説明

洗浄装置、洗浄方法、およびコンピュータ読取可能な記憶媒体

【課題】基板の裏面洗浄の際に基板の裏面側中心部に位置する液吐出口の周囲部分を十分洗浄することができる洗浄装置を提供すること。
【解決手段】中心部に孔11aを有する水平配置された回転プレート11の上方に適長離間してウエハWを一体的に保持し、回転プレート11の孔11aに、中心部に吐出口24aを有する液吐出プレート24を設け、制御機構121により、ウエハWを回転させた状態で裏面側液供給ノズル6から処理液を吐出させてウエハWの裏面に液膜を形成させてウエハW裏面の洗浄処理を行い、その後、リンス液に切り替え、次いでリンス液の供給を一旦停止させ、その後再びリンス液を吐出させて液吐出プレート24の表面にも液膜を形成させてウエハW裏面をリンスするとともに液吐出プレート24を洗浄し、その後乾燥処理を行うように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板に対して洗浄処理を行う洗浄装置および洗浄方法、ならびにコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウエハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理を挙げることができる。
【0003】
このような液処理装置としては、半導体ウエハ等の基板を回転可能に保持し、基板を回転させた状態でウエハの表面または裏面または表裏面に処理液を供給してウエハの表面または表裏面に液膜を形成して処理を行う枚葉式のものが知られている。
【0004】
基板の裏面または表裏面に液膜を形成して洗浄処理を行う装置としては、基板の裏面側に回転可能な回転プレートを設け、この回転プレートの中央に設けられた孔部に、基板支持機能を有し液吐出口を有する非回転の液吐出プレートを設け、この液吐出プレートを昇降可能にして、この液吐出プレートを上方に突出した状態でそこに基板を受け取り、その後液吐出プレートを下降させて回転プレートに設けられた保持部材により基板を水平に保持し、液吐出口の下方に連続して設けられた液吐出ノズルから基板と回転プレートとの間に処理液やリンス液を供給して液膜を形成した状態で基板の裏面を洗浄するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
ところで、上記液吐出口の周囲に設けられた液吐出プレートは、処理途中に薬液が飛散したりして汚染されることがある。また、液吐出プレートに処理前の汚染された基板が接触して汚染されることもある。このように液吐出口の周囲が汚染されると、基板のアンロード時に液吐出プレートにより基板を支持する等、汚染された部分に洗浄後の基板の裏面が接して汚染されるおそれがある。このため、基板処理の際に液吐出プレートも洗浄することが求められるが、液吐出口は通常非回転であるため、液吐出口の周囲の液吐出プレートも非回転であり、洗浄処理やリンス処理の際に十分に液膜が形成されずに洗浄が不十分になる場合がある。
【特許文献1】特開平9−298181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板の裏面洗浄の際に基板の裏面側中心部に位置する液吐出口の周囲部分を十分洗浄することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。また、そのような洗浄方法を実行する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、 前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構とを具備し、前記制御機構は、前記回転プレートを前記保持部材により保持された基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、それにより洗浄処理を進行させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させ、その後再びリンス液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理させ、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置を提供する。
【0008】
上記第1の観点において、前記制御機構は、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量になるように制御することができる。また、前記制御機構は、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することができる。
【0009】
基板の裏面が疎水性の場合に、前記制御機構は、前記再びリンス液を吐出させた後、リンス液の供給を停止させ、その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することが好ましい。
【0010】
基板の裏面が親水性の場合に、前記制御機構は、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量になるように制御した後、リンス液の吐出量を増加させることが好ましい。また、これに加えて、前記保持部材により前記回転プレートに保持された基板の裏面中央部に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給機構を設け、前記制御機構により、前記振り切り乾燥に先立って、前記乾燥ガス供給機構により、基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給させるようにすることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給機構と、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構とを具備し、 前記制御機構は、前記回転プレートを前記保持部材により保持された基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、それにより洗浄処理を進行させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させ、その後再びリンス液を最初のリンス液吐出量よりも少量吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させ、引き続きリンス液の供給量を増加させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理させ、次いで、リンス液の供給量を減少させ、その後、リンス液の供給を停止させ、その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させ、その後、前記乾燥ガス供給機構から基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給させ、その後、基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置を提供する。
【0012】
本発明の第3の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構とを具備し、前記制御機構は、前記回転プレートを基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからの処理液の供給を一旦停止させ、その後再び処理液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とを洗浄処理させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介してリンス液を吐出させ、基板の裏面および前記基板支持プレートの表面にリンス液の液膜を形成させて基板と前記液吐出口の周囲とをリンス処理させ、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置を提供する。
【0013】
上記第2の観点において、前記制御機構は、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液のリンス液を排出させるように制御することができる。
【0014】
上記第1〜第3の観点において、前記制御機構は、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することができる。また、前記回転プレートはその中心部に孔を有し、前記洗浄装置は、前記孔に配置され前記液吐出口を有する非回転の液吐出プレートをさらに具備することができる。この場合に、前記液吐出プレートは、前記孔に昇降可能に挿通され、前記基板保持部に対する基板の受け渡しの際に基板を保持して昇降するものとすることができる。さらに、前記液吐出プレートは少なくともその表面が疎水性の材料で構成することができる。さらにまた、前記制御機構は、洗浄処理およびリンス処理の際の基板の回転数を200〜700rpmに制御し、前記乾燥処理の際の基板の回転数を500〜1000rpmに制御するものとすることができる。さらにまた、前記カップは、前記基板保持部に保持された基板を囲繞し、前記回転プレートおよび基板とともに回転し、基板を回転した際に基板から振り切られた処理液またはリンス液を受ける回転カップと、この回転カップから排出された処理液またはリンス液を受けて排液する非回転の排液カップとを有するものとすることができる。
