説明

洗米機

【課題】 洗米装置の下方にシンクを配置して洗米装置下方空間の有効利用を図ると共に、洗米装置を排米位置から退避位置に移動させる際の操作性を考慮した洗米機を提供する。
【解決手段】 米を洗米して受け容器11に排米する洗米装置2を備え、この洗米装置2の下方側に受け容器11を配置可能な流し台4のシンク6を備え、前記洗米装置2を、米を受け容器11に排米する排米位置から上方又は左右一側の退避位置A,Bに位置変更可能とすると共に、該洗米装置2を退避位置A,Bに位置変更操作するために把持される操作ハンドル37を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として業務用に使用される洗米機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米を洗米して水加減水と共に下方に配置された内釜等の受け容器へ排出するように構成された洗米装置をフレームに支持してなる洗米機がある(特許文献1参照)。
洗米装置の取付け高さはフレームに対して固定であり、また洗米装置の下方側には、受け容器を載せる載置台が設けられている。
【特許文献1】特開平11−239731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の洗米機にあっては、洗米装置の取付高さはフレームに対して固定であり、また、洗米装置の下方側には受け容器を載せる載置台があるので、洗米装置の下方側空間を有効利用することができないものであった。そして、この従来の洗米機を厨房等の設置場所に設置すると、その設置スペースは洗米機専用のスペースとなる。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、洗米装置の下方空間の有効利用を図った洗米機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、米を洗米して受け容器に排米する洗米装置を備え、この洗米装置の下方側に受け容器を配置可能な流し台のシンクを備え、前記洗米装置を、米を受け容器に排米する排米位置から上方又は左右一側の退避位置に位置変更可能とすると共に、該洗米装置を退避位置に位置変更操作するために把持される操作ハンドルを設けたことを特徴とする。
また、洗米装置2は米を投入して洗米する洗米タンク34を備え、この洗米タンクは洗米した米を下方に落下排出する排米口を下端に備え、操作ハンドルは洗米タンクの正面側に配置される前部把持部を有し、この前部把持部を洗米タンクの排米口近傍に配置するのがよい。
【0005】
また、操作ハンドルは、洗米タンクの左右両側に位置する側部把持部と、左右の側部把持部の前端同志を連結し且つ洗米タンクの正面側に位置する前部把持部とから構成されていてもよい。
また、洗米装置を排米位置から退避位置にした際に、該位置を検出する退避位置検出手段を設け、この退避位置検出手段で退避位置を検出している時には、洗米装置の運転ができないように構成されているのがよい。
また、洗米装置の排米位置を検出する排米位置検出手段を設け、この排米位置検出手段が排米位置を検出しているときにのみ、洗米した米を洗米タンクから排米可能とするのがよい。
【0006】
また、洗米装置を退避位置に固定する固定手段を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗米装置を使用しないときには、該洗米装置を排米位置から上方又は左右一側の退避位置に退避させることにより、シンクによって洗い物等をすることができ、洗米装置の下方空間の有効利用を図ることができる。
また、洗米装置を退避位置に位置変更操作するために把持される操作ハンドルを設けたことにより、排米位置と退避位置とに位置変更させる場合の操作性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜12において、1は洗米機であり、該洗米機1は、米を洗米すると共に洗米された米を水加減水と共に排出するまでを自動で行う自動洗米機であり、また、パック米を1袋分全部投入して洗米することを可能としたパック米対応機である。
以下の説明において、洗米機1に向かって右側を右側、左側を左側という。
