説明

水陸両用車

【課題】 陸上走行に於いては車輪の上下ストロークが大きく、スクリューの格納も出来、水上では車輪を格納して安定した走行が出来、又水平を保ち、水際で岩に当ってもスクリューが破損しない水陸両用車を提供することにある。
【解決手段】 駆動機構を組み込んだトレーリングアーム式懸架装置と、車輪の出し入れや、車両がバウンドしたときに必要なバンプストップに代わる機能が発揮出来る両ロッド式差動シリンダー使用のエアサスペンションシステムとの組み合せ、及び、車体のタイヤハウスを利用した浮力補助システム、更に格納式スクリューにより目的が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は陸上走行では岩場、泥濘地、砂地、等の荒地走行が可能で、水上では速度と安定性を確保し、更に衝撃に対してスクリューの破損防止が可能な水陸両用車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存の水陸両用車は陸上と水上での性能が両立しない。特に水上性能のよい車両は荒地走破能力が低く、水上から陸上に上がるのに舗装したスロープが必要となる。逆に陸上性能がよい車両は水上に降りると速度が極めて遅く、安定性も悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
陸上走行に於いては車輪の上下ストロークが大きく、スクリューの格納も出来、水上では車輪を格納して安定した走行が出来、又水平を保ち、水際で岩に当ってもスクリューが破損しない水陸両用車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
駆動機構を組み込んだトレーリングアーム式懸架装置と、車輪の出し入れや、車体がバウンドしたときに必要なバンプストップに代わる機能が発揮出来る両ロッド式差動シリンダー使用のエアサスペンションシステムとの組み合せ、及び、車体のタイヤハウスを利用した浮力補助システム、更に格納式スクリューにより目的が可能となる。
【発明の効果】
【0005】
図1と図3に示す駆動機構内蔵のトレーリングアーム式懸架装置は小さくまとまって場所をとらず車体が水漏れを起しにくい構造であり、又車輪の上下ストロークを大きく取ることが出来る。
【0006】
図4のエアサスペンションシステムはバルブの操作だけでタイヤの出し入れが可能なため、水上に下りたときすばやく車輪を格納することが出来る。その事は水上から陸上に上がる時も同様ですばやく車輪を引き出すことが出来る。又、陸上でタイヤがバウンドしたときのバンプストップ機能も図の電磁弁と光センサー及びサブタンクの設置により可能にした。そのことで車体が地面を擦るのを防止できる。更にクッションの硬さとピストンの移動距離の調整は、リザーバータンクとサブタンクに入れるエアの圧力とリザーバータンクに入れるオイルの量で変更が可能になる。
【0007】
水上走行時においては、車輪を上部に格納することで安定性は保持できるが車輪を格納せず下げたままでも左右のフェンダーの下端が水面下に潜っていれば安定性は確保される。更に車体が傾いている場合は、図5のように全体で6個のタイヤハウスのうち低い部分の車輪を下げてそこに空気を注入することで水平を保つことが可能となる。
【0008】
図6は内部に動力伝達機構を組み込んだスクリュー装置である。
水上走行時、岩に当ってもスクリューは図のようにアームの根元を中心に後方に回転し、岩を避けて破損を防ぐ。陸上走行時には左右に取り付けたスクリュー装置それぞれが横に回転し、図1に示すように上部の格納部に収納される。その結果車体が転倒しても破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】陸上走行時のスクリューの位置とトレーリングアーム式懸架装置の外観図。
【図2】水上走行時の外観図。
【図3】駆動機構内蔵式トレーリングアームの内部構造例とエアサスペンションシステムの配置を示す。
【図4】エアサスペンションシステムの配管図で、タイヤの出し入れやバンプストップ機能をバルブ操作や光センサーの信号で行う。
【図5】右フェンダー部分の図で、ブロアや逆止弁の取り付け位置は車体の構造によって変わる。
【図6】格納式スクリュー装置の正面図と側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図3はベベルギア又はチェーンによる駆動機構を組み込んだトレーリングアーム式懸架装置で、図の回転軸より動力を得てタイヤを回転させる。両ロッド型差動シリンダーのロッドの先端は当該トレーリングアームの車体内の端部に取り付けたアームの先端にピンで接続する