【0015】
本発明の第4の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、前記基板保持部に基板を保持させる工程と、前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成し、それにより洗浄処理を進行させる工程と、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成する工程と、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させる工程と、その後再びリンス液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成して基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理する工程と、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程とを有することを特徴とする洗浄方法を提供する。
【0016】
上記第4の観点において、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量にすることが好ましい。また、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程をさらに有することが好ましい。
【0017】
基板の裏面が疎水性の場合に、再びリンス液を吐出させた後、リンス液の供給を停止する工程をさらに有し、この停止する工程の後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出することが好ましい。
【0018】
基板の裏面が親水性の場合に、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量にした後、リンス液の吐出量を増加させる工程をさらに有することが好ましい。また、これに加えて、前記振り切り乾燥に先立って、基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する工程をさらに有することが好ましい。
【0019】
本発明の第5の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、前記基板保持部に基板を保持させる工程と、前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成し、それにより洗浄処理を進行させる工程と、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成する工程と、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させる工程と、その後再びリンス液を最初のリンス液吐出量よりも少量吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成する工程と、引き続きリンス液の供給量を増加させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理する工程と、次いで、リンス液の供給量を減少させる工程と、その後、リンス液の供給を停止させる工程と、その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程と、その後、前記乾燥ガス供給機構から基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する工程と、その後、基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程とを有することを特徴とする洗浄方法を提供する。
【0020】
本発明の第6の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、前記基板保持部に基板を保持させる工程と、前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成する工程と、引き続き前記裏面側液供給ノズルからの処理液の供給を一旦停止させる工程と、その後再び処理液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とを洗浄処理する工程と、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介してリンス液を吐出させ、基板の裏面および前記基板支持プレートの表面にリンス液の液膜を形成して基板と前記液吐出口の周囲とをリンス処理する工程と、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程とを有することを特徴とする洗浄方法を提供する。
【0021】
上記第6の観点において、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程をさらに有するものとすることができる。
【0022】
また、上記第4〜第6の観点において、前記回転プレートはその中心部に孔を有し、前記洗浄装置は、前記孔に配置され前記液吐出口を有する非回転の液吐出プレートをさらに具備することができる。この場合に、前記液吐出プレートは、前記孔に昇降可能に挿通され、前記基板保持部に対する基板の受け渡しの際に基板を保持して昇降するものとすることができる。さらに、前記液吐出プレートは少なくともその表面が疎水性の材料で構成することができる。さらにまた、洗浄処理およびリンス処理の際の基板の回転数を200〜700rpmにとし、前記乾燥処理の際の基板の回転数を500〜1000rpmとすることができる。
【0023】
本発明の第7の観点では、回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を制御するためのコンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記制御プログラムは、実行時に、上記洗浄方法が行われるように、コンピュータに前記洗浄装置を制御させることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、裏面側液供給ノズルから処理液またはリンス液を吐出して基板裏面に処理液またはリンス液の液膜を形成した後に、一旦処理液またはリンス液の供給を停止し、再度処理液を吐出することにより液吐出口の周囲部分にも処理液またはリンス液の液膜を形成することができるので、基板裏面洗浄の際に液吐出口の周囲部分も洗浄処理することができ、支持する基板を汚染することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。ここでは、本発明を半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)の表裏面洗浄を行う液処理装置に適用した場合について示す。
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係る洗浄装置の概略構成を示す断面図、図2はその平面図、図3は図1の洗浄装置の処理液供給機構およびリンス液供給機構を示す概略図、図4は図1の洗浄装置の液吐出プレートを配置した部分を拡大して示す断面図、図5は図1の洗浄装置の排気・排液部を拡大して示す断面図である。
【0027】
この洗浄装置100は、図示しない液処理システムに複数台組み込まれており、ベースプレート1と、被処理基板であるウエハWを回転可能に保持するウエハ保持部2と、このウエハ保持部2を回転させる回転モータ3と、ウエハ保持部2に保持されたウエハWを囲繞するように設けられ、ウエハ保持部2とともに回転する回転カップ4と、ウエハWの表面に処理液を供給する表面側液供給ノズル5と、ウエハWの裏面に処理液を供給する裏面側液供給ノズル6と、回転カップ4の周縁部に設けられた排気・排液部7とを有している。また、排気・排液部7の周囲およびウエハWの上方を覆うようにケーシング8が設けられている。ケーシング8の上部には液処理システムのファン・フィルター・ユニット(FFU)からの気流を側部に設けられた導入口9aを介して導入する気流導入部9が設けられており、ウエハ保持部2に保持されたウエハWに清浄空気のダウンフローが供給されるようになっている。
【0028】
