説明

活性物質と導電性材料の共破砕混合物、調製方法およびその使用法

本発明は、平均サイズTかつ比表面積Sである少なくとも1種の活性物質Mを主成分とするキャリアからなり、かつ、物理結合および/または化学結合によって、平均サイズTおよび比表面積Sである少なくとも1種の電気的伝導性材料Mの粒子が結合される粒子の混合物に関する。この混合物は、平均サイズの比T/Tが5から10000の間であり、比表面(specific surface ratio)の比S/Sが1/300から1/2の間、混合物中に存在する活性物質の量が、導電性材料の量に対して好ましくは80%を超えることを特徴とする。電気化学系を構成する要素に前記混合物を取り入れることで、当該要素の性能が実質的に改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアとして作用し、かつ、導電性材料の粒子が付着される活性物質の粒子からなる粒子の混合物に関する。活性物質の粒子は、導電性材料の粒子と同様に、比表面積が特定範囲内になるような方法で、なおかつその比(導電性材料の比表面積/活性物質の比表面積)自体も特定の値の範囲内となるような方法で、選択される。
【0002】
また、本発明は、ポリマーマトリクスにおける本発明の粒子の混合物の溶解(dissolution)に対応するポリマー混合物に関する。
【0003】
また、本発明は、特に活性物質の粒子と導電性材料の粒子とを共粉砕することで本発明の粒子の混合物を調製するための方法ならびに、本発明のポリマー混合物を調製するための方法に関する。
【0004】
さらに、本発明は、特に電気化学系において本発明の粒子の混合物およびポリマー混合物を使用することにも関する。
【0005】
さらに、本発明は、本発明の少なくとも1種の混合物を取り込んでいる電気化学系、特に、高エネルギ含量(energy content)を構成要素(constitutive element)として有する電気化学系にも関する。
【背景技術】
【0006】
電気伝導性添加剤は通常、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiV、LiV13、LiTi12、LiFePO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3などのフィラー材料の伝導度の低さを補償するためのリチウムポリマーおよびリチウムイオン電池用の正極作製時に用いられる。これは、これらの材料の性能レベルを改善できるようにするためのものである。導電性材料を主成分とする添加剤は、容量およびサイクル性能を高めるとともに、電池の内部抵抗を下げるのに役立つ。
【0007】
液体−共分散混合物の調製については、1995年1月18日に付与されたハイドロ・ケベック(Hydro−Quebec)社の特許第CA−A−2,140,456号明細書に記載されている。同特許の液体−共粉砕混合物は、ボールミルまたはジャーミル(jar mill)によって、鋼球の存在下、溶媒中または溶媒混合物中で混合された粒子(比表面積が大きく、吸油力の大きい導電性添加剤プラス酸化物)を高い割合で含有する溶液の予備共粉砕材料から調製される。共粉砕混合物から水分を蒸発させ、95℃で48時間、風乾させた。このようにして得られる予備共粉砕材料は、集塊した粒子の乾燥粉末からなる。続いて、この乾燥させた粉末を、塩形成(salified)または非塩形成(nonsalified)ポリマーを含む溶液中に分散させる。得られる混合物はコーティング用の共粉砕混合物を形成する。この方法は高価で環境に優しくなく、加えて、作製される正極に鋼球からの不純物が含有される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の方法を再現したところ、特に、ポリマー電極を調製する際、導電性材料として用いられるカーボンブラック中に存在する凝集体のごくわずかな部分しか、共粉砕混合物の調製時に分散されないことが明らかになった。
【0009】
したがって、周知の方法の欠点がなく、特に残留凝集体の含有量が極めて少ないこれらの粒子の混合物の生成につながる導電性材料の粒子と活性物質の粒子との混合物を調製するための方法に需要があった。
【0010】
また、同じ厚さで容量の増した新たな電極に対する需要があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の主題は、粒子、好ましくは粒度分布d50が0.1から50μmの間、より好ましくはd50が1から20μmの間の粒子の混合物であって、前記粒子が、平均サイズTかつ比表面積Sである少なくとも1種の活性物質Mを主成分とするキャリアからなり、かつ、物理結合および/または化学結合によって、平均サイズTおよび比表面積Sである少なくとも1種の電気的伝導性材料Mの粒子が付着されるものである。
【0012】
各混合物は、
−平均サイズの比T/Tが5から10000の間、より好ましくは10から1000の間であり、
−比表面積の比S/Sが1/300から1/2の間、より好ましくは1/150から1/10の間であり、
−混合物中に存在する活性物質の量が、導電性材料の量に対して、好ましくは80%を超え、なお一層好ましくは90から97%の間であることを特徴とする。
【0013】
本発明の有利な実施形態によれば、本発明の粒子の混合物は、共粉砕によって得ることが可能なものである。
【0014】
もうひとつの有利な実施形態によれば、活性物質Mの粒子は、その表面の1%から50%、好ましくは5%から20%を、電気的伝導性材料Mで被覆可能なものである。
【0015】
好都合なことに、好ましくは炭素である導電性材料が、以下の特徴すなわち、
−200m/g未満の比表面積と、
−TEM(透過電子顕微鏡検査)方法によって測定した極めて低いナノ細孔度と、
−200mg/g未満、好ましくは100mg/gから20mg/gの間である、「ヨウ素吸着」法によって測定した吸油力と、
−0.2Ω・cm未満の抵抗率と、
のうちの少なくとも1つを有することが可能なものである。
【0016】
好ましくは、使用する導電性材料が、以下の特徴すなわち、
−0.03から0.2Ω・cmの間の抵抗率と、
−導電性材料の比表面積が20から100m/gの間であり、
−静止角および圧縮率を測定するための方法(「粉体試験装置」、ホソカワミクロン株式会社(Hosokawa))で測定される、65よりも大きい流動度(前記材料が、好ましくは粒子(M)の表面を、炭素、好ましくはアセチレンブラックからなる群から選択される炭素でパウダーコーティングして得られるものである)であって、導電性材料が、ASTM D−2414の方法で測定される、好ましくは400mg/g未満、なお一層好ましくは10から100mg/gの間の低い吸油力を特徴とするものであり、
−存在する導電性材料の粒子が、1nmから100nmの間にピークがあり、好ましくは20から80nmの間に単分散ピークのある、単分散分布を特徴とする均質な混合物を構成する、
ことのうちの少なくとも1つを有するものである。
【0017】
好都合なことに、導電性材料はデンカブラックタイプのカーボンブラックであってもよい。
【0018】
本発明のもうひとつの有利な実施形態によれば、活性物質の比表面積が0.1m/gよりも大きくてもよく、好ましくは、比表面積が1から10m/gの間である。
【0019】
好ましくは、混合物中に存在する活性物質が、
a)遷移金属酸化物、好ましくは、LiVと、LiV13と、V13と、LiVと、Vと、リチウム含有(lithiated)Vと、LiMnと、LiCoOと、からなる群から選択される遷移金属酸化物と、
b)遷移リン酸塩、好ましくは、LiFePOと、LiMnFe(1−x)PO(x≦1)と、からなる群から選択される遷移リン酸塩(transition phosphate)と、
c)遷移金属ケイ酸塩、好ましくは鉄ケイ酸塩、より好ましくは、LiFeSiOと、LiGeSiOと、からなる群から選択される遷移金属ケイ酸塩と、
d)上記a)〜c)で定義した少なくとも2種の化学物質の混合物と、