この洗米機1は、大別して、米を洗米する洗米装置2と、この洗米装置2を昇降自在で且つ上下方向の軸心回りに回動自在に支持している支持体3と、洗米装置2の下方に配置された流し台4とを備えている。
【0009】
流し台4は、フレーム5と、洗米装置2の下方側に位置していて水洗い作業及び貯水が可能なシンク6と、該シンク6の背面側に配置されていて該シンク6の上面から上方に突出状に設けられたバックガード7とを備えて構成されている。
フレーム5は、自立可能な定置式枠構造体で構成されており、平面視四角形の隅部に配置された4本の脚8を有すると共に、左右方向方向で隣り合う脚8同士及び前後方向で隣り合う脚8同士の上端側及び下端側をそれぞれ連結部材9で連結してなる。
シンク6はフレーム5の上部に設けられており、その底部の左右方向中央側の後部側には、下方に向けて開口状の排水口10が設けられ、この排水口10は、ホース等を介して建屋の排水路に連通されると共に、該排水路を介して下水道に連通される。
【0010】
このシンク6内には、洗米装置2で洗米されて水加減水と共に下方に落下排出された米を受ける受け容器11が配置可能とされており、この受け容器11としては、通常、炊飯器の内釜が採用されるが、洗米した米を受けるためのその他の容器又は炊飯器であってもよい。
バックガード7は、シンク6の背面側の上面から上方に立ち上がる正面壁7aと、この正面壁7aの上端から後方に延出する上面壁7bと、左右両側の側面壁7cとを有する。
このバックガード7の上面壁7bの右端側には給水接続口12が設けられ、該バックガード7の上面壁7bのシンク6左右方向中央側には上下方向の軸心を有する筒状のホースガイド13が設けられている。
【0011】
給水接続口12は、上水道に配管,ホース等を介して接続されていて該上水道を介して給水源からの水が供給可能とされ、また、ホースガイド13には、給水ホース14が上下移動自在に挿通され、この給水ホース14のホースガイド13より上側部分の端部(一端部)は洗米装置2側に設けられた後述する給水管路35に接続され、該給水ホース14のホースガイド13より下側部分の端部(他端部)は前記給水接続口12に接続されており、これら給水管路35,給水ホース14,給水接続口12等によって給水系統が構成され、該給水系統を介して水道水が洗米装置2に供給可能とされている。
【0012】
洗米装置2を上昇させたとき又は回動させたときには、該洗米装置2の動きに追従して給水ホース14のホースガイド13より下方側の部分が該ホースガイド13から上方に引き出されるように、給水ホース14のホースガイド13より下方側の部分は下方に向けて凸となる湾曲状に折り返されており(弛ませており)、給水ホース14が洗米装置2の上下移動及び回動に追従するように構成されている。
また、流し台4のフレーム5の背面側の右側には、上下開口状とされると共に前後方向の長さが短い扁平状の四角筒状に形成され且つ給水ホース14のホースガイド13より下側の前記湾曲状部分が収容されていて該給水ホース14の湾曲状部分の前後及び左右を覆うホース収容部材15が取付固定されており、このホース収容部材15によって給水ホース14の保護が図れ、該給水ホース14の耐久性が向上する。
【0013】
支持体3は、洗米装置2の背面側で且つシンク6の背面側にシンク6の左右方向中央部から左右一側(本実施の形態では左側)にオフセットして配置された昇降ガイド16と、この昇降ガイド16に昇降自在に支持された昇降部材17とから主構成されている。
この支持体3の昇降部材17の左側部に洗米装置2の左側部(洗米装置2の左右方向の側部であって且つ支持体3(昇降ガイド16)をオフセットしたがわの側部)が上下方向の軸心回りに回動自在に取り付けられており、これによって該洗米装置2が昇降自在で且つ上下方向の軸心回りに回動自在とされている。
【0014】
洗米装置2は、洗米した米を水加減水と共に下方の受け容器11に落下排出する場合には、該洗米装置2をできるだけ受け容器11に近づけるために、洗米装置2の上下方向の移動域の下端部の排米位置(図1及び図3〜5に示す位置、図2の実線位置)にて排米させるが、シンク6での洗い物作業等をする場合には、洗米装置2を排米位置に位置させておくと該洗米装置2が洗い物作業等の邪魔物となる。
