説明

流体充填方法、流体噴射装置

【課題】流体噴射ヘッドのフィルタに気泡や固形分が溜まることを防止することができる流体充填方法、流体噴射装置を提供する。
【解決手段】流体噴射ヘッド34のノズル開口面までインクを導く流体流路Rにインクの異物を取り除くフィルタ121を備え、流体流路Rにインクを充填する方法において、インクを充填する際にインクに高周波微振動を印加することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体充填方法、流体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置は、流体を噴射可能な流体噴射ヘッドを備え、この流体噴射ヘッドから各種の流体を噴射する装置である。
従来、一般に、流体噴射ヘッドに流体を充填する装置及び方法としては、キャップをノズルに密着させて負圧を発生させて充填する装置及び方法か、又は流体タンクに正圧を加えて充填する装置及び方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、流体噴射ヘッドの流体導入路には、流体に含まれる異物を除去するためのメッシュ状のフィルタが配設されている。流体が上記フィルタを通過する前後においては、流体が泡立ち、その泡がフィルタにトラップされるため、フィルタの流体充填側に溜まってしまう。そして、気泡が残留したままであると、目的の基材へ流体を噴射する際に、気泡が流れ出して噴射量にムラなどが発生してしまう。
このため、流体の充填速度を0.2〜0.5ml/sec程度に設定して流体速度を大きくすることで、発生する気泡を小さくすることができ、気泡が溜まることを防止している。
【特許文献1】特開平11−48492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、固形分濃度が高い又は固形分比重が大きい流体や流体中の固形分の分散濃度と分散性が悪い流体(例えば、顔料インクや金属インク)を充填する場合に、上記のように流体速度を設定すると、流体中の固形分(顔料や金属の微粒子)がフィルタに付着したり、逆にその付着した固形分によって気泡が溜まったりしてしまう。このため、充填の際に気泡や付着物を排出するために、大量の流体を廃棄しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、流体噴射ヘッドのフィルタに気泡や固形分が溜まることを防止することができる流体充填方法、流体噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、流体噴射ヘッドのノズル開口面まで流体を導く流体流路に流体中の異物を取り除くフィルタを備え、その流体流路に流体を充填する方法において、その流体を充填する際に流体に高周波微振動を印加することを特徴とする。
【0007】
これにより、発生する気泡を破裂させて消滅又は小さくすることができる。また、流体の攪拌及びキャビテーション効果により、流体が含む顔料や金属の微粒子がフィルタ及び微小流路等に付着することを防止できる。さらに、キャビテーション効果により流体に溶存している気体を遊離したうえ気泡のサイズを小さくして排出することができる。
【0008】
また、キャップ部材とノズル開口面とを密着させつつキャップ部材とノズル開口面により形成される密閉空間に負圧を発生させて、流体を充填することを特徴とする。
これにより、流体がノズルから噴射されたとしても、流体はキャップ部内部に噴射されるため、流体充填中に流体が飛散するのを防止することができる。また、圧力を利用することにより、安定して流体を充填することができる。
【0009】
また、流体噴射ヘッドの流体導入口に連結される流体タンク内に正圧を加えて、流体を充填することを特徴とする。
これにより、流体の充填に圧力を利用するので、安定して流体を充填することができる。
【0010】
また、前記流体を0.1ml/sec以下の充填速度で充填することを特徴とする。
これにより、流体に含まれる固形分をフィルタに付着させず、フィルタの流動抵抗を変化させないため、安定して流体噴射ヘッドの流体流路に流体の充填をすることができる。
【0011】
また、高周波微振動は、流体噴射ヘッドが備える圧電振動子によって印加されることを特徴とする。
これにより、流体噴射の際に使用される圧電振動子を利用することができる。
【0012】
また、高周波微振動は、周波数が20kHz〜200kHzの範囲内で印加されることを特徴とする。
これにより、発生する気泡を効果的に破裂させることができる。さらに、流体の攪拌及びキャビテーション効果をより高めることができる。
【0013】
また、高周波微振動は、周波数が段階的に変化して印加されることを特徴とする。これにより、発生する気泡の大小に応じつつ効果的に気泡を破裂させることができる。
【0014】
また、流体は金属又は顔料を含むことを特徴とする。これにより、流体中の固形分が高い又は固形分比重が大きい流体であっても、流体噴射ヘッドの流体流路に安定して流体の充填をすることができる。
【0015】
第2の発明は、流体噴射ヘッドのノズル開口面まで流体を導く流体流路に流体中の異物を取り除くフィルタを備える流体噴射装置において、流体に高周波微振動を印加しつつ充填する流体充填処理部を有することを特徴とする。
【0016】
