは、例えば、Dynamic Random Access Memory(DRAM)である。フラッシュメモリは、例えば、Electrically Erasable Programmable Read Only Memory(EEPROM)である。記憶部85は、さらに、外部記憶装置を有して、外部記憶装置に、上記プログラムを格納してもよい。外部記憶装置は、例えば、磁気ディスクのディスクアレイ、又はフラッシュメモリを用いたSolid State Drive(SSD)、又は光学ディスクドライブである。外部記憶装置は、メモリカードやDigital Versatile Disc(DVD)などの記録媒体を挿入することで、外部にプログラムを供給可能なように構成されても良い。
【0043】
図8は、水晶発振器の製造方法の一例を示すフローチャートである。図9A〜図17Bを参照して、図8に示す水晶発振器の製造方法を説明する。
【0044】
水晶発振器の製造方法では、まず、パッケージ29aが液体定量吐出部72の下に搬送される(S101)。図9Aは、配線パターンを有するパッケージの一例を示す上面図である。図9Bは、配線パターンを有するパッケージの一例を示す断面図である。図9A及び図9Bに示されるパッケージ29aは、電極パッド23a、23b、配線パターン24a及び24b、及び周辺回路37を有しており、配線パターン24a及び24bは、電極パッド23a及び23bにそれぞれ接続すると共に、周辺回路37に接続している。
【0045】
次に、液体定量吐出部72は、電極パッド23a、23b上に、導電性接着剤を塗布する(S102)。図10Aは、導電性接着剤が塗布されたパッケージの一例を示す上面図である。図10Bは、導電性接着剤が塗布されたパッケージの一例を示す断面図である。図10A及び図10Bに図示されるように、液体定量吐出部72は、配線パターン24a、24bと反対側の電極パッド23a、23b端部に接するように、導電性接着剤を塗布する。言い換えれば、図10aでは、液体定量吐出部72は、電極パッド23a、23b中心よりもパッケージ29aの内側に導電性接着剤を塗布する。配線パターン24a、24bから離れて導電性接着剤を塗布するのは、後の導電性接着剤の除去のためにレーザー光源75から照射されるレーザーにより、配線パターン24a、24bを損傷させないようにするためである。
【0046】
光学部73は、パッケージ29aを上方から撮影して、電極パッド及びその周辺の画像データを取得し、制御部84は、取得された画像データから電極パッド上に塗布された導電性接着剤の位置及び大きさを検出する(S103)。図11〜図14Eは、制御部84によって検出された電極パッドに塗布された導電性接着剤の画像データの一例を示す図である。
【0047】
図11〜図14Eに示される画像データには、電極パッド23b、配線パターン24b、及び導電性接着剤31aが示される。制御部84は、画像データをコントラスト比の閾値に基づいて量子化すると、導電性接着剤の画像と、他の画像とを区別することが出来る。
【0048】
このような画像の区別により、制御部84は、図11の参照符号33aで示すような、導電性接着剤31aのサイズ並びに位置を検出する。参照符号33aで示される検出サイズは、導電性接着剤31aが入る最小半径の円として算出した検出サイズである。制御部84は、検出サイズの位置座標から、導電性接着剤31aの電極パッド23bに対する位置を検出する。このようにして、制御部84は、導電性接着剤31aの位置及び大きさを検出する。
【0049】
制御部84は、塗布された導電性接着剤が、電極パッド外にあるか否かを判断する(S104)。塗布された導電性接着剤が、電極パッド外にある場合(S104 Yes)、制御部84は、レーザー照射光学系76を動作させて、電極パッド外にある導電性接着剤の少なくとも一部をレーザーにより除去する(S105)。塗布された導電性接着剤が、電極パッド外に無い場合(S104 No)、制御部84は、ステップS106に示す処理を実行する。
【0050】
図12は、塗布された導電性接着剤のレーザー除去の一例を示す図である。図12に示されるように、制御部84は、レーザー光源75及びレーザー照射光学系76を動作させて、電極パッド外にある導電性接着剤の少なくとも一部をレーザーにより除去する。
【0051】
図13は、ステップS105によって照射されるレーザーの形状の一例を示す図である。図13に示されるビーム形状は、レーザー照射光学系76に含まれるレンズを介して形成される。ビーム形状310は、ポイント型ビーム形状である。ビーム形状320は、矩形型ビーム形状である。ビーム形状330は、凹型のビーム形状であり、電極パッドに接続される配線パターンを回避して、電極パッドの3辺周辺にレーザーを照射するときに使用可能なビーム形状である。ビーム形状340は、電極パッドの周囲を覆うビーム形状であり、後述する内層配線の電極パッドにレーザーを照射するときに使用可能なビーム形状である。