そこで、シンク6での洗い物作業等をする場合には、洗米装置2を、排米位置から、図2において仮想線Aで示す上方の退避位置(洗米装置2の上下方向の移動域の上端部)に移動させることにより、シンク6と洗米装置2との間の空間が広くなり(シンク6の上方に大きな空間ができ)、これによって、シンク6での洗い物作業等が容易に行えるようになる。
【0015】
また、シンク6での洗い物作業等をする場合、洗米装置2を、排米位置から、図2において仮想線Bで示す左右一側(本実施形態では左側)の退避位置に回動させるようにしてもよい。
洗米装置2を側方退避位置Bに回動させることにより、シンク6の上方空間が開放され、これによって、シンク6での洗い物作業等が容易に行えるようになる。
また、シンク6での洗い物作業等を行う場合、洗米装置2を上昇させると共に左側に回動させるようにしてもよい。
【0016】
本実施の形態では、支持体3をシンク6の左右方向中央部から左右一側にオフセットして配置し、洗米装置2の左右方向の側部であって且つ支持体3をオフセットしたがわの側部を、昇降部材17の左右方向の側部であって且つ支持体3をオフセットしたがわの側部に上下方向の軸心回りに回動自在に枢支しているので、昇降部材17に対する洗米装置2の取り付けが容易となると共に、洗米装置2をシンク6の上方域から左右一側に良好に退避させることができる。
なお、洗米装置2を回動させる場合、シンク6の上方域から完全に外れるように構成されていなくてもよく、シンク6での洗い物作業の邪魔にならなければよい。
【0017】
前記昇降ガイド16は、流し台4のバックガード7の上面壁7bを貫通して設けられており、下部が流し台4のフレーム5に取付固定され、上部が流し台4のバックガード7の上面壁7bから上方に突出状とされている。
この昇降ガイド16は、シンク6の左右方向中央部から左右方向一側(本実施形態では左側)にオフセットされて配置されているので、昇降ガイド16の右側方で且つシンク6の背面左右方向中央側(給水接続口12とホースガイド13との間)に、シンク用の蛇口(水栓)18を配置することができるスペースが確保されている(図6参照)。
【0018】
このシンク用の蛇口18は洗米機1が設置される建屋の壁等に設けられるが、流し台4のバックガード7の上面側に設けてもよい。
シンク6の背面側の左右方向中央側にシンク用の蛇口18を配置することのできるスペースを設けるだけであれば、昇降ガイド16をシンク6の左右方向中央部から右側にオフセットして配置してもよいが、人は右利きが多いことから、本実施の形態では、昇降ガイド16をシンク6の左右方向中央部から左側にオフセットして配置して該昇降ガイド16の右側にシンク用の蛇口18を配置することにより、右手での操作がしやすいように考えられている。
【0019】
また、昇降ガイド16は、板材を折曲することにより形成されており、図10に示すように、前壁16aと、この前壁16aの左右両側から後方に延びる左右側壁16bと、この左右各側壁16bの後端側から左右方向内方に延出された延出壁16cとから、平断面後方に開口状のC字状に形成されている。
前記昇降部材17は、昇降ガイド16の上部、すなわちバックガード7から突出した部分に上下移動自在にガイドされている。
この昇降部材17は、板材を折曲することにより形成されており、図10に示すように、前壁17aと、この前壁17aの左右両側から後方に延びる左右側壁17bと、この左右各側壁17bの後端側から左右方向内方に延出された延出壁17cとから、平断面後方に開口状のC字状に形成されており、前壁17aが昇降ガイド16の前壁16aの前方側に位置し、左右の側壁17bが同じ側にある昇降ガイド16の左右の側壁16bの左右方向外方側に位置し、延出壁17cが昇降ガイド16の延出壁16cの後方側に位置するように昇降ガイド16に套嵌されている。
【0020】
また、昇降ガイド16の左右側壁16bと昇降部材17の左右側壁17bとの間にはスライドレールユニット19が介装されていて、該スライドレールユニット19によって昇降部材17が昇降ガイド16に昇降自在に支持されている。
このスライドレールユニット19は、昇降ガイド16の側壁16b外面に固定された内側レール20と、昇降部材17の側壁17b内面に固定された外側レール21と、これら内側レール20と外側レール21との間に介装された中間レール22と、内側レール20及び外側レール21と中間レール22との間に介装された図示省略の多数のボールと、該ボールを保持する図示省略のリテーナとを有し、昇降部材17を上下方向に移動させることにより、内側レール20に対して中間レール22及び外側レール21がスライドして該昇降部材17が上下方向に案内されるように構成されている。