これにより、発生する気泡を破裂させて消滅又は小さくすることができる。また、流体の攪拌及びキャビテーション効果により、フィルタ及び微小流路等に対する流体が含む顔料や金属の微粒子の付着防止にも効果を挙げることができる。さらに、キャビテーション効果により流体に溶存している気体を遊離したうえ気泡のサイズを小さくして排出することができる。
【0017】
流体充填処理部は、流体噴射ヘッドが備える圧電振動子によって印加することを特徴とする
これにより、流体噴射装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る流体充填方法、流体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置10の概略構成を示す模式図である。
【0019】
液滴吐出装置(流体噴射装置)10は、ベース31と、基板移動手段32と、ヘッド移動手段33と、液滴吐出ヘッド34と、インク供給部35と、制御装置40とを備えて構成されたものである。ベース31は、その上に基板移動手段32と、ヘッド移動手段33とを設置したものである。
また、液滴吐出装置10は、クリーニングユニット53と、キャッピングユニット55とを備えている。
【0020】
基板移動手段32は、ベース31上に設けられたもので、Y軸方向に沿って配置されたガイドレール36を有したものである。この基板移動手段32は、例えばリニアモータ(図示せず)により、スライダ37をガイドレール36に沿って移動させるよう構成されたものである。
スライダ37上にはステージ39が固定されており、このステージ39は、基板Pを位置決めし保持するためのものである。即ち、このステージ39は、公知の吸着保持手段(図示せず)を有し、この吸着保持手段を作動させることにより、基板Pをステージ39の上に吸着保持するようになっている。基板Pは、例えばステージ39の位置決めピン(図示せず)により、ステージ39上の所定位置に正確に位置決めされ、保持されるようになっている。
【0021】
ヘッド移動手段33は、ベース31の後部側に立てられた一対の架台33a、33aと、これら架台33a、33a上に設けられた走行路33bとを備えてなるもので、この走行路33bをX軸方向、即ち前記の基板移動手段32のY軸方向と直交する方向に沿って配置したものである。走行路33bは、架台33a、33a間に渡された保持板33cと、この保持板33c上に設けられた一対のガイドレール33d、33dとを有して形成されたもので、ガイドレール33d、33dの長さ方向に液滴吐出ヘッド34を搭載するキャリッジ42を移動可能に保持したものである。キャリッジ42は、リニアモータ(図示せず)等の作動によってガイドレール33d、33d上を走行し、これにより液滴吐出ヘッド34をX軸方向に移動させるように構成されたものである。
【0022】
ここで、このキャリッジ42は、ガイドレール33d、33dの長さ方向、即ちX軸方向に例えば1μm単位で移動が可能になっており、このような移動はコンピュータ等からなる制御装置40によって制御されるようになっている。
制御装置40は、液滴吐出ヘッド34の位置情報、即ち液滴吐出ヘッド34のガイドレール33d、33d上での位置(X座標)とそのときの各ノズルの位置(X座標)とを検知して記憶するものである。
【0023】
液滴吐出ヘッド(流体噴射ヘッド)34は、キャリッジ42に取付部43を介して回動可能に取り付けられたものである。取付部43にはモータ44が設けられており、液滴吐出ヘッド34はその支持軸(図示せず)がモータ44に連結している。このような構成のもとに、液滴吐出ヘッド34はその周方向に回動可能となっている。また、モータ44も制御装置40に接続されており、これによって液滴吐出ヘッド34はその周方向への回動が、制御装置40に制御されるようになっている。
【0024】
インク供給部35は、インクLが充填されたインク供給容器45と、このインク供給容器45から液滴吐出ヘッド34にインクLを送るためのインク供給チューブ46とを備えたものである。
【0025】
クリーニングユニット53は、液滴吐出ヘッド34のノズル等のクリーニングを基板Pの製造工程中や待機時に定期的にあるいは随時に行うことができる。
なお、インクLを基板Pに吐出する際には、クリーニングユニット53は液滴吐出ヘッド34に干渉しない位置に保持される。
【0026】
キャッピングユニット55は、キャップ部47と、液体吸引チューブ48と、液体吸引チューブ48に接続される吸引ポンプ51とを有している。キャッピングユニット55は、液滴吐出ヘッド34のノズル開口面143a(図3参照)が乾燥しないようにするために、基板Pに対するインクLの吐出工程中や待機時に、ノズル開口面143aにキャップ部47を被着させるものである。
また、キャッピングユニット55は、液滴吐出ヘッド34にインクLを初期充填する機能も有している。この初期充填の際にも、ノズル開口面143aにキャップ部47を被着させるようになっている。
【0027】
キャップ部47は、例えば液滴吐出装置10内に設けられたガイド(図示せず)などに沿って上下方向に移動することで、液滴吐出ヘッド34のノズル開口面143aに当接し、これに被着されるよう構成されたものである(図4参照)。キャップ部47は、シリコーン、フッ素樹脂等からなり、液体吸引チューブ48を介して、インクLを吸引する吸引ポンプ51に接続されている。
また、吸引ポンプ51には、インクLを吸引する減圧度を調整するための、圧力調整弁等からなる調整機構(図示せず)が設けられている。そして、この圧力調整弁は制御装置40に接続されており、これによって圧力の増減圧が制御されるようになっている。