ウエハ保持部2は、水平に設けられた円板状をなす回転プレート11と、その裏面の中心部に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸12とを有している。回転プレート11の中心部には、回転軸12内の孔12aに連通する孔11aが形成されている。そして、中心部に垂直に裏面側液供給ノズル6が形成された昇降部材13が孔12aおよび孔11a内を昇降可能に設けられている。回転プレート11には、ウエハWの外縁を保持する保持部材14が設けられており、図2に示すように、これらは3つ等間隔で配置されている。この保持部材14は、ウエハWが回転プレート11から少し浮いた状態で水平にウエハWを保持するようになっている。この保持部材14はウエハWの端面を保持可能な保持部14aと、保持部14aから回転プレート裏面側中心方向に延材する着脱部14bと、保持部14aを垂直面内で回動させる回転軸14cとを有し、着脱部14bの先端部を図示しないシリンダ機構により上方に押し上げることにより、保持部14aが外側に回動してウエハWの保持が解除される。保持部材14は、図示しないバネ部材により保持部14aがウエハWを保持する方向に付勢されており、シリンダ機構を作動させない場合には保持部材14によりウエハWが保持された状態となる。
【0029】
回転軸12は、2つのベアリング15aを有する軸受け部材15を介してベースプレート1に回転可能に支持されている。回転軸12の下端部にはプーリー16が嵌め込まれており、プーリー16にはベルト17が巻き掛けられている。ベルト17はモータ3の軸に取り付けられたプーリー18にも巻き掛けられている。そして、モータ3を回転させることによりプーリー18、ベルト17およびプーリー16を介して回転軸12を回転するようになっている。
【0030】
表面側液供給ノズル5は、ノズル保持部材22に保持された状態でノズルアーム22aの先端に取り付けられており、後述する液供給機構85からノズルアーム22a内に設けられた流路を通って処理液等の液が供給され、その内部に設けられたノズル孔5aを介して液を吐出するようになっている。
【0031】
図2にも示すように、ノズルアーム22aは駆動機構81により軸23を中心として回動可能に設けられており、ノズルアーム22aを回動させることにより、表面側液供給ノズル5がウエハW中心上および外周上のウエハ洗浄位置と、ウエハWの外方の退避位置とを取り得るようになっている。また、ノズルアーム22aはシリンダ機構等の昇降機構82により上下動可能となっている。
【0032】
図3に示すように、ノズルアーム22a内には流路83が設けられており、表面側液供給ノズル5のノズル孔5aは流路83の一端に繋がっている。また、流路83の他端には配管84aが接続されている。配管84aは液供給機構85に接続されており、液供給機構85から配管84a、流路83を介して表面液供給ノズル5へ所定の液が供給される。
【0033】
裏面側液供給ノズル6は昇降部材13の中心に設けられており、その内部に長手方向に沿って延びるノズル孔6aが形成されている。ノズル孔6aの下端には配管84bが接続されている。そして、配管84bは液供給機構85に接続されており、液供給機構85から配管84bを介して裏面液供給ノズル6へ所定の液が供給される。
【0034】
液供給機構85は、洗浄処理のための薬液として、例えば酸薬液である希フッ酸(DHF)を供給するDHF供給源86、アルカリ薬液であるアンモニア過水(SC1)を供給するSC1供給源87、リンス液として例えば純水(DIW)を供給するDIW供給源88を有している。DHF供給源86、SC1供給源87、DIW供給源88からは配管89a,90a,91aが延びており、これら配管89a,90a,91aが配管84aに開閉バルブ92a,93a,94aを介して接続されている。したがって、開閉バルブ92a,93a,94aを操作することにより、アンモニア過水(SC1)、希フッ酸(DHF)、純水(DIW)を選択的に表面側液供給ノズル5に供給可能となっている。
【0035】
また、DHF供給源86、SC1供給源87、DIW供給源88からは配管89b,90b,91bも延びており、これら配管89b,90b,91bが配管84bに開閉バルブ92b,93b,94bを介して接続されている。したがって、開閉バルブ92b,93b,94bを操作することにより、アンモニア過水(SC1)、希フッ酸(DHF)、純水(DIW)を選択的に裏面側液供給ノズル6に供給可能となっている。また、配管84bの開閉バルブ92bの下流側には開閉バルブ95が設けられており、この開閉バルブ95には排出ライン96が接続されている。この排出ライン96は、液の自重により、またはアスピレータ等の吸引によりノズル孔6a内の液を排出可能となっている。
【0036】
なお、DIW供給源88から延びる配管91a,91bが、配管84a,84bの最も上流側に接続されている。
【0037】
図4の拡大図にも示すように、昇降部材13の上端部には中央に裏面側液供給ノズル6のノズル孔6aに連続し、液を吐出するための液吐出口24aを有する液吐出プレート24を有している。液吐出プレート24の上面には、ウエハWを支持するための3本のウエハ支持ピン25(2本のみ図示)を有している。液吐出プレート24は、上に広がった円錐台状をなし、処理中には図示のように孔11a内に収容されて、その表面の高さが回転プレート11の表面の高さとほぼ一致するようになっている。孔11aは液吐出プレート24に対応するような円錐台状をなしている。回転プレート11と液吐出プレート24との間には隙間24bが形成されていて、回転軸12の下方から回転軸12と昇降部材13との間の隙間を通って供給されたNガスを隙間24bからウエハWの裏面側に吹き出すようになっている。これにより回転軸12の内部への液の侵入が防止される。
【0038】
昇降部材13の下端には接続部材26を介してシリンダ機構27が接続されており、このシリンダ機構27によって昇降部材13を昇降させることによりウエハWを昇降させてウエハWのローディングおよびアンローディングを行う。
【0039】
回転カップ4は、回転プレート11の端部上方から内側斜め上方に延びる円環状の庇部31と、庇部31の外端部から垂直下方へ延びる筒状の外側壁部32を有している。そして、図5の拡大図に示すように、外側壁部32と回転プレート11との間には円環状の隙間33が形成されており、この隙間33からウエハWが回転プレート11および回転カップ4とともに回転されて飛散した処理液やリンス液が下方に導かれる。
【0040】
庇部31と回転プレート11との間にはウエハWとほぼ同じ高さの位置に板状をなす案内部材35が介在されている。庇部31と案内部材35との間、案内部材35と回転プレート11との間には、それぞれ処理液やリンス液を通過させる開口36,37が形成されている。これら開口36,37は、庇部31と案内部材35との間、案内部材35と回転プレート11との間に周方向に沿って介装された複数のスペーサ部材(図示せず)により形成される。そして、庇部31と、案内部材35と、回転プレート11と、これらの間のスペーサ部材とは、ねじ40によりねじ止めされている(図5参照)。
【0041】
案内部材35は、その表裏面がウエハWの表裏面と略連続するように設けられている。そして、モータ3によりウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて表面側液供給ノズル5からウエハW表面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの表面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW表面から振り切られた処理液は、案内部材35の表面に案内されて開口36から外方へ排出され、外側壁部32によって下方へ導かれる。また、同様にウエハ保持部2および回転カップ4をウエハWとともに回転させて裏面側液供給ノズル6からウエハWの裏面の中心に処理液を供給した際には、処理液は遠心力でウエハWの裏面を広がり、ウエハWの周縁から振り切られる。このウエハW裏面から振り切られた処理液は、略連続して設けられた案内部材35の裏面に案内されて開口37から外方へ排出され、外側壁部32によって下方へ導かれる。このとき外側壁部32に到達した処理液には遠心力が作用しているから、これらがミストとなって内側へ戻ることが阻止される。
【0042】
また、案内部材35はこのようにウエハW表面および裏面から振り切られた処理液を案内するので、ウエハWの周縁から脱離した処理液が乱流化し難く、処理液をミスト化させずに回転カップ4外へ導くことができる。なお、図2に示すように、案内部材35には、ウエハ保持部材14に対応する位置に、ウエハ保持部材14を避けるように切り欠き部41が設けられている。
【0043】
排気・排液部7は、主に回転プレート11と回転カップ4に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものであり、図5の拡大図にも示すように、回転カップ4から排出された処理液やリンス液を受ける環状をなす排液カップ51と、排液カップ51を収容するように排液カップ51と同心状の環状をなす排気カップ52とを備えている。
【0044】