【0021】
また、前記昇降ガイド16の上端側の右側には、該昇降ガイド16内に位置する(左右側壁16b間に位置する)スプロケット23(又はプーリ等の滑車)が配置されている。
昇降ガイド16の背面の上端側には左右の延出壁16cにわたる支持プレート24が取付固定され、この支持プレート24の前面側には前後方向の軸心を有する支軸25が固着され、この支軸25に前記スプロケット23が前後方向の軸心回りに回転自在に支持されている。
このスプロケット23には、チェーン26(又はベルト等の索体)がスプロケット23の上部側に噛合するように掛装されており、このチェーン26のスプロケット23左側に位置する部分は昇降ガイド16の左右方向中央部に位置し、チェーン26のスプロケット23右側に位置する部分は洗米装置2の左右方向中央側に位置する。
【0022】
また、昇降ガイド16の下部、すなわち流し台4のバックガード7の上面壁7bより下方側の部分には、昇降ガイド16内(左右側壁16b間)に位置するウエイト27が上下移動自在に配置され、このウエイト27の左右方向の中央部は昇降ガイド16の左右方向中央部に略一致されている。
前記チェーン26の左側部分の下端部(一端側)はウエイト27の上端側の左右方向中央部に連結部材28を介して連結され、チェーン26の右側部分の下端部(他端側)は洗米装置2の左右方向中央側で昇降部材17の下端側に連結されている。
【0023】
昇降部材17の背面下端側には、左右の延出壁17cにわたる連結プレート29が設けられ、この連結プレート29の前面側の右側に設けられた取付ブラケット30にチェーン26の他端側が連結部材31を介して連結されている。
前記ウエイト27はチェーン26を介して洗米装置2を引き上げる方向の荷重を該洗米装置2に加えることとなり、これにより洗米装置2を持ち上げる際の持上げ力の軽減が図られている。
本実施の形態では、ウエイト27の重量は、洗米装置2及び昇降部材17の重量と略つり合う重さに設定されており、スプロケットの回動抵抗,スライドレールユニット19の摩擦力等によって洗米装置2は任意の位置で止まる。
【0024】
前記構成の実施の形態では、ウエイト27の重量は、洗米装置2の左右方向中央側(洗米装置2の重心側)に作用するので、昇降ガイド16に対する昇降部材17のこじれが少なく、昇降部材17がスムーズに昇降する。
また、本実施の形態では、昇降ガイド16の上部が昇降部材17(及び洗米装置2)を昇降自在に案内するガイド部分16Aとされ、昇降ガイド16の下部がウエイト27を上下動自在に案内するガイド部分16Bとされているが、昇降部材17を案内するガイド部材と、ウエイト27を案内するガイド部材とを別体で形成してもよく、また、この場合、ウエイト27及び該ウエイト27を案内するガイド部材を洗米機1の左右方向中央側に配置するようにしてもよい(これにより、洗米機1全体としての左右方向の重量バランスが良好になる)。
【0025】
洗米装置2は、洗米フレーム32と、この洗米フレーム32の上部に取付固定されたケース33と、洗米フレーム32に取付固定された洗米タンク34と、この洗米タンク34内に水を供給するための給水系統の一部を構成する給水管路35と、洗米タンク34内の米及び水を攪拌する撹拌手段36と、洗米装置2の上下移動操作又は回動操作を手動操作で行うべく把持される操作ハンドル37とを備えている。
この洗米装置2の左右方向中央部(洗米タンク34の左右方向中央部)は、流し台4(シンク6)の左右方向中央部と略一致しており、洗米装置2及び流し台4の左右方向中央部が洗米機1の左右方向中央部とされている。
【0026】
洗米フレーム32は、左右一対の側枠材38と、左右の側枠材38を連結する横枠材39と、左右の側枠材38にわたって設けられた天板40とを有する。
左右の側枠材38は上下方向の軸心を有する角筒体によって構成され、左側の側枠材38が右側の側枠材38よりも上下方向に長く形成されており、この左側の側枠材38の左側面に上下一対のヒンジ41の一方の揺動片41aが固定されている。