なお、インクLを基板Pに吐出する際には、キャッピングユニット55は液滴吐出ヘッド34に干渉しない位置に保持される。
【0028】
図2は液滴吐出ヘッド34の構成を説明する断面図、図3は液滴吐出ヘッド34の要部断面図である。
本実施形態における液滴吐出ヘッド34は、導入針ユニット117、ヘッドケース118、流路ユニット119及びアクチュエータユニット120を主な構成要素としている。
導入針ユニット117の上面にはフィルタ121を介在させた状態で2本のインク導入針122が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針122には、サブタンク102がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット117の内部には、各インク導入針122に対応したインク導入路123が形成されている。
このインク導入路123の上端はフィルタ121を介してインク導入針122に連通し、下端はパッキン124を介してヘッドケース118内部に形成されたケース流路125と連通する。
【0029】
フィルタ121は、インクLに含まれる異物を除去するために配設されているものであり、その材質はステンレス鋼であってメッシュ状に形成されているものである。
【0030】
サブタンク102は、ポリプロピレン等の樹脂製材料によって成型されている。このサブタンク102には、インク室127となる凹部が形成され、この凹部の開口面に弾性シート126を貼設してインク室127が区画されている。
また、サブタンク102の下部にはインク導入針122が挿入される針接続部128が下方に向けて突設されている。サブタンク102におけるインク室127は、底の浅いすり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部128との間を連通する接続流路129の上流側開口が臨んでおり、この上流側開口にはインクLを濾過するタンク部フィルタ130が取り付けられている。
針接続部128の内部空間にはインク導入針122が液密に嵌入されるシール部材131が嵌め込まれている。このサブタンク102には、図4に示すように、インク室127に連通する連通溝部132′を有する延出部132が形成されており、この延出部132の上面にはインク導入口133が突設されている。
【0031】
インク導入口133には、インク供給部35に貯留されたインクLを供給するインク供給チューブ46が接続される。従って、インク供給チューブ46を通ってきたインクLは、このインク導入口133から連通溝部132′を通ってインク室127に流入する。
上記の弾性シート126は、インク室127を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、この弾性シート126の変形によるダンパ機能によって、インクLの圧力変動が吸収される。即ち、弾性シート126の作用によってサブタンク102が圧力ダンパとして機能する。従って、インクLは、サブタンク102内で圧力変動が吸収された状態で液滴吐出ヘッド34側に供給される。
【0032】
ヘッドケース118は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、下端面に流路ユニット119を接合し、内部に形成された収容空部137内にアクチュエータユニット120を収容し、流路ユニット119側とは反対側の上端面にパッキン124を介在した状態で導入針ユニット117を取り付けるようになっている。
このヘッドケース118の内部には、高さ方向を貫通してケース流路125が設けられている。このケース流路125の上端は、パッキン124を介して導入針ユニット117のインク導入路123と連通するようになっている。
また、ケース流路125の下端は、流路ユニット119内の共通インク室144に連通するようになっている。従って、インク導入針122から導入されたインクLは、インク導入路123及びケース流路125を通じて共通インク室144側に供給される。
【0033】
ヘッドケース118の収容空部137内に収容されるアクチュエータユニット120は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子138と、この圧電振動子138が接合される固定板139と、制御装置40からの駆動信号を圧電振動子138に供給する配線部材としてのフレキシブルケーブル140とから構成される。各圧電振動子138は、固定端部側が固定板139上に接合され、自由端部側が固定板139の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子138は、所謂片持ち梁の状態で固定板139上に取り付けられている。
また、各圧電振動子138を支持する固定板139は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエータユニット120は、固定板139の背面を、収容空部137を区画するケース内壁面に接着することで収容空部137内に収納・固定されている。
【0034】
流路ユニット119は、振動板(封止板)141、流路基板142及びノズル基板143からなる流路ユニット構成部材を積層した状態で接着剤で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室144からインク供給口145及び圧力室146を通りノズル147に至るまでの一連のインク流路を形成する部材である。圧力室146は、ノズル147の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されている。