【0011】
図4の両ロッド型差動シリンダーはピストンの両側に太さの異なるロッドを取り付けたもので細いほうで往復運動を行う。そしてシリンダー内には図のようにオイルが入っており、サブタンクには圧縮空気が入り、リザーバータンクには圧縮空気と少量のオイルが入っている。陸上走行の場合、バルブ1は開きバルブ2は閉じており、電磁弁は開いている。そして水上に下りたとき、図のバルブ1を閉じ、バルブ2を開け、同時に電磁弁のスイッチを切るとピストンは上死点に移動し、その結果車輪はタイヤハウスの最上部に格納される。元に戻すには逆の操作をすればピストンは下死点に戻るが、その際シリンダー内のエアが空気出入口から排出されるのでバルブ3より所定の空気圧で補充する。
【0012】
図4のピストンの移動距離に対するクッションの硬さの変化は、リザーバータンクとサブタンクに入れるエアの圧力とリザーバータンクに入れるオイルの量で調整する。そして車体がバウンドしたときのバンプストップの代わりに、車輪の上下運動の上限に合せた位置に図のように光センサーを設置し、その信号で電磁弁を閉じる。
その結果図のピストンのわずかな移動でリザーバータンク内の空気圧は大幅に上昇し、ピストンは止り車体が地面を擦るのを防ぐ。
【0013】
左右フェンダーにフロートの役割をさせる為に図5のような仕切り板を、車輪の邪魔にならないように出来るだけ斜めに入れる。この場合は6輪車なので全体でタイヤハウスは6箇所になり、水上で車体が傾いて一方が水面上に持ち上がった場合でも他方の浮力は維持できる。又、その各々にブロアと逆止弁を図のように取り付けて、傾いて低くなった場所の車輪を下に下げ、そのタイヤハウスにエアを注入することで車体を水平にすることが出来る。尚このブロアのほかにコンプレッサーのホースを各タイヤハウスに取り付けてもよい。
【0014】
図6の格納式スクリューは上記水陸両用車に左右1個ずつ合計2個取り付ける。
そして車体内部左右の駆動装置のギアボックスにそれぞれ連結し、陸上走行と同じように左右の回転差により舵を取る。特徴は図のようにアームの根元を中心に前後に回転できるようになっており、スプリングで垂直に位置決めされている。そしてスクリュー部分には鉄板のガードが付いており岩に衝突してもスクリューが破損しないようになっている。又、陸上の走行時には左右のスクリューは装置ごとそれぞれ横に回転し、上部の格納部に収納される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1及び図3に示す駆動装置内蔵のトレーリングアーム式懸架装置が特徴の水陸両用車。
【請求項2】
ピストンの両側に太さの異なるロッドを持つ両ロッド型差動シリンダーとリザーバータンク及びサブタンクを連結し、図4のような配管を行い、各バルブの操作によりオイルが入った当該シリンダーのピストンを上死点から下死点へ又はその逆に移動できるのが特徴のエアサスペンションシステム。
【請求項3】
車体がバウンドしたときのバンプストップの代わりに図4ように電磁弁を配置し、車輪の上下運動の上限に相当する位置に配置された光センサーの信号で電磁弁が閉まりピストンの動きを止めるようにした請求項2のエアサスペンションシステム。
【請求項4】
図5のように左右のフェンダーに仕切り板を入れて、それぞれ独立したタイヤハウスにしてフロートの代わりに利用する。さらにそれぞれのタイヤハウスに逆止弁を介してブロアを設置し、安定性と水平の確保を図った請求項1の水陸両用車。又、ブロアのほかにエアコンプレッサーの配管をしてもよい。
【請求項5】
図6に示す動力伝達機構を内蔵したスクリュー装置において、破損防止のためスクリュー部分は鉄板でガードし、更にアームの根元を中心に前後に回転するようにし、それを垂直にスプリングで位置決めをする。そして不要なときは横に回転して上部の格納部に収納できることが特徴のスクリュー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235866(P2011−235866A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118786(P2010−118786)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(510144100)
【Fターム(参考)】