前記上下のヒンジ41の他方の揺動片41bは昇降部材17の左側面に取付固定されており、この上下のヒンジ41によって洗米装置2が昇降部材17に上下方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
【0027】
また、図6及び図11に示すように、洗米フレーム32の左右方向中央側は昇降部材17の正面に設けられた支持部材42によって支持されている。
詳細には、洗米フレーム32の横枠材39が支持部材42の上壁42aの後部上に載置されることにより洗米フレーム32が支持部材42に支持されており、支持部材42の上壁42aの前部は前方に行くに従って下方に移行する傾斜状に形成されている。
横枠材39は、側面視前方に開放状のコ字形に形成されている。
天板40は、その後部が左右の側枠材38の上端に固着されていると共に、前部が左右の側枠材38より前方に突出状とされている。
【0028】
ケース33は下方開口状に形成されていて、洗米フレーム32の天板40の上方空間を覆うように設けられていると共に天板40に取付固定されている。
このケース33の上面はパック米を載せるのに使用可能とされ、左右方向中央側の前部側が上方に盛り上がるように形成されていて、ケース33上面の左右方向中央側が側面視V字形状とされており、このV字形状でケース33上面に載せたパック米の前後方向の移動を規制し、左右方向中央側の前部側の盛上がり部分でパック米の左右方向の移動を規制している。
【0029】
洗米タンク34は、米及び水を収容しこれらを攪拌することによりこの米を洗米するためのタンク本体43と、このタンク本体43内の洗米水(研ぎ汁)の水面側の水や洗米水上に浮遊するゴミ等の不純物等を排水するためのオーバーフロー部44と、タンク本体43の下端側に設けられていてタンク本体43の下端側から洗米水(研ぎ汁)を排水するための排水ジャケット45とを備えている。
タンク本体43は、上下端部が開口状とされており、下部には下端開口に向けて先細りの円錐形状の円錐部43aが形成され、上部には円錐部から上方に延出された円形状の筒部43bが形成されている。
【0030】
また、タンク本体43は、その上端開口前部が天板40及びケース33前面から前方にはみ出すように天板40の下面側に配置され、その上端開口周縁に形成されたフランジが天板40の下面に取付固定されている。
このタンク本体43の前記筒部43bの上側前部には、タンク本体43の高さ方向中途部から上縁に行くに従って次第に大きく膨出し、平面視において、円筒形から径方向外方側に向けて(前方側に向けて)台形状に膨出した膨出部43cが形成されている。
そして、タンク本体43の上端開口部分の内、ケース33前面から前方にはみ出た部分が、洗米タンク34内に米を投入するための米投入口46とされ、特にパック米の米を投入する場合にパック米の袋の口を米投入口46からタンク本体43内に挿入しやすいように構成されている。
【0031】
この米投入口46は合成樹脂製の蓋体47によって開閉自在に閉塞されている。
排水ジャケット45はタンク本体43とは別部品で構成されていて、取付金具でタンク本体43の下端側に着脱自在に取り付けられており、その下面側に、洗米された米を排出する排米口48が形成され、この排米口48は円錐状の排米弁49によって開閉自在に閉塞されている。
この排米弁49はタンク本体43の中心に配置された弁棒50の下端に固定されており、弁棒50の上部は天板40を貫通してケース33内に挿入されると共に昇降手段51によって昇降自在に支持され、弁棒50を昇降することにより排米弁49が上下動して排米口48が開閉される。
【0032】
前記オーバーフロー部44の下方側で且つ排水ジャケット45の左斜め後方には、排水ボックス52が配置され、該排水ボックス52は左側枠材38の下端側に設けられたステー53に取り付けられている。
この排水ボックス52の上面側には第1の流入口54が設けられ、この第1の流入口54は縦配水管55を介してオーバーフロー部44と接続され、また、排水ボックス52の右側面には第2の流入口56が設けられ、この第2の流入口56は横配水管57を介して排水ジャケット45に接続されている。
【0033】
また、排水ボックス52の背面側には流出口58が設けられ、この流出口58には排水ホース59が接続され、この排水ホース59の排水流出側端部は、シンク6内上端側の後部左側の、受け容器11の配置に邪魔にならない位置に配置されている。