【0052】
図14Aは、導電性接着剤の一部が電極パッド外にある画像の一例を示す図である。図14Aでは参照符号33bに示すように、制御部84は、導電性接着剤31cの位置を検出し、電極パッド23bの外部にある導電性接着剤31cの部分34bを除去部分と判断する。
【0053】
図14Bは、レーザーにより一部が除去された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。図14Bでは、図14Aに示された部分34bはレーザーにより削除され、レーザー削除後の導電性接着剤31dは電極パッド23b内部に配置されている。制御部84は、レーザー光源75及びレーザー照射光学系76を動作させて、配線パターンを切断しないように配線パターン24bと反対側を削除する。この場合のレーザー除去では、例えば、ビーム形状320又はビーム形状330が使用可能である。
【0054】
図14Bでは、配線パターン24bの反対側に導電性接着剤が流出した場合を示したが、導電性接着剤が図14Bにおいて、左右にずれた場合も、レーザーにより削除可能である。また、図10Aに示したように、導電性接着剤は、電極パッド23a、23bの配線パターンと反対側に配置されている。そのため、導電性接着剤が、配線パターン側にずれた場合は、よほど大きくずれない限り、導電性接着剤は電極パッド23a、23b内に収まる。
【0055】
図14Cは、レーザーにより一部が除去された導電性接着剤の画像の別な例を示す図である。図14Cでは、レーザーを領域34cに照射する。このとき照射されるレーザーのビーム形状は、例えば、図13に示すビーム形状320又はビーム形状330である。領域34cは、電極パッド23bにあるが、この領域にレーザーを照射しても、配線パターン24bを損傷させないため、電極パッド上にレーザーを照射してもよい。またこのように、電極パッド23b上の領域34cにレーザーを照射して、領域34c上の導電性接着剤を削除することにより、導電性接着剤31dを、領域34c上により多く留まらせることが出来る。つまり、図14Bに示すように電極パッドから外にレーザーを照射した場合、照射後に導電性接着剤が電極パッドから流出することが有り得る。図14Cに示すように電極パッド上の導電性接着剤31dの一部を除去することで、導電性接着剤31dが流出しても、除去した領域に留まることで、導電性接着剤は電極パッド外に流出しにくくなる。
【0056】
図14B及び図14Cに示すように導電性接着剤の一部を除去することで、電極パッドに塗布される導電性接着剤の位置及び大きさを一定にすることができる。このように、導電性接着剤の位置及び大きさを一定にすることで、導電性接着剤による水晶振動子の支持力を一定にして、水晶振動子の固有振動数の精度を高めることが出来る。また、電極パッド外への導電性接着剤の流出を防ぐことで、他の電極パッドとの短絡を回避出来る。
【0057】
図14Dは、導電性接着剤が電極パッド外にあり、且つ他の電極パッドから流出した導電性接着剤と接触した画像の一例を示す図である。図3及び図4に示す「両持ちタイプ」の水晶発振器では生じ得ないが、図1及び図2に示す「片持ちタイプ」の水晶発振器では、導電性接着剤が内側に流出することによって、互いに異なる電極パッドに配置された導電性接着剤同士が接触することが生じ得る。図14Dに示すように、異なる電極パッドの導電性接着剤31e、31fが互いに接触した場合、水晶振動子は、水晶片に電圧を加えることが出来なくなるため、動作しなくなる。このような場合、塗布された導電性接着剤が、電極パッド外にあるため(S104 Yes)、制御部84は、レーザー照射光学系76を動作させて、電極パッド外にある導電性接着剤の一部をレーザーにより除去する(S105)。
【0058】
図14Eは、図14Dに示す導電性接着剤の一部をレーザー除去した電極パッド及びその周辺画像の一例を示す図である。領域34dは、電極パッド23aと電極パッド23bとの中間距離を中心とし、且つ、電極パッドの内側にある領域である。図14Eでは、制御部84は、レーザー光源75及びレーザー照射光学系76を動作させて、流出した導電性接着剤31eと31fとの間の領域34dをレーザーにより削除する。このとき照射されるレーザーのビーム形状は、例えば、図13に示すビーム形状310である。このように、導電性接着剤の接触を回避するために、領域34dにある導電性接着剤を除去することで、水晶振動子の正常動作を実現する。
【0059】
次に、制御部84は、搬送部71を動作させて、水晶振動子配置部77の下にパッケージ29aを移動し、水晶振動子配置部77を用いて水晶振動子をパッケージ29aに装着する(S106)。
【0060】