図1および図5に示すように、排液カップ51は、回転カップ4の外側に、外側壁部32に近接して垂直に設けられた筒状をなす外周壁53と、外周壁53の下端部から内側に向かって延びる内側壁54とを有している。内側壁54の内周には内周壁54aが垂直に形成されている。これら外周壁53および内側壁54によって規定される環状の空間が回転カップ4から排出された処理液やリンス液を収容する液収容部56となっている。また、外周壁53の上端には、排液カップ51からの処理液の飛び出しを防止するために回転カップ4の上方部分に張り出した張り出し部53aが設けられている。液収容部56の保持部材14の外側に対応する位置には、内側壁54から回転プレート11の下面近傍まで延び、排液カップ51の周方向に沿って環状に設けられた仕切り壁55を有している。そして、液収容部56は、この仕切り壁55によって、隙間33から排出される液を受ける主カップ部56aと、保持部材14の保持部14a近傍部分から滴下される液を受ける副カップ部56bに分離されている。液収容部56の底面57は、仕切り壁55により主カップ部56aに対応する第1部分57aと、副カップ部56bに対応する第2部分57bとに分かれており、これらはいずれも外側から内側(回転中心側)に向かって上昇するように傾斜している。そして、第2部分57bの内側端は保持部材14の保持部14aよりも内側(回転中心側)に対応する位置に達している。仕切り壁55は、回転プレート11が回転した際に、保持部材14の回転プレート11の下方に突出した部分によって形成された気流がミストを随伴してウエハW側に到達することを阻止する役割を有している。仕切り壁55には、副カップ部56bから主カップ部56aに処理液を導くための孔58が形成されている(図1参照)。
【0045】
排液カップ51の内側壁54の最外側部分には液収容部56から排液する1箇所の排液口60が設けられており、排液口60には排液管61が接続されている(図1参照)。排液管61には排液切替部(図示せず)が設けられており、処理液の種類に応じて分別して回収または廃棄されるようになっている。なお、排液口60は複数箇所設けられていてもよい。
【0046】
排気カップ52は、排液カップ51の外周壁53の外側部分に垂直に設けられた外側壁64と、保持部材14の内側部分に垂直にかつその上端が回転プレート11に近接するように設けられた内側壁65と、ベースプレート1上に設けられた底壁66と、外側壁64から上方へ湾曲するとともに、回転カップ4の上方を覆うように設けられた上側壁67とを有している。そして、排気カップ52は、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ52の下部には、図1および図5に示すように、排気口70が設けられており、排気口70には排気管71が接続されている。排気管71の下流側には図示しない吸引機構が設けられており、回転カップ4の周囲を排気することが可能となっている。排気口70は複数設けられており、処理液の種類に応じて切り替えて使用することが可能となっている。
【0047】
排液カップ51の外側壁である外周壁53と排気カップ52の外側壁64との間には環状をなす外側環状空間99aが形成されており、また排液カップ51の底部と排気カップ52の底部との間の排気口70の外側部分には、周方向に沿って多数の通気孔98が形成された環状の気流調整部材97が設けられている。そして、外側環状空間99aと気流調整部材97は排気カップ52に取り入れられ、排気口70に至る気流を調整して均一に排気する機能を有している。すなわち、このように環状の空間である外側環状空間99aを通って気流を全周に亘って均一に下方へ導き、多数の通気孔98を形成した気流調整部材97を設けて圧力損失つまり気流の抵抗を与えるとともに気流を分散することにより、排気口70からの距離によらず比較的均一に排気を行うことができる。
【0048】
また、排液カップ51の内周壁54aと排気カップ52の内側壁65との間には環状をなす内側環状空間99bが形成されており、さらに、排液カップ51の内周側には排気カップ52との間の隙間77が形成されている。そして、導入口68から取り入れられた気体成分は、外側環状空間99aのみならず、排液カップ51の液収容部56にも多少流れ、その気流は液収容部56から内側環状空間99bを通って全周に亘って均一に下方に導かれ、隙間77を通って排気口70から比較的均一に排気を行うことができる。
【0049】
このように、排液カップ51からの排液と排気カップ52からの排気が独立して行われるようになっているので、排液と排気を分離した状態で導くことが可能となる。また、排液カップ51からミストが漏出しても排気カップ52がその周囲を囲繞しているので速やかに排気口70を介して排出され、ミストが外部に漏出することが確実に防止される。
【0050】
基板処理装置100はマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ121を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ121に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ121には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース122が接続されている。さらに、プロセスコントローラ121には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ121の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて液処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部123が接続されている。レシピは記憶部123の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0051】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース122からの指示等にて任意のレシピを記憶部123から呼び出してプロセスコントローラ121に実行させることで、プロセスコントローラ121の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0052】
次に、以上のように構成される基板処理装置100で実施される洗浄方法について説明する。
まず、洗浄方法の第1の実施形態について図6のフローチャートおよび図7の模式図に基づいて説明する。本実施形態では、処理液によりウエハWの表裏面洗浄を行い、その後のリンス処理の際に液吐出プレート24の洗浄も行う。本実施形態における以下の洗浄処理動作は、記憶部123に格納されたレシピに基づいてプロセスコントローラ121によって制御される。なお、図6、7および以下の説明ではウエハWの裏面の洗浄と液吐出プレート24の洗浄について説明するが、ウエハW裏面の処理液による洗浄処理および純水によるリンス処理に対応してウエハW表面の処理液による洗浄処理および純水によるリンス処理が行われる。
【0053】
まず昇降部材13を上昇させた状態で、図示しない搬送アームから液吐出プレート24の支持ピン25上にウエハWを受け渡す(工程1−1;図7(a))。
【0054】
次いで、昇降部材13を液吐出プレート24が回転プレート11の孔11a内の所定位置になるまで下降させ、回転プレート11および液吐出プレート24とウエハWとの間に液膜形成用の隙間が形成された状態で保持部材14によりウエハWをチャッキングし、ウエハWを保持部材2および回転カップ4とともに回転する(工程1−2;図7(b))。このときのウエハWの回転数は、200〜700rpm程度であることが好ましい。
【0055】
次いで、ウエハWを回転させたままの状態で、裏面側液供給ノズル6から所定の処理液をウエハWの裏面に吐出する(工程1−3;図7(c))。このとき、ウエハWの裏面に処理液の液膜が形成されるが、裏面側液供給ノズル6は最初には液が満たされていない状態であるため、処理液が吐出された時点では液吐出プレート24には液膜が形成されない。なお、この工程の際のウエハWの回転数は200〜700rpmが好ましく、処理液吐出量は0.5〜2.0L/minが好ましい。
【0056】
処理液による洗浄が終了後、連続して処理液をリンス液である純水に切り替えて吐出する(工程1−4;図7(d))。この際のウエハWの回転数は200〜1000rpmが好ましく、純水吐出量は1.0〜2.0L/minが好ましい。この工程においては、ウエハWには液膜が形成されるが、液吐出プレート24の表面にはやはり液膜が形成されない。このため、リンス液である純水の吐出を一旦停止し、裏面側液供給ノズル6内に処理液が満たされた状態とする(工程1−5;図7(e))。
【0057】
この状態でリンス液である純水を再度吐出することにより、液吐出プレート24の表面にも液膜が形成され、ウエハWの裏面がリンス処理されるとともに液吐出プレート24の表面が純水により洗浄される(工程1−6;図7(f))。
【0058】