洗米時にオーバーフローしたタンク本体43内の洗米水等は、オーバーフロー部44,縦配水管55を介して排水ボックス52へと流れ、該排水ボックス52からシンク6へと排水される。
また、洗米時には第2の流入口56は開閉弁によって閉塞され、タンク本体43から洗米水を抜くときには、第2の流入口56を閉塞している前記開閉弁を開くことにより、洗米水が、排水ジャケット45,横配水管57を介して排水ボックス52へと流れ、該排水ボックス52からシンク6へと排水される。
【0034】
なお、排水ジャケット45内には、水及び不純物は通すが米は通さない分離板が設けられており、米が横配水管57へとは流れないように構成されている。
このように、洗米水をシンク6に流すようにすることにより、シンク6の排水工事をするだけで、洗米装置2に対する排水工事は別途必要でない(排水工事が容易となる)という利点がある。
給水管路35は、洗米タンク34の背面右側で昇降部材17の右側方に上下方向に配置された第1給水管60と、この第1給水管60の上端から横枠材39を貫通して前方に延びた後に上方に延びて天板40に固定されたフレキシブルチューブからなる第2給水管61と、ケース33内に配置されていて第2給水管61に接続された第3給水管62と、この第3給水管62に連通され且つタンク本体43内の上端開口側に配置されて天板40下面に取り付けられた左右一対の散水部材64へと水を供給する一対の第4給水管63とを有する。
【0035】
第1給水管60は、上端側が洗米フレーム32の横枠材39の背面側に設けられた取付ステー65に取り付けられ、該第1給水管60の下端には前記給水ホース14が接続され、該第1給水管60には止水栓66が設けられている。
水道水からの水は、給水接続口12から給水ホース14,給水管路35を介して散水部材64へと供給され、該散水部材64からタンク本体43内へとシャワー状に散水されて供給される。
なお、給水管路35には、流量計及び電磁開閉弁が設けられ、洗米機1を制御する制御装置72によって所望量の水がタンク本体43内に供給される。
【0036】
洗米機1を制御する制御装置72はケース33内に設けられ、ケース33の前面側には、洗米タンク34に投入する米の量等を制御装置72に入力するコントロールパネル67が設けられている。
そして、シンク6内に受け容器11を配置すると共に洗米装置2を排米位置に位置させ、米を米投入口46から洗米タンク34内に投入して蓋体47を閉め、コントロールパネル67に設けられたスタートスイッチを押すことにより、タンク本体43内に水が給水されると共に撹拌手段51が駆動されて米が攪拌されて洗米され、洗米後、入力された米量に応じた量の水加減水が供給され、この水加減水と共に洗米タンク34から受け容器11へと米が落下排出されるように自動制御される。
【0037】
前記洗米装置2にあっては、洗米フレーム32側に設けられた部材(例えば、第1給水管60が取り付けられる取付ステー65)と、昇降部材17側に設けられた部材76(例えば、第2給水管61を後方側からカバーする部材)とをボルトによって締結することにより、洗米装置2の回動規制が行われている。
なお、ワンタッチで洗米装置2を回動不能にロックする手段を設けてもよい。
操作ハンドル37は、パイプ材を折曲することにより形成され、洗米タンク34の左右両側に配置された側部把持部37aと、洗米タンク34の正面側に配置されていて左右の側部把持部37aの前端側同志を連結する前部把持部37bとを有する。
【0038】
左右の各側部把持部37aの後端側には取付プレート68が固着され、この左右の取付プレート68は洗米タンク34の上部に位置し、左右方向で同じ側にある側枠材38の前面側に取付固定されている。
また、左右の側部把持部37aは、後部側が取付プレート68から前方に延出され、中間部から前部にわたっては前方に行くに従って下方に移行する傾斜状とされ、前部把持部37bは排水ジャケット45の前方側に配置されていて排米口48の近傍に位置している。
【0039】
本実施の形態の操作ハンドル37にあっては、どこを持っても洗米装置2の昇降操作または回動操作が可能であり、また、洗米タンク34のガード部材を兼ねており、特に、前部把持部37bによって排米口48及びその近傍の保護を図ることができる。