また、共通インク室144は、ケース流路125と連通し、インク導入針122側からのインクLが導入される室である。そして、この共通インク室144に導入されたインクLは、インク供給口145を通じて各圧力室146に分配供給される。
【0035】
流路ユニット119の底部に配置されるノズル基板143は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル147を列状に開設した金属製の薄い板材である。本実施形態のノズル基板143は、ステンレス鋼の板材によって作製され、本実施形態においてはノズル147の列(即ち、ノズル列)が、各サブタンク102に対応して合計22列並設されている。そして、1つのノズル列は、例えば、180個のノズル147によって構成される。
ノズル基板143と振動板141との間に配置される流路基板142は、インク流路となる流路部、具体的には、共通インク室144、インク供給口145及び圧力室146となる空部が区画形成された板状の部材である。
【0036】
本実施形態において、流路基板142は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。振動板141は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板141の圧力室146に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子138の先端面が接合される島部148が形成されており、この部分はダイヤフラム部として機能する。即ち、この振動板141は、圧電振動子138の作動に応じて島部148の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。また、振動板141は、流路基板142の一方の開口面を封止し、コンプライアンス部149としても機能する。このコンプライアンス部149に相当する部分についてはダイヤフラム部と同様にエッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
【0037】
そして、上記の液滴吐出ヘッド34において、フレキシブルケーブル140を通じて駆動信号が圧電振動子138に供給されると、この圧電振動子138が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部148が圧力室146に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室146の容積が変化し、圧力室146内のインクLに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル147から液滴状となったインクLが吐出される。
【0038】
本実施形態において用いるインクLは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、若しくはその前駆体からなるものである。
導電性微粒子として、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニオブ及びニッケル等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、液滴吐出ヘッド34のノズル147に目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0039】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。
例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。
これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液体噴射法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0040】
また、インクLには、適宜フィラー又はバインダーを含有させることができる。例えば、ビニル系シランカップリング剤の他、アミノ系、エポキシ系、メタクリロキシ系、メルカプト系、ケチミン系、カチオン系、アミノ系等のシランカップリング剤を例示できる。また、チタネート系、アルミネート系のカップリング剤を含有させても良い。その他、セルロース系、シロキサン、シリコンオイル等のバインダーを含有させても良い。このような添加剤を含有させることにより、分散性向上、下地との密着性向上、膜の平坦性向上等が図られる。
【0041】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にてインクLを吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0042】
上記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液体として噴射する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液体の噴射が困難となるだけでなく、液体の噴射量が減少するからである。
【0043】
次に、上記装置においてインクLを初期充填する方法について図4を用いて説明する。