からなる群から選択される。
【0020】
本発明の混合物の好ましいサブファミリのひとつは、2以上の導電性材料を含むことができ、好ましくは導電性材料のうちの少なくとも1種が、カーボンブラックと、グラファイトと、炭素繊維と、これらのうちの少なくとも2種の混合物と、からなる群から選択される。
【0021】
−比表面積Sを有する活性物質(M)と、
−1≦S/S≦200である比表面積Sを有する電気的伝導性材料(M)と、
を、好ましくは質量比1≦M/M≦15%で共粉砕することによって、本発明の第2の主題は、本発明の第1の主題で定義したような混合物を調製するための方法からなる。
【0022】
この混合物は、凝集体数が極めて少なく均質であり、凝集体の質量が、好ましくは混合物の全質量の20%未満をなし、粒度比T/Tが1から0.001の範囲にある。
【0023】
本発明の有利な実施形態によれば、共粉砕を乾燥状態で実施することが可能である。
【0024】
好ましくは、粉末1kgあたり0.1kWhから1.5kWhの間であると好ましいエネルギ入力を用いて、共粉砕を0から60℃の間の温度で実施することが可能である。
【0025】
好都合なことに、共粉砕を、好ましくは不活性ガスの群から選択される気体、特に、アルゴンと、窒素と、これらの混合物とからなる群から選択される気体の存在下で実施することが可能である。
【0026】
好ましくは、共粉砕を、5から180分の範囲、なお一層好都合なのは15から90分の間の時間実施することが可能である。
【0027】
好ましい変形例によれば、共粉砕材料を、活性物質を脱アグロメレーションおよび均質化するステップと、電気的伝導性材料を加えて共粉砕混合物を均質化するステップの2段階で調製することが可能である。
【0028】
本願の第3の主題は、本発明の第2の主題で定義したような方法を実施することによって得られる粒子の混合物からなる。
【0029】
本発明の第4の主題は、電池、特に液体正極電池の電極を作製する際に、あるいは塗料において、あるいは磁気テープ用のコーティングとして、第1の主題で定義したような粒子の混合物、あるいは、本発明の第2の主題で定義したような方法によって得られるような粒子の混合物を使用することからなる。
【0030】
本発明の第5の主題は、本発明の第1の主題で定義したような粒子の少なくとも1種の混合物、あるいは、本発明の第2の主題で定義したような方法を実施することで得られるような粒子の少なくとも1種の混合物からなるポリマー混合物からなるものであり、粒子の前記混合物が、好ましくはポリマー溶液の形で少なくとも1種のポリマー(ポリマーマトリクス)に分散される。この分散を得るためのポリマーの使用量が、初期混合物中に存在する導電性材料および活性物質の総量に対して好ましくは50%から10%の間、なお一層好ましくは40%から15%の間である。
【0031】
本発明のポリマー混合物の好ましいサブファミリは、3鎖分岐型ポリマーからなる群から、特にP70タイプすなわち、第一工業製薬株式会社という企業から販売されているエレクセル(Elexcel)(登録商標)タイプの4鎖分岐型ポリマーの群から選択されるポリマー、なお一層好ましくは、EGタイプのポリマーおよび/またはこれらのブレンドからなる群から、また、対応する塩形成ポリマーの群から選択されるものを用いて得られるものである。
【0032】
本発明の第5の主題は、
−好ましくは、共粉砕によって得られた、
−比表面積Sを有するフィラー材料(M)と、
−1≦S/S≦200である比表面積Sを有する導電性材料(M)と、
を、1から1000の範囲の粒度比M/Mで混合し、
−1種または複数種のポリマーと、有機溶媒と少なくとも2種の有機溶媒の混合物の群から選択される溶媒、特に、脂肪族または脂環族タイプの非極性溶媒、なお一層好ましくはアセトニトリルおよびトルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒を好ましくは5%から35%および65%から95%、より好ましくは70%から95%と、を含むポリマーの溶液に、分散された共粉砕材料を分散させるか、
−そうでなければ、1種または複数種のポリマー約50%と、有機溶媒と少なくとも2種の有機溶媒の混合物の群から選択される溶媒、特に、脂肪族または脂環族タイプの非極性溶媒、なお一層好ましくはアセトニトリルおよびトルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒約50%と、を含むポリマーの溶液に、分散された共粉砕材料を分散させることにより、
均質で凝集体の極めて少ないものであり、凝集体の割合が質量でポリマー混合物の全質量の好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満であるか、粒団が全く存在しない、本発明の第4の主題で定義したようなポリマー混合物のうちの1つを調製するための方法からなる。
【0033】
好都合な変形例によれば、粘度が0.3から3.5Pa/秒の間にあるスプレッドコーティング混合物が生成されるように共粉砕混合物をポリマーの溶液と混合することが可能である。
【0034】
本発明の第7の主題は、本発明の第5の主題で定義された方法を実施することによって得られるポリマー混合物からなる。
【0035】
本発明の第8の主題は、第5の主題で定義されたポリマー混合物または本発明の第6の主題によって得られるようなポリマー混合物の使用法からなる。
【0036】
好ましくは、液体電池においておよび/またはポリマー電池あるいはゲルまたは任意のポリマーにおいて、好ましくは電極コーティング(の好ましくは少なくとも15%)を構成する材料として、あるいは塗料においてまたは磁気テープ用のコーティングとして、上記のポリマー混合物を使用可能である。
【0037】
本発明の第9の主題は、自らの構成要素のうちの少なくとも1つに、本発明の第1の主題で定義される粒子の混合物または本発明の第2の主題に定義されるような方法によって得られるような粒子の混合物を取り込んだ電気化学系、特に電池からなる。
【0038】
好ましくは、電気化学系が液体電池タイプのものである。
【0039】
本発明の第10の主題は、自らの構成要素のうちの少なくとも1つに、本発明の第4の主題で定義されるポリマー混合物または本発明の第5の主題によって得られるようなポリマーの混合物を取り込んだ電気化学系、特に燃料電池からなる。
【0040】
好ましくは、電気化学系がドライポリマー混合物用のポリマー電池タイプまたはACEPタイプのものである。
【0041】
本発明の第11の主題は、本発明の第1の主題で定義されるような混合物を少なくとも1種および/または本発明の第4の主題で定義されるようなポリマー混合物を少なくとも1種含み、以下の特徴すなわち、
−1cmの数が、特に従来技術のケッチェンブラックをベースにした電極に比して好ましくは少なくとも25%減少し、より好ましくは少なくとも50%減少した凝集体と、
−1mAh/cmから10mAh/cmの間の可変容量と、
−20%未満の細孔度と、
−5から50オーム/cmの間のオーム抵抗と、
のうちの少なくとも1つを有する、電極、好ましくは正極からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本件開示内容の文脈では、「均質な混合物」という概念は、走査型電子顕微鏡法によって得られるスペクトルで活性物質の粒子の分布に比して電子種の分布が均質に生成されることを特徴とする、活性物質および/または導電性材料の粒子の混合物を説明する役目を果たすものである。このような混合物は、こうした種のうちのいずれかの凝集身体を最小限の量で含む。
【0043】
よって、本発明の粒子の混合物の均一性は、これを構成する活性物質の粒子の場合で、単ピーク分散が0.10から20μmの間、好ましくは0.5から10μmの間にあることを特徴とする
【0044】