以上のようなリンス処理終了後、バルブ95を開放して液の自重により、またはアスピレータ等による吸引により、ノズル孔6a内の純水を排出する(工程1−7;図7(g))。この工程は、回転プレート11表面に極力液を残さないためと、ノズル孔6a内での液の混合を防止するために行われる。
【0059】
液吐出プレート24の少なくとも表面が疎水性の材料(例えばテフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂)で構成されている場合には、図7(g)に示すリンス処理が終了した時点では、液吐出プレート24表面の純水がウエハWに付着した純水とともに振り切られて水滴は残存しない。液吐出プレート24は回転しないので水滴が残存するとその後の乾燥処理においてそれを除去することが困難であるが、このように液吐出プレート24の表面を疎水性とすることによりリンス工程が終了した段階で水滴が存在せず、残存した水滴がウエハWに付着して汚染させることを防止することができる。
【0060】
このようなリンス工程の後、リンス液である純水の供給を停止した状態で、ウエハWの振り切り乾燥を行う(工程1−8;図7(h))。このときのウエハWの回転数は500〜1000rpmとすることが好ましい。
【0061】
以上の第1の実施形態は、液吐出プレート24をリンス液である純水で十分洗浄することができ、処理液に長時間曝したくない場合に有効である。
【0062】
以上の第1の実施形態により、液吐出プレート24を洗浄することができるが、ウエハWの裏面が疎水性であるか親水性であるかによって、洗浄性や乾燥性が異なるため、裏面が疎水性の場合と親水性の場合とで工程を変更することが好ましい。以下にこのようなより好ましい実施形態について説明する。
【0063】
まず、このようなより好ましい実施形態を行うための装置構成について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、表面側液供給ノズル5と裏面側液供給ノズル6およびそれに付随する構成は図3と同じである。ここでは、第1の実施形態で用いた液供給機構85の代わりに液供給機構85′を用いた点が図3の構成との主な相違点である。
【0064】
図8に示すように、この液供給機構85′は、洗浄処理のための薬液として、例えば酸薬液である希フッ酸(DHF)を供給するDHF供給源101、アルカリ薬液であるアンモニア過水(SC1)を供給するSC1供給源102、リンス液として例えば純水(DIW)を供給するDIW供給源103を有している。DHF供給源101、SC1供給源102、DIW供給源103からは、それぞれ配管104,105,106が延びており、これら配管104,105,106が開閉バルブ107,108,109を介して配管84に接続されている。そして、配管84は、ノズルアーム22aの流路83に繋がる配管84aと、ノズル孔6aの下端に繋がる配管84bとに接続されている。したがって、開閉バルブ107,108,109を操作することにより、アンモニア過水(SC1)、希フッ酸(DHF)、純水(DIW)を選択的に表面側液供給ノズル5および裏面側液供給ノズル6に供給可能となっている。DIW供給源103に接続された配管106には純水の流量を絞るための流量切替バルブ110が設けられている。また、配管84の開閉バルブ107の下流側には開閉バルブ111が設けられており、この開閉バルブ111には排出配管112が接続されている。この排出配管112は、液の自重により(自重ドレイン)ノズル孔6a内の液を排出可能となっている。なお、自重ドレインによる液の排出が速すぎると排出配管112内に液滴が残存してしまうため、排出配管112には固定オリフィス113が設けられ、この固定オリフィス113により排出速度を制御することができるようになっている。
【0065】
配管84bの、配管84への接続点の下流側には、配管84を介しての裏面側液供給ノズル6への液の供給をシャットオフするためのシャットオフバルブ114が介在されている。配管84bのシャットオフバルブ114の下流側には、開閉バルブ115が設けられており、開閉バルブ115には配管116が接続されており、この配管116には小流量用DIW供給源117が接続されている。この小流量用DIW供給源117から配管116を介して、DIW供給源103から配管106を介して供給される純水よりも小流量の純水が配管84bに供給されるようになっている。すなわち、裏面側液供給ノズル6へ小流量の純水を流したい場合には、シャットオフバルブ114を閉じ、開閉バルブ115を開いて小流量用DIW供給源117から配管116を介して配管84bに小流量の純水を供給するようにする。ただし、シャットオフバルブ114を閉じると、表面側液供給ノズル5へ供給される純水の流量が倍増するため、シャットオフバルブ114の閉動作と連動して上述の流量切替バルブ110を操作して表面側液供給ノズル5へ供給される純水の流量を絞るようにする。
【0066】
このような液供給機構85′に加えて、配管84bの開閉バルブ115の下流側には開閉バルブ118を介して乾燥ガス供給配管119が接続されている。開閉バルブ118を開にした状態で、乾燥ガス配管119から配管84bを経由してノズル孔6aに乾燥ガス、例えばNガスを供給し、液吐出口24aからウエハWの裏面中央部に乾燥ガスを吹き付けることが可能となっている。
【0067】
次に、このような図8の装置構成にて実施される好ましい実施形態として、まず、第2の実施形態について、図9のフローチャートおよび図10の模式図に基づいて説明する。第2の実施形態は、ウエハWの裏面が疎水性の場合に好適なものである。
【0068】
第2の実施形態においては、第1の実施形態の工程1−1〜工程1−5と全く同様に、ウエハ受け渡しから純水吐出一旦停止までの工程を行う(工程2−1〜工程2−5;図10(a)〜(e))。
【0069】
次いで、第1の実施形態の工程1−6に対応して、リンス液である純水を再度吐出する(工程2−6;図10(f))。ただし、この際の吐出量は、最初の純水吐出(工程2−4)の吐出量よりも少なくする。これは、吐出量が多すぎると液吐出プレート24に液膜が形成され難くなるからである。具体的な純水の吐出量としては、0.1〜0.3L/minが好ましい。また、この際のウエハWの回転数は100〜300rpmが好ましい。なお、少ない吐出量の純水の供給は、上述した小流量用DIW供給源117から配管116を介して行われる。
【0070】
引き続き、純水吐出を停止する(工程2−7;図10(g))。これは、純水を吐出させた状態から即座にノズル孔6a内の純水を排出すると、液吐出プレート24の外周に液が取り残されて乾燥不良になることがあるためである。このように排出前に純水の吐出を停止することにより、液吐出プレート24とウエハ裏面との間に形成される水柱が細くなり、液吐出プレート24の外周に液が取り残されることを防止することができる。この際のウエハWの回転数は、100〜300rpmが好ましい。
【0071】
そして、この後、バルブ95を開放して液の自重により、またはアスピレータ等による吸引により、ノズル孔6a内の純水を排出する(工程2−8;図10(h))。この工程は、第1の実施形態の工程1−7と同様、回転プレート11表面に極力液を残さないためと、ノズル孔6a内での液の混合を防止するために行われる。
【0072】
このように純水を排出してリンス工程を終了した後、リンス液である純水の供給を停止した状態で、ウエハWの振り切り乾燥を行う(工程2−9;図10(i))。このときのウエハWの回転数は1000〜2000rpmとすることが好ましい。
【0073】
次に、第3の実施形態について、図11のフローチャートおよび図12の模式図に基づいて説明する。第3の実施形態は、ウエハWの裏面が親水性の場合に好適なものである。
【0074】
第3の実施形態においては、第2の実施形態の工程2−1〜工程2−6と全く同様に、ウエハ受け渡しから純水再度吐出までの工程を行う(工程3−1〜工程3−6;図12(a)〜(f))。
【0075】
次いで、純水の吐出量を増加させる(工程3−7;図12(g))。これは、ウエハ裏面が親水性の場合には、ノズル孔6aから吐出された純水がウエハ裏面に引っ張られ、液吐出プレート24上を広がり難いからであり、純水の吐出量を増加させることにより、純水が液吐出プレート24全面に広がりやすくなる。この際の純水吐出量は0.5〜1.5L/minが好ましい。また、この際のウエハWの回転数は、100〜300rpmが好ましい。
【0076】
そして、この後、バルブ95を開放して液の自重により、またはアスピレータ等による吸引により、ノズル孔6a内の純水を排出する(工程3−8;図12(h))。この工程は、第1の実施形態の工程1−7と同様、回転プレート11表面に極力液を残さないためと、ノズル孔6a内での液の混合を防止するために行われる。
【0077】
その後、乾燥ガス供給配管111から配管84bを経由してノズル孔6aに乾燥ガスとして例えばNガスを供給し、液吐出口24aからウエハ裏面の中央部に向けて吹き付ける(工程3−9;図12(i))。ウエハ裏面の中心部は遠心力が働かず、雰囲気の置換も少ないので、ウエハ裏面が親水性の場合には、裏面中央部で乾燥不良が生じやすい。そのため、このようにウエハ裏面中央部に乾燥ガスを吹き付けることにより乾燥を補助する。この際の条件は、1〜50NL/minとすることが好ましい。