上述したとおり、液滴吐出ヘッド34にインクLを初期充填する際には、キャップ部47が、液滴吐出ヘッド34のノズル開口面143aに当接し、これに被着する。その後、吸引ポンプ51を駆動して、空間S(キャップ部47とノズル開口面143aの間に形成される密閉空間)が減圧(負圧)される。
これにより、液体吸引チューブ48及び液滴吐出ヘッド34内の液体流路R(ノズル147、圧力室146、インク供給口145、共通インク室144、ケース流路125、インク導入路123、接続流路129、インク室127、連通溝部132′)内、インク供給チューブ46内が減圧されていく。そのため、インク供給容器45に充填されているインクLが、その圧力差によって、インク供給チューブ46を介して液滴吐出ヘッド34内の液体流路Rに充填される。
【0044】
このとき、吸引ポンプ51の吸引速度(充填速度)が0.1ml/sec以下となるように設定する。この吸引速度であれば、フィルタ121にインクLに含まれる固形分(導電性微粒子の固まり等)が付着することはなくフィルタ121を通過する。つまり、インクLの充填速度が比較的遅いので、導電性微粒子がフィルタ121に衝突する速度も遅い。そのため、インクL中の固形分(付着物)がフィルタ121にトラップされても、固形分が積層して成長する前に徐々にフィルタ121を通過する。さらには、付着物によって気泡が溜まってしまうということもない。従って、インクLはゆっくりとフィルタ121を通過していくことができる。
【0045】
しかし、上記の吸引速度では、流体流路Rに大きな気泡が発生しやすく、特にフィルタ121前部や周辺に気泡が溜まってしまう弊害が発生し得る。
【0046】
ここで、溜まった気泡を破裂させて消滅させるか、あるいは破裂させて小さな気泡にしてその気泡をインクLの流れによってノズル147から排出させるかにより、上記弊害を除くことができる。
そこで、インクLに対して高周波微振動を印加することによって、気泡を破裂させて消滅又は小さくする。また、インクLの攪拌及びキャビテーション効果により、フィルタ121及び微小流路等に対するインクLの導電性微粒子の付着防止にも効果がある。また、キャビテーション効果によりインクLに溶存している気体を遊離したうえ気泡のサイズを小さくして排出することができる。
【0047】
具体的には、液滴吐出ヘッド34にインクLを充填する際に、例えば、周波数90.9kHzの駆動信号を圧電振動子138に供給して、インクLに高周波微振動を印加する。
このときの基本波形は、例えば、図5に示すように、その電圧値が0v(基準電位)からスタートした後、0s(時刻T1)から3.5μs(時刻T2)までの間、25V(最大電位Vps)まで一定の傾きで上昇し、3.5μs(時刻T2)から5.5μs(時刻T3)までの間、この最大電位25Vを維持する。次に、5.5μs(時刻T3)から9.0μs(時刻T4)までの間に0V(基準電位)まで一定の傾きで下降する。そして、9.0μs(時刻T4)から11.0μs(時刻T5)までの間、基準電位の0Vを保持する。
【0048】
従って、上述の実施形態によれば、フィルタ121にインクLに含まれる固形分(導電性微粒子)をフィルタ121に付着させず、また付着物によって気泡を溜めることもない。また、インクLに高周波微振動が印加されることによって、気泡のサイズを小さくすることができるため、フィルタ121に気泡が溜まることもない。つまり、フィルタ121は異物となる物質を除去する機能だけを発揮し、かつ円滑なインクLの循環を妨げない。そのため、付着物や気泡を除去するためのインク消費量を削減することができるとともに、液滴吐出ヘッド34へのインクLの充填を安定して行うことができる。
【0049】
なお、インクLの充填は、空間Sに負圧を発生させる場合に代えて、インク供給容器45内部に正圧を発生させてインクLを液滴吐出ヘッド34に充填してもよい。また、これらを併用することも可能である。
【0050】
また、インクLには金属インクの他、顔料インクを用いることができる。
また、フィルタ121は、ステンレス鋼に限られるものではなく、他の金属、プラスチック、多孔質材料、スポンジあるいは不織布又はこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では振動数を90.9kHzとしたが、20kHz〜200kHzの範囲の振動数で印加したとしても同様の効果を得ることができる。さらに、波形は、任意の波形をとることが可能である。
また、図6(a)に示すように、振動数を一定とすることは必要ではなく、振動数を変化させつつ、インクLに高周波微振動を印加することも可能である。例えば、図6(b)に示すように、第1の駆動信号を20kHzとし、第2の駆動信号を100kHzとし、第3の駆動信号を200kHzとして、これを繰り返して圧電振動子138に供給すれば、大きさの異なる気泡を効率的かつ確実に破裂させて除去することが可能である。
【0052】
また、高周波微振動の印加手段は圧力振動子によるものに限られず、他の振動発生器を用いてもよい。また、振動発生源は液滴吐出ヘッド34内に限られず、振動発生機構を別途設けて、インクLに印加してもよい。
【0053】
〔描画(流体噴射)工程〕
次に、液滴吐出装置10を用いて配線パターンを形成する工程について説明する。
図7は、配線パターン形成方法を工程順に説明する図である。
配線パターン形成用インク(インク(配線パターン用インクX1)としては、水等の分散媒に導電性微粒子を分散させてなる液状体を用いる。例えば、導電性微粒子として、例えばクロムを用いる。