一方で、バインダーに分散された混合物の抵抗の測定値には、混合物の均一性(インピーダンス分光法)が反映される。MW70000(P70)のポリエーテルポリマータイプのバインダーの場合、それを超えると混合物を均質だとみなす境の抵抗率の閾値(25℃で測定)が約5から50オーム/cmの間にある。
【0045】
本件開示内容の文脈では、電池において電気化学的に活性で、特に、電極において電気化学的に活性な材料を、「活性物質」とみなす。
【0046】
これらの材料は、好ましくは、
a)遷移金属酸化物、特に、LiVと、LiV13と、V13と、LiVと、Vと、リチウム含有Vと、LiMnと、LiCoOと、その少なくとも2種の混合物と、からなる群の遷移金属酸化物と、
b)遷移リン酸塩、特に、LiFePOと、LiMnFe(1−x)PO(x≦1)と、その少なくとも2種の混合物と、からなる群から選択される遷移リン酸塩と、
c)遷移金属ケイ酸塩、より好ましくは、鉄ケイ酸塩および少なくとも2種の異なる鉄ケイ酸塩の混合物からなる群から選択される遷移金属ケイ酸塩であって、一例として、LiFeSiOおよびLiGeSiOと、
d)a)、b)および/またはc)で定義した化学種のうちの少なくとも2種の混合物と、
からなる群から選択される。
【0047】
本件開示内容の文脈では、使用する活性物質は、好都合なことに、BET法で測定した比表面積が0.5から10m/gの間であり、なお一層好ましくは、その比表面積が1から3m/gの間である。
【0048】
本件開示内容の文脈では、「導電性材料」に関し、材料の伝導度および/または非伝導度について以下の基準を用いる。
【0049】
表面が電流を通す能力でもある物質の電気伝導度は、抵抗率の逆数σ=1/ρとして定義される。材料の電界の強さは関係E=V/Lで表されるため、電流密度に関してオームの法則を式J=σEで表すことができる。σ>10(Ω・m)−1の金属は導電性の金属であるとみなされる。関係:10−6<σ<10(Ω・m)−1に対応する材料は、半導電性材料であるとみなされる。関係σ<10−6(Ω・m)−1に対応する材料は、絶縁材料とみなされる。
【0050】
本件開示内容の文脈では、伝導度が10−5(Ω・m)−1よりも高い材料、特にポリマーを、特に導電性ポリマーとして、導電性材料として分類し、伝導度が10−6(Ω・m)−1以下の材料(特にポリマー)を非導電性材料(特に非導電性ポリマー)に分類する。
【0051】
本件開示内容の文脈では、「比表面積」と呼ばれる物理的パラメータの測定に用いられるさまざまな参照方法で、低温における気体の物理吸着を実施する。これらの方法は、1938年にまでさかのぼる、ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmett)およびテラー(Teller)による研究、より一般的には頭文字のBETで知られる研究に基づくものである。比表面積の計算は、実験的に求めた吸着等温線を分析処理した結果に基づくものである。よって、完全な単層膜中に吸着される気体の量を明確にして、この層のエリア、さらには粉末または固体の比表面積を計算することが可能である。
【0052】
BET式と呼ばれる、固体への気体の物理吸着を求める式を用いることで、単層膜に吸着される容積Vmを求めることが可能になる。この容積が分かったら、式:S=n・Sm(式中、Sは試料の総表面積、nは単層膜に吸着される気体分子数を示す)から試料の比表面積を得る。Smは気体分子1個の表面積に対応する。
S=[(6×1023・Vm/22214)Sm]/試料の質量=比表面積(単位m/g)
【0053】
特定の気体分子については比表面積の値が周知である。最も一般的なものだけを挙げると、窒素分子は比表面積が16.2Åであるという特徴を持ち、クリプトンの比表面積は20.2Å、アルゴンの比表面積は16.6Åである。これらの値は、温度が77Kの場合の値である。
【0054】
本件開示内容の文脈では、「吸油力」についてASTM D−2414の方法で測定する。吸油力というのは、導電性材料の粒子が一緒に融合して粉団を形成する程度のことである。
【0055】
本件開示内容の文脈で使用される場合、「3鎖分岐型ポリマー」という表現は、「Relationship between Structural Factor of Gel Electrolyte and Characteristics of Electrolyte and Lithium−ion Polymer Battery Performances」、中川裕江ら、日本での第44回目のシンポジウム、2003年11月4〜6日、抄録3D26という資料に示されるように、3鎖分岐型コームの形で3つの分岐鎖を含むポリマーに関連している。これらのポリマーの実質的に平行な3つの分岐鎖は、好ましくは小さなバックボーンの中央および2つの端(end)で付着され、鎖中に、好ましくは3つの原子、好ましくは3つの炭素原子を含む。
【0056】
3炭素原子鎖の場合、これらの原子は各々1つの分岐鎖に連結されている。
【0057】
これらの3鎖分岐型ポリマーのうち、本発明の文脈では、平均分子量(MW)が1000から1000000の範囲のもの、なお一層好ましくは平均分子量が5000から100000の範囲にあるものが優先される。
【0058】
本件開示内容の文脈で使用する場合、「四鎖分岐型ポリマー」という表現は、四鎖分岐型ポリマーの好ましいファミリについて説明されている、本願に援用する国際公開第03/063287号パンフレット(ハイドロ・ケベック(Hydro−Quebec))に関連している。
【0059】
このようなポリマーは、4鎖分岐型コームの形状を有する。これらのポリマーの実質的に平行な4つの分岐鎖はそれぞれ、小さな鎖の2つの端ならびに、2つの端の間に付着(好ましくは、鎖に対して対称に付着)され、好ましくは4つの炭素原子である4つ原子を含む鎖からなるものであると好ましい。
【0060】
4炭素原子鎖の場合、各原子は1つの分岐鎖に連結されている。
【0061】
このようなポリマーは、好ましくはハイブリッド末端、なお一層好ましくはアクリレート(好ましくはメタクリレート)とアルコキシ(好ましくは1から8個の炭素原子を有するアルコキシ、なお一層好ましくはメトキシまたはエトキシ)を有するか、あるいはビニル、ハイブリッド末端を有し、前記四鎖分岐型ポリマーの少なくとも1つの分岐鎖(好ましくは少なくとも2つの分岐鎖)が架橋を生じさせることのできるものである。
【0062】
好ましくは、四鎖分岐型ポリマーが、本願に援用する米国特許第6,190,804号明細書(DKS)の第1欄および第2欄に定義されているもののうちの1つである。
【0063】
このポリマーは、好ましくは末端に以下の官能基すなわち、アクリレートまたはメタクリレートおよびアルコキシ、アリルオキシおよび/またはビニルオキシを含有する少なくとも4つの分岐鎖を有するポリエーテルタイプの星形ポリマーであり、これらの官能基のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つが架橋を可能にする役割を担う。
【0064】
本発明の文脈では、分子量(molecular mass)が30000以上であるポリエーテルの他のファミリが都合よく用いられる。
【0065】
本発明のもうひとつの好ましい実施形態によれば、4鎖分岐型ポリマーは、以下の式(I)に対応する四官能性ポリマー、好ましくは高分子量のポリマーである。
【化1】

式中、RおよびRは各々、水素原子または低級アルキル(好ましくは1から7個の炭素原子)を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、mおよびnは各々、0以上の整数を示し、高分子量の各々の鎖において、m+n>35であり、基R、RおよびRの各々およびパラメータmおよびnの各々が、4つの高分子量鎖の場合と同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
これらの四鎖分岐型ポリマーのうち、平均分子量が1000から1000000の間の四鎖分岐型ポリマー、なお一層好ましくは、平均分子量が5000から100000の範囲の四鎖分岐型ポリマーが特に好都合である。