また、本実施の形態の洗米機1にあっては、図11に示すように、洗米装置2の排米位置を検出する排米位置検出手段69と、洗米装置2を排米位置から上方の退避位置に退避させた際に該上方退避位置Aを検出する退避位置検出手段70と、上方の退避位置Aで洗米装置2を上下移動不能に固定する固定手段71とが設けられている。
【0040】
排米位置検出手段69は、例えば、リミットスイッチから構成されて昇降ガイド16の前壁16a背面に取付固定され、排米位置で昇降部材17の下端側に設けられた連結プレート29に接触してこれを検出することにより洗米装置2が排米位置にあることが検出され、該検出信号は制御装置72に送られる。
そして、この排米位置検出手段69によって洗米装置2が排米位置にあることが検出されている場合にのみ、洗米された米が排米されるように制御されるように構成されている。
【0041】
また、退避位置検出手段70は、例えば、前記排米位置検出手段69と同様に、リミットスイッチから構成されて昇降ガイド16の前壁16a背面に取付固定され、上方退避位置Aで昇降部材17の連結プレート29に接触してこれを検出することにより洗米装置2が上方退避位置にあることが検出され、該検出信号は制御装置72に送られる。
そして、この退避位置検出手段70によって洗米装置2が上方退避位置Aにあることが検出されている場合には、洗米装置2が運転されないように制御されるように構成されている。
【0042】
なお、洗米装置2が左側の退避位置Bに回動された際に、洗米装置2が該側方退避位置Bにあることを検出する退避位置検出手段を設け、該退避位置検出手段によって洗米装置2が側方退避位置にあることが検出されている場合には、洗米装置2が運転されないように制御されるように構成してもよい。
洗米装置2を上方退避位置Aで固定する固定手段71は、例えば、昇降部材17の連結プレート29に固着された係合部材73と、この係合部材73に係脱自在に係合する被係合部材74と、この被係合部材74を前後方向に移動させるソレノイド75とから構成されている。
【0043】
ソレノイド75は昇降ガイド16の前壁16a背面に取付固定され、洗米装置2に設けられたスイッチによって励磁・消磁操作されて鉄心75aが前後移動する。
被係合部材74はソレノイド75の鉄心75aに取付固定されており、洗米装置2が上方退避位置Aに位置しているときに被係合部材74が後方移動するようにソレノイド75を作動させることにより被係合部材74が係合部材73に係合して、洗米装置2を上方退避位置Aに固定する。
また、被係合部材74が前方移動するようにソレノイド75を作動させることにより被係合部材74が係合部材73から離れて、洗米装置2の固定が解除され、洗米装置2の昇降が可能となる。
【0044】
前記排米位置検出手段69、退避位置検出手段70、固定手段71は昇降ガイド16の左側に配置され、排米位置検出手段及69び退避位置検出手段70と、固定手段71とは左右方向に位置ズレさせて配置される。
前記構成の洗米機1において、洗米装置2を回動させて左側の退避位置にしたときに、該退避位置で洗米装置2を回動不能に固定する固定手段を設けてもよい。
前記構成の洗米機1にあっては、ウエイト27の重量が洗米装置2及び昇降部材17の重量とつり合うように構成されているので、運転時において、洗米タンク34に投入された米の重みで、ウエイト27によって加えられる荷重により洗米装置2が上昇することがなく、確実に受け容器11に排米される。
【0045】
また、本実施の形態では、洗米装置2の背面側に支持体3(昇降部材17及び昇降ガイド16)が設けられているので、ケース33の背面側を天板40に取付固定するためのネジや、ケース33背面側に設けられた点検窓の一部などが、支持体3によって隠れてしまう場合があるが、このような場合は、洗米装置2を回動させて該洗米装置2の背面を支持体3から離反させることにより、ケース33固定用のネジの弛緩ができ(ケース33を取り外すことができ)、また、ケース33背面の点検窓からのメンテナンスも容易に行える。
【0046】