インク吐出の条件としては、例えば、インク重量4〜7ng/dot、インク速度(吐出速度)5〜7m/secで行うことできる。また、インクを吐出する雰囲気は、温度60℃以下、湿度80%以下に設定されていることが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド34のノズル147が目詰まりすることなく安定した液滴吐出を行うことができる。
【0054】
まず、図7(a)に示すように、基板P上にバンクBを配置して、膜パターン形成領域234を形成する。
次に、図7(b)に示すように、液滴吐出ヘッド34から配線パターン用インクX1を液滴にして吐出し、その液滴をバンクB間の膜パターン形成領域234に配置させる。
このとき、膜パターン形成領域234は、バンクBに囲まれているので、配線パターン用インクX1が所定位置以外に拡がることを阻止される。また、バンクBは撥水性を有した材質となっているため、吐出された水系の配線パターン用インクX1の一部がバンクB上にのっても、その撥水性によってバンクBからはじかれ、バンクBの膜パターン形成領域234に流れ落ちるようになる。さらに、膜パターン形成領域234は親液性が付与されているため、吐出された配線パターン用インクX1が膜パターン形成領域234にて露出した基板P上で拡がり易くなる。
【0055】
これにより、図7(c)に示すように配線パターン用インクX1を、バンクB、B間の膜パターン形成領域234の延在方向に均一に配置することができる。
ここで、基板Pは、テーブル(図示せず)により約60℃に加熱されているので、配線パターン用インクX1の分散媒は、即座に蒸発・乾燥する。これにより、配線パターン用インクX1は、自らの上に配置される他の種類の配線パターン用インクと混じり合わない程度に固化される。
そして、配線パターン用インクX1を重ねて配置することで、図7(d)に示すように膜パターン形成領域234には、クロムを導電性微粒子として含む配線パターン用インクX1の層が所望の膜厚に形成される。
【0056】
バンクBは、疎水基を有する材質からなっており、表面処理を行うことなくそのままで撥水性を発揮するようになっている。従って、配線パターン用インクX1上にさらに別の機能液(配線パターン用インク)を配置する場合にも、バンクBに関して表面処理(撥水処理)を行う必要はない。
【0057】
配線パターン用インクX1からなる層を形成したら、図7(e)に示すように、この配線パターン用インクX1上に、異なる導電性微粒子を含む配線パターン用インクX2を配置することにより、膜パターン形成領域234に異なる種類の配線パターン用インクX1,X2が積層されてなる配線パターン(膜パターン)を形成する。
例えば、銀を導電性微粒子として用いた水系の配線パターン用インクX2を配線パターン用インクX1上に配置する。
【0058】
配線パターン用インクX2の分散媒も、基板Pが加熱していることから、即座に乾燥する。これにより、図7(f)に示すように、バンクB間の膜パターン形成領域234に配線パターン用インクX1と配線パターン用インクX2とが積層されてなる配線233が形成される。
【0059】
液滴吐出工程後には、配線233内の微粒子間の電気的接触をよくするため、分散媒を完全に除去する。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。このため、液滴吐出工程後の基板Pには熱処理及び/又は光処理を施すようにする。
【0060】
熱処理及び/又は光処理は、通常大気中で行うが、必要に応じて窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度としては、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行うことが好ましい。
【0061】
本実施形態では、特に、350℃で60分程度加熱処理することにより、配線パターン用インクX1と配線パターン用インクX2とからなる配線233中の分散媒等を十分に除去する。なお、バンクBは、その主成分となる骨格が無機質であるので、熱処理に対し高い耐性を有し、前記条件での熱処理に対しても溶融してしまうなどの不都合を生じることなく、十分な耐性を発揮するものとなる。
【0062】
以上の工程により、基板P上のバンクB間の膜パターン形成領域234に、クロムと銀とが積層されてなる配線233を形成することができる。
なお、インクX1,X2に、導電性微粒子でなく、熱処理又は光処理により導電性を発現する材料を含有させておき、本熱処理/光処置工程において配線233に導電性を発現させるようにしてもよい。
【0063】
〔電気光学装置〕
次に、上述した配線パターンが用いられる電気光学装置の一例として、液晶装置について説明する。
図8(a)は、液晶装置を対向基板側から見た平面図であり、(b)は(a)のH−H’線に沿う断面図である。
図9は、液晶装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子・配線等の等価回路図である。
【0064】
図8において、本実施形態の液晶装置200は、対をなすTFTアレイ基板210と対向基板220とが光硬化性の封止材であるシール材252によって貼り合わされ、このシール材252によって区画された領域内に液晶250が封入、保持されている。シール材252は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。
【0065】