【0078】
その後、Nガスを停止し、ウエハWの振り切り乾燥を行う(工程3−10;図12(j))。このときのウエハWの回転数は1000〜2000rpmとすることが好ましい。
【0079】
次に、第4の実施形態について、図13のフローチャートおよび図14の模式図に基づいて説明する。上述した第2の実施形態および第3の実施形態は、ウエハWの裏面が疎水性または親水性とわかっている場合には好適であるが、実際の処理においてはウエハWの裏面が疎水性か親水性かがわからない場合がある。そこで、第4の実施形態では、ウエハWが疎水性であっても親水性であっても良好な処理を行うことができる方法を示すものである。
【0080】
第4の実施形態においては、第3の実施形態の工程3−1〜工程3−6と全く同様に、ウエハ受け渡しから純水再度吐出までの工程を行い(工程4−1〜工程4−6;図14(a)〜(f))、その後、ウエハWの裏面が親水性の場合を考慮して第3の実施形態の工程3−7と同様に、純水吐出量を増加させる(工程4−7;図14(g))。
【0081】
しかし、裏面が疎水性のウエハの場合には、純水吐出量を増加させた状態のままノズル孔6a内の液を排出すると、液吐出プレート24の外周に液が取り残されて乾燥不良になるため、純水吐出量を低下させる(工程4−8;図14(h))。この際の純水吐出量は0.1〜0.3L/minが好ましい。また、この際のウエハ回転数は100〜300rpmが好ましい。
【0082】
このように純水吐出量を低下させた後、第2の実施形態の工程2−7と同様、純水吐出を停止する(工程4−9;図14(i))。これは、裏面が疎水性のウエハの場合、純水吐出量を低下させただけでは、その後にノズル孔6a内の純水を排出した際に、液吐出プレート24の外周に液が取り残されて乾燥不良になるおそれがあるためであり、このように排出前に純水の吐出を停止することにより、上述した第2の実施形態の工程2−7と同様に液吐出プレート24の外周に液が取り残されることを防止することができる。この際のウエハWの回転数は、100〜300rpmが好ましい。
【0083】
その後、バルブ95を開放して液の自重により、またはアスピレータ等による吸引により、ノズル孔6a内の純水を排出する(工程4−10;図14(j))。この工程は、第1の実施形態の工程1−7と同様、回転プレート11表面に極力液を残さないためと、ノズル孔6a内での液の混合を防止するために行われる。
【0084】
その後、裏面が親水性のウエハの場合を考慮して、ノズル孔6aから乾燥ガスとして例えばNガスをウエハ裏面の中心部に向けて吹き付ける(工程4−11;図14(k))。これは、第3の実施形態の工程3−9と同様、ウエハ裏面が親水性の場合に乾燥不良が生じやすい裏面中央部に乾燥ガスを吹き付けることにより乾燥を補助するためである。この際の条件は、1〜50NL/minとすることが好ましい。
【0085】
その後、Nガスを停止し、ウエハWの振り切り乾燥を行う(工程4−12;図14(l))。このときのウエハWの回転数は1000〜2000rpmとすることが好ましい。
【0086】
以上の第1〜第4の実施形態は、液吐出プレート24をリンス液である純水で洗浄する場合について示したが、液吐出プレート24を処理液を用いて十分洗浄したい場合もあり、その際の洗浄方法を以下の第5の実施形態に示す。
【0087】
図15は本発明の第5の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート、図16はその動作を説明するための模式図である。この実施形態では、液供給機構等の装置構成として図3の構成を用いる。
【0088】
図15の工程5−1〜5−3は図16(a)〜(c)に示すように、第1の実施形態の図7(a)〜(c)に示す工程1−1〜1−3と全く同様にして行われる。工程5−3の図16(c)の状態においては、ウエハWの裏面に処理液の液膜が形成されるが、裏面側液供給ノズル6は最初には液が満たされていない状態であるため、処理液が吐出された時点では液吐出プレート24には液膜が形成されない。このため、処理液の吐出を一旦停止し、裏面側液供給ノズル6内に処理液が満たされた状態とする(工程5−4;図16(d))。
【0089】
この状態で処理液を再度吐出することにより、液吐出プレート24の表面にも液膜を形成し、ウエハWの裏面および液吐出プレート24の表面の洗浄を行う(工程5−5;図16(e))。
【0090】
処理液による洗浄が終了後、連続して処理液をリンス液である純水に切り替えてリンス処理を行う(工程5−6;図16(f))。この際には、裏面側液供給ノズル6からリンス液である純水を吐出し、ウエハWの裏面に純水の液膜を形成する。また、このとき液吐出プレート24の表面にも純水の液膜が形成され、液吐出プレート24にもリンス処理が施される。
【0091】
以上のようなリンス処理終了後、バルブ95を開放して液の自重により、またはアスピレータ等による吸引により、ノズル孔6a内の純水を排出する(工程5−7;図16(g))。この工程は、第1の実施形態の図7(g)に示した工程1−7と全く同様に行われる。
【0092】
この実施形態の場合にも、液吐出プレート24の少なくとも表面が疎水性の材料で構成されている場合には、図16(g)に示すリンス処理が終了した時点では、液吐出プレート24表面の純水がウエハWに付着した純水とともに振り切られて水滴は残存せず、水滴がウエハWに付着して汚染させることを防止することができる。
【0093】
このようなリンス工程の後、図16(h)に示すように、リンス液である純水の供給を停止した状態で、ウエハWの振り切り乾燥を行う(工程5−8)。この工程は図7(h)の工程1−8と全く同様に行われる。
【0094】
なお、上述したように、ウエハWの裏面について、処理液での洗浄処理、純水でのリンス処理を行っている間、ウエハ表面についても洗浄処理およびリンス処理が行われるが、これらは表面側液供給ノズル5から処理液またはリンス液である純水を供給して行われる。
【0095】
以上のように、処理液またはリンス液である純水を一旦停止して再度吐出するようにしたので、液吐出プレート24の表面に処理液の液膜を形成して洗浄可能とすることができる。このため、ウエハWが液吐出プレート24に接触した際に、ウエハWへの汚染を有効に防止することができる。
【0096】
また、上記構成の洗浄装置100を用いて上記第1および第2の洗浄方法を実施するに際しては、ウエハWの外側を囲繞するように設けられているカップがウエハWとともに回転する回転カップ4であるから、ウエハWから振り切られた処理液が回転カップ4に当たった際に処理液に遠心力が作用し、固定カップの場合のような飛び散り(ミスト化)は発生し難い。そして回転カップ4に達した処理液は下方に導かれ、隙間33から排液カップ51の主カップ部56aに排出される。一方、回転プレート11の保持部材14の取り付け位置には、保持部14aを挿入する穴が設けられているため、その部分から排液カップ51の副カップ部56bに処理液が滴下される。そして、このようにして排液カップ51に受け止められた処理液は、その中を旋回しながら排液口60から排液管61を通って排出される。
【0097】
また、排気カップ52には、その上側壁67と回転カップ4の庇部31との間の環状をなす導入口68から回転カップ4内およびその周囲の主にガス成分が取り込まれ排気口70から排気管71を通って排気される。
【0098】
さらに、回転カップ4が存在しているため、排液カップ51は排液可能な程度の極小さいものでよく、また、排液カップ51と排気カップ52がそれぞれ独立して設けられ、かつ排液および排気を別々に取り入れて排液口60および排気口70から別個に排出するので、排気・排液を分離するための特別の機構を設ける必要がない。また、排液カップ51が排気カップ52に収容された状態で設けられているので、排気・排液を別々に取り入れる構造でありながらスペースを小さくすることができ、結果的に装置のフットプリントを小さくすることができる。また、排液カップ51が排気カップ52に収容された状態であるので、処理液のミストが排液カップ51から漏出しても排気カップ52でトラップすることができ、装置外へ処理液のミストが飛散して悪影響を与えることを防止することができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ウエハの表裏面洗浄を行う洗浄処理装置を例にとって示したが、本発明はこれに限らず、裏面のみの洗浄処理を行う洗浄処理装置であってもよい。さらに、上記実施形態では被処理基板として半導体ウエハを用いた場合について示したが、液晶表示装置(LCD)用のガラス基板に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板等、他の基板に適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、半導体ウエハに付着したパーティクルやコンタミネーションの除去に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の概略構成を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を一部切り欠いて示す概略平面図。