また、前記構成の洗米機1において、洗米装置2が自然にゆっくりと下方移動するようにウエイト27の重量を洗米装置2及び昇降部材17の重量よりも若干小さくしてもよいし、洗米装置2が自然にゆっくりと上方移動するようにウエイト27の重量を洗米装置2及び昇降部材17の重量よりも若干大きくしてもよい(この場合は、排米位置において洗米装置2が上昇しないように該洗米装置2をロックする上昇ロック手段を設ける)。
また、ウエイト27の重量を洗米装置2及び昇降部材17の重量よりも大きくして、洗米装置2が自然に上方移動するように構成する場合においても、洗米タンク34内に投入された米の重量により、洗米装置2が上昇することのないように構成される。
【0047】
洗米機1は洗米装置2の上部又は流し台4の下部に貯米庫及び計量器を設けておいて、その貯米庫から計量排出した米を空気搬送手段等によって洗米タンク34内に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】洗米機の正面図である。
【図2】洗米装置の退避位置を示した洗米機の正面図である。
【図3】洗米機の背面図である。
【図4】洗米機の右側面図である。
【図5】洗米機の左側面図である。
【図6】洗米フレーム等の正面図である。
【図7】洗米機の概略平面図である。
【図8】洗米装置の正面断面図である。
【図9】洗米装置の側面断面図である。
【図10】洗米装置の昇降構造を示した平面断面図である。
【図11】洗米装置の昇降構造を示した側面断面図である。
【図12】洗米装置の昇降構造を示した背面図である。
【符号の説明】
【0049】
2 洗米装置
4 流し台
6 シンク
11 受け容器
34 洗米タンク
37 操作ハンドル
37a 側部把持部
37b 前部把持部
48 排米口
69 排米位置検出手段
70 退避位置検出手段
71 固定手段
A 上方退避位置
B 側方退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を洗米して受け容器(11)に排米する洗米装置(2)を備え、この洗米装置(2)の下方側に受け容器(11)を配置可能な流し台(4)のシンク(6)を備え、前記洗米装置(2)を、米を受け容器(11)に排米する排米位置から上方又は左右一側の退避位置(A,B)に位置変更可能とすると共に、該洗米装置(2)を退避位置(A,B)に位置変更操作するために把持される操作ハンドル(37)を設けたことを特徴とする洗米機。
【請求項2】
洗米装置(2)は米を投入して洗米する洗米タンク(34)を備え、この洗米タンク(34)は洗米した米を下方に落下排出する排米口(48)を下端に備え、操作ハンドル(37)は洗米タンク(34)の正面側に配置される前部把持部(37b)を有し、この前部把持部(37b)を洗米タンク(34)の排米口(48)近傍に配置したことを特徴とする請求項1に記載の洗米機。
【請求項3】
操作ハンドル(37)は、洗米タンク(34)の左右両側に位置する側部把持部(37a)と、左右の側部把持部(37a)の前端同志を連結し且つ洗米タンク(34)の正面側に位置する前部把持部(37b)とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗米機。
【請求項4】
洗米装置(2)を排米位置から退避位置(A)にした際に、該位置を検出する退避位置検出手段(70)を設け、この退避位置検出手段(70)で退避位置を検出している時には、洗米装置(2)の運転ができないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗米機。
【請求項5】
洗米装置(2)の排米位置を検出する排米位置検出手段(69)を設け、この排米位置検出手段(69)が排米位置を検出しているときにのみ、洗米した米を洗米タンク(34)から排米可能としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗米機。
【請求項6】
洗米装置(2)を退避位置(A)に固定する固定手段(71)を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−62135(P2008−62135A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240464(P2006−240464)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】