シール材252の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り253が形成されている。シール材252の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板210の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板210の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板220のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板210と対向基板220との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0066】
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板210の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板210の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、液晶装置200においては、使用する液晶250の種類、即ち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。また、液晶装置200をカラー表示用として構成する場合には、対向基板220において、TFTアレイ基板210の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0067】
このような構造を有する液晶装置200の画像表示領域においては、図9に示すように、複数の画素200aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素200aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線216aがTFT230のソースに電気的に接続されている。なお、図9は、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一例を示す図となっている。
データ線216aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線216a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT230のゲートには走査線213aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線213aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
【0068】
画素電極219はTFT230のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT230を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線216aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極219を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、対向基板220の対向電極221との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極219と対向電極221との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量260が付加されている。
例えば、画素電極219の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量260により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶装置200を実現することができる。
【0069】
液晶装置以外にも、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに適用することができる。
有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機及び有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子及び正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
電気光学装置の範囲には、このような有機EL装置も含まれており、本発明によれば、例えば複数の機能性を有する配線を備えた有機EL装置を提供することができる。
【0070】
[電子機器]
次に、上記液晶装置200からなる表示手段を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10(a)〜(d)は、上述の液晶装置200を備える電子機器の例を示している。
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、携帯電話1000は、上述した液晶装置200を用いた表示部1001を備える。
図10(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(b)において、時計1100は、上述した液晶装置200を用いた表示部1101を備える。