【0067】
もうひとつの好ましい実施形態によれば、ハイブリッド末端(アクリレートまたはメタクリレートおよびアルコキシ、アリルオキシ、ビニルオキシ)のある少なくとも4つの分岐鎖を有する星形タイプのポリエーテルが選択される。その安定性電圧(stability voltage)は4よりもかなり大きい。
【0068】
また、EGタイプのビニルポリマー、特に本願に援用する特許出願公開第A−1249461号明細書(DKS)に記載されているビニルポリマーが、保護材料として特に好都合である。これらのポリマーのうち、平均分子量が600から2500の範囲にあるものが特に好都合である。
【0069】
このファミリのポリマーは、好都合なことに、ポリマー化合物が生成されるようにして、エチレンオキシドおよび1−プロパノール−2,3−エポキシと開始材料とを反応させることによって、あるいは、1−プロパノール−2,3−エポキシと開始材料としてのエチレングリコールとを反応させることによって入手可能なものである。このステップに続いて、得られるポリマー化合物のバックボーンおよび側鎖のそれぞれの端で重合可能なおよび/または非重合可能な官能基を導入する。
【0070】
1種または複数種の活性水素残基およびアルコキシドを有する化合物を開始材料として用いてもよい。
【0071】
1種または複数種の活性水素残基を有する化合物での活性水素残基の例としては、好ましくは1から5個の活性水素残基を有するヒドロキシルの基があげられる。1種または複数種の活性水素残基を有する化合物の具体例として、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、グリセロール、ジグリセロールおよびペンタエリトリトールならびにこれらの誘導体があげられる。
【0072】
アルコキシドの具体例には、CHONaおよびt−BuOKおよびこれらの誘導体も含まれる。
【0073】
本発明のポリエーテルポリマー化合物は、式(1)で表される構造単位ならびに式(2)で表される構造単位および/または以下の式(3)で表される構造単位を有する。式(1)で表される構造単位が1つの分子に含まれる数は1から22800、より一層好都合なのは5から11400、なお一層好都合なのは10から5700である。式(2)または(3)の構造単位の数(両方が含まれる場合は、これは総数である)は1から13600、より一層好都合なのは5から6800、およびなお一層好都合なのは10から3400である。
【化2】

【0074】
各分子端(molecular end)に導入される重合可能な官能基の例として、(メタ)アクリレート残基、アリル基およびビニル基があり、非重合可能な官能基の例としてはアルキル基またはホウ素原子を含む官能基があげられる。
【0075】
上記のアルキル基と同様に、1から6個の炭素原子を含むアルキル基も好都合であり、1から4個の炭素原子を含むアルキル基が一層好都合であり、メチル基が特に好都合である。
【0076】
ホウ素原子を含む官能基の例として、以下の式(4)または(5)で表される官能基があげられる。
【化3】

【0077】
式(4)のR11およびR12と、式(5)のR21、R22およびR23は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシル、ホルミル、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、炭素アミノ、オキシスルホニルアミノ、スルホンアミド、オキシカルボニルアミノ、ウレイド、アシル、オキシカルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルフィニル、オキシスルホニル、スルファモイル、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、複素環基、−B(R)(R)、−OB(R)(R)またはOSi(R)(R)(R)を示す。(R)、(R)および(R)は各々、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシル、ホルミル、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、炭素アミノ、オキシスルホニルアミノ、スルホンアミド、オキシカルボニルアミノ、ウレイド、アシル、オキシカルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルフィニル、オキシスルホニル、スルファモイル、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、複素環基またはこれらの誘導体を示す。式(4)のR11およびR12と、式(5)のR21、R22およびR23は、互いに結合して環を形成してもよく、この環は置換基を有するものであってもよい。それぞれの基は、置換可能な基で置換されていてもよい。また、式(5)のXはアルカリ金属イオンを示し、好都合なのはリチウムイオンである。
【0078】
ポリエーテルポリマーの分子鎖の端がすべて重合可能な官能基であってもよいし、非重合可能な官能基であってもよく、あるいは、両方が含まれていてもよい。
【0079】
このタイプのポリエーテルポリマー化合物の平均分子量(MW)には特に制限がないが、通常は約500から2000000、好都合なのは約1000から1500000である。
【0080】
これらの好ましいファミリのポリマーはさらに、好都合なことに、紫外線、赤外線、熱処理および/または電子線(「E線」)によって架橋可能なポリマーから選択される。
【0081】
凝集体、特にカーボンブラックの凝集身体が溶解され、電気的伝導性材料が活性物質と一緒に均質に分散され、均質混合物が得られた時点で共粉砕方法の目的が実現される。
【0082】
媒質が液体である場合、凝集体の大部分が分離されて湿った時点で分散が完全または事実上完全であるとみなされる。
【0083】
材料の軽さとその粉末(粉体)としての形がゆえに、第2の材料のマトリクス中にカーボンブラックを均質に分散させるのは困難であるように見えた。
【0084】
従来技術における教示内容に反して、驚くべきことに、特に濃密および/または極めて粘度の高い材料にカーボンブラックが混じっている場合に、吸油力が高く比表面積が大きいことで混合物の粒子が極めて分散しにくくなることが見いだされた。
【0085】
また、正極にカーボンブラックが不均一な状態で分散されていると、電池の性能レベルが悪くなるだけでなく、生産率(電極の製造)にも悪影響がおよぶことも見いだされた。
【0086】
さらに、このタイプの混合物では、活性物質およびカーボンブラックの装填量を高くしなければならないため、均一な電極をスプレッドコーティングする作業が一層骨の折れるものとなる。
【0087】
スプレッドコーティング用の混合物にこれらのカーボンブラック粒子が良好な状態で分布していれば、正極の体積導電率を良くすることが可能になる。
【0088】
本発明は、特に、電気化学系に取り込まれて、その性能を実質的に改善する新規なポリマー混合物と新規な粒子の混合物とに関するものである。
【0089】
本発明は、特に、粒子の均質な混合物に関するものである。事実、正極のフィラー粒子が電子の経路に最大限に多く関与するように、活性かつ導電性の粒子の混合物中では、活性物質が導電性の種にできるだけ近いと特に好都合であることが明らかになっている。(図1A、図1Bおよび図2A、図2B)。
【0090】
また、本発明は特に、ACEPポリマー電解質蓄電池に使用可能な電極薄膜製造用の乾燥共粉砕粒子の混合物を調製するための方法に関するものである。この方法は、電極を作製する上での経済的な観点で特に好都合である。
【0091】
本発明の有利な実施形態によれば、共粉砕材料は、吸油力が低く、比表面積が小さく、電子伝導率が良好な導電性炭素と酸化物の混合物から調製される。
【0092】
このタイプの炭素は、コーティングとして使用可能なポリマーの溶液を調製する上で極めて好都合な特性を有することが明らかになっている。
【0093】
また、本発明は、カーボンブラックおよび酸化物の粒子をポリマーの溶液に分散させる際に発生する問題の解決を可能にし、電極の良好な導通状態、低細孔度、良好な電気化学的性能を保証するものである。
【0094】
本発明の特徴のうちのひとつに、
−低い吸油力、
−小さな比表面積、
−特定の単分散粒度(図6)
という特徴のある液体または乾燥媒質中に分散させるのに望ましいことが明らかになっている特定の電気的伝導性添加剤の存在下で共粉砕された混合物を調製するための方法が得られることがある。
【0095】
驚くべきことに、ポリマー溶液中での共粉砕材料の調製にあたってこのタイプの導電性添加剤を用いると(図2A、2B)、適切なレオロジー特性を有する混合物が得られることが見いだされた。混合物の粘度が一層制御しやすくなり、加えて、共粉砕材料の混合物を調製するのに使用する溶媒の量が少なくなり、共粉砕材料の粒子の濡れ性が一層改善される。さらに、活性物質/ポリマーの質量比が大きくなる。
【0096】
本発明の一態様は、有利な一実施形態によれば、固体粒子、好ましくは酸化物および少なくとも1種の導電性添加剤の混合物を主成分とする、コーティング用の共粉砕材料を乾式調製するための方法にある。乾式共粉砕は、コーティング用溶液の調製時間の削減、溶媒の使用量の低減、製造コストの削減を可能にする。得られる結果から、溶媒の存在下で共粉砕材料を調製すると、酸化物の溶解性の問題が大きくなることが分かる。この問題は、電池の容量低下とその耐用寿命の制約という新たな問題につながる。
【0097】
この酸化物は、好ましくは、85/15から97/3の範囲の質量比で、メカノフュージョン(ホソカワミクロン株式会社)によってカーボンブラックと混合される。粉砕時間は15分から3時間の範囲である。回転力は混合対象となる材料の重量によって決まる。この方法は、好都合なことに、一定のエネルギで実施される。共粉砕材料の重量に応じて力を加減すべきである。この力の値で、粒子の大きさを小さくすることなく前駆体(酸化物およびカーボンブラック)を均質に混合して凝集体を破壊する。混合チャンバ内の温度を20から30℃の間に制御する。第2のステップでは、得られる共粉砕材料を、塩形成または非塩形成ポリマーの溶液中で混合する。この溶液を使用して、ドクターブレード法で支持体に正極/負極薄膜のコーティングを施す。
【0098】
この乾式法は、好都合なことに、乾燥条件下でメカノフュージョンによって酸化物の粒子に導電性添加剤をコーティングするために実施される。この手法によって、酸化物の粒子および添加剤の粒子が脱アグロメレーションされることになる。次に、軽い「導電性添加剤」粒子を摩滅によって酸化物粒子の表面に結合させる。粒子−粒子および粒子−チャンバ壁アセンブリにおける遠心力と摩擦力の2つの組み合わせによって、均質な(intimate)固溶体を得ることが可能になる。
【0099】
本発明の有利な実施形態によれば、乾燥または液体条件下での共粉砕材料向きの導電性添加剤は、デンカ(電気化学工業株式会社、日本)という企業から入手可能なデンカブラックタイプの炭素を主成分とするものである。この炭素は、プレス成形されていない形であってもよいし、0%、50%、75%または100%のさまざまなプレス度でプレス成形された形であってもよい。
【0100】
もうひとつの有利な実施形態によれば、導電性添加剤は、デンカブラック炭素とグラファイトまたは炭素繊維または別の電気的伝導性材料の混合物であってもよい。
【0101】
この方法は、ACEP電池(ポリマー電解質電池)用の陽極の薄膜を作製する際に特に好都合である。
【0102】
また、粗い粒子の表面で炭素微粒子のコーティングが可能になり、共粉砕材料の濡れ性が向上して電極の電子伝導率が一層均一になる点に乾式法または湿式(liquid)法の有効性があることも確認されている。
【0103】
本発明の文脈では、キャリア粒子の完全な被覆を避けると好ましいことが、思いがけず見いだされた。この現象について現時点で分かっている範囲であげることのできる説明は、以下のとおりである。
i)活性物質の粒子の表面に電子経路が形成されると、導電性材料をどのような量で加えても過剰となる。事実、酸化物粒子の表面被覆の度合いが50%を超えないようにすると好都合である。
ii)そのイオン伝導を確実に行うために、塩を含有してもよいし含有しなくてもよいポリマー(バインダー)で、活性物質の粒子が十分に濡れるようにする必要がある。
【0104】
活性物質を主成分とするキャリア粒子の表面で結合される、本発明の文脈で都合よく用いられるカーボンブラックは、TEM(透過電子顕微鏡検査)での測定スケールを考慮して、図5Aおよび図5Bから明らかなように、ナノ細孔を含まないものである。これによって、カーボンブラックはポリマーマトリクスに容易に分散可能になり、その溶媒吸収容量も小さくなる。具体的には、本発明の粒子の共粉砕混合物を用いて電極を作製し、比表面積が大きく細孔度の低いタイプの炭素を取り入れる場合、ポリマー/溶媒の濃度をさらに調節する必要がある。これは、溶媒の量を減らして行われる。
【0105】
本発明のもうひとつの有利な実施形態によれば、この炭素が良好に分散されることで、液体電解質が活性物質の粒子を利用できるようにするために細孔度を30%前後に維持しなければならないLiイオン技術とは対照的に、リチウムポリマー技術の重要なパラメータである細孔度の極めて低い(1〜5%)電極を得られるようになる。この炭素がポリマー溶液中に良好に分散されることで、酸化物/ポリマー比が高くなり一層キャパシティブな電極を利用できるようになる。共粉砕LiV/カーボンブラック(デンカ)とポリマーP70とをベースにした正極は、低細孔度で一層キャパシティブな電極を得る上での弊害となることが明らかな特定の比表面積比にならずに、ケッチェンブラックと一緒に共粉砕された粒子の混合物を用いて得られる正極よりも容量が12から20%高くなる。
【0106】
ケッチェンブラックを用いて従来技術の技法(カナダ特許出願第2,140,456号明細書)で作製した同等の正極は、機械強度が低く極めて多孔性が高いものである。
【0107】
もうひとつの有利な実施形態によれば、P70の代わりに(好ましくはエレクセル(Elexcel)(登録商標)タイプの)4鎖分岐型ポリマーを用いて一層キャパシティブな正極を得る上で、制限的な技術的障害を増やす(to raise the limiting technological barrier)ことが可能である。次に、共粉砕LiV/カーボンブラック(デンカ)混合物を4鎖分岐型ポリマーの溶液に分散させる。4鎖分岐型ポリマーの高い濡れ性、カーボンブラック(デンカ)の良好な分散性、さらには低溶媒吸収率がゆえに、なお一層キャパシティブな電極を利用できるようになる。
【0108】
本発明のポリマー混合物を調製するにあたって、アクリレート(好ましくはメタクリレート)とアルコキシ(好ましくは1から8個の炭素原子を含有するアルコキシ、なお一層好ましくはメトキシまたはエトキシ基)またはビニル、ハイブリッド末端を含む、米国特許第6,190,804号明細書の第1欄および第2欄ならびに、出願人名ハイドロ・ケベック(Hydro−Quebec)で出願された国際公開第03/063287号パンフレット(具体的には第5、8および9ページ)に記載されているものなどの、少なくとも3つの分岐鎖を有し、なお一層好ましくは4鎖分岐タイプである、非電子伝導性のポリマーを都合よく利用する旨に留意(recall)されたい。
【0109】
もうひとつの有利な実施形態によれば、溶媒吸収率の低いカーボンブラックを用いると、電極作製時に、一方では共粉砕混合物の乾式調製によって、他方では溶媒の量が少なくなることで、少量の可溶化バナジウムが得られる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例について説明するが、これらはいずれも一例にすぎず、本発明を何ら限定するものとは解釈できないものとする。
【0111】
実施例1−ケッチェン炭素とMW70000のポリエーテルポリマー(P70)の共粉砕材料
平均サイズ2μmのLiV粒子7.2グラムと、平均サイズ30nmのケッチェン炭素粒子0.38グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。このようにして得られる共粉砕LiV−炭素を、3.25グラムのポリマーP70および0.71グラムのLiTFSI粒子と混合し、これにアセトニトリル29.4mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3が溶液、1/3が直径6.34mmの鋼球、容積の1/3が何もない状態になるようにする。HEBMによって25℃で30分間かけて分散を得る。
【0112】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートする。電極を24時間真空乾燥させる。得られる電極の厚さは45マイクロメートルである。正極にはその表面に小さなボールが含まれており、正極が均一ではないことを示している。正極の細孔度は30%である。正極の容量は5.5mAh/cmである。
【0113】
実施例2−デンカ炭素とポリマーP70の共粉砕材料
平均サイズ2μmのLiV粒子7.2グラムと、平均サイズ35nmのデンカ炭素粒子0.38グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。このようにして得られる共粉砕LiV−炭素を、3.25グラムのポリマーP70および0.71グラムのLiTFSIと混合し、これにアセトニトリル29.4mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3が溶液、1/3が直径6.34mmの鋼球、容積の1/3が何もない状態になるようにする。HEBMによって25℃で30分間かけて分散を得る。
【0114】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートする。電極を24時間真空乾燥させる。得られる電極の厚さは44.5マイクロメートルである。正極は平滑であり、欠陥もないが、それほどキャパシティブではなく、その容量は2.6mAh/cmである。
【0115】
これは、共粉砕材料−ポリマー溶液混合物の濃度が低すぎる上、溶媒吸収率の低い炭素を用いていることが原因と考えられる。したがって、正極混合物は希薄である。濃度の調節が必要である。
【0116】
実施例3−デンカ炭素とグラファイトの共粉砕材料
サイズ2μmのLiV粒子14.15グラムと、サイズ35nmのデンカ炭素粒子0.47グラムと、天然グラファイト0.47グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。このようにして得られる共粉砕LiV−炭素−グラファイトを、5.0グラムのポリマーP70および1.0グラムのLiTFSIと混合し、これにアセトニトリル19.4mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3が溶液、1/3が体積(volume)6.34mmの鋼球、容積の1/3が何もない状態になるようにする。HEBMによって25℃で30分間かけて分散を得る。
【0117】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートする。電極を24時間真空乾燥させる。得られる電極の厚さは44マイクロメートルである。正極は平滑であり、欠陥もない。また、容量が5.2mAh/cmと極めて良好である。これらの結果は、優れた均質薄膜の製造時に得られる技術的な利点ならびに、必要な溶媒量が少なくなることを示している。正極の細孔度は、ケッチェン炭素との共粉砕混合物を用いて実施例1で得られる正極の場合に比して87%低くなる。
【0118】
実施例4−デンカ炭素とポリマー4Bの共粉砕材料−正極容量の増加
平均サイズ2μmのLiV粒子59.2グラムと、平均サイズ35nmのデンカ炭素粒子3.1グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。このようにして得られる共粉砕LiV−炭素を、5.0グラムのポリマー4Bおよび1.0グラムのLiTFSI粒子と混合し、これにアセトニトリル19.4mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3が溶液、1/3が直径6.34mmの鋼球、その容積の1/3が何もない状態になるようにする。HEBMによって25℃で30分間かけて分散を得る。
【0119】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートする。電極を24時間真空乾燥させる。得られる電極の厚さは52マイクロメートルである。正極は平滑であり、欠陥もなく、容量が5.6mAh/cmと極めて良好である。正極の細孔度は8%と推定される。これは、質かつ一層キャパシティブな優れた正極の製造によって得られる技術的な利点と同時に、溶媒の量が少なくなることを裏付けるものである。デンカ炭素の優れた分散とポリマー4B(エレクセル(Elexcel)(登録商標)TA 210)の優れた濡れ性とのおかげで、正極に含まれる酸化物の割合が18%増加する。
【0120】
実施例5−デンカ炭素とポリマーEG 2500の共粉砕材料
平均サイズ2μmのLiV粒子7.3グラムと、平均サイズ35ナノメートルのデンカ炭素粒子0.375グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。このようにして得られる共粉砕LiV−炭素を、3.23グラムのポリマーEG2500および0.70グラムのLiTFSI粒子と混合し、これにアセトニトリル29.4mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3が溶液、1/3が直径6.34mmの鋼球、その容積の1/3が何もない状態になるようにする。HEBMによって25℃で30分間かけて分散を得る。
【0121】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートする。電極を24時間真空乾燥させる。このようにして得られる電極は、厚さ47.5マイクロメートルである。正極は平滑であり、欠陥もないが、それにもかかわらず容量5.35mAh/cmと良好である。正極の細孔度は3%である。
【0122】
実施例6−デンカ炭素とポリマーの共粉砕LiFePO
平均サイズ2μmのLiFePO粒子78グラムと、平均サイズ35nmのデンカ炭素粒子0.45グラムとを、メカノフュージョンによって45分間乾式混合する。この共粉砕LiFePO−炭素を、3.25グラムのポリマー4B(エレクセル(Elexcel)(登録商標) TA210)および0.9グラムのLiTFSI粒子と混合し、これにアセトニトリル45mlを加える。この混合物を金属製の容器に導入し、その容積の1/3にこの混合物の溶液が充填され、1/3が直径6.34mmの鋼球、その容積の1/3が空のまま残るようにする。HEBMによって25℃で30分間かけてコーティングを得る。
【0123】
この溶液を、ドクターブレード法でアルミニウム集電体にスプレッドコートし、LiFePO−4B電極を24時間真空乾燥させる。この電極は厚さ45マイクロメートルで、容量4.57mAh/cmである。正極の細孔度は7%である。
【0124】
図3Aおよび図3Bは、実施例2〜6で用いる電気的伝導性材料(M)であるデンカ炭素の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0125】
図4Aおよび図4Bは、電気的伝導性材料(M)の粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像に粒度を加えたものである。
【0126】
図7は、メカノフュージョンによって乾燥条件下で得られる、デンカ炭素を含む乾燥共粉砕LiVの、実施例2による混合物の走査型電子顕微鏡画像である。
【0127】
最終的に、本発明の粒子の混合物から電極を作製すると、経済面および環境面でかなりの利益が得られる。このように、一例として、プレス成形の度合いが50〜100%のデンカブラックタイプの炭素を使用する場合、この炭素はアセチレンブラック生成物の範囲から選択され、ペースト状のコーティング溶液を調製するのに必要な溶媒の量は、企業(アクゾノーベル(Akzo Nobel))から入手可能なケッチェンタイプの標準的な導電性炭素に比して15%ほど少なくなる。さらに、使用済み溶媒を再利用するコストも考慮しなければならない。
【0128】
一方、許容できる電子伝導のシャウィニガンブラック(Shawinigan black)を用いて共粉砕混合物から電極を作製する場合、デンカ炭素の少なくとも二倍の値まで、活性物質に対して、本発明の混合物中の後者の量を増やす必要がある。
【0129】
もうひとつの経済面は、電極の組成物中の活性物質の割合が最大20%増えることにあり、これによってポリマー電池のエネルギ含量が大きくなる。
【0130】
特定の細孔度と比表面積の特徴を有する導電性材料すなわちカーボンブラックを選択したことで、なおかつ、特定タイプのポリマーすなわち4鎖分岐型ポリマーを選択したことで、活性物質の含有量を増やした状態でスプレッドコーティングを実施することが可能である。よって、エネルギ含量を最大25〜30%高めることができる。
【0131】
燃料電池の電極には、厚めの電極が必要である。燃料電池において、粒子の混合物、特に特定の特徴を有する炭素を含有する粒子の混合物を使用し、かつ、本発明のポリマー混合物を使用することで、性能が実質的に改善され、これらの電気化学系にかかるコストが削減される。
【0132】
以上、具体的な実施例をあげて本発明について説明してきたが、前記実施例に対していくつかの改変および修正を加えてもよく、本発明は、概して本発明の原理に基づき、かつ、本発明の活動範囲において周知または従来のものとなるであろう、上述した必須要素に適用可能な本件開示の改変も含む、本発明のこのような修正内容、用途または改作例も包含することを意図したものである旨を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1Aおよび図1Bは、凝集体が存在する場合および存在しない場合の活性物質(M)と電気的伝導性材料(M)との共粉砕混合物を概略的に示す。
【図2】図2Aおよび図2Bは、凝集体が存在する場合および存在しない場合のポリマー溶液に分散された活性物質(M)と電気的伝導性材料(M)との共粉砕混合物に対するスキームを概略的に示す。
【図3】図3Aおよび図3Bは、実施例2〜6で用いる電気的伝導性材料(M)であるデンカ炭素の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、電気的伝導性材料(M)の粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像に粒度を加えたものである。
【図5】図5Aおよび図5Bは、透過電子顕微鏡検査(TEM)で得られる、電気的伝導性材料の粒子の表面の画像である。
【図6】100%プレス成形したデンカ炭素の粒度分布図である。
【図7】メカノフュージョンによって得られるデンカ炭素を含むLiVの乾燥共粉砕材料の、実施例2による混合物の走査型電子顕微鏡画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子、好ましくは粒度分布d50が0.1から50μmの間、より好ましくはd50が1から20μmの間の粒子の混合物であって、前記粒子が、平均サイズTかつ比表面積Sである少なくとも1種の活性物質Mを主成分とするキャリアからなり、かつ、物理結合および/または化学結合によって、平均サイズTおよび比表面積Sである少なくとも1種の電気的伝導性材料Mの粒子が付着されるものであり、
−平均サイズの比T/Tが5から10000の間、好ましくは10から1000の間であり、
−比表面積の比S/Sが1/300から1/2の間、より好ましくは1/150から1/10の間であり、
−混合物中に存在する活性物質の量が、導電性材料の量に対して、好ましくは80%を超え、なお一層好ましくは90%から97%の間であることを特徴とする、混合物。
【請求項2】
活性物質Mの粒子が、その表面の1%から50%、好ましくは5%から20%を、電気的伝導性材料Mで被覆されている、請求項1に記載の共粉砕混合物。
【請求項3】
好ましくは炭素である導電性材料が、以下の特徴すなわち、
−200m/g未満の比表面積と、
−TEM(透過電子顕微鏡検査)方法によって測定した極めて低いナノ細孔度と、
−200mg/g未満、好ましくは100mg/gから20mg/gの間である、ヨウ素吸着法によって測定した吸油力と、
−0.2Ω・cm未満の抵抗率と、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項2に記載の混合物。
【請求項4】
導電性材料の抵抗率が0.03から0.2Ω・cmの間である、請求項3に記載の混合物。
【請求項5】
導電性材料の比表面積が20から100m/gの間である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項6】
導電性材料が、静止角および圧縮率を測定するための方法(粉体試験装置、ホソカワミクロン株式会社)で測定される、65よりも大きい流動度を特徴とするものであり、前記材料が、好ましくは粒子(M)の表面を、炭素、好ましくはアセチレンブラックからなる群から選択される炭素でパウダーコーティングして得られるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項7】
導電性材料が、ASTM D−2414の方法で測定される、好ましくは400mg/g未満、なお一層好ましくは10から100mg/gの間の低い吸油力を特徴とするものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項8】
均質であって、かつ、存在する導電性材料の粒子が、1nmから100nmの間、好ましくは20から80nmの間にピークのある、単分散分布を特徴とする均質な混合物を構成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項9】
活性物質の比表面積が0.1m2/gよりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項10】
活性物質の比表面積が1から10m2/gの間である、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
導電性材料が、デンカブラックタイプのカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項12】
混合物中に存在する活性物質が、
a)遷移金属酸化物、好ましくは、LiVと、LiV13と、V13と、LiVと、Vと、リチウム含有Vと、LiMnと、LiCoOと、からなる群から選択される遷移金属酸化物と、
b)遷移リン酸塩、好ましくは、LiFePOと、LiMnFe(1−x)PO(x≦1)と、からなる群から選択される遷移リン酸塩と、
c)遷移金属ケイ酸塩、好ましくは鉄ケイ酸塩、より好ましくは、LiFeSiOと、LiGeSiOと、からなる群から選択される遷移金属ケイ酸塩と、
d)上記a)〜c)で定義した少なくとも2種の化学物質の混合物と、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項13】
2以上の導電性材料を含み、好ましくは導電性材料のうちの少なくとも1種が、カーボンブラックと、グラファイトと、炭素繊維と、これらのうちの少なくとも2種の混合物と、からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項14】
−比表面積Sを有する活性物質(M)と、
−1≦S/S≦200である比表面積Sを有する電気的伝導性材料(M)と、
を、質量比1≦M/M≦15%で共粉砕することによって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の混合物を調製するための方法であって、
前記混合物は、凝集体数が極めて少なく均質であり、凝集体の質量が、好ましくは混合物の全質量の20%未満をなし、粒度比T/Tが1から0.001の範囲にある、方法。
【請求項15】
共粉砕が乾燥状態で実施されることを特徴とする、請求項14に記載の調製方法。
【請求項16】
共粉砕が、好ましくは粉末1kgあたり0.1kWhから1.5kWhの間であるエネルギ入力を用いて0から60℃の間の温度で実施される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
共粉砕を、好ましくは不活性ガスの群から選択される気体、特に、アルゴンと、窒素と、これらの混合物とからなる群から選択される気体の存在下で実施する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
共粉砕を、5から180分の範囲、好ましくは15から90分の間の時間実施する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
共粉砕材料を、活性物質を脱アグロメレーションおよび均質化するステップと、電気的伝導性材料を加えて共粉砕混合物を均質化するステップの2段階で調製することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法のうちの1つを実施することによって得られる粒子の混合物。
【請求項21】
電池、特に液体正極電池の電極を作製する際に、あるいは塗料において、あるいは磁気テープ用のコーティングとして、請求項1〜13および20のいずれか一項に記載の粒子の混合物を使用する方法。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の粒子の少なくとも1種の混合物からなる、あるいは、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法のうちの1つを実施することによって得られるようなポリマー混合物であって、粒子の前記混合物が、好ましくはポリマー溶液の形で少なくとも1種のポリマー(ポリマーマトリクス)に分散され、この分散を得るためのポリマーの使用量が、初期混合物中に存在する導電性材料および活性物質の総量に対して好ましくは50%から10%の間、なお一層好ましくは40%から15%の間である、ポリマー混合物。
【請求項23】
ポリマーは、好ましくは3鎖分岐型ポリマーからなる群から、特にP70タイプすなわち、第一工業製薬株式会社という企業から販売されているエレクセル(Elexcel)(登録商標)タイプの4鎖分岐型ポリマーの群から選択され、なお一層好ましくは、EGタイプのポリマーおよび/またはこれらのブレンドからなる群から、また、対応する塩形成ポリマーの群から選択されるものである、請求項22に記載のポリマー混合物。
【請求項24】
−好ましくは、共粉砕によって得られた、
−比表面積Sを有するフィラー材料(M)と、
−1≦S/S≦200である比表面積Sを有する導電性材料(M)と、
を、1から1000の範囲の粒度比M/Mで混合し、
−1種または複数種のポリマーと、有機溶媒と少なくとも2種の有機溶媒の混合物の群から選択される溶媒、特に、脂肪族または脂環族タイプの非極性溶媒、なお一層好ましくはアセトニトリルおよびトルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒を好ましくは5%から35%および65%から95%、より好ましくは70%から95%と、を含むポリマーの溶液に、分散された共粉砕材料を分散させるか、
−そうでなければ、1種または複数種のポリマー約50%と、有機溶媒と少なくとも2種の有機溶媒の混合物の群から選択される溶媒、特に、脂肪族または脂環族タイプの非極性溶媒、なお一層好ましくはアセトニトリルおよびトルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒約50%と、を含むポリマーの溶液に、分散された共粉砕材料を分散させることにより、
均質で凝集体の極めて少ないものであり、凝集体の割合が質量でポリマー混合物の全質量の好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満であるか、凝集体が全く存在しない、請求項22または23に記載のポリマー混合物を調製するための方法。
【請求項25】
粘度が0.3から3.5Pa/秒の間にあるスプレッドコーティング混合物が生成されるように共粉砕混合物をポリマーの溶液と混合することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項24または25に記載の方法を実施することによって得られるポリマー混合物。
【請求項27】
請求項22、23および26のいずれか一項に記載のポリマー混合物を、正極の製造時において、あるいは塗料におけるスプレッドコーティング混合物として、あるいは磁気テープ用のコーティングとして用いる、使用法。
【請求項28】
液体電池においておよび/またはポリマー電池あるいはゲルまたは任意のポリマーにおいて、好ましくは電極コーティング(の好ましくは少なくとも15%)を構成する材料として、あるいは塗料においてまたは磁気テープ用のコーティングとして用いる、請求項27に記載のポリマー混合物の使用法。
【請求項29】
自らの構成要素のうちの少なくとも1つに、請求項1〜13に記載の粒子の混合物または請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法を実施することによって得られるような粒子の混合物を取り込んだ電気化学系、特に電池。
【請求項30】
自らの構成要素のうちの少なくとも1つに、請求項22および23のいずれか一項に記載のポリマー混合物または請求項24および25のいずれか一項に記載の方法を実施することによって得られるようなポリマー混合物を取り込んだ電気化学系、特に燃料電池。
【請求項31】
液体電池タイプの請求項29に記載の電気化学系。
【請求項32】
ドライポリマー混合物用の、ポリマー電池タイプまたはACEP(ポリマー電解質電池)タイプの請求項30に記載の電気化学系。
【請求項33】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の混合物を少なくとも1種および/または請求項22、23および26のいずれか一項に記載のポリマー混合物を少なくとも1種含み、以下の特徴すなわち、
−1cmの数が、特に従来技術のケッチェンブラックをベースにした電極に比して好ましくは少なくとも25%減少し、より好ましくは少なくとも50%減少した凝集体と、
−1mAh/cmから10mAh/cmの間の可変容量と、
−20%未満の細孔度と、
−5から50オーム/cmの間のオーム抵抗と、
のうちの少なくとも1つを有する、電極、好ましくは正極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−524707(P2009−524707A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551609(P2008−551609)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000096
【国際公開番号】WO2007/085082
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(597164909)イドロ−ケベック (30)
【氏名又は名称原語表記】Hydro−Quebec
【Fターム(参考)】