【図3】図1の洗浄装置の液供給機構を示す概略図。
【図4】図1の洗浄装置の液吐出プレートを配置した部分を拡大して示す断面図。
【図5】図1の洗浄装置の排気・排液部を拡大して示す断面図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る洗浄処理の動作を説明するための模式図。
【図8】本発明のより好ましい実施形態を行うための装置構成を示す概略図。
【図9】本発明のより好ましい実施形態の一つである第2の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る洗浄処理の動作を説明するための模式図。
【図11】本発明のより好ましい実施形態の一つである第3の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る洗浄処理の動作を説明するための模式図。
【図13】本発明のより好ましい実施形態の一つである第4の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る洗浄処理の動作を説明するための模式図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る洗浄方法の動作のフローを示すフローチャート。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る洗浄処理の動作を説明するための模式図。
【符号の説明】
【0102】
1;ベースプレート
2;ウエハ保持部
3;回転モータ
4;回転カップ
5;表面側液供給ノズル
6;裏面側液供給ノズル
7;排気・排液部
8;ケーシング
9;気流導入部
11;回転プレート
11a;孔
12;回転軸
13;昇降部材
14;保持部材
22;ノズル保持部材
22a;ノズルアーム
24;液吐出プレート
31;庇部
32;外側壁部
33;隙間
35;案内部材
51;排液カップ
52;排気カップ
85;液供給機構
100;基板処理装置
121;プロセスコントローラ
122;ユーザーインターフェース
123;記憶部
W;ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、
前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、
前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、
前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、
前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構と
を具備し、
前記制御機構は、前記回転プレートを前記保持部材により保持された基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、それにより洗浄処理を進行させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させ、その後再びリンス液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理させ、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記制御機構は、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記制御機構は、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
基板の裏面が疎水性の場合に、前記制御機構は、前記再びリンス液を吐出させた後、リンス液の供給を停止させ、その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
基板の裏面が親水性の場合に、前記制御機構は、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量になるように制御した後、リンス液の吐出量を増加させることを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記保持部材により前記回転プレートに保持された基板の裏面中央部に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給機構をさらに有し、前記制御機構は、前記振り切り乾燥に先立って、前記乾燥ガス供給機構により、基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給させることを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、
前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、
前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、
基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給機構と、
前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、
前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構と
を具備し、
前記制御機構は、前記回転プレートを前記保持部材により保持された基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、それにより洗浄処理を進行させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させ、その後再びリンス液を最初のリンス液吐出量よりも少量吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させ、引き続きリンス液の供給量を増加させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理させ、次いで、リンス液の供給量を減少させ、その後、リンス液の供給を停止させ、その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させ、その後、前記乾燥ガス供給機構から基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給させ、その後、基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、
前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、
前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、
前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップと、
前記基板の回転および液の供給を制御する制御機構と
を具備し、
前記制御機構は、前記回転プレートを基板とともに回転させ、その状態で前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させて基板の裏面に処理液の液膜を形成させ、引き続き前記裏面側液供給ノズルからの処理液の供給を一旦停止させ、その後再び処理液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とを洗浄処理させ、その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介してリンス液を吐出させ、基板の裏面および前記基板支持プレートの表面にリンス液の液膜を形成させて基板と前記液吐出口の周囲とをリンス処理させ、その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥させるように制御することを特徴とする洗浄装置。
【請求項9】
前記制御機構は、リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出させるように制御することを特徴とする請求項8に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記回転プレートはその中心部に孔を有し、前記洗浄装置は、前記孔に配置され前記液吐出口を有する非回転の液吐出プレートをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項11】