図10(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(c)において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1202、上述した液晶装置200を用いた表示部1206、情報処理装置本体(筐体)1204を備える。
図10(d)は、薄型大画面テレビの一例を示した斜視図である。図10(d)において、薄型大画面テレビ1300は、薄型大画面テレビ本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、上述した液晶装置200を用いた表示部1306を備える。
【0071】
上記実施形態では、液滴吐出装置として、インクジェット式プリンタ(記録装置)に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。更に、トナー等の粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。
そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置において、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を説明する断面図である。
【図3】同液滴吐出ヘッドの要部断面図である。
【図4】同液滴吐出ヘッドにインクLを初期充填するときの断面図である。
【図5】同液滴吐出ヘッドが備える圧電振動子138に供給する駆動信号の基本波形の一例を示す図である。
【図6】同液滴吐出ヘッドが備える圧電振動子138に供給する駆動信号の供給方法の一例を示す図である。
【図7】配線パターン形成方法を工程順に説明する図である
【図8】液晶装置の構成を示す図である
【図9】液晶装置の画素表示領域における配線等の等価回路図である。
【図10】電子機器の具体例を説明する図である。
【符号の説明】
【0073】
10…液滴吐出装置(流体噴射装置)、34…液滴吐出ヘッド(流体噴射ヘッド)、40…制御装置(流体充填処理部)、45…インク供給容器(流体タンク)、47…キャップ部(キャップ部材)、121…フィルタ、122…インク導入針、123…インク導入路、125…ケース流路、127…インク室、129…接続流路、132′…連通溝部、133…インク導入口、138…圧電振動子、143a…ノズル開口面、144…共通インク室、145…インク供給口、146…圧力室、147…ノズル、L…インク(流体)、P…基板、R…液体流路(流体流路)、S…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴射ヘッドのノズル開口面まで流体を導く流体流路に流体中の異物を取り除くフィルタを備え、前記流体流路に流体を充填する方法において、
前記流体を充填する際に前記流体に高周波微振動を印加することを特徴とする流体充填方法。
【請求項2】
キャップ部材と前記ノズル開口面とを密着させつつ前記キャップ部材と前記ノズル開口面により形成される密閉空間に負圧を発生させて、前記流体を充填することを特徴とする請求項1に記載の流体充填方法。
【請求項3】
前記流体流路に連結される流体タンク内に正圧を加えて、前記流体を充填することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体充填方法。
【請求項4】
前記流体を0.1ml/sec以下の充填速度で充填することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の流体充填方法。
【請求項5】
前記高周波微振動は、前記流体噴射ヘッドが備える圧電振動子によって印加されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれかに記載の流体充填方法。
【請求項6】
前記高周波微振動は、周波数が20kHz〜200kHzの範囲内で印加されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかに記載の流体充填方法。
【請求項7】
前記高周波微振動は、周波数が段階的に変化して印加されることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかに記載の流体充填方法。
【請求項8】
前記流体は金属又は顔料を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれかに記載の流体充填方法。
【請求項9】
流体噴射ヘッドのノズル開口面まで流体を導く流体流路に流体中の異物を取り除くフィルタを備える流体噴射装置において、
前記流体に高周波微振動を印加しつつ充填する流体充填処理部を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項10】
前記流体充填処理部は、前記流体噴射ヘッドが備える圧電振動子によって印加することを特徴とする請求項9に記載の流体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−230012(P2008−230012A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72026(P2007−72026)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】