図15は、水晶振動子を導電性接着材に配置する一例を示す図である。図15に示されるように、導電性接着剤で水晶振動子11aを支持するように、水晶振動子11aは、パッケージ29aに配置される。
【0061】
制御部84は、加熱部80を用いて、導電性接着剤を加熱する(S107)。このようにすることで、水晶発振器は製造される。
【0062】
上記の水晶発振器の製造方法では、配線パターンを有するパッケージを用いて、水晶発振器が製造されたが、配線パターンの代わりに、内層配線を有するパッケージを用いて、水晶発振器を製造することも出来る。
【0063】
図16Aは、内層配線を有するパッケージの一例を示す上面図である。図16Bは、内層配線を有するパッケージの一例を示す断面図である。図16A及び図16Bに示されるパッケージ29cは、パッケージ29cの一部を貫通する内層配線27a、27b、及び周辺回路37を有している。内層配線27a、27bは、電極パッド23a及び23bにそれぞれ接続すると共に、周辺回路37に接続する。
【0064】
図16Aに示すように、パッケージ29cには、図10Aに示す配線パターン24a、24bが無いため、電極パッドから流出した導電性接着剤をレーザー除去する場合、配線パターンの損傷を考慮しなくて良い。そのため、上記ステップS102では、液体定量吐出部72は、電極パッドの片側に導電性接着剤を配置せずに、電極パッドの中心に導電性接着剤を塗布する。
【0065】
図17A及び図17Bは、制御部84によって検出された導電性接着剤の画像の一例を示す図である。上記ステップS103で図17A及び図17Bに示す画像データが得られる。図17A及び図17Bに示される画像データには、電極パッド23a及び導電性接着剤31gが示される。制御部84は、検出した画像をコントラスト比の閾値に基づいて量子化すると、導電性接着剤の画像と、他の画像とを区別することが出来る。
【0066】
このような画像の区別により、制御部84は、図11の参照符号33cで示すような、導電性接着剤31gのサイズ並びに位置を検出する。参照符号33cで示される検出サイズは、導電性接着剤31gが入る最小半径の円として算出した検出サイズである。このようにして、制御部84は、参照符号33cより示される位置から、導電性接着剤31gの電極パッド23aに対する位置を検出する。
【0067】
図17Aに示すように、電極パッドの中心に導電性接着剤を塗布する内層配線を有するパッケージでは、導電性接着剤を電極パッドの一方に偏って塗布しないので、導電性接着剤は電極パッドの全方向に流出し得る。
【0068】
図17Bは、ステップS105により、流出部分をレーザー削除した後の導電性接着剤を示す図である。図17Bに示されるように、レーザー照射により導電性接着剤31gの一部は除去され、導電性接着剤は、参照符号31hに示されるようになる。このとき照射されるレーザーのビーム形状は、例えば、図13に示すビーム形状340である。図17Bに示すように、内層配線を有するパッケージでは、配線パターンが無いため、配線パターンの損傷を考慮せずに、電極パッド周囲の導電性接着剤を除去することが出来る。そのため、内層配線を有するパッケージでは、レーザー照射による配線パターン損傷という問題が生じない。
【0069】
以上説明したように、水晶発振器の製造方法では、異なる電極パッドに塗布された導電性接着剤の接触を回避することが出来ると共に、所定の形状のビームを照射することで、電極パッドに塗布された導電性接着剤を所望の形状に形成することが出来る。そのため、水晶発振器の製造方法は、導電性接着剤の形状を一定化させることにより、特性ばらつきの無い高品質の水晶発振器を製造することが出来るとともに、所定の品質基準を満たす水晶発振器をより多く製造することが出来るため、高い歩留まりを提供する。
【0070】
図18は、水晶発振器をプリント基板に配置した一例を示す図である。水晶発振器10は、プリント基板90に配置された他の集積回路94、96に、固定周波数を配線92を介して提供する。そして、そのようなプリント基板90は、コンピュータ200、ハードディスク装置210、携帯電話220等に利用されている。
【0071】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
接着剤を電極パッド上に塗布し、
前記塗布された接着剤が、前記電極パッド外にあるか否かを判断し、
前記塗布された接着剤の一部が前記電極パッド外にある場合、少なくとも前記電極パッド外にある接着剤の一部をレーザーにより除去し、
前記電極パッド上の接着剤に、水晶振動子の電極を配置する、ことを有することを特徴とする水晶発振器製造方法。
[付記2]
前記電極パッドは、配線パターンと接続されており、
前記接着剤は、前記電極パッド上において前記配線パターンの引き出し方向と反対側よりに配置される、付記1に記載の水晶発振器製造方法。
[付記3]