前記液吐出プレートは、前記孔に昇降可能に挿通され、前記基板保持部に対する基板の受け渡しの際に基板を保持して昇降することを特徴とする請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記液吐出プレートは少なくともその表面が疎水性の材料で構成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記制御機構は、洗浄処理およびリンス処理の際の基板の回転数を200〜700rpmに制御し、前記乾燥処理の際の基板の回転数を500〜1000rpmに制御することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項14】
前記カップは、前記基板保持部に保持された基板を囲繞し、前記回転プレートおよび基板とともに回転し、基板を回転した際に基板から振り切られた処理液またはリンス液を受ける回転カップと、この回転カップから排出された処理液またはリンス液を受けて排液する非回転の排液カップとを有することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項15】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、
前記基板保持部に基板を保持させる工程と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、
基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成し、それにより洗浄処理を進行させる工程と、
その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成する工程と、
引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させる工程と、
その後再びリンス液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成して基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理する工程と、
その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程と
を有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項16】
リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量にすることを特徴とする請求項15に記載の洗浄方法。
【請求項17】
リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程をさらに有することを特徴とする請求項15または請求項16に記載の洗浄方法。
【請求項18】
基板の裏面が疎水性の場合に、再びリンス液を吐出させた後、リンス液の供給を停止する工程をさらに有し、この停止する工程の後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出することを特徴とする請求項17に記載の洗浄方法。
【請求項19】
基板の裏面が親水性の場合に、リンス液の供給を一旦停止後に再びリンス液を吐出する際に、そのリンス液の吐出量を停止前の吐出量よりも少量にした後、リンス液の吐出量を増加させる工程をさらに有することを特徴とする請求項16に記載の洗浄方法。
【請求項20】
前記振り切り乾燥に先立って、基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する工程をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の洗浄方法。
【請求項21】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、
前記基板保持部に基板を保持させる工程と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、
基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成し、それにより洗浄処理を進行させる工程と、
その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記液吐出口を介してリンス液を吐出させて基板の裏面にリンス液の液膜を形成する工程と、
引き続き前記裏面側液供給ノズルからのリンス液の供給を一旦停止させる工程と、
その後再びリンス液を最初のリンス液吐出量よりも少量吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成する工程と、
引き続きリンス液の供給量を増加させて基板と液吐出口の周囲部分とをリンス処理する工程と、
次いで、リンス液の供給量を減少させる工程と、
その後、リンス液の供給を停止させる工程と、
その後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程と、
その後、前記乾燥ガス供給機構から基板裏面の中央部に乾燥ガスを供給する工程と、
その後、基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程と
を有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項22】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を用いて洗浄処理を行う洗浄方法であって、
前記基板保持部に基板を保持させる工程と、
前記回転プレートを基板とともに回転させる工程と、
基板を回転させた状態で前記液供給ノズルから前記吐出口を介して処理液を吐出させ、基板の裏面に処理液の液膜を形成する工程と、
引き続き前記裏面側液供給ノズルからの処理液の供給を一旦停止させる工程と、
その後再び処理液を吐出させて前記液吐出口の周囲部分にも液膜を形成させて基板と液吐出口の周囲部分とを洗浄処理する工程と、
その後基板を回転させたままの状態で連続して前記裏面側液供給ノズルから前記吐出口を介してリンス液を吐出させ、基板の裏面および前記基板支持プレートの表面にリンス液の液膜を形成して基板と前記液吐出口の周囲とをリンス処理する工程と、
その後基板を所定の回転数で回転させて振り切り乾燥する工程と
を有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項23】
リンス処理終了後、前記裏面側液供給ノズル内のリンス液を排出する工程をさらに有することを特徴とする請求項22に記載の洗浄方法。
【請求項24】
前記回転プレートはその中心部に孔を有し、前記洗浄装置は、前記孔に配置され前記液吐出口を有する非回転の液吐出プレートをさらに具備することを特徴とする請求項15から請求項23のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項25】
前記液吐出プレートは、前記孔に昇降可能に挿通され、前記基板保持部に対する基板の受け渡しの際に基板を保持して昇降することを特徴とする請求項24に記載の洗浄方法。
【請求項26】
前記液吐出プレートは少なくともその表面が疎水性の材料で構成されていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の洗浄方法。
【請求項27】
洗浄処理およびリンス処理の際の基板の回転数を200〜700rpmとし、前記乾燥処理の際の基板の回転数を500〜1000rpmとすることを特徴とする請求項15から請求項26のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項28】
回転可能に水平に配置された回転プレートおよびこの回転プレートの上方に適長離間して基板を水平状態で前記回転プレートと一体的に保持する保持部材を有する基板保持部と、前記回転プレートを基板とともに回転させる回転機構と、前記回転プレートの回転中心近傍に位置し、前記保持部に保持された基板の中心部に液を吐出する液吐出口と、前記液吐出口に連続し、前記液吐出口を介して基板の裏面側に処理液およびリンス液を吐出させるように処理液およびリンス液を供給する裏面側液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板を囲繞するカップとを具備する洗浄装置を制御するためのコンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、請求項15から請求項27のいずれかに記載の洗浄方法が行われるように、コンピュータに前記洗浄装置を制御させることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−135703(P2008−135703A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224237(P2007−224237)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】