説明

活性物質の送達のための局所フィルム組成物

本発明はフィルム製品及び非自己凝集性の一様な不均質性を示すそれらの調製方法に関する。望ましくは、フィルムが水中で崩壊し、制御乾燥方法、又はフィルムの必要とされる一様性を維持するその他の方法により形成されてもよい。望ましくは、フィルムが局所活性薬剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2005年12月6日に出願された、米国仮特許出願第60/742,776号[これは2002年2月14日に出願された米国特許出願第10/074,272号(これは2001年10月12日に出願された、米国仮特許出願第60/328,868号、及び2002年6月7日に出願された、米国仮特許出願第60/386,937号の優先権を主張する)の一部継続出願である]の優先権を主張する。
本発明は迅速に溶解する、自己支持性フィルム及びそれらの調製方法に関する。フィルムはフィルム中に均等に分布されている局所薬剤を含む。
【背景技術】
【0002】
皮膚は人体の最大の器官である。典型的には、皮膚はそれを良好な状態に維持するための化粧ケア、及びそれが障害の症候を示す場合にそれを治癒するための医療措置を必要とする。局所に投与されるパーソナルケア製品及び医療薬剤が一般に局所薬剤として知られている。
局所薬剤を投与する場合の一つの関心事はこれらの薬剤が皮膚に適用し得る容易さである。通常、局所薬剤はびん又はチューブから手の指又は手のひらに分配され、皮膚に手で適用される。消費者は不利なことに彼らが移動する場合にびん又はチューブをかれら自身で運ぶことが必要とされる。しかしながら、特別な皮膚ケア製品又は薬物は移動サイズで入手し得ないことがあるかもしれない。更に、このような製品は殆どしばしば液体、クリーム又は軟膏として入手でき、乱雑であり得る。
フィルムは活性成分、例えば、薬物、医薬品等を運ぶための送達系として使用し得る。しかしながら、従来のフィルム及びそれからの薬物送達系の製造方法はそれらが実際に使用されないようにした幾つかの不利な特性を問題としていた。
医薬活性成分を含むフィルムがFuchsらの満了した米国特許第4,136,145号(“Fuchs”)に開示されている。これらのフィルムはシートに成形され、乾燥され、次いで個々の投与物に切断されてもよい。Fuchsの開示は一様なフィルムの加工を主張し、これは水溶性ポリマー、表面活性剤、風味料、甘味料、可塑剤及び薬物の組み合わせを含む。これらの可撓性と伝えられたフィルムは経口使用、局所使用又は外部使用に有益であると開示されている。Fuchsにより開示された特別な使用の例として、口、直腸、膣、鼻及び耳の領域を含む、体の粘膜領域へのフィルムの適用が挙げられる。
しかしながら、Fuchsに開示された方法に従ってつくられたフィルムの試験は、このようなフィルムが粒子の凝集又は団塊化、即ち、それらを本来非一様にする、自己凝集を問題とすることを明らかにする。この結果はFuchsのプロセスパラメーター(これらは開示されていないが、おそらく比較的長い乾燥時間の使用を含み、それにより分子間吸引力、対流力、空気流等を促進してこのような凝集を形成する)に起因し得る。
【0003】
凝集物の形成はフィルム成分及び存在するあらゆる活性物質に同様にランダムに分布する。大きい用量が関係する場合、フィルムの寸法の小さい変化がフィルム当りの活性物質の量の大きい差異をもたらすであろう。このようなフィルムが低用量の活性物質を含むべきであった場合、フィルムの部分が活性物質を実質的に含まないことが可能である。フィルムのシートは通常単位投与物に切断されるので、或る投与物は、それ故、推奨される治療のための活性物質を含まず、又はその不十分な量を含むかもしれない。切断フィルム中の活性成分の量に関する高度の正確さを得ることの失敗は患者に有害であり得る。この理由のために、Fuchsの如き方法により形成された投薬形態は、投薬形態中の活性物質の変化に関する、米国連邦薬物管理局(“FDA”)の如き、政府当局又は規制当局の厳しい規格をおそらく満たさないであろう。現在、種々の世界中の規制当局により必要とされるように、投薬形態は存在する活性物質の量の10%以上変化しないかもしれない。フィルムをベースとする用量単位に適当される場合、これはフィルムの一様性が存在することを実際に要求する。
【0004】
フィルムの非一様性をもたらす自己凝集の問題がSchmidtの米国特許第4,849,246号(“Schmidt”)で取り組まれていた。SchmidtはFuchsにより開示された方法が一様なフィルムを与えないことを特別に指摘し、非一様なフィルムの生成が正確な投与(これは先に説明されたように医薬領域で特に重要である)を必ず妨げることを認めていた。SchmidtはFuchsにより記載されたような単層フィルムが正確な投薬形態を与えるかもしれないという考えを放棄し、その代わりに多層フィルムを形成することによりこの問題を解決しようと試みていた。更に、彼の方法は費用と複雑さを追加し、商用には実用的ではない多工程方法である。
別の米国特許は通常のフィルム形成技術に固有の粒子自己凝集及び非一様性の問題に直接取り組んでいた。非一様性を解決しようとする一つの試みでは、Horstmannらの米国特許第5,629,003号及びZerbeらの米国特許第5,948,430号はフィルム中の成分の凝集を減少しようと努力して乾燥の前にフィルムの粘度を増大するために、追加の成分、即ち、ゲル形成剤及び多価アルコールを夫々混入していた。これらの方法は追加の成分を必要とする欠点(これは追加のコスト及び製造工程に言い換えられる)を有する。更に、両方の方法は通常の時間を浪費する乾燥方法、例えば、乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空乾燥機、又はその他のこのような乾燥装置を使用する高温空気浴を使用する。乾燥時間の長い長さは、粘度改質剤の使用にもかかわらず、活性物質及びその他のアジュバントの凝集を促進することを助ける。このような方法はまた活性物質、即ち、薬物、もしくはビタミンC、又はその他の成分を水分及び高温(これらはそれを無効又は更には有害にするかもしれない)への延長された暴露へと暴露するリスクで作業する。
水分への延長された暴露中の活性物質の分解と関連する関心事に加えて、通常の乾燥方法それら自体は一様なフィルムを与えることができない。しばしば“熱履歴”と称される、通常の加工中の熱暴露の長さ、及びこのような熱が適用される様式は、得られるフィルム製品の形成及び形態に直接の効果を有する。一様性は比較的厚いフィルム(これは薬物活性物質の混入に良く適している)が所望される場合に通常の乾燥方法により得るのに特別に困難である。一層厚い一様なフィルムは得るのに一層困難である。何とならば、フィルムの表面及びフィルムの内部が乾燥中に同じ外的条件を同時に経験しないからである。こうして、このような通常の加工からつくられる比較的厚いフィルムの観察は対流力及び分子間力により生じた非一様な構造を示し、可撓性に留まるのに10%より大きい水分を必要とする。自由水分の量は経時に薬物としばしば干渉して効力の問題ひいては最終製品の不一致をもたらし得る。
【0005】
通常の乾燥方法は一般に乾燥オーブン、乾燥トンネル等を使用する強制熱空気の使用を含む。一様なフィルムを得る際の難点はレオロジー特性及びフィルム形成組成物中の水蒸発のプロセスに直接関連している。熱空気オーブン中を通るフィルム形成組成物のように、ポリマー水溶液の表面が高温空気流と接触させられる場合、表面水が直ぐに蒸発されて表面にポリマーフィルム又はスキンを形成する。これは水性フィルム形成組成物の残部を表面の下にシールして、残存水はそれが乾燥フィルムを得るために蒸発されるようにそれ自体を強要する必要があるバリヤーを形成する。フィルムの外部の温度が上昇し続けるので、水蒸気圧がフィルムの表面の下に蓄積し、フィルムの表面を伸ばし、最終的にフィルム表面を引き裂いて開放して水蒸気が逃げることを可能にする。水蒸気が逃げるやいなや、ポリマーフィルム表面が再生し、フィルムが完全に乾燥されるまで、このプロセスが繰り返される。フィルム表面の反復の破壊及び再生の結果が“波しわ効果”として観察され、これが非均等、ひいては非一様のフィルムを生じる。頻繁に、ポリマーに応じて、表面がきつくシールし、その結果、残存水が除去し難く、非常に長い乾燥時間、一層高い温度、及び一層高いエネルギーコストをもたらすであろう。
混合技術の如き、その他の因子がまた商業化及び規制認可に適した医薬フィルムの製造に役割を果たす。空気が混合プロセス中又はその後にフィルム製造プロセス中に組成物中に閉じ込められ、水分が乾燥段階中に蒸発する際にこれがボイドをフィルム製品中に残し得る。フィルムがボイド付近で頻繁に崩壊して不均等なフィルム表面ひいては最終フィルム製品の非一様性をもたらす。たとえ気泡により生じたフィルム中のボイドが崩壊しないとしても、一様性が依然として影響される。この状況はまたスペース(これらは一様に分布されない)がそうしないとフィルム組成物により占有される占有領域であるという点で非一様なフィルムを与える。上記特許のいずれもがフィルムに導入された空気により生じる問題に取り組んでおらず、またその解決策を提案していない。
【0006】
それ故、最小数の材料又は成分を使用し、フィルムの領域中の実質的に非自己凝集性の一様な不均質性を与える、フィルム製品のための方法及び組成物についての要望がある。このようなフィルム製品は局所薬剤の送達に適し、それにより使用の便宜を移動中の消費者に与えることが好ましい。
望ましくは、このようなフィルムは所望の粘度を与えるポリマー又はポリマーの組み合わせの選択により製造される。また、望ましくは、フィルムはフィルム形成方法、例えば、リバースロールコーティング、押出、又はキャスティング及び制御され、かつ望ましい程に迅速な、乾燥方法(これは非自己凝集成分の一様な分布を維持するのに利用できる)によりつくられる。望ましくは、その製造は先の特許、例えば、上記Horstmannの特許及びZerbeの特許の製品中に、またそれらの方法に必要とされることが明らかであるゲル生成剤又は多価アルコール等の必要な添加なしで起こる。望ましくは、フィルムはまたフィルム中の空気を実質的に減少又は排除し、それにより最終フィルム製品の一様性を促す組成物及び製造の方法を含むであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はフィルム及びその成形方法を提供する。フィルムは存在する実質的に等しい量の夫々の組成成分を有する等しいサイズの単位に分けられる。この利点は特に有益である。何とならば、それは大面積のフィルムが初期に成形され、続いて夫々の単位が組成上同等であるか否かについて関心事としないで個々の単位に切断されることを可能にするからである。例えば、本発明のフィルムは局所薬剤のための送達系としての特別な適用可能性を有する。何とならば、夫々のフィルム単位が適当な量の局所活性薬剤を含むからであろう。
本明細書に使用される、“局所薬剤(topical agent)”という用語は特定の表面領域に適用される活性薬剤を含むと意味される。例えば、一実施態様において、局所薬剤は皮膚の領域に適用される。別の実施態様において、局所薬剤は体の粘膜領域、例えば、体の口、膣及び肛門の領域に適用されてもよい。別の実施態様において、局所薬剤は硬質表面、例えば、洗浄を必要とする特別な表面領域に適用される。
本発明の一局面において、自己支持性フィルムが提供される。そのフィルムはポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物を含む。フィルムはまた局所薬剤を含む。以下に更に詳しく記載されるように、フィルムは湿潤剤、例えば、水に暴露された場合に実質的に溶解性であることが望ましい。フィルムを湿潤剤と接触させることは局所薬剤がフィルムから溶解又は分散されることを可能にする。次いで局所薬剤が特別な表面領域、例えば、皮膚の領域に適用し得る。
本発明はまた(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)ヘアシャンプーを含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムを提供する。
また、(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)ヘアコンディショナーを含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムが提供される。
更に、(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)日焼け止め剤を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムが提供される。
更に、本発明は(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii) 抗菌性手洗い石鹸を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムを提供する。
【0008】
更に、本発明は(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)虫除け剤を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムを提供する。
また、(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)保湿クリームを含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムが提供される。
更に、本発明は(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)シェービングクリーム又はゲルを含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムを提供する。
更に、本発明は(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii) 抗生物質を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムを提供する。
更に、(i)少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び(ii)皿洗剤を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルムが提供される。
本発明のフィルムの夫々が消費のために用量単位を与えるようなサイズにされ、包装されてもよい一層小さい個々のフィルム単位に分けられてもよい。
本発明の別の局面において、自己支持性フィルム単位の製造方法が提供される。その方法は極性溶媒、局所薬剤並びにポリエチレンオキサイド及び少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物を合わせてこれらの成分の一様な分布を有する材料を生成する工程を含む。次いでこの材料がフィルムに成形され、上面及び下面を有する支持体表面の上面に供給される。フィルムを乾燥するために、熱がその支持体表面の下面に適用される。次いで乾燥されたフィルムが個々のフィルム単位に分けられる。
【0009】
また、フィルムを乾燥するのに使用される特別な方法とは別途に、又はその方法に加えて、ポリマーが非自己凝集性の一様な不均質性を維持する粘度を与えるために選ばれてもよい。リバースロールコーティング、押出、金型への付着、及びその他の技術を含む、技術がまたフィルムを成形するのに使用されてもよい。
本発明の個々のフィルム単位を含むディスペンサーがまた提供される。フィルム単位は必要によりディスペンサー又はロール中に積み重ねられてもよい。
提供された本発明の更なる局面は局所薬剤の送達方法である。この方法は乾燥フィルム(これは湿潤された場合に少なくとも部分的に可溶化する)を用意することを含み、そのフィルムは(i) ポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、並びに(ii)局所薬剤を含む。その方法はまたフィルムを湿潤剤(これは局所薬剤を溶解する)と接触させ、溶解された局所薬剤を局所薬剤を必要とする表面領域に適用することを含む。
また、本発明は局所薬剤を適用するための系を提供する。その系はポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマーフィルム中に含まれた局所薬剤を含む。また、その系はフィルムを溶解するための溶媒を含む。溶媒は局所薬剤をフィルムから溶解又は分散させるためのフィルムとの直接の接触のために用意され、それにより局所薬剤がそれを必要とする表面領域に適用し得る。必要により、その系は局所薬剤をそれを必要とする表面領域に適用するためのアプリケーターを更に含んでもよい。
本発明の別の局面はエマルション組成物の送達のためのフィルムに関する。例えば、本発明は固体の水溶性ポリマーマトリックス、及びそのマトリックス内に分散された多数の親油性液滴を含む組成物を提供し、その組成物は水に暴露された場合に液体/液体エマルションを生成する。
また、液体/液体エマルションの送達のための自己支持性フィルムが提供される。そのフィルムはエマルション組成物から生成された多数の親油性液滴をその中に分散させた固体の水溶性ポリマーマトリックスを含む。
更に、本発明はエマルション組成物の調製方法を提供する。
エマルション組成物を調製する一つの方法は水性エマルションを用意し、その水性エマルションを非水性乾燥エマルション(その乾燥エマルションは自己支持性フィルムの形態である)に変換することを含む。更に、その方法はフィルムを水性溶媒で溶解することを含み、それにより水性エマルションを再生する。
【0010】
エマルション組成物を調製する別の方法は多数の親油性液滴をその中に分散させた固体の水溶性ポリマーフィルムを用意し、水を添加してフィルムを溶解し、それによりエマルションを生成することを含む。
更に、本発明は活性物質の送達のためのフィルムの調製方法を提供する。その方法は少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒、及び活性物質を含むエマルション組成物を含む組成物を調製し、フィルムを調製された組成物から形成することを含む。更に、その方法はフィルムを方法(それにより活性物質を含む多数の親油性液滴がフィルム内に分散されるようになる)により乾燥させることを含む。
また、水再生可能なエマルション組成物の調製方法が提供される。その方法は少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒、及びエマルション組成物を含む組成物を調製することを含む。また、その方法は組成物を乾燥させて固体の水溶性ポリマーマトリックス内に分散された親油性液滴を含む乾燥エマルションを生成することを含む。
更に、本発明はエマルション組成物の送達方法を提供する。その方法は多数の親油性液滴をその中に分散させた固体の水溶性ポリマーマトリックスを用意することを含む。更に、その方法はポリマーマトリックスを湿潤剤に暴露してポリマーマトリックスを溶解し、それによりエマルションを生成し、そのエマルションをそれを必要とする表面領域に適用することを含む。
本発明の別の局面はエマルションを適用するための系に関する。その系は水溶性ポリマーフィルム内に分散された親油性液滴を含む乾燥エマルションを含む。更に、その系はフィルムを溶解するための溶媒を含む。その溶媒は乾燥エマルションを再生させるための乾燥エマルションとの直接の接触のために用意され、それにより再生されたエマルションがそれを必要とする表面領域に適用し得る。必要により、その系は再生されたエマルションをそれを必要とする表面領域に適用するためのアプリケーターを更に含んでもよい。
本発明の更なる局面は共融(eutectic)組成物の分散液を送達するのに有益な組成物に関する。例えば、本発明は固体の水溶性ポリマーマトリックス、及びそのマトリックス内に分散された共融組成物の多数の液滴を含む組成物を提供し、その組成物は水に暴露された場合に共融組成物の分散液を生成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的のために、非自己凝集性の一様な不均質性という用語は本発明のフィルムの能力を表し、これらはフィルムが通常の乾燥方法、例えば、乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空乾燥機、又はその他のこのような乾燥装置を使用する高温空気浴により形成される場合に通常経験されるようなフィルム内の成分の凝集又は団塊化の実質的に減少された発生(即ち、殆どないか、又は全くない)を得るために、極性溶媒に加えて一種以上の成分から形成される。本発明に使用される、不均質性という用語は単一成分、例えば、ポリマーだけでなく、成分の組み合わせ、例えば、ポリマー及び活性物質を含むフィルムを含む。一様な不均質性はフィルムを形成するのに使用される通常の混合方法及び熱乾燥方法で普通であるような凝集物又は団塊の実質的な不在を含む。
更に、本発明のフィルムは実質的に一様な厚さを有し、これはまた水をベースとするポリマー系を乾燥するために使用される通常の乾燥方法の使用により得られない。一様な暑さの不在は所定のフィルムの領域にわたる成分分布の一様性に有害に影響する。
本発明のフィルム製品は適切に選ばれた一種以上のポリマー、極性溶媒及び局所薬剤だけでなく、当業界で知られているその他の充填剤の組み合わせにより製造される。これらのフィルムは選ばれたキャスティング方法又は付着方法及び制御された乾燥方法を利用することによりそれら内に成分の非自己凝集性の一様な不均質性を与える。制御された乾燥方法の例として、Magoonの米国特許第4,631,837号(“Magoon”)(本明細書に参考として含まれる)に開示された装置の使用だけでなく、下部支持体及び下部加熱プレートを横切る熱空気衝突が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のフィルムを得るための別の乾燥技術は制御されない空気流の不在下の、制御された放射線乾燥、例えば、赤外及びラジオ周波数放射線(即ち、マイクロウェーブ)である。
【0012】
乾燥方法の目的は複雑さ、例えば、通常の乾燥方法と関連し、フィルムの上表面を初期に乾燥して、水分を内部に閉じ込める、注目された“波しわ”効果を避けるフィルムの乾燥方法を与えることである。通常のオーブン乾燥方法では、内部に閉じ込められた水分が続いて蒸発するので、上表面が開いて引き裂かれることにより変化され、次いで再生される。
これらの複雑さが本発明により避けられ、一様なフィルムが最初にフィルムの下表面を乾燥させ、又はそれ以外にフィルムの深さを乾燥する前にフィルムの上表面でポリマーフィルム地質(スキン)の形成を阻止することにより提供される。これは熱をフィルムの下表面に適用することにより(実質的に上部空気流を用いないで)、又はフィルム内の水又はその他の極性溶媒を蒸発させるための制御されたマイクロウェーブの導入(再度、実質的に上部空気流を用いないで)により達成されるかもしれない。
更にまた、乾燥が平衡流体流、例えば、平衡空気流を使用することにより達成されるかもしれず、この場合、下部空気流及び上部空気流が一様なフィルムを得るために制御される。このような場合、フィルムの上部に向けられた空気流は空気流により生じた力のために、湿ったフィルム中に存在する粒子の移動を生じる状態を生じるべきではない。
更に、フィルムの下部に向けられた空気流はフィルムが空気からの力のために持ち上がらないように制御されることが望ましい。制御されない空気流(フィルムの上又は下の)は最終フィルム製品の非一様性を生じ得る。上表面の周囲の領域の湿度レベルがまたポリマー表面の早期の閉鎖又はスキンニングを防止するために適当に調節されてもよい。
【0013】
フィルムを乾燥するこの様式が幾つかの利点を与える。これらの中に、一層速い乾燥時間及びフィルムの一層一様の表面だけでなく、フィルム中の所定の領域についての成分の一様な分布がある。加えて、一層速い乾燥時間は粘度がフィルム内で迅速に増大することを可能にし、更に成分の一様な分布及び最終フィルム製品中の成分の凝集の減少を促す。望ましくは、フィルムの乾燥が約10分以下以内、又は更に望ましくは約5分以下以内に起こるであろう。
本発明は注意が組成成分の凝集を減少することに払われる場合に格別に一様なフィルム製品を生じる。混合方法中の過剰の空気の導入を避け、それを排除し、調節可能な粘度を得るためにポリマー及び溶媒を選ぶことにより、また下部から上にフィルムを迅速な様式で乾燥することにより、このようなフィルムが生じる。
本発明の製品及び方法はフィルム内の成分の自己凝集を実質的に減少するフィルムを得るためにフィルムの製造の種々の工程間の相互作用に頼る。詳しくは、これらの工程はフィルムを形成するのに使用される特別な方法、気泡混入を防止するように組成物混合物をつくること、フィルム形成組成物の粘度を調節すること及びフィルムを乾燥する方法を含む。更に特別には、混合物中の成分の一層大きい粘度は活性物質が沈降することから防止するために活性物質が選ばれた極性溶媒に可溶性ではない場合に特に有益である。しかしながら、粘度はキャスティングの選ばれた方法(これは望ましくは実質的に一致する厚さのフィルムを得るその能力のためにリバースロールコーティングを含む)を妨害し、又は妨げるように大きすぎてはならない。
フィルム又はフィルム形成成分もしくはマトリックスの粘度に加えて、望ましいフィルム一様性を得るために本発明により考慮されるその他の考慮事項がある。例えば、非コロイド適用において固体(例えば、薬物粒子)沈降を防止する安定な懸濁液が得られる。本発明により提供される一つのアプローチは粒状物の密度(ρp)及び液相の密度(ρl)をバランスさせ、液相の粘度(μ)を増大することである。分離された粒子について、ストークス法は以下のように、粘稠な流体中の半径(r)の硬い球体の終端沈降速度(Vo)を関連づけている。
Vo=(2grr)(ρpl)/9μ
【0014】
しかしながら、高い粒子濃度では、局所粒子濃度が局所粘度及び密度に影響するであろう。懸濁液の粘度は固体体積分率の確固とした関数であり、粒子-粒子相互作用及び粒子-液体相互作用が沈降速度を更に妨げるであろう。
ストキアン分析は第三の相、例えば、分散された空気又は窒素の混入が懸濁液安定性を促進することを示していた。更に、粒子の数を増大することが固体体積分率をベースとする阻害された沈降効果をもたらす。希薄な粒子懸濁液では、沈降の速度、vが以下のように表し得る。
v/Vo=1/(1+κφ)
式中、κ=定数、かつφは分散された相の体積分率である。液相中に懸濁された多くの粒子が低下された速度をもたらす。粒子形状寸法がまた重要な因子である。何とならば、粒子寸法が粒子-粒子の流れ相互作用に影響するからであろう。
同様に、懸濁液の粘度は分散された固体の体積分率に依存する。非相互作用球形粒子の希薄な懸濁液について、懸濁速度についての表現は以下のように表し得る。
μ/μo=1+2.5φ
式中、μoは連続相の粘度であり、かつφは固体体積分率である。高い体積分率では、分散液の粘度が以下のように表し得る。
μ/μo=1+2.5φ +C1 φ2+C2 φ3+.....
式中、Cは定数である。
液相の粘度が重要であり、液体組成物を低降伏応力値でもって粘弾性非ニュートニアン流体にカスタマイズすることにより改質されることが望ましい。これは静止した高粘度連続相を生じることと等価である。粘弾性又は高次構造の液体相の形成が粒子沈降に対する付加的な抵抗力を与える。更に、フロキュレーション又は凝集が粒子-粒子相互作用を最小にして制御し得る。正味の効果は均一な分散された相の保存であろう。
【0015】
懸濁液の水相へのヒドロコロイドの添加が粘度を増大し、粘弾性を生じることがあり、ヒドロコロイドの型、その濃度及び粒子組成、形状寸法、サイズ、並びに体積分率に応じて安定性を付与し得る。分散された相の粒子サイズ分布は高粘度媒体中で最小の現実的な粒子サイズ(即ち、<500μm)を選ぶことにより調節される必要がある。低せん断速度におけるわずかな降伏応力又は弾性体の存在がまた見掛け粘度にかかわらず永久安定性を誘発し得る。臨界粒子直径が降伏応力値から計算し得る。分離された球形粒子の場合には、所定の粘度の媒体により沈降で発生される最大せん断力は以下のように示される。
τmax=3Vμ/2r
疑似塑性流体について、このせん断応力レジームにおける粘度はニュートニアンプラトーでゼロせん断速度粘度であるかもしれない。
安定な懸濁液はフィルムキャスティング機械加工フィルムに供給すべき予備混合組成物の製造だけでなく、充分な乾燥が起こって一様性が維持されるような充分に固体形態に粒子及びマトリックスにロック-インするまでの湿潤フィルム段階におけるこの安定性の維持に重要な特徴である。粘弾性流体系について、延長された時間の期間、例えば、24時間にわたって安定な懸濁液を生じるレオロジーは、高速フィルムキャスティング操作の要件とバランスされる必要がある。フィルムに望ましい性質はせん断希薄化(thinning)又は疑似塑性であり、それにより粘度がせん断速度の増大につれて低下する。時間依存性せん断効果、例えば、チキソトロピーがまた有利である。フィルムが形成される際にフィルムが自己レベリングする能力と同様に、構造回復及びせん断希薄化挙動が重要な性質である。
本発明の組成物及びフィルムについてのレオロジー要件は実に苛酷である。これは広いせん断速度範囲にわたって許容できる粘度値でもって粘弾性流体マトリックス中の、例えば、30-60重量%の粒子の安定な懸濁液を生じる必要のためである。混合、ポンプ輸送、及びフィルムキャスティング中に、10-105-1の範囲のせん断速度が経験されることがあり、疑似可塑性が好ましい実施態様である。
【0016】
フィルムキャスティング又はコーティングにおいて、レオロジーがまた所望の一様性を有するフィルムを形成する能力に関する明確な因子である。せん断粘度、伸張粘度、粘弾性、構造回復がフィルムの品質に影響するであろう。例示の例として、せん断-希薄化疑似塑性流体のレベリングが以下のように誘導されていた。
α(n-1/n)0(n-1/n)-((n-1)/(2n-1)(τ/K)1/n(2π/λ)(3+n)/nh(2n+1)/nt
式中、αは表面波振幅であり、α0は初期振幅であり、λは表面粗さの波長であり、“n”及び“K”の両方は粘度パワーローインデックスである。この例では、レベリング挙動が粘度に関係し、nが減少するにつれて増大し、Kを増大すると減少する。
望ましくは、本発明のフィルム又はフィルム形成組成物は非常に迅速な構造回復を有し、即ち、フィルムが加工中に形成される際に、それがばらばらにならず、又はその構造及び組成の一様性において不連続にならない。このような非常に迅速な構造回復は粒子沈降を遅延する。更に、本発明のフィルム又はフィルム形成組成物はせん断-希薄化疑似塑性流体であることが望ましい。粘度及び弾性の如き性質を考慮したこのような流体は、薄いフィルム形成及び一様性を促進する。
こうして、成分の混合物における一様性は多くの変数に依存する。本明細書に記載されたように、成分の粘度、混合技術及び得られる混合された組成物及び湿式キャスティングされたフィルムのレオロジー特性が本発明の重要な局面である。更に、粒子サイズ及び粒子形状の制御が更なる考慮事項である。望ましくは、粒状物のサイズは150ミクロン以下、例えば、100ミクロン以下の粒子サイズであってもよい。更に、このような粒子は球形、実質的な球形、又は非球形、例えば、不規則な形状の粒子又は楕円形の粒子であってもよい。楕円形粒子又は楕円体はそれらが球形粒子と較べて少ない程度で沈降する傾向があるのでフィルム形成マトリックスにおける一様性を維持するそれらの能力のために望ましい。
【0017】
幾つかの技術が最終フィルム中の気泡混入を防止するために混合段階で使用されてもよい。最終製品中に実質的に気泡形成のない組成物混合物を得るために、消泡剤又は表面張力低下剤が使用される。更に、混合物の速度が空気を混合物中に引き込む様式の混合物のキャビテーションを防止するように調節されることが望ましい。最後に、気泡減少は気泡がフィルムを乾燥する前に逃げるのに充分な時間にわたって混合物を放置することにより更に得られる。望ましくは、本発明の方法は最初に活性成分又は揮発性物質を含まないフィルム形成成分のマスターバッチを生成する。一実施態様において、一種以上の活性物質がキャスティングの直前にマスターバッチの一層小さい混合物と合わされる。こうして、マスターバッチプレミックスが活性薬剤又はその他の成分の不安定性について関心しないで一層長い時間にわたって放置し得る。
添加剤及び活性成分に加えてフィルム形成ポリマー及び極性溶媒を含む材料が生成される場合、これは幾つかの工程で行なわれてもよい。例えば、成分が全て一緒に添加されてもよく、又はプレミックスが調製されてもよい。プレミックスの利点は活性物質以外の全ての成分が先に合わされてもよいことであり、活性物質がフィルムの形成の直前に添加される。これは水、空気又は別の極性溶媒への延長された暴露により分解し得る活性物質について特に重要である。
図6はプレミックスの調製、活性物質の添加及びその後のフィルムの形成に適した装置20を示す。プレミックス又はマスターバッチ22(これは活性薬剤以外のフィルム形成ポリマー、極性溶媒、及びあらゆるその他の添加剤を含む)がマスターバッチ供給タンク24に添加される。プレミックス又はマスターバッチ22のための成分はマスターバッチ供給タンク24へのそれらの添加の前にミキサー(示されていない)中で生成されることが望ましい。次いで前もって決めた量のマスターバッチが第一計量ポンプ26及び制御弁28を経由して第一ミキサー30及び第二ミキサー30'のいずれか又は両方に制御して供給される。しかしながら、本発明は二つのミキサー30、30'の使用に限定されず、あらゆる数のミキサーが好適に使用されてもよい。更に、本発明はミキサー30、30'の特別な配列、例えば、図6に示されるような平行の配列に限定されず、ミキサーのその他の配列又は配置、例えば、直列又は並列と直列の組み合わせが好適に使用されてもよい。必要とされる量の活性成分又はその他の成分がミキサー30、30'の夫々中で、開口部32、32'を通って所望のミキサーに添加される。望ましくは、プレミックス又はマスターバッチ22の滞留時間がミキサー30、30'中で最小にされる。プレミックス又はマスターバッチ22への活性物質の完全分散が望ましいが、過度の滞留時間は特に可溶性活性薬物の場合に、活性物質の浸出又は溶解をもたらし得る。こうして、ミキサー30、30'はプレミックス又はマスターバッチ22を生成するのに使用される一次ミキサー(示されていない)と較べて、しばしば小さく、即ち、低滞留時間である。活性物質が一様なマトリックスを得るのに充分な時間にわたってマスターバッチプレミックスとブレンドされた後に、特定量の一様なマトリックスがその後に第二計量ポンプ、34、34'を通ってパン36に供給される。計量ロール38がフィルム42の厚さを決め、それを適用ロールに適用する。フィルム42が最後に支持体44の上に形成され、支持ロール46により運び去られる。
【0018】
混合物及び粒子の安定な懸濁液における適切な粘度一様性、並びにキャスティング方法が一様性を促進するために組成物及びフィルムを形成する初期の工程で重要であるが、湿ったフィルムを乾燥する工程がまた重要である。これらのパラメーター及び性質が初期に一様性を助けるが、制御された迅速な乾燥方法はフィルムが乾燥するまで一様性が維持されることを確実にする。
次いで湿ったフィルムが、望ましくは本明細書に記載されたようにフィルム48の上部(暴露された)表面における外部空気流又は熱の不在下で、制御された下部乾燥又は制御されたマイクロウェーブ乾燥を使用して乾燥される。制御された下部乾燥又は制御されたマイクロウェーブ乾燥は従来技術の欠点なしにフィルムからの蒸気放出を有利に可能にする。上部からの通常の対流空気乾燥は使用されない。何とならば、それがフィルムの最も上の上部における乾燥を開始し、それにより流体流、例えば、蒸発蒸気、及び熱流、例えば、乾燥のための熱エネルギーに対するバリヤーを形成するからである。
【0019】
このような乾燥された上部は下の部分が乾燥される際に更なる蒸気放出に対するバリヤーとして利用でき、これが非一様なフィルムをもたらす。前記したように、若干の上部空気流が本発明のフィルムの乾燥を助けるのに使用し得るが、それは粒子移動又はフィルムにおける波しわ効果(その両方が非一様性をもたらすであろう)を生じるような状態を生じてはならない。上部空気が使用される場合、それは非一様性を回避し、キャリヤーベルト上のフィルム持ち上げを防止するために下部空気乾燥とバランスされる。上部空気流と下部空気流のバランスは下部空気流が乾燥の主要な源として機能し、上部空気流が乾燥の重要でない源である場合に好適であるかもしれない。若干の上部空気流の利点は既存蒸気をフィルムから離して移動し、それにより総合の乾燥方法を助けることである。しかしながら、上部空気流又は上部乾燥の使用は、組成物のレオロジー特性及び加工の機械的局面を含むが、これらに限定されない幾つかの因子によりバランスされる必要がある。空気の如き、上部流体流はまたフィルム形成組成物の固有粘度に打ち勝ってはならない。換言すれば、上部空気流は組成物の表面を分解することができず、ゆがめることができず、又はそれ以外に物理的に乱すことができない。更に、空気速度はフィルムの降伏値より下、即ち、液体をフィルム形成組成物中で移動し得る力レベルより下であることが望ましい。薄い組成物又は低粘度組成物について、低空気速度が使用される必要がある。厚い組成物又は高粘度組成物について、一層高い空気速度が使用されてもよい。更に、空気速度は組成物から形成されたフィルムの持ち上げ又はその他の移動を回避するように低いことが望ましい。
更に、本発明のフィルムは温度に感受性である粒子、例えば、揮発性成分、又は薬物(これらは低い分解温度を有し得る)を含んでもよい。このような場合には、乾燥温度が低下されてもよく、その間に乾燥時間を増大して本発明の一様なフィルムを適当に乾燥させる。更に、下部乾燥がまた上部乾燥と較べて低い内部フィルム温度をもたらす傾向がある。下部乾燥では、蒸発している蒸気が上部乾燥と較べて熱をフィルムから一層容易に運び去り、これが内部フィルム温度を低下する。このような一層低い内部フィルム温度は減少された薬物分解及び風味料の如き、或る種の揮発物の減少された損失をしばしばもたらす。
【0020】
フィルム調製中に、フィルムを高温で乾燥させることが望ましいかもしれない。高熱乾燥が一様なフィルムを生じ、フィルム製造における一層大きい効率をもたらす。しかしながら、感受性活性成分を含むフィルムは高温で分解問題に直面し得る。分解は“良く特定された中間体生成物を示す...化合物の分解”である(The American Heritage Dictionary of the English Langage(第4編, 2000年を参照のこと)。活性成分の分解は典型的には望ましくない。何とならば、それが活性成分の不安定性、不活性、及び/又は低下された効力を生じるかもしれないからである。例えば、活性成分が薬物又は生物活性物質である場合、これが最終医薬製品の安全性又は効力に悪影響するかもしれない。更に、高度に揮発性の物質が通常の乾燥方法への暴露後にこのフィルムから迅速に放出される傾向があるであろう。
活性成分の分解は特別な活性成分に応じて、種々のプロセス、例えば、加水分解、酸化、及び光分解により生じ得る。更に、温度がこのような反応の速度に著しく影響する。分解の速度は10℃の温度上昇毎に典型的には2倍になる。それ故、活性成分を高温に暴露することは望ましくない分解反応を開始し、かつ/又は加速するであろうと普通理解される。
タンパク質はそれらが時間の延長された期間にわたって高温に暴露される場合に分解し、変性し、又はそれ以外に不活性になり得る有益な局所の、活性薬剤の一つのカテゴリーである。タンパク質、例えば、酵素、構造要素、ホルモン及び免疫グロブリンは生体中で種々の機能に役立つ。タンパク質の例として、酵素、例えば、パンクレアチン、トリプシン、パンクレリパーゼ、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、スチライン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アルチプラーゼ、パパイン、ブロメラインスジアスターゼ、構造要素、例えば、コラーゲン、エラスチン及びアルブミン、ホルモン、例えば、チロリベリン、ゴナドリベリン、アドレノコルチコトロピン、コルチコトロピン、コシントロピン、ソメトレム、ソマトロピオン、プロラクチン、チロトロピン、ソマトスタチン、バソプレシン、フェリプレシン、リプレシン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、ペンタガストリン、セクレチン、コレシストキニン-パンクレオジミン、並びに免疫モジュレーター(悪性細胞増殖、例えば、腫瘍増殖の抑制及び予防に有益であるサイトカインを含む糖タンパク質に加えて多糖を含んでもよい)が挙げられる。幾つかの有益な糖タンパク質の生成に適した方法がCannon-Carlsonらの米国特許第6,281,337号(これが参考として本明細書にそのまま含まれる)に開示されている。
【0021】
ペプチドは時間の長い期間にわたって高温に暴露された場合に不活性になる潜在性を有する有益な局所の、活性薬剤の別のカテゴリーである。ペプチドは、例えば、皮膚ケア製品中に含まれてもよい。
100℃に近い温度は一般にタンパク質、或る種のペプチドだけでなく、核酸の分解を生じるであろう。例えば、幾つかの糖タンパク質が30分間にわたって70℃の温度に暴露されると分解するであろう。ウシエキスからのタンパク質がまたこのような低温で分解すると知られている。DNAがまたこの温度で変性し始める。
しかしながら、本件出願人は本発明のフィルムがフィルム調製及び成形のための本発明の方法のために分解、活性の損失、又は過度の蒸発について関心しないで乾燥方法中に高温に暴露し得ることを発見した。特に、フィルムはこのような問題を生じないで、典型的には分解、変性、又は活性成分の不活化をもたらす温度に暴露し得る。本発明によれば、乾燥の様式は有害なレベルの熱が活性成分に達することから防止するように制御し得る。
本明細書に説明されたように、流動可能な混合物が本発明の教示に従って含量で一様であるように調製される。一様性は流動可能な物質がフィルムに成形され、乾燥される際に維持される必要がある。本発明の乾燥方法中に、幾つかの因子が活性物質を安全な温度、即ち、その分解温度よりも下の温度に維持しながらフィルム内に一様性を生じる。第一に、本発明のフィルムは極めて短い熱履歴、通常わずかに分のオーダーの熱履歴を有し、その結果、合計の温度暴露が可能な程度まで最小にされる。フィルムは成分の凝集及び移行を防止するだけでなく、その中の熱蓄積を防止するように制御して乾燥される。フィルムは下部から乾燥されることが望ましい。本明細書に記載された、制御された下部乾燥はフィルムの上表面におけるポリマーフィルム、又はスキンの形成を防止する。熱がフィルム下部から上に伝達されるので、液体キャリヤー、例えば、水がフィルム表面に上昇する。表面スキンの不在は温度が上昇するにつれて液体キャリヤーの迅速な蒸発、ひいては、フィルムの同時の蒸発冷却を可能にする。短い熱暴露及び蒸発冷却のために、フィルム成分、例えば、薬物又は揮発性活性物質が高温により影響されないで残る。対照的に、上表面におけるスキンニングは増大されたエネルギーの液体キャリヤー分子をフィルム内に閉じ込め、それによりフィルム内の温度を上昇させ、活性成分を高い、潜在的に有害な温度に暴露する。
【0022】
第二に、熱混合は下部加熱及び表面スキンニングの不在のためにフィルム内で起こる。熱混合はフィルム中の対流の流れにより起こる。熱がフィルムの下部に適用される際に、下部付近の液体が温度上昇し、膨張し、稠密ではなくなる。このようなものとして、この一層熱い液体が上昇し、一層冷たい液体がその場を占める。上昇する間に、一層熱い液体が一層冷たい液体と混じり、それと熱エネルギーを共有し、即ち、熱を伝える。そのサイクルが繰り返すにつれて、熱エネルギーがフィルム中に広められる。
本発明の制御された乾燥方法により得られる強い熱混合はフィルム中に一様な熱拡散を生じる。このような熱混合の不在では、“ホットスポット”が発生し得る。フィルム中の熱のポケットがフィルム内の粒子凝集物又は危険領域の形成及びその後の非一様性をもたらす。このような凝集物又は団塊の形成は望ましくない。何とならば、それは活性物質がランダムに分布されるかもしれない非一様なフィルムをもたらすからである。このような不均等の分布はフィルム当りの活性物質の量の大きな相違をもたらすかもしれず、これが安全性及び効力の観点から問題である。
更に、熱混合は一層低い全体の温度をフィルム内で維持することを助ける。フィルム表面は活性成分が分解する温度より上の温度に暴露されるかもしれないが、フィルム内部はこの温度に達しないかもしれない。この温度差のために、活性物質が分解しない。
【0023】
例えば、本発明のフィルムは10分以下にわたって乾燥されることが望ましい。フィルムを80℃で10分間乾燥させることは約5℃の温度差を生じる。これは10分間の乾燥後に、フィルムの内部の温度が外部の暴露温度よりも5℃低いことを意味する。しかしながら、多くの場合、10分未満の乾燥時間、例えば、4〜6分が充分である。4分間の乾燥は約30℃の温度差により伴われるかもしれず、また6分間の乾燥は約25℃の温度差により伴われるかもしれない。このような大きい温度差のために、フィルムが熱感受性活性物質を分解させないで有効な高温で乾燥されてもよい。
図8は本発明の乾燥方法の連続表示である。機械混合後に、フィルムが乾燥方法中に続けられる熱混合のためのコンベヤに置かれてもよい。セクションAに示された、乾燥方法の最初に、フィルム1はそれがコンベヤ(示されていない)により移動する際に下部10から加熱されることが好ましい。熱が加熱メカニズム、例えば、図7に示された乾燥機(これに限定されない)によりフィルムに供給されてもよい。フィルムが加熱される際に、液体キャリヤー、又は揮発物(“V”)が、上向きの矢印50により示されるように、蒸発し始める。熱混合はまた、矢印30により示された、一層熱い液体として開始し、上昇し、矢印40により示された、一層冷たい液体が、その場を占める。スキンがフィルム1の上表面20に形成しないので、セクションBに示されるように揮発性液体が蒸発し続け50、熱混合30/40がフィルム中に熱エネルギーを分配し続ける。充分な量の揮発性液体が一旦蒸発すると、熱混合がフィルム1中に一様な熱拡散を生じた。得られる乾燥されたフィルム1はセクションCに示されるように、粘弾性固体である。成分がフィルム中で一様な分布にロックされることが望ましい。少量の液体キャリヤー、即ち、水が粘弾性の形成に続いて残ってもよいが、フィルムは、所望により、粒子の移動なしに更に乾燥されてもよい。
【0024】
更に、組成物又は材料がフィルムにキャストされた後に、粒子又は粒状物がフィルム形成組成物又は材料に添加されてもよい。例えば、粒子がフィルム42の乾燥前にフィルム42に添加されてもよい。粒子がフィルムに制御して計量供給され、好適な技術、例えば、ドクターブレード(示されていない)(これはフィルムの表面にかろうじて、又はソフトに触れて、粒子をフィルム表面に制御可能に配置する装置である)の使用によりフィルムに配置されてもよい。その他の好適な、非限定的な、技術として、粒子をフィルム表面に置くための追加のロールの使用、粒子をフィルム表面に噴霧すること等が挙げられる。粒子は反対のフィルム表面のいずれか、又は両方、即ち、上及び/又は下のフィルム表面に置かれてもよい。望ましくは、粒子がフィルムに固定可能に配置され、例えば、フィルムに埋め込まれる。更に、このような粒子はフィルムに完全には封入されず、又は完全には埋め込まれないことが望ましいが、粒子が部分的に埋め込まれ、又は部分的に封入される場合のように、フィルムの表面に暴露されて残る。
粒子はあらゆる有益な一種以上の局所薬剤であってもよい。有益な局所薬剤として、パーソナルケア製品及び医療薬剤が挙げられる。或る実施態様において、局所薬剤は下記のものから選ばれてもよい:石鹸、ボディ洗剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、保湿剤、腋の下の消臭剤及び/又は発汗防止剤、シェービングクリーム又はゲル、日焼け止め剤及び虫除け剤。或る更なる実施態様において、局所薬剤は抗菌剤、にきび治療薬、ホルモン、乗り物酔いを予防するための薬剤及び麻酔薬、例えば、プリロカイン、リドカイン並びにこれらの組み合わせから選ばれてもよい。
【0025】
本発明の方法は上記された望ましい乾燥のためのいずれかの特別な装置に限定されないが、一つの特別な有益な乾燥装置50が図7に示される。乾燥装置50は熱流体、例えば、熱空気(これに限定されない)を支持体44の上に配置されるフィルム42の下部に向かって誘導するためのノズル配置である。熱空気が乾燥装置の入口端部52に入り、ベクトル54により示されるように、空気デフレクター56に向かって上向きに垂直に移動する。空気デフレクター56は空気移動を再度誘導してフィルム42上の上向きの力を最小にする。図7に示されるように、空気が空気デフレクター56により通過し、乾燥装置50のチャンバー部分58及び58'に入り、移動する際に、空気がベクトル60及び60'により示されるように接線方向に誘導される。熱空気流がフィルム42に対し実質的に接線方向であることにより、それが乾燥される際のフィルムの持ち上げがそれにより最小にされる。空気デフレクター56がロールとして示されるが、空気又は熱流体の向きをそらせるためのその他の装置及び形状寸法が好適に使用されてもよい。更に、乾燥装置50の出口端部62及び62'が下向きにフレアーにされる。このような下向きのフレアリングはベクトル64及び64'により示されるように下向きの力又は下向きの速度ベクトルを与え、これらがフィルム42の持ち上げを防止するためのフィルム42の引っ張り又はドラッグ効果を与える傾向がある。フィルム42の持ち上げはフィルム又はそれ以外の非一様性をもたらすだけでなく、フィルム42及び/又は支持体44が加工装置から離れて持ち上がる際にフィルム42の制御されない加工をもたらすかもしれない。
フィルムの厚さの監視及び制御がまた一様な厚さのフィルムを与えることにより一様なフィルムの製造に寄与する。フィルムの厚さはベータゲージの如きゲージで監視されてもよい。ゲージは乾燥装置、即ち、乾燥オーブン又はトンネルの端部で別のゲージに結合されてフィードバックループにより連通されて被覆装置中の開口部を制御し、調節して、一様なフィルム厚さの制御をもたらし得る。
フィルム製品は適切に選ばれたポリマー及び極性溶媒だけでなく、所望のいずれかの局所薬剤又は充填剤を合わせることにより一般に形成される。その組み合わせの溶媒含量は全組み合わせの少なくとも約30重量%であることが望ましい。この組み合わせにより生成された材料が、望ましくはロールコーティングにより、フィルムに成形され、次いで、望ましくは迅速かつ制御された乾燥方法により、乾燥されてフィルムの一様性、更に詳しくは、非自己凝集性の一様な不均質性を維持する。得られるフィルムは望ましくは約10重量%未満の溶媒、更に望ましくは約8重量%未満の溶媒、更に一層望ましくは約6重量%未満の溶媒、最も望ましくは約2重量%未満の溶媒を含むであろう。溶媒は水、極性有機溶媒(エタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、又はあらゆるこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)であってもよい。
先に説明されたパラメーター、例えば、レオロジー特性、粘度、混合方法、キャスティング方法及び乾燥方法(これらに限定されない)の考慮がまた本発明の異なる成分のための材料選択に影響する。更に、適切な材料選択による考慮が本発明の組成物(単位面積当りの医薬及び/又は化粧活性物質の10%以下のばらつきを有する医薬及び/又は化粧投与形態又はフィルム製品を含む)を与える。換言すれば、本発明の一様性はマトリックス中の10重量%以下の医薬及び/又は化粧のばらつきの存在により決められる。望ましくは、ばらつきは5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満である。
【0026】
フィルム形成ポリマー
本発明のフィルム単位は少なくとも一種の水溶性ポリマーを含む。フィルムはまた所望により、水膨潤性又は水不溶性のポリマーを含んでもよい。
或る実施態様において、自己支持性フィルムはサッカリドをベースとするポリマー(これは水溶性である)を含む。例えば、サッカリドをベースとするポリマーはセルロース又はセルロース誘導体であってもよい。有益なサッカリドをベースとする、水溶性ポリマーの特別な例として、ポリデキストロース、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、澱粉、ゼラチン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
或る好ましい実施態様において、サッカリドをベースとするポリマーは少なくとも一種のセルロースポリマー、ポリデキストロース、又はこれらの組み合わせであってもよい。フィルムはまた非サッカリドをベースとする、水溶性又は水不溶性のポリマーを含んでもよい。非サッカリドをベースとする、水溶性ポリマーの例として、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有益な水不溶性ポリマーの特別な例として、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
或る更に好ましい実施態様において、ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせである。或るその他の好ましい実施態様において、ポリマーはポリデキストロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせである。更に好ましい実施態様において、ポリマーはポリデキストロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリエチレンオキサイドの組み合わせである。
本明細書に使用される “水溶性ポリマー”という表現及びその別形は水に少なくとも部分的に可溶性であり、望ましくは水に完全に、又は主として可溶性であり、又は水を吸収するポリマーを表す。或る実施態様において、本発明のフィルム単位は湿潤剤に暴露された場合に少なくとも部分的に溶解性である。或るその他の実施態様において、本発明のフィルム単位は湿潤剤に暴露された場合に実質的に溶解性である。
水を吸収するポリマーは水膨潤性ポリマーであるとしばしば言及される。本発明に有益な材料は室温及びその他の温度、例えば、室温を超える温度で水溶性又は水膨潤性であってもよい。更に、材料は大気圧未満の圧力で水溶性又は水膨潤性であってもよい。望ましくは、水溶性ポリマーは少なくとも20重量%の水吸収を有して水溶性又は水膨潤性である。25重量%以上の水吸収を有する水膨潤性ポリマーがまた有益である。このような水溶性ポリマーから形成された本発明のフィルム又は投与形態は体液との接触後に溶解性であるのに充分に水溶性であることが望ましい。
本発明のフィルムへの混入に有益なその他のポリマーとして、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー及びこれらの組み合わせが挙げられる。上記基準を満足する既知の有益なポリマー又はポリマークラスの中に、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリ酸無水物、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、並びにこれらの混合物及びコポリマーがある。付加的な有益なポリマーとして、L-乳酸及びD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン酸及びセバシン酸のコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタン及びポリ(乳酸)のコポリマー、ポリウレタン及びポリ(乳酸)のコポリマー、α-アミノ酸のコポリマー、α-アミノ酸及びカプロン酸のコポリマー、α-ベンジルグルタメート及びポリエチレングリコールのコポリマー、スクシネート及びポリ(グリコール)のコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシ-アルカノエート並びにこれらの混合物が挙げられる。2成分系及び3成分系が意図されている。
【0028】
有益なその他の特別なポリマーとして、メジソーブ及びバイオデルというトレードマークで市販されているものが挙げられる。メジソーブ材料はデラウェア、ウィルミントンのデュポン社により市販されており、一般に“プロパン酸、ヒドロキシ酢酸を含むヒドロキシ-ポリマーを含む2-ヒドロキシ-ポリマー”を含む“ラクチド/グリコリドコポリマー”と同定される。4種のこのようなポリマーとして、ラクチド/グリコリド100L(338°-347°F(170°-175℃)の範囲内の融点を有する100%ラクチドであると考えられる)、ラクチド/グリコリド100L(437°-455°F(225°-235℃)の範囲内の融点を有する100%グリコリドであると考えられる)、ラクチド/グリコリド85/15(338°-347°F(170°-175℃)の範囲内の融点を有する85%ラクチド及び15%グリコリドであると考えられる)、及びラクチド/グリコリド50/50(338°-347°F(170°-175℃)の範囲内の融点を有する50%ラクチド及び50%グリコリドのコポリマーであると考えられる)が挙げられる。
バイオデル材料は化学的に異なる種々のポリ酸無水物のファミリーに相当する。
種々の異なるポリマーが使用されてもよいが、乾燥の前に混合物の所望の粘度を与えるようにポリマーを選ぶことが所望される。例えば、局所薬剤又はその他の成分が選ばれた溶媒に可溶性ではない場合、一層大きい粘度を与えるポリマーが一様性を維持することを助けることが所望される。他方で、成分が溶媒に可溶性である場合、一層低い粘度を与えるポリマーが好ましいかもしれない。
【0029】
ポリマーはフィルムの粘度に影響するのに重要な役割を果たす。粘度はエマルション、コロイド又は懸濁液中の局所薬剤の安定性を調節する液体の一つの性質である。一般にマトリックスの粘度は約400cpsから約100,000cpsまで、好ましくは約800cpsから約60,000cpsまで、最も好ましくは約1,000cpsから約40,000cpsまで変化するであろう。望ましくは、フィルム形成マトリックスの粘度は乾燥方法の開始後に迅速に増大するであろう。
粘度はマトリックス内のその他の成分に応じて、選ばれた局所薬剤成分に基づいて調節されてもよい。例えば、成分が選ばれた溶媒に可溶性ではない場合、適切な粘度が得られるフィルムの一様性に悪影響する沈降から成分を防止するように選ばれてもよい。粘度は異なる方法で調節されてもよい。フィルムマトリックスの粘度を増大するために、高分子量のポリマーが選ばれてもよく、又は架橋剤、例えば、カルシウム、ナトリウム及びカリウムの塩が添加されてもよい。粘度はまた温度を調節することにより、又は増粘成分を添加することにより調節されてもよい。粘度を増大し、又はエマルション/懸濁液を安定化する成分として、高分子量ポリマー並びに多糖及びガムが挙げられ、これらとしてアルギン酸塩、カラゲナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、デキストラン、アラビアガム、ゲランガム及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
また、単独で使用された場合に可撓性フィルムを得るのに通常可塑剤を必要とする或る主のポリマーが、可塑剤を用いないで合わされ、しかも可撓性フィルムを得ることができることが観察されていた。例えば、HPMC及びHPCは組み合わせて使用される場合に製造及び貯蔵に適した可塑性及び弾性を有する可撓性の、強いフィルムを与える。追加の可塑剤又はポリアルコールが可撓性のために必要とされない。
【0030】
更に、ポリエチレンオキサイド(PEO)は、単独で、又は親水性セルロースポリマー及び/又はポリデキストロースと組み合わせて使用される場合に、可撓性の、強いフィルムを得る。追加の可塑剤又はポリアルコールが可撓性のために必要とされない。PEOとの組み合わせに適したセルロースポリマーの非限定例として、HPC及びHPMCが挙げられる。PEO及びHPCは本質的にゲル化温度を有しないが、HPMC(ダウ・ケミカル社から入手し得るメトセルEF)は58-64℃のゲル化温度を有する。更に、これらのフィルムは実質的に有機溶媒(これらはフィルム特性を悪化しないで除去し得る)を含まない場合でさえも充分に可撓性である。このようなものとして、溶媒が存在しない場合には、フィルム中に可塑剤がない。PEOをベースとするフィルムはまた良好な耐引き裂き性、殆ど又は全くカーリングのないこと、及びポリマー成分が適当なレベルのPEOを含む場合に速い溶解速度を示す。
所望のフィルム特性を得るために、ポリマー成分中のPEOのレベル及び/又は分子量が変化されてもよい。PEO含量を変更することは耐引き裂き性、溶解速度、及び接着性の如き性質に影響する。こうして、フィルム特性を調節するための一つの方法はPEO含量を変更することである。例えば、或る実施態様において、迅速な溶解性のフィルムが望ましい。ポリマー成分の含量を変更することにより、所望の溶解特性が得られる。
本発明によれば、PEOはポリマー成分中で約20重量%から100重量%までの範囲であることが望ましい。或る実施態様において、PEOの量は約1mgから約200mgまでの範囲であることが望ましい。親水性セルロースポリマー及び/又はポリデキストロースは約0重量%から約80重量%までの範囲であり、又はPEOと約4:1までの比、望ましくは約1:1の比である。
【0031】
或る実施態様において、PEOレベルを変化させて或るフィルム特性を促進することが望ましいかもしれない。高い耐引き裂き性及び速い溶解速度を得るために、ポリマー成分中の約50%以上のPEOのレベルが望ましい。接着防止を得るために、即ち、フィルムが口蓋に接着することを防止するために、約20%〜75%のPEOレベルが望ましい。しかしながら、或る実施態様において、口蓋への接着、例えば、動物又は子供への投与が所望されるかもしれない。このような場合には、高レベルのPEOが使用されてもよい。更に詳しくは、フィルムの構造保全性及び溶解はフィルムが意図される使用に応じて、粘膜に接着し、容易に除去でき、又は一層しっかりと接着し、除去し難いように調節し得る。
PEOの分子量がまた変化されてもよい。高分子量PEO(例えば、約4百万)がフィルムの粘膜接着性を増大するのに所望されるかもしれない。更に望ましくは、その分子量が約100,000から900,000まで、更に望ましくは約100,000から600,000まで、最も望ましくは約100,000から300,000までの範囲であってもよい。或る実施態様において、ポリマー成分中で高分子量(600,000〜900,000)PEOを低分子量(100,000〜300,000)PEOと合わせることが望ましいかもしれない。
例えば、或るフィルム特性、例えば、速い溶解速度及び高い耐引き裂き性が、少量の高分子量PEOを多量の低分子量PEOと合わせることにより得られるかもしれない。望ましくは、このような組成物はPEO-ブレンドポリマー成分中に約60%以上のレベルの低分子量PEOを含む。
接着防止、速い溶解速度、及び良好な耐引き裂き性の性質をバランスさせるために、望ましいフィルム組成物は必要により少量の高分子量PEOと組み合わせて、約50%〜75%の低分子量PEOを含んでもよく、ポリマー成分の残部は親水性セルロースポリマー(HPC又はHPMC)及び/又はポリデキストロースを含んでもよい。
【0032】
制御放出フィルム
“制御放出”という用語は前もって選ばれた速度又は所望の速度での局所薬剤の放出を意味することが意図されている。例えば、局所薬剤が薬物である実施態様において、フィルムからのその放出を制御することが望ましいかもしれない。この速度は適用に応じて変化するであろう。望ましい速度として、速い又は瞬時の放出プロフィールだけでなく、遅延放出、持続放出又は連続放出が挙げられる。放出パターンの組み合わせ、例えば、初期の押さえられた(spiked)放出続いて低レベルの活性物質の持続放出が意図されている。局所薬剤のパルス化放出がまた意図されている。
本発明のフィルムのために選ばれるポリマーはまた局所薬剤の制御された崩壊を可能にするように選ばれてもよい。これは経時にフィルムから放出される局所薬剤を混入する実質的に水不溶性のフィルムを用意することにより達成されるかもしれない。これは種々の異なる可溶性又は不溶性のポリマーを混入することにより達成されるかもしれず、また組み合わせて生分解性ポリマーを含んでもよい。また、被覆された制御放出局所薬剤粒子が容易に可溶性のフィルムマトリックスに混入されて薬剤の制御放出性を得てもよい。
規則的な間隔の幾つかの単一用量の投与とは反対の、時間の延長された期間にわたって制御された様式で局所成分を放出する単一用量の薬物の投与の便宜が医薬業界で長きにわたって認められていた。時間の延長された期間にわたって生体に送達される一貫した、かつ一様なレベルの薬物を有することの患者及び臨床医にとっての利点が同様に認められている。
本発明に使用される局所薬剤は制御放出形態の本発明のフィルム組成物に混入されてもよい。例えば、薬物の粒子がポリマー、例えば、エチルセルロース又はポリメタクリレート(これらは夫々アクアコートECD及びユードラジットE-100の如きブランド名で市販されている)で被覆されてもよい。薬物の溶液がまたこのようなポリマー材料に吸収され、本発明のフィルム組成物に混入されてもよい。その他の成分がまたこのような制御放出組成物中に使用されてもよい。
【0033】
局所薬剤
局所薬剤がフィルムに導入される場合、単位面積当りの局所薬剤の量はフィルムの一様な分布により決められる。例えば、フィルムが個々の単位に切断される場合、単位中の局所薬剤の量は多大の正確さで知られる。これは所定の面積当りの局所薬剤の量がフィルムの別の部分の同じ寸法の面積中の局所薬剤の量と実質的に同じであるので達成される。用量の正確さは局所薬物が医薬品、即ち、薬物である場合に特に有利である。
本発明のフィルムに混入し得る局所薬剤として、医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に使用される化粧医薬は化粧品であるが、使用者に効果を有する生物活性成分を含む製品を表す。本明細書に使用される栄養医薬は、食物から単離又は精製され、食物と通常関連しない医療形態で販売され、生理学的利益を有し、又は疾患に対する保護を与えることが実証されている製品を表す。栄養医薬品の例として、ベータ-カロテン及びリコペンが挙げられる。
本明細書に使用されるように、局所薬剤は特別な表面領域、例えば、皮膚又は粘膜組織の或る領域(これらに限定されない)に適用し得る薬剤に関する。フィルムは局所成分をそれを必要とする特別な表面領域に運ぶための送達系として使用される。
或る実施態様において、ポリマーフィルムは少なくとも一種の水溶性ポリマーを含むことが望ましい。或るその他の実施態様において、フィルムは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーの両方の組み合わせを含む。湿潤された場合、乾燥フィルム製品が少なくとも部分的に可溶化する。本発明のフィルム製品を湿潤剤と接触させることは局所薬剤がフィルムから溶解又は分散されることを可能にする。湿潤剤は水の如き、極性溶媒であってもよい。溶解又は分散された局所薬剤はその後に皮膚領域の如き、特別な表面領域に容易に適用されてもよい。
湿潤剤は皮膚及び傷を含む、支持体表面に置かれてもよく、フィルムが湿潤された表面に置かれてもよい。また、フィルムが皮膚及び傷を含む、支持体表面に置かれてもよく、続いて水和されてもよい。
【0034】
湿潤剤は容器から供給(dispense)されてもよく、その容器はフィルムから離れており、又はそれに固定される。例えば、容器が湿潤剤を含むポンプびん又はシールされたチューブであってもよい。
また、容器は湿潤剤を含むシールされた、破断可能なパウチであってもよい。このようなパウチはフィルムから離れていてもよく、又はそれに固定されてもよい。パウチが破断される場合、湿潤剤がフィルムと直接に接触されて局所薬剤をフィルムから溶解又は分散させ、それにより局所薬剤が支持体表面に適用し得る。
フィルムは溶媒を含む容器と皮膚及び傷を含む、支持体表面の間に介在されてもよい。また、フィルムは溶媒を含む容器とアプリケーターの間に介在されてもよい。
例えば、或る実施態様において、局所薬剤を適用するのに有益な系は局所薬剤を含む水溶性ポリマーフィルム、溶媒(これは容器中に存在してもよい)、及び局所薬剤を支持体表面に適用するためのアプリケーターを含む。或る実施態様において、アプリケーターがスポンジアプリケーターである。フィルムが湿潤されたスポンジアプリケーターの上に置かれて(deposited)もよい。また、フィルムが乾燥スポンジアプリケーターの上に置かれてもよく、続いてこれが湿潤される。
以下に更に記載されるように、或る実施態様において、本発明のフィルムの製造方法は水溶性の、サッカリドをベースとするポリマー、極性溶媒及び局所薬剤を合わせて非自己凝集性の一様な不均質性を有する湿った材料又はマトリックスを生成することを伴う。或る実施態様において、水溶性ポリマーのブレンド、例えば、少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマー及びポリエチレンオキサイドが使用される。湿った材料又はマトリックスがその後にフィルムに成形され、制御された様式で乾燥される。或る実施態様において、局所薬剤は、ポリマー及び極性溶媒と合わされた場合には、液体、固体又はゲルの形態である。
【0035】
局所薬剤が溶媒中の一種以上の水溶性ポリマーと合わされる場合、生成される材料の型は局所薬剤及び一種以上のポリマーの溶解性に依存する。薬剤及び/又は一種以上のポリマーが選ばれた溶媒に可溶性である場合、これは溶液を生成してもよい。しかしながら、成分が可溶性ではない場合、生成される材料はエマルション、コロイド、又は懸濁液として分類されるかもしれない。
或る実施態様において、局所薬剤がパーソナルケア薬剤である。局所薬剤がまた医療薬であってもよい。
本発明のフィルム中に含まれてもよい好適な局所薬剤の例として、石鹸、ボディ洗剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、保湿剤、腋の下の消臭剤及び/又は発汗防止剤、シェービングクリーム又はゲル、日焼け止め剤、及び虫除け剤が挙げられるが、これらに限定されない。
局所薬剤はまたタンパク質及び/又はペプチドであってもよい。例えば、或る実施態様において、局所薬剤がコラーゲン、エラスチン又はこれらの組み合わせであってもよい。
局所適用に好ましい或る種の医療薬に関して、これらとして、にきび治療薬、抗菌剤(例えば、抗生物質)、ホルモン、乗り物酔いを予防するための薬剤、及び麻酔薬が挙げられるが、これらに限定されない。
或る実施態様において、ナノ粒子サイズ、例えば、約500nm未満の医療薬が、水溶性ポリマー組成物と合わされて本発明の自己支持性フィルムを形成してもよい。或るその他の実施態様において、ナノ粒子サイズ、例えば、好ましくは約200nm未満の医療薬が、水溶性ポリマー組成物と合わされて本発明の自己支持性フィルムを形成してもよい。
多種の薬物、生物活性物質及び医薬組成物が本発明の投薬形態に含まれてもよい。有益な薬物の例として、ace-インヒビター、アンチアンギーナ薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗コレステロール血薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗欝剤、抗糖尿病薬、抗下痢製剤、解毒薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗炎症薬、抗脂質薬、抗躁病剤、抗嘔吐薬、抗卒中薬、抗甲状腺製剤、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、にきび薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗尿酸血薬、抗ウイルス薬、同化促進製剤、全身性及び非全身性の抗感染薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ薬、食欲刺激薬、生物学的応答改質薬、血液改質薬、骨代謝調節薬、心血管薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼインヒビター、避妊薬、うっ血除去薬、食事サプリメント、ドーパミン受容体アゴニスト、子宮内膜症措置薬、酵素、勃起不全治療薬、受胎薬、胃腸薬、同種療法治療薬、ホルモン、高カルシウム血及び低カルシウム血の措置薬、免疫モジュレーター、免疫抑制薬、偏頭痛製剤、乗り物酔い治療薬、筋肉弛緩剤、肥満措置薬、骨多孔症製剤、分娩促進薬、副交感神経遮断剤、副交感神経刺激剤、プロスタグランジン、精神治療薬、呼吸薬、鎮静薬、喫煙停止助剤、交感神経遮断剤、ふるえ製剤、尿道薬、血管拡張薬、便通薬、制酸薬、イオン交換樹脂、解熱薬、食欲抑制薬、去痰薬、抗不安薬、抗潰瘍薬、抗炎症物質、冠拡張薬、脳拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、刺激薬、抗高血圧薬、血管収縮剤、偏頭痛治療薬、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍薬、血液凝固阻止薬、抗血栓薬、催眠薬、制吐薬、抗吐き気薬、抗痙攣薬、神経筋薬、高血糖及び低血糖薬、甲状腺及び抗甲状腺製剤、利尿薬、抗痙攣薬、テリン(terine)弛緩薬、抗肥満薬、造血剤、抗喘息薬、咳抑制剤、粘液破壊薬、DNA及び遺伝子修飾薬、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
本発明における使用に意図されている医療活性成分の例として、制酸薬、H2-アンタゴニスト、及び鎮痛薬が挙げられる。例えば、制酸投薬は成分炭酸カルシウムを単独で、又は水酸化マグネシウム、及び/又は水酸化アルミニウムと組み合わせて使用して調製し得る。更に、制酸薬はH2-アンタゴニストと組み合わせて使用し得る。
鎮痛薬として、オピエート及びオピエート誘導体、例えば、オキシコドン(オキシコンチン(登録商標)として入手し得る)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、及びこれらの組み合わせ(必要によりカフェインを含んでもよい)が挙げられる。オピエートアゴニスト及びアンタゴニスト、例えば、ブペルモルヒネ及びナロキソンが本発明における使用のための薬物の更なる例である。
本発明における使用のためのその他の好ましい活性成分のためのその他の好ましい薬物として、抗下痢薬、例えば、イモジウムAD、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、充血除去剤、ビタミン、及び息フレッシュナーが挙げられる。風邪、痛み、発熱、咳、充血、鼻水及びアレルギーについて単独で、又は組み合わせて使用される普通の薬物、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、クロルフェニラミンマレエート、デキストロメトルファン、デキストロメトルファンHBr、フェニレフリンHCl、シュードエフェドリンHCl、ジフェンヒドラミン及びこれらの組み合わせ、例えば、デキストロメトルファンHBrとフェニレフリンHCl(トリアミニック(登録商標)として入手し得る)が本発明のフィルム組成物中に含まれてもよい。
【0037】
また、不安解消剤、例えば、アルプラゾラム(キサナックス(登録商標)として入手し得る)、抗精神病薬、例えば、クロゾピン(クロザリル(登録商標)として入手し得る)及びハロペリドール(ハルドール(登録商標)として入手し得る)、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、例えば、ジクロフェナックス(ボルタレン(登録商標)として入手し得る)及びエトドラック(ロジン(登録商標)として入手し得る)、抗ヒスタミン薬、例えば、ジフェンヒドラミンHCl(ベナドリル(登録商標)として入手し得る)、例えば、ロラタジン(クラリチン(登録商標)として入手し得る)、アステミゾール(ヒスマナールTMとして入手し得る)、ナブメトン(レラフェン(登録商標)として入手し得る)、ジフェニドラミンHCL(テラフル(登録商標)として入手し得る)及びクレマスチン(タビスト(登録商標)として入手し得る)、制吐剤、例えば、グラニセトロン塩酸塩(キトリル(登録商標)として入手し得る)及びナビロン(セサメットTMとして入手し得る)、気管支拡張薬、例えば、ベントリン(登録商標)、アルブテロール硫酸塩(プロベンチル(登録商標)として入手し得る)、抗欝薬、例えば、フルオキセチン塩酸塩(プロザック(登録商標)として入手し得る)、セルトラリン塩酸塩(ゾロフト(登録商標)として入手し得る)、及びパロクスチン塩酸塩(パキシル(登録商標)として入手し得る)、鎮咳薬、例えば、グアイフェンシン、抗偏頭痛薬、例えば、イミグラ(登録商標)、ACE-インヒビター、例えば、エナラプリラト(バソテック(登録商標)として入手し得る)、カプロプリル(カポテン(登録商標)として入手し得る)及びリシノプリル(ゼストリル(登録商標)として入手し得る)、抗アルツハイマー薬、例えば、ニセルゴリン、及びCaH-アンタゴニスト、例えば、ニフェジピン(プロカルジア(登録商標)及びアダラト(登録商標)として入手し得る)、及びベラパミル塩酸塩(カラン(登録商標)として入手し得る)、鎮静薬/催眠薬、例えば、ザレプロン(ソナタ(登録商標)として入手し得る)及びエスゾピクロン(ルネスタ(登録商標)として入手し得る)が本明細書における使用に意図されている。
【0038】
勃起不全治療薬として、ペニスへの血流を促進するための薬物、及び自律神経活性に影響するための薬物、例えば、副交感神経(コリン作動性)活性を増大し、交感神経(アドレナリン作動性)活性を低下する薬物が挙げられるが、これらに限定されない。有益な非限定薬物として、シルデナフィル、例えば、バイアグラ(登録商標)、タダラフィル、例えば、シアリス(登録商標)、バルデナフィル、アポモルヒネ、例えば、アップリマ(登録商標)、ヨヒムビン塩酸塩、例えば、アフロジン(登録商標)、及びアルプロスタジル、例えば、カベルジェクト(登録商標)が挙げられる。
本発明における使用に意図される好評のH2-アンタゴニストとして、シメチジン、ラニチジン塩酸塩、ファモチジン、ニザチジエン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン及びアセロキサチジンが挙げられる。
活性制酸薬成分として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムナトリウムカーボネート、重炭酸塩、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、亜炭酸ビスマス、亜没食子酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、ビスマスサブシリシレート、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸又は塩)、アミノ酢酸、水和マグネシウムアルミネートスルフェート、マガルドレート、アルミノケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシネート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、固形ミルク、一塩基性又は二塩基性リン酸アルミニウムカルシウム、リン酸三カルシウム、重炭酸カリウム、酒石酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、酒石酸及び塩。
【0039】
本発明に使用される医薬活性薬剤はアレルゲン又は抗原、例えば、草、樹木、又はブタクサからの植物花粉;動物のふけ(これらはネコ及びその他の柔毛をもつ動物の皮膚及び毛から抜け落ちたちいさなスケールである);昆虫、例えば、ハウスダストダニ、ミツバチ、及びハチ;並びに薬物、例えば、ペニシリンを含んでもよい。
酸化防止剤がまたフィルムに添加されて活性物質の分解を防止してもよい(特に活性物質が光感受性である場合)。
着色添加剤がフィルムを調製するのに使用し得る。このような着色添加剤として、食物、薬物及び化粧品の着色剤(FD&C)、薬物及び化粧品の着色剤(D&C)、又は外部の薬物及び化粧品の着色剤(Ext.D&C)が挙げられる。これらの着色剤は染料、それらの相当するレーキ、並びに或る種の天然着色剤及び誘導着色剤である。レーキは水酸化アルミニウムに吸収された染料である。
着色剤のその他の例として、既知のアゾ染料、有機又は無機顔料、或いは天然源の着色剤が挙げられる。無機顔料、例えば、鉄又はチタンの酸化物が好ましく、これらの酸化物は全成分の重量を基準として、約0.001%〜約10%、好ましくは約0.5%〜約3%の範囲の濃度で添加される。
更に、フレグランスがフィルムに含まれてもよい。これらは、例えば、植物、葉、花、果実及びこれらの組み合わせに由来するエキスを含んでもよい。
更なる局所薬剤
パーソナルケア薬剤及び医療薬剤に加えて、“局所薬剤”という用語は特別な表面領域に適用し得るあらゆる薬剤であってもよい。例えば、局所薬剤は洗浄を必要とする支持体に適用し得る洗剤であってもよい。一実施態様において、局所薬剤が皿洗剤であり、これはフィルムに混入され、乾燥されてもよい。湿潤された場合、皿洗剤はフィルムから分散され、皿又はその他の表面を洗浄するのに使用し得る。
【0040】
エマルション組成物の送達のためのフィルム
上記局所薬剤の幾つかはエマルション組成物として分類されてもよい。エマルションは典型的には2種の通常不混和性の液相の不均一混合物からなる液体であり、一種の液体がその他の液体中に懸濁された液滴を形成する。エマルション組成物として、皮膚ケアクリーム、日焼け止め剤、虫除け剤、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤(例えば、ヘア増粘剤)、或る種のシャンプー、及び医薬軟膏が挙げられるが、これらに限定されない。このような製品は伝統的に液体又は半固体(例えば、軟膏)として販売される。
液体/液体エマルションは流動性フィルムマトリックス中に捕捉し得ることが発見され、これは乾燥された場合に液体/液体エマルションを液体/固体エマルションに変換する。捕捉されたエマルションからの水の少なくとも一部がフィルムの乾燥中に蒸発されるかもしれない。得られる乾燥されたフィルム製品はその中に多数の不連続の親油性液滴を分散させた固体フィルムマトリックス(液滴が液体/液体エマルションから付着される)であってもよい。しかしながら、乾燥されたフィルムは容易に再水和されて水溶性マトリックスを溶解し、フィルムを水と接触させることによりエマルションを再生する。本明細書に使用される“親油性”という用語は脂質に対するアフィニティー又は吸引性を有することを意味する。
或る実施態様において、フィルムの乾燥中にフィルム内に捕捉された親油性液滴はその中に薬物を含んでもよい。乾燥されたフィルムが水で再水和される場合、薬物エマルションが生成され、これが局所適用されてもよい。
【0041】
或る実施態様において、本発明のエマルション組成物の調製方法は水をベースとするエマルションを用意し、水をベースとするエマルションを非水性乾燥エマルションに変換することを含み、その乾燥エマルションは自己支持性フィルムの形態である。その方法はフィルムを水性溶媒で溶解し、それにより水をベースとするエマルションを再生することを更に含む。
典型的なエマルションが成分を“乳化する”のにかなりの量の運動エネルギー、例えば、水性媒体中に油滴を生成するための重度の混合又はせん断を必要とする場合、本発明は非常に低いエネルギーインプットで、水との接触後にエマルションを容易に生成する製品を提供する。親油性液滴が既に生成され、水溶性マトリックス中に懸濁されるので、マトリックスが水との接触により一旦可溶化されると、その液滴が周囲の水中に容易に懸濁されるようになる。
親油性液滴は脂質に対するアフィニティーを有する顕微鏡的に不連続かつ別個の液滴であることが好ましい。例えば、親油性液滴は脂肪液滴、油滴、ワックス液滴、ステロール液滴、グリセリド液滴、又はこれらの組み合わせであってもよい。
本発明のフィルムは少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒(例えば、水)、及びエマルション組成物を含む組成物を調製することにより形成されてもよい。次いでフィルムが調製された組成物から形成され、フィルムは多数の親油性液滴がフィルム内に分散されるようになる方法により乾燥される。フィルムを形成するための好適な水溶性ポリマーは上記されたものと同じである。フィルムを調製するのに使用されるエマルション組成物は活性物質を含んでもよく、その結果、乾燥方法中に、活性物質を含む多数の親油性液滴がフィルム中に分散されるようになる。エマルションは、実際に、乾燥中に安定かつ無傷のままであり、水がフィルムを溶解するために逆に添加される場合に再生し得る。再生されたエマルションがその後に局所適用されてもよい。
本発明のフィルムは小さい薬物粒子、例えば、ナノ粒子の送達に特に良く適している。ナノ粒子は一般に1ミクロン未満の平均サイズを有する粒子であると理解される。典型的にはこれが平均直径サイズである。或る実施態様において、本発明のエマルションは親油性液滴(それら自体はフィルム内に捕捉され、適当な溶媒、例えば、水性媒体で再生される場合に放出し得る)内に捕捉すべき薬物粒子、例えば、ナノ粒子を含む。しかしながら、活性物質の存在は親油性液滴に限定される必要がないが、またフィルムのマトリックス中に含まれる。更に、一種以上の活性物質が存在してもよく、異なる活性物質が親油性液滴、同時にフィルムマトリックス中に含まれてもよい。
【0042】
本発明の別の局面において、液晶構造、例えば、米国特許第5,891,845号(これは参考として本明細書にそのまま含まれる)で使用されたものが、薬物を送達し、かつ/又はその放出を制御するのに使用されてもよい。これらの液晶構造がフィルム中に含まれてもよい。液晶構造は薬物及びフィルムの固溶体を含んでもよい。
いずれか一つの理論により束縛されたくないが、本発明において、フィルムレオロジーが乾燥中に迅速に変化し、その結果、エマルション(これは典型的には加熱され、水が蒸発される場合に分解するであろう)が、実際に依然として無傷であると考えられる。エマルション特性は、たとえ水の全てがフィルム乾燥方法中に蒸発される場合でさえも、実質的に維持される。水がフィルムに逆に添加される場合、エマルションが再生し、局所又は経口送達し得る。
或る実施態様において、乾燥方法はフィルムをエマルション組成物の転相温度よりも上の温度で加熱することを含む。エマルションの転相温度はエマルションが水/油エマルションから油/水エマルションに、又はその逆になる温度である。典型的には、水相を乾燥により水をベースとするエマルションから除去しようと試みた場合、エマルションが一つの相(即ち、油)に変わると予想するであろう。しかしながら、フィルムを本明細書に提供された方法に従って加熱することにより、油滴の融合が生じ得る前に油滴がフィルムに捕捉され、それによりその系はそのエマルションが水の不在下で丁度一つの相に変換した場合のエネルギー状態に対して高いエネルギー状態で安定化されることが可能になる。例えば、或る実施態様において、フィルムがフィルム中に多数の油滴を捕捉するためにエマルションの転相温度よりも上の温度で加熱される。或るその他の実施態様において、乾燥が約10分間〜約15分間にわたって行なわれる。
【0043】
本発明において、エマルションは多数の親油性液滴をその中に分散させた固体の水溶性ポリマーフィルムを用意し、水を添加してフィルムを溶解し、それによりエマルションを生成することにより調製されてもよい。エマルションはそれを必要とする表面、例えば、体表面に適用されてもよい。
本発明の更なる局面は水で再生可能なエマルション組成物の調製方法に関する。その方法は少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒、及びエマルション組成物を含む組成物を調製することを含む。その方法はその組成物を乾燥させて固体の水溶性ポリマーマトリックス内に分散された親油性液滴を含む乾燥エマルションを生成することを更に含む。上記のように、乾燥方法はエマルションの臨界転相温度よりも上の温度で加熱することを含んでもよい。或る実施態様において、乾燥エマルションは約10分間〜約15分間にわたって乾燥することにより生成される。
或る実施態様において、エマルションを適用するのに有益な系は水溶性ポリマーフィルムで分散された親油性液滴を含む乾燥エマルション、及びポリマーフィルムを溶解するための溶媒を含む。その溶媒は乾燥エマルションを再生させるための乾燥エマルションとの直接の接触のために用意され、それにより再生されたエマルションが皮膚及び傷を含む、支持体表面に適用し得る。溶媒はフィルムから離れ、又はそれに固定された容器中に存在してもよい。好適な容器として、ポンプびん、シールされたチューブ及びシールされた、破断可能なパウチが挙げられるが、これらに限定されない。
その系は必要により再生されたエマルションを支持体表面に適用するためのアプリケーターを含んでもよい。アプリケーターは、例えば、スポンジであってもよい。或る実施態様において、フィルムが湿潤されたスポンジアプリケーターの上部に置かれる。或るその他の実施態様において、フィルムが乾燥スポンジアプリケーターの上部に置かれ、これは続いて溶媒で湿潤された場合に、再生されたエマルションを適用するのに使用される。
フィルムは溶媒を含む容器と皮膚の領域の間に介在されてもよい。また、フィルムは溶媒を含む容器とアプリケーター、例えば、スポンジアプリケーターの間に介在されてもよい。
或る実施態様において、本発明のフィルムは医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質又は栄養医薬活性物質を送達するのに有益である。例えば、液体/液体エマルションから付着された親油性液滴が本明細書に記載された活性物質のいずれか、例えば、薬物、ビタミン、ミネラル、医療薬、薬草、植物性薬品、動物のエキス又は製品、化粧成分、化粧医薬品又は栄養医薬品を含んでもよい。或る実施態様において、活性物質が親油性液滴に可溶化される。或るその他の実施態様において、活性物質が親油性液滴中に懸濁される。
【0044】
共融組成物の送達のためのフィルム
本発明はまた共融組成物の分散液を送達するのに有益である、フィルム組成物を提供する。そのフィルム組成物は固体の水溶性ポリマーマトリックス、及びそのマトリックス内に分散された共融組成物の多数の液滴を含む。そのフィルム組成物は水に暴露された場合に共融組成物の分散液を生成する。本明細書に定義されるように、共融組成物はその成分のいずれよりも低い融点を有する2種以上の成分の混合物である。
或る実施態様において、共融組成物はプリロカインとリドカインの混合物である。共融組成物は下記の実施例に示されるように、リドカイン及びプリロカインのHCl塩からその場で(in situ)生成し得ることが発見された。特に、プリロカインのHCl塩がリドカインとの共融組成物を生成するのに必要とされるプリロカイン塩基を得るためにその場で水酸化ナトリウムで中和された。プリロカイン/リドカイン共融物が水の存在下でポリマーのブレンドと合わされて顕微鏡下で観察されるような共融油の分散液を含むフィルムを生じた。湿潤された場合、フィルムが溶解し、不透明に変わり、共融油が小さいエマルション型液滴として放出されていたことを示す。
用量
本発明のフィルム製品は広範囲の量の局所薬剤を収容することができる。フィルムは必要とされる用量が高いか、又は極めて低いかにもかかわらず正確な用量(フィルムのサイズ及び初期のポリマー/水組み合わせ中の局所薬剤の濃度により決められる)を与えることができる。それ故、フィルムに混入される局所薬剤の型に応じて、局所薬剤の量は約300mg程度、望ましくは約150mgまで高くてもよく、又はマイクログラム範囲程度に低くてもよく、或いはその間のいかなる量であってもよい。
本発明のフィルム製品及び方法は高い効力の、低用量局所薬剤に良く適している。これはフィルムの高度の一様性により達成される。それ故、低用量薬物、特に活性物質の一層強力なラセミ混合物が望ましい。
【0045】
消泡組成物及び脱泡組成物
消泡成分及び/又は脱泡成分がまた本発明のフィルムとともに使用されてもよい。これらの成分はフィルム形成組成物からの空気、例えば、閉じ込められた空気の除去を助ける。上記のように、このような閉じ込められた空気は非一様フィルムをもたらすかもしれない。シメチコンが一種の特に有益な消泡剤及び/又は脱泡剤である。しかしながら、本発明はこのように限定されず、その他の消泡剤及び/又は脱泡剤が使用されることが好適であるかもしれない。
シメチコンは一般に医療分野で乳児のガス又は仙痛の措置として使用される。シメチコンはトリメチルシロキシ末端ブロッキング単位で安定化されるポリジメチルシロキサンの反復単位を含む完全メチル化線状シロキサンポリマー、及び二酸化ケイ素の混合物である。それは通常90.5-99%のポリメチルシロキサン及び4-7%の二酸化ケイ素を含む。その混合物は水に不溶性である灰色の、半透明の、粘稠な液体である。
水に分散された場合、シメチコンは表面を横切って広がって、低表面張力の薄いフィルムを形成するであろう。このようにして、シメチコンは溶液中に位置された気泡、例えば、フォーム泡の表面張力を低下して、それらの崩壊を生じる。シメチコンの機能は水中の油及びアルコールの二重の作用を模擬する。例えば、油状溶液中で閉じ込められた気泡が表面に上昇し、一層迅速かつ容易に消失するであろう。何とならば、油状液体が水溶液と較べて軽い密度を有するからである。他方で、アルコール/水混合物が水密度を低下するだけでなく、水の表面張力を低下することが知られている。こうして、この混合物溶液内に閉じ込められた気泡がまた容易に消失されるであろう。シメチコン溶液はこれらの利点の両方を与える。それは水溶液内に閉じ込められた気泡の表面エネルギーを低下するだけでなく、水溶液の表面張力を低下する。この特異な機能の結果として、シメチコンは生物学的プロセス(胃中のアンチガス)だけでなく、製品からの気泡の除去を必要とする外部プロセスに使用し得る優れた消泡特性を有する。
本発明のフィルム中の気泡の形成を防止するために、混合工程が真空下で行ない得る。しかしながら、混合工程が完結され、フィルム溶液が通常の大気条件に戻されると直ぐに、空気が混合物に再導入され、又は混合物と接触されるであろう。多くの場合には、小さい気泡がこのポリマーの粘稠な溶液内に再度閉じ込められるであろう。フィルム形成組成物へのシメチコンの混入が気泡の形成を実質的に減少又は排除する。
シメチコンは約0.01重量%から約5.0重量%まで、更に望ましくは約0.05重量%から約2.5重量%まで、最も望ましくは約0.1重量%から約1.0重量%までの量で消泡剤としてフィルム形成混合物に添加されてもよい。
【0046】
任意の成分
種々のその他の成分及び充填剤がまた本発明のフィルムに添加されてもよい。これらは表面活性剤、混合物内の成分を相溶化することを助ける可塑剤、ポリアルコール、消泡剤、例えば、シリコーン含有化合物(これらは酸素をフィルムから放出することにより一層平滑なフィルム表面を促進する)、及び熱硬化性ゲル、例えば、ペクチン、カラゲナン、及びゼラチン(これらは成分の分散を維持することを助ける)を含んでもよいが、これらに限定されない。
本発明の組成物に混入し得る添加剤の種類は種々の異なる機能を与えてもよい。添加剤のクラスの例として、賦形剤、滑剤、緩衝剤、安定剤、発泡剤、顔料、着色剤、充填剤、増量剤、フレグランス、放出改質剤、アジュバント、可塑剤、流動促進剤、離型剤、ポリオール、造粒剤、希釈剤、バインダー、緩衝剤、吸収剤、グライダント、接着剤、粘着防止剤、酸味料、軟化剤、樹脂、粘滑薬、溶媒、表面活性剤、乳化剤、エラストマー及びこれらの混合物が挙げられる。これらの添加剤は一種以上の活性成分とともに添加されてもよい。
【0047】
有益な添加剤として、例えば、ゼラチン、植物タンパク質、例えば、ヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質、ピーナッツタンパク質、ブドウ実タンパク質、ホエータンパク質、ホエータンパク質分離物、血液タンパク質、卵タンパク質、アクリル化タンパク質、水溶性多糖、例えば、アルギン酸塩、カラゲナン、グアーガム、寒天、キサンタンガム、ゲランガム、アラビアガム及び関連ガム(ガッチガム、カラヤガム、トラガカントガム)、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースエステル及びヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えば、カルボキシメチルセルロース及びそれらのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えば、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニルコポリマー、及びポリクロトン酸が挙げられ、またフタレート化ゼラチン、ゼラチンスクシネート、架橋ゼラチン、セラック、澱粉の水溶性化学誘導体、カチオン変性アクリレート及びメタクリレート(例えば、三級又は四級アミノ基、例えば、ジエチルアミノエチル基を有する)(これらは所望により四級化されてもよい);並びに同様のポリマーが挙げられる。
【0048】
このようなエキステンダーは必要により望ましくは全成分の重量を基準として約80%まで、望ましくは約3%〜50%の範囲内、更に望ましくは3%〜20%の範囲内の所望の量で添加されてもよい。
更なる添加剤は望ましくは全成分の重量を基準として約0.02重量%〜約3重量%、望ましくは約0.02%〜約1%の濃度範囲の無機充填剤、例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン等の酸化物であってもよい。
添加剤の更なる例はポリマーの重量を基準として約0.5%から約30%までの範囲、望ましくは約0.5%から約20%の範囲の濃度で添加される、ポリアルキレンオキサイド、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、低分子量を有する有機可塑剤、例えば、グリセロール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート又はトリアセテート、トリアセチン、ポリソルベート、セチルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ジエチルスルホコハク酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル等を含む可塑剤である。
澱粉材料の流動性を改良するための化合物、例えば、動物又は植物の脂肪(望ましくはそれらの水素化形態の)、特に室温で固体であるものが更に添加されてもよい。これらの脂肪は50℃以上の融点を有することが望ましい。C12-、C14-、C16-、C18-、C20-及びC22-脂肪酸を含むトリ-グリセリドが好ましい。これらの脂肪はエキステンダー又は可塑剤を添加しないで単独で添加でき、単独で、又はモノ-及び/又はジ-グリセリド又はホスファチド、特にレシチンと一緒に有利に添加し得る。モノ-及びジ-グリセリドは上記された脂肪の型、即ち、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-及びC22-脂肪酸を含む脂肪から誘導されることが望ましい。
脂肪、モノ-、ジ-グリセリド及び/又はレシチンの合計使用量は全組成物の約5重量%まで、好ましくは約0.5重量%〜約2重量%の範囲内である。
【0049】
全組成物の約0.02重量%〜約1重量%の濃度の二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、又は二酸化チタンを添加することが更に有益である。これらの化合物は質感を与える薬剤として作用する。
これらの添加剤はそれらの意図される目的を達成するのに充分な量で使用されるべきである。一般に、これらの添加剤の或るものの組み合わせは活性成分の総合の放出プロフィールを変化し、放出を改質、即ち、遅延又は促進するのに使用し得る。
レシチンは本発明における使用のための一種の表面活性剤である。レシチンは約0.25重量%から約2.00重量%までの量で供給原料中に含まれる。その他の表面活性剤として、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、スパンズTM及びトゥイーンズTM(これらはICIアミリカズ社から市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。エトキシル化ヒマシ油、例えば、クレモフォー(登録商標)EL(これはBASFから市販されている)を含む、エトキシル化油がまた有益である。カルボワックスTMが本発明に非常に有益である更に別の改質剤である。トゥイーンズTM又は表面活性剤の組み合わせが所望の親水性-親油性バランス(“HLB”)を得るのに使用されてもよい。しかしながら、本発明は表面活性剤の使用を必要とせず、本発明のフィルム又はフィルム形成組成物は本発明の望ましい一様性特性を依然として与えつつ実質的に表面活性剤を含まなくてもよい。
本発明の操作及び製品を増進する付加的な改質剤が同定されるので、本件出願人はここに特許請求された発明の範囲内の全てのこのような付加的な改質剤を含むことを意図している。
その他の成分として、フィルムの形成の容易さ及び全般の品質に寄与するバインダーが挙げられる。バインダーの非限定例として、澱粉、前ゼラチン化澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、及びポリビニルアルコールが挙げられる。
更なる潜在的な添加剤として、溶解性を高める薬剤、例えば、活性成分と包接化合物を生成する物質が挙げられる。このような薬剤は非常に不溶性かつ/又は不安定な活性物質の性質を改良するのに有益であるかもしれない。一般に、これらの物質は疎水性内部キャビティ及び親水性外部を有するドーナッツ形分子である。不溶性かつ/又は不安定な活性物質が疎水性キャビティ内にフィットして、それにより包接錯体(これは水に可溶性である)を生成し得る。それ故、包接錯体の生成は非常に不溶性かつ/又は不安定な活性物質が水に溶解されることを可能にする。このような薬剤の特に望ましい例はシクロデキストリンであり、これらは澱粉から誘導された環状炭水化物である。しかしながら、その他の同様の物質が本発明の範囲内と考えられる。
【0050】
フィルムの形成
本発明のフィルムは乾燥の前にシートに成形される必要がある。所望の成分(ポリマー、水、及び所望の活性物質又はその他の成分を含む)が合わされて多成分マトリックスを形成した後、その組み合わせが当業界で知られているあらゆる方法、例えば、多成分マトリックスの押出、被覆、塗布、キャスティング又は圧伸成形により、シート又はフィルムに成形される。多層フィルムが所望される場合、これは成分の一つより多い組み合わせ(これは同じ組成又は異なる組成であってもよい)を同時押出することにより達成されてもよい。多層フィルムはまた既に形成されたフィルム層に組み合わせを被覆、塗布、又はキャスティングすることにより得られてもよい。
種々の異なるフィルム形成技術が使用されてもよいが、可撓性フィルムを与える方法、例えば、リバースロールコーティングを選ぶことが望ましい。フィルムの可撓性はフィルムのシートが貯蔵のために、又は個々の投与形態に切断される前にロールにかけられ、輸送されることを可能にする。望ましくは、フィルムはまた自己支持性(self-supporting)であり、又は換言すれば、別々の支持体の不在下でそれらの全体性(integrity)及び構造を維持することができる。更に、本発明のフィルムは食用、又は摂取できる材料から選ばれてもよい。
【0051】
フィルム組成物のキャスティング
本発明は成分の実質的に一様な分布を有する自己支持性フィルムの製造方法を使用する。自己支持性フィルムは本明細書に説明された活性物質の送達に特に有益である。フィルムの製造方法はフィルム中に分布された成分の組成一様性を維持するように設計され、これは活性物質、例えば、医薬活性物質がフィルムに混入される場合に特に必要である。医薬の状況では、フィルムはそれが個々のフィルム投薬単位(夫々の投薬単位が投与される場合に適当な量の活性物質を有する)に分けられるように組成上一様であることが必須であり、その結果、規制認可が確実にし得る。
フィルムをつくるのに使用される一つの方法が米国特許出願第10/074,272号(これが参考として本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。この方法では、フィルムが熱空気流をフィルムに適用して流れの移行を防止し、かつ分子間力が凝集物又は団塊を生じることを防止し、それによりフィルム中の成分の組成の一様な分布を維持することにより粘弾性フィルムを迅速に形成し、その粘弾性フィルムを更に乾燥させて自己支持性フィルムを形成することにより調製される。
望ましくは、熱空気流がフィルムの下部に適用され、実質的に上部空気流はない。これはフィルムの深さがポリマースキン(これはフィルムの表面を分断し、非一様性をもたらすであろう)をフィルムの上表面に形成する前に乾燥されることを可能にする。乾燥された、自己支持性フィルムはその中に含まれる成分の分布、重量及び厚さの点で一様である。
フィルムは最初に熱空気流の適用の前に表面の上面に供給されてもよい。湿ったフィルムはその中に含まれる活性物質が分解する前の時間期間内に脱気されたマトリックスから形成されることが望ましい。次いで熱空気流が表面の下面に適用されてもよく、実質的に上部空気流がない。その方法は乾燥されたフィルムを等しい寸法及び組成上の構成の個々の投与単位に分ける工程を更に含んでもよい。熱空気流は乾燥中のフィルムの上表面よりも高速でフィルムの下表面に適用されてもよい。フィルムの上部を乾燥させるのに適用される熱空気流は表面波しわ又はスキンニングを生じるものよりも少ない。これはフィルムが充分に増粘されて体積一様性をロック-インすることを可能にするとともに、スキンのない表面中の水の蒸発を可能にする。
【0052】
その方法は食用水溶性ポリマー及び水のマスターバッチプレミックスを生成し、そのプレミックスを混合により脱気し、前もって決めている量の脱気されたプレミックスを少なくとも一つのミキサーに供給し、活性成分をミキサーに添加し、その成分を混合してその一様な分布を得る前工程を更に含んでもよい。その後に、湿ったフィルムが形成され、乾燥される。
被覆方法又はキャスティング方法が本発明のフィルムを形成する目的に特に有益である。特別な例として、特に多層フィルムが所望される場合、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬被覆、計量ロッド又はマイヤーバーコーティング、スロットダイ又は押出被覆、ギャップ又はナイフオーバーロールコーティング、エアーナイフコーティング、カーテンコーティング、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
ロールコーティング、又は更に特別にはリバースロールコーティングが、本発明のフィルムを形成する場合に特に所望される。この操作は得られるフィルムの優れた制御及び一様性を与え、これが本発明において所望される。この操作では、被覆材料が上部計量ロールとそれの下の適用ロールの間の間隙の正確なセッティングによりアプリケーターロールに計り取られる。被覆物が適用ロールに隣接する支持ロール付近を通過する際に、それが適用ロールから支持体に移される。3ロール方法及び4ロール方法の両方が普通である。
グラビアコーティング方法は被覆浴(これはロールの彫刻ドット又はラインを被覆材料で満たす)中を運転する彫刻ロールに頼る。ロールの過剰の被覆物がドクターブレードによりふきとられ、次いで被覆物が彫刻ロールと圧力ロールの間を通る際にそれが支持体に付着される。
【0053】
オフセットグラビアが普通であり、この場合、被覆物が中間ロールに付着され、その後に支持体に移る。
浸漬被覆の簡単な方法では、支持体が被覆物の浴(これは通常低粘度であり、支持体が現れる際に被覆物が浴に逆に流入することを可能にする)に浸漬される。
計量ロッドコーティング方法では、過剰の被覆物が浴ロールの上を通過する際にそれが支持体に付着される。ワイヤ巻き付け計量ロッド(時折マイヤーバーとして知られている)が、所望の量の被覆物が支持体に残ることを可能にする。その量はロッドに使用されるワイヤの直径により決められる。
スロットダイ方法では、被覆物がスロット中及び支持体上に重力により、又は圧力下で搾り出される。被覆物が100%の固体である場合、その方法が“押出”と称され、この場合には、ライン速度が押出の速度よりも頻繁に極めて速い。これは被覆物がスロットの幅よりもかなり薄いことを可能にする。
ギャップ又はナイフオーバーロール方法は被覆物が支持体(これはその後に“ナイフ”と支持ロールの間の“ギャップ”中を通過する)に適用されることに頼る。被覆物及び支持体が通過する際に、過剰が掻き取られる。
エアーナイフコーティングは被覆物が支持体に適用され、過剰がエアーナイフからの強力なジェットにより“吹き飛ばされる”操作である。この操作は水性被覆物に有益である。
カーテンコーティング方法では、ベース中にスロットを備えた浴が被覆物の連続カーテンが二つのコンベヤ間の間隙に落下することを可能にする。被覆すべき物体が制御された速度でコンベヤに沿って通され、こうしてその上面に被覆物を受け取る。
フィルム組成物の押出
別の実施態様において、本発明のフィルム製品はキャスティング方法ではなく、押出により形成されてもよい。押出は以下に説明されるように、ポリエチレンオキサイドをベースとするポリマー成分を含むフィルム組成物に特に有益である。例えば、一軸押出方法が本発明に従って使用されてもよい。このような押出方法によれば、圧力がポリマー溶融物中に蓄積し、その結果、それがダイにより押し出され、又は金型に射出されてもよい。
PEOポリマー成分を含むフィルム組成物を成形するために押出方法を使用することが特に望ましいかもしれない。これらの組成物はポリマー成分中にPEO又はPEOブレンドを含み、添加される可塑剤、及び/又は表面活性剤、並びにポリアルコールを実質的に含まなくてもよい。
組成物は約90℃以下の加工温度でシートとして押し出されてもよい。押出はフィルム組成物をロール又はダイにより搾り出して一様なマトリックスを得ることにより進行してもよい。押し出されたフィルム組成物はその後に当業者に知られているあらゆるメカニズムにより冷却される。例えば、冷却ロール、空冷床、又は水冷床が使用されてもよい。冷却工程はPEOポリマー成分を含むフィルム組成物に特に望ましい。何とならば、PEOが熱を保持する傾向があるからである。こうして成形されたシートが所望されるような種々の形状に成形し得る。
【0054】
フィルムの乾燥
乾燥工程はまたフィルム組成物の一様性を維持することに関して寄与因子である。制御された乾燥方法は増粘性組成物又は粘度が、例えば、ポリマーの選択により調節される組成物の不在下で、フィルム内の成分が凝集又は団塊する増大された傾向を有するかもしれない場合に特に重要である。正確な用量を含むフィルムを形成する別の方法(これは制御された乾燥方法を必要としないであろう)は、フィルムを前もって決めたウェルの上でキャストすることであろう。この方法では、成分が凝集するかもしれないが、これは隣接投与形態への活性成分の移行をもたらさないであろう。何とならば、夫々のウェルがそれ自体で投与単位を形成し得るからである。
制御され、又は迅速な乾燥方法が所望される場合、これは種々の方法によるかもしれない。熱の適用を必要とする方法を含む種々の方法が使用されてもよい。液体キャリヤーは湿ったフィルムで得られる、一様性、又は更に詳しくは、非自己凝集性の一様な不均質性が維持されるような様式でフィルムから除去される。
【0055】
望ましくは、フィルムがフィルムの下部からフィルムの上部へと乾燥される。望ましくは、空気流はその初期のセッティング期間(その間に固体の、粘弾性構造が形成される)中にフィルムの上部を横切って実質的に存在しない。これは乾燥方法の最初の数分、例えば、最初の約0.5分〜約4.0分以内に起こり得る。乾燥をこの様式で制御することは、フィルムの上表面の破壊及び再生(これは通常の乾燥方法から生じる)を防止する。これはフィルムを形成し、それを上面及び下面を有する表面の上面に置くことにより達成される。次いで、熱が初期にフィルムの下面に適用されて液体キャリヤーを蒸発し、又はそれ以外に除去するのに必要なエネルギーを与える。この様式で乾燥されたフィルムは空気乾燥フィルム、又は通常の乾燥手段により乾燥されたフィルムと較べて一層迅速かつ均等に乾燥する。最初に上部及び端部で乾燥する空気乾燥フィルムと対照的に、熱を下部に適用することにより乾燥されたフィルムは中央だけでなく、端部で同時に乾燥する。これはまた通常の手段により乾燥されたフィルムで生じる成分の沈降を防止する。
フィルムが乾燥される温度は約100℃以下、望ましくは約90℃以下、最も望ましくは約80℃以下である。
或る実施態様において、極性溶媒の重量は乾燥前のフィルムの少なくとも約30%である。或るその他の実施態様において、フィルムの乾燥は極性溶媒の重量%を約10%以下に減少する。乾燥は約10分以下以内に起こることが好ましい。
乾燥方法を制御する別の方法(これは単独で、又は先に開示されたその他の制御された方法と組み合わせて使用されてもよい)はフィルムが乾燥されている乾燥装置内の湿度を調節し、変更することを含む。この様式では、フィルムの上表面の早期乾燥が回避される。
更に、乾燥時間の長さは成分、そして特に風味油及び薬物の熱感受性及び揮発性で適切に制御され、即ち、バランスされることがまた発見された。エネルギー、温度並びにコンベヤの長さ及び速度の量がバランスされてこのような活性物質を収容し、最終フィルムの損失、分解又は非効率を最小にし得る。
【0056】
適当な乾燥方法の特別な例はMagoonにより開示された方法である。Magoonは詳しくは果実パルプを乾燥する方法に関する。しかしながら、本発明者らは薄いフィルムの調製に関してこの方法を採用した。
Magoonの方法及び装置は水の重要な性質に基づいている。水はその中及びその周囲の両方で伝導及び対流によりエネルギーを伝達するが、水は水の中及び水へとエネルギーを放射するにすぎない。それ故、Magoonの装置は果実パルプが置かれ、赤外線に透過性である表面を含む。その表面の下面は温度制御水浴と接触している。水浴温度は水の沸騰温度よりわずかに下の温度に調節されることが望ましい。湿った果実パルプが装置の表面に置かれる場合、これが“リフレクタンス・ウィンドウ”を生じる。これは赤外エネルギーがその表面のみを通って果実パルプにより占有された表面の領域に、しかも果実パルプが乾燥するまでにのみ放射することが許されることを意味する。Magoonの装置はフィルムの成分の凝集の実例を減少する有効な乾燥時間で本発明のフィルムを提供する。
乾燥方法を制御する別の方法はゾーン乾燥操作を伴う。ゾーン乾燥装置はその中に配置された一つ以上の乾燥ゾーンを有する連続ベルト乾燥トンネルを含んでもよい。夫々の乾燥ゾーンの条件は変化してもよく、例えば、温度及び湿度が選択的に選ばれてもよい。ゾーンを連続的に命令してステップアップされた乾燥効果を与えることが望ましいかもしれない。
ゾーン乾燥コンベヤの速度は連続であることが望ましい。また、その速度は所望のゾーンの条件へのフィルムの暴露を増加又は減少するために乾燥操作の特別な段階で変化されてもよい。連続又は変更を問わないで、ゾーン乾燥は表面スキンニングなしにフィルムを乾燥する。
【0057】
図9に示された、ゾーン乾燥装置100の実施態様によれば、フィルム110が連続ベルト120に供給されてもよく、これはフィルムを異なる乾燥ゾーン中に運ぶ。フィルムが通過する第一乾燥ゾーン101は温かく、かつ湿ったゾーンであってもよい。第二ゾーン102は一層熱く、かつ一層乾燥していてもよく、第三ゾーン103はまた熱く、かつ乾燥していてもよい。これらの異なるゾーンは連続、又は別々であってもよく、それらは図10にゾーン乾燥装置200により示されるように、別々にされていてもよく、その図には第一乾燥ゾーン201、第二乾燥ゾーン202及び第三乾燥ゾーン203が示されている。本発明のゾーン乾燥装置は、三つの乾燥ゾーンに限定されない。フィルムは、所望により、本発明の制御された乾燥効果を生じるために、熱レベル及び湿度レベルを変えた少ない、又は追加の乾燥ゾーン中を移動してもよい。
温度及び湿度を更に調節するために、乾燥ゾーンは不活性ガスの如き、追加の雰囲気条件を含んでもよい。ゾーン乾燥装置は、制御された乾燥が本発明に従って維持される限り、ゾーン乾燥操作中の追加のプロセス、例えば、噴霧プロセス及び積層プロセスを含むのに更に適していてもよい。
フィルムは初期に約500μmから約1,500μmまで、又は約20ミルから約60ミルまでの厚さを有してもよく、乾燥された場合には約3μmから約250μmまで、又は約0.1ミルから約10ミルまでの厚さを有する。或る実施態様において、フィルム製品は0.1ミルより大きい厚さを有する。或るその他の実施態様において、フィルム製品は約10ミル以下の厚さを有する。或る更なる実施態様において、フィルム製品は約0.5ミルから約5ミルまでの厚さを有する。望ましくは、乾燥されたフィルムは約2ミルから約8ミルまで、更に望ましくは、約3ミルから約6ミルまでの厚さを有するであろう。
【0058】
一様性についてのフィルムの試験
フィルム製造方法中の化学的かつ物理的一様性について本発明のフィルムを試験することは望ましいかもしれない。特に、フィルムのサンプルが除去され、種々のサンプル間のフィルム成分の一様性について試験されてもよい。フィルムの厚さ及び総合の外観がまた一様性についてチェックされてもよい。一様なフィルムが、特に安全性及び効力の理由のために医薬活性成分を含むフィルムについて所望される。
本発明に従って一様性を試験するための方法はフィルムを製造方法中に運搬することを含む。この方法は、とりわけ、フィルムを乾燥方法にかけ、フィルムを個々の投与単位に分け、かつ/又は用量を包装することを含んでもよい。フィルムが製造方法中に、例えば、コンベヤベルト装置で運搬される際に、それが幅方向に少なくとも一つの部分に切断される。その少なくとも一つの部分はあらゆるその他のフィルム部分から離れている反対端部を有する。例えば、フィルムがロールである場合、それは別々のサブロールに切断されてもよい。フィルムの切断は種々の方法、例えば、ナイフ、かみそり、レーザー、又はフィルムを切断するためのあらゆるその他の好適な手段により達成されてもよい。
【0059】
次いで切断フィルムが一つ以上の部分の中央を分断しないで、小片を一つ以上の部分の反対端部の夫々から除去することによりサンプリングされてもよい。中央の部分を無傷で残すことはフィルムの主要部分がフィルムの適合性を妨げないで、かつフィルム中にサンプル誘導ギャップを生じないで製造方法中に進行することを可能にする。それ故、フィルムが更に加工、例えば、包装される際に、用量を失うことの関心事が軽減される。更に、その方法中の切断部分又はサブ-ロールの完全性があやまった制御問題、例えば、片を失うことの警告のための警報停止のための更なるフィルム加工又は包装の中断の可能性を軽減することを助けるであろう。
端部の片、又はサンプリング部分が、一つ以上のフィルム部分から除去された後に、それらはサンプル間の成分の含量の一様性について試験されてもよい。フィルム片を調べ、試験するためのあらゆる通常の手段、例えば、目視検査、分析装置の使用、及び当業者に知られているあらゆるその他の好適な手段が使用されてもよい。試験結果がフィルムサンプル間の非一様性を示す場合、製造方法が変化されてもよい。これは時間及び費用を節減し得る。何とならば、その方法が全製造運転を完結する前に変化されてもよいからである。例えば、乾燥条件、混合条件、組成物の成分及び/又はフィルム粘度が変化されてもよい。乾燥条件の変化は、とりわけ、その温度、乾燥時間、水分レベル、及び乾燥機の位置決めを変化することを伴ってもよい。
更に、製造方法中のサンプリング及び試験の工程を繰り返すことが望ましいかもしれない。多くの間隔で試験することは一様なフィルム用量が連続的に製造されることを確実にするかもしれない。その方法の変化はサンプル間の非一様性を最小にするためにあらゆる段階で実施し得る。
【0060】
薄いフィルムの使用
本発明の薄いフィルムは多くの使用に良く適している。フィルムの成分の高度の一様性がそれらを医薬品を混入することに特に良く適しているようにする。更に、フィルムの構造中に使用されるポリマーはフィルムについての或る範囲の崩壊時間を可能にするために選ばれてもよい。フィルムが崩壊する時間の変化又は延長は活性物質が放出される速度についての制御を達成するかもしれず、これが持続放出送達系を可能にするかもしれない。加えて、フィルムは皮膚及びその他の体表面(粘膜を有するものを含む)への活性物質の投与のために使用されてもよい。
フィルムは活性物質を局所投与するのに使用されてもよい。これは、例えば、上記のようにフィルムを調製し、フィルムを哺乳類の皮膚表面に導入し、フィルムを湿潤することにより達成される。所望により、このフィルムは調製されて、第二層又は支持層(それからフィルムが使用、即ち、皮膚への適用の前に除去される)に接着されてもよい。接着剤がフィルムを支持体材料又は裏材料に取り付けるのに使用されてもよく、これらは当業界で知られているもののいずれかであってもよく、水溶性ではないことが好ましい。接着剤が使用される場合、それは活性物質の性質を変化しない接着剤であることが望ましいであろう。粘膜接着性組成物がまた有益である。フィルム組成物は多くの場合にそれら自体で粘膜接着剤として利用できる。
【0061】
本発明のフィルムはフィルムが湿潤された場合に迅速に溶解する傾向を利用する。活性物質はフィルムを本発明に従って調製し、それを液体に導入し、それを溶解させることにより液体に導入されてもよい。これは活性物質の液体投与形態(これはその後に局所適用されてもよい)を調製するのに使用されてもよい。
特別なフィルム形状又はサイズが好ましいかもしれない。それ故、フィルムはあらゆる所望の形状又はサイズに切断されてもよい。
本発明のフィルムはシールされた、空気及び水分抵抗性パッケージに包装されて局所活性物質を暴露酸化、加水分解、気化及び環境との相互作用から保護することが望ましい。図1を参照して、包装された医薬投薬単位10、例えば、局所医療薬が示されている。投薬単位10はパウチ中又は箔及び/又はプラスチックラミネートシート14の間に個々に包まれた夫々のフィルム12を含む。図2に示されるように、パウチ10、10'は引き裂き可能な、又は多孔の接合部16と一緒に結合し得る。パウチ10、10'は図5に示されるようにロール中に包装されてもよく、又は図3に示されているように積み重ねられてもよく、図4に示されるようにディスペンサー18中で販売されてもよい。ディスペンサーは意図される治療に典型的に規定された薬物の充分な供給を含んでもよいが、フィルム及び包装の薄さのために、錠剤、カプセル及び液体に使用される従来のびんよりも小さく、かつ便利である。
本発明のフィルムは水の如き、湿潤剤により、又は粘膜領域との接触により即時に溶解する。湿潤剤はフィルム内に含まれた局所活性薬剤がフィルムから溶解又は分散されることを可能にする。次いで局所薬剤が皮膚又はその他の特別な表面領域に容易に適用されてもよい。
望ましくは、一連のこのような単位投薬物が規定された養生法又は治療、例えば、10-90日供給に従って、特別な治療に応じて、一緒に包装される。個々のフィルムは裏材に包装され、使用のために剥がされる。
本発明の特徴及び利点が下記の実施例(これらは説明の目的のために示され、本発明を限定するものと何ら見なされるべきではない)により一層充分に示される。
【実施例】
【0062】
実施例1
フィルムベースへの皮膚ケアクリームの混入
本実施例はポリエチレンオキサイド/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(70/30)フィルムベースへの皮膚ケアクリームの混入に関する。この実施例で使用される皮膚ケアクリームはエマルション組成物である。得られるフィルムは溶解可能な皮膚ローションフィルム(22.38重量%の固形分)として有益であることがわかった。成分が以下に表A中に示される。
【0063】
表A

【0064】
1 ストックハウゼンから入手でき、3成分2.15g及び水1.2gを含む。
2 ファーマ・インターナショナル(コーラル・ガブルズ、フロリダ)から入手し得る。
表Aからの皮膚ケアクリーム及びソルビタンモノオレエートを蒸留水29.85gと合わせ、デグッサ1100ボウルに添加した。次いで、ポリエチレンオキサイド及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(表A)のブレンドをボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して成分の組み合わせを混合した。特に、成分を下記の表Bに示された増大する真空下で前もって設定した時間間隔にわたって125rpmで混合することにより溶液を調製した。
【0065】
表B

【0066】
6330のHDP面、6330の被覆面及び55#PS/1/5“IN”レリースペーパー(グリフ、フォールシングトン、PA)への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用してその溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって約3.50%の水分(HR73モイスチャー・アナライザー)まで乾燥させた。フィルムが全ての支持体から容易に離れた。
得られるフィルムは2.8ミルの厚さを有し、良好な耐引き裂き性を有し、引っ張られた場合に充分な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。
フィルムの片は、手の中で水で湿潤された場合に、容易に溶解し、皮膚に容易に広がる皮膚ケアクリームを残した。フィルムが水と接触した場合、エマルションが再生した。
本実施例は溶解可能な皮膚ローションフィルムを調製することの実現可能性を実証する。フィルムを1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)のストリップに切断し、これらは夫々148mgの重量であり、フィルムの組成の一様性を実証した。
実施例2
フィルムベースへの日焼け止め剤の混入
本実施例はポリエチレンオキサイド/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(70/30)フィルムベースへの日焼け止め剤の混入に関する。この実施例に使用された日焼け止め剤はエマルション組成物である。得られるフィルムは溶解可能な日焼け止め剤ローションフィルム(22重量%の固形分)として有益であることがわかった。フィルムの成分が以下に表Cに示される。
【0067】
表C

【0068】
3 活性物質1.76g(20%)及びその他の成分、並びに水0.16gを含むブルー・リザード日焼け止め剤
表Cからの日焼け止め剤及びソルビタンモノオレエートを蒸留水31.04gと合わせ、デグッサ1100ボウルに添加した。次いで、ポリエチレンオキサイド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのブレンドをボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを実施例1の表Bに記載されたのと同じ条件下で使用して成分の組み合わせを混合した。
6330のHDP面への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間乾燥させた。フィルムは2.94%の水分(HR73モイスチャー・アナライザー)を有していた。
得られるフィルムは3ミルの厚さを有し、表面上に若干のまだらを示し、カーリングを示し、良好な耐引き裂き性を有し、6330のHDP面からの5のフィルム接着等級を有していた。それはまた引っ張られた場合に充分な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。フィルムを1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)の片に切断し、夫々152mgの重量であった。
フィルムの片は、手の中で湿潤された場合に、容易に溶解し、日焼け止め剤を残し、これは皮膚に容易に広がった。特に、フィルムが水で溶解された場合、日焼け止め剤エマルションが再生した。
実施例3
フィルムベースへの抗菌性手洗い石鹸の混入
本実施例は溶解可能な石鹸フィルム(22重量%の固形分)としての使用のためのポリエチレンオキサイド/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(70/30)フィルムベースへの抗菌性石鹸(エクエート銘柄)の混入に関する。フィルムの成分が以下に表D中に示される。
【0069】
表D

【0070】
4 活性物質1.32g(15%)及びその他の成分、並びに水8.3gを含むエクエート銘柄
抗菌性石鹸及びソルビタンモノオレエートをデグッサ1100ボウル中で蒸留水22.9gと合わせた。次いで、ポリエチレンオキサイド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのブレンドをボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを下記の表Eに示された条件下で使用して成分の組み合わせを混合した。
【0071】
表E

【0072】
6330のHDP面、6330の被覆面、及び55#PS/1/5“IN”レリースペーパー(グリフ)への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって約1.60%の水分(HR73モイスチャー・アナライザー)まで乾燥させた。
得られるフィルムは4.5ミルの厚さを有し、6330のHDP面からの6のフィルム接着等級を有し、全ての支持体からゆるくなった。それはまた適度の耐引き裂き性を有し、引っ張られた場合に適当な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。フィルムの1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)の片は150mgの重量であった。
フィルムの片は、手の中で湿潤された場合に、かなり良く溶解し、皮膚の上であわだつ石鹸を残した。
実施例4
フィルムベースへのシャンプーの混入
本実施例はポリエチレンオキサイド/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(70/30)フィルムベースへのシャンプーの混入に関する。この実施例で使用されたシャンプーはエマルション組成物である。得られるフィルムは溶解可能なシャンプーフィルムストリップ(22重量%の固形分)として有益であるとわかった。フィルムの成分が以下に表F中に示される。
【0073】
表F

【0074】
5 活性物質1.76 g(20%の固形分)及びその他の成分、並びに水5.94gを含むロリール・パリ・ビブ・ヌトリ・モイスチャー・シャンプー
メントール成分及び蒸留水25.26gをデグッサ1100ボウルに入れた。次いで、ポリエチレンオキサイド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのブレンドをボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して溶液を下記の表Gに記載されたように調製した。
【0075】
表G

【0076】
表G中の4分の混合間隔後に、シャンプーを溶液に添加し、混合が真空(28Hg)下で、100rpmで更に4分間続いた。6330のHDP面への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって乾燥させた。フィルム中の含水量は2.82%(HR73=モイスチャー・アナライザー)であった。
フィルムは3.4ミルの厚さを有し、6330のHDP面からの5のフィルム接着性を有していた。それはまた適度の耐引き裂き性を有し、引っ張られた場合に良好な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)のストリップは162mgの重量であった。手の中で湿潤された場合に、このストリップはかなり良く溶解し、あわだつシャンプーを残した。特に、フィルムを水で溶解した場合、エマルションが再生した。
実施例5A
フィルムベースへの液体皿洗剤の混入(25%の固形分)
本実施例では、液体皿石鹸をポリエチレンオキサイド/ポリデキストロース(80/20)フィルムベースに混入する。溶解可能な石鹸フィルムストリップは25重量%の固形分を含んでいた。フィルムの成分が以下に表H中に示される。
【0077】
表H

【0078】
6テート・ライルから入手し得る、ステイ-ライトIII銘柄
7 活性物質2g及びその他の成分、並びに水0.92gを含むダウン・ウルトラ濃縮皿液体
ポリエチレンオキサイド及びポリデキストロースのブレンドを蒸留水29.08gとともにデグッサ1100ボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して溶液を下記の表Iに記載されたように調製した。
【0079】
表I

【0080】
表I中の4分の混合間隔後に、液体皿洗剤成分をボウルに添加し、混合が真空(28Hg)下で、125rpmで更に4分間続いた。
6330のHDP面及び被覆面への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって乾燥させた。フィルムは3.85%(HR73モイスチャー・アナライザー)の含水量を有していた。
フィルムは3ミルの厚さを有し、6330のHDP面からの4のフィルム接着等級を有し、良好な耐引き裂き性を有していた。それはまた引っ張られた場合に適当な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。フィルムの1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)のストリップは168mgの重量であった。フィルムストリップは水に容易に溶解し、泡立った石鹸水を生じた。しかしながら、石鹸レベルは充分ではなかった。それ故、一層高いレベルの石鹸が必要とされるであろう。以下に実施例5Bに示されるように、一層高いレベルの石鹸を同フィルムベースに混入することが溶解可能な皿洗剤フィルムとして有益であるとわかったフィルムを生じた。
実施例5B
フィルムベースへの濃縮液体皿洗剤の混入(35%の固形分)
本実施例はポリエチレンオキサイド/ポリデキストロース(80/20)フィルムベースへの濃縮液体皿洗剤の混入に関する。得られるフィルムは溶解可能な皿洗剤フィルム(35重量%の固形分)として有益であるとわかった。フィルムの成分が以下に表J中に示される。
【0081】
表J

【0082】
6テート・ライルから入手し得る、ステイ-ライトIII銘柄
7 活性物質8.75g及びその他の成分、並びに水5.75gを含むダウン・ウルトラ濃縮皿液体
蒸留水(26.75g)をデグッサ1100ボウルに入れた。次いで、ポリエチレンオキサイド及びポリデキストロースのブレンドをそのボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して、溶液を下記の表Kに記載されたように調製した。
【0083】
表K

【0084】
表K中に示された4分の混合の間隔後に、液体皿洗剤成分をボウルに添加し、混合が真空(24Hg)下で100rpmで更に2分間続いた。
6330のHDP面への500ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって乾燥させた。フィルム中の含水量は4.78%(HR73モイスチャー・アナライザー)であった。
フィルムは6330のHDP面からの9のフィルム接着等級を有し、優れた耐引き裂き性を有し、引っ張られた場合に適当な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。フィルムの4インチx2.75インチ(10cm x 7.0cm)のストリップは5.79mgの重量であった。フィルムストリップは水と接触した場合に容易に溶解し、皿洗浄に充分な泡立ちを示した。
実施例6
フィルムベースへの更なる抗菌性手洗い石鹸の混入
本実施例はポリエチレンオキサイド/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(70/30)フィルムベースへの抗菌性手洗い石鹸の混入に関する。フィルムは溶解可能な手洗い石鹸フィルム(22重量%の固形分)として使用される。フィルムの成分が以下に表L中に示される。
【0085】
表L

【0086】
7 活性物質1.76g(20%)及びその他の成分、並びに水1.1gを含むウルトラ・ダウン抗菌性手洗い石鹸
メントール及び蒸留水30.1gをデグッサ1100ボウルに入れた。次いで、ポリエチレンオキサイド及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのブレンドをそのボウルに添加した。
デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して溶液を表Mに記載されたように調製した。
【0087】
表M

【0088】
表M中に示された4分の混合間隔後に、抗菌性手洗い石鹸を添加し、混合が28Hgにおける真空下で100rpmで更に4分間続いた。
6330のHDP面、及び6330の被覆面への450ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で15分間にわたって乾燥させた。フィルム中の含水率は2.6%(HR73モイスチャー・アナライザー)であった。
フィルムは3ミルの厚さを有し、両方の支持体からゆるくなり、6330のHDP面からの5のフィルム接着等級を有し、適度の耐引き裂き性を有していた。それはまた引っ張られた場合に良好な強度を有し、粘着性ではなく、水分アナライザーからの180°曲げ試験に合格した。1.5インチx2.5インチ(3.8cm x 6.4cm)のストリップは153mgの重量であった。
手の中で湿潤された場合に、フィルムはでこぼこになり、異なるフィルムベースが手洗い石鹸に必要とされることを示した。
実施例7
フィルムベースへの麻酔薬の混入
本実施例は110mgのストリップ中の50mgの用量レベルでのPEO/ヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポリデキストロース(70/10/20)フィルムベースへのプリロカイン/リドカイン(50/50)共融物の混入に関する。共融油の液滴をフィルムの乾燥中にフィルムベース中に捕捉する。フィルムベースは、湿潤された場合に、プリロカイン/リドカイン共融物の分散液として有益である。プリロカイン/リドカイン共融物は室温で油であり、それ故、相当する塩形態よりも良好な皮膚浸透を可能にする。
フィルムの成分が以下に表N中に示される。
【0089】
表N

【0090】
リドカインとの共融物を生成するのに必要とされるプリロカイン塩基を得るために、プリロカインのHCl塩を以下に更に詳しく記載されるように下記の反応(これはその場で行なわれた)に従ってNaOHで中和した。
プリロカインHCl+NaOH→プリロカイン+NaCl+H2O
フィルム製品をつくるのに使用した操作が今記載される。蒸留水(29.29g)を最初にデグッサ1100ボウルに添加した。次いで、プリロカインHCl 4.636g、20%のNaOH溶液(NaOH0.722g及び水2.88gを含む)3.61g及びリドカイン3.977gを、記載された順序でボウルに添加した。続いて、メントール0.17g並びにポリエチレンオキサイド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリデキストロースのブレンドをボウルに添加した。デグッサ・デンタル・マルチバク・コンパクトを使用して成分の組み合わせを下記の表Oに示された条件下で混合した。
【0091】
表O

【0092】
6330のHDP面への550ミクロンで設定されたマイクロメーター調節可能くさびバーを備えたK-コントロール・コーターを使用して得られる溶液をフィルムにキャストした。フィルムを80℃のエアーオーブン中で17分間にわたって約2.83%の水分まで乾燥させた。フィルムを1.25インチx1インチ(3.2cm x 2.5cm)のストリップに切断し、これらは107mgの重量であった。
得られるフィルムは顕微鏡下で観察して、共融油の分散液を含む乾燥フィルムであった。この観察は更に以下に記載されるように、水がフィルムに添加された時になされた。
乾燥フィルムは優れた耐引き裂き性を有し、ほんのわずかに粘着性であり、引っ張られた場合に適当な強度を有していた。それはまた6330のHDPから6のフィルム接着等級を有し、ダイで満足に切断された。
皮膚が湿潤され、フィルムが湿潤された皮膚に置かれた場合、フィルムが溶解し始め、不透明に変わり、共融油が小さいエマルション型液滴として放出されていることを示した。放出された油がフィルムの不透明度の減少により示されるように、皮膚に経時吸収された。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の単位投与フィルムを含むパッケージの側面図を示す。
【図2】引き裂き可能な孔あけにより分離された、本発明の個々の単位投与形態を含む二つの隣接して結合されたパッケージの平面図を示す。
【図3】積み重ねられた形態で配置された図2の隣接して結合されたパッケージの側面図を示す。
【図4】包装された単位投与形態を分配するためのディスペンサーの斜視図を示し、ディスペンサーが積み重ねられた形態の包装された単位投与形態を含む。
【図5】本発明の結合された単位投与パッケージのロールの略図である。
【図6】プレミックスの調製、活性物質の添加、及びその後のフィルムの形成に適した装置の略図である。
【図7】本発明のフィルムを乾燥するのに適した装置の略図である。
【図8】本発明の乾燥方法の連続表示である。
【図9】本発明の連続結合されたゾーン乾燥装置の略図である。
【図10】本発明の分離ゾーン乾燥装置の略図である。
【符号の説明】
【0094】
1、12、42、110−フィルム
10−パウチ
14−シート
16−接合部
18−ディスペンサー
20−プレミックスの調製、活性物質の添加、及びその後のフィルムの形成に適した装置
22−マスターバッチ
24−マスターバッチ供給タンク
26−第一計量ポンプ
28−制御弁
30−第一ミキサー
32−開口部
34−第二計量ポンプ
36−パン
38−計量ロール
44−支持体
46−支持ロール
50−乾燥装置
52−入口端部
56−空気デフレクター
58−チャンバー部分
62−出口端部
100、200−ゾーン乾燥装置
120−連続ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) ポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、並びに
(ii) 局所薬剤
を含む自己支持性フィルム。
【請求項2】
フィルムが湿潤剤に暴露された場合に少なくとも部分的に溶解性である、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
フィルムが湿潤剤に暴露された場合に実質的に溶解性である、請求項1記載のフィルム。
【請求項4】
サッカリドをベースとするポリマーが少なくとも一種のセルロースポリマー、ポリデキストロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載のフィルム。
【請求項5】
サッカリドをベースとするポリマーがポリデキストロース、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、澱粉、ゼラチン及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1記載のフィルム。
【請求項6】
水溶性ポリマー組成物がヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせを含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項7】
水溶性ポリマー組成物がポリデキストロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせを含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項8】
水溶性ポリマー組成物がポリデキストロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリエチレンオキサイドの組み合わせを含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項9】
水溶性ポリマー組成物がポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた非サッカリドをベースとするポリマーを更に含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項10】
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた水不溶性ポリマーを更に含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項11】
フィルムが0.1ミルより大きい厚さを有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項12】
フィルムが約0.5ミル〜約5ミルの厚さを有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項13】
局所薬剤がパーソナルケア薬剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項14】
局所薬剤が医療薬である、請求項1記載のフィルム。
【請求項15】
局所薬剤が石鹸である、請求項1記載のフィルム。
【請求項16】
局所薬剤がボディ洗浄剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項17】
局所薬剤がヘアシャンプーである、請求項1記載のフィルム。
【請求項18】
局所薬剤がヘアコンディショナーである、請求項1記載のフィルム。
【請求項19】
局所薬剤がヘアスタイリング剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項20】
局所薬剤が保湿剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項21】
局所薬剤が腋の下の消臭剤及び/又は発汗防止剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項22】
局所薬剤がシェービングクリーム又はゲルである、請求項1記載のフィルム。
【請求項23】
局所薬剤が日焼け止め剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項24】
局所薬剤が虫除け剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項25】
局所薬剤が抗菌剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項26】
抗菌剤が抗生物質である、請求項25記載のフィルム。
【請求項27】
局所薬剤がにきび薬剤である、請求項1記載のフィルム。
【請求項28】
局所薬剤がホルモンである、請求項1記載のフィルム。
【請求項29】
局所薬剤が乗り物酔いの予防薬である、請求項1記載のフィルム。
【請求項30】
局所薬剤が麻酔薬である、請求項1記載のフィルム。
【請求項31】
麻酔薬がプリロカインとリドカインの組み合わせである、請求項30記載のフィルム。
【請求項32】
局所薬剤がタンパク質又はペプチドである、請求項1記載のフィルム。
【請求項33】
タンパク質がコラーゲン、エラスチン及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項32記載のフィルム。
【請求項34】
局所薬剤が医薬活性物質、化粧活性物質、医薬化粧活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項1記載のフィルム。
【請求項35】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) ヘアシャンプー
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項36】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) ヘアコンディショナー
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項37】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 日焼け止め剤
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項38】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 抗菌性手洗い石鹸
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項39】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 皿洗剤
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項40】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 虫除け剤
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項41】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 保湿クリーム
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項42】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) シェービングクリーム又はゲル
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項43】
(i) 少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、及び
(ii) 抗生物質
を含む実質的に溶解性の自己支持性フィルム。
【請求項44】
湿潤された場合に少なくとも部分的に溶解する、乾燥フィルムを用意する工程(そのフィルムは(i)ポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物、並びに(ii)局所薬剤を含む)、
フィルムを局所薬剤を溶解する湿潤剤と接触させる工程、及び
溶解された局所薬剤をそれを必要とする表面領域に適用する工程
を含む局所薬剤の送達方法。
【請求項45】
湿潤剤が極性溶媒である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
湿潤剤が水である、請求項44記載の方法。
【請求項47】
湿潤剤が容器から供給され、その容器がフィルムから離れており、又はフィルムに固定されている、請求項44記載の方法。
【請求項48】
局所薬剤を皮膚の領域に適用する、請求項44記載の方法。
【請求項49】
乾燥フィルムを皮膚の湿潤させた領域に置く、請求項44記載の方法。
【請求項50】
乾燥フィルムを皮膚の領域に置き、続いて湿潤剤と接触させる、請求項44記載の方法。
【請求項51】
局所薬剤を洗浄を要する支持体表面に適用する、請求項44記載の方法。
【請求項52】
局所薬剤がパーソナルケア剤である、請求項44記載の方法。
【請求項53】
局所薬剤が医療薬である、請求項44記載の方法。
【請求項54】
局所薬剤が日焼け止め剤、保湿剤、シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤、石鹸、虫除け剤、及びシェービングクリーム又はゲル、にきび治療薬、抗生物質、麻酔薬、ホルモン並びに腋の下の製品からなる群から選ばれる、請求項44記載の方法。
【請求項55】
サッカリドをベースとするポリマーが少なくとも一種のセルロースポリマー、ポリデキストロース及びこれらの組み合わせから選ばれる、請求項44記載の方法。
【請求項56】
サッカリドをベースとするポリマーがポリデキストロース、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、澱粉、ゼラチン及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項44記載の方法。
【請求項57】
水溶性ポリマー組成物がヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせを含む、請求項44記載の方法。
【請求項58】
水溶性ポリマー組成物がポリデキストロースとポリエチレンオキサイドの組み合わせを含む、請求項44記載の方法。
【請求項59】
水溶性ポリマー組成物がポリデキストロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びPEOの組み合わせを含む、請求項44記載の方法。
【請求項60】
乾燥フィルムが約0.5ミル〜約5ミルの厚さを有する、請求項44記載の方法。
【請求項61】
(a) 極性溶媒、局所薬剤、並びにポリエチレンオキサイド及び少なくとも一種のサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマー組成物を組み合わせて、前記成分の一様な分布を有する材料を生成する工程、
(b) 前記材料からフィルムを成形する工程、
(c) 上面及び下面を有する表面を用意する工程、
(d) フィルムをその表面の上面に供給する工程、
(e) 熱をその表面の下面に適用することによりフィルムを乾燥させる工程、及び
(f) 乾燥されたフィルムを個々のフィルム単位に分ける工程
を含む自己支持性フィルム単位の製造方法。
【請求項62】
組み合わせる工程が、組み合わされた成分を真空下で混合することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
材料をリバースロールコーティングによりフィルムに成形する、請求項61記載の方法。
【請求項64】
材料を押出によりフィルムに成形する、請求項61記載の方法。
【請求項65】
乾燥を約80℃の温度で行なう、請求項61記載の方法。
【請求項66】
乾燥を約10分間〜約15分間にわたって行なう、請求項61記載の方法。
【請求項67】
乾燥を温度制御空気オーブン中で行なう、請求項61記載の方法。
【請求項68】
個々の乾燥されたフィルム単位を包装する工程を更に含む、請求項61記載の方法。
【請求項69】
請求項1記載のフィルムの単位を含むディスペンサー。
【請求項70】
固体の水溶性ポリマーマトリックス、及び
前記マトリックス内に分散された多数の親油性液滴を含む組成物であって、
前記組成物が水に暴露された場合に液体/液体エマルションを生成する、組成物。
【請求項71】
ポリマーマトリックスがバイオポリマー、化学変性されたバイオポリマー及び合成ポリマーからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項72】
ポリマーマトリックスがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項73】
親油性液滴が活性物質を含む、請求項70記載の組成物。
【請求項74】
親油性液滴中に可溶化された活性物質を更に含む、請求項70記載の組成物。
【請求項75】
親油性液滴中に懸濁された活性物質を更に含む、請求項70記載の組成物。
【請求項76】
医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれた活性物質を更に含む、請求項70記載の組成物。
【請求項77】
親油性液滴がエマルション組成物から生成される、請求項70記載の組成物。
【請求項78】
エマルション組成物から生成された多数の不連続の親油性液滴をその中に分散した固体の水溶性ポリマーマトリックスを含む、液体/液体エマルションの送達のための自己支持性フィルム。
【請求項79】
ポリマーマトリックスがバイオポリマー、化学変性されたバイオポリマー及び合成ポリマーからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項78記載のフィルム。
【請求項80】
ポリマーマトリックスがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項78記載のフィルム。
【請求項81】
親油性液滴が活性物質を含む、請求項78記載のフィルム。
【請求項82】
活性物質が医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項81記載のフィルム。
【請求項83】
多数の親油性液滴をその中に分散した固体の水溶性ポリマーフィルムを用意する工程、及び
水を添加してフィルムを溶解し、それによりエマルションを生成する工程
を含むエマルションの調製方法。
【請求項84】
水溶性ポリマーフィルムがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項83記載の方法。
【請求項85】
親油性液滴が活性物質を含む、請求項83記載の方法。
【請求項86】
活性物質が医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項85記載の方法。
【請求項87】
少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒、及び活性物質を含むエマルション組成物を含む組成物を調製する工程、
調製された組成物からフィルムを成形する工程、
フィルムを、活性物質を含む多数の親油性液滴がフィルム内に分散されるようになるような工程により乾燥させる工程
を含む活性物質の送達のためのフィルムの調製方法。
【請求項88】
水溶性ポリマーがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項87記載の方法。
【請求項89】
極性溶媒が水である、請求項87記載の方法。
【請求項90】
エマルション組成物がシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、皮膚ケアクリーム、日焼け止め剤、虫除け剤及び医薬軟膏からなる群から選ばれる、請求項87記載の方法。
【請求項91】
活性物質が医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項87記載の方法。
【請求項92】
乾燥の工程がエマルションの臨界転相温度より上の温度で加熱することを含む、請求項87記載の方法。
【請求項93】
乾燥を約10分間〜約15分間にわたって行なう、請求項87記載の方法。
【請求項94】
少なくとも一種の水溶性ポリマー、極性溶媒、及びエマルション組成物を含む組成物を調製する工程、
その組成物を乾燥させて固体の水溶性ポリマーマトリックス内に分散された親油性液滴を含む乾燥エマルションを生成する工程
を含む、水再生可能なエマルション組成物の調製方法。
【請求項95】
水溶性ポリマーがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項94記載の方法。
【請求項96】
極性溶媒が水である、請求項94記載の方法。
【請求項97】
エマルション組成物がシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、皮膚ケアクリーム、日焼け止め剤、虫除け剤及び医薬軟膏からなる群から選ばれる、請求項94記載の方法。
【請求項98】
親油性液滴が活性物質を含む、請求項94記載の方法。
【請求項99】
活性物質が医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項98記載の方法。
【請求項100】
乾燥がエマルションの臨界転相温度より上の温度で加熱することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項101】
乾燥を約10分間〜約15分間にわたって行なう、請求項94記載の方法。
【請求項102】
エマルション組成物の送達方法であって、その方法が
多数の親油性液滴をその中に分散させた固体の水溶性ポリマーマトリックスを用意する工程、
そのポリマーマトリックスを湿潤剤に暴露してポリマーマトリックスを溶解し、それによりエマルションを生成する工程、及び
エマルションをそれを必要とする表面領域に適用する工程
を含む送達方法。
【請求項103】
エマルションがシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、皮膚ケアクリーム、日焼け止め剤、虫除け剤及び医薬軟膏からなる群から選ばれる、請求項102記載の方法。
【請求項104】
親油性液滴が活性物質を含む、請求項102記載の方法。
【請求項105】
活性物質が医薬活性物質、化粧活性物質、化粧医薬活性物質及び栄養医薬活性物質からなる群から選ばれる、請求項104記載の方法。
【請求項106】
ポリマーマトリックスがセルロースポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた水溶性ポリマーを含む、請求項102記載の方法。
【請求項107】
湿潤剤が水である、請求項102記載の方法。
【請求項108】
湿潤剤を容器から供給し、その容器がポリマーマトリックスから離れており、又はそれに固定されている、請求項102記載の方法。
【請求項109】
親油性液滴をエマルションから生成する、請求項102記載の方法。
【請求項110】
表面領域がボディ表面領域である、請求項102記載の方法。
【請求項111】
ポリマーマトリックスを皮膚の湿潤させた領域に置いてエマルションを生成する、請求項102記載の方法。
【請求項112】
ポリマーマトリックスを皮膚の領域に置き、続いて湿潤剤と接触させてエマルションを生成する、請求項102記載の方法。
【請求項113】
固体の水溶性ポリマーマトリックス、及び
前記マトリックス内に分散された共融組成物の多数の液滴
を含む組成物であって、
前記組成物が水に暴露された場合に共融組成物の分散液を生成する、組成物。
【請求項114】
共融組成物がプリロカインとリドカインの混合物を含む、請求項113記載の組成物。
【請求項115】
共融組成物がリドカイン及びプリロカインのHCl塩から現場で生成される、請求項113記載の組成物。
【請求項116】
ポリエチレンオキサイド及びサッカリドをベースとするポリマーを含む水溶性ポリマーフィルム中に含まれる局所薬剤、並びに
フィルムを溶解するための溶媒(その溶媒はフィルムとの直接の接触のために用意され、局所薬剤をフィルムから溶解又は分散させ、それにより局所薬剤がそれを必要とする表面領域に適用し得る)
を含む、局所薬剤を適用するための系。
【請求項117】
局所薬剤をそれを必要とする表面領域に適用するためのアプリケーターを更に含む、請求項116記載の系。
【請求項118】
アプリケーターがスポンジである、請求項117記載の系。
【請求項119】
フィルムが溶媒で湿潤されたスポンジアプリケーターの上部に置かれる、請求項117記載の系。
【請求項120】
フィルムが乾燥スポンジアプリケーター(これは続いて溶媒で湿潤された場合に、局所薬剤を適用するためである)の上部に置かれる、請求項117記載の系。
【請求項121】
溶媒が容器中にある、請求項116記載の系。
【請求項122】
容器がフィルムから離れている、請求項121記載の系。
【請求項123】
容器がフィルムに固定されている、請求項121記載の系。
【請求項124】
フィルムが溶媒を含む容器と皮膚の領域の間に介在させられる、請求項116記載の系。
【請求項125】
フィルムが溶媒を含む容器とスポンジアプリケーターの間に介在させられる、請求項117記載の系。
【請求項126】
水溶性ポリマーフィルム内に分散された親油性液滴を含む乾燥エマルション、及び
フィルムを溶解するための溶媒(その溶媒は乾燥エマルションとの直接の接触のために用意され、乾燥エマルションを再生させ、それにより再生されたエマルションがそれを必要とする表面領域に適用し得る)
を含む、エマルションを適用するための系。
【請求項127】
再生されたエマルションをそれを必要とする表面領域に適用するためのアプリケーターを更に含む、請求項126記載の系。
【請求項128】
アプリケーターがスポンジである、請求項127記載の系。
【請求項129】
フィルムが溶媒で湿潤されたスポンジアプリケーターの上部に置かれる、請求項127記載の系。
【請求項130】
フィルムが乾燥スポンジアプリケーター(これは続いて溶媒で湿潤された場合に、再生されたエマルションを適用するためである)の上部に置かれる、請求項127記載の系。
【請求項131】
溶媒が容器中にある、請求項126記載の系。
【請求項132】
容器がフィルムから離れている、請求項131記載の系。
【請求項133】
容器がフィルムに固定されている、請求項131記載の系。
【請求項134】
フィルムが溶媒を含む容器と皮膚の領域の間に介在させられる、請求項126記載の系。
【請求項135】
フィルムが溶媒を含む容器とスポンジアプリケーターの間に介在させられる、請求項127記載の系。
【請求項136】
(a) 水性エマルションを用意する工程、
(b) 水性エマルションを非水性乾燥エマルションに変換する工程(その乾燥エマルションは自己支持性フィルムの形態である)、及び
(c) フィルムを水性溶媒で溶解し、それにより水性エマルションを再生する工程
を含むエマルションの調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−518405(P2009−518405A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544421(P2008−544421)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046269
【国際公開番号】WO2007/067494
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(507026110)モノソル アールエックス リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】