前記レーザーはさらに、前記電極パッドにある前記配線の引き出し方向と反対側の前記接着剤の一部を除去する、付記1又は2に記載の水晶発振器製造方法。
[付記4]
前記電極パッドは、内層配線と接続されており、
前記レーザーは、前記電極パッドの外周に照射される、付記1〜3の何れか1項に記載の水晶発振器製造方法。
[付記5]
接着剤を電極パッド上に塗布する液体定量吐出部と、
レーザー光を照射するレーザー照射部と、
前記塗布された接着剤が、前記電極パッド外にあるか否かを判断し、前記塗布された接着剤の一部が前記電極パッド外にある場合、少なくとも前記電極パッド外にある接着剤の一部を除去するように、前記レーザー照射部を制御する制御部と、
水晶振動子の電極を、前記レーザー除去された接着剤上に配置する水晶振動子配置部と、を有することを特徴とする水晶発振器製造装置。
[付記6]
前記電極パッドは、配線パターンと接続されており、
前記接着剤は、前記電極パッド上において前記配線パターンの引き出し方向と反対側よりに配置される、付記5に記載の水晶発振器製造装置。
[付記7]
前記制御部はさらに、前記レーザーを、前記電極パッドにある前記配線の引き出し方向と反対側の前記接着剤の一部を除去するように前記レーザー照射部を制御する、付記5又は6に記載の水晶発振器製造装置。
[付記8]
前記電極パッドは、内層配線と接続されており、
前記制御部は、前記レーザーを、前記電極パッドの外周に照射する、付記5〜7の何れか1項に記載の水晶発振器製造装置。
【符号の説明】
【0072】
10、10a、10b 水晶発振器
11、11a、11b 水晶振動子
21 水晶片
23a〜21c 電極パッド
24a、24b 配線パターン
25a〜25d 下部電極端子
26a、26b 配線
27a、27b 内層配線
29a〜29c パッケージ
36 蓋
37 周辺回路
70 水晶発振器製造装置
71 搬送部
72 液体定量吐出部
73 光学部
74 レーザー照射部
75 レーザー光源
76 レーザー照射光学系
77 水晶振動子配置部
78 フィーダ部
79 ヘッド部
80 加熱部
81 蓋取付部
82 フィーダ部
83 ヘッド部
84 制御部
85 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を電極パッド上に塗布し、
前記塗布された接着剤が、前記電極パッド外にあるか否かを判断し、
前記塗布された接着剤の一部が前記電極パッド外にある場合、少なくとも前記電極パッド外にある接着剤の一部をレーザーにより除去し、
前記電極パッド上の接着剤に、水晶振動子の電極を配置する、ことを有することを特徴とする水晶発振器製造方法。
【請求項2】
前記電極パッドは、配線パターンと接続されており、
前記接着剤は、前記電極パッド上において前記配線パターンの引き出し方向と反対側よりに配置される、請求項1に記載の水晶発振器製造方法。
【請求項3】
前記レーザーはさらに、前記電極パッドにある前記配線の引き出し方向と反対側の前記接着剤の一部を除去する、請求項1又は2に記載の水晶発振器製造方法。
【請求項4】
前記電極パッドは、内層配線と接続されており、
前記レーザーは、前記電極パッドの外周に照射される、請求項1〜3の何れか1項に記載の水晶発振器製造方法。
【請求項5】
接着剤を電極パッド上に塗布する液体定量吐出部と、
レーザー光を照射するレーザー照射部と、
前記塗布された接着剤が、前記電極パッド外にあるか否かを判断し、前記塗布された接着剤の一部が前記電極パッド外にある場合、少なくとも前記電極パッド外にある接着剤の一部を除去するように、前記レーザー照射部を制御する制御部と、
水晶振動子の電極を、前記レーザー除去された接着剤上に配置する水晶振動子配置部と、を有することを特徴とする水晶発振器製造装置。
【請求項6】
前記電極パッドは、配線パターンと接続されており、
前記接着剤は、前記電極パッド上において前記配線パターンの引き出し方向と反対側よりに配置される、請求項5に記載の水晶発振器製造装置。
【請求項7】
前記制御部はさらに、前記レーザーを、前記電極パッドにある前記配線の引き出し方向と反対側の前記接着剤の一部を除去するように前記レーザー照射部を制御する、請求項5又は6に記載の水晶発振器製造装置。
【請求項8】
前記電極パッドは、内層配線と接続されており、
前記制御部は、前記レーザーを、前記電極パッドの外周に照射する、請求項5〜7の何れか1項に記載の水晶発振器製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−77685(P2011−77685A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225083(P2009−